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特開2023-143457制御装置、操作量算出モデル生成装置および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143457
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】制御装置、操作量算出モデル生成装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G05B23/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050855
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】301078191
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】メドラノ カテレア
(72)【発明者】
【氏名】矢敷 達朗
(72)【発明者】
【氏名】吉田 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】徳田 勇也
(72)【発明者】
【氏名】岡部 淳
(72)【発明者】
【氏名】相川 竜一
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA02
3C223AA05
3C223BA01
3C223BB17
3C223CC01
3C223EB01
3C223EB02
3C223FF06
3C223FF13
3C223FF17
3C223FF22
3C223FF23
3C223FF24
3C223GG01
3C223HH02
3C223HH29
(57)【要約】
【課題】制御対象に対する精度の高い制御を可能とする。
【解決手段】制御装置100は、制御対象(プラント500)において測定された状態量を基に算出される算出状態量を取得する算出状態量取得部112と、算出状態量を基に制御対象の操作量を算出する操作量算出部113を備える。操作量算出部113は、算出状態量を入力とし、制御対象の操作量を出力とする数値モデル(操作量算出モデル158)を用いて、算出状態量を基に制御対象の操作量を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象において測定された状態量を基に算出される算出状態量を取得する算出状態量取得部と、
前記算出状態量を基に前記制御対象の操作量を算出する操作量算出部とを備え、
前記操作量算出部は、
前記算出状態量を入力とし、前記制御対象の操作量を出力とする数値モデルを用いて、前記算出状態量を基に前記制御対象の操作量を算出する
制御装置。
【請求項2】
前記数値モデルは、
前記操作量を入力とし、前記算出状態量および前記状態量を出力とする前記制御対象のシミュレーションモデルを用いて、当該シミュレーションモデルの出力である算出状態量を入力とし、当該シミュレーションモデルの入力である操作量を出力とするように設定された数値モデルである
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記算出状態量は、
単位時間当たりの量である前記状態量に対して、当該状態量を積算した量、
前記状態量の単位時間当たりの変化量、
前記制御対象に備わる槽の内容物の温度である前記状態量に対して、当該内容物の流入量、
前記制御対象に備わる槽の内容物の温度である前記状態量に対して、当該槽に備わるヒータへの熱流量、および
前記制御対象に備わる槽の内容物の温度である前記状態量に対して、当該槽に備わる冷却装置への冷媒流量の何れかである
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記シミュレーションモデルは、
前記制御対象に対する実操作の操作量に対して、当該制御対象において測定された状態量を出力するように設定されたシミュレーションモデルである
請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御対象に対する実操作の時系列の操作量を前記シミュレーションモデルに入力したときの出力と、当該制御対象において測定された時系列の状態量との差が小さくなるように、当該シミュレーションモデルのパラメータを設定する制御対象モデル生成部をさらに備える
請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御対象モデル生成部は、
前記測定された時系列の状態量と、前記実操作の時系列の操作量を前記シミュレーションモデルに入力したときの出力とを表示装置に出力する
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御対象に対する実操作の時系列の操作量を前記シミュレーションモデルに入力したときの出力である前記算出状態量を前記数値モデルに入力したときの出力である時系列の操作量と、当該実操作の時系列の操作量との差が小さくなるように、当該数値モデルのパラメータを設定する操作量算出モデル生成部をさらに備える
請求項2に記載の制御装置。
【請求項8】
前記操作量算出モデル生成部は、
前記数値モデルの入力である前記算出状態量と出力である操作量との関係、および
前記制御対象において測定された状態量から算出される算出状態量と前記実操作の操作量との関係を表示装置に出力する
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
評価部、および状態量算出部をさらに備え、
前記算出状態量取得部は、前記状態量に対する前記算出状態量を計算する算出状態量計算装置に前記状態量を入力し、当該算出状態量計算装置の出力として前記算出状態量を取得し、
前記状態量算出部は、前記シミュレーションモデルを用いて前記操作量を基に前記状態量を算出し、
前記算出状態量取得部は、当該状態量に対する前記算出状態量を、前記算出状態量計算装置に当該状態量を入力し、当該算出状態量計算装置の出力として前記算出状態量を取得し、
前記操作量算出部は、当該算出状態量を基に前記操作量を算出し、
前記評価部は、前記状態量算出部、前記算出状態量取得部、および前記操作量算出部の繰り返し処理のなかで、前記状態量算出部が算出した状態量の時間変化を表示装置に出力する
請求項2に記載の制御装置。
【請求項10】
前記数値モデルは、
前記制御対象において測定された状態量を基に算出された算出状態量を入力とし、
前記制御対象に対する実操作の操作量を出力とするように設定された数値モデルである
請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
制御対象において測定された状態量を基に算出される算出状態量を入力とし、当該制御対象の操作量を出力とする数値モデルを、
当該制御対象に対する実操作の時系列の操作量を当該制御対象のシミュレーションモデルに入力したときの出力である状態量を基に算出された算出状態量を、前記数値モデルに入力したときの出力である時系列の操作量と、当該実操作の時系列の操作量との差が小さくなるように、
前記数値モデルのパラメータを設定する操作量算出モデル生成部を備え、
前記シミュレーションモデルは、前記制御対象に対する実操作の操作量に対して、当該制御対象において測定された状態量を出力するように設定されたシミュレーションモデルである
操作量算出モデル生成装置。
【請求項12】
制御対象を制御する制御装置の制御方法であって、
前記制御対象において測定された状態量を基に算出される算出状態量を取得するステップと、
前記算出状態量を入力とし、前記制御対象の操作量を出力とする数値モデルを用いて、前記算出状態量を基に前記制御対象の操作量を算出するステップとを実行する
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラントなどの制御対象を制御する制御装置、操作量算出モデル生成装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電所や化学プラントなどのプラントの制御システムは、温度や圧力、流量などの状態量が所望の値になるように制御している。プラントを制御するためには、状態量に基づいてプラントを操作するときの操作量を決定(算出)する必要がある。操作量の例として、原材料の投入量や温度調整のための冷却水の流入量などがある。
【0003】
操作量の算出には、算出するための数値モデルが必要である。プラントの操業条件が変化する場合においても適切にプラントを制御するためには、この数値モデルのパラメータ調整/設定が重要である。数値モデルのパラメータ調整には時間が掛かり、専門的な知識が要求される。このため自動的なパラメータの調整が望まれる。
【0004】
特許文献1に記載のプラント制御調節装置は、プラントの同定を行うと共にPIDパラメータを調整する調整部と、複数の模擬PIDパラメータと複数パターンの模擬設定値の時系列データとを用いて、仮想システムによるシミュレーションを行い、模擬計測値の時系列データを各々求めて、模擬PIDパラメータをラベルとする模擬設定値及び模擬計測値の時系列データのデータセットを生成し、データセットをニューラルネットワークで学習して学習モデルを生成する学習部と、学習モデルを用いて、入力された計測値がどのラベルに該当するか分類することで、プラントの変動を監視する推論部とを有し、調整部は、推論部でプラントが変動ありと判定された場合、PIDパラメータの再調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-112921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のプラント制御調節装置は、PID制御などの既存の制御手法を用いる制御装置のパラメータを調整する。既存の制御装置では、バルブの角度などの操作量への依存を用いて、状態量を設定値になるように調整する。このため既存の制御装置では、学習ベースの制御装置(人工知能ベースの制御装置)と比べて精度の高い制御ができなかった。
本発明は、このような背景を鑑みてなされたものであり、制御対象に対する精度の高い制御を可能とする制御装置、操作量算出モデル生成装置および制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するため、本発明に係る制御装置は、制御対象において測定された状態量を基に算出される算出状態量を取得する算出状態量取得部と、前記算出状態量を基に前記制御対象の操作量を算出する操作量算出部とを備え、前記操作量算出部は、前記算出状態量を入力とし、前記制御対象の操作量を出力とする数値モデルを用いて、前記算出状態量を基に前記制御対象の操作量を算出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御対象に対する精度の高い制御を可能とする制御装置、操作量算出モデル生成装置および制御方法を提供することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図2】第1実施形態に係るプラントモデルおよび操作量算出モデルの関係を説明するための図である。
図3】第1実施形態に係る算出状態量取得部と操作量算出部との関係を説明するための図である。
図4】第1実施形態に係るプラントモデル生成処理のフローチャートである。
図5】第1実施形態に係るプラントモデル評価結果画面の画面構成図である。
図6】第1実施形態に係る操作量算出モデル生成処理のフローチャートである。
図7】第1実施形態に係る操作量算出モデル評価結果画面の画面構成図である。
図8】第1実施形態に係る操作量算出確認画面の画面構成図である。
図9】第2実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図10】第2実施形態に係る算出状態量取得部、操作量算出部、および状態量算出部の関係を説明するための図である。
図11】第2実施形態に係る算出状態量評価処理のフローチャートである。
図12】第2実施形態に係る算出状態量評価結果画面の画面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪制御装置の概要≫
以下に本発明を実施するための形態(実施形態)における制御装置について説明する。制御装置は、制御対象であるプラントの状態量を取得し、状態量を基に算出状態量を取得する。状態量の例として、プラントに備わる槽内の温度や槽内にある原材料の量がある。算出状態量の例として、温度の時間的変化量や槽への/からの流量などがある。状態量がプラントに備わるセンサなどを用いて測定される量であるのに対して、算出状態量はプラントの状態を示す量であるが、測定される量とは限らない。算出状態量は、技術的には測定可能であるが、プラントにセンサが設置されていないために測定されず、測定された状態量から算出される量であってもよい。
【0011】
算出状態量は、制御装置が状態量を基に算出してもよいし、プラントの操作員(オペレータ)から取得してもよい。また制御装置は、算出状態量を計算(算出)する算出状態量計算装置に状態量を入力として算出状態量を取得してもよい。
【0012】
制御装置は、操作量算出モデル(数値モデル)を用いて、算出状態量を基にプラントの操作量を算出する。操作量算出モデルは、例えば物理モデルや統計モデルであって、算出状態量を入力とし、操作量を出力とするモデルである。操作量算出モデルのパラメータは、制御対象である実際のプラントを模擬するプラントモデルを用いて調整(設定)される。詳しくは、プラントモデルの出力である状態量から算出される算出状態量を入力し、プラントモデルの入力である操作量を出力するように、操作量算出モデルのパラメータは調整される。またプラントモデルのパラメータは、実際のプラントに対して実行された操作(実操作)に係る操作量を入力とし、測定される状態量を出力とするように調整される。
【0013】
このような制御装置によれば、測定された状態量に限らず、状態量から算出された状態量である算出状態量に基づいて操作量を算出してプラントを制御できるようになる。PIDなどの既存の制御に比べて、より高精度に状態量を設定値(目標値)になるようにプラントを制御できるようになり、延いてはプラントの生産性を高めることができる。
【0014】
≪制御装置の全体構成≫
図1は、第1実施形態に係る制御装置100の機能ブロック図である。制御装置100はコンピュータであり、制御部110、記憶部120、および入出力部180を備える。入出力部180には、ディスプレイやキーボード、マウスなどのユーザインターフェイス機器が接続される。入出力部180が通信デバイスを備え、制御対象であるプラント500に備わる他の装置やセンサとのデータ送受信が可能である。また入出力部180にメディアドライブが接続され、記録媒体を用いたデータのやり取りが可能であってもよい。
【0015】
≪制御装置:記憶部≫
記憶部120は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)などの記憶機器を含んで構成される。記憶部120には、状態量データベース130、操作量データベース140、モデルデータベース150、およびプログラム128が記憶される。プログラム128は、後記するプラントモデル生成処理(図4参照)や操作量算出モデル生成処理(図6参照)の手順の記述を含む。
【0016】
状態量データベース130には、実際のプラント500の設備や機器に備わるセンサで測定された、プラント500の状態量の時系列データが格納される。状態量としては、蒸気出口や槽(タンク)内の温度、圧力、水位(内容物の量)などがある。状態量データベース130に、時系列の算出状態量が格納されてもよい。
【0017】
操作量データベース140には、プラント500に対する実操作に係る操作量の時系列データが格納される。操作量としては、槽に原材料を投入する量や、原材料の投入量を調整するバルブの角度、噴出蒸気の量を調整するバルブの角度などがある。
モデルデータベース150には、操作量を算出する際に用いられる操作量算出モデル158が格納される。またモデルデータベース150には、プラント500の動作を模擬し、操作量算出モデル158の生成に用いられる、プラントモデル159が格納される。
【0018】
≪制御装置:記憶部:プラントモデルと操作量算出モデル≫
図2は、第1実施形態に係るプラントモデル159および操作量算出モデル158の関係を説明するための図である。プラントモデル159は、プラント500を模擬する物理モデル(シミュレーションモデル)であり、例えばプラント500に備わる設備やバルブなどのモデルを含む。またプラントモデル159は、材料の状態や槽や配管などへの汚物の蓄積(付着)度合いなど、プラント500の操業にともない変化するパラメータを含む。モデルデータベース150には、パラメータが初期値(規定値)であるプラントモデル159が格納される。当該パラメータは、後記するプラントモデル生成部115により調整される。
【0019】
プラントモデル159の入力は操作量311であり、出力は状態量312、および算出状態量313である。操作量算出モデル158(数値モデル)は、操作量314を算出するための、例えば物理モデルや統計モデルであって、算出状態量313を入力とし、操作量314を出力とするモデルである。モデルデータベース150には、パラメータが初期値(規定値)である操作量算出モデル158が格納される。当該パラメータは、後記する操作量算出モデル生成部116により調整される。
【0020】
状態量312の例として、プラントに備わる槽内の温度や槽内にある原材料の量がある。また算出状態量313の例として、温度の時間的変化や槽への/からの流量などがある。操作量311,314の例として、槽への/からの原材料の流量を調整するバルブの角度がある。このように算出状態量の一例は、状態量の単位時間当たりの変化量(時間微分量)である。
【0021】
逆に算出状態量は、状態量の積分量(積算量)であってもよい。例えば、温度の時間的変化や槽への/からの流量が状態量であり、槽内にある原材料の量が算出状態量であってもよい。他にも、プラント500に備わる槽の内容物の温度である状態量に対して、算出状態量は当該内容物の流入量や、当該槽に備わるヒータへの熱流入量、当該槽に備わる冷却装置への冷水流入量であってもよい。
【0022】
操作量311は状態量312に関係があるが、算出状態量313は操作量311より明らかに状態量312に関係がある。例えば槽内の温度を、冷却水を用いて調整する場合、温度という状態量に対して、冷却水の流量を調整するバルブの角度という操作量よりも、温度変化(温度の時間微分)という算出状態量が、明らかな関係がある。
【0023】
以上に説明したように算出状態量は、単位時間当たりの量である状態量に対して、当該状態量を積算した量である。また算出状態量は、状態量の単位時間当たりの変化量であってもよい。他に算出状態量は、制御対象(プラント500)に備わる槽の内容物の温度である状態量に対して、当該内容物の流入量であってもよい。また算出状態量は、制御対象に備わる槽の内容物の温度である状態量に対して、当該槽に備わるヒータへの熱流量や当該槽に備わる冷却装置への冷媒流量であってもよい。
【0024】
≪制御装置:制御部≫
図1に戻って、制御部110の説明を続ける。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)を含んで構成され、プラント通信部111、算出状態量取得部112、操作量算出部113、状態量算出部114、プラントモデル生成部115、および操作量算出モデル生成部116が備わる。
【0025】
プラント通信部111は、プラント500に備わるセンサが測定した状態量を受信して状態量データベース130に格納する。またプラント通信部111は、算出された操作量をプラント500に送信する。プラント500では、送信された操作量(例えばバルブの角度)に対応する実操作(例えばバルブの角度調整)が行われる。
【0026】
算出状態量取得部112は、状態量に基づいて算出状態量を取得する。例えば算出状態量取得部112は、状態量データベース130にある操作量を表示して、制御装置100の利用者であるプラント500の操作員が入力する値を、算出操作量として取得する。また算出状態量取得部112は、制御装置100に接続された算出状態量計算装置に状態量を送信して、算出状態量計算装置が計算した算出状態量を取得してもよい。算出状態量計算装置は、例えば機械学習技術を含む人口知能を用いて算出状態量を計算する。なお算出状態量計算装置は、制御装置100と異なる装置とは限らず、制御装置100で動作して算出状態量を計算する、制御部110に備わる機能部であってもよい。
【0027】
以上に説明したように、制御装置100は、制御対象(プラント500)において測定された状態量を基に算出される算出状態量を取得する算出状態量取得部112を備える。
【0028】
操作量算出部113は、操作量算出モデル158を用いて、算出状態量を基に操作量を算出する。図3は、第1実施形態に係る算出状態量取得部112と操作量算出部113との関係を説明するための図である。算出状態量取得部112は、プラント500で計測された実際の状態量321を基に算出状態量322を取得して、操作量算出部113に出力する。
【0029】
操作量算出部113は、算出状態量322を基に操作量323を算出する。プラント500に対して操作量323に対応する操作が実行されて、プラント500は状態量321が示す状態となる。なお図2において操作量311および状態量312は、プラントモデル159の入力および出力である。これに対して図3の操作量323および状態量321は、実際のプラント500に対する操作と測定された状態量である。
【0030】
以上に説明したように、制御装置100は、算出状態量を基に制御対象(プラント500)の操作量を算出する操作量算出部113を備える。操作量算出部113は、算出状態量を入力とし、制御対象の操作量を出力とする数値モデル(操作量算出モデル158)を用いて、算出状態量を基に制御対象の操作量を算出する。
【0031】
以上に説明したプラント通信部111、算出状態量取得部112、および操作量算出部113の処理により、制御装置100はプラント500の状態量に応じて操作量を出力してプラント500を制御する。
図1に戻って、制御部110の説明を続ける。続いて説明する状態量算出部114、プラントモデル生成部115、および操作量算出モデル生成部116は、プラントモデル159、および操作量算出モデル158の生成(パラメータの調整)に係る機能部である。
【0032】
状態量算出部114は、プラントモデル159を用いて、操作量を基に状態量と算出状態量とを算出する。プラントモデル生成部115は、状態量データベース130にある計測された状態量、および操作量データベース140にある実行された操作の操作量を用いてプラントモデル159のパラメータを調整する(詳細は後記する図4参照)。操作量算出モデル生成部116は、プラントモデル159、および操作量データベース140にある実行された操作の操作量を用いて操作量算出モデル158のパラメータを調整する(詳細は後記する図6参照)。
【0033】
≪プラントモデル生成処理≫
図4は、第1実施形態に係るプラントモデル生成処理のフローチャートである。図4を参照しながらプラントモデル159が生成される処理を説明する。プラントモデル生成処理の開始時には、プラントモデル159を生成するのに十分な量の操作量および状態量のデータが、操作量データベース140および状態量データベース130にそれぞれ蓄積されている。
【0034】
ステップS11においてプラントモデル生成部115は、モデルデータベース150からプラントモデル159を取得する。このプラントモデル159は、プラント500が操作量の操作がされて、状態量で示される状態になる動作を模擬する、例えば物理ベースのシミュレーションモデル(物理モデル)であって、そのパラメータは初期値または規定値である。
【0035】
ステップS12においてプラントモデル生成部115は、シミュレーションの条件を設定する。例えばプラントモデル生成部115は、操作量データベース140および状態量データベース130にある操作量や状態量を基に、シミュレーションの開始時刻や終了時刻、ステップ時間などの条件を設定する。プラントモデル生成部115は、制御装置100の利用者である操作員に問い合わせて、シミュレーションの条件を設定してもよい。
【0036】
ステップS13においてプラントモデル生成部115は、シミュレーション時刻を開始時刻から終了時刻までステップ時間ずつ増やしながら、ステップS14,S15の処理を行う。
ステップS14においてプラントモデル生成部115は、現在のシミュレーション時刻に対応する操作量を操作量データベース140から取得し、プラントモデル159を用いて(に入力して)、当該操作量に対する次のステップ時間での状態量を算出する。なおプラントモデル生成部115は、状態量算出部114に指示して状態量を算出してもよい。
【0037】
ステップS15においてプラントモデル生成部115は、ステップS14で算出された状態量と、状態量データベース130にある次のステップ時間での測定値である状態量とが近くなるように、プラントモデル159のパラメータを調整する。パラメータを調整するのに、例えばデータ同化の手法を用いてもよい。
【0038】
ステップS16においてプラントモデル生成部115は、プラントモデル159をモデルデータベース150に格納する。このプラントモデル159を用いれば、操作量の操作に対する状態量に示される状態になるプラント500の動作が模擬可能となる。
ステップS17においてプラントモデル生成部115は、ステップS11,S16におけるプラントモデル159を評価して、評価結果(後記する図5参照)を入出力部180に接続されたディスプレイに出力する。
【0039】
図5は、第1実施形態に係るプラントモデル評価結果画面410の画面構成図である。プラントモデル評価結果画面410では、3つのグラフが表示される。実線のグラフは、パラメータ調整前のプラントモデル159(ステップS11におけるプラントモデル159)が、実操作の操作量に対する出力する状態量を示す。点線のグラフは、パラメータ調整後のプラントモデル159(ステップS16におけるプラントモデル159)が、実操作の操作量に対する出力する状態量を示す。鎖線のグラフは、実操作の操作量に対する測定された状態量を示す。3つのグラフを比較することで操作員は、パラメータ調整前後のプラントモデル159を用いたプラント500の模擬動作と、実際のプラント500の動作とが比較でき、パラメータ調整の成否や模擬動作の精度を把握できる。
【0040】
以上に説明したように、シミュレーションモデル(プラントモデル159)は、制御対象(プラント500)に対する実操作の操作量に対して、当該制御対象において測定された状態量を出力するように設定されたシミュレーションモデルである。
制御装置100に備わる制御対象モデル生成部(プラントモデル生成部115)は、制御対象に対する実操作の時系列の操作量をシミュレーションモデルに入力したときの出力と、当該制御対象において測定された時系列の状態量との差が小さくなるように、当該シミュレーションモデルのパラメータを設定する。
また制御対象モデル生成部(プラントモデル生成部115)は、測定された時系列の状態量と、実操作の時系列の操作量を前記シミュレーションモデルに入力したときの出力とを表示装置に出力する(図5参照)。
【0041】
≪操作量算出モデル生成処理≫
図6は、第1実施形態に係る操作量算出モデル生成処理のフローチャートである。図6を参照しながら操作量算出モデル158が生成される処理を説明する。
【0042】
ステップS21において操作量算出モデル生成部116は、モデルデータベース150からプラントモデル159と操作量算出モデル158とを取得する。このプラントモデル159は、プラントモデル生成処理(図4参照)によりパラメータが調整済みのモデルである。操作量算出モデル158は、算出状態量から操作量を算出するための、例えば物理モデルまたは統計モデルであって、そのパラメータは初期値または規定値である。
【0043】
ステップS22において操作量算出モデル生成部116は、シミュレーションの条件を設定する。例えば操作量算出モデル生成部116は、操作量データベース140にある操作量を基に、シミュレーションの開始時刻や終了時刻、ステップ時間などの条件を設定する。操作量算出モデル生成部116は、制御装置100の利用者である操作員に問い合わせて、シミュレーションの条件を設定してもよい。
【0044】
ステップS23において操作量算出モデル生成部116は、シミュレーション時刻を開始時刻から終了時刻までステップ時間ずつ増やしながら、ステップS24~S26の処理を行う。
ステップS24において状態量算出部114は、現在のシミュレーション時刻に対応する操作量を操作量データベース140から取得し、プラントモデル159を用いて(に入力して)、当該操作量に対する次のステップ時間での状態量および算出状態量を算出する。
【0045】
ステップS25において操作量算出モデル生成部116は、ステップS24で算出された算出状態量を操作量算出モデル158に入力して(算出状態量を基に操作量算出モデル158を用いて)、当該算出状態量に対する操作量を算出する。なお操作量算出モデル生成部116は、操作量算出部113に指示して操作量を算出してもよい。
ステップS26において操作量算出モデル生成部116は、ステップS25で算出された操作量と、操作量データベース140にある次のステップ時間での操作量とが近くなるように、操作量算出モデル158のパラメータを調整する。パラメータを調整するのに、例えばデータ同化の手法を用いてもよい。
【0046】
ステップS27において操作量算出モデル生成部116は、操作量算出モデル158をモデルデータベース150に格納する。
ステップS28において操作量算出モデル生成部116は、ステップS21,S27における操作量算出モデル158を評価して、評価結果(後記する図7参照)を入出力部180に接続されたディスプレイに出力する。また操作量算出モデル生成部116は、パラメータ調整済みの操作量算出モデル158の動作を確認するための画面(後記する図8参照)を入出力部180に接続されたディスプレイに出力する。
【0047】
図7は、第1実施形態に係る操作量算出モデル評価結果画面420の画面構成図である。操作量算出モデル評価結果画面420では、3つのグラフが表示される。実線のグラフは、プラントモデル159を用いて算出された状態量から算出された算出状態量と、調整前の操作量算出モデル158(ステップS21における操作量算出モデル158)が出力する操作量との関係を示す。点線のグラフは、プラントモデル159を用いて算出された状態量から算出された算出状態量と、調整後の操作量算出モデル158(ステップS27における操作量算出モデル158)が出力する操作量との関係を示す。鎖線のグラフは、測定された状態量から算出された算出状態量と、実際の操作量との関係を示す。3つのグラフを比較することで操作員は、操作量算出モデル158のパラメータ調整前後の比較ができ、操作量算出モデル158を用いて算出された操作量と、実際のプラント500での実際の操作量とが比較できる。
【0048】
図8は、第1実施形態に係る操作量算出確認画面430の画面構成図である。操作量算出確認画面430の上側にある「算出状態量」の右側のテキストボックス431に、算出状態量が入力されると、操作量算出部113が操作量算出モデル158を用いて算出状態量を基に操作量を算出して、操作量算出確認画面430の上側に表示する。操作量算出確認画面430には、横軸が算出状態量で、縦軸が操作量であり、入力された算出状態量に対して算出された操作量をプロットしたグラフが表示される。このグラフを参照することで操作員は、パラメータが調整された操作量算出モデル158が正しく動作していることを確認することができる。
【0049】
以上に説明したように、数値モデル(操作量算出モデル158)は、操作量を入力とし、算出状態量および状態量を出力とする制御対象(プラント500)のシミュレーションモデル(プラントモデル159)を用いて、当該シミュレーションモデルの出力である算出状態量を入力とし、当該シミュレーションモデルの入力である操作量を出力とするように設定された数値モデルである。
【0050】
制御装置100に備わる操作量算出モデル生成部116は、制御対象に対する実操作の時系列の操作量をシミュレーションモデルに入力したときの出力である算出状態量を数値モデルに入力したときの出力である時系列の操作量と、当該実操作の時系列の操作量との差が小さくなるように、数値モデルのパラメータを設定する。
操作量算出モデル生成部116は、数値モデルの入力である算出状態量と出力である操作量との関係、および、制御対象において測定された状態量から算出される算出状態量と実操作の操作量との関係を表示装置に出力する(図7参照)。
【0051】
≪第1実施形態:制御装置の特徴≫
制御装置は、測定された状態量に限らず、状態量から算出された状態量である算出状態量に基づいて操作量を算出してプラントを制御する。PIDなどの既存の制御に比べて、より精度高く、状態量を設定値(目標値)に調整するようにプラントを制御できるようになり、延いてはプラントの生産性を高めることができる。
【0052】
≪第2実施形態≫
第1実施形態における算出状態量取得部112は、例えば機械学習技術を含む人口知能技術を用いた算出状態量計算装置から算出状態量を取得する。算出状態量計算装置は、制御部110で動作する機能部であってもよい。このような算出状態量計算装置が正しく動作し、制御装置100がプラント500を適切に制御可能であることを、事前に確認することが望ましい。操作量算出モデル158およびプラントモデル159を用いることで、算出状態量計算装置の動作を検証するシミュレーションが可能である。
【0053】
≪第2実施形態:制御装置の構成≫
図9は、第2実施形態に係る制御装置100Aの機能ブロック図である。第1実施形態と比べて、制御部110に備わる算出状態量取得部112Aが異なり、評価部117が備わる。また記憶部120には、例えば機械学習技術を用いて状態量を基に算出状態量を計算する算出状態量計算プログラム160が記憶される。算出状態量計算プログラム160は、制御装置100Aを算出状態量計算装置として機能させるプログラムであり、算出状態量取得部112Aは、算出状態量計算プログラム160を呼び出して(機能させて)状態量に対する算出状態量を取得する。評価部117は、算出状態量取得部112A、操作量算出部113、および状態量算出部114に指示して算出状態量計算プログラム160の動作を検証して評価する。
【0054】
図10は、第2実施形態に係る算出状態量取得部112A、操作量算出部113、および状態量算出部114の関係を説明するための図である。算出状態量取得部112Aは、状態量算出部114が算出した状態量331を基に、算出状態量計算プログラム160を呼び出して、算出状態量332を取得する。操作量算出部113は、算出状態量332を基に、操作量算出モデル158を用いて操作量333を算出する。状態量算出部114は、操作量333を基に、プラントモデル159を用いて状態量331を算出する。
【0055】
≪算出状態量評価処理≫
図11は、第2実施形態に係る算出状態量評価処理のフローチャートである。図11を参照しながら、算出状態量計算プログラム160(算出状態量計算装置)の動作を検証して評価する処理を説明する。
【0056】
ステップS31において評価部117は、モデルデータベース150からプラントモデル159と操作量算出モデル158とを取得する。プラントモデル159は、プラントモデル生成処理(図4参照)によりパラメータが調整済みのモデルである。操作量算出モデル158は、操作量算出モデル生成処理(図6参照)によりパラメータが調整済みのモデルである。
【0057】
ステップS32において評価部117は、シミュレーションの条件を設定する。条件としては、シミュレーションの開始時刻や終了時刻、ステップ時間、操作量の初期値(開始時刻における操作量)、状態量の設定値(目標値)などの条件を設定する。評価部117は、制御装置100の利用者である操作員に問い合わせて、シミュレーションの条件を設定してもよい。
【0058】
ステップS33において評価部117は、シミュレーション時刻を開始時刻から終了時刻までステップ時間ずつ増やしながら、ステップS34~S36の処理を行う。
ステップS34において評価部117は状態量算出部114に指示することで、現在のシミュレーション時刻に対応する操作量を基に、プラントモデル159を用いて(に入力して)、当該操作量に対する次のステップ時間での状態量を算出する。
【0059】
ステップS35において評価部117は算出状態量取得部112Aに指示することで、算出状態量計算プログラム160を用いて、ステップS34で算出された状態量に対する算出状態量を取得する。
ステップS36において評価部117は操作量算出部113に指示することで、ステップS35で取得された算出状態量を操作量算出モデル158に入力して、当該算出状態量に対する操作量を算出する。
【0060】
ステップS37において評価部117は、評価結果(後記する図12参照)を入出力部180に接続されたディスプレイに出力する。
【0061】
図12は、第2実施形態に係る算出状態量評価結果画面440の画面構成図である。算出状態量評価結果画面440に表示された点線のグラフは、算出された状態量(ステップS34参照)の時系列変化を示す。鎖線は状態量の設定値を示す。
算出状態量評価結果画面440を参照することで操作員は、算出状態量計算プログラム160が正しく動作して、制御装置100Aが状態量を設定値に保つように適切にプラント500を制御可能なことを確認できる。
【0062】
以上に説明したように、制御装置100は、評価部117、および状態量算出部114を備える。算出状態量取得部112Aは、状態量に対する算出状態量を計算する算出状態量計算装置(算出状態量計算プログラム160)に状態量を入力し、当該算出状態量計算装置の出力として算出状態量を取得する。
【0063】
状態量算出部114は、シミュレーションモデル(プラントモデル159)を用いて前記操作量を基に前記状態量を算出する(ステップS34参照)。算出状態量取得部112Aは、当該状態量に対する算出状態量を、算出状態量計算装置に当該状態量を入力し、算出状態量計算装置の出力として算出状態量を取得する(ステップS35参照)。操作量算出部は113、当該算出状態量を基に操作量を算出する(ステップS36参照)。評価部117は、状態量算出部114、算出状態量取得部112A、および操作量算出部113の繰り返し処理(ステップS33~S36参照)のなかで、状態量算出部114が算出した状態量の時間変化を表示装置に出力する(図12参照)。
【0064】
≪第2実施形態:制御装置の特徴≫
制御装置100Aは、プラントモデル159を用いてプラント500の動作を模擬することで、算出状態量計算プログラム160の動作を検証することができる。
【0065】
≪変形例:操作量算出モデル生成処理≫
操作量算出モデル生成処理(図6参照)においては、プラントモデル159を用いてプラント500での操作量に対する状態量を算出し、当該状態量に対する算出状態量を取得して、当該算出状態量に対して実際の操作の操作量に近くなるように、操作量算出モデル158を生成している。これに対して、プラントモデル159を用いて状態量を算出する替わりに、測定された状態量に対する算出状態量を取得して、当該算出状態量に対して実際の操作の操作量に近くなるように、操作量算出モデル158を生成してもよい。この場合、プラントモデル159を生成することなく、操作量算出モデル158が生成可能となる。
【0066】
以上に説明したように、数値モデル(操作量算出モデル158)は、制御対象(プラント500)において測定された状態量を基に算出された算出状態量を入力とし、制御対象に対する実操作の操作量を出力とするように設定された数値モデルである。
【0067】
≪変形例:モデル生成装置≫
上記した第1実施形態において、制御装置100がプラントモデル159や操作量算出モデル158のパラメータを調整して、モデルを生成している。制御装置100とは異なるモデル生成装置(操作量算出モデル生成装置)が、プラントモデル159や操作量算出モデル158のパラメータを調整して、モデルを生成し、生成されたモデルを制御装置100にインストールしてもよい。
【0068】
以上に説明したように、操作量算出モデル生成装置(制御装置100)は、制御対象(プラント500)において測定された状態量を基に算出される算出状態量を入力とし、当該制御対象の操作量を出力とする数値モデル(操作量算出モデル158)を、当該制御対象に対する実操作の時系列の操作量を当該制御対象のシミュレーションモデル(プラントモデル159)に入力したときの出力である状態量を基に算出された算出状態量を、数値モデルに入力したときの出力である時系列の操作量と、当該実操作の時系列の操作量との差が小さくなるように、数値モデルのパラメータを設定する操作量算出モデル生成部116を備える。シミュレーションモデルは、制御対象に対する実操作の操作量に対して、当該制御対象において測定された状態量を出力するように設定されたシミュレーションモデルである。
【0069】
≪その他変形例≫
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。例えば、制御対象をプラント500として説明したが、制御対象はプラント500に限らず、設備や機器などの装置であってもよい。
【0070】
ステップS11,S21において選択されたプラントモデル159や操作量算出モデル158のパラメータは、初期値または規定値であるが、これに限らず、既存のプラントモデル159や操作量算出モデル158のパラメータであってもよい。プラント500が操業されて、状態量データベース130や操作量データベース140に、状態量や操作量が蓄積された時点で、プラントモデル159や操作量算出モデル158のパラメータを再調整してもよい。プラントの操業が続くと、材料の劣化が起きたり槽や配管などに汚物が付着したりして、操作量と状態量との関係が変化する。このような変化に対応するために、例えば定期的に、プラントモデル159や操作量算出モデル158のパラメータを調整するようにしてもよい。
【0071】
本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
100 制御装置(操作量算出モデル生成装置)
100A 制御装置
111 プラント通信部
112,112A 算出状態量取得部
113 操作量算出部
114 状態量算出部
115 プラントモデル生成部(制御対象モデル生成部)
116 操作量算出モデル生成部
117 評価部
130 状態量データベース
140 操作量データベース
150 モデルデータベース
158 操作量算出モデル(数値モデル)
159 プラントモデル(シミュレーションモデル)
160 算出状態量計算プログラム(算出状態量計算装置)
311,314,323 操作量
312,321 状態量
313,322 算出状態量
500 プラント(制御対象)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12