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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143466
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】荷重センサ素子
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/26 20060101AFI20230928BHJP
   G01L 1/22 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G01L1/26 Z
G01L1/22 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050869
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】唐澤 淳
(72)【発明者】
【氏名】青木 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】津野 将弥
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 啓史
【テーマコード(参考)】
2F049
【Fターム(参考)】
2F049CA07
(57)【要約】
【課題】基板に生ずる応力の集中を抑制可能とすることを目的とする。
【解決手段】荷重センサ素子10は、基板20と、基板20の一面である表面22に設けられ、基板20の一部を被覆する第一層である無機層24と、表面22に設けられた薄膜抵抗体30を備える。薄膜抵抗体30は、基板20と無機層24との間に挟まれる本体部32と、無機層24で被覆されない基板20の露出部34に載置される一端部36及び他端部38とを有する。荷重センサ素子10は、無機層24と共に基板20を挟むように基板20の他面である裏面26に設けられた第二層である補強層28を備える。荷重センサ素子10は、表面22に接する無機層24の無機層一端縁82と裏面26に接する補強層28の補強層一端縁100とが基板20の厚み方向108で揃うように無機層24及び補強層28が配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面圧荷重を測定する荷重センサ素子であって、
基板と、
前記基板の一面に設けられ、前記基板の一部を被覆する第一層と、
前記第一層から受ける荷重に応じて抵抗値が変化する抵抗体であって、前記基板の前記一面に設けられ、前記基板と前記第一層との間に挟まれる本体部と前記第一層で被覆されない前記基板の露出部に配置される両端部とを有する薄膜抵抗体と、
前記薄膜抵抗体の両端部のそれぞれと電気的に接続される一対の電極と、
前記第一層と共に前記基板を挟むように前記基板の他面に設けられた第二層と、
を備え、
前記基板の前記一面に接する前記第一層の少なくとも一辺の縁と前記他面に接する前記第二層の少なくとも一辺の縁とが前記基板の厚み方向で揃うように前記第一層及び前記第二層が配置される、
荷重センサ素子。
【請求項2】
請求項1に記載の荷重センサ素子であって、
前記第一層は、前記第二層と略同じ大きさである、
荷重センサ素子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の荷重センサ素子であって、
前記第二層の厚み寸法は、前記第一層の厚み寸法より大きい、
荷重センサ素子。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の荷重センサ素子であって、
前記第一層の外面及び前記第二層の外面の少なくとも一方に、前記基板よりも弾性率が小さい外層を有する、
荷重センサ素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の荷重センサ素子であって、
前記露出部は、前記基板の一側部に形成された第一露出部及び前記基板の他側部に形成された第二露出部を有し、
前記薄膜抵抗体の一方の端部は、前記第一露出部に配置され、前記薄膜抵抗体の他方の端部は、前記第二露出部に配置され、
前記一対の電極は、前記一方の端部に設けられた第一電極と、前記他方の端部に設けられた第二電極とを含む、
荷重センサ素子。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の荷重センサ素子であって、
前記基板の前記一面には、端部に第三電極及び第四電極を有した第一抵抗体が設けられ、
前記他面には、端部に第五電極及び第六電極を有する第二抵抗体と、端部に第七電極及び第八電極を有する第三抵抗体とが設けられた、
荷重センサ素子。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の荷重センサ素子であって、
前記第一層及び前記第二層は、同じ材質の材料で形成される、
荷重センサ素子。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の荷重センサ素子であって、
前記第一層の縁及び前記第二層の縁の少なくとも一方は、前記基板に設けられた凸部に接する、
荷重センサ素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重センサ素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、荷重センサ素子が開示されている。
【0003】
この荷重センサ素子は、基板と、基板の表面に設けられた薄膜抵抗体と、基板の表面に設けられ、薄膜抵抗体の本体部を被覆するように配置された無機層とを備える。基板の表面には、無機層で覆われた被覆部と、無機層で覆われない露出部とが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-032805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような荷重センサ素子を測定対象の平坦な台座に配置した状態において、無機層に荷重が加えられると、台座には、無機層からの荷重を受ける部位が荷重に応じて窪むように変形することがある。荷重が加わった状態から元に戻ると、この変形も元の平坦な状態に戻る。すなわち、荷重が加えられる毎に台座は変形を繰り返す。
【0006】
すると、基板は窪みの縁から力を受けるので、基板には、露出部が台座から浮き上がるような変形が生ずることがある。この場合、被覆部と露出部との境界に応力が集中してしまう。
【0007】
そこで、本発明は、基板に生ずる応力の集中を抑制可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態の様の荷重センサ素子は、面圧荷重を測定する荷重センサ素子である。荷重センサ素子は、基板と、前記基板の一面に設けられ、前記基板の一部を被覆する第一層とを備える。荷重センサ素子は、前記第一層から受ける荷重に応じて抵抗値が変化する抵抗体であって、前記一面に設けられ、前記基板と前記第一層との間に挟まれる本体部と前記第一層で被覆されない前記基板の露出部に載置される両端部とを有する薄膜抵抗体を備える。荷重センサ素子は、前記薄膜抵抗体の両端部のそれぞれと電気的に接続される一対の電極と、前記第一層と共に前記基板を挟むように前記基板の他面に設けられた第二層とを備える。荷重センサ素子は、前記一面に接する前記第一層の縁と前記他面に接する前記第二層の縁とが前記基板の厚み方向で揃うように前記第一層及び前記第二層が配置される。
【発明の効果】
【0009】
本態様によれば、荷重センサ素子の基板の他面には、第二層が設けられている。また、基板の一面に接する第一層の縁と他面に接する第二層の縁とは、基板の厚み方向で揃うように第一層及び第二層が配置されている。
【0010】
この荷重センサ素子を測定対象にセットすると、荷重センサ素子が配置された測定対象の台座には、荷重センサ素子の第二層が接し、第二層で被覆されない基板の露出部分と台座と間には隙間が形成される。
【0011】
この状態において、荷重センサ素子に加えられた荷重が第二層に生じ、台座に窪むような変形(単に、窪みと表現することがある)が生じても、窪みの深さが第二層の厚み寸法以下であれば、窪みの縁が基板を押し上げることはない。
【0012】
このため、測定対象の窪みの縁が荷重センサ素子の基板に当接して基板を変形させ、被覆部と露出部との境界に応力が集中してしまう場合と比較して、基板に生ずる応力の集中を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第一実施形態に係る荷重センサ素子を表面側から見た斜視図である。
図2図2は、第一実施形態に係る荷重センサ素子を示す図であり、各リードを外した荷重センサ素子を表面側から見た状態を示す平面図である。
図3図3は、第一実施形態に係る荷重センサ素子を示す図であり、各リードを外した荷重センサ素子を裏面側から見た状態を示す平面図である。
図4図4は、第二実施形態に係る荷重センサ素子を表面側から見た斜視図である。
図5図5は、第三実施形態に係る荷重センサ素子を表面側から見た斜視図である。
図6図6は、第四実施形態に係る荷重センサ素子を表面側から見た斜視図である。
図7図7は、第五実施形態に係る荷重センサ素子を表面側から見た斜視図である。
図8図8は、第五実施形態に係る荷重センサ素子を示す図であり、各リードを外した荷重センサ素子を表面側から見た状態を示す平面図である。
図9図9は、第一実施形態に係る荷重センサ素子を示す図であり、各リードを外した荷重センサ素子を裏面側から見た状態を示す平面図である。
図10図10は、第五実施形態に係る荷重センサ素子の使用例を示す回路図である。
図11図11は、第六実施形態に係る荷重センサ素子を裏面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
(第一実施形態)
まず、図1から図3を参照しながら第一実施形態に係る荷重センサ素子10について説明する。
【0016】
図1は、第一実施形態に係る荷重センサ素子10を表面側から見た斜視図である。図2は、第一実施形態に係る荷重センサ素子10を示す図であり、各リードを外した荷重センサ素子10を表面側から見た状態を示す平面図である。図3は、第一実施形態に係る荷重センサ素子10を示す図であり、各リードを外した荷重センサ素子10を裏面側から見た状態を示す平面図である。
【0017】
本実施形態に係る荷重センサ素子10は、面圧荷重を測定するセンサ素子である。荷重センサ素子10は、例えば工作機械に設けられ、工作機械の加工軸方向の荷重を検出して予圧管理を行う際に用いられる。
【0018】
なお、本実施形態では、荷重センサ素子10が工作機械で用いられる場合を例に挙げたが、荷重センサ素子10の使用用途は、これに限定されるものではない。本実施形態に係る荷重センサ素子10は、他の用途に用いることができる。
【0019】
図1に示すように、荷重センサ素子10は、基板20と、基板20の一面である表面22に設けられ、基板20の表面22の一部を被覆する第一層である無機層24とを備える。また、荷重センサ素子10は、無機層24と共に基板20を挟むように基板20の他面である裏面26に設けられた第二層である補強層28を備える。
【0020】
図2に示すように、荷重センサ素子10は、基板20の表面22に設けられ、無機層24から受ける荷重に応じて抵抗値が変化する抵抗体で構成された薄膜抵抗体30を備える。薄膜抵抗体30は、基板20と無機層24との間に挟まれる本体部32と、無機層24で被覆されない基板20の表面22における露出部34に配置される一端部36及び他端部38とを有する。
【0021】
薄膜抵抗体30の一端部36には、第一電極40が電気的に接続されている。また、薄膜抵抗体30の他端部38には、第二電極42が電気的に接続されている。
【0022】
(基板)
基板20は、平面視において矩形状をなす。基板20は、縦長の長方形の板状に形成されている。
【0023】
基板20の長さ方向(長手方向又は縦軸方向)の一方側50の縁は、基板一端縁52を構成する。基板20の他方側54の縁は、基板他端縁56を構成する。基板20の幅方向(短手方向又は横軸方向)の一側部側60の縁は、基板一側縁62を構成する。基板20の他側部側64の縁は、基板他側縁66を構成する。
【0024】
基板20は、例えば絶縁性を有する部材で構成される。絶縁性を有する部材としては、ガラス繊維が編まれたガラス織布にエポキシ樹脂を含侵させたガラスエポキシ基板、表面に絶縁層が形成された金属材料で構成された金属基板、又はセラミック材料で形成されたセラミック基板が挙げられる。
【0025】
本実施形態の基板20は、例えばセラミック基板で構成される。この基板20は、圧縮強度を向上させ、かつ基板に適度な柔軟性をもたせる観点から、ジルコニア(ZrO)又はアルミナ(Al)をセラミック材料の主成分として用いることが好ましい。
【0026】
基板20の表面22は、無機層24で被覆される矩形状(正方形を含む)の被覆部70と、無機層24で被覆されていない矩形状の露出部34とを有する。被覆部70は、無機層24が加圧されたときに荷重が加えられる受圧領域74を構成する。
【0027】
(無機層)
図1に示すように、無機層24は、表面22が受圧面80を構成する。受圧面80は、荷重によりその表面全体がほぼ均一に加圧される。無機層24は、平面視において矩形(正方形を含む)の板状をなす。無機層24は、無機材料で構成される。無機層24を形成する材料は、基板20と同じ材料であっても、基板20と異なる材料であってもよい。
【0028】
無機層24は、例えば絶縁性を有するセラミック基板で構成される。無機層24の材料は、基板20と同様にジルコニア(ZrO2)又はアルミナ(Al2O3)をセラミック材料の主成分として用いることが好ましい。
【0029】
なお、無機層24は、スパッタリングなどによる積層方法によって形成してもよい。無機層24の形成方法は、無機層24の厚み寸法などに応じて他の形成方法を選択することができる。
【0030】
図2に示すように、無機層24は、基板20よりも面積が狭い。無機層24の一方側50の縁は、無機層一端縁82を構成する。無機層24の他方側54の縁は、無機層他端縁84を構成する。無機層24の幅方向の一側部側60の縁は、無機層一側縁86を構成する。無機層24の他側部側64の縁は、無機層他側縁88を構成する。
【0031】
基板20の一面に接する無機層24の一辺である無機層一端縁82によって、基板20には、基板20の被覆部70と露出部34との境界線90が形成される。無機層他端縁84は、基板他端縁56の上に位置する。無機層一側縁86は、基板一側縁62の上に位置する。無機層他側縁88は、基板他側縁66の上に位置する。
【0032】
無機層24は、基板20の表面22の一部を覆う。無機層24は、基板20に設けられた薄膜抵抗体30の一部(本体部32)を覆い、薄膜抵抗体30の各端部36、38(両端部)は覆わない。
【0033】
無機層24は、樹脂材料からなる接着層(図示せず)によって基板20に固定される。接着層は、例えばエポキシ樹脂を主成分とする。
【0034】
(補強層)
図3に示すように、補強層28は、平面視において矩形(正方形を含む)の板状をなす。補強層28は、無機層24と同じ形状である。
【0035】
補強層28は、無機層24と略同じ大きさである。同じ大きさとは、大小の度合いが同じ(本実施形態においては、少なくとも幅と長さが同一)であることを示す。
【0036】
また、補強層28と無機層24とが略同じ大きさとは、製造上で生ずる大きさのバラツキの範囲内において、補強層28の大きさと無機層24の大きさとが異なるものを含む。
【0037】
補強層28は、無機層24と同じ材質の材料で形成される。補強層28は、無機材料で構成される。補強層28を形成する材料は、基板20と同じ材料であっても、基板20と異なる材料であってもよい。
【0038】
補強層28は、例えば絶縁性を有するセラミック基板で構成される。補強層28の材料は、基板20と同様にジルコニア(ZrO)又はアルミナ(Al)をセラミック材料の主成分として用いることが好ましい。
【0039】
なお、補強層28は、スパッタリングなどによる積層方法によって形成してもよい。補強層28の形成方法は、補強層28の厚み寸法などに応じて他の形成方法を選択することができる。
【0040】
補強層28は、基板20よりも面積が狭い。補強層28の一方側50の縁は、補強層一端縁100を構成する。補強層28の他方側54の縁は、補強層他端縁102を構成する。補強層28の幅方向の一側部側60の縁は、補強層一側縁104を構成する。補強層28の他側部側64の縁は、補強層他側縁106を構成する。
【0041】
基板20の一面に接する無機層24の一辺である補強層一端縁100は、基板20の厚み方向108(図1参照)において、基板20の被覆部70と露出部34との境界線90と重なる線上に位置する。補強層他端縁102は、基板他端縁56の上に位置する。補強層一側縁104は、基板一側縁62の上に位置する。補強層他端縁102は、基板他側縁66の上に位置する。
【0042】
基板20の表面22に接する無機層24の無機層一端縁82(図2参照)と裏面26に接する補強層28の補強層一端縁100(図3参照)とは、基板20の厚み方向108で揃うように無機層24及び補強層28が配置されている。
【0043】
なお、本実施形態では、無機層24と補強層28とが同形状であって、略同じ大きさの場合について説明するが、本実施形態は、これに限定されるものではない。
【0044】
例えば、補強層28の補強層一側縁104から補強層他側縁106までの寸法を、無機層24の無機層一側縁86から無機層他側縁88までの寸法よりも大きくする。そして、補強層28の補強層一側縁104及び補強層他側縁106を、基板20の外側に位置するように補強層28を配置してもよい。
【0045】
補強層28は、基板20の裏面26の一部を覆う。補強層28は、被覆部70の裏側を覆い、露出部34の裏側は覆わない。
【0046】
補強層28は、樹脂材料からなる接着層(図示せず)によって基板20に固定される。接着層は、例えばエポキシ樹脂を主成分とする。
【0047】
(薄膜抵抗体)
図2に示すように、薄膜抵抗体30は、無機層24が受ける荷重に応じて抵抗値が変化する抵抗体である。薄膜抵抗体30は、基板20と無機層24との間に挟まれる本体部32と、無機層24によって被覆されていない基板20の露出部34に配置される一端部36及び他端部38とを有する。
【0048】
薄膜抵抗体30の本体部32は、基板20と無機層24との間に挟まれる部分で構成され、薄膜抵抗体30の本体部32は、薄膜連設部114と、第一薄膜延在部110の一部と、第二薄膜延在部112の一部とで構成される。
【0049】
この薄膜抵抗体30は、例えばニクロム(NiCr)系材料又はクロム(Cr)系材料からなる。これにより、抵抗温度係数(TCR:Temperature Coefficient of Resistance)が小さくなるので、荷重センサ素子10は、50℃以上の高温環境でも荷重を精度よく検出することができる。
【0050】
また、薄膜抵抗体30は、蒸着、スパッタリング等の真空処理により基板20の表面22に形成される抵抗層である。スパッタリングによる形成方法では、特性や膜厚が均一な膜が得られ易い。このため、蒸着、スパッタリング等の真空処理により均一の抵抗層が形成されるので、荷重センサ素子10は、荷重を精度よく検出することができる。
【0051】
薄膜抵抗体30は、基板一側縁62に沿って直線状に延在する第一薄膜延在部110を有する。第一薄膜延在部110は、基板20の一方側50から他方側54へ延在する。薄膜抵抗体30は、基板他側縁66に沿って直線状に延在する第二薄膜延在部112を有する。第二薄膜延在部112は、基板20の一方側50から他方側54へ延在する。
【0052】
薄膜抵抗体30は、第一薄膜延在部110及び第二薄膜延在部112を連設する薄膜連設部114を有する。薄膜連設部114は、基板20の他方側54に配置されるとともに、基板他端縁56に沿って直線状に延在する。
【0053】
これにより、薄膜抵抗体30の本体部32は、U字型形状に形成されている。
【0054】
なお、本実施形態では、本体部32をU字型形状に形成する場合について説明したが、本実施形態は、この形状に限定されるものではない。例えば、本体部32は、折り返しを繰り返す蛇行形状としてもよい。
【0055】
第一薄膜延在部110と第二薄膜延在部112と薄膜連設部114とは、略同じ幅寸法に設定されている。
【0056】
第一薄膜延在部110の一方側50には、基板一端縁52へ向かうに従って幅寸法が広がる第一拡幅部116が連設されている。第一拡幅部116には、矩形状の第一矩形部118が連設されている。
【0057】
第二薄膜延在部112の一方側50には、基板一端縁52へ向かうに従って幅寸法が広がる第二拡幅部120が連設されている。第二拡幅部120には、矩形状の第二矩形部122が連設されている。
【0058】
この薄膜抵抗体30は、薄膜連設部114と、第一薄膜延在部110の一部と、第二薄膜延在部112の一部とが、無機層24で被覆される本体部32を構成する。
【0059】
薄膜抵抗体30は、第一薄膜延在部110の一部と、第一拡幅部116と、第一矩形部118とが、無機層24によって被覆されていない一端部36を構成する。また、薄膜抵抗体30は、第二薄膜延在部112の一部と、第二拡幅部120と、第二矩形部122とが、無機層24によって被覆されていない他端部38を構成する。
【0060】
薄膜抵抗体30の第一矩形部118には、例えば矩形状(正方形を含む)の第一電極40が設けられている。第一電極40は、第一矩形部118に電気的に接続されているとともに、基板20の一方側50に配置される。
【0061】
また、薄膜抵抗体30の第二矩形部122には、例えば矩形状(正方形を含む)の第二電極42が設けられている。第二電極42は、第二矩形部122に電気的に接続されるとともに、基板20の一方側50に配置される。
【0062】
各電極40、42は、例えば銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)等の材料で形成される。各電極40、42は、それぞれ薄膜抵抗体30の第一矩形部118と薄膜抵抗体30の第二矩形部122の上にスパッタや蒸着等の方法により積層して形成する。第一電極40及び第二電極42は、それぞれ薄膜抵抗体30の第一矩形部118と薄膜抵抗体30の第二矩形部122よりも小さな寸法になるように形成する。
【0063】
図1に示すように、第一電極40には、はんだ130によって、第一リード線132が接続される。第二電極42には、はんだ130によって、第二リード線134が接続される。
【0064】
なお、各リード線132、134は、例えば銅(Cu)系合金、鉄(Fe)系合金等の材料からなる。各リード線132、134としては、例えば被覆を有さない導線(スズ(Sn)等をめっきした金属線)、導線が被覆で覆われた被覆線、又は導線が絶縁層で被覆されたエナメル線などで構成される。また、平板状のリードフレームからなる端子を用いても良い。
【0065】
(作用及び効果)
次に、第一実施形態による作用効果について説明する。
【0066】
本実施形態の荷重センサ素子10は、面圧荷重を測定する荷重センサ素子である。荷重センサ素子10は、基板20と、基板20の一面である表面22に設けられ、基板20の一部を被覆する第一層である無機層24とを備える。荷重センサ素子10は、無機層24から受ける荷重に応じて抵抗値が変化する抵抗体であって、表面22に設けられた薄膜抵抗体30を備える。薄膜抵抗体30は、基板20と無機層24との間に挟まれる本体部32と、無機層24で被覆されない基板20の露出部34に載置される一端部36及び他端部38とを有する。荷重センサ素子10は、薄膜抵抗体30の一端部36及び他端部38のそれぞれと電気的に接続される第一電極40及び第二電極42と、無機層24と共に基板20を挟むように基板20の他面である裏面26に設けられた第二層である補強層28とを備える。荷重センサ素子10は、表面22に接する無機層24の無機層一端縁82と裏面26に接する補強層28の補強層一端縁100とが基板20の厚み方向108で揃うように無機層24及び補強層28が配置される。
【0067】
この構成において、荷重センサ素子10の基板20の裏面26には、補強層28が設けられている。また、基板20の表面22に接する無機層24の無機層一端縁82と裏面26に接する補強層28の補強層一端縁100とは、基板20の厚み方向108で揃うように無機層24及び補強層28が配置されている。
【0068】
このため、荷重測定時に荷重センサ素子10が配置される測定対象の台座には、荷重センサ素子10の補強層28が接し、補強層28で被覆されない基板20の露出部分と台座と間には隙間が形成される。
【0069】
この状態において、荷重センサ素子10に加えられた荷重が補強層28にも加わり、台座に窪むような変形が生じても、変形による窪みの深さが補強層28の厚み寸法以下であれば、変形による窪みの縁が基板20を押し上げることはない。これにより、変形による窪みの縁で基板20が押し上げることに起因した基板20の変形を抑制することが可能となる。
【0070】
したがって、変形による窪み縁が基板20に当接して基板20を変形させ、基板20の被覆部70と露出部34との境界線90に応力が集中してしまう場合と比較して、基板20に生ずる応力の集中を抑制することが可能となる。
【0071】
また、基板20の表面22に接する無機層24の無機層一端縁82と裏面26に接する補強層28の補強層一端縁100とは、基板20の厚み方向108で揃うように無機層24及び補強層28が配置されている。
【0072】
このため、無機層一端縁82が基板20に接する位置と補強層一端縁100が基板20に接する位置とが異なる場合と比較して、無機層一端縁82が接する位置又は補強層一端縁100が接する位置への応力集中を抑制することができる。
【0073】
また、基板20の境界線90への応力集中が繰り返し行われる場合と比較して、境界線90に沿った基板20の破損及び境界線90を跨ぐ薄膜抵抗体30部分の切断等を未然に抑制することが可能となる。これにより、荷重センサ素子10の耐久性の向上を図ることが可能となる。
【0074】
さらに、境界線90への応力集中に起因した基板20の変形が抑制されるので、荷重によって薄膜抵抗体30が圧縮した際の抵抗値の変化のみを正確にかつ精度よく検出することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態の荷重センサ素子10においては、第一層である無機層24は、第二層である補強層28と略同じ大きさである。
【0076】
この構成における荷重センサ素子10は、無機層24と補強層28とが略同じ大きさなので、無機層24と補強層28との大きさが異なる場合と比較して、無機層24及び補強層28の製造の簡素化を図ることが可能となる。
【0077】
また、補強層28の補強層一側縁104から補強層他側縁106までの長さ寸法を、無機層24の無機層一側縁86から無機層他側縁88までの長さ寸法よりも大きくする場合と比較して、補強層28の材料費を抑えることができ、低コスト化が可能となる。
【0078】
また、本実施形態において、第一層である無機層24及び第二層である補強層28は同じ材質の材料で形成される。
【0079】
この構成において、無機層24及び補強層28は同じ材質の材料で形成されるため、無機層24及び補強層28が異なる材質の材料で形成される場合と比較して、材料の調達コストを抑えることでき、低コスト化が可能となる。
【0080】
また、無機層24と補強層28とは、同じ材質の材料で形成される。このため、荷重が加えられた際に、基板20の表面22で生ずる無機層24の振舞と、基板20の裏面26で生ずる補強層28の振舞とを揃えることができる。
【0081】
具体的に説明すると、無機層24と補強層28とは、同じ荷重が加えられたときに同じだけ圧縮され、また荷重が除かれたときに同じように戻る。このため、無機層24と補強層28の縁(無機層一端縁82と補強層一端縁100、無機層他端縁84と補強層他端縁102、無機層一側縁86と補強層一側縁104、無機層他側縁88と補強層他側縁106)のそれぞれの位置関係が変化しない。これにより、無機層24と補強層28の縁のそれぞれの位置関係が変化する場合と比較して、荷重センサ素子10の強度を高く保つことができる。
【0082】
(第二実施形態)
第二実施形態に係る荷重センサ素子200について、図4を用いて説明する。なお、本実施形態において、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同符号を付して説明を割愛し、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0083】
図4は、第二実施形態に係る荷重センサ素子200を表面側から見た斜視図である。第二実施形態に係る荷重センサ素子200は、第一実施形態と比較して、補強層28の厚み寸法が異なる。
【0084】
本実施形態に係る荷重センサ素子200は、第二層である補強層28の厚み寸法T1が、第一層である無機層24の厚み寸法T2よりも大きい。
【0085】
無機層24は、スパッタリングなどによる積層方法によって形成してもよい。スパッタリングなどによる積層方法によって無機層24を形成することで、無機層24の厚み寸法T2と補強層28の厚み寸法T1とを容易に異ならせることができる。
【0086】
具体的に説明すると、基板20と補強層28と無機層24とは、幅方向の幅寸法Wが同じであり、幅寸法Wは、例えば4mm以上15mm以下とする。
【0087】
補強層28と無機層24とは、長さ方向の長さ寸法L1が同じであり、長さ寸法L1は、例えば4mm以上15mm以下とする。また、基板20の長さ寸法L2は、例えばL1以上20mm以下とする。そして、無機層24の受圧面80が構成する受圧面積は、例えば60mm以上70mm以下とする。
【0088】
また、補強層28の厚み寸法T1は、例えば0.1mm以上5.0mm以下とする。本実施形態において、補強層28の厚み寸法T1は、例えば1.0mmとする。無機層24の厚み寸法T2は、例えば0.1mm以上5.0mm以下とする。本実施形態において、無機層24の厚み寸法T2は、例えば0.3mmとする。基板20の厚み寸法T3は、例えば0.1mm以上5.0mm以下とする。本実施形態において、基板20の厚み寸法T3は、例えば0.3mmとする。
【0089】
なお、こられの各寸法は、一例を示すものであり、本実施形態は、これらの寸法に限定されるものではない。
【0090】
(作用及び効果)
次に、第二実施形態による作用効果について説明する。
【0091】
本実施形態においても、第一実施形態と同一又は同等部分については、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0092】
また、本実施形態の荷重センサ素子200は、第二層である補強層28の厚み寸法T1は、第一層である無機層24の厚み寸法T2より大きい。
【0093】
この構成において、この荷重センサ素子200が設置される測定対象の台座の変形が補強層28の厚み寸法T1以下であれば、基板20の境界線90を跨いで配置された薄膜抵抗体30の部分の変形を抑えることが可能である。
【0094】
このため、補強層28の厚み寸法T1を無機層24の厚み寸法T2よりも大きくすることで、基板20の変形抑制効果を高めることができる。
【0095】
(第三実施形態)
第三実施形態に係る荷重センサ素子300について、図5を用いて説明する。なお、本実施形態において、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同符号を付して説明を割愛し、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0096】
図5は、第三実施形態に係る荷重センサ素子300を表面側から見た斜視図である。第三実施形態に係る荷重センサ素子300は、第一実施形態と比較して、無機層24及び補強層28の構造が異なる。
【0097】
本実施形態に係る荷重センサ素子300は、第一層である無機層24の外面(受圧面80)、及び第二層である補強層28の外面の少なくとも一方に、基板20よりも弾性率が小さい外層を有する。
【0098】
ここで、外面とは、外部に向いた面であり、基板20と反対側の面をいう。
【0099】
また、弾性率は、応力の増分とひずみの増分に対する比をいい、「弾性率=(応力)/(ひずみ)」の式で表される。弾性率が大きい材料ほど硬く、弾性率が小さい材料ほど柔らかい。
【0100】
本実施形態の荷重センサ素子300において、無機層24における基板20と反対側の外面には、第一外層310が全面にわたって形成されている。第一外層310は、合成樹脂で形成された樹脂膜で構成される。
【0101】
第一外層310を形成する合成樹脂としては、ポリイミド又はPETなど、基板20を形成するセラミック材料よりも弾性率が小さい樹脂材料が用いられる。
【0102】
また、補強層28における基板20と反対側の外面には、第二外層312が全面にわたって形成されている。第二外層312は、合成樹脂で形成された樹脂膜で構成される。第二外層312を形成する合成樹脂としては、ポリイミド又はPETなど、基板20を形成するセラミック材料よりも弾性率が小さい樹脂材料が用いられる。
【0103】
なお、第一外層310と第二外層312とは、同一の材料で形成することが望ましいが、異なる材料で形成してもよい。
【0104】
(作用及び効果)
次に、第三実施形態による作用効果について説明する。
【0105】
本実施形態においても、第一実施形態と同一又は同等部分については、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0106】
また、本実施形態では、第一層である無機層24の外面及び第二層である補強層28の外面の少なくとも一方に、基板20よりも弾性率が小さい第一外層310又は第二外層312を有する。
【0107】
具体的に説明すると、本実施形態の荷重センサ素子300は、無機層24の外面に第一外層310が形成されるとともに、補強層28の外面に第二外層312が形成されている。
【0108】
この構成において、荷重センサ素子300の出力特性の向上が可能となる。
【0109】
この効果について具体的に説明する。
【0110】
セラミックスで構成された基板20、無機層24及び補強層28は、その製造過程において反りやうねりが生じやすい。また、基板20の表面22や無機層24の内面、補強層28の内面には、微細な凹凸が形成され得る。
【0111】
このような例えば基板20の表面22に板状の無機層24を当て、基板20上の薄膜抵抗体30に荷重を加えた場合、表面22の凸部分に位置する薄膜抵抗体30の部位には大きな力が加えられる。また、表面22の凹部分に位置する薄膜抵抗体30の部位には凸部分と比較して小さな力が加えられる。
【0112】
そして、薄膜抵抗体30に加えられた荷重を解放すると、薄膜抵抗体30において、小さな力が加えられた部位では、抵抗値の戻りが速いが、大きな力が加えられた部位分では、抵抗値の戻りが遅延する。
【0113】
これにより、荷重を加える過程と荷重を解放する過程とにおいて、応力-抵抗値の応答挙動が同一とならず、ヒステリシスが大きくなりがちである。
【0114】
そこで、本実施形態の荷重センサ素子300にあっては、無機層24の外面に基板20よりも弾性率が小さい第一外層310が形成され、補強層28の外面に基板20よりも弾性率が小さい第二外層312が形成されている。
【0115】
これにより、無機層24に荷重が加えられた際に、基板20よりも弾性率が小さい第一外層310は、大きな反力を受ける凸部分において大きく変形して緩衝材として機能することで、基板20上の薄膜抵抗体30に加えられる荷重を均一化することが可能となる。これにより、荷重センサ素子300の出力特性の向上が可能となる。
【0116】
なお、本実施形態では、無機層24に第一外層310を設けるとともに、補強層28に第二外層312を設ける場合について説明したが、本実施形態は、これに限定されるものではない。無機層24の外面及び補強層28の外面の少なくとも一方に各外層310、312のいずれかを形成すれば、前述した効果を得ることができる。
【0117】
(第四実施形態)
第四実施形態に係る荷重センサ素子400について、図6を用いて説明する。なお、本実施形態において、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同符号を付して説明を割愛し、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0118】
図6は、第四実施形態に係る荷重センサ素子400を表面側から見た斜視図である。第四実施形態に係る荷重センサ素子400は、第一実施形態と比較して、薄膜抵抗体30に設けられた第一電極40及び第二電極42の配置が第一実施形態と異なる。
【0119】
(基板)
本実施形態に係る基板410は、横長の長方形状に形成されている。
【0120】
基板410の表面22は、無機層24で被覆される被覆部70と、無機層24で被覆されていない第一露出部412及び第二露出部414とを有する。
【0121】
第一露出部412は、基板410の基板一側縁62側に形成される。被覆部70と第一露出部412との間には第一境界線416が形成される。第二露出部414は、基板410の基板他側縁66側に形成される。被覆部70と第二露出部414との間には第二境界線418が形成される。
【0122】
(無機層)
無機層24の無機層一端縁82は、基板410の基板一端縁52上に位置する。無機層他端縁84は、基板他端縁56(図示省略)上に位置する。無機層一側縁86は、基板410の第一境界線416上に位置する。無機層他側縁88は、基板410の第二境界線418上に位置する。
【0123】
無機層24は、基板410に設けられた薄膜抵抗体30の本体部32(図示省略)を覆い、薄膜抵抗体30の一端部36及び他端部38は覆わない。
【0124】
(補強層)
補強層28の補強層一端縁100は、厚み方向108において基板410の基板一端縁52と重なる線上に位置する。補強層他端縁102(図示省略)は、厚み方向108において基板他端縁56(図示省略)と重なる線上に位置する。補強層一側縁104は、基板410の厚み方向108において基板410の第一境界線416と重なる線上に位置する。補強層他側縁106は、基板410の厚み方向108において基板410の第二境界線418と重なる線上に位置する。
【0125】
基板410の表面22に接する無機層24の無機層一側縁86と裏面26に接する補強層28の補強層一側縁104とは、基板410の厚み方向108で揃うように無機層24及び補強層28が配置されている。また、基板410の表面22に接する無機層24の無機層一端縁82と裏面26に接する補強層28の補強層一端縁100(図示省略)とは、基板410の厚み方向108で揃うように無機層24及び補強層28が配置されている。
【0126】
補強層28は、基板410の裏面26の一部を覆う。補強層28は、被覆部70の裏側を覆い、第一露出部412及び第二露出部414の裏側は覆わない。
【0127】
(薄膜抵抗体)
薄膜抵抗体30は、基板410と無機層24との間に挟まれる本体部32と(図示省略)、無機層24によって被覆されていない基板410の第一露出部412に配置される一端部36とを有する。薄膜抵抗体30は、無機層24によって被覆されていない基板410の第二露出部414に配置される他端部38を有する。
【0128】
なお、薄膜抵抗体30の本体部32は、無機層24で覆われているため、図6には表れていない。
【0129】
薄膜抵抗体30は、第一拡幅部116と第一矩形部118とが、無機層24によって被覆されていない一端部36を構成する。また、薄膜抵抗体30は、第二拡幅部120と第二矩形部122とが、無機層24によって被覆されていない他端部38を構成する。
【0130】
薄膜抵抗体30の第一矩形部118には、矩形状の第一電極40が設けられている。第一電極40は、第一矩形部118に電気的に接続されているとともに、基板一側縁62側に配置される。
【0131】
薄膜抵抗体30の第二矩形部122には、矩形状の第二電極42が設けられている。第二電極42は、第二矩形部122に電気的に接続されるとともに、基板他側縁66側に配置される。
【0132】
第一電極40には、はんだ130によって、第一リード線132が接続される。第一リード線132は、無機層24の無機層一側縁86に沿って延在する。
【0133】
第二電極42には、はんだ130によって、第二リード線134が接続される。第二リード線134は、無機層24の無機層他側縁88に沿って延在する。
【0134】
(作用及び効果)
次に、第四実施形態による作用効果について説明する。
【0135】
本実施形態においても、第一実施形態と同一又は同等部分については、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0136】
また、本実施形態の荷重センサ素子400において、露出部は、基板410の一側部420に形成された第一露出部412及び基板410の他側部422に形成された第二露出部414を有する。薄膜抵抗体30の一方の端部である一端部36は、第一露出部412に配置され、薄膜抵抗体30の他方の端部である他端部38は、第二露出部414に配置される。薄膜抵抗体30に設けられた一対の電極は、一方の端部である一端部36に設けられた第一電極40と、他方の端部である他端部38に設けられた第二電極42とを含む。
【0137】
この構成において、荷重センサ素子400を測定対象に挟み込んだ状態において、無機層24の受圧面80に接する測定対象の加圧面と各電極40、42が設けられた基板410の表面22との間に、無機層24の厚み分の隙間が形成される。
【0138】
このため、荷重センサ素子400の基板410が測定対象の加圧面に近接する場合と比較して、各電極40、42及び各リード線132、134の接合部と各電極40、42から延出する各リード線132、134とを、加圧面から保護することが可能となる。
【0139】
また、接合部及び各リード線132、134と加圧面との接触を抑制できるので、加圧面が金属などの導体で構成された場合に生じ得る出力のショート等に起因した不具合を未然に防止することが可能となる。
【0140】
そして、各電極40、42を無機層24から遠ざけることなく、接合部及び各リード線132、134と加圧面との干渉を抑制できるので、荷重センサ素子400の小型化が可能となる。また、各電極40、42の配置制限が緩和されるので、設計の自由度が高まる。
【0141】
なお、本実施形態では、第一リード線132の先端部を第一電極40にはんだ付けするとともに、第二リード線134の先端部を第二電極42にはんだ付けする場合について説明したが、本実施形態は、これに限定されるものではない。
【0142】
例えば、対応する電極40、42を基板410と共に挟む平板状端子を各リード線132、134の先端部に設けてもよい。これにより、平板状端子で対応する電極40、42を基板410と共に挟むことで、各電極40、42と各リード線132、134とを電気的に接続することができる。
【0143】
この場合、各リード線132、134が取り付けられた荷重センサ素子400の低背化が可能となる。
【0144】
(第五実施形態)
第五実施形態に係る荷重センサ素子500について、図7から図10を用いて説明する。なお、本実施形態において、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同符号を付して説明を割愛し、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0145】
図7は、第五実施形態に係る荷重センサ素子500を表面側から見た斜視図である。図8は、第五実施形態に係る荷重センサ素子500を示す図であり、各リードを外した荷重センサ素子500を表面側から見た状態を示す平面図である。図9は、第一実施形態に係る荷重センサ素子500を示す図であり、各リードを外した荷重センサ素子500を裏面側から見た状態を示す平面図である。
【0146】
第五実施形態に係る荷重センサ素子500は、第一実施形態と比較して、基板20に設けられた抵抗体の数が異なる。
【0147】
図8に示すように、荷重センサ素子500の基板20の一面である表面22には、端部に第三電極502及び第四電極504を有した第一抵抗体506が設けられている。
【0148】
図9に示すように、基板20の他面である裏面26には、端部に第五電極510及び第六電極512を有する第二抵抗体514と、端部に第七電極520及び第八電極522を有する第三抵抗体524とが設けられている。
【0149】
(第一抵抗体)
図8に示すように、第一抵抗体506は、薄膜抵抗体30から独立するとともに、基板20の露出部34に配置される。第一抵抗体506は、薄膜抵抗体30の一端部36と他端部38との間に配置される。
【0150】
第一抵抗体506は、薄膜抵抗体30と同じ材料で形成される。また、第一抵抗体506は、薄膜抵抗体30と同じ方法によって基板20に形成される。
【0151】
第一抵抗体506は、基板20の露出部34内において一方側50から他方側54へ直線状に延在する第一表延在部530と第二表延在部532とを有する。第一表延在部530と第二表延在部532とは、互いに離間して配置される。
【0152】
第一表延在部530は、第二表延在部532よりも薄膜抵抗体30の一端部36に近い位置に配置される。第二表延在部532は、第一表延在部530よりも薄膜抵抗体30の他端部38に近い位置に配置される。
【0153】
第一抵抗体506は、第一表延在部530の他方側54と第二表延在部532の他方側54とを連設する表連設部534を有する。表連設部534は、被覆部70と露出部34との境界線90に沿って直線状に延在する。これにより、第一抵抗体506は、U字型形状に形成されている。
【0154】
第一表延在部530の一方側50の端部には、矩形状(正方形を含む)の第三矩形部536が連設されている。第二表延在部532の一方側50の端部には、矩形状(正方形を含む)の第四矩形部538が連設されている。
【0155】
第一抵抗体506の第三矩形部536には、矩形状(正方形を含む)の第三電極502が設けられている。第三電極502は、第三矩形部536に電気的に接続されている。
【0156】
第一抵抗体506の第四矩形部538には、矩形状の第四電極504が設けられている。第四電極504は、第四矩形部538に電気的に接続される。
【0157】
第一抵抗体506の第一表延在部530から第二表延在部532までの長さは、薄膜抵抗体30の第一薄膜延在部110から第二薄膜延在部112までの長さよりも短い。また、第一抵抗体506の第一表延在部530から第二表延在部532までの領域における幅寸法は、薄膜抵抗体30の第一薄膜延在部110から第二薄膜延在部112までの領域における幅寸法よりも狭い。
【0158】
これにより、第一抵抗体506と薄膜抵抗体30とが、略同じ抵抗値になるように設定されている。
【0159】
(第二抵抗体)
図9に示すように、第二抵抗体514は、基板20の他方の面である裏面26に配置されている。第二抵抗体514は、薄膜抵抗体30と同じ挙動を示す。
【0160】
同じ挙動を示すとは、薄膜抵抗体30と第二抵抗体514との抵抗温度係数が略同じで、かつ同じ荷重によって変形した場合の薄膜抵抗体30の抵抗値変化と第二抵抗体514の抵抗値変化とが略同じであることを示す。
【0161】
抵抗温度係数が略同じとは、薄膜抵抗体30の抵抗温度計数と第二抵抗体514の抵抗温度係数との差が、予め定められた第一範囲内であることを示す。
【0162】
第一範囲は、一例として、100ppm/Kである。
【0163】
抵抗値変化が略同じとは、薄膜抵抗体30及び第二抵抗体514に所定の同一荷重を加える前と後とにおいて、薄膜抵抗体30で生ずる抵抗値の変化と第二抵抗体514で生ずる抵抗値の変化との差が予め定められた第二範囲内であることを示す。
【0164】
所定の同一荷重とは、一例として、10kNが挙げられる。また、第二範囲は、一例として、100ppmである。
【0165】
第二抵抗体514は、薄膜抵抗体30と同じ材料で形成される。また、第二抵抗体514は、薄膜抵抗体30と同じ方法によって基板20に形成される。
【0166】
第二抵抗体514は、薄膜抵抗体30が配置された位置の裏側に配置される。また、第二抵抗体514は、薄膜抵抗体30と略同形状に形成されている。
【0167】
これにより、第二抵抗体514は、基板20の厚み方向108において、薄膜抵抗体30と重なる位置に配置されている。また、第二抵抗体514は、薄膜抵抗体30と略同じ抵抗値となるように設定されている。
【0168】
ここで、第二抵抗体514が薄膜抵抗体30と重なるとは、第二抵抗体514を基板20の厚み方向108で薄膜抵抗体30に重ねた状態において、外縁部の一部に、重ならない領域が生ずることを除外するものではない。
【0169】
第二抵抗体514は、基板20の厚み方向108において、薄膜抵抗体30の第一薄膜延在部110と重なる位置に配置された第一裏延在部540と、第二薄膜延在部126と重なる位置に配置された第二裏延在部542とを有する。また、第二抵抗体514は、薄膜抵抗体30の薄膜連設部114と重なる位置に配置された裏連設部544を有する。
【0170】
第二抵抗体514は、基板20の厚み方向108において、第一拡幅部116と重なる位置に配置された第一裏拡幅部546と、薄膜抵抗体30の第二拡幅部120と重なる位置に配置された第二裏拡幅部548とを有する。
【0171】
第二抵抗体514は、基板20の厚み方向108において、第一矩形部118と重なる位置に配置された第五矩形部550と、薄膜抵抗体30の第二矩形部122と重なる位置に配置された第六矩形部552とを有する。
【0172】
第二抵抗体514の第五矩形部550には、矩形状の第五電極510が設けられている。第五電極510は、第五矩形部550に電気的に接続される。また、第二抵抗体514の第六矩形部552には、矩形状の第六電極512が設けられている。第六電極512は、第六矩形部552に電気的に接続される。
【0173】
第一裏延在部540の一部と、第一裏拡幅部546と、第五矩形部550とは、第二抵抗体514の裏一端部554を構成する。第二裏延在部542の一部と、第二裏拡幅部548と、第六矩形部552は、第二抵抗体514の裏他端部556を構成する。
【0174】
(第三抵抗体)
第三抵抗体524は、第二抵抗体514から独立して設けられている。第三抵抗体524は、第一抵抗体506と同じ挙動を示す。
【0175】
同じ挙動を示すとは、第三抵抗体524と第一抵抗体506との抵抗温度係数が略同じであることを示す。
【0176】
抵抗温度係数が略同じとは、第三抵抗体524の抵抗温度計数と第一抵抗体506の抵抗温度係数との差が、予め定められた第三範囲内であることを示す。
【0177】
第三範囲は、一例として、100ppm/Kである。
【0178】
第三抵抗体524は、第一抵抗体506と同じ材料で形成される。また、第三抵抗体524は、第一抵抗体506と同じ方法によって基板に形成される。
【0179】
第三抵抗体524は、第一抵抗体506が配置された位置の裏側に配置されている。また、第三抵抗体524は、第一抵抗体506と略同形状に形成されている。
【0180】
これにより、第三抵抗体524は、基板20の厚み方向108において、第一抵抗体506と重なる位置に配置されている。また、第三抵抗体524は、第一抵抗体506と略同じ抵抗値となるように設定されている。
【0181】
ここで、第三抵抗体524が第一抵抗体506と重なるとは、第三抵抗体524を基板20の厚み方向108で第一抵抗体506に重ねた状態において、外縁部の一部に、重ならない領域が生ずることを排除するものではない。
【0182】
第三抵抗体524は、基板20の厚み方向108において、第一抵抗体506の第一表延在部530と重なる位置に配置された第一裏小延在部551と、第二表延在部532と重なる位置に配置された第二裏小延在部553とを有する。また、第三抵抗体524は、第一抵抗体506の表連設部534と重なる位置に配置された裏小連設部555を有する。
【0183】
第三抵抗体524は、基板20の厚み方向108において、第三矩形部536と重なる位置に配置された第七矩形部557と、第一抵抗体506の第四矩形部538と重なる位置に配置された第八矩形部558とを有する。
【0184】
第三抵抗体524の第七矩形部557には、矩形状の第七電極520が設けられている。第七電極520は、第七矩形部557に電気的に接続される。また、第三抵抗体524の第八矩形部558には、矩形状の第八電極522が設けられている。第八電極522は、第八矩形部558に電気的に接続される。
【0185】
図7に示すように、第三電極502には、はんだ130によって、第三リード線560が接続される。第四電極504には、はんだ130によって、第四リード線562が接続される。
【0186】
同様に、第五電極510には、はんだによって、第五リード線564が接続される。第六電極512には、はんだによって、第六リード線566が接続される。第七電極520には、はんだによって、第七リード線568が接続される。第八電極522には、はんだによって、第八リード線570が接続される。
【0187】
(作用及び効果)
次に、第五実施形態による作用効果について説明する。
【0188】
本実施形態においても、第一実施形態と同一又は同等部分については、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0189】
また、本実施形態の荷重センサ素子500において、基板20の一面である表面22には、端部に第三電極502及び第四電極504を有した第一抵抗体506が設けられている。基板20の他面である裏面26には、端部に第五電極510及び第六電極512を有する第二抵抗体514と、端部に第七電極520及び第八電極522を有する第三抵抗体524とが設けられている。
【0190】
この構成において、荷重センサ素子500は、基板20の表面22に設けられた薄膜抵抗体30と第一抵抗体506とを備える。また、荷重センサ素子500は、基板20の裏面26に設けられた第二抵抗体514と第三抵抗体524とを備える。
【0191】
このため、荷重センサ素子500が備えた四つの抵抗体によってブリッジ回路を形成することができる。また、ブリッジ回路からの出力を用いて測定を行うことで、高精度な測定が可能となる。
【0192】
図10は、第五実施形態に係る荷重センサ素子500の使用例を示す回路図である。図10には、荷重センサ素子500の各抵抗体を接続することによって構成されたブリッジ回路580が示されている。
【0193】
なお、ブリッジ回路580としては、この他に多くの種類がある。図10は、ブリッジ回路580の一例として、ホイートストンブリッジ回路が示されている。
【0194】
このブリッジ回路580は、荷重を受ける薄膜抵抗体30と第二抵抗体514とが対向する辺に設けられている。また、ブリッジ回路580は、荷重を受けない第一抵抗体506と第三抵抗体524とが対向する辺に設けられている。
【0195】
薄膜抵抗体30の第一電極40と第一抵抗体506の第三電極502とは、電源582の正極584に接続される。第二抵抗体514の第六電極512と第三抵抗体524の第八電極522とは、電源582の負極586に接続される。
【0196】
薄膜抵抗体30の第二電極42と第三抵抗体524の第七電極520とは、電圧測定器590の第一端子592に接続される。第一抵抗体506の第四電極504と第二抵抗体514の第五電極510とは、電圧測定器590の第二端子594に接続される。
【0197】
このように、荷重センサ素子500の各抵抗体30、506、514、524によってブリッジ回路580を形成することで、薄膜抵抗体30の抵抗値の変化のみを測定値とする場合と比較して、出力される電圧の変化を大きくすることができる。このため、単一の薄膜抵抗体30の抵抗値変化が小さい場合であっても、出力を大きく(増幅)できるので、より正確な荷重検出を可能とし、測定精度の向上が可能となる。
【0198】
また、このブリッジ回路580は、荷重センサ素子500の基板20に設けられた四つの抵抗体によって構成される。このため、荷重センサ素子500の薄膜抵抗体30の他に、外付けの三つの抵抗器を用いてブリッジ回路を構成する場合と比較して、荷重センサ素子500のみでブリッジ回路580を構成できる。よって、ブリッジ回路580が占有するスペースを小さくすることができるとともに、ブリッジ回路580を用いて構成される測定装置の小型化が可能となる。
【0199】
さらに、同一の基板20上に形成された四つの抵抗体は、個別に用意した四つの抵抗器と比較して、各抵抗体の抵抗値等の特性のばらつきが少ない。このため、基板20上に形成された四つの抵抗体でブリッジ回路580を構成することで、出力される信号の精度を高めることが可能となる。
【0200】
また、本実施形態では、基板20の表面22側の薄膜抵抗体30と基板20の裏面26側の第二抵抗体514とは、同形状であるとともに、基板20の厚み方向108で重なる位置に配置されている。また、基板20の表面22側の第一抵抗体506と基板20の裏面26側の第三抵抗体524とは、同形状であるとともに、基板20の厚み方向108で重なる位置に配置されている。
【0201】
このため、基板20の表面22と裏面26とにおいて、抵抗体の形成状態を同じにすることができる。したがって、基板20の表面22と裏面26とにおいて、抵抗体の形成状態が異なる場合と比較して、基板20に生ずる応力の偏りを抑制することができる。
【0202】
そして、無機層24と補強層28とは、同じ材質の材料で形成される。
【0203】
このため、無機層24が薄膜抵抗体30を加圧する加圧条件と、補強層28が第二抵抗体514を加圧する加圧条件とを揃えることができる。これにより、ブリッジ回路580の出力から得る測定結果の精度の向上が可能となる。
【0204】
なお、本実施形態では、基板20の表面22に設けられた薄膜抵抗体30及び第一抵抗体506と、裏面26に設けられた第二抵抗体514及び第三抵抗体524とでブリッジ回路580を構成したが、本実施形態は、これに限定されるものではない。
【0205】
ブリッジ回路580を構成する四つの抵抗体を表面22に設けたり、薄膜抵抗体30を除いた三つの抵抗体を裏面26に設けたりしてもよく、本実施形態は、これらの構成を除外するものではない。
【0206】
(第六実施形態)
第六実施形態に係る荷重センサ素子600について、図11を用いて説明する。なお、本実施形態において、第一実施形態と同一又は同等部分に関しては、第一実施形態と同符号を付して説明を割愛し、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0207】
図11は、第六実施形態に係る荷重センサ素子600を裏面側から見た斜視図である。第六実施形態に係る荷重センサ素子600は、第一実施形態と比較して、基板20の裏面26の状態が異なる。
【0208】
この荷重センサ素子600は、第一層である無機層24の縁及び第二層である補強層602の縁の少なくとも一方が基板20に設けられた凸部604に接する。本実施形態に係る荷重センサ素子600においては、補強層602の縁が基板20に設けられた凸部604に接する。
【0209】
具体的に説明すると、基板20の裏面26には、凸部604が形成されている。凸部604は、凸条で構成され、凸部604の断面は略矩形状である。凸部604は、補強層602と略同じ厚み寸法を有する。
【0210】
凸部604は基板20の他方側54に設けられている。凸部604は、基板他端縁56に沿って延在する。凸部604は、基板一側縁62(図示省略)から基板他側縁66に達する長さを有する。
【0211】
凸部604は、例えば合成樹脂によって形成される。凸部604は、例えば印刷技術によって基板20の正確な位置に形成される。印刷技術としては、例えばスクリーン印刷が挙げられる。
【0212】
凸部604の一方側50の凸部一端縁610には、補強層602の補強層他端縁102が全域にわたって接している。この凸部604によって補強層602は位置決めされる。これにより、補強層602は、補強層一端縁100が境界線90上に配置され、補強層一端縁100と無機層24の無機層一端縁82とが厚み方向108で重なる。
【0213】
補強層602は、第一実施形態の補強層28と比較して、長さ寸法L3が凸部604の長さ寸法L4分小さい。
【0214】
なお、本実施形態では、基板20の裏面26に凸部604を設け、補強層602の補強層他端縁102を凸部604の凸部一端縁610に当接する場合について説明したが、本実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、基板20の表面22に凸部を設け、無機層24の縁を凸部に当接してもよい。
【0215】
また、補強層602の補強層他端縁102を凸部604に当接するとともに、無機層24の縁を表面22に形態した凸部に当接してもよい。
【0216】
(作用及び効果)
次に、第六実施形態による作用効果について説明する。
【0217】
本実施形態の荷重センサ素子600おいても、第一実施形態と同一又は同等部分については、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0218】
また、本実施形態の荷重センサ素子600において、第一層である無機層24の縁及び第二層である補強層602の縁の少なくとも一方は、基板20に設けられた凸部604に接する。
【0219】
この構成の荷重センサ素子600においては、例えば製造時において予め基板20に形成された凸部604に補強層602の補強層他端縁102を合わせて補強層602を基板20に固定することで、補強層一端縁100を境界線90上に配置することができる。
【0220】
具体的に説明すると、無機層24の無機層一端縁82を境界線90上に合わせて固定した後、補強層602の補強層他端縁102を凸部604に当接した状態で補強層602を固定する。これにより、補強層602の補強層一端縁100と無機層24の無機層一端縁82とが厚み方向108で重なるように補強層602を配置することが可能となる。
【0221】
このため、補強層602を基板20に固定する際に正確に位置合わせをしなければならない場合と比較して、無機層24に対する補強層602の位置合わせの容易化が可能となる。
【0222】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0223】
10、200、300、400、500、600 荷重センサ素子
20、410 基板
22 表面
24 無機層
26 裏面
28、602 補強層
30 薄膜抵抗体
32 本体部
34、70 露出部
36、420 一端部
38、422 他端部
40 第一電極
42 第二電極
50 一方側
52 基板一端縁
54 他方側
80 受圧面
82 無機層一端縁
90 境界線
100 補強層一端縁
108 厚み方向
412 第一露出部
414 第二露出部
416 第一境界線
418 第二境界線
502 第三電極
504 第四電極
506 第一抵抗体
510 第五電極
512 第六電極
514 第二抵抗体
520 第七電極
522 第八電極
524 第三抵抗体
554 裏一端部
556 裏他端部
604 凸部
T1、T2 厚み寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11