(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143470
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】蒸気釜
(51)【国際特許分類】
A47J 27/17 20060101AFI20230928BHJP
A47J 27/16 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A47J27/17
A47J27/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050877
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 光
(72)【発明者】
【氏名】牟田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】西内 将平
(72)【発明者】
【氏名】松本 宏典
(72)【発明者】
【氏名】近藤 豪仁
(72)【発明者】
【氏名】田村 祐人
【テーマコード(参考)】
4B054
【Fターム(参考)】
4B054AA02
4B054AA16
4B054BA05
4B054BC19
4B054CC18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】配管を保護することの可能な蒸気釜を提供する。
【解決手段】蒸気釜1は、内釜2と、ジャケットと、共通ラインと、給蒸ラインと、冷却水供給ライン6と、圧縮空気供給ライン7とを備えた蒸気釜1であって、内釜2は、被処理物を収容可能とされ、ジャケットは、内釜2の外側に設けられ、共通ライン4は、ジャケット3に接続され、給蒸ライン5は、共通ライン4に接続されるとともに、共通ライン4を介してジャケット3に蒸気供給源からの蒸気を供給するよう構成され、蒸気の供給と冷却水の供給の間に、共通ライン4を介してジャケット3に圧縮空気を供給可能に構成され、給蒸ライン5及び冷却水供給ライン6は、自動制御可能な三方弁13を介して共通ライン4に接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内釜と、ジャケットと、共通ラインと、給蒸ラインと、冷却水供給ラインと、圧縮空気供給ラインとを備えた蒸気釜であって、
前記内釜は、被処理物を収容可能とされ、
前記ジャケットは、前記内釜の外側に設けられ、
前記共通ラインは、前記ジャケットに接続され、
前記給蒸ラインは、前記共通ラインに接続されるとともに、当該共通ラインを介して前記ジャケットに蒸気供給源からの蒸気を供給するよう構成され、
前記冷却水供給ラインは、前記共通ラインに接続されるとともに、当該共通ラインを介して前記ジャケットに冷却水供給源からの冷却水を供給するよう構成され、
前記圧縮空気供給ラインは、前記給蒸ライン又は前記共通ラインに接続されるとともに、前記蒸気の供給と前記冷却水の供給の間に、前記共通ラインを介して前記ジャケットに圧縮空気を供給可能に構成され、
前記給蒸ライン及び前記冷却水供給ラインは、自動制御可能な三方弁を介して前記共通ラインに接続される、蒸気釜。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気釜であって、
制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記三方弁を、前記給蒸ラインと前記共通ラインを連通させる第1状態と、前記冷却水供給ラインと前記共通ラインを連通させる第2状態との間で切り替え可能に構成されるとともに、前記給蒸ラインを介して前記蒸気を供給する加熱工程と、前記圧縮空気供給ラインを介して前記圧縮空気を供給して前記蒸気を排出する蒸気排出工程と、前記冷却水供給ラインを介して前記冷却水を供給する冷却工程と、前記圧縮空気供給ラインを介して前記圧縮空気を供給して前記冷却水を排出する冷却水排出工程とを順次実行するよう構成されており、
前記制御手段はさらに、前記蒸気排出工程と前記冷却工程の間に前記三方弁を前記第1状態から前記第2状態に切り替える、蒸気釜。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の蒸気釜であって、
冷却水戻しラインと、バイパスラインと、をさらに備え、
前記冷却水戻しラインは、前記ジャケットに供給された前記冷却水を前記冷却水供給源に戻すよう構成され、
前記バイパスラインは、前記共通ラインと前記冷却水戻しラインとを接続する、蒸気釜。
【請求項4】
請求項3に記載の蒸気釜であって、
前記バイパスラインには、バイパス弁が設けられており、当該バイパス弁は自動弁とされる、蒸気釜。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の蒸気釜であって、
前記冷却水戻しラインには、冷却水出口弁が設けられており、当該冷却水出口弁は自動弁とされる、蒸気釜。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれかに記載の蒸気釜であって、
前記給蒸ライン、前記冷却水供給ライン及び前記圧縮空気供給ラインには、それぞれ逆止弁が設けられている、蒸気釜。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれかに記載の蒸気釜であって、
前記給蒸ラインには、給蒸弁が設けられ、
前記冷却水供給ラインには、冷却水供給弁が設けられ、
前記圧縮空気供給ラインには、圧縮空気供給弁が設けられ、
前記給蒸弁、前記冷却水供給弁、前記圧縮空気供給弁は、全て自動弁とされる、蒸気釜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気により被処理物を加熱する蒸気釜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等の被処理物を収容する内釜の外側にジャケット(蒸気室)を備えた蒸気釜がある。例えば特許文献1に開示される蒸気釜は、ジャケットに蒸気及び冷却水を供給することで、食品を加熱及び冷却することの可能な蒸気釜が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、蒸気と冷却水を共通の配管によりジャケットに供給する場合、蒸気と冷却水が混合することで配管(ライン)に不具合が生じるおそれがある。そして、これを防止するため、蒸気の供給と冷却水の供給の合間に、ジャケットに圧縮空気を供給する工程を設けることが考えられる。しかしながら、このような構成であっても、蒸気/冷却水/圧縮空気の切り替え時の手動弁等の誤操作により、想定しない配管に蒸気や冷却水が流通し、不具合を起こすおそれがあった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、配管を保護することの可能な蒸気釜を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、内釜と、ジャケットと、共通ラインと、給蒸ラインと、冷却水供給ラインと、圧縮空気供給ラインとを備えた蒸気釜であって、前記内釜は、被処理物を収容可能とされ、前記ジャケットは、前記内釜の外側に設けられ、前記共通ラインは、前記ジャケットに接続され、前記給蒸ラインは、前記共通ラインに接続されるとともに、当該共通ラインを介して前記ジャケットに蒸気供給源からの蒸気を供給するよう構成され、前記冷却水供給ラインは、前記共通ラインに接続されるとともに、当該共通ラインを介して前記ジャケットに冷却水供給源からの冷却水を供給するよう構成され、前記圧縮空気供給ラインは、前記給蒸ライン又は前記共通ラインに接続されるとともに、前記蒸気の供給と前記冷却水の供給の間に、前記共通ラインを介して前記ジャケットに圧縮空気を供給可能に構成され、前記給蒸ライン及び前記冷却水供給ラインは、自動制御可能な三方弁を介して前記共通ラインに接続される、蒸気釜が提供される。
【0007】
本発明によれば、給蒸ラインと冷却水供給ラインとが自動制御可能な三方弁を介して共通ラインに接続されていることで、誤操作により想定しない配管に蒸気や冷却水が流通することを防止し、配管に不具合が生じることを防止することが可能となっている。
【0008】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
【0009】
好ましくは、制御手段をさらに備え、前記制御手段は、前記三方弁を、前記給蒸ラインと前記共通ラインを連通させる第1状態と、前記冷却水供給ラインと前記共通ラインを連通させる第2状態との間で切り替え可能に構成されるとともに、前記給蒸ラインを介して前記蒸気を供給する加熱工程と、前記圧縮空気供給ラインを介して前記圧縮空気を供給して前記蒸気を排出する蒸気排出工程と、前記冷却水供給ラインを介して前記冷却水を供給する冷却工程と、前記圧縮空気供給ラインを介して前記圧縮空気を供給して前記冷却水を排出する冷却水排出工程とを順次実行するよう構成されており、前記制御手段はさらに、前記蒸気排出工程と前記冷却工程の間に前記三方弁を前記第1状態から前記第2状態に切り替える。
【0010】
好ましくは、冷却水戻しラインと、バイパスラインと、をさらに備え、前記冷却水戻しラインは、前記ジャケットに供給された前記冷却水を前記冷却水供給源に戻すよう構成され、前記バイパスラインは、前記共通ラインと前記冷却水戻しラインとを接続する。
【0011】
好ましくは、前記バイパスラインには、バイパス弁が設けられており、当該バイパス弁は自動弁とされる。
【0012】
好ましくは、前記冷却水戻しラインには、冷却水出口弁が設けられており、当該冷却水出口弁は自動弁とされる。
【0013】
好ましくは、前記給蒸ライン、前記冷却水供給ライン及び前記圧縮空気供給ラインには、それぞれ逆止弁が設けられている。
【0014】
好ましくは、前記給蒸ラインには、給蒸弁が設けられ、前記冷却水供給ラインには、冷却水供給弁が設けられ、前記圧縮空気供給ラインには、圧縮空気供給弁が設けられ、前記給蒸弁、前記冷却水供給弁、前記圧縮空気供給弁は、全て自動弁とされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る蒸気釜1を示す概略図である。
【
図2】
図1の蒸気釜1の動作を示すフローチャートである。
【
図3】
図1の蒸気釜1の加熱工程S1における蒸気及び凝縮水の流路を太線で示す図である。
【
図4】
図1の蒸気釜1の蒸気排出工程S2における圧縮空気の流路を太線で示す図である。
【
図5】
図1の蒸気釜1の冷却工程S3における冷却水及び復水の流路を太線で示す図である。
【
図6】
図1の蒸気釜1のバイパス弁開工程S4における冷却水及び圧縮空気の流路を太線で示す図である。
【
図7】
図1の蒸気釜1の冷却水排出工程S5における圧縮空気の流路を太線で示す図である。
【
図8】本発明の変形例に係る蒸気釜1を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0017】
1.蒸気釜1の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る蒸気釜1を示す概略図である。本実施形態の蒸気釜1は、被処理物である食品を加熱及び冷却することの可能な釜である。
【0018】
本実施形態の蒸気釜1は、
図1に示すように、内釜2と、ジャケット3とを備える。また、蒸気釜1は、蒸気、冷却水及び圧縮空気を流通させるライン(配管)として、共通ライン4と、給蒸ライン5と、冷却水供給ライン6と、圧縮空気供給ライン7と、ドレン排出ライン8と、冷却水戻しライン9と、圧縮空気排出ライン10と、バイパスライン11とを備える。加えて、蒸気釜1は、後述する各自動弁等を制御するための制御手段12を備えている。以下、各構成を具体的に説明する。
【0019】
内釜2は、上方へ開口した有底の中空容器であり、内部に食品を収容可能とされる。内釜2は、その形状を特に問わず、内部に食品を撹拌する攪拌装置(図示せず)を有していても良い(本明細書の「蒸気釜」との用語には、撹拌手段を備えたニーダが含まれるものとする)。また、内釜2は、開放釜であってもよく、真空釜であっても良い。加えて、本実施形態において、内釜2は、上方へ開口するホッパー2aを備えている。
【0020】
ジャケット3は、内釜2の外側に設けられる。例えば、図示例では、ジャケット3は、内釜2の下方領域を覆うように設けられる。ジャケット3の内部には、蒸気、圧縮空気又は冷却水が切り替えられて供給される。
【0021】
共通ライン4は、その上流側が後述する三方弁13に接続され、下流側がジャケット3に接続される。本実施形態において、共通ライン4はその下流側で蒸気入口ライン40と冷却水入口ライン41とに分岐している。蒸気入口ライン40は、ジャケット3の下部に接続され、冷却水入口ライン41は、ジャケット3の上部に接続される。蒸気入口ライン40には、給蒸入口弁42が設けられる。冷却水入口ライン41には、冷却水入口弁43が設けられる。
【0022】
給蒸ライン5は、図示しない蒸気供給源としてのボイラ(ボイラ接続口)と三方弁13とを接続し、ボイラからの蒸気を、共通ライン4を介してジャケット3内に供給する。給蒸ライン5には、上流側から順に、逆止弁50と給蒸弁51とが設けられている。
【0023】
冷却水供給ライン6は、図示しない冷却水供給源(チラー)と三方弁13とを接続し、冷却水供給源からの冷却水を、共通ライン4を介してジャケット3内に供給する。冷却水供給ライン6には、上流側から順に、逆止弁60と冷却水供給弁61とが設けられている。
【0024】
圧縮空気供給ライン7は、図示しない圧縮空気源(圧縮機接続口)と三方弁13とを接続し、圧縮空気源からの圧縮空気を、共通ライン4を介してジャケット3内に供給する。圧縮空気供給ライン7には、上流側から順に、圧縮空気供給弁70と逆止弁71とが設けられている。なお、圧縮空気供給ライン7は、その下流側において給蒸ライン5の下流側と配管を共有している。
【0025】
上記のような構成により、給蒸ライン5、冷却水供給ライン6及び圧縮空気供給ライン7は、それぞれ三方弁13を介して共通ライン4に接続されることとなる。
【0026】
ここで、本実施形態の三方弁13は、自動制御可能な弁とされる。三方弁13は、給蒸ライン5又は圧縮空気供給ライン7と共通ライン4を連通させる第1状態と、冷却水供給ライン6と共通ライン4を連通させる第2状態との間で切替可能に構成される。第1状態では、給蒸ライン5又は圧縮空気供給ライン7からの蒸気又は圧縮空気が共通ライン4を介してジャケット3に供給可能となる。一方、第2状態では、冷却水供給ライン6からの冷却水が共通ライン4を介してジャケット3に供給可能となる。したがって、本実施形態の蒸気釜1では、三方弁13が第1状態と第2状態のいずれか一方の状態を取ることで、給蒸ライン5からの蒸気と冷却水供給ライン6からの冷却水の混合が確実に防止されている(インターロック)。
【0027】
ドレン排出ライン8は、ジャケット3内へ供給された蒸気の凝縮水(ドレン)を外部に排出するよう構成される。ドレン排出ライン8は、その一端がジャケット3に接続されている。ドレン排出ライン8には、上流側から順に、スチームトラップ80とドレン弁81とが設けられる。ドレン排出ライン8の下流側は、排水切替弁82を介して排気排水ライン83に接続される。排気排水ライン83には、逆止弁84が設けられている。
【0028】
排水切替弁82は、三方弁とされ、ドレン排出ライン8又は冷却水戻しライン9からの水(ドレン水又は復水)を、排気排水ライン83から排水するか、冷却水戻しライン9を介して冷却水供給源に戻すかを切り替えるよう構成されている。ただし、排水切替弁82は、排水・復水を切り替えることができれば任意の構成とすることができる。例えば、排水切替弁82を、三方弁に変えて、2つの弁を組み合わせて構成しても良い。
【0029】
冷却水戻しライン9は、ジャケット3からの復水を冷却水供給源へ戻すよう構成される。冷却水戻しライン9は、具体的には、ジャケット3の上部と冷却水供給源とを接続する。冷却水戻しライン9には、上流側から順に、冷却水出口弁90と、温度センサ91と、上述した排水切替弁82と、逆止弁92とが設けられている。
【0030】
なお、本実施形態においては、ドレン排出ライン8が冷却水出口弁90と排水切替弁82の間の位置(接続位置Pと呼ぶ)において冷却水戻しライン9と接続している。そして、当該接続位置Pから排水切替弁82までの間、ドレン排出ライン8と冷却水戻しライン9は共通配管とされている。
【0031】
圧縮空気排出ライン10は、ジャケット3内へ供給された圧縮空気を外部に排出するよう構成される。圧縮空気排出ライン10は、具体的には、第1圧縮空気排出ライン10Aと第2圧縮空気排出ライン10Bとを備える。第1圧縮空気排出ライン10Aは、一端側がジャケット3の上部に接続され、他端側がドレン弁81と上述した接続位置Pの間の位置においてドレン排出ライン8に接続される。第1圧縮空気排出ライン10Aの一端側は、冷却水入口弁43よりもジャケット3側の位置において冷却水入口ライン41と配管を共有している。第1圧縮空気排出ライン10Aには、第1圧縮空気排出弁100が設けられている。
【0032】
第2圧縮空気排出ライン10Bは、一端側がジャケット3の上部に接続され、他端側がドレン弁81と上述した接続位置Pの間の位置においてドレン排出ライン8に接続される。第2圧縮空気排出ライン10Bの一端側は、冷却水出口弁90よりもジャケット3側の位置において冷却水戻しライン9と配管を共有している。第2圧縮空気排出ライン10Bには、第2圧縮空気排出弁101が設けられている。
【0033】
バイパスライン11は、共通ライン4と冷却水戻しライン9とをバイパスするよう構成される。バイパスライン11は、その一端側が、三方弁13と蒸気入口ライン40及び冷却水入口ライン41の分岐位置との間の位置において共通ライン4に接続される。また、バイパスライン11の他端側は、上述した接続位置Pと排水切替弁82との間の位置において、ドレン排出ライン8(=共通配管である冷却水戻しライン9)に接続されている。バイパスライン11には、バイパス弁110が設けられている。
【0034】
制御手段12は、温度センサ91の検出信号や経過時間などに基づき、上述した各種の弁等を制御する。制御手段12は、具体的には、三方弁13、給蒸入口弁42、冷却水入口弁43、給蒸弁51、冷却水供給弁61、圧縮空気供給弁70、ドレン弁81、排水切替弁82、冷却水出口弁90、第1圧縮空気排出弁100、第2圧縮空気排出弁101、バイパス弁110等を制御する。ここで、これらの各弁は、制御手段12による自動制御か可能となるよう、全て自動弁(例えば、エア駆動弁)とされる。そして、制御手段12は、後述するように、所定の手順(プログラム)に従い、内釜2内の食品の加熱やその後の冷却工程を実行する。
【0035】
なお、上記構成の制御手段12は、具体的には例えば、CPU、メモリ(例えばフラッシュメモリ)、入力部及び出力部を備えた情報処理装置により構成することができる。そして、情報処理装置により構成された制御手段12の上述した各構成要素による処理は、メモリに記憶されたプログラムをCPUが読み出して実行することで行われる。情報処理装置としては、例えば、パーソナルコンピュータ、PLC(プログラマラブルロジックコントローラ)あるいはマイコンが用いられる。ただし、制御手段12の一部の機能を、任意の通信手段により接続されたクラウド上で実行されるよう構成しても良い。
【0036】
2.蒸気釜1の動作
次に、制御手段12による蒸気釜1の動作について説明する。制御手段12は、所定の手順(プログラム)に従い、各種の弁等を制御することによって内釜2内の食品の加熱やその後の冷却を行う。なお、運転開始前、つまり、これらの各工程を実行する前には、少なくとも、給蒸弁51、冷却水供給弁61及び圧縮空気供給弁70は閉じられている。そして、所定のスタートボタンが押されるなど、運転開始が指示されると、制御手段12は、内釜2内に食品を収容した状態で、
図2に示すように、加熱工程S1、蒸気排出工程S2、冷却工程S3、バイパス弁開工程S4及び冷却水排出工程S5を順次に実行する。以下、各工程をより詳細に説明する。
【0037】
<加熱工程S1(
図3参照)>
加熱工程S1では、制御手段12は、給蒸ライン5によりジャケット3内へ蒸気を供給して、内釜2内の食品を加熱する。具体的には、制御手段12は、冷却水供給弁61及び圧縮空気供給弁70を閉じ、給蒸弁51を開くとともに、三方弁13を第1状態とする。また、制御手段12は、冷却水入口弁43及びバイパス弁110を閉じ、給蒸入口弁42を開く。これにより、ボイラからの蒸気が給蒸ライン5及び共通ライン4(蒸気入口ライン40)を介してジャケット3内に供給される。
【0038】
加えて、制御手段12は、ドレン弁81を開き、冷却水出口弁90、第1圧縮空気排出弁100及び第2圧縮空気排出弁101を閉じるとともに、排水切替弁82を排水側に設定する。これにより、ジャケット3内へ供給された蒸気の凝縮水(ドレン)は、スチームトラップ80が設けられたドレン排出ライン8を介して排気排水ライン83から排出される。
【0039】
制御手段12は、このようにして蒸気を供給することでジャケット3内を設定加熱圧力(設定加熱温度)にした後、その状態を保つことで、内釜2内の食品を加熱する。例えば、制御手段12は、ジャケット3に設けた圧力センサ(図示せず)の検出圧力を設定加熱圧力に維持するように、給蒸弁51の開度又は開閉を調整する。加熱時間等の所定の終了条件を満たすと、制御手段12は、給蒸弁51を閉じることでジャケット3内への蒸気の供給を停止し、次工程へと移行する。
【0040】
なお、加熱工程S1の初期段階には、第1圧縮空気排出弁100及び第2圧縮空気排出弁101を一時的(例えば、1分間)に開き、ジャケット3の上部に滞留した空気を積極的に排出し、蒸気をパージして加熱工程S1における伝熱阻害を低減することも好適である。
【0041】
<蒸気排出工程S2(
図4参照)>
蒸気排出工程S2では、制御手段12は、圧縮空気供給ライン7によりジャケット3内へ圧縮空気を供給することで蒸気を排出する。具体的には、制御手段12は、給蒸弁51及び冷却水供給弁61を閉じ、圧縮空気供給弁70を開くとともに、三方弁13を第1状態とする。また、制御手段12は、冷却水入口弁43及びバイパス弁110を閉じ、給蒸入口弁42を開く。これにより、圧縮空気供給源からの圧縮空気が圧縮空気供給ライン7及び共通ライン4(蒸気入口ライン40)を介してジャケット3内に供給される。
【0042】
加えて、制御手段12は、ドレン弁81、第1圧縮空気排出弁100及び第2圧縮空気排出弁101を開き、冷却水出口弁90及びバイパス弁110を閉じるとともに、排水切替弁82を排水側に設定する。これにより、ジャケット3内へ供給された圧縮空気は、ドレン排出ライン8、第1圧縮空気排出ライン10A及び第2圧縮空気排出ライン10Bを介して排気排水ライン83から排出される。なお、ジャケット3の下部に接続されるドレン排出ライン8からは主にドレンが排出され、ジャケット3上部に接続される第1圧縮空気排出ライン10A及び第2圧縮空気排出ライン10Bからは、主に比重の軽い蒸気と供給された圧縮空気が排出される。
【0043】
この蒸気排出工程S2により、ジャケット3内の残留蒸気が排出され、ジャケット3および内釜2の冷却を図ることができる。制御手段12は、所定の時間、蒸気排出工程S2を実行した後、圧縮空気供給弁70を閉じることで、次工程へと移行する。
【0044】
<冷却工程S3(
図5参照)>
冷却工程S3では、制御手段12は、冷却水供給ライン6によりジャケット3内に冷却水を供給して、内釜2内の食品を冷却する。具体的には、制御手段12は、給蒸弁51及び圧縮空気供給弁70を閉じ、冷却水供給弁61を開くとともに、三方弁13を第2状態とする。また、制御手段12は、給蒸入口弁42、及びバイパス弁110を閉じ、冷却水入口弁43を開く。これにより、冷却水供給源からの冷却水が冷却水供給ライン6及び共通ライン4(冷却水入口ライン41)を介してジャケット3内に供給される。
【0045】
加えて、制御手段12は、冷却水出口弁90を開き、ドレン弁81、第1圧縮空気排出弁100及び第2圧縮空気排出弁101を閉じるとともに、排水切替弁82を冷却水供給源へ戻す側に設定する。これにより、ジャケット3内へ供給された冷却水は、冷却水戻しライン9を介して冷却水供給源へと戻される。冷却工程S3では、このようにして、冷却水供給源とジャケット3の間で冷却水が循環する。
【0046】
なお、冷却工程S3において、制御手段12は、温度センサ91が検知する冷却水供給源に戻す復水の温度を常時監視している。そして、冷却水供給源へ所定温度を超える温度の復水が戻されていると判断した場合には、制御手段12は、排水切替弁82を排水側に設定して復水を排水するか、冷却工程S3を停止するか、あるいは警告を発するようになっている。このような構成により、高温の水が冷却水供給源へ流通することを防ぐことが可能となっている。
【0047】
この冷却工程S3により、ジャケット3内の食品が冷却される。冷却時間等の所定の終了条件を満たすと、制御手段12は、冷却水供給弁61を閉じることでジャケット3内への冷却水の供給を停止し、次工程へと移行する。
【0048】
なお、冷却工程S3の終了時、制御手段12は、三方弁13を第2状態から第1状態へと切り替える。本実施形態において、三方弁13は、冷却工程S3の開始前に第1状態から第2状態へと切り替えられ、冷却工程S3の終了後に第2状態から第1状態へと切り替えられる。言い換えると、本実施形態の三方弁13は、冷却工程S3の間のみ第2状態となり、それ以外の工程では第1状態を維持するようになっている。これにより、冷却水供給ライン6への蒸気及び圧縮空気の逆流を確実に防止することができる。
【0049】
<バイパス弁開工程S4(
図6参照)>
バイパス弁開工程S4では、制御手段12は、冷却水排出工程S5に先立って、バイパスライン11を介して共通ライン4に残留する冷却水を排水する。具体的には、制御手段12は、バイパス弁110を開き、冷却水入口弁43及び冷却水出口弁90を閉じるとともに、排水切替弁82を排水側に設定する。また、制御手段12は、圧縮空気供給弁70を開き、圧縮空気により残留する冷却水の排水を促進する。これにより、共通ライン4に残留する冷却水は、バイパスライン11及び、ドレン排出ライン8のうちバイパスライン11との接続位置よりも下流側の配管を介して、排気排水ライン83から排水される。なお、バイパス弁開工程S4において、冷却水入口弁43、ドレン弁81及び冷却水出口弁90は開いていても良い。ただし、共通ライン4の施工状況によっては、バイパス弁開工程S4において圧縮空気の供給は行わない場合もある。
【0050】
<冷却水排出工程S5(
図7参照)>
冷却水排出工程S5では、制御手段12は、圧縮空気供給ライン7によりジャケット3内へ圧縮空気を供給することで冷却水を排出する。具体的には、制御手段12は、給蒸弁51及び冷却水供給弁61を閉じ、バイパス弁開工程S4に引き続いて圧縮空気供給弁70を開く。また、制御手段12は、冷却水入口弁43及びバイパス弁110を閉じ、給蒸入口弁42を開く。これにより、圧縮空気供給源からの圧縮空気が圧縮空気供給ライン7及び共通ライン4(蒸気入口ライン40)を介してジャケット3内に供給される。
【0051】
加えて、制御手段12は、ドレン弁81を開き、冷却水出口弁90、第1圧縮空気排出弁100及び第2圧縮空気排出弁101を閉じるとともに、排水切替弁82を排水側に設定する。これにより、ジャケット3内へ供給された圧縮空気は、ドレン排出ライン8を介して排気排水ライン83から排出される。
【0052】
なお、冷却水排出工程S5において、バイパス弁110はバイパス弁開工程S4から継続して開いていても良く、冷却水排出工程S5の途中でバイパス弁110を閉じるようにしても良い。
【0053】
この冷却水排出工程S5により、ジャケット3内の残留冷却水が排出される。制御手段12は、所定の時間、冷却水排出工程S5を実行した後、少なくとも圧縮空気供給弁70を閉じる。これにより、蒸気釜1による加熱及び冷却の一連の工程が終了する。
【0054】
3.作用効果
以上、説明した実施形態によれば、以下に示す作用効果を得ることができる。
【0055】
(1)給蒸ライン5及び冷却水供給ライン6は、自動制御可能な三方弁13を介して共通ライン4に接続されている。これにより、三方弁13がインターロックとなり、給蒸ライン5からの蒸気と冷却水供給ライン6からの冷却水の混合を確実に防止することが可能となっている。蒸気と冷却水の混合を防止することで、ウォーターハンマーの発生が防止され、配管へのダメージを低減することが可能となっている。
【0056】
(2)共通ライン4と冷却水戻しライン9とがバイパスライン11により接続されており、制御手段12は、バイパス弁開工程S4において共通ライン4に残留する冷却水を排水するようになっている。これにより、次の蒸気釜1の運転時の加熱工程S1において共通ライン4に蒸気が供給された際、蒸気と残留水の接触によって生じるウォーターハンマーを抑制することができる。そして、ウォーターハンマーの抑制により、配管へのダメージを低減することが可能となっている。
【0057】
(3)給蒸ライン5、冷却水供給ライン6及び圧縮空気供給ライン7がそれぞれ逆止弁50,60,71を備えている。これにより、蒸気、冷却水あるいは圧縮空気の逆流を防止することが可能となっている。これにより、三方弁13の誤作動や故障によっても、逆流による各ラインへのダメージを防止することが可能となっている。
【0058】
(4)三方弁13、給蒸入口弁42、冷却水入口弁43、給蒸弁51、冷却水供給弁61、圧縮空気供給弁70、ドレン弁81、排水切替弁82、冷却水出口弁90、第1圧縮空気排出弁100、第2圧縮空気排出弁、バイパス弁110がそれぞれ自動弁となっている。そして、これらの弁が制御手段12により制御されることで、加熱工程S1、蒸気排出工程S2、冷却工程S3、バイパス弁開工程S4及び冷却水排出工程S5を順次に実行されるようになっている。これにより、手動による誤操作を防止し、想定しない配管に蒸気や冷却水が流通することを防止することが可能となっている。
【0059】
4.変形例
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
【0060】
蒸気実施形態において、共通ライン4はその下流側で蒸気入口ライン40と冷却水入口ライン41とに分岐していた。しかしながら、共通ライン4を分岐させず、そのままジャケット3へ接続する構成としても良い。
【0061】
上述した実施形態において、圧縮空気供給ライン7は、三方弁13の上流側において(
図1参照)給蒸ライン5と接続されていた。しかしながら、圧縮空気供給ライン7は、
図8に示すように、共通ライン4に接続されていても良い。この場合であっても、給蒸ライン5及び冷却水供給ライン6は三方弁13を介して共通ライン4に接続されることになり、給蒸ライン5からの蒸気と冷却水供給ライン6からの冷却水の混合を確実に防止することが可能である。なお、このような構成の場合、冷却工程S3の終了時における三方弁13の切り替えは必須ではなく、この後のバイパス弁開工程S4及び冷却水排出工程S5において、三方弁を第2状態のままにしていても良い。
【0062】
上述した実施形態において、三方弁13、給蒸入口弁42、冷却水入口弁43、給蒸弁51、冷却水供給弁61、圧縮空気供給弁70、ドレン弁81、排水切替弁82、冷却水出口弁90、第1圧縮空気排出弁100、第2圧縮空気排出弁101、バイパス弁110はそれぞれ自動弁であった。しかしながら、少なくとも一部の弁を手動の弁とすることも可能である。例えば、ジャケット3よりも上流側に配置される三方弁13、給蒸入口弁42、冷却水入口弁43、給蒸弁51、冷却水供給弁61、圧縮空気供給弁70のみを自動弁とし、ジャケット3よりも下流側に配置されるドレン弁81、排水切替弁82、冷却水出口弁90、第1圧縮空気排出弁100、第2圧縮空気排出弁101、バイパス弁110を手動弁とすることも可能である。
【0063】
上述した実施形態において、給蒸ライン5、冷却水供給ライン6及び圧縮空気供給ライン7は、それぞれ逆止弁50,60,71を備えていた。しかしながら、三方弁13を備えていれば、逆止弁50,60,71を設けることは必須ではない。三方弁13のみによっても、蒸気又は冷却水の逆流による不具合を防止することができる。
【0064】
上述した実施形態においては、制御手段12は冷却工程S3と冷却水排出工程S5の間にバイパス弁開工程S4を行っていた。しかしながら、バイパス弁開工程S4を単独の工程としては行わず、冷却水排出工程S5においてバイパス弁110を開くようにしても良い。
【符号の説明】
【0065】
1 :蒸気釜
2 :内釜
2a :ホッパー
3 :ジャケット
4 :共通ライン
5 :給蒸ライン
6 :冷却水供給ライン
7 :圧縮空気供給ライン
8 :ドレン排出ライン
9 :冷却水戻しライン
10 :圧縮空気排出ライン
10A :第1圧縮空気排出ライン
10B :第2圧縮空気排出ライン
11 :バイパスライン
12 :制御手段
13 :三方弁
40 :蒸気入口ライン
41 :冷却水入口ライン
42 :給蒸入口弁
43 :冷却水入口弁
50 :逆止弁
51 :給蒸弁
60 :逆止弁
61 :冷却水供給弁
70 :圧縮空気供給弁
71 :逆止弁
80 :スチームトラップ
81 :ドレン弁
82 :排水切替弁
83 :排気排水ライン
84 :逆止弁
90 :冷却水出口弁
91 :温度センサ
92 :逆止弁
100 :第1圧縮空気排出弁
101 :第2圧縮空気排出弁
110 :バイパス弁
P :接続位置
S1 :加熱工程
S2 :蒸気排出工程
S3 :冷却工程
S4 :バイパス弁開工程
S5 :冷却水排出工程