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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143474
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/40 20060101AFI20230928BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230928BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20230928BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20230928BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G09F9/40 303
H05B33/14 A
H05B33/02
H01L27/32
H05B33/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050882
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 光一
(72)【発明者】
【氏名】椎葉 賢
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC41
3K107DD04
3K107EE01
3K107EE12
3K107FF15
5C094AA60
5C094BA23
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA03
5C094DA08
5C094FA01
5C094FA02
(57)【要約】
【課題】透明両面ディスプレイを2枚貼り合わせた際に、高い透過率を確保することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】透明両面ディスプレイは、背景光を透過する透過領域と、外部から指示された情報表示を行う発光素子を備えて背景光を透過しない表示領域とを有する第1透明ディスプレイと、背景光を透過する透過領域と、外部から指示された情報表示を行う発光素子を備えて背景光を透過しない表示領域とを有する第2透明ディスプレイと、が貼り合わされた表示装置であって、第2透明ディスプレイの少なくとも1つの表示領域の面積は、当該表示領域と重なる第1透明ディスプレイの表示領域の面積よりも小さく、尚且つ、透明両面ディスプレイを第1透明ディスプレイの側から見て、第2透明ディスプレイの表示領域は、第1透明ディスプレイの表示領域に隠れるように貼り合わされる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背景光を透過する第1透過領域と、外部から指示された情報表示を行う発光素子を備えて背景光を透過しない第1非透過領域とを有する第1透明ディスプレイと、
背景光を透過する第2透過領域と、外部から指示された情報表示を行う発光素子を備えて背景光を透過しない第2非透過領域とを有する第2透明ディスプレイと、が貼り合わされた表示装置であって、
前記第2透明ディスプレイの少なくとも1つの第2非透過領域の面積は、当該第2非透過領域と重なる前記第1非透過領域の面積よりも小さく、
尚且つ、前記表示装置を前記第1透明ディスプレイの側から見て、前記少なくとも1つの第2非透過領域は、前記第1非透過領域に隠れるように貼り合わされる、
表示装置。
【請求項2】
前記第1非透過領域、及び前記第2非透過領域は、それぞれストライプ状に形成される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1非透過領域、及び前記第2非透過領域は、それぞれ格子状に形成される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1非透過領域、及び前記第2非透過領域は、それぞれドット状に形成される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1非透過領域と前記第2非透過領域とは、それぞれ複数の異なるサイズの繰り返しパターンを有して、
前記第1非透過領域が形成する繰り返しパターンの間に形成される前記第1透過領域の面積と、前記第2非透過領域が形成する繰り返しパターンの間に形成される前記第2透過領域の面積とは等しい、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1非透過領域と前記第2非透過領域とは、同じ繰り返しパターンで形成される、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1非透過領域と前記第2非透過領域のうち、総面積が小さい側が、周囲の照度が低い側に配置される、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記発光素子は、異なる色信号に対応する複数の表示色で発光するものであって、
前記表示色の発光強度が異なる場合に、発光強度が低い表示色に対応する前記発光素子の発光面積が大きい、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窓ガラスやショーウインドウに情報表示を行う透明ディスプレイが実用化されている。このような透明ディスプレイでは、情報表示を行いつつ、背景が透過して見えるため、表示装置の設置場所の制約が緩和される。
【0003】
最近では、このような透明ディスプレイを2枚貼り合わせることによって、背景を透過しつつ、表面と裏面とに異なる情報表示を行うことが可能な透明両面ディスプレイが開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-82733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような透明両面ディスプレイにあっては、高い透過率を確保できることが望まれている。
【0006】
本開示は、透明両面ディスプレイを2枚貼り合わせた際に、高い透過率を確保することが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る表示装置は、背景光を透過する第1透過領域と、外部から指示された情報表示を行う発光素子を備えて背景光を透過しない第1非透過領域とを有する第1透明ディスプレイと、背景光を透過する第2透過領域と、外部から指示された情報表示を行う発光素子を備えて背景光を透過しない第2非透過領域とを有する第2透明ディスプレイと、が貼り合わされた表示装置であって、前記第2透明ディスプレイの少なくとも1つの第2非透過領域の面積は、当該第2非透過領域と重なる前記第1非透過領域の面積よりも小さく、尚且つ、前記表示装置を前記第1透明ディスプレイの側から見て、前記少なくとも1つの第2非透過領域は、前記第1非透過領域に隠れるように貼り合わされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るディスプレイ装置の可動構造及びディスプレイ装置によれば、透明両面ディスプレイを2枚貼り合わせた際に、高い透過率を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、第1の実施形態に係る透明両面ディスプレイの機能を説明する図である。
図1B図1Bは、観測者が透明両面ディスプレイのそれぞれの面から観測する情報の一例を示す図である。
図2A図2Aは、透明ディスプレイに情報表示が行われた場合の一例を示す図である。
図2B図2Bは、従来の透明両面ディスプレイの課題を説明する図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る透明両面ディスプレイの概略構造を示す図である。
図4A図4Aは、第1の実施形態に係る透明両面ディスプレイの動作例を示す第1の図である。
図4B図4Bは、第1の実施形態に係る透明両面ディスプレイの動作例を示す第2の図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る透明両面ディスプレイと比較例の透明両面ディスプレイとで、貼り合わせの際に生じる位置ずれによる透過率の変化をシミュレーションした結果の一例を示す図である。
図6図6は、表示領域を格子状に形成した例を示す図である。
図7図7は、表示領域をドット状に形成した例を示す図である。
図8A図8Aは、第2の実施形態に係る第1透明ディスプレイと第2透明ディスプレイの概略構造を示す第1の図である。
図8B図8Bは、図8Aの第1透明ディスプレイと第2透明ディスプレイとを貼り合わせた際に生じる位置ずれと透過率との関係を説明する第1の図である。
図9A図9Aは、第2の実施形態に係る第1透明ディスプレイと第2透明ディスプレイの概略構造を示す第2の図である。
図9B図9Bは、図9Aの第1透明ディスプレイと第2透明ディスプレイとを貼り合わせた際に生じる位置ずれと透過率との関係を説明する第1の図である。
図10図10は、第3の実施形態に係る透明両面ディスプレイの概略構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本開示に係る表示装置の第1の実施形態について説明する。
【0011】
(透明両面ディスプレイの機能)
図1A図1Bを用いて、透明両面ディスプレイ10の機能を説明する。図1Aは、第1の実施形態に係る透明両面ディスプレイの機能を説明する図である。図1Bは、観測者が透明両面ディスプレイのそれぞれの面から観測する情報の一例を示す図である。
【0012】
透明両面ディスプレイ10は、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとを貼り合わせた構造を有する。第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとは、ともに、自発光型の表示素子を有するディスプレイ装置で構成されている。第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとは、それぞれ異なる映像表示を行うことができる。なお、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとは、例えばレンズ等の光学素子の接着に用いられる透明な接着剤等によって貼り合わせられる。
【0013】
図1Aには、第1透明ディスプレイ10aが「123」という映像表示8aを行い、第2透明ディスプレイ10bが「ABC」という映像表示8bを行った例を示す。
【0014】
図1Bに示すように、第1透明ディスプレイ10aの観測者5aは、映像表示8aと、第1透明ディスプレイ10aの背景とを視認することができる。また、第2透明ディスプレイ10bの観測者5bは、映像表示8bと、第2透明ディスプレイ10bの背景とを視認することができる。
【0015】
図1Bの場合、観測者5aおよび5bが、同時に透明両面ディスプレイ10を見ているため、観測者5aは、映像表示8aの背景に観測者5bを視認する。また、観測者5cは、映像表示8bの背景に観測者5aを視認する。
【0016】
(従来の透明両面ディスプレイの課題)
図2Aおよび図2Bを用いて、従来の透明両面ディスプレイの課題を説明する、図2Aは、透明ディスプレイに情報表示が行われた場合の一例を示す図である。図2Bは、従来の透明両面ディスプレイの課題を説明する図である。
【0017】
透明両面ディスプレイ10を構成する第1透明ディスプレイ10aは、図2Aに示すように、表示領域12aと透過領域12bとがストライプ状に交互に配置された構成を有する。
【0018】
表示領域12aは、映像表示が行われる領域である。表示領域12aには、映像を形成する発光素子と、発光素子のON/OFF制御を行う駆動回路と、発光素子に電圧を印加する透明電極等が形成されている。詳しくは後述する(図3参照)。なお、表示領域12aは、映像を形成するための各種回路や素子が実装されているため、背景光を透過しない非透過領域となる。また、表示領域12aは、回路や素子が実装されていない領域を有する場合もある。それらの領域は背景光を透過するため、表示領域12aが一部の背景光を透過する場合もある。このように、表示領域12aは、背景光を全く透過しない領域に限られるものではなく、例えば透過領域12bと比較して透過率の低い領域である。
【0019】
透過領域12bは、映像表示に係る回路素子等が配置されていない領域である。したがって、透過領域12bは、背景光を透過する。観測者は、透過領域12b越しに背景を視認することができる。
【0020】
図2Aの例では、観測者は、表示領域12aに表示された「A」という映像表示と、透過領域12b越しの背景とを同時に視認することができる。
【0021】
透明両面ディスプレイ10は、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとを貼り合わせることによって形成される。より具体的には、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aと透過領域12bが、それぞれ、第1透明ディスプレイ10aの表示領域と透過領域と重なり合うように貼り合わせることによって形成される。なお、第2透明ディスプレイ10bの構造は、第1透明ディスプレイ10aの構造と同じである。そして、貼り合わせを行う際には、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとの位置ずれが発生する恐れがある。
【0022】
図2Bは、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとを貼り合わせた際に、表示領域12aの幅方向に位置ずれが発生した一例を示している。図2Bの場合、第2透明ディスプレイ10bが、図面上で左側にずれている。このとき、第1透明ディスプレイ10aの観測者から見ると、透過領域12bの面積が減少した状態になる。したがって、透過領域12b越しに見える背景が暗くなる。
【0023】
(実施形態の透明両面ディスプレイの構造)
図3を用いて、第1の実施形態の透明両面ディスプレイ10の構造を説明する。図3は、第1の実施形態に係る透明両面ディスプレイの概略構造を示す図である。
【0024】
本実施形態の透明両面ディスプレイ10は、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとが貼り合わされた構造を有する。なお、透明両面ディスプレイ10は、本開示における表示装置の一例である。
【0025】
第1透明ディスプレイ10aは、表示領域12aと透過領域12bとがストライプ状に交互に配置された構造を有する。表示領域12aは、全て等しい幅13aを有し、透過領域12bは、全て等しい幅13bを有する。なお、表示領域12aは、本開示における第1非透過領域の一例である。透過領域12bは、本開示における第1透過領域の一例である。
【0026】
第2透明ディスプレイ10bは、表示領域14aと透過領域14bとがストライプ状に交互に配置された構造を有する。表示領域14aは、全て等しい幅15aを有し、透過領域14bは、全て等しい幅15bを有する。ここで、第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aの幅15aは、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aの幅13aよりも短い。また、第2透明ディスプレイ10bの透過領域14bの幅15bは、第1透明ディスプレイ10aの透過領域12bの幅13bよりも長い。したがって、第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aの面積は、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aの面積よりも小さい。なお、表示領域14aは、本開示における第2非透過領域の一例である。透過領域14bは、本開示における第2透過領域の一例である。
【0027】
第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aと、第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aとは、透明両面ディスプレイ10に正対した状態で、互いに重なるように貼り合わされる。そして、透明両面ディスプレイ10を第1透明ディスプレイ10aの側から見た場合に、第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aは、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aに隠れた状態になる。
【0028】
図3に示すように、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aは、表面と裏面とをガラス基板21a,21bに挟まれた状態で、表面側から順に、透明電極22aと発光素子23と透明電極22bとが積層配置されている。
【0029】
透明電極22aおよび透明電極22bは、発光素子23を発光させるための電圧を印加する。透明電極22a,22bは、それぞれ、陽極と陰極を構成する。
【0030】
発光素子23は、自発光することによって、映像を形成する。発光素子23は、例えば有機EL素子である。なお、図3では区別していないが、発光素子23は、例えば赤色に発光する赤色発光素子と、緑色に発光する緑色発光素子と、青色に発光する青色発光素子とが、規則的に配列された構造を有する。
【0031】
なお、図3には図示しないが、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aには、更に、発光素子23を駆動するための、例えばトランジスタで構成されたスイッチング回路が実装されている。
【0032】
第1透明ディスプレイ10aの表示領域12a、第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aに使用される発光素子23は、有機EL素子以外に、例えばLEDを用いてもよい。発光素子23にLEDを用いたディスプレイは、マイクロLEDディスプレイと呼ばれている。マイクロLEDディスプレイでは、発光素子23として、赤色LED、緑色LED、青色LEDが規則的に配列される。
【0033】
(実施形態の透明両面ディスプレイの動作)
図4Aおよび図4Bを用いて、第1の実施形態の透明両面ディスプレイ10の構造を説明する。図4Aは、第1の実施形態に係る透明両面ディスプレイの動作例を示す第1の図である。図4Bは、第1の実施形態に係る透明両面ディスプレイの動作例を示す第2の図である。
【0034】
図4Aは、第1の実施形態に係る透明両面ディスプレイ10において、第1透明ディスプレイ10aに「A」を表示して、第2透明ディスプレイ10bに「C」を表示した例である。このとき、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとは、第1透明ディスプレイ10aの左上の頂点V1と第2透明ディスプレイ10bの右上の頂点V4とが一致して、第1透明ディスプレイ10aの右上の頂点V2と第2透明ディスプレイ10bの左上の頂点V3とが一致するように貼り合わされる。
【0035】
前記したように、第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aは、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aよりも幅が短いため、第2透明ディスプレイ10bに表示される「C」は、第1透明ディスプレイ10aに表示される「A」よりも暗く表示される。
【0036】
図4Bは、第1の実施形態に係る透明両面ディスプレイ10において、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとを貼り合わせた際に、表示領域12aに直交する方向の位置ずれが発生した場合の様子を示した例である。
【0037】
図4Bの左図は、位置ずれが大きい場合の一例を示す。また、図4Bの右図は、位置ずれが無い場合の一例を示す。
【0038】
図4Bの右図において、第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aの幅は、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aの幅よりも小さいため、第1透明ディスプレイ10aの透過領域12bは、同図に示す矢印のように、全域に亘って背景光を透過する。
【0039】
そして、図4Bの左図では、第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aの位置がずれることによって、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aと第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aとの重複位置が移動する。しかし、第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aの幅は、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aの幅よりも小さいため、第1透明ディスプレイ10aに正対した状態で、第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aは、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aに隠れた状態のままになる。そのため、第1透明ディスプレイ10aの透過領域12bは、同図に示す矢印のように、全域に亘って背景光を透過する。したがって、第1の実施形態に係る透明両面ディスプレイ10は、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとを貼り合わせる際に、表示領域12aの幅方向に沿う位置ずれが発生した場合であっても、等しい透過率を維持する。言い換えると、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとを貼り合わせる際に位置ずれが発生した場合であっても、透明両面ディスプレイ10を透過して見える背景の明るさは変化しない。また、背景の明るさが変化しないことは、透明両面ディスプレイ10を第1透明ディスプレイ10aの側から見た場合であっても、第2透明ディスプレイ10bの側から見た場合であっても、同様に成り立つ。
【0040】
(実施形態の透明両面ディスプレイの透過率)
図5を用いて、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとを貼り合わせる際に生じる位置ずれの大きさと、第1透明ディスプレイ10aの透過率との関係を説明する。図5は、第1の実施形態に係る透明両面ディスプレイと比較例の透明両面ディスプレイとで、貼り合わせの際に生じる位置ずれによる透過率の変化をシミュレーションした結果の一例を示す図である。
【0041】
図5に示すグラフは、本実施形態の透明両面ディスプレイ10において、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとを貼り合わせた際に、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとの、表示領域12aの幅方向の位置ずれの大きさと、第1透明ディスプレイ10aの透過率との関係を示す。なお、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aの幅は60μm、透過領域12bの幅は40μmである。また、第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aの幅は40μm、透過領域14bの幅は60μmである。
【0042】
また、図5に示すグラフは、比較例である第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとを貼り合わせた際に、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとの、表示領域12aの幅方向の位置ずれの大きさと、第1透明ディスプレイ10aの透過率との関係を示す。なお、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12aの幅は60μm、透過領域12bの幅は40μmである。また、第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aの幅は60μm、透過領域14bの幅は40μmである。
【0043】
このとき、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとが、位置ずれなく貼り合わされた場合は、いずれの透明両面ディスプレイ10も、透過率40%を示す。そして、表示領域12aの幅方向の位置ずれが発生した場合、比較例では、位置ずれの大きさに比例して透過率が減少する。なお、本実施形態において、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとが位置ずれなく貼り合わされた状態は、表示領域12aの幅方向の中心線と、表示領域14aの幅方向の中心線とが一致した状態で貼り合わされた状態を示す。
【0044】
一方、本実施形態の透明両面ディスプレイ10では、表示領域12aの幅方向の位置ずれが10μm以下であれば、透過率40%を維持する。そして、表示領域12aの幅方向の位置ずれが10μmを超えると、位置ずれの大きさに比例して透過率が減少する。
【0045】
このように、本実施形態の透明両面ディスプレイ10は、表示領域12aの幅方向の位置ずれに対して、透過率の減少を防止する許容範囲を有する。図5に示す例の場合、この許容範囲は、±10μmである。
【0046】
なお、第1の実施形態の透明両面ディスプレイ10によると、第1透明ディスプレイ10aに形成される表示領域12aの面積は、第2透明ディスプレイ10bに形成される表示領域14aの面積よりも大きい。したがって、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bに同じ画像を表示した場合、第1透明ディスプレイ10aに表示される画像の方が明るくなる。したがって、透明両面ディスプレイ10を使用する環境の照度に応じて、透明両面ディスプレイ10の向きを設定するのが望ましい。例えば、表示面の照度が高い屋外に面する側には、第1透明ディスプレイ10aを向けて、表示面の照度が低い室内に面する側には、第2透明ディスプレイ10bを向けて使用する等を行うのが望ましい。
【0047】
(第1の実施形態の作用効果)
以上説明したように、第1の実施形態の透明両面ディスプレイ10は、背景光を透過する透過領域12bと、外部から指示された情報表示を行う発光素子を備えて背景光を透過しない表示領域12aとを有する第1透明ディスプレイ10aと、背景光を透過する透過領域14bと、外部から指示された情報表示を行う発光素子を備えて背景光を透過しない表示領域14aとを有する第2透明ディスプレイ10bと、が貼り合わされた表示装置であって、第2透明ディスプレイ10bの少なくとも1つの表示領域14aの面積は、当該表示領域14aと重なる表示領域12aの面積よりも小さく、尚且つ、透明両面ディスプレイ10を第1透明ディスプレイ10aの側から見て、少なくとも1つの表示領域14aは、表示領域12aに隠れるように貼り合わされる。したがって、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとを貼り合わせた際に、高い透過率を確保することができる。
【0048】
また、第1の実施形態の透明両面ディスプレイ10において、第1透明ディスプレイ10aの表示領域12a、及び第2透明ディスプレイ10bの表示領域14aは、それぞれストライプ状に形成される。したがって、第1透明ディスプレイ10aと第2透明ディスプレイ10bとを貼り合わせた際に、高い透過率を確保することができる。
【0049】
また、第1の実施形態の透明両面ディスプレイ10は、表示領域12aと表示領域14aのうち、総面積が小さい表示領域14aを備える側が、周囲の照度が低い側に配置される。したがって、表示像が明るい第1透明ディスプレイ10aには明るい表示像が表示されて、表示像が暗い第2透明ディスプレイ10bには暗い表示像が表示されるため、それぞれの表示像を見る視聴者は、環境に応じた明るさの、視認性の高い表示像を見ることができる。
【0050】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、表示領域12aと透過領域12bとをストライプ状に形成した例を示したが、表示領域12aと透過領域12bとの形態はストライプ状に限定されるものではない。以下、図6図7を用いて、表示領域12aと透過領域12bとを別の形態で形成した例を説明する。図6は、表示領域を格子状に形成した例を示す図である。図7は、表示領域をドット状に形成した例を示す図である。
【0051】
図6は、第1の実施形態の変形例に係る透明両面ディスプレイ30において、第1透明ディスプレイ30aに「A」を表示して、第2透明ディスプレイ30bに「C」を表示した例である。このとき、第1透明ディスプレイ30aと第2透明ディスプレイ30bとは、第1透明ディスプレイ30aの左上の頂点V1と第2透明ディスプレイ30bの右上の頂点V4とが一致して、第1透明ディスプレイ30aの右上の頂点V2と第2透明ディスプレイ30bの左上の頂点V3とが一致するように貼り合わされる。
【0052】
第1透明ディスプレイ30aには、縦横の格子状の表示領域32aが形成されている。表示領域32aは、第1透明ディスプレイ30aの上下方向に沿う、幅33aの表示領域と、第1透明ディスプレイ30aの左右方向に沿う、幅33cの表示領域とで構成される。そして、格子状の表示領域32aの隙間の部分には、左右幅33b,上下幅33dの透過領域32bが形成されている。なお、表示領域32aは、本開示における第1非透過領域の一例である。透過領域32bは、本開示における第1透過領域の一例である。
【0053】
また、第2透明ディスプレイ30bには、縦横の格子状の表示領域34aが形成されている。表示領域34aは、第2透明ディスプレイ30bの上下方向に沿う、幅35aの表示領域と、第2透明ディスプレイ30bの左右方向に沿う、幅35cの表示領域とで構成される。そして、格子状の表示領域34aの隙間の部分には、左右幅35b,上下幅35dの透過領域34bが形成されている。なお、表示領域34aは、本開示における第2非透過領域の一例である。透過領域34bは、本開示における第2透過領域の一例である。
【0054】
図6において、第2透明ディスプレイ30bの表示領域34aの幅35aは、第1透明ディスプレイ30aの表示領域32aの幅33aよりも小さい。また、第2透明ディスプレイ30bの表示領域34aの幅35cは、第1透明ディスプレイ30aの表示領域32aの幅33cよりも小さい。したがって、第2透明ディスプレイ30bの表示領域34aの面積は、第1透明ディスプレイ30aの表示領域32aの面積よりも小さい。
【0055】
そして、第1透明ディスプレイ30aと第2透明ディスプレイ30bとを貼り合わせた際に、第1透明ディスプレイ30aの側から見て、第2透明ディスプレイ30bの格子状の表示領域34aは、第1透明ディスプレイ30aの格子状の表示領域32aに隠れた状態になる。
【0056】
したがって、第1透明ディスプレイ30aと第2透明ディスプレイ30bとを貼り合わせた際に、縦横の格子状のストライプの幅方向に沿う位置ずれが発生した場合であっても、透明両面ディスプレイ30は等しい透過率を維持する。言い換えると、第1透明ディスプレイ30aと第2透明ディスプレイ30bとを貼り合わせる際に位置ずれが発生した場合であっても、透明両面ディスプレイ30を透過して見える背景の明るさは変化しない。また、背景の明るさが変化しないことは、透明両面ディスプレイ30を第1透明ディスプレイ30aの側から見た場合であっても、第2透明ディスプレイ30bの側から見た場合であっても、同様に成り立つ。
【0057】
図7は、第1の実施形態の変形例に係る透明両面ディスプレイ40において、第1透明ディスプレイ40aに「A」を表示して、第2透明ディスプレイ40bに「C」を表示した例である。このとき、第1透明ディスプレイ40aと第2透明ディスプレイ40bとは、第1透明ディスプレイ40aの左上の頂点V1と第2透明ディスプレイ40bの右上の頂点V4とが一致して、第1透明ディスプレイ40aの右上の頂点V2と第2透明ディスプレイ40bの左上の頂点V3とが一致するように貼り合わされる。
【0058】
第1透明ディスプレイ40aには、矩形のドット状の表示領域42aが形成されている。表示領域42aは、幅43a、高さ43cの複数の矩形の領域で構成される。そして、表示領域42aの隙間の部分には、左右幅43b,上下幅43dの透過領域42bが形成されている。なお、表示領域42aは、本開示における第1非透過領域の一例である。透過領域42bは、本開示における第1透過領域の一例である。
【0059】
また、第2透明ディスプレイ40bには、矩形のドット状の表示領域44aが形成されている。表示領域44aは、幅45a、高さ45cの複数の矩形の領域で構成される。そして、表示領域44aの隙間の部分には、左右幅45b,上下幅45dの透過領域44bが形成されている。なお、表示領域44aは、本開示における第2非透過領域の一例である。透過領域44bは、本開示における第2透過領域の一例である。
【0060】
図7において、第2透明ディスプレイ40bの表示領域44aを構成する各ドットの幅45aは、第1透明ディスプレイ40aの表示領域42aの幅43aよりも小さい。また、第2透明ディスプレイ40bの表示領域44aの高さ45cは、第1透明ディスプレイ40aの表示領域42aの高さ43cよりも小さい。したがって、第2透明ディスプレイ40bの表示領域44aを構成する各ドットの面積は、第1透明ディスプレイ40aの表示領域42aを構成する各ドットの面積よりも小さい。
【0061】
そして、第1透明ディスプレイ40aと第2透明ディスプレイ40bとを貼り合わせた際に、第1透明ディスプレイ40aの側から見て、第2透明ディスプレイ40bの表示領域44aを構成する全てのドットは、第1透明ディスプレイ40aの表示領域42aを構成するドットに隠れた状態になる。
【0062】
したがって、第1透明ディスプレイ40aと第2透明ディスプレイ40bとを貼り合わせた際に、表示領域44aを構成するドットの縦方向または横方向に位置ずれが発生した場合であっても、透明両面ディスプレイ40は等しい透過率を維持する。言い換えると、第1透明ディスプレイ40aと第2透明ディスプレイ40bとを貼り合わせる際に位置ずれが発生した場合であっても、透明両面ディスプレイ40を透過して見える背景の明るさは変化しない。また、背景の明るさが変化しないことは、透明両面ディスプレイ40を第1透明ディスプレイ40aの側から見た場合であっても、第2透明ディスプレイ40bの側から見た場合であっても、同様に成り立つ。
【0063】
なお、第1透明ディスプレイの表示領域、及び第2透明ディスプレイの表示領域を構成するパターンは、ここに示した例に限定されるものではない。即ち、格子状のパターンやドット状のパターン以外であっても、第2透明ディスプレイの表示領域の面積が、第1透明ディスプレイの表示領域の面積よりも小さく形成されて、尚且つ、第1透明ディスプレイと第2透明ディスプレイとを貼り合わせた際に、第1透明ディスプレイの側から見て、第2透明ディスプレイに形成される表示領域が隠れればよい。
【0064】
(第1の実施形態の変形例の作用効果)
以上説明したように、第1の実施形態の変形例の透明両面ディスプレイ30において、表示領域32a、及び表示領域34aは、それぞれ格子状に形成される。したがって、第1透明ディスプレイ30aと第2透明ディスプレイ30bとを貼り合わせた際に、高い透過率を確保することができる。
【0065】
また、第1の実施形態の変形例の透明両面ディスプレイ40において、表示領域42a、及び表示領域44aは、それぞれドット状に形成される。したがって、第1透明ディスプレイ40aと第2透明ディスプレイ40bとを貼り合わせた際に、高い透過率を確保することができる。
【0066】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本開示に係る表示装置の第2の実施形態について説明する。
【0067】
(実施形態の透明両面ディスプレイの構造)
図8A図8B、および図9A図9Bを用いて、第2の実施形態の透明両面ディスプレイ50,60の構造を説明する。図8Aは、第2の実施形態に係る第1透明ディスプレイと第2透明ディスプレイの概略構造を示す第1の図である。図8Bは、図8Aの第1透明ディスプレイと第2透明ディスプレイとを貼り合わせた際に生じる位置ずれと透過率との関係を説明する第1の図である。図9Aは、第2の実施形態に係る第1透明ディスプレイと第2透明ディスプレイの概略構造を示す第2の図である。図9Bは、図9Aの第1透明ディスプレイと第2透明ディスプレイとを貼り合わせた際に生じる位置ずれと透過率との関係を説明する第1の図である。
【0068】
図8Aは、第2の実施形態に係る透明両面ディスプレイ50を構成する第1透明ディスプレイ50aと第2透明ディスプレイ50bにそれぞれ形成された表示領域と透過領域のパターンの一例を示す。
【0069】
第1透明ディスプレイ50aと第2透明ディスプレイ50bには、全く同じ繰り返しパターンのストライプ状の表示領域が形成される。第1透明ディスプレイ50aに形成される表示領域52aは、幅53aの表示領域と、幅53aよりも小さい幅53bの表示領域とで構成される。また、第1透明ディスプレイ50aには、表示領域52aを構成するストライプに隣接する幅53cの透過領域52bが形成される。
【0070】
そして、第2透明ディスプレイ50bに形成される表示領域54aは、幅53aの表示領域と、幅53aよりも小さい幅53bの表示領域とで構成される。また、第2透明ディスプレイ50bには、表示領域54aを構成するストライプに隣接する幅53cの透過領域54bが形成される。
【0071】
透明両面ディスプレイ50は、第1透明ディスプレイ50aの左上の頂点V1と第2透明ディスプレイ50bの右上の頂点V4とが一致して、第1透明ディスプレイ50aの右上の頂点V2と第2透明ディスプレイ50bの左上の頂点V3とが一致するように貼り合わされることによって形成される。このとき、第1透明ディスプレイ50aの幅53aの表示領域と、第2透明ディスプレイ50bの幅53bの表示領域とが重なるように貼り合わされる。
【0072】
第1透明ディスプレイ50aと第2透明ディスプレイ50bとをこのように貼り合わせることによって、図8Bに示すように、第1透明ディスプレイ50aと第2透明ディスプレイ50bとを貼り合わせの際に位置ずれが発生した場合であっても、透明両面ディスプレイ50を透過する背景光の量は一定になる。即ち、第1透明ディスプレイ50aと第2透明ディスプレイ50bとを貼り合わせの際に位置ずれが発生した場合であっても、透明両面ディスプレイ50の透過率は一定に保たれる。
【0073】
次に、図9A図9Bを用いて、ストライプ以外のパターンで同様の機能を実現する例を説明する。
【0074】
図9Aに示す透明両面ディスプレイ60を構成する第1透明ディスプレイ60aと第2透明ディスプレイ60bには、全く同じ繰り返しパターンのドット状の表示領域が形成される。第1透明ディスプレイ50aに形成される表示領域62aは、幅63a、高さ63cの表示領域と、幅63aよりも小さい幅63b、高さ63cよりも小さい高さ63dの表示領域とで構成される。また、第1透明ディスプレイ60aには、表示領域62aを構成するドットに隣接する透過領域62bが形成される。
【0075】
そして、第2透明ディスプレイ60bに形成される表示領域64aは、幅63a、高さ63cの表示領域と、幅63aよりも小さい幅63b、高さ63cよりも小さい高さ63dの表示領域とで構成される。また、第2透明ディスプレイ60bには、表示領域64aを構成するドットに隣接する透過領域64bが形成される。
【0076】
透明両面ディスプレイ60は、第1透明ディスプレイ60aの左上の頂点V1と第2透明ディスプレイ60bの右上の頂点V4とが一致して、第1透明ディスプレイ60aの右上の頂点V2と第2透明ディスプレイ60bの左上の頂点V3とが一致するように貼り合わされることによって形成される。このとき、第1透明ディスプレイ60aの幅63aのドットと、第2透明ディスプレイ60bの幅63bのドットとが重なり、尚且つ、第1透明ディスプレイ60aの幅63bのドットと、第2透明ディスプレイ60bの幅63aのドットとが重なるように貼り合わされる。
【0077】
第1透明ディスプレイ60aと第2透明ディスプレイ60bとをこのように貼り合わせることによって、図9Bに示すように、第1透明ディスプレイ60aと第2透明ディスプレイ60bとを貼り合わせの際に位置ずれが発生した場合であっても、透明両面ディスプレイ60を透過する背景光の量は一定になる。即ち、第1透明ディスプレイ60aと第2透明ディスプレイ60bとを貼り合わせの際に位置ずれが発生した場合であっても、透明両面ディスプレイ60の透過率は一定に保たれる。
【0078】
(第2の実施形態の作用効果)
以上説明したように、第2の実施形態の透明両面ディスプレイ50において、第1透明ディスプレイ50aの表示領域52aと第2透明ディスプレイ50bの表示領域54aとは、それぞれ複数の異なるサイズのストライプの繰り返しパターンを有して、表示領域52aが形成する繰り返しパターンの間に形成される透過領域52bの面積と、表示領域54aが形成する繰り返しパターンの間に形成される透過領域54bの面積とは等しい。したがって、第1透明ディスプレイ50aと第2透明ディスプレイ50bとを貼り合わせの際に位置ずれが発生した場合であっても、透明両面ディスプレイ50の透過率を一定に保つことができる。また、第1透明ディスプレイ50aに形成される表示領域52aの総面積と、第2透明ディスプレイ50bに形成される表示領域54aの総面積とを等しくすることができるため、透明両面ディスプレイ50を第1透明ディスプレイ50aの側から見た場合と、第2透明ディスプレイ50bの側から見た場合とで、表示像の明るさを等しくすることができる。
【0079】
また、第2の実施形態の透明両面ディスプレイ60において、第1透明ディスプレイ60aの表示領域62aと第2透明ディスプレイ60bの表示領域64aとは、それぞれ複数の異なるサイズのドットの繰り返しパターンを有して、表示領域62aが形成する繰り返しパターンの間に形成される透過領域62bの総面積と、表示領域64aが形成する繰り返しパターンの間に形成される透過領域64bの総面積とは等しい。したがって、第1透明ディスプレイ60aと第2透明ディスプレイ60bとを貼り合わせの際に位置ずれが発生した場合であっても、透明両面ディスプレイ60の透過率を一定に保つことができる。また、第1透明ディスプレイ60aに形成される表示領域62aの総面積と、第2透明ディスプレイ60bに形成される表示領域64aの総面積とを等しくすることができるため、透明両面ディスプレイ60を第1透明ディスプレイ60aの側から見た場合と、第2透明ディスプレイ60bの側から見た場合とで、表示像の明るさを等しくすることができる。なお、図9Aには、第1透明ディスプレイ60aおよび第2透明ディスプレイ60bにそれぞれ形成される表示領域のうち、5行5列分のみを抜粋して表示しているが、実際にはより多くの、かつ複数の行列の表示領域を備えているため、第1透明ディスプレイ60aに形成される表示領域62aの総面積と、第2透明ディスプレイ60bに形成される表示領域64aの総面積とは等しくなる。
【0080】
また、第2の実施形態の透明両面ディスプレイ50において、第1透明ディスプレイ50aの表示領域52aと第2透明ディスプレイ50bの表示領域54aとは、同じ繰り返しパターンで形成される。したがって、第1透明ディスプレイ50aと第2透明ディスプレイ50bとを同じマスクパターンで製造することができるため、生産効率を向上させることができる。
【0081】
同様に、第2の実施形態の透明両面ディスプレイ60において、第1透明ディスプレイ60aの表示領域62aと第2透明ディスプレイ60bの表示領域64aとは、同じ繰り返しパターンで形成される。したがって、第1透明ディスプレイ60aと第2透明ディスプレイ60bとを同じマスクパターンで製造することができるため、生産効率を向上させることができる。
【0082】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本開示に係る表示装置の第3の実施形態について説明する。
【0083】
(実施形態の透明両面ディスプレイの構造)
図10を用いて、第3の実施形態の透明両面ディスプレイ70の構造を説明する。図10は、第3の実施形態に係る透明両面ディスプレイの概略構造を示す図である。
【0084】
一般的なフルカラーディスプレイの場合、RGBの3色の発光領域をそれぞれ形成して、これらの発光領域を組み合わせてフルカラー表示を行う。そのため、表示させたい色を正確に再現するために、RGBの3色の発光強度を揃えるのが望ましい。これに対して、RGBの3色の発光強度を揃えるのが困難である場合の対策を講じたのが、本実施形態である。
【0085】
本実施形態の透明両面ディスプレイ70は、第1透明ディスプレイ70aと第2透明ディスプレイ70bとが貼り合わされた構造を有する。
【0086】
第1透明ディスプレイ70aには、図9Aで説明したのと同様に、矩形のドット状の表示領域が形成されている。この表示領域は、それぞれ、RGBの3色のいずれかを発光する発光素子で形成されている。ここで、使用される発光素子において、青色の発光強度が、赤色、緑色の発光強度に比べて低いものとする。このような場合、第1透明ディスプレイ70aが有する表示領域において、青色発光素子72bの面積は、赤色発光素子72r、緑色発光素子72gの面積と比べて大きく形成する。そして、表示領域の隙間の部分には透過領域72tが形成される。
【0087】
同様に、第2透明ディスプレイ70bにも、矩形のドット状の表示領域が形成される。そして、表示領域の隙間の部分には透過領域72tが形成されている。第2透明ディスプレイ70bが有する表示領域において、青色発光素子74bの面積は、赤色発光素子74r、緑色発光素子74gの面積と比べて大きい。そして、表示領域の隙間の部分には透過領域74tが形成される。
【0088】
そして、第1透明ディスプレイ70aに形成される青色発光素子72bの総面積と、第2透明ディスプレイ70bに形成される青色発光素子74bの総面積とは等しい。また、第1透明ディスプレイ70aに形成される赤色発光素子72rと緑色発光素子72gの総面積は、それぞれ、第2透明ディスプレイ70bに形成される赤色発光素子74rと緑色発光素子74gの総面積と等しい。なお、図10には、第1透明ディスプレイ70aおよび第2透明ディスプレイ70bにそれぞれ形成される表示領域のうち、5行5列分のみを抜粋して表示しているが、実際にはより多くの、かつ複数の行列の表示領域を備えているため、第1透明ディスプレイ70aに形成される表示領域の総面積と、第2透明ディスプレイ70bに形成される表示領域の総面積とは等しくなる。
【0089】
透明両面ディスプレイ70は、第1透明ディスプレイ70aの左上の頂点V1と第2透明ディスプレイ70bの右上の頂点V4とが一致して、第1透明ディスプレイ70aの右上の頂点V2と第2透明ディスプレイ60bの左上の頂点V3とが一致するように貼り合わされることによって形成される。このとき、第1透明ディスプレイ70aの青色発光素子72bと、第2透明ディスプレイ70bの赤色発光素子74r又は緑色発光素子74gとが重なり、尚且つ、第1透明ディスプレイ70aの赤色発光素子72r又は緑色発光素子72gと、第2透明ディスプレイ70bの青色発光素子74bとが重なるように貼り合わされる。
【0090】
このように形成された透明両面ディスプレイ70は、発光強度が低い青色発光素子72bの面積が、赤色発光素子72rと緑色発光素子72gの面積よりも大きいため、RGB値が等しい色信号を表示した場合に、RGBの発光強度を等しくすることができる。
【0091】
なお、本実施形態において、発光素子の種類は、RGBに限定されるものではない。例えば、RGBYやRGBW等の3色以外の発光素子を有する表示装置にも同様に適用することができる。
【0092】
(第3の実施形態の作用効果)
以上説明したように、第2の実施形態の透明両面ディスプレイ70において、赤色発光素子72r、緑色発光素子72g、青色発光素子74bは、異なる色信号に対応する複数の表示色で発光するものであって、表示色の発光強度が異なる場合に、発光強度が低い表示色に対応する発光素子の発光面積が大きい。したがって、異なる複数の色信号に対して、各色信号に対応する発光素子の発光強度が異なる場合であっても、RGBの発光強度を等しくすることができる。これによって、透明両面ディスプレイ70における色の再現性を高めることができる。
【0093】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
10,30,40,50,60,70 透明両面ディスプレイ(表示装置)
10a,30a,40a,50a,60a,70a 第1透明ディスプレイ
10b,30b,40b,50b,60b,70b 第2透明ディスプレイ
12a,32a,42a,52a,62a 表示領域(第1非透過領域)
12b,32b,42b,52b,62b 透過領域(第1透過領域)
14a,34a,44a,54a,64a 表示領域(第2非透過領域)
14b,34b,44b,54b,64b 透過領域(第2透過領域)
21a,21b ガラス基板
22a,22b 透明電極
23 発光素子
72r,74r 赤色発光素子
72g,74g 緑色発光素子
72b,74b 青色発光素子
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10