(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143521
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】剥離紙原紙、剥離紙、及び粘着テープ
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20230928BHJP
B32B 29/04 20060101ALI20230928BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20230928BHJP
D21H 19/48 20060101ALI20230928BHJP
D21H 19/60 20060101ALI20230928BHJP
D21H 19/82 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B32B27/00 L
B32B29/04
D21H27/00 A
D21H19/48
D21H19/60
D21H19/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050936
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大高 翔
【テーマコード(参考)】
4F100
4L055
【Fターム(参考)】
4F100AA01B
4F100AJ02A
4F100AK01B
4F100AK12B
4F100AK21C
4F100AT00B
4F100AT00E
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA10D
4F100BA10E
4F100CA13B
4F100CB05E
4F100DG10A
4F100JL14
4F100JL14D
4L055AA02
4L055AA03
4L055AC06
4L055AG08
4L055AG27
4L055AG48
4L055AG50
4L055AG63
4L055AG64
4L055AG76
4L055AG89
4L055AH02
4L055AH09
4L055AH11
4L055AH37
4L055BE09
4L055EA04
4L055EA05
4L055EA08
4L055EA14
4L055GA43
(57)【要約】
【課題】粘着テープの透過鮮明度が低下しにくく、環境負荷を低減させた剥離紙原紙、剥離紙、及び粘着テープを提供する。
【解決手段】基材11と、基材11の表面の少なくとも一部に積層される目止め層12と、を含み、基材11中のパルプにおける広葉樹パルプの含有量が、50質量%を超えている、剥離紙原紙10を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の表面の少なくとも一部に積層される目止め層と、を含み、
前記基材中のパルプにおける広葉樹パルプの含有量が、50質量%を超えている、剥離紙原紙。
【請求項2】
前記基材に使用されるパルプの叩解度が、30°SR以上である、
請求項1に記載の剥離紙原紙。
【請求項3】
前記目止め層は、バインダー樹脂と無機顔料とを含有する、
請求項1又は2に記載の剥離紙原紙。
【請求項4】
前記目止め層は、
ポリビニルアルコール系樹脂を含有する第1の目止め層と、
バインダー樹脂及び無機顔料を含有する第2の目止め層と、
を含む、請求項1又は2に記載の剥離紙原紙。
【請求項5】
前記バインダー樹脂は、スチレン系樹脂を含有する、
請求項3又は4に記載の剥離紙原紙。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の剥離紙原紙と、
前記剥離紙原紙の前記目止め層の表面の少なくとも一部に積層された剥離剤層と、
を含む、剥離紙。
【請求項7】
透明樹脂基材と、
前記透明樹脂基材の表面の少なくとも一部に積層された粘着剤層と、
前記粘着剤層の表面のうち、前記透明樹脂基材と反対側の表面に積層された請求項6に記載の剥離紙と、
を含む、粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離紙原紙、剥離紙、及び粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスやプラスチック等の透明な容器に貼付するラベル等に粘着テープが用いられている。これらの用途においてはラベルを貼付した後でもラベル下の被着体や容器の内容物が視認可能であるように、ラベルの透明性が希求される。
【0003】
剥離紙は、粘着テープの粘着剤層を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。剥離紙は、被着体に貼付されるまで粘着剤層と隣接して配置されるため、粘着剤層は、剥離紙の粘着剤層面の凹凸を拾いやすい。このため、剥離紙の剥離面に凹凸があると、粘着テープの透明性が低下する原因ともなる。
【0004】
したがって、粘着テープの透明性を要求される用途においては、剥離紙の剥離面が平滑であることが重要である。例えば、特許文献1には、シリコーン系粘着剤から構成される粘着剤層が積層され、剥離時には当該粘着剤層から剥離される剥離シートであって、紙基材と、紙基材の一方の面側に形成された顔料コート層と、顔料コート層の紙基材側とは反対側に形成された第1のポリオレフィン層と、紙基材の他方の面側に形成された第2のポリオレフィン層とを備え、第1のポリオレフィン層の顔料コート層側とは反対側の表面は、高平滑処理されており、当該表面に粘着剤層が直接積層されることを特徴とする剥離シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の剥離シートは、粘着テープ越しの文字・景色等が鮮明に見えにくく、粘着テープの透過鮮明度が低下しやすいという問題があることが分かった。
【0007】
また、近年では、剥離紙においても、環境負荷を低減させる観点から、プラスチックの廃棄物を削減すること(いわゆる「脱プラ」)やリサイクル性が求められており、ポリオレフィン層を用いない剥離紙の要求が高まっている。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、粘着テープの透過鮮明度が低下しにくく、環境負荷を低減させた剥離紙原紙、剥離紙、及び粘着テープを提供することを、主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述した目的を達成するために鋭意検討した結果、基材と、基材の表面の少なくとも一部に積層される目止め層と、を含み、基材中のパルプにおける広葉樹パルプの含有量が50質量%を超えている、剥離紙原紙とすることに知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0011】
(1)
基材と、前記基材の表面の少なくとも一部に積層される目止め層と、を含み、前記基材中のパルプにおける広葉樹パルプの含有量が、50質量%を超えている、剥離紙原紙である。
(2)
前記基材に使用されるパルプの叩解度が、30°SR以上である、(1)に記載の剥離紙原紙である。
(3)
前記目止め層は、バインダー樹脂と無機顔料とを含有する、(1)又は(2)に記載の剥離紙原紙である。
(4)
前記目止め層は、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する第1の目止め層と、バインダー樹脂及び無機顔料を含有する第2の目止め層と、を含む、(1)又は(2)に記載の剥離紙原紙である。
(5)
前記バインダー樹脂は、スチレン系樹脂を含有する、(3)又は(4)に記載の剥離紙原紙である。
(6)
(1)~(5)のいずれかに記載の剥離紙原紙と、前記剥離紙原紙の前記目止め層の表面の少なくとも一部に積層された剥離剤層と、を含む、剥離紙である。
(7)
透明樹脂基材と、前記透明樹脂基材の表面の少なくとも一部に積層された粘着剤層と、前記粘着剤層の表面のうち、前記透明樹脂基材と反対側の表面に積層された(6)に記載の剥離紙と、を含む、粘着テープである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、粘着テープの透過鮮明度が低下しにくく、環境負荷を低減させた剥離紙原紙、剥離紙、及び粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る剥離紙原紙の断面模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る剥離紙の断面模式図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る粘着テープの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0015】
そして、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0016】
また、本明細書中、特に断りがない限り、「(メタ)アクリル」はメタクリル及びアクリルを包含するものとする。例えば、(メタ)アクリルは、メタクリル、アクリル、又はその両方を意味するものである。
【0017】
<剥離紙原紙>
【0018】
本実施形態に係る剥離紙原紙10は、基材11と、基材11の表面の少なくとも一部に積層される目止め層12と、を含み、基材11中のパルプにおける広葉樹パルプの含有量が、50質量%を超えている、剥離紙原紙10である。
【0019】
(基材)
【0020】
基材11中のパルプにおける広葉樹パルプの含有量は、50質量%を超えている。広葉樹パルプの含有量が50質量%を超えていることで、後述する目止め層用塗工液が浸透しにくくなり緻密な目止め層12を形成することができる。また、広葉樹パルプの含有量が増えると、基材11の地合が良くなるため、剥離紙原紙10の表面の平滑性が向上する。広葉樹パルプの含有量は、55質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましく、80質量%を超えることがより更に好ましく、100質量%であることが一層好ましい。なお、環境負荷を低減する観点から、基材11は、ポリオレフィンを含有しないことが好ましい。基材11が、ポリオレフィンを含有しないポリオレフィンレス基材であれば、上述した「脱プラ」やリサイクル性の要求にも十分に応えることができる。
【0021】
基材11に使用される広葉樹パルプとしては、特に限定されるものではなく、バージンパルプ及び古紙パルプを使用することができる。バージンパルプとしては、木材パルプを用いることが好ましい。広葉樹パルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプや、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ等が挙げられる。これらの中でも、表面平滑性の観点から、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプであることが好ましく、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)であることがより好ましい。
【0022】
広葉樹パルプは、地合が良く、より平滑な剥離紙原紙10を得られることから、南方系広葉樹パルプであることがより好ましい。南方系広葉樹パルプとは、ユーカリ、ラワン、マングローブ等の南方系広葉樹を含む樹材から製造したパルプを意味する。パルプは製法によって亜硫酸パルプ(SP)やクラフトパルプ(KP)等の化学パルプ(ケミカルパルプ)や、サーモメカニカルパルプや砕木パルプ(グラウンドパルプ)等の機械パルプ(メカニカルパルプ)等に分類されるが、本実施形態では、いずれの製法に拠って製造された広葉樹パルプでもよい。
【0023】
基材11に使用されるパルプは、広葉樹パルプ以外のパルプを併用してもよい。例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプや、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ等の公知の種々のパルプを使用することができる。また、これ以外に、非木材パルプとしては、コットンパルプや麻、バガス、ケナフ、エスパルト、楮、三椏、雁皮等を適宜用いることができる。
【0024】
さらに、針葉樹パルプ/広葉樹パルプの含有比(パルプN/L比、質量比)は、50/50~0/100(すなわち1以下)であることが好ましく、40/60~0/100であることがより好ましく、30/70~0/100であることが更に好ましく、20/80~0/100であることがより更に好ましい。
【0025】
基材11のパルプの含有量は、特に限定されないが、60~100質量%であることが好ましい。このパルプの含有率とは、基材11におけるパルプ総量の割合(質量比)である。この含有量の下限は、65質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。また、この含有量の上限は、98質量%以下であることがより好ましく、97質量%以下であることが更に好ましい。
【0026】
基材11は、各種添加剤を更に含んでいてもよい。添加剤としては、公知の填料、酸化澱粉;ロジン系サイズ剤、AKD(アルキルケテンダイマー)系サイズ剤等のサイズ剤;湿潤増強剤;ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリビニルアルコール等の樹脂材料;染料、顔料等の着色剤;硫酸アルミニウム、カチオン化澱粉、カチオン性高分子電解質等の定着剤;抄紙助剤;凝集剤等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0027】
基材11の厚みは、特に限定されないが、40μm以上300μm以下であることが好ましい。そして、この厚みの上限は、100μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることが更に好ましく、50μm以下であることがより更に好ましい。また、この厚みの下限は、45μm以上であることがより好ましい。基材11の厚みを上記下限値以上とすることにより、剥離紙20の製造時におけるしわの発生を一層抑制でき、粘着ラベル製造時等におけるラベル加工の抜き加工適性を一層向上させることができる。また、基材11の厚みを上記上限値以下とすることにより、剛性が高くなりすぎることを一層抑制でき、取り扱い性の低下も一層抑制できる。なお、この厚みは、JIS P 8118:2014に準拠して測定することができる。
【0028】
基材11の坪量は、特に限定されないが、35~120g/m2であることが好ましく、40~100g/m2であることがより好ましく、50~70g/m2であることが更に好ましい。
【0029】
広葉樹パルプは、予め叩解した後に、叩解した他のパルプ(例えば、別の広葉樹パルプ等)に混合してもよい。または、広葉樹パルプを叩解する前に、他のパルプと混合した後に、これらを叩解処理してもよい。
【0030】
基材11の原紙の叩解度は、特に限定されないが、30°SR以上であることが好ましく、40°SR以上であることがより好ましい。また、叩解度の上限は、特に限定されないが、一般的には、90°SR以下であることが好ましく、70°SR以下であることがより好ましく、65°SR以下であることが更に好ましい。この叩解度は、JIS P 8121に準拠して、ショッパー・リグラー形叩解度試験機により測定することができる。
【0031】
基材11の製造方法やその抄紙方法、及び抄紙機の型式等は、特に限定されない。例えば、長網抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機、ギャップフォーマー型、ハイブリッドフォーマー型(オントップフォーマー型)等のツインワイヤー抄紙機等、公知の製造(抄紙)方法、抄紙機が選択可能である。また、抄紙時のpHは、特に限定されず、酸性領域(酸性抄紙)、疑似中性領域(疑似中性抄紙)、中性領域(中性抄紙)、アルカリ性領域(アルカリ性抄紙)のいずれでもよく、酸性領域で抄紙した後、紙層の表面にアルカリ性薬剤を塗工してもよい。また、基材11は、1層であってもよく、2層以上の複数層で構成されていてもよい。
【0032】
(目止め層)
【0033】
目止め層12は、剥離剤の基材11への浸透を効果的に抑制し、剥離剤層21の表面の平滑性を得るためのものである。目止め層12はバインダー樹脂を含有することが好ましい。なお、環境負荷を低減させる観点から、目止め層12は、ポリオレフィンを含有しないことが好ましい。目止め層12が、ポリオレフィンレスな目止め層であれば、上述した「脱プラ」やリサイクル性の要求にも十分に応えることができる。
【0034】
バインダー樹脂としては、特に限定されず、塗工紙分野等で使用可能なものを適宜使用できる。バインダー樹脂の具体例としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系樹脂;メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸及び、(メタ)アクリル酸と共重合可能な単量体成分(オレフィンを除く)からなるアクリル系樹脂;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース等のセルロース誘導体;酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類;スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリル共重合体等のスチレン系樹脂;カゼイン、アラビアゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリスチロース及びそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコーン系樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂、デキストリン、エチレン-塩化ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系樹脂、澱粉類、及びスチレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。そして、ポリビニルアルコール(完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール)、酸化澱粉、及びスチレン系共重合体(スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリル共重合体等)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
目止め層12は、無機顔料を含有することが好ましく、上記したバインダー樹脂と無機顔料とを含有することがより好ましい。無機顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、エンジニアードカオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、タルク、シリカ、コロイダルシリカ、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、カオリナイト、アンチゴライト、スメクタイト、バーミキュライト、マイカ等が挙げられる。これらの中でも、カオリン、焼成カオリン、及びエンジニアードカオリンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、カオリンがより好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
無機顔料の含有量は、特に限定されないが、平滑性や結着性の観点から、乾燥重量でバインダー樹脂125質量部に対して、1~1400質量部であること好ましく、200~600質量部であることがより好ましく、250~500質量部であることが更に好ましく、300~400質量部であることがより更に好ましい。
【0037】
目止め層12は、必要に応じてサイズ剤、耐水化剤、撥水剤、染料、界面活性剤、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料、架橋剤等の通常使用される各種助剤を含有させることができる。
【0038】
目止め層12の塗布量は、乾燥重量で0.2~20g/m2とすることが好ましい。この塗布量の下限は、0.5g/m2以上であることがより好ましく、0.7g/m2以上であることが更に好ましい。また、この塗布量の上限は、10g/m2以下であることがより好ましく、8g/m2以下であることが更に好ましい。目止め層12の塗布量を上記下限値以上とすることで、剥離剤の基材11への浸透を一層効果的に抑制でき、また、剥離剤層21の表面の平滑性を一層向上させることができる。一方、目止め層12の塗布量を上記上限値以下とすることで、塗工時の乾燥負荷を一層軽減でき、操業面やコスト面も一層好ましくなる。なお、目止め層12が2層以上の複数層である場合、各目止め層の少なくとも1つの層の塗布量が、上記範囲であることが好ましく、目止め層12の全ての層の塗布量が、上記範囲であることがより好ましい。
【0039】
目止め層12は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。目止め層12が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。これらの中でも、目止め層12は2層以上の複数層であることが好ましい。目止め層12が複数層であることで、剥離剤の基材11への浸透を効果的に抑制する効果と、剥離剤層21の表面の平滑性を得る効果を両立させやすくなる。
【0040】
なお、図示はしないが、目止め層12が2層以上の複数層である場合の好適例としては、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する第1の目止め層と、バインダー樹脂及び無機顔料を含有する第2の目止め層と、を含むものが挙げられる。第1の目止め層と第2の目止め層は、組成が異なるものである。そして、第1の目止め層は、無機顔料を含有しないことが好ましい。なお、第1の目止め層は基材11側に、第2の目止め層は剥離剤層21側になるように、配置されることが好ましい。よって、目止め層12が第1の目止め層及び第2の目止め層のみからなる場合、第1の目止め層は基材11と接し、かつ、第2の目止め層は剥離剤層21と接するように配置されることが、好ましい。そして、この場合の第1の目止め層及び第2の目止め層は、いずれもポリオレフィンを含有しないことが好ましい。
【0041】
第1の目止め層のポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール(完全ケン化ポリビニルアルコール、又は部分ケン化ポリビニルアルコール)であることが好ましい。
【0042】
第2の目止め層のバインダー樹脂及び無機顔料は、上述したものを使用でき、その中でも、バインダー樹脂として、ポリビニルアルコール系樹脂、澱粉類、及びスチレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリビニルアルコール(完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール)、酸化澱粉、及びスチレン-ブタジエン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。そして、第2の目止め層の場合は、バインダー樹脂は、これら2種以上を含有することが更に好ましい。特に、ポリビニルアルコールとスチレン系樹脂とを含有することがより更に好ましい。
【0043】
剥離紙原紙10は、基材11上に、目止め層12を形成するための塗工液を、塗工、乾燥することにより、製造することができる。目止め層12の塗工方法は特に限定されるものではなく、公知の塗工装置及び塗工系で塗工することができる。例えば、塗工装置としてはブレードコーター、バーコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター、サイズプレスコーター、シムサイザー等が挙げられる。また、塗工系としては、水等の溶媒を使用した水系塗工、有機溶剤等の溶媒を使用した溶剤系塗工等が挙げられる。
【0044】
目止め層12を乾燥させる手法としては、特に限定されず、例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等の通常の方法が用いられる。
【0045】
<剥離紙>
【0046】
本実施形態に係る剥離紙20は、上述した剥離紙原紙10と、剥離紙原紙10の目止め層12の表面の少なくとも一部に積層された剥離剤層21とを含む。なお、環境の観点から、剥離紙20は、ポリオレフィンを含有する層(ポリオレフィン層)を有しないことが好ましい。このポリオレフィン層は、当該層中にポリオレフィンを合計で50質量%以上含有する層である。これにより、上述した「脱プラ」やリサイクル性の要求に応えることができる。
【0047】
なお、図示はしないが、剥離紙20は、目止め層12及び剥離剤層21を基材11の両面に設けて、両面剥離紙としてもよい。さらに、剥離紙20は、基材11における、目止め層12及び剥離剤層21が設けられた面とは反対側の面に、カール抑制層等を設けてもよい。カール抑制層としては、特に限定されず、公知のものを採用することができる。
【0048】
(剥離剤層)
【0049】
剥離剤層21に含有される剥離剤としては、特に限定されず、例えば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、アルキッド樹脂、長鎖アルキル系樹脂、各種ワックス類等の剥離剤等が挙げられる。これらの中でも、剥離性に優れる観点から、剥離剤はシリコーン系樹脂であることが好ましい。
【0050】
シリコーン系樹脂としては、例えば、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン等の単独重合体又は共重合体等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0051】
また、シリコーン系樹脂は、溶剤型、無溶剤型、エマルション型のいずれの形態でも用いることができるが、エマルション型、無溶剤型が好ましい。
【0052】
剥離剤層21の厚みは、0.01~10μmであることが好ましい。この厚みの下限は、0.1μm以上であることがより好ましい。また、この厚みの上限は、5μm以下であることがより好ましい。
【0053】
剥離剤層21は、剥離紙原紙10の目止め層12の表面の一部に、上述した剥離剤を含む塗布液を塗布・加熱することによって硬化させて形成することができる。塗布方法は、特に限定されず、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーブレードコーター、グラビアコーター、バーコーター、多段ロールコーター等の各種塗工装置を適宜選択して塗布する方法を採用することができる。
【0054】
そして、剥離剤の塗布量は、乾燥重量で0.4~3.0g/m2であることが好ましい。この塗布量の下限は、0.6g/m2以上であることがより好ましく、0.8g/m2以上であることが更に好ましい。また、この塗布量の上限は、2.0g/m2以下であることがより好ましく、1.8g/m2以下であることが更に好ましい。塗布量をこのような範囲に制御することによって、剥離紙20により適した剥離力とすることができる。
【0055】
剥離紙20の剥離剤層21側の表面粗さは、その好適な態様として、JIS B 0601:2013に準拠した算術平均粗さ(Ra)で、好ましくは0.70μm以下であり、より好ましくは0.65μm以下であり、更に好ましくは0.5μm以下であり、より更に好ましくは0.5μm未満とすることができる。剥離剤層21の算術平均粗さ(Ra)の下限は、小さければ小さいほど好ましいが、通常0.10μm以上となる。
【0056】
<粘着テープ>
【0057】
本実施形態に係る粘着テープ30は、透明樹脂基材31と、透明樹脂基材31の表面上に積層された粘着剤層32と、粘着剤層32の表面のうち、透明樹脂基材31と反対側の表面に積層された上述の剥離紙20とを含む。なお、粘着剤層32は、透明樹脂基材31の表面の少なくとも一部に形成されていればよい。すなわち、粘着テープ30は、基材11、目止め層12、剥離剤層21、粘着剤層32、及び透明樹脂基材31をこの順に積層されている。
【0058】
(透明樹脂基材)
【0059】
透明樹脂基材31は、可視光領域における透過率が80%以上であり、90%以上であることが好ましい(上限100%)。ここで、透明樹脂基材31の透過率は、JIS K 7361-1:1997(プラスチック-透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。透明樹脂基材31を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンフィルム;セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、フッ素樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、環状オレフィン系フィルム等を挙げることができる。これらの中では、透明性の点で、透明樹脂基材31は、ポリエステル、ポリオレフィンであることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)であることがより好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)であることが更に好ましい。
【0060】
透明樹脂基材31には、必要に応じて、安定剤、滑剤、軟化剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難撚剤等を適宜に含有していてもよい。また、透明樹脂基材31には、印刷層等の他の機能層との密着を向上させるために、易接着層を有していてもよい。
【0061】
透明樹脂基材31の厚みは、特に限定されないが、5~250μmであることが好ましい。この厚みの下限は、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることが更に好ましく、40μm以上であることがより更に好ましい。また、この厚みの上限は、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることが更に好ましく、70μm以下であることがより更に好ましい。
【0062】
(粘着剤層)
【0063】
粘着剤層32に含まれる粘着剤としては、特に限定されず、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、透明性に優れ、耐久性が良好である観点から、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤が好ましく、アクリル系粘着剤がより好ましい。
【0064】
粘着剤の一例として、アクリル系粘着剤としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤を構成するアクリル系ポリマーは、粘着性を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とし、必要に応じて凝集性を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)及び架橋性官能基を有する共重合性単量体を用いることにより形成される。
【0065】
粘着性を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、凝集性を有する共重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
粘着剤は、アクリル系ポリマー等の他、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。架橋剤の添加量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.001~10質量部であることが好ましく、0.005~2.0質量部であることがより好ましい。
【0067】
また、溶剤型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、ホットメルト型粘着剤等の無溶剤型粘着剤、エネルギー線の照射により硬化して再剥離性となるエネルギー線硬化型粘着剤であってもよい。さらに、粘着剤には、必要に応じて架橋剤、粘着付与剤、軟化剤、老化防止剤、填料、染料又は顔料等の着色剤、希釈剤等を配合することができる。
【0068】
本実施形態に係る粘着テープ30は、粘着剤層32として、粘着付与剤を含む粘着剤を使用した場合の粘着テープ30の透過鮮明度を抑制するという効果も期待できるため、粘着剤層32は、粘着剤と粘着付与剤とを含む粘着剤組成物から形成されることが好ましい。例えば、従来の粘着テープ等では、粘着付与剤を粘着剤層等に配合すると、透過鮮明度が著しく低下してしまうことがある。しかしながら、本実施形態によれば、粘着付与剤を配合する場合であっても、透明鮮明度の低下を効果的に抑制できる。具体的には、粘着剤層32は、アクリル系粘着剤と粘着付与剤とを含む粘着剤組成物から形成されることが好ましい。粘着剤層32が粘着付与剤を含有する場合、その配合割合は、粘着剤100質量部に対して、通常5~100質量部、好ましくは、10~70質量部である。
【0069】
本実施形態に係る粘着テープ30は、粘着剤層32を構成する粘着剤の23℃における貯蔵弾性率が、0.01MPa以上であることが好ましく、0.03MPa以上であることがより好ましく、0.05MPa以上であることが更に好ましい。また、上記23℃における貯蔵弾性率は、1.00MPa以下であることが好ましく、0.50MPa以下であることがより好ましく、0.20MPa以下であることが更に好ましく、0.10MPa以下であることがより更に好ましい。この貯蔵弾性率は、JIS K 7244-6に準拠して、測定周波数1Hzにてねじりせん断法により測定することができる。
【0070】
粘着剤層32は、上述した粘着剤を含む塗布液を塗布・加熱することによって形成することができる。塗布方法は、特に限定されず、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーブレードコーター、グラビアコーター、バーコーター、多段ロールコーター等の各種塗工装置を適宜選択して塗布する方法を採用することができる。
【0071】
粘着剤を含む塗布液(粘着剤組成物)の固形分濃度は、通常10~60質量%である。一般的に、塗布液の固形分濃度が高くなると、塗工後の粘着剤層32の面状態が悪く、粘着剤層32自体の透過鮮明度が低下しやすくなるが、本実施形態に係る粘着テープ30は、上述の剥離紙20を用いるため、粘着剤組成物の固形分濃度が高くても、粘着テープ30の透過鮮明度を抑制するという効果が期待できる。具体的には、粘着剤層32の塗布液の固形分濃度は40質量%以上であってもよい。
【0072】
粘着剤層32の厚みは、特に限定されないが、5~200μmであることが好ましい。この厚みの下限は、10μm以上であることがより好ましい。また、この厚みの上限は、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましく、30μm以下であることがより更に好ましい。
【0073】
なお、粘着テープ30の粘着剤層32とは反対側の表面(最表層の表面)上に、さらに、印刷受容層や印刷層等を設けてもよい。
【0074】
さらに、粘着テープ30は、トナーやインク等を保護するために、粘着テープ30又は印刷受容層の表面(最表層の表面)の上に、コーティング剤を塗布して、コーティング層を設けてもよい。従来公知のラミネートフィルムを設けてもよい。
【0075】
<粘着シートの透過鮮明度>
【0076】
粘着シートの透過鮮明度は、好ましくは40%以上であり、より好ましくは45%以上であり、更に好ましくは48%以上、50%以上のいずれかであってもよい。透過鮮明度が高いほど、粘着シート越しに、被着体が鮮明に視認できる。また、粘着シートがガラス、ペットボトル等の透明な被着体に貼付された状態であっても、粘着シート及び被着体を介した視認性がより高くなる。粘着シートの透過鮮明度の上限値は、特に限定されないが、通常100%以下、更には80%以下、より更には60%以下であってもよい。粘着シートの透過鮮明度とは、実施例で後述するように、JIS K 7374:2007に準拠して、照射光を透過させるスリットを、0.25mm巾を持つ光学櫛を用いて形成させて(スリット幅0.25mm)、粘着シートについて、写像性(像鮮明度)の評価値を取得したときの値を意味する。
【0077】
以上説明してきたように、本実施形態に係る剥離紙原紙10は、粘着テープ30の透過鮮明度が低下しにくく、環境負荷を低減させることが可能である。そのため、剥離紙原紙10は、環境に優しい剥離紙20として好適に使用可能であり、剥離紙20を使用した粘着テープ30は、例えば、各種オーバーラミネート用ラベル、さらには、管理用途(例えば、物品管理用ラベル、工程管理用ラベル、物流管理用ラベル等)、文具事務用品(目隠しラベル、ファンシーラベル等)、販売促進用及び広告宣伝用(例えば、POP用ラベル)、その他各種遊具用途等の各種ラベル等として好適に使用できる。
【実施例0078】
以下の実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0079】
<実施例1>
【0080】
1.基材の作製
【0081】
ユーカリ属を原料とする南方系広葉樹晒クラフトパルプ(表1中「LBKP2」)を水中でショッパー・リグラー法による叩解度が42°SRとなるように叩解処理し、これを水に分散して濃度約1.0質量%のパルプ分散液を得た。このパルプ分散液中のパルプ100質量部に対して、サイズ剤としてロジンサイズ剤0.4質量部及び定着剤として硫酸アルミニウム0.2質量部をそれぞれ添加し、パルプスラリーを得た。次いで、このパルプスラリーを、長網多筒式抄紙機を用いて抄紙して、坪量59g/m2の基材11を得た。基材11の厚みは49μmであった。なお、この基材11はポリオレフィンを含有しないものである。
【0082】
2.剥離紙原紙の作製
【0083】
(目止め層用塗工液の調製)
下記配合からなる配合物を撹拌分散して、目止め層用塗工液1、目止め層用塗工液2を調製した。
【0084】
<目止め層用塗工液1>
・ポリビニルアルコール(鹸化度98モル%、分子量75,000)100質量部
・水550質量部
【0085】
<目止め層用塗工液2>
・酸化澱粉80質量部
・ポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、分子量75,000)5質量部
・スチレン系樹脂(スチレン-ブタジエン樹脂、ガラス転移温度-3℃)40質量部
(バインダー樹脂の総量は、125質量部)
・扁平板状のカオリン(平均粒径4.3μm)350質量部
・水1800質量部
【0086】
「1.基材の作製」で得られた基材11の一方の面に、目止め層用塗工液1を乾燥重量で塗布量が1.0g/m2となるように塗布し、乾燥することにより、第1の目止め層(不図示)を形成した。形成された第1の目止め層の厚みは1μmであった。
【0087】
続いて、目止め層用塗工液2を、乾燥重量で塗布量が5.2g/m
2となるように、第1の目止め層上に塗布し、乾燥させ、更にスーパーカレンダーロールを通すことにより、第2の目止め層(不図示)を形成し、剥離紙原紙10(基材11/目止め層12(=第1の目止め層/第2の目止め層)、
図1参照)を得た。形成された第2の目止め層の厚みは、5μmであった(すなわち、目止め層12の厚さは合計で、6μm)。なお、この剥離紙原紙10は、ポリオレフィン層を含有しないものである。
【0088】
3.剥離紙の作製
【0089】
「2.剥離紙原紙の作製」で得られた剥離紙原紙10の第2の目止め層上に、シリコーン系剥離剤(信越化学工業社製、「KNS-3051」)を、乾燥重量で塗布量が1.7g/m
2となるように塗布し、150℃、30秒で硬化させることにより、剥離剤層21を形成し、剥離紙20(基材11/第1の目止め層/第2の目止め層/剥離剤層21、
図2参照)を得た。
【0090】
4.粘着テープの作製
【0091】
アクリル系樹脂(アクリル酸n-ブチル/アクリル酸=98/2、モノマー比)100質量部、ロジンエステル系粘着付与剤(軟化点:100℃)30質量部、イソシアネート系架橋剤(東ソー社製、「コロネートL」)1.5質量部及び溶媒を混合し、アクリル系粘着剤組成物を得た。なお、このアクリル系粘着剤組成物の23℃における貯蔵弾性率は、0.07MPaであった。貯蔵弾性率は、JIS K 7244-6に準拠し、粘弾性測定装置(Physica社製、製品名「MCR300」)を用いて、ねじりせん断法により、測定周波数1Hzの条件で、貯蔵弾性率(MPa)を測定した。
【0092】
上記粘着剤組成物を、乾燥重量で塗布量が20g/m
2となるように「3.剥離紙の作製」で得られた剥離紙20上に塗布し、得られた塗膜を乾燥して粘着剤層32(厚み20μm)を形成した。ついで、粘着剤層32の表面を、透明樹脂基材31であるPET基材(厚み50μm)と貼り合わせて粘着テープ30(基材11/第1の目止め層/第2の目止め層/剥離剤層21/粘着剤層32/透明樹脂基材31、
図3参照)を作製した。
【0093】
<実施例2~3>
【0094】
表1に示す内容に変更した点以外は、実施例1と同様にして、剥離紙原紙10、剥離紙20及び粘着テープ30を作製した。
【0095】
<実施例4>
【0096】
パルプの種類を、針葉樹晒クラフトパルプ(表1中「NBKP」)30質量部、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP2)70質量部の割合に変更し、さらに、第2の目止め層の塗布量を4.4g/m2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして剥離紙原紙10、剥離紙20及び粘着テープ30を作製した。
【0097】
<実施例5>
【0098】
パルプの種類を、アスペン属を原料とする北方系広葉樹晒クラフトパルプ(表1中「LBKP1」)100質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして剥離紙原紙10、剥離紙20及び粘着テープ30を作製した。
【0099】
<比較例1~2>
【0100】
表1に示す内容に変更した点以外は、実施例1と同様にして、剥離紙原紙、剥離紙及び粘着テープを作製した。なお、比較例2は、第2の目止め層を設けていないものである。
【0101】
<比較例3>
【0102】
基材の一方の面に、目止め層として、低密度ポリエチレン(ISO 1872-1:1993に準じて測定されるメルトマスフローレイト(MFR):4.5g/10min,密度:923kg/m3)を、厚み17μmになるように溶融押出ラミネートした後、連続して、表面が鏡面加工された冷却ロール(鏡面ロール)と押圧ロールとの間を、第1のポリオレフィン層が鏡面ロールに接するように通してスーパーカレンダー処理することにより、ポリオレフィン層を形成した。表1に示す内容に変更した点以外は、実施例1と同様にして、剥離紙原紙、剥離紙及び粘着テープを作製した。
【0103】
<評価方法>
【0104】
(地合い)
剥離用原紙の地合いは、太陽光及び蛍光灯の下において、透過でB4サイズの剥離用原紙を目視により観察し、以下の基準に基づき、3段階で評価した。「3」が最も優れている。
3:面内での透過光の強度コントラスト差が殆どなく透過光の強さが一様である。
2:面内での透過光の強度コントラスト差がややある。
1:面内での透過光の強度コントラスト差をはっきり確認できる。
【0105】
(透過鮮明度)
スガ試験機社製、写像性測定器「ICM-10P」を使用し、JIS K 7374-2007に準拠して測定した。測定角度は、0°で、光学櫛のスリット(スリット幅:0.25mm)の値を「透過鮮明度」と表した。なお、透過鮮明度は、粘着テープ30から剥離紙20を剥がした「透明樹脂基材31/粘着剤層32」の2層について測定した。具体的には、この2層を、厚さ2mmのソーダライムガラスに、空隙がないようにラミネーターで貼付したものを、測定試料とした。
【0106】
表1に、各実施例及び各比較例の条件及び結果を示す。
【0107】
【0108】
以上より、本実施例によれば、粘着テープの透過鮮明度が低下しにくく、環境負荷を低減できる剥離紙原紙、剥離紙、及び粘着テープが得られることが、少なくとも確認された。