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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143534
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】光デバイス及び光受信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/67 20130101AFI20230928BHJP
   G02F 2/00 20060101ALI20230928BHJP
   G02B 27/28 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H04B10/67
G02F2/00
G02B27/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050955
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】目崎 明年
(72)【発明者】
【氏名】石坂 哲男
【テーマコード(参考)】
2H199
2K102
5K102
【Fターム(参考)】
2H199AA02
2H199AA04
2H199AA06
2H199AA07
2H199AA09
2H199AA13
2H199AA14
2H199AA15
2H199AA22
2H199AA30
2H199AA33
2H199AA36
2H199AA92
2H199AA96
2K102BA40
2K102BD01
2K102EB01
2K102EB20
2K102EB22
5K102AA15
5K102PH15
5K102PH22
5K102PH23
5K102PH24
5K102PH43
5K102PH47
(57)【要約】
【課題】一部のアイソレータの構成を簡易化することで光受信器全体の小型化を図る光デバイス等を提供することを目的とする。
【解決手段】光デバイスは、入射光を光増幅する光増幅器と、光増幅器の入力段に配置され、入射光を光増幅器に入射する第1のアイソレータと、光増幅器の出力段に配置され、光増幅器にて光増幅後の入射光を入射する第2のアイソレータとを有する。第1のアイソレータは、ランダム偏光の入射光から第1の直線偏光の入射光に変換して透過され、透過された第1の直線偏光の入射光を光増幅器に入射する。第2のアイソレータは、光増幅器にて光増幅後の第1の直線偏光の入射光に対する反射光を逆方向から入射した場合に、第1の直線偏光の反射光を直交する第2の直線偏光の反射光に変換する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を光増幅する光増幅器と、前記光増幅器の入力段に配置され、前記入射光を前記光増幅器に入射する第1のアイソレータと、前記光増幅器の出力段に配置され、前記光増幅器にて光増幅後の入射光を入射する第2のアイソレータとを有し、
前記第1のアイソレータは、
ランダム偏光の入射光から第1の直線偏光の入射光に変換して透過され、透過された前記第1の直線偏光の入射光を前記光増幅器に入射し、
前記第2のアイソレータは、
前記光増幅器にて光増幅後の第1の直線偏光の入射光に対する反射光を逆方向から入射した場合に、前記第1の直線偏光の反射光を直交する第2の直線偏光の反射光に変換することを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記第1のアイソレータは、
前記ランダム偏光の入射光が変換された平行光を互いに直交する第1の直線偏光及び第2の直線偏光に分離する複屈折結晶と、
前記複屈折結晶で分離された前記第1の直線偏光及び前記第2の直線偏光を第1の偏光方向に45度回転する非相反性のファラデー回転子と、
前記ファラデー回転子にて前記第1の偏光方向に45度回転された前記第2の直線偏光を前記第1の偏光方向に45度回転することで、前記第1の偏光方向に45度回転後の第2の直線偏光が第1の直線偏光となる第1の波長板と、
前記ファラデー回転子にて前記第1の偏光方向に45度回転された前記第1の直線偏光を前記第1の偏光方向と逆方向である第2の偏光方向に45度回転することで前記第1の偏光方向が0度となる第1の直線偏光となる第2の波長板と、
前記第1の波長板からの第1の直線偏光及び、前記第2の波長板からの第1の直線偏光から、前記第1の直線偏光の入射光のみを透過するポラライザと、
前記ポラライザにて透過された前記第1の直線偏光の入射光を集光して前記光増幅器に入射するレンズと、
を順次配置することで、前記複屈折結晶から前記光増幅器への順方向に流れる前記第1の直線偏光の入射光を前記光増幅器に入射することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記レンズは、
前記光増幅器からランダム偏光の自然放出光を入射した場合に、前記自然放出光を平行光に変換し、
前記ポラライザは、
前記レンズから前記自然放出光の平行光を入射した場合に、入射した前記自然放出光の平行光を同一偏光成分の第1の直線偏光に分離し、分離された同一偏光成分の前記第1の直線偏光が前記第1の波長板及び前記第2の波長板に入射され、
前記第1の波長板は、
前記ポラライザで分離された一方の第1の直線偏光を前記第2の偏光方向に45度回転し、
前記第2の波長板は、
前記ポラライザで分離された他方の第1の直線偏光を前記第1の偏光方向に45度回転し、
前記ファラデー回転子は、
前記第1の波長板からの前記第2の偏光方向に45度回転後の第1の直線偏光を前記第1の偏光方向に45度回転することで合計0度回転後の第1の直線偏光となると共に、前記第2の波長板からの前記第1の偏光方向に45度回転後の第1の直線偏光を前記第1の偏光方向に45度回転することで合計90度回転の第1の直線偏光である第2の直線偏光とし、
前記複屈折結晶は、
前記ファラデー回転子からの前記第1の直線偏光と前記第2の直線偏光とが光結合しない方向に屈折して前記自然放出光の逆方向からの出射を遮断することを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記第2のアイソレータは、
前記光増幅器の光増幅後の前記第1の直線偏光の入射光を入射した場合に、前記第1の直線偏光の入射光から前記第1の直線偏光を透過する偏光ビームスプリッタと、
前記偏光ビームスプリッタで透過した前記第1の直線偏光を前記第1の偏光方向に45度回転することで、45度回転後の前記第1の直線偏光の入射光を出射する非相反性の他のファラデー回転子と、を有し、
前記他のファラデー回転子は、
前記45度回転後の前記第1の直線偏光の前記入射光に対する反射光を逆方向から入射した場合に、前記反射光を前記第1の偏光方向に45度回転することで、前記第1の偏光方向に45度回転後の第1の直線偏光の反射光を第2の直線偏光の反射光とし、
前記偏光ビームスプリッタは、
前記他のファラデー回転子から前記第2の直線偏光の反射光の前記光増幅器への入射を遮断することを特徴とする請求項3に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記第2のアイソレータは、
前記光増幅器の光増幅後の前記第1の直線偏光の入射光を入射した場合に、前記第1の直線偏光の入射光から前記第1の直線偏光を屈折して透過する他の複屈折結晶と、
前記他の複屈折結晶で透過した前記第1の直線偏光を前記第1の偏光方向に45度回転することで、45度回転後の前記第1の直線偏光の入射光を出射する非相反性の他のファラデー回転子と、を有し、
前記他のファラデー回転子は、
前記45度回転後の前記第1の直線偏光の前記入射光に対する反射光を逆方向から入射した場合に、前記反射光を前記第1の偏光方向に45度回転することで、45度回転後の第1の直線偏光の反射光を第2の直線偏光の反射光とし、
前記他の複屈折結晶は、
前記他のファラデー回転子から前記第2の直線偏光の反射光を屈折して前記光増幅器への光路から外れることで前記光増幅器への入射を遮断することを特徴とする請求項3に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記光増幅器は、
前記第1の直線偏光の入射光を光増幅すると共に、前記第1の直線偏光の光増幅率に比較して前記第1の直線偏光以外の偏光成分の光増幅率を抑制する偏光依存性の光増幅器であって、
前記第2のアイソレータは、
前記光増幅器の光増幅後の前記第1の直線偏光の入射光を入射した場合に、前記第1の直線偏光の入射光を前記第1の偏光方向に45度回転することで、45度回転後の前記第1の直線偏光の入射光を出射する非相反性の他のファラデー回転子を有し、
前記他のファラデー回転子は、
前記45度回転後の前記第1の直線偏光の入射光に対する反射光を逆方向から入射した場合に、前記反射光を前記第1の偏光方向に45度回転することで、45度回転後の第1の直線偏光の反射光を第2の直線偏光の反射光とし、当該第2の直線偏光の反射光を前記光増幅器に入射することを特徴とする請求項3に記載の光デバイス。
【請求項7】
入射光を光増幅する光増幅器と、前記光増幅器の入力段に配置され、前記入射光を前記光増幅器に入射する第1のアイソレータと、前記光増幅器の出力段に配置され、前記光増幅器にて光増幅後の入射光を入射する第2のアイソレータと、前記第2のアイソレータから前記光増幅後の入射光を受光する受光素子とを有する光受信装置であって、
前記第1のアイソレータは、
ランダム偏光の入射光から第1の直線偏光の入射光に変換して透過され、透過された前記第1の直線偏光の入射光を前記光増幅器に入射し、
前記第2のアイソレータは、
前記光増幅器にて光増幅後の第1の直線偏光の入射光に対する反射光を逆方向から入射した場合に、前記第1の直線偏光の反射光を直交する第2の直線偏光の反射光に変換することを特徴とする光受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス及び光受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伝送距離の長距離化への要求に伴って、光ファイバからの入射光を光増幅するSOA(Semiconductor Optical Amplifier:半導体光増幅器)を内蔵した光受信器が増えている。このような光受信器では、SOAの内蔵に伴って、SOAの前後にアイソレータを配置するものが広く知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-221447号公報
【特許文献2】米国特許第5446578号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0147136号明細書
【特許文献4】特開2004-264368号公報
【特許文献5】特開2003-287713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の光受信器では、SOAの前段や後段に配置するアイソレータが、例えば、複数の複屈折結晶、ファラデー回転子や偏光部等を含むため、アイソレータの構成が複雑化している。その結果、SOAを内蔵する光受信器全体の小型化を図るのは困難である。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、一部のアイソレータの構成を簡易化することで光受信器全体の小型化を図る光デバイス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願が開示する光デバイスは、1つの態様において、入射光を光増幅する光増幅器と、光増幅器の入力段に配置され、入射光を光増幅器に入射する第1のアイソレータと、光増幅器の出力段に配置され、光増幅器にて光増幅後の入射光を入射する第2のアイソレータとを有する。第1のアイソレータは、ランダム偏光の入射光から第1の直線偏光の入射光に変換して透過され、透過された第1の直線偏光の入射光を前記光増幅器に入射する。第2のアイソレータは、光増幅器にて光増幅後の第1の直線偏光の入射光に対する反射光を逆方向から入射した場合に、第1の直線偏光の反射光を直交する第2の直線偏光の反射光に変換する。
【発明の効果】
【0007】
本願が開示する光デバイス等の1つの態様によれば、一部のアイソレータの構成を簡易化することで光受信器全体の小型化を図る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施例の光通信装置の構成の一例を示す説明図である。
図2図2は、実施例1の光受信器の構成の一例を示す説明図である。
図3図3は、実施例1の光受信器内の第1のアイソレータの入射光、第2のアイソレータの入射光、第1のアイソレータのASE光及び第2のアイソレータの反射光に対する偏光状態の一例を示す説明図である。
図4図4は、実施例2の光受信器の構成の一例を示す説明図である。
図5図5は、実施例2の光受信器内の第1のアイソレータの入射光、第3のアイソレータの入射光、第1のアイソレータのASE光及び第3のアイソレータの反射光に対する偏光状態の一例を示す説明図である。
図6図6は、実施例3の光受信器の構成の一例を示す説明図である。
図7図7は、実施例3の光受信器内の第1のアイソレータの入射光、第4のアイソレータの入射光、第1のアイソレータのASE光及び第4のアイソレータの反射光に対する偏光状態の一例を示す説明図である。
図8図8は、比較例の光受信器の構成の一例を示す説明図である。
図9図9は、比較例の光受信器内の前段側アイソレータの入射光、後段側アイソレータの入射光、前段側アイソレータのASE光及び後段側アイソレータの反射光に対する偏光状態の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図8は、比較例の光受信器100の構成の一例を示す説明図である。図8に示す光受信器100は、コリメートレンズ101と、前段側アイソレータ102A(102)と、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)103と、後段側アイソレータ102B(102)とを有する。更に、光受信器100は、DEMUX(Demultiplexer)104と、集光レンズ105と、PD(Photo Diode)素子106と、TIA(Transimpeadance Amplifier)107とを有する。コリメートレンズ101は、光ファイバからのランダム偏光の入射光を平行光の入射光に変換するレンズである。尚、入射光は、例えば、波長多重光である。入射光が単波の場合にはDEMUX104は不要となる。
【0010】
前段側アイソレータ102Aは、コリメートレンズ101とSOA103との間に配置されている。前段側アイソレータ102Aは、コリメートレンズ101からSOA103への順方向の機能として、コリメートレンズ101から入射した平行光の入射光を直交状態の直線偏光の入射光に変換し、変換後の直交状態の直線偏光の入射光をSOA103に出射する。また、前段側アイソレータ102Aは、SOA103からコリメートレンズ101への逆方向の機能として、SOA103から光ファイバへのASE(ASE:Amplified Spontaneous Emission)光の入射を遮断する。尚、ASE光は、SOA103の光増幅に応じて発生する自然放出光である。
【0011】
SOA103は、前段側アイソレータ102Aからの直交状態の直線偏光の入射光を光増幅する半導体光増幅器である。後段側アイソレータ102Bは、SOA103とDEMUX104との間に配置され、SOA103からDEMUX104への順方向の機能として、SOA103で光増幅した直交状態の直線偏光の入射光をDEMUX104に出射する。更に、後段側アイソレータ102Bは、DEMUX104からSOA103への逆方向の機能として、PD素子106からSOA103への反射光の入射を遮断する。尚、反射光は、直交状態の直線偏光の入射光がPD素子106の受光面で反射した光である。
【0012】
DEMUX104は、後段側アイソレータ102Bから入射した直交状態の直線偏光の入射光である波長多重光を波長単位で分離し、分離した波長光を、波長光に対応した各集光レンズ105に入射する。集光レンズ105、PD素子106及びTIA107は、波長単位毎に備えるものとする。
【0013】
各集光レンズ105は、DEMUX104で分離した波長光が、波長光に対応したPD素子106に入力するように集光する。各PD素子106は、集光レンズ105からの波長光を電流変換し、電流変換後の電流信号を、波長光に対応したTIA107に出力する。各TIA107は、PD素子106からの電流信号を電圧信号に変換し、変換後の電圧信号をDSP(Digital Signal Processor)に出力する。
【0014】
図9は、比較例の光受信器100内の前段側アイソレータ102Aの入射光、後段側アイソレータ102Bの入射光、前段側アイソレータ102AのASE光及び後段側アイソレータ102Bの反射光に対する偏光状態の一例を示す説明図である。
【0015】
前段側アイソレータ102Aは、前段側の複屈折結晶111と、ファラデー回転子112と、偏光部113と、後段側の複屈折結晶114とを有する。前段側の複屈折結晶111は、コリメートレンズ101から平行光の入射光が入射されると、平行光の入射光を互いに直交する直交状態の直線偏光である垂直偏光成分及び水平偏光成分に屈折して分離する光部品である。垂直偏光成分は、光路が垂直方向の偏光成分、水平偏光成分は、光路が水平方向の偏光成分である。ファラデー回転子112は、磁界の方向に一致する方向に進行する直線偏光が入射されると、直線偏光の偏光方向を時計回りに45度回転する非相反性の光部品である。ファラデー回転子112は、前段側の複屈折結晶111で分離された垂直偏光成分及び水平偏光成分の偏光方向を時計回りに45度回転する。
【0016】
偏光部113は、入射した直線偏光の偏光方向を時計回りに45度回転する第1の波長板113A及び第2の波長板113Bを有する光部品である。第1の波長板113Aは、ファラデー回転子112で45度回転後の垂直偏光成分の偏光方向を時計回りに45度回転することで水平偏光成分の直線偏光にする。第2の波長板113Bは、ファラデー回転子112で45度回転後の水平偏光成分の偏光方向を時計回りに45度回転することで垂直偏光成分の直線偏光にする。後段側の複屈折結晶114は、第1の波長板113Aからの水平偏光成分の直線偏光と、第2の波長板113Bからの垂直偏光成分の直線偏光とを屈折して合波することで直交状態の直線偏光にする。
【0017】
SOA103は、前段側のレンズ103Aと、SOA本体103Bと、後段側のレンズ103Cとを有する。前段側のレンズ103Aは、前段側アイソレータ102A内の後段側の複屈折結晶114から直交状態の直線偏光の入射光をSOA本体103B内の光増幅領域に集光するレンズである。SOA本体103Bは、前段側のレンズ103Aで集光された直交状態の直線偏光の入射光を光増幅する。後段側のレンズ103Cは、SOA本体103Bで光増幅後の直交状態の直線偏光の入射光を平行光に変換するレンズである。
【0018】
先ず、前段側アイソレータ102A内のコリメートレンズ101からSOA103への順方向に流れる入射光の偏光状態について説明する。前段側アイソレータ102A内の前段側の複屈折結晶111は、コリメートレンズ101から平行光の入射光が入射されると、平行光の入射光を互いに直交する直線偏光である垂直偏光成分及び水平偏光成分に分離する。ファラデー回転子112は、前段側の複屈折結晶111で分離した垂直偏光成分及び水平偏光成分の偏光方向を時計回りに45度回転する。
【0019】
偏光部113内の第1の波長板113Aは、ファラデー回転子112で時計回りに45度回転後の垂直偏光成分を時計回りに45度回転して水平偏光成分の直線偏光になる。偏光部113内の第2の波長板113Bは、ファラデー回転子112で時計回りに45度回転後の水平偏光成分を時計回りに45度回転して垂直偏光成分の直線偏光になる。後段側の複屈折結晶114は、第1の波長板113Aからの水平偏光成分の直線偏光と第2の波長板113Bからの垂直偏光成分の直線偏光とを屈折して合波することで、直交状態の直線偏光である入射光をSOA103内の前段側のレンズ103Aに入射する。
【0020】
次に前段側アイソレータ102AのSOA103からコリメートレンズ101への逆方向に出射されるASE光の偏光状態について説明する。SOA103は、SOA本体103Bから発生するランダム偏光のASE光が逆方向の前段側のレンズ103Aに出射される。SOA103内の前段側のレンズ103Aは、SOA本体103Bからのランダム偏光のASE光を平行光に変換する。
【0021】
前段側アイソレータ102A内の後段側の複屈折結晶114は、前段側のレンズ103Aからの平行光のASE光が入射されると、平行光のASE光を互いに直交する水平偏光成分及び垂直偏光成分に屈折して分離する。偏光部113内の第1の波長板113Aは、後段側の複屈折結晶114で分離した水平偏光成分を反時計回りに45度回転する。偏光部113内の第2の波長板113Bは、後段側の複屈折結晶114で分離した垂直偏光成分を反時計回りに45度回転する。
【0022】
ファラデー回転子112は、順方向と逆方向とで同一方向に直線偏光の偏光方向を回転する非相反性を有する。従って、ファラデー回転子112は、第1の波長板113Aからの反時計回りに45度回転後の水平偏光成分及び第2の波長板113Bからの反時計回りに45度回転後の垂直偏光成分を時計回りに45度回転する。つまり、ファラデー回転子112は、第1の波長板113Aからの反時計回りに45度回転後の水平偏光成分を時計回りに45度回転することで水平偏光成分にする。更に、ファラデー回転子112は、第2の波長板113Bからの反時計回りに45度回転後の垂直偏光成分を時計回りに45度回転することで垂直偏光成分にする。
【0023】
そして、前段側の複屈折結晶111は、ファラデー回転子112からの水平偏光成分及び垂直偏光成分を入射したとしても、水平偏光成分と垂直偏光成分とは光結合しない方向に屈折する。つまり、前段側アイソレータ102A内の前段側の複屈折結晶111は、入射光の位置からズレた位置から出射することになる。その結果、前段側アイソレータ102Aは、前段側の複屈折結晶111で逆方向からのASE光の、コリメートレンズ101を介しての光ファイバへの入射を遮断することになる。
【0024】
後段側アイソレータ102Bも、前段側の複屈折結晶111と、ファラデー回転子112と、偏光部113と、後段側の複屈折結晶114とを有する。尚、後段側アイソレータ102Bの内部構成は、前段側アイソレータ102Aと同一の構成である。
【0025】
次に後段側アイソレータ102BのSOA103からDEMUX104への順方向に流れる入射光の偏光状態について説明する。後段側アイソレータ102B内の前段側の複屈折結晶111は、SOA103から光増幅後の直交状態の直線偏光の入射光が順方向から入射されると、直交状態の直線偏光の入射光を垂直偏光成分及び水平偏光成分に屈折して分離する。ファラデー回転子112は、前段側の複屈折結晶111で分離した垂直偏光成分及び水平偏光成分を時計回りに45度回転する。
【0026】
偏光部113内の第1の波長板113Aは、ファラデー回転子112で時計回りに45度回転後の垂直偏光成分を時計回りに45度回転することで水平偏光成分の直線偏光にする。偏光部113内の第2の波長板113Bは、ファラデー回転子112で時計回りに45度回転後の水平偏光成分を時計回り45度回転することで垂直偏光成分の直線偏光にする。更に、後段側の複屈折結晶114は、第1の波長板113Aからの水平偏光成分と第2の波長板113Bからの垂直偏光成分とを屈折して合波する。そして、後段側の複屈折結晶114は、合波した直交状態の直線偏光の入射光をDEMUX104に入射することになる。
【0027】
次に後段側アイソレータ102BのPD素子106からSOA103への逆方向に流れる反射光に対する偏光状態について説明する。後段側アイソレータ102B内の後段側の複屈折結晶114は、DEMUX104経由でPD素子106からの直交状態の直線偏光の反射光が逆方向から入射されると、反射光を水平偏光成分及び垂直偏光成分に屈折して分離する。偏光部113内の第1の波長板113Aは、後段側の複屈折結晶114で分離した水平偏光成分を反時計回りに45度回転する。偏光部113内の第2の波長板113Bは、後段側の複屈折結晶114で分離した垂直偏光成分を反時計回りに45度回転する。
【0028】
ファラデー回転子112は、順方向と逆方向とで同一方向に直線偏光の偏光方向を回転する非相反性を有する。ファラデー回転子112は、第1の波長板113Aからの反時計回りに45度回転後の水平偏光成分及び第2の波長板113Bからの反時計回りに45度回転後の垂直偏光成分を時計回りに45度回転する。つまり、ファラデー回転子112は、第1の波長板113Aからの反時計回りに45度回転後の水平偏光成分を時計回りに45度回転することで水平偏光成分にする。ファラデー回転子112は、第2の波長板113Bからの反時計回りに45度回転後の垂直偏光成分を時計回りに45度回転することで垂直偏光成分にする。
【0029】
そして、前段側の複屈折結晶111は、ファラデー回転子112からの水平偏光成分及び垂直偏光成分を入射したとしても、水平偏光成分と垂直偏光成分とは光結合しない方向に屈折する。つまり、後段側アイソレータ102B内の前段側の複屈折結晶111は、入射光の位置からズレた位置から出射することになる。その結果、後段側アイソレータ102Bは、前段側の複屈折結晶111で逆方向からの反射光の、レンズ103Cを介してのSOA103への入射を遮断することになる。
【0030】
しかしながら、比較例の光受信器100では、前段側アイソレータ102A及び後段側アイソレータ102Bの内部構成が複雑であるので、光受信器100全体の小型化を図るのが困難である。そこで、このような事態に対処する光受信器等の光デバイス等の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【実施例0031】
図1は、本実施例の光通信装置1の構成の一例を示す説明図である。図1に示す光通信装置1は、出力側の光ファイバ2A(2)及び入力側の光ファイバ2B(2)と接続する。光通信装置1は、DSP(Digital Signal Processor)3と、光変調器4を内蔵した光送信器5と、光受信器6とを有するデジタル送受信機である。DSP3は、デジタル信号処理を実行する電気部品である。DSP3は、例えば、送信データの符号化等の処理を実行し、送信データを含む電気信号を生成し、生成した電気信号(電圧信号)を光送信器5に出力する。また、DSP3は、受信データを含む電気信号(電圧信号)を光受信器6から取得し、取得した電気信号の復号等の処理を実行して受信データを得る。光変調器4は光送信器5の外部に配置しても良い。
【0032】
図2は、実施例1の光受信器6の構成の一例を示す説明図である。図2に示す光受信器6は、コリメートレンズ11と、第1のアイソレータ12と、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)13と、第2のアイソレータ14と、DEMUX(Demultiplexer)15とを有する。更に、光受信器6は、集光レンズ16と、PD(Photo Diode)素子17と、TIA(Transimpeadance Amplifier)18とを有する。コリメートレンズ11は、光ファイバ2Bからのランダム偏光の入射光を平行光の入射光に変換するレンズである。尚、入射光は、例えば、波長多重光である。
【0033】
第1のアイソレータ12は、コリメートレンズ11とSOA13との間に配置されている。第1のアイソレータ12は、コリメートレンズ11からSOA13への順方向の機能として、コリメートレンズ11から入射した平行光の入射光を直線偏光の入射光に変換し、変換後の直線偏光の入射光をSOA13に出射する。第1のアイソレータ12は、SOA13からコリメートレンズ11への逆方向の機能として、SOA13から光ファイバ2BへのASE(ASE:Amplified Spontaneous Emission)光の入射を遮断する。尚、ASE光は、SOA13の光増幅に応じて発生する自然放出光である。
【0034】
SOA13は、第1のアイソレータ12からの直線偏光の入射光を光増幅する半導体光増幅器である。第2のアイソレータ14は、SOA13とDEMUX15との間に配置され、SOA13からDEMUX15への順方向の機能として、SOA13で光増幅した直線偏光の入射光をDEMUX15に出射する。第2のアイソレータ14は、DEMUX15からSOA13への逆方向の機能として、PD素子17からのSOA13への反射光の入射を遮断する。尚、反射光は、直線偏光の入射光がPD素子17の受光面で反射した光である。
【0035】
DEMUX15は、第2のアイソレータ14から入射した直線偏光の入射光である波長多重光を波長単位で分離し、分離した波長光を、波長光に対応した各集光レンズ16に入射する。集光レンズ16、PD素子17及びTIA18は、波長単位毎に備えるものとする。
【0036】
各集光レンズ16は、DEMUX15で分離した波長光が、波長光に対応したPD素子17に入射するように集光する。各PD素子17は、集光レンズ16からの波長光を電流変換し、電流変換後の電流信号を、波長光に対応したTIA18に出力する。各TIA18は、PD素子17からの電流信号を電圧信号に変換し、変換後の電圧信号をDSP3に出力する。
【0037】
図3は、実施例1の光受信器6内の第1のアイソレータ12の入射光、第2のアイソレータ14の入射光、第1のアイソレータ12のASE光及び第2のアイソレータ14の反射光に対する偏光状態の一例を示す説明図である。
【0038】
第1のアイソレータ12は、複屈折結晶21と、第1のファラデー回転子22と、偏光部23と、ポラライザ24と、レンズ25とを有する。複屈折結晶21は、コリメートレンズ11から平行光の入射光が入射されると、平行光の入射光を互いに直交する直線偏光である垂直偏光成分及び水平偏光成分に屈折して分離する光部品である。尚、説明の便宜上、垂直偏光成分は、例えば、第2の直線偏光、水平偏光成分は、例えば、第1の直線偏光とも言うことがある。垂直偏光成分は、光路が垂直方向の偏光成分、水平偏光成分は、光路が水平方向の偏光成分である。
【0039】
第1のファラデー回転子22は、磁界の方向に一致する方向に進行する直線偏光が入射されると、直線偏光の偏光方向を時計回りに45度回転する非相反性の光部品である。第1のファラデー回転子22は、複屈折結晶21で分離された垂直偏光成分及び水平偏光成分の偏光方向を時計回りに45度回転する。
【0040】
偏光部23は、入射した直線偏光の偏光方向を時計回りに45度回転する第1の波長板23Aと、入射した直線偏光の偏光方向を反時計回りに45度回転する第2の波長板23Bとを有する光部品である。第1の波長板23Aは、第1のファラデー回転子22で時計回りに45度回転後の垂直偏光成分の偏光方向を時計回りに45度回転することで水平偏光成分の直線偏光にする。第2の波長板23Bは、第1のファラデー回転子22で時計回りに45度回転後の水平偏光成分の偏光方向を反時計回りに45度回転することで水平偏光成分の直線偏光にする。
【0041】
ポラライザ24は、第1の波長板23Aからの水平偏光成分及び第2の波長板23Bからの水平偏光成分の直線偏光から水平偏光成分のみを透過する光部品である。レンズ25は、ポラライザ24から透過した水平偏光成分の直線偏光を集光する光部品である。
【0042】
SOA13は、SOA本体13Aと、後段側のレンズ13Bとを有する。SOA本体13Aは、第1のアイソレータ12内のレンズ25で集光された直線偏光の水平偏光成分の入射光を光増幅する。尚、レンズ25は、集光した水平偏光成分の直線偏光の入射光をSOA13内のSOA本体13Aの光増幅領域に入射する。後段側のレンズ13Bは、SOA本体13Aで光増幅後の入射光を平行光に変換するレンズである。
【0043】
先ず、第1のアイソレータ12内のコリメートレンズ11からSOA13への順方向に流れる入射光の偏光状態について説明する。第1のアイソレータ12内の複屈折結晶21は、コリメートレンズ11から平行光の入射光が入射されると、平行光の入射光を互いに直交する直線偏光である垂直偏光成分及び水平偏光成分に屈折して分離する。第1のファラデー回転子22は、複屈折結晶21で分離した垂直偏光成分及び水平偏光成分の偏光方向を時計回りに45度回転する。
【0044】
偏光部23内の第1の波長板23Aは、第1のファラデー回転子22で時計回りに45度回転後の垂直偏光成分を時計回りに45度回転して水平偏光成分の直線偏光にする。偏光部23内の第2の波長板23Bは、第1のファラデー回転子22で時計回りに45度回転後の水平偏光成分を反時計回りに45度回転して水平偏光成分の直線偏光にする。そして、ポラライザ24は、第1の波長板23Aからの水平偏光成分及び第2の波長板23Bからの水平偏光成分から水平偏光成分の直線偏光のみを透過する。レンズ25は、ポラライザ24の透過後の水平偏光成分の直線偏光を集光する。そして、レンズ25は、集光後の水平偏光成分の直線偏光の入射光をSOA13の光増幅領域に入射する。
【0045】
次に第1のアイソレータ12のSOA13からコリメートレンズ11への逆方向に流れるASE光の偏光状態について説明する。SOA103は、SOA本体103Bから発生するランダム偏光のASE光が逆方向の第1のアイソレータ12内のレンズ25に入射される。第1のアイソレータ12内のレンズ25は、SOA13からのランダム偏光のASE光が逆方向から入射されると、ランダム偏光のASE光を平行光のASE光に変換する。ポラライザ24は、レンズ25からの平行光のASE光が入射されると、平行光のASE光から水平偏光成分の直線偏光のみを透過する。
【0046】
偏光部23内の第1の波長板23Aは、ポラライザ24で透過した水平偏光成分を反時計回りに45度回転する。偏光部23内の第2の波長板23Bは、ポラライザ24で透過した水平偏光成分を時計回りに45度回転する。第1のファラデー回転子22は、順方向と逆方向とで同一方向に回転する非相反性を有する。第1のファラデー回転子22は、第1の波長板23Aからの反時計回りに45度回転後の水平偏光成分を時計回りに45度回転することで水平偏光成分の直線偏光のASE光にする。第1のファラデー回転子22は、第2の波長板23Bからの時計回りに45度回転後の水平偏光成分を時計回りに45度回転することで垂直偏光成分の直線偏光のASE光にする。
【0047】
そして、複屈折結晶21は、第1のファラデー回転子22からの水平偏光成分及び垂直偏光成分の直線偏光のASE光を逆方向から入射したとしても、水平偏光成分の直線偏光と垂直偏光成分の直線偏光とは光結合しない方向に屈折する。複屈折結晶21は、第1のファラデー回転子22からの水平偏光成分が屈折することなく透過するのに対し、第1のファラデー回転子22からの垂直偏光成分が屈折して透過する。つまり、複屈折結晶21は、入射光の位置からズレた位置から出射することになる。その結果、第1のアイソレータ12は、複屈折結晶21で逆方向からのASE光のコリメートレンズ11を介しての光ファイバへの入射を遮断することになる。
【0048】
第2のアイソレータ14は、PBS(Poralization Beam Splitter)31と、第2のファラデー回転子32とを有する。PBS31は、SOA13から光増幅後の水平偏光成分の直線偏光の入射光のみを透過し、水平偏光成分以外の入射光を分岐する光部品である。第2のファラデー回転子32は、PBS31で透過された水平偏光成分の直線偏光の入射光を時計回りに45度回転する光部品である。
【0049】
次に第2のアイソレータ14のSOA13からDEMUX15への順方向に流れる入射光の偏光状態について説明する。第2のアイソレータ14内のPBS31は、SOA13から光増幅後の直線偏光の水平偏光成分の入射光が順方向から入射されると、水平偏光成分の入射光のみを透過する。第2のファラデー回転子32は、PBS31で透過した直線偏光の水平偏光成分を時計回りに45度回転する。そして、第2のファラデー回転子32は、時計回りに45度回転後の直線偏光の水平偏光成分の入射光をDEMUX15に入射することになる。
【0050】
次に第2のアイソレータ14のPD素子17からSOA13への逆方向に流れる反射光に対する偏光状態について説明する。第2のアイソレータ14内の第2のファラデー回転子32は、DEMUX15経由でPD素子17の受光面から時計回りに45度回転後の直線偏光の水平偏光成分の入射光に対する反射光が逆方向から入射する。第2のファラデー回転子32は、順方向と逆方向とで同一方向に回転する非相反性を有する。第2のファラデー回転子32は、時計回りに45度回転後の水平偏光成分の反射光が逆方向から入射されると、時計回りに45度回転後の水平偏光成分の反射光を時計回りに45度回転することで直線偏光の垂直偏光成分の反射光になる。
【0051】
PBS31は、逆方向からでも水平偏光成分のみが透過されるため、第2のファラデー回転子32からの垂直偏光成分の反射光を遮断する。その結果、第2のアイソレータ14は、第2のファラデー回転子32の逆方向からの反射光が入射光と直交する偏光方向である垂直偏光成分となるため、PBS31でSOA13への反射光を遮断できる。
【0052】
実施例1の光受信器6内の第1のアイソレータ12は、ランダム偏光の入射光から水平偏光成分の入射光を透過し、透過された水平偏光成分の入射光をSOA13に入射する。更に、第2のアイソレータ14は、SOA13にて光増幅後の水平偏光成分の入射光に対する反射光を逆方向から入射した場合に、水平偏光成分の反射光を直交する垂直偏光成分の反射光に変換する。その結果、第2のアイソレータ14は、光増幅後の水平偏光成分の入射光に対する反射光を逆方向から入射した場合、水平偏光成分の反射光を直交する垂直偏光成分の反射光に変換する。そして、SOA13の逆方向への反射光が入射光と直交するため、反射光の入射を遮断できる。
【0053】
第1のアイソレータ12は、第1のファラデー回転子22からの時計回りに45度回転後の垂直偏光成分を時計回りに45度回転することで水平偏光成分となる第1の波長板23Aを有する。更に、第1のアイソレータ12は、第1のファラデー回転子22からの時計回りに45度回転後の水平偏光成分を反時計回りに45度回転することで水平偏光成分となる第2の波長板23Bを有する。そして、ポラライザ24は、第1の波長板23Aからの水平偏光成分光及び、第2の波長板23Bからの水平偏光成分から、水平偏光成分の入射光のみを透過する。レンズ25は、第1の波長板23Aからの水平偏光成分光及び、第2の波長板23Bからの水平偏光成分をSOA13に入射する為に集光する。その結果、第1のアイソレータ12は、単一の直線偏光である水平偏光成分の偏光成分がSOA13に入射することになるため、SOA13前段の従来の集光レンズが不要になる。
【0054】
ポラライザ24は、レンズ25からASE光の平行光を入射した場合に、入射したASE光の平行光の水平偏光成分のみを透過し、第1の波長板23Aは、ポラライザ24で透過し第1の波長板23Aに入射された光の水平偏光成分を反時計回りに45度回転する。第2の波長板23Bは、ポラライザ24で透過し第2の波長板23Bに入射された光の水平偏光成分を時計回りに45度回転する。第1のファラデー回転子22は、第1の波長板23Aからの反時計回りに45度回転後の水平偏光成分を時計回りに45度回転することで合計0度回転後の水平偏光成分となる。第1のファラデー回転子22は、第2の波長板23Bからの時計回りに45度回転後の水平偏光成分を時計回りに45度回転することで合計90度回転の水平偏光成分である垂直偏光成分とする。複屈折結晶21は、第1のファラデー回転子22からの水平偏光成分と垂直偏光成分とが光結合しない方向に屈折してASE光のコリメートレンズ11を介しての光ファイバへの入射を遮断する。その結果、第1のアイソレータ12は、ポラライザ24がASE光から直線偏光の水平偏光成分のみを透過し、偏光部23で偏光回転することで、第1のファラデー回転子22で入射光とは逆の偏光成分となる。そして、SOA13からのASE光のコリメートレンズ11を介しての光ファイバへの入射を遮断できる。
【0055】
第2のアイソレータ14は、光増幅後の水平偏光成分の入射光を入射した場合に、水平偏光成分の入射光から水平偏光成分を透過するPBS31と、PBS31で透過した水平偏光成分を時計回りに45度回転する第2のファラデー回転子32とを有する。第2のファラデー回転子32は、45度回転後の水平偏光成分の入射光に対する反射光を逆方向から入射した場合に、反射光を時計回りに45度回転することで、時計回りに45度回転後の水平偏光成分の反射光を垂直偏光成分の反射光とする。更に、PBS31は、第2のファラデー回転子32から垂直偏光成分の反射光のSOA13への入射を遮断する。その結果、第2のアイソレータ14の内部構成を簡易化することで光受信器6全体の小型化を図ることができる。
【0056】
第2のアイソレータ14は、単一の直線偏光の入射光をPD素子17に入射することになるため、PD素子17の受光面から反射する反射光も単一の直線偏光であるため、比較例のような複屈折結晶及び偏光部が不要になる。
【0057】
尚、第1のアイソレータ12内のポラライザ24は、水平偏光成分のみを透過する場合を例示したが、ポラライザ24を、水平偏光成分のみを透過するPBS31に置き換えても良く、適宜変更可能である。
【0058】
また、第1のアイソレータ12内の第1のファラデー回転子22では、直線偏光を時計回りに45度回転する場合を例示したが、直線偏光を反時計回りに45度回転しても良く、適宜変更可能である。
【0059】
また、第1のアイソレータ12内の偏光部23内の第1の波長板23Aは、第1のファラデー回転子22で時計回りに45度回転後の垂直偏光成分を時計回りに45度回転して水平偏光成分にする。そして、第2の波長板23Bは、第1のファラデー回転子22で時計回りに45度回転後の水平偏光成分を反時計回りに45度回転して水平偏光成分にする場合を例示した。しかしながら、第1の波長板23Aは、第1のファラデー回転子22で時計回りに45度回転後の垂直偏光成分を反時計回りに45度回転して垂直偏光成分にする。そして、第2の波長板23Bは、第1のファラデー回転子22で時計回りに45度回転後の水平偏波成分を時計回りに45度回転して垂直偏光成分にしても良い。この場合、ポラライザ24と第2のアイソレータ14内のPBS31は、直線偏光の垂直偏光成分の入射光のみを透過し、第2のファラデー回転子32で水平偏光成分の反射光をPBS31に入射する。そして、SOA13への水平偏光成分の反射光の入射を遮断するようにしても良く、適宜変更可能である。
【0060】
実施例1の光受信器6では、ポラライザ24が透過する直線偏光の水平偏光成分を集光するレンズ25を第1のアイソレータ12内に内蔵する場合を例示したが、レンズ25は第1のアイソレータ12内になくても良く、適宜変更可能である。
【0061】
光受信器6は、PD素子17の受光面で反射する反射光のSOA13への入射を第2のアイソレータ14で遮断する場合を例示した。しかしながら、PD素子17の受光面からの反射光に限定されるものではなく、DEMUX15や集光レンズ16等からの反射光でも、同様の効果が得られる。PD素子17は、例えば、平面PDやレンズ型PDでも良く、適宜変更可能である。
【0062】
尚、実施例1の光受信器6の第2のアイソレータ14は、PBS31及び第2のファラデー回転子32で構成する場合を例示したが、これに限定されるものではなく、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
【実施例0063】
図4は、実施例2の光受信器6Aの構成の一例を示す説明図である。尚、実施例1の光受信器6と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図4に示す光受信器6Aと図2に示す光受信器6とが異なるところは、第2のアイソレータ14の代わりに、第3のアイソレータ14Aを配置した点にある。
【0064】
図5は、実施例2の光受信器6A内の第1のアイソレータ12の入射光、第3のアイソレータ14Aの入射光、第1のアイソレータ12のASE光及び第3のアイソレータ14Aの反射光に対する偏光状態の一例を示す説明図である。第3のアイソレータ14Aは、複屈折結晶41と、第3のファラデー回転子42とを有する。
【0065】
次に第3のアイソレータ14AのSOA13からDEMUX15への順方向に流れる入射光偏光状態について説明する。第3のアイソレータ14A内の複屈折結晶41は、SOA13から光増幅後の直線偏光の水平偏波成分の入射光が順方向から入射されると、水平偏光成分の入射光のみを透過する。第3のファラデー回転子42は、複屈折結晶41で透過した直線偏光の水平偏光成分を時計回りに45度回転する。そして、第3のファラデー回転子42は、時計回りに45度回転後の直線偏光の水平偏光成分の入射光をDEMUX15に入射することになる。
【0066】
次に第3のアイソレータ14AのPD素子17からSOA13への逆方向に流れる反射光に対する偏光状態について説明する。第3のアイソレータ14A内の第3のファラデー回転子42は、DEMUX15経由でPD素子17の受光面から時計回りに45度回転後の直線偏光の水平偏光成分の入射光に対する反射光が逆方向から入射する。第3のファラデー回転子42は、順方向と逆方向とで同一方向に回転する非相反性を有する。第3のファラデー回転子42は、時計回りに45度回転後の水平偏光成分の反射光が逆方向から入射されると、時計回りに45度回転後の水平偏光成分の反射光を時計回りに45度回転することで直線偏光の垂直偏光成分の反射光になる。
【0067】
複屈折結晶41は、逆方向からでも水平偏光成分のみが透過されるため、第3のファラデー回転子42からの垂直偏光成分の反射光が屈折してSOA13内の後段側のレンズ13Bの光路から外れる。その結果、第3のアイソレータ14Aは、第3のファラデー回転子42で反射光を入射光と直交する偏光方向に直線偏光の反射光を複屈折結晶41で屈折してSOA13内の後段側のレンズ13Bの光路から外れる。そして、SOA13内の光増幅領域への反射光の入射を遮断できる。
【0068】
実施例2の光受信器6A内の第3のアイソレータ14Aは、SOA13の光増幅後の水平偏光成分の入射光を入射した場合に、水平偏光成分の入射光から水平偏光成分を屈折して透過する複屈折結晶41を有する。更に、第3のアイソレータ14Aは、複屈折結晶41で透過した水平偏光成分を時計回りに45度回転することで、45度回転後の水平偏光成分の入射光を出射する第3のファラデー回転子42を有する。第3のファラデー回転子42は、45度回転後の水平偏光成分の入射光に対する反射光を逆方向から入射した場合に、反射光を時計回りに45度回転することで、45度回転後の水平偏光成分の反射光を垂直偏光成分の反射光とする。複屈折結晶41は、第3のファラデー回転子42から垂直偏光成分の反射光を屈折してSOA13への光路から外れることでSOA13への入射を遮断する。しかも、第3のアイソレータ14Aの内部構成を簡易化することで、光受信器6A全体の小型化を図ることができる。
【0069】
また、第1の波長板23Aは、第1のファラデー回転子22で時計回りに45度回転後の垂直偏光成分を反時計回りに45度回転して垂直偏光成分にする。そして、第2の波長板23Bは、第1のファラデー回転子22で時計回りに45度回転後の水平偏波成分を時計回りに45度回転して垂直偏光成分にしても良い。この場合、ポラライザ24と第3のアイソレータ14A内の複屈折結晶41は、直線偏光の垂直偏光成分の入射光のみを透過し、第3のファラデー回転子42で水平偏光成分の反射光を複屈折結晶41に入射する。そして、SOA13への水平偏光成分の反射光の入射を遮断するようにしても良く、適宜変更可能である。
【0070】
尚、実施例1の光受信器6の第2のアイソレータ14は、PBS31及び第2のファラデー回転子32で構成する場合を例示したが、これに限定されるものではなく、その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。
【実施例0071】
図6は、実施例3の光受信器6Bの構成の一例を示す説明図である。尚、実施例1の光受信器6と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図6に示す光受信器6Bと図2に示す光受信器6とが異なるところは、第2のアイソレータ14の代わりに、第4のアイソレータ14Bを配置すると共に、SOA13の代わりに偏光方向の依存性が高いSOA131を配置した点にある。更に、SOA131は、例えば、水平偏光成分の増幅率が高くなるものの、水平偏光成分以外の他の偏光成分の増幅率が低くなる、偏光方向の依存性が高い光増幅器である。SOA131は、SOA本体131Aと、後段側のレンズ131Bとを有する。SOA本体131Aは、第1のアイソレータ12内のレンズ25で集光された直線偏光の水平偏光成分の入射光を光増幅する。後段側のレンズ131Bは、SOA本体131Aで光増幅後の入射光を平行光の入射光に変換するレンズである。
【0072】
図7は、実施例3の光受信器6B内の第1のアイソレータ12の入射光、第4のアイソレータ14Bの入射光、第1のアイソレータ12のASE光及び第4のアイソレータ14Bの反射光に対する偏光状態の一例を示す説明図である。図7に示す第4のアイソレータ14Bは、第4のファラデー回転子51を有する。
【0073】
次に第4のアイソレータ14BのSOA131からDEMUX15への順方向に流れる入射光の偏光状態について説明する。第4のアイソレータ14B内の第4のファラデー回転子51は、SOA131から光増幅後の入射光が順方向から入射されると、直線偏光の水平偏光成分の入射光を時計回りに45度回転する。そして、第4のファラデー回転子51は、時計回りに45度回転後の直線偏光の水平偏波成分の入射光をDEMUX15に入射することになる。
【0074】
次に第4のアイソレータ14BのPD素子17からSOA131への逆方向に流れる反射光に対する偏光状態について説明する。第4のアイソレータ14B内の第4のファラデー回転子51は、DEMUX15経由でPD素子17の受光面から時計回りに45度回転後の直線偏光の水平偏光成分の入射光に対する反射光が逆方向から入射する。第4のファラデー回転子51は、順方向と逆方向とで同一方向に回転する非相反性を有する。第4のファラデー回転子51は、時計回りに45度回転後の水平偏光成分の反射光が逆方向から入射されると、時計回りに45度回転後の水平偏波成分の反射光を時計回りに45度回転することで直線偏光の垂直偏光成分の反射光となる。そして、第4のファラデー回転子51は、直線偏光の垂直偏波成分の反射光がSOA131に逆方向から入射することになる。
【0075】
しかしながら、SOA131は、水平偏光成分の増幅率が高くなる偏光方向の依存性が高い光増幅器であるため、第4のファラデー回転子51から垂直偏光成分の反射光が入射されたとしても、垂直偏光成分の反射光の増幅率が低い。その結果、反射光のSOA131に対する影響が小さくて済む。
【0076】
更に、SOA131は、第4のアイソレータ14Bからの垂直偏光成分の反射光を入射することになるが、垂直偏光成分の反射光及びSOA131のASE光が第1のアイソレータ12内のレンズ25に入射する。第1のアイソレータ12内のレンズ25は、SOA13からのランダム偏光のASE光及び垂直偏光成分の反射光が逆方向から入射されると、ランダム偏光のASE光及び垂直偏光成分の反射光を平行光に変換する。ポラライザ24は、レンズ25からの平行光のASE光及び反射光が入射されると、平行光のASE光及び反射光から水平偏光成分の直線偏光のみを透過する。
【0077】
偏光部23内の第1の波長板23Aは、ポラライザ24で透過し第1の波長板23Aに入射された光の水平偏光成分のASE光及び反射光を反時計回りに45度回転する。更に、偏光部23内の第2の波長板23Bは、ポラライザ24で透過し第2の波長板23Bに入射された光の水平偏光成分のASE光及び反射光を時計回りに45度回転する。第1のファラデー回転子22は、第1の波長板23Aからの反時計回りに45度回転後の水平偏光成分を時計回りに45度回転することで垂直偏光成分の直線偏光のASE光及び反射光にする。更に、第1のファラデー回転子22は、第2の波長板23Bからの時計回りに45度回転後の水平偏光成分を時計回りに45度回転することで水平偏光成分の直線偏光のASE光及び反射光にする。
【0078】
そして、複屈折結晶21は、第1のファラデー回転子22から水平偏光成分及び垂直偏光成分のASE光及び反射光が逆方向から入射されたとしても、水平偏光成分のASE光及び反射光と、垂直偏光成分のASE光及び反射光とは光結合しない方向に屈折する。その結果、第1のアイソレータ12は、複屈折結晶21で逆方向からのASE光及び反射光のコリメートレンズ11を介しての光ファイバへの入射を遮断することになる。
【0079】
実施例3の光受信器6Bは、水平偏光成分の光増幅率に比較して水平偏光成分以外の偏光成分の光増幅率を抑制する偏光依存性のSOA131を内蔵する。更に、第4のアイソレータ14Bは、光増幅後の水平偏光成分の入射光を入射した場合に、水平偏光成分の入射光を時計回りに45度回転することで、45度回転後の水平偏光成分の入射光を出射する第4のファラデー回転子51を有する。第4のファラデー回転子51は、45度回転後の水平偏光成分の入射光に対する反射光を逆方向から入射した場合に、反射光を時計回りに45度回転する。そして、第4のファラデー回転子51は、45度回転後の水平偏光成分の反射光を垂直偏光成分の反射光とし、当該垂直偏光成分の反射光をSOAに入射する。その結果、SOA131は、偏光方向の依存性が高い光増幅器であるため、第4のファラデー回転子51から垂直偏光成分の反射光が入射されたとしても、反射光のSOA131に対する影響が小さくて済む。しかも、第4のアイソレータ14Bの内部構成を簡易化することで、光受信器6B全体の小型化を図ることができる。
【0080】
また、第1の波長板23Aは、第1のファラデー回転子22で時計回りに45度回転後の垂直偏光成分を反時計回りに45度回転して垂直偏光成分にする。そして、第2の波長板23Bは、第1のファラデー回転子22で時計回りに45度回転後の水平偏波成分を時計回りに45度回転して垂直偏光成分にしても良い。この場合、SOA131は、垂直偏光成分の光増幅率が高い偏光方向の依存性が高い光増幅器とする。
【符号の説明】
【0081】
6、6A,6B 光受信器
12 第1のアイソレータ
13 SOA
14 第2のアイソレータ
14A 第3のアイソレータ
14B 第4のアイソレータ
21 複屈折結晶
22 第1のファラデー回転子
23 偏光部
23A 第1の波長板
23B 第2の波長板
24 ポラライザ
25 レンズ
31 PBS
32 第2のファラデー回転子
41 複屈折結晶
42 第3のファラデー回転子
51 第4のファラデー回転子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9