(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143535
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】車両情報管理システム、車両情報管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050959
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】中澤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 悠
(72)【発明者】
【氏名】森屋 嘉裕
(72)【発明者】
【氏名】木村 修
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 健夫
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 貴志
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC27
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
5H181MB03
(57)【要約】
【課題】管理項目が異なる車両情報を、車両から収集し集約取得して一元的に管理することができる車両情報管理システム、車両情報管理方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】管理項目と当該管理項目に関連付けられた運行情報を含む車両情報を管理する車両情報管理システム1であって、通信機を備える車両から前記車両情報を取得する取得部13と、標準語と当該標準語の同義語とが関連付けられた名寄辞書データベース121と、前記管理項目が前記名寄辞書データベース121の同義語と一致する場合に、前記管理項目に関連付けられた値を標準語の値として前記車両情報を記録する名寄処理部14と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理項目と当該管理項目に関連付けられた運行情報を含む車両情報を管理する車両情報管理システムであって、
通信機を備える車両から前記車両情報を取得する取得部と、
標準語と当該標準語の同義語とが関連付けられた名寄辞書データベースと、
前記管理項目が前記名寄辞書データベースの同義語と一致する場合に、前記管理項目に関連付けられた値を標準語の値として前記車両情報を記録する名寄処理部と、
を備える車両情報管理システム。
【請求項2】
前記名寄処理部が、前記管理項目が前記名寄辞書データベースの前記標準語または前記同義語のいずれとも一致しない場合に、当該管理項目を解析して作成した複数の語句と、前記標準語および同義語との類否を判定する請求項1に記載の車両情報管理システム。
【請求項3】
前記管理項目を解析して作成した複数の語句のうち、前記標準語または同義語と一致すると判定した語句の作成元である前記管理項目を、前記名寄辞書データベースに登録する請求項2に記載の車両情報管理システム。
【請求項4】
前記名寄処理部は、前記運行情報が単位を含む値である場合に、予め設定された単位に当該運行情報の値を変換することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両情報管理システム。
【請求項5】
管理項目と当該管理項目に関連付けられた運行情報を含む車両情報を管理し、標準語と当該標準語の同義語とが関連付けられた名寄辞書データベースを備えるコンピュータが実行する車両情報管理方法であって、
通信機を備える車両から前記車両情報を取得するステップと、
前記管理項目が前記名寄辞書データベースの同義語と一致する場合に、前記管理項目に関連付けられた値を標準語の値として前記車両情報を記録するステップと、
を含む方法。
【請求項6】
管理項目と当該管理項目に関連付けられた運行情報を含む車両情報を管理する車両情報管理システムを、
通信機を備える車両から前記車両情報を取得する取得部と、
標準語と当該標準語の同義語とが関連付けられた名寄辞書データベースと、
前記管理項目が前記名寄辞書データベースの同義語と一致する場合に、前記管理項目に関連付けられた値を標準語の値として前記車両情報を記録する名寄処理部と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両情報管理システム、車両情報管理方法、およびプログラム、特に、車両の運行に関する情報を管理する車両情報管理システム、車両情報管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運行に関する情報である車両情報、例えば、速度、エンジン冷却水の水温、エンジンの回転数、を管理することは、車両の運用に効果的である。例えば、管理した情報を基に、車両がどのような環境で使用されているかを知ることができれば、部品の交換時期を適切に判断することが可能となる。
【0003】
そこで、特許文献1には、車載端末装置から取得した運行データに基づいて、車載部品の使用態様の厳しさの度合いを評価しやすい状態で表したレポートをユーザに提供することで、ユーザに、所定部品の使用態様の厳しさの度合いを客観的に評価させ、所定部品の交換時期を適切に判断させることができる車載部品評価システムが開示されている。
【0004】
具体的には、車載部品評価システムは、車載端末装置から取得した運行データ、および所定部品の使用態様の厳しさの度合いに対応する評価情報と車両情報との関係を規定する評価規則に基づいて、使用態様の厳しさに対応した所定部品の評価情報を生成し、生成した評価情報に基づいてレポート情報を生成し、ユーザに提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示されているように車載端末装置が管理する運行データは、エンジン冷却水の水温やエンジン回転数、車速などの項目を含む。しかしながら、これら管理項目は、メーカーが車両の開発の都度、任意に設定できるため、メーカー、仕様、製造年などの違いにより異なる場合がある。その結果、特許文献1に記載の車載部品評価システムでは、車載端末装置を搭載している車両でも車両情報が取得できない車両や車両情報を取得できても活用できない車両があるという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、車載端末から取得する管理項目が異なる車両情報を、車両から取得して一元的に管理することができる車両情報管理システム、車両情報管理方法、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、管理項目と当該管理項目に関連付けられた運行情報を含む車両情報を管理する車両情報管理システムであって、通信機を備える車両から前記車両情報を取得する取得部と、標準語と当該標準語の同義語とが関連付けられた名寄辞書データベースと、前記管理項目が前記名寄辞書データベースの同義語と一致する場合に、前記管理項目に関連付けられた値を標準語の値として前記車両情報を記録する名寄処理部と、を備える車両情報管理システムを提供する。
【0009】
また、本発明は、前記名寄処理部が、前記管理項目が前記名寄辞書データベースの前記標準語または前記同義語のいずれとも一致しない場合に、当該管理項目を解析して作成した複数の語句と、前記標準語および同義語との類否を判定する車両情報管理システムを提供する。
【0010】
また、本発明は、前記管理項目を解析して作成した複数の語句のうち、前記標準語または同義語と一致すると判定した語句の作成元である前記管理項目を、前記名寄辞書データベースに登録する車両情報管理システムを提供する。
【0011】
また、本発明は、前記名寄処理部は、前記運行情報が単位を含む値である場合に、予め設定された単位に当該運行情報の値を変換することを特徴とする車両情報管理システムを提供する。
【0012】
また、本発明は、管理項目と当該管理項目に関連付けられた運行情報を含む車両情報を管理し、標準語と当該標準語の同義語とが関連付けられた名寄辞書データベースを備えるコンピュータが実行する車両情報管理方法であって、通信機を備える車両から前記車両情報を取得するステップと、前記管理項目が前記名寄辞書データベースの同義語と一致する場合に、前記管理項目に関連付けられた値を標準語の値として前記車両情報を記録するステップと、を含む方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、管理項目と当該管理項目に関連付けられた運行情報を含む車両情報を管理する車両情報管理システムを、通信機を備える車両から前記車両情報を取得する取得部と、標準語と当該標準語の同義語とが関連付けられた名寄辞書データベースと、前記管理項目が前記名寄辞書データベースの同義語と一致する場合に、前記管理項目に関連付けられた値を標準語の値として前記車両情報を記録する名寄処理部と、として機能させるプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、管理項目が異なる車両情報を、車両から取得して一元的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両情報管理システム1の概要を説明する図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両情報管理装置10の機能構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る名寄辞書DB121を模式的に示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る車両情報DB122を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る車両情報管理システム1の車両情報処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0017】
[基本概念/基本構成]
図1は、本発明の実施形態に係る車両情報管理システム1の概要を説明するための図である。
【0018】
車両情報管理システム1は、車両情報管理装置10と、複数の車両20とを含み、車両管理装置10が車両20から車両情報を取得して管理するシステムである。複数の車両20は、4GやWi-Fi(登録商標)などの無線ネットワークを介して車両管理装置10と接続される。車両情報管理システム1が管理する車両情報は、車両管理装置10とネットワークを介して接続されるクライアント端末30などで利用される。
【0019】
車両情報管理システム1は、複数の車両20から車両情報を取得する。車両情報とは、固有情報と、車両の運行情報とを含む。ここで、固有情報は、車両識別番号、型式番号、車体番号及びエンジン型式番号など車種の特定、部品の特定又は車両の特定のための情報が含まれる。運行情報は、速度、エンジン冷却水の水温、エンジンの回転数など運行状態を示す情報が含まれる。車両識別番号やエンジン回転数などの項目は、管理項目と呼ばれる。
【0020】
車両情報管理システム1は、車両20から取得した車両情報の管理項目が標準語のみである場合(ケース1:
図1において実線矢印にて流れを示す)、名寄辞書データベース121を参照し、管理項目が標準語であると判定し、管理項目をそのままに運行情報と対応付けて車両情報データベース122に記録して管理する。
【0021】
また、車両情報管理システム1は、車両情報の管理項目が同義語を含む場合(ケース2:
図1において破線矢印にて流れを示す)、名寄辞書データベース121を参照して管理項目が同義語であると判定し、管理項目を同義語に対応付けられている標準語に名寄せした後、車両情報データベース122に記録して管理する。
【0022】
さらに、車両情報管理システム1は、車両情報の管理項目が標準語および同義語のいずれも含まない場合(ケース3:
図1において長鎖線矢印にて流れを示す)、名寄辞書データベース121を参照し、管理項目が標準語および同義語のいずれでもないと判定し、管理項目に対して自然言語処理を実行して、管理項目を標準語に名寄せした後に、車両情報データベース122に記録して管理する。この場合、車両情報管理システム1は、自然言語処理を実行して標準語に名寄せした管理項目を、名寄辞書データベース121に同義語として標準語と対応つけて記録する。
【0023】
このように、車両情報管理システム1は、車両情報の管理項目が予め設定された標準語でない場合に、名寄辞書データベース121または自然言語処理を用いて、管理項目を標準語に名寄せして、車両情報の管理項目を標準語に統一して管理することができる。したがって、車両情報の管理項目が異なっていても、車両20から車両情報を取得して一元的に管理することができる。
【0024】
これにより、車両20を保有する輸送事業者、車両20を整備する整備工場、車両20をリースするリース会社などのクライントは、一元化された車両情報を利用できるので、メンテナンスや価値評価業務に活用することができる。
【0025】
[機能構成]
図2は本発明の実施形態に係る車両情報管理システム1の機能構成を説明するための図である。車両情報管理システム1は、車両20と、車両20と無線ネットワークを介して接続された車両情報管理装置10と、を備える。なお、車両情報管理装置1は、本実施形態に置いてクラウドサーバとするが、オンプレミスであってもよい。
【0026】
(車両の機能構成)
車両20は、車載端末21と、制御装置22と、を備える。
【0027】
車載端末21は、CAN(Controller Area Network)などの車内ネットワークを介して制御装置22に接続され、制御装置22から車両情報を取得する。さらに、車載端末21は、無線ネットワークを介して車両管理装置10と接続され、車両情報を車両管理装置10に送信する。
【0028】
制御装置22は、車両20の各種制御を行う装置であって、本実施形態においては、ECU(Electoronic Control Unit)22とも記載する。ECU22には、OBD(OBD:On Board Diagnosis)23を含む。
【0029】
ECU22は、例えば、エンジンECU、車両制御ECU、ブレーキECUなど、車両20の機能毎に複数設けられ、接続されている各種センサーから予め決められた条件やタイミングで運行情報を取得する。例えば、運行情報は、エンジンECUがエンジン回転数センサーから取得した「エンジン回転数」の「3000rpm」である。
【0030】
OBD23は、車両の不具合を検出しECU22の所定の記憶領域に記憶する。詳細には、OBD23は、ECU22が取得した各種センサーの値に基づき、予め定められた条件で車両20が故障中であるか否かを判定して、故障内容に応じた識別符号を生成して記憶する。
【0031】
(車両情報管理装置の機能構成)
車両情報管理装置10は、車両20の車載端末21と無線ネットワークを介した通信を行う通信部11と、記憶部12と、取得部13と、名寄処理部14と、を備える。
【0032】
記憶部12は、名寄処理に用いる名寄辞書データベース121(以下、データベースをDBと記載することがある)、車両20から取得した車両情報を格納する車両情報データベース122を備える。なお、本実施形態において車両情報管理装置10はクラウドサーバであるため、記憶部12は、クラウドストレージや分散型台帳で構築されるのが望ましい。
【0033】
取得部13は、通信部11を介して、車両20から車両情報を取得する。車両情報は、上述したように、管理項目と管理項目に関連付けられた運行情報を少なくとも含み、運行情報の取得日時や運行情報の取得位置情報などを含んでもよい。
【0034】
名寄処置部14は、取得部13で取得した車両情報の管理項目について、管理項目を集約する名寄処理を行う。詳細には、まず、名寄処理部14は、取得部13で取得した車両情報から管理項目を抽出し、抽出した管理項目(以下、本明細書中は抽出管理項目という)を名寄辞書DB121と照合する。
【0035】
図3は、本発明の実施形態に係る名寄辞書DB121を模式的に示す図である。本実施形態において、名寄辞書DB121は、標準語と同義語とが関連付けられて格納される。ここで、標準語とは、運行情報の管理項目の標準とする用語であって、名寄処理によって集約する用語である。同義語とは、標準語と語形は異なるが意味が同じである用語である。名寄辞書DB121の標準語と同義語は、予め設定された状態で用いられ、その後、後述する自然言語処理によって同義語が追加される。
【0036】
図2に戻って、名寄処理部14は、抽出管理項目を名寄辞書DB121と照合した結果、抽出管理項目が標準語と一致した場合には、名寄処理を終了する。一方、名寄処理部14は、抽出管理項目を名寄辞書DB121と照合した結果、抽出管理項目が同義語と一致した場合、当該同義語に対応付けられた標準語に抽出管理項目を変更する名寄処理を行う。
【0037】
また、名寄処理部14は、抽出管理項目を名寄辞書DB121と照合した結果、抽出管理項目が標準語および同義語のいずれとも一致しなかった場合、自然言語処理を実行して、抽出管理項目を標準語に変更する名寄処理を行う。
【0038】
詳細には、名寄処理部14は、抽出管理項目に対して、形態素解析を実行し、単語に分割し、品詞を判別する。例えば、管理項目が「走行速度」である場合には、形態素解析を実行すると、「走行」(名詞)と「速度」(名詞)とに分解される。次に、名寄処理部14は、抽出管理項目を分解した単語に対して、構文解析を実行し、単語同士の関係、例えば修飾、被修飾などの関係、を分析する。
【0039】
そして、名寄処理部14は、構文解析した単語に対して、意味解析を実行し、意味を持つ語句を作成する。詳細には、名寄処理部14は、構文解析した単語を組み合わせ、複数の語句を作成する。そして、予め記録された文例集を用いて、作成した語句と、単語及び当該単語同士の関係が一致する文例を検索し、検索できた場合には意味ある語句であると判定する。一方、意味ある語句であると判定できなかった場合には、名寄処理を終了する。
【0040】
ここで、文例集には、車両情報の管理項目に使用される語を含む文例が多いものが好ましく、各車両メーカーの故障診断装置関連の資料や、サービスマニュアル等が含まれるのが好ましい。
【0041】
名寄処理部14は、自然言語解析により得られた語句を名寄辞書DB121と照合する。名寄処理部14は、語句を名寄辞書DB121と照合した結果、語句が標準語と一致した場合には語句を標準語に、語句が同義語と一致した場合には一致する同義語と対応付けられている標準語に語句を変更する名寄処理を行う。そして、名寄処理部14は、標準語に名寄処理できた語句の生成元である抽出管理項目を、同義語に追加し、名寄辞書DB121を更新する。
【0042】
また、名寄処理部14は、運行情報の単位の集約を行う。詳細には、名寄処理部14は、名寄辞書DB121の標準語に関連付けて予め標準単位が設定されている場合に、運行情報の単位を標準単位に変換する処理を行う。例えば、エンジン回転数の標準単位が「rpm」であって、取得された運行情報の単位が「rev/sec」である場合に、取得された運行情報の単位を「rpm」に変換する。また、温度の標準単位が「摂氏(℃)」であって、取得された運行情報の単位が「華氏」である場合に、取得された運行情報の単位を「摂氏(℃)」に変換する。
【0043】
名寄処理部14は、名寄処理を行い標準語に集約された管理項目と管理項目に対応付けられた運行情報とを、車両情報DB122で管理する。
【0044】
図4は、本発明の実施形態に係る車両情報DB122を模式的に示す図である。本実施形態において、車両情報DB122は、車両20を識別する車両識別情報、車両情報の管理項目、管理項目に関連付けられた運行情報、運行情報の取得日時が対応付けて格納される。車両情報DB122に、運行情報の取得日時を格納することで、運行情報を時系列に整理することができる。
【0045】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶部)に格納されたコンピュータ・プログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0046】
図5を用いて、本発明の実施形態に係る車両情報管理システム1の車両情報処理について説明する。本処理は、車両情報管理装置10が実行する。
【0047】
まず、取得部13は、管理項目と管理項目に関連付けられた運行情報を含む車両情報を車両20から取得する(S1)。次に、名寄処理部14は、S1で取得した車両情報の管理項目を抽出し、抽出管理項目を名寄辞書DB121と照合する(S2)。
【0048】
次に、名寄処理部14は、S2の結果、名寄辞書DB121の同義語と抽出管理項目が一致した場合、抽出管理項目と一致した同義語に対応付けられている標準語に抽出管理項目を変更する名寄処理を行う(S3)。なお、名寄辞書DB121の標準語と抽出管理項目が一致した場合は、名寄処理は行わない。
【0049】
次に、名寄処理部14は、S2の結果、名寄辞書DB121の標準語および同義語のいずれとも抽出管理項目が一致せず、かつS3の名寄処理ができなかった抽出管理項目があるか否か、すなわち、S3の後において標準語でない抽出管理項目があるか否か判定する。名寄処理部14は、標準語でない抽出管理項目がある場合(YES)、S5に処理を進め、一方、標準語の抽出管理項目のみの場合(NO)、S9に処理を進める(S4)。
【0050】
次に、名寄処理部14は、標準語でない抽出管理項目に対して、自然言語処理を行って、抽出管理項目についての語句を取得する(S5)。次に、名寄処理部14は、S5で取得した語句を名寄辞書DB121と照合し、名寄辞書DB121の標準語または同義語と一致する場合には、語句を標準語に変換する名寄処理を行う(S6)。
【0051】
次に、名寄処理部14は、S6の結果、名寄辞書DB121の標準語および同義語のいずれとも語句が一致せず、かつS6で名寄処理ができなかった語句があるか否か、すなわち、S6の後において標準語でない抽出管理項目があるか否か判定する。名寄処理部14は、標準語でない抽出管理項目がある場合(YES)、処理を終了し、一方、標準語の抽出管理項目のみの場合(NO)、S8に処理を進める(S7)。
【0052】
次に、名寄処理部14は、名寄辞書DB121を、S6で名寄処理できた抽出管理項目を同義語に追加して、更新する(S8)。最後に、名寄処理部14は、標準語に名寄された管理項目と管理項目に関連付けられた運行情報とを車両情報DB122に記録する(S9)。
【0053】
以上説明したように、車両情報管理システム1では、車両情報の管理項目が予め設定された標準語でない場合に、名寄辞書DB121または自然言語処理を用いて、管理項目を標準語に名寄せして集約することができる。したがって、車両情報管理システム1は、車両情報の管理項目が異なっていても、車両20から車両情報を取得して、取得した車両情報を一元的に管理することができる。
【0054】
それにより、車両20を保有する輸送事業者、車両20を整備する整備工場、車両20をリースするリース会社などのクライントは、車両20について、一元化されている車両情報を利用できるので、メンテナンスや価値評価業務に活用できる。
【0055】
また、車両情報管理システム1では、名寄辞書DB121の標準語および同義語のいずれでもない管理項目が、自然言語解析の結果、標準語または同義語に類似する場合には、その管理項目を名寄辞書DB121の同義語に追加する。それにより、名寄処理の精度を上げることができる。
【0056】
なお、本実施形態において、記憶部12は、車両20の基本情報を格納する車両マスタデータベースを備えてもよい。詳細には、車両マスタDBには、車両識別情報と、車両の車種、サイズ、メーカー名、型式、製造年等の車両属性情報とを対応付けて格納される。車両マスタDBは、車両情報を取得する車両20について予め設定され、車両情報DB122と共に管理することで、クライアントが必要とする車両に関する情報を一元的に管理することができる。
【0057】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、車両情報管理システムについて説明したが、本発明において車両情報管理システムが実行する方法や、車両情報管理システムを各種手段として機能させるプログラムの発明と捉えることもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 車両情報管理システム
10 車両情報管理装置
11 通信部
12 記憶部
121 名寄辞書DB
122 車両情報DB
13 取得部
14 名寄処理部
20 車両
21 車載端末
22 ECU
23 OBD
30 クライアント端末