(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143546
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】転倒防止具
(51)【国際特許分類】
A47B 97/00 20060101AFI20230929BHJP
【FI】
A47B97/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050976
(22)【出願日】2022-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】501359412
【氏名又は名称】株式会社リンテック21
(74)【代理人】
【識別番号】100144277
【弁理士】
【氏名又は名称】乙部 孝
(72)【発明者】
【氏名】富田 真次
(72)【発明者】
【氏名】田上 貴也
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 秀雄
(57)【要約】 (修正有)
【課題】食器棚、本棚、洋服ダンス等の収納家具や冷蔵庫など主に家庭や事務所での様々な什器の転倒を防止する転倒防止具であって、取り付け、取り外しが簡便で構成部品の分解・組立が容易であるとともに外見が可愛らしい転倒防止具を提供する。
【解決手段】建物と什器の間を接続して什器の転倒を防止する転倒防止具50において、建物に固着される建物固定部30と、什器に固着される什器固定部20と、建物固定部30及び什器固定部20を結ぶ連結部材10と、を備え、什器固定部20と連結部材10の着脱、及び建物固定部30と連結部材10の着脱が回転操作により行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物と什器の間を接続して什器の転倒を防止する転倒防止具において、
前記建物に固着される建物固定部と、前記什器に固着される什器固定部と、前記建物固定部及び前記什器固定部を結ぶ連結部材と、を備え、
前記什器固定部と前記連結部材の着脱、及び前記建物固定部と前記連結部材の着脱が回転操作により行われることを特徴とする転倒防止具。
【請求項2】
前記建物固定部及び前記什器固定部の背面にそれぞれ接着部が設けられ、前記建物固定部の表面に装飾部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の転倒防止具。
【請求項3】
前記連結部材の端部に備えられた第1結合部と、前記建物固定部の表面に立設された二つの壁部材からなる第2結合部とが設けられ、前記第2結合部へ前記第1結合部が嵌入され、前記第1結合部を回転することで前記第1結合部が前記第2結合部へ係止されることを特徴とする請求項1又は2に記載の転倒防止具。
【請求項4】
前記第1結合部の側面に前記第1結合部の回転位置を決める位置決め凹部又は凸部が設けられ、前記壁部材の側壁に前記位置決め凹部又は凸部に対応する位置決め凸部又は凹部が設けられることを特徴とする請求項3に記載の転倒防止具。
【請求項5】
前記什器固定部に前記連結部材が通過する通過部が設けられ、前記通過部へ嵌入される係止具の側面に板部材が設けられ、前記係止具を前記通過部へ嵌入後、回転することで該板部材が前記通過部の表面部材の下へ入り前記係止具が前記通過部へ係止されることを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の転倒防止具。
【請求項6】
前記通過部の底部に複数の位置決め孔が設けられ、前記複数の位置決め孔の位置に対応して前記連結部材に複数の位置決め孔が設けられ、前記係止具に突起が設けられ、前記通過部の底部及び前記連結部材の複数の位置決め孔の一つに前記突起が挿通されて前記連結部材が前記通過部へ係止されることを特徴とする請求項5に記載の転倒防止具。
【請求項7】
前記連結部材の裏面又は側面に凹凸部が前記連結部材の複数の位置決め孔の位置に対応して形成され、前記通過部の表面又は側面に設けられた凸凹部と係合することを特徴とする請求項6に記載の転倒防止具。
【請求項8】
前記連結部材が弾性を有することを特徴とする請求項1乃至7何れかに記載の転倒防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本棚やキャビネットまたは机等の什器、冷蔵庫や各種家具、または各種機器等の什器が地震等による振動で転倒することを防止する転倒防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭の食器棚、本棚、洋服ダンス等の収納家具や冷蔵庫、事務所の各種キャビネットや机、さらには工場等のオープン棚や各種機器等の什器の転倒を防止する器具が提案されている。
【0003】
例えば、非特許文献1に開示される「東京消防庁 電子図書館」の「職場の地震対策(平成20年8月発行)(http://www.tfd.metoro.tokyo.jp/hp-sidouka/2008-2350-3/)」における「オフィス家具類の転倒・落下防止対策」によれば、キャビネット等の天井面と建造物とをネジ等を用いてL型金具で固定する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献1に開示されるバネ式ターンバックルでは、家具の天井面と部屋の建造物に各々転倒防止用金具を釘やネジで取り付け、該転倒防止用金具の間に引バネ体を備えるターンバックルを掛け渡す構造が開示されている。
【0005】
また、特許文献2に開示される耐震用家具転倒防止具では、T型の部材の一方を建造物に、他方を家具に各々粘着材等で貼り付ける構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-248023号公報
【特許文献2】特開2005-224562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されるバネ式ターンバックルは、転倒防止用金具に伝わる荷重を緩和する緩衝機能を付与するためにバネを用いている。しかしながら、この緩衝機能は、瞬間的にかかる荷重である所謂撃力の作用する時間を長くするためのものであり、転倒防止用金具に伝わる荷重を減らすものではないため、石膏ボード等の破壊されやすい建造物に使用されている釘やネジが外れないようにするには不十分であった。
【0008】
また、特許文献2に開示される耐震用家具転倒防止具は、開示されているとおり荷重を所定の面積を有する粘着面で受けるため、釘やネジとめられたL型金具よりは建造物が破壊される可能性は低くなる。しかしながら、構成材料が剛体なので耐震用家具転倒防止具の片端が固定される壁面と什器の側面との距離の設定の柔軟性が限定されるという問題が有った。
【0009】
上記の耐震用家具固定具は家庭で用いるには外見が無骨でありデザイン性に乏しいので特に家庭での購入の決定権を有する女性や主婦には訴求が難しかった。また、その寸法も大きく収納や搬送のコスト削減が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の目的は、上述した事情に鑑みなされたもので、食器棚、本棚、洋服ダンス等の収納家具や冷蔵庫など主に家庭や事務所での様々な什器の転倒を簡便に防止する転倒防止具を提供することである。
【0011】
また、この発明の別の目的は、外見の可愛らしさに併せて取り外しが簡便で、構成部品の分解・組立が容易な転倒防止具を提供することである。
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係わる転倒防止具は、請求項1の記載によれば、建物と什器の間を接続して什器の転倒を防止する転倒防止具において、
前記建物に固着される建物固定部と、前記什器に固着される什器固定部と、前記建物固定部及び前記什器固定部を結ぶ連結部材と、を備え、前記什器固定部と前記連結部材の着脱、及び前記建物固定部と前記連結部材の着脱が回転操作により行われることを特徴とする転倒防止具である。
【0013】
本発明の転倒防止具は建物と什器の間を接続して什器の転倒を防止する転倒防止具において、前記建物に固着される建物固定部と、前記什器に固着される什器固定部と、前記建物固定部及び前記什器固定部を結ぶ連結部材と、を備え、前記什器固定部と前記連結部材の着脱、及び前記建物固定部と前記連結部材の着脱が回転操作により行われるので、分解しての収納、搬送が容易で見た目が良く部屋の雰囲気になじみやすい。
【0014】
この発明に係わる転倒防止具は、請求項2の記載によれば、前記建物固定部及び前記什器固定部の背面にそれぞれ接着部が設けられ、前記建物固定部の表面に装飾部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の転倒防止具ことを特徴とする請求項1に記載の転倒防止具である。
【0015】
前記建物固定部及び前記什器固定部の背面にそれぞれ接着部が設けられ、前記建物固定部の表面に装飾部が設けられるので、取り付及び取り外しが容易であり見た目に好印象を与える。
【0016】
この発明に係わる転倒防止具は、請求項3の記載によれば、前記連結部材の端部に備えられた第1結合部と前記建物固定部の表面に立設された2つの壁部材からなる第2結合部
が設けられ、前記第2結合部へ前記第1結合部が嵌入され、前記第1結合部を回転することで前記第1結合部が前記第2結合部へ係止されることを特徴とする請求項1又は2に記載の転倒防止具である。
【0017】
前記連結部材の端部に備えられた第1結合部と前記建物固定部の表面に立設された2つの壁部材からなる第2結合部が設けられ、前記第2結合部へ前記第1結合部が嵌入され、前記第1結合部を回転することで前記第1結合部が前記第2結合部へ係止されるので、分解、組み立てが容易になり、転倒防止具を構成する部品の梱包や郵送する際にコンパクト化が図れる。
【0018】
この発明に係わる転倒防止具は、請求項4の記載によれば、前記第1結合部の側面に前記第1結合部の回転位置を決める位置決め凹部又は凸部が設けられ前記壁部材の側壁に前記位置決め凹部又は凸部に対応する位置決め凸部又は凹部が設けられることを特徴とする請求項3に記載の転倒防止具である。
【0019】
前記第1結合部の側面に前記第1結合部の回転位置を決める位置決め凹部又は凸部が設けられ前記第2結合部の側壁に前記位置決め凹部又は凸部に対応する位置決め凸部又は凹部が設けられので、第1結合部の回転位置の正確性の向上が図れる。
【0020】
この発明に係わる転倒防止具は、請求項5の記載によれば、前記什器固定部に前記連結部材を収める通過部が設けられ、前記係止具の側面に板部材が設けられ、前記係止具を前記通過部へ嵌入後、回転することで該板部材が前記通過部の表面部材の下へ入り前記係止具が前記通過部へ係止されることを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の転倒防止具である。
【0021】
前記什器固定部に前記連結部材を収める通過部が設けられ、前記係止具の側面に板部材が設けられ、前記係止具を前記通過部へ嵌入後、回転することで該板部材が前記通過部の表面部材の下へ入り前記係止具が前記通過部へ係止される該通過部に収められた前記連結部材が前記係止具により前記通過部へ係止されるので連結部材と什器固定部との接続が容易になる。
【0022】
この発明に係わる転倒防止具は、請求項6の記載によれば、前記通過部の底部に複数の位置決め孔が設けられ、前記複数の位置決め孔の位置に対応して前記連結部材に複数の位置決め孔が設けられ、前記係止具に突起が設けられ、前記通過部の底部及び前記連結部材の複数の位置決め孔の一つに前記突起が挿通されて前記連結部材が前記通過部へ係止されることを特徴とする請求項5に記載の転倒防止具。
である。
【0023】
前記通過部の底部に複数の位置決め孔が設けられ、前記複数の位置決め孔の位置に対応して前記連結部材に複数の位置決め孔が設けられ、前記係止具に突起が設けられ、前記通過部の底部及び前記連結部材の複数の位置決め孔の一つに前記突起が挿通されて前記連結部材が前記通過部へ係止されるので連結部材と什器固定部との接続性の向上を図れる。
【0024】
この発明に係わる転倒防止具は、請求項7の記載によれば、前記連結部材の裏面又は側面に凹凸部が前記複数の位置決め孔の位置に対応して形成され、前記通過部の表面又は側面に設けられた凹凸部と係合することを特徴とする請求項6に記載の転倒防止具である。
【0025】
前記連結部材の裏面又は側面に凹凸部が前記複数の位置決め孔の位置に対応して形成され、前記通過部の表面又は側面に設けられた凸凹部と係合するので係止具の突起が連結部材の位置決め孔へ嵌りやすくなる。
【0026】
この発明に係わる転倒防止具は、請求項8の記載によれば、前記連結部材が弾性を有することを特徴とする請求項1乃至7何れかに記載の転倒防止具である。
【0027】
前記連結部材が弾性を有するので、地震などによる急激な揺れを弾性により吸収して建物固定部及び什器固定部への応力の急激な変化を抑えることができる
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】連連結部材の端部の第1結合部と建物固定部の第2結合部を接続する過程で第1結合部の(A)嵌入前、(B)嵌入後、(C)回転後の説明図である。
【
図3】連連結部材の端部の第1結合部と建物固定部の第2結合部を接続する過程で 拡大した(A)嵌入直後、(B)回転後の説明図である。
【
図4】連結部材を什器固定部の通過部へ収める前の説明図である。
【
図5】連結部材を什器固定部の通過部へ収めた状態の説明図である。
【
図6】連結部材を什器固定部の通過部へ係止した状態の説明図である。
【
図7】什器固定部及び建物固定部の背面の接着部の説明図である。
【
図8】壁と什器の間を転倒防止具で接続した状態において(A)壁と什器が密接、(B)什器が壁から離れた状態の説明図である。
【
図9】什器の滑り出しについて(A)側面に転倒防止具が無い状態、(B)側面に転倒防止具を付着した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に図面を用いて本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明の転倒防止具50を示す斜視図である。本発明の転倒防止具50は、家庭の食器棚、本棚、洋服ダンス等の収納家具や冷蔵庫、事務所の各種キャビネットや机、さらには工場等のオープン棚や各種機器等の什器100の転倒防止に用いられる。
【0030】
転倒防止具50は、什器に接着固定される什器固定部20と、建造物に接着固定される建物固定部30と、及び建物固定部30什器固定部20を接続する連結部材10とを備える。建物に固定される建物固定部30の表面には装飾部が備えられていて目に馴染みやすく室内の装飾にもなる。装飾部は、人気のある猫の顔や肉球などペット関連、花や草など自然系、スポーツグッズを想起させるものなど、使用者の好みで選択が可能である。
【0031】
転倒防止具50を使わないとき、すなわち、収納時、運搬時にはその寸法がなるべく小さいことが望ましい。そこで、転倒防止具50を構成する、連結部材10、建物固定部30、什器固定部20それぞれを個別の部品として収納できるように各構成部品を互いに着脱可能に構成した。
【0032】
図2は連結部材10と建物固定部30との接続の様子を示している。連結部材10と建物固定部30とは、連結部材10の端部に設けられた第1結合部11と建物固定部30の表面に設けられた第2固定部31とで接続される。第2固定部31は建物固定部の表面に立設された二つの壁部材からなる。
【0033】
図2(A)は建物固定部の表面に立設され第2結合部を構成する2つの2つの壁部材の間へ第1結合部を入れる前の様子を示す。
図2(B)は第2結合部を構成する2つの2つの壁部材の間へ第1結合部を入れた後の様子である。
【0034】
図2(C)で第1結合部を所定の位置まで回転して回転操作により第1結合部と第2結合部を結合する。ここで、第1結合部の側面に第1結合部の回転位置を決める位置決め凹部又は凸部15が設けられ、第2結合部の側壁に位置決め凹部又は凸部に対応する位置決め凸部又は凹部35が設けられている。凹凸によるクリック感と目視により第1結合部の回転位置を所定の位置へ定めることが容易になる。
【0035】
図3は第1結合部と第2結合部の回転位置を決める様子の拡大図である。
図3(A)は回転の初期、
図3(B)は第1結合部が第2結合部の所定の位置へ収まった様子を示す。第1結合部の凹部15と第2結合部の壁部材の側壁の凸部35が係合して、第1結合部の回転位置が定まる。
【0036】
図4~
図6は什器固定部20と連結部材10の結合の過程を示している。連結部材10は、例えば天然ゴム、合成ゴム等、その材質や種類は什器の転倒を防止する機能を満たすものであればどのようなものでも使用可能である。連結部材10が弾性を帯びることで建物固定部30と、什器固定部20へ及ぼす衝撃力の低下を図る。連結部材10の形状も
図4に示すような帯状が好適であるが、軸状体または角状体でも可能である。
【0037】
図4(A)に什器固定部20と連結部材10の結合に関連する部材を図示する。什器固定部20は連結部材10を収納する通過部を有し、通過部の底面には位決め用の凹凸22と位置決め孔23が開けられている。
【0038】
通過部の中央部に上下に開口を有する円形の切り欠きが設けられる。この切り欠きへ係止具25を嵌め入れ係止する。係止具25の円形の本体から水平方向へ板部材27が出ている。通過部の切り欠きの開口部へこの板部材27を合わせる様にして連結部材10を通過部へ収める。なお係止時の様子が分かり易いように板部材の位置に合わせて係止具の表面にコインで回せる切り込みを入れると好適である。
【0039】
また連結部材10にも通過部の底部に設けられた位決め用の孔23の位置と同間隔の孔位置で複数の位置決め孔12が設けられている。係止具25には図示しない突起が設けられていて連結部材の位置決め孔12と通過部の複数の位置決め孔23とを重ねた状態で挿通する。また連結部材の裏面又は側面に凹凸部が前記連結部材の複数の孔の位置に対応して形成され、通過部の表面又は側面に設けられた凸凹部と係合する。
【0040】
図5は什器固定部20の通過部を通過する連結部材10を収めた状態を示している。固定部20は連結部材の位置決め孔位置で決まる任意の場所で連結部材10に係止することができる。係止具25を什器固定部20の通過部へ嵌入して嵌入後に90度回転することで回転操作により係止具25の側面の板部材27が通過部の表面部材の下へ入る。そうすると係止具25を什器固定部20の通過部へ係止することができる。
【0041】
図6は連結部材10の所定の位置へ什器固定部20を係止した状態を示す。
図6に示す什器固定部20は建物固定部30の近傍で連結部材10に係止されている。比較として
図1の什器固定部20は建物固定部30から離れた位置で連結部材10に係止されている。
【0042】
図7は什器固定部20と建物固定部30の背面に接着部が備えられている様子を示す。
【0043】
本発明に係る転倒防止具を使うには、連結部材の長さを適宜に調節した転倒防止具50の什器固定部20を什器へ、建物固定部30を建造物の例えば壁面へそれぞれ接着部を用いて接着により固着する。接着部は施工時に接着剤を塗布してもよいが両面テープを用いるのが好適である。
【0044】
接着部は、アクリルフォームを基材としその両面にアクリル系粘着材を有する引張強度120N/cm2の接合テープ(いわゆる両面テープ)を用いている。なお、建造物に接着される建物固定部30の接着部36は、例えば基材に厚みと柔軟性を有することで凹凸のある壁紙に確実に接着される接合テープを使用しても良い。
【0045】
転倒防止具50を使用するに際しては建物固定部30と、什器固定部20の間の距離を適宜に変える必要が生じるが、その例を
図8に示す。
図8(A)は什器が建物の壁に近接している場合、
図8(B)は什器が建物の壁から離れている場合である。
【0046】
ここで、揺れによる什器の滑り出しの防止について説明する。
図9(A)は、建造物に隣接して床へ什器100を設置した状態で左右の水平方向へ大きな振動が加わった様子を示す。大きな振動を受け什器が転倒しないで矢印に示す揺れの方向へ什器100が滑り出した状態を示している。
【0047】
図9(A)の状態は、大きな振動で什器100が建造物の壁から離反する方向へ床面を滑るように平行移動した際に、天板が転倒防止具50を介して建造物に固定されているために、什器100が天板を支点として揺動するために発生すると考えられる。
【0048】
この滑り出しを防止するために
図9(B)に示すように、転倒防止具50を什器100の天板に、転倒防止具51を側面に取り付ける。什器100の側面に取り付ける転倒防止具51の取付位置は什器100の略重心位置よりも下が好適である。
【0049】
図9(B)に示すように転倒防止具51をキャビネットの側面へ取り付けることで、転倒防止具が天板に取り付けた転倒防止具を支点とした揺動を制限するので、
図9(A)に示すような矢印方向への什器100が滑り出し難い。
【0050】
本発明の転倒防止具は設置に際しては、接着により什器に簡便に取り付けられる。また接着固定の固定具は、その接着面に平行な面での回転力により取り外しが容易なので室内の配置換えでの什器の移動が容易になる。そして構造が簡単なので安価に製造が可能で幅広く什器の転倒防止具の提供が可能となる。
【0051】
上記にて説明したように本発明に係る転倒防止具を用いて什器の転倒を効果的に防止する転倒防止方法を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
10 連結部材
11 第1結合部
12 位置決め孔
13 側面凹凸
15 第1結合部の凹部
20 什器固定部
22 底面凹凸
25 係止具
26 接着部
27 板部材
30 建物固定部
35 第2結合部の壁部材の側壁の凸部
36 接着部
50、51 転倒防止具
100 什器