(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143548
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】ポンプの冷却構造
(51)【国際特許分類】
F04B 53/08 20060101AFI20230929BHJP
【FI】
F04B53/08 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050980
(22)【出願日】2022-03-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】522121595
【氏名又は名称】マイクロテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 康治
(72)【発明者】
【氏名】越塚 寛
【テーマコード(参考)】
3H071
【Fターム(参考)】
3H071CC06
3H071CC33
3H071DD31
3H071DD83
(57)【要約】
【課題】ポンプの大型化、重量化を最小限に抑える。
【課題を解決するための手段】 水冷ポンプ1は吸入部3と吐出部4をするケーシング5で囲まれており、ケーシング5の内、ポンプ駆動源を囲む部分は筒型に形成されたポンプ本体2を備える。ケーシング5の内、少なくともポンプ駆動源を囲む下部ケーシング5Aの部分の外周を隙間なく一層の平巻き状に覆うように冷却ホース11、12を巻着し、ポンプ本体2の稼働で吐出部4から吐出した水を、冷却ホース11、12に通したあと外部の供給対象に送出するように形成した。冷却ホース11、12は、隣り合わせに併設した2本一組で構成し、ホース長を短くて済むようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入部と吐出部をするケーシングで囲まれており、ケーシングの内、ポンプ駆動源を囲む部分は筒型に形成されたポンプ本体を備えたポンプの冷却構造であって、
ケーシングの内、少なくともポンプ駆動源を囲む部分の外周を覆うように冷却ホースを巻着し、
ポンプ本体の稼働で吐出部から吐出した水を、冷却ホースに通したあと外部の供給対象に送出するか、または、ポンプ本体の稼働で外部から吸い込んだ水を冷却ホースに通したあとに吸入部に流入するように形成したこと、
を特徴とするポンプの冷却構造。
【請求項2】
冷却ホースは、n本一組で巻着されており、
n本の冷却ホースの入口側に各冷却ホースに水を分流して流入させる分流部、出口側に各冷却ホースからの流出水を合流させる合流部を備えたこと、
を特徴とする請求項1記載のポンプの冷却構造。
【請求項3】
冷却ホースは、一層の平巻き状または多層の整列巻き状に巻着されていること、
を特徴とする請求項1または2記載のポンプの冷却構造。
【請求項4】
冷却ホースとケーシングとの間の隙間を、熱伝導性充填剤で充填したこと、
を特徴とする請求項1または2または3記載のポンプの冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプの冷却構造に係り、とくに海水、湖水、河川水、井戸水などの水を汲み上げる場合に好適なポンプの冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の汲み上げポンプ等のポンプの一般的な冷却構造は、ポンプ本体の周囲を隙間を空けて冷却用ケーシングで覆い、冷却ファンにより冷却用ケーシング内の隙間にエアを強制的に送風し、ポンプ本体の稼働で発生した熱をエアで奪いながら、昇温したエアを外部へ放出するようになっていた。
このため、ポンプ本体の大きさに比較して大型化、重量化する欠点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑みなされたもので、ポンプの大型化、重量化を最小限に抑えることのできるポンプの冷却構造を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載の発明は、
吸入部と吐出部をするケーシングで囲まれており、ケーシングの内、ポンプ駆動源を囲む部分は筒型に形成されたポンプ本体を備えたポンプの冷却構造であって、
ケーシングの内、少なくともポンプ駆動源を囲む部分の外周を覆うように冷却ホースを巻着し、
ポンプ本体の稼働で吐出部から吐出した水を、冷却ホースに通したあと外部の供給対象に送出するか、または、ポンプ本体の稼働で外部から吸い込んだ水を冷却ホースに通したあとに吸入部に流入するように形成したこと、
を特徴としている。
請求項2記載の発明は、
冷却ホースは、n本一組で巻着されており、
n本の冷却ホースの入口側に各冷却ホースに水を分流して流入させる分流部、出口側に各冷却ホースからの流出水を合流させる合流部を備えたこと、
を特徴としている。
請求項3記載の発明は、
冷却ホースは、互いに隙間なく一層の平巻き状または多層の整列巻き状に巻着されていること、
を特徴としている。
請求項4記載の発明は、
冷却ホースとケーシングとの間の隙間を、熱伝導性充填剤で充填したこと、
を特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ポンプが吐出する水、または吸い込む水をケーシングに巻着した冷却ホースに通過させることにより冷却できるので、ファンや冷却用ケーシングなどの大がかりな冷却構造が不要となる。
また、他の発明によれば、冷却ホースをn本一組の構成としたことにより、n本の各々の冷却ホース長を短くでき、冷却水の通過抵抗を小さくできる。
また、他の発明によれば冷却ホースを一層の平巻き状または多層の整列巻き状としたことにより、冷却構造の占めるスペースを最小限に抑えることができる。
また、他の発明によれば、冷却ホースとケーシングとの間の隙間を、熱伝導性充填剤で充填したことにより、高い冷却効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は本発明の一実施例に係る水冷ポンプの外観斜視図である(実施例1)。
【
図2】
図2は
図1の水冷ポンプを含む真水化システムの構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の最良の形態を実施例に基づき説明する。
【実施例0008】
図1、
図2を参照して本発明の一実施例に係る水冷ポンプを説明する。
図1は本発明の一実施例に係る水冷ポンプの外観斜視図、
図2は
図1の水冷ポンプを含む真水化システムの構成図である。
これらの図において、1は水冷ポンプであり、ここでは一例として海水を汲み上げて淡水化するためのレジャーボート用の真水化システムに用いる水冷ポンプとする。
【0009】
水冷ポンプ1の内、2はポンプ本体であり、吸入部3と吐出部4をするケーシング5により周囲が囲まれている。ポンプ本体2の下部にモータ及び機構部からなるポンプ駆動源(図示せず)、上部にポンプ駆動源によって駆動されるダイヤフラムポンプ部(図示せず)が設けられている。ケーシング5の内、ポンプ駆動源を囲む部分は大径筒型の下部ケーシング5A、ダイヤフラムポンプ部を囲む部分は上部ケーシング5Bとする。吸入部3と吐出部4は上部ケーシング5Bの互いに反対側に設けられている。
【0010】
吸入部3には、接続用ホース部6を介して海水7からの汲み上げホース8が接続されている。一方、吐出部4には、接続用ホース部9と分流部10を介して隣り合わせに併設された2本一組(2本一束)のフレキシブルなプラスチック製の冷却ホース11、12の入口側が接続されている。隣り合わせに併設された2本一組の冷却ホース11、12は、ケーシング5の内、ポンプ駆動源を囲む下部ケーシング5Aの部分の外周を覆うように下から上に向かって一層の平巻き状に隙間なく並列に巻着されている。下部ケーシング5Aと冷却ホース11、12の間の隙間には、熱伝導性充填剤の一例としての熱伝導性グリスが充填されている。冷却ホース11、12の出口側は合流部13、接続用ホース部14、送出ホース15を介して外部の逆浸透膜装置16に接続されており、真水化されるようになっている。
【0011】
次に、上記した実施例の作用を説明する。
水冷ポンプ1を稼働すると、海水7が汲み上げホース8、接続用ホース部6を介して吸入部3から吸入され、吐出部4から吐出される。吐出部4から吐出された海水は、接続用ホース部9を経て冷却ホース11、12の入口側に設けられた分流部10に送られる。分流部10は海水を2系統に分流して冷却ホース11、12の各入口から内部に流入させる。冷却ホース11、12に入った海水はポンプ駆動源を囲む下部ケーシング5Aの外周全体に沿って平行に旋回しながらケーシング5Aから熱を奪ってポンプ駆動源を冷却する。冷却ホース11、12とケーシング5との間の隙間が熱伝導性グリスで充填されているため、高い冷却効率を得ることができる。冷却ホース11、12を通った海水は冷却ホース11、12の出口から流出したあと合流部13で合流され、接続用ホース部14、送出ホース15を通って外部の逆浸透膜装置16に送られて真水化される。
【0012】
ここで、冷却ホース11、12は隣り合わせに併設した2本により、ポンプ駆動源を囲む下部ケーシング5Aの周囲を一層の平巻き状に隙間なく並列に覆っているので、1本の冷却パイプを巻着して平巻き状に隙間なく覆う場合に比べて、冷却ホース11, 12の長さは半分で済み、海水の通過抵抗が少なく、かつ、ポンプ本体2の吐出部4から吐出される海水は比較的圧力が高いので、冷却ホース11、12の内部を確実に通過させながら、外部に送出することができる。
また、冷却ホース11, 12で冷却後の海水の温度が高くなっているため、逆浸透膜装置16の温度特性から真水への変換能率が向上する。
【0013】
この実施例によれば、ポンプ本体2が吐出する海水をケーシング5に巻着した冷却ホース11、12に通過させることにより冷却できるので、ファンなどの大がかりな冷却構造が不要となる。
また、ポンプ本体2から吐出される海水は比較的圧力が高いので、冷却水としての海水を確実に冷却ホース11、12を通過させながら、外部に送出することができる。
また、冷却ホース11、12を、隣り合わせに併設された2本一組の構成としたことにより、一本で巻着する場合に比較して各冷却ホース11、12長を短くでき、冷却水としての海水の通過抵抗を小さくできる。
また、下部ケーシング5Aに対し冷却ホース11、12を一層の平巻き状に隙間なく並列に巻着したことにより、冷却構造の占めるスペースを最小限に抑えることができる。
また、冷却ホース11、12と下部ケーシング5Aとの間の隙間を、熱伝導性グリスで充填したことにより、高い冷却効率を実現することができる。
【0014】
なお、上記した実施例では、冷却ホースを2本一組としたが、3本一組、4本一組などとしても良く、或いは、一本だけとしても良い。
また、ポンプ駆動源を囲む下部ケーシングの外周に一層の平巻状に巻着するようにしたが、2層以上の多層整列巻き状としても良い。
また、下部ケーシングだけでなく、上部ケーシングの一部も含めて巻着するようにしても良い。
また、
図2の分岐部10を汲み上げホース8接続し、合流部13を接続ホース部6を介して吸入部3と接続するようにして、ポンプ本体2に吸入される水を利用して冷却するようにしても良い。