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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143561
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/55 20210101AFI20230928BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230928BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20230928BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20230928BHJP
   G03B 15/05 20210101ALI20230928BHJP
   G03B 15/03 20210101ALI20230928BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20230928BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20230928BHJP
【FI】
G03B17/55
G03B15/00 V
G03B15/00 S
G03B30/00
G03B17/02
G03B15/05
G03B15/03 K
G03B15/03 W
H04N5/225 100
H04N5/225 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022065384
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000104168
【氏名又は名称】カツラ電工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】水眞 潔
【テーマコード(参考)】
2H053
2H100
2H104
5C122
【Fターム(参考)】
2H053CA04
2H053CA06
2H053CA41
2H053CA45
2H053DA00
2H100BB05
2H100BB07
2H100BB11
2H100CC04
2H100EE05
2H104CC00
5C122DA14
5C122EA02
5C122GE05
5C122GE11
5C122GE18
5C122GG17
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】使用される温度環境に関わらず被写体の鮮明な撮像画像を得ることができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置1は、撮像部20と、円筒状であり内側に撮像部20が配置される筐体11と、透光性を有し筐体11の+Y方向側を閉塞するように配置され撮像部20を保護する保護基板31と、保護基板31を加熱するヒータ32と、角筒状であり筐体11の内側における撮像部20の-Y方向側に配置された筒状部材12と、筒状部材12の-Y方向側に配置され、筐体11の-Y方向側から筒状部材12の内側へ流れる気流を発生させるファン60と、を備える。そして、Y軸方向から見たときに、筒状部材12の+Y方向側の開口部分の一部のみが撮像部20と重なっており、筐体11の側壁と筒状部材12の側壁との間には空隙が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部と、
筒状であり内側に前記撮像部が配置される筐体と、
透光性を有し前記筐体の筒軸方向における一端側を閉塞するように配置され前記撮像部を保護する保護基板と、
前記保護基板を加熱するヒータと、
筒状であり前記筐体の内側における前記撮像部よりも前記筐体の筒軸方向における他端側に、筒軸方向が前記筐体の筒軸方向に沿うように配置された筒状部材と、
前記筒状部材における前記撮像部側とは反対側に配置され、前記筐体の筒軸方向における他端側から前記筒状部材の内側へ流れる気流を発生させるファンと、を備え、
前記筒状部材の筒軸方向から見たときに、前記筒状部材の前記撮像部側の開口部分の一部のみが前記撮像部と重なっており、前記筐体の側壁と前記筒状部材の側壁との間には空隙が形成されている、
撮像装置。
【請求項2】
筒状であり前記撮像部の前記保護基板側の側方を覆うように配置され、前記撮像部の側方から前記撮像部へ入射する光を遮る遮光部材と、
環状であり前記筐体の前記一端側の端部の内側において前記遮光部材の外側を囲繞するように配置された回路基板と、前記回路基板における前記保護基板側に実装され前記保護基板側へ光を放射する少なくとも1つの発光部と、を有する発光モジュールと、を更に備え、
前記回路基板の周部には、少なくとも1つの切欠部が設けられている、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像部と前記保護基板との間の距離は、3mm以上である、
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記ファンの最大静圧は、40Pa以上66Pa以下である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラと、カメラを収容する筐体と、筐体の前面部に設けられた保護ガラスと、を備える車載用監視カメラが提案されている(例えば特許文献1参照)。この車載用監視カメラは、車両本体の外部側に取り付けられた状態で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-300715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の監視カメラは、比較的温度が高い環境化で使用される場合がある。この場合、保護ガラスの表面側の温度がその裏面側の温度に比べて低くなってしまうと、裏面側が結露してしまい、被写体の鮮明な撮像画像が得られない虞がある。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、使用される温度環境に関わらず被写体の鮮明な撮像画像を得ることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、
撮像部と、
筒状であり内側に前記撮像部が配置される筐体と、
透光性を有し前記筐体の筒軸方向における一端側を閉塞するように配置され前記撮像部を保護する保護基板と、
前記保護基板を加熱するヒータと、
筒状であり前記筐体の内側における前記撮像部よりも前記筐体の筒軸方向における他端側に、筒軸方向が前記筐体の筒軸方向に沿うように配置された筒状部材と、
前記筒状部材における前記撮像部側とは反対側に配置され、前記筐体の筒軸方向における他端側から前記筒状部材の内側へ流れる気流を発生させるファンと、を備え、
前記筒状部材の筒軸方向から見たときに、前記筒状部材の前記撮像部側の開口部分の一部のみが前記撮像部と重なっており、前記筐体の側壁と前記筒状部材の側壁との間には空隙が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、保護基板を加熱するヒータを備えるとともに、筒状部材の筒軸方向から見たときに、筒状部材の撮像部側の開口部分の一部のみが撮像部と重なっており、筐体の側壁と筒状部材の側壁との間には空隙が形成されている。これにより、ヒータにより保護基板が加熱されつつ、ファンから送られてくる気体が、筒状部材の内側を通って筒状部材における撮像部側の開口部における撮像部で覆われていない部分を通って保護基板における筐体の内側に露出した部分に当たる。そして、保護基板に当たり保護基板で温められた気体は、筐体内に停滞せずに筐体の側壁と筒状部材の側壁との間に形成された空隙を通って筐体の他端側へ流れていく。これにより、保護基板が比較的高い温度で維持されつつ、保護基板における筐体の内側に露出した部分に、常時、ファンから送られてくるフレッシュな気体が供給されるので、保護基板における筐体の内側に露出した部分の結露を抑制することができる。従って、使用される環境に関わらず被写体の鮮明な撮像画像を得ることができる。また、ファンから筒状部材の内側を通って撮像部に当たる気体により、撮像部が冷却されるので、撮像部の温度が上昇することによる撮像部の故障を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る撮像装置の分解斜視図である。
図2】実施の形態に係る撮像装置の断面図である。
図3】(A)実施の形態に係る保護基板、樹脂層およびカバー部材の平面図であり、(B)は(A)のA-A線における断面図である。
図4】(A)は実施の形態に係る撮像装置の一部を示す平面図であり、(B)は実施の形態に係る撮像装置の一部を示す平面図である。
図5】実施の形態に係る撮像装置における温度測定位置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る撮像装置について図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る撮像装置は、筐体の外側の温度のみが広い温度範囲または広い湿度範囲で変化し且つ筐体の内側の温度が常温(5℃~30℃)雰囲気となるような環境で使用可能なものである。筐体の外側の環境は、例えば温度が氷点下の温度から比較的高い温度までの温度範囲(-40℃以上150℃以下)内である環境、或いは、温度が0℃以上100℃未満の温度範囲内である場合において湿度が0%以上98%以下の湿度範囲内である環境である。
【0010】
図1および図2に示すように、本実施の形態に係る撮像装置1は、撮像部20と、筐体11と、保護基板31と、筒状部材12と、ファン60と、を備える。なお、図1および図2では、撮像部20の撮像方向を+Y方向としている。以下の説明において、撮像部20の撮像方向を適宜+Y方向として説明する。また、撮像装置1は、遮光部材131と、支持部材132と、枠体14と、パッキン16と、発光モジュール40と、を備える。筐体11は、長尺の円筒状であり内側に撮像部20が配置されている。
【0011】
撮像部20は、レンズ群(図示せず)と、レンズ群を保持する鏡筒26と、制御ユニット21と、を有する。制御ユニット21は、レンズ群を透過した映像光が結像される撮像素子(図示せず)と、撮像素子の動作を制御する制御基板(図示せず)と、を有する。撮像素子は、例えばCMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等である。また、制御ユニット21は、外部から制御信号を受信するとともに、撮像素子により撮像して得られる映像信号を外部へ送信するためのインタフェース23と、制御ユニット21を支持部材132に固定するための螺子25および長尺円筒状のスペーサ24と、を有する。また、制御ユニット21は、発光モジュール40を点灯駆動する駆動回路(図示せず)と、駆動回路を制御する点灯制御モジュール(図示せず)と、を有し、駆動回路は、導電線(図示せず)を介して発光モジュール40に接続されている。
【0012】
遮光部材131は、円筒状であり撮像部20の保護基板31側の側方を覆うように筐体11の内側に配置され、撮像部20の側方から撮像部20へ入射する光を遮る。また、遮光部材131の+Y方向側の端部には、その全周に亘って溝131aが形成されている。パッキン16は、円環状であり遮光部材131の+Y方向側の端部全周に亘って配設され保護基板31に当接している。パッキン16は、エラストマ、ゴム等から形成され、遮光部材131の溝131aの内側に嵌入されている。
【0013】
支持部材132は、内側に配置された外径が支持部材132の内径よりも短い遮光部材131と連続一体に形成され、遮光部材131とともに1つの支持ユニット13を構成しており、枠体14と遮光部材131の内側に配置された撮像部20とを支持する。支持部材132は、円筒状の支持部材本体1321と、支持部材本体1321の+Y方向側の端部から外側へ張り出した外鍔部1322と、を有する。また、支持部材本体1321には、支持部材本体1321の内側へ突出し-Y方向側の端面に撮像部20の螺子25の先端部が螺号する螺子孔(図示せず)が穿設されたリブ1323が設けられている。この支持部材132は、外鍔部1322の-Y方向側の端面が筐体11の+Y方向側の端面に当接した状態で筐体11に固定される。
【0014】
枠体14は、枠体本体141と、枠体本体141におけるその中心を挟んだ2箇所から外側へ張り出し中央部に貫通孔142aが穿設された舌片142と、を有する。この枠体14は、保護基板31の+Y方向側から保護基板31の周部に当接した状態で配置され、舌片142に穿設された貫通孔142aに挿通された螺子15により支持部材132に固定されている。これにより、枠体14は、保護基板31の周部を保持した状態で支持部材132に固定される。
【0015】
保護基板31は、透光性を有し筐体11の筒軸方向における一端側、即ち、+Y方向側を閉塞するように配置され撮像部20を保護する。保護基板31は、電気的絶縁性を有し且つ透光性を有する絶縁体材料から板状に形成されている。絶縁体材料としては、例えば透明なガラスを採用することができる。また、透明なガラスとしては、例えばTEMPAX-Float(登録商標)ガラスを採用することができる。保護基板31の厚さは、例えば3mm程度に設定される。この保護基板31と撮像部20との間の距離は、3mm以上に設定されている。また、図3(A)に示すように、保護基板31の周部2箇所には、ヒータ32へ電力を供給するための導電線(図示せず)を半田付けするための電極ランド(図示せず)が配設されている。更に、保護基板31の周部の2箇所には、細長であり-Y方向側へ延出する2つのピン36が突設されている。
【0016】
ヒータ32は、長尺であり、保護基板31の-Y方向側においてX軸方向に沿って延在するように配設された複数の導電パターン321と、複数の導電パターン321それぞれの両端部に接続される2つの電極322と、を有する。導電パターン321は、それぞれ、例えばITO(Indium Tin Oxide)から形成された透明導電膜である。電極322は、例えばAgのような導電パターン321に通電できる金属から形成されており、一部が前述の電極ランドに連続している。導電パターン321の厚さは、例えば60nm程度に設定される。また、電極322は、導電線(図示せず)を介してヒータ電源(図示せず)に電気的に接続されている。そして、ヒータ電源から電極322を介して導電パターン321へ電流が供給されることにより、導電パターン321が発熱する。ここで、ヒータ32は、保護基板31の周囲温度に対して温度上昇値が+40℃~+50℃となるまで加熱するように設定されている。なお、保護基板31における電極322が形成された部分の外側の部分に、電気的絶縁性を有する材料からなる絶縁部材(図示せず)が設けられていてもよい。
【0017】
樹脂層34は、透明なシリコーン樹脂から形成され、図3(B)に示すように、保護基板31の-Y方向側において、導電パターン321を覆うように設けられている。樹脂層34の厚さは、防水性が確保できる厚みであれば特に限定されず、例えば0.5mm以上の厚さに設定することができる。カバー部材35は、透明なガラスから円板状に形成され、樹脂層34の-Y方向側を覆うように設けられている。カバー部材35の外径は、遮光部材131+Y方向側の端部の外径よりも短く設定されており、Y軸方向からみてカバー部材35の周部が、遮光部材131の内側に収まっている。カバー部材35の厚さは、0.3mm以上0.7mm以下に設定される。なお、カバー部材35の厚さが、0.7mmよりも厚くなると、ヒータ32からの熱が、カバー部材35における-Y方向側の面近傍まで十分に伝わらなくなりカバー部材35の-Y方向側の面に結露が生じる虞がある。このため、カバー部材35の厚さは、少なくとも0.7mm以下に設定するのが好ましい。
【0018】
発光モジュール40は、図4(A)に示すように、円環状の回路基板41と、回路基板41における保護基板31側、即ち、+Y方向側に実装され保護基板31側へ光を放射する複数(図4(A)では8つ)の発光部42と、を有する。回路基板41は、エポキシ基板、フェノール基板等の絶縁性基板であり、複数の発光部42それぞれへ電力を供給するための導電パターン(図示せず)が形成されている。そして、この回路基板41は、筐体11の+Y方向側の端部の内側において遮光部材131の外側を囲繞するように配置されている。また、回路基板41には、4つの切欠部41aが設けられている。複数の発光部42は、例えば青紫色光を放射するLED素子と、青紫色光を波長の異なる光に変換する波長変換部材と、を有し、白色光を放射するものであり、回路基板41の周方向に沿って回路基板41に実装されている。複数の発光部42は、それぞれ、耐熱温度が比較的高いチップLED(Light Emitting Diode)であり、撮像部20の撮像方向、即ち、+Y方向に向かって光を放射する。
【0019】
筒状部材12は、図1および図2に示すように、角筒状であり筐体11の内側における撮像部20よりも筐体11の筒軸方向における他端側、即ち、-Y方向側に、その筒軸方向が筐体11の筒軸方向に沿うように配置されている。筒状部材12は、Y軸方向から見たときに、筒状部材12の+Y方向側の開口部分12aの一部のみが撮像部20と重なっている。また、筐体11の側壁と筒状部材12の側壁との間には空隙S1が形成されている。
【0020】
ファン60は、筒状部材12における撮像部20側とは反対側、即ち、-Y方向側に配置され、-Y方向側から筒状部材12の内側へ流れる気流を発生させる。ファン60は、例えばDCモータで駆動するDCファンである。
【0021】
本実施の形態に係る撮像装置1では、ファン60により、図5の矢印AR1に示すように筒状部材12の内側を+Y方向側へ流れる気流が発生させられる。そして、筒状部材12の+Y方向側の端部から流出した空気の一部は、矢印AR2に示すように、撮像部20の側方を回り込んで遮光部材131の内側へ流れて保護基板31の-Y方向側における遮光部材131の内側に当たる。このとき、筒状部材12の+Y方向側の端部から流出した空気の一部は、図4(B)に示すY軸方向から見て遮光部材131の内側における撮像部20との間の隙間S2を通って遮光部材131の内側へ流入する。また、図5に示すように、筒状部材12の+Y方向側の端部から流出した空気の一部は、矢印AR3に示すように、発光モジュール40の回路基板41に設けられた4つの切欠部41aを通って筐体11と遮光部材131との間の領域へ流れて保護基板31の-Y方向側における遮光部材131の外側に当たる。また、保護基板31の-Y方向側に当たった空気は、再び、遮光部材131の内側と撮像部20との間の隙間S2、或いは、回路基板41の切欠部41aを通って、筒状部材12の+Y方向側まで環流する。そして、筒状部材12の+Y方向側まで環流した空気は、図5の矢印AR4に示すように、筐体11と筒状部材12との間に形成された空隙S1を通って筐体11の-Y方向側へ流れる。
【0022】
次に、本実施の形態に係る撮像装置1について、保護基板31の+Y方向側を恒温槽内に露出した状態で恒温槽に装着し、恒温槽内の温度および使用するファン60の最大静圧を変化させたときの保護基板31の槽内側の温度と、保護基板31の筐体11側における遮光部材131の内側および外側の温度と、を測定した結果について説明する。ここで、保護基板31と撮像部20との間の距離は、3mmとした。恒温槽内の設定温度を-40℃とした場合の結果を下記表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
表1の結果から、恒温槽内の設定温度が-40℃の場合でも保護基板31の筐体11側の遮光部材131の内側は、恒温槽外の温度よりも高い温度で維持されておりこの部分の結露を抑制できることが判った。このことから、保護基板31における少なくとも撮像部30の画角に入る領域の結露は抑制できることが判る。次に、恒温槽内の設定温度を85℃、100℃、150℃とした場合の結果を、それぞれ、下記表2、表3および表4に示す。
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
表2乃至4の結果から、恒温槽内の設定温度が85℃以上の場合、保護基板31の筐体11側の遮光部材131の内側のみならず遮光部材131の外側も、恒温槽外の温度よりも高い温度で維持されており、保護基板31における筐体11側全体において結露を抑制できることが判った。
【0029】
また、前述の最大静圧が異なる3種類のファン60について、撮像装置1から1m離れた場所におけるファン60で発生する騒音のレベルを確認したところいずれも極端に大きなレベルは確認できなかった。つまり、ファン60の最大静圧が、40Pa以上66Pa以下であれば、保護基板31の外側の温度が-40℃乃至150℃の温度範囲で変化したとしても少なくとも保護基板31の筐体11側における遮光部材131の内側の領域の結露を抑制できるとともに、撮像装置1の周囲における騒音レベルもある程度抑制できることが判る。
【0030】
以上説明したように、本実施の形態に係る撮像装置1によれば、保護基板31を加熱するヒータ32を備えるとともに、Y軸方向から見たときに、筒状部材12の+Y方向側の開口部分の一部のみが撮像部20と重なっており、筐体11の側壁と筒状部材12の側壁との間には空隙S1が形成されている。また、撮像部20と保護基板31との間の距離が、3mm以上に設定されている。これにより、ヒータ32により保護基板31が加熱されつつ、ファン60から送られてくる空気が、筒状部材12の内側を通って筒状部材12の+Y方向側の開口部分12aにおける撮像部20で覆われていない部分を通って保護基板31の-Y方向側に当たる。そして、保護基板31に当たり保護基板31で温められた空気は、筐体11内に停滞せずに筐体11の側壁と筒状部材12の側壁との間に形成された空隙S1を通って筐体11の-Y方向側へ流れていく。これにより、保護基板31が比較的高い温度で維持されつつ、保護基板31における-Y方向側の部分に、常時、ファン60から送られてくるフレッシュな空気が供給されるので、保護基板31の-Y方向側の結露を抑制することができる。従って、使用される環境に関わらず被写体の鮮明な撮像画像を得ることができる。
【0031】
ところで、撮像部20の鏡筒26に保持されたレンズ群、撮像部20の制御ユニット21の撮像素子等の電子部品、発光モジュール40のLEDからなる発光部42等は、比較的熱に弱いためこれらの温度を下げることが要請される。これに対して、本実施の形態に係る撮像装置1では、ファン60から筒状部材12の内側を通って撮像部20および発光モジュール40に当たる気体により、撮像部20および発光モジュール40が冷却されるので、撮像部20、発光モジュール40の温度が上昇することによる撮像部20、発光モジュール40の故障を抑制することができる。
【0032】
また、本実施の形態に係る発光モジュール40の回路基板41には、4つの切欠部41aが設けられている。これにより、筒状部材12の+Y方向側の端部から流出した空気が、回路基板41に設けられた切欠部41aを通って保護基板31の-Y方向側における遮光部材131の外側の部分側に当たる。これにより、保護基板31の-Y方向側における遮光部材131の外側の部分における結露を抑制できるので、発光部42から放射される光を効率良く保護基板31の+Y方向側へ透過させることができる。
【0033】
更に、本実施の形態に係るファン60の最大静圧は、40Pa以上66Pa以下である。これにより、保護基板31の結露を抑制しつつ、撮像装置1の周囲における騒音レベルを低減することができる。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば筒状部材12が円筒状その他の筒状の形状を有するものであってもよい。また、筐体11が角筒状その他の筒状の形状を有するものであってもよい。
【0035】
実施の形態では、保護基板31が、透明なガラスから形成されている例について説明したが、これに限定されるものではなく、保護基板31が、電気的絶縁性を有し且つ透光性を有する樹脂、セラミックス結晶材料のような他の絶縁体材料から形成されたものであってもよい。また、実施の形態では、樹脂層34がシリコーン樹脂から形成されている例について説明したが、これに限定されるものではなく、電気的絶縁性および耐熱性があり且つ透光性を有する樹脂であれば他の樹脂であってもよい。例えば樹脂層34が、透明なウレタン樹脂、エポシキ樹脂、フッ素樹脂等から形成されていてもよい。更に、実施の形態では、カバー部材35が、透明なガラスから形成されている例について説明したが、これに限定されるものではなく、カバー部材35が、電気的絶縁性を有し且つ透光性を有する樹脂、セラミックス結晶材料のような他の絶縁体材料から形成されたものであってもよい。
【0036】
実施の形態では、保護基板31、樹脂層34およびカバー部材35が透明な材料から形成される例について説明したが、これに限定されるものではなく、透光性を有する材料から形成されるものであってもよい。例えば撮像装置1の用途に応じて赤外線の波長帯域の光のみを透過する材料から形成されていてもよい。
【0037】
実施の形態では、発光部42が、チップLEDである例について説明したが、これに限定されず、例えば発光部42が有機EL(Electro Luminescence)素子のような他の種類の発光素子を利用したものであってもよい。
【0038】
以上、本発明の各実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態及び変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、保護基板の外側の温度のみが広い温度範囲または広い湿度範囲で変化し且つ保護基板の内側の温度が常温(5℃~30℃)雰囲気となるような環境で使用される監視カメラとして好適である。ここで、前述の保護基板の外側の環境は、例えば温度が氷点下の温度から比較的高い温度までの温度範囲(-40℃以上150℃以下)内である環境、或いは、温度が0℃以上100℃未満の温度範囲内である場合において湿度が0%以上98%以下の湿度範囲内である環境である。
【符号の説明】
【0040】
1:撮像装置、11:筐体、12:筒状部材、12a:開口部分、13:支持ユニット、14:枠体、15,25:螺子、16:パッキン、20:撮像部、21:制御ユニット、23:インタフェース、24:スペーサ、26:鏡筒、31:保護基板、32:ヒータ、34:樹脂層、35:カバー部材、36:ピン、40:発光モジュール、41:回路基板、41a:切欠部、142a:貫通孔、42:発光部、60:ファン、131:遮光部材、131a:溝、132:支持部材、141:枠体本体、142:舌片、321:導電パターン、322:電極、1321:支持部材本体、1322:外鍔部、1323:リブ、S1:空隙、S2:隙間
図1
図2
図3
図4
図5