(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143582
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230928BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230928BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L21/302 101C
H01L21/302 101M
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
C23C16/44 B
C23C16/44 J
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097031
(22)【出願日】2022-06-16
(62)【分割の表示】P 2022046507の分割
【原出願日】2022-03-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】511265154
【氏名又は名称】SPPテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】太田 和也
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030DA06
4K030FA04
4K030KA11
4K030KA30
4K030KA34
5F004AA16
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB29
5F004BD04
5F004CA06
5F045AA08
5F045BB10
5F045EB05
5F045EB10
5F045EC05
5F045EH11
5F045EH18
5F045EH20
5F045EJ04
5F045EJ09
5F045EM05
(57)【要約】
【課題】高温部やロック機構への保護構造を確保した上で、装置の外径寸法を抑制可能で、かつ、ロック機構の操作性を改善させることが可能な基板処理装置を提供する。
【解決手段】この基板処理装置100は、下部チャンバ1と、上部チャンバ2と、昇降機構3とを備える。上部チャンバ2は、第1アセンブリ2aと、第2アセンブリ2bと、第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとを連結解除可能に連結するロック機構8とを含む。第1アセンブリ2aは、トッププレート21と第1カバー22とプラズマ生成室31の天井面を構成する天板部31bとを含み、第1カバー22の外側から昇降機構3と連結されている。第2アセンブリ2bは、プラズマ生成室31の内周面を構成する側壁部31aと、プラズマ生成室31の外周を覆う第2カバー32とを含む。ロック機構8は、第1アセンブリ2aの第1カバー22よりも内周側の位置に設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する反応室を含む下部チャンバと、
前記下部チャンバの上部を覆う上部チャンバと、
前記上部チャンバを前記下部チャンバから着脱する昇降機構とを備え、
前記上部チャンバは、上側の第1アセンブリと、前記第1アセンブリの下面に配置された第2アセンブリと、前記第1アセンブリと前記第2アセンブリとを連結解除可能に連結するロック機構とを含み、
前記第1アセンブリは、トッププレートと、前記トッププレートの上面を開放可能に覆う第1カバーと、前記反応室と連結して閉鎖空間を構成するプラズマ生成室の天井面を構成する天板部とを含み、前記第1カバーの外側から前記昇降機構と連結されており、
前記第2アセンブリは、前記プラズマ生成室の内周面を構成する筒状の側壁部と、前記プラズマ生成室の外周を覆う第2カバーとを含み、
前記ロック機構は、前記第1アセンブリの前記第1カバーよりも内周側の位置に設けられている、基板処理装置。
【請求項2】
前記第1アセンブリは、前記トッププレートにそれぞれ設けられた、バルブ機構、冷却機構および加熱機構を含み、
前記第2アセンブリは、前記第2カバーの内周側に、前記プラズマ生成室の周囲に設けられ前記プラズマ生成室内の処理ガスをプラズマ化するための磁界を発生するコイルを含む、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記昇降機構は、前記上部チャンバを側方から支持し、上下軸によって、前記上部チャンバを少なくとも上下方向に移動可能に構成されている、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記第2アセンブリの前記第2カバーよりも内周側の位置に設けられ、
前記第2カバーは、前記第2カバーの内周面から内向きに突出するフランジ部を有し、
前記ロック機構は、前記トッププレートを上下に貫通する軸部と、前記軸部の下端に設けられた係合部と、前記第2カバーの前記フランジ部を上下に貫通する差込口とを含み、
前記ロック機構は、前記差込口を通過した前記係合部の前記軸部周りの向きに応じて、前記第1アセンブリおよび前記第2アセンブリを連結した連結状態と、前記第1アセンブリと前記第2アセンブリとの連結を解除した解除状態と、に切り替わるように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板処理装置に関し、特に、上部ユニットである上部チャンバを分割可能に構成された基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上部ユニットを分割可能に構成された基板処理装置が知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【0003】
上記特許文献1には、処理室の天井部を構成する上部電極ユニットと上部電極ユニットを昇降させる昇降機構とを備え、上部電極ユニットが、上部電極ユニットの外周面に設けられたロック機構によって分離合体可能に構成された上部アセンブリと下部アセンブリとから構成された基板処理装置が開示されている。上記特許文献1では、基板処理装置のメンテナンスの際に、ロック機構をロックさせた状態では、上部アセンブリと下部アセンブリとを一体的に上昇させることが可能であり、ロック機構をアンロックさせた状態では、上部アセンブリのみを昇降機構により上昇させることができる。
【0004】
上記特許文献2では、上部チャンバおよび下部チャンバで構成された処理チャンバと、上部チャンバの一部が取り付けられる昇降板と、昇降板を昇降させる昇降手段と、上部チャンバを固定するための複数の固定ボルトとを備え、上部チャンバが、環状板と、環状板上に載置される筒状の側壁部材と、側壁部材の外方に配置され昇降板の下面に固設されたプラズマ生成手段と、側壁部材上に載置される天板とを含み、これらの昇降板、昇降手段、複数の固定ボルトおよび上部チャンバが、扉を備えた上カバー内に収容された構成のプラズマ処理装置が開示されている。上記特許文献2では、昇降機構によって、上部チャンバのうち、固定ボルトを介して昇降板に固定された部材を、他の部材から分離させて上昇させることが可能である。つまり、メンテナンスの際に、複数の固定ボルトの着脱状態に応じて、上部チャンバの環状板および側壁部材を残して、天板およびプラズマ生成手段を上昇させたり、天板、側壁部材、プラズマ生成手段および環状板を一体的に上昇させたりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4896337号公報
【特許文献2】特許第5188849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1および2には開示されていないが、基板の処理中に基板処理装置のチャンバの側壁などが高温になるため、ユーザが高温部と接触しないようにすることが、安全規格等で要求される。また、上記特許文献1のロック機構や上記特許文献2の固定ボルトなど、ユーザが操作可能な部分であって、基板処理装置が正常に機能するために重要な部分についても、たとえば昇降中にロック解除して重量物が落下するリスクがある場合などでは、ユーザが意図せず接触しないようにすることが、安全規格等で要求される。
【0007】
上記特許文献1では、そのような高温部に対する保護やロック機構に対する保護は、特に考慮されていないため、実際に安全規格に準拠した装置を構成する場合には、上部アセンブリおよび下部アセンブリのうち高温になる部位の周囲や、ロック機構の周囲に、接触防止のための保護カバーなどの部材を別途設ける必要が生じる。そのため、装置構成が複雑化するとともに、保護カバー等を設ける分だけ装置の外径寸法が大きくなる。
【0008】
一方、上記特許文献2では、固定ボルトで固定された上部チャンバの各部や昇降手段が、扉を備えた上カバー内に収容されているため、この上カバーによって、高温部に対する保護やロック機構に対する保護が確保されていると考えられる。しかし、この場合、上部チャンバおよび昇降手段の全体を覆う大きなカバーが設けられているため、装置の外径寸法が大きくなる。また、メンテナンス時には、作業者は、上部カバーの扉を介して上部カバー内に手を伸ばして固定ボルト等の脱着を行うことになるが、上部カバー内には昇降機構などが設けられているため昇降機構同士の隙間から固定ボルトの脱着を行う必要があり、ロック機構の操作性に改善の余地がある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、高温部やロック機構への保護構造を確保した上で、装置の外径寸法を抑制可能で、かつ、ロック機構の操作性を改善させることが可能な基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明による基板処理装置は、基板を処理する反応室を含む下部チャンバと、下部チャンバの上部を覆う上部チャンバと、上部チャンバを下部チャンバから着脱する昇降機構とを備え、上部チャンバは、上側の第1アセンブリと、第1アセンブリの下面に配置された第2アセンブリと、第1アセンブリと第2アセンブリとを連結解除可能に連結するロック機構とを含み、第1アセンブリは、トッププレートと、トッププレートの上面を開放可能に覆う第1カバーと、反応室と連結して閉鎖空間を構成するプラズマ生成室の天井面を構成する天板部とを含み、第1カバーの外側から昇降機構と連結されており、第2アセンブリは、プラズマ生成室の内周面を構成する筒状の側壁部と、プラズマ生成室の外周を覆う第2カバーとを含み、ロック機構は、第1アセンブリの第1カバーよりも内周側の位置に設けられている。
【0011】
本発明による基板処理装置では、上記のように、上部チャンバを構成する第1アセンブリと第2アセンブリとに、それぞれ第1カバーと第2カバーとを設け、ロック機構を、第1アセンブリの第1カバーよりも内周側の位置に設けたので、第1カバーおよび第2カバーによって高温部を保護しつつ、ロック機構の保護を、第1カバーによって実現することができる。このように、ロック機構が第1カバーの外表面に露出せず、ロック機構の保護カバー等を別途設ける必要がないので、装置構成が複雑化することがなく、また装置の外径寸法が大きくなることを抑制できる。また、第1カバーおよび第2カバーが別々に設けられ、かつ、第1アセンブリが、第1カバーの外側から昇降機構と連結される構成により、上部チャンバを昇降機構ごとカバー内に収容する構成と比べて、カバー内に確保すべきスペースを小さくできるので、第1カバーおよび第2カバーの寸法(容積)を抑制することができる。また、カバー内に昇降機構が配置されないので、昇降機構同士の隙間からロック機構を操作せずに済むため、カバー内におけるロック機構の操作性を改善することができる。これらの結果、本発明によれば、高温部やロック機構への保護構造を確保した上で、装置の外径寸法を抑制可能で、かつ、ロック機構の操作性を改善させることができる。
【0012】
上記発明による基板処理装置において、好ましくは、第1アセンブリは、トッププレートにそれぞれ設けられた、バルブ機構、冷却機構および加熱機構を含み、第2アセンブリは、第2カバーの内周側に、プラズマ生成室の周囲に設けられプラズマ生成室内の処理ガスをプラズマ化するための磁界を発生するコイルを含む。
【0013】
上記発明による基板処理装置において、好ましくは、昇降機構は、上部チャンバを側方から支持し、上下軸によって、上部チャンバを少なくとも上下方向に移動可能に構成されている。
【0014】
上記発明による基板処理装置において、好ましくは、ロック機構は、第2アセンブリの第2カバーよりも内周側の位置に設けられ、第2カバーは、第2カバーの内周面から内向きに突出するフランジ部を有し、ロック機構は、トッププレートを上下に貫通する軸部と、軸部の下端に設けられた係合部と、第2カバーのフランジ部を上下に貫通する差込口とを含み、ロック機構は、差込口を通過した係合部の軸部周りの向きに応じて、第1アセンブリおよび第2アセンブリを連結した連結状態と、第1アセンブリと第2アセンブリとの連結を解除した解除状態と、に切り替わるように構成されている。このように構成すれば、軸部を差込口に挿通させて係合部と差込口の縁部との係合状態を変化させるだけのシンプルな構成で、ロック機構を実現できる。また、ロック機構を全体として上下方向に延びる細長の軸状構造にできるので、第1カバーおよび第2カバーの内周側にロック機構を設けても、第1カバーおよび第2カバーの外径寸法が大きくなる事を効果的に抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記のように、高温部やロック機構への保護構造を確保した上で、装置の外径寸法を抑制可能で、かつ、ロック機構の操作性を改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】基板処理装置の概略構成を示した模式的な断面図である。
【
図2】上部チャンバを上昇位置へ移動させた状態を示した模式的な斜視図である。
【
図3】上部チャンバの構造を説明するための模式的な断面図である。
【
図4】第1アセンブリの第1カバー内を示した模式的な平面図である。
【
図5】ロック機構の構造を説明するための模式的な断面図である。
【
図6】差込口の配置を説明するための第2カバーの模式的な平面図である。
【
図7】ロック機構の状態を切り替える際の切り替えレバーの操作(A)、解除状態の係合部(B)、および連結状態の係合部(C)を説明するための模式図である。
【
図8】連結状態で上部チャンバを上昇させた状態を示した模式的な断面図である。
【
図9】解除状態で第1アセンブリを上昇させた状態を示した模式的な断面図である。
【
図10】ロック機構が装置外表面に設けられている比較例1の模式図である。
【
図11】上部チャンバが昇降機構ごとカバー内に収容された比較例2の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
(基板処理装置)
まず、
図1を参照して本実施形態の基板処理装置100を説明する。基板処理装置100は、閉鎖空間40内にプラズマを形成して基板Wのドライエッチングを行うプラズマ処理装置であり、より具体的には、誘導結合型プラズマ(ICP)のエッチング装置である。基板Wは、たとえばシリコンにより形成されたシリコンウェハである。基板処理装置100は、下部チャンバ1と、上部チャンバ2と、昇降機構3(
図2参照)と、を備える。また、基板処理装置100は、ガス供給装置4と、高周波電源5と、排気装置6と、高周波電源7とを備える。
【0019】
下部チャンバ1は、基板Wを処理する反応室11を含む。下部チャンバ1の上部が、上部チャンバ2により覆われている。上部チャンバ2の後述するプラズマ生成室31と反応室11とが連結(連通)して、閉鎖空間である閉鎖空間40が構成されている。
【0020】
反応室11内に、基板載置部12が設置されている。基板載置部12上に、被処理対象の基板Wが載置される。下部チャンバ1には基板Wの出入口13が設けられ、基板Wは、搬送装置200(
図2参照)により搬送される。基板載置部12は、昇降シリンダ12aにより閉鎖空間40内で昇降自在に設けられている。基板載置部12には、冷媒を循環させるチラー装置(図示せず)によって冷媒を流通させる内部配管(図示せず)が設けられており、プラズマ処理の実行中、冷媒により基板載置部12が冷却される。
【0021】
高周波電源7は、基板載置部12に高周波電力を供給する。高周波電源7は、高周波電力を供給することで、基板載置部12とプラズマとの間にバイアス電位を与える。
【0022】
反応室11は、閉鎖空間40内の圧力を減圧する排気装置6と接続されている。排気装置6は、排気管6bを介して、真空ポンプ6aが閉鎖空間40内のガスを排気することにより、閉鎖空間40内を真空状態とする。なお、基板処理装置100において閉鎖空間40以外の領域は大気領域である。
【0023】
上部チャンバ2は、上側の第1アセンブリ2aと、第1アセンブリ2aの下面に配置された第2アセンブリ2bと、第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとを連結解除可能に連結するロック機構8とを含む。第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとは、ロック機構8により、分離合体可能に連結されている。上部チャンバ2は、第2アセンブリ2bの下面に設けられた第3アセンブリ2cをさらに含む。
【0024】
図2に示すように、昇降機構3は、上部チャンバ2を下部チャンバ1から着脱可能である。昇降機構3は、一対の上下軸3bによって、上部チャンバ2を側方から両持ち支持するように設けられている。昇降機構3は、上部チャンバ2を、少なくとも上下方向に移動可能に支持している。昇降機構3は、上下軸3bに沿って、上部チャンバ2を、下部チャンバ1の上面上の下降位置(
図1参照)と、下部チャンバ1から上方に離れた上昇位置(
図2参照)と、に移動させることができる。なお、上部チャンバ2および下部チャンバ1に対して、搬送装置200側を前方向、後述する収容部9側を後方向、水平面内で前後方向と直交する方向を左右方向としたとき、一対の上下軸3bは、上部チャンバ2および下部チャンバ1に対して後方向に離れた位置に設けられている。このため、作業者が上部チャンバ2および下部チャンバ1に対して左右方向からメンテナンス作業を行う場合に、昇降機構3の上下軸3bが邪魔になることがない。
【0025】
図1に戻り、ロック機構8は、連結状態と、解除状態と、に切り替わるように構成されている。連結状態(
図1、
図2、
図8参照)は、第1アセンブリ2aおよび第2アセンブリ2bの両方が昇降機構3により下部チャンバ1から分離可能なように、第1アセンブリ2aおよび第2アセンブリ2bを連結した状態である。解除状態(
図9参照)は、第1アセンブリ2aが昇降機構3により第2アセンブリ2bおよび下部チャンバ1から分離可能なように、第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとの連結を解除した状態である。
【0026】
(第1アセンブリ)
図3に示すように、第1アセンブリ2aは、トッププレート21と、トッププレート21の上面を開放可能に覆う第1カバー22とを含む。
【0027】
トッププレート21は、第1アセンブリ2aの基部となる平板状部材である。第1アセンブリ2aを構成する各部品は、直接または間接的にトッププレート21に組付けられている。第1カバー22は、トッププレート21上に設けられている。第1カバー22は、トッププレート21の外周に沿って上下に延びる側面部と、側面部の上端から水平に延びる上面部とを有し、トッププレート21の上面を取り囲んで覆っている。第1カバー22は、少なくとも一部がトッププレート21から着脱可能(または開閉可能)である。本実施形態では、第1カバー22の側面部の一部がトッププレート21に固定されている。第1カバー22の上面部の大部分を含む分離部22a(
図2参照)が、トッププレート21に固定された部分に対して着脱可能に取り付けられている。
【0028】
第1アセンブリ2aは、トッププレート21にそれぞれ設けられた、バルブ機構23、冷却機構24および加熱機構25を含む。
【0029】
バルブ機構23は、プラズマ生成室31内に供給する処理ガスの供給制御を行うためのバルブを含む。バルブ機構23(
図1参照)は、第1アセンブリ2aの外部に設置されたガス供給装置4と供給管4aにより接続されている。また、バルブ機構23は、管部材(点線で示す)を介して、第2アセンブリ2bの後述する分配部材35に着脱するアタッチメント23aと接続されている。バルブ機構23は、アタッチメント23aおよび分配部材35を介して、ガス供給装置4とプラズマ生成室31の内部とを接続する。これにより、ガス供給装置4は、バルブ機構23を介して、閉鎖空間40内に処理ガス(エッチングガス)を供給できる。
【0030】
冷却機構24は、基板処理に伴い発生した熱を放熱する機能を有する。冷却機構24は、冷却ファンを内蔵し、上部チャンバ2の大気領域において加温された空気を、第1カバー22の上面に形成された通気孔22bから外部へ排出する。加熱機構25は、トッププレート21の下面側に設けられ、第2アセンブリ2bのプラズマ生成室31を構成する部品(天板部31b、側壁部31a)を加熱するように構成されたヒーターである。トッププレート21の下面には、加熱機構25が取り付けられた突出部21aが設けられている。突出部21aは、天板部31bの上面と当接する。加熱機構25は、突出部21aの下面側に設けられ、天板部31bの上面に設けられた分配部材35と当接し、天板部31bに熱を伝達する。
【0031】
図2に示したように、第1アセンブリ2aは、第1カバー22の外側から昇降機構3と連結されている。具体的には、昇降機構3は、上部チャンバ2の外部からトッププレート21と連結されている。すなわち、
図4に示すように、トッププレート21の両側部(
図4の上下両側)には、昇降機構3の取付ブラケット3aと接続するための取付部21cが1つずつ設けられている。取付部21cにおいて、昇降機構3の取付ブラケット3a(
図2参照)がボルトによって固定されている。なお、第1カバー22には、取付ブラケット3aを取付部21cへ差し込むための切欠部22c(
図2参照)が設けられている。
【0032】
また、トッププレート21には、ロック機構8が設けられている。
図4に示すように、ロック機構8は、トッププレート21において、第1アセンブリ2aの周方向に沿って略等角度で3箇所に設けられている。基板処理装置100は、同一構成の3つのロック機構8を備えている。
【0033】
(第2アセンブリ)
図3に戻り、第2アセンブリ2bは、反応室11と連結して閉鎖空間40を構成するプラズマ生成室31と、プラズマ生成室31の外周を覆う筒状の第2カバー32とを含む。また、第2アセンブリ2bには、第2カバー32の外部(後方側)に、電気回路を収容する収容部9(
図1参照)が設けられている、収容部9には、たとえば高周波電源5に接続された整合器が設けられている。整合器は、高周波電源5とコイル33とのインピーダンス整合を行う。
【0034】
第2アセンブリ2bは、第2カバー32の内周側に、プラズマ生成室31の内周面を構成する筒状の側壁部31aと、プラズマ生成室31の天井面を構成する天板部31bと、プラズマ生成室31の周囲に設けられプラズマ生成室31内の処理ガスをプラズマ化するための磁界を発生するコイル33と、を含む。第2アセンブリ2bは、これらの部材を支持する円環状(中央に開口が形成された平板状)の支持板34を含む。
【0035】
側壁部31aは、誘電体(酸化アルミニウム)からなる円筒部材である。側壁部31aは、下端部が支持板34によって支持されている。天板部31bは、側壁部31aの上端に載置された円板部材である。天板部31bと側壁部31aの上端面との境界は、シール部材31cを介して密閉されている。天板部31bの下面(プラズマ生成室31の内面)には、ガス導出用の開口31dが周方向に複数設けられ、天板部31bの上面には、分配部材35が設けられている。バルブ機構23を介して供給される処理ガスは、分配部材35と天板部31bとに形成されたガス流路(図示せず)を通って、開口31dからプラズマ生成室31内へ導入される。
【0036】
コイル33は、側壁部31aの外周面に沿って螺旋状に巻き付けられている。支持板34の上面には、複数本の絶縁性の柱状の保持部材(図示せず)が側壁部31aの全周に設けられており、この保持部材にコイル33が固定されている。コイル33は、
図1に示したように、収容部9内の整合器(回路)を介して高周波電源5に接続されている。高周波電源5によってコイル33に高周波電力を供給することにより、プラズマ生成室31内に供給された処理ガスがプラズマ化される。
【0037】
図3に示すように、第2カバー32は、天板部31bおよび側壁部31aの外周を取り囲む。第2カバー32は、プラズマ生成室31およびコイル33からは離れて非接触となっている。第2カバー32は、下端部にねじ穴(図示せず)が形成され、支持板34の貫通孔(図示せず)に下面側から挿通されたボルト(図示せず)がねじ穴に螺合することによって、支持板34の外周部に締結されている。
【0038】
なお、上記したトッププレート21の突出部21aは、第2カバー32の内側で天板部31bと当接する。第2カバー32の上端面には、トッププレート21の外周部の下面が設置されている。また、第2カバー32は、第2カバー32の内周面32aから内向きに突出するフランジ部32bを有する。フランジ部32bは、第2カバー32の上端に形成され、トッププレート21の下面に沿っている。
【0039】
このような構成の上部チャンバ2において、基板W(
図1参照)の処理中に高温になる高温部は、主として、プラズマ生成室31(側壁部31aおよび天板部31b)、コイル33および加熱機構25である。これらの高温部は、第2カバー32によって周囲が囲まれており、作業者が意図せず接触することが防止されている。
【0040】
また、ロック機構8は、ユーザが操作可能な部分であって、基板処理装置100が正常に機能するために重要な部分である、ロック機構8は、第1カバー22および第2カバー32の内側にあるため、作業者が意図せず接触することが防止されている。
【0041】
(第3アセンブリ)
第3アセンブリ2cは、環状部材であり、内周部が径方向内側に突出することで、プラズマ生成室31と反応室11との接続箇所の開口径を絞っている。第3アセンブリ2cは、図示しないボルトによって、支持板34に着脱可能に取り付けられている。また、第3アセンブリ2cの下面は、下部チャンバ1の上面(
図1参照)に設置されている。本実施形態の構成では、この第3アセンブリ2cの下面が、上部チャンバ2の最下面となる。
【0042】
(ロック機構)
3つ(
図4参照)のロック機構8は、第1アセンブリ2aの第1カバー22よりも内周側(半径方向内側)の位置に設けられている。また、ロック機構8は、第2アセンブリ2bの第2カバー32よりも内周側(半径方向内側)の位置に設けられている。
図5に示すように、ロック機構8は、第1カバー22の外周面および内周面よりも内側に配置され、第2カバー32の外周面および内周面32a(フランジ部32bを除く)よりも内側に配置されている。なお、3つのロック機構8は同一構成を有する。
【0043】
各ロック機構8は、第1カバー22内でトッププレート21上に配置された切り替えレバー8a(
図4参照)を含み、切り替えレバー8aの位置に応じて、連結状態と解除状態とに切り替わるように構成されている。各ロック機構8は、トッププレート21を上下に貫通する軸部8bと、軸部8bの下端に設けられた係合部8cと、第2カバー32のフランジ部32bを上下に貫通する差込口8dとを含む。
【0044】
軸部8bは、トッププレート21の挿通孔21bおよび差込口8dを通過している。軸部8bは、円筒状のスリーブ8e内に挿入されており、中心軸A1周りに回転可能に設けられている。軸部8bの上端は、トッププレート21よりも上側に露出し、切り替えレバー8aが回動可能に取り付けられている。切り替えレバー8aは、軸部8bの中心軸A1と直交する水平軸A2周りに回動可能であり、トッププレート21に沿う向きに倒した状態と、トッププレート21から上方に立ち上がるように起こした状態と、に切り替えることができる。そして、切り替えレバー8aを起こした状態で捻ることで、中心軸A1周りに軸部8bを回転させることができる。切り替えレバー8aを倒した状態では、切り替えレバー8aおよび軸部8bは中心軸A1周りに回転不能となり、中心軸A1周りの回転位置を固定できる。
【0045】
軸部8bの下端は、差込口8dを通ってフランジ部32bの下方に突出する。そして、軸部8bのうち、フランジ部32bの下方側に突出する位置に、係合部8cが固定されている。切り替えレバー8aは、水平軸A2周りの角度に連動して軸部8bを上下移動させるように構成されている。切り替えレバー8aを倒した状態では、軸部8bおよび係合部8cが上方移動し、係合部8cがフランジ部32bの下面に対して上方に押圧されることにより、切り替えレバー8aの台座と係合部8cとの間でトッププレート21とフランジ部32bとが挟まれる結果、第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとが連結される。切り替えレバー8aを起こした状態では、軸部8bおよび係合部8cが下方移動し、係合部8cがフランジ部32bの下面から下方に離れることにより、軸部8bおよび係合部8cを中心軸A1周りに自由に回転させることができる。
【0046】
図6に示すように、第2カバー32のフランジ部32bには、3つのロック機構8のそれぞれの差込口8dが、周方向に沿って略等角度で3箇所設けられている。
【0047】
図7(B)に示すように、フランジ部32bの差込口8dは、縦横の長さが異なる長方形状を有する。そして、係合部8cも、差込口8dより一回り小さい長方形の外形形状を有する。係合部8cの長辺の長さは、差込口8dの短辺の長さよりも大きい。このため、切り替えレバー8aをトッププレート21の径方向内側を向く第1角度P1まで捻ると(
図7(A)の二点鎖線参照)、
図7(B)に示すように、係合部8cの長辺方向が差込口8dの長辺方向に向くように軸部8bが回動し、係合部8cが差込口8d内を通過可能となって、軸部8bを差込口8dに挿入したり、差込口8dから軸部8bを抜き取ったりできる。軸部8bを差込口8dに挿入した状態で、
図7(C)に示すように、切り替えレバー8aをトッププレート21の周方向を向く第2角度P2まで捻ると(
図7(A)の実線参照)、係合部8cの長辺方向が差込口8dの短辺方向に向くように軸部8bが回動し、係合部8cが差込口8dの縁部に引っかかって通過不能となる。
【0048】
ロック機構8を連結状態から解除状態に切り替える場合、まず、切り替えレバー8aを倒した状態から起こした状態に切り替える。これにより、係合部8cがフランジ部32bの下面から離れて回動可能となる。次に、起こした状態の切り替えレバー8aを第2角度P2から第1角度P1まで捻る。これにより、係合部8cが差込口8d内を通過可能となる。この切り替えレバー8aを第1角度P1に向けた状態が、ロック機構8の解除状態である。解除状態では、切り替えレバー8aを起こした状態でも、倒した状態でも、係合部8cがフランジ部32bと係合しないので、どちらでもよい。
【0049】
ロック機構8を解除状態から連結状態に切り替える場合、切り替えレバー8aを起こした状態で、第1角度P1から第2角度P2まで捻る。これにより、係合部8cが差込口8d内を通過不可能な向きとなる。次に、第2角度P2に向けた切り替えレバー8aを、起こした状態から倒した状態に切り替える。これにより、係合部8cが上方移動して差込口8dの縁部に引っ掛かり、切り替えレバー8aの台座と係合部8cとの間でトッププレート21とフランジ部32bとが挟まれる結果、連結状態となる。切り替えレバー8aを第2角度P2に向けて、かつ、切り替えレバー8aを倒した状態が、ロック機構8の連結状態である。
【0050】
切り替え操作は、切り替えレバー8aを倒した状態と起こした状態との切り替えと、
図7(A)に示した第1角度P1と第2角度P2との間で切り替えレバー8aを概ね90度(差込口8dの短辺方向から長辺方向まで)回動させる動作との組み合わせだけで、容易かつ速やかに行える。連結状態では、係合部8cがフランジ部32bの下面に押圧されているので、切り替えレバー8a(軸部8b)を起こさない限り回転不能となり連結状態が維持される。
【0051】
このような構成により、切り替えレバー8aがロック位置にあるとき、係合部8cが差込口8dの縁部に係合する位置に配置されることによりロック機構8が連結状態となる。切り替えレバー8aが解除位置にあるとき、係合部8cが差込口8dの縁部とは係合しない位置に配置されることによりロック機構8が解除状態となる。ロック位置とは、切り替えレバー8aを第2角度P2に向け、かつ、切り替えレバー8aを倒した状態にしたときの、切り替えレバー8aの位置である。解除位置とは、切り替えレバー8aを第1角度P1に向けたときの、切り替えレバー8aの位置である。
【0052】
なお、
図7(A)に示したように、ロック機構8に対してトッププレート21の周方向の片側に誤動作防止部品8fが設けられている。誤動作防止部品8fは、切り替えレバー8aをP2方向に倒した後(ロック機構8を連結状態にした後)、切り替えレバー8aの上面に係合することができるフック状の部品である。切り替えレバー8aは、誤動作防止部品8fを切り替えレバー8aの上面から退避させた位置へ移動させることで、ロック位置(倒した状態)から起こした状態に切り替えることができる。このため、誤動作防止部品8fは、切り替えレバー8aを倒した状態から起こした状態へ意図せず切り替えることを防止する。
【0053】
(基板処理装置の処理動作)
次に、本実施形態の基板処理装置100による基板処理時の動作の概要について説明する。基板処理装置100の動作は、図示しない制御装置によって制御される。基板処理装置100の動作時は、ロック機構8は連結状態に維持される。
【0054】
図1に示すように、搬送装置200により、基板載置部12に基板Wが配置される。基板載置部12が備える静電チャック(図示せず)により基板Wが載置面に吸着される。
【0055】
次に、閉鎖空間40内に処理ガスを導入して、高周波電力を印加してプラズマを形成する。まず、ガス供給装置4から、バルブ機構23を介して、プラズマ生成室31内に処理ガスが供給されるとともに、高周波電源5からコイル33に高周波電力が供給される。これにより、処理ガスが高周波電力により励起されてプラズマとなる。
【0056】
また、高周波電源7により基板載置部12に高周波電力が印加される。これにより、基板載置部12と閉鎖空間40中のプラズマとの間で電位差(バイアス電位)が生じる。この結果、プラズマ中のイオンがバイアス電位によって基板Wに向けて衝突したり、プラズマ中のラジカルが基板Wの被エッチング種と化学反応したりすることで、基板Wがエッチングされる。
【0057】
次に、基板処理装置100のメンテナンスの概要について説明する。
【0058】
〈下部チャンバのメンテナンス〉
下部チャンバ1の内部のメンテナンスを行う場合には、
図8に示すように、作業者が、3つのロック機構8を連結状態にしたままで、昇降機構3(
図2参照)によって上部チャンバ2の全体を上昇させる。これにより、上部チャンバ2の全体が、下部チャンバ1から上方へ離れ、下部チャンバ1の上面が開放される。作業者は、反応室11の内部に対するメンテナンスを容易に行える。作業後、昇降機構3によって上部チャンバ2を上昇位置から下降位置へ戻して、上部チャンバ2と下部チャンバ1とを結合する。
【0059】
なお、上部チャンバ2に第3アセンブリ2cが設けられているため、第2アセンブリ2bの支持板34と第3アセンブリ2cとを接続するボルトを装着した状態で、
図8のように上部チャンバ2の全体を下部チャンバ1から分離できるだけでなく、支持板34と第3アセンブリ2cとを接続するボルトを外すことで、第1アセンブリ2aおよび第2アセンブリ2bを、第3アセンブリ2cおよび下部チャンバ1から分離することもできる。
【0060】
〈第2アセンブリのメンテナンス〉
第2アセンブリ2bの内部のメンテナンスを行う場合には、作業者が、3つのロック機構8を連結状態から解除状態に切り替えてから、昇降機構3によって上部チャンバ2を上昇させる。
【0061】
図9に示すように、作業者は、第1カバー22の分離部22a(
図2参照)を外してトッププレート21上の各ロック機構8(切り替えレバー8a)を露出させる。作業者は、各ロック機構8の誤動作防止部品8fを切り替えレバー8aの上面から退避させた位置へ移動させた後、各ロック機構8の切り替えレバー8aを把持して、切り替えレバー8aをロック位置から解除位置へそれぞれ切り替える。この結果、各ロック機構8が解除状態に切り替わり、第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとが分離可能となる。
【0062】
作業者は、昇降機構3(
図2参照)によって、第1アセンブリ2aを上昇させる。この場合、第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとの連結が解除されているため、第1アセンブリ2aだけが、第2アセンブリ2bから上方へ離れる。これにより、第2カバー32の上面が開放されて、プラズマ生成室31の天板部31bが露出する。
【0063】
作業者は、天板部31bを側壁部31aから取り外して分離させる。これにより、プラズマ生成室31(側壁部31a)の内部が開放されるので、プラズマ生成室31の内部に対するメンテナンスを容易に行える。作業後、作業者が、天板部31bを側壁部31aの上端に取り付ける。作業者は、昇降機構3による昇降移動によらずに天板部31bだけを側壁部31aの上端に直接取り付けることができる。
【0064】
その後、昇降機構3(
図2参照)によって第1アセンブリ2aを上昇位置から下降位置へ戻して、第1アセンブリ2aを第2アセンブリ2bの上に設置する。この際、トッププレート21の突出部21aが天板部31bの上面を上から押圧する。これによって、天板部31bと側壁部31aとのシール性が向上する。また、押圧により、アタッチメント23aと分配部材35とのシールも確保される。
【0065】
また、第1アセンブリ2aを第2アセンブリ2bの上に設置することで、ロック機構8の軸部8bおよび係合部8cがフランジ部32bの差込口8dの内部を通過して、係合部8cがフランジ部32bの下面側に配置される。作業者は、各ロック機構8の切り替えレバー8aを把持して、解除位置からロック位置へ切り替える。この結果、各ロック機構8が連結状態に切り替わり、第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとが互いに固定される。最後に、作業者は、第1カバー22を閉じてメンテナンスを終了する。なお、ここでは、第1アセンブリ2aにロック機構8の軸部8bおよび係合部8cが装着されている状態で第1アセンブリ2aを上昇・下降させることを説明しているが、第1アセンブリ2aを上昇させる前に一度第1アセンブリ2aから軸部8bおよび係合部8cを取り外し、第1アセンブリ2aを下降して、第1アセンブリ2aを第2アセンブリ2bの上に設置した後で軸部8bおよび係合部8cを第1アセンブリ2aから挿入してもよい。
【0066】
〈第1アセンブリのメンテナンス〉
第1アセンブリ2aの上面側は、昇降機構3により昇降させることなく、下降位置のまま第1カバー22を開放して行える。上記と同様に連結状態で上部チャンバ2を上昇位置へ移動させるか、解除状態で第1アセンブリ2aだけを上昇位置へ移動させてメンテナンス作業を行うこともできる。作業者は、作業後に第1カバー22に分離部22aを取り付けてメンテナンスを終了する。
【0067】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
本実施形態の基板処理装置100では、上記のように、上部チャンバ2を構成する第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとに、それぞれ第1カバー22と第2カバー32とを設け、ロック機構8を、第1アセンブリ2aの第1カバー22よりも内周側の位置に設けたので、第1カバー22および第2カバー32によって高温部を保護しつつ、ロック機構8の保護を、第1カバー22によって実現することができる。このように、ロック機構8が第1カバー22の外表面に露出せず、ロック機構8の保護カバー等を別途設ける必要がない。すなわち、
図10に示す比較例1のように、ロック機構C11がカバーC12の外周面に露出する構成の場合、このロック機構C11への意図しない接触を防ぐために、二点鎖線で示すようなカバー部材C13を別途設ける必要がある。そのため、カバー部材C13の分だけ装置の外径寸法が大型化したり、装置構成が複雑化したりする。本実施形態では、第1カバー22がロック機構8のカバーとしても機能するので、
図10に示した比較例と比べて、装置構成が複雑化することがなく、装置の外径寸法が大きくなることを抑制できる。
【0069】
また、本実施形態では、上記の通り、第1カバー22および第2カバー32が別々に設けられ、かつ、第1アセンブリ2aが、第1カバー22の外側から昇降機構3と連結されるので、
図11に示す比較例2のように、上部チャンバC21を昇降機構C22ごと上部カバーC23内に収容する構成と比べて、カバー(第1カバー22、第2カバー32)内に確保すべきスペースを小さくでき、第1カバー22および第2カバー32の寸法(容積)を抑制することができる。そして、メンテナンス時には、ロック機構8を操作することで、第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとを連結したり連結解除したりすることができる。この際にも、
図11の比較例2では、上部カバーC23内に収容された昇降機構C22などが上部カバーC23内でのロック機構C24の解除作業や連結作業の邪魔になり易いのに対して、本実施形態では第1カバー22内に昇降機構3が配置されないので、昇降機構同士の隙間からロック機構8を操作せずに済むため、昇降機構3がロック機構8の操作の邪魔になることがない。これらにより、特に第1カバー22内におけるロック機構8の操作性を改善することができる。これらの結果、本実施形態によれば、高温部やロック機構8への保護構造を確保した上で、装置の外径寸法を抑制可能で、かつ、ロック機構8の操作性を改善させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、第1アセンブリ2aは、トッププレート21にそれぞれ設けられた、バルブ機構23、冷却機構24および加熱機構25を含み、第2アセンブリ2bは、第2カバー32の内周側に、プラズマ生成室31の内周面を構成する筒状の側壁部31aと、プラズマ生成室31の天井面を構成する天板部31bと、プラズマ生成室31の周囲に設けられプラズマ生成室31内の処理ガスをプラズマ化するための磁界を発生するコイル33と、を含む。これにより、第1アセンブリ2aを上昇させたときに、第1アセンブリ2aに搭載された各機構(バルブ機構23、冷却機構24および加熱機構25)をまとめて第2アセンブリ2bから分離させることができる。また、第1アセンブリ2aを第2アセンブリ2bから分離させたときに、プラズマ生成室31を構成する天板部31bと側壁部31aとが、共に第2アセンブリ2b側に残る。仮に天板部31bが第1アセンブリ2aに設けられている場合、昇降機構3による第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとの分離合体の際に、天板部31bと側壁部31aとのシール(気密封止)をしなければならないため、昇降機構3による昇降動作に高い位置精度が要求される。これに対して、本実施形態では、天板部31bを側壁部31aに取り付けた後で、第1アセンブリ2aを第2アセンブリ2bに合体させることができる。このため、天板部31bと側壁部31aとのシール(気密封止)を確保するための位置合わせのために、昇降機構3に過度に高い位置精度が要求されることがない。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、ロック機構8は、第1アセンブリ2aおよび第2アセンブリ2bの両方が昇降機構3により下部チャンバ1から分離可能なように、第1アセンブリ2aおよび第2アセンブリ2bを連結した連結状態と、第1アセンブリ2aが昇降機構3により第2アセンブリ2bおよび下部チャンバ1から分離可能なように、第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとの連結を解除した解除状態と、に切り替わるように構成されている。これにより、ロック機構8を操作するだけで、連結状態と解除状態と、に切り替えることができる。
【0072】
また、本実施形態では、上記のように、ロック機構8は、第1カバー22内でトッププレート21上に配置された切り替えレバー8aを含み、切り替えレバー8aの位置に応じて、連結状態と解除状態とに切り替わるように構成されている。これにより、ボルトなどによりロックを行う構成と異なり、切り替えレバー8aの操作によって、極めて簡単にかつ速やかに、ロック機構8の状態を連結状態または解除状態に切り替えることができる。
【0073】
また、本実施形態では、上記のように、ロック機構8は、第2アセンブリ2bの第2カバー32よりも内周側の位置に設けられ、第2カバー32は、第2カバー32の内周面32aから内向きに突出するフランジ部32bを有し、ロック機構8は、トッププレート21を上下に貫通する軸部8bと、軸部8bの下端に設けられた係合部8cと、第2カバー32のフランジ部32bを上下に貫通する差込口8dとを含み、切り替えレバー8aがロック位置にあるとき、係合部8cが差込口8dの縁部に係合する位置に配置されることによりロック機構8が連結状態となり、切り替えレバー8aが解除位置にあるとき、係合部8cが差込口8dの縁部とは係合しない位置に配置されることによりロック機構8が解除状態となる。これにより、軸部8bを差込口8dに挿通させて係合部8cと差込口8dの縁部との係合状態を変化させるだけのシンプルな構成で、ロック機構8を実現できる。また、ロック機構8を全体として上下方向に延びる細長の軸状構造にできるので、第1カバー22および第2カバー32の内周側にロック機構8を設けても、第1カバー22および第2カバー32の外径寸法が大きくなる事を効果的に抑制できる。
【0074】
また、本実施形態では、上記のように、昇降機構3は、上部チャンバ2の外部からトッププレート21と連結されている。ここで、たとえば第1カバー22を昇降機構3と連結する場合、重量を支持可能な剛性を第1カバー22で確保する必要が生じ、剛性確保のために第1カバー22が大型化し易い。これに対して、上記構成では、トッププレート21が第1アセンブリ2aの剛性を確保する部品として機能するので、第1カバー22を小型、軽量に形成することができる。
【0075】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0076】
たとえば、上記実施形態では、軸部8bに設けた係合部8cを差込口8dの縁部と係合させるタイプのロック機構8の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえばロック機構が第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとを連結する構造は、ボルト(締結手段)、ピン、キーまたはバックル(係合手段)、などであってもよい。また、ロック機構8は、切り替えレバー8aを操作するタイプでなくてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、昇降機構3がトッププレート21と連結された例を示したが、本発明では、昇降機構3が第1カバー22と連結されてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、バルブ機構23、冷却機構24および加熱機構25がトッププレート21(第1アセンブリ2a)に設けられ、プラズマ生成室31を構成する側壁部31aと天板部31bとが第2アセンブリ2bに設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば天板部31bを第1アセンブリ2a(トッププレート21)側に設けて、第1アセンブリ2aを第2アセンブリ2bから分離することで天板部31bが側壁部31aから分離されるように構成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、上部チャンバ2に第3アセンブリ2cを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第3アセンブリ2cを設けずに、第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとで上部チャンバ2を構成してもよい。
【0080】
また、上記実施形態(
図6参照)では、第2カバー32のフランジ部32bが、第2カバー32の全周にわたって環状に設けられた例を示した。この他、フランジ部32bは、差込口8dの回りの部分のみに設けられていてもよい。この場合、第2カバー32の内側の大気領域と第1カバー22の内部との通気性を向上させることができるので、冷却機構24による放熱を効果的に行える。
【0081】
また、上記実施形態では、冷却機構24が空冷式の冷却機構である例を示したが、冷却機構24は冷却水を用いた水冷式であってもよいし、冷却機構24として空気による冷却と冷却水による冷却とを併用してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、ロック機構8が、第2アセンブリ2bの第2カバー32よりも内周側の位置に設けられる例を示したが、これに限られない。たとえば、ロック機構が、第1アセンブリ2aと第2アセンブリ2bとを連結するボルトであって、トッププレート21に形成された挿通孔からボルトを挿入し、第2カバー32に設けたねじ穴またはナットに対してボルトのねじ部を噛み合わせて締結してもよい。このとき、ナットは、第2カバー32の外壁に横溝を形成して外側から第2カバー32内に埋め込むようにして、ナットが第2カバー32の内周面よりは外側の位置に、第2カバー32の外部から露出する態様で設けられていてもよい。ナット方式でもナットは昇降時にむやみに触れることはない(触れたとしてもロックの操作側ではないのでロックが解除されることはない)が、上記実施形態の構成では、誤操作防止がより確実であり、ナット方式のようにロック解除時に溝に挿入していたナットが落下してしまうリスクがないため好ましい。
【0083】
また、本発明の基板処理装置は、エッチング装置以外の基板処理装置であってもよく、たとえば成膜装置でもよい。
【符号の説明】
【0084】
1:下部チャンバ、2:上部チャンバ、2a:第1アセンブリ、2b:第2アセンブリ、3:昇降機構、8:ロック機構、8a:切り替えレバー、8b:軸部、8c:係合部、8d:差込口、11:反応室、21:トッププレート、22:第1カバー、23:バルブ機構、24:冷却機構、25:加熱機構、31:プラズマ生成室、31a:側壁部、31b:天板部、32:第2カバー、32b:フランジ部、33:コイル、40:閉鎖空間、100:基板処理装置、W:基板