(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143612
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】基準電位生成回路および半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/30 20060101AFI20230928BHJP
G11C 7/04 20060101ALI20230928BHJP
G11C 16/32 20060101ALI20230928BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20230928BHJP
H10B 41/00 20230101ALI20230928BHJP
H10B 43/00 20230101ALI20230928BHJP
【FI】
G11C16/30 120
G11C7/04
G11C16/32
H01L27/04 B
H01L27/11517
H01L27/11563
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136967
(22)【出願日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2022048992
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 修
【テーマコード(参考)】
5B225
5F038
5F083
【Fターム(参考)】
5B225BA01
5B225CA13
5B225DA09
5B225EA01
5B225EE03
5B225EE08
5B225EG08
5B225EG16
5B225EH08
5B225FA02
5F038BB07
5F038BH16
5F083EP77
5F083ER21
5F083ZA20
(57)【要約】
【課題】温度による影響を低減して読出マージンを大きくして信頼性の高い動作を行えるセンスアンプの基準電位を生成可能な基準電位生成回路および半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】実施形態の基準電位生成回路は、原基準電位を生成する原基準電位生成部と、温度上昇に伴って原基準電位を低下させて基準電位としてセンスアンプに出力する基準電位補正部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原基準電位を生成する原基準電位生成部と、
温度上昇に伴って前記原基準電位を低下させて基準電位としてセンスアンプに出力する基準電位補正部と、
を備えた基準電位生成回路。
【請求項2】
前記基準電位補正部は、前記温度上昇に伴って変動する制御信号が入力され、前記制御信号に基づいて、前記原基準電位を低下させる、
請求項1に記載の基準電位生成回路。
【請求項3】
前記基準電位補正部には、前記制御信号として、前記センスアンプのイネーブルタイミングを制御するための基準電流制御電位が印加される、
請求項2に記載の基準電位生成回路。
【請求項4】
前記基準電位補正部は、前記基準電流制御電位の印加に伴う電流の電流値に応じたタイミングを、前記イネーブルタイミングとする、
請求項3記載の基準電位生成回路。
【請求項5】
前記基準電流制御電位の印加に伴う電流の電流値は、所定の基準温度よりも高温の場合には、所定の基準温度における電流値よりも高くなり、所定の基準温度よりも低温の場合には、所定の基準温度における電流値よりも低くなる、
請求項4記載の基準電位生成回路。
【請求項6】
前記基準電位補正部は、所定の基準温度よりも高温の場合には、前記基準電位を、所定の基準温度における基準電位よりも低い高温時の基準電位とし、前記基準温度よりも低温の場合には、前記基準電位を、前記基準温度における基準電位よりも高い低温時の基準電位とする、
請求項1記載の基準電位生成回路。
【請求項7】
前記基準電位補正部は、前記基準電流制御電位がバイアス電圧としてゲート端子に印加され、前記原基準電位をプルダウンして前記基準電位とするMOSトランジスタを備えている、
請求項3に記載の基準電位生成回路。
【請求項8】
データを記憶するメモリセルと、
前記メモリセルから読み出された信号を伝送するビット線と、
前記ビット線にて伝送された信号に基づいて前記メモリセルに記憶されているデータを検出するセンスアンプ回路と、を備え、
前記センスアンプ回路は、
前記ビット線にて伝送された信号及び基準電位を比較してデータ検出信号を出力するセンスアンプと、
基準電流制御電位を生成して出力する基準電流生成回路と、
前記基準電流制御電位に基づいて、前記センスアンプをイネーブル状態とするセンスアンプイネーブル信号を出力端子から出力するタイミングを制御するセンスタイミング生成回路と、
原基準電位を生成する原基準電位生成部と、温度上昇に伴って前記原基準電位を低下させて前記基準電位として出力する基準電位補正部と、を有する基準電位生成回路と、を備える、
半導体記憶装置。
【請求項9】
前記基準電位補正部は、前記基準電流制御電位に基づいて、前記温度上昇に伴う前記原基準電位を低下させる、
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記基準電流生成回路は、トリミングにより、設定電流値を可変にする電流値設定部と、
電流値設定部により設定された前記設定電流値に対応する電流を複製して前記基準電流制御電位として出力するカレントミラー回路と、
を備えた請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記基準電位補正部には、制御信号として、前記センスアンプのイネーブルタイミングを制御するための基準電流制御電位が印加される、
請求項9に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記基準電位補正部は、前記基準電流制御電位の印加に伴う電流の電流値に応じたタイミングを、前記イネーブルタイミングとする、
請求項11記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記基準電流制御電位の印加に伴う電流の電流値は、所定の基準温度よりも高温の場合には、所定の基準温度における電流値よりも高くなり、所定の基準温度よりも低温の場合には、所定の基準温度における電流値よりも低くなる、
請求項12記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記基準電位補正部は、所定の基準温度よりも高温の場合には、前記基準電位を、所定の基準温度における基準電位よりも低い高温時の基準電位とし、前記基準温度よりも低温の場合には、前記基準電位を、前記基準温度における基準電位よりも高い低温時の基準電位とする、
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記基準電位補正部は、前記基準電流制御電位がバイアス電圧としてゲート端子に印加され、前記原基準電位をプルダウンして前記基準電位とするMOSトランジスタを備えている、
請求項8に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基準電位生成回路および半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置では、データ読み出し時にビット線がセンスアンプの出力を確定させるのに十分な電位になってから、センスアンプが活性化される。この時、センスアンプに用いられるトランジスタの特性ばらつきを吸収し、読出信号のレベルを確実に判定できるように、センスアンプの基準電位が設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、読出信号の電位の変化は、周囲温度等の温度によって異なり、センスアンプの基準電位が同一であるとすると、メモリセルの値が“0”である場合は、温度が高いほど読出マージン(読み出される信号のレベルと、判定用の基準信号のレベルとの差)が少なくなり、メモリセルの値が“1”である場合は、温度が低いほどデータ読出マージンが少なくなることとなっていた。
【0005】
本発明の一つの実施形態は、温度による影響を低減して読出マージンを大きくして信頼性の高い動作を行えるセンスアンプの基準電位を生成可能な基準電位生成回路および半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の基準電位生成回路は、原基準電位を生成する原基準電位生成部と、温度上昇に伴って前記原基準電位を低下させて基準電位としてセンスアンプに出力する基準電位補正部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る半導体記憶装置の概要構成の説明図である。
【
図2】
図2は、センスアンプ回路の要部構成例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照して、実施形態の半導体記憶装置について詳細に説明する。
なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、実施形態に係る半導体記憶装置の概要構成の説明図である。
半導体装置10は、NOR型フラッシュメモリとして構成されており、
図1に示すように、メモリセルアレイ11、ロウデコーダ12、カラムデコーダ13、リファレンス電位生成回路14、センスアンプ回路15、データ出力回路16及び制御回路17を備えている。
【0010】
メモリセルアレイ11は、碁盤の目状に配置された複数のメモリセルMCを備えている。
また、メモリセルアレイは、複数のワード線WLと、複数のソース線SLと、複数のビット線BLと、を備えている。
【0011】
図1においては、理解の容易のため、選択状態にあるメモリセルMCを一つのみ表示し、当該メモリセルに対応するワード線WL、ソース線SL及びビット線BLのみを表示している。
【0012】
ここで、メモリセルMCは、ソース線SLにソース端子が接続され、ワード線WLがゲート端子に接続され、ビット線BLにドレイン端子が接続されたメモリセルトランジスタTRを備えている。
【0013】
ロウデコーダ12は、制御回路17の制御下で、読出対象のメモリセルMCに対応するワード線WLをイネーブル状態とする。
カラムデコーダ13は、制御回路17の制御下で、読出対象のメモリセルMCに対応するソース線SL及びビット線BLをイネーブル状態とする。
【0014】
リファレンス電位生成回路14は、センスアンプ回路15に対してリファレンス電位を生成して供給する。
センスアンプ回路15は、所定のタイミングで選択状態にあるメモリセルMCに対応するビット線の電位と、リファレンス電位とを比較して、メモリセルMCのデータを判定して、判定結果をデータ出力回路16に出力する。
【0015】
データ出力回路16は、センスアンプ回路15の出力に基づいて、読出データDOUTを出力する。
制御回路17は、図示しないホスト装置(例えば、MPU)からのクロック信号CLK、コマンドデータCMD及びアドレスデータADDに基づいて、対応するメモリセルMCに対するデータの書き込み、読み出しあるいは消去を行うようにロウデコーダ12、カラムデコーダ13及びセンスアンプ回路15を制御する。
【0016】
次にセンスアンプ回路15の構成について説明する。
図2は、センスアンプ回路の要部構成例の説明図である。
センスアンプ回路15は、センスアンプ151と、センスタイミング生成回路152と、基準電流生成回路153と、基準電位生成回路154と、を備えている。
【0017】
この場合において、センスアンプ151とセンスタイミング生成回路152とは、複数のブロックBLKに対応してそれぞれ設けられている。
この場合において、センスタイミング生成回路152は、複数のセンスアンプ151で共有することも可能である。
【0018】
上記構成において、基準電流生成回路153は、基準電流制御電位IREFを生成してセンスタイミング生成回路152及び基準電位生成回路154に出力する。
基準電位生成回路154は、基準電流制御電位IREFに基づいて、周囲温度に対応する基準電位Vrefを生成してセンスアンプ151の反転入力端子に出力する。
【0019】
センスタイミング生成回路152は、図示しない一又は複数のディレイ回路を有し、基準電流生成回路153から入力された基準電流制御電位IREFの電流値に対応するタイミングで、センスアンプ151をイネーブル状態とするセンスアンプイネーブル信号SAEを出力する。
【0020】
これらの結果、センスアンプ151は、非反転入力端子に各ブロックBLKのビット線BLからの入力信号INが入力され、反転入力端子に基準電位Vrefが入力され、センスタイミング生成回路152からのセンスアンプイネーブル信号SAEがイネーブル状態である場合に、入力信号INが基準電位Vref以上高い電圧である場合に、“H”レベルの出力信号OUTを出力する。
【0021】
また、センスアンプ151は、センスタイミング生成回路152からのセンスアンプイネーブル信号SAEがイネーブル状態であり、入力信号INが基準電位Vref未満の電圧である場合に、“L”レベルの出力信号OUTを出力する。
【0022】
基準電流生成回路153は、大別すると、電流値設定部153Aと、カレントミラー153Bと、電流源153Cと、を備えている。
【0023】
電流値設定部153Aは、n個(nは、2以上の整数)並列接続され、ヒューズやフラッシュメモリから読み出したトリミング情報に基づいてゲート端子を“H”レベルまたは“L”レベルに設定することにより、並列接続数が可変のトリミング用NチャネルMOSトランジスタTT1~TTnを備えている。
【0024】
カレントミラー153Bは、ソース端子が高電位側電源VDDに接続され、ドレイン端子が電流設定部153Aに接続され、ドレイン端子とゲート端子が接続されたPチャネルMOSトランジスタPM1と、ソース端子が高電位側電源VDDに接続され、ドレイン端子が電流源153Cに接続され、ゲート端子が、PチャネルMOSトランジスタのゲート端子に接続されたPチャネルMOSトランジスタPM2と、を備えている。
【0025】
電流源153Cは、ドレイン端子とゲート端子が接続(ダイオード接続)されたNチャネルMOSトランジスタを備えている。
【0026】
上記構成において、トリミング用NチャネルMOSトランジスタTT1~TTnは、オン状態におけるドレイン-ソース間電流は、正の温度係数を有するように設定されており、温度が高くなるほど、ドレイン-ソース間電流が大きくなるようになっている。
【0027】
そして、PチャネルMOSトランジスタPM1を流れる電流は、電流値設定部153Aのトリミング用NチャネルMOSトランジスタTT1~TTnのうち、ゲートが“H”レベルに設定されているトリミング用NチャネルMOSトランジスタ全体を流れる電流の電流値に比例した電流値となる。
【0028】
したがって、PチャネルMOSトランジスタPM2を流れる電流の電流値、すなわち、基準電流制御電位IREFの電流の電流値も、電流値設定部153Aのトリミング用NチャネルMOSトランジスタTT1~TTnのうち、ゲートが“H”レベルに設定されているトリミング用NチャネルMOSトランジスタ全体を流れる電流の電流値に比例した電流値となっている。
ここで、基準電流制御電位IREFは、制御信号として機能している。
【0029】
これらの結果、電流値設定部153Aにおいて、トリミング後に並列接続されているトリミング用NチャネルMOSトランジスタTTの数に比例する参照電流がカレントミラー153BのPチャネルMOSトランジスタPM1のドレイン端子-ソース端子間を流れる。
【0030】
これにより、PチャネルMOSトランジスタPM2のドレイン端子-ソース端子間にもトリミング後に並列接続されているトリミング用NチャネルMOSトランジスタTTの数に比例する電流が流れ、制御信号として機能する基準電流制御電位IREFとしてセンスタイミング生成回路152に出力されることとなる。
【0031】
センスタイミング生成回路152は、基準電流制御電位IREFに応じてセンスタイミングが変化するようになっており、基準電流制御電位が大きいほどセンスタイミングが早くなり、基準電流制御電位IREFが小さいほどセンスタイミングが遅くなる。プロセスばらつきによらず一定のセンスタイミングとなるように、チップ毎にトリミングを設定し基準電流制御電位IREFを調節する。
【0032】
これらの結果、センスタイミング生成回路152は、プロセスばらつきが吸収された基準電流制御電位IREFが入力され、基準電流制御電位IREFの電流の電流値に応じたタイミングでセンスアンプイネーブル信号をイネーブル状態とする。
【0033】
次に基準電位生成回路154の構成について説明する。
基準電位生成回路154は、原基準電位Vref0を生成して出力する原基準電圧生成部154Aと、原基準電位Vref0を基準電流制御電位IREFに基づいて温度補償を行って基準電位Vrefとしてセンスアンプ151の反転入力端子に出力する基準電圧補正部154Bと、を備えている。
原基準電圧生成部154Aは、高電位側電源VDDに一端が接続された抵抗R1と、一端が抵抗R1の他端に接続され、他端が低電位側電源VSSに接続された抵抗R2とを備え、高電位側電源VDDの電圧と低電位側電源VSSの電圧との差電圧を分圧して原基準電位Vref0として出力する。
基準電圧補正部154Bは、抵抗R1と抵抗R2との接続点にドレイン端子が接続され、低電位側電源VSSにソース端子が接続され、電流源153Cを構成するNチャネルMOSトランジスタのゲート端子にゲート端子が接続されたNチャネルMOSトランジスタNM1を有している。
【0034】
この場合において、NチャネルMOSトランジスタNM1のゲート端子には、制御信号としての基準電流制御電位IREFが供給され、基準電流制御電位IREFに対応するバイアス電圧が印加される。
この結果、NチャネルMOSトランジスタNM1は、バイアス電圧に相当するオン状態となり、原基準電位Vref0をプルダウンして、所望の基準電位Vrefとしてセンスアンプ151の反転入力端子に出力する。
【0035】
次に実施形態の動作を説明する。
まず、実施形態の動作に先立ち、従来の問題点について説明する。
図3は、従来の問題点の説明図である。
従来のセンスアンプにおいては、入力される基準電位が一定とされていた。
【0036】
ところで、ワイド温度レンジ(例えば、-40~175℃)対応のフラッシュメモリにおいて読み出しを行う場合には、メモリセルに格納されている値及び温度によって、読み出し電圧の変動状態が異なっている。
【0037】
より詳細には、メモリセルMCを構成しているメモリセルトランジスタTRの閾値電圧Vthが高い状態の場合は、ワード線WLが“H”レベルとなってもメモリセルトランジスタTRは、オフ状態のままとなり、ビット線BLの電位はほぼ電源電位のままとなる。
【0038】
しかしながら、メモリセルトランジスタTRのリーク電流により、わずかながら次第にビット線BLの電位が下がる。
一般にメモリセルトランジスタTRのリーク電流は、高温になるほど増加する傾向がある。このため、高温になるほど
図3に示すように、メモリセルMCに格納されている値=0を読み出す場合のビット線BLの電位の低下が速くなる。
【0039】
したがって、動作温度範囲がより高温になるほど、リファレンス電位Vrefに対するデータ読出マージンMG0が十分でなくなる可能性があり、読み出したデータが誤りになる虞があった。
【0040】
一方、メモリセルMCを構成しているメモリセルトランジスタTRの閾値電圧Vthが低い状態の場合、ワード線WLがハイレベルとなるとメモリセルトランジスタTRがオン状態となり、ビット線BLからソース線SLへのオン電流が流れ、ビット線BLの電位が次第に低下する。
【0041】
一般にメモリセルトランジスタTRのオン電流は低温になるほど減少する傾向があるため、低温になるほど
図3に示すようにメモリセルMCに格納されている値=1を読み出す場合にビット線BLの電位の低下が遅くなる。
【0042】
したがって、動作温度範囲がより低温になるほど、リファレンス電位Vrefに対するのデータ読出マージンMG1が十分でなくなる可能性があり、読み出したデータが誤りになる虞があった。
【0043】
次に実施形態の動作を再び
図2を参照して説明する。
図4は、実施形態の動作説明図である。
この場合において、基準電位生成部154から出力される基準電位Vrefは、温度が高くなるほど低くなるようにされている。
すなわち、
図4に示すように、所定の高温度の場合の基準電位VrefHは、所定の低温度の場合の基準電位VrefLよりも低くなるようになっている。
【0044】
より詳細には、トリミング用NチャネルMOSトランジスタTT1~TTnのオン状態におけるドレイン-ソース間電流は、温度が高くなるほど、ドレイン-ソース間電流が大きくなるようになっており、所定の基準温度よりも、高温の場合には、所定の基準温度における電流値よりも高い電流値となる。
【0045】
したがって、PチャネルMOSトランジスタPM2を流れる電流の電流値、すなわち、基準電流制御電位IREFの電流の電流値も、所定の基準温度よりも、高温の場合には、所定の基準温度における電流値よりも高い電流値となる。
【0046】
これと並行して、基準電位生成回路154の原基準電圧生成部154Aは、高電位側電源VDDと低電位側電源VSSとの間の差電位に対応する電圧を分圧して、原基準電位Vref0を生成して出力する。
【0047】
このとき、基準電圧補正部154Bは、基準電流制御電位IREFに対応する電圧に基づいて温度補償を行って基準電位Vrefを補正する。
【0048】
すなわち、基準電流制御電位IREFの電流の電流値は、所定の基準温度よりも高温の場合には、所定の基準温度における電流値よりも高くなり、所定の基準温度よりも低温の場合には、所定の基準温度における電流値よりも低くなる。
【0049】
この結果、基準電圧補正部154Bを構成しているNチャネルMOSトランジスタのオン抵抗は、所定の基準温度よりも高温の場合には、所定の基準温度におけるオン抵抗よりも低くなり、所定の基準温度よりも低温の場合には、所定の基準温度におけるオン抵抗よりも高くなる。
【0050】
そして、センスアンプ151の反転入力端子に出力される基準電位Vrefは、高温の場合には、所定の基準温度における基準電位よりも低い高温時の基準電位VrefHとなり、低温の場合には、基準電位Vrefは、所定の基準温度における基準電位よりも高い低温時の基準電位VrefL(>VrefH)となる。
【0051】
したがって、メモリセルに格納されている値=0を読み出す場合であって、温度が高い場合には、基準電位Vref=基準電位VrefHとなる。
これにより、
図4の信号波形HT0に示すように、読出対象のメモリセルを構成しているトランジスタのドレイン-ソース間を流れる電流による読出電圧の低下が大きい場合であっても、
図4に縦破線で示すセンスアンプイネーブル信号SAEがイネーブル状態となるタイミングでは、基準電位VrefHからのデータ読出マージンMGH0を十分に大きく確保することができ、読み出したデータが誤りになることはない。
しかしながら、基準電位VrefHが低すぎた場合、高温時にメモリセルに格納されている値=1を読み出す場合に、データ読出マージンMGH1が減少し、読み出したデータが誤りになる虞がある。
このため、本実施形態では、基準電圧補正部154Bを構成しているNチャネルMOSトランジスタNM1のオン抵抗が適切な値に設定され、データ読出マージンMGH1がデータ読出マージンMGH0を下回ることがないようにしている。
【0052】
また、メモリセルに格納されている値=1を読み出す場合であって、温度が低い場合には、基準電位Vref=基準電位VrefLとなる。
これにより、
図4の信号波形LT1に示すように、読出対象のメモリセルを構成しているトランジスタのドレイン-ソース間を流れる電流による読出電圧の低下が小さくなっても、基準電位VrefLからのデータ読出マージンMGL1を十分に大きく確保することができ、読み出したデータが誤りになることはない。
【0053】
以上の説明のように、本実施形態によれば、周囲温度に応じて、温度が高くなった場合には、基準電位Vrefを低下させて、メモリセルに格納されている値=0を判定する際のデータ読出マージンMGH0を十分に大きく確保できる。
さらに周囲温度に応じて、温度が低くなった場合には、基準電位Vrefを上昇させて、メモリセルに格納されている値=1を判定する際のデータ読出マージンMGL1を十分に大きく確保できる。
したがって、周囲温度に応じて最適な基準電位Vrefとすることができ、安定して確実な判定を行うことができる。
しかしながら、基準電位VrefLが高すぎた場合、低温時にメモリセルに格納されている値=0を読み出す場合に、データ読出マージンMGL0が減少し、読み出したデータが誤りになる虞がある。
このため、本実施形態では、基準電圧補正部154Bを構成しているNチャネルMOSトランジスタNM1のオン抵抗が適切な値に設定され、データ読出マージンMGL0がデータ読み出しマージンMGL1を下回ることがないようにしている。
【0054】
以上の説明においては、電流値設定部153Aとして、n個(nは、2以上の整数)並列接続されたトリミング用NチャネルMOSトランジスタTT1~TTnを備える構成を採っていたが、抵抗値の同じ複数の抵抗、あるいは、抵抗値の異なる(例えば、抵抗値がr、2r、4r、8r、……)複数の抵抗を並列接続し、トリミングによりカレントミラー回路153Bに接続する抵抗の合成抵抗値を変更して、電流値を設定するように構成することも可能である。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10 半導体記憶装置
11 メモリセルアレイ
12 ロウデコーダ
13 カラムデコーダ
14 リファレンス電位生成回路
15 センスアンプ回路
16 データ出力回路
17 制御回路
151 センスアンプ
152 センスタイミング生成回路
153 基準電流生成回路
153A 電流値設定部
153B カレントミラー
153C 電流源
154 基準電位生成回路
154A 基準電圧生成部
154B 基準電圧補正部
BLK ブロック
BL、BL0~BLk ビット線
IN 入力信号
IREF 基準電流制御電位(制御信号)
HT0、HT1 信号波形(高温時)
LT0、LT1 信号波形(低温時
MGL データ読出マージン
MgH データ読出マージン
MT メモリセル
NM1 NチャネルMOSトランジスタ(プルダウントランジスタ)
OUT 出力信号
SAE センスアンプイネーブル信号
TT1~TTn トリミング用NチャネルMOSトランジスタ
VDD 高電位側電源
VSS 低電位側電源
Vref 基準電位
VrefH 基準電位(高温時)
VrefL 基準電位(低温時)
WL、WL0~WL63 ワード線