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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014362
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】事前接続可能な医療用パッチの外皮
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
A61N1/04
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194027
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2018543363の分割
【原出願日】2017-02-14
(31)【優先権主張番号】62/296,637
(32)【優先日】2016-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515124875
【氏名又は名称】イノヴィテック メディカル ソリューションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カントール、イュード
(72)【発明者】
【氏名】バルカイ、ニール
(57)【要約】
【課題】医療用電極および経皮パッチ。
【解決手段】本発明の外皮は、(a)折り目に沿って2つの部分に折り曲げられ、2つの部分の残りの辺が接着剤で互いにシールされて気密な外皮を形成する、1枚の材料シート、または、(b)2枚の材料シートであって、内側が互いに向き合うように重ねて合わせて配置され、2枚の材料シートの辺が接着剤で互いにシールされて気密な外皮を形成する、2枚の材料シートで構成され、(i)1枚の材料シートの2つの部分または2枚の材料シートの内側に取付けられた少なくとも1つの医療用パッチと、(ii)1枚の材料シートの2つの部分または2枚の材料シートの内側の表面の一部に、少なくとも1つの医療用パッチを囲むように塗布された接着剤の層とを含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)折り目に沿って2つの部分に折り曲げられ、前記2つの部分の残りの辺が接着剤で互いにシールされて気密な外皮を形成する、1枚の材料シート、または、
(b)2枚の材料シートであって、内側が互いに向き合うように重ねて合わせて配置され、前記2枚の材料シートの辺が接着剤で互いにシールされて気密な外皮を形成する、2枚の材料シート
で構成された外皮であって、
前記外皮は、
(i)前記1枚の材料シートの前記2つの部分または前記2枚の材料シートの内側に取付けられた少なくとも1つの医療用パッチと、
(ii)前記1枚の材料シートの前記2つの部分または前記2枚の材料シートの内側の表面の一部に、前記少なくとも1つの医療用パッチを囲むように塗布された接着剤の層と
を含み、
(A)前記少なくとも1つの医療用パッチの各々は、前記2つの部分または前記2枚の材料シートが組み立てられて前記外皮を形成するとき、前記少なくとも1つの医療用パッチと、前記少なくとも1つの医療用パッチを囲む前記接着剤の層によって覆われた領域とが互いに重ならないように、前記2つの部分または前記2枚の材料シートに取付けられており、
(B)前記外皮のシールされた前記辺を引き離して前記外皮を開き、それにより前記2つの部分または前記2つの材料シートを引き離したとき、前記医療用パッチを囲む前記接着剤の層は、前記2つの部分または前記2枚の材料シートの内側が患者の身体に押し付けられる際に、前記2つの部分または前記2枚の材料シートと前記患者の身体に取付けられた前記医療用パッチとが保持されるように構成されている、外皮。
【請求項2】
前記少なくとも1つの医療用パッチの裏面に取り付けられた電気接点が、前記2つの部分または前記1枚の材料シートを、前記2つの部分または前記2枚の材料シートの内側から外側へと突出している、請求項1に記載の外皮。
【請求項3】
電気リードが、製造段階において、前記少なくとも1つの医療用パッチに取り付けられた電気接点にあらかじめ接続される、請求項1に記載の外皮。
【請求項4】
前記少なくとも1つの医療用パッチに取り付けられた電気接点は、前記部分または前記材料シートの外側に突出しておらず、前記電気リードは、前記少なくとも1つの医療用パッチへと直接あらかじめ接続され、前記電気リードは、丸められて当該外皮の内側に封じられ、当該外皮が開かれたときに伸ばされるか、あるいは接着剤を使用して当該外皮を密封して前記電気リードの周囲に気密なシールを形成しつつ、前記2つの部分または前記2枚の材料シートの縁部の間を外部へと通過している、請求項3に記載の外皮。
【請求項5】
当該外皮の内部に入れられ、あるいは当該外皮の外部に取り付けられたコントローラを備えており、前記コントローラは、前記少なくとも1つの医療用パッチに取り付けられた電気接点にあらかじめ接続された電気リードにあらかじめ接続される、請求項3に記載の外皮。
【請求項6】
前記2つの部分または前記2枚の材料シートの互いのシールは、前記少なくとも1つの医療用パッチの無菌状態および前記医療グレードの接着剤の層の新鮮さを保証するように当該外皮の一体性を維持し、かつ前記2つの部分または前記2枚の材料シートを必要なときに裂けを生じることなく容易に分離させることができるシールを生み出す種類の接着剤によって行われる、請求項1に記載の外皮。
【請求項7】
前記医療用パッチの正しい配置のための指示が、当該外皮の外部に印刷されている、請求項1に記載の外皮。
【請求項8】
少なくとも2つの前記医療用パッチは、
a)医療目的または生物医学研究のための電極、および
b)薬物を患者に投与するための経皮パッチであって、前記経皮パッチは、前記経皮パッチからの前記薬物の制御された放出を管理するために、電流または電圧を印加するための電源および電気回路を備えるコントローラに予め接続されているか、予め接続可能に構成されている、経皮パッチ
から選択される、請求項1に記載の外皮。
【請求項9】
前記医療用パッチは、電極であり、当該外皮は、各々の電極を覆うゲルの層を備える、請求項8に記載の外皮。
【請求項10】
前記2つの部分または前記2枚の材料シートの互いのシールは、前記少なくとも1つの医療用パッチの無菌状態ならびに前記ゲルおよび前記医療グレードの接着剤の層の新鮮さを保証するように当該外皮の一体性を維持し、かつ前記2つの部分または前記2枚の材料シートを必要なときに裂けを生じることなく容易に分離させることができるシールを生み出す種類の接着剤によって行われる、請求項8に記載の外皮。
【請求項11】
当該外皮を構成する両方の前記部分または材料シート上に電極を備える、請求項8に記載の外皮。
【請求項12】
少なくとも2つの電極の同じ配置を含んでいるいくつかの外皮が、電極の正しい配置を保証するために、電極間の距離が異なる別個のサイズにて供給される、請求項8に記載の外皮。
【請求項13】
前記2つの部分または前記2枚の材料シートが組み立てられて前記外皮を形成しているとき、前記2つの部分または前記2枚の材料シートの間に非付着のライナを備える、請求項1に記載の外皮。
【請求項14】
前記外皮が前記2枚の材料シートで構成され、前記2枚の材料シートを分離している非付着のライナが、前記2枚の材料シートが互いに引き離されて前記外皮が開かれたときに自動的に取り除かれる、請求項13に記載の外皮。
【請求項15】
前記外皮の前記2つの部分または前記2枚の材料シートに取付けられた前記少なくとも1つの医療用パッチを囲む接着剤が、医療グレードの感圧接着剤である、請求項1に記載の外皮。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野からの発明である。具体的には、本発明は、患者の身体に適用される医療用パッチに関する。より具体的には、本発明は、種々の目的で患者の身体へと取り付けられる医療用電極および経皮パッチを保管および適用するためのパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の実務における一般的な処置の1つは、ECGまたはEEGなどにおける身体機能の監視や、除細動などの治療のために、電極を人体へと取り付けることである。訓練を受けた医療関係者は、これらの電極を必要なときに適切な場所に素早く適用する方法を承知しているが、訓練を受けていない者(そのような者でも、医療の助けを施すことを求められる状況となることがある)にとっては、そのようにすることが、かなりの難題となる可能性がある。
【0003】
外傷性傷害、中枢神経系傷害(例えば、無呼吸を伴う脳卒中)、心臓病(例えば、冠動脈疾患または心不整脈)、呼吸器疾患(例えば、肺塞栓症および慢性閉塞性肺疾患、あるいは肺痙性疾患)、などの医学的な緊急事態が、さまざまな状況において発生し、種々の身体機能に影響を及ぼす可能性があり、アナフィラキシーショックなど、複数の身体機能に影響を及ぼす全身症状も存在する。
【0004】
迅速な医療介助が、緊急の場合における救命処置の有効性にとって、きわめて重要である。多くの場合、緊急事態の発生の現場に専門の医療関係者は存在せず、最初の救急治療の実行は、緊急事態の発生時に現場に物理的に存在する者であり、専門的な医療の資格を持たないが支援が可能かつ支援を厭わない近くの一般人に頼ることになる。したがって、一般人である介護人は、一般人である介護人の医療知識がわずかまたは皆無であることに鑑み、きわめてユーザフレンドリーでなければならない救命設備に依存する。
【0005】
公共の場所において比較的一般的に利用可能な救命救急装置の一種類は、心臓不整脈の治療のために電気ショック療法を適用する可搬の電子デバイスである自動体外式除細動(AED)装置である。これらの装置のうちの最も単純な装置において、介護人は、患者の胸部に2つの電極を取り付ける必要がある。これらは、1つの動作モードにおいてECGを測定でき、別のモードにおいては電気ショックをもたらすことができる二重目的の電極である。
【0006】
AEDの精巧さの程度に応じて、それらのいくつかは、種々の生体信号を測定するための追加の電極の取り付けを必要とする。後者の種類の装置の一例を、病院外の環境において医療緊急事態の患者に意思決定支援による救命救急介護を提供するための可搬のシステムを記載している国際公開第2015/068164号パンフレットにおいて見つけることができる。このシステムは、酸素療法を適用するための構成要素と、AEDと、装置の使用において介護人を案内するように構成されたコントローラとを備える。
【0007】
AEDは、意識のない患者に使用される。意識のある冠動脈疾患(CAD)の患者の治療における課題の1つは、意識を失う突然の心停止(SCA)への悪化、および介護人に警報を発し、AEDプロセスを速やかに開始させるための追加の電極の使用による患者のECGの継続的監視の必要性である。SCAから除細動までの時間が、きわめて重要であり、一瞬でも短いことがより良い結果に貢献する。
【0008】
本明細書において使用されるとき、「経皮パッチ」という用語は、皮膚へと配置され、特定の用量の薬物を皮膚を通って血流へともたらす薬用接着パッチを指す。経口、局所、静脈内、筋肉内、などの他の種類の薬物送達と比べたときの経皮の薬物送達経路の利点は、パッチが患者への薬物の制御された放出をもたらすことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2015/068164号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、人体への容易かつ迅速な適用を促進するようなやり方でパッケージされた医療目的のための電極および経皮パッチを提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的および利点は、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ここで、「患者」という言葉は、何らかの理由で医療または治療を受ける者を意味するように最も広い意味で使用される。患者には、医院、診療所、または病院において定期的な検査を受け、あるいは医療処置を受けている者、ならびに突然の病気または外傷の結果として救急処置を受ける者が含まれる。
【0013】
第1の態様において、本発明は、中央の折り目に沿って折り曲げられ、残りの3辺が気密な外皮を形成するように接着剤で互いにシールされる1枚の材料シート、または内側を互いに対向させて互いに重ねて配置され、4辺が気密な外皮を形成するように接着剤で互いにシールされる2枚の材料シートのいずれかで構成された外皮である。外皮は、少なくとも1つのシートの内側に取り付けられた外皮の内側の少なくとも1つの医療用パッチと、この少なくとも1つの医療用パッチを囲む医療グレードの感圧接着剤の層とを有する。感圧接着剤は、材料シートおよび少なくとも1つの医療用パッチを患者の体に取り付けるために、シートの内側の表面の一部分に適用されている。
【0014】
本発明の外皮のいくつかの実施形態においては、少なくとも1つの医療用パッチの裏面に取り付けられた電気接点が、シートをシートの内側からシートの外面へと突出している。
【0015】
本発明の外皮のいくつかの実施形態においては、電気リードが、製造段階において、少なくとも1つの医療用パッチに取り付けられた電気接点にあらかじめ接続される。
【0016】
本発明の外皮のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの医療用パッチに取り付けられた電気接点は、シートの外側に突出しておらず、電気リードは、少なくとも1つの医療用パッチへと直接あらかじめ接続され、電気リードは、丸められて外皮の内側に封じられ、外皮が開かれたときに伸ばされるか、あるいは接着剤を使用して外皮を密封して電気リードの周囲に気密なシールを形成しつつ、2枚のシートの縁部の間を外部へと通過している。
【0017】
本発明の外皮のいくつかの実施形態は、少なくとも1つの医療用パッチに取り付けられた電気接点にあらかじめ接続された電気リードにあらかじめ接続されるコントローラを備える。コントローラは、外皮の内部に入れられ、あるいは外皮の外部に取り付けられる。
【0018】
本発明の外皮のいくつかの実施形態において、2枚の材料シートの互いのシールは、少なくとも1つの医療用パッチの無菌状態および医療グレードの接着剤の層の新鮮さを保証するように外皮の一体性を維持し、かつ2枚のシートを必要なときに裂けを生じることなく容易に分離させることができるシールを生み出す種類の接着剤によって行われる。
【0019】
本発明の外皮のいくつかの実施形態においては、医療用パッチの正しい配置のための指示が、外皮の外部に印刷される。
【0020】
本発明の外皮のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの医療用パッチは、
a)医療目的または生物医学研究のための電極、および
b)薬物を患者に投与するための経皮パッチ
の一方である。
【0021】
本発明の外皮のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの医療用パッチは、電極であり、外皮は、各々の電極を覆うゲルの層を備える。これらの実施形態において、2枚の材料シートの互いのシールは、少なくとも1つの医療用パッチの無菌状態ならびにゲルおよび医療グレードの接着剤の層の新鮮さを保証するように外皮の一体性を維持し、かつ2枚のシートを必要なときに裂けを生じることなく容易に分離させることができるシールを生み出す種類の接着剤によって行われる。
【0022】
本発明の外皮のいくつかの実施形態は、外皮を構成する両方の材料シート上に電極を備え、非付着のライナが2枚の材料シートの間に配置される。
【0023】
両方の材料シート上に電極を備える本発明の外皮のいくつかの実施形態において、非付着のライナは、2枚のシートが外皮を形成するように組み合わせられたときに電極の周囲の接着剤で覆われた領域が互いに重なり合う場合にのみ存在する。
【0024】
2枚の材料シートを分離するライナを備える本発明の外皮のいくつかの実施形態において、ライナは、外皮の2枚のシートが互いに分離されるときに自動的に取り除かれてよい。
【0025】
本発明の外皮のいくつかの実施形態においては、少なくとも2つの電極の同じ配置を含んでいるいくつかの外皮が、電極の正しい配置を保証するために、電極間の距離が異なる別個のサイズにて供給される。
【0026】
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様の外皮内の少なくとも1つの医療用パッチを患者の皮膚へと適用する方法である。この方法は、外皮を形成している2枚の材料シートを分離させるステップと、材料シートを、内側を患者へ向け、少なくとも1つの医療用パッチを患者の身体上の指定の位置に位置させて配置するステップと、材料シートの外側を押し、シートおよび少なくとも1つの医療用パッチを患者の皮膚に付着させるステップとを含む。
【0027】
本発明の上記の特徴および利点ならびに他の特徴および利点のすべてが、添付の図面を参照し、本発明の実施形態についての以下の例示であって限定を意味するものではない説明を通して、さらに理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1a】3線のECGにおいて使用されるように構成された外皮を形成するように組み立てられる材料片の外側の電気接点を概略的に示している。
図1b】3線のECGにおいて使用されるように構成された外皮を形成するように組み立てられる材料片の外側の電気接点を概略的に示している。
図2a】電気接点へとあらかじめ接続された電気リードを有している図1aの紙片を概略的に示している。
図2b】電気接点へとあらかじめ接続された電気リードを有している図1bの紙片を概略的に示している。
図3a】外皮を開いて電極を露出させるプロセスの種々の段階を概略的に示している。
図3b】外皮を開いて電極を露出させるプロセスの種々の段階を概略的に示している。
図3c】完全に分離した2枚のシートを示している。
図4a】外皮の2面を互いに分離させるときに2枚の紙片を隔てているライナがどのように自動的に取り除かれるのかを概略的に示している。
図4b】外皮の2面を互いに分離させるときに2枚の紙片を隔てているライナがどのように自動的に取り除かれるのかを概略的に示している。
図4c】外皮の2面を互いに分離させるときに2枚の紙片を隔てているライナがどのように自動的に取り除かれるのかを概略的に示している。
図5】本発明の外皮の一実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
第1の実施形態において、医療用パッチは電極であり、本発明は、患者の体に適用するための電極を含む外皮である。電極は、ゲルおよび接着剤とともに、外皮の内部にあらかじめ封じられ、すぐに使用できる状態にある。本発明の外皮の目的は、一度の使用のために設計された医療用電極の保管を、保管可能な時間の長さを最大にするやり方で行うとともに、主に電極を必要なときに患者に適用する単純かつ迅速な方法を提供することにある。
【0030】
本発明の外皮の実施形態は、EEG、ECG、ECT、除細動、および生物医学研究における電気生理学技術のための電極など、医療目的のためのあらゆる種類の電極を含むことができる。
【0031】
外皮は、例えば、除細動のための2つの電極、あるいは1線、3線、または12線のECGのための1つ、3つ、または12個の電極など、用途に応じて1つ以上の電極を含むことができる。
【0032】
本発明の外皮は、紙、プラスチック、およびプラスチックの層をラミネートした紙などの2枚の薄い材料シートで構成される。電極の背面が、一方または両方のシートの片面(ここでは、内側)に取り付けられる。一実施形態においては、電極への電気接点が、シートを貫いてシートの外側に突出する。意図される用途に応じて、単一の電極または2つ以上の電極を含むアレイを、外皮を構成する一方または両方のシートに取り付けることができる。
【0033】
電極が2枚のシートに取り付けられた後で、ゲルが、電極の上方および電極の周囲の領域を覆うように広げられ、電極が取り付けられたシートを患者の体に直接取り付けるための技術的に公知の種類の医療グレードの感圧接着剤の層が、ゲルによって覆われた領域を囲んでシートの内側の表面に適用される。
【0034】
外皮を構成する両方の材料シートに電極が存在し、後述されるように2枚のシートを外皮を形成すべく組み合わせたときに電極の周囲の接着剤で覆われた領域が互いに重なり合う場合には、例えば片面または両面がシリコンでコーティングされたポリエチレンフィルムから作られた非付着のライナが、両者の間に配置される。この場合、ライナは、ゲルを電極に密に接触した状態に保つことをさらに助ける。
【0035】
外皮を組み立てるために、2枚の材料シートは、内側を互いに対向させ、必要であれば間にライナを配置して、互いに重ねて配置される。次いで、2枚のシートの縁部を熱または感圧接着剤で互いにシールすることで、ゲルで覆われた電極と、電極を患者の体に取り付けるための接着剤とを内側に有する気密な外皮が形成される。2枚の材料シートの互いのシールは、一方では電極の無菌状態ならびにゲルおよび接着剤層の新鮮さを保証するように外皮の一体性を維持し、他方ではシートを必要なときに裂けを生じることなく容易に分離させることができるシールを生み出す種類の接着剤によって行われる。
【0036】
本発明の一実施形態においては、外皮を、2つの等しい部分に分割する折り目を有している1枚の材料シートから製作することができる。シートの各部分が、上述の別々のシートのうちの一方として扱われる。医療用パッチまたは電極を取り付け、必要に応じてゲルおよびライナを適用した後に、材料シートは折り目に沿って折り曲げられ、残りの3辺に沿ってシールされる。
【0037】
次に、本発明を例示するために、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。本発明は、図示の特定の実施形態に限定されず、本明細書において上述したように、外皮は、さまざまな材料で製作可能であり、1つ以上の電極を含むことができる。図において、円10は、ゲルで覆われた電極を象徴的に表し、円12は、ゲルで覆われた領域を象徴的に表し、円14は、接着剤で覆われた領域を象徴的に表し、符号16は、外皮を形成するために2枚の材料シートをシールするために使用される接着剤を指す。
【0038】
図1aおよび図1bは、製造段階における内側に2つの電極を備えている材料片Aおよび内側に1つの電極を備えている材料片Bの外側の電気接点を概略的に示している。材料片AおよびBは、3線のECGとともに使用されるように構成された外皮を形成するために組み立てられる。
【0039】
図2aおよび図2bは、使用前に電気接点へと電気リードが前もって接続された図1aおよび図1bの2つの材料片を概略的に示している。これが、外皮を供給する好ましい方法であり、なぜならば、この構成によれば、コントローラのリードを電極へと接続する時間が不要であり、あるいはコントローラのリードの電極への誤接続の可能性がなく、ユーザは単に外皮を開いて裏返し、患者の体へと押し付けるだけでよいからである。別の実施形態において、外皮は、コントローラの電気リードを備えずに供給される。この事前接続可能な実施形態において、接続は、ユーザの体へと電極を適用する前または後のいずれかにおいて、ユーザによって行われる。
【0040】
外皮のいくつかの実施形態において、電極の電気接点は、図1aおよび図1bに示されるようにシートの外側に突出することはない。これらの実施形態において、電気リードは、外皮の内側の電極に直接、あらかじめ接続される。リードを丸め、外皮の内側に封じることができ、外皮を開いたときに伸ばし、外部のコントローラへと接続することができる。あるいは、リードのワイヤを、2枚のシートの縁部の間を通って外部へと出すことができ、外皮を密封し、リードのワイヤの周囲に気密シールを形成するために、接着剤が使用される。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、コントローラは、外皮の内側に封入され、あるいは外皮の外部に取り付けられる。コントローラは、本明細書において説明されるように、電極にあらかじめ接続される比較的小型で安価な装置であってよい。このようなコントローラは、独立したユニットであってよく、あるいは外部装置から指示を受け取る通信ユニットであってよい。
【0042】
図3a~図3bが、外皮を開いて電極を露出させるプロセスの種々の段階を概略的に示している。図3aにおいては、外皮の一辺において、シートAおよびBのシールされた縁部が分離している。図3bにおいては、シートAおよびBがさらに引き離され、外皮の縁を巡ってシールされた縁部が分離している。図3cにおいては、シートAおよびBが完全に分離している。今や、シートAおよびBを反転させて患者の体に押し付けることができ、シート上の接着剤によって所定の位置に保持される。
【0043】
図4a~図4cが、外皮の2面を互いに分離させるときに2枚の材料片、すなわち2つの部分A、Bまたは2枚のシートA、B、を隔てているライナがどのように自動的に取り除かれるのかを概略的に示している。2枚の材料片の各々は、第1の縁部A1、B1および第2の縁部A2、B2を有している。図4aにおいて、外皮を構成する2つの材料片AおよびBが、引き離され始める。図4bにおいて、材料片AおよびBは、内面の接着剤で覆われた部分を覆う材料片AおよびBの間のライナLであって、第1の面S1、第2の面S2、第1の縁部L1、および第2の縁部L2を有するライナLを見せるように充分に引き離されている。図4cにおいて、材料片AおよびBは、さらに引き離されている。ライナLの反対向きの縁部L1およびL2が、それぞれ材料片Aの第1の縁部A1および材料片Bの第2の縁部B2に取り付けられている。材料片AおよびBをさらに引き離すことで、ライナLが一方または両方の材料片から外れる。この時点において、ライナLは自動的に脱落し、外皮の両方の面の電極を露出させ、材料片を患者に取り付けることを可能にする。
【0044】
図5が、本発明の外皮の一実施形態を示している。この実施形態は、外皮の内部に収容された電極を患者の身体に取り付けるためにシート片AおよびBの分離をさらに容易かつ迅速にするシート片AおよびB上のタブを特徴とする。
【0045】
電極を適用するために、経験のないユーザまたは医療専門家は、単に外皮の2つの部分を分離し、外皮を形成する材料シートを、それらの内側が患者に面し、電極が患者の身体の指定の位置に位置するように配置し、材料シートの外側を押して、シートおよび電極を患者の皮膚に接着させるだけでよい。
【0046】
電極の正しい配置のための指示を、外皮の外部に印刷することができ、あるいは別のやり方で介護人に提供することができるが、いずれにしても、電極の位置は本発明には関係しない。電極の適用が、図中のシートAの電極など、電極の少なくともいくつかが電極間の距離が固定されたアレイにすでに配置されているという事実によっても簡単化されることに、留意されたい。同じ配置の電極を含む外皮が、例えば、幼児用、子供用、ならびに小、中、または大の成人用など、さまざま電極間の距離を有するさまざまなサイズで供給され、電極の正しい配置を保証する。
【0047】
ECG電極は、典型的には、50~100個の電極のパッケージで供給される。パッケージ内のすべての電極は、例えば1ヵ月などの比較的短い期間のうちに使用または廃棄されなければならない。その結果、これらの電極を大量には使用しない施設において、かなりの無駄が生じる。したがって、本発明の別の態様は、本明細書において上述したとおりの本発明の外皮に個々の電極および電極のアレイをパッケージすることで、電極の寿命の保持において相当な利益をもたらすことができ、したがって経済的にも有利なことである。
【0048】
第2の実施形態において、医療用パッチは経皮パッチであり、本発明は、患者の体に適用するための経皮パッチを含む外皮である。本発明が想定する経皮パッチによって投与される薬物の例として、これらに限られるわけではないが、小分子、ペプチド、核酸、ホルモン、およびビタミンが挙げられる。
【0049】
上述した本発明の第1の実施形態の外皮についての上記の説明は、電極を経皮パッチで置き換え、必要な変更を加えて、第2の実施形態にも当てはまる。
【0050】
一実施形態において、外皮は、外皮のシートのうちの1つに一体化した経皮パッチを含む。パッチは、外皮の内部にシールされた薬物および患者の体への取り付けのための接着剤を含む。外皮を開くと、パッチを追加の工程を必要とせずにすぐに患者の体へと適用することができる。
【0051】
いくつかの実施形態においては、パッチからの薬物の放出の制御が、電気回路によって印加される電流または電圧によって行われる。本発明の外皮パッチは、電源とパッチからの薬物の制御された放出を管理するための電気回路とを備えるコントローラにあらかじめ接続され、あるいはあらかじめ接続可能なように構成される。
【0052】
いくつかの実施形態において、コントローラは、外皮の外部に直接接続される。コントローラは、薬物の制御された放出を実行する能力を有する独立したユニットとして機能することができる。あるいは、コントローラは、例えばWi-Fi、Bluetooth(登録商標)、および携帯電話など、通信機能を有することができる。この構成においては、薬物を放出する指令を、これらに限られるわけではないがコンピュータまたはスマートフォンなどの遠方の装置からコントローラへと伝えることができる。
【0053】
本発明の実施形態を例示として説明してきたが、本発明を、特許請求の範囲の技術的範囲を超えることなく、多くの変形、修正、および調整を伴って実施することができることを、理解できるであろう。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5