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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143620
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230928BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01L29/78 657G
H01L29/78 655G
H01L29/78 652J
H01L29/78 652M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140947
(22)【出願日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2022047254
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】南川 和生
(72)【発明者】
【氏名】吉川 大輝
(72)【発明者】
【氏名】安原 紀夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 和敏
(57)【要約】
【課題】ターンオン時の損失を低減できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1電極と、半導体部と、第2電極と、構造体と、絶縁部と、を備える。半導体部は、第1電極の上に設けられたp形の第1半導体領域と、第1半導体領域の上に設けられたn形の第2半導体領域と、第2半導体領域の上に設けられたp形の第3半導体領域と、第3半導体領域の上に設けられたn形の第4半導体領域及びp形の第5半導体領域と、を含む。構造体は、少なくとも1つのゲート電極を含むゲート部と、少なくとも2つのダミー電極を含むダミー部と、を含む。ゲート部とダミー部とは交互に配置される。第2電極には、第1電位が印加される。ゲート電極には、第1電位よりも高い第2電位が印加される。ゲート部に隣り合う位置に設けられたダミー電極には、第1電位よりも高い第3電位が印加される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられたp形の第1半導体領域と、前記第1半導体領域の上に設けられたn形の第2半導体領域と、前記第2半導体領域の上に設けられたp形の第3半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたn形の第4半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたp形の第5半導体領域と、を含む、半導体部と、
前記半導体部の上に設けられた第2電極と、
少なくとも1つのゲート電極を含むゲート部と、少なくとも2つのダミー電極を含むダミー部と、が前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において交互に配置された構造体と、
前記ゲート電極と前記半導体部との間に設けられた絶縁部と、
を備え、
前記ゲート部は、前記第4半導体領域の中に設けられ、
前記第2電極には、第1電位が印加され、
前記ゲート電極には、前記第1電位よりも高い第2電位が印加され、
前記ゲート部に隣り合う位置に設けられた前記ダミー電極には、前記第1電位よりも高い第3電位が印加される、半導体装置。
【請求項2】
前記第4半導体領域及び前記第5半導体領域は、前記第2方向において、交互に配置され、
前記ダミー部は、前記第5半導体領域の中に設けられる、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2電極は、前記半導体部の上に設けられた第1導電部と、前記第1導電部の下に設けられ前記第2方向において互いに隣り合う2つの前記ゲート電極の間に位置する第2導電部と、を含み、
前記第3半導体領域は、第1部分と、前記第1部分の上に設けられる第2部分と、を含み、
前記第4半導体領域は、前記第1部分の上に設けられ、
前記第4半導体領域及び前記第2部分は、前記第2方向において、交互に配置され、
前記第5半導体領域は、前記第2導電部の下に設けられ、
前記ダミー部は、前記第2部分の中に設けられる、請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3電位は、前記第2電位と等しい、請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2電位は、15Vである、請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ダミー部は、少なくとも3つの前記ダミー電極を含み、
前記ゲート部に隣り合わない位置に設けられた前記ダミー電極には、前記第1電位が印加される、請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられたp形の第1半導体領域と、前記第1半導体領域の上に設けられたn形の第2半導体領域と、前記第2半導体領域の上に設けられたp形の第3半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたn形の第4半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたp形の第5半導体領域と、を含む、半導体部と、
前記半導体部の上に設けられた第2電極と、
少なくとも1つのゲート電極を含むゲート部と、少なくとも2つのダミー電極を含むダミー部と、が前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において交互に配置された構造体と、
前記ゲート電極と前記半導体部との間に設けられた絶縁部と、
を備え、
前記ゲート部は、前記第4半導体領域の中に設けられ、
前記ゲート部に隣り合う位置に設けられた前記ダミー電極は、前記ゲート電極に接続される、半導体装置。
【請求項8】
前記第4半導体領域及び前記第5半導体領域は、前記第2方向において、交互に配置され、
前記ダミー部は、前記第5半導体領域の中に設けられる、請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2電極は、前記半導体部の上に設けられた第1導電部と、前記第1導電部の下に設けられ前記第2方向において互いに隣り合う2つの前記ゲート電極の間に位置する第2導電部と、を含み、
前記第3半導体領域は、第1部分と、前記第1部分の上に設けられる第2部分と、を含み、
前記第4半導体領域は、前記第1部分の上に設けられ、
前記第4半導体領域及び前記第2部分は、前記第2方向において、交互に配置され、
前記第5半導体領域は、前記第2導電部の下に設けられ、
前記ダミー部は、前記第2部分の中に設けられる、請求項7記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ダミー部は、少なくとも3つの前記ダミー電極を含み、
前記ゲート部に隣り合わない位置に設けられた前記ダミー電極は、前記第2電極に接続される、請求項7記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ゲート部は、3つの前記ゲート電極を含み、
前記ダミー部は、3つの前記ダミー電極を含む、請求項1~10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項12】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられたp形の第1半導体領域と、前記第1半導体領域の上に設けられたn形の第2半導体領域と、前記第2半導体領域の上に設けられたp形の第3半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたn形の第4半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたp形の第5半導体領域と、を含む、半導体部と、
前記半導体部の上に設けられた第2電極と、
少なくとも2つのゲート電極を含むゲート部と、少なくとも1つのダミー電極を含むダミー部と、が前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において交互に配置された構造体と、
前記ゲート電極と前記半導体部との間に設けられた絶縁部と、
を備え、
前記第2電極は、前記半導体部の上に設けられた第1導電部と、前記第1導電部の下に設けられ前記第2方向において互いに隣り合う2つの前記ゲート電極の間に位置する第2導電部と、を含み、
前記第3半導体領域は、第1部分と、前記第1部分の上に設けられる第2部分と、を含み、
前記第4半導体領域は、前記第1部分の上に設けられ、
前記第4半導体領域及び前記第2部分は、前記第2方向において、交互に配置され、
前記第5半導体領域は、前記第2導電部の下に設けられ、
前記ダミー部は、前記第2部分の中に設けられ、
前記ゲート部は、前記第2方向において前記第4半導体領域の一端に設けられた第1ゲート電極と、前記第2方向において前記第4半導体領域の他端に設けられた第2ゲート電極と、を含む、半導体装置。
【請求項13】
前記ダミー部に含まれる前記ダミー電極の数は、1つである、請求項12記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Insulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)などの半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。このような半導体装置において、ターンオン時の損失の低減が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-080796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、ターンオン時の損失を低減できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、半導体部と、第2電極と、構造体と、絶縁部と、を備える。前記半導体部は、前記第1電極の上に設けられたp形の第1半導体領域と、前記第1半導体領域の上に設けられたn形の第2半導体領域と、前記第2半導体領域の上に設けられたp形の第3半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたn形の第4半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたp形の第5半導体領域と、を含む。前記第2電極は、前記半導体部の上に設けられる。前記構造体は、ゲート部と、ダミー部と、を含む。前記ゲート部は、少なくとも1つのゲート電極を含む。前記ダミー部は、少なくとも2つのダミー電極を含む。前記ゲート部と前記ダミー部とは、前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において交互に配置される。前記絶縁部は、前記ゲート電極と前記半導体部との間に設けられる。前記ゲート部は、前記第4半導体領域の中に設けられる。前記第2電極には、第1電位が印加される。前記ゲート電極には、前記第1電位よりも高い第2電位が印加される。前記ゲート部に隣り合う位置に設けられた前記ダミー電極には、前記第1電位よりも高い第3電位が印加される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
図4】第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置を示す断面図である。
図5】第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
図6】第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す断面図である。
図7】第2実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図8】第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。更に、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
また、以下では、説明をわかりやすくするために、XYZ直交座標系を用いて、各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交している。またX軸が延びる方向を「X方向」とし、Y軸が延びる方向を「Y方向」とし、Z軸が延びる方向を「Z方向」とする。また、説明をわかりやすくするために、Z方向のうち矢印の方向を上方、その逆方向を下方とするが、これらの方向は、重力方向とは無関係である。
【0009】
また、以下において、+、-の表記は、各導電形における不純物濃度の相対的な高低を表す。具体的には、「+」が付されている表記は、「+」および「-」のいずれも付されていない表記よりも、不純物濃度が高いことを表す。「-」が付されている表記は、「+」および「-」のいずれも付されていない表記よりも、不純物濃度が低いことを表す。ここで、「不純物濃度」とは、それぞれの領域にドナーとなる不純物とアクセプターとなる不純物の両方が含まれている場合には、それらの不純物が相殺した後の正味の不純物濃度を表す。
【0010】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図2は、図1に示したA1-A2線による断面図である。
図1及び図2に表したように、第1実施形態に係る半導体装置100は、第1電極10と、半導体部20と、第2電極30と、構造体40と、第1絶縁部51と、第2絶縁部52と、を備えている。半導体装置100は、IGBTである。
【0011】
第1電極10は、半導体装置100の下部に設けられている。第1電極10は、下部電極である。第1電極10は、例えば、コレクタ電極として機能する。第1電極10の上面および下面は、XY平面に概ね平行である。第1電極10は、金属材料等の導電材料からなる。
【0012】
半導体部20は、第1半導体領域21と、第2半導体領域22と、第3半導体領域23と、第4半導体領域24と、第5半導体領域25と、を含む。
【0013】
第1半導体領域21は、第1電極10の上に設けられている。第1半導体領域21は、p形の半導体領域である。第1半導体領域21は、pの半導体領域である。第1半導体領域21の不純物濃度は、例えば、第3半導体領域23の不純物濃度よりも高い。
【0014】
第2半導体領域22は、第1半導体領域21の上に設けられている。第2半導体領域22は、n形の半導体領域である。第2半導体領域22は、第1層22aと、第2層22bと、を含む。第1層22aは、第1半導体領域21の上に設けられている。第2層22bは、第1層22aの上に設けられている。第1層22aは、nの半導体領域である。第1層22aの不純物濃度は、例えば、第2層22bの不純物濃度よりも低い。
【0015】
第3半導体領域23は、第2半導体領域22の上に設けられている。第3半導体領域23は、第2層22bの上に設けられている。第3半導体領域23は、p形の半導体領域である。
【0016】
第4半導体領域24は、第3半導体領域23の上に設けられている。第4半導体領域24は、n形の半導体領域である。第4半導体領域24は、nの半導体領域である。第4半導体領域24の不純物濃度は、例えば、第2半導体領域22の第2層22bの不純物濃度よりも高い。
【0017】
第5半導体領域25は、第3半導体領域23の上に設けられている。第5半導体領域25は、p形の半導体領域である。第5半導体領域25は、pの半導体領域である。第5半導体領域25の不純物濃度は、例えば、第3半導体領域23の不純物濃度よりも高い。
【0018】
第1半導体領域21から第2半導体領域22に向かう第1方向は、Z方向に沿う。第1方向に垂直な第2方向は、X方向に沿う。この例では、X方向において、第4半導体領域24と第5半導体領域25とは、交互に配置されている。この例では、Y方向において、第4半導体領域24と第5半導体領域25とは、交互に配置されている。
【0019】
第1半導体領域21、第2半導体領域22、第3半導体領域23、第4半導体領域24、及び第5半導体領域25は、例えば、シリコン等の半導体材料と、各領域に対応する不純物と、を含む。
【0020】
半導体部20の内部には、構造体40が設けられている。構造体40は、X方向において、ゲート部41と、ダミー部43と、が交互に配置された構造を有する。すなわち、構造体40は、複数のゲート部41と、複数のダミー部43と、を有する。ゲート部41とダミー部43とは、X方向において、交互に配列されている。ゲート部41及びダミー部43は、それぞれ、Y方向に延びている。
【0021】
ゲート部41は、第4半導体領域24の中に設けられる。ゲート部41は、少なくとも1つのゲート電極42を含む。この例では、ゲート部41は、3つのゲート電極42を含む。この例では、ゲート部41は、3つのゲート電極42からなる。
【0022】
ゲート電極42は、Z方向において、第4半導体領域24の上端から第3半導体領域23及び第2半導体領域22の第2層22bを通って、第2半導体領域の第1層22aまで延びている。すなわち、ゲート電極42は、X方向において、第4半導体領域24、第3半導体領域23、第2半導体領域22の第2層22b、及び第2半導体領域の第1層22aと並んでいる。ゲート電極42は、例えば、金属材料またはポリシリコンなどの導電材料からなる。
【0023】
ゲート電極42と半導体部20との間には、第1絶縁部51が設けられている。第1絶縁部51の一部は、X方向において、ゲート電極42と第4半導体領域24との間、ゲート電極42と第3半導体領域23との間、ゲート電極42と第2半導体領域22の第2層22bとの間、及びゲート電極42と第2半導体領域22の第1層22aとの間に位置している。第1絶縁部51の他の一部は、Z方向において、ゲート電極42と第2半導体領域22の第1層22aとの間に位置している。第1絶縁部51の一部は、例えば、ゲート絶縁膜として機能する。第1絶縁部51は、例えば、シリコン酸化物またはシリコン窒化物などの絶縁材料からなる。
【0024】
この例では、ダミー部43は、第5半導体領域25の中に設けられている。ダミー部43は、少なくとも2つのダミー電極44を含む。この例では、ダミー部43は、3つのダミー電極44を含む。この例では、ダミー部43は、3つのダミー電極44からなる。
【0025】
ダミー電極44は、Z方向において、第5半導体領域25の上端から第3半導体領域23及び第2半導体領域22の第2層22bを通って、第2半導体領域の第1層22aまで延びている。すなわち、ダミー電極44は、X方向において、第5半導体領域25、第3半導体領域23、第2半導体領域22の第2層22b、及び第2半導体領域の第1層22aと並んでいる。ダミー電極44の下端は、例えば、X方向において、ゲート電極42の下端と並ぶ。ダミー電極44は、例えば、金属材料またはポリシリコンなどの導電材料からなる。
【0026】
ダミー電極44と半導体部20との間には、第2絶縁部52が設けられている。第2絶縁部52の一部は、X方向において、ダミー電極44と第5半導体領域25との間、ダミー電極44と第3半導体領域23との間、ダミー電極44と第2半導体領域22の第2層22bとの間、及びダミー電極44と第2半導体領域22の第1層22aとの間に位置している。第2絶縁部52の他の一部は、Z方向において、ダミー電極44と第2半導体領域22の第1層22aとの間に位置している。第2絶縁部52は、例えば、シリコン酸化物またはシリコン窒化物などの絶縁材料からなる。
【0027】
この例では、構造体40は、ゲート部41a、41b、41cと、ダミー部43a、43bと、を含む。各部は、X方向において、ゲート部41b、ダミー部43a、ゲート部41a、ダミー部43b、ゲート部41c、の順に並んでいる。
【0028】
ゲート部41aは、ゲート電極42a、42b、42cを有する。ゲート部41bは、ゲート電極42d、及び図示しない2つのゲート電極42を有する。ゲート部41cは、ゲート電極42e、及び図示しない2つのゲート電極42を有する。ダミー部43aは、ダミー電極44a、44b、44cを有する。ダミー部43bは、ダミー電極44d、44e、44fを有する。
【0029】
第2電極30は、半導体部20の上に設けられている。第2電極30は、第4半導体領域24の上、及び第5半導体領域25の上に設けられている。第2電極30は、上部電極である。第2電極30は、例えば、エミッタ電極として機能する。第2電極30は、金属材料等の導電材料からなる。図1では、第2電極30を省略している。第2電極30とゲート電極42との間には絶縁部が設けられている。
【0030】
第2電極30には、第1電位が印加される。第1電位は、例えば、エミッタ電位Eである。第1電位は、例えば、0Vである。
【0031】
ゲート電極42には、第2電位が印加される。第2電位は、例えば、ゲート電位Gである。第2電位は、第1電位よりも高い。第2電位は、例えば、15Vである。
【0032】
ダミー電極44のうち、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44には、第3電位が印加される。第3電位は、第1電位よりも高い。この例では、ゲート部41bに隣り合う位置に設けられたダミー電極44a、ゲート部41aに隣り合う位置に設けられたダミー電極44c、44d、及びゲート部41cに隣り合う位置に設けられたダミー電極44fには、第3電位が印加される。
【0033】
第3電位は、例えば、第1電位よりも高く、第2電位以下である。第3電位は、例えば、第2電位と等しい。第3電位は、例えば、0Vよりも高く15V以下である。第3電位は、例えば、15Vである。すなわち、ダミー電極44のうち、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44には、例えば、ゲート電位Gが印加される。言い換えれば、ダミー電極44のうち、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44は、例えば、ゲート電極42に接続される。ダミー電極44のうち、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44は、例えば、半導体装置100のY方向の端部においてゲート電極42と接続される。
【0034】
一方、ダミー電極44のうち、ゲート部41に隣り合わない位置に設けられたダミー電極44には、例えば、第1電位が印加される。この例では、ゲート部41に隣り合わない位置に設けられたダミー電極44b、44eには、第1電位が印加される。すなわち、ダミー電極44のうち、ゲート部41に隣り合わない位置に設けられたダミー電極44には、例えば、エミッタ電位Eが印加される。言い換えれば、ダミー電極44のうち、ゲート部41に隣り合わない位置に設けられたダミー電極44は、例えば、第2電極30に接続される。
【0035】
次に、半導体装置100の動作及び効果について説明する。
第1電極10(コレクタ電極)に、第2電極30(エミッタ電極)に対して正の電圧が印加された状態で、ゲート電極42に閾値以上の電圧が印加されると、半導体装置がオン状態となる。このとき、第3半導体領域23の第1絶縁部51(ゲート絶縁膜)近傍の領域にチャネル(反転層)が形成される。電子は、このチャネルを通って第4半導体領域24から第2半導体領域22に注入され、正孔は、第1半導体領域21から第2半導体領域2に注入される。その後、ゲート電極42に印加される電圧が閾値よりも低くなると、第3半導体領域23におけるチャネルが消滅し、半導体装置がオフ状態になる。
【0036】
半導体部20の内部に、ゲート電極42を含むゲート部41とダミー電極44を含むダミー部43とが交互に配置された構造体40を設け、ダミー電極44に第1電位(エミッタ電位E)を印加することで、ゲート電極42の容量を低下させることができる。これにより、応答速度を向上させることができる。
【0037】
一方で、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44に第1電位が印加されている場合、ターンオン時の正孔反転層により正孔電流が排出されてしまい、正孔蓄積速度が低下しやすい。
【0038】
これに対して、第1実施形態に係る半導体装置100では、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44に第1電位よりも高い第3電位を印加することで、正孔蓄積速度を確保し、ターンオン時のコレクタエミッタ間電圧Vceの立ち下がり特性を改善することができる。これにより、ターンオン時の損失を低減できる。
【0039】
また、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44に印加される第3電位をゲート電極42に印加される第2電位(ゲート電位G)と等しくすることで、ターンオン時の損失をさらに低減できる。例えば、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44をゲート電極42に接続することで、第3電位を第2電位と等しくすることができる。
【0040】
また、ゲート部41に隣り合わない位置に設けられたダミー電極44には、第1電位を印加することで、応答速度を向上させることができる。例えば、ゲート部41に隣り合わない位置に設けられたダミー電極44を第2電極30に接続することで、ゲート部41に隣り合わない位置に設けられたダミー電極44に第1電位を印加することができる。
【0041】
また、ゲート部41が3つのゲート電極42を含み、ダミー部43が3つのダミー電極44を含むことで、応答速度の向上と、オン電圧やオン抵抗の向上と、をよりバランスよく達成することができる。
【0042】
図3(a)及び図3(b)は、第1実施形態に係る半導体装置の特性のシミュレーション結果を示すグラフである。
図3(a)及び図3(b)において、横軸は、時間[a.u.]である。図3(a)において、縦軸は、コレクタエミッタ間電流Ic[a.u.]及びコレクタエミッタ間電圧Vce[a.u.]である。図3(b)において、縦軸は、損失[a.u.]である。「a.u.」は任意単位(arbitrary unit)を示す。
【0043】
図3(a)及び図3(b)では、3つのゲート電極42を含むゲート部41と、3つのダミー電極44を含むダミー部43と、が交互に配置された構造において、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44にゲート電位を印加した実験例1と、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44にエミッタ電位を印加した実験例2と、の特性のシミュレーション結果を示している。
なお、実験例1及び実験例2では、ゲート電極42にはゲート電位が印加されている。また、実験例1及び実験例2では、ゲート電位は15Vに設定されており、エミッタ電位は0Vに設定されている。
【0044】
図3(a)では、実験例1のターンオン時のコレクタエミッタ間電流Ic及びコレクタエミッタ間電圧Vceの経時変化を破線で示しており、実験例2のターンオン時のコレクタエミッタ間電流Ic及びコレクタエミッタ間電圧Vceの経時変化を実線で示している。
また、図3(b)では、実験例1のターンオン時の損失の経時変化を破線で示しており、実験例2のターンオン時の損失の経時変化を実線で示している。
【0045】
図3(a)及び図3(b)に表したように、実験例1では、実験例2に比べて、ターンオン時のコレクタエミッタ間電圧Vceの立ち下がり特性が良好であり、ターンオン時の損失が低減されている。
【0046】
このことから、第1実施形態によれば、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44に第1電位よりも高い第3電位(例えば、ゲート電位)を印加することで、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44に第1電位(例えば、エミッタ電位)を印加する場合に比べて、ターンオン時の損失を低減できることが示唆された。
【0047】
図4は、第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置を示す断面図である。
図4に表したように、第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置100Aでは、ダミー電極44のうち、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44とゲート電位Gとの間に抵抗部60が設けられている。それ以外は、上述の半導体装置100と実質的に同じである。
【0048】
より具体的には、ダミー電極44a、44c、44d、44fとゲート電位Gとの間に抵抗部60が設けられている。これにより、ダミー電極44a、44c、44d、44fに印加される第3電位は、第2電位(ゲート電位G)よりも低くなる。このように、抵抗部60などを設けることで、第3電位を調節してもよい。
【0049】
第1実施形態の第1変形例に係る半導体装置100Aにおいても、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44に第1電位よりも高い第3電位を印加することで、正孔蓄積速度を確保し、ターンオン時のコレクタエミッタ間電圧Vceの立ち下がり特性を改善することができる。これにより、ターンオン時の損失を低減できる。
【0050】
図5は、第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す平面図である。
図6は、第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置を示す断面図である。
図6は、図5に示したB1-B2線による断面図である。
図5及び図6に表したように、第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置100Bでは、第2電極30は、第1導電部31と、第2導電部32と、を含む。図5では、第1導電部31を省略している。
【0051】
第1導電部31は、半導体部20の上に設けられている。第2導電部32は、第1導電部31の下に設けられている。第2導電部32は、半導体部20の中に設けられている。第2導電部32の少なくとも一部は、X方向において、互いに隣り合う2つのゲート電極42の間に位置する。この例では、第2導電部32は、互いに隣り合う2つのゲート電極42の間、互いに隣り合う2つのダミー電極44の間、及び互いに隣り合うゲート電極42とダミー電極44との間に設けられている。
【0052】
この例では、第3半導体領域23は、第1部分23aと、第2部分23bと、を含む。第2部分23bは、第1部分23aの上に設けられている。第4半導体領域24は、第1部分23aの上に設けられている。この例では、B1-B2線において、第4半導体領域24と第3半導体領域23の第2部分23bとは、X方向に交互に配置されている。この例では、ゲート電極42の側面において、第4半導体領域24と第3半導体領域23の第2部分23bとは、Y方向に交互に配置されている。また、この例では、ダミー部43は、第3半導体領域23の第2部分23bの中に設けられている。
【0053】
また、この例では、第5半導体領域25は、第2導電部32の下に設けられている。第5半導体領域25は、Z方向において、第3半導体領域23の第1部分23aと第2導電部32との間に設けられている。第5半導体領域25は、X方向において、第3半導体領域23の第1部分23aと並んでいる。それ以外は、上述の半導体装置100と実質的に同じである。
【0054】
互いに隣り合う2つのゲート電極42の間に設けられた第2導電部32は、第4半導体領域24の中に設けられている。互いに隣り合う2つのゲート電極42の間に設けられた第2導電部32は、Z方向において、第1導電部31の下端から第4半導体領域24を通って、第3半導体領域23の第1部分23aまで延びている。すなわち、互いに隣り合う2つのゲート電極42の間に設けられた第2導電部32は、X方向において、第4半導体領域24及び第3半導体領域23の第1部分23aと並んでいる。
【0055】
互いに隣り合う2つのダミー電極44の間に設けられた第2導電部32は、第3半導体領域23の第2部分23bの中に設けられている。互いに隣り合う2つのダミー電極44の間に設けられた第2導電部32は、Z方向において、第1導電部31の下端から第3半導体領域23の第2部分23bを通って、第3半導体領域23の第1部分23aまで延びている。すなわち、互いに隣り合う2つのダミー電極44の間に設けられた第2導電部32は、X方向において、第3半導体領域23の第1部分23a及び第2部分23bと並んでいる。
【0056】
互いに隣り合うゲート電極42とダミー電極44との間に設けられた第2導電部32は、第4半導体領域24と第3半導体領域23の第2部分23bとの境界に設けられている。互いに隣り合うゲート電極42とダミー電極44との間に設けられた第2導電部32は、Z方向において、第1導電部31の下端から第3半導体領域23の第2部分23b及び第4半導体領域24を通って、第3半導体領域23の第1部分23aまで延びている。すなわち、互いに隣り合うゲート電極42とダミー電極44との間に設けられた第2導電部32は、X方向において、第4半導体領域24及び第3半導体領域23の第1部分23a、第2部分23bと並んでいる。
【0057】
第1実施形態の第2変形例に係る半導体装置100Bにおいても、ゲート部41に隣り合う位置に設けられたダミー電極44に第1電位よりも高い第3電位を印加することで、正孔蓄積速度を確保し、ターンオン時のコレクタエミッタ間電圧Vceの立ち下がり特性を改善することができる。これにより、ターンオン時の損失を低減できる。
【0058】
図7は、第2実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図8は、第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図8は、図7に示したC1-C2線による断面図である。
図7及び図8に表したように、第2実施形態に係る半導体装置200では、ゲート部41は、少なくとも2つのゲート電極42を含む。また、半導体装置200では、ダミー部43は、少なくとも1つのダミー電極44を含む。それ以外は、上述の半導体装置100Bと実質的に同じである。図7では、第1導電部31を省略している。
【0059】
より具体的には、ゲート部41は、少なくとも、第1ゲート電極42xと、第2ゲート電極42yと、を含む。第1ゲート電極42xは、X方向において、第4半導体領域24の一端に設けられる。第2ゲート電極42yは、X方向において、第4半導体領域24の他端に設けられる。第1ゲート電極42xは、X方向において、第4半導体領域24と第3半導体領域23の第2部分23bとの間に位置する。第2ゲート電極42yは、X方向において、第4半導体領域24と第3半導体領域23の第2部分23bとの間に位置する。第4半導体領域24は、X方向において、第1ゲート電極42xと第2ゲート電極42yとの間に設けられる。
【0060】
X方向において、1つのゲート部41(例えば、ゲート部41a)と、これに隣接する他のゲート部41(例えば、ゲート部41bまたはゲート部41c)と、の間には、第3半導体領域23の第2部分23bが設けられている。第1ゲート電極42xのX方向における一方の側面は、第3半導体領域23の第2部分23bに面している。第1ゲート電極42xのX方向における他方の側面は、第4半導体領域24に面している。第2ゲート電極42yのX方向における一方の側面は、第4半導体領域24に面している。第2ゲート電極42yのX方向における他方の側面は、第3半導体領域23の第2部分23bに面している。
【0061】
ゲート部41は、第1ゲート電極42xと第2ゲート電極42yとの間に設けられる第3ゲート電極42zをさらに含んでもよい。第3ゲート電極42zは、第4半導体領域24の中に設けられる。この例では、ゲート部41は、1つの第3ゲート電極42zを含む。つまり、この例では、ゲート部41は、3つのゲート電極42からなる。ゲート部41に含まれる第3ゲート電極42zの数は、0であってもよいし、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0062】
この例では、ダミー部43は、1つのダミー電極44を含む。この例では、ダミー部43は、1つのダミー電極44からなる。つまり、この例では、ダミー部43に含まれるダミー電極44の数は、1つである。ダミー部43に含まれるダミー電極44の数は、1つであってもよし、2つ以上であってもよい。
【0063】
この例では、構造体40は、ゲート部41a、41b、41cと、ダミー部43a、43bと、を含む。各部は、X方向において、ゲート部41b、ダミー部43a、ゲート部41a、ダミー部43b、ゲート部41c、の順に並んでいる。
【0064】
ゲート部41a、41b、41cは、それぞれ、第1ゲート電極42x、第2ゲート電極42y、第3ゲート電極42zを有する。ダミー部43aは、ダミー電極44aを有する。ダミー部43bは、ダミー電極44bを有する。
【0065】
この例では、第2電極30及びダミー電極44には、第1電位が印加される。第1電位は、例えば、エミッタ電位Eである。第1電位は、例えば、0Vである。一方、ゲート電極42には、第2電位が印加される。第2電位は、例えば、ゲート電位Gである。第2電位は、第1電位よりも高い。第2電位は、例えば、15Vである。
【0066】
次に、半導体装置200の動作及び効果について説明する。
第1電極10(コレクタ電極)に、第2電極30(エミッタ電極)に対して正の電圧が印加された状態で、ゲート電極42に閾値以上の電圧が印加されると、半導体装置がオン状態となる。このとき、第3半導体領域23の第1絶縁部51(ゲート絶縁膜)近傍の領域にチャネル(反転層)が形成される。電子は、このチャネルを通って第4半導体領域24から第2半導体領域22に注入され、正孔は、第1半導体領域21から第2半導体領域22に注入される。その後、ゲート電極42に印加される電圧が閾値よりも低くなると、第3半導体領域23におけるチャネルが消滅し、半導体装置がオフ状態になる。
【0067】
半導体部20の内部に、ゲート電極42を含むゲート部41とダミー電極44を含むダミー部43とが交互に配置された構造体40を設け、ゲート部41が第4半導体領域24の一端に設けられる第1ゲート電極42xと、第4半導体領域24の他端に設けられる第2ゲート電極42yと、を含むことで、ゲート電極42の容量を低下させることができる。これにより、応答速度を向上させることができる。また、正孔蓄積速度を確保し、ターンオン時のコレクタエミッタ間電圧Vceの立ち下がり特性を改善することができる。これにより、ターンオン時の損失を低減できる。なお、第2実施形態に係る半導体装置の特性のシミュレーション結果も、上述の図3(a)及び図3(b)に表した第1実施形態に係る半導体装置の特性のシミュレーション結果と同様になる。
【0068】
また、ダミー部43に含まれるダミー電極44の数が1つであれば、例えば第1実施形態の第2変形例と比較して、ゲート容量を小さくしてドライブ損失を小さくすることができる。エミッタ電位Eが印加されるダミー電極44を設けず、全てのダミー電極44にゲート電位Gを印加すると、負荷短絡の時などに負性容量(ゲート電位Gを大きくしたときにゲート電荷が小さくなる現象)が生じてゲート振動が起きやすくなる。これに対して、エミッタ電位Eが印加されるダミー電極44を設けることで、ゲート振動を抑制できる。この例では、図5図6に示した第1実施形態の第2変形例と比較すると、オンしたときに電子電流を供給する第4半導体領域24の面積比率は、同じになっている。しかしながら、ゲート電位Gが印加される電極の数は少ないので、ゲート容量は小さくなっており、ドライブ損失が小さくなる。また、このIGBTを駆動するゲートドライバーを小さく作ることができる。連続して隣接するゲート電位Gが印加される電極の数は、図6の例の5本に対して図8の例では3本と少ない分、負性容量はより生じにくいという長所がある。ただし、ゲートドライバーの負荷を別にすれば、用途によってゲート容量は必ずしも小さい方が良いとは限らないので、第1実施形態のような構造と第2実施形態の構造を使い分けることが好ましい。
【0069】
実施形態は、以下の構成を含んでもよい。
【0070】
(構成1)
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられたp形の第1半導体領域と、前記第1半導体領域の上に設けられたn形の第2半導体領域と、前記第2半導体領域の上に設けられたp形の第3半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたn形の第4半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたp形の第5半導体領域と、を含む、半導体部と、
前記半導体部の上に設けられた第2電極と、
少なくとも1つのゲート電極を含むゲート部と、少なくとも2つのダミー電極を含むダミー部と、が前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において交互に配置された構造体と、
前記ゲート電極と前記半導体部との間に設けられた絶縁部と、
を備え、
前記ゲート部は、前記第4半導体領域の中に設けられ、
前記第2電極には、第1電位が印加され、
前記ゲート電極には、前記第1電位よりも高い第2電位が印加され、
前記ゲート部に隣り合う位置に設けられた前記ダミー電極には、前記第1電位よりも高い第3電位が印加される、半導体装置。
【0071】
(構成2)
前記第4半導体領域及び前記第5半導体領域は、前記第2方向において、交互に配置され、
前記ダミー部は、前記第5半導体領域の中に設けられる、構成1記載の半導体装置。
【0072】
(構成3)
前記第2電極は、前記半導体部の上に設けられた第1導電部と、前記第1導電部の下に設けられ前記第2方向において互いに隣り合う2つの前記ゲート電極の間に位置する第2導電部と、を含み、
前記第3半導体領域は、第1部分と、前記第1部分の上に設けられる第2部分と、を含み、
前記第4半導体領域は、前記第1部分の上に設けられ、
前記第4半導体領域及び前記第2部分は、前記第2方向において、交互に配置され、
前記第5半導体領域は、前記第2導電部の下に設けられ、
前記ダミー部は、前記第2部分の中に設けられる、構成1記載の半導体装置。
【0073】
(構成4)
前記第3電位は、前記第2電位と等しい、構成1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0074】
(構成5)
前記第2電位は、15Vである、構成1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0075】
(構成6)
前記ダミー部は、少なくとも3つの前記ダミー電極を含み、
前記ゲート部に隣り合わない位置に設けられた前記ダミー電極には、前記第1電位が印加される、構成1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0076】
(構成7)
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられたp形の第1半導体領域と、前記第1半導体領域の上に設けられたn形の第2半導体領域と、前記第2半導体領域の上に設けられたp形の第3半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたn形の第4半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたp形の第5半導体領域と、を含む、半導体部と、
前記半導体部の上に設けられた第2電極と、
少なくとも1つのゲート電極を含むゲート部と、少なくとも2つのダミー電極を含むダミー部と、が前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において交互に配置された構造体と、
前記ゲート電極と前記半導体部との間に設けられた絶縁部と、
を備え、
前記ゲート部は、前記第4半導体領域の中に設けられ、
前記ゲート部に隣り合う位置に設けられた前記ダミー電極は、前記ゲート電極に接続される、半導体装置。
【0077】
(構成8)
前記第4半導体領域及び前記第5半導体領域は、前記第2方向において、交互に配置され、
前記ダミー部は、前記第5半導体領域の中に設けられる、構成7記載の半導体装置。
【0078】
(構成9)
前記第2電極は、前記半導体部の上に設けられた第1導電部と、前記第1導電部の下に設けられ前記第2方向において互いに隣り合う2つの前記ゲート電極の間に位置する第2導電部と、を含み、
前記第3半導体領域は、第1部分と、前記第1部分の上に設けられる第2部分と、を含み、
前記第4半導体領域は、前記第1部分の上に設けられ、
前記第4半導体領域及び前記第2部分は、前記第2方向において、交互に配置され、
前記第5半導体領域は、前記第2導電部の下に設けられ、
前記ダミー部は、前記第2部分の中に設けられる、構成7記載の半導体装置。
【0079】
(構成10)
前記ダミー部は、少なくとも3つの前記ダミー電極を含み、
前記ゲート部に隣り合わない位置に設けられた前記ダミー電極は、前記第2電極に接続される、構成7~9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0080】
(構成11)
前記ゲート部は、3つの前記ゲート電極を含み、
前記ダミー部は、3つの前記ダミー電極を含む、構成1~10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【0081】
(構成12)
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられたp形の第1半導体領域と、前記第1半導体領域の上に設けられたn形の第2半導体領域と、前記第2半導体領域の上に設けられたp形の第3半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたn形の第4半導体領域と、前記第3半導体領域の上に設けられたp形の第5半導体領域と、を含む、半導体部と、
前記半導体部の上に設けられた第2電極と、
少なくとも2つのゲート電極を含むゲート部と、少なくとも1つのダミー電極を含むダミー部と、が前記第1半導体領域から前記第2半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向において交互に配置された構造体と、
前記ゲート電極と前記半導体部との間に設けられた絶縁部と、
を備え、
前記第2電極は、前記半導体部の上に設けられた第1導電部と、前記第1導電部の下に設けられ前記第2方向において互いに隣り合う2つの前記ゲート電極の間に位置する第2導電部と、を含み、
前記第3半導体領域は、第1部分と、前記第1部分の上に設けられる第2部分と、を含み、
前記第4半導体領域は、前記第1部分の上に設けられ、
前記第4半導体領域及び前記第2部分は、前記第2方向において、交互に配置され、
前記第5半導体領域は、前記第2導電部の下に設けられ、
前記ダミー部は、前記第2部分の中に設けられ、
前記ゲート部は、前記第2方向において前記第4半導体領域の一端に設けられた第1ゲート電極と、前記第2方向において前記第4半導体領域の他端に設けられた第2ゲート電極と、を含む、半導体装置。
【0082】
(構成13)
前記ダミー部に含まれる前記ダミー電極の数は、1つである、構成12記載の半導体装置。
【0083】
以上のように、実施形態によれば、ターンオン時の損失を低減できる半導体装置を提供することができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明及びその等価物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
100、100A、100B、200 半導体装置
10 第1電極
20 半導体部
21 第1半導体領域
22 第2半導体領域
22a 第1層
22b 第2層
23 第3半導体領域
23a、23b 第1、第2部分
24 第4半導体領域
25 第5半導体領域
30 第2電極
31、32 第1、第2導電部
40 構造体
41、41a~41c ゲート部
42、42a~42e ゲート電極
42x~42z 第1~第3ゲート電極
43、43a、43b ダミー部
44、44a~44f ダミー電極
51 第1絶縁部
52 第2絶縁部
60 抵抗部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8