(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143624
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】レーザ印字装置のための位置補正装置、位置補正方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 25/20 20060101AFI20230928BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20230928BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20230928BHJP
B23K 26/042 20140101ALI20230928BHJP
【FI】
B41J25/20
G01B11/00 H
B23K26/00 B
B23K26/042
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144383
(22)【出願日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2022048548
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(72)【発明者】
【氏名】黒木 広幸
(72)【発明者】
【氏名】丸亀 知之
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 達也
(72)【発明者】
【氏名】影山 祥吾
【テーマコード(参考)】
2F065
4E168
【Fターム(参考)】
2F065AA17
2F065BB28
2F065DD11
2F065EE00
2F065EE01
2F065FF04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065LL22
2F065QQ04
2F065QQ24
2F065QQ31
2F065QQ38
4E168AA01
4E168CB19
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA26
4E168DA43
4E168JA17
(57)【要約】
【課題】 温度ドリフト等による印字ずれを容易に補正できる、レーザ印字装置のための位置補正装置、位置補正方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】 本発明は、印字対象に対するレーザ印字装置の位置を補正するための位置補正装置であって、印字対象に予め設けられた基準マークの中心点を判定する第1の判定部と、第1の判定部によって判定された基準マークの中心点を中心としたレーザマークを印字対象に形成するように、レーザ印字装置に指示するレーザ印字指示部と、指示に応じてレーザ印字装置によって印字対象に形成されたレーザマークの中心点を判定する第2の判定部と、第1の判定部によって判定された基準マークの中心点と、第2の判定部によって判定されたレーザマークの中心点とのずれを求め、ずれに基づいて、レーザマークの中心点を、基準マークの中心点に一致させるための補正量を算出する補正量算出部とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字対象に対するレーザ印字装置の位置を補正するための位置補正装置であって、
前記印字対象に予め設けられた基準マークの中心点を判定する第1の判定部と、
前記第1の判定部によって判定された前記基準マークの中心点を中心としたレーザマークを前記印字対象に形成するように、前記レーザ印字装置に指示するレーザ印字指示部と、
前記指示に応じて前記レーザ印字装置によって前記印字対象に形成されたレーザマークの中心点を判定する第2の判定部と、
前記第1の判定部によって判定された前記基準マークの中心点と、前記第2の判定部によって判定された前記レーザマークの中心点とのずれを求め、前記ずれに基づいて、前記レーザマークの中心点を、前記基準マークの中心点に一致させるための補正量を算出する補正量算出部とを備えた、位置補正装置。
【請求項2】
前記印字対象を、前記基準マークの色に含まれない色成分以外のカラーフィルターを介して撮像する撮像部をさらに備え、
前記第2の判定部は、前記撮像部による撮像によって得られた画像を、2値化することによって、前記レーザマークの中心点を判定する、請求項1に記載の位置補正装置。
【請求項3】
前記印字対象を撮像して、第1の画像を得る撮像部をさらに備え、
前記第1の判定部は、前記第1の画像に基づいて、前記基準マークの中心点を判定し、
前記撮像部は、前記レーザマークが形成された前記印字対象を撮像して、第2の画像を取得し、
前記第2の判定部は、前記第2の画像をRGB変換し、前記RGB変換された第2の画像と、前記第1の画像とを合成することによって、前記レーザマークの中心点を判定する、請求項1に記載の位置補正装置。
【請求項4】
前記補正量は、補正の方向、伸縮量、回転量、歪み量のうちの少なくとも何れかを含む、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の位置補正装置。
【請求項5】
前記補正量に基づいて、前記レーザ印字装置の動作を制御するレーザ印字制御部をさらに備えた、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の位置補正装置。
【請求項6】
前記基準マークは、前記印字対象に予め少なくとも3つ設けられ、前記レーザ印字指示部は、各基準マークそれぞれに対応する前記レーザマークを前記印字対象に形成するように、前記レーザ印字装置に対して、レーザを照射させる、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の位置補正装置。
【請求項7】
前記補正量算出部は、前記各基準マークそれぞれの中心点と、対応するレーザマークの中心点とのずれに基づいて、前記補正量を算出する、請求項6に記載の位置補正装置。
【請求項8】
前記レーザマークは、複数の線分の組合せで形成された、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の位置補正装置。
【請求項9】
前記レーザマークは、破線または点線で形成された輪郭を有する、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の位置補正装置。
【請求項10】
前記基準マークは、前記印字対象の境界に設けられる、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の位置補正装置。
【請求項11】
前記基準マークと、前記レーザマークとは、外形形状が同一で、サイズが異なる、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の位置補正装置。
【請求項12】
前記基準マークは、前記印字対象に予め複数設けられ、
前記第1の判定部は、前記印字対象に予め設けられた複数の基準マークそれぞれの中心点を判定し、
前記レーザ印字指示部は、前記第1の判定部によって判定された複数の前記基準マークのそれぞれについて、中心点を中心としたレーザマークを前記印字対象に形成するように、前記レーザ印字装置に対して、レーザを照射するように指示し、
前記第2の判定部は、前記印字対象に形成された複数の前記レーザマークそれぞれの中心点を判定し、
前記補正量算出部は、前記第1の判定部によって判定された複数の前記基準マークについて、中心点と、前記第2の判定部によって判定された、対応する前記レーザマークの中心点とのずれをそれぞれ求め、前記求められたずれに基づいて、前記補正量を算出する、請求項1に記載の位置補正装置。
【請求項13】
レーザ印字装置ための位置補正方法であって、
プロセッサが、
印字対象に予め設けられた基準マークの中心点を判定し、
前記判定された前記基準マークの中心点を中心としたレーザマークを前記印字対象に形成するように、前記レーザ印字装置に指示し、
前記指示に応じて前記レーザ印字装置によって前記印字対象に形成されたレーザマークの中心点を判定し、
前記判定された前記基準マークの中心点と、前記判定された前記レーザマークの中心点とのずれを求め、前記ずれに基づいて、前記レーザマークの中心点を、前記基準マークの中心点に一致させるための補正量を算出する、位置補正方法。
【請求項14】
印字対象に予め設けられた基準マークの中心点を判定する機能、
前記判定された前記基準マークの中心点を中心としたレーザマークを前記印字対象に形成するように、レーザ印字装置に指示する機能、
前記指示に応じて前記レーザ印字装置によって前記印字対象に形成されたレーザマークの中心点を判定する機能、
前記判定された前記基準マークの中心点と、前記判定された前記レーザマークの中心点とのずれを求め、前記ずれに基づいて、前記レーザマークの中心点を、前記基準マークの中心点に一致させるための補正量を算出する機能、
をプロセッサに実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ印字装置のための位置補正装置、位置補正方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリカーボネート等の印字対象に、レーザ印字装置でレーザ印字する場合、印字対象における所定の位置にレーザ印字がなされるように、印字位置の調整がなされる。
【0003】
しかしながら、いったん調整がなされた後であっても、使用時間の経過に応じてレーザ印字装置の温度が上昇するために、ガルバノスキャナ等の温度ドリフトの影響で、温度環境が調整時から変化してしまう。
【0004】
図18は、ガルバノスキャナの温度ドリフトの影響を例示するグラフであり、横軸が時間(分)を、縦軸が温度ドリフト量(mm)を示している。
図18はまた、X軸方向の温度ドリフトと、Y軸方向の温度ドリフトとを示している。
【0005】
図18に示すように、ガルバノスキャナの温度ドリフト量は、時間の経過とともに大きくなる。すなわち、レーザ印字される位置は、いったん調整された後であっても、時間の経過とともに、設定位置から徐々にずれることになる。
【0006】
このずれが、無視できるほど小さいうちは問題ないが、例えば0.2mmを超えると視認可能となり、無視できなくなる。
【0007】
図18によれば、ガルバノスキャナの温度ドリフトにより、機器コールドスタートから240分後にY軸方向において、ずれが0.2mm以上となり、許容値を超えることが示されている。
【0008】
特許文献1には、レーザ加工装置の温度変化による加工位置ずれを低減させるレーザ加工およびその加工位置ずれ補正方法が開示されている。
【0009】
特許文献1では、エリアドリフト(一様方向のずれ)とスケールドリフト(収縮)や、それぞれの要因ごとに対応した温度測定箇所と補正係数を予め設定して、当該要因ごとに加工位置ずれを補正する技術が開示されている。具体的には、スキャンミラーやミラーマウントへ温度センサを設置し、温度センサによって測定されたスキャンミラーやミラーマウントの温度に基づいて、スキャンミラーやミラーマウントの補正角度を把握している。
【0010】
したがって、上述した温度センサに加え、これらミラーの角度を検出するエンコーダをさらに備えることにより、ミラーの角度を把握できるようになれば、補正角度に応じたミラー角度の制御が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、揺動するスキャンミラーやミラーマウントへの温度センサの設置、および、エンコーダの設置には、部品の交換を伴う。そして、部品の交換には、莫大なコストの発生を伴う。これは、レーザ印字装置のコストの増加をもたらす。
【0013】
また、補正に有効な温度を測定するために、揺動しているスキャンミラーやミラーマウントのどの場所に温度センサを設定すべきかを決定することは容易ではない。つまり、最適な温度測定位置を決定すること自体が困難であり、温度変化に対して温度ドリフトが正比例しないという結果になる恐れもある。これでは、温度センサを設置しても、高精度の補正は期待できない。
【0014】
さらには、カラー印刷装置のような印刷装置で印刷された図形や画像に、レーザ印字装置でレーザ印字された文字や図形等を重ね合わせる場合、印刷装置とレーザ印字装置とが、それぞれ独立した装置であれば、印刷装置による図形や画像の傾きやサイズ変化も、レーザ印字装置の温度ドリフトに加算されてしまう。この場合、単純に温度ドリフトの補正だけでは、ずれを解消することができない。
【0015】
以上説明したように、莫大なコストをかけて、レーザ印字装置に温度センサやエンコーダを設置しても、温度ドリフトによる経時的な印字ずれを精度良く補正できない上に、レーザ印字装置とは別の印刷装置で印刷された図形や画像に、レーザ印字装置によるレーザ印字を重ね合わせる場合には、レーザ印字装置による温度ドリフトによる印字ずれに、印刷装置による印刷ずれも重畳されるため、ずれの補正はさらに困難になるという問題がある。
【0016】
本発明は、上記のような問題を解決する、レーザ印字装置のための位置補正装置、位置補正方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0018】
本発明の第1の態様は、印字対象に予め設けられた基準マークの中心点を判定する第1の判定部と、第1の判定部によって判定された基準マークの中心点を中心としたレーザマークを印字対象に形成するように、レーザ印字装置に指示するレーザ印字指示部と、指示に応じてレーザ印字装置によって印字対象に形成されたレーザマークの中心点を判定する第2の判定部と、第1の判定部によって判定された基準マークの中心点と、第2の判定部によって判定されたレーザマークの中心点とのずれを求め、ずれに基づいて、レーザマークの中心点を、基準マークの中心点に一致させるための補正量を算出する補正量算出部とを備えた、印字対象に対するレーザ印字装置の位置を補正するための位置補正装置、および対応する位置補正方法、ならびに対応するプログラムである。
【0019】
本発明の第2の態様は、印字対象を、基準マークの色に含まれない色成分以外のカラーフィルターを介して撮像する撮像部をさらに備え、第2の判定部は、撮像部による撮像によって得られた画像を、2値化することによって、レーザマークの中心点を判定する、第1の態様の位置補正装置である。
【0020】
本発明の第3の態様は、印字対象を撮像して、第1の画像を得る撮像部をさらに備え、第1の判定部は、第1の画像に基づいて、基準マークの中心点を判定し、撮像部は、レーザマークが形成された印字対象を撮像して、第2の画像を取得し、第2の判定部は、第2の画像をRGB変換し、RGB変換された第2の画像と、第1の画像とを合成することによって、レーザマークの中心点を判定する、第1の態様の位置補正装置である。
【0021】
本発明の第4の態様は、補正量は、補正の方向、伸縮量、回転量、歪み量のうちの少なくとも何れかを含む、第1乃至3のうち何れか1項の態様の位置補正装置である。
【0022】
本発明の第5の態様は、補正量に基づいて、レーザ印字装置の動作を制御するレーザ印字制御部をさらに備えた、第1乃至3のうち何れか1項の態様の位置補正装置である。
【0023】
本発明の第6の態様は、基準マークは、印字対象に予め少なくとも3つ設けられ、レーザ印字指示部は、各基準マークそれぞれに対応するレーザマークを印字対象に形成するように、レーザ印字装置に対して、レーザを照射させる、第1乃至3のうち何れか1項の態様の位置補正装置である。
【0024】
本発明の第7の態様は、補正量算出部は、各基準マークそれぞれの中心点と、対応するレーザマークの中心点とのずれに基づいて、補正量を算出する、第6の態様の位置補正装置である。
【0025】
本発明の第8の態様は、レーザマークは、複数の線分の組合せで形成された、第1乃至3のうち何れか1項の態様の位置補正装置である。
【0026】
本発明の第9の態様は、レーザマークは、破線または点線で形成された輪郭を有する、第1乃至3のうち何れか1項の態様の位置補正装置である。
【0027】
本発明の第10の態様は、基準マークは、印字対象の境界に設けられる、第1乃至3のうち何れか1項の態様の位置補正装置である。
【0028】
本発明の第11の態様は、基準マークと、レーザマークとは、外形形状が同一で、サイズが異なる、第1乃至3のうち何れか1項の態様の位置補正装置である。
【0029】
本発明の第12の態様は、基準マークは、印字対象に予め複数設けられ、第1の判定部は、印字対象に予め設けられた複数の基準マークそれぞれの中心点を判定し、レーザ印字指示部は、第1の判定部によって判定された複数の基準マークのそれぞれについて、中心点を中心としたレーザマークを印字対象に形成するように、レーザ印字装置に対して、レーザを照射するように指示し、第2の判定部は、印字対象に形成された複数のレーザマークそれぞれの中心点を判定し、補正量算出部は、第1の判定部によって判定された複数の基準マークについて、中心点と、第2の判定部によって判定された、対応するレーザマークの中心点とのずれをそれぞれ求め、求められたずれに基づいて、補正量を算出する、第1の態様の位置補正装置である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、レーザ印字装置の部品の交換や、新たな部品の設置を伴わず、莫大なコストの増加をもたらすことなく、経時的な印字ずれを補正できる、レーザ印字装置のための位置補正装置、位置補正方法、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る位置補正方法が適用された位置補正装置と、レーザ印字装置との関係を示す図である。
【
図2】
図2は、位置補正装置によって印字位置が補正されるレーザ印字装置の外形を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る位置補正方法を実装した位置補正装置の電子回路構成例を示すブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、カラー画像および基準マークが印刷された印字対象の一例を示す平面図である。
【
図4B】
図4Bは、
図4Aに示す印字対象に対してレーザ印字装置によって形成されたレーザマークを説明するための図である。
【
図5】
図5は、位置補正装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、複数の線分の組合せで形成されたレーザマークの例を示す概念図である。
【
図7】
図7は、複数の線分の組合せで形成されたレーザマークの例を示す概念図である。
【
図8】
図8は、複数の線分の組合せで形成されたレーザマークの例を示す概念図である。
【
図9】
図9は、破線で形成された輪郭を有するレーザマークの例を示す概念図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2の実施形態によって、印字対象に、基準マークと同一形状のレーザマークが形成される状態を段階的に示す図である。
【
図11】
図11は、
図10との比較のために、印字対象に、基準マークと異なる形状のレーザマークが形成される状態を段階的に示す図である。
【
図12】
図12は、ともに円形状である基準マークとレーザマークとの位置関係の例を示す概念図である。
【
図13】
図13は、本発明の第3の実施形態における基準マークの例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第4の実施形態で実施される2値化によるレーザマークの位置判定の概念を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の第5の実施形態で実施されるRGB変換および合成による処理によるレーザマークの位置判定の概念を示す図である。
【
図16】
図16は、加算合成の一例を説明するための図である。
【
図17】
図17は、円形状の基準マークの中心点と、矩形形状のレーザマークの中心点とが一致する状態を示す図である。
【
図18】
図18は、ガルバノスキャナの温度ドリフトの影響を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の各実施形態に係る位置補正方法が適用された位置補正装置を、図面を参照して説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0033】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る位置補正方法が適用された位置補正装置と、レーザ印字装置との関係を示す図である。
【0034】
位置補正装置10は、印字対象に対するレーザ印字装置100の印字位置を補正するための装置である。
【0035】
位置補正装置10は、
図1(a)に示すように、レーザ印字装置100の外部に設けられていても、あるいは
図1(b)に示すように、レーザ印字装置100に内蔵されて設けられていてもよい。
【0036】
図2は、位置補正装置10によって印字位置が補正されるレーザ印字装置100の外形を示す斜視図である。
【0037】
図2に示す例は、レーザ印字装置100(例えば、凸版印刷株式会社製LP450)が、カラー印刷装置115(例えば、凸版印刷株式会社製eP600)と隣接して設置されている場合を示すが、レーザ印字装置100とカラー印刷装置115は、離れて設置されていてもよい。
図2に示す例では、位置補正装置10は、
図1(b)のように、レーザ印字装置100に内蔵されて設けられているが、位置補正装置10は、レーザ印字装置100の外部に設けられていてもよい。
【0038】
レーザ印字装置100は、印字対象に対して、CMYKの色構成でレーザによる印刷および印字をする。印字対象は、例えばカードや冊子(例えば、パスポート用の冊子)のページである。印字対象の材質は、例えばプラスチックまたは紙である。プラスチックの材質は、例えばポリカーボネートである。このような印字対象に対して、カラー印刷装置115が、カラーリボンによってCMY成分をカラー印刷し、レーザ印字装置100が、K成分をレーザによりマークする。
【0039】
この場合、例えば顔写真やID番号のようなパーソナルデータを表現する画像を、CMY成分とK成分とに分解し、カラー印刷されたCMY成分に重ねて、K成分をレーザマーキングすることで、改ざんを困難にすることができる。
【0040】
レーザ印字装置100のレーザは、パルスレーザを適用できる。レーザは固体レーザとできる。固体レーザは半導体レーザとできる。レーザの発振波長の具体例は、1064nm、あるいは532nmである。レーザ印字装置100は、1つまたは複数のレーザを内蔵できる。パルスレーザの、パルス当たりのエネルギは0.1mJ以上が好ましい。この1パルスのエネルギは、印字対象の材質により調整できる。またパルス周期は、1KHz以上、1MHz以下とできる。このパルス周期により印字の強度を変調できる。
【0041】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る位置補正方法を実装した位置補正装置の電子回路構成例を示すブロック図である。
【0042】
位置補正装置10は、レーザ印字装置100による印字位置を補正するために、その電子回路として、バス11によって互いに接続されたCPU12、メモリインターフェース14、通信インターフェース15、例えばカメラである撮像部16、およびメモリ20を備えている。
【0043】
メモリ20は、基準マーク中心点判定プログラム21、レーザ印字指示プログラム22、レーザマーク中心点判定プログラム23、補正量算出プログラム24、およびレーザ印字装置制御プログラム25を記憶している。これらプログラム21~25は、メモリ20に予め記憶されていてもよいし、あるいはメモリカード等の外部記録媒体13からメモリインターフェース14を介してメモリ20に読み込まれ、記憶されたものであってもよい。
【0044】
メモリ20は、このようなユーザ書き換え不可能なエリアの他に、書き換え可能なデータを記憶するエリアとして、書込可能データエリア29も確保している。
【0045】
CPU12は、演算装置である。CPU12はICチップとして実装できる。CPU12は、f区数のベクトル演算回路を実装してもよい。CPU12は、FPGAとしてもよい。CPU12は、GPUを備えていてもよい。CPU12は、ソフトウェアとハードウェアとが協働するように、メモリ20に記憶されている各プログラム21~25に従い回路各部の動作を制御する。CPU12による演算結果に基づいて、通信インターフェース15からレーザ印字装置100に制御信号を送り、レーザ印字装置100の動作を制御する。
【0046】
通信インターフェース15は、レーザ印字装置100と通信する。通信インターフェース15とレーザ印字装置100は、シリアルケーブル、光ケーブル、および無線等で接続できる。通信インターフェース15と、レーザ印字装置100との通信には、デジタルデータを用いることもできる。
【0047】
図4Aは、カラー画像および基準マークが印刷された印字対象の一例を示す平面図である。
【0048】
印字対象Tには、図中において顔写真として示されているカラー画像の他に、例えばeP600のようなカラー印刷装置115によって、基準マークPが予め設けられている。
【0049】
基準マークPの形状は、
図4Aに示す二重丸形状のように、同心円形状とできる。この場合、同心円の中心が、基準マークPの中心点である。
【0050】
基準マークPの色は、純色または混色とできる。基準マークPの色はまた、単色または多色で形成できる。
【0051】
各基準マークPの形状は、異なっていてもよい。基準マークPは連続した線で形成してもよいし、破線や点線のように断続した線で形成してもよい。また基準マークPの線幅は一定でもよいし、幅が異なる複数区画を有してもよい。
【0052】
OpenCVのテンプレートマッチングを用いて基準マークPを検出することを考慮すると、基準マークPは、1つの印字対象Tに、最低3つ設けることが好ましい。したがって、
図4Aは、1つの印字対象Tに、3つの基準マークPである基準マークP1、P2、P3が設けられた例を示している。さらに、これら3つの基準マークP1、P2、P3の位置関係としては、基準マークP1と基準マークP2とを結んだ直線と、基準マークP1と基準マークP2とを結んだ直線とが直交する関係であることが好ましい。
【0053】
したがって、以下では、1つの印字対象Tに、3つの基準マークP1、P2、P3が設けられ、基準マークP1と基準マークP2とを結んだ直線と、基準マークP1と基準マークP2とを結んだ直線とが直交する関係である場合を例に説明する。
【0054】
撮像部16は、印字対象Tを撮像し、撮像によって取得された画像を、メモリ20へ出力する。
【0055】
基準マーク中心点判定プログラム21は、メモリ20に出力された画像に基づいて、印字対象Tに予め設けられたすべての基準マークPの中心点、すなわち、基準マークP1、P2、P3それぞれの中心点を判定する。判定された中心点の位置は、印字対象Tにおける座標で表すことができる。
【0056】
レーザ印字指示プログラム22は、基準マーク中心点判定プログラム21によって判定された基準マークP1、P2、P3の各中心点の座標を、レーザ印字装置100へ出力し、レーザ印字装置100に対して、基準マークP1、P2、P3の各中心点を中心としたレーザマークSを、印字対象Tに形成するように指示する。
【0057】
この指示に応じて、レーザ印字装置100は、基準マークP1、P2、P3の各中心点が中心となるようなレーザマークSを形成するように、印字対象Tに向けてレーザを照射する。
【0058】
図4Bは、
図4Aに示す印字対象Tに対してレーザ印字装置100によって形成されたレーザマークを説明するための図である。
【0059】
レーザ印字装置100によるレーザ照射によって、印字対象Tには、基準マークP1、P2、P3の各中心点が中心となるように照射されたレーザによって、レーザマークS1、S2、S3が形成される。
【0060】
図4Bに示す例では、基準マークPが二重丸形状であるので、基準マークPとの識別が容易で、また、中心点を検出しやすいという観点から、レーザマークSの形状を十文字形状としている。しかしながら、このレーザマークSの形状は一例であって、基準マークPとの識別が容易で、中心点を検出しやすい形状であれば、十文字形状以外であってもよい。
【0061】
レーザマークSは、基準マークPよりも縦、横において大きく、すなわちレーザマークSの横幅、縦の高さを基準マークPよりも大きいことが好ましい。これによって基準マークPの中心点と、レーザマークSの中心点とが一致した場合であっても、レーザマークSを、基準マークPと容易に識別できる。
【0062】
また、レーザマークSの色も特に限定されないが、基準マークPとの識別が容易になるように、基準マークPと異なる色とすることが望ましい。したがって、例えば、レーザマークSの色は、暗い無彩色とできる。暗い無彩色としては、具体的に、黒色または灰色とできる。
【0063】
このように、レーザマークSの形状のみならず、色も、基準マークPと異なるようにすることで、基準マークPとレーザマークSとの識別がより容易となる。
【0064】
ところで、レーザ印字装置100が、基準マークPの中心点と、中心点が一致するレーザマークSを形成するようにレーザを照射しても、前述した温度ドリフト等により、基準マークPの中心点と、レーザマークSの中心点とは一致しない。
【0065】
図4Bは、レーザ印字装置100が、基準マークP1、P2、P3の各中心点と、中心点が一致するようにレーザを照射したにも関わらず、基準マークP1に対して形成されたレーザマークS1の中心点が、基準マークP1の中心点からずれ、同様に、基準マークP2に対して形成されたレーザマークS2の中心点が、基準マークP2の中心点からずれ、基準マークP3に対して形成されたレーザマークS3の中心点が、基準マークP3の中心点からずれている例を示しいている。
【0066】
撮像部16は、レーザマークS1、S2、S3を形成された印字対象Tを撮像し、撮像によって取得された画像をメモリ20へ出力する。
【0067】
レーザマーク中心点判定プログラム23は、メモリ20へ出力された画像から、レーザ印字装置100によって印字対象Tに形成されたすべてのレーザマークS、すなわち、レーザマークS1、S2、S3の中心点を判定する。そして、各レーザマークS1、S2、S3の中心点の座標を出力する。
【0068】
補正量算出プログラム24は、基準マーク中心点判定プログラム21によって判定された基準マークP1、P2、P3の各中心点と、レーザマーク中心点判定プログラム23によって判定されたレーザマークS1、S2、S3の各中心点とのずれd1、d2、d3をそれぞれ求める。
【0069】
ずれd1、d2、d3は、各基準マークP1、P2、P3の中心点と、各レーザマークS1、S2、S3の中心点とのずれの大きさ及び方向を含むベクトル情報とすることができる。これらずれd1、d2、d3は、前述した温度ドリフト等によるレーザ印字装置100の位置決め不良によって生じたものである。
【0070】
図4Bでは、基準マークP1の中心点と対応するレーザマークS1の中心点とのずれd1と、基準マークP2の中心点と対応するレーザマークS2の中心点とのずれd2と、基準マークP3の中心点と対応するレーザマークS3の中心点とのずれd3とを、印字対象Tの外側に拡大表示して示している。
【0071】
補正量算出プログラム24はさらに、ずれd1、d2、d3の大きさや方向に基づいて、各レーザマークS1、S2、S3の中心点を、対応する基準マークP1、P2、P3の中心点に一致させるための補正量を算出する。補正量は、補正の方向、伸縮量、回転量、歪み量(例えば、縦横比)などを、単独で、あるいは何れかを組み合わせて含むことができる。
【0072】
例えば、
図4Bに例示するように、1つの印字対象Tに3つの基準マークP1、P2、P3が設けられている場合、レーザ補正量算出プログラム23は、ずれd1、d2、d3の大きさや方向に基づいて、方向、伸縮量、回転量、歪み量(例えば、縦横比)などを含み得る補正量を算出する。
【0073】
レーザ印字装置制御プログラム25は、算出された補正量を、通信インターフェース15を介してレーザ印字装置100へ送信し、補正量に基づいて、レーザ印字装置100の印字動作を制御する。
【0074】
これによって、レーザ印字装置100は、補正量に基づいて印字位置が補正された状態で、印字対象Tに対してレーザ印字を行う。
【0075】
位置補正装置10は、前述した基準マーク中心点判定プログラム21による基準マークPの中心点の判定、レーザ印字指示プログラム22によるレーザマークSの形成、レーザマーク中心点判定プログラム23によるレーザマークSの中心点の判定、補正量算出プログラム24による補正量の算出、レーザ印字装置制御プログラム25によるレーザ印字装置100の制御を、印字対象T毎に実施する。すなわち、位置補正装置10は、レーザ印字装置100による印字位置の補正を、レーザ印字装置100が、新たな印字対象Tに対して印字する前に、毎回実施する。
【0076】
次に、以上のように構成された位置補正装置10の動作例について説明する。
【0077】
図5は、位置補正装置10の動作例を示すフローチャートである。
【0078】
本動作例の説明では、一例として、印字対象Tをパスポート用の冊子(以下、「パスポート冊子」と称する)とする。したがって、位置補正装置10は、レーザ印字装置100にパスポート冊子が搬送される毎に、
図5に例示するフローに従って動作する。搬送されたパスポート冊子には、
図4Aに例示されるように、3つの基準マークP1、P2、P3が印刷されている。
【0079】
位置補正装置10では、撮像部16によって、印字対象Tが撮像され、撮像によって取得された画像がメモリ20へ出力され、基準マーク中心点判定プログラム21によって、この画像に基づいて、印字対象Tに予め設けられたすべての基準マークPの中心点、すなわち、基準マークP1、P2、P3の各中心点が判定される。判定された中心点の位置は、印字対象Tにおける座標で表される(ST1)。
【0080】
次に、レーザ印字指示プログラム22によって、基準マークP1、P2、P3の各中心点の座標が、レーザ印字装置100へ出力され、レーザ印字装置100に対して、基準マークP1、P2、P3の各中心点を中心として、レーザマークSを形成するように指示される。
【0081】
この指示に応じて、レーザ印字装置100によって、基準マークP1、P2、P3の各中心点と、中心点が一致するレーザマークSを形成するように、印字対象Tに向けてレーザが照射される(ST2)。
【0082】
これによって、パスポート冊子に、各基準マークP1、P2、P3に対応するレーザマークS1、S2、S3がそれぞれ形成される。しかしながら、レーザ印字装置100が、基準マークPの中心点と、中心点が一致するレーザマークSを形成するようにレーザを照射しても、前述した温度ドリフト等により、基準マークP1、P2、P3の各中心点と、対応するレーザマークS1、S2、S3の各中心点とは一致しない。
【0083】
レーザマークS1、S2、S3が形成された印字対象Tは、撮像部16によって撮像され、撮像によって取得された画像が、メモリ20へ出力される。
【0084】
この画像に基づいて、レーザマーク中心点判定プログラム23によって、レーザマークS1、S2、S3の各中心点が判定され、レーザマークS1、S2、S3の各中心点の座標が出力される(ST3)。
【0085】
次に、補正量算出プログラム24によって、基準マークP1、P2、P3の各中心点と、対応するレーザマークS1、S2、S3の各中心点とのずれd1、d2、d3がそれぞれ求められる(ST4)。
【0086】
補正量算出プログラム24ではさらに、ずれd1、d2、d3の大きさや方向に基づいて、各レーザマークS1、S2、S3の中心点を、対応する基準マークP1、P2、P3の中心点に一致させるための補正量が算出される(ST5)。
【0087】
補正量は、レーザ印字装置制御プログラム25によって、通信インターフェース15を介してレーザ印字装置100へ送信される。これによって、レーザ印字装置100は、補正量に基づいて制御されながら、印字対象Tに対してレーザ印字を行う(ST6)。
【0088】
このようにして、レーザ印字装置100によるレーザ印字が制御され、印字対象Tにおける正しい位置(例えば、パスポート冊子の正しい場所)にレーザ印字がなされる(ST7)。
【0089】
ST7におけるレーザ印字が終了し、次のパスポート冊子がレーザ印字装置100に搬送される(ST8:Yes)と、ステップST1に戻り、次のパスポート冊子に対しても、ステップST1~ST7の動作がなされ、印字対象Tにおける正しい位置にレーザ印字がなされる。
【0090】
すべてのパスポート冊子に対するレーザ印字が終了する(ST8:No)と、処理を終了する。
【0091】
上述したように、本発明の第1の実施形態に係る位置補正方法が適用された位置補正装置10によれば、印字対象T毎に、レーザ印字する直前に、レーザ印字装置100の印字位置を補正するので、経時的に発生する印字ずれによる影響を最小限に抑え、正しい位置へ、正しくレーザ印字することができ、もって、印字品質の安定化を図ることが可能となる。
【0092】
しかも、この補正は、レーザ印字装置100の部品の交換や、新たな部品の設置を伴わないので、安価に実現することができる。
【0093】
このように、本発明の第1の実施形態によれば、レーザ印字装置100のハードウェアを変更することなく、位置補正装置10に組み込まれたソフトウェアによって、さほどコストをかけることなく、精度の良いレーザ印字装置100のための位置補正を実現することが可能となる。
【0094】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。ここでは、既出の構成要素については同じ参照番号を用いることによって、説明を省略する。
【0095】
第2の実施形態は、基準マークPおよびレーザマークSによる印字対象Tのデザイン性の低下の影響を低減する技術に関する。このために、第2の実施形態では、レーザ印字装置制御プログラム25は、レーザ印字装置100に対して、基準マークPと同一の外形形状を有し、基準マークPとは異なるサイズを有するレーザマークSを形成させる。
【0096】
これによって、例えば、基準マークPのサイズが、レーザマークSのサイズよりも大きければ、基準マークPの中心点と、レーザマークSの中心点とがほぼ一致している時、レーザマークSは、基準マークPの内部に形成される。このため、基準マークPと、レーザマークSとの両方が形成されていても、あたかも1つのマークとしてしか見えない。したがって、印字対象Tは、基準マークPおよびレーザマークSが形成された場合であっても、基準マークPおよびレーザマークSの形成による印字対象Tのデザイン性の低下の影響を低減できるという効果を有する。
【0097】
例えば、
図4Aに例示するように、印字対象Tに3つの基準マークP1、P2、P3が形成されている場合、レーザ印字装置100によってレーザマークS1、S2、S3が形成されると、合計して6つのマークが、印字対象Tに形成されることになるので、印字対象Tのデザイン性の低下をもたらす恐れがある。
【0098】
しかしながら、本実施形態によれば、基準マークPの中心点と、レーザマークSの中心点とがほぼ一致している時、基準マークPと、対応するレーザマークSとは、あたかも1つのマークとして見えるようになるので、印字対象Tに3つの基準マークP1、P2、P3が形成されている場合、合計して6つのマークが形成されるにも関わらず、3つのマークとしてしか認識されないので、
印字対象Tのデザイン性の低下の影響を低減することができる。
【0099】
本実施形態ではさらに、レーザ印字装置制御プログラム25は、レーザ印字装置100に対して、複数の線分の組合せで形成されたレーザマークSを、印字対象Tに形成させることができる。
【0100】
図6、
図7、および
図8は、複数の線分の組合せで形成されたレーザマークSの例を示す概念図である。
【0101】
図6は、長さの異なる複数の実線を、一定間隔で平行に配置することによって、全体的に円形状に見えるように形成されたレーザマークSの例である。
【0102】
図7は、長さの等しい複数の線分を、一定間隔で平行に配置することによって、全体的に四角形形状に見えるように形成されたレーザマークSの例である。
【0103】
図8は、長さの異なる複数の実線を、一定間隔で平行に配置することによって、全体的に菱形形状に見えるように形成されたレーザマークSの例である。
【0104】
本実施形態ではさらに、レーザ印字装置制御プログラム25は、レーザ印字装置100に対して、破線または点線で形成された輪郭を有するレーザマークSを、印字対象Tに形成させることもできる。
【0105】
図9は、破線で形成された輪郭を有するレーザマークSの例を示す概念図である。
【0106】
図9は、外径(輪郭)が破線で形成された円形状に見えるレーザマークSの例である。破線を点線に置換できることも、当業者であれば明らかであろう。
【0107】
図6、
図7、
図8、および
図9のようなレーザマークSは、基準マーク中心点判定プログラム21が、レーザ印字装置100に対して、べた塗りではなく、ハッチングパターンで印字させることによって実現することができる。べた塗りしないことで、印字対象TにおいてレーザマークSをより目立たなくすることができるので、レーザマークSの形成による印字対象Tのデザイン性の低下の影響をさらに低減できるという効果を有する。
【0108】
本実施形態で奏される効果を、
図10および
図11を用いて説明する。
【0109】
図10は、本発明の第2の実施形態によって、印字対象Tに、基準マークPと同一形状のレーザマークSが形成される状態を段階的に示す図である。
【0110】
図11は、
図10との比較のために、印字対象Tに、基準マークPと異なる形状のレーザマークSが形成される状態を段階的に示す図である。
【0111】
図10(a)は、カラー印刷装置115によって、顔写真のCMY成分と、3つの基準マークP1~P3とがカラー印刷された印字対象Tを示している。基準マークP1~P3は、いずれも円形状であるが、それぞれサイズ(半径)は異なり、基準マークP2、P1、P3の順に大きい。
【0112】
図10(b)は、
図10(a)の状態から、レーザ印字装置100によってレーザマークS1~S3が形成された印字対象Tを示している。レーザマークS1~S3の形状は、基準マークP1~P3と同じ円形状である。さらに、レーザマークS1~S3の輪郭は、
図9に示すように破線で形成されている。
図10(c)は、
図10(b)の状態からさらに、レーザ印字装置100によって、K成分が印画された印字対象Tを示している。
【0113】
図10(b)の状態では、3つの基準マークP1~P3に加えて、3つのレーザマークS1~S3が形成される。したがって、
図10(b)および
図10(c)の状態では、印字対象Tに、合計して6つのマークが形成されている。しかしながら、基準マークP1、P2、P3の各中心点と、レーザマークS1、S2、S3の各中心点とがほぼ一致していれば、レーザマークS1~S3は、対応する基準マークP1~P3の内部に、しかも破線で形成されるので、目立たない。これによって、印字対象Tには6つのマークが形成されているにも関わらず、あたかも3つのマークとしてしか見えなくなる。
【0114】
【0115】
図11(b)も、
図11(a)の状態から、レーザ印字装置100によってレーザマークS1~S3が形成された印字対象Tを示しているが、レーザマークS1~S3の形状は、
図4Bに示すような実線からなる十文字形状である。
図11(c)は、
図11(b)の状態からさらに、レーザ印字装置100によって、K成分が印画された印字対象Tを示している。
【0116】
図10(b)の状態では、3つの基準マークP1~P3に加えて、3つのレーザマークS1~S3が形成される。3つのレーザマークS1~S3は、実線からなる十文字形状であるので、対応する基準マークP1~P3と識別可能である。これによって、印字対象Tには、3つの基準マークP1~P3と、3つのレーザマークS1~S3とからなる6つのマークが認識されることになる。これは、印字対象Tのデザイン性の低下をもたらす恐れがある。
【0117】
しかしながら本実施形態によれば、
図10を用いて説明したように、レーザマークSを、合わせて最低でも6箇所必要となる基準マークPとレーザマークSとが、あたかも3箇所しか見えなくすることができるので、印字対象Tのデザイン性の損失の影響を、低減することが可能となる。さらに、レーザマークSを、破線のような不連続な線で形成することによって、より目立たなくすることができる。
【0118】
ところで、基準マークPと、レーザマークSとが同じ形状である場合、基準マークPの中心点と、レーザマークSの中心点とが少しずれている場合、一般的に用いられるパターンマッチングでは、レーザマークSが、基準マークPの外側の円であるか内側の円であるかの判別が困難となる場合がある。これを、
図12を用いて説明する。
【0119】
図12は、ともに円形状である基準マークPとレーザマークSとの位置関係の例を示す概念図である。
【0120】
図12(a)は、基準マークPの中心点と、レーザマークSの中心点とが一致している場合の位置関係である。この場合、基準マークPに対して同心円状にレーザマークSが形成されている。
【0121】
一方、
図12(b)は、基準マークPの中心点と、レーザマークSの中心点とが少しずれている場合の位置関係である。この場合、基準マークPに対して同心円状にレーザマークSが形成されず、一般的に用いられるパターンマッチングでは、レーザマークSが、基準マークPの外側の円であるか内側の円であるかの判別が困難である。
【0122】
このような場合、基準マークPに対して、色変換した画像データを用いることで、特定の色消しを行うことによって、レーザマークSが、基準マークPの外側の円であるか内側の円であるかを容易に判別できるようになる。
【0123】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について説明する。ここでも、既出の構成要素については同じ参照番号を用いることによって、説明を省略する。
【0124】
第3の実施形態も、基準マークPおよびレーザマークSによる印字対象Tのデザイン性の低下の影響を低減する技術に関する。このために、第3の実施形態では、カラー印刷装置115によって、印字対象Tに印刷される基準マークPを、目立たないように、印字対象Tの境界に印刷する。
【0125】
図13は、本発明の第3の実施形態における基準マークPの例を示す平面図である。
【0126】
すなわち、本実施形態では、印字対象Tに印刷される基準マークPを、
図12(a)と、
図12(a)の一部拡大図である
図12(b)とに示すように、印字対象Tを囲む点線によって形成された矩形形状の境界における頂点d1と、頂点d1の周囲の4つの点d2~d5とで形成する。
【0127】
この場合、4つの点d2~d5の中心に存在する頂点d1が、基準マークPの中心点に相当する。頂点d1の周囲の4つの点d2~d5のうち、2つの点(
図12(b)に示す場合、点d2、d3)は、矩形形状の直交する2辺に位置し、他の2つの点(
図12(b)に示す場合、点d4、d5)は、これら2辺のおのおのの延長上に位置する。
【0128】
このように、基準マークPを、複数の点d1~d5で形成することによって、目立たないようにすることも可能となる。
【0129】
以上説明したように、本実施形態によれば、印字対象Tに印刷される基準マークPを、目立たなくすることができるので、印字対象Tのデザイン性の損失の影響を、低減することが可能となる。
【0130】
さらに、本実施形態を、第2の実施形態と組み合わせることによって、本実施形態で奏される効果と、第2の実施形態で奏される効果とを合わせた効果を得ることもできる。
【0131】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態について説明する。ここでは、既出の構成要素については同じ参照番号を用いることによって、説明を省略する。
【0132】
本実施形態では、撮像部16にカラーフィルターを適用し、さらに画像の2値化を行うことによって、レーザマークSの位置を精度良く判定する。
【0133】
本実施形態では、撮像部16が特定のカラーフィルターを使用し、CMYによるパーソナルデータと同時に印画されたマゼンタの円形状の基準マークP(例えば、基準マークP1、P2、P3)が印字された印字対象Tを撮像し、撮像によって得られた画像を、メモリ20へ出力する。
【0134】
図14は、本発明の第4の実施形態で実施される2値化によるレーザマークの位置判定の概念を示す図である。
【0135】
図14では、簡略のため、1つの基準マークP1および1つのレーザマークS1しか示していない。しかしながら、以下では、印字対象Tには、3つの基準マークP1、P2、P3が印字され、それに応じて3つのレーザマークS1、S2、S3が形成されたとして説明する。
【0136】
図14(a)に示すように、レーザマーク中心点判定プログラム21は、撮像部16によって撮像され、メモリ20へ出力された画像に基づいて、マゼンタの円形状の基準マークP1、P2、P3の中心点を判定し、各中心点の座標を出力する。
【0137】
補正量算出プログラム24は、基準マークP1、P2、P3の各中心点の位置関係から、印字対象Tの歪みを算出する。
【0138】
レーザマーク印字指示プログラム22は、マゼンダの円形状の基準マークP1、P2、P3の各中心点を中心としたK成分の円形状のレーザマークS1、S2、S3を印字対象Tに形成するように、レーザ印字装置100に指示する。この時、レーザ印字装置100には、基準マークP1、P2、P3の各中心点の座標を出力するのではなく、各中心点の座標が、補正量算出プログラム24によって算出された歪みに応じて補正された座標を出力する。これによって、レーザ印字装置100は、
図14(b)に例示するように、円形状のレーザマークS1、S2、S3を、高い精度で、基準マークP1、P2、P3の中心点を中心として形成できるようになる。
【0139】
次に、撮像部16は、基準マークP1、P2、P3の色(この場合、マゼンダ)に含まれない色成分(この場合、緑色(G)成分)以外のカラーフィルター(この場合、赤色(R)フィルターが好適であるが、青色(B)フィルターでもよい)を介して印字対象Tを撮像し、
図14(c)に例示されるような、撮像により取得された画像を、メモリ20へ出力する。
【0140】
この画像では、背景色である赤色(R)に対して、濃度差の小さいマゼンダの円形状の基準マークP1、P2、P3と、濃度差の大きいレーザによるK成分の円形状のレーザマークS1、S2、S3とが観察される。
【0141】
レーザマーク中心点判定プログラム23は、
図14(d)に例示するように、この画像を、グレー変換し、2値化することによって、黒色のレーザマークS1、S2、S3のみを抽出する。
【0142】
補正量算出プログラム24は、この抽出結果に基づいて、レーザマークS1、S2、S3の伸縮など、カラーによるずれを補正するための補正量を算出する。
【0143】
レーザ印字装置制御プログラム25は、算出された補正量を、通信インターフェース15を介してレーザ印字装置100へ送信し、補正量に基づいて、レーザ印字装置100の動作を制御する。
【0144】
これによって、レーザ印字装置100は、補正量に基づいて印字位置が補正された状態で、印字対象Tに対してレーザ印字を行う。
【0145】
このようにして、本実施形態に係る位置補正装置は、印字対象Tにおける正しい位置にレーザ印字がなされるように、レーザ印字装置100の動作を制御することができる。
【0146】
なお、上記は基準マークPの色をマゼンタ(M)とした場合の説明であるが、基準マークPの色をシアン(C)とすることもできる。基準マークPの色をシアン(C)とした場合は、撮像部16が、青色(B)のカラーフィルターを用いることで同等の効果が得られる。撮像部16が、緑色(G)のカラーフィルターを用いることも可能であるが、基準マークPの色には、シアン(C)中の緑色(G)成分が少ないため、2値化閾値の設定範囲が狭くなるので、好ましくはない。
【0147】
また、基準マークPの色を黄色(Y)とすることもできる。基準マークPの色を黄色(Y)とした場合は、撮像部16が、赤色(R)または緑色(G)のカラーフィルターを使うことで同等の効果が得られる。
【0148】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態について説明する。ここでは、既出の構成要素については同じ参照番号を用いることによって、説明を省略する。
【0149】
本実施形態では、第5の実施形態のように撮像部16において特定のフィルターを使用することなく、撮像したカラー画像に対して、RGB変換と合成とを含む処理を施すことによって、レーザマークSの位置を精度良く判定する。
【0150】
本実施形態では、撮像部16が、CMYによるパーソナルデータと同時に印画されたマゼンタの円形状の基準マークP(例えば、基準マークP1、P2、P3)が印刷された印字対象Tを撮像し、撮像によって得られた画像を、メモリ20へ出力する。
【0151】
図15は、本発明の第5の実施形態で実施されるRGB変換および合成による処理によるレーザマークの位置判定の概念を示す図である。
【0152】
図15でもまた、
図14と同様に、簡略のため、1つの基準マークP1および1つのレーザマークS1しか示していない。しかしながら、以下では、印字対象Tには、3つの基準マークP1、P2、P3が印字され、それに応じて3つのレーザマークS1、S2、S3が形成されたとして説明する。
【0153】
図15(a)に示すように、レーザマーク中心点判定プログラム21は、撮像部16によって撮像され、メモリ20へ出力された画像に基づいて、マゼンタの円形状の基準マークP1、P2、P3の中心点を判定し、各中心点の座標を出力する。
【0154】
補正量算出プログラム24は、基準マークP1、P2、P3の各中心点の位置関係から、印字対象Tの歪みを算出する。
【0155】
レーザマーク印字指示プログラム22は、マゼンダの円形状の基準マークP1、P2、P3の各中心点を中心としたレーザマークS1、S2、S3を印字対象Tに形成するように、レーザ印字装置100に対して指示する。ここでレーザマークS1、S2、S3は、基準マークP1、P2、P3とサイズ違いのK成分の円形状である。
【0156】
この時、レーザ印字装置100には、基準マークP1、P2、P3の各中心点の座標を出力するのではなく、各中心点の座標が、補正量算出プログラム24によって算出された歪みに応じて補正された座標を出力する。これによって、レーザ印字装置100は、
図15(b)に例示するように、基準マークP1、P2、P3とサイズ違いのレーザマークS1、S2、S3を、高い精度で、基準マークP1、P2、P3の中心点を中心として形成できるようになる。
【0157】
次に、撮像部16は、このようにレーザマークS1、S2、S3が形成された印字対象Tを撮像し、撮像により取得された画像を、メモリ20へ出力する。
【0158】
レーザマーク中心点判定プログラム23は、この画像を、
図15(c)に例示するように、RGB変換し、その後、
図15(d)に例示するように、
図15(a)で得られた画像と加算合成(色成分の加算)する。
【0159】
図16は、加算合成の一例を説明するための図である。
【0160】
例えば、
図15(b)に例示するように、基準マークP1、P2、P3に対するレーザマークS1、S2、S3が形成された印字対象Tに対して、CMYの各色成分に対してRGB変換を行い、合成した場合、その結果は、
図16に示す通りとなる。
【0161】
図16に例示する方法では、カラーのマークにマゼンタかイエローを用いるのが最適であるが、シアンマークであっても、レーザマークの黒と十分な濃度差が得られるため、実用上は問題ない。あるいは、さらに2値化するなどの処理を加えれば、レーザマークS1、S2、S3のさらに確実な位置判定処理が可能となる。
【0162】
このような加算合成の結果、
図15(e)に例示するように、カラーの基準マークP1、P2、P3の濃度が極めて低くなり、黒のレーザマークS1、S2、S3のみが抽出されるようになる。
【0163】
これによって、レーザマーク中心点判定プログラム23は、レーザマークS1、S2、S3の中心点を容易に判定することが可能となる。
【0164】
本実施形態によれば、上述したように、近接しているカラーの基準マークPと、レーザマークSのそれぞれの位置情報を測定することが可能となり、K成分に必要な変形を行い、高精度な位置合わせを行うことが可能となる。
【0165】
さらには、色の判別を行うことで、基準マークPやレーザマークSといったマークの位置測定精度を確保したまま、極めて近傍に基準マークPを設定することも可能となり、デザイン性を損なわずに高精度の位置決めを行うことができる。
【0166】
補正量算出プログラム24は、この抽出結果に基づいて、レーザマークS1、S2、S3の伸縮など、カラーによるずれを補正するための補正量を算出する。
【0167】
レーザ印字装置制御プログラム25は、算出された補正量を、通信インターフェース15を介してレーザ印字装置100へ送信し、補正量に基づいて、レーザ印字装置100の動作を制御する。
【0168】
これによって、レーザ印字装置100は、補正量に基づいて印字位置が補正された状態で印字対象Tに対してレーザ印字を行う。
【0169】
このようにして、本実施形態に係る位置補正装置は、印字対象Tにおける正しい位置にレーザ印字がなされるように、レーザ印字装置100の動作を制御することができる。
【0170】
以上、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲の発明された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0171】
例えば、基準マークPやレーザマークSの形状として、代表的な例はともに円形状であるが、基準マークPおよびレーザマークSの形状は、円形状に限定されず、互いに異なる任意の形状とすることもできる。
【0172】
図17は、円形状の基準マークPの中心点と、矩形形状のレーザマークSの中心点とが一致する状態を示す図である。
【0173】
図17に例示するように、基準マークPを、紅色の丸形状とし、レーザマークSを、矩形としたような組み合わせでもよい。
【0174】
また、本発明では、必要に応じてパターンマッチングを適用することができるが、例えば、OpenCVの使用において、撮像照明に外乱のない安定している状態であればSSD(画素値の差分の二乗和(二乗誤差))などを利用することができ、あるいは撮像照明に外乱が入るような環境ではNCC(正規化相互相関)を使用するなど、適宜適切な手法を使用することができるという具合に、そのアルゴリズムは特に限定しない。
【符号の説明】
【0175】
10・・位置補正装置
11・・バス
12・・CPU
13・・外部記録媒体
14・・メモリインターフェース
15・・通信インターフェース
16・・撮像部
20・・メモリ
21・・基準マーク中心点判定プログラム
22・・レーザ印字指示プログラム
23・・レーザマーク中心点判定プログラム
24・・補正量算出プログラム
25・・レーザ印字装置制御プログラム
29・・書込可能データエリア
100・・レーザ印字装置
115・・カラー印刷装置