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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143668
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/10 20230101AFI20230928BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20230928BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20230928BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B05B11/10 103H
B65D47/34 110
B05B11/00 101H
B05B11/00 101J
B05B11/00 103H
B05B11/10 101H
B05B11/10 101J
F04B9/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022189412
(22)【出願日】2022-11-28
(62)【分割の表示】P 2022050147の分割
【原出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 信也
【テーマコード(参考)】
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HD01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD26
3H075AA01
3H075BB03
3H075BB22
3H075CC26
3H075CC34
3H075CC36
3H075DA03
3H075DA04
3H075DB14
3H075DB40
(57)【要約】
【課題】大きな吐出量を実現し易い蓄圧式の吐出器を提供する。
【解決手段】第1シリンダ24と、第1シリンダ24上を摺動する第1ピストン3と、容器本体20の口部20aに取り付けられる第2シリンダ4と、第2シリンダ4上を摺動する第2ピストン25と、外部からの操作によって第2シリンダ4に対して第1シリンダ24と第2ピストン25を伴って進退し、且つ、その進退動作中に第1シリンダ24に対して第1ピストン3を伴って進退する保持部材16と、第1シリンダ24、第1ピストン3、第2シリンダ4及び第2ピストン25によって区画されるポンプ室18aを介して容器本体20内の内容物を保持部材16の進退動作に応じて吐出する内部流路18と、第1付勢部材13からの付勢による保持部材16の被着座部6aに対する第1ピストン3の着座部3aの前進方向への着座によって内部流路18を閉塞する蓄圧部17と、保持部材16を第2シリンダ4に対して後退方向に付勢する第2付勢部材14と、を有する吐出器1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シリンダと、
第1シリンダ上を摺動する第1ピストンと、
容器本体の口部に取り付けられる第2シリンダと、
前記第2シリンダ上を摺動する第2ピストンと、
外部からの操作によって前記第2シリンダに対して前記第1シリンダと前記第2ピストンを伴って進退し、且つ、その進退動作中に前記第1シリンダに対して前記第1ピストンを伴って進退する保持部材と、
前記第1シリンダ、前記第1ピストン、前記第2シリンダ及び前記第2ピストンによって区画されるポンプ室を介して前記容器本体内の内容物を前記保持部材の前記進退動作に応じて吐出する内部流路と、
第1付勢部材からの付勢による前記保持部材の被着座部に対する前記第1ピストンの着座部の前進方向への着座によって前記内部流路を閉塞する蓄圧部と、
前記保持部材を前記第2シリンダに対して後退方向に付勢する第2付勢部材と、
を有する吐出器。
【請求項2】
前記保持部材が、進退方向に延びる筒状のステムと、前記ステムの内周面に取り付けられ、前記被着座部を有するピストンガイドと、前記ステムよりも径方向外側に前記ステムと一体に連ねて設けられ、前記第2付勢部材によって前記後退方向に付勢される連設部と、を有する、請求項1に記載の吐出器。
【請求項3】
前記第1付勢部材が、前記進退方向において前記連設部と前記第1ピストンによって圧縮される圧縮ばねによって構成される、請求項2に記載の吐出器。
【請求項4】
前記連設部が、前記第1シリンダに対する前進限界位置において前記第1シリンダを前記前進方向に押圧する、請求項2又は3に記載の吐出器。
【請求項5】
前記第2付勢部材が、前記連設部と前記第1シリンダとの係合部を介して前記第1シリンダを前記後退方向に付勢する、請求項2~4の何れか1項に記載の吐出器。
【請求項6】
前記内部流路の吐出口が前記内容物を霧状に吐出する、請求項1~5の何れか1項に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダと、シリンダ上を摺動可能なピストンと、外部からの操作によってシリンダに対してピストンを伴って進退する保持部材と、シリンダとピストンによって区画されるポンプ室を介して容器本体内の内容物を保持部材の進退動作に応じて吐出する内部流路と、付勢部材からの付勢による保持部材の被着座部に対するピストンの着座部の前進方向への着座によって内部流路を閉塞する蓄圧部と、を有する吐出器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-35654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の蓄圧式の吐出器は、大きな吐出(噴霧)量を得られるように設計しようとすると、シリンダのストロークが長くなると共に保持部材への操作が重くなる等の問題があった。
【0005】
そこで本発明の目的は、大きな吐出量を実現し易い蓄圧式の吐出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吐出器は、第1シリンダと、第1シリンダ上を摺動する第1ピストンと、容器本体の口部に取り付けられる第2シリンダと、前記第2シリンダ上を摺動する第2ピストンと、外部からの操作によって前記第2シリンダに対して前記第1シリンダと前記第2ピストンを伴って進退し、且つ、その進退動作中に前記第1シリンダに対して前記第1ピストンを伴って進退する保持部材と、前記第1シリンダ、前記第1ピストン、前記第2シリンダ及び前記第2ピストンによって区画されるポンプ室を介して前記容器本体内の内容物を前記保持部材の前記進退動作に応じて吐出する内部流路と、第1付勢部材からの付勢による前記保持部材の被着座部に対する前記第1ピストンの着座部の前進方向への着座によって前記内部流路を閉塞する蓄圧部と、前記保持部材を前記第2シリンダに対して後退方向に付勢する第2付勢部材と、を有する吐出器である。
【0007】
本発明の吐出器は、上記構成において、前記保持部材が、進退方向に延びる筒状のステムと、前記ステムの内周面に取り付けられ、前記被着座部を有するピストンガイドと、前記ステムよりも径方向外側に前記ステムと一体に連ねて設けられ、前記第2付勢部材によって前記後退方向に付勢される連設部と、を有する、吐出器であるのが好ましい。
【0008】
本発明の吐出器は、上記構成において、前記第1付勢部材が、前記進退方向において前記連設部と前記第1ピストンによって圧縮される圧縮ばねによって構成される、吐出器であるのが好ましい。
【0009】
本発明の吐出器は、上記構成において、前記連設部が、前記第1シリンダに対する前進限界位置において前記第1シリンダを前記前進方向に押圧する、吐出器であるのが好ましい。
【0010】
本発明の吐出器は、上記構成において、前記第2付勢部材が、前記連設部と前記第1シリンダとの係合部を介して前記第1シリンダを前記後退方向に付勢する、吐出器であるのが好ましい。
【0011】
本発明の吐出器は、上記構成において、前記内部流路の吐出口が前記内容物を霧状に吐出する、吐出器であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、大きな吐出量を実現し易い蓄圧式の吐出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の吐出器を有する吐出容器を作動前の状態で示す縦断面図である。
図2図1に示す吐出容器のノズルヘッドへの押し下げ操作を開始した時の状態を示す縦断面図である。
図3図2に示す状態からノズルヘッドをさらに押し下げた時の状態を示す縦断面図である。
図4図3に示す状態からノズルヘッドをさらに押し下げた時の状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0015】
図1に示すように、本発明の一実施形態において、吐出器1は、それぞれ一体に例えば樹脂で形成される、第1シリンダ・第2ピストン部材2、第1ピストン3、第2シリンダ4、ステム部材5、ピストンガイド6、ヘッド本体7、ノズルチップ8、抜け止め部材9、装着キャップ10及びパイプ11と、それぞれ一体に例えば金属で形成される、弁体12、第1付勢部材13及び第2付勢部材14と、を有する。ヘッド本体7とノズルチップ8でノズルヘッド15が構成され、ノズルヘッド15、ステム部材5及びピストンガイド6で保持部材16が構成される。第1ピストン3の着座部3a、ピストンガイド6の被着座部6a、及び第1付勢部材13で蓄圧部17が構成される。なお、弁体12、第1付勢部材13及び第2付勢部材14は金属製に限らず例えば樹脂製としてもよい。
【0016】
吐出器1は内部流路18を有し、内部流路18はポンプ室18a、上流側流路18b、下流側流路18cを有し、下流側流路18cは吐出口18dを有する。
【0017】
本実施形態において、吐出容器19は吐出器1、容器本体20及び上蓋21を有する。
【0018】
容器本体20は、後述する第1シリンダ24の中心軸線Oを中心とする円筒状の口部20aと、口部20aの下端部に連なる胴部20bと、胴部20bの下端部に連なる底部と、を有する。なお、口部20aは角筒状など、円筒状以外の筒状をなす構成であってもよい。容器本体20内には液状の内容物が収容される。
【0019】
本実施形態において、中心軸線Oに沿う方向を進退方向又は上下方向ともいい、進退方向に沿って口部20aから底部に向かう方向を前進方向又は下方ともいい、その反対方向を後退方向又は上方ともいい、中心軸線Oに直交する直線に沿う方向を径方向ともいい、中心軸線Oを周回する方向を周方向ともいい、中心軸線Oを含む断面を縦断面ともいう。
【0020】
第2シリンダ4は第1シリンダ24よりも大径であり、吸入口4aを有し、口部20aに装着キャップ10を取り付けることで口部20aに取り付けられる。また、第2シリンダ4は、中心軸線Oを中心とする筒状をなし第2ピストン25に接する第2シリンダ本体4bと、第2シリンダ本体4bの上部から径方向外側に延びてパッキン22を介して口部20aの上端面上に配置されるフランジ4cと、第2シリンダ本体4bの下部から径方向内側に延びて吸入口4aを有する第2シリンダ底部4dと、を有する。
【0021】
第2シリンダ底部4dは、第2シリンダ本体4bの下部から径方向内側に延びて中心軸線Oを中心とする環状をなす底壁4eと、底壁4eの内周縁部から上方に延びて中心軸線Oを中心とする筒状をなす底筒部4fと、底筒部4fの上端部から径方向内側に延びて中心軸線O上に吸入口4aを有し、弁体12を着座させる弁座部4gと、弁座部4gの外周縁部から上方に延び、弁座部4gから上方に離間した弁体12の上昇を規制する弁規制部4hと、周方向に間隔を空けて並べて設けられ、各々が底壁4eの上面の外周縁部を除く部分と底筒部4fの外周面とに跨って径方向と上下方向に沿って延びる複数の縦リブ4iと、を有する。
【0022】
パイプ11の上端部は底筒部4fの内周面に嵌合によって取り付けられる。
【0023】
弁体12、弁座部4g及び弁規制部4hによって吸入弁23が構成される。吸入弁23は、弁体12が弁座部4gから上方に離間することで容器本体20内からポンプ室18aへの内容物の移動を許容する一方、弁体12が弁座部4gに下方に着座することで逆方向への内容物の移動を抑制する。なお、吸入弁23は弁体12、弁座部4g及び弁規制部4hを有する構成に限らず、例えば、いわゆる3点弁などの弾性弁によって構成してもよい。
【0024】
装着キャップ10は、口部20aの外周面に取り付けられる周壁10aと、周壁10aの上部から径方向内側に延びてフランジ4cの上面に接し、中心軸線Oを中心とする環状をなすキャップ上部10bと、を有する。キャップ上部10bは、周壁10aの上端部から径方向内側に延びてフランジ4cの上面に接する下側環状壁10cと、下側環状壁10cの内周縁部から上方に延びる外側筒壁10dと、外側筒壁10dの上端部から径方向内側に延びる上側環状壁10eと、上側環状壁10eの内周縁部から上方と下方に延びる内側筒壁10fと、を有する。
【0025】
第1シリンダ・第2ピストン部材2は、中心軸線Oを中心とする環状をなし、上端側部分によって第1シリンダ24を構成し、下端側部分によって第2ピストン25を構成する。
【0026】
第2ピストン25は第2摺動筒25aと第2筒軸25bを有する。第2摺動筒25aは第2ピストン25の外周縁部を構成し、第2シリンダ本体4bの内周面上を上下方向に摺動する。第2筒軸25bは第2ピストン25の径方向の内周縁部を構成し、上下方向に延びる筒状をなし、第2筒軸25bの下端部は第2摺動筒25aに一体に連なり、第2筒軸25bの上端部は第1シリンダ24の下端部に一体に連なる。
【0027】
抜け止め部材9は、中心軸線Oを中心とする環状をなし、第2シリンダ4に一体に取り付けられ、第2ピストン25が第2シリンダ4から上方に抜け出るのを規制する。より具体的には、抜け止め部材9は、第2シリンダ本体4bの内周面に接する外周面を有する抜け止め部9aと、抜け止め部9aの上部から径方向外側に突出し、第2シリンダ4の上面に対向する下面を有する突出部9bと、を有する。抜け止め部9aの上面は、中心軸線Oを中心とする環状の凹状をなし第2付勢部材14の下端部を受ける下側受け部9cを有する。
【0028】
第2ピストン25が第2シリンダ4から上方に抜け出ることは、第2ピストン25が抜け止め部9aに上方に当接することによって規制される。第2シリンダ4に対する抜け止め部材9の下方への位置ずれは、突出部9bが第2シリンダ4の上面に下方に当接することによって規制される。第2シリンダ4に対する抜け止め部材9の上方への位置ずれは、抜け止め部9aにおける下側受け部9cよりも外周側の部分が装着キャップ10の内側筒壁10fの下端面に上方に当接することによって規制される。
【0029】
第2付勢部材14は、中心軸線Oを中心に配置され、上下方向に伸縮する圧縮ばねによって構成される。
【0030】
第1シリンダ24は、中心軸線Oを中心とする環状をなし、第1シリンダ本体24aと規制段部24bを有する。第1シリンダ本体24aは中心軸線Oを中心とする筒状をなし第1ピストン3に接する。規制段部24bは、第1シリンダ本体24aの下端部から径方向内側に段差状に突出する。
【0031】
保持部材16は、ノズルヘッド15を介した外部からの操作によって第2シリンダ4に対して第1ピストン3と第2ピストン25を伴って進退(前進方向と後退方向に移動)し、且つ、その進退動作中に第1シリンダ24に対して第1ピストン3を伴って進退する。
【0032】
また保持部材16は、中心軸線Oを中心に進退方向に延びる筒状のステム5aと、ステム5aの内周面に取り付けられ、被着座部6aを有するピストンガイド6と、ステム5aよりも径方向外側にステム5aと一体に連ねて設けられ、第2付勢部材14によって後退方向に付勢される連設部5bと、を有する。またステム部材5は、ステム5aと連設部5bによって構成される。
【0033】
ピストンガイド6は中心軸線Oを中心に進退方向に延びる棒状をなす。またピストンガイド6は、ステム5aよりも下方において拡径する拡径部6bを有し、拡径部6bが被着座部6aを有する。
【0034】
第1ピストン3は中心軸線Oを中心とする環状をなし、第1摺動筒3bと第1筒軸3cを有する。第1摺動筒3bは第1ピストン3の外周縁部を構成し、第1シリンダ本体24aの内周面上を進退方向に摺動する。第1筒軸3cは第1ピストン3の径方向の内周縁部を構成し、進退方向に延びる筒状をなし、第1筒軸3cの下端部は第1摺動筒3bに一体に連なる。第1筒軸3cは、ピストンガイド6の外周面を包囲し、ピストンガイド6に対して進退する。また第1筒軸3cは、ステム5aの外周面の下端部上を進退方向に摺動する。
【0035】
第1ピストン3は、保持部材16の進退動作に応じて、被着座部6aに前進方向に着座し、被着座部6aから後退方向に離間する着座部3aを有する。
【0036】
保持部材16の連設部5bは、ステム5aよりも径方向外側で中心軸線Oを中心に進退方向に延びる筒状の係合壁5cと、係合壁5cの上端部とステム5aの外周面とを連ねる連結壁5dと、係合壁5cの外周面の上端部から径方向外側に段差状に突出し、第2付勢部材14の上端部を受ける上側受け部5eと、を有する。
【0037】
第2付勢部材14は、連設部5bの係合壁5cの内周面と第1シリンダ24の外周面との凹凸部同士の係合部26を介して第1シリンダ24を後退方向に付勢する。連設部5bの連結壁5dの下面と第1シリンダ24の上端面との間には、連設部5bの連結壁5dが第1シリンダ24に対する前進限界位置において第1シリンダ24を前進方向に押圧する(図4参照)ように、所定の大きさの隙間Gが設定される。
【0038】
第1付勢部材13は、進退方向において連設部5bの連結壁5dと第1ピストン3によって圧縮される圧縮ばねによって構成される。
【0039】
ヘッド本体7はステム5aの上端部に取り付けられる。ノズルチップ8はヘッド本体7の側面に設けられる嵌合溝内に取り付けられて、内容物を吐出口18dから霧状に吐出(つまり噴霧)するための流路をヘッド本体7との間に形成する。ヘッド本体7の上面は、外部からの押し下げ操作を受ける被操作部15aを形成する。ノズルヘッド15は、押し下げ操作に応じて保持部材16と一体に第2シリンダ4と容器本体20に対して進退する。
【0040】
内部流路18は、ポンプ室18aと、ポンプ室18aよりも上流側の上流側流路18bと、ポンプ室18aよりも下流側の下流側流路18cと、を有する。ポンプ室18aは、第1シリンダ24、第1ピストン3、第2シリンダ4及び第2ピストン25によって区画される。上流側流路18bは、パイプ11によって区画される。下流側流路18cは、第1ピストン3、ステム5a、ピストンガイド6及びノズルヘッド15によって区画される。吐出口18dはノズルチップ8に設けられ、下流側流路18cの最下流部に位置する。
【0041】
蓄圧部17は、第1付勢部材13からの付勢による保持部材16の被着座部6aに対する第1ピストン3の着座部3aの前進方向への着座によって内部流路18の下流側流路18cを閉塞する。
【0042】
上蓋21は吐出器1を開閉する。上蓋21は、上蓋21が吐出器1を閉じた状態において中心軸線Oを中心とする筒状の外周壁21aと、外周壁21aの上端部に連なる頂壁21bと、を有する。外周壁21aの下端部は、装着キャップ10の外側筒壁10dの外周面に離脱可能に取り付けられる。
【0043】
本実施形態の吐出器1は上記のように構成されるので、押し下げ操作によって次のように動作する。
【0044】
図2に示すように、第2付勢部材14の付勢力に抗する押し下げ操作によって保持部材16が第2シリンダ4に対して前進方向に動作すると、まず、第1付勢部材13からの付勢によって蓄圧部17が下流側流路18cを閉塞した状態で、保持部材16が第1ピストン3を伴って第1シリンダ24に対して前進し、ポンプ室18aの内圧が高まる。
【0045】
図3に示すように、高まったポンプ室18aの内圧により着座部3aが第1付勢部材13からの付勢力に抗して被着座部6aから上方に離間すると、蓄圧されたポンプ室18a内の内容物が着座部3aと被着座部6aの間を通って下流側に流れ、吐出口18dから勢い良く吐出(噴霧)される。したがって、押し下げ操作の初期段階から勢いの良い吐出を実現し、またその結果、吐出口18dからの液だれを抑制できる。
【0046】
更なる押し下げ操作により、連設部5bが第1シリンダ24の上端に当接する前進限界位置まで保持部材16が第1シリンダ24に対して前進し、図4に示すように、連設部5bが第1シリンダ24を前進方向に押圧することによって、保持部材16が第2シリンダ4に対して第1シリンダ24と第2ピストン25を伴って前進し、その結果、ポンプ室18a内の内容物が着座部3aと被着座部6aの間を通って下流側に流れ、吐出口18dから勢い良く吐出(噴霧)される。したがって、押し下げ操作の初期段階以降においても勢いの良い吐出を実現し、またその結果、吐出口18dからの液だれを抑制できる。またこの時、第1ピストン3が規制段部24bに前進方向に当接することで、着座部3aが被着座部6aから後退方向に離間した状態が維持され、その結果、押し下げ操作が重くなるのが抑制される。
【0047】
保持部材16が第2ピストン25を伴って第2シリンダ4に対する前進限界位置にまで達すると、第2筒軸25bの下端部が複数の縦リブ4iの上面に当接し、それ以上の前進が規制される。
【0048】
そして、押し下げ操作を解除すると、まず第2付勢部材14の付勢力によって第1シリンダ24に対して保持部材16が後退し、第1付勢部材13の付勢力によって着座部3aが被着座部6aに着座して下流側流路18cが閉塞され、次いで、その着座状態で、第2付勢部材14の付勢力によって第2シリンダ4に対して保持部材16、第1ピストン3及び第1シリンダ・第2ピストン部材2が押し下げ操作前の位置まで後退する。また、その後退動作により、ポンプ室18aの内圧が減少して吸入弁23が開き、容器本体20の内部から内容物が上流側流路18bを通してポンプ室18aの内部に流入する。
【0049】
本実施形態によれば、押し下げ操作の初期段階においては第1シリンダ24と第1ピストン3によって少量の内容物を蓄圧部17によって蓄圧して勢い良く吐出でき、押し下げ操作の初期段階以降においては第2シリンダ4と第2ピストン25によって多量の内容物を勢い良く吐出できる。したがって本実施形態によれば、シリンダのストロークが長くなるのを抑制すると共に押圧操作が重くなるのを抑制しつつ、容易に大きな吐出(噴霧)量を実現できる。
【0050】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0051】
したがって、前述した実施形態の吐出器1は、第1シリンダ24と、第1シリンダ24上を摺動する第1ピストン3と、容器本体20の口部20aに取り付けられる第2シリンダ4と、第2シリンダ4上を摺動する第2ピストン25と、外部からの操作によって第2シリンダ4に対して第1シリンダ24と第2ピストン25を伴って進退し、且つ、その進退動作中に第1シリンダ24に対して第1ピストン3を伴って進退する保持部材16と、第1シリンダ24、第1ピストン3、第2シリンダ4及び第2ピストン25によって区画されるポンプ室18aを介して容器本体20内の内容物を保持部材16の進退動作に応じて吐出する内部流路18と、第1付勢部材13からの付勢による保持部材16の被着座部6aに対する第1ピストン3の着座部3aの前進方向への着座によって内部流路18を閉塞する蓄圧部17と、保持部材16を第2シリンダ4に対して後退方向に付勢する第2付勢部材14と、を有する吐出器1である限り変更可能である。
【0052】
例えば、吐出器1は、吐出口18dが内容物を霧状に吐出する構成に限らない。また吐出器1は、第2付勢部材14が連設部5bと第1シリンダ24との係合部26を介して第1シリンダ24を後退方向に付勢する構成に限らない。また吐出器1は、連設部5bが、第1シリンダ24に対する前進限界位置において第1シリンダ24を前進方向に押圧する構成に限らない。第1シリンダ24は、規制段部24bを有する構成に限らない。第2シリンダ底部4dは、複数の縦リブ4iを有する構成に限らない。
【0053】
なお、前述した実施形態の吐出器1は、上記構成において、保持部材16が、進退方向に延びる筒状のステム5aと、ステム5aの内周面に取り付けられ、被着座部6aを有するピストンガイド6と、ステム5aよりも径方向外側にステム5aと一体に連ねて設けられ、第2付勢部材14によって後退方向に付勢される連設部5bと、を有する、吐出器1であるのが好ましい。保持部材16はノズルヘッド15を有する構成に限らない。吐出器1は、ノズルヘッド15を押し下げ操作することで内容物を吐出するノズルヘッド15式に限らず、例えば、トリガーを牽曵操作することで内容物を吐出するトリガー式に構成してもよい。連設部5bとステム5aを別体に形成し、互いに組み付けることでステム部材5を形成する構成としてもよい。
【0054】
前述した実施形態の吐出器1は、上記構成において、第1付勢部材13が、進退方向において連設部5bと第1ピストン3によって圧縮される圧縮ばねによって構成される、吐出器1であるのが好ましい。
【0055】
前述した実施形態の吐出器1は、上記構成において、連設部5bが、第1シリンダ24に対する前進限界位置において第1シリンダ24を前進方向に押圧する、吐出器1であるのが好ましい。
【0056】
前述した実施形態の吐出器1は、上記構成において、第2付勢部材14が、連設部5bと第1シリンダ24との係合部26を介して第1シリンダ24を後退方向に付勢する、吐出器1であるのが好ましい。
【0057】
前述した実施形態の吐出器1は、上記構成において、内部流路18の吐出口18dが内容物を霧状に吐出する、吐出器1であるのが好ましい。
【符号の説明】
【0058】
1 吐出器
2 第1シリンダ・第2ピストン部材
3 第1ピストン
3a 着座部
3b 第1摺動筒
3c 第1筒軸
4 第2シリンダ
4a 吸入口
4b 第2シリンダ本体
4c フランジ
4d 第2シリンダ底部
4e 底壁
4f 底筒部
4g 弁座部
4h 弁規制部
4i 縦リブ
5 ステム部材
5a ステム
5b 連設部
5c 係合壁
5d 連結壁
5e 上側受け部
6 ピストンガイド
6a 被着座部
6b 拡径部
7 ヘッド本体
8 ノズルチップ
9 抜け止め部材
9a 抜け止め部
9b 突出部
9c 下側受け部
10 装着キャップ
10a 周壁
10b キャップ上部
10c 下側環状壁
10d 外側筒壁
10e 上側環状壁
10f 内側筒壁
11 パイプ
12 弁体
13 第1付勢部材
14 第2付勢部材
15 ノズルヘッド
15a 被操作部
16 保持部材
17 蓄圧部
18 内部流路
18a ポンプ室
18b 上流側流路
18c 下流側流路
18d 吐出口
19 吐出容器
20 容器本体
20a 口部
20b 胴部
21 上蓋
21a 外周壁
21b 頂壁
22 パッキン
23 吸入弁
24 第1シリンダ
24a 第1シリンダ本体
24b 規制段部
25 第2ピストン
25a 第2摺動筒
25b 第2筒軸
26 係合部
G 隙間
O 中心軸線
図1
図2
図3
図4