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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143676
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】電子ロック
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/46 20170101AFI20230928BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20230928BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
E05B65/46
E05B47/00 M
E05B49/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193875
(22)【出願日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】111111790
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】513240939
【氏名又は名称】川益科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】陳 庚金
(72)【発明者】
【氏名】劉 駿達
(72)【発明者】
【氏名】蘇 信誠
(72)【発明者】
【氏名】林 淑珍
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA13
2E250BB08
2E250DD06
2E250FF24
2E250FF36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】相互に対して移動可能である2つの物品に適合可能な電子ロックを提供する。
【解決手段】電子ロック20は、制御回路モジュール54と電磁機構56とを備えている。電磁機構は、制御回路モジュールに電気的に接続され、電磁機構は、駆動部材64と磁石66とを含む。駆動部材は、第1位置P1と第2位置P2とのうちの1つに配置されるように制御回路モジュールによって駆動されるように構成されている。駆動部材が制御回路モジュールによって駆動されない場合に、駆動部材は、磁石によって第1位置と第2位置とのいずれかに保持されるように構成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に対して移動可能である第1物品と第2物品とに適合可能な電子ロックであって、
制御回路モジュールと、
前記制御回路モジュールに電気的に接続されている電磁機構とを備え、
前記電磁機構は、
第1位置と第2位置とのうちの1つに配置されるために、前記制御回路モジュールによって通電されたコイルで駆動されるように構成されている駆動部材と、
磁石とを含み、
前記第2物品が前記第1物品に対して所定位置に配置される場合であり、かつ前記駆動部材が前記第1位置に配置される場合に、前記第2物品は前記所定位置から離れるように移動することが防止され、
前記第2物品が前記第1物品に対して前記所定位置に配置される場合であり、かつ前記駆動部材が前記第2位置に配置される場合に、前記第2物品は前記所定位置から離れるように移動することが可能であり、
前記コイルが前記制御回路モジュールによって通電されない場合に、前記駆動部材は、前記磁石によって前記第1位置と前記第2位置とのうちの1つに保持されるように構成されている、電子ロック。
【請求項2】
前記電磁機構はさらに、弾性部材を含み、前記コイルが前記制御回路モジュールによって通電されない場合に、前記駆動部材は、前記弾性部材によって前記第1位置と前記第2位置とのうちの他方に保持されるように構成され、
前記駆動部材は、金属材料を含み、前記磁石は、永久磁石である、請求項1記載の電子ロック。
【請求項3】
前記制御回路モジュールが前記コイルに第1電力信号を供給した場合に、前記駆動部材は、前記第1位置に配置されるように駆動され、前記制御回路モジュールが前記コイルに第2電力信号を供給した場合に、前記駆動部材は、前記第2位置に配置されるように駆動され、
電子ロックが通信装置から送信された第1制御信号を受信した場合に、前記制御回路モジュールは前記第1電力信号を前記コイルに供給し、前記第1位置に配置されるように前記駆動部材を駆動し、
電子ロックが前記通信装置から送信された第2制御信号を受信した場合であり、かつ前記第2物品が前記第1物品に対して前記所定位置に配置された場合に、前記制御回路モジュールは前記第2電力信号を前記コイルに供給し、前記第2位置に配置されるように前記駆動部材を駆動する、請求項1記載の電子ロック。
【請求項4】
さらに手動解錠機構を備え、前記コイルが前記制御回路モジュールによって通電されず、前記駆動部材が前記第1位置に配置された場合に、前記手動解錠機構は、前記駆動部材を前記第1位置から前記第2位置へ移動させるために駆動するように構成され、
前記手動解錠機構は、第1部材と第2部材とを含み、所定方向に前記第1部材に力が加えられた場合に、前記第1部材は、前記第2部材を一緒に移動させるために駆動するように構成され、前記駆動部材を前記第1位置から前記第2位置へ移動させるようにさらに駆動し、
前記所定方向は、前記第1物品と前記第2物品との間の相対的移動の方向に実質的に平行である、請求項1記載の電子ロック。
【請求項5】
さらにベースとセンサとを備え、前記電磁機構と前記手動解錠機構とはともに前記ベースに配置され、
前記第1部材は、回転されて、前記第2部材を直線的に移動させるように構成され、前記センサは、前記第2物品が前記第1物品に対して前記所定位置に配置されるか否かを検出するように構成されている、請求項4記載の電子ロック。
【請求項6】
電子ロックであって、
制御回路モジュールと、
前記制御回路モジュールに電気的に接続されている電磁機構とを備え、
前記電磁機構は、
第1位置と第2位置とのうちの1つに配置されるために、前記制御回路モジュールによって駆動されるように構成されている駆動部材と、
磁石とを含み、
前記駆動部材が前記制御回路モジュールによって駆動されない場合に、前記駆動部材は、前記磁石によって前記第1位置と前記第2位置とのうちの1つに保持されるように構成され、
電子ロックはさらに、手動解錠機構を備え、前記駆動部材が前記制御回路モジュールによって駆動されない場合であり、かつ前記駆動部材が前記第1位置に配置される場合に、前記手動解錠機構は、前記駆動部材を前記第1位置から前記第2位置へ移動させるために駆動するように構成されている、電子ロック。
【請求項7】
前記手動解錠機構は、第1部材と第2部材とを含み、所定方向に前記第1部材に力が加えられた場合に、前記第1部材は、前記第2部材を一緒に移動させるために駆動するように構成され、前記駆動部材を前記第1位置から前記第2位置へ移動させるようにさらに駆動し、
電子ロックは、ベースをさらに備え、前記電磁機構と前記手動解錠機構とがともに前記ベースに配置され、前記第1部材は、回転されて、前記第2部材を駆動して直線的に移動させるように構成されている、請求項6記載の電子ロック。
【請求項8】
前記電磁機構はさらに、弾性部材を含み、前記駆動部材が前記制御回路モジュールによって駆動されない場合に、前記駆動部材は、前記弾性部材によって前記第1位置と前記第2位置とのうちの他方に保持されるように構成され、
前記駆動部材は、金属材料を含み、前記磁石は、永久磁石である、請求項6記載の電子ロック。
【請求項9】
前記制御回路モジュールが前記電磁機構に第1電力信号を供給した場合に、前記駆動部材は、前記第1位置に配置されるように構成され、前記制御回路モジュールが前記電磁機構に第2電力信号を供給した場合に、前記駆動部材は、前記第2位置に配置されるように構成されている、請求項6記載の電子ロック。
【請求項10】
電子ロックが通信装置から送信された第1制御信号を受信した場合に、前記制御回路モジュールは、前記第1電力信号を前記電磁機構に供給して、前記駆動部材を前記第1位置に配置するように駆動し、
電子ロックが前記通信装置から送信された第2制御信号を受信した場合に、前記制御回路モジュールは、前記第2電力信号を前記電磁機構に供給して、前記駆動部材を前記第2位置に配置するように駆動する、請求項9記載の電子ロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロックに関し、より詳細には、相互に対して移動可能である2つの物品に適合可能な電子ロックに関する。
【背景技術】
【0002】
中国特許公開CN105496046B号は、電磁石を使用して押圧部(pressing piece)の一端に接続するスライドレールロック機構を開示している。押圧部の他端は、間欠ロック機能を有する押圧セルフロック機構の上方に配置されている。ラッチは、押圧セルフロック機構の下方に配置されている。電磁石は、スライドレールをロックするために、ラッチを押圧部に通して駆動することができる。
【0003】
この場合に開示されるスライド式レールロック機構の組合せはあまりにも複雑であり、ロックの機能を達成するためには、電磁石(鉄心とバネを含む)、押圧部、セルフロック機構及びラッチのような多くのコンポーネントを必要とする。
【発明の概要】
【0004】
異なる市場要求事項に対しては、前述の構成を通してロックの機能を達成することが望ましくない場合がある。従って、さまざまな製品開発が重要である。
【0005】
本発明は、相互に対して移動可能である第1物品と第2物品とに適合可能な電子ロックを提供する。
【0006】
本発明の実施形態によれば、相互に対して移動可能である第1物品と第2物品とに適合可能な電子ロックは、制御回路モジュールと;制御回路モジュールに電気的に接続されている電磁機構とを備え;電磁機構は、第1位置と第2位置とのうちの1つに配置されるために、制御回路モジュールによって通電されたコイルで駆動されるように構成されている駆動部材と;磁石とを含み;第2物品が第1物品に対して所定位置に配置される場合であり、かつ駆動部材が第1位置に配置される場合に、第2物品は所定位置から離れるように移動することが防止され;第2物品が第1物品に対して所定位置に配置される場合であり、かつ駆動部材が第2位置に配置される場合に、第2物品は所定位置から離れるように移動することが可能であり;コイルが制御回路モジュールによって通電されない場合に、駆動部材は、磁石によって第1位置と第2位置とのうちの1つに保持されるように構成されている。
【0007】
本発明の実施形態によれば、電子ロックは、制御回路モジュールと;制御回路モジュールに電気的に接続されている電磁機構とを備え;電磁機構は、第1位置と第2位置とのうちの1つに配置されるために、制御回路モジュールによって駆動されるように構成されている駆動部材と;磁石とを含み;駆動部材が制御回路モジュールによって駆動されない場合に、駆動部材は、磁石によって第1位置と第2位置とのうちの1つに保持されるように構成され;電子ロックはさらに、手動解錠機構を備え、駆動部材が制御回路モジュールによって駆動されない場合であり、かつ駆動部材が第1位置に配置される場合に、手動解錠機構は、駆動部材を第1位置から第2位置へ移動させるために駆動するように構成されている。
【0008】
本発明のこれら及び他の目的は、種々の図及び図面に示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、疑いなく当業者に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係り、家具アセンブリに適合された電子ロックを示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係り、家具アセンブリに適合された電子ロックを示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係り、相互に対して移動可能である第1物品と第2物品とに適合された電子ロックを示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係り、相互に対して移動可能である第1物品と第2物品とに適合された電子ロックを示す分解図である。
図5】本発明の一実施形態による電子ロックを示す図である。
図6】本発明の一実施形態による電子ロックの分解図である。
図7】本発明の一実施形態による電子ロックの手動解錠機構を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係り、通信装置と通信接続されている電子ロックを示すブロック図である。
図9】本発明の一実施形態に係り、電子ロックの第2物品が第1物品に対して所定位置に配置され、電子ロックの駆動部材が第1位置に配置されていることを示す図である。
図10】本発明の一実施形態に係り、家具アセンブリに適合された電子ロックの第1操作プロセスのフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態に係り、電子ロックの第2物品が第1物品に対して所定位置に配置され、電子ロックの駆動部材が第2位置に配置されていることを示す図である。
図12】本発明の一実施形態に係り、電子ロックの第2物品が、第1物品に対して所定位置から離れることを示す図である。
図13】本発明の一実施形態に係り、家具アセンブリに適合された電子ロックの第2操作プロセスのフローチャートである。
図14】本発明の一実施形態に係り、電子ロックが通電されない場合に、手動解錠機構を介して第1位置から第2位置へ移動するように駆動される駆動部材の第1動作を示す図である。
図15】本発明の一実施形態に係り、電子ロックが通電されない場合に、手動解錠機構を介して第1位置から第2位置へ移動するように駆動される駆動部材の第2動作を示す図である。
図16】本発明の一実施形態に係り、電子ロックが通電されない場合に、手動解錠機構を介して第1位置から第2位置へ移動するように駆動される駆動部材の第3動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態によれば、電子ロック20は家具アセンブリ22に適合可能である。家具アセンブリ22は、相互に対して移動可能な第1物品24と第2物品26とを含む。
【0011】
好ましくは、家具アセンブリ22はさらに、第1物品24と第2物品26との間に移動可能に取り付けられた第3物品28を含む。本実施形態では、第1物品24は第1レール(固定レールなど)、第2物品26は第2レール(可動レールなど)、第3物品28は第3レール(中間レールなど)であるが、本発明はこれに限定されない。第1物品24と、第2物品26と、第3物品28とは、スライドレールアセンブリ23をともに形成するように、相互に対して長手方向に移動可能である。
【0012】
好ましくは、第1物品24はキャビネット30に配置され(例えば、固定され)、第2物品26は、引き出し32を載せるように構成されている。引き出し32は、図1及び図2に示すように、第2物品26を通して、第1物品24(又はキャビネット30)に対して伸長位置Eに配置されるように構成されている。
【0013】
好ましくは、第1物品24は、延長部34を含む。第2物品26は、載せる部分36を含む。
【0014】
図3及び図4に示すように、第2物品26は、第1物品24に対して所定位置R(例えば、後退位置)に配置されるように構成されている。第2物品26が後退位置に配置されると、第2物品26の載せる部分36は、(図3に示すように)第1物品24の延長部34に実質的に対応する位置に配置される。
【0015】
好ましくは、電子ロック20は、第1物品24に着脱可能に取り付けられている。例えば、電子ロック20は、取り付け特徴部40を有する。第1物品24の延長部34の側壁35は、取り付け特徴部40と相互に係合するように構成された取り付け特徴部42を有する。本実施形態では、取り付け特徴部40と取り付け特徴部42との一方は突起部であり、取り付け特徴部40と取り付け特徴部42との他方は挿入溝であるが、本発明はこれに限定されない。
【0016】
好ましくは、電子ロック20は、保護のために電子ロック20の関連部品の大部分を覆うように構成されたハウジング44を備えている。
【0017】
好ましくは、家具アセンブリ22はフィッティング部材46をさらに含み、これは、第2物品26の載せる部分36に着脱可能に取り付けられるように構成されている。例えば、フィッティング部材46は接続特徴部48を有し、第2物品26の載せる部分36は、接続特徴部48と相互に係合するように構成された接続構造50を有する。本実施形態では、接続機構48と接続構造50との一方は係合溝であり、接続機構48と接続構造50との他方は突起部であるが、本発明はこれに限定されない。
【0018】
好ましくは、フィッティング部材46は、電子ロック20と協働するように構成された補助部52(図4に示すように)をさらに含む。補助部52は、孔又は溝であってよいが、本発明はこれに限定されない。
【0019】
図5及び図6は、ハウジング44がない状態の電子ロック20を示す図である。さらに、電子ロック20は、制御回路モジュール54と電磁機構56とを備えている。好ましくは、電子ロック20はさらに、ベース58と、手動解錠機構60と、センサ62とを備えている。
【0020】
電磁機構56は、制御回路モジュール54に電気的に接続され、電磁機構56は、駆動部材64と磁石66とを含む。好ましくは、電磁機構56はさらに、コイル68と弾性部材70とを含む。
【0021】
好ましくは、制御回路モジュール54と、電磁機構56と、手動解錠機構60と、センサ62とは、全てベース58に配置されている。ベース58は、取り付け特徴部40を有する。制御回路モジュール54は、少なくとも1つの接続部材71を介してベース58での固定部72に接続されている。
【0022】
好ましくは、電磁機構56は、少なくとも1つの伝送ユニット74を介して制御回路モジュール54に電気的に接続されている。少なくとも1つの伝送ユニット74は、第1ワイヤ(ケーブル)と第2ワイヤ(ケーブル)とを含んでよいが、本発明は、これらに限定されない。
【0023】
好ましくは、電磁機構56はさらに、収容部材76を含む。コイル68と磁石66とは、収容部材76によって画定される空間Sの中に配置され、駆動部材64は、(図5に示すように)空間Sから外に、部分的に延びている。
【0024】
磁石66は、永久磁石であることが好ましい。
【0025】
好ましくは、駆動部材64は、駆動部78とラッチ部80とを含む。駆動部78は、金属材料から作成される。本発明では、駆動部78は鉄心であるが、本発明はこれに限定されない。ラッチ部80は、駆動部78に連結(固定接続などが)されている。このラッチ部80と駆動部78とは、1つのピースとして見ることができる。ラッチ部80は延長区間80aを有する。他の実施形態では、ラッチ部80は、駆動部78と一体化されてよいが、本発明はこれに限定されない。
【0026】
好ましくは、弾性部材70は、駆動部材64の駆動部78にスリーブ式に取り付けられ、弾性部材70は、収容部材76とラッチ部80との間に配置されている。
【0027】
好ましくは、電磁機構56は、補助ベース82をさらに含み、補助ベース82は、少なくとも1つの接続コンポーネント83を介してベース58に接続されている。駆動部材64のラッチ部80は、補助ベース82の開口Hを通過するように構成されている。補助ベース82は、駆動部材64が(図9に示すように)第1位置P1に配置されたときに、第2物品26が所定位置Rから離れるように移動するのを防止するように、駆動部材64を補助するように構成されている。
【0028】
図7は、ハウジング44と、制御回路モジュール54と、電磁機構56とがない状態の電子ロック20を示す図である。
【0029】
手動解錠機構60は、第1部材84と第2部材86とを含む。第1部材84はベース58に移動可能に取り付けられている。例えば、第1部材84は、シャフト88を介してベース58に回転可能に接続され、補助弾性部材90は、第1部材84を初期状態S1に保持するために、第1部材84に弾性力を与えるように構成されている。他方、第2部材86は、ベース58に移動可能に取り付けられている。例えば、第2部材86は、ベース58での保持特徴部92を介してベース58に対して移動可能である。保持特徴部92は、延長された通路であり、第2部材86は、ベース58に対して直線的に移動可能である。第2部材86の直線移動の方向は、第2物品26と第1物品24との間の長手方向の相対移動の方向に実質的に垂直である。
【0030】
好ましくは、第1部材84と第2部材86とは、第1所定特徴部94と第2所定特徴部96とを介して相互に協働するように構成されている。例えば、第1所定特徴部94と第2所定特徴部96とのうちの1つは突起部であり、第1所定特徴部94と第2所定特徴部96とのうちの他の1つは細長い孔(又は細長い溝)であり、突起部は細長い孔の一部を通るが、本発明はこれに限定されない(図7に示すように)。
【0031】
好ましくは、第2部材86の対応区間86aは、(図5に示すように)ラッチ部80の延長区間80aに隣接する。
【0032】
好ましくは、電子ロック20は、スライダ98と、ベース58に配置された弾性特徴部100とをさらに備えている。弾性特徴部100は、スライダ98を第1状態W1に保持するように、スライダ98に弾性力を与えるように構成されている。スライダ98は、ガイド部102(傾斜面又は円弧面など)を含み、センサ62は、スライダ98と協働するように構成される(図7に示すように)。好ましくは、センサ62は、制御回路モジュール54に電気的に接続されている。
【0033】
図8に示すように、電子ロック20は、通信装置104と協働するように構成されている。制御回路モジュール54は、電磁機構56に電気的に接続されている。通信装置104は、有線又は無線通信を介して電子ロック20と通信するように構成されている。通信装置104は、携帯電話、タブレット又はスマートウォッチであってよいが、本発明は、これらに限定されない。
【0034】
図9に示すように、駆動部材64は、制御回路モジュール54によって駆動され、第1位置P1(図9に示すように)又は第2位置P2(図11参照)に配置されるように構成されている。例えば、駆動部材64は、制御回路モジュール54によって通電されたコイル68によって駆動され、第1位置P1又は第2位置P2に配置されるように構成されている。図9に示すように、第2物品26(フィッティング部材46は図9の第2物品26を表す)が、第1物品24に対して所定位置R(フィッティング部材46は図9に示すように電子ロック20に対して所定位置R’に配置される)に配置される(電子ロック20は図9の第1物品24を表す)場合であり、かつ駆動部材64が第1位置P1に配置される場合に、第2物品26は、所定位置Rから離れるように移動することが防止される。
【0035】
具体的には、第2物品26が所定位置Rに配置され、駆動部材64が第1位置P1(ロック位置など)に配置される場合には、駆動部材64のラッチ部80がフィッティング部材46の補助部52(孔や溝など)内に延びる。第2物品26が開放方向D1(又は後退方向D2)に第1物品24に対して所定位置Rから離れるように移動するのを防止するために、ラッチ部80は、補助部52の第1ブロッキング特徴部53a(又は第2ブロッキング特徴部53b)を係止する(block)。
【0036】
好ましくは、駆動部材64は、制御回路モジュール54が第1電力信号を供給した場合に、駆動されて第1位置P1に配置されるように構成されている。例えば、駆動部材64は、制御回路モジュール54が第1電力信号をコイル68に供給した場合に、駆動されて第1位置P1に配置されるように構成されている。さらに、制御回路モジュール54は、少なくとも1つの伝送ユニット74を介して、第1電力信号(例えば、逆電圧、しかし本発明はこれに限定されない)をコイル68に供給して、駆動部材64を第1位置P1に配置するために駆動するように構成されている。
【0037】
好ましくは、駆動部材64が制御回路モジュール54によって駆動されない場合に、駆動部材64は、弾性部材70によって第1位置P1に保持されるように構成されている。例えば、コイル68が制御回路モジュール54によって通電されない場合であり、かつ駆動部材64が第1位置P1に配置される場合に、駆動部材64は、電力を節約するために、弾性部材70の弾性力によって第1位置P1に保持されるように構成されている。
【0038】
好ましくは、フィッティング部材46(図9の第2物品26を表す)が、電子ロック20(図9の第1物品24を表す)に対して所定位置R’に配置される場合に、フィッティング部材46の所定の壁106は、スライダ98を押圧してスライダ98を第2状態W2に保持するように構成され、弾性特徴部100が弾性力を蓄積する。
【0039】
図10は、本発明の一実施形態に係る電子ロック20の第1操作プロセスのフローチャートである。電子ロック20の第1操作プロセスのフローチャートは、以下のステップから構成される。
【0040】
ステップS110:通信装置104は、引き出し32をロックするようにセットする。
【0041】
ステップS110では、通信装置104は、ユーザが通信装置104のアプリケーションによりロック信号などの第1制御信号の送信ができるように、アプリケーション(APP)(例えばリモートコントロールのアプリケーション)がインストールされる。
【0042】
ステップS120:センサ62は、第2物品26が第1物品24に対して所定位置Rにあるか否かを検出する。
【0043】
ステップS120では、図9に示すように、電子ロック20は、センサ62がノーマルオープン(NO)状態にあるか否かを検出するように構成され、第2物品26が第1物品24に対して所定位置Rに配置されたか否かを決定する。例えば、フィッティング部材46の所定の壁106がスライダ98を第2状態W2に保持するようにスライダ98を押圧すると、センサ62はノーマルオープン状態となる。この間に、第2物品26は、第1物品24に対して所定位置Rに配置される。従って、センサ62は、第2物品26が第1物品24に対して所定位置Rに配置されたか否かを検出するために使用することができる。本発明の他の実施形態では、スライダ98が第2状態W2に保持される場合に、センサ62は、第2物品26が第1物品24に対して所定位置Rに配置されたか否かを決定するために、ノーマルクローズ(NC)状態にすることができる。
【0044】
センサ62がノーマルオープン(NO)状態にある場合に、ステップS130が実行される。ステップS130:電磁機構56の駆動部材64は、第1電力信号に従って第1位置P1に配置されるように駆動される。ステップS130では、電子ロック20が通信装置104の第1制御信号を受信した場合に、制御回路モジュール54は、第1電力信号(例えば、逆電圧、しかし、本発明はこれに限定されない)をコイル68に供給し、引き出し32が開かれるのを防止するように、駆動部材64を駆動して第1位置P1(図9に示すように)に配置する。ステップS130では、第2物品26(引き出し32)が第1物品24(キャビネット30)に対して所定位置Rに配置され、駆動部材64が第1位置P1(図9に示す)に配置された場合に、引き出し32が開放方向D1に開くことが防止される。
【0045】
センサ62がノーマルオープン(NO)状態でない場合に、ステップS140が実行される。ステップS140:通信装置104は、引き出し32が完全に閉じられていないことを警告する通知を生成する。ステップS140では、通信装置104は、アプリケーションにより音声及び/又は電子メッセージを生成して、引き出し32が現在完全には、所定位置Rに配置されていないことをユーザに通知することができる。
【0046】
図11及び図12に示すように、コイル68が制御回路モジュール54によって通電された場合に、駆動部材64は、第2位置P2に配置されるように駆動される。第2物品26(フィッティング部材46は、図11及び図12の第2物品26を表す)が、第1物品24に対して所定位置R(フィッティング部材46が図11に示すように電子ロック20に対して所定位置R’に配置される)に配置される(電子ロック20は、図11及び図12の第1物品24を表す)場合であり、かつ駆動部材64が第2位置P2に配置される場合に、第2物品26は、所定位置Rから離れるように移動することができる。
【0047】
具体的には、第2物品26が、第1物品24に対して所定位置Rに配置される(フィッティング部材46が図11に示すように電子ロック20に対して所定位置R’に配置される)場合であって、かつ駆動部材64が第2位置P2(例えば解錠位置)に配置される場合に、駆動部材64のラッチ部80は、フィッティング部材46の補助部52(例えば孔や溝)内に延びないので、開放方向D1に第1物品24に対して所定位置Rから、第2物品26が離れるように移動することを許容する。例えば、第2物品26は、開放方向D1に伸長位置Eへ移動することができる(フィッティング部材46は、図12に示すように、電子ロック20に対して所定の伸長位置E’に配置される)。
【0048】
好ましくは、駆動部材64は、制御回路モジュール54が第2電力信号を供給した場合に、駆動されて第2位置P2に配置されるように構成されている。例えば、駆動部材64は、制御回路モジュール54が第2電力信号をコイル68に供給した場合に、駆動されて第2位置P2に配置されるように構成されている。さらに、第2位置P2に配置されるように駆動部材64を駆動するために、制御回路モジュール54は、少なくとも1つの伝送ユニット74を介してコイル68に第2電力信号(例えば順電圧、しかし本発明はこれに限定されない)を供給するように構成されている。
【0049】
好ましくは、駆動部材64が制御回路モジュール54によって駆動されない場合に、磁石66は、第2位置P2に配置された駆動部材64を保持するように構成されている。例えば、コイル68が制御回路モジュール54によって通電されず、駆動部材64が第2位置P2に配置される場合に、駆動部材64は、第2位置P2に保持されるように磁石66によって吸引され、電力を節約する。
【0050】
好ましくは、第2物品26が、第1物品24に対して伸長位置Eに配置される場合に(フィッティング部材46が、第2物品26を表し、図12の電子ロック20に対して所定の伸長位置E’に配置される場合に)、フィッティング部材46の所定の壁106は、もはやスライダ98を押圧しないので、スライダ98は、弾性特徴部100によって解放された弾性力に応答して、第2状態W2から第1状態W1にもどる。
【0051】
また、スライダ98とフィッティング部材46との一方は、ガイド部102を含む。なお、本実施形態では、スライダ98とフィッティング部材46との両方にガイド部が設けられている(図12は、スライダ98のガイド部102のみを示す)。伸長位置E(フィッティング部材46は、図12に示すように所定の伸長位置E’に呼応して配置されている)のような、伸長位置から所定位置Rまで後退方向D2に第2物品26が移動されるプロセス中に、フィッティング部材46は、ガイド部102を通って移動するようにスライダ98を容易に押圧することができる。その結果、フィッティング部材46の所定の壁106は、再び(図11に示すように)スライダ98を押圧するように構成されている。
【0052】
図13は、本発明の一実施形態による電子ロック20の第2操作プロセスのフローチャートである。電子ロック20の第2操作プロセスのフローチャートは、以下のステップで構成される。
【0053】
ステップS210:通信装置104は、引き出し32をロック解除するようにセットする。
【0054】
ステップS210では、ユーザは、通信装置104のアプリケーションにより、ロック解除信号などの第2制御信号を送信することができる。
【0055】
ステップS220:電磁機構56の駆動部材64は、第2電力信号に従って第2位置P2に配置されるように駆動される。ステップS220では、電子ロック20が通信装置104の第2制御信号を受信し、第2物品26(引き出し32)が第1物品24(キャビネット30)に対して所定位置Rに配置される(図11に示すように)場合に、制御回路モジュール54からコイル68に供給される第2電力信号(順電圧などであるが、本発明では限定されない)に応じて、駆動部材64は、第2位置P2に配置されるように駆動されるので、引き出し32を開けることができる。ステップS220では、第2物品26(引き出し32)が第1物品24(キャビネット30)に対して所定位置Rに配置され、駆動部材64が第2位置P2(図11に示すように)に配置される場合に、引き出し32は、開放方向D1(図12に示すように)に開けることができる。
【0056】
図14及び図15に示すように、コイル68が制御回路モジュール54によって通電されず、かつ駆動部材64が第1位置P1に配置される場合に、手動解錠機構60は、駆動部材64を駆動して、第1位置P1(図14に示すようなロック位置など)から第2位置P2(図15に示すような解錠位置など)へ移動させるように構成されている。
【0057】
例えば、ユーザは、第1部材84に所定方向(例えば、開放方向D1)に力Fを加えてよい。その結果、第1部材84は、第2部材86を一緒に動かすように駆動し、駆動部材64をさらに駆動して、第1位置P1(図14に示すように)から第2位置P2(図15に示すように)へ動かすように構成されている。好ましくは、第1部材84は、ユーザが力Fを加えることを可能にするように、ロープで結ばれる構成の取り付け部108(例えば孔、しかし、本発明はこれに限定されない)を有する。
【0058】
さらに、所定方向は、第1物品24と第2物品26との間の相対移動の方向に実質的に平行である。例えば、所定方向は長手方向である。第1物品24に対する第2物品26の移動方向も長手方向である。
【0059】
好ましくは、第1部材84は、回転されて、直線的に移動するように第2部材86を駆動するように構成されている。例えば、ユーザが所定方向に第1部材84に力Fを加えると、第1部材84は、第1回転方向Y1に初期状態S1(図14に示す)からスイング状態S2(図15に示す)へ移動する。第1部材84は、第2部材86を駆動して、第1移動方向K1にベース58に対して直線的に移動させることができる。また、駆動部材64が第1位置P1(図14に示す)から第2位置P2(図15に示す)へ移動するように駆動部材64を駆動するように、第2部材86の対応区間86aは、駆動部材64のラッチ部80の延長区間80aと接触するように構成されている。補助弾性部材90は、その間弾性力を蓄積するように構成されている(図15に示す)。
【0060】
図15及び図16に示すように、ユーザが第1部材84に力Fを加えることを停止すると、第1部材84は、第2回転方向Y2にスイング状態S2(図15に示す)から初期状態S1(図16に示す)へ移動する。このようなプロセスの間、第1部材84は第2部材86を駆動し、第2移動方向K2に初期位置へ移動する。第2回転方向Y2は、第1回転方向Y1と反対であり、第2移動方向K2は、第1移動方向K1と反対である。
【0061】
従って、本発明の実施形態による電子ロック20は、以下の技術的特徴を有する。
【0062】
コイル68が制御回路モジュール54によって通電されない場合に、駆動部材64は、電力を節約するために、磁石66によって第2位置P2に保持できる。又は、コイル68が制御回路モジュール54によって通電されない場合に、駆動部材64は、電力を節約するために、弾性部材70によって第1位置P1に保持できる。
【0063】
コイル68が制御回路モジュール54によって通電されない場合であり、かつ駆動部材64が第1位置P1に配置される場合に、第2部材86を駆動して移動させるために、駆動部材64は、手動解錠機構60の第1部材84に所定方向に力を加えることにより、駆動されて、第1位置P1(ロック位置など)から第2位置P2(解錠位置など)へ移動するように構成されている。所定方向は、第1物品24と第2物品26との間の相対的な動きの方向と実質的に平行であり、これにより使用の利便性を高める。
【0064】
従来のものとは対照的に、本発明の実施形態による電磁機構56は、駆動部78と、ラッチ部80と、磁石66(又は弾性部材70)とを介して、ロック及びロック解除機能を達成するために、一層簡単な構造を有することができる。
【0065】
本発明の教示を保持しつつ、装置及び方法の多くの修正及び変更を行うことができることを、当業者は容易に理解するものである。従って、上記の開示は、添付の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈されるものとする。
図1
図2
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図8
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図10
図11
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図16