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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143709
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230928BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H02M3/28 E
H02M1/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009496
(22)【出願日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2022049348
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高辻 寛之
(72)【発明者】
【氏名】細谷 達也
【テーマコード(参考)】
5H730
5H740
【Fターム(参考)】
5H730AA02
5H730AA14
5H730AS04
5H730AS05
5H730BB14
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE61
5H730FG01
5H730VV03
5H740BA12
5H740BB05
5H740BB07
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH05
(57)【要約】
【課題】発熱や電力損失を抑制し、コモンモードノイズの発生を低減する。
【解決手段】
スイッチング電源装置10は、電力変換回路20、制御回路30、Yコンデンサ40、および、コモンモードチョークコイル50を備える。制御回路30は、電力変換回路20に直接電気接続される。Yコンデンサ40は、電力変換回路20の直流電源91側に接続され、アース電位GNDsに接続される。コモンモードチョークコイル50は、制御回路30の直流電源92側に接続される。電力変換回路20、制御回路30、Yコンデンサ40、および、コモンモードチョークコイル50によって構成される閉回路によって、ノイズ平衡回路が形成され、ノイズ平衡回路は、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング動作により複数の閉回路部分において発生するスイッチングノイズとなるコモンモード電流を閉じ込めて互いに相殺する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力コンデンサ、電力変換用スイッチング素子、第1出力コンデンサを備え、第1直流電源から供給された電力を変換して負荷に出力する電力変換回路と、
第2入力コンデンサおよびスイッチング駆動回路を備え、第2直流電源から供給された電力を用いて、前記電力変換用スイッチング素子の駆動信号を生成する、前記電力変換回路に直接電気接続される制御回路と、
前記電力変換回路の前記第1直流電源側に接続され、アース電位に接続されるYコンデンサと、
前記制御回路の前記第2直流電源側に接続されるコモンモードチョークコイルと、
を備え、
前記電力変換回路、前記制御回路、前記Yコンデンサ、および、前記コモンモードチョークコイルによって構成される閉回路からなり、前記電力変換用スイッチング素子のスイッチング動作により複数の閉回路部分において発生するスイッチングノイズとなるコモンモード電流を閉じ込めて互いに相殺するノイズ平衡回路を形成する、
スイッチング電源装置。
【請求項2】
前記第2直流電源の負極は前記アース電位に接続する、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記第1直流電源の正極および負極は、前記アース電位に対して電気的に絶縁されている、
請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記第1直流電源の電圧は、前記第2直流電源の電圧よりも高い、
請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記電力変換用スイッチング素子において発生する発熱を放熱するヒートシンクを備えた、
請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記ヒートシンクは前記アース電位に接続された、
請求項5に記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記ヒートシンクは、前記第2直流電源の負極に電気接続され、
前記コモンモードチョークコイルは、前記ヒートシンクと前記第2直流電源との接続点と前記第2直流電源の正極との間に接続される、
請求項5に記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
前記ヒートシンクは、前記第2直流電源の正極に電気接続され、
前記コモンモードチョークコイルは、前記ヒートシンクと前記第2直流電源との接続点と前記第2直流電源の負極との間に接続される、
請求項5に記載のスイッチング電源装置。
【請求項9】
前記ヒートシンクは、前記第1直流電源の負極に電気接続される、
請求項5に記載のスイッチング電源装置。
【請求項10】
前記ヒートシンクは、前記第1直流電源の正極に電気接続される、
請求項5に記載のスイッチング電源装置。
【請求項11】
前記第1直流電源の負極と前記第2直流電源の負極とは、電気接続される、
請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項12】
前記制御回路は、絶縁コンバータ、および、複数の前記スイッチング駆動回路を備え、
前記複数のスイッチング駆動回路の負極は、複数の前記電力変換用スイッチング素子のソース電位にそれぞれ接続される、
請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項13】
前記ノイズ平衡回路、前記第1直流電源、および、前記第2直流電源は、車両に搭載されており、
前記アース電位は、前記車両のシャーシと同電位である、
請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子を用いて電力変換を行うスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源装置では、電力変換用のスイッチング素子で発生するコモンモードノイズが問題になる。特に、電動車両に搭載されるスイッチング電源装置のように、大きな電力を扱う場合、コモンモードノイズを主として大きなEMIノイズが発生し、電磁干渉の問題を発生させる。
【0003】
コモンモードノイズの発生を低減させる構成として、特許文献1の電源装置は、電力変換回路の入力側と出力側に、コモンモードチョークコイルとYコンデンサとを接続している。すなわち、特許文献1の電源装置では、外部の直流電源と電力変換回路との間に、コモンモードチョークコイルとYコンデンサとの両方が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-271135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コモンモードノイズを抑制するには、高インピーダンス特性の大電流を流すことのできる大型のコモンモードチョークコイルを使用する必要がある。
【0006】
大電流が流れる電力変換回路への配線ラインに高インピーダンスのコモンモードチョークコイルを接続すると、コモンモードチョークコイルでの発熱や電力損失が大きくなる問題が生じる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、発熱や電力損失を抑制し、コモンモードノイズの発生を低減できるスイッチング電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のスイッチング電源装置は、電力変換回路、制御回路、Yコンデンサ、および、コモンモードチョークコイルを備える。電力変換回路は、第1入力コンデンサ、電力変換用スイッチング素子、第1出力コンデンサを備え、第1直流電源から供給された電力を変換して負荷に出力する。制御回路は、電力変換回路に直接電気接続される。制御回路は、第2入力コンデンサおよびスイッチング駆動回路を備え、第2直流電源から供給された電力を用いて、電力変換用スイッチング素子の駆動信号を生成する。Yコンデンサは、電力変換回路の第1直流電源側に接続され、アース電位に接続される。コモンモードチョークコイルは、制御回路の第2直流電源側に接続される。電力変換回路、制御回路、Yコンデンサ、および、コモンモードチョークコイルによって構成される閉回路によって、ノイズ平衡回路が形成され、ノイズ平衡回路は、電力変換用スイッチング素子のスイッチング動作により複数の閉回路部分において発生するスイッチングノイズとなるコモンモード電流を閉じ込めて互いに相殺する。
【0009】
この構成では、コモンモードチョークコイルは、電力変換回路よりも低電力で、電力変換回路に直接電気接続される制御回路に接続される。そして、電力変換回路には、Yコンデンサが接続する。このため、電力変換回路から第1直流電源側へは、Yコンデンサによってコモンモードノイズ電流の漏洩が抑制され、電力変換回路から制御回路を通じた第2直流電源側へは、コモンモードチョークコイルによってコモンモードノイズ電流の漏洩が抑制される。これにより、コモンモードノイズとなるコモンモード電流は、ノイズ平衡回路に閉じ込められ、相殺される。そして、コモンモードチョークコイルは、大電流が流れる電力変換回路への配線ラインに接続されず、低電力の制御回路への配線ラインに接続されるため、コモンモードチョークコイルにおける発熱や電力損失が抑制される。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、発熱や電力損失を抑制しながら、コモンモードノイズ電流の発生を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路ブロック図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置の回路構成の一例を示す回路図である。
図3図3は、本願発明の構成によるコモンモード電流の流れを示す概略的に示す図である。
図4図4は、比較構成によるコモンモード電流の流れを示す概略的に示す図である。
図5図5は、デルタ型Lisnを用いてコモンモードノイズの測定を行う場合の回路例を示す図である。
図6図6は、デルタ型Lisnを用いてコモンモードノイズの測定を行う場合の回路例を示す図である。
図7図7は、Hi側のケーブルとLow側のケーブルに電流検出用のプローブPRcrを配置した場合の回路図である。
図8図8は、Lisnとシャーシとを接続するケーブルに電流検出用のプローブPRcrを配置した場合の回路図である。
図9図9は、本願構成と比較構成でのノイズレベルを示すグラフである。
図10図10は、本発明の第2の実施形態に係るスイッチング電源装置の回路構成の一例を示す回路図である。
図11図11は、本発明の第3の実施形態に係るスイッチング電源装置の回路構成の一例を示す回路図である。
図12図12は、本発明の第4の実施形態に係るスイッチング電源装置の回路構成の一例を示す回路図である。
図13図13は、本発明の第5の実施形態に係るスイッチング電源装置の回路構成の一例を示す回路図である。
図14図14は、本発明の第6の実施形態に係るスイッチング電源装置の回路構成の一例を示す回路図である。
図15図15は、本発明の第7の実施形態に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置について、図を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路ブロック図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチング電源装置の回路構成の一例を示す回路図である。
【0013】
(スイッチング電源装置10の概略構成および概略動作)
図1図2に示すように、スイッチング電源装置10は、電力変換回路20、制御回路30、Yコンデンサ40、コモンモードチョークコイル50を備える。
【0014】
概略構成として、電力変換回路20の入力端には、直流電源91が接続される。直流電源91は、高電圧の電源であり、例えば、100Vから1000Vの直流電源である。直流電源91が、本発明の「第1直流電源」に対応する。
【0015】
電力変換回路20の入力端と直流電源91との間には、Yコンデンサ40が接続される。Yコンデンサ40は、アース電位GNDsに接続する。アース電位GNDsは、対地接地の電位とは異なり、スイッチング電源装置10が搭載される電動車両等の基準電位であり、例えば、電動車両のシャーシと同電位である。
【0016】
電力変換回路20の出力端には、負荷99が接続される。
【0017】
制御回路30の入力端は、直流電源92が接続される。直流電源92は、直流電源91よりも低電圧の電源であり、例えば、12Vから14Vの直流電源である。直流電源92の負極は、アース電位GNDsに接続される。直流電源92が、本発明の「第2直流電源」に対応する。
【0018】
制御回路30の入力端と直流電源92との間には、コモンモードチョークコイル50が接続される。
【0019】
制御回路30と電力変換回路20とは、接続される。この際、制御回路30と電力変換回路20とは、直接電気接続される。なお、直接電気接続されるとは、制御回路30と電力変換回路20との間に他の電気回路素子が接続されることなく、制御回路30と電力変換回路20とが接続されることを意味する。
【0020】
制御回路30は、直流電源92から電力供給される。制御回路30は、電力変換回路20の電力変換用スイッチング素子Q1、Q2の駆動信号を生成し、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2に出力する。
【0021】
電力変換回路20は、制御回路30からの駆動信号によって電力変換用スイッチング素子Q1、Q2をオンオフにスイッチング制御することで、直流電源91からの入力電圧を負荷99用の出力電圧に電力変換して、負荷99に出力する。
【0022】
この電力変換用スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング動作は、スイッチング周波数に応じたコモンモードノイズの発生要因となる。
【0023】
ここで、スイッチング電源装置10は、上述のように、電力変換回路20の入力端に、Yコンデンサ40が接続され、Yコンデンサ40がアース電位GNDsに接続される。さらに、スイッチング電源装置10は、制御回路30の入力端に、コモンモードチョークコイル50が接続される。
【0024】
これにより、電力変換回路20、制御回路30、Yコンデンサ40、および、コモンモードチョークコイル50によって、コモンモードノイズに対する閉回路(ノイズ平衡回路)を構成できる。したがって、電力変換回路20の電力変換用スイッチング素子Q1、Q2から発生するコモンモードノイズは、スイッチング電源装置10の直流電源91、直流電源92側に漏洩せず、ノイズ平衡回路内に閉じ込められる。ノイズ平衡回路内に閉じ込められたコモンモードノイズは、位相がバラバラであるため相殺される。
【0025】
結果として、スイッチング電源装置10は、コモンモードノイズの発生を低減できる。そして、コモンモードチョークコイル50は、制御回路30の入力端に接続されているので、すなわち、コモンモードチョークコイル50は、高電力側の配線ラインに接続されず、低電力側の配線ラインに接続される。したがって、コモンモードチョークコイル50の発熱および電力損失を抑制できる。さらに、コモンモードチョークコイル50の耐圧を低くできるので、コモンモードチョークコイル50を小型化でき、安価にできる。これにより、小型で安価なスイッチング電源装置10を実現できる。
【0026】
(スイッチング電源装置10の具体的な回路構成の一例)
図2に示すように、電力変換回路20は、入力コンデンサC11、インダクタL1、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2、出力コンデンサC12を備える。入力コンデンサC11が、本発明の「第1入力コンデンサ」に対応し、出力コンデンサC12が、本発明の「第1出力コンデンサ」に対応する。
【0027】
入力コンデンサC11の一方端子は、直流電源91の正極に接続し、入力コンデンサC11の他方端子は、直流電源91の負極に接続する。インダクタL1の一方端子は、直流電源91の正極に接続し、インダクタL1の他方端子は、電力変換用スイッチング素子Q1のドレインと電力変換用スイッチング素子Q2のソースとのノードに接続する。
【0028】
電力変換用スイッチング素子Q1のソースは、直流電源91の負極およびスイッチング電源装置10の負極側出力端子に接続する。電力変換用スイッチング素子Q2のドレインは、スイッチング電源装置10の正極側出力端子に接続する。スイッチング電源装置10の正極側出力端子と負極側出力端子との間には、出力コンデンサC12が接続される。そして、正極側出力端子と負極側出力端子との間には、負荷99が接続される。
【0029】
電力変換用スイッチング素子Q1のゲートおよび電力変換用スイッチング素子Q2のゲートは、制御回路30のゲートドライバIC311およびゲートドライバIC321に接続する。より具体的には、電力変換用スイッチング素子Q1のゲートとゲートドライバIC311とは、直接電気接続され、電力変換用スイッチング素子Q2のゲートとゲートドライバIC321とは、直接電気接続される。
【0030】
制御回路30は、ゲートドライバIC311、絶縁コンバータ312、ゲートドライバIC321、および、絶縁コンバータ322を備える。ゲートドライバIC311および、ゲートドライバIC321が、本発明の「スイッチング駆動回路」に対応する。
【0031】
絶縁コンバータ312の入力端子は、コモンモードチョークコイル50に接続し、絶縁コンバータ312の出力端子は、ゲートドライバIC311に接続される。絶縁コンバータ322の入力端子は、コモンモードチョークコイル50に接続し、絶縁コンバータ322の出力端子は、ゲートドライバIC321に接続される。
【0032】
絶縁コンバータ312は、コンデンサC311、コンデンサC312、スイッチング素子Q31、絶縁トランスTR31、整流素子D31を備える。絶縁コンバータ312は、直流電源92の直流電圧を、ゲートドライバIC311の直流駆動電圧に変換し、ゲートドライバIC311に与える。コンデンサC311が、本発明の「第2入力コンデンサ」に対応する。
【0033】
絶縁コンバータ322は、コンデンサC321、コンデンサC322、スイッチング素子Q32、絶縁トランスTR32、整流素子D32を備える。絶縁コンバータ322は、コモンモードチョークコイル50とゲートドライバIC321との間に接続される。絶縁コンバータ322は、直流電源92の直流電圧を、ゲートドライバIC321の直流駆動電圧に変換し、ゲートドライバIC321に与える。コンデンサC321が、本発明の「第2入力コンデンサ」に対応する。
【0034】
Yコンデンサ40は、コンデンサC41とコンデンサC42とを備える。コンデンサC41とコンデンサC42とは、直列接続される。コンデンサC41とコンデンサC42との直列回路は、直流電源91の正極に接続する電力変換用の正極側配線ラインと、直流電源91の負極に接続する電力変換用の負極側配線ラインとの間に接続される。コンデンサC41とコンデンサC42とのノードは、アース電位GNDsに接続される。
【0035】
コモンモードチョークコイル50は、直流電源92と制御回路30との間に接続される。
【0036】
このような構成のスイッチング電源装置10は、概略的に次に示すように動作する。ゲートドライバIC311は、直流電源92からコモンモードチョークコイル50、および、絶縁コンバータ312を通じて供給された電力で駆動し、電力変換用スイッチング素子Q1用の駆動信号を生成する。ゲートドライバIC321は、直流電源92からコモンモードチョークコイル50、および、絶縁コンバータ322を通じて供給された電力で駆動し、電力変換用スイッチング素子Q2用の駆動信号を生成する。ゲートドライバIC311とゲートドライバIC321とは同期しており、ゲートドライバIC311が出力する駆動信号と、ゲートドライバIC321が出力する駆動信号とは、それぞれのオン期間が重ならず、それぞれのオン電圧が交互に出力されるように設定されている。
【0037】
電力変換回路20の電力変換用スイッチング素子Q1は、ゲートドライバIC311からの駆動信号でスイッチング制御され、電力変換用スイッチング素子Q2は、ゲートドライバIC321からの駆動信号でスイッチング制御される。これにより、電力変換回路20は、直流電源92の直流電圧を負荷99用の出力電圧に電力変換して、負荷99に供給する。
【0038】
このような構成では、電力変換用スイッチング素子Q1および電力変換用スイッチング素子Q2のスイッチング動作が、コモンモードノイズの主たる発生要因となる。
【0039】
しかしながら、スイッチング電源装置10は、上述の構成を備えることで、コモンモードノイズの発生を低減できる。
【0040】
図3は、本願発明の構成によるコモンモード電流の流れを示す概略的に示す図であり、図4は、比較構成によるコモンモード電流の流れを示す概略的に示す図である。図3図4では、太線の矢印がコモンモード電流の流れを示す。比較構成は、本願発明のYコンデンサ40およびコモンモードチョークコイル50を備えない構成である。なお、本願発明の構成を採用することで、図示したコモンモード電流は結果的には抑制されているが、説明を分かり易くするため、図3にコモンモード電流の流れを図示する。
【0041】
コモンモード電流は、ノイズ源である電力変換用スイッチング素子Q1、Q2で発生し、コモンモードノイズの周波数帯域において電気的に直接または間接的に接続するライン通じて流れる。したがって、コモンモード電流は、電力変換回路20のみでなく制御回路30にも流れる。
【0042】
図4に示すように、比較構成では、Yコンデンサ40を備えないことで、電力変換用の配線ラインに流れるコモンモード電流は、スイッチング電源装置10の電力変換回路20から直流電源91側に漏洩する。同様に、比較構成では、コモンモードチョークコイル50を備えないことによって、スイッチング電源装置10の制御回路30から直流電源92側に漏洩する。このように、比較構成では、コモンモード電流は、スイッチング電源装置10の外部に漏洩してしまう。
【0043】
一方、図3に示すように、本願構成では、制御回路30の入力側にコモンモードチョークコイル50が接続されているので、制御回路30から直流電源92側へのコモンモード電流は、抑制される。
【0044】
さらに、本願構成では、電力変換回路20の入力側にYコンデンサ40が接続され、Yコンデンサ40がアース電位GNDsに接続されていることで、コモンモード電流は、電力変換回路20、Yコンデンサ40、アース電位GNDsによって、ノイズ源である電力変換用スイッチング素子Q1、Q2に還流される。この際、コモンモード電流の位相はバラバラであるため相殺される。したがって、コモンモードノイズの発生は低減される。
【0045】
このように、本願構成を用いることで、スイッチング電源装置10は、電力変換回路20、制御回路30、Yコンデンサ40、および、コモンモードチョークコイル50によって、コモンモード電流に対する閉回路を実現し、ノイズを平衡化することができる。すなわち、スイッチング電源装置10は、電力変換回路20、制御回路30、Yコンデンサ40、および、コモンモードチョークコイル50によるノイズ平衡回路を備えることができる。これにより、電力変換回路20の電力変換用スイッチング素子Q1、Q2から発生するコモンモードノイズは、ノイズ平衡回路内に閉じ込められ、コモンモードノイズが直流電源91、直流電源92側に漏洩することは抑制される。さらに、閉じ込められたコモンモードノイズは、位相がバラバラであるため相殺される。
【0046】
なお、このようなノイズ平衡回路によってコモンモード電流が閉じ込められ相殺されることは、LISN(ラインインピーダンス安定化回路)を、ノイズ平衡回路のHi側の配線ラインとLow側の配線ラインに接続すること(例えば、図3参照)で確認できる。
【0047】
例えば、デルタ型Lisnでコモンモードノイズの電圧(コモンモードノイズ電圧)を測定する。図5図6は、デルタ型Lisnを用いてコモンモードノイズの測定を行う場合の回路例を示す図である。図5では、Lisnにはデルタ型Lisnが接続され、デルタ型Lisnにはスペクトラムアナライザが接続される。図6では、直流電源91とハーフブリッジコンデンサ41との間にデルタ型Lisnが接続され、デルタ型Lisnにはスペクトラムアナライザが接続される。これらの測定構成(測定方法)において測定したコモンモードノイズ電圧が略0または十分に小さければ、ノイズ平衡回路によってコモンモード電流が閉じ込められ相殺されたことを検出できる。
【0048】
また、Hi側のケーブルとLow側のケーブル、またはLisnとシャーシとを接続するケーブルに電流検出用のプローブを配置し、このプローブでコモンモード電流を測定する。図7は、Hi側のケーブルとLow側のケーブルに電流検出用のプローブPRcrを配置した場合の回路図である。図8は、Lisnとシャーシとを接続するケーブルに電流検出用のプローブPRcrを配置した場合の回路図である。図7図8の構成において、電流検出用のプローブPRcrには、スペクトラムアナライザが接続される。これらの測定構成(測定方法)においてコモンモード電流が略0または十分に小さければ、ノイズ平衡回路によってコモンモード電流が閉じ込められ相殺されたことを検出できる。
【0049】
したがって、スイッチング電源装置10は、コモンモードノイズの発生を低減でき、EMIノイズの抑制とパワーインテグリティ(電源品質の確保)を実現できる。
【0050】
すなわち、スイッチング電源装置10は、大電流が流れる電力変換回路への配線ラインにコモンモードチョークコイルを接続する必要はなく、かつ、ノイズ発生源においてノイズ発生を相殺し、コモンモードチョークコイルにおける発熱や電力損失を抑制しながら、コモンモードノイズ電流の発生を低減できる。特に、電気自動車などの様に移動することによって大地をアース電位として接地することが困難なスイッチング電源装置に対して効果的に、コモンモードチョークコイルにおける発熱や電力損失を抑制しながら、コモンモードノイズ電流の発生を低減できる。
【0051】
図9は、本願構成と比較構成でのノイズレベルを示すグラフである。図9に示すように、本願発明を採用することで、2MHzから20MHz帯域のノイズを抑制できる。特に、5MHz帯域のノイズをより効果的に抑制できる。
【0052】
さらに、スイッチング電源装置10は、コモンモードチョークコイル50を電力変換用の配線ラインに接続せず、低電力の制御用の配線ラインに接続している。これにより、コモンモードチョークコイル50の発熱を抑制できる。したがって、スイッチング電源装置10は、発熱や電力損失を抑制しながらコモンモードノイズの発生を低減できる。
【0053】
さらに、コモンモードチョークコイル50の耐圧を大きくする必要がなくなり、小型化できる。したがって、スイッチング電源装置10は、小型化を実現しながら、コモンモードノイズの発生を低減できる。
【0054】
特に、スイッチング電源装置10は、電動車両に搭載されるとき、より有効である。具体的には、電力変換回路20のスイッチング動作により発生したコモンモードノイズは、シャーシ(アース電位GNDsと同電位の部品)を伝導して、車両の他の電子回路との電磁干渉の問題を引き起こす可能性がある。例えば、コモンモードノイズが車両の他の電子回路の制御回路へ流入すると、この制御回路のスイッチング素子における制御動作での誤動作の問題に繋がる。また、コモンモードノイズが他の機器に到達すると、他の機器に誤動作の問題を生じさせる。シャーシからコモンモードノイズが放射すると車両外の電子機器の誤動作の問題を生じさせる。
【0055】
しかしながら、スイッチング電源装置10の構成を備えることで、スイッチング電源装置10から外部へのコモンモードノイズの漏洩が抑制され、上述のような問題の発生を抑制できる。特に、電動車両では、電力変換回路20に非常に大きな電流、電圧が入力される。したがって、本発明のスイッチング電源装置10の構成は、より有効である。
【0056】
また、スイッチング電源装置10では、直流電源92の負極はアース電位GNDsに接続され、直流電源91の正極および負極はアース電位GNDsに接続されていない。これにより、スイッチング電源装置10は、電圧、電流が大きい直流電源91を通じた外部への悪影響を抑制しながら、制御回路30の動作を安定させることができる。
【0057】
また、スイッチング電源装置10では、ゲートドライバIC311の負極と電力変換用スイッチング素子Q1のソースとが接続され、ゲートドライバIC321の負極と電力変換用スイッチング素子Q2のソースとが接続されている。これにより、スイッチング電源装置10は、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2に安定した駆動信号を供給できる。
【0058】
なお、制御回路30の絶縁コンバータ312、322は、非絶縁コンバータに置き換えることが可能である。しかしながら、絶縁コンバータ312、322を備えることで、ゲートドライバIC311、321を、直流電源92側からより確実に電気的に保護できる。
【0059】
また、制御回路30の絶縁コンバータ312にはスイッチング素子Q31が備えられており、絶縁コンバータ322にはスイッチング素子Q32が備えられている。しかしながら、スイッチング電源装置10では、これらのスイッチング素子Q31、Q32もノイズ平衡回路内に存在する。したがって、スイッチング電源装置10は、スイッチング素子Q31、Q32のコモンモードノイズの発生も低減できる。
【0060】
また、スイッチング電源装置10では、電力変換回路20の出力側に、さらにYコンデンサを備えてもよい。
【0061】
また、制御回路30の構成は一例であり、制御回路用の入力コンデンサ、ゲートドライバIC311、321を備え、電力変換回路20の電力変換用スイッチング素子Q1、Q2に上述のような駆動信号を出力できる構成であれば、他の構成であってもよい。同様に、電力変換回路20は、入力コンデンサC11、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2、出力コンデンサC12を備える構成であれば、他の構成であってもよい。
【0062】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るスイッチング電源装置について、図を参照して説明する。図10は、本発明の第2の実施形態に係るスイッチング電源装置の回路構成の一例を示す回路図である。
【0063】
図10に示すように、第2の実施形態に係るスイッチング電源装置10Aは、第1の実施形態に係るスイッチング電源装置10に対して、ヒートシンク60を備える点で異なる。スイッチング電源装置10Aの他の構成は、スイッチング電源装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0064】
スイッチング電源装置10は、ヒートシンク60を備える。ヒートシンク60は、熱伝導性の高い材料からなる。ヒートシンク60は、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2に近接または当接して配置される。言い換えれば、ヒートシンク60は、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2の熱が伝搬される位置に配置される。ヒートシンク60は、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2において発生する熱を放熱する。
【0065】
さらに、ヒートシンク60は、導電性を有する。すなわち、ヒートシンク60は、高い熱伝導性と導電性を有する。ヒートシンク60は、アース電位GNDsに接続される。
【0066】
この構成では、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2から放射するノイズは、ヒートシンク60を通じてアース電位GNDsに流れる。これにより、ノイズ平衡回路は、ヒートシンク60を含んで構成される。
【0067】
したがって、ノイズ平衡回路は、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2から放射するノイズも含めて、平衡化できる。この結果、スイッチング電源装置10は、外部へ漏洩するノイズをより効果的に抑制できる。特に、ヒートシンク60が、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2に重なるように配置されることで、スイッチング電源装置10は、外部へ漏洩するノイズをさらに効果的に抑制できる。
【0068】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るスイッチング電源装置について、図を参照して説明する。図11は、本発明の第3の実施形態に係るスイッチング電源装置の回路構成の一例を示す回路図である。
【0069】
図11に示すように、第3の実施形態に係るスイッチング電源装置10Bは、第2の実施形態に係るスイッチング電源装置10Aに対して、ヒートシンク60の接続態様において異なる。スイッチング電源装置10Bの他の構成は、スイッチング電源装置10Aと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0070】
スイッチング電源装置10Bでは、ヒートシンク60は、コモンモードチョークコイル50の負極側で、制御回路30側の配線ラインに接続される。
【0071】
このような構成によって、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2から放射するノイズは、ヒートシンク60および絶縁コンバータ312を通じてノイズ平衡回路に流れる。そして、ヒートシンク60および絶縁コンバータ312がコモンモードチョークコイル50の負極側(アース電位GNDsに接続する直流電源92の負極側)で、制御回路30側の配線ラインに接続されることで、ヒートシンク60および絶縁コンバータ312を通じたノイズが、外部に漏洩すること、および、制御回路30に与える影響を抑制できる。
【0072】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係るスイッチング電源装置について、図を参照して説明する。図12は、本発明の第4の実施形態に係るスイッチング電源装置の回路構成の一例を示す回路図である。
【0073】
図12に示すように、第4の実施形態に係るスイッチング電源装置10Cは、第2の実施形態に係るスイッチング電源装置10Aに対して、ヒートシンク60の接続態様において異なる。スイッチング電源装置10Cの他の構成は、スイッチング電源装置10Aと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0074】
スイッチング電源装置10Cでは、ヒートシンク60は、コモンモードチョークコイル50の正極側で、制御回路30側の配線ラインに接続される。
【0075】
このような構成によって、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2から放射するノイズは、ヒートシンク60および絶縁コンバータ312を通じてノイズ平衡回路に流れる。そして、ヒートシンク60がコモンモードチョークコイル50の正極側(アース電位GNDsに接続する直流電源92の正極側)で、絶縁コンバータ312がコモンモードチョークコイル50の負極側(アース電位GNDsに接続する直流電源92の負極側)で、制御回路30側の配線ラインに接続されることで、ヒートシンク60および絶縁コンバータ312を通じたノイズが、外部に漏洩すること、および、制御回路30に与える影響を抑制できる。
【0076】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係るスイッチング電源装置について、図を参照して説明する。図13は、本発明の第5の実施形態に係るスイッチング電源装置の回路構成の一例を示す回路図である。
【0077】
図13に示すように、第5の実施形態に係るスイッチング電源装置10Dは、第2の実施形態に係るスイッチング電源装置10Aに対して、ヒートシンク60の接続態様において異なる。スイッチング電源装置10Dの他の構成は、スイッチング電源装置10Aと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0078】
スイッチング電源装置10Dでは、ヒートシンク60は、Yコンデンサ40の負極側で、電力変換回路20側の配線ラインに接続される。
【0079】
このような構成によって、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2から放射するノイズは、絶縁コンバータ312を通じてノイズ平衡回路に流れる。そして、絶縁コンバータ312がコモンモードチョークコイル50の負極側(アース電位GNDsに接続する直流電源92の負極側)で、制御回路30側の配線ラインに接続されることで、絶縁コンバータ312を通じたノイズが、外部に漏洩すること、および、制御回路30に与える影響を抑制できる。
【0080】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態に係るスイッチング電源装置について、図を参照して説明する。図14は、本発明の第6の実施形態に係るスイッチング電源装置の回路構成の一例を示す回路図である。
【0081】
図14に示すように、第6の実施形態に係るスイッチング電源装置10Eは、第2の実施形態に係るスイッチング電源装置10Aに対して、ヒートシンク60の接続態様において異なる。スイッチング電源装置10Eの他の構成は、スイッチング電源装置10Aと同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0082】
スイッチング電源装置10Eでは、ヒートシンク60は、Yコンデンサ40の正極側で、電力変換回路20側の配線ラインに接続される。
【0083】
このような構成によって、電力変換用スイッチング素子Q1、Q2から放射するノイズは、絶縁コンバータ312を通じてノイズ平衡回路に流れる。そして、絶縁コンバータ312がコモンモードチョークコイル50の負極側(アース電位GNDsに接続する直流電源92の負極側)で、制御回路30側の配線ラインに接続されることで、絶縁コンバータ312を通じたノイズが、外部に漏洩すること、および、制御回路30に与える影響を抑制できる。
【0084】
[第7の実施形態]
本発明の第7の実施形態に係るスイッチング電源装置について、図を参照して説明する。図15は、本発明の第7の実施形態に係るスイッチング電源装置の概略構成を示す回路ブロック図である。
【0085】
図15に示すように、第7の実施形態に係るスイッチング電源装置10Fは、第1の実施形態にスイッチング電源装置10に対して、一つの直流電源91から直流電力を供給される点で異なる。スイッチング電源装置10Fの他の構成は、スイッチング電源装置10と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0086】
スイッチング電源装置10Fは、直流電源91に接続する。コモンモードチョークコイル50と直流電源91との間には、降圧回路39が接続される。降圧回路39は、例えば、降圧型DCDCコンバータである。
【0087】
このような構成によって、スイッチング電源装置10Fは、スイッチング電源装置10と同様に、発熱および電力損失を抑制しながら、コモンモードノイズの発生を低減できる。また、スイッチング電源装置10Fの構成では、電圧の異なる複数の直流電源を必要とせず、1つの直流電源で、発熱および電力損失を抑制しながら、コモンモードノイズの発生を低減できる。
【0088】
なお、上述の各実施形態の構成は、適宜組み合わせることが可能であり、それぞれの組合せに応じた作用効果を奏することができる。
【0089】
(1) 第1入力コンデンサ、電力変換用スイッチング素子、第1出力コンデンサを備え、第1直流電源から供給された電力を変換して負荷に出力する電力変換回路と、
第2入力コンデンサおよびスイッチング駆動回路を備え、第2直流電源から供給された電力を用いて、前記電力変換用スイッチング素子の駆動信号を生成する、前記電力変換回路に直接電気接続される制御回路と、
前記電力変換回路の前記第1直流電源側に接続され、アース電位に接続されるYコンデンサと、
前記制御回路の前記第2直流電源側に接続されるコモンモードチョークコイルと、
を備え、
前記電力変換回路、前記制御回路、前記Yコンデンサ、および、前記コモンモードチョークコイルによって構成される閉回路からなり、前記電力変換用スイッチング素子のスイッチング動作により複数の閉回路部分において発生するスイッチングノイズとなるコモンモード電流を閉じ込めて互いに相殺するノイズ平衡回路を形成する、スイッチング電源装置。
【0090】
(2) 前記第2直流電源の負極は前記アース電位に接続する、(1)のスイッチング電源装置。
【0091】
(3) 前記第1直流電源の正極および負極は、前記アース電位に対して電気的に絶縁されている、(1)または(2)に記載のスイッチング電源装置。
【0092】
(4) 前記第1直流電源の電圧は、前記第2直流電源の電圧よりも高い、(1)乃至(3)のいずれかのスイッチング電源装置。
【0093】
(5) 前記電力変換用スイッチング素子において発生する発熱を放熱するヒートシンクを備えた、(1)乃至(4)のいずれかのスイッチング電源装置。
【0094】
(6) 前記ヒートシンクは前記アース電位に接続された、(5)のスイッチング電源装置。
【0095】
(7) 前記ヒートシンクは、前記第2直流電源の負極に電気接続され、
前記コモンモードチョークコイルは、前記ヒートシンクと前記第2直流電源との接続点と前記第2直流電源の正極との間に接続される、(5)または(6)のスイッチング電源装置。
【0096】
(8) 前記ヒートシンクは、前記第2直流電源の正極に電気接続され、
前記コモンモードチョークコイルは、前記ヒートシンクと前記第2直流電源との接続点と前記第2直流電源の負極との間に接続される、(5)または(6)のスイッチング電源装置。
【0097】
(9) 前記ヒートシンクは、前記第1直流電源の負極に電気接続される、(5)または(6)のスイッチング電源装置。
【0098】
(10) 前記ヒートシンクは、前記第1直流電源の正極に電気接続される、(5)または(6)に記載のスイッチング電源装置。
【0099】
(11) 前記第1直流電源の負極と前記第2直流電源の負極とは、電気接続される、(1)乃至(10)のいずれかのスイッチング電源装置。
【0100】
(12) 前記制御回路は、絶縁コンバータ、および、複数の前記スイッチング駆動回路を備え、
前記複数のスイッチング駆動回路の負極は、複数の前記電力変換用スイッチング素子のソース電位にそれぞれ接続される、(1)乃至(11)のいずれかのスイッチング電源装置。
【0101】
(13) 前記ノイズ平衡回路、前記第1直流電源、および、前記第2直流電源は、車両に搭載されており、
前記アース電位は、前記車両のシャーシと同電位である、(1)乃至(12)のいずれかのスイッチング電源装置。
【符号の説明】
【0102】
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F:スイッチング電源装置
20:電力変換回路
30:制御回路
39:降圧回路
40:Yコンデンサ
50:コモンモードチョークコイル
60:ヒートシンク
91:直流電源
92:直流電源
99:負荷
311、321:ゲートドライバIC
312、322:絶縁コンバータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15