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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143714
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】サーバ、電気ポット、及び家電製品
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20230928BHJP
   A47J 27/21 20060101ALI20230928BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H04Q9/00 311K
A47J27/21 101T
H04M11/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010457
(22)【出願日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2022047220
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】野村 忠司
【テーマコード(参考)】
4B055
5K048
5K201
【Fターム(参考)】
4B055AA34
4B055BA40
4B055BA80
4B055CD73
4B055GB12
4B055GB43
4B055GD02
4B055GD06
5K048BA01
5K048BA08
5K048BA34
5K048EB12
5K048EB13
5K201BA02
5K201BA19
5K201CC09
5K201CC10
5K201ED08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】監視者が見守り対象者の生活状態を容易に確認可能となるサーバ及び当該状態を容易に確認させるための機能を発揮させることが可能な電気ポットを提供する。
【解決手段】見守りシステム(100)において、サーバ(2)は、電気ポット(1)から送信された、操作ボタンに対する操作を受付けた時間を示すデータ等に基づき、使用者の心身機能の状態を推定する推定部(221)を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの操作ボタンを有する電気ポットと通信可能に接続されるサーバであって、
前記電気ポットから送信された、
前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、
前記操作を受付けた回数、
少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、
前記電気ポットの、所定の使用状態の継続時間、
前記電気ポットが実行する所定動作の終了方法、
前記電気ポットの、使用者による使用状態、
前記電気ポットの空焚き状態、又は、
複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、
を示すデータに基づき、使用者の心身機能の状態を推定する推定部を備える、サーバ。
【請求項2】
前記推定部は、前記データに基づき、使用者がフレイルであると推定する、請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記推定部は、前記操作の開始から終了までの時間の長さ、前記操作を受付けた回数、前記所定の使用状態の継続時間、前記所定動作の終了方法、前記使用者による使用状態、又は、前記電気ポットの空焚き状態を示すデータに基づき、使用者の筋力が低下していると推定する、請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記推定部は、前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、又は、前記操作の開始から終了までの時間に基づき、使用者の反射速度が低下していると推定する、請求項2又は3に記載のサーバ。
【請求項5】
前記推定部は、前記操作を受付けた回数に基づき、使用者の活動量が低下していると推定する、請求項2又は3に記載のサーバ。
【請求項6】
前記推定部は、前記データに基づき、使用者が認知症に罹患していると推定する、請求項1から3の何れか1項に記載のサーバ。
【請求項7】
前記推定部は、前記データからの、使用者の誤操作、使用者の異常操作、又は、電気ポットの異常状態の検出に基づき、使用者が認知症に罹患していると推定する、請求項6に記載のサーバ。
【請求項8】
前記推定部の推定結果を、前記サーバと通信可能に接続される端末を介して報知する報知部を備える、請求項1から3の何れか1項に記載のサーバ。
【請求項9】
サーバと通信可能に接続される、少なくとも1つの操作ボタンを有する電気ポットであって、
前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、
前記操作を受付けた回数、
少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、
前記電気ポットの、所定の使用状態の継続時間、
前記電気ポットが実行する所定動作の終了方法、
前記電気ポットの、使用者による使用状態、
前記電気ポットの空焚き状態、又は、
複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、
を示すデータを、前記サーバに送信する送信部を備える、電気ポット。
【請求項10】
少なくとも1つの操作ボタンを有する家電製品と通信可能に接続されるサーバであって、
前記家電製品から送信された、
前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、
前記操作を受付けた回数、
少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、
前記家電製品の、所定の使用状態の継続時間、
前記家電製品が実行する所定動作の終了方法、
前記家電製品の、使用者による使用状態、又は、
複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、
を示すデータに基づき、使用者の心身機能の状態を推定する推定部を備える、サーバ。
【請求項11】
サーバと通信可能に接続される、少なくとも1つの操作ボタンを有する家電製品であって、
前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、
前記操作を受付けた回数、
少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、
前記家電製品の、所定の使用状態の継続時間、
前記家電製品が実行する所定動作の終了方法、
前記家電製品の、使用者による使用状態、又は、
複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、
を示すデータを、前記サーバに送信する送信部を備える、家電製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、互いに通信可能に接続されるサーバ、電気ポット、及び家電製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、家屋に設置された複数の機器の使用状況から生活状況を監視する見守りシステムが開示されている。この見守りシステムでは、主体的機器の動作による使用量の時間的な変化量に所定以上の変化がある場合、アラームを出力する。主体的機器は、自律的に使用量を変化させる機器であり、例えば、自動検針用の電気メータである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-269512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の見守りシステムは、複数の機器の使用状況から生活状況を監視するものであり、単一の機器(例:電気ポット)の使用状況から生活状況を監視するものではない。また、アラームを受けた監視者が使用者と実際にコンタクトをとるまで、使用者の健康状態等を確認することは困難である。
【0005】
本発明の一態様は、監視者が見守り対象者の生活状態を容易に確認可能なサーバを実現することを目的とする。また、本発明の一態様は、サーバに、当該状態を容易に確認させるための機能を発揮させることが可能な電気ポット等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るサーバは、少なくとも1つの操作ボタンを有する電気ポットと通信可能に接続されるサーバであって、前記電気ポットから送信された、前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、前記操作を受付けた回数、少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、前記電気ポットの、所定の使用状態の継続時間、前記電気ポットが実行する所定動作の終了方法、前記電気ポットの、使用者による使用状態、前記電気ポットの空焚き状態、又は、複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、を示すデータに基づき、使用者の心身機能の状態を推定する推定部を備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る電気ポットは、サーバと通信可能に接続される、少なくとも1つの操作ボタンを有する電気ポットであって、前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、前記操作を受付けた回数、少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、前記電気ポットの、所定の使用状態の継続時間、前記電気ポットが実行する所定動作の終了方法、前記電気ポットの、使用者による使用状態、前記電気ポットの空焚き状態、又は、複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、を示すデータを、前記サーバに送信する送信部を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係るサーバは、少なくとも1つの操作ボタンを有する家電製品と通信可能に接続されるサーバであって、前記家電製品から送信された、前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、前記操作を受付けた回数、少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、前記家電製品の、所定の使用状態の継続時間、前記家電製品が実行する所定動作の終了方法、前記家電製品の、使用者による使用状態、又は、複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、を示すデータに基づき、使用者の心身機能の状態を推定する推定部を備える。
【0009】
また、本発明の一態様に係る家電製品は、サーバと通信可能に接続される、少なくとも1つの操作ボタンを有する家電製品であって、前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、前記操作を受付けた回数、少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、前記家電製品の、所定の使用状態の継続時間、前記家電製品が実行する所定動作の終了方法、前記家電製品の、使用者による使用状態、又は、複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、を示すデータを、前記サーバに送信する送信部を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様に係るサーバによれば、見守り対象者の生活状態を、監視者に容易に確認させることが可能となる。また、本発明の一態様に係る電気ポット及び家電製品によれば、サーバに、当該状態を監視者に容易に確認させるための機能を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る見守りシステムの概要の一例を示すブロック図である。
図2】電気ポットにおける処理の一例を示すフローチャートである。
図3】サーバにおける処理の一例を示すフローチャートである。
図4】炊飯器の蓋の一例を示す図である。
図5】空気清浄器のパネルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<見守りシステムの概要>
図1は、見守りシステム100の概要の一例を示すブロック図である。見守りシステム100は、電気ポット1の使用状況によって、電気ポット1の使用者を監視者が見守ることを可能とするシステムである。使用者は、監視者が見守る対象者(見守り対象者)であり、例えば、加齢により筋力又は心身の活力が低下した虚弱状態(フレイルと称する)になる虞がある高齢者等である。
【0013】
図1に示すように、見守りシステム100は、例えば、電気ポット1、サーバ2及び携帯端末3を備える。
【0014】
電気ポット1は、収容された水を加熱して、加熱後の水(湯)を吐出口(不図示)から吐出する機器である。電気ポット1による湯の吐出を給湯と称する。電気ポット1は、見守り対象者により使用される。見守りシステム100は、電気ポット1を複数備えていてもよい。サーバ2は、インターネット4を介して、電気ポット1及び携帯端末3と通信可能に接続される。これにより、サーバ2は、例えば、電気ポット1からのデータ受信、及び、携帯端末3へのデータ送信を行うことができる。携帯端末3は、少なくとも、サーバ2からの情報を報知する機能(例:表示部、音出力部)を備えた電子機器である。携帯端末3は、監視者によって使用される端末の一例である。携帯端末3に代えて、据置型の電子機器が用いられてもよい。
【0015】
<電気ポットの構成>
図1に示すように、電気ポット1は、例えば、操作パネル11、温度センサ13、計時部14、第1制御部15、第1通信部16及び第1記憶部17を備える。
【0016】
操作パネル11は、使用者による操作を受付ける機能を有し、ロック解除ボタン111、給湯ボタン112、保温設定キー113及び再沸騰ボタン114を備える。これらのボタンは、操作ボタンの一例である。操作パネル11は、これらのうちの1つのボタン(例:給湯ボタン)を備えるものであってもよいし、これらのボタン以外のボタンを備えていてもよい。すなわち、操作パネル11は、少なくとも1つの操作ボタンを備えていればよい。
【0017】
ロック解除ボタン111は、給湯ボタン112のロック状態を解除し、給湯ボタン112に対する操作を受付可能とするボタンである。給湯ボタン112は、通常、ロック状態となっている。第1制御部15は、ロック解除ボタン111に対する操作を受付けたときから、又は、その後、給湯ボタン112に対する操作を一度受付けたのち、給湯ボタン112が操作されなくなったときから所定時間経過後(例:10秒後)、給湯ボタン112をロック状態に戻す。所定時間は、電気ポット1の使用実験等を経て、電気ポット1の使用の態様毎に、その態様に適すると考えられる時間が設定される。以降で説明する所定時間についても同様である。
【0018】
給湯ボタン112は、給湯を実行するボタンである。第1制御部15は、ロック解除状態において給湯ボタン112に対する操作を受付けると、給湯を実行する。
【0019】
保温設定キー113は、電気ポット1に収容された湯の保温温度の設定を変更可能とするボタンである。湯の保温温度は、複数段階に設定されている。第1制御部15は、保温設定キー113に対する操作を受付けるたびに保温温度を変更し、変更された保温温度に達するまで湯を加熱する。
【0020】
再沸騰ボタン114は、電気ポット1に収容された湯を再沸騰させるボタンである。第1制御部15は、再沸騰ボタン114に対する操作を受付けたときに、湯の再沸騰を開始する。但し、第1制御部15は、再沸騰ボタン114に対して所定時間(例:3秒間)継続して操作を受付けた場合(長押しされた場合)、電気ポット1の内部のクエン酸洗浄を実行する。第1制御部15は、クエン酸洗浄中に再沸騰ボタン114に対する操作を受付けた場合、又は、予め設定された洗浄時間が満了した場合に、クエン酸洗浄を終了する。
【0021】
なお、第1制御部15は、再沸騰ボタン114の操作時間として規定された時間(例:0.5秒)以下である場合にのみ、湯の再沸騰を実行する。すなわち、第1制御部15は、再沸騰ボタン114の操作時間がこの規定された時間を超えた場合、使用者がクエン酸洗浄を実行予定であるものと認識する。
【0022】
温度センサ13は、電気ポット1に収容された湯の温度を検出する。第1制御部15は、例えば、温度センサ13が検出した湯の温度の上昇速度が所定速度以上となった場合に、空焚き状態であることを検出する。所定速度は、電気ポット1の使用実験等を経て、空焚き状態を検出できる速度に設定される。
【0023】
計時部14は、例えば、現在時刻を計時する。あるいは、計時部14は、何れかの操作ボタンが操作されてからの経過時間、または、何れかの操作ボタンの操作が継続している時間等を、適宜計時する。これにより、第1制御部15は、操作ボタンに対する操作時間、操作の時間間隔、及び、所定の使用状態の継続時間等を計測できる。
【0024】
第1制御部15は、電気ポット1の各部を統括して制御する。第1制御部15は、例えば、データ生成部151及び送信制御部152(送信部)を備える。データ生成部151は、各種操作ボタンに対する操作又は電気ポット1の使用状態に応じてデータを生成する。生成するデータの一例については後述する。また、データ生成部151は、各種データに、電気ポット1を識別する識別情報と、各種データをデータ生成部151が生成したときの時刻とを付与してよい。各種データをデータ生成部151が生成したときの時刻とは、例えば、データ生成部151が各種データを生成するための情報を、データ生成部151が操作パネル11の操作ボタン等の電気ポット1の各部から取得したときの時刻であってもよい。データ生成部151は、各種データに付与する時刻を、計時部14から取得する。送信制御部152は、データ生成部151が生成したデータを、第1通信部16を介してサーバ2に送信する。なお、電気ポット1を識別する識別情報は、電気ポットが有するSIMカード等に記録された識別番号等の情報である。この場合、各種データへの、電気ポット1を識別する識別情報の付与は、データ生成部151に代えて、第1通信部16がSIMカードから識別番号を取得し、各種データに識別番号を付与することにより実現される。
【0025】
サーバ2は、後述するように、電気ポット1からのデータに基づき使用者の心身機能の状態を推定する機能を有しており、インターネット4を介して、携帯端末3を所有する監視者にその状態を容易に確認させることができることとなる。使用者の心身機能の状態は、使用者の生活状態の一例である。また、使用者の心身機能の状態を、使用者の状態と称する。
【0026】
第1通信部16は、インターネット4を介して、サーバ2の第2通信部21とデータの送受信を行う。第1記憶部17は、第1制御部15が実行するプログラム等、各種データを記憶している。
【0027】
(データ生成部が生成するデータの例)
データ生成部151は、例えば、以下の少なくとも何れかのデータを生成できる。
【0028】
(a)操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ(使用者が操作ボタンを押した時間の長さ、使用者が所定の操作に要した時間の長さ)を示すデータ。
【0029】
(b)操作ボタンに対する操作を受付けた回数(使用者が操作ボタンを押した回数)を示すデータ。
【0030】
(c)少なくとも1つの操作ボタンに対して連続した操作を受付けたとき(使用者が操作ボタンを連続して押したとき)の時間間隔を示すデータ。
【0031】
(d)電気ポット1における所定の使用状態の継続時間を示すデータ。
【0032】
(e)電気ポット1が実行する所定動作の終了方法を示すデータ。
【0033】
(f)電気ポット1の、使用者による使用状態を示すデータ。
【0034】
(g)電気ポット1の空焚き状態を示すデータ。
【0035】
(h)複数の操作ボタンに対する操作を受付けた順序(使用者が操作ボタンを押した順序)の適否を示すデータ。
【0036】
具体的には、データ生成部151は、上記(a)~(h)に示すデータとして、例えば、給湯情報、保温情報、操作状態情報、洗浄実行情報、洗浄終了情報、洗浄移行不可情報及び空焚き検出情報のうち、少なくとも何れかのデータを生成できる。
【0037】
給湯情報は、給湯に関する情報を示すデータである。第1制御部15は、例えば、給湯が終了したとき(例:給湯ボタン112をロック解除状態からロック状態に戻したとき)、給湯情報をサーバ2に送信する。給湯情報は、以下の少なくとも何れかのデータを含む。
・1回の給湯における操作開始から操作終了までの時間(1回の給湯に要した時間)を示すデータ(上記(a)の一例)。例えば、給湯ボタン112のロック解除状態の継続時間を示すデータ(上記(d)の一例)。当該時間は、1回の給湯において、給湯ボタン112が1度長押しされた場合の時間の長さも、給湯ボタン112が複数回に亘って押された場合の時間の長さも含む。すなわち、当該時間は、給湯(所定動作の一例)に対応する操作が完了するまでの時間の長さを指す。下記の給湯トータル時間についても同様である。・1回の給湯において、給湯ボタン112に対する操作を受付けたトータル時間(給湯トータル時間)を示すデータ(上記(a)の一例)。
・ロック解除ボタン111に対する操作を受付けてから、給湯ボタン112に対する操作を受付けるまでの時間(給湯操作の受付時間)を示すデータ(上記(c)の一例)。
・1回の給湯において、給湯ボタン112に対する操作を受付けたトータル回数(給湯トータル回数)を示すデータ(上記(b)の一例)。
【0038】
なお、操作ボタンが複数回に亘って押された場合、1回の所定動作に要した時間は、最初に操作ボタンに対する操作を受付けてから、最後に操作ボタンに対する操作の受付けが完了するまでの時間であってもよい。すなわち、当該時間は、複数回に亘って操作ボタンが押される場合に、操作ボタンから指が離れ、次に操作ボタンを押すまでの間の時間(操作を受付けていない時間)を含んでよい。一方、給湯トータル時間は、操作を受付けていない時間を含まず、操作を受付けている時間のみの合計であってもよい。
【0039】
保温情報は、保温に関する情報を示すデータである。第1制御部15は、例えば、保温温度の設定を確定したとき、保温情報をサーバ2に送信する。第1制御部15は、例えば、保温設定キー113に対する操作を受付けなくなってから所定時間経過後(例:2秒後)に、保温情報を送信する。保温情報は、例えば、以下の少なくとも何れかのデータを含む。
・1回の保温設定における操作開始から操作終了までの時間(1回の保温設定に要した時間)を示すデータ(上記(a)の一例)。当該時間は、1回の保温設定において、保温設定キー113が1回押された場合の時間の長さも、保温設定キー113が複数回に亘って押された場合の時間の長さも含む。すなわち、当該時間は、保温設定(所定動作の一例)に対応する操作が完了するまでの時間の長さを指す。
・1回の保温設定において、保温設定キー113に対する操作を受付けたトータル回数(保温トータル回数)を示すデータ(上記(b)の一例)。
・保温設定キー113に対する複数回の操作を受付けたときの時間間隔(保温操作に基づく時間間隔)を示すデータ(上記(c)の一例)。
【0040】
操作状態情報は、給湯ボタン112の操作状態を示す情報である。第1制御部15は、例えば、給湯ボタン112に対する操作を受付けたとき、又は、給湯ボタン112をロック解除状態からロック状態に移行したとき、操作状態情報をサーバ2に送信する。操作状態情報は、以下の少なくとも何れかのデータを含む。
・ロック解除ボタン111に対する操作を受付けずに、給湯ボタン112に対する操作を受付けたこと(ロック状態での給湯操作)を示すデータ(上記(h)の一例)。すなわち、ロック状態において給湯ボタン112に対する操作を受付けたという使用状態を示すデータ(上記(f)の一例)。
・ロック解除ボタン111に対する操作を受付けた後に、給湯ボタン112に対する操作を受付けないこと(ロック解除後の非給湯操作)を示すデータ(上記(h)の一例)。すなわち、ロック解除状態において給湯ボタン112に対する操作を受付けなかったという使用状態を示すデータ(上記(f)の一例)。
【0041】
なお、データ生成部151は、予め設定された操作順序とは異なる順序で、複数の操作ボタンに対する操作を受付けた場合、当該操作を受付けたことを示すデータ(順序の異常を示すデータ)(上記(h)の一例)を生成してもよい。
【0042】
洗浄実行情報は、クエン酸洗浄を開始することを示す情報である。第1制御部15は、例えば、クエン酸洗浄を開始したときに、洗浄実行情報をサーバ2に送信する。洗浄実行情報は、クエン酸洗浄を開始したときの、再沸騰ボタン114に対する操作時間(洗浄開始のための操作時間)を示すデータ(上記(a)の一例)を含む。当該時間は、クエン酸洗浄の開始動作(所定動作の一例)に対応する操作が完了するまでの時間の長さを指す。
【0043】
洗浄終了情報は、クエン酸洗浄が終了(完了)したことを示す情報である。第1制御部15は、例えば、クエン酸洗浄を終了したときに、洗浄終了情報をサーバ2に送信する。洗浄終了情報は、以下の少なくとも何れかの情報を含む。
・1回あたりのクエン酸洗浄の実行時間を示すデータ(上記(d)の一例)。
・クエン酸洗浄の終了方法を示すデータ(上記(e)の一例)。当該データは、例えば、クエン酸洗浄実行中に再沸騰ボタン114に対する操作を受付けたことによる終了、又は、洗浄時間満了による終了を示すデータを含む。
【0044】
洗浄移行不可情報は、再沸騰ボタン114に対してクエン酸洗浄を実行可能な継続操作(例:3秒間の長押し)が検出されず、クエン酸洗浄モードへ移行させることができなかったという使用状態を示す情報である(上記(f)の一例)。洗浄移行不可情報は、例えば、再沸騰ボタン114に対する操作時間を示すデータ(上記(a)の一例)を含む。第1制御部15は、例えば、再沸騰ボタン114に対する操作が終了したときに、洗浄移行不可情報をサーバ2に送信する。
【0045】
空焚き検出情報は、第1制御部15が空焚き状態を検出したことを示すデータ(上記(g)の一例)である。第1制御部15は、空焚き状態を検出したときに、空焚き検出情報をサーバ2に送信する。
【0046】
操作パネル11は、操作ボタンとして、さらに、電気ポット1の使用者が外出をする際に操作されるおでかけキーを有していてもよい。この場合、データ生成部151は、さらに、おでかけキーが操作された時刻の情報を含む、おでかけ情報を生成してもよい。第1制御部15は、おでかけキーが操作された場合に、おでかけ情報をサーバ2に送信してもよい。
【0047】
電気ポット1は、上述したデータをサーバ2に送信することにより、サーバ2に使用者の状態を推定させることができる。そのため、使用者の見守り機能をより向上させた電気ポット1を提供できる。
【0048】
<サーバの構成>
サーバ2は、電気ポット1から受信したデータを管理する。サーバ2は、複数の電気ポット1からデータを受信した場合、電気ポット1毎にデータを管理する。図1に示すように、サーバ2は、第2通信部21、第2制御部22及び第2記憶部23を備える。
【0049】
第2通信部21は、インターネット4を介して、電気ポット1の第1通信部16及び携帯端末3とデータの送受信を行う。
【0050】
第2制御部22は、サーバ2の各部を統括して制御する。第2制御部22は、例えば、推定部221、データ管理部222及び報知部223を備える。
【0051】
推定部221は、電気ポット1から受信したデータに基づき、使用者の状態を推定する。サーバ2は、電気ポット1からのデータのみを用いて使用者の状態を推定することにより、当該状態を、監視者に容易に確認させることを可能とする。
【0052】
推定部221は、使用者の状態として、使用者がフレイルであるか、又は、認知症に罹患していると推定してよい。監視者は、推定部221による推定結果から、使用者がフレイルであるか、又は認知症に罹患している可能性を確認できる。フレイル及び認知症の推定処理の一例については、後述する。
【0053】
データ管理部222は、電気ポット1から受信したデータを、電気ポット1の識別情報と対応付けて、第2記憶部23において管理する。これにより、推定部221は、使用者による電気ポット1の使用履歴(例えば、過去のデータ、または、人間の正常値等)を用いて、現在の使用者の状態を推定できる。また、データ管理部222は、複数の電気ポット1から受信したデータを管理することにより、監視者が見守る使用者の電気ポット1から受信したデータと共に、当該電気ポット1以外の他の電気ポットから受信したデータも管理できる。この場合、サーバ2は、他の電気ポットの使用者の使用履歴を用いて、監視者が見守る使用者の現在の状態を推定できる。
【0054】
報知部223は、推定部221の推定結果を、携帯端末3を介して報知する。これにより、携帯端末3の所有者である監視者が、使用者の状態を確認できる。報知部223は、例えば、推定結果を含むメッセージ等を携帯端末3に送信することにより、携帯端末3を介して推定結果を報知してよい。
【0055】
また、報知部223は、推定結果を逐次、携帯端末3に送信しなくてもよい。この場合、データ管理部222は、推定部221が推定結果を出力するたびに、第2記憶部23に記憶してもよい。報知部223は、携帯端末3から推定結果の送信要求を受信したときに、この応答として、推定結果を携帯端末3に送信してよい。これにより、報知部223は、例えば監視者が使用者を見守ることが可能なウェブブラウザを介して、推定結果を報知できる。
【0056】
また、報知部223は、データ管理部222が管理しているデータをグラフ化したデータを、携帯端末3に送信してもよい。例えば、第2制御部22は、所定期間についてのデータ(例:給湯情報)をグラフ化してよい。所定期間は、例えば過去1週間であってもよい。所定期間は、これに限らず、過去1か月、過去1年間等、適宜設定可能であってもよい。
【0057】
第2記憶部23は、第2制御部22が実行するプログラム、及び、電気ポット1から受信したデータ(蓄積したデータ)等、各種データを記憶している。
【0058】
(フレイルの推定)
推定部221は、例えば、受信したデータに基づき、使用者の筋力、使用者の反射速度、及び、使用者の活動量の少なくとも何れかが低下していると推定してよい。これにより、推定部221は、使用者がフレイルであると推定するときに、その具体的な態様を推定できる。
【0059】
例えば、推定部221は、1回の給湯に要した時間(ロック解除状態の継続時間)、給湯トータル時間又は給湯トータル回数が閾値以上である場合、使用者の筋力が低下していると推定してよい。筋力の低下より、給湯ボタン112を押す回数が増加していると予想されるためである。
【0060】
推定部221は、1回の保温設定に要した時間又は保温トータル回数が閾値以上である場合、使用者の筋力が低下していると推定してよい。筋力の低下により、手が震え、所望の保温温度に設定するまでに保温設定キー113を押す回数が増加していることが予想されるためである。
【0061】
推定部221は、クエン酸洗浄の終了方法を示すデータの受信回数(クエン酸洗浄の強制終了の回数)が閾値以上である場合、使用者の筋力が低下していると推定してよい。受信回数は、所定期間における受信回数を指す。使用者がクエン酸洗浄を実行させるために再沸騰ボタン114を長押しできたものの、その後、手の震えにより、意図せず再沸騰ボタン114を押してしまい、クエン酸洗浄を強制終了させてしまう可能性がある。筋力が低下している場合、このような状況が複数回繰り返されることが予想される。
【0062】
推定部221は、洗浄移行不可情報の受信回数(クエン酸洗浄モードに移行できなかった回数)が閾値以上である場合、使用者の筋力が低下していると推定してよい。筋力の低下により、クエン酸洗浄を実行させたい使用者が再沸騰ボタン114を長押しできないことが予想されるためである。
【0063】
推定部221は、空焚き検出情報の受信回数(空焚き状態の検出回数)が閾値以上である場合、使用者の筋力が低下していると推定してよい。筋力の低下により、容器に汲んだ水が重くて電気ポット1まで運べず、空焚きを繰り返していることが予想されるためである。
【0064】
また例えば、推定部221は、給湯操作の受付時間、1回の保温設定に要した時間又は保温操作に基づく時間間隔が閾値以上である場合、使用者の反射速度が低下していると推定してよい。反射速度の低下により、操作時間が長くなっていることが予測されるためである。
【0065】
また例えば、推定部221は、所定期間における給湯トータル回数が閾値以下である場合、使用者の活動量が低下していると推定してよい。活動量の低下により、給湯回数が低下していることが予想されるためである。
【0066】
(認知症の推定)
推定部221は、電気ポット1から受信したデータからの、使用者の誤操作、使用者の異常操作、又は、電気ポット1の異常状態の検出に基づき、使用者が認知症に罹患していると推定してよい。この場合、サーバ2は、認知症の推定を行うことができる。
【0067】
例えば、推定部221は、1回の給湯に要した時間(ロック解除状態の継続時間)、給湯トータル時間又は給湯トータル回数が閾値以上である場合、異常操作を検出したものとして、認知症に罹患していると推定してよい。使用者が給湯という操作を理解できずに、複数回操作を繰り返していることが予想されるためである。
【0068】
推定部221は、給湯操作の受付時間、又は、ロック解除後の非給湯操作を示すデータの受信回数(ロック解除後に給湯操作がなされなかった回数)が閾値以上である場合、異常操作を検出したものとして、認知症に罹患していると推定してよい。使用者が給湯という操作を理解できずに、ロック解除から給湯ボタン112を操作するまでの時間が長くなっている、又は、ロック解除後に給湯ボタン112を操作しないことが予想されるためである。
【0069】
推定部221は、1回の保温設定に要した時間又は保温トータル回数が閾値以上である場合、異常操作を検出したものとして、認知症に罹患していると推定してよい。使用者が保温温度設定という操作を理解できずに、複数回操作を繰り返していることが予想されるためである。
【0070】
推定部221は、ロック状態での給湯操作を示すデータの受信回数(ロック解除せずに給湯操作がなされた回数)が閾値以上である場合、誤操作を検出したものとして、認知症に罹患していると推定してよい。使用者がロック解除後に給湯ボタン112を押すことを理解できていないことが予想されるためである。
【0071】
推定部221は、順序の異常を示すデータの受信回数(予め設定された操作順序とは異なる順序で操作がなされた回数)が閾値以上である場合、誤操作を検出したものとして、認知症に罹患していると推定してよい。使用者が適切な順序を理解できていないと予想されるためである。
【0072】
推定部221は、洗浄開始のための操作時間が閾値以上である場合、異常操作を検出したものとして、認知症に罹患していると推定してよい。使用者がクエン酸洗浄を実行できた後に再沸騰ボタン114から指を離すことを理解できていないことが予想されるためである。
【0073】
推定部221は、所定期間におけるクエン酸洗浄の実行時間の総計が閾値以上である場合、異常操作を検出したものとして、認知症に罹患していると推定してよい。使用者がクエン酸洗浄を行ったことを忘却し、複数回に亘りクエン酸洗浄を実行させていることが予想されるためである。
【0074】
推定部221は、クエン酸洗浄の終了方法を示すデータの受信回数(クエン酸洗浄の強制終了の回数)が閾値以上である場合、異常操作を検出したものとして、認知症に罹患していると推定してよい。使用者がクエン酸洗浄を複数回実行させるという意図もなく、単に、クエン酸洗浄を実行しては強制終了するという操作を複数回繰り返していることが予想されるためである。
【0075】
推定部221は、洗浄移行不可情報の受信回数(クエン酸洗浄モードに移行できなかった回数)が閾値以上である場合、異常操作を検出したものとして、認知症に罹患していると推定してよい。使用者が、クエン酸洗浄を実行する場合に、再沸騰ボタン114を所定時間(例:3秒間)以上長押しする必要があることを忘却してしまったことが予想されるためである。
【0076】
推定部221は、空焚き検出情報の受信回数(空焚き状態の検出回数)が閾値以上である場合、電気ポット1の異常状態を検出したものとして、認知症に罹患していると推定してよい。使用者が電気ポット1に水を注入することを理解できていないことが予想されるためである。
【0077】
(閾値及び所定期間の設定)
上述した閾値は、推定する状態毎、及び、推定に用いるデータ毎に設定されてよい。閾値は、同じデータを用いる場合であっても、フレイルの推定か認知症の推定かによって異なっていてもよい。
【0078】
なお、本実施形態において、推定部221が、電気ポット1から受信したデータに基づき、使用者の状態がフレイルであるか否か、または認知症であるか否かを推定する構成について説明したが、これに限られない。例えば、推定部221は、電気ポット1から受信したデータに基づき、使用者が体調不良であるか否かを推定してもよい。推定部221は、例えば、使用者が体調不良である場合に、反射速度または思考力等の低下が生じることが予想される点から、使用者が体調不良であるか否かを推定してもよい。
【0079】
上述したように、データ管理部222は、電気ポット1から受信したデータを、使用者による電気ポット1の使用履歴として管理している。この使用履歴に基づく値を閾値として用いてよい。例えば、使用履歴に含まれる各データが示す値の平均値又は中央値を、閾値として用いてよい。例えば、使用履歴に含まれる1回の給湯に要した時間の平均値又は中央値を、閾値として用いてよい。この場合、推定部221は、受信したデータを、使用者自身の過去のデータと比較して、使用者の状態を推定する。そのため、推定の精度を高めることが可能である。
【0080】
上記使用履歴に基づく値を閾値として用いる場合、例えば、第2制御部22は、過去1週間以内に受信したデータを用いて、上述した平均値等を算出してよい。但し、閾値を算出するために使用する過去のデータの受信期間は、過去1週間に限らず、過去1か月、過去1年間、電気ポット1の使用からの全期間等、適宜設定可能である。
【0081】
また、上記受信期間は、推定に用いるデータを受信した時期と同一の過去の時期(同一の季節)であってもよい。例えば、推定に用いるデータの受信日が2月1日であれば、過去のデータの受信時期は、1年前の2月に受信したデータであってもよいし、1年前の1月~3月に受信したデータであってもよい。当該受信時期は複数年に亘っていてもよい。
【0082】
また、上述したように、データ管理部222は、状態の推定対象である使用者が使用する電気ポット1からのデータだけでなく、他の電気ポットからのデータも管理可能である。この場合、少なくとも1つの他の電気ポットから受信した過去のデータに基づく値を閾値として用いてもよい。例えば、少なくとも1つの他の電気ポットから受信した過去のデータが示す値の平均値又は中央値を、閾値として用いてもよい。例えば、他の電気ポットの使用履歴に含まれる1回の給湯に要した時間の平均値又は中央値を、閾値として用いてよい。
【0083】
この場合、電気ポット1が初めて使用されるとき、又は、使用から間もない段階等、電気ポット1から受信したデータが少ない場合であっても、第2制御部22は、他の電気ポットの使用履歴を用いて閾値を設定できる。
【0084】
また、第1制御部15は、電気ポット1及び他の電気ポットの使用者の年齢又は性別を、生成したデータと共に送信してもよい。この場合、データ管理部222は、各データについて、年代別又は男女別に管理してもよい。第2制御部22は、他の電気ポットから受信したデータから、電気ポット1の使用者の年代と同一の年代のデータを抽出し、抽出したデータが示す値の平均値等を閾値として設定してもよい。また、第2制御部22は、他の電気ポットから受信したデータから、電気ポット1の使用者の性別と同一の性別のデータを抽出し、抽出したデータが示す値の平均値等を閾値として設定してもよい。これにより、他の電気ポットの使用履歴を用いる場合において、推定精度を高めることができる。
【0085】
なお、閾値は、データを取得するたびに可変する値ではなく、固定値(絶対値)であってもよい。この場合、閾値は、例えば監視者によって、複数の固定値の中から選択されたものであってもよい。
【0086】
上述した所定期間についても、推定する対象毎、及び、推定に用いるデータ毎に設定されてよい。所定期間における受信回数等の情報を用いて推定を行う場合、閾値は、当該所定期間と同一の長さを有する期間に含まれる過去のデータが示す値の平均値等であってもよい。所定期間は、データ受信時から遡った過去の一定期間であってもよいし、データ受信時を含む、予め設定された期間(例:データの受信日)であってもよい。
【0087】
<電気ポット及びサーバにおける処理>
図2の符号1001及び1002は、電気ポット1における処理の一例を示すフローチャートである。
【0088】
図2の符号1001に示すように、第1制御部15は、操作ボタンの何れかに対して操作が行われたかを監視している(S1)。第1制御部15は、当該操作があるまで監視を続ける(S1でNOの場合)。第1制御部15が当該操作を検出した場合(S1でYES)、データ生成部151は、当該操作に基づくデータを生成する(S2)。生成するデータの一例は上述した通りである。送信制御部152は、データ生成部151がデータを生成すると、当該データをサーバ2に送信する(S3)。
【0089】
また、図2の符号1002に示すように、第1制御部15は、温度センサ13が検出した湯の温度に基づき、電気ポット1が空焚き状態となっていないかを監視している(S11)。第1制御部15は、空焚き状態を検出するまで監視を続ける(S11でNOの場合)。第1制御部15が空焚き状態であることを検出した場合(S11でYES)、データ生成部151は、空焚き状態であることを示すデータ(上述の空焚き検出情報)を生成する(S12)。送信制御部152は、データ生成部151が空焚き検出情報を生成すると、当該情報をサーバ2に送信する(S13)。
【0090】
図3は、サーバ2における処理の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、推定部221は、電気ポット1が生成したデータを電気ポット1から受信すると(S21)、当該データに基づき、使用者の状態を推定する(S22)。推定部221は、上述したように、使用者がフレイルであるか、又は認知症に罹患しているかを推定する。報知部223は、推定部221の推定結果を携帯端末3に送信する(S23)。これにより、携帯端末3は推定結果を報知する。なお、上述したように、報知部223は、推定結果を逐次、携帯端末3に送信しなくてもよく、携帯端末3から推定結果の送信要求を受信したときに、推定結果を携帯端末3に送信してもよい。
【0091】
〔ソフトウェアによる実現例〕
電気ポット1及びサーバ2(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に第1制御部15及び第2制御部22に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0092】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0093】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1又は複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線又は無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0094】
また、上記各制御ブロックの機能の一部又は全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0095】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータ又はクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0096】
<適用例>
本開示のサーバは、電気ポットに限定されず、その他の家電製品を対象として、見守り対象者の生活状態を、監視者に容易に確認させることができる。家電製品は、常時電源が入っている製品であればより好適である。以下、本開示のサーバが、家電製品の一つである、炊飯器及び空気清浄器を対象として用いられる例を、図4及び図5を参照して説明する。なお、図1等を参照して説明した内容については、その説明を省略する。
【0097】
<炊飯器>
図4は、炊飯器の蓋の一例を示す図である。蓋40は、表示部41及び操作部42を有する。表示部41は、一例として、お米選択(白米、無洗米、玄米など)、メニュー選択(しゃっきり、ふつう、もちもち、など)、保温切替(最適保温、高め保温、保温なし、など)、現在時刻、及び予約時刻などを表示する。表示部41は、使用者による操作部42へのボタン操作を介して、お米の種類、炊き上がり状態、保温状態、予約時刻など、ユーザにより選択された結果を表示する。
【0098】
操作部42は、一例として、「とりけし」、「炊飯」、「予約」、「お米選択」、「メニュー選択」、及び/又は、「保温」といったボタンを含んでよい。これらは一例であって、操作部42は、他の種類のボタンを含んでもよい。
【0099】
以下、使用者による操作部42の操作例(「(1)スクロール操作」、「(2)長押し操作」、「(3)生活データ」)と共に、サーバ2が、炊飯器から送信されたデータに基づき、使用者の心身機能の状態を推定する構成を説明する。
【0100】
(1)スクロール操作
最初に、使用者が炊飯器に対してスクロール操作するケースについて説明する。スクロール選択は、一例として、使用者が、お米選択、メニュー選択、及び時計合わせする場合などに使用される。一例として、表示部41に「白米」、「無洗米」、「玄米」が表示されている場合、「お米選択」のボタンを押す回数に応じて、表示部41に表示された「白米」、「無洗米」、「玄米」の文字が順次点滅する。使用者は、選択したいお米の種類の文字が点滅すると、ボタンを押す操作を終了し、選択先を決定する。このとき、「白米」から「玄米」に辿り着くためには、「お米選択」のボタンを2回押す必要がある。
【0101】
以上を踏まえて、サーバ2の推定部221は、次のように使用者の心身機能の状態を推定する。
【0102】
前述したように、「白米」から「玄米」に辿り着くためには、使用者は「お米選択」のボタンを2回押す必要がある。それにも拘わらず、「白米」から「玄米」に辿り着くために使用者が「お米選択」のボタンを6回押した場合には、推定部221は、使用者の誤操作、又は、使用者の異常操作などを検出したものとして、使用者が認知症に罹患していると推定してよい。この場合、サーバ2は、認知症の推定を行うことができる。
【0103】
このことは「メニュー選択」及び「時計合わせ」のスクロール選択においても同じである。ステータスAからステータスBに移行するためには、スクロールすべき回数(最短回数)が予め決まっている。その最短回数と実際に使用者が操作した回数の差を算出し、その差が所定の閾値よりも大きい場合に、推定部221は、使用者が認知症であると推定できる。推定部221は、手が震えてボタンを押す回数が増える可能性を考慮して、上記差が所定の閾値より大きい場合に、使用者がフレイルであると推定してもよい。
【0104】
推定部221は、スクロールすべき回数(最短回数)と実際に使用者が操作した回数の差を、使用者の過去のデータと比較して、使用者が認知症またはフレイルであると推定してもよい。この場合、推定部221は、所定の閾値として、過去の一定期間におけるボタンの操作回数の平均値等を用いてもよい。過去データは、別の使用者の過去データであってもよい。これに限らず、所定の閾値は、固定値(絶対値)であってもよい。
【0105】
推定部221は、スクロールすべき回数(最短回数)と使用者の過去のデータとを比較して、その差が所定の閾値よりも大きい場合に、使用者が認知症またはフレイルであると推定してもよい。推定部221は、スクロールすべき回数(最短回数)と別の使用者のデータとを比較して、その差が所定の閾値よりも大きい場合に、使用者が認知症またはフレイルであると推定してもよい。
【0106】
(2)長押し操作
次に、使用者が炊飯器に対して長押し操作するケースについて説明する。長押し操作は、一例として、使用者が、保温、時計合わせ、及びクリーニングする場合などに使用される。一例として、使用者が保温に関する操作を行う場合、使用者は「保温」のボタンを長押し(例えば、2秒)すると、選択される保温状態を、「保温状態A」、「保温状態B」、「保温状態C」へと順次切り替えることができる。
【0107】
以上を踏まえて、サーバ2の推定部221は、次のように使用者の心身機能の状態を推定する。
【0108】
前述したように、「保温状態A」から「保温状態B」に切り替えるために、使用者は「保温」ボタンを2秒以上押す必要がある。それにも拘わらず、使用者が5回目の試行でようやく2秒以上の長押し操作を完了することができた場合には、推定部221は、使用者の筋力、又は使用者の活動量が低下しているとの推定に基づき、使用者がフレイルであると推定できる。この場合、サーバ2は、フレイルの推定を行うことができる。
【0109】
このことは、「時計合わせ」及び「クリーニング」の長押し操作においても同じである。ステータスAからステータスBに移行するためには、長押しすべき時間が予め決まっている。使用者が所定の時間長押しするために必要とした試行回数が所定の閾値よりも大きい場合に、推定部221は、使用者がフレイルであると推定できる。長押しすべき時間が決まっていることを理解できていない可能性があることを考慮して、推定部221は、上記試行回数が所定の閾値よりも大きい場合に、使用者が認知症であると推定してもよい。
【0110】
推定部221は、上記試行回数を、使用者の過去のデータと比較して、使用者が認知症またはフレイルであると推定してもよい。この場合、推定部221は、所定の閾値として、過去の一定期間におけるボタンの操作回数の平均値等を用いてもよい。過去データは、別の使用者の過去データであってもよい。これに限らず、所定の閾値は、固定値(絶対値)であってもよい。
【0111】
推定部221は、使用者の現在と過去のデータ(現在の試行回数と過去の試行回数)を比較して、その差が所定の閾値よりも大きい場合に、使用者がフレイルまたは認知症であると推定してもよい。推定部221は、使用者の試行回数と別の使用者のデータを比較して、その差が所定の閾値よりも大きい場合に、使用者がフレイルまたは認知症であると推定してもよい。
【0112】
(3)生活データ
続いて、使用者の生活データに関するケースについて説明する。サーバ2は、使用者による炊飯器の使用状況に基づいて、使用者の生活データを取得できる。生活データは、一例として、炊飯実行、選択したコース、選択した米、予約実行の有無、及び、保温時間などに関する。具体的に、サーバ2は、「炊飯回数」、「選択された米の種類」、「選択されたコース」、「保温時間」、又は「予約時刻」といった使用者の生活データを取得できる。
【0113】
そこで、一例として、1日の炊飯回数が所定の閾値よりも多い、所定期間内において選択した米及び/又は選択したコースが所定の閾値よりも多い、保温時間が所定の閾値よりも長い、予約時刻が午後10時以降、等の場合、推定部221は、使用者が認知症に罹患していると推定してよい。
【0114】
推定部221は、1日の炊飯回数、又は、所定期間内における米及び/又はコースの選択回数を、使用者の過去のデータと比較して、使用者が認知症であると推定してもよい。過去データは、別の使用者の過去データであってもよい。これに限らず、所定の閾値は、固定値(絶対値)であってもよい。推定部221は、手が震えてボタンを押す回数が増える可能性を考慮して、上記の場合に、使用者がフレイルであると推定してもよい。
【0115】
<空気清浄器>
図5は、空気清浄器のパネルの一例を示す図である。パネル50は、例えば、Airsign51、電源ボタン52、コース選択ボタン53、及び自動オフボタン54を有する。
【0116】
Airsign51は、一例として、「ホコリ」、「ニオイ」に対応する2つのランプを有する。Airsign51では、周囲環境においてホコリ及び/又はニオイが検知された場合には、ホコリ及び/又はニオイに対応するランプが点灯する。一例として、該ランプは、「ホコリ」及び「ニオイ」の検知結果が良好であれば緑色に、良好でなければ赤色に、それぞれ点灯する。
【0117】
電源ボタン52は、使用者に押されることにより、空気清浄器の電源のオン/オフを制御する。
【0118】
コース選択ボタン53は、使用者に押されることにより、一例として、「標準」、「弱」、「静音」、「おまかせ」、及び「花粉」のうち、使用者が所望するコースを選択させる。図5では、コース選択ボタン53の左側に5つのランプが設けられている。図示していないが、それぞれのランプの下には、左上から順番に、「標準」、「弱」、「静音」、「おまかせ」、及び「花粉」の文字が印字されていてよい。使用者により選択されたコースに対応するランプが点灯することにより、使用者は、自身が選択したコースを確認できる。
【0119】
自動オフボタン54は、使用者に押されることにより、空気清浄器が所定の時間継続運転した後に(例えば36時間後)、空気清浄器の電源を自動的にオフさせる。
【0120】
以下、使用者によるパネル50の操作例(「(1)スクロール操作」、「(2)長押し操作」、「(3)生活データ」)と共に、サーバ2が、空気清浄器から送信されたデータに基づき、使用者の心身機能の状態を推定する構成を説明する。
【0121】
(1)スクロール操作
最初に、使用者が空気清浄器に対してスクロール操作するケースについて説明する。スクロール選択は、一例として、使用者が、「標準」、「弱」、「静音」、「おまかせ」、及び「花粉」のうち、所望のコースを選択する場合に使用される。一例として、コース選択ボタン53の左側の5つのランプのうち、右上の「静音」のランプが点灯しているとする。使用者は、「花粉」のコースを選択したい場合には、コース選択ボタン53を2回押す必要がある。
【0122】
以上を踏まえて、サーバ2の推定部221は、次のように使用者の心身機能の状態を推定する。
【0123】
前述したように、「静音」から「花粉」に辿り着くためには、使用者はコース選択ボタン53を2回押す必要がある。それにも拘わらず、「静音」から「花粉」に辿り着くために使用者がコース選択ボタン53を12回押した場合には、推定部221は、使用者の誤操作、又は、使用者の異常操作などを検出したものとして、使用者が認知症に罹患していると推定してよい。この場合、サーバ2は、認知症の推定を行うことができる。
【0124】
このように、ステータスAからステータスBに移行するためには、スクロールすべき回数(最短回数)が予め決まっている。その最短回数と実際に使用者が操作した回数の差を算出し、その差が所定の閾値よりも大きい場合に、推定部221は、使用者が認知症であると推定できる。あるいは、推定部221は、手の震えによりボタンを押す回数が増えた可能性を考慮して、上記差が所定の閾値より大きい場合に、使用者がフレイルであると推定してもよい。
【0125】
推定部221は、スクロールすべき回数(最短回数)と実際に使用者が操作した回数の差を、使用者の過去のデータと比較して、使用者が認知症またはフレイルであると推定してもよい。この場合、推定部221は、所定の閾値として、過去の一定期間におけるボタンの操作回数の平均値等を用いてもよい。過去データは、別の使用者の過去データであってもよい。これに限らず、所定の閾値は、固定値(絶対値)であってもよい。
【0126】
推定部221は、スクロールすべき回数(最短回数)と使用者の過去のデータとを比較して、その差が所定の閾値よりも大きい場合に、使用者が認知症またはフレイルであると推定してもよい。推定部221は、スクロールすべき回数(最短回数)と別の使用者のデータとを比較して、その差が所定の閾値よりも大きい場合に、使用者が認知症またはフレイルであると推定してもよい。
【0127】
(2)長押し操作
次に、使用者が空気清浄器に対して長押し操作するケースについて説明する。長押し操作は、一例として、使用者が自動オフボタン54を長押しして、チャイルドロックの設定、設定解除したいときに使用される。使用者は自動オフボタン54を長押し(例えば、2秒)すると、オフチャイルドロック設定のオン/オフを切り替えることができる。
【0128】
以上を踏まえて、サーバ2の推定部221は、次のように使用者の心身機能の状態を推定する。
【0129】
前述したように、オフチャイルドロック設定のオン/オフを切り替えるために、使用者は自動オフボタン54を2秒以上押す必要がある。それにも拘わらず、使用者が2秒長押しするために5回試行した場合には、推定部221は、使用者の筋力、又は使用者の活動量が低下しているとの推定に基づき、使用者がフレイルであると推定できる。推定部221は、使用者が2秒以上長押しする必要があることを理解していない可能性を考慮して、上記試行回数が所定の閾値よりも大きい場合に、使用者が認知症であると推定してもよい。こうして、サーバ2は、フレイル又は認知症の推定を行うことができる。
【0130】
このように、ステータスAからステータスBに移行するためには、長押しすべき時間が予め決まっている。使用者が所定の時間長押しするために必要とした試行回数が所定の閾値よりも大きい場合に、推定部221は、使用者がフレイル又は認知症であると推定できる。
【0131】
推定部221は、上記試行回数を、使用者の過去のデータと比較して、使用者が認知症またはフレイルであると推定してもよい。この場合、推定部221は、所定の閾値として、過去の一定期間におけるボタンの操作回数の平均値等を用いてもよい。過去データは、別の使用者の過去データであってもよい。これに限らず、所定の閾値は、固定値(絶対値)であってもよい。
【0132】
推定部221は、使用者の現在と過去のデータを比較して、その差が所定の閾値よりも大きい場合に、使用者がフレイルまたは認知症であると推定してもよい。推定部221は、使用者の現在の試行回数と別の使用者のデータを比較して、その差が所定の閾値よりも大きい場合に、使用者がフレイルまたは認知症であると推定してもよい。
【0133】
(3)生活データ
続いて、使用者の生活データに関するケースについて説明する。サーバ2は、使用者による空気清浄器の使用状況に基づいて、使用者の生活データを取得できる。生活データは、一例として、「自動オフ選択の有無」、「選択コース」、及び、「Airsignの状態」などに関する。具体的に、サーバ2は、「自動オフ選択の変更回数」、「自動オフ選択の変更頻度」、「コース選択の変更回数」、「コース選択の変更頻度」、「Airsignの変化の有無」といった使用者の生活データを取得できる。
【0134】
そこで、一例として、自動オフ選択/コース選択における、変更回数及び/又は変更頻度が所定の閾値よりも多い場合など、通常は一度設定すると頻繁に変更しないものであるため、推定部221は、使用者が認知症に罹患していると推定してよい。
【0135】
また、Airsignの変化が無い場合、使用者の病気、使用者が倒れている、使用者が不在にしている、といった状況が想定されるため、推定部221は、使用者が認知症を含む、非通常状態にあると推定してよい。Airsignの変化が激しい場合、使用者の徘徊が想定されるため、推定部221は、使用者が認知症に罹患していると推定してよい。
【0136】
前記の構成によれば、本開示のサーバ2は、種々の家電製品を対象として、見守り対象者の生活状態を、監視者に容易に確認させることができる。サーバ2は、使用者によるスクロール操作、長押し操作、及び/又は、生活データに関するデータを監視者に通知し、監視者に判断を委ねることもできる。
【0137】
以上、本開示に係るサーバを、電気ポットとは異なる家電製品である、炊飯器及び空気清浄機に適用される例を説明した。炊飯器及び空気清浄器に関連する説明は、本開示に係るサーバの一適用例を説明するに過ぎず、電気ポットに関連して説明した技術思想を適宜組み合わせることが可能である。従って、本開示の一形態に係るサーバの概念について説明すると次の通りである。
【0138】
本開示の一形態に係るサーバは、少なくとも1つの操作ボタンを有する家電製品(電気ポット、炊飯器、又は空気清浄器等)と通信可能に接続されるサーバであって、前記家電製品から送信された、前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、前記操作を受付けた回数、少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、前記家電製品の、所定の使用状態の継続時間、前記家電製品が実行する所定動作の終了方法、前記家電製品の、使用者による使用状態、又は、複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、を示すデータに基づき、使用者の心身機能の状態を推定する推定部を備える。
【0139】
また、本開示の一形態に係る家電製品は、サーバと通信可能に接続される、少なくとも1つの操作ボタンを有する家電製品であって、前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、前記操作を受付けた回数、少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、前記家電製品の、所定の使用状態の継続時間、前記家電製品が実行する所定動作の終了方法、前記家電製品の、使用者による使用状態、又は、複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、を示すデータを、前記サーバに送信する送信部を備える。
【0140】
本開示に係るサーバは、電気ポット、炊飯器、空気清浄器以外の家電製品にも適用可能であることは言うまでもない。
【0141】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した本発明の一態様に係る電気ポット1及びサーバ2炊飯器、空気清浄機といった家電製品によれば、使用者の状態の推定を可能とする。そのため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「すべての人に健康と福祉を」の達成に貢献できる。
【0142】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係るサーバは、少なくとも1つの操作ボタンを有する電気ポットと通信可能に接続されるサーバであって、前記電気ポットから送信された、前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、前記操作を受付けた回数、少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、前記電気ポットの、所定の使用状態の継続時間、前記電気ポットが実行する所定動作の終了方法、前記電気ポットの、使用者による使用状態、前記電気ポットの空焚き状態、又は、複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、を示すデータに基づき、使用者の心身機能の状態を推定する推定部を備える。
【0143】
本開示の態様2に係るサーバは、前記の態様1において、前記推定部は、前記データに基づき、使用者がフレイルであると推定する。
【0144】
本開示の態様3に係るサーバは、前記の態様2において、前記推定部は、前記操作の開始から終了までの時間の長さ、前記操作を受付けた回数、前記所定の使用状態の継続時間、前記所定動作の終了方法、前記使用者による使用状態、又は、前記電気ポットの空焚き状態を示すデータに基づき、使用者の筋力が低下していると推定する。
【0145】
本開示の態様4に係るサーバは、前記の態様2または3において、前記推定部は、前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、又は、前記操作の開始から終了までの時間に基づき、使用者の反射速度が低下していると推定する。
【0146】
本開示の態様5に係るサーバは、前記の態様2から4の何れかにおいて、前記推定部は、前記操作を受付けた回数に基づき、使用者の活動量が低下していると推定する。
【0147】
本開示の態様6に係るサーバは、前記の態様1から5の何れかにおいて、前記推定部は、前記データに基づき、使用者が認知症に罹患していると推定する。
【0148】
本開示の態様7に係るサーバは、前記の態様6において、前記推定部は、前記データからの、使用者の誤操作、使用者の異常操作、又は、電気ポットの異常状態の検出に基づき、使用者が認知症に罹患していると推定する。
【0149】
本開示の態様8に係るサーバは、前記の態様1から7の何れかにおいて、前記推定部の推定結果を、前記サーバと通信可能に接続される端末を介して報知する報知部を備える。
【0150】
本開示の態様9に係る電気ポットは、サーバと通信可能に接続される、少なくとも1つの操作ボタンを有する電気ポットであって、前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、前記操作を受付けた回数、少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、前記電気ポットの、所定の使用状態の継続時間、前記電気ポットが実行する所定動作の終了方法、前記電気ポットの、使用者による使用状態、前記電気ポットの空焚き状態、又は、複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、を示すデータを、前記サーバに送信する送信部を備える。
【0151】
本開示の態様10に係るサーバは、少なくとも1つの操作ボタンを有する家電製品と通信可能に接続されるサーバであって、前記家電製品から送信された、前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、前記操作を受付けた回数、少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、前記家電製品の、所定の使用状態の継続時間、前記家電製品が実行する所定動作の終了方法、前記家電製品の、使用者による使用状態、又は、複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、を示すデータに基づき、使用者の心身機能の状態を推定する推定部を備える。
【0152】
本開示の態様11に係る家電製品は、サーバと通信可能に接続される、少なくとも1つの操作ボタンを有する家電製品であって、前記操作ボタンに対する操作の開始から終了までの時間の長さ、前記操作を受付けた回数、少なくとも1つの前記操作ボタンに対して連続した操作を受付けたときの時間間隔、前記家電製品の、所定の使用状態の継続時間、前記家電製品が実行する所定動作の終了方法、前記家電製品の、使用者による使用状態、又は、複数の前記操作ボタンに対する操作を受付けた順序の適否、を示すデータを、前記サーバに送信する送信部を備える。
【符号の説明】
【0153】
1 電気ポット、2 サーバ、40 炊(飯器の)蓋、50 (空気清浄器の)パネル、111 ロック解除ボタン(操作ボタン)、112 給湯ボタン(操作ボタン)、113 保温設定キー(操作ボタン)、114 再沸騰ボタン(操作ボタン)、221 推定部、223 報知部
図1
図2
図3
図4
図5