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特開2023-143757ロジン変性フェノール樹脂、印刷インキ用ワニス、印刷インキ及び印刷物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143757
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】ロジン変性フェノール樹脂、印刷インキ用ワニス、印刷インキ及び印刷物
(51)【国際特許分類】
   C08G 8/28 20060101AFI20230928BHJP
   C09D 11/103 20140101ALI20230928BHJP
【FI】
C08G8/28
C09D11/103
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023028122
(22)【出願日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】P 2022048474
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】四方 亀
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸明
【テーマコード(参考)】
4J033
4J039
【Fターム(参考)】
4J033CA03
4J033CA12
4J033CA28
4J033CA32
4J033CA37
4J033CA42
4J033CB03
4J033CB18
4J033CC11
4J033CD04
4J033CD05
4J033CD06
4J033HA04
4J033HA13
4J033HB08
4J039AE02
4J039CA04
4J039GA02
(57)【要約】
【課題】ロジン変性フェノール樹脂、印刷インキ用ワニス、印刷インキ及び印刷物を提供すること。
【解決手段】本開示は、ロジン変性フェノール樹脂であって、前記ロジン変性フェノール樹脂は、ロジンに由来する構成単位、置換又は非置換のフェノールに由来する構成単位、ホルムアルデヒドに由来する構成単位及びポリオールに由来する構成単位を含み、前記ポリオールは、再生可能資源由来(ポリ)ペンタエリスリトールを含み、前記ロジン変性フェノール樹脂の重量平均絶対分子量は、50,000~2,000,000であり、重量平均相対分子量に対する重量平均絶対分子量の比(重量平均絶対分子量/重量平均相対分子量)は、1.5~20である、ロジン変性フェノール樹脂に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジン変性フェノール樹脂であって、
前記ロジン変性フェノール樹脂は、ロジンに由来する構成単位、置換又は非置換のフェノールに由来する構成単位、ホルムアルデヒドに由来する構成単位及びポリオールに由来する構成単位を含み、
前記ポリオールは、下記構造式で表される再生可能資源由来化合物を含み、
前記ロジン変性フェノール樹脂の重量平均絶対分子量は、50,000~2,000,000であり、
重量平均相対分子量に対する重量平均絶対分子量の比(重量平均絶対分子量/重量平均相対分子量)は、1.5~20である、
ロジン変性フェノール樹脂。
【化1】
(式中、nは0以上の整数である。)
【請求項2】
前記置換又は非置換のフェノールは、カルダノールを含む、請求項1に記載のロジン変性フェノール樹脂。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロジン変性フェノール樹脂を含む印刷インキ用ワニス。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷インキ用ワニスを含む、印刷インキ。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷インキの硬化物層を含む、印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロジン変性フェノール樹脂、印刷インキ用ワニス、印刷インキ及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロジン変性フェノール樹脂は、オフセット印刷インキのバインダー樹脂として使用されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-155715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、バイオマス原料等の再生可能資源由来化合物を用いることが求められている。当然、再生可能資源由来化合物を用いて製造したロジン変性フェノール樹脂であっても、従来の枯渇性資源由来化合物(石油資源由来化合物)を用いて製造したロジン変性フェノール樹脂と同様の物性が求められる。
【0005】
しかし、一般に、再生可能資源由来化合物を用いた製品は、枯渇性資源由来化合物を用いた製品と比較して、性能が劣る傾向が知られている。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、枯渇性資源由来化合物(石油資源由来化合物)を用いて製造したロジン変性フェノール樹脂に対して、同等以上の良好な乳化性、耐ミスチング性、高速印刷適性を有する印刷インキを製造できるロジン変性フェノール樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の成分を用いることにより、前記課題が解決されることを見出した。
【0008】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
ロジン変性フェノール樹脂であって、
前記ロジン変性フェノール樹脂は、ロジンに由来する構成単位、置換又は非置換のフェノールに由来する構成単位、ホルムアルデヒドに由来する構成単位及びポリオールに由来する構成単位を含み、
前記ポリオールは、下記構造式で表される再生可能資源由来化合物を含み、
前記ロジン変性フェノール樹脂の重量平均絶対分子量は、50,000~2,000,000であり、
重量平均相対分子量に対する重量平均絶対分子量の比(重量平均絶対分子量/重量平均相対分子量)は、1.5~20である、
ロジン変性フェノール樹脂。
【化2】
(式中、nは0以上の整数である。)
(項目2)
前記置換又は非置換のフェノールは、カルダノールを含む、上記項目に記載のロジン変性フェノール樹脂。
(項目3)
上記項目のいずれか1項に記載のロジン変性フェノール樹脂を含む印刷インキ用ワニス。
(項目4)
上記項目に記載の印刷インキ用ワニスを含む、印刷インキ。
(項目5)
上記項目に記載の印刷インキの硬化物層を含む、印刷物。
【0009】
本開示において、上述した1又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
【発明の効果】
【0010】
本開示のロジン変性フェノール樹脂は、良好な乳化性、耐ミスチング性、高速印刷適性を有する。本開示の変性フェノール樹脂はロジンと再生可能資源由来化合物との反応物である。そのため、本開示の変性フェノール樹脂は地球環境保全の点から従来の変性フェノール樹脂よりも好適に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の上限及び下限の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αの上限及び下限がA3、A2、A1(A3>A2>A1とする)である場合、数値αの範囲は、例えば、A3以下、A2以下、A3未満、A2未満、A1以上、A2以上、A1より大きい、A2より大きい、A1~A2(A1以上A2以下)、A1~A3、A2~A3、A1以上A3未満、A1以上A2未満、A2以上A3未満、A1より大きくA3未満、A1より大きくA2未満、A2より大きくA3未満、A1より大きくA3以下、A1より大きくA2以下、A2より大きくA3以下等が挙げられる。
【0012】
本発明が解決しようとする課題が解決される限り、成分、条件、数値等は、明細書の記載に限定されない。
【0013】
本開示において「不揮発分」は、有機溶剤及び水以外の成分の合計質量を意味する。1つの実施形態において、対象物Aの不揮発分は、対象物A 1gを130℃で加熱して恒量に達した時点で残存した成分の合計質量とする。
【0014】
「C・・・」は、「炭素数・・・の」を意味する。例えば、「C1~6アルキル基」は、炭素数1~6のアルキル基を意味する。「C6アルキル基」は、炭素数6のアルキル基を意味する。
【0015】
[ロジン変性フェノール樹脂:樹脂ともいう]
本開示は、ロジン変性フェノール樹脂であって、
前記ロジン変性フェノール樹脂は、ロジンに由来する構成単位、置換又は非置換のフェノールに由来する構成単位、ホルムアルデヒドに由来する構成単位及びポリオールに由来する構成単位を含み、
前記ポリオールは、下記構造式で表される再生可能資源由来化合物を含み、
前記ロジン変性フェノール樹脂の重量平均絶対分子量は、50,000~2,000,000であり、
重量平均相対分子量に対する重量平均絶対分子量の比(重量平均絶対分子量/重量平均相対分子量)は、1.5~20である、
ロジン変性フェノール樹脂に関する。
【化3】
(式中、nは0以上の整数である。)
【0016】
<ロジン>
ロジンは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0017】
本開示において、「ロジン」は、松から得られる琥珀色かつ無定形の樹脂及び当該樹脂から精製されたジテルペン樹脂酸を意味する。
【0018】
ロジンの松種は、例えば、馬尾松(Pinus massoniana)、スラッシュ松(Pinus elliottii)、メルクシ松(Pinus merkusii)、カリビア松(Pinus caribaea)、思茅松(Pinus kesiya)、テーダ松(Pinus taeda)及び大王松(Pinus palustris)等が挙げられる。
【0019】
ロジンは、例えば、天然ロジン、精製ロジン、変性ロジン等が挙げられる。「未変性ロジン」は、変性されていないロジンを意味する。未変性ロジンは、例えば、天然ロジン、精製ロジン等が挙げられる。
【0020】
(天然ロジン)
天然ロジンは、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等が挙げられる。
【0021】
天然ロジンの産地は、例えば、中国、ベトナム、インドネシア、ブラジル等が挙げられる。
【0022】
(精製ロジン)
精製手段は、例えば、蒸留法、抽出法、再結晶法、吸着法等が挙げられる。
【0023】
蒸留法は、例えば、前記天然ロジンを200℃~300℃、0.01kPa~3kPaで蒸留する方法等が挙げられる。
【0024】
抽出法は、例えば、前記天然ロジンのアルカリ水溶液を作製する工程、アルカリ水溶液中の不ケン化物を有機溶媒により抽出する工程、抽出後の水層を中和する工程を含む方法等が挙げられる。
【0025】
再結晶法は、例えば、前記天然ロジンを良溶媒に溶解させる工程、良溶媒を留去して濃厚溶液とする工程、濃厚溶液に貧溶媒を添加する工程を含む方法等が挙げられる。
【0026】
良溶媒は、例えば、芳香族炭化水素溶媒、塩素化炭化水素溶媒、低級アルコール溶媒、ケトン溶媒、酢酸エステル溶媒等が挙げられる。芳香族炭化水素溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。塩素化炭化水素溶媒は、例えば、クロロホルム等が挙げられる。ケトン溶媒は、例えば、アセトン等が挙げられる。酢酸エステル溶媒は、例えば、酢酸エチル等が挙げられる。
【0027】
貧溶媒は、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、イソオクタン等が挙げられる。
【0028】
吸着法は、例えば、溶融状態の未変性ロジン又は有機溶媒に溶解させた溶液状の未変性ロジンを、多孔質吸着剤に接触させる方法等が挙げられる。
【0029】
多孔質吸着剤は、例えば、活性炭、金属酸化物、アルミナ、ジルコニア、シリカ、モレキュラーシーブス、ゼオライト、微細孔の多孔質クレー等が挙げられる。
【0030】
ジテルペン樹脂酸は、例えば、アビエタン型ジテルペン樹脂酸、ピマラン型ジテルペン樹脂酸、デヒドロ型ジテルペン樹脂酸、ラブダン型ジテルペン樹脂酸等が挙げられる。
【0031】
樹脂酸100質量%に対するジテルペン樹脂酸の含有量の上限及び下限は、100、99.9、99.8、99.6、99.5、99、98、96、95、93、92、91、90、89、88、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、12、11、10、9、8、7、5、4、2、1、0.5、0.4、0.2、0.1、0質量%等が挙げられる。
【0032】
アビエタン型ジテルペン樹脂酸は、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラスリトリン酸、レポピマル酸等が挙げられる。
【0033】
樹脂酸100質量%に対するアビエタン型ジテルペン樹脂酸の含有量の上限及び下限は、100、99.9、99.8、99.6、99.5、99、98、96、95、93、92、91、90、89、88、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、12、11、10、9、8、7、5、4、2、1、0.5、0.4、0.2、0.1、0質量%等が挙げられる。
【0034】
ピマラン型ジテルペン樹脂酸は、例えば、ピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸等が挙げられる。
【0035】
樹脂酸100質量%に対するピマラン型ジテルペン樹脂酸の含有量の上限及び下限は、100、99.9、99.8、99.6、99.5、99、98、96、95、93、92、91、90、89、88、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、12、11、10、9、8、7、5、4、2、1、0.5、0.4、0.2、0.1、0質量%等が挙げられる。
【0036】
デヒドロ型ジテルペン樹脂酸は、例えば、デヒドロアビエチン酸等が挙げられる。
【0037】
樹脂酸100質量%に対するデヒドロ型ジテルペン樹脂酸の含有量の上限及び下限は、100、99.9、99.8、99.6、99.5、99、98、96、95、93、92、91、90、89、88、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、12、11、10、9、8、7、5、4、2、1、0.5、0.4、0.2、0.1、0質量%等が挙げられる。
【0038】
ラブダン型ジテルペン樹脂酸は、例えば、コムン酸、ジヒドロアガチン酸等が挙げられる。
【0039】
樹脂酸100質量%に対するラブダン型ジテルペン樹脂酸の含有量の上限及び下限は、100、99.9、99.8、99.6、99.5、99、98、96、95、93、92、91、90、89、88、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、12、11、10、9、8、7、5、4、2、1、0.5、0.4、0.2、0.1、0質量%等が挙げられる。
【0040】
1つの実施形態において、樹脂酸100質量%に対するコムン酸の含有量は、0.1~8質量%、0.1質量%未満及び/又は8質量%超等が挙げられる。
【0041】
(変性ロジン)
変性ロジンは、例えば、水素化ロジン、不均化ロジン、α,β-不飽和カルボン酸変性ロジン、重合ロジン等が挙げられる。
【0042】
変性ロジンの精製は、必要に応じて、上述の精製手段により行われ得る。
【0043】
本開示において、「水素化ロジン」は、水素付加反応に付したロジンを意味する。
【0044】
水素圧は、好ましくは、2MPa~20MPaが挙げられ、より好ましくは、5MPa~20MPaが挙げられる。
【0045】
水素化反応の温度は、好ましくは、100℃~300℃が挙げられ、より好ましくは、150℃~300℃が挙げられる。
【0046】
水素化触媒は、例えば、担持触媒、金属粉末等が挙げられる。
【0047】
担持触媒は、例えば、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、ルテニウム-カーボン、白金-カーボン等が挙げられる。
【0048】
金属粉末は、例えば、ニッケル、白金等が挙げられる。1つの実施形態において、前記未変性ロジンの水素化率が高くなり、水素化時間が短くなる観点から、水素化触媒は、好ましくは、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、白金系触媒が挙げられる。
【0049】
ロジン100質量部に基づくと、水素化触媒の使用量は、好ましくは、0.01質量部~5質量部が挙げられ、より好ましくは、0.01質量部~2質量部が挙げられる。
【0050】
前記水素化は、必要に応じて、ロジンを溶媒に溶解した状態で行われ得る。水素化反応に使用する溶媒(水素化反応溶媒)は、反応に不活性で原料、生成物が溶解しやすい溶媒であればよい。水素化反応溶媒は、例えば、シクロヘキサン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、デカリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。水素化反応溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0051】
ロジンに対する不揮発分に基づくと、水素化反応溶媒の使用量は、好ましくは、10質量%以上が挙げられ、より好ましくは、10質量%~70質量%が挙げられる。
【0052】
本開示において、「不均化ロジン」は、不均化反応に付したロジンを意味する。本開示において、「不均化」は、二分子のロジンが反応し、共役二重結合を持った二分子のアビエチン酸が、一方は芳香族構造を有する分子になり、もう一方は単独二重結合を有する分子になる変性を意味する。
【0053】
不均化触媒は、例えば、担持触媒、金属粉末、ヨウ素系触媒等が挙げられる。担持触媒は、例えば、パラジウム-カーボン、ロジウム-カーボン、白金-カーボン等が挙げられる。金属粉末は、例えば、ニッケル粉末、白金粉末等が挙げられる。ヨウ素系触媒は、例えば、ヨウ素、ヨウ化鉄等が挙げられる。
【0054】
ロジン100質量部に基づくと、不均化触媒の使用量は、好ましくは、0.01質量部~5質量部が挙げられ、0.01質量部~1質量部が挙げられる。
【0055】
不均化反応の反応温度は、好ましくは、100℃~300℃が挙げられ、より好ましくは、150℃~290℃が挙げられる。
【0056】
本開示において、「α,β-不飽和カルボン酸変性ロジン」は、付加環化反応に付したロジンを意味する。
【0057】
α,β-不飽和カルボン酸は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ムコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ムコン酸、マレイン酸ハーフエステル、フマル酸ハーフエステル、イタコン酸ハーフエステル等が挙げられる。1つの実施形態において、α,β-カルボン酸は、好ましくは、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸が挙げられる。
【0058】
ロジン100質量部に基づくと、α,β-不飽和カルボン酸の反応量は、好ましくは、乳化性の点から、1質量部~20質量部が挙げられ、より好ましくは、1質量部~3質量部が挙げられる。
【0059】
前記α,β-不飽和カルボン酸変性ロジンの製造方法は、例えば、加熱下で溶融させたロジンに、α,β-不飽和カルボン酸を加えて、180℃~240℃で、1時間~9時間反応させる方法等が挙げられる。前記反応は、必要に応じて、密閉した反応系内に窒素等の不活性ガスを吹き込みながら行われ得る。
【0060】
付加環化反応触媒は、例えば、ルイス酸、ブレンステッド酸等が挙げられる。ルイス酸は、例えば、塩化亜鉛、塩化鉄、塩化スズ等が挙げられる。ブレンステッド酸は、例えば、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。
【0061】
ロジン100質量部に基づくと、付加環化反応触媒の使用量は、好ましくは、0.01質量部~10質量部が挙げられる。
【0062】
得られたα,β-不飽和カルボン酸変性ロジンは、未変性ロジン由来の樹脂酸を含み得る。α,β-不飽和カルボン酸変性ロジン100質量%に基づくと、未変性ロジン由来の樹脂酸の含有量は、好ましくは、10質量%未満が挙げられる。
【0063】
本開示において、「重合ロジン」は、二量化反応に付したロジンを意味する。
【0064】
前記重合ロジンの製造方法は、例えば、ロジン及び重合ロジン製造触媒を含む溶媒中、40~160℃で、1~5時間反応させる方法等が挙げられる。重合ロジン製造触媒は、例えば、硫酸、フッ化水素、塩化アルミニウム、四塩化チタン等が挙げられる。溶媒は、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0065】
重合ロジンの製品は、例えば、原料としてガムロジンを使用したガム系重合ロジン(商品名「重合ロジンB-140」、新洲(武平)林化有限公司製)、トール油ロジンを使用したトール油系重合ロジン(商品名「シルバタック140」、アリゾナケミカル社製)、ウッドロジンを使用したウッド系重合ロジン(商品名「ダイマレックス」、イーストマンケミカル社製)等が挙げられる。
【0066】
重合ロジンに対して、水素化、不均化、α,β-不飽和カルボン酸変性等の処理は、必要に応じて、行われ得る。各種処理は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0067】
ロジン変性フェノール樹脂100質量%に基づくと、ロジンに由来する構成単位の含有量の上限及び下限は、例えば、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、40~90質量%が挙げられる。
【0068】
ロジン変性フェノール樹脂100質量%に基づくと、トール油に由来する構成単位の含有量の上限及び下限は、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、50質量%以下が挙げられ、より好ましくは、0質量%が挙げられる。
【0069】
トール油は、例えば、粗トール油、蒸留トール油等が挙げられる。
【0070】
<置換又は非置換のフェノール>
置換又は非置換のフェノールは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0071】
置換フェノールは、例えば、アルキルフェノール、アルケニルフェノール等が挙げられる。
【0072】
置換フェノールの置換基の置換位置は、例えば、オルト、メタ、パラ等が挙げられる。
【0073】
アルキルフェノールは、例えば、メチルフェノール(クレゾール)、n-ブチルフェノール、イソブチルフェノール、t-ブチルフェノール、n-ペンチルクレゾール(アミルフェノール)、n-オクチルフェノール、t-オクチルフェノール、n-ノニルフェノール、n-デシルフェノール、n-ドデシルフェノール、n-テトラデシルフェノール、n-ヘキシルデシルフェノール等が挙げられる。
【0074】
1つの実施形態において、アルキルフェノールは、好ましくは、C8以上アルキルフェノールが挙げられ、より好ましくは、C8~16アルキルフェノールが挙げられ、さらに好ましくは、C8~9アルキルフェノールが挙げられる。
【0075】
1つの実施形態において、置換又は非置換のフェノール100質量%に基づくと、C8アルキルフェノールの含有量の上限及び下限は、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、30~100質量%が挙げられる。
【0076】
1つの実施形態において、置換又は非置換のフェノール100質量%に基づくと、C9アルキルフェノールの含有量の上限及び下限は、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0~70質量%が挙げられ、より好ましくは、10~30質量%が挙げられる。好ましい理由は、例えば、乳化性向上等が挙げられる。
【0077】
アルケニルフェノールは、カルダノール等が挙げられる。
【0078】
「カルダノール」は、カシューナッツの殻に由来するアルケニルフェノールを意味する。1つの実施形態において、カルダノールは、下記化合物の混合物である。なお、下記化合物の精製物もカルダノールとみなす。
【化4】
【0079】
1つの実施形態において、前記置換又は非置換のフェノールは、任意で、カルダノールを含み得る。
【0080】
置換又は非置換のフェノール100質量%に基づくと、カルダノールの含有量は、10質量%未満、9質量%未満、7質量%未満、5質量%未満、4質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、10質量%未満が挙げられる。
【0081】
ロジン変性フェノール樹脂100質量%に基づくと、C10~20不飽和炭化水素基をメタ位に有するフェノール化合物に由来する構成単位の含有量は、10質量%未満、9質量%未満、7質量%未満、5質量%未満、4質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、10質量%未満が挙げられる。
【0082】
ロジン変性フェノール樹脂100質量%に基づくと、置換又は非置換のフェノールに由来する構成単位の含有量の上限及び下限は、例えば、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、10~60質量%が挙げられる。
【0083】
ロジン変性フェノール樹脂100質量%に基づくと、C1~4アルキル基含有フェノール化合物に由来する構成単位の含有量の上限及び下限は、49、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0~49質量%が挙げられる。
【0084】
<ホルムアルデヒド>
ホルムアルデヒドは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0085】
ホルムアルデヒドは、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。
【0086】
ロジン変性フェノール樹脂100質量%に基づくと、ホルムアルデヒドに由来する構成単位の含有量の上限及び下限は、例えば、20、19、17、15、13、11、10、9、7、5質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、5~20質量%が挙げられる。
【0087】
ホルムアルデヒドと置換又は非置換のフェノールとのモル比(F/P比)の上限及び下限は、例えば、3、2.9、2.7、2.5、2.3、2.1、2、1.9、1.7、1.5等が挙げられる。1つの実施形態において、ホルムアルデヒドと置換又は非置換のフェノールとのモル比(F/P比)は、好ましくは、1.5~3が挙げられる。
【0088】
<ポリオール>
ポリオールは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0089】
本開示において、「ポリオール」は、水酸基(-OH)を2個以上有する化合物を意味する。
【0090】
ポリオールは、例えば、直鎖アルキレンポリオール、分岐アルキレンポリオール等が挙げられる。
【0091】
直鎖アルキレンポリオールは、例えば、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール等が挙げられる。
【0092】
分岐アルキレンポリオールは、例えば、グリセリン、ネオペンチルグリコール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1、3-プロパンジオール、2,4-ジブチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0093】
1つの実施形態において、ポリオールは、好ましくは、液状ポリオールが挙げられる。
【0094】
「液状ポリオール」は、融点が25℃以下、沸点が35℃以上であるポリオールを意味する。
【0095】
液状ポリオールは、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン等が挙げられる。1つの実施形態において、液状ポリオールは、好ましくは、グリセリンが挙げられ、より好ましくは、再生可能資源由来グリセリンが挙げられる。
【0096】
(再生可能資源由来化合物)
再生可能資源由来化合物は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0097】
本開示において、「再生可能資源由来化合物」は、用いることにより二酸化炭素排出量削減に寄与できる化合物を意味する。
【0098】
再生可能資源由来化合物は、例えば、バイオマス由来化合物、バイオマス由来化合物と枯渇性資源由来化合物(石油資源由来化合物)との反応物等が挙げられる。
【0099】
再生可能資源由来化合物は、例えば、再生可能資源由来(ポリ)ペンタエリスリトール、再生可能資源由来グリセリン等が挙げられる。
【0100】
(ポリ)ペンタエリスリトールは、下記構造式で表される。
【化5】
(式中、nは0以上の整数である。nは、好ましくは、0、1又は2が挙げられ、より好ましくは、0又は1が挙げられ、さらに好ましくは、0が挙げられる。)
【0101】
再生可能資源由来(ポリ)ペンタエリスリトールは、例えば、バイオマスペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0102】
再生可能資源由来(ポリ)ペンタエリスリトールの市販品は、例えば、Voxtar M40、M100、D100、D40(Perstorp社)等が挙げられる。
【0103】
再生可能資源由来化合物不揮発分100質量%に基づくと、再生可能資源由来(ポリ)ペンタエリスリトールの含有量の上限及び下限は、例えば、100、95、90、85、80質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、80~100質量%が挙げられる。
【0104】
ロジン変性フェノール樹脂100質量%に基づくと、ポリオールに由来する構成単位の含有量の上限及び下限は、例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、2~10質量%が挙げられる。
【0105】
ロジン変性フェノール樹脂100質量%に基づくと、ペンタエリスリトールに由来する構成単位の含有量の上限及び下限は、例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0~10質量%が挙げられる。
【0106】
ロジン変性フェノール樹脂100質量%に基づくと、ポリペンタエリスリトールに由来する構成単位の含有量の上限及び下限は、例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.7、0.5、0.4、0.2、0.1、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0~10質量%が挙げられ、より好ましくは、0質量%以上1質量%未満が挙げられる。
【0107】
ポリオール100質量%に基づくと、再生可能資源由来(ポリ)ペンタエリスリトールの含有量の上限及び下限は、例えば、98、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、10~98質量%が挙げられる。
【0108】
ポリオール100質量%に基づくと、液状ポリオールの含有量の上限及び下限は、例えば、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、4、2、1、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0~90質量%が挙げられる。
【0109】
液状ポリオールと(ポリ)ペンタエリスリトールとの質量比(液状ポリオール/(ポリ)ペンタエリスリトール)の上限及び下限は、例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.19、0.17、0.15、0.14、0.12、0.11、0.109、0.107、0.105、0.103、0.102、0.101、0.100等が挙げられる。1つの実施形態において、上記質量比は、好ましくは、0.100~10が挙げられる。重量平均絶対分子量の制御を容易にする観点からは、上記質量比は、より好ましくは、0.100超0.45以下が挙げられ、さらに好ましくは、0.100超0.15以下が挙げられ、よりさらに好ましくは、0.100超0.13以下が挙げられる。また、流動性、分散性、分子量制御の観点からは、上記質量比は、より好ましくは、1.2超10以下、さらに好ましくは、2.6超10以下、よりさらに好ましくは、2.6超8以下が挙げられ、特に好ましくは、2.6超6.5以下が挙げられ、より特に好ましくは、2.6超2.9以下が挙げられる。なお、上記質量比における「(ポリ)ペンタエリスリトール」の量は、再生可能資源由来(ポリ)ペンタエリスリトールと枯渇性資源由来(ポリ)ペンタエリスリトールとを合計した量である。
【0110】
<植物油脂肪酸及び/又は植物油脂肪酸エステル>
前記ロジン変性フェノール樹脂は、任意で、植物油脂肪酸及び/又は植物油脂肪酸エステルに由来する構成単位を含み得る。植物油脂肪酸及び/又は植物油脂肪酸エステルは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0111】
植物油脂肪酸は、例えば、大豆油脂肪酸、水素化大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ツバキ油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、トール油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸等が挙げられる。
【0112】
植物油脂肪酸エステルは、例えば、植物油脂肪酸メチルエステル、植物油脂肪酸エチルエステル、植物油脂肪酸n-プロピルエステル、植物油脂肪酸n-ブチルエステル、植物油脂肪酸n-ペンチルエステル、植物油脂肪酸n-ヘキシルエステル、植物油脂肪酸n-ヘプチルエステル、植物油脂肪酸n-オクチルエステル、植物油脂肪酸グリセリンエステル等が挙げられる。
【0113】
ロジン変性フェノール樹脂100質量%に基づくと、植物油脂肪酸及び/又は植物油脂肪酸エステルに由来する構成単位の含有量の上限及び下限は、例えば、15、14、13、11、10、9、7、5、3、2、1、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0~15質量%が挙げられ、より好ましくは、1~15質量%等が挙げられる。
【0114】
<前記以外の構成単位:その他の構成単位ともいう>
前記ロジン変性フェノール樹脂は、ロジンに由来する構成単位、置換又は非置換のフェノールに由来する構成単位、ホルムアルデヒドに由来する構成単位、ポリオールに由来する構成単位、植物油脂肪酸及び/又は植物油脂肪酸エステルに由来する構成単位のいずれにも該当しない構成単位を含み得る。
【0115】
その他の構成単位は、モノオールに由来する構成単位、ビニル化油に由来する構成単位、ビニル化高級脂肪酸に由来する構成単位、ビニル化アルキッド樹脂に由来する構成単位等が例示される。
【0116】
1つの実施形態において、その他の構成単位の含有量は、前記ロジン変性フェノール樹脂100質量部に対して、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。
【0117】
その他の構成単位の含有量は、ロジンに由来する構成単位、置換又は非置換のフェノールに由来する構成単位、ホルムアルデヒドに由来する構成単位、ポリオールに由来する構成単位、植物油脂肪酸及び/又は植物油脂肪酸エステルに由来する構成単位のいずれか100質量部に対して、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が例示される。
【0118】
<ロジン変性フェノール樹脂の物性等>
ロジン変性フェノール樹脂の重量平均絶対分子量の上限及び下限は、例えば、2,000,000、1,900,000、1,750,000、1,500,000、1,250,000、1,000,000、900,000、750,000、500,000、480,000、470,000、460,000、450,000、420,000、400,000、390,000、370,000、350,000、330,000、310,000、300,000、290,000、285,000、280,000、250,000、240,000、200,000、150,000、100,000、90,000、70,000、50,000等が挙げられる。1つの実施形態において、上記重量平均絶対分子量は、好ましくは、50,000~2,000,000が挙げられ、より好ましくは、200,000~500,000が挙げられる。
【0119】
重量平均相対分子量に対する重量平均絶対分子量の比(重量平均絶対分子量/重量平均相対分子量)の上限及び下限は、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4.9、4.7、4.5、4.3、4.1、4、3.9、3.7、3.5、3.3、3.1、3、2、1.5等が挙げられる。1つの実施形態において、重量平均相対分子量に対する重量平均絶対分子量の比(重量平均絶対分子量/重量平均相対分子量)は、好ましくは、1.5~20が挙げられ、より好ましくは、2~5が挙げられる。
【0120】
ロジン変性フェノール樹脂の重量平均相対分子量の上限及び下限は、例えば、1,333,333、1,250,000、1,000,000、900,000、750,000、500,000、480,000、470,000、460,000、450,000、420,000、400,000、390,000、370,000、350,000、330,000、310,000、300,000、290,000、285,000、280,000、250,000、240,000、200,000、150,000、120,000、115,000、110,000、100,000、95,000、92,000、90,000、70,000、50,000、40,000、20,000、10,000、9,000、7,000、5,000、4,000、2,500等が挙げられる。1つの実施形態において、ロジン変性フェノール樹脂の重量平均相対分子量は、好ましくは、2,500~1,333,333が挙げられ、より好ましくは、70,000~150,000が挙げられる。
【0121】
重量平均相対分子量の測定条件は、例えば、下記条件等が挙げられる。
測定手法:ゲルパーメーションクロマトグラフィー(GPC)
測定機器:HLC-8320(東ソー(株)製)
展開溶媒:テトラヒドロフラン
検量線:ポリスチレン
カラム:TSKgelHXLカラム(東ソー(株)製)
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
測定方法:樹脂の濃度が0.3質量%となるように溶離液に溶解し、フィルターろ過後に測定。
【0122】
重量平均絶対分子量の測定条件は、例えば、下記条件等が挙げられる。
測定手法:ゲルパーメーションクロマトグラフィー(GPC)
測定機器:HLC-8320(東ソー(株)製)
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:TSKgelHXLカラム(東ソー(株)製)
検出器:光散乱検出器 TDA305(VISCOTEK社製)
カラム温度:40℃
測定方法:樹脂の濃度が0.6質量%となるように溶離液に溶解し、フィルターろ過後に測定。
【0123】
「重量平均絶対分子量」は、光散乱検出器を用いて測定する分子量を意味する。「重量平均相対分子量」は、示差屈折率検出器を用いて測定する一般的な重量平均分子量を意味する。分岐構造を有さない樹脂と比較すると、分岐構造を有する樹脂は重量平均相対分子量が重量平均絶対分子量よりも小さい。そのため、重量平均絶対分子量/重量平均相対分子量の値はポリマー分岐の程度を示す指標となる。
【0124】
ロジン変性フェノール樹脂の酸価の上限及び下限は、例えば、40、35、30、25、24、23、22、21.5、21、20.5、20、17、15、10、5mgKOH/g等が挙げられる。1つの実施形態において、上記酸価は、好ましくは、5~40mgKOH/gが挙げられ、より好ましくは、17~25mgKOH/gが挙げられる。
【0125】
酸価は、JIS K5601に準拠する方法により測定される。
【0126】
ロジン変性フェノール樹脂の33%アマニ油粘度の上限及び下限は、例えば、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、14、13、12.5、12、11、10、5、3Pa・s等が挙げられる。1つの実施形態において、上記33%アマニ油粘度は、好ましくは、3~100Pa・sが挙げられ、より好ましくは、10~20Pa・sが挙げられる。
【0127】
33%アマニ油粘度の測定方法は、例えば、下記手法等が挙げられる。
被測定物:樹脂とアマニ油を1:2の質量比で加熱混合した組成物
測定機器:コーン・アンド・プレート型粘度計(HAAKE社製)
測定温度:25℃
【0128】
ロジン変性フェノール樹脂の軟化点の上限及び下限は、例えば、200、195、190、185、184、183、180、179、177、176、175、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120℃等が挙げられる。1つの実施形態において、上記軟化点は、好ましくは、120~200℃が挙げられる。
【0129】
軟化点は、JIS K5601に準拠する方法により測定される。
【0130】
<ロジン変性フェノール樹脂の製造方法>
ロジン変性フェノール樹脂の製造方法は、例えば、下記方法等が挙げられる。
(1)置換又は非置換のフェノールとホルムアルデヒドとを反応させた縮合物(縮合物ともいう)を単離する工程を含む方法
(2)縮合物を単離する工程を含まない方法
【0131】
(1)置換又は非置換のフェノールとホルムアルデヒドとを反応させた縮合物(縮合物ともいう)を単離する工程を含む方法
前記縮合物は、例えば、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。上記ロジン変性フェノール樹脂は、例えば、レゾール型ロジン変性フェノール樹脂、ノボラック型ロジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
【0132】
レゾール型フェノール樹脂の製造は、塩基性触媒の存在下行われる。ノボラック型フェノール樹脂の製造は、酸触媒の存在下行われる。
【0133】
触媒は、単独又は2種以上で使用され得る。触媒は、例えば、塩基性触媒や酸性触媒等が挙げられる。
【0134】
塩基性触媒は、例えば、有機アミン、金属酸化物、金属水酸化物、金属酢酸塩等が挙げられる。
【0135】
有機アミンは、例えば、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0136】
金属酸化物は、例えば、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0137】
金属水酸化物は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0138】
金属酢酸塩は、例えば、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛等が挙げられる。
【0139】
酸性触媒は、例えば、無機酸、有機酸等が挙げられる。
【0140】
無機酸は、例えば、塩酸、硫酸等が挙げられる。
【0141】
有機酸は、例えば、シュウ酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
【0142】
1つの実施形態において、反応温度は、好ましくは、100~300℃が挙げられる。
【0143】
1つの実施形態において、反応時間は、好ましくは、1~24時間が挙げられる。
【0144】
(2)縮合物を単離する工程を含まない方法
縮合物を単離する工程を含まない方法は、例えば、下記方法等が挙げられる。
(2A)ロジン、置換又は非置換のフェノール、ホルムアルデヒド、ポリオールを含む化合物群を反応させる方法
(2B)ロジン、置換又は非置換のフェノールを含む化合物群を反応させた後、ホルムアルデヒド、ポリオールを反応させる方法
【0145】
触媒は、例えば、上述の触媒等が挙げられる。
【0146】
1つの実施形態において、好適なインキの乳化性を得る観点から、ロジン変性フェノール樹脂のロジン由来成分100質量部に対し、アルカリ土類金属化合物の含有量は、好ましくは、0.1質量部未満が挙げられ、より好ましくは、0質量部以上0.1質量部未満が挙げられる。
【0147】
1つの実施形態において、好適なインキの乳化性を得る観点から、ロジン変性フェノール樹脂100質量部に対し、オルガノスルホン酸亜鉛の含有量は、好ましくは、0.01質量部未満が挙げられ、より好ましくは、0質量部以上0.01質量部未満が挙げられる。
【0148】
ロジン変性フェノール樹脂100質量部に対し、金属化合物の含有量の上限及び下限は、0.1、0.09、0.07、0.05、0.03、0.02、0.0151、0.015、0.01、0質量部等が挙げられる。1つの実施形態において、好適なインキの乳化性を得る観点から、ロジン変性フェノール樹脂100質量部に対し、金属化合物の含有量は、好ましくは、0.1質量部未満が挙げられ、より好ましくは、0.05質量部未満が挙げられ、さらに好ましくは、0.01質量部未満が挙げられる。
【0149】
1つの実施形態において、反応温度は、好ましくは、100~300℃が挙げられる。
【0150】
1つの実施形態において、反応時間は、好ましくは、1~24時間が挙げられる。
【0151】
前記ロジン変性フェノール樹脂は、平版印刷インキ用ロジン変性フェノール樹脂溶液、オフセットインキ用ロジン変性フェノール樹脂溶液として使用され得る。
【0152】
[印刷インキ用ワニス:ワニスともいう]
本開示は、前記ロジン変性フェノール樹脂を含む印刷インキ用ワニスに関する。
【0153】
印刷インキ用ワニス100質量%に基づくと、前記ロジン変性フェノール樹脂の含有量の上限及び下限は、例えば、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、20~65質量%が挙げられる。
【0154】
印刷インキ用ワニスの形態は、例えば、前記樹脂を植物油類及び/又は石油溶剤に溶解させたワニス、当該ワニスにさらにゲル化剤を反応させたゲルワニス等が挙げられる。
【0155】
<植物油類>
印刷インキ用ワニスは、任意で、植物油類を含み得る。植物油類は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0156】
植物油類は、例えば、前記植物油脂肪酸、前記植物油脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0157】
印刷インキ用ワニス100質量%に基づくと、植物油類の含有量の上限及び下限は、例えば、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、4、2、1、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0~80質量%が挙げられ、より好ましくは、10質量%未満が挙げられ、さらに好ましくは、2質量%未満が挙げられる。
【0158】
<石油系溶剤>
印刷インキ用ワニスは、任意で、石油系溶剤を含み得る。石油系溶剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0159】
石油系溶剤の製品は、例えば、0号ソルベント、4号ソルベント、5号ソルベント、6号ソルベント、7号ソルベント、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号(以上、JXTGエネルギー(株)製)等が挙げられる。
【0160】
印刷インキ用ワニス100質量%に基づくと、石油系溶剤の含有量の上限及び下限は、例えば、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、4、2、1、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0~80質量%が挙げられ、より好ましくは、10質量%未満が挙げられる。
【0161】
<ゲル化剤>
印刷インキ用ワニスは、任意で、ゲル化剤を含み得る。ゲル化剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0162】
ゲル化剤は、例えば、アルミニウム系ゲル化剤等が挙げられる。
【0163】
アルミニウム系ゲル化剤は、例えば、オクチル酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド、アルミニウムジプロポキシドモノアセチルアセテート、アルミニウムジブトキシドモノアセチルアセテート、アルミニウムトリアセチルアセテート等が挙げられる。
【0164】
印刷インキ用ワニス100質量%に基づくと、ゲル化剤の含有量の上限及び下限は、例えば、5、4、3、2、1、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0~5質量%が挙げられる。
【0165】
印刷インキ用ワニスの製造は、ロジン変性フェノール樹脂並びに必要に応じて植物油類、石油系溶剤、ゲル化剤、印刷インキ用ワニス添加剤を撹拌しながら混合することにより行われ得る。
【0166】
印刷インキ用ワニス添加剤は、ロジン変性フェノール樹脂、植物油類、石油系溶剤、ゲル化剤のいずれにも該当しないものを意味する。
【0167】
印刷インキ用ワニス添加剤は、例えば、酸化防止剤、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンプロピレングリコール共重合体等が挙げられる。
【0168】
印刷インキ用ワニス100質量%に基づくと、印刷インキ用ワニス添加剤の含有量は、例えば、5質量%未満、4質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.9質量%未満、0.5質量%未満、0,4質量%未満、0.2質量%未満、0.1質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0169】
1つの実施形態において、「ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンプロピレングリコール共重合体及び脂肪酸エステル」の合計含有量は、好ましくは、2質量%未満、より好ましくは、0質量%未満が挙げられる。
【0170】
1つの実施形態において、印刷インキ用ワニスの製造温度は、好ましくは、100~240℃が挙げられる。
【0171】
前記印刷インキ用ワニスは、平版印刷インキ用ワニス、オフセット印刷インキ用ワニスとして使用され得る。
【0172】
[印刷インキ:インキともいう]
本開示は、前記印刷インキ用ワニスを含む、印刷インキに関する。
【0173】
<顔料>
顔料は、単独又は2種以上で使用され得る。顔料は、例えば、白色顔料、黒色顔料、黄色顔料、橙色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、藍顔料、緑色顔料等が挙げられる。
【0174】
インキ100質量%に基づくと、顔料の含有量の上限及び下限は、例えば、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、2、1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、前記含有量は、好ましくは、1~50質量%が挙げられ、より好ましくは、5~30質量%が挙げられる。
【0175】
印刷インキの製造は、前記印刷インキ用ワニス、顔料並びに必要に応じて前記植物油類、前記石油系溶剤、印刷インキ添加剤を練肉することにより行われ得る。
【0176】
印刷インキ添加剤は、例えば、界面活性剤、ワックス等が挙げられる。
【0177】
印刷インキ製造装置は、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等が挙げられる。
【0178】
前記印刷インキは、平版印刷インキ、オフセット印刷インキとして使用され得る。
【0179】
[印刷物]
本開示は、前記印刷インキの硬化物層を含む、印刷物に関する。
【0180】
<基材>
印刷物は、基材を含む。基材は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0181】
基材は、例えば、紙、プラスチック基材等が挙げられる。
【0182】
紙は、例えば、アート紙、キャストコート紙、フォーム用紙、PPC紙、上質コート紙、クラフト紙、ポリエチレンラミネート紙、グラシン紙等が挙げられる。
【0183】
プラスチック基材は、例えば、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。
【0184】
印刷方法(塗工方法)は、オフセット印刷等が例示される。
【0185】
印刷物中の硬化物層の量は、例えば、が0.1~30g/mが挙げられ、より好ましくは、1~20g/mが挙げられる。
【実施例0186】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の説明及び以下の実施例は、本発明を限定する目的で記載されていない。本発明は、特許請求の範囲のみにより限定される。以下特に説明がない限り、部、%等の数値は質量基準である。
【0187】
製造例1
撹拌機、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器に、オクチルフェノール1000部、92%パラホルムアルデヒド396部、キシレン584部および水500部を仕込み、撹拌下に50℃まで昇温した。次いで、同反応容器に45%水酸化ナトリウム溶液89部を仕込み、冷却しながら反応系を90℃まで徐々に昇温した後、2時間保温し、更に硫酸を滴下してpHを6付近に調整した。その後、ホルムアルデヒドなどを含んだ水層部を除去し、再度水洗した後に内容物を冷却して、レゾール型オクチルフェノール樹脂の70%キシレン溶液を得た。
【0188】
特段言及がない限り、製造例1以外の製造例は、下記表のように変更した以外は、製造例1と同様にして行った。
【0189】
【表1】
【0190】
<ロジン変性フェノール樹脂の製造>
実施例1
撹拌器、分水器付き還流冷却管および温度計を備えた反応容器にガムロジン1,000部を仕込み、撹拌下に220℃まで昇温して溶融させた後に、製造例1で得られた成分786部(不揮発分550部)を、4時間かけて系内に滴下した。滴下終了後、再生可能資源由来ペンタエリスリトール(製品名Voxtar M40、Perstorp社製)77部、グリセリン18部及びパラトルエンスルホン酸(以下、PTSという)を1部仕込み、220~275℃の温度範囲内で反応系の酸価が25以下となるまでエステル化反応を実施した。その後、反応系を0.02MPaで10分間減圧し、冷却することにより、重量平均相対分子量が92,000、重量平均絶対分子量が285,000、酸価が20.5mgKOH/g、33%アマニ油粘度が13.0Pa・s、軟化点が183℃の固形状のロジン変性フェノール樹脂を得た。
【0191】
特段言及がない限り、実施例1以外の実施例及び比較例は、下記表のように変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
【0192】
【表2】
【0193】
(重量平均相対分子量)
重量平均相対分子量の測定は、下記条件で行った。
測定手法:ゲルパーメーションクロマトグラフィー(GPC)
測定機器:HLC-8320(東ソー(株)製)
展開溶媒:テトラヒドロフラン
検量線:ポリスチレン
カラム:TSKgelHXLカラム(東ソー(株)製)
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
測定方法:樹脂の濃度が0.3質量%となるように溶離液に溶解し、フィルターろ過後に測定。
【0194】
(重量平均絶対分子量)
重量平均絶対分子量の測定は、下記条件で行った。
測定手法:ゲルパーメーションクロマトグラフィー(GPC)
測定機器:HLC-8320(東ソー(株)製)
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:TSKgelHXLカラム(東ソー(株)製)
検出器:光散乱検出器 TDA305(VISCOTEK社製)
カラム温度:40℃
測定方法:樹脂の濃度が0.6質量%となるように溶離液に溶解し、フィルターろ過後に測定。
【0195】
(酸価)
酸価は、JIS K5601に準拠して、測定した。
【0196】
(33%アマニ油粘度)
下記手法により33%アマニ油粘度を測定した。
被測定物:樹脂:アマニ油=1:2の質量比で加熱混合した組成物
測定機器:コーン・アンド・プレート型粘度計(HAAKE社製)
測定温度:25℃
【0197】
(軟化点)
軟化点は、JIS K5601に準拠して、測定した。
【0198】
<ゲルワニスの調製>
実施例1のロジン変性フェノール樹脂45.0部、大豆油15.0部およびAFソルベント7号(JXTGエネルギー(株)製)39.0部を210℃で30分間混合溶解した。次にこれを130℃まで冷却した後、ゲル化剤溶液[ゲル化剤(川研ファインケミカル社製ALCH)を当量のAFソルベント7号で溶解した溶液]1.0部を加え、200℃まで加熱して1時間ゲル化反応させることにより、印刷インキ用ワニスを得た。
【0199】
<印刷インキの調製およびインキ性能試験>
前記実施例及び比較例の印刷インキ用ワニスを用い、以下の配合割合で3本ロールミルにより練肉し、25℃におけるC&P粘度が25±5Pa・s、25℃におけるスプレッドメーターのフロー値(直径値)が36.0±1.0となるような印刷インキを調製した。
フタロシアニンブルー(藍顔料) 18質量部
ゲルワニス 63~70質量部
AFソルベント7号 11~19質量部
【0200】
(耐乳化性)
各印刷インキ15.0gを乳化試験機(NOVOMATICS社製)で乳化させ(回転数:1200rpm、温度:40℃、純水の供給量:1.2ml/分)、余剰水を除いた後に、カールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製)で乳化率(%)を測定した。いずれも数値が小さいほど、耐乳化性が良好である。
【0201】
(耐ミスチング性)
インキ2.6mlをインコメーター((株)東洋精機製作所製)上に展開し、ロール温度30℃、400rpmで1分間、更に1800rpmで2分間回転させ、ロール直下に置いた白色紙上へのインキの飛散度を観察して1~5段階で評価を行った。数値が大きいほど耐ミスチング性が良好である。
5:白色紙上へのインキの飛散度が少ない
4:白色紙上へのインキの飛散度がやや少ない
3:白色紙上へのインキの飛散度がやや多い
2:白色紙上へのインキの飛散度が多い
1:白色紙上へのインキの飛散度が非常に多い
【0202】
(高速印刷適性:タック値)
インキ1.3mlをインコメーター((株)東洋精機製作所製)上に展開し、ロール温度30℃、400rpmの条件下で1分後のタック値を測定した。タック値が低いほど、紙剥けは少なくなり、高速印刷適性が高い。