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特開2023-143762水系コーティング剤、硬化物及び積層物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143762
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】水系コーティング剤、硬化物及び積層物
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/00 20060101AFI20230928BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20230928BHJP
   C09D 133/02 20060101ALI20230928BHJP
   C09D 133/04 20060101ALI20230928BHJP
   C09D 181/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
C09D133/00
C09D5/02
C09D133/02
C09D133/04
C09D181/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023031230
(22)【出願日】2023-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2022049202
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久米 啓太
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 彰寛
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CG031
4J038CG141
4J038CH041
4J038DK002
4J038KA03
4J038MA08
4J038MA10
4J038NA01
4J038NA04
4J038NA07
4J038NA10
4J038PB07
4J038PB09
4J038PC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水系コーティング剤、硬化物及び積層物を提供すること。
【解決手段】水系コーティング剤であって、前記水系コーティング剤は、ポリマー、架橋剤及び水を含み、前記ポリマーは、C12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル単位並びに(メタ)アクリル酸及び/又はその塩単位を含み、ポリマー100質量%に対するC12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量は、15質量%~80質量%であり、ポリマー100質量%に対する(メタ)アクリル酸単位の含有量は、5質量%~20質量%である、水系コーティング剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水系コーティング剤であって、
前記水系コーティング剤は、ポリマー、架橋剤及び水を含み、
前記ポリマーは、C12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル単位並びに(メタ)アクリル酸及び/又はその塩単位を含み、
ポリマー100質量%に対するC12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量は、15質量%~80質量%であり、
ポリマー100質量%に対する(メタ)アクリル酸単位の含有量は、5質量%~20質量%である、水系コーティング剤。
【請求項2】
ポリチオフェン及びスルホアニオン基含有ポリマーのみからなる導電性高分子-ポリアニオン錯体を含む、請求項1に記載の水系コーティング剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水系コーティング剤の硬化物。
【請求項4】
請求項3に記載の硬化物を含む、積層物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水系コーティング剤、硬化物及び積層物に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、自動車用部品等の各種工業製品において、ABS、PET、ポリカーボネート等のプラスチック基材が使用されている。このようなプラスチック基材に機能性を付与する観点から、コーティング剤により表面処理が実施される。近年、地球環境保護の観点から、水系コーティング剤が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-017592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、剥離力、撥水性、耐溶剤性及び外観が良好な積層物を製造するための水系コーティング剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
水系コーティング剤であって、
前記水系コーティング剤は、ポリマー、架橋剤及び水を含み、
前記ポリマーは、C12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル単位並びに(メタ)アクリル酸及び/又はその塩単位を含み、
ポリマー100質量%に対するC12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量は、15質量%~80質量%であり、
ポリマー100質量%に対する(メタ)アクリル酸単位の含有量は、5質量%~20質量%である、水系コーティング剤。
(項目2)
ポリチオフェン及びスルホアニオン基含有ポリマーのみからなる導電性高分子-ポリアニオン錯体を含む、上記項目に記載の水系コーティング剤。
(項目3)
上記項目のいずれか1項に記載の水系コーティング剤の硬化物。
(項目4)
上記項目に記載の硬化物を含む、積層物。
【0006】
本開示において、上述した1又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
【発明の効果】
【0007】
本開示の水系コーティング剤を用いることにより、剥離力、撥水性、耐溶剤性及び外観が良好な積層物を製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αについて、A3、A2、A1(A3>A2>A1とする)等が挙げられる場合、数値αの範囲は、A3以下、A2以下、A3未満、A2未満、A1以上、A2以上、A1より大きい、A2より大きい、A1~A2(A1以上A2以下)、A1~A3、A2~A3、A1以上A3未満、A1以上A2未満、A2以上A3未満、A1より大きくA3未満、A1より大きくA2未満、A2より大きくA3未満、A1より大きくA3以下、A1より大きくA2以下、A2より大きくA3以下等が挙げられる。
【0009】
本発明が解決しようとする課題が解決される限り、各成分、条件、数値等は、特に限定されない。
【0010】
「αβ量(A/B)」は、B100αに対するAのβ量(α)を意味する。αは、例えば、質量%、モル%、質量部等が挙げられる。β量は、例えば、含有量、使用量等が挙げられる。「質量%含有量(A/B)」は、B100質量%に対するAの含有量(質量%)を意味する。
【0011】
「γ比(A/B)」は、式「A÷B」により算出されるγ比を意味する。γ比は、例えば、質量比、モル比等が挙げられる。
【0012】
「不揮発分」は、有機溶剤及び水以外の成分の合計質量を意味する。1つの実施形態において、「Aの不揮発分」は、A 1gを105℃で加熱して恒量に達した時点で残存した成分の合計質量を意味する。
【0013】
「(メタ)アクリル」は、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」を意味する。
【0014】
「C・・・」は、「炭素数・・・の」を意味する。例えば、「C1~6アルキル基」は、炭素数1~6のアルキル基を意味する。「C6アルキル基」は、炭素数6のアルキル基を意味する。
【0015】
アルキル基は、例えば、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基等が挙げられる。
【0016】
直鎖アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
【0017】
「分岐アルキル基」は、直鎖アルキル基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された、環状構造を有さない基を意味する。分岐アルキル基は、例えば、i-プロピル基、ジエチルペンチル基、トリメチルブチル基、トリメチルペンチル基、トリメチルヘキシル基等が挙げられる。
【0018】
シクロアルキル基は、例えば、単環シクロアルキル基、架橋環シクロアルキル基、縮合環シクロアルキル基等が挙げられる。なお、シクロアルキル基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された基もシクロアルキル基とする。
【0019】
「単環」は、炭素の共有結合により形成された内部に橋かけ構造を有しない環状構造を意味する。「縮合環」は、2つ以上の単環が2つの原子を共有している(すなわち、それぞれの環の辺を互いに1つだけ共有(縮合)している)環状構造を意味する。「架橋環」は、2つ以上の単環が3つ以上の原子を共有している環状構造を意味する。
【0020】
単環シクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0021】
架橋環シクロアルキル基は、例えば、トリシクロデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。
【0022】
なお、アルキル基には、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基を組み合わせた基も含まれる。前記組み合わせた基は、例えば、シクロアルキルアルキル基等が挙げられる。
【0023】
シクロアルキルアルキル基は、下記式で表される。
calkyl-Ralkyl
(式中、Rcalkylは、シクロアルキル基を表す。Ralkylは、アルキル基を表す。)
【0024】
アルキレン基は、例えば、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、シクロアルキレン基等が挙げられる。
【0025】
直鎖アルキレン基は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-ヘプチレン基、n-オクチレン基、n-ノニレン基、n-デカメチレン基等が挙げられる。
【0026】
分岐アルキレン基は、例えば、ジエチルペンチレン基、トリメチルブチレン基、トリメチルペンチレン基、トリメチルヘキシレン基等が挙げられる。
【0027】
シクロアルキレン基は、例えば、単環シクロアルキレン基、架橋環シクロアルキレン基、縮合環シクロアルキレン基等が挙げられる。またシクロアルキレン基は、1つ以上の水素原子が直鎖又は分岐アルキル基によって置換されていてもよい。
【0028】
単環シクロアルキレン基は、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロデシレン基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシレン基等が挙げられる。
【0029】
架橋環シクロアルキレン基は、例えば、トリシクロデシレン基、アダマンチレン基、ノルボルニレン基等が挙げられる。
【0030】
縮合環シクロアルキレン基は、例えば、ビシクロデシレン基等が挙げられる。
【0031】
なお、アルキレン基には、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基、シクロアルキレン基を組み合わせた基も含まれる。上記組み合わせた基は、例えば、シクロアルキレンアルキレン基、アルキレンシクロアルキレンアルキレン基等が挙げられる。
【0032】
シクロアルキレンアルキレン基は、下記式で表される。
-Rcalkylene-Ralkylene
(式中、Rcalkyleneは、シクロアルキレン基を表す。Ralkyleneは、アルキレン基を表す。)
【0033】
アルキレンシクロアルキレンアルキレン基は、下記式で表される。
-Ralkylene-Rcalkylene-Ralkylene
(式中、Rcalkyleneは、シクロアルキレン基を表す。Ralkyleneは、アルキレン基を表す。)
【0034】
芳香族基(アリール基、アリーレン基)は、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。芳香族基の置換基は、例えば、アルキル基、チオアルキル基、チオアリール基、カルボニルアリール基等が挙げられる。
【0035】
アリール基は、例えば、単環アリール基、縮合環アリール基等が挙げられる。
【0036】
単環アリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、メシチル基等が挙げられる。
【0037】
縮合環アリール基は、例えば、ナフチル基等が挙げられる。
【0038】
アリーレン基は、例えば、単環アリーレン基、縮合環アリーレン基等が挙げられる。
【0039】
単環アリーレン基は、例えば、フェニレン基、トリレン基等が挙げられる。
【0040】
縮合環アリーレン基は、例えば、ナフチレン基等が挙げられる。
【0041】
[水系コーティング剤:コーティング剤ともいう]
本開示は、水系コーティング剤であって、
前記水系コーティング剤は、ポリマー、架橋剤及び水を含み、
前記ポリマーは、C12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル単位並びに(メタ)アクリル酸及び/又はその塩単位を含み、
ポリマー100質量%に対するC12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量は、15質量%~80質量%であり、
ポリマー100質量%に対する(メタ)アクリル酸単位の含有量は、5質量%~20質量%である、水系コーティング剤に関する。
【0042】
<ポリマー>
ポリマーは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0043】
(C12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル)
C12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0044】
C12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、C12~18直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、C12~18分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、C12~18シクロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0045】
C12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
質量%含有量(C12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル単位/ポリマー)は、例えば、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、54質量%、52質量%、50質量%、49質量%、47質量%、45質量%、44質量%、42質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、15質量%~80質量%が挙げられ、より好ましくは、20質量%~80質量%が挙げられる。
【0047】
1つの実施形態において、質量%含有量(C12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル単位/ポリマー)は、好ましくは、35質量%未満が挙げられる。好ましい理由は、例えば、硬化物が無色透明となること等が挙げられる。
【0048】
((メタ)アクリル酸及び/又はその塩)
(メタ)アクリル酸及び/又はその塩は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0049】
(メタ)アクリル酸の塩は、例えば、(メタ)アクリル酸の有機塩、(メタ)アクリル酸の無機塩等が挙げられる。
【0050】
有機塩は、例えば、有機アミン塩等が挙げられる。
【0051】
アミン塩は、例えば、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩等が挙げられる。
【0052】
第1級アミン塩は、例えば、モノアルキルアミン塩、モノアリールアミン塩、モノアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0053】
モノアルキルアミン塩は、例えば、メチルアミン塩、エチルアミン塩、プロピルアミン塩、ブチルアミン塩等が挙げられる。
【0054】
モノアリールアミン塩は、例えば、アニリン塩、トルイジン塩、トリメチルアニリン塩、アニシジン塩、トリフルオロメチルアニリン塩等が挙げられる。
【0055】
モノアルカノールアミン塩は、例えば、エタノールアミン塩、プロパノールアミン塩等が挙げられる。
【0056】
第2級アミン塩は、例えば、ジアルキルアミン塩、ジアリールアミン塩、ジアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0057】
ジアルキルアミン塩は、例えば、ジメチルアミン塩、ジエチルアミン塩、ジプロピルアミン塩、ジブチルアミン塩、メチルエチルアミン塩、エチルプロピルアミン塩、プロピルブチルアミン塩等が挙げられる。
【0058】
ジアリールアミン塩は、例えば、ジフェニルアミン塩等が挙げられる。
【0059】
ジアルカノールアミン塩は、例えば、ジエタノールアミン塩、ジプロパノールアミン塩、エタノールプロパノールアミン塩等が挙げられる。
【0060】
第3級アミン塩は、例えば、トリアルキルアミン塩、トリアリールアミン塩、ジアルキルモノアリールアミン塩、トリアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0061】
トリアルキルアミン塩は、例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、トリプロピルアミン塩、トリブチルアミン塩、ジメチルエチルアミン塩、メチルエチルプロピルアミン塩等が挙げられる。
【0062】
トリアリールアミン塩は、例えば、トリフェニルアミン塩等が挙げられる。
【0063】
ジアルキルモノアリールアミン塩は、例えば、ジメチルフェニルアミン塩、ジエチルフェニルアミン塩等が挙げられる。
【0064】
トリアルカノールアミン塩は、例えば、トリエタノールアミン塩、トリプロパノールアミン塩等が挙げられる。
【0065】
無機塩は、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩等が挙げられる。
【0066】
アルカリ金属塩は、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0067】
1つの実施形態において、基材密着性及び硬化物強度向上の観点から、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩は、好ましくは、(メタ)アクリル酸のアンモニウム塩、(メタ)アクリル酸の有機アミン塩が挙げられる。
【0068】
質量%含有量((メタ)アクリル酸単位/ポリマー)は、例えば、20質量%、19質量%、17質量%、15質量%、13質量%、11質量%、10質量%、9質量%、7質量%、5質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、5質量%~20質量%が挙げられる。なお、質量%含有量((メタ)アクリル酸単位/ポリマー)には、塩の重量は含まれない。
【0069】
中和率は、例えば、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%等が挙げられる。1つの実施形態において、中和率は、好ましくは、20%~100%が挙げられる。
【0070】
(C1~11アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル)
C1~11アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0071】
C1~11アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、C1~11直鎖アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、C1~11分岐アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、C1~11シクロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0072】
C1~11アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デカメチル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0073】
質量%含有量(C1~11アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル単位/ポリマー)は、例えば、60質量%、55質量%、50質量%、49質量%、48質量%、47質量%、46質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~60質量%が挙げられ、より好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられる。
【0074】
(水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー)
水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0075】
水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーは、例えば、下記式で表されるモノマー等が挙げられる。
【化1】
(式中、R21は、水素原子又はメチル基を表す。R22は、NHR2’又はOR2’を表す。R2’は、水酸基含有アルキル基を表す。)
【0076】
「水酸基含有アルキル基」は、アルキル基の1つ以上の水素原子が水酸基によって置換された基を意味する。水酸基含有アルキル基は、例えば、水酸基含有直鎖アルキル基、水酸基含有分岐アルキル基、水酸基含有シクロアルキル基等が挙げられる。
【0077】
水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーは、例えば、水酸基含有(メタ)アクリルエステル、水酸基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0078】
水酸基含有(メタ)アクリルエステルは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0079】
水酸基含有(メタ)アクリルアミドは、例えば、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(1-メチル-2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0080】
質量%含有量(水酸基含有(メタ)アクリル系モノマー単位/ポリマー)は、例えば、60質量%、55質量%、50質量%、49質量%、48質量%、47質量%、46質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~60質量%が挙げられ、より好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられる。
【0081】
(上記以外のモノマー:その他モノマーともいう)
ポリマーは、任意で、上記以外のモノマー(その他モノマー)単位を含み得る。その他モノマーは、単独又は2種以上で使用され得る。本開示において、「その他モノマー」は、C12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩、C1~11アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーのいずれにも該当しないモノマーを意味する。
【0082】
その他モノマーは、例えば、C19以上アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、アルケニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0083】
質量%含有量(その他モノマー単位/ポリマー)は、例えば、10質量%未満、5質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0084】
質量%(その他モノマー単位/C12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩、C1~11アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーのいずれか1つ)は、例えば、10質量%未満、5質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0085】
モル%含有量(その他モノマー単位/ポリマー)は、例えば、10モル%未満、5モル%未満、2モル%未満、1モル%未満、0.1モル%未満、0モル%等が挙げられる。
【0086】
モル%(その他モノマー単位/C12~18アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩、C1~11アルキル基含有(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有(メタ)アクリル系モノマーのいずれか1つ)は、例えば、10モル%未満、5モル%未満、2モル%未満、1モル%未満、0.1モル%未満、0モル%等が挙げられる。
【0087】
(ポリマー物性)
数平均分子量(ポリマー)は、例えば、50000、45000、40000、35000、30000、25000、20000、15000、10000、5000等が挙げられる。1つの実施形態において、上記数平均分子量は、好ましくは、5000~50000が挙げられる。
【0088】
重量平均分子量(ポリマー)は、例えば、100000、90000、80000、70000、60000、50000、45000、40000、35000、30000、25000、20000等が挙げられる。1つの実施形態において、上記重量平均分子量は、好ましくは、20000~100000が挙げられる。
【0089】
重量平均分子量、数平均分子量の測定条件は、例えば、下記条件等が挙げられる。
・測定機器:東ソー(株)製、GPC(型番:HLC-8420)
・カラム:製品名「PLgel MIXED-C」(Agilent Technology製)×2本
・溶離液:THF
・カラム温度:40℃
・検量線:単分散ポリスチレン
・検出器:RI
・ポリマーの濃度:0.2質量%
・測定方法:フィルターろ過後測定。
【0090】
ガラス転移温度(ポリマー)(Tg)は、例えば、80℃、78℃、77℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃、20℃、15℃、10℃、5℃、0℃、-5℃、-8℃、-10℃等が挙げられる。1つの実施形態において、上記ガラス転移温度は、好ましくは、-10℃~80℃が挙げられる。
【0091】
ガラス転移温度は、Foxの式より算出される。
Foxの式:1/Tg=(Wa/Tga)+(Wb/Tgb)+・・・+(Wn/Tgn)
Tg:コポリマーのガラス転移温度(K)
Wa:モノマーAの質量%
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wb:モノマーBの質量%
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wn:モノマーNの質量%
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)
【0092】
水酸基価(ポリマー)は、例えば、300mgKOH/g、275mgKOH/g、250mgKOH/g、225mgKOH/g、200mgKOH/g、175mgKOH/g、150mgKOH/g、125mgKOH/g、100mgKOH/g、90mgKOH/g、75mgKOH/g、50mgKOH/g等が挙げられる。1つの実施形態において、上記水酸基価は、好ましくは、50mgKOH/g~300mgKOH/gが挙げられる。
【0093】
水酸基価は、JIS K0070(中和滴定法)に準拠する方法により測定される。
【0094】
ポリマー作製時において用いたモノマーの仕込み量が正確に把握でき、かつ重合率が高い場合、水酸基価は、下記式により算出できる。
水酸基価=[(全仕込み単量体1g中の水酸基含有単量体の仕込み質量×水酸基含有単量体一分子が有する水酸基の数)/水酸基含有単量体の分子量]×56.11(KOHの分子量)×1000・・・(1)
【0095】
酸価(未中和ポリマー)は、例えば、160mgKOH/g、150mgKOH/g、140mgKOH/g、130mgKOH/g、120mgKOH/g、110mgKOH/g、100mgKOH/g、90mgKOH/g、80mgKOH/g、70mgKOH/g、60mgKOH/g、50mgKOH/g、40mgKOH/g、35mgKOH/g等が挙げられる。1つの実施形態において、上記酸価は、好ましくは、35mgKOH/g~160mgKOH/gが挙げられる。
【0096】
酸価は、JIS K0070(中和滴定法)に準拠する方法により測定される。
【0097】
ポリマー作製時において用いたモノマーの仕込み量が正確に把握でき、かつ重合率が高い場合、酸価は、下記式により算出できる。
酸価=[(全仕込み単量体1g中のカルボキシ基含有単量体の仕込み質量×カルボキシ基含有単量体一分子が有するカルボキシ基の数)/カルボキシ基含有単量体の分子量]×56.11(KOHの分子量)×1000・・・(1)
【0098】
(ポリマー製造方法)
ポリマー製造方法は、例えば、ラジカル重合等が挙げられる。
【0099】
ラジカル重合開始剤は、例えば、無機過酸化物、有機過酸化物、アゾ系化合物等が挙げられる。ラジカル重合開始剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0100】
無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。
【0101】
有機過酸化物は、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等が挙げられる。
【0102】
アゾ系化合物は、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート等が挙げられる。
【0103】
質量部使用量(ラジカル重合開始剤/全モノマー成分)は、好ましくは、0.1質量部~5質量部が挙げられる。
【0104】
ポリマー製造において、連鎖移動剤が、任意で使用され得る。連鎖移動剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0105】
連鎖移動剤は、例えば、ラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、2-メルカプトベンゾチアゾール、ブロモトリクロロメタン、α-メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0106】
質量部使用量(連鎖移動剤/全モノマー成分)は、好ましくは、0質量部~5質量部が挙げられる。
【0107】
質量%含有量(ポリマー/コーティング剤不揮発分)は、例えば、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、50質量%~80質量%が挙げられる。
【0108】
<架橋剤>
架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0109】
架橋剤は、例えば、アジリジン架橋剤、メラミン架橋剤、オキサゾリン架橋剤、カルボジイミド架橋剤、イソシアネート架橋剤等が挙げられる。
【0110】
質量%含有量(架橋剤/コーティング剤不揮発分)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、20質量%~50質量%が挙げられる。
【0111】
(アジリジン架橋剤)
アジリジン架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0112】
「アジリジン架橋剤」は、アジリジニル基を2個以上有する化合物を意味する。
【0113】
アジリジニル基は、例えば、下記式(1)で表される基等が挙げられる。
【化2】
(式(1)中、R及びRは、水素原子又はC1~6アルキル基を表す。R及びRは、異なっていてもよい。)
【0114】
アジリジン架橋剤は、例えば、2官能アジリジン化合物、3官能アジリジン化合物、4官能アジリジン化合物等が挙げられる。
【0115】
2官能アジリジン化合物は、例えば、ネオペンチルグリコールジ(β-アジリジニルプロピオネ-ト)等が挙げられる。
【0116】
3官能アジリジン化合物は、例えば、下記式(2)で表される化合物、グリセロール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネ-ト]、2,4,6-トリス(1-アジリジニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[2-メチル-(1-アジリジニル)]-1,3,5-トリアジン、トリ-(1-アジリジニル)ホスフィンオキシド等が挙げられる。
【化3】
(式(2)中、Xは、C1~6アルキル基又は水酸基含有C1~3アルキル基を表す。R及びRは、水素原子又はC1~6アルキル基を表す。R及びRは、異なっていてもよい。Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
【0117】
XがC1~6アルキル基である場合、式(2)の化合物は、例えば、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネ-ト]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2-メチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2-エチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2-プロピル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2-ブチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2-ペンチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2-ヘキシル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ジメチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ジエチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ジエチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ジプロピル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ジブチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ジペンチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ヘキシル)アジリジニルプロピオネ-ト)]等が挙げられる。
【0118】
XがC1~3ヒドロキシアルキル基である場合、式(2)の化合物は、例えば、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネ-ト]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2-メチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2-エチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2-プロピル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2-ブチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2-ペンチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2-ヘキシル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ジメチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ジエチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ジエチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ジプロピル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ジブチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ジペンチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ヘキシル)アジリジニルプロピオネ-ト)]等が挙げられる。
【0119】
4官能アジリジン化合物は、例えば、下記式(3)で表される化合物、テトラアジリジニルメタキシレンジアミン、テトラアジリジニルメチルパラキシレンジアミン等が挙げられる。
【0120】
【化4】
(式(3)中、R及びRは、水素原子又はC1~6アルキル基を表す。R及びRは、異なっていてもよい。Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
【0121】
式(3)で表される化合物は、例えば、ペンタエリスリトール-テトラ(1-アジリジニルプロピオネ-ト)、ペンタエリスリトール-テトラ[2-ヘキシル-(1-アジリジニル)プロピオネ-ト]、ペンタエリスリトール-テトラ[2,3-ジヘキシル-(1-アジリジニル)プロピオネ-ト]等が挙げられる。
【0122】
質量%含有量(アジリジン架橋剤/コーティング剤不揮発分)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられ、より好ましくは、20質量%~50質量%が挙げられる。
【0123】
(メラミン架橋剤)
メラミン架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0124】
メラミン架橋剤は、例えば、下記メラミン化合物に由来する構成単位を含むメラミン樹脂等が挙げられる。
【化5】
(式中、Rm1~Rm6は、それぞれ独立に、水素原子、メチロール基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-ブトキシメチル基及びイソブトキシメチル基から選択される。)
【0125】
1つの実施形態において、メラミン樹脂の平均重合度は、好ましくは、1.1~10が挙げられる。
【0126】
メラミン樹脂は、好ましくは、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂が挙げられ、より好ましくは、フルエーテル型メチル化メラミン樹脂、フルエーテル型ブチル化メラミン樹脂、フルエーテル型メチル・ブチル化メラミン樹脂が挙げられる。
【0127】
「メチル化メラミン」は、上記Rm1~Rm6の少なくとも1つがメトキシメチル基であるメラミン化合物を意味する。「フルエーテル型メチル化メラミン」は、上記Rm1~Rm6の全てがメトキシメチル基であるメラミン化合物を意味する。「メチル化メラミン樹脂」は、メチル化メラミンに由来する構成単位のみから構成される樹脂を意味する。「フルエーテル型メチル化メラミン樹脂」は、フルエーテル型メチル化メラミンに由来する構成単位のみから構成される樹脂を意味する。
【0128】
「ブチル化メラミン」は、上記Rm1~Rm6の少なくとも1つがn-ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基のいずれかであるメラミン化合物を意味する。「フルエーテル型ブチル化メラミン」は、上記Rm1~Rm6の全てがn-ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基のいずれかであるメラミン化合物を意味する。「ブチル化メラミン樹脂」は、ブチル化メラミンに由来する構成単位のみから構成される樹脂を意味する。「フルエーテル型ブチル化メラミン樹脂」は、フルエーテル型ブチル化メラミンに由来する構成単位のみから構成される樹脂を意味する。
【0129】
「フルエーテル型メチル・ブチル化メラミン」は、上記Rm1~Rm6の少なくとも一つがメトキシメチル基であって、残りがそれぞれn-ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基のいずれかであるメラミン化合物を意味する。「フルエーテル型メチル・ブチル化メラミン樹脂」は、フルエーテル型メチル・ブチル化メラミンに由来する構成単位のみから構成される樹脂を意味する。
【0130】
メラミン樹脂の市販品は、例えば、サイメル300、サイメル301、サイメル303LF、サイメル350、サイメル370N、サイメル771、サイメル325、サイメル327、サイメル703、サイメル712、サイメル701、サイメル266、サイメル267、サイメル285、サイメル232、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル272、サイメル212、サイメル253、サイメル254、サイメル202、サイメル207、マイコート506(以上、オルネクスジャパン(株)製)、ニカラックMW-30M、ニカラックMW-30、ニカラックMW-30HM、ニカラックMW-390、ニカラックMW-100LM、ニカラックMX-750LM、ニカラックMW-22、ニカラックMS-21、ニカラックMS-11、ニカラックMW-24X、ニカラックMS-001、ニカラックMX-002、ニカラックMX-730、ニカラックMX-750、ニカラックMX-708、ニカラックMX-706、ニカラックMX-042、ニカラックMX-035、ニカラックMX-45、ニカラックMX-43、ニカラックMX-417、ニカラックMX-410(以上、(株)三和ケミカル製)、ユーバン20SB、ユーバン20SE60、ユーバン21R、ユーバン22R、ユーバン122、ユーバン125、ユーバン220、ユーバン225、ユーバン228、ユーバン2020(以上、三井化学(株)製)、アミディアJ-820-60、アミディアL-109-65、アミディアL-117-60、アミディアL-127-60、アミディア13-548、アミディアG-821-60、アミディアL-110-60、アミディアL-125-60、アミディアL-166-60B(以上、DIC(株)製)等が挙げられる。
【0131】
質量%含有量(メラミン架橋剤/コーティング剤不揮発分)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられ、より好ましくは、20質量%~50質量%が挙げられる。
【0132】
(オキサゾリン架橋剤)
オキサゾリン架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0133】
オキサゾリン架橋剤は、例えば、オキサゾリンオリゴマー架橋剤、オキサゾリンポリマー架橋剤等が挙げられる。
【0134】
オキサゾリンオリゴマー架橋剤は、例えば、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-メチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-エチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-トリメチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-テトラメチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ヘキサメチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-オクタメチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-エチレン-ビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレン-ビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、ビス(2-オキサゾリジニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス(2-オキサゾリジニルノルボルナン)スルフィド等が挙げられる。
【0135】
オキサゾリンポリマー架橋剤は、例えば、炭素-炭素二重結合含有オキサゾリンの重合体等が挙げられる。
【0136】
炭素-炭素二重結合含有オキサゾリンは、例えば、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン等が挙げられる。
【0137】
オキサゾリン架橋剤の市販品は、例えば、エポクロスWS-300、WS-500、WS-700(日本触媒(株)製)等が挙げられる。
【0138】
質量%含有量(オキサゾリン架橋剤/コーティング剤不揮発分)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられ、より好ましくは、20質量%~50質量%が挙げられる。
【0139】
(カルボジイミド架橋剤)
カルボジイミド架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0140】
カルボジイミド架橋剤は、例えば、ポリ(4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(1,6-ヘキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-テトラメチレンカルボジイミド)、ポリ(1,3-シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5-トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3-ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1-メチル-3,5-ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(イソプロピルフェニレンカルボジイミド)等が挙げられる。
【0141】
質量%含有量(カルボジイミド架橋剤/コーティング剤不揮発分)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられ、より好ましくは、20質量%~50質量%が挙げられる。
【0142】
(イソシアネート架橋剤)
イソシアネート架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0143】
イソシアネート架橋剤は、例えば、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0144】
「ポリイソシアネート」は、2個以上のイソシアネート基(-N=C=O)を有する化合物を意味する。
【0145】
ポリイソシアネートは、例えば、直鎖脂肪族ポリイソシアネート、分岐脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート並びにこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体等が挙げられる。
【0146】
直鎖脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0147】
分岐脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、ジエチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルブチレンジイソシアネート、トリメチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0148】
脂環族ポリイソシアネートは、例えば、単環脂環族ポリイソシアネート、架橋環脂環族ポリイソシアネート、縮合環脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0149】
単環脂環族ポリイソシアネートは、例えば、水添キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘプチレンジイソシアネート、シクロデシレンジイソシアネート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0150】
架橋環脂環族ポリイソシアネートは、例えば、トリシクロデシレンジイソシアネート、アダマンタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。
【0151】
縮合環脂環族ポリイソシアネートは、例えば、ビシクロデシレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0152】
芳香族ポリイソシアネートは、例えば、単環芳香族ポリイソシアネート、縮合環芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0153】
単環芳香族ポリイソシアネートは、例えば、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート等のジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルテトラメチルメタンジイソシアネート等のテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0154】
縮合環芳香族ポリイソシアネートは、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0155】
ブロックイソシアネートも使用され得る。「ブロックイソシアネート」は、ポリイソシアネートのイソシアネート基がブロック剤で保護された化合物を意味する。
【0156】
質量%含有量(イソシアネート架橋剤/コーティング剤不揮発分)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられ、より好ましくは、20質量%~50質量%が挙げられる。
【0157】
<水>
水は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0158】
水は、例えば、超純水、純水、蒸留水、イオン交換水、水道水等が挙げられる。
【0159】
質量%含有量(水/コーティング剤)は、例えば、99.9質量%、99.5質量%、98質量%、95質量%、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、40質量%~99.9質量%が挙げられ、より好ましくは、40質量%~80質量%が挙げられる。
【0160】
質量%含有量(水/全溶媒)は、例えば、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、10質量%~90質量%が挙げられる。
【0161】
<導電性高分子-ポリアニオン錯体>
コーティング剤は、任意で、ポリチオフェン及びスルホアニオン基含有ポリマーのみからなる導電性高分子-ポリアニオン錯体を含み得る。導電性高分子-ポリアニオン錯体は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0162】
ポリチオフェンは、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ブテンジオキシチオフェン)等が挙げられる。
【0163】
スルホアニオン基含有ポリマーは、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリ(メタ)アクリル酸エチルスルホン酸、ポリ(メタ)アクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ-2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸及びその塩等が挙げられる。
【0164】
1つの実施形態において、導電性高分子-ポリアニオン錯体は、好ましくは、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)-ポリスチレンスルホン酸(PEDOT-PSS)及び/又はその塩が挙げられる。
【0165】
PEDOT/PSSの市販品は、例えば、「Clevios P」(Heraeus社製)、「Orgacon」(日本アグファ・ゲバルト(株)製)等が挙げられる。
【0166】
質量%含有量(導電性高分子-ポリアニオン錯体/コーティング剤不揮発分)は、例えば、20質量%、19質量%、17質量%、15質量%、13質量%、11質量%、10質量%、9質量%、7質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~20質量%が挙げられる。
【0167】
<導電性向上剤>
コーティング剤は、任意で、導電性向上剤を含み得る。導電性向上剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0168】
導電性向上剤は、例えば、エチレングリコール、ジメチルスルホオキシド、ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0169】
質量部含有量(導電性向上剤/導電性高分子)は、例えば、1000質量部、900質量部、800質量部、700質量部、600質量部、500質量部、400質量部、300質量部、200質量部、100質量部、90質量部、80質量部、70質量部、60質量部、50質量部、40質量部、30質量部、20質量部、10質量部、0質量部等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量部~1000質量部が挙げられる。
【0170】
<硬化触媒>
コーティング剤は、任意で、硬化触媒を含み得る。硬化触媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0171】
硬化触媒は、例えば、酸触媒等が挙げられる。
【0172】
酸触媒は、例えば、無機酸、有機酸、熱酸発生剤等が挙げられる。
【0173】
無機酸は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。
【0174】
有機酸は、例えば、有機カルボン酸、有機スルホン酸、有機リン酸等が挙げられる。
【0175】
有機カルボン酸は、例えば、シュウ酸、酢酸、ギ酸等が挙げられる。
【0176】
有機スルホン酸は、例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、カンファースルホン酸、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸、デカンスルホン酸、ヘキサデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ノニルナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
【0177】
有機リン酸は、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、プロピルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ベヘニルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、ノニルフェニルアシッドホスフェート、シクロヘキシルアシッドホスフェート、フェノキシエチルアシッドホスフェート、アルコキシポリエチレングリコールアシッドホスフェート、ビスフェノールAアシッドホスフェート、ジメチルアシッドホスフェート、ジエチルアシッドホスフェート、ジプロピルアシッドホスフェート、ジイソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジ-2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジラウリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ジフェニルアシッドホスフェート、ビスノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
【0178】
熱酸発生剤は、例えば、スルホニウム塩、ベンゾチアゾリウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。
【0179】
質量%含有量(硬化触媒/コーティング剤不揮発分)は、例えば、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~5質量%が挙げられる。
【0180】
<有機溶媒>
コーティング剤は、任意で、有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0181】
有機溶媒は、例えば、アルコール溶媒等が挙げられる。
【0182】
アルコール溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。
【0183】
質量%含有量(有機溶媒/コーティング剤)は、例えば、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~60質量%が挙げられる。
【0184】
質量%含有量(有機溶媒/全溶媒)は、例えば、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~90質量%が挙げられ、より好ましくは、10質量%~90質量%が挙げられる。
【0185】
質量%含有量(アルコール以外の有機溶媒/コーティング剤)は、例えば、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~10質量%が挙げられる。
【0186】
不揮発分(コーティング剤)は、例えば、20質量%、19質量%、17質量%、15質量%、13質量%、11質量%、10質量%、9質量%、7質量%、5質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0.9質量%、0.5質量%、0.2質量%、0.1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記不揮発分は、好ましくは、0.1質量%~20質量%が挙げられる。
【0187】
<添加剤>
上記コーティング剤は、任意で、前記ポリマー、架橋剤、水、導電性高分子-ポリアニオン錯体、硬化触媒、有機溶媒のいずれにも該当しない剤(添加剤)を含み得る。
【0188】
添加剤は、例えば、バインダー、消泡剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、pH調整剤、酸化防止剤、顔料、染料、滑剤、レベリング剤、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリペンタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、イソプレン・ブタジエン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体、ポリオレフィン、シリコーン樹脂、アミン、カルボン酸無水物、長鎖アルキル基含有アルコール等が挙げられる。
【0189】
質量部含有量(添加剤/コーティング剤)は、例えば、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が挙げられる。
【0190】
質量部含有量(添加剤/前記ポリマー、架橋剤、水、導電性高分子-ポリアニオン錯体、硬化触媒、有機溶媒のいずれか1つ)は、例えば、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が挙げられる。
【0191】
コーティング剤の製造は、前記ポリマー、架橋剤、水並びに導電性高分子-ポリアニオン錯体、硬化触媒、有機溶媒及び添加剤が、分散・混合されることにより実施され得る。
【0192】
用途(コーティング剤)は、例えば、水系剥離コーティング剤、水系アンチブロッキングコーティング剤、水系帯電防止コーティング剤、水系熱硬化コーティング剤、水系熱硬化剥離コーティング剤、水系熱硬化アンチブロッキングコーティング剤、水系熱硬化帯電防止コーティング剤等が挙げられる。
【0193】
[硬化物]
本開示は、前記水系コーティング剤の硬化物に関する。
【0194】
1つの実施形態において、上記硬化物は、例えば、熱硬化物等が挙げられる。硬化条件は、例えば、後述の条件等が挙げられる。
【0195】
[積層物]
本開示は、前記硬化物を含む、積層物に関する。
【0196】
1つの実施形態において、積層物は、基材の片面又は両面にコーティング剤の硬化物を有する。
【0197】
積層物中の硬化物量は、好ましくは、0.01g/m~10g/mが挙げられ、より好ましくは、0.05g/m~5g/mが挙げられる。
【0198】
<基材>
基材は、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエポキシ樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。
【0199】
ポリエステルは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
【0200】
塗工方法は、例えば、スプレー、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ドットコーター等が挙げられる。
【0201】
硬化方法は、例えば、加熱等が挙げられる。
【0202】
加熱方法は、例えば、循風乾燥機等が挙げられる。乾燥(硬化)温度は、例えば、90℃~170℃等が挙げられる。乾燥時間は、例えば、30秒~2分等が挙げられる。
【実施例0203】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の説明及び以下の実施例は、本発明を限定する目的で記載されていない。本発明は、特許請求の範囲のみにより限定される。以下特に説明がない限り、部、%等の数値は、質量基準である。
【0204】
製造例1 ポリマー製造
撹拌器、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備え付けた5口フラスコに溶媒としてイソプロピルアルコールを138部加え、82℃に昇温した。ステアリルメタクリレート 20部、2-ヒドロキシルエチルメタクリレート 23部、アクリル酸 10部、メチルメタクリレート 47部、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル 0.5部を滴下後、82℃で10時間保温した。その後、室温まで冷却し、イソプロピルアルコール 12部を加え、不揮発分40%のポリマー溶液を得た。
【0205】
特段言及がない限り、他の例は、下記表のように変更した以外は、上記と同様にして行った。
【0206】
【表1】
【0207】
SMA:ステアリルメタクリレート
LA:ラウリルアクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
AA:アクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
【0208】
<酸価>
酸価は、下記式により算出した。
酸価=[(全仕込み単量体1g中のカルボキシ基含有単量体の仕込み質量×カルボキシ基含有単量体一分子が有するカルボキシ基の数)/カルボキシ基含有単量体の分子量]×56.11(KOHの分子量)×1000・・・(1)
【0209】
実施例1
製造例1のポリマー溶液 14.4部、架橋剤 2.2部、導電性高分子 63.3部、硬化触媒 0.09部、中和剤 0.64部、イソプロピルアルコール 525部、水 655部を混合して不揮発分0.7%の水系コーティング剤を得た。ポリエチレンテレフタレートフィルム(膜厚50μm 東レ(株)製「ルミラーT60」)に実施例及び比較例の水系コーティング剤をバーコータ#7を用いて乾燥後の理論膜厚が0.1μmになるように塗工した。次いで、塗工物を120℃で1分乾燥させることによって、積層物を得た。
【0210】
特段言及がない限り、他の例は、下記表のように変更した以外は、上記と同様にして行った。
【0211】
【表2】
【0212】
アンモニア水:28%アンモニア水
TEA:トリエチルアミン
アジリジン:製品名「ケミタイトPZ-33」、(株)日本触媒製、不揮発分100%
メラミン:製品名「サイメル303LF」、Allnex社製、不揮発分100%
オキサゾリン:製品名「エポクロスWS-300」、(株)日本触媒製、不揮発分10%
PEDOT-PSS:製品名「ORGACON ICP1010」、日本アグファ・マテリアルズ(株)製、不揮発分1.2%
EG:エチレングリコール
PTS:パラトルエンスルホン酸、不揮発分100%
IPA:イソプロピルアルコール
【0213】
<剥離力>
積層物に、ポリエステル粘着テープ(日東電工(株)製31Bテープ:25mm幅)を2kgのローラーで圧着させながら貼り合わせ、23℃で30分間保管した。次に、このテープを180°の角度で剥離速度0.3m/min.で引っ張り、剥離するのに要する力(mN/25mm)を測定した。
【0214】
<水接触角>
積層物表面の水接触角を接触角計(装置名:『接触角計 LSE-B100W』、(株)ニック製)を用いて、脱イオン水を1滴(約2μL)滴下してから1秒後の角度を測定した。
高接触角は、撥水性が高いことを示す。
【0215】
<外観>
目視にて水系コーティング剤の外観を確認した。
〇:凝集物なし
×:凝集物あり
【0216】
<耐溶剤性>
積層物表面を、エタノールに浸した綿棒で擦り、硬化物表面の外観が変化するまでの往復回数を測定することによって、該硬化膜の耐溶剤性を評価した。
〇:30回擦っても外観変化なし
△:2回~29回擦った際に外観変化がある
×:1回擦った際に外観変化がある
【0217】
評価例 表面抵抗率
下記条件において、積層物の塗工面の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。
抵抗率計:ハイレスターUP MCP-HT450、URプローブ((株)三菱ケミカルアナリテック製)
印加電圧:100V
温度:23℃
湿度:50%
【0218】
【表3】