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  • 特開-マンゴー葉抽出物配合飲料 図1
  • 特開-マンゴー葉抽出物配合飲料 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143782
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】マンゴー葉抽出物配合飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/62 20060101AFI20230929BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20230929BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20230929BHJP
   A23L 2/56 20060101ALI20230929BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
A23L2/00 L
A23L29/269
A23L2/38 C
A23L2/56
A23L2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037934
(22)【出願日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2022050969
(32)【優先日】2022-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松山 基輝
(72)【発明者】
【氏名】儘田 大
(72)【発明者】
【氏名】田中 愛理
【テーマコード(参考)】
4B041
4B117
【Fターム(参考)】
4B041LC07
4B041LC10
4B041LD01
4B041LD10
4B041LE08
4B041LH16
4B041LK02
4B041LK29
4B041LK32
4B041LK33
4B041LP01
4B041LP05
4B041LP17
4B041LP22
4B117LC04
4B117LC15
4B117LE10
4B117LG01
4B117LG18
4B117LK01
4B117LK13
4B117LL04
4B117LL09
4B117LP01
4B117LP14
4B117LP20
(57)【要約】
【課題】
本発明は、マンゴー葉抽出物配合飲料において、分散安定性が改善された飲料を提供することを目的とする。
【解決手段】
マンゴー葉抽出物及びジェランガムを含有することを特徴とする飲料。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンゴー葉抽出物及びジェランガムを含有することを特徴とする飲料。
【請求項2】
マンギフェリンの濃度が0.006~0.3w/w%である請求項1に記載の飲料。
【請求項3】
ジェランガムの濃度が0.01~1.0w/w%である請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項4】
マンギフェリン1質量部に対して、ジェランガムの量が0.05~20質量部である請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項5】
pHが1.0~7.0である請求項1又は2に記載の飲料。
【請求項6】
マンゴー葉抽出物を含む飲料の分散安定性及び/又は沈殿をジェランガムで改善する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンゴー葉抽出物配合飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デカフェ・カフェインレス(ゼロ)市場が拡大している(非特許文献1)。
カフェインは、覚醒作用や利尿作用などがあり、人によっては摂取量や体質により睡眠への影響等が広く知られている。これまで、妊娠中や授乳中の女性からの需要が市場の基盤となっていたが、カフェインを摂取する機会を減らして1日の総摂取量をコントロールしたいというニーズや質の良い睡眠をとるために夕方以降はカフェイン量の少ない飲料を飲みたいというニーズなど、新たな需要が広がっている。
【0003】
併せて、カフェイン代替素材の開発が進んでいる。その候補素材の1つとして、マンゴー(Mangifera indica L.)葉抽出物に、カフェイン類似作用が認められ、注目を集めている(非特許文献2)。しかしながら、マンゴー葉抽出物を飲料へ配合すると、分散安定性の悪い沈殿物を生じる。
【0004】
一方、ジェランガムやキサンタンガム、ペクチン、カラギーナン等の増粘多糖類は、成分を均一に安定化させる目的や粘りやとろみを付与する目的で飲食品に広く用いられている。例えば、ココア飲料の沈殿防止や、ドレッシングのとろみ付与のために配合されている。特許文献1には、植物成分含有飲料における固形分や非混和液状成分の分散性を向上、安定化させる技術として、ピルビン酸含量が1.2質量%以下のキサンタンガムを含有する分散安定剤が記載されており、水溶性ヘミセルロースやHMペクチン、ネイティブ型ジェランガム等の併用についても記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-237051
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】デカフェ飲料市場、日本能率協会総合研究所(2020)
【非特許文献2】食品と開発,Vol.54,No.2,P.99~105
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、マンゴー葉抽出物配合飲料において、分散安定性が改善された飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、マンゴー葉抽出物とともにジェランガムを配合することにより、マンゴー葉抽出物を含む飲料の分散安定性が改善されることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は
(1)マンゴー葉抽出物及びジェランガムを含有することを特徴とする飲料、
(2)マンギフェリンの濃度が0.006~0.3w/w%である(1)に記載の飲料、
(3)ジェランガムの濃度が0.01~1.0w/w%である(1)又は(2)に記載の飲料、
(4)マンギフェリン1質量部に対して、ジェランガムの量が0.05~20質量部である(1)~(3)のいずれかに記載の飲料、
(5)pHが1.0~7.0である(1)~(4)のいずれかに記載の飲料、
(6)マンゴー葉抽出物を含む飲料の分散安定性及び/又は沈殿をジェランガムで改善する方法、
である。
【発明の効果】
【0010】
マンゴー葉抽出物を含む飲料の分散安定性や沈殿が改善された飲料を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例8、比較例8-1、8-2、8-3におけるTurbiscan Stability Index(以下、TSIとも表記)の推移である。
図2】実施例9、比較例9におけるTSIの推移である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のマンゴー葉抽出物とは、ウルシ科マンゴー属であるマンゴー Mangifera indica L.の葉をそのまま、あるいは必要に応じて、乾燥、破砕、粉砕処理等を行った後に抽出することにより得られる。
抽出処理方法は、特に限定されず、例えば、エタノール等の有機溶媒や水またはそれらの混合物を用いた撹拌・振盪・浸漬抽出法や、減圧水蒸気蒸留抽出法等公知の抽出方法にて行えばよく、必要に応じて遠心処理、酵素処理(麹菌や黒麹菌などを基原とした酵素剤による処理)、カラム又はろ過(ストレーナーメッシュやメンブレンフィルターなどによるろ過)等により不溶物を除去してもよい。本発明におけるマンゴー葉抽出物は、抽出溶媒として逆浸透膜水、エタノールが用いられることが好ましい。上記のように抽出されて得られた抽出液を乾燥させて粉末の状態としても良く、販売されている市販品(Zynamite(登録商標)、Nektium Pharma S.L.製等)を用いてもよい。
【0013】
マンゴー葉抽出物の含有量は、本発明の飲料中、0.01~0.5w/w%が好ましく、0.03~0.36w/w%がより好ましく、0.03~0.24w/w%がさらに好ましく、0.03~0.16w/w%がよりさらに好ましい。なお、マンゴー葉抽出物には、通常、マンギフェリン(1、3、6、7-テトラヒドロキシキサントンC2-β-D-グルコシド)が含まれており、マンギフェリン含有量を飲料中マンゴー葉抽出物の含有量の指標としてもよい。マンギフェリンは、第十八改正日本薬局方の「白虎加人参湯エキス」に記載のマンギフェリン定量法を用いて定量することができる。マンギフェリンの含有量は、本発明の飲料中、0.006~0.3w/w%が好ましく、0.018~0.23w/w%がより好ましく、0.018~0.1w/w%がさらに好ましい。
【0014】
本発明におけるジェランガムとは、微生物(Sphingomonas elodea)が菌体外に産出する多糖類であり、増粘剤として広く利用されている。ジェランガムは直鎖状のヘテロ多糖類で、グルコース、グルクロン酸、グルコース、ラムノースの4糖の繰返し単位から構成されており、グルクロン酸由来のカルボキシル基を有している。ジェランガムには、1-3結合したグルコースに存在するアセチル基とグリセリル基の有無によって脱アシル型ジェランガムとネイティブ型ジェランガムの2種類がある。本発明では、いずれのジェランガムを用いてもよく、ネイティブ型ジェランガムが好ましい。ジェランガムは、市販品を用いることができ、例えば、CPケルコ社製ゲルザンCMジェランガム、ケルコゲルジェランガム、ケルコゲルFジェランガム、ケルコゲルHABジェランガム、ケルコゲルHMジェランガム、ケルコゲルLT100ジェランガム等が挙げられる。
【0015】
ジェランガムの含有量は、本発明の飲料中、0.01~1.0w/w%が好ましく、0.01~0.5w/w%がより好ましく、0.02~0.1w/w%がさらに好ましい。
【0016】
本発明の効果の観点から、マンゴー葉抽出物1質量部に対して、ジェランガムは0.1~10質量部が好ましく、0.36~5質量部がより好ましく、0.27~1.8質量部がさらに好ましい。また、マンギフェリン1質量部に対して、ジェランガムは0.05~20質量部が好ましく、0.1~10質量部がより好ましく、0.45~3質量部がさらに好ましい。
【0017】
本発明における飲料の粘度は、特に限定されず、飲料として経口可能であれば良い。飲みやすさの観点から、25℃における粘度が0.01~150mPa・sが好ましく、0.05~100mPa・sがより好ましく、0.1~80mPa・sがさらに好ましい。
【0018】
本発明における飲料のpHとは、特に限定されず、例えばpH1.0~7.0である。発明の効果の観点から、pH2.0~6.0が好ましく、更に、微生物抑制の観点から、pH2.5~4.0がより好ましい。本発明の飲料のpH調整には、通常使用されるpH調整剤を使用することができる。具体的なpH調整剤としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、アジピン酸、グルタミン酸、フマル酸等の有機酸及びそれらの塩類、塩酸等の無機酸、水酸化ナトリウムなどの無機塩基等が挙げられる。好ましくは、クエン酸、リンゴ酸、無機酸である。
【0019】
本発明の飲料は分散安定性が改善した飲料であるが、分散安定性は、種々の方法により評価できる。例えば、目視で沈殿量、濁り、液相分離度を評価する方法や、分析機器で動的光散乱、後方散乱光や透過光を測定して評価する方法がある。分析機器としては、例えば、液中分散安定性評価装置 Turbiscan Tower(Formulaction社製)を用いることができる。
【0020】
本発明の飲料は、常法により製造することができる。例えば、各成分をとり適量の精製水で溶解した後、pHを調整し、残りの精製水を加えて容量調製し、必要に応じてろ過処理を行い、加熱殺菌後、容器に充填する工程により製造することができる。本発明の飲料を炭酸飲料とする場合、例えば、各成分をとり適量の精製水で溶解した後、pHを調整し、残りの精製水を加えて容量調製し、必要に応じてろ過処理を行い、飲料原液を調製する。必要に応じてpHの調整や加熱殺菌をしてから冷却した後、二酸化炭素を圧入(カーボネーション)し、容器に充填して、加熱殺菌する工程により製造することができる。二酸化炭素含有量(ガスボリューム)は0.5~4.0であることが好ましい。前記ガスボリュームとは、標準状態(1気圧、20℃)において、溶媒である液体1に対しそれに溶けている二酸化炭素の体積比である。なお、炭酸飲料の製法には、プレミックス法とポストミックス法とがあるが、本発明においてはいずれを採用してもよい。殺菌としては、30~200℃の温度で、1秒~3時間の時間で、殺菌処理を行うことが望ましい。また、製造のし易さという観点や品質の良い製品を製造する(例えば、一定濃度の飲料を入手したり、均一に容器に充填したりする等)ためには、沈殿物は、1日程度の保存後も、少しでも少ないことが望ましい。
【0021】
本発明の飲料としては、特に限定されるものではなく、液体飲料、粉末飲料、ゼリー飲料、スムージー飲料、果汁や果肉を含む飲料、アイススラリーのような凍結飲料であって良く、医薬品、医薬部外品、又は食品(機能性表示食品や栄養機能食品、特定保健用食品も含む)であり得る。粉末飲料は、例えば、溶かして飲むタイプの飲料であり、粉末や顆粒等、固形状態に製剤化されたものであり得る。医薬品及び医薬部外品としては、例えば内服液剤、ドリンク剤等が挙げられる。食品としては、健康飲料、清涼飲料、炭酸飲料、スポーツ・機能性飲料、アルコール飲料、ノンアルコール飲料、乳飲料、茶飲料、コーヒー飲料、果実・野菜系飲料、ゼリー飲料等があげられ、特に液体飲料、ゼリー飲料に有用である。また、そのまま飲用可能である点で容器詰め飲料であることが好ましい。本発明の飲料を容器詰めとする場合、その容器は、特に限定されず、具体的には、ビン、缶、PETボトル、パウチ容器、紙パックなどが挙げられ、好ましくはビン、缶、PETボトル、パウチ容器である。容量についても特に限定されず、具体的には、50ml~500mlが好ましい。ゼリー飲料の場合は、10g~500gが好ましく、15~300gがより好ましく、30g~200gがさらに好ましい。また、振って飲用する飲料の場合、成分分散後、飲用している間(少なくとも数分程度、例えば5分)は分散状態を保っていること、すなわち分散安定性が良い方が、商品価値として高い飲料を提供するために望ましい。
【0022】
本発明の飲料にはその他の成分として、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸及びその塩類、生薬や生薬抽出物などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。
【0023】
さらに必要に応じて、酸味料、酸化防止剤、着色剤、香料、矯味剤、甘味料、保存料、調味料、苦味料、強化剤、可溶化剤、乳化剤、他の増粘剤などの添加物を本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。
【0024】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例0025】
(実施例1~7、比較例1~7)
飲料の調製:
下記表5~7に記載の処方及び次の方法に従い、飲料を調製した。まず、全量の70%程度の精製水にネイティブ型ジェランガム(商品名:ケルコゲルHM)を添加した。ジェランガムを溶解させるため、70℃10分加温溶解させた後、マンゴー葉抽出物(商品名:Zynamite(登録商標)、Nektium Pharma S.L.社製、マンギフェリン含量61.5%)を添加し十分に撹拌した。撹拌後、塩酸及び/又は水酸化ナトリウムを用いてpH調整し、精製水を加えて全量とし溶液を得た。得られた溶液をスクリュー管No.7((株)マルエム製)に50ml充填し、80℃25分の殺菌を行い、飲料を得た。コントロールとして、ジェランガムを配合しない飲料を得た。
【0026】
(実施例8、9、比較例8-1、8-2、8-3、9)
飲料の調製:
下記表8、9に記載の処方及び次の方法に従い、飲料を調製した。まず、全量の約70%の常温の精製水に、増粘剤(ジェランガム又はペクチン)を加熱溶解し、30℃以下まで冷却したのち、あらかじめ水に分散しておいたマンゴー葉抽出物(商品名:Zynamite(登録商標)、Nektium Pharma S.L.社製、マンギフェリン含量61.5%)を添加した。その後、精製水にて全量まで重量調整をし、十分に攪拌したのち、塩酸を用いてpH調整をした。得られた溶液をスクリュー管No.7((株)マルエム製)に49ml充填し、80℃25分の殺菌を行い、飲料を得た。コントロールとして、増粘剤を配合しない飲料を得た。上記増粘剤としてはネイティブ型ジェランガム(商品名:ケルコゲルHM)、HMペクチン(商品名:SM-666)を使用した。
なお、得られた飲料は振動式粘度計(東機産業株式会社製,VISCOMATE VM-100A)を用いて、粘度を測定した。各飲料をピペットで撹拌後、30mLビーカーに約20mL注ぎ、振動粘度計を浸したのち、1分間静置させ、室温時(24.1~24.7℃)における粘度を読み取った。
【0027】
<分散安定性の評価>
1)実施例1~8、比較例1~7、8-1、8-2、8-3の飲料について、コントロールを含め、手で振り沈殿を完全に分散させた。沈殿を完全に分散させた後、手で10回上下に振り、5分間静置後の底面の沈殿物を観察し、分散安定性の評価とした。ジェランガムを配合しない飲料(比較例1~7、比較例8-1)は、表1の評価基準に従って評価し、ジェランガム又はHMペクチンを配合した飲料(実施例1~8、比較例8-2、8-3)は、そのいずれも配合しない飲料をコントロールとし、表2の評価基準に従い評価した。評価は3名で行い一致した評価結果を記載した。
【0028】
2)実施例8、9、比較例8-1、8-2、8-3、9の飲料(以下、本評価に用いる飲料はサンプルとも表記)について、液中分散安定性評価装置 Turbiscan Tower(Formulaction社製、以下「評価装置」とも表記)を用いて、TSIを取得した。TSIは、分散安定性の変化度合いを示す値であり、評価装置は、指定範囲におけるサンプルの後方散乱光と透過光をスキャン(測定)し、それをもとにTSIを算出する。三洋貿易株式会社が発行している、この評価装置の取り扱い説明書(Ver1.4)には、TSIスケールについて、以下の記載があり、高いTSIはサンプルが不安定であることを示す。
TSI≦0.5:大きな変化なし、不可視領域。
0.5<TSI≦1.0:不安定化の初期、不可視領域。
1.0<TSI≦3.0:不安定度合いは弱い、可視/不可視領域。
3.0<TSI≦10.0:不安定、可視領域。
10.0<TSI:非常に不安定、可視領域。
【0029】
TSI取得方法は以下のとおりである。
スクリュー管No.7に充填した飲料を、ピペットを用いて十分に分散させ、Turbiscan Tower用アクセサリである20mLガラスボトルに底面から高さ約42mmになるよう投入した。その後、あらかじめ25.0℃に温度設定しておいた評価装置にすみやかにサンプルの入った20mLガラスボトルをセットし、後方散乱光と透過光の測定を24時間行い、同時にTSIを取得した。取得したTSIは、20mLガラスボトルの底面から8~13mm(指定範囲)の25℃における値であり、取得ポイントは、測定開始から24時間まで1時間毎とした。
【0030】
図1、2には取得ポイント毎に得られたTSIの推移、表8、9には、24時間後のTSIを示す。
図1において●は実施例8、■は比較例8-1、◆は比較例8-2、▲は比較例8-3を示す。図2において△は実施例9、×は比較例9を示す。図1図2ともに、横軸は評価装置による測定開始からの時間、縦軸は取得したTSIである。
表8、9のTSIは小数第2位を四捨五入し、小数第1位までとした。
【0031】
<沈殿の評価>
実施例1~8,比較例1~8-3について、コントロールを含め、室温で1日静置した。室温で1日静置後の底面の沈殿物を観察し、沈殿の評価とした。ジェランガムを配合しない飲料(比較例1~7、比較例8-1)は、表3の評価基準に従って評価し、ジェランガム又はHMペクチンを配合した飲料(実施例1~8、比較例8-2、8-3)は、そのいずれも配合しない飲料をコントロールとし、表4の評価基準に従い評価した。評価は3名で行い一致した評価結果を記載した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
表5に示す通り、マンゴー葉抽出物の配合量依存的に、1日静置後の沈殿が増え、分散安定性が悪くなった(比較例1~4)。また、pHが低いほど沈殿が増え、分散安定性が悪くなった(比較例5~7)。
【0038】
【表6】
【0039】
実施例1は比較例1を、実施例2-1、2-2、2-3は比較例2を、実施例3は比較例3を、実施例4は比較例4をコントロールとした。表6に示す通り、ジェランガムを配合することで、沈殿が顕著に改善され、分散安定性が顕著に向上することが明らかとなった(実施例1~4)。
【0040】
【表7】
【0041】
実施例5は比較例5を、実施例6は比較例6を、実施例7は比較例7をコントロールとした。表7に示す通り、pH2.5~6.0において、ジェランガムを配合することで、沈殿が顕著に改善され、分散安定性が顕著に向上することが明らかとなった(実施例5~7)。
【0042】
【表8】
【0043】
【表9】
【0044】
実施例8と比較例8-2、8-3は比較例8-1を、実施例9は比較例9をコントロールとした。表8に示す通り、ジェランガムを配合することで、沈殿が顕著に改善され、分散安定性が顕著に向上することが明らかとなった(実施例8)。また表8、表9、図1図2に示すTSIの測定値からもジェランガムを配合することで、分散安定性は顕著に向上することが明らかとなった(実施例8、9)。一方、HMペクチンの配合では、分散安定性の向上は示されなかった(比較例8-2、8-3)。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明により、分散安定性が良好なマンゴー葉抽出物含有飲料の提供が可能となり、医薬品、医薬部外品及び食品の分野において、服用性の優れた飲料を提供することが期待される。
図1
図2