(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143801
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】抗ライノウイルス剤
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20230928BHJP
A61K 36/54 20060101ALI20230928BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20230928BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20230928BHJP
A61K 36/53 20060101ALI20230928BHJP
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A61K 36/73 20060101ALI20230928BHJP
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A61K 36/47 20060101ALI20230928BHJP
A61K 36/736 20060101ALI20230928BHJP
A61K 36/9068 20060101ALI20230928BHJP
A61K 36/232 20060101ALI20230928BHJP
A61K 36/8962 20060101ALI20230928BHJP
A61K 36/31 20060101ALI20230928BHJP
A61K 36/752 20060101ALI20230928BHJP
A61K 36/82 20060101ALI20230928BHJP
A61K 36/87 20060101ALI20230928BHJP
A61K 36/35 20060101ALI20230928BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20230928BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20230928BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K36/54
A61K36/185
A61K36/48
A61K36/53
A61K36/49
A61K36/74
A61K36/73
A61K36/76
A61K36/47
A61K36/736
A61K36/9068
A61K36/232
A61K36/8962
A61K36/31
A61K36/752
A61K36/82
A61K36/87
A61K36/35
A61K31/19
A61P31/16
A23L2/00 F
A23L2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041585
(22)【出願日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2022050778
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久保田 瑞菜
(72)【発明者】
【氏名】今井 美菜子
(72)【発明者】
【氏名】谷川 瑛二
(72)【発明者】
【氏名】浅野 年紀
(72)【発明者】
【氏名】森戸 由紀子
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD61
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4C206MA77
4C206MA79
4C206NA14
4C206ZB33
(57)【要約】
【課題】
本発明の課題は、新規なライノウイルスに対する抗ウイルス剤、ライノウイルスに対する予防剤または治療剤を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、月桂樹エキス、トンカットアリエキス、ネムノキ樹皮エキス、トゥルシーエキス、栗渋皮エキス、コーヒーノキ種子エキス、月見草エキス、アロニアエキス、ヤナギ樹皮エキス、アカメガシワエキス、ターミナリアベレリカエキス、キョウニンエキス、ショウキョウエキス、シシウドエキス、ベニノキエキス、ねぎエキス、大根の葉エキス、じゃばら果実末、リンゴ果実エキス、緑茶エキス、ブドウ種子エキス、カシスエキス、黒豆種皮エキス、エルダーベリーエキス、およびグリチルリチン酸からなる群から少なくとも1種を有効成分とする抗ライノウイルス剤、である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
月桂樹エキス、トンカットアリエキス、ネムノキ樹皮エキス、トゥルシーエキス、栗渋皮エキス、コーヒーノキ種子エキス、月見草エキス、アロニアエキス、ヤナギ樹皮エキス、アカメガシワエキス、ターミナリアベレリカエキス、キョウニンエキス、ショウキョウエキス、シシウドエキス、ベニノキエキス、ねぎエキス、大根の葉エキス、じゃばら果実末、リンゴ果実エキス、緑茶エキス、ブドウ種子エキス、カシスエキス、黒豆種皮エキス、エルダーベリーエキス、およびグリチルリチン酸からなる群から少なくとも1種を有効成分とする抗ライノウイルス剤。
【請求項2】
トンカットアリエキスを有効成分とする、ライノウイルスの増殖抑制作用に基づく抗ライノウイルス剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載の抗ライノウイルス剤を含有する、抗ライノウイルス用である飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品、または化粧品。
【請求項4】
請求項1または2に記載の抗ライノウイルス剤を含有する、抗ライノウイルス用である、口腔内または鼻内適用剤。
【請求項5】
喉スプレー、鼻内スプレー、飴、チュアブル錠、顆粒剤、吸入器又はトローチである請求項4に記載の適用剤。
【請求項6】
請求項1または2記載の抗ライノウイルス剤を含有し、ライノウイルス感染症の予防または改善のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はライノウイルスに対する抗ウイルス剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ライノウイルスはピコルナウイルス科に属し、酸には弱く、鼻や喉などの上気道から感染し炎症を起こす。風邪症候群の原因の80~90%はウイルス感染であると考えられるが、そのうち成人が初秋に罹患する急性上気道感染症のおおよそ3分の2はライノウイルスが原因になっている(非特許文献1)。ライノウイルスの潜伏期間は1~2日程度であり、喉の痛み、鼻水、鼻づまりなどの症状を生じ、活動性や意欲などの健康関連QOLが低下することが考えられる(非特許文献2)。さらに、気管支喘息やCOPDなどの呼吸器疾患の重症化にも関与している(非特許文献3)。
【0003】
上記症状に対する治療薬としては、対処療法である解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、抗炎症剤などが用いられ、現在、市場には、ライノウイルスそのものに直接的な効果を持つ治療薬は存在しない。
【0004】
そこで、ライノウイルスに対する抗ウイルス剤、ライノウイルス感染症に対する予防や治療に使用することができる素材が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】永富 良一(2010)、デサントスポーツ科学、第31巻3号、3~11ページ
【非特許文献2】川名 林治(1970)、感染症学雑誌、第44巻8号、425~430ページ
【非特許文献3】山谷 睦雄(2007)、治療学、第41巻5号、503~506ページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新規な抗ライノウイルス剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは新たな抗ライノウイルス剤を見出すべく鋭意検討した結果、意外にも、月桂樹エキス、トンカットアリエキス、ネムノキ樹皮エキス、トゥルシーエキス、栗渋皮エキス、コーヒーノキ種子エキス、月見草エキス、アロニアエキス、ヤナギ樹皮エキス、アカメガシワエキス、ターミナリアベレリカエキス、キョウニンエキス、ショウキョウエキス、シシウドエキス、ベニノキエキス、ねぎエキス、大根の葉エキス、じゃばら果実末、リンゴ果実エキス、緑茶エキス、ブドウ種子エキス、カシスエキス、黒豆種皮エキス、エルダーベリーエキス、およびグリチルリチン酸が、抗ライノウイルス活性を有することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)月桂樹エキス、トンカットアリエキス、ネムノキ樹皮エキス、トゥルシーエキス、栗渋皮エキス、コーヒーノキ種子エキス、月見草エキス、アロニアエキス、ヤナギ樹皮エキス、アカメガシワエキス、ターミナリアベレリカエキス、キョウニンエキス、ショウキョウエキス、シシウドエキス、ベニノキエキス、ねぎエキス、大根の葉エキス、じゃばら果実末、リンゴ果実エキス、緑茶エキス、ブドウ種子エキス、カシスエキス、黒豆種皮エキス、エルダーベリーエキス、およびグリチルリチン酸からなる群から少なくとも1種を有効成分とする抗ライノウイルス剤、
(2)トンカットアリエキスを有効成分とする、ライノウイルスの増殖抑制作用に基づく抗ライノウイルス剤、
(3)(1)または(2)に記載の抗ライノウイルス剤を含有する、抗ライノウイルス用である飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品、または化粧品、
(4)(1)または(2)に記載の抗ライノウイルス剤を含有する、抗ライノウイルス用である、口腔内または鼻内適用剤、
(5)喉スプレー、鼻内スプレー、飴、チュアブル錠、顆粒剤、吸入器又はトローチである(4)に記載の適用剤、
(6)(1)または(2)記載の抗ライノウイルス剤を含有し、ライノウイルス感染症の予防または改善のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の抗ライノウイルス剤は、抗ライノウイルス作用を有する。本発明の抗ライノウイルス剤は、上気道関連疾患などのライノウイルス感染症の予防剤または治療剤として使用できる。また、本発明は、ライノウイルス感染症の拡大阻止、感染者の症状軽減のために有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に用いる月桂樹エキスはクスノキ科ゲッケイジュ属の葉に由来し、水またはエタノールなど食品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。
【0011】
本発明に用いるトンカットアリエキスはニガキ科ユリコマ属トンカットアリの根に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のトンカットアリエキスを使用することもできる。
【0012】
本発明に用いるネムノキ樹皮エキスは、マメ科ネムノキ亜科ネムノキ属ネムノキの樹皮に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のネムノキ樹皮エキスを使用することもできる。
【0013】
本発明に用いるトゥルシーエキスはシソ科メボウキ属カミメボウキの葉に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のトゥルシーエキスを使用することもできる
【0014】
本発明に用いる栗渋皮エキスは、ブナ科クリ属の果皮に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販の栗渋皮エキスを使用することもできる。
【0015】
本発明に用いるコーヒーノキ種子エキスはアカネ科コーヒーノキ属コーヒーノキの種子に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のコーヒーノキ種子エキスを使用することもできる
【0016】
本発明に用いる月見草エキスはアカバナ科マツヨイグサ属メマツヨイグサの種子に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販の月見草エキスを使用することもできる。
【0017】
本発明に用いるアロニアエキスはバラ科アロニア属の果実に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のアロニアエキスを使用することもできる
【0018】
本発明に用いるヤナギ樹皮エキスはヤナギ科ヤナギ属の樹皮に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のヤナギ樹皮エキスを使用することもできる。
【0019】
本発明に用いるアカメガシワエキスはトウダイグサ科アカメガシワ属の樹皮に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のアカメガシワエキスを使用することもできる
【0020】
本発明に用いるターミナリアベレリカエキスはシクンシ科モモタマナ属の果実に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のターミナリアベレリカエキスを使用することもできる。
【0021】
本発明に用いるキョウニンエキスはバラ科サクラ属アンズの種子に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のキョウニンエキスを使用することもできる。
【0022】
本発明に用いるショウキョウエキスはショウガ科ショウガ属ショウガの根茎に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のショウキョウエキスを使用することもできる。
【0023】
本発明に用いるシシウドエキスはセリ科シシウド属の根茎に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のシシウドエキスを使用することもできる。
【0024】
本発明に用いるベニノキエキスはベニノキ科ベニノキ属の種子に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のベニノキエキスを使用することもできる。
【0025】
本発明に用いるねぎエキスはヒガンバナ科ネギ属ネギの葉に由来し、乾燥葉の抽出エキスの形で使用される。本発明に用いる乾燥葉末としては、例えば乾燥刻み加工品を更に細かく粉砕した粉末状の乾燥品としてもよい。本発明に用いるネギエキスは、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のネギエキスを使用することもできる。
【0026】
本発明に用いる大根の葉エキスはアブラナ科ダイコン属ダイコンの葉に由来し、乾燥葉又は抽出エキスの形で使用される。本発明に用いる乾燥葉末としては、例えば乾燥刻み加工品を更に細かく粉砕した粉末状の乾燥品としてもよい。本発明に用いる大根葉エキスは、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販の大根葉エキスを使用することもできる。
【0027】
本発明に用いるじゃばら果実末は、ミカン科ミカン属じゃばらの果実に由来し、乾燥果実の形で使用される。本発明に用いる果実末としては、例えば乾燥刻み加工品を更に細かく粉砕した粉末状の乾燥品としてもよい。
【0028】
本発明に用いるリンゴ果実エキスは、バラ科リンゴ属リンゴの果実に由来する。本発明に用いる抽出原料となるリンゴの種類は、赤色リンゴ、黄色リンゴ等のいずれでもよく、例えば、ふじ、王林等が挙げられる。本発明に用いるリンゴ果実エキスは、水又はエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のリンゴ果実エキスを使用することもできる
【0029】
本発明に用いる緑茶エキスはツバキ科ツバキ属チャ(Camellia sinensis O.KZE)の葉に由来し、水またはエタノールなど食品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。
【0030】
本発明に用いるブドウ種子エキスは、ブドウ科からなる植物の種子に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のブドウ種子エキスを使用することもできる。
【0031】
本発明に用いるカシスエキスはユキノシタ科スグリ属フサスグリの1種で、和名ではクロフサスグリ(またはクロスグリ)の果実に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のカシスエキスを使用することもできる。
【0032】
本発明に用いる黒豆種皮エキスはマメ科ダイズ属黒大豆の種皮に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販の黒豆種皮エキスを使用することもできる。
【0033】
本発明に用いるエルダーベリーエキスはレンプクソウ科ニワトコ属の果実に由来し、水またはエタノールなど飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品または化粧品原料の製造に使用可能な溶媒や前記溶媒の混液により抽出したものを使用することができる。また、エキスの形態は特に制限されるものではなく、加熱処理、凍結乾燥あるいは減圧乾燥などの処理により、軟エキス、乾燥エキス末、エキス末なども使用することができる。さらに、市販のエルダーベリーエキスを使用することもできる。
【0034】
本発明の上記のエキス、果実末は、抗ライノウイルス作用を有することから、抗ライノウイルス剤として有用である。
【0035】
本発明に用いるグリチルリチン酸は、分子量C42H62O16 = 822.94であり、重量パーセントが99%以上からなる物質である。グリチルリチン酸は、抗ライノウイルス作用を有することから、本発明の抗ライノウイルス剤として有用である。
【0036】
本発明のエキス、果実末、およびグリチルリチン酸は、抗ライノウイルス作用を有するので、ライノウイルス感染症の予防剤または治療剤として使用できる。ライノウイルス感染症とは、ライノウイルスの感染によって引き起こされる上気道症状、具体的には例えば、喉の痛み、鼻水、鼻づまり等である。
【0037】
本発明の抗ライノウイルス剤は、そのままあるいは他の成分と混合し、飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品、化粧品、また試薬として使用できる。
【0038】
本発明における上記エキス、果実末、またはグリチルリチン酸の配合量は特に制限されるものではないが、化粧品、医薬部外品、医薬品、飲食品、衛生用品、または試薬で提供する場合、それぞれ組成物全体に対して0.000001~10質量%、好ましくは0.0001~5質量%、より好ましくは0.001~1質量%である。
【0039】
本発明の抗ライノウイルス剤は、飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品、化粧品、または試薬など、種々の態様で提供することが可能であり、かかる製品は抗ライノウイルス用として好適である。剤形としては、例えば喉、鼻内、口腔内、手指、マスク、衣類、インテリア用品などへのスプレー剤、うがい薬、練り歯磨き、マウスウォッシュ、ハンドソープ、喉飴、チューインガム、咳止めドロップ、トローチの形態とすることが好ましい。ライノウイルスは鼻や喉などの上気道から感染しやすいため、特に喉、鼻内、また口腔への適用剤が好ましい。
【0040】
本発明において、抗ライノウイルス用とは、ライノウイルス感染症の治療またはライノウイルス感染症の症状軽減または改善、ライノウイルスの感染予防、ライノウイルスの不活化、ライノウイルスの増殖抑制なども含まれる。また、抗ライノウイルス用であることは、製品名、製品の本体、容器または包装への表示、あるいは商品に関するポスターやテレビCM、インターネットを含む宣伝のために用いられる広告、店頭POP、説明会などでの説明などにより判断することができる。また、本発明の抗ライノウイルス剤、抗ライノウイルス剤を含む飲食品、医薬品、医薬部外品、衛生用品、化粧品、およびこれらの説明書は、抗ライノウイルス用、ライノウイルスの不活化、またはライノウイルス増殖抑制のために用いられる旨の表示、ライノウイルスによる感染予防のために用いられる旨の表示を付したものであり得る。
【0041】
投与形態としては、特に限定されるものではないが、飲食品が好ましい。飲食品として使用する場合の剤形としては、カプセル剤、散剤、タブレット剤、飴剤、シロップ剤、顆粒剤、吸入器等が挙げられる。これらは、公知の方法で製造することができる。製造に際しては、本発明の効果を損なわない範囲で、飲食品に含有可能な種々の添加物を配合することができる。
【実施例0042】
以下に、実施例および試験例を記載し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。
【0043】
抗ウイルス作用を評価する試験方法は、ウイルスを直接不活化するかを評価する不活化試験やウイルスが細胞内で増殖することを抑制するかを評価する増殖抑制試験等がある。本試験では、より広い抗ウイルススペクトルを獲得するため、不活化試験と増殖抑制試験を組み合わせた試験系を用いて抗ウイルス作用を評価した(試験例1の抗ウイルス作用試験)。本試験系から得られた抗ウイルス素材については、不活化作用、増殖抑制作用またはそのどちらもの作用を有することが示唆される。増殖抑制試験を追加で実施することによって、本試験系でヒットした素材で増殖抑制作用がないものについてはウイルス不活化による作用であることを示唆することができる。
【0044】
(試験品の調製)
使用した試験品を以下に示す。
月桂樹エキス:商品名「ローレッシュ」(常磐植物化学研究所製)。主指標成分としてデアセチルラウレノビオリドを1.0%以上含有する。
トンカットアリエキス:トンカットアリの根の水抽出エキス。主指標成分としてユーリコマノンを0.8%以上含有する。
ネムノキ樹皮エキス:ネムノキの樹皮を水分量が10%以下になるように抽出し、得られたエキス。
トゥルシーエキス:トゥルシーの葉抽出エキス。主指標成分としてウルソール酸を2.0~5.0%含有する。
栗渋皮エキス:栗の渋皮の抽出エキス。主指標成分として総ポリフェノールを20%以上含有する。
コーヒーノキ種子エキス:コーヒーノキ種子の含水エタノール抽出エキス。主指標成分としてクロロゲン酸を24.0%以上かつクロロゲン酸類を45.0%以上含有する。
月見草エキス:月見草の種子の含水エタノール抽出エキス。主指標成分として没食子酸骨格を有するポリフェノール類を60%以上含有する。
アロニアエキス:アロニアの果実の含水エタノール抽出エキス。主指標成分としてアントシアニンを35%以上含有する。
ヤナギ樹皮エキス:ヤナギの樹皮または枝の含水エタノール抽出エキス。主指標成分としてサリシンを15%以上含有する。
アカメガシワエキス:アカメガシワの樹皮の水抽出エキス。主指標成分としてベルゲニンを約10%含有する。
ターミナリアベレリカエキス:ターミナリアベレリカ果実の抽出エキス。主指標成分としてポリフェノールを35%以上含有する。
キョウニンエキス:アンズの種子の30%エタノール抽出エキス。
ショウキョウエキス:生姜の根茎の水抽出エキス。
シシウドエキス:シシウドの根茎の水抽出エキス。主指標成分としてオストール0.07%以上含有する。
ベニノキエキス:ベニノキの葉の含水エタノール抽出エキス。
ねぎエキス:ネギの葉末の水抽出エキス。
大根の葉エキス:大根の葉末の水抽出エキス。
じゃばら果実末:主指標成分としてナリルチンを含有する。
リンゴ果実エキス:リンゴ果実の水抽出エキス。主指標成分としてポリフェノールの一つであるフロリジンを5%以上含有する。
緑茶エキス:商品名「ティアカロン90S」(常磐植物化学研究所)。チャの葉より、含水アルコールで抽出したものである。主指標成分として、EGCGを40%以上含有する。
ブドウ種子エキス:ブドウ種子の抽出エキス。主指標成分としてプロアントシアニジンを80%以上含有する。
カシスエキス:カシスの果実の抽出エキス。主指標成分としてアントシアニンを35%以上含有する。
黒豆種皮エキス:黒豆の種皮の抽出エキス。主指標成分としてアントシアニンを10%以上含有する。
エルダーベリーエキス:エルダーベリーの果実の浸透膜ろ過法による抽出エキス。主指標成分としてアントシアニンを10%以上含有する。
グリチルリチン酸:富士フィルム和光純薬株式会社製。
【0045】
上記試験品を蒸留水またはDMSOで100mg/mLとなるように溶解し、蒸留水で20倍希釈し細胞毒性試験の原液とした。この液を蒸留水で2倍段階希釈して試験用試料とした。
【0046】
(細胞毒性確認試験)
ウイルス感染用細胞であるHeLa細胞をあらかじめ96ウエルプレートに播種して37℃のCO2インキュベータで1日間培養した。培養後、上清を除き細胞維持培地0.1mLに交換した。細胞毒性確認用試料の原液および2倍段階希釈した試験試料を加え、CO2インキュベータで培養した。培養後、5%クリスタルバイオレット加メタノールを1ウエル当たり0.1mL加え、室温で15分間静置して細胞を染色した。染色後、水道水で各ウエルを洗浄して風乾後、エタノールを各ウエルに0.05mL加え、クリスタルバイオレットを溶出した後、マイクロプレートリーダーで700nmを参照波長として585nmの吸光度を測定した。試験は、n=3(ウエル)で実施し、PBSの生細胞率を100%として各試験品を添加して培養した細胞の生細胞率を算出した。
試験品の細胞毒性は、以下の式(1)により求めた生細胞率を基準値とし、基準値以上を細胞毒性なしと判定した。
式(1) 基準値=100-(PBSの生細胞率の標準偏差×2)
【0047】
試験例1:抗ウイルス作用試験
(ウイルス液の調製)
ウイルスをHeLa細胞に感染させ、細胞培養面積の約90%以上が細胞変性効果(CPE:cytopathic effect)を示したとき、細胞と培養液を回収し、‐30℃に凍結保存した。その後、凍結融解操作を行い、3000×gで10分間遠心した上清をKvic Lab Packet 100 KDで濃縮したウイルス液を、保存ウイルス液として‐80℃に保存した。試験では、PBSおよびEMEMで希釈して用いた。
(プラーク形成抑制試験)
細胞毒性確認試験の結果を基に、ウイルス感染細胞に毒性を示さなかった最高濃度の110倍の濃度になるよう試験品を溶解した後、蒸留水で5倍に希釈した液を調製した。
試験品1.0mLに1.0×104PFU/mLとなるよう調製したウイルス液0.1mLを加え試験管ミキサーで攪拌した後、25℃の恒温槽内で1時間静置した。1時間作用後、EMEMで20倍に希釈し、プラーク形成抑制試験試料とした。なお、陽性対照として、Pirodavirを用いた。陰性対照として、各種溶媒(水、DMSO)をプラーク形成抑制試験試料と同濃度になるように作製し用いた。HeLa細胞をあらかじめ6ウエルプレートに播種して37℃のCO2インキュベータで1~4日間培養した。ウイルスを接種する前に、培養上清を除き新しい細胞維持培地に交換した。次いで、プラーク形成抑制試験試料0.2mLを各ウエルに接種し、37℃で1時間細胞に感染させた。ウイルス接種後、乾燥の防止とウイルスを細胞にムラなく接触させるため、プレートを15分ごとにティルティングした。1時間後、プラーク形成用培地を1ウエルあたり4mL加えた。アガロースを固化させた後、CO2インキュベータで培養した。培養後、各ウエルに4%ホルマリン加PBS2mL(ホルマリン/PBS)を加え室温で1時間静置した。1時間後、各ウエルのホルマリン/PBSおよびアガロースを除去し、1%クリスタルバイオレット、5%メタノール加PBS 1mLを添加して室温で10分程度間静置し、細胞を染色した。水道水で洗浄後、風乾してウイルスの増殖により形成されたプラーク数を計測した。
(判定)
プラーク形成抑制活性は、試験品の各溶媒(水、DMSO)のプラーク数の平均値(A)および各試験品を添加した際に形成されたプラーク数(B)から、抑制率を算出した。式(2)を以下に示す。なお、プラーク形成数が0の試験品は便宜的にプラーク形成抑制率100%として表記した。本試験においては、プラーク形成抑制率が50%以上の試験品を抗ライノウイルス作用ありと判定した。
式(2) プラーク形成抑制率(%)=(1-(A÷B))×100
結果を表1に示す。
【0048】
【0049】
表1から、月桂樹エキス、トンカットアリエキス、ネムノキ樹皮エキス、トゥルシーエキス、栗渋皮エキス、コーヒーノキ種子エキス、月見草エキス、アロニアエキス、ヤナギ樹皮エキス、アカメガシワエキス、ターミナリアベレリカエキス、キョウニンエキス、ショウキョウエキス、シシウドエキス、ベニノキエキス、ねぎエキス、大根の葉エキス、じゃばら果実末、リンゴ果実エキス、緑茶エキス、ブドウ種子エキス、カシスエキス、黒豆種皮エキス、エルダーベリーエキス、およびグリチルリチン酸は抗ライノウイルス作用を有することが分かった。
【0050】
試験例2:ウイルス増殖抑制作用の測定
(試験品の調製)
試験例1:細胞毒性試験の結果を基に試験品を溶媒(水、DMSO)で試験濃度の100倍濃い濃度になるように調製した後、試験品を溶解した溶媒で5倍および25倍希釈した試料を調製した。調製した液は、プラーク形成用培地に1/100加えて試験に用いた。
なお、試験品はトンカットアリエキス、ネムノキ樹皮エキス、栗渋皮エキス、コーヒーノキ種子エキス、ターミナリアベレリカエキスを用いた。
(プラーク形成抑制試験)
HeLa細胞をあらかじめ6ウエルプレートに播種して37℃のCO2インキュベータで1~4日間培養した。ウイルスを接種する前に、培養上清を除き新しい細胞維持培地に交換した。約500PFU/mLに調整したウイルス液を各ウエルに0.2mL接種した後、37℃で1時間細胞に感染させた。ウイルス接種後、乾燥の防止とウイルスを細胞にムラなく接触させるため、プレートを15分ごとにティルティングした。1時間後、ウイルス液を除き、EMEM 2mLで各ウエルの細胞を洗浄後、試験品を添加したプラーク形成用培地を1ウエルあたり4mL加えた。アガロースを固化させた後、CO2インキュベータで培養した。培養後、各ウエルに4%ホルマリン加PBS 2mL(ホルマリン/PBS)を加え室温で1時間静置した。1時間後、各ウエルのホルマリン/PBSおよびアガロースを除去し、1%クリスタルバイオレットおよび5%メタノール加PBS 1mLを添加して室温で10分程度間静置し、細胞を染色した。水道水で洗浄後、風乾してウイルスの増殖により形成されたプラーク数を計測した。なお、陽性対照として、Pirodavirを用いた。陰性対照として、各種溶媒(水、DMSO)をプラーク形成抑制試験試料と同濃度になるように調製し用いた。
(判定)
本試験においては、プラークサイズから抗ウイルス作用を判定した。
結果を表2に示す。
【0051】
【0052】
プラークサイズの減少が見られたトンカットアリエキスは、ライノウイルスの増殖を抑制する作用を有することが分かった。よって、トンカットアリエキスは、喉飴、チューインガム、咳止めドロップ、トローチ、喉、鼻内、口腔内への適用剤として提供するのに適する。
【0053】
ネムノキ樹皮エキス、栗渋皮エキス、コーヒーノキ種子エキス、ターミナリアベレリカエキスは、ライノウイルスの増殖を抑制する作用は見られなかったので、これら4つのエキスについては、ライノウイルスの不活化作用を有することが示唆された。よって、これらは喉、鼻内、口腔内、手指、マスク、衣類、インテリア用品などへのスプレー剤、うがい薬、練り歯磨き、マウスウォッシュ、ハンドソープなどの外用用途として提供するのに適する。
本発明のライノウイルスに対する抗ウイルス剤は、飲食品、医薬部外品、医薬品、衛生用品の分野に利用可能である。さらに、本発明の抗ライノウイルス剤は、素材スクリーニング等を行なうに際し、陽性対照薬として用いることができる。