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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143805
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】硬化塗膜及び被塗物
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20230928BHJP
   C09D 5/03 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D5/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042170
(22)【出願日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2022049166
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 篤史
(72)【発明者】
【氏名】中大路 裕貴
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038DD041
4J038EA001
4J038KA03
4J038KA04
4J038KA08
4J038MA02
4J038NA01
4J038PA02
4J038PC02
(57)【要約】
【課題】被塗物の色調を生かした自然な濃淡による意匠性の付与が可能である、硬化塗膜を提供すること。
【解決手段】塗料組成物を硬化してなる硬化塗膜であって、着色顔料と、樹脂と、を含み、硬化塗膜における着色顔料の濃度は0.05~0.15質量%であり、硬化塗膜の面内における膜厚差は、10μm以上である、硬化塗膜。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料組成物を硬化してなる硬化塗膜であって、
着色顔料と、樹脂と、を含み、
前記硬化塗膜における前記着色顔料の濃度は0.05~0.15質量%であり、
前記硬化塗膜の面内における膜厚差は、10μm以上である、硬化塗膜。
【請求項2】
前記硬化塗膜の最低塗膜厚は、30μm以上である、請求項1に記載の硬化塗膜。
【請求項3】
前記塗料組成物は、粉体塗料組成物である、請求項1又は2に記載の硬化塗膜。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の硬化塗膜が表面に形成された被塗物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硬化塗膜及び被塗物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被塗物の色調を隠蔽できるとともに、基材に対する密着性や耐薬品性、耐水性、屈曲性及び外観に優れた塗膜に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-107494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているように、被塗物の表面に塗料組成物によって塗膜を形成し意匠性を付与しようとする場合、被塗物である基材の色調を、塗膜自体が有する色調によって完全に隠蔽することが従来行われていた。ところで、近年においては、例えば建造物やその内装に塗料組成物によって意匠性を付すような場合、自然との調和性やユーザが寛げるような外観を有する意匠が要求される場合がある。このような意匠として、本発明者らは、基材の色調を生かしつつ自然な濃淡を表現することで、上記ユーザの要求に適合する意匠の実現を試みた。しかし、従来の技術では、塗料組成物によって形成される塗膜により、被塗物である基材の色調が隠蔽されてしまうため、上記課題を解決することは困難だった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、被塗物の色調を生かした自然な濃淡による意匠性の付与が可能である、硬化塗膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、塗料組成物を硬化してなる硬化塗膜であって、着色顔料と、樹脂と、を含み、前記硬化塗膜における前記着色顔料の濃度は0.05~0.15質量%であり、前記硬化塗膜の面内における膜厚差は、10μm以上である、硬化塗膜に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<硬化塗膜>
本実施形態に係る硬化塗膜は、塗料組成物を硬化させてなる。硬化塗膜は、着色顔料と、樹脂と、を含む。
【0008】
(着色顔料)
本実施形態に係る硬化塗膜に含まれる着色顔料としては、特に限定されず、公知の着色顔料を用いることができる。着色顔料としては、無機系顔料であってもよく、有機系顔料であってもよい。無機系顔料としては、例えば、酸化チタン、黄色酸化鉄、チタン黄、ベンガラ等が挙げられる。有機系顔料としては、例えば、シアニンブルー、シアニングリーン、パーマネントエローFGL、パーマネントレッドF5RK、カルバゾール、キナクリドンレッド、カーボンブラック等が挙げられる。
【0009】
(樹脂)
本実施形態に係る硬化塗膜に含まれる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0010】
[ポリエステル樹脂]
ポリエステル樹脂は、カルボン酸と多価アルコールとを反応させて得られる高分子化合物であり、常温で固体状の樹脂である。その軟化点は、100~150℃のものが好ましい。
【0011】
ポリエステル樹脂の製造に用いることのできるカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,2-オクタデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸、これらの多価カルボン酸の低級アルキルエステル及びその無水物、あるいはリンゴ酸、酒石酸、1,2-ヒドロキシステアリン酸、パラオキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等を挙げることができる。
【0012】
ポリエステル樹脂の製造に用いることのできる多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、1,10-デカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
【0013】
[エポキシ樹脂]
エポキシ樹脂は、常温で固体状の樹脂である。その軟化点は、50~150℃のものが好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、特に限定されず、公知のエポキシ樹脂を使用することができる。
【0014】
エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル樹脂、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル樹脂、アミノグリシジルエーテル樹脂、ビスフェノールAD型ジグリシジルエーテル樹脂、ビスフェノールZ型ジグリシジルエーテル樹脂、O-クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、ビフェノールグリシジルエーテル樹脂、シクロペンタジエン骨格エポキシ樹脂、ナフタレン骨格エポキシ樹脂、GMAアクリル樹脂等が挙げられる。更に、上記の樹脂の置換基を他の置換基に置き換えた樹脂、例えば、CTBNやエステル化等の変成を行った樹脂も制限なく使用することができる。
【0015】
[フッ素樹脂]
フッ素樹脂は、1種又は2種以上の含フッ素モノマーを重合(又は共重合)して得られる含フッ素(共)重合体であり、特に限定されない。
【0016】
フッ素樹脂を形成する含フッ素モノマーとしては、例えば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、(パー)フルオロアルキルトリフルオロビニルエーテル((パー)フルオロアルキル基の炭素数は、1~18個である。)等が挙げられる。
【0017】
フッ素樹脂は、上記の含フッ素モノマーと、上記の含フッ素モノマー以外の重合性モノマーとを共重合させたものであってもよい。上記含フッ素モノマー以外の重合性モノマーとしては、ビニルエーテル類、オレフィン類、アリルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類等が挙げられる。
【0018】
フッ素樹脂は、硬化剤等と反応する反応性部位を有していてもよく、上記含フッ素モノマーや含フッ素モノマー以外の重合性モノマーと共に、反応性基含有モノマーを共重合させて得られる共重合体であってもよい。上記反応性基としては、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、ニトリル基、グリシジル基、イソシアネート基等の官能基が挙げられる。これらの中でも、反応性基として水酸基を含有する水酸基含有モノマーを含フッ素モノマー等と共重合させて得られる、水酸基含有フッ素樹脂を用いることが、樹脂の安定性や溶融粘度の制御等の点から好ましい。
【0019】
本実施形態に係る樹脂は、上記例示した樹脂のうち1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記樹脂は、架橋反応により化学結合を形成する硬化剤により硬化される。上記硬化剤としては、特に限定されず、ブロックイソシアネート等の公知の硬化剤を用いることができる。
【0020】
(その他の成分)
本実施形態に係る硬化塗膜は、上記以外に、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、特に限定されず、例えば、可塑剤、硬化促進剤、架橋促進触媒、表面調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、流動性調整剤、垂れ防止剤、消泡剤等が挙げられる。
【0021】
(硬化塗膜における着色顔料の含有量)
硬化塗膜における着色顔料の濃度は0.05~0.15質量%である。上記着色顔料の濃度は、意匠性と塗膜性能とのバランスを考慮すると、0.05~0.075質量%であることが好ましい。
【0022】
(硬化塗膜の膜厚)
硬化塗膜は、硬化塗膜が形成される被塗物の塗装面内における、最低塗膜厚と最大塗膜厚との差である膜厚差が10μm以上である。上記膜厚差は、10~30μmであることが好ましい。
【0023】
本実施形態に係る硬化塗膜の最低塗膜厚は、30μm以上であることが好ましい。最低塗膜厚は、48~170μmであることがより好ましい。本実施形態に係る硬化塗膜の最低塗膜厚が200μmを超えると、液体塗料組成物により塗布を行う場合に塗料の垂れが発生する場合がある。同様に粉体塗料組成物により塗布を行う場合に、静電引力が塗料粒子に届かなくなり、硬化塗膜の塗着が不十分になる等の不具合を生じる可能性がある。
【0024】
硬化塗膜における着色顔料の濃度が0.05~0.15質量%であり、かつ上記膜厚差が10μm以上であることで、透過性が高く被塗物の色調を生かすことができる硬化塗膜を形成でき、かつ均一ではない自然な濃淡による意匠を実現できる。更に、硬化塗膜の最低塗膜厚を30μm以上とすることで、被塗物の質感や風合いを併せ持った意匠を実現できる。
【0025】
<塗料組成物>
塗料組成物は、上記着色顔料と、上記樹脂と、を少なくとも含み、任意に上記例示した硬化剤、添加剤等を含んでいてもよい。塗料組成物としては、上記含有成分を有機溶媒等の溶媒に溶解又は分散させたものを用いることができる。しかし、塗料組成物は、溶媒を含有しない粉体塗料組成物であることが、硬化塗膜の形成時に揮発分が発生せず環境影響を低減できることから好ましい。更に、粉体塗料組成物は、硬化塗膜の面内における膜厚差が10μm以上となるように容易に硬化塗膜を形成できるため、好ましく用いられる。
【0026】
<被塗物>
本実施形態による塗料組成物によりその表面に硬化塗膜が形成される被塗物としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム、鉄、亜鉛、マグネシウム及びこれらの合金により形成される基材が挙げられる。これらの基材は、素地調整がされていてもよい。素地調整としては、特に限定されないが、前処理工程、染色工程、クリヤー塗装工程等を含んでいてもよい。上記前処理工程としては、バフ研磨、化学研磨、ブラスト処理、マット処理、ヘアライン加工、エッチング処理等の工程が挙げられる。上記染色工程としては、例えば、陽極酸化処理(アルマイト処理)や化学研磨、ブラスト処理等を行った後の基材を染料等の着色剤に浸漬させ、その後に任意で封孔処理を行う工程が挙げられる。上記クリヤー塗装工程としては、任意のクリヤー樹脂を基材表面に塗工して硬化させ、基材表面にクリヤー塗膜を形成する工程が挙げられる。上記例示した工程は、複数を組み合わせてもよい。
【0027】
<硬化塗膜の形成方法>
硬化塗膜の形成方法としては、特に限定されず、塗料組成物の種類に応じた公知の形成方法を適用できる。例えば、塗料組成物が粉体塗料組成物である場合、公知の静電塗装法、流動浸漬塗装法等により粉体塗料組成物を被塗物に塗装した後、所定の温度で焼き付けることにより、被塗物の表面に硬化塗膜を形成できる。塗料組成物が溶媒を含む塗料組成物である場合、塗装方法としては、エアスプレー、エアレススプレー、刷毛塗り、ローラー塗装、浸漬塗装等の公知の方法を用いることができ、その後に所定の温度で焼き付ける等の塗膜硬化工程を経ることで、被塗物の表面に硬化塗膜を形成できる。上記以外に、硬化塗膜の形成方法としては、シート状の硬化塗膜を別途作成し、基材表面に貼り付ける方法が挙げられる。
【0028】
塗料組成物が粉体塗料組成物である場合、特に追加の工程を要さず、硬化塗膜の面内における膜厚差を10μm以上にすることができるため好ましい。塗料組成物が溶媒を含む塗料組成物である場合、硬化塗膜の面内における膜厚差を10μm以上にするための工程を別途設けてもよい。上記工程としては、例えば、塗料組成物の硬化時に微細な凹凸が形成された型を用いて、上記凹凸形状を硬化塗膜表面に転写する工程や、硬化塗膜の形成後に、ブラスト処理等の方法により硬化塗膜の表面に凹凸を形成する工程が挙げられる。
【0029】
以上、本開示の実施形態に係る硬化塗膜について説明した。しかし、本開示は上記の実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。
【実施例0030】
以下、実施例に基づいて本発明の内容を更に詳細に説明する。本発明の内容は以下の実施例の記載に限定されない。
【0031】
<塗料組成物(粉体塗料組成物)の作成>
表1に記載した各原料を用いて、P-1~P-7の粉体塗料組成物を作成した。具体的な手順としては、顔料以外の各原料を混合した後、溶融混錬し、得られた混錬物を冷却後に微粉砕し、分級する工程を経て、各粉体塗料組成物を作成し、粉体状の生成物を得た。その後、表1に記載した顔料を混合して再度、上記同様の溶融混錬、冷却、微粉砕、及び分級工程を経て、各粉体塗料組成物を作成した。表1に示す各原料の含有量を示す数字は、特に断りのない限り質量部を意味する。
【0032】
【表1】
【0033】
表1に示す各原料の詳細は以下に示す通りである。ポリエステル樹脂(水酸基含有ポリエステル樹脂):ユピカコートGV570/日本ユピカ社製、カーボンブラック:MA100/三菱化学社製、ベンガラ:TODA COLOR 160ED/戸田工業社製、ブロックイソシアネート(ε-カプロラクタムブロックイソシアネート):VESTAGON B1530/エボニック・デグサ社製、表面調整剤:Resiflow P-67/ESTRON社製、IRGAFOS 168/BASF社製、ベンゾイン/和光純薬工業社製
【0034】
<試験板の作製>
板厚1.5mmのアルマイト処理アルミ板を被塗物とし、以下の表2に示す素地調整方法にてそれぞれ素地調整した。その後、アルミ板を鉛直方向に吊り下げ、コロナ帯電式静電粉体塗装機を用いて-90kVの電圧で狙いの膜厚となるように静電塗装し、電気炉にて180℃×30分の条件で焼き付けて溶融・硬化を行い、そのまま室温になるまで放冷して各実施例及び比較例に係る試験板を作製した。
【0035】
【表2】
【0036】
<試験板の作製条件1>
被塗物の素地調整方法を表2に示すA-1の条件とし、表1に示す各粉体塗料組成物を用いて、表3に示す塗膜厚の条件で各実施例及び比較例に係る硬化塗膜を形成した。
【0037】
【表3】
【0038】
<試験板の作製条件2>
表1に示す粉体塗料組成物のうち、P-3を用いて、被塗物の素地調整方法を表2に示す各方法として、表4に示す塗膜厚の条件で各実施例及び比較例に係る硬化塗膜を形成した。
【0039】
【表4】
【0040】
[意匠性評価]
各実施例及び比較例に係る試験板の外観を目視にて以下の評価基準により判定し、A及びBを合格とした。結果を表3及び表4に示した。なお、以下の評価基準における「濃淡」とは、下地が透けることを含む表現であり、「淡」とは、「濃」の部分と比較して下地がより透けていることを意味する。
A:濃淡が強く表現されている
B:濃淡がやや強く表現されている
C:濃淡が弱い
【0041】
[塗膜性能評価]
各実施例及び比較例に係る試験板の塗膜性能を、以下に示す付着性試験及び耐おもり落下性試験により評価し、以下の評価基準により判定し、A及びBを合格とした。結果を表3及び表4に示した。
【0042】
(付着性試験)
JIS K 5600-5-6(クロスカット法)に準拠し、各実施例及び比較例に係る試験板上に形成された硬化塗膜を1mm間隔25マスで碁盤目にカットし、粘着テープ貼付後のテープ剥離によって塗膜の剥離が生じるかどうかを評価した。付着性試験の評価基準を以下に示す。分類0が最も良好な付着性試験結果を示す。
分類0:どの格子の目もはがれない
分類1:カットの交差点における塗膜の小さなはがれがあるが、はがれた面積は明確に5%を上回らない
分類2:塗膜がカットの線に沿って、交差点においてはがれている。はがれた面積は5%以上15%未満
分類3:塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的にはがれている。はがれた面積は15%以上35%未満
分類4:塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的に大きくはがれている。はがれた面積35%以上65%未満
分類5:分類4以上にはがれが生じている。
【0043】
(耐おもり落下性試験)
JIS K5600-5-3(デュポン式)に準拠し、撃心1/2吋φ、500gのおもりで落下高50cmに対する塗膜の抵抗性について、塗膜の割れの有無により評価した。
【0044】
(評価基準)
A:付着性試験において分類2以上の良好な付着性を満足し、かつ耐おもり落下性試験において塗膜の割れがない
B:付着性試験において分類2以上の良好な付着性を満足するが、耐おもり落下性試験において塗膜の割れがある
C:付着性試験において分類2以上の良好な付着性を満足せず、耐おもり落下性試験において塗膜の割れがある
【0045】
表3及び表4に示すように、各実施例に係る硬化塗膜は、被塗物の色調を生かした自然な濃淡による好ましい意匠性、及び塗膜性能を有する結果が明らかである。