(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143811
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】電動の自転車の駆動部を制御する方法および対応する装置
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20230928BHJP
【FI】
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023042707
(22)【出願日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】10 2022 202 982.8
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】バウムガートナー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マネバルト,メルリン マーティン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】足漕ぎプロセスの終了後の、電動の自転車の駆動部による好適な後押しを提供する。
【解決手段】本発明は、電動の自転車の駆動部を制御する方法であって、第1の駆動出力であって、電動の自転車(1)の運転者の足漕ぎプロセス中、電動の自転車(1)のパワートレーンを介して提供される出力を表す第1の駆動出力を求めるステップと、電動の自転車(1)のモータ(3)を、足漕ぎプロセスが終了されたことに反応して、適当な出力調整により、第2の駆動出力であって、所定の第1の時間インターバルにわたって連続的に第1の駆動出力以下である第2の駆動出力をモータ(3)により提供すべく、動作制御するステップとを含む、電動の自転車の駆動部を制御する方法に関する。さらに本発明は、電動の自転車(1)の駆動部の制御に対応する装置に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動の自転車の駆動部を制御する方法(100)であって、
-第1の駆動出力(31)であって、前記電動の自転車(1)の運転者の足漕ぎプロセス中、前記電動の自転車(1)のパワートレーンを介して提供される出力を表す第1の駆動出力(31)を求めるステップ(101)と、
-前記電動の自転車(1)のモータ(3)を、前記足漕ぎプロセスが終了されたことに反応して、適当な出力調整により、第2の駆動出力(32)であって、所定の第1の時間インターバル(21)にわたって連続的に前記第1の駆動出力以下である第2の駆動出力(32)を前記モータ(3)により提供すべく、動作制御するステップ(102)と、
を含む、電動の自転車の駆動部を制御する方法(100)
【請求項2】
前記モータ(3)を、前記第2の駆動出力(32)が、所定の前記第1の時間インターバル(21)にわたって前記第1の駆動出力(31)に等しく、そして所定の前記第1の時間インターバル(21)に続いて降下するように動作制御することを特徴とする、請求項1記載の方法(100)。
【請求項3】
前記モータ(3)を、前記第2の駆動出力(32)が、所定の前記第1の時間インターバル(21)にわたって連続的に減衰するように動作制御することを特徴とする、請求項1記載の方法(100)。
【請求項4】
前記第1の駆動出力(31)は、前記電動の自転車(1)の前記モータ(3)により提供される出力であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項5】
前記第1の駆動出力(31)は、前記電動の自転車(1)の前記モータ(3)により提供されるモータ出力と、前記電動の自転車(1)の前記運転者により提供される足漕ぎ出力とから生じることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項6】
前記第1の駆動出力(31)を求めるとき、前記足漕ぎプロセス中に最後に前記電動の自転車(1)の前記パワートレーンを介して提供される出力を求めることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項7】
前記方法(100)は、さらに:
-前記足漕ぎプロセス中に前記電動の自転車(1)の前記運転者により提供される足漕ぎ出力を求めるステップと、
-前記第1の時間インターバル(21)の継続時間を、求めた前記足漕ぎ出力に基づいて選択し、このとき、前記第1の時間インターバル(21)の前記継続時間は、足漕ぎ出力が上がるとともに増加するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項8】
前記足漕ぎ出力を求める前記ステップは、測定した足漕ぎ出力を平均かつ/またはフィルタリングするステップを含むことを特徴とする、請求項7記載の方法(100)。
【請求項9】
電動の自転車(1)の駆動部を制御する装置(2)であって、
制御ユニット(2)を備え、前記制御ユニット(2)は、
-第1の駆動出力(31)であって、前記電動の自転車(1)の運転者の足漕ぎプロセス中、前記電動の自転車(1)のパワートレーンを介して提供される出力を表す第1の駆動出力(31)を求め、
-前記電動の自転車(1)のモータ(3)を、前記足漕ぎプロセスが終了されたことに反応して、適当な出力調整により、第2の駆動出力(32)であって、所定の第1の時間インターバル(21)にわたって連続的に前記第1の駆動出力(32)以下である第2の駆動出力(32)を前記モータ(3)により提供すべく、動作制御する、
ように構成されている、
電動の自転車(1)の駆動部を制御する装置(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動の自転車の駆動部を制御する方法および対応する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近流行の電動の自転車の駆動部に期待されるのは、駆動部が、スポーティブな使用や、難易度の高い走路条件において、例えばマウンテンバイク使用時にも、運転者を最適にアシストすることである。使用される有利な方法は、この場合、運転者が漕ぐのを止めた後も、所定の時間、駆動部が継続稼働あるいは後押しすることである。この後押しは、例えば運転者のトルクあるいはケイデンスが突然減少し、その後に足漕ぎ中断が伴うとき、トリガされる。
【0003】
その際、一般的であるのは、駆動部のトルク放出を時間的に規定して減衰させることを介して、後押しを規定することである。足漕ぎ中断前のモータトルクは、その際、減衰しながら足漕ぎ中断後ある程度の時間にわたってキープされる。このことは、しかし、必然的に欠点も伴う。それというのも、後押しの挙動に対して運転者が影響を及ぼすことができないか、あるいは後押しの挙動が、意図しない状況で生じてしまうことがあるからである。例えば、後押しのトリガには、運転者により停止状態でペダル圧、ひいては運転者トルクが形成されれば、十分である。その際、ペダルが実際に動かされることは、必要ない。これにより、僅かな運転者エネルギ入力が、高いモータエネルギ放出に至らしめることがある。このことは、電動の自転車の、あるいは電動の自転車の駆動部の、意図しない挙動に至らしめることがある。
【0004】
モータ出力の推移は、これにより後押しの際、特に、モータ回転数が後押し中に明らかに減少または増加するとき、非調和と感じられてしまうことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
電動の自転車の駆動部を制御する本発明に係る方法は、第1の駆動出力であって、電動の自転車の運転者の足漕ぎプロセス中、電動の自転車のパワートレーンを介して提供される出力を表す第1の駆動出力を求めるステップと、電動の自転車のモータを、足漕ぎプロセスが終了されたことに反応して、適当な出力調整により、第2の駆動出力であって、所定の第1の時間インターバルにわたって第1の駆動出力以下である第2の駆動出力をモータにより提供すべく、動作制御するステップとを含んでいる。
【0006】
電動の自転車の駆動部を制御する本発明に係る装置は、制御ユニットを備え、制御ユニットは、第1の駆動出力であって、電動の自転車の運転者の足漕ぎプロセス中、電動の自転車のパワートレーンを介して提供される出力を表す第1の駆動出力を求め、電動の自転車のモータを、足漕ぎプロセスが終了されたことに反応して、適当な出力調整により、第2の駆動出力であって、所定の第1の時間インターバルにわたって連続的に第1の駆動出力以下である第2の駆動出力をモータにより提供すべく、動作制御するように構成されている。
【0007】
これにより、足漕ぎプロセスの終了後の、電動の自転車の駆動部による後押しが提供される。足漕ぎプロセスは、その際、運転者ケイデンスまたは運転者トルクが存在するプロセスである。運転者ケイデンスは、その際、自転車の運転者がペダルを動かすことによって、そして運転者トルクは、自転車の運転者がペダルにトルクを及ぼすことによって、規定されている。
【0008】
第1の駆動出力は、電動の自転車の運転者および/または電動の自転車のモータにより提供される出力である。出力は、その際、特に、測定されたトルクと、測定された回転数とに基づいて算出され、出力は、トルクと回転数との乗算から生じる。これに対する代替的な選択肢として、モータトルクは、特に計算により、フィルタリングされた運転者トルクと、アシスト係数とに基づいて求められる。運転者トルクまたは運転者モーメントは、その際、好ましくは、測定技術的に検出される。第1の駆動出力が、モータにより提供される出力と、運転者により提供される出力との組み合わせから生じる場合、これらの出力は、加算される。
【0009】
第2の駆動出力をモータにより提供するための、電動の自転車のモータの動作制御は、足漕ぎプロセスが終了されたことに反応して実施される。その際、提供される第2の駆動出力は、第1の駆動出力以下であるように選択される。後押しは、これにより出力に関連付けられて制御される。これにより後押しは、もはや、足漕ぎ休止前に存在するフィルタリングされた運転者トルクのみに基づいて制御されず、出力調整が実施される。モータトルクを減退させる代わりに、後押し中のモータの出力放出が制御される。このことは、様々なパラメータに依存して実施され得るが、好ましくは、足漕ぎプロセスの終わりの直前に存在するシステム出力、特に運転者の出力+モータの出力が、後押し中、維持されるか、または規定通り減少されるように実施される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る方法も、本発明に係る装置も、足漕ぎプロセスの終了後の後押しのより調和的なかつ予測可能な挙動に至る。
【0011】
従属請求項は、本発明の好ましい発展形を示している。
【0012】
好ましくは、モータを、第2の駆動出力が、所定の第1の時間インターバルにわたって第1の駆動出力に等しく、そして所定の第1の時間インターバルに続いて降下するように動作制御する。これにより、運転者による足漕ぎプロセスが終了されても、以前に存在する駆動出力は維持される。このことは、特に、運転者が足漕ぎプロセスを第1の時間インターバル内で引き続き継続すると予測することができるときに、有利である。これにより、足漕ぎ休止を経た移行は、特に調和的に構成され得る。
【0013】
さらに、モータを、第2の駆動出力が、所定の第1の時間インターバルにわたって連続的に減衰するように動作制御すると、有利である。これにより、急激な出力降下は、回避されることができ、かつ足漕ぎプロセスは、運転者によりそれにもかかわらず再び、このことが出力の飛躍的変化に至らしめることなく、開始され得る。
【0014】
第1の駆動出力は、電動の自転車のモータにより提供される出力であっても、有利である。この場合、駆動出力は、特に、モータ回転数と、提供されるモータトルクとの乗算により算出され得る。
【0015】
これに対する代替的な選択肢として、第1の駆動出力は、電動の自転車のモータにより提供されるモータ出力と、電動の自転車の運転者により提供される足漕ぎ出力とから生じると、有利である。これにより、第1の駆動出力は、システム全体により提供されてパワートレーンに及ぼされる出力であると、有利である。電動の自転車の運転者により提供される足漕ぎ出力は、特に、自転車のペダルに及ぼされる運転者トルクと、運転者ケイデンスとの乗算から生じる。モータ出力は、特に、システムの総出力、ひいては第1の駆動出力を求めるために、足漕ぎ出力に加算される。これにより、自転車の推進のために準備されている出力が、後押し中、精緻に維持されることが可能となる。
【0016】
第1の駆動出力を求めるとき、足漕ぎプロセス中に最後に電動の自転車のパワートレーンを介して提供される出力を求めても、有利である。これにより、提供される出力における飛躍的変化が、足漕ぎプロセスの終了後、かつ第1の時間インターバルの開始時、起こらないことが保証される。
【0017】
さらに好ましくは、本方法は、さらに、足漕ぎプロセス中に電動の自転車の運転者により提供される足漕ぎ出力を求めるステップと、第1の時間インターバルの継続時間を、求めた足漕ぎ出力に基づいて選択し、このとき、第1の時間インターバルの継続時間は、足漕ぎ出力が上がるとともに上昇するステップとを含んでいる。このことは、相応に、第1の時間インターバルの継続時間が、足漕ぎ出力が下がるとともに降下することを意味する。換言すれば、これにより、時間インターバルの継続時間は、求めた足漕ぎ出力に比例している。したがって、特に足漕ぎ出力が高いとき、後押しは、より長い時間インターバルにわたって提供される。これにより、特に、短く運転者トルクを加えることによって、長く持続する後押しがトリガされてしまうことは、回避される。
【0018】
その際、足漕ぎ出力を求めるステップは、測定した足漕ぎ出力を平均かつ/またはフィルタリングするステップを含んでいると、特に有利である。それというのも、運転者による出力は、連続的にはペダルに伝達されないがゆえに、この足漕ぎ出力は、典型的には、変動する値であるからである。平均またはフィルタリングにより、このような変動は、補償され得る。フィルタは、この場合、特に、典型的な足漕ぎ周波数により発生する変動をフィルタリングするように選択されている。足漕ぎ出力の平均は、同じく、短く足漕ぎ出力を提供することが、長期の後押しに至らしめ得ないことに繋がる。
【0019】
以下に、本発明の実施例について添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】電動の自転車の駆動部を制御する本発明に係る方法のフローチャートである。
【
図2】電動の自転車を制御する本発明に係る装置を有する自転車の概略図である。
【
図3】電動の自転車の、本発明により制御される駆動部における、運転者トルク、自転車ケイデンス、運転者出力およびモータ出力の時間的な推移を示す図である。
【
図4】電動の自転車の駆動部の従来慣用の制御における、運転者トルク、運転者ケイデンス、モータトルク、モータ回転数およびモータ出力の時間的な推移を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、電動の自転車1の駆動部を制御する方法100のフローチャートを示している。対応する電動の自転車1は、
図2に示してあり、制御ユニット2を有し、制御ユニット2は、この方法100を実施すべく、構成されている。この自転車1は、運転者トルクおよび/または運転者ケイデンスのためのセンサシステムを有するE-バイクである。
【0022】
本発明に係る方法100は、第1のステップ101と、第1のステップ101に続いて実施される第2のステップ102とを含んでいる。
【0023】
第1のステップ101において、第1の駆動出力31であって、電動の自転車1の運転者の足漕ぎプロセス中、電動の自転車1のパワートレーンを介して提供される出力を表す第1の駆動出力31を求める。電動の自転車1の運転者の足漕ぎプロセスは、その際、電動の自転車1のペダルが運転者により動かされている間、または運転者によるトルクがペダルに及ぼされている間、存在している。これに伴い、運転者がペダリングを止めれば、この足漕ぎプロセスは、終了されたと見なされる。
【0024】
第1の駆動出力31は、電動の自転車1のモータ3により提供されるモータ出力である。これに対する代替的な選択肢として、第1の駆動出力は、電動の自転車1のモータ3により提供されるモータ出力と、電動の自転車の運転者により提供される足漕ぎ出力とから生じる出力である。
【0025】
電動の自転車1のモータにより提供されるモータ出力は、特に、測定したモータ回転数と、測定したモータトルクとに基づいて算出する。この場合、第1の駆動出力31は、足漕ぎプロセス中に測定したモータ回転数と、足漕ぎプロセス中に測定したモータトルクとの乗算から生じる。付言すると、モータ回転数も、モータトルクも、必ずしも直接的には測定されず、別の測定値または運転パラメータに基づいて算出されてもよい。電動の自転車1のモータ3により提供されるモータ出力と、電動の自転車1の運転者により提供される足漕ぎ出力とからなる第1の駆動出力31を求めるときは、好ましくは、電動の自転車1の運転者により提供される足漕ぎ出力は、測定した運転者ケイデンスと、測定した運転者トルクとに基づいて算出する。この場合、好ましくは、運転者ケイデンスは、運転者トルクと乗算される。運転者により電動の自転車1のペダルに及ぼされる運転者トルクも、運転者ケイデンス、つまり、存在する足漕ぎ速度も、好ましくは、測定技術的に検出される。前述の選択肢の組み合わせも有利であって、例えば、運転者により提供される足漕ぎ出力は、それがモータ出力と比較して大幅に低くないときだけ、第1の駆動出力に算入される。
【0026】
第1の駆動出力31を求めるとき、好ましくは、足漕ぎプロセス中に最後に求めた、電動の自転車1のパワートレーンを介して提供される出力を、第1の駆動出力31として検出する。これにより、電動の自転車1の運転者による足漕ぎプロセスが終了される直前、どの程度の出力が電動の自転車1の駆動部を介して提供されたか、検出する。
【0027】
運転者による足漕ぎプロセスが終了されるか、または少なくとも中断されると、第2のステップ102を実施する。第2のステップ102では、電動の自転車1のモータ3の動作制御を、足漕ぎプロセスが終了されたことに反応して実施する。モータ3を、第2の駆動出力32がモータ3により提供され、この第2の駆動出力32が所定の第1の時間インターバル21にわたって連続的に第1の駆動出力以下であるように動作制御する。モータ3のこの動作制御は、その際、例えば出力制御の枠内でのモータ3の供給電圧の調節により実施される。モータ3により提供される出力が、第1の時間インターバル21中、連続的に第1の駆動出力31以下であることを保証すべく、モータ3により提供されるモータ出力を連続的に検出または算出する。
【0028】
モータ3のモータ出力を、第1の時間インターバル中、適当に制御する。したがってモータ3を、好ましくは、第2の駆動出力32が、所定の第1の時間インターバル21にわたって、求めた第1の駆動出力31に等しく、そして所定の第1の時間インターバル21に続いて初めて降下するように動作制御する。このことは、モータ3により提供されるモータ出力が、好ましくは、足漕ぎプロセスの終了後も連続的に維持されることを意味する。
【0029】
これに対する代替的な選択肢として、モータ3を、第2の駆動出力32が、所定の第1の時間インターバル21にわたって連続的に減衰するように動作制御する。このことは、好ましくは、モータ3により提供されるモータ出力が連続的に減じられることを意味する。このことは、好ましくは、第1の時間インターバル21の終わりに、モータ3により提供されるモータ出力が、値ゼロを取るように実施される。
【0030】
これにより、足漕ぎプロセスの終了後、モータ3のモータ出力を、既にあるモータ出力から出発して、または代替的には、既にあるモータ出力プラス足漕ぎ出力から出発して、第2の駆動出力32の値に調整する。これにより、足漕ぎプロセスが終了されたことに反応して、モータ3の出力調整が実施される。
【0031】
モータ3により提供されるモータ出力は、提供されるモータ回転数と、提供されるモータトルクとから生じるので、このことは、モータ3の様々な挙動に至り得る。モータ3の回転数が上昇すれば、モータトルクは降下するであろう。モータ3のモータ回転数が減じられれば、このことは、モータトルクの上昇に至るであろう。モータ回転数が同じままであれば、モータトルクも不変に維持されるであろう。いずれにせよ、こうして、モータトルクが上がったときに、高いモータ回転数が提供されてしまうことは、防止される。モータトルクが上がったときに、高いモータ回転数が提供されてしまうことは、典型的には、意想外かつ非調和と知覚されてしまう。
【0032】
所定の第1の時間インターバル21の継続時間は、様々に決定することができる。したがって、第1の時間インターバル21は、例えば、固定の時間インターバルに予め規定されている。これに対する代替的な選択肢では、第1の時間インターバル21を可変に求める。したがって、特に、足漕ぎプロセス中に電動の自転車1の運転者により提供される足漕ぎ出力を求める。足漕ぎ出力は、この場合、特に、電動の自転車1の運転者の、予め規定された時間インターバルにわたって平均した足漕ぎ出力であるか、または測定した足漕ぎ出力のフィルタリングから得られた値である。それというのも、運転者により提供される足漕ぎ出力は、典型的には、ペダル位置とともに変化し得る可変の値であるからである。これにより、平均値を形成すること、または足漕ぎ周波数から結果として生じる変動をフィルタリングすることが有利である。これにより、意図せず最大値または最小値が選択されてしまうことは、回避される。第1の時間インターバル21の継続時間を、求めた足漕ぎ出力に基づいて選択し、このとき、第1の時間インターバル21の継続時間は、足漕ぎ出力が上がるとともに増加する。
【0033】
足漕ぎ出力が、予め規定された時間インターバルにわたる平均値であることにより、この場合、足漕ぎ出力の時間的な推移における、高くはあるが、極めて短い持続時間にわたってしか持続しない個々のピークが、モータ3による第2の駆動出力32の長い提供に至らしめることは、防止され得る。提供される足漕ぎ出力が、予め規定されたインターバルにわたって持続して初めて、このことは、第1の時間インターバルの延長にも至る。検出した高い足漕ぎ出力は、第1の時間インターバル21の高い継続時間、つまり、モータ3による第2の駆動出力32のより長い提供に至る。これにより、モータ3による比較的長い後押しが実施される。これにより、例えば、まさに登坂区間でより長い後押しがモータ3により実施されることが達成され、例えば降車が運転者により必要とされることは、防止される。反対にダウンヒルのときには、僅かな足漕ぎ出力しか運転者により提供されず、ひいては、第1の時間インターバル21の継続時間は、比較的短く選択される。これにより、モータ3による短い後押ししか実施されない。それというのも、後押しは、典型的には必要とされないからである。
【0034】
図3は、電動の自転車の駆動部の本発明に係る制御の例示的な挙動を示している。
図3には、第1のグラフ11に、運転者トルクの時間的な推移を示してある。第2のグラフ12には、運転者ケイデンス、つまり、運転者1の足漕ぎ速度の時間的な推移を示してある。第3のグラフ13には、運転者出力、つまり、運転者1の提供される足漕ぎ出力の時間的な推移を示してある。第4のグラフ14には、モータ3により提供されるモータ出力を時間的な推移として示してある。第1ないし第4のグラフ11ないし14は、同じ時間範囲を示している。足漕ぎプロセスが運転者により実施される先行の時間インターバル20に直接続く第1の時間インターバル21を示してある。先行の時間インターバル20では、電動の自転車1のパワートレーンを介して提供される出力が、第1の駆動出力31に上昇することが、看取可能である。出力は、第1の時間インターバル21にわたって連続的に維持される。第1の時間インターバル21において、モータ3による第2の駆動出力32は、電動の自転車1のパワートレーンを介して提供される。第4のグラフ14にこれに加えてさらに示してあるのは、第2の駆動出力32が、任意の曲線形状で、しかし、好ましくは線形に、連続的に第1の時間インターバル21にわたって降下するように選択されていてもよいことである。第2の駆動出力のこの推移は、第4のグラフ14に点を打って示してある。
【0035】
図4には、電動の自転車の駆動部の運転を示してあるが、この駆動部は、本発明に係る方法100にしたがって制御されない。
図4に示すシステム挙動は、モータトルクに基づくモータの動作制御に対し、本発明に係る方法により得られる利点を説明するためだけに用いられる。
【0036】
図4には、運転者トルク91の時間的な推移、運転者ケイデンス92の時間的な推移、モータトルク93の時間的な推移、モータ回転数94の時間的な推移およびモータ出力95の時間的な推移を示してある。運転者の足漕ぎプロセスは、時点98で終了される。モータ3の後押しを可能にすべく、モータトルクは、線形に降下するように動作制御される。この線形の降下96は、モータトルク93の時間的な推移から看取可能である。モータの相応の動作制御は、しかし、モータ回転数が上がるとき、同時に、提供されるモータ出力の上昇が実施されるに至る。これにより、電動の自転車のモータによる遅れた最大の出力放出が実施されてしまう。この挙動は、非調和かつ意想外として自転車の運転者により知覚されてしまう。
【0037】
これにより
図4は、後押し中、回転数が上昇する(車輪は通例加速するため)とき、最大の出力放出が、後押し中、遅れて初めて実施されることを示している。このことは、運転者にとって意想外であり、かつ非調和に作用してしまう。加えて、後押し中のこの放出されるモータモーメントは、後押しのケイデンスに依存しないことが看取可能である。運転者は、逆に、例えばブレーキを引くことでトルクを加えさえすればよい。自転車が後押し中に突然動き始めるようなことがあれば、モータ回転数は、急上昇し、運転者が驚くほど高いエネルギが放出されてしまう。
【0038】
本発明により、自転車1の後押しは、これに対して、出力に関連付けられて制御される。加えて後押し出力は、足漕ぎ休止前の運転者出力に依存し得る。このとき、単純にモータモーメントを減退させる代わりに、後押し中のモータの出力放出は、制御される。このことは、すべての可能なパラメータに依存して実施され得るが、最も合目的的には、後押し直前のシステム出力(運転者+モータ)が、できる限り後押し中、維持されるか、または規定通り減少される。
【0039】
後押し中、後押し前の(フィルタリング/平均された)モータ出力は、維持かつ/または減衰されたままにされる。運転者にとって、したがって、より調和的なかつより予測可能な後押しが生じる。加えて、さらなる改良として、運転者出力とモータ出力とからなる総出力が後押し前に求められ、かつモータによる後押し中は、できる限り維持され得る。加えて、出力放出は、後押し前の(フィルタリング/平均された)運転者出力に依存して行われ得る。特に、後押し時の出力放出の継続時間は、後押し前の運転者出力に比例し得る。これにより、単なるペダル圧によっては、しかし、同時のペダル運動なくして、後押しをトリガすることは、もはや不可能である。
【0040】
上述の開示に加え、
図1ないし4の開示を参照すべきことを明示しておく。
【符号の説明】
【0041】
1 電動の自転車
2 制御ユニット
3 モータ
11 第1のグラフ、運転者トルク
12 第2のグラフ、運転者ケイデンス
13 第3のグラフ、運転者出力
14 第4のグラフ、モータ出力
20 先行の時間インターバル
21 第1の時間インターバル
31 第1の駆動出力
32 第2の駆動出力
91 運転者トルク
92 運転者ケイデンス
93 モータトルク
94 モータ回転数
95 モータ出力
96 モータトルクの線形の降下
98 時点
100 電動の自転車の駆動部を制御する方法
101 第1のステップ
102 第2のステップ
【手続補正書】
【提出日】2023-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動の自転車の駆動部を制御する方法(100)であって、
-第1の駆動出力(31)であって、前記電動の自転車(1)の運転者の足漕ぎプロセス中、前記電動の自転車(1)のパワートレーンを介して提供される出力を表す第1の駆動出力(31)を求めるステップ(101)と、
-前記電動の自転車(1)のモータ(3)を、前記足漕ぎプロセスが終了されたことに反応して、適当な出力調整により、第2の駆動出力(32)であって、所定の第1の時間インターバル(21)にわたって連続的に前記第1の駆動出力以下である第2の駆動出力(32)を前記モータ(3)により提供すべく、動作制御するステップ(102)と、
を含む、電動の自転車の駆動部を制御する方法(100)
【請求項2】
前記モータ(3)を、前記第2の駆動出力(32)が、所定の前記第1の時間インターバル(21)にわたって前記第1の駆動出力(31)に等しく、そして所定の前記第1の時間インターバル(21)に続いて降下するように動作制御することを特徴とする、請求項1記載の方法(100)。
【請求項3】
前記モータ(3)を、前記第2の駆動出力(32)が、所定の前記第1の時間インターバル(21)にわたって連続的に減衰するように動作制御することを特徴とする、請求項1記載の方法(100)。
【請求項4】
前記第1の駆動出力(31)は、前記電動の自転車(1)の前記モータ(3)により提供される出力であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項5】
前記第1の駆動出力(31)は、前記電動の自転車(1)の前記モータ(3)により提供されるモータ出力と、前記電動の自転車(1)の前記運転者により提供される足漕ぎ出力とから生じることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項6】
前記第1の駆動出力(31)を求めるとき、前記足漕ぎプロセス中に最後に前記電動の自転車(1)の前記パワートレーンを介して提供される出力を求めることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項7】
前記方法(100)は、さらに:
-前記足漕ぎプロセス中に前記電動の自転車(1)の前記運転者により提供される足漕ぎ出力を求めるステップと、
-前記第1の時間インターバル(21)の継続時間を、求めた前記足漕ぎ出力に基づいて選択し、このとき、前記第1の時間インターバル(21)の前記継続時間は、足漕ぎ出力が上がるとともに増加するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(100)。
【請求項8】
前記足漕ぎ出力を求める前記ステップは、測定した足漕ぎ出力を平均かつ/またはフィルタリングするステップを含むことを特徴とする、請求項7記載の方法(100)。
【請求項9】
電動の自転車(1)の駆動部を制御する装置(2)であって、
制御ユニット(2)を備え、前記制御ユニット(2)は、
-第1の駆動出力(31)であって、前記電動の自転車(1)の運転者の足漕ぎプロセス中、前記電動の自転車(1)のパワートレーンを介して提供される出力を表す第1の駆動出力(31)を求め、
-前記電動の自転車(1)のモータ(3)を、前記足漕ぎプロセスが終了されたことに反応して、適当な出力調整により、第2の駆動出力(32)であって、所定の第1の時間インターバル(21)にわたって連続的に前記第1の駆動出力(31)以下である第2の駆動出力(32)を前記モータ(3)により提供すべく、動作制御する、
ように構成されている、
電動の自転車(1)の駆動部を制御する装置(2)。
【外国語明細書】