(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143814
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】家庭用温水および/または建物内暖房を供給するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20230928BHJP
F25B 13/00 20060101ALI20230928BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20230928BHJP
F28D 20/02 20060101ALI20230928BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20230928BHJP
F24F 11/875 20180101ALI20230928BHJP
F24F 11/41 20180101ALI20230928BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F25B13/00 351
F25B47/02 550F
F28D20/02 D
F24F5/00 102Z
F24F11/875
F24F11/41 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023043041
(22)【出願日】2023-03-17
(31)【優先権主張番号】22164465
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス フリーマン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー オルキス
(72)【発明者】
【氏名】ジョージアナ カワリー
(72)【発明者】
【氏名】デュアン ウー
【テーマコード(参考)】
3L054
3L092
3L260
【Fターム(参考)】
3L054BG08
3L054BH04
3L092TA11
3L092TA12
3L092UA04
3L092UA35
3L092WA21
3L260AB01
3L260AB06
3L260BA03
3L260BA36
3L260BA41
3L260BA45
(57)【要約】
【課題】家庭用温水および/または建物内暖房を供給するためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】このシステムは、家庭用温水および/または建物内暖房を供給するための方法で使用することができ、第1の相変化物質を収容する第1の貯蔵デバイスと、第1の貯蔵デバイスのチャージ状態を判定するための第1の検出器と、冷却回路からの冷媒と第1の相変化物質との間で熱交換する第1の相変化物質熱交換器とを備えることを特徴とする。システムはさらに、第2の相変化物質を収容する第2の貯蔵デバイスと、第2の貯蔵デバイスのチャージ状態を判定するための第2の検出器と、第2の相変化物質と熱媒体回路の水との間で熱交換する第2の相変化物質熱交換器とを備える。少なくとも第1の貯蔵デバイスのチャージ状態および第2の貯蔵デバイスのチャージ状態に基づいて、コントローラーがシステムの動作を制御するよう構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用温水(DHW)および/または建物内暖房(SH)を供給するためのシステムであって、
a)冷却回路であって、
熱媒体としての冷媒と、
圧縮機(1)と、
第1の膨張弁(2)および第2の膨張弁(2’)と、
第1の三方弁(13)および第2の三方弁(14)と、
4方向切換弁(3)と、
前記冷媒と空気との間で熱交換する屋外熱交換器(4)と、
第1の相変化物質を収容する第1の貯蔵デバイス(5)であって、前記第1の貯蔵デバイス(5)は、前記第1の貯蔵デバイス(5)のチャージ状態(SOC1)を判定するための第1の検出器を備え、前記冷媒と前記第1の相変化物質との間で熱交換をする第1の相変化物質熱交換器(6)を備える、第1の貯蔵デバイス(5)と
を備える、冷却回路と、
b)熱媒体回路であって、
熱媒体としての水と、
家庭用温水回路に熱接続されており、第2の相変化物質を収容する、第2の貯蔵デバイス(7)であって、前記第2の相変化物質の相変化温度は、前記第1の相変化物質の相変化温度よりも高く、前記第2の貯蔵デバイス(7)は、前記第2の貯蔵デバイス(7)のチャージ状態(SOC2)を判定するための第2の検出器を備え、前記熱媒体回路の水と前記第2の相変化物質との間で熱交換する第2の相変化物質熱交換器(8)を備える、第2の貯蔵デバイス(7)と、
水の流れを建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器または第2の相変化物質熱交換器(8)に切り換える第3の三方弁(9)と、
前記熱媒体熱交換器を通して水を循環させるための少なくとも1つの搬送手段(10)と
を備える、熱媒体回路と、
c)前記冷却回路および前記熱媒体回路の両方によって構成され、前記冷媒と水との間で熱を伝達する、熱媒体熱交換器(11)と、
d)少なくとも、前記第1の検出器から得られた情報によって判定される前記第1の貯蔵デバイス(5)のチャージ状態(SOC1)および前記第2の検出器から得られた情報によって判定される前記第2の貯蔵デバイス(7)のチャージ状態(SOC2)に基づいて、前記システムの動作を制御するように構成された、コントローラー(12)と
を備える、システム。
【請求項2】
前記第1の貯蔵デバイス(5)は、屋外に位置し、好ましくは、前記圧縮機(1)、前記第1の膨張弁(2)、前記第2の膨張弁(2’)、前記第1の三方弁(13)、前記第2の三方弁(14)、前記4方向切換弁(3)、前記屋外熱交換器(4)、および前記熱媒体熱交換器(11)を備えるヒートポンプ屋外ユニット内に位置することを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラー(12)は、
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされる場合に、
前記第1の相変化物質熱交換器(6)からの熱が前記屋外熱交換器(4)に搬送されることを可能にするように構成されており、
前記コントローラー(12)は、好ましくは、
i)冷媒が前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)を介して前記屋外熱交換器(4)に流れることを可能にする位置に、前記4方向切換弁(3)を設定し、
ii)冷媒を前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)に向けるように前記第1の三方弁(13)を設定し、
iii)冷媒を前記圧縮機(1)から前記屋外熱交換器(4)に向けるように前記第2の三方弁(14)を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスを組み合わせて調節するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラー(12)は、
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)を下回る場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)を下回るか、または判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)以上である場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記屋外熱交換器(4)からの熱が前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることを可能にするように構成されており、
前記コントローラー(12)は、好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)冷媒が前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に、前記4方向切換弁(3)を設定し、
ii)冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように前記第1の三方弁(13)を設定し、
iii)冷媒を前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)に向けるように前記第2の三方弁(14)を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスを組み合わせて調節し、
v)水を前記第2の相変化物質熱交換器(8)に向けるように前記第3の三方弁(9)を設定するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラー(12)は、
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)を下回る場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)以上であり、判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)を下回る場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記第1の相変化物質熱交換器(6)からの熱が前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることを可能にするように構成されており、
前記コントローラー(12)は、好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)冷媒が前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に、前記4方向切換弁(3)を設定し、
ii)冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように前記第1の三方弁(13)を設定し、
iii)冷媒を前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)に向けるように前記第2の三方弁(14)を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスを組み合わせて調節し、
v)水を前記第2の相変化物質熱交換器(8)に向けるように前記第3の三方弁(9)を設定するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラー(12)は、
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)以上である場合、
建物内暖房(SH)の要求がある場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)を下回るか、または判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)以上である場合に、
前記屋外熱交換器(4)からの熱が前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることを可能にするように構成されており、
前記コントローラー(12)は、好ましくは、
i)冷媒が前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に、前記4方向切換弁(3)を設定し、
ii)冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように前記第1の三方弁(13)を設定し、
iii)冷媒を前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)に向けるように前記第2の三方弁(14)を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスを組み合わせて調節し、
v)水を建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器に向けるように前記第3の三方弁(9)を設定するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラー(12)は、
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)以上である場合、
建物内暖房(SH)の要求がある場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)以上であり、判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)を下回る場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記第1の相変化物質熱交換器(6)からの熱が前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることを可能にするように構成されており、
前記コントローラー(12)は、好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)冷媒が前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に、前記4方向切換弁(3)を設定し、
ii)冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように前記第1の三方弁(13)を設定し、
iii)冷媒を前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)に向けるように前記第2の三方弁(14)を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスを組み合わせて調節し、
v)水を建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器に向けるように前記第3の三方弁(9)を設定するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラー(12)は、
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)以上である場合、
建物内暖房(SH)の要求がない場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)を下回る場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記屋外熱交換器(4)からの熱が前記第1の相変化物質熱交換器(6)に搬送されることを可能にするように構成されており、
前記コントローラー(12)は、好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)冷媒が前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)を介して前記第1の相変化物質熱交換器(6)に流れることを可能にする位置に、前記4方向切換弁(3)を設定し、
ii)冷媒を前記圧縮機(1)から前記第1の相変化物質熱交換器(6)に向けるように前記第1の三方弁(13)を設定し、
iii)冷媒を前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)に向けるように前記第2の三方弁(14)を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスを組み合わせて調節するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項9】
家庭用温水(DHW)および/または建物内暖房(SH)を供給するための方法であって、
a)冷却回路であって、
熱媒体としての冷媒と、
圧縮機(1)と、
第1の膨張弁(2)および第2の膨張弁(2’)と、
第1の三方弁(13)および第2の三方弁(14)と、
4方向切換弁(3)と、
前記冷媒と空気との間で熱交換する屋外熱交換器(4)と、
第1の相変化物質を収容する第1の貯蔵デバイス(5)であって、前記第1の貯蔵デバイス(5)は、前記第1の貯蔵デバイス(5)のチャージ状態(SOC1)を判定するための第1の検出器を備え、前記冷媒と前記第1の相変化物質との間で熱交換をする第1の相変化物質熱交換器(6)を備える、第1の貯蔵デバイス(5)と
を備える、冷却回路と、
熱媒体回路であって、
熱媒体としての水と、
家庭用温水回路に熱接続されており、第2の相変化物質を収容する、第2の貯蔵デバイス(7)であって、前記第2の相変化物質の相変化温度は、前記第1の相変化物質の相変化温度よりも高く、前記第2の貯蔵デバイス(7)は、前記第2の貯蔵デバイス(7)のチャージ状態(SOC2)を判定するための第2の検出器を備え、前記熱媒体回路の水と前記第2の相変化物質との間で熱交換する第2の相変化物質熱交換器(8)を備える、第2の貯蔵デバイス(7)と、
水の流れを建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器または第2の相変化物質熱交換器(8)に切り換える第3の三方弁(9)と、
前記熱媒体熱交換器を通して水を循環させるための少なくとも1つの搬送手段(10)と
を備える、熱媒体回路と、
前記冷却回路および前記熱媒体回路の両方によって構成され、前記冷媒と水との間で熱を伝達する、熱媒体熱交換器(11)と、
コントローラー(12)と
を備えるシステムを提供することと、
b)少なくとも、前記第1の検出器から得られた情報によって判定される前記第1の貯蔵デバイス(5)のチャージ状態(SOC1)および前記第2の検出器から得られた情報によって判定される前記第2の貯蔵デバイス(7)のチャージ状態(SOC2)に基づいて、前記システムの動作を制御することと
を含む、方法。
【請求項10】
前記第1の貯蔵デバイス(5)は、屋外に、好ましくは、前記圧縮機(1)、前記第1の膨張弁(2)、前記第2の膨張弁(2’)、前記第1の三方弁(13)、前記第2の三方弁(14)、前記4方向切換弁(3)、前記屋外熱交換器(4)、および前記熱媒体熱交換器(11)を備えるヒートポンプ屋外ユニット内に配置されていることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされる場合に、
前記第1の相変化物質熱交換器(6)からの熱は、前記屋外熱交換器(4)に搬送されることが可能であり、
好ましくは、
i)前記4方向切換弁(3)は、冷媒が前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)を介して前記屋外熱交換器(4)に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)前記第1の三方弁(13)は、冷媒を前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)に向けるように設定され、
iii)前記第2の三方弁(14)は、冷媒を前記圧縮機(1)から前記屋外熱交換器(4)に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスは、組み合わせて調節されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)を下回る場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)を下回るか、または判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)以上である場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記屋外熱交換器(4)からの熱は、前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることが可能であり、
好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)前記4方向切換弁(3)は、冷媒が前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)前記第1の三方弁(13)は、冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように設定され、
iii)前記第2の三方弁(14)は、冷媒を前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスは組み合わせて調節され、
v)前記第3の三方弁(9)は、水を前記第2の相変化物質熱交換器(8)に向けるように設定されことを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項13】
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)を下回る場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)以上であり、判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)を下回る場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記第1の相変化物質熱交換器(6)からの熱は、前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることが可能であり、
好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)前記4方向切換弁(3)は、冷媒が前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)前記第1の三方弁(13)は、冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように設定され、
iii)前記第2の三方弁(14)は、冷媒を前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスは組み合わせて調節され、
v)前記第3の三方弁(9)は、水を前記第2の相変化物質熱交換器(8)に向けるように設定されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項14】
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)以上である場合、
建物内暖房(SH)の要求がある場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)を下回るか、または判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)以上である場合に、
前記屋外熱交換器(4)からの熱は、前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることが可能であり、好ましくは、
i)前記4方向切換弁(3)は、冷媒が前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)前記第1の三方弁(13)は、冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように設定され、
iii)前記第1の三方弁(14)は、冷媒を前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスは組み合わせて調節され、
v)前記第3の三方弁(9)は、水を建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器に向けるように設定されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項15】
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)以上である場合、
建物内暖房(SH)の要求がある場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)以上であり、判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)を下回る場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記第1の相変化物質熱交換器(6)からの熱は、前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることが可能であり、
好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)前記4方向切換弁(3)は、冷媒が前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)前記第1の三方弁(13)は、冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように設定され、
iii)前記第1の三方弁(14)は、冷媒を前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスは組み合わせて調節され、
v)前記第3の三方弁(9)は、水を建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器に向けるように設定されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項16】
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)以上である場合、
建物内暖房(SH)の要求がない場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)を下回る場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記屋外熱交換器(4)からの熱は、前記第1の相変化物質熱交換器(6)に搬送されることが可能であり、
好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)前記4方向切換弁(3)は、冷媒が前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)を介して前記第1の相変化物質熱交換器(6)に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)前記第1の三方弁(13)は、冷媒を前記圧縮機(1)から前記第1の相変化物質熱交換器(6)に向けるように設定され、
iii)前記第1の三方弁(14)は、冷媒を前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスは組み合わせて調節されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
家庭用温水および/または建物内暖房を供給するためのシステムおよび方法が提供されている。このシステムは、この方法で使用することができ、第1の相変化物質を収容する第1の貯蔵デバイスと、第1の貯蔵デバイスのチャージ状態を判定するための第1の検出器と、冷却回路からの冷媒と第1の相変化物質との間で熱交換する第1の相変化物質熱交換器とを備えることを特徴とする。システムはさらに、第2の相変化物質を収容する第2の貯蔵デバイスと、第2の貯蔵デバイスのチャージ状態を判定するための第2の検出器と、第2の相変化物質と熱媒体回路の水との間で熱交換する第2の相変化物質熱交換器とを備える。少なくとも第1の貯蔵デバイスのチャージ状態および第2の貯蔵デバイスのチャージ状態に基づいて、コントローラーがシステムの動作を制御するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
戸建住宅用のヒートポンプ加熱製品に関する主な制約は、小型のコンビネーションボイラー(一般的には、20~30kW)に比べて、熱伝達率が低い(一般的には、5~15kW)ことである。これは、ヒートポンプは、通常、都合のよいときに長時間にわたってチャージできる、家庭用温水のための貯蔵シリンダーと共に設置しなければならないことを意味している。一般的なシャワーでは、供給温度約42℃の水を1分当たり約7リットル使用する。水道水が10℃であると仮定すると、これは熱負荷約16kWになる。1回のシャワーで水を約50リットル、熱を6.5MJ(1.8kWh)使用する。
【0003】
家庭内加熱用途、すなわち、暖房および家庭用温水の加熱に使用される、従来の水ベースの蓄熱に対する、よりコンパクトな代替品として、相変化物質が提案されてきた。これら2つの用途は温度要件が異なる。DHWの場合は、使用時の温度は40~55℃の範囲にある傾向があり、暖房の場合は、温度範囲は、加熱システムのタイプおよびその加熱システムをサイジングする基準に応じて、高いことも低いこともある。化石燃料ボイラーおよび従来のパネル型ラジエーターを用いた設計の旧式のセントラルヒーティングシステムは、60~80℃の範囲の水流温度を使用することができ、電気ヒートポンプ用に設計された最近の加熱システムは、35~45℃の範囲の水流温度のために大型の放熱器の領域を使用する。
【0004】
一方、ヒートポンプは、ある範囲の屋外条件下で一年中動作するように設計されている。暖房動作においてヒートポンプ制御のための一般的なモードは、屋外周囲温度が低下するにつれて水流温度が上昇される天候補償曲線を使用することである。これは、広範囲の「温度上昇(temperature lift)」条件に対して動作するために空気熱源ヒートポンプが必要とされることを意味している。ここで、「温度上昇」とは、熱源温度と、加熱モードにあるヒートポンプの出力温度との差である。このように、熱源温度(屋外の気温)が非常に低くかつ必要とされる熱伝達温度(水流温度)が非常に高い場合に、空気熱源ヒートポンプは、冬のより高いピーク負荷条件のために設計されているときの部分負荷効率が低くなる。言い換えれば、このようなヒートポンプシステムの成績係数(COP:coefficient of performance)は低い。
【0005】
ヒートポンプ効率およびCOPを改善するための提案される一構成は、熱汲み上げプロセスをそれぞれ温度上昇がより小さい2つの段階に分けることと、地面を蓄熱装置として利用して、空気(例えば、0℃未満)から汲み上げられる熱エネルギーを、それが必要になるまで中間の温度(例えば、10℃)で蓄えておくことである。その熱エネルギーは、必要になった時点で汲み上げて、第2の段階を通して、必要とされる伝達温度(例えば、暖房の場合は40℃)にできる。そのアプローチの課題は、浅いコイル型または深いボアホール型の地中熱交換器を設置する際のコストおよび不便さが高い傾向があり、そのことが、前記方法およびシステムを非常に高価にすることである。
【0006】
デマンド・サイド・フレキシビリティのサービスについては、DHWおよび暖房の両方に使用できる蓄熱を増大させることが注目されてきた。この点で、多くのヒートポンプシステムは、ヒートポンプ動作の時間を暖房要求の時間からずらして使用できる蓄熱装置を用いて設計されている。そのアプローチの課題は、DHW貯蔵タンクおよび暖房用蓄熱装置(通常は貯水シリンダー)の両方について建物内の空間要件が多くの戸建住宅にとって過度に大きい場合があることである。
【0007】
特許文献1には、熱源が消費者側のニーズに不十分かまたは合わないときに、大気を熱源として深夜電力でヒートポンプを動作させることによって熱供給のバックアップが提供される、システムおよび方法が開示されている。
【0008】
特許文献2には、蓄熱システムが、潜熱蓄熱材を個別に収容する蓄熱槽と、蓄熱槽の潜熱蓄熱材の融点の低い方から順に蓄熱槽を貫通する循環路と、循環路の一端に熱媒体を供給する供給路と、循環路の他端から熱媒体を取り出す分配路とを含む、システムおよび方法が開示されている。
【0009】
まとめて述べると、先行技術のシステムおよび方法には、少なくとも以下の欠点がある。第1に、単段ヒートポンプシステムが使用される場合、そのシステムは、屋外空気熱源と、家庭用温水の必要な伝達温度との間の大きい温度差に対して動作しなければならず、これは、効率的な動作を可能にせず、すなわち、高い成績係数(COP)での動作を可能にしない。第2に、2段ヒートポンプシステムまたは2つの圧縮機が使用される場合、前記システムの複雑さ、したがって、前記システムを提供するコストが高い。第3に、貯水シリンダーのような蓄熱デバイスが使用される場合は、前記蓄熱デバイスによって大きい空間が占められ、他の目的のために残される室内空間が小さくなり、これは特に、屋内の部屋には重大である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008-180473号公報
【特許文献2】特開2012-007796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記に鑑みて、本願の目的は、先行技術のシステムおよび方法の欠点を有しない、家庭用温水および建物内暖房を供給するためのシステムおよび方法を提供することであった。詳細には、本方法を実装するためのシステムに必要とされる空間を最小限に抑えて効率的に家庭用温水および/または建物内暖房を供給することが本システムおよび本方法によって可能なはずである。好ましくは、家庭用温水および建物内暖房を供給するためのシステムおよび方法を低コストで提供し、それぞれの方法を低コストで実行することも可能なはずである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の目的は、請求項1の特徴を有するデバイスおよび請求項9の特徴を有する方法によって達成される。従属請求項は本発明の有利な実施形態を示す。
【0013】
本発明によれば、家庭用温水および/または建物内暖房を供給するためのシステムであって、
a)冷却回路であって、
熱媒体としての冷媒と、
圧縮機と、
第1の膨張弁および第2の膨張弁と、
第1の三方弁および第2の三方弁と、
4方向切換弁と、
冷媒と空気との間で熱交換する屋外熱交換器と、
第1の相変化物質を収容する第1の貯蔵デバイスであって、第1の貯蔵デバイスは、第1の貯蔵デバイスのチャージ状態を判定するための第1の検出器を備え、冷媒と第1の相変化物質との間で熱交換をする第1の相変化物質熱交換器を備える、第1の貯蔵デバイスと
を備える、冷却回路と、
b)熱媒体回路であって、
熱媒体としての水と、
家庭用温水回路に熱接続されており、第2の相変化物質を収容する、第2の貯蔵デバイスであって、第2の相変化物質の相変化温度は、第1の相変化物質の相変化温度よりも高く、第2の貯蔵デバイスは、第2の貯蔵デバイスのチャージ状態を判定するための第2の検出器を備え、熱媒体回路の水と第2の相変化物質との間で熱交換する第2の相変化物質熱交換器を備える、第2の貯蔵デバイスと、
水の流れを建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器または第2の相変化物質熱交換器に切り換える第3の三方弁と、
熱媒体熱交換器を通して水を循環させるための少なくとも1つの搬送手段と
を備える、熱媒体回路と、
c)冷却回路および熱媒体回路の両方によって構成され、冷媒と水との間で熱を伝達する、熱媒体熱交換器と、
d)少なくとも、第1の検出器から得られた情報によって判定される第1の貯蔵デバイスのチャージ状態および第2の検出器から得られた情報によって判定される第2の貯蔵デバイスのチャージ状態に基づいて、システムの動作を制御するように構成された、コントローラーと
を備える、システムが提供される。
【0014】
本システムには、家庭用温水および建物内暖房をより効率的に供給できるという利点がある。上述の機構に第1の貯蔵デバイスおよび第2の貯蔵デバイスを有することによって、より高い効率および成績係数(COP)が実現され、第1の貯蔵デバイスおよび第2の貯蔵デバイスの両方が相変化物質を収容している。2つの貯蔵デバイスにより、熱汲み上げプロセスを、中間貯蔵温度状況を有する2段階に分けることが可能になり、すなわち、低温と中間温度との間の第1の熱汲み上げ段階と、中間温度と高温との間の第2の熱汲み上げ段階とを可能にする。それぞれのチャージ状態に基づいてシステムが適切な動作モードを確実に選択できるため、少なくとも第1の貯蔵デバイスのチャージ状態および第2の貯蔵デバイスのチャージ状態に基づいたシステムの制御によってより高い効率および成績係数も実現される。例えば、第1の貯蔵デバイスのチャージ状態が高い(例えば、設定下限以上である)場合は、コントローラーは、空間を暖めるためのまたは第2の貯蔵デバイスをチャージするための熱が、外気によって直接的に供給される(特に外気温が低いときは不十分な場合がある)代わりに第1の貯蔵デバイスによって直接的に供給される動作モードを選択することができる。さらに、第2の貯蔵デバイスのチャージ状態が低い(例えば、設定下限を下回る)場合は、コントローラーは、第2の貯蔵デバイスをチャージして大量の家庭用温水を効率的に供給可能にするために第2の貯蔵デバイスにだけ熱が搬送される動作モードを選択することができる。
【0015】
本システムには、システムに必要とされる空間を最小限に抑えて家庭用温水および建物内暖房を供給できるという利点もある。本システムは相変化物質を収容する貯蔵デバイスを2つ使用し、相変化物質は蓄熱性能が比較的高いため、例えば熱エネルギーを蓄える相変化物質のない貯水槽(例えば、一般的な家庭用温貯水シリンダー)がシステムに採用される場合よりも、2つの貯蔵デバイスの総体積を小さくすることができる。システムが相変化物質のない貯水槽を備えないことが好ましい。
【0016】
本発明によれば、貯蔵デバイスの(すなわち、第1および第2の貯蔵デバイスそれぞれの)チャージ状態とは、貯蔵デバイスに貯蔵される熱エネルギー量のことである。言い換えれば、貯蔵デバイスのチャージ状態は、貯蔵デバイスによって供給できる熱エネルギー量を表している。貯蔵デバイスのチャージ状態は、貯蔵デバイスをチャージするのに必要とされる熱エネルギー量も示す。
【0017】
貯蔵デバイスの(すなわち、第1および第2の貯蔵デバイスそれぞれの)チャージ状態を判定するための検出器(すなわち、チャージ状態を判定するための第1および第2の検出器それぞれ)は、貯蔵デバイスの内側の温度を検出する少なくとも1つの温度センサー(任意選択で、2つ以上の温度センサー)を備えることができる。前記少なくとも1つの温度センサー(任意選択で、すべての温度センサー)は、(例えば、貯蔵デバイス上にまたはその外面に載置されることによって)貯蔵デバイスの外面の温度を検出するものとすることができる。少なくとも1つの温度センサー(任意選択で、すべての温度センサー)、またはその少なくとも1つの温度センサーに追加される少なくとも1つのさらなる温度センサーは、(例えば、貯蔵デバイスの内部または貯蔵デバイス内の相変化物質熱交換器の内部など、貯蔵デバイスの内部体積に配置されることによって)貯蔵デバイスの内側の内容物の温度を検出するものとすることができる。この点において、貯蔵デバイスのチャージ状態は、例えば、欧州特許出願公開第21213459.7号明細書に記載されているように判定することができる。チャージ状態を検出するための検出器が少なくとも1つの温度センサーおよび少なくとも1つの電気抵抗センサー(例えば、別々のセンサーとして、または複合型の温度電気抵抗センサーとして)を備えることも可能であり、少なくとも電気抵抗センサーは、(例えば、貯蔵デバイスの内部体積に配置されることによっておよび内部の内容物に接触することによって)貯蔵デバイスの内側で内容物(詳細には、PCMを含むかまたはPCMからなる流体)の電気抵抗を検出するのに適している。この点において、貯蔵デバイスのチャージ状態は、例えば、欧州特許出願公開第21166193.9号明細書に記載されているように判定することができる。
【0018】
熱媒体熱交換器を通して水を循環させる搬送手段はポンプとすることができる。
【0019】
好ましい実施形態では、本発明によるシステムは、2段圧縮機を備えておらず、かつ/またはさらなる(すなわち、少なくとも第2の)圧縮機を備えていない。第1段および第2段にわたって熱を汲み上げるために単段圧縮機を1つだけ使用することによって、複雑さの程度が抑えられ、システムを低コストで提供することができる。さらに、同じ単段圧縮機による2つの段の間のより小さい温度に対して熱を汲み上げることができるため、ヒートポンプにおける、より小さい温度上昇およびより高いCOPが実現される。
【0020】
さらなる好ましい実施形態において、第1の貯蔵デバイスは、屋外に、好ましくは、圧縮機、第1の膨張弁、第2の膨張弁、第1の三方弁、第2の三方弁、4方向切換弁、屋外熱交換器、および熱媒体熱交換器を備えるヒートポンプ屋外ユニット内に位置する。本実施形態の利点は、本システムが建物内の部屋において最小限の空間しか必要としないことと、本システムがより効率的な動作を行うことができることである。さらに、第1の貯蔵デバイスが、第2の貯蔵デバイスよりも相変化温度の低い相変化物質を収容しているため、第1の貯蔵デバイスを屋外に配置しても高い熱損失にはつながらない。したがって、第1の貯蔵デバイスの内側の温度をより低く維持でき、そうすることで、第2の貯蔵デバイスが屋外に位置した場合よりも屋外環境への温度勾配を小さくできる。
【0021】
したがって、さらなる好ましい実施形態では、(より相変化温度の高い相変化物質を収容する)第2の貯蔵デバイスは、好ましくは、屋内(すなわち、建物内)に位置する。必要な総蓄熱量の大部分を第1の貯蔵デバイスの低温の相変化物質によって供給できるため、第2の貯蔵デバイスのサイズは第1の貯蔵デバイスのサイズよりも小さくでき、これは、第2の貯蔵デバイスが位置する部屋に、より大きい自由空間を提供する。これは特に、部屋が建物内にある場合に重大である。
【0022】
第1の相変化物質は、システムが位置する場所の冬の屋外周囲空気温度と、第2の相変化物質の相変化温度との間の中間の相転移温度を有することができる。例えば、第1の相変化物質は、10℃から35℃、好ましくは、20℃から30℃の範囲の相転移温度を有することができる。
【0023】
第2の相変化物質は、35℃から60℃、好ましくは、40℃から50℃の範囲の相転移温度を有することができる。
【0024】
コントローラーは、さらに(屋外熱交換器の)デフロスト動作の要件に基づいて、システムの動作を制御するように構成することができる。そのためには、屋外熱交換器が、コントローラーと通信する温度センサーを備えることができるか、またはシステムが、コントローラーと通信する、冷媒温度を検出するための温度センサーを備えることができる。本実施形態では、屋外熱交換器は、屋外熱交換器温度センサーを備えることができ、コントローラーは、前記温度センサーによって通信された温度情報に基づいてデフロスト動作モードを選択するように構成することができる。この構成には、デフロスト動作が必要な場合に、コントローラーがデフロスト動作モードに切り換えできるという利点がある。前記デフロスト動作モードでは、屋外熱交換器をデフロストすることができ、これは、デフロスト動作後の屋外熱交換器のより効率的な動作を可能にする。
【0025】
コントローラーは、さらに建物内暖房の要求に基づいてシステムの動作を制御するように構成することができる。本実施形態では、システムは、暖房予定の屋内空間に屋内空気温度センサーを備えることができ、コントローラーは、前記温度センサーによって通信された温度情報に基づいて暖房動作モードを選択するように構成することができる。コントローラーのこのような構成には、暖房の要求がある場合に、システムが空間暖房のみの動作モードに切り換えできるという利点がある。例えば、前記暖房モードでは、第1の貯蔵デバイスをチャージするためにおよび/もしくは第2の貯蔵デバイスを(熱エネルギーで)チャージするためには、ならびに/または家庭用温水を供給するためには、熱エネルギーが使用されない。これは、暖房予定の空間の暖めがより効率的になるため有益である。暖房の要求がない場合は、システムは、暖房を供給するために熱が使用されない動作モードに切り換えできる。例えば、前記動作モードでは、第1の貯蔵デバイスおよび/もしくは第2の貯蔵デバイス(熱エネルギーで)をチャージするために、ならびに/または家庭用温水を供給するために熱が使用される。これは、家庭用温水の加熱ならびに/または第1および/もしくは第2の貯蔵デバイスのチャージがより効率的になるため有益である。
【0026】
コントローラーは、さらに屋外周囲空気温度に基づいてシステムの動作を制御するように構成することができる。本実施形態では、システムは、屋外空間に屋外気温センサーを備え、コントローラーは、前記温度センサーによって通信された温度情報に基づいてシステムの動作モードを選択するように構成することができる。このようなコントローラーの構成には、第2の貯蔵デバイスが屋外空気からの熱でチャージされる(屋外周囲空気温度が設定下限以上である場合)かまたは第1の貯蔵デバイスからの熱でチャージされるか(屋外周囲空気温度が設定下限を下回る場合)を決定するために屋外周囲空気温度を利用できるという利点がある。これは、熱がより緩やかな温度勾配で第2の貯蔵デバイスに汲み上げられるため、第2の貯蔵デバイスのより効率的なチャージを可能にする。さらに、暖房が屋外空気からの熱で行われるか(屋外周囲空気温度が設定下限以上である場合)または第1の貯蔵デバイスからの熱で行われるか(屋外周囲空気温度が設定下限を下回る場合)を決定するために屋外の気温を利用できる。これは、熱がより緩やかな温度勾配で暖房予定の空間に汲み上げられるため、より効率的な暖房を可能にする。
【0027】
第1の三方弁は、好ましくは、圧縮機を第1の相変化物質熱交換器および熱媒体熱交換器とつなぐ流体ラインに位置する。
【0028】
さらに、第2の三方弁は、好ましくは、圧縮機を第1の相変化物質熱交換器および屋外熱交換器とつなぐ流体ラインに位置する。
【0029】
本システムの冷却回路は、レシーバー(アキュームレーター)を備えることができる。レシーバーは、流体ラインのうちの冷却回路の第1の膨張弁と第2の膨張弁との間に位置することができる。
【0030】
本システムの冷却回路の第1の膨張弁は、屋外熱交換器と冷媒回路のレシーバーとの間の流体ラインに位置することができる。
【0031】
冷却回路の第2の膨張弁は、冷媒回路のレシーバーと、第1の相変化物質熱交換器および熱媒体熱交換器に分岐する流体ラインとの間の流体ラインに位置することができる。
【0032】
本システムのコントローラーは、
屋外熱交換器のデフロストが必要とされる場合に、
第1の相変化物質熱交換器からの熱が屋外熱交換器に搬送されることを可能にするように構成することができ、
コントローラーは、好ましくは、
i)冷媒が第1の相変化物質熱交換器から圧縮機を介して屋外熱交換器に流れることを可能にする位置に、4方向切換弁を設定し、
ii)冷媒を第1の相変化物質熱交換器から圧縮機に向けるように第1の三方弁を設定し、
iii)冷媒を圧縮機から屋外熱交換器に向けるように第2の三方弁を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、第1の膨張弁のオリフィスおよび第2の膨張弁のオリフィスを組み合わせて調節するように構成されている。
【0033】
コントローラーのこのような構成には、内部居住空間における快適条件または家庭用温水出力の供給温度を損なうことなく、低温の周囲状況で屋外熱交換器をデフロストするために、第2の貯蔵デバイスに蓄えられた熱を使用できるという利点がある。
【0034】
本システムのコントローラーは、
屋外熱交換器のデフロストが必要とされない場合、
第2の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限を下回る場合、かつ
第1の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限を下回るか、または判定された屋外の気温が屋外周囲空気温度に関する設定下限以上である場合に、
特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、屋外熱交換器からの熱が熱媒体熱交換器に搬送されることを可能にするように構成することができ、
コントローラーは、好ましくは、特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、
i)冷媒が屋外熱交換器から圧縮機を介して熱媒体熱交換器に流れることを可能にする位置に、4方向切換弁を設定し、
ii)冷媒を圧縮機から熱媒体熱交換器に向けるように第1の三方弁を設定し、
iii)冷媒を屋外熱交換器から圧縮機に向けるように第2の三方弁を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、第1の膨張弁のオリフィスおよび第2の膨張弁のオリフィスを組み合わせて調節し、
v)水を第2の相変化物質熱交換器に向けるように第3の三方弁を設定するように構成されている。
【0035】
コントローラーのこのような構成には、第2の貯蔵デバイスを外気からの熱エネルギーでチャージできるという利点がある。
【0036】
コントローラーは、
屋外熱交換器のデフロストが必要とされない場合、
第2の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限を下回る場合、かつ
第1の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限以上であり、判定された屋外の気温が屋外周囲空気温度に関する設定下限を下回る場合に、
特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、第1の相変化物質熱交換器からの熱が熱媒体熱交換器に搬送されることを可能にするように構成することができ、
コントローラーは、好ましくは、特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、
i)冷媒が第1の相変化物質熱交換器から圧縮機を介して熱媒体熱交換器に流れることを可能にする位置に、4方向切換弁を設定し、
ii)冷媒を圧縮機から熱媒体熱交換器に向けるように第1の三方弁を設定し、
iii)冷媒を第1の相変化物質熱交換器から圧縮機に向けるように第2の三方弁を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、第1の膨張弁のオリフィスおよび第2の膨張弁のオリフィスを組み合わせて調節し、
v)水を第2の相変化物質熱交換器に向けるように第3の三方弁を設定するように構成されている。
【0037】
コントローラーのこのような構成には、第2の貯蔵デバイスを第1の貯蔵デバイスからの熱エネルギーでチャージできるという利点がある。
【0038】
コントローラーは、
屋外熱交換器のデフロストが必要とされない場合、
第2の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限以上である場合、
建物内暖房の要求がある場合、かつ
第1の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限を下回るか、または判定された屋外の気温が屋外周囲空気温度に関する設定下限以上である場合に、
屋外熱交換器からの熱が熱媒体熱交換器に搬送されることを可能にするように構成することができ、
コントローラーは、好ましくは、
i)冷媒が屋外熱交換器から圧縮機を介して熱媒体熱交換器に流れることを可能にする位置に、4方向切換弁を設定し、
ii)冷媒を圧縮機から熱媒体熱交換器に向けるように第1の三方弁を設定し、
iii)冷媒を屋外熱交換器から圧縮機に向けるように第2の三方弁を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、第1の膨張弁のオリフィスおよび第2の膨張弁のオリフィスを組み合わせて調節し、
v)水を建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器に向けるように第3の三方弁を設定するように構成されている。
【0039】
コントローラーのこのような構成には、外気からの熱エネルギーを建物内の少なくとも1つの空間に(直接的に)運ぶことができるという利点がある。したがって、屋外空気から建物の放熱器回路に熱を直接的に汲み上げることができる。
【0040】
コントローラーは、
屋外熱交換器のデフロストが必要とされない場合、
第2の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限以上である場合、
建物内暖房の要求がある場合、かつ
第1の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限以上であり、判定された屋外の気温が屋外周囲空気温度に関する設定下限を下回る場合に、
特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、第1の相変化物質熱交換器からの熱が熱媒体熱交換器に搬送されることを可能にするように構成することができ、
コントローラーは、好ましくは、特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、
i)冷媒が第1の相変化物質熱交換器から圧縮機を介して熱媒体熱交換器に流れることを可能にする位置に、4方向切換弁を設定し、
ii)冷媒を圧縮機から熱媒体熱交換器に向けるように第1の三方弁を設定し、
iii)冷媒を第1の相変化物質熱交換器から圧縮機に向けるように第2の三方弁を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、第1の膨張弁のオリフィスおよび第2の膨張弁のオリフィスを組み合わせて調節し、
v)水を建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器に向けるように第3の三方弁を設定するように構成されている。
【0041】
コントローラーのこのような構成には、第1の貯蔵デバイスからの熱エネルギーを建物内の少なくとも1つの空間に(直接的に)運ぶことができるという利点がある。したがって、(相変化物質を低温で収容する)第1の貯蔵デバイスから建物の放熱器回路に熱を直接的に汲み上げることができる。
【0042】
コントローラーは、
屋外熱交換器のデフロストが必要とされない場合、
第2の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限以上である場合、
建物内暖房の要求がない場合、かつ
第1の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限を下回る場合に、
特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、屋外熱交換器からの熱が第1の相変化物質熱交換器に搬送されることを可能にするように構成することができ、
コントローラーは、好ましくは、特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、
i)冷媒が屋外熱交換器から圧縮機を介して第1の相変化物質熱交換器に流れることを可能にする位置に、4方向切換弁を設定し、
ii)冷媒を圧縮機から第1の相変化物質熱交換器に向けるように第1の三方弁を設定し、
iii)冷媒を屋外熱交換器から圧縮機に向けるように第2の三方弁を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、第1の膨張弁のオリフィスおよび第2の膨張弁のオリフィスを組み合わせて調節するように構成されている。
【0043】
コントローラーのこのような構成には、第1の貯蔵デバイスを外気からの熱エネルギーでチャージできるという利点がある。
【0044】
本システムの熱媒体回路は、(熱媒体回路を流れる)水と、(家庭用温水回路を流れる)水道水との間で熱交換するさらなる熱交換器を備えることができる。そのさらなる熱交換器には、第2の貯蔵デバイスの第2の相変化物質熱交換器に加えてそのさらなる熱交換器も、水道水に熱を供給できるという利点がある。例えば、さらなる熱交換器は、第2の貯蔵デバイスの第2の相変化物質熱交換器の上流に位置することができる。その位置は、水道水が第2の貯蔵デバイスの第2の相変化物質熱交換器に入る前に、さらなる熱交換器が水道水を予熱することを可能にする。代替的に、さらなる熱交換器は、第2の貯蔵デバイスの第2の相変化物質熱交換器の下流に位置していてよい。その位置は、第2の貯蔵デバイスの第2の相変化物質熱交換器を出る水道水をさらなる熱交換器が後熱することを可能にする。本実施形態では、熱媒体回路は、好ましくは、さらなる熱交換器を介して第2の貯蔵デバイスの第2の相変化物質熱交換器に、またはさらなる熱交換器を迂回して直接的に第2の貯蔵デバイスの第2の相変化物質熱交換器に水の流れを切り換える、さらなる三方弁を備える。
【0045】
本システムの第1の貯蔵デバイスは、第1の相変化物質と、再生可能なエネルギー源から熱エネルギーを受け取る流体との間で熱交換する、再生可能エネルギー熱交換器を備えることができる。本実施形態には、再生可能エネルギー源からの熱エネルギーを第1の貯蔵デバイスに伝達し、第1の貯蔵デバイスの内側の第1の相変化物質によって貯蔵できるという利点がある。再生可能なエネルギー源は太陽熱収集アレイとすることができる。その場合、水が太陽熱収集アレイを通って流れ、太陽から熱エネルギーを吸収し、吸収した熱エネルギーを再生可能エネルギー熱交換器によって第1の貯蔵デバイスに伝達することができる。特に好ましい実施形態において、再生可能なエネルギー源は太陽光発電集熱アレイである。その場合、水は太陽光発電集熱アレイを通って流れ、太陽から熱エネルギーを吸収し、吸収した熱エネルギーを再生可能エネルギー熱交換器によって第1の貯蔵デバイスに伝達することができ、さらに、太陽光発電集熱アレイによって発生した電気エネルギーは、システムに電気を供給するために使用することができ、すなわち、システム全体または少なくともその一部分(例えば、ヒートポンプに関係する部分)を動作させるために使用することができる。本実施形態では、システムはさらに、DC電圧をAC電圧に変換するためにインバーターを備えることができる。
【0046】
本発明によれば、家庭用温水(DHW:domestic hot water)および/または建物内暖房(SH:space heating)を供給する方法であって、
a)冷却回路であって、
熱媒体としての冷媒と、
圧縮機と、
第1の膨張弁および第2の膨張弁と、
第1の三方弁および第2の三方弁と、
4方向切換弁と、
前記冷媒と空気との間で熱交換する屋外熱交換器と、
第1の相変化物質を収容する第1の貯蔵デバイスであって、前記第1の貯蔵デバイスは、前記第1の貯蔵デバイスのチャージ状態を判定するための第1の検出器を備え、前記冷媒と前記第1の相変化物質との間で熱交換をする第1の相変化物質熱交換器を備える、第1の貯蔵デバイスと
を備える、冷却回路と、
熱媒体回路であって、
熱媒体としての水と、
家庭用温水回路に熱接続されており、第2の相変化物質を収容する、第2の貯蔵デバイスであって、前記第2の相変化物質の相変化温度は、前記第1の相変化物質の相変化温度よりも高く、前記第2の貯蔵デバイスは、前記第2の貯蔵デバイスのチャージ状態を判定するための第2の検出器を備え、前記熱媒体回路の水と前記第2の相変化物質との間で熱交換する第2の相変化物質熱交換器を備える、第2の貯蔵デバイスと、
水の流れを建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器または第2の相変化物質熱交換器に切り換える第3の三方弁と、
前記熱媒体熱交換器を通して水を循環させるための少なくとも1つの搬送手段と
を備える、熱媒体回路と、
前記冷却回路および前記熱媒体回路の両方によって構成され、前記冷媒と水との間で熱を伝達する、熱媒体熱交換器と、
コントローラーと
を備えるシステムを提供することと、
b)少なくとも、前記第1の検出器から得られた情報によって判定される前記第1の貯蔵デバイスのチャージ状態および前記第2の検出器から得られた情報によって判定される前記第2の貯蔵デバイスのチャージ状態に基づいて、前記システムの動作を制御することと
を含む、方法が提供される。
【0047】
本方法には、少なくとも、必要とされる空間を最小限に抑えてより効率的に家庭用温水および建物内暖房を供給できるという利点がある。
【0048】
本方法で使用されるシステムの第1の貯蔵デバイスは、屋外に、好ましくは、圧縮機、第1の膨張弁、第2の膨張弁、第1の三方弁、第2の三方弁、4方向切換弁、屋外熱交換器、および熱媒体熱交換器を備えるヒートポンプ屋外ユニット内に配置することができる。その利点は、本方法の実行に必要な屋内空間が小さく、その結果、動作がより効率的になることである。
【0049】
本方法は、屋外熱交換器のデフロストが必要とされる場合に、
第1の相変化物質熱交換器からの熱は、屋外熱交換器に搬送されることが可能であり、
好ましくは、
i)4方向切換弁は、冷媒が第1の相変化物質熱交換器から圧縮機を介して屋外熱交換器に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)第1の三方弁は、冷媒を第1の相変化物質熱交換器から圧縮機に向けるように設定され、
iii)第2の三方弁は、冷媒を圧縮機から屋外熱交換器に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、第1の膨張弁のオリフィスおよび第2の膨張弁のオリフィスは、組み合わせて調節されることを特徴とすることができる。
【0050】
本方法には、内部居住空間における快適条件または家庭用温水出力の供給温度を損なうことなく、低温の周囲状況で屋外熱交換器をデフロストするために、第1の貯蔵デバイスに蓄えられた熱を使用できるという利点がある。
【0051】
本方法は、
屋外熱交換器のデフロストが必要とされない場合、
第2の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限を下回る場合、かつ
第1の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限を下回るか、または判定された屋外の気温が屋外周囲空気温度に関する設定下限以上である場合に、
特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、屋外熱交換器からの熱は、熱媒体熱交換器に搬送されることが可能であり、
好ましくは、特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、
i)4方向切換弁は、冷媒が屋外熱交換器から圧縮機を介して熱媒体熱交換器に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)第1の三方弁は、冷媒を圧縮機から熱媒体熱交換器に向けるように設定され、
iii)第2の三方弁は、冷媒を屋外熱交換器から圧縮機に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、第1の膨張弁のオリフィスおよび第2の膨張弁のオリフィスは組み合わせて調節され、
v)第3の三方弁は、水を第2の相変化物質熱交換器に向けるように設定されことを特徴とすることができる。
【0052】
本方法には、第2の貯蔵デバイスを外気からの熱エネルギーでチャージできるという利点がある。
【0053】
本方法は、
屋外熱交換器のデフロストが必要とされない場合、
第2の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限を下回る場合、かつ
第1の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限以上であり、判定された屋外の気温が屋外周囲空気温度に関する設定下限を下回る場合に、
特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、第1の相変化物質熱交換器からの熱は、熱媒体熱交換器に搬送されることが可能であり、
好ましくは、特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、
i)4方向切換弁は、冷媒が第1の相変化物質熱交換器から圧縮機を介して熱媒体熱交換器に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)第1の三方弁は、冷媒を圧縮機から熱媒体熱交換器に向けるように設定され、
iii)第2の三方弁は、冷媒を第1の相変化物質熱交換器から圧縮機に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、第1の膨張弁のオリフィスおよび第2の膨張弁のオリフィスは組み合わせて調節され、
v)第3の三方弁は、水を第2の相変化物質熱交換器に向けるように設定されることを特徴とすることができる。
【0054】
本方法には、第2の貯蔵デバイスを第1の貯蔵デバイスからの熱エネルギーでチャージできるという利点がある。
【0055】
本方法は、
屋外熱交換器のデフロストが必要とされない場合、
第2の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限以上である場合、
建物内暖房の要求がある場合、かつ
第1の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限を下回るか、または判定された屋外の気温が屋外周囲空気温度に関する設定下限以上である場合に、
屋外熱交換器からの熱は、熱媒体熱交換器に搬送されることが可能であり、好ましくは、
i)4方向切換弁は、冷媒が屋外熱交換器から圧縮機を介して熱媒体熱交換器に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)第1の三方弁は、冷媒を圧縮機から熱媒体熱交換器に向けるように設定され、
iii)第1の三方弁は、冷媒を屋外熱交換器から圧縮機に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、第1の膨張弁のオリフィスおよび第2の膨張弁のオリフィスは組み合わせて調節され、
v)第3の三方弁は、水を建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器に向けるように設定されることを特徴とすることができる。
【0056】
本方法には、外気からの熱エネルギーを建物内の少なくとも1つの空間に(直接的に)運ぶことができるという利点がある。したがって、屋外空気から建物の放熱器回路に熱を直接的に汲み上げることができる。
【0057】
本方法は、
屋外熱交換器のデフロストが必要とされない場合、
第2の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限以上である場合、
建物内暖房の要求がある場合、かつ
第1の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限以上であり、判定された屋外の気温が屋外周囲空気温度に関する設定下限を下回る場合に、
特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、第1の相変化物質熱交換器からの熱は、熱媒体熱交換器に搬送されることが可能であり、
好ましくは、特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、
i)4方向切換弁は、冷媒が第1の相変化物質熱交換器から圧縮機を介して熱媒体熱交換器に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)第1の三方弁は、冷媒を圧縮機から熱媒体熱交換器に向けるように設定され、
iii)第1の三方弁は、冷媒を第1の相変化物質熱交換器から圧縮機に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、第1の膨張弁のオリフィスおよび第2の膨張弁のオリフィスは組み合わせて調節され、
v)第3の三方弁は、水を建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器に向けるように設定されることを特徴とすることができる。
【0058】
本方法には、第1の貯蔵デバイスからの熱エネルギーを建物の少なくとも1つの空間に(直接的に)運ぶことができるという利点がある。したがって、(相変化物質を低温で収容する)第1の貯蔵デバイスから建物の放熱器回路に熱を直接的に汲み上げることができる。
【0059】
本方法は、
屋外熱交換器のデフロストが必要とされない場合、
第2の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限以上である場合、
建物内暖房の要求がない場合、かつ
第1の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態が設定下限を下回る場合に、
特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、屋外熱交換器からの熱は、第1の相変化物質熱交換器に搬送されることが可能であり、
好ましくは、特に第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態が設定上限以上になるまで、
i)4方向切換弁は、冷媒が屋外熱交換器から圧縮機を介して第1の相変化物質熱交換器に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)第1の三方弁は、冷媒を圧縮機から第1の相変化物質熱交換器に向けるように設定され、
iii)第1の三方弁は、冷媒を屋外熱交換器から圧縮機に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、第1の膨張弁のオリフィスおよび第2の膨張弁のオリフィスは組み合わせて調節されることを特徴とすることができる。
【0060】
本方法には、第1の貯蔵デバイスを外気からの熱エネルギーでチャージできるという利点がある。
【0061】
本方法において、本発明によるシステムを提供および使用でき、すなわち、本方法は、本発明によるシステムを用いて実行することができる。システムのコントローラーは、方法の各ステップを制御する、例えば、システムの各部分の設定を制御するように構成することができる。
【0062】
以下の図および例を参照することで、本発明による主題は、前記主題をここに示す特定の実施形態に限定しようとすることなく、より詳細に説明されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図2】冷却回路に関する本発明によるシステムの構成要素を概略的に示す。
【
図3】
図2に示す構成要素を示し、第1の動作モード(HPモード1)における冷媒の流れの方向を示す。
【
図4】
図2に示す構成要素を示し、第2の動作モード(HPモード2)および第5の動作モード(HPモード5)における冷媒の流れの方向を示す。
【
図5】
図2に示す構成要素を示し、第3の動作モード(HPモード3)および第4の動作モード(HPモード4)における冷媒の流れの方向を示す。
【
図6】
図2に示す構成要素を示し、第6の加熱動作モード(HPモード6)における冷媒の流れの方向を示す。
【
図7】本発明による方法を行う決定ツリーを概略的に示す。
【
図8】
図1に示す特徴を有する、本発明によるさらなるシステムを示す。
【
図9】
図1に示す特徴を有する、本発明によるさらなるシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は本発明によるシステムを示す。前記図を見て分かるように、本システムは第1の貯蔵デバイス5を備え、第1の貯蔵デバイス5は、第1の相変化物質(図示せず)を収容し、第1の相変化物質熱交換器6と、第1の貯蔵デバイスのチャージ状態を判定するための第1の検出器(図示せず)とを備える。本システムは、相変化温度が第1の相変化物質(図示せず)よりも高い第2の相変化物質を収容する第2の貯蔵デバイス7も備え、第2の相変化物質熱交換器8を備える。熱媒体回路22は、水流の方向を第2の相変化物質熱交換器8または放熱器18に切り換える三方弁を備える。熱媒体回路22はさらに、熱媒体回路22を通して水を搬送するポンプ10を備える。システムは熱媒体熱交換器11も備え、熱媒体熱交換器11は、冷却回路および熱媒体回路22の両方によって構成されており、冷媒と、熱媒体回路22の水との間で熱伝達するのに適している。
【0065】
図2は、冷却回路30に関する本発明によるシステムの構成要素を概略的に示す。前記図を見て分かるように、冷却回路30は、圧縮機1と、第1の膨張弁2と、第2の膨張弁2’と、4方向切換弁3と、屋外熱交換器4と、第1の貯蔵デバイス5とを備え、第1の貯蔵デバイス5は、第1の相変化物質(図示せず)を収容し、第1の相変化物質熱交換器6と、第1の貯蔵デバイスのチャージ状態を判定するための第1の検出器(図示せず)とを備える。冷却回路はさらに、第1の三方弁13と、第2の三方弁14と、第1の膨張弁2と第2の膨張弁2’との間に位置するレシーバーとを備える。さらに、システムは熱媒体熱交換器11を備え、熱媒体熱交換器11は、冷却回路30および熱媒体回路の両方によって構成されており、冷却回路30の冷媒と、熱媒体回路の水との間で熱伝達するのに適している。すなわち、熱媒体回路からの低温の水流28が、熱媒体熱交換器11において加熱され、高温の水流29として熱媒体熱交換器11から出て熱媒体回路に入ることができる。
【0066】
図3は、
図2に示す構成要素を示し、第1の動作モード(HPモード1)における冷媒の流れの方向を示す。HPモード1では、熱源として外気16が用いられる。熱は、(第1の貯蔵デバイス5の効率的なチャージを可能にするように)第1の貯蔵デバイス5に伝達される。
【0067】
図4は、
図2に示す構成要素を示し、第2の動作モード(HPモード2)および第5の動作モード(HPモード5)における冷媒の流れの方向を示す。HPモード2およびHPモード5の両方において、熱源として第1の貯蔵デバイス5が用いられる。HPモード2では、熱は、(家庭用温水の効率的な供給を可能にするために)第2の貯蔵デバイス7に伝達されて第2の貯蔵デバイスがチャージされ、HPモード5では、熱は、(建物の1つまたは複数の部屋における効率的な暖房供給を可能にするために)建物の1つまたは複数の放熱器18に伝達される。HPモード2とHPモード5との間の切り換えは、熱媒体回路の三方弁9を切り換えることによって行うことができる。
【0068】
図5は、
図2に示す構成要素を示し、第3の動作モード(HPモード3)および第4の動作モード(HPモード4)における冷媒の流れの方向を示す。HPモード3およびHPモード4の両方で、熱源として外気16が用いられる。HPモード3では、熱は、(家庭用温水の効率的な供給を可能にするために)第2の貯蔵デバイス7に伝達されて第2の貯蔵デバイスがチャージされ、HPモード4では、熱は、(建物の1つまたは複数の部屋への効率的な熱供給を可能にするために)建物の1つまたは複数の放熱器18に伝達される。HPモード3とHPモード4との切り換えは、熱媒体回路の三方弁9を切り換えることによって行うことができる。
【0069】
図6は、
図2に示す構成要素を示し、第6の加熱動作モード(HPモード6)における冷媒の流れの方向を示す。HPモード6では、熱源として第1の貯蔵デバイス5が用いられる。熱は、(屋外熱交換器の効率的なデフロストを可能にするために)屋外熱交換器4に伝達される。
【0070】
図7は、本発明による方法を行う決定ツリーを概略的に示し、この決定ツリーは、本発明によるシステムのコントローラーに実装することができる。
【0071】
図8は、
図1に示す特徴を有する、本発明によるさらなるシステムを示す。本システムの熱媒体回路22はさらに、熱媒体回路22の水と、水道水19の水流とを直接的に熱交換する熱交換器(予熱熱交換器)23を備える。熱交換器23は、水道水が第2の貯蔵デバイス7に入る前にそれを予熱するのに適している。第2の貯蔵デバイス7では、予熱された水道水が第2の相変化物質熱交換器8によってさらに加熱され、家庭用温水20の水流として第2の貯蔵デバイスを出る。詳細には、第2の貯蔵デバイス7は、相変化物質(PCM)と接触状態にある熱交換器コイルを2つ収容する。一方の熱交換器コイルは、熱媒体回路からPCMに熱を伝達するためのものであり、他方の熱交換器コイルは、蓄えられている熱をPCMから家庭用温水流体の流れに伝達するためのものである。熱媒体回路22はさらなる三方弁24を備えることができる。その三方弁24は、熱媒体回路22の水の流れを第2の相変化物質熱交換器8または熱交換器23に切り換えるのに適しており、そのような切り換えにより、水道水の予熱を行うか否かの選択が可能になる。
【0072】
図9は、
図1に示す特徴を有する、本発明によるさらなるシステムを示し、そのシステムはさらに、太陽光発電集熱アレイ26(PVTアレイ)(PVT:photovoltaic‐thermal)を備える。図示の通り、PVTアレイ26は、第1の貯蔵容器5に位置する再生可能エネルギー熱交換器25を介して第1の貯蔵容器5に熱エネルギーを供給でき、ヒートポンプ17に関係するシステムの各部分に電気エネルギーを供給することができる。そのためには、システムは、DC電圧をAC電圧に変換するインバーター27を備えることができる。
【実施例0073】
実施例1‐第1の貯蔵容器をチャージするための熱源としての屋外空気(
図3)
HPモード1‐空気熱源から第1の貯蔵デバイスをチャージする
この動作モードでは、ヒートポンプを使用して、屋外空気16から、第1の貯蔵デバイス5に埋め込まれた第1の相変化物質熱交換器6を介して第1の貯蔵デバイス5に熱が汲み上げられる。冷媒回路の流れの構成は
図3に従って設定される。
【0074】
4方向切換弁3は、その通常の「加熱」位置に設定される。三方弁13は、過熱された冷媒蒸気を、圧縮機1の吐出口から第1の相変化物質熱交換器6に向けるように設定されており、熱交換器6で、その蒸気が凝結して熱を放出し、第1の相変化物質が溶融される。三方弁14は、リニア膨張弁2を出る二相冷媒を屋外熱交換器4に向けるように設定されており、屋外熱交換器4で、その二相冷媒が蒸発して空気流から熱を吸収する。第1のリニア膨張弁2のオリフィスは、蒸発器出口における過熱温度を制御するために調節され、第2のリニア膨張弁2’は全開に設定されている。
【0075】
実施例2‐家庭用温水および/または建物内暖房を供給するための熱源としての第1の貯蔵デバイス(
図4)
HPモード2‐第1の貯蔵デバイス熱源から第2の貯蔵デバイスをチャージする
この動作モードでは、ヒートポンプを使用して、第1の貯蔵デバイス5から第2の貯蔵デバイス7に熱が汲み上げられ、これは、第2の貯蔵デバイスによる家庭用温水の効率的な供給を可能にする。このモードは、屋外の気温が十分に低いため、屋外空気16を用いる場合に比べて、第1の貯蔵デバイス5に貯蔵された熱を熱源として用いるとヒートポンプのCOPに大幅な改善がもたらされるときに使用される。冷媒回路の流れの構成は
図4に従って設定される。
【0076】
4方向切換弁3は、その通常の「加熱」位置に設定される。三方弁13は、過熱された冷媒蒸気を、圧縮機1の吐出口から熱媒体熱交換器11に向けるように設定されており、熱媒体熱交換器11で、その蒸気が凝結して、一次側循環流体に熱を放出する。三方弁14は、リニア膨張弁2を出る二相冷媒を第1の貯蔵デバイス5に向けるように設定されており、第1の貯蔵デバイス5で、その二相冷媒が蒸発して第1の相変化物質から熱を吸収し、第1の相変化物質は液相から固相に相変化する。第1のリニア膨張弁2のオリフィスは、蒸発器出口における過熱温度を制御するために調節されており、第2のリニア膨張弁2’は全開に設定されている。
【0077】
三方弁9(
図1に示す)は、熱媒体回路22の水を、放熱器18ではなく、第2の貯蔵デバイス7に向けるように設定されている。
【0078】
HPモード5‐第1の貯蔵デバイス熱源からの暖房
この動作モードでは、ヒートポンプを使用して、第1の貯蔵デバイス5から少なくとも1つの放熱器18に熱が汲み上げられ、これは、放熱器が位置する少なくとも1つの屋内部屋を効率的に暖めることを可能にする。このモードは、屋外の気温が十分に低く、熱要求が十分に高いため、屋外空気16を用いる場合に比べて、第1の貯蔵デバイス5に貯蔵された熱を熱源として用いるとヒートポンプCOPに大幅な改善がもたらされるときに使用される。冷媒回路の流れの構成は
図4に従って設定される。
【0079】
4方向切換弁3は、その通常の「加熱」位置に設定される。三方弁13は、過熱された冷媒蒸気を、圧縮機1の吐出口から熱媒体熱交換器11に向けるように設定されており、熱媒体熱交換器11で、その蒸気が凝結して、一次側循環流体に熱を放出する。三方弁14は、リニア膨張弁2を出る二相冷媒を第1の貯蔵デバイス5に向けるように設定されており、第1の貯蔵デバイス5で、その二相冷媒が蒸発して第1の相変化物質から熱を吸収し、第1の相変化物質は液相から固相に相変化する。第1のリニア膨張弁2のオリフィスは、蒸発器出口における過熱温度を制御するために調節されており、第2のリニア膨張弁2’は全開に設定されている。
【0080】
三方弁9(
図1に示す)は、熱媒体回路22の水を、第2の貯蔵デバイス7ではなく、放熱器18に向けるように設定されている。
【0081】
実施例3‐家庭用温水および/または建物内暖房を供給するための熱源としての屋外空気(
図5)
HPモード3‐屋外空気熱源から第2の貯蔵デバイスをチャージする
この動作モードでは、屋外空気16から第2の貯蔵デバイス7に熱を汲み上げるためにヒートポンプが使用される。このモードは、家庭用温水(DHW)の即座の要求があるが第1の貯蔵デバイス5には十分な熱エネルギーが貯蔵されていないときに、または屋外空気16の温度が十分に高いため、屋外空気16を用いる場合に比べて、第1の貯蔵デバイス5に貯蔵された熱を熱源として用いるとヒートポンプCOPにあまり改善がもたらされないときに使用される。冷媒回路の流れの構成は
図5に従って設定される。
【0082】
4方向切換弁3は、その通常の「加熱」位置に設定される。三方弁13は、過熱された冷媒蒸気を、圧縮機1の吐出口から熱媒体熱交換器11に向けるように設定されており、熱媒体熱交換器11で、その蒸気が凝結して、一次側循環流体に熱を放出する。三方弁14は、リニア膨張弁2を出る二相冷媒を屋外熱交換器4に向けるように設定されており、屋外熱交換器4で、その二相冷媒が蒸発して空気流から熱を吸収する。第1のリニア膨張弁2のオリフィスは、蒸発器出口における過熱温度を制御するために調節されており、第2のリニア膨張弁2’は全開に設定されている。
【0083】
三方弁9(
図1に示す)は、熱媒体回路22の水を、放熱器18ではなく、第2の貯蔵デバイス7に向けるように設定されている。
【0084】
HPモード4‐屋外空気熱源を用いた暖房
この動作モードでは、屋外空気16から放熱器18に熱を汲み上げるためにヒートポンプが使用される。このモードは、屋外空気16の温度が十分に高く、熱要求が十分に低いため、屋外空気16を用いる場合に比べて、第1の貯蔵デバイス5に貯蔵された熱を熱源として用いるとヒートポンプCOPにあまり改善がもたらされないときに使用される。冷媒回路の流れの構成は
図5に従って設定される。
【0085】
4方向切換弁3は、その通常の「加熱」位置に設定される。三方弁13は、過熱された冷媒蒸気を、圧縮機1の吐出口から熱媒体熱交換器11に向けるように設定されており、熱媒体熱交換器11で、その蒸気が凝結して、一次側循環流体に熱を放出する。三方弁14は、リニア膨張弁2を出る二相冷媒を屋外熱交換器4に向けるように設定されており、屋外熱交換器4で、その二相冷媒が蒸発して空気流から熱を吸収する。第1のリニア膨張弁2のオリフィスは、蒸発器出口における過熱温度を制御するために調節されており、第2のリニア膨張弁2’は全開に設定されている。
【0086】
三方弁9(
図1に示す)は、熱媒体回路の水を、第2の貯蔵デバイス7ではなく、放熱器18に向けるように設定されている。
【0087】
実施例4‐屋外熱交換器をデフロストするための熱源としての第1の貯蔵デバイス(
図6)
HPモード6‐第1の貯蔵デバイスに貯蔵されている熱を用いて屋外熱交換器をデフロストする
この動作モードでは、屋外温度が低いときに屋外熱交換器4を(周期的に)デフロストするように第1の貯蔵デバイス5から熱を汲み上げるためにヒートポンプを使用が使用される。冷媒回路の流れの構成は
図6に従って設定される。
【0088】
4方向切換弁3は、その逆の「デフロスト」位置に設定される。低圧の二相冷媒が第1の相変化物質熱交換器6に入り、そこで蒸発して、第1の相変化物質から放出される潜熱を吸収する。三方弁13は、第1の相変化物質熱交換器6を出る低圧蒸気を圧縮機1の吸入口に向けるように設定されている。三方弁14は、圧縮機1の吐出口を出る高圧の過熱された蒸気を屋外熱交換器4に向け、そこで、その蒸気が凝結して熱を放出し、屋外熱交換器4の外面に堆積した氷をデフロストする。第2のリニア膨張弁2’のオリフィスは、第1の相変化物質熱交換器6の出口における過熱温度を制御するために調節されており、第1のリニア膨張弁2は全開に設定されている。
【0089】
実施例5‐水道水を予熱するためのさらなる熱交換器(
図8)
図8は、ヒートポンプ(熱源として空気を用いるかまたは熱源として第1の貯蔵デバイス5を用いる)、ならびに、さらなる熱交換器(例えば、プレートタイプの熱交換器)および熱媒体回路のさらなる三方弁24を用いて、水道水を予熱できる実現可能な実装形態を示す。
【0090】
このような機構は、DHWをより長時間利用する状況(例えば、入浴またはシャワー)で、DHW加熱負荷のうちの第2の貯蔵デバイス7から取り出される分を、(ヒートポンプの定格容量に応じて)20~50%程度低減できるため、特に有益である。このように、第2の貯蔵デバイス7をチャージする必要が生じる前に、より大きい体積のDHWを供給できるか、または、同等の体積のDHWを供給することが目的のときは、第2の貯蔵デバイス7のサイズをより小さくでき、そうすることで、第2の貯蔵デバイス7によって占められる屋内空間を小さくすることが可能である。
【0091】
実施例6‐第1の貯蔵デバイスをチャージするための熱源としての太陽熱収集アレイまたは太陽光PVTアレイ(
図9)
第1の貯蔵デバイス5のための熱交換器の2重設計を組み込むことによって、太陽熱収集器アレイなど、二次的な再生可能熱源を用いて、システムに熱入力を供給することができる。この機構において、これは、太陽熱収集器が約60℃の貯蔵温度よりも高い温度までDHWを加熱する必要がある従来の機構と比べて、太陽熱収集器アレイが第1の貯蔵デバイス5の低い溶融温度でより高効率の動作を実現できるため、特に有利である。これは、より低コストの太陽熱収集器の設計(例えば、ガラスなし平板型集熱器)を使用でき、その場合は、通常、動作温度がより高いときは、より高コストの設計の場合(例えば、真空管型集熱器)よりも著しく効率が低下することを意味している。
【0092】
より好ましくは、太陽電池および太陽熱収集器が同じモジュールに組み込まれた、ハイブリッド型発電集熱アレイ(PVTアレイ)が、太陽熱収集アレイの代わりに使用される。これらは、高いPV発電効率および適度な太陽熱収集効率の両方を維持するために、より低い動作温度向きに設計されることが多い。PVTアレイと組み合わせた本システムの提案される機構が
図9に示されている。システム全体または少なくともその構成要素(例えば、ヒートポンプに関係する部分)を動作させるためにPVTアレイによって発生した電気を使用できるため、PVT集電器の使用は非常に有利である。このように、本システムは、再生可能なエネルギー(すなわち、太陽エネルギー)によって完全にまたは少なくとも部分的に動作することができる。
【0093】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0094】
(付記1)
家庭用温水(DHW)および/または建物内暖房(SH)を供給するためのシステムであって、
a)冷却回路であって、
熱媒体としての冷媒と、
圧縮機(1)と、
第1の膨張弁(2)および第2の膨張弁(2’)と、
第1の三方弁(13)および第2の三方弁(14)と、
4方向切換弁(3)と、
前記冷媒と空気との間で熱交換する屋外熱交換器(4)と、
第1の相変化物質を収容する第1の貯蔵デバイス(5)であって、前記第1の貯蔵デバイス(5)は、前記第1の貯蔵デバイス(5)のチャージ状態(SOC1)を判定するための第1の検出器を備え、前記冷媒と前記第1の相変化物質との間で熱交換をする第1の相変化物質熱交換器(6)を備える、第1の貯蔵デバイス(5)と
を備える、冷却回路と、
b)熱媒体回路であって、
熱媒体としての水と、
家庭用温水回路に熱接続されており、第2の相変化物質を収容する、第2の貯蔵デバイス(7)であって、前記第2の相変化物質の相変化温度は、前記第1の相変化物質の相変化温度よりも高く、前記第2の貯蔵デバイス(7)は、前記第2の貯蔵デバイス(7)のチャージ状態(SOC2)を判定するための第2の検出器を備え、前記熱媒体回路の水と前記第2の相変化物質との間で熱交換する第2の相変化物質熱交換器(8)を備える、第2の貯蔵デバイス(7)と、
水の流れを建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器または第2の相変化物質熱交換器(8)に切り換える第3の三方弁(9)と、
前記熱媒体熱交換器を通して水を循環させるための少なくとも1つの搬送手段(10)と
を備える、熱媒体回路と、
c)前記冷却回路および前記熱媒体回路の両方によって構成され、前記冷媒と水との間で熱を伝達する、熱媒体熱交換器(11)と、
d)少なくとも、前記第1の検出器から得られた情報によって判定される前記第1の貯蔵デバイス(5)のチャージ状態(SOC1)および前記第2の検出器から得られた情報によって判定される前記第2の貯蔵デバイス(7)のチャージ状態(SOC2)に基づいて、前記システムの動作を制御するように構成された、コントローラー(12)と
を備える、システム。
(付記2)
前記第1の貯蔵デバイス(5)は、屋外に位置し、好ましくは、前記圧縮機(1)、前記第1の膨張弁(2)、前記第2の膨張弁(2’)、前記第1の三方弁(13)、前記第2の三方弁(14)、前記4方向切換弁(3)、前記屋外熱交換器(4)、および前記熱媒体熱交換器(11)を備えるヒートポンプ屋外ユニット内に位置することを特徴とする、付記1に記載のシステム。
(付記3)
前記コントローラー(12)は、
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされる場合に、
前記第1の相変化物質熱交換器(6)からの熱が前記屋外熱交換器(4)に搬送されることを可能にするように構成されており、
前記コントローラー(12)は、好ましくは、
i)冷媒が前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)を介して前記屋外熱交換器(4)に流れることを可能にする位置に、前記4方向切換弁(3)を設定し、
ii)冷媒を前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)に向けるように前記第1の三方弁(13)を設定し、
iii)冷媒を前記圧縮機(1)から前記屋外熱交換器(4)に向けるように前記第2の三方弁(14)を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスを組み合わせて調節するように構成されていることを特徴とする、付記1または2に記載のシステム。
(付記4)
前記コントローラー(12)は、
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)を下回る場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)を下回るか、または判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)以上である場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記屋外熱交換器(4)からの熱が前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることを可能にするように構成されており、
前記コントローラー(12)は、好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)冷媒が前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に、前記4方向切換弁(3)を設定し、
ii)冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように前記第1の三方弁(13)を設定し、
iii)冷媒を前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)に向けるように前記第2の三方弁(14)を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスを組み合わせて調節し、
v)水を前記第2の相変化物質熱交換器(8)に向けるように前記第3の三方弁(9)を設定するように構成されていることを特徴とする、付記1~3のいずれか1つに記載のシステム。
(付記5)
前記コントローラー(12)は、
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイスの判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)を下回る場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)以上であり、判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)を下回る場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記第1の相変化物質熱交換器(6)からの熱が前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることを可能にするように構成されており、
前記コントローラー(12)は、好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)冷媒が前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に、前記4方向切換弁(3)を設定し、
ii)冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように前記第1の三方弁(13)を設定し、
iii)冷媒を前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)に向けるように前記第2の三方弁(14)を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスを組み合わせて調節し、
v)水を前記第2の相変化物質熱交換器(8)に向けるように前記第3の三方弁(9)を設定するように構成されていることを特徴とする、付記1~4のいずれか1つに記載のシステム。
(付記6)
前記コントローラー(12)は、
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)以上である場合、
建物内暖房(SH)の要求がある場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)を下回るか、または判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)以上である場合に、
前記屋外熱交換器(4)からの熱が前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることを可能にするように構成されており、
前記コントローラー(12)は、好ましくは、
i)冷媒が前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に、前記4方向切換弁(3)を設定し、
ii)冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように前記第1の三方弁(13)を設定し、
iii)冷媒を前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)に向けるように前記第2の三方弁(14)を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスを組み合わせて調節し、
v)水を建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器に向けるように前記第3の三方弁(9)を設定するように構成されていることを特徴とする、付記1~5のいずれか1つに記載のシステム。
(付記7)
前記コントローラー(12)は、
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)以上である場合、
建物内暖房(SH)の要求がある場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)以上であり、判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)を下回る場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記第1の相変化物質熱交換器(6)からの熱が前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることを可能にするように構成されており、
前記コントローラー(12)は、好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)冷媒が前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に、前記4方向切換弁(3)を設定し、
ii)冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように前記第1の三方弁(13)を設定し、
iii)冷媒を前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)に向けるように前記第2の三方弁(14)を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスを組み合わせて調節し、
v)水を建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器に向けるように前記第3の三方弁(9)を設定するように構成されていることを特徴とする、付記1~6のいずれか1つに記載のシステム。
(付記8)
前記コントローラー(12)は、
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)以上である場合、
建物内暖房(SH)の要求がない場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)を下回る場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記屋外熱交換器(4)からの熱が前記第1の相変化物質熱交換器(6)に搬送されることを可能にするように構成されており、
前記コントローラー(12)は、好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)冷媒が前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)を介して前記第1の相変化物質熱交換器(6)に流れることを可能にする位置に、前記4方向切換弁(3)を設定し、
ii)冷媒を前記圧縮機(1)から前記第1の相変化物質熱交換器(6)に向けるように前記第1の三方弁(13)を設定し、
iii)冷媒を前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)に向けるように前記第2の三方弁(14)を設定し、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスを組み合わせて調節するように構成されていることを特徴とする、付記1~7のいずれか1つに記載のシステム。
(付記9)
家庭用温水(DHW)および/または建物内暖房(SH)を供給するための方法であって、
a)冷却回路であって、
熱媒体としての冷媒と、
圧縮機(1)と、
第1の膨張弁(2)および第2の膨張弁(2’)と、
第1の三方弁(13)および第2の三方弁(14)と、
4方向切換弁(3)と、
前記冷媒と空気との間で熱交換する屋外熱交換器(4)と、
第1の相変化物質を収容する第1の貯蔵デバイス(5)であって、前記第1の貯蔵デバイス(5)は、前記第1の貯蔵デバイス(5)のチャージ状態(SOC1)を判定するための第1の検出器を備え、前記冷媒と前記第1の相変化物質との間で熱交換をする第1の相変化物質熱交換器(6)を備える、第1の貯蔵デバイス(5)と
を備える、冷却回路と、
熱媒体回路であって、
熱媒体としての水と、
家庭用温水回路に熱接続されており、第2の相変化物質を収容する、第2の貯蔵デバイス(7)であって、前記第2の相変化物質の相変化温度は、前記第1の相変化物質の相変化温度よりも高く、前記第2の貯蔵デバイス(7)は、前記第2の貯蔵デバイス(7)のチャージ状態(SOC2)を判定するための第2の検出器を備え、前記熱媒体回路の水と前記第2の相変化物質との間で熱交換する第2の相変化物質熱交換器(8)を備える、第2の貯蔵デバイス(7)と、
水の流れを建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器または第2の相変化物質熱交換器(8)に切り換える第3の三方弁(9)と、
前記熱媒体熱交換器を通して水を循環させるための少なくとも1つの搬送手段(10)と
を備える、熱媒体回路と、
前記冷却回路および前記熱媒体回路の両方によって構成され、前記冷媒と水との間で熱を伝達する、熱媒体熱交換器(11)と、
コントローラー(12)と
を備えるシステムを提供することと、
b)少なくとも、前記第1の検出器から得られた情報によって判定される前記第1の貯蔵デバイス(5)のチャージ状態(SOC1)および前記第2の検出器から得られた情報によって判定される前記第2の貯蔵デバイス(7)のチャージ状態(SOC2)に基づいて、前記システムの動作を制御することと
を含む、方法。
(付記10)
前記第1の貯蔵デバイス(5)は、屋外に、好ましくは、前記圧縮機(1)、前記第1の膨張弁(2)、前記第2の膨張弁(2’)、前記第1の三方弁(13)、前記第2の三方弁(14)、前記4方向切換弁(3)、前記屋外熱交換器(4)、および前記熱媒体熱交換器(11)を備えるヒートポンプ屋外ユニット内に配置されていることを特徴とする、付記9に記載の方法。
(付記11)
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされる場合に、
前記第1の相変化物質熱交換器(6)からの熱は、前記屋外熱交換器(4)に搬送されることが可能であり、
好ましくは、
i)前記4方向切換弁(3)は、冷媒が前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)を介して前記屋外熱交換器(4)に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)前記第1の三方弁(13)は、冷媒を前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)に向けるように設定され、
iii)前記第2の三方弁(14)は、冷媒を前記圧縮機(1)から前記屋外熱交換器(4)に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスは、組み合わせて調節されることを特徴とする、付記9または10に記載の方法。
(付記12)
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)を下回る場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)を下回るか、または判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)以上である場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記屋外熱交換器(4)からの熱は、前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることが可能であり、
好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイスの判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)前記4方向切換弁(3)は、冷媒が前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)前記第1の三方弁(13)は、冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように設定され、
iii)前記第2の三方弁(14)は、冷媒を前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスは組み合わせて調節され、
v)前記第3の三方弁(9)は、水を前記第2の相変化物質熱交換器(8)に向けるように設定されことを特徴とする、付記9~11のいずれか1つに記載の方法。
(付記13)
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)を下回る場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)以上であり、判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)を下回る場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記第1の相変化物質熱交換器(6)からの熱は、前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることが可能であり、
好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)前記4方向切換弁(3)は、冷媒が前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)前記第1の三方弁(13)は、冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように設定され、
iii)前記第2の三方弁(14)は、冷媒を前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスは組み合わせて調節され、
v)前記第3の三方弁(9)は、水を前記第2の相変化物質熱交換器(8)に向けるように設定されることを特徴とする、付記9~12のいずれか1つに記載の方法。
(付記14)
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)以上である場合、
建物内暖房(SH)の要求がある場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)を下回るか、または判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)以上である場合に、
前記屋外熱交換器(4)からの熱は、前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることが可能であり、好ましくは、
i)前記4方向切換弁(3)は、冷媒が前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)前記第1の三方弁(13)は、冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように設定され、
iii)前記第1の三方弁(14)は、冷媒を前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスは組み合わせて調節され、
v)前記第3の三方弁(9)は、水を建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器に向けるように設定されることを特徴とする、付記9~13のいずれか1つに記載の方法。
(付記15)
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)以上である場合、
建物内暖房(SH)の要求がある場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)以上であり、判定された屋外の気温(TOA)が屋外周囲空気温度に関する設定下限(LLTOA)を下回る場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記第1の相変化物質熱交換器(6)からの熱は、前記熱媒体熱交換器(11)に搬送されることが可能であり、
好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)前記4方向切換弁(3)は、冷媒が前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)を介して前記熱媒体熱交換器(11)に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)前記第1の三方弁(13)は、冷媒を前記圧縮機(1)から前記熱媒体熱交換器(11)に向けるように設定され、
iii)前記第1の三方弁(14)は、冷媒を前記第1の相変化物質熱交換器(6)から前記圧縮機(1)に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスは組み合わせて調節され、
v)前記第3の三方弁(9)は、水を建物内暖房のための少なくとも1つの放熱器に向けるように設定されることを特徴とする、付記9~14のいずれか1つに記載の方法。
(付記16)
前記屋外熱交換器(4)のデフロストが必要とされない場合、
前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されたチャージ状態(SOC2)が設定下限(LL2)以上である場合、
建物内暖房(SH)の要求がない場合、かつ
前記第1の貯蔵デバイス(5)の判定されたチャージ状態(SOC1)が設定下限(LL1)を下回る場合に、
特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、前記屋外熱交換器(4)からの熱は、前記第1の相変化物質熱交換器(6)に搬送されることが可能であり、
好ましくは、特に前記第2の貯蔵デバイス(7)の判定されるチャージ状態(SOC2)が設定上限(UL2)以上になるまで、
i)前記4方向切換弁(3)は、冷媒が前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)を介して前記第1の相変化物質熱交換器(6)に流れることを可能にする位置に設定され、
ii)前記第1の三方弁(13)は、冷媒を前記圧縮機(1)から前記第1の相変化物質熱交換器(6)に向けるように設定され、
iii)前記第1の三方弁(14)は、冷媒を前記屋外熱交換器(4)から前記圧縮機(1)に向けるように設定され、
iv)蒸発器過熱度および圧縮機サブクール度を制御するために、前記第1の膨張弁(2)のオリフィスおよび前記第2の膨張弁(2’)のオリフィスは組み合わせて調節されることを特徴とする、付記9~15のいずれか1つに記載の方法。