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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143820
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】喫煙具用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/465 20200101AFI20230928BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20230928BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20230928BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
A24F40/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023043713
(22)【出願日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】P 2022047510
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103872
【弁理士】
【氏名又は名称】粕川 敏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100149456
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 喜幹
(74)【代理人】
【識別番号】100194238
【弁理士】
【氏名又は名称】狩生 咲
(74)【代理人】
【識別番号】100205648
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 真一
(72)【発明者】
【氏名】劉 凱鵬
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC01
4B162AC12
4B162AC22
(57)【要約】
【課題】発熱体を備えた喫煙具および誘導加熱体を備えた喫煙具の両方に使用することができる喫煙具用カートリッジを提供すること。
【解決手段】喫煙具用カートリッジは、発熱体または誘導加熱体を備えた喫煙具に装着して使用される。喫煙具用カートリッジは、誘導加熱体を備えた喫煙具により誘導加熱されるサセプタ部材と、サセプタ部材を収容する収容体と、収容体を包装する包装部材と、を備えている。収容体は、誘導加熱体を備えた喫煙具に装着したとき、誘導加熱体により誘導加熱を受ける位置に配置される。
【選択図】図13

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体または誘導加熱体を備えた喫煙具に装着して使用される喫煙具用カートリッジであって、
前記喫煙具用カートリッジは、
前記誘導加熱体を備えた喫煙具により誘導加熱されるサセプタ部材と、
前記サセプタ部材を収容する収容体と、
前記収容体を包装する包装部材と、
を備え、
前記収容体は、前記誘導加熱体を備えた前記喫煙具に装着したとき、前記誘導加熱体により誘導加熱を受ける位置に配置される、
喫煙具用カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記収容体は、加熱されることでエアロゾルを発生するエアロゾル形成基材を収容する、
喫煙具用カートリッジ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記収容体の端部は、前記包装部材から露出している、
喫煙具用カートリッジ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記収容体は、前記発熱体が挿入されるよう構成されている、
喫煙具用カートリッジ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記収容体は、複数の前記サセプタ部材を収容している、
喫煙具用カートリッジ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の喫煙具用カートリッジにおいて、
前記サセプタ部材は、前記収容体から前記フィルタへ向かう中心軸を貫通しない位置に配置され、
前記中心軸に沿って、前記収容体の内部空間を、中心側領域と前記中心側領域の外側の外周側領域とに体積等分した場合、前記サセプタ部材の全体積の半分以上が前記外周側領域に配分されている、
喫煙具用カートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙具用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく芳香成分を含む喫煙具用カートリッジを加熱し、気化した芳香成分を楽しむことができる喫煙具が普及している。従来は、例えば特許文献1のような発熱体を備えた喫煙具が用いられていた。発熱体を備えた喫煙具では、カートリッジが喫煙具のブレードに差し込まれ、カートリッジは高温のブレードにより加熱される。
【0003】
一方、例えば特許文献2のような誘導加熱体を備えた喫煙具も用いられるようになってきた。誘導加熱体を備えた喫煙具では、コイルで発生した交流磁場によりカートリッジ内のサセプタ部材が誘導加熱され、喫煙具用カートリッジは高温のサセプタ部材により加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6983449号公報
【特許文献2】特許第6452709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、誘導加熱体を備えた喫煙具では、従来の発熱体を備えた喫煙具用のカートリッジを使用することができないため、誘導加熱体を備えた喫煙具に対応するカートリッジを別途用意する必要があった。
【0006】
そこで、本発明は、発熱体を備えた喫煙具用のカートリッジおよび誘導加熱体を備えた喫煙具の両方に使用することができる喫煙具用カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の代表的な実施の形態による喫煙具用カートリッジは、発熱体または誘導加熱体を備えた喫煙具に装着して使用される。喫煙具用カートリッジは、誘導加熱体を備えた喫煙具により誘導加熱されるサセプタ部材と、サセプタ部材を収容する収容体と、収容体を包装する包装部材と、を備えている。収容体は、誘導加熱体を備えた喫煙具に装着したとき、誘導加熱体により誘導加熱を受ける位置に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発熱体を備えた喫煙具および誘導加熱体を備えた喫煙具の両方に使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1に係る喫煙具用カートリッジの構成の一例を示す断面図である。
図2】エアロゾル形成基材の製造方法のフロー図である。
図3】板状のサセプタ部材の一例を示す部分斜視図である。
図4】板状のサセプタ部材を備えた被加熱体の構成例を示す図である。
図5】被加熱体の他の構成例を示す図である。
図6】円柱状のサセプタ部材の一例を示す部分斜視図である。
図7】円柱状のサセプタ部材を備えた被加熱体の構成例を示す図である。
図8】粒状のサセプタ部材の一例を示す図である。
図9】粒状のサセプタ部材を備えた被加熱体の構成例を示す図である。
図10】サセプタ部材のその他の例を示す図である。
図11】サセプタ部材のその他の例を示す図である。
図12】収容体の一例を示す分解斜視図である。
図13】誘導加熱体を備えた喫煙具に喫煙具用カートリッジを挿入した状態を示す断面図である。
図14】発熱体を備えた喫煙具に喫煙具用カートリッジを挿入した状態を示す断面図である。
図15】本発明の実施の形態2に係る喫煙具用カートリッジの構成の一例を示す断面図である。
図16】サセプタ部材のその他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は適宜省略する。
【0011】
<喫煙具用カートリッジの構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る喫煙具用カートリッジの構成の一例を示す断面図である。図1に示すように、喫煙具用カートリッジ1は、被加熱体20と、被加熱体20から発生するエアロゾルが通過するフィルタ10と、被加熱体20およびフィルタ10を包装する包装部材30とを備えている。
【0012】
被加熱体20およびフィルタ10は、長手方向に沿って配列され、紙等のシート状の包装部材30で巻かれている。これにより、被加熱体20、フィルタ10、および包装部材30が一体化されている。
【0013】
なお、被加熱体20とフィルタ10との間に、エアロゾルを移送する移送空間SPが設けられてもよい。これにより、被加熱体20で生成された高温のエアロゾルを冷却することができる。また、被加熱体20とフィルタ10との間に被加熱体20を支持する支持部材が設けられてもよい。支持部材は、エアロゾル形成基材201から生成されたエアロゾルをマウスピースに移送する流路を備える。
【0014】
<<フィルタ>>
フィルタ10は、エアロゾルが通過する際、被加熱体20で発生した水蒸気やエアロゾル中の微粒子の一部を濾過する機能を備えている。フィルタ10は、例えば、直径が4.0mm~7.5mm、中心軸に沿った長さが50mm以下の円筒状に形成される。フィルタ10は、例えば紙等を用いて形成される。また、フィルタ10は、例えば紙からなるシート状の部材を巻いて円筒状に形成されたものでもよいし、微粒子を取り除くセルロースアセテートフィルタ等を含んでもよい。
【0015】
なお、喫煙具用カートリッジ1は、フィルタ10を備えていなくてもよい。ただし、喫煙具の使用時、フィルタ10がマウスピースとしても機能するため、喫煙具用カートリッジ1はフィルタ10に代わるマウスピースを備えていることが望ましい。
【0016】
<<被加熱体>>
図1に示すように、被加熱体20は、加熱されることでエアロゾルを発生するエアロゾル形成基材201と、誘導加熱体を備えた喫煙具により誘導加熱されるサセプタ部材203と、エアロゾル形成基材201およびサセプタ部材203を収容する収容体205とを備えている。
【0017】
<<<エアロゾル形成基材>>>
エアロゾル形成基材201は、タバコ植物または非タバコ植物等を原料として構成される。具体的に述べると、エアロゾル形成基材201は、以下に示す原料のうち任意の1つまたは複数の組み合わせで構成される。
【0018】
タバコ植物としては、タバコ葉、タバコ茎、膨張タバコ、均質化タバコ等が挙げられる。非タバコ植物としては、タバコ植物以外の植物が挙げられる。非タバコ植物の好ましい部位としては、葉、果肉、種子、根(鱗根、塊根等)、茎、塊茎、皮(茎皮、樹皮等)、花(花弁、雄蕊、雌蕊等)、幹、枝等が挙げられる。
【0019】
なお、本明細書でいう「植物」とは、動物に対する一群を意味し、草および木等のように、根があって場所が固定されて生きているような生物以外にも、微細藻類および海藻等のような藻類、キノコ等の菌類等をも含む。
【0020】
エアロゾル形成基材201は、例えば、乾燥・粉砕された非タバコ植物に、エアロゾルを発生させるエアロゾルフォーマ、微結晶セルロース、風味を追加する添加剤、保存料、結着剤または増粘剤等を適宜混合し、混合したものを粉砕若しくは分級して粒状または粉状にされてもよいし、混合したものをシート状に成形した上で、これを所定の幅および長さを有するように切断して短冊状とされたものでもよい。
【0021】
例えば、非タバコ植物の部位が葉である場合は、好ましくは茶類を使用できる。茶類は茶になる植物が異なるだけでなく、同じ植物であっても加工法によって異なるお茶になる。お茶としては、例えば、日本茶、紅茶、明日葉茶、甘茶、アマチャヅル茶、アロエ茶、イチョウ葉茶、ウーロン茶、ウコン茶、ウラジロガシ茶、エゾウコギ茶、オオバコ茶、カキオドシ茶、柿の葉茶、カミツレ茶、カモミールティ、河原決明茶、カリン茶、菊花茶、ギムネマ茶、グァバ茶、クコ茶、柔の葉茶、黒豆茶、ゲンノショウコ茶、玄米茶、ゴボウ茶、コンフリー茶、毘布茶、桜茶、サフラン茶、シイタケ茶、シソ茶、ジャスミン茶、しょうが茶、スギナ茶、セキショウ茶、センブリ茶、ソバ茶、タラノキ茶、タンポポ茶、甜茶、ドクダミ茶、杜仲茶、ナタマメ茶、ニワトコ茶、ネズミモチ茶、ハトムギ茶、ハブ茶、ビワの葉茶、プーアル茶、紅花茶、松葉茶、マテ茶、麦茶、メグスリノキ茶、ヨモギ茶、ユーカリ茶、羅漢果茶、ルイボスティ、ゴーヤ茶等が挙げられる。これらお茶については、飲用後の茶殻が使用されてもよい。茶殻等を使用することにより、高価なお茶等を再利用して有効活用することができる。
【0022】
さらに、前述した非タバコ植物の抽出物、所謂エキスや加工品も、エアロゾル形成基材201として使用することができる。抽出物の態様としては、液体、水あめ状、粉末、顆粒、溶液等が挙げられる。
【0023】
エアロゾル形成基材201の原料としてのエアロゾルフォーマとしては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン(グリセリンジアセタート)、トリアセチン(グリセリントリアセタート)、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ドデカンジオン酸ジメチル、テトラデカンサンジオン酸ジメチル等が挙げられる。なかでも、グリセリン、プロピレングリコールがエアロゾルフォーマとして好ましい。
【0024】
エアロゾル形成基材201の原料としての微結晶セルロースとは、例えば、繊維性植物のパルプから得られたα-セルロースを酸で部分的に解重合したものとして得られるものであり、セルロースから可溶性部分を取り除き、適宜、不溶性部分を結晶化したものである。
【0025】
微結晶セルロースは、粉体のままでも良いし、水などの溶媒に分散させた懸燭液でも良い。この場合、溶媒ヘの微結晶セルロースの分散には、高速攪拌機や高圧ホモジナイザー等を使用することができる。
【0026】
さらに、必要に応じて、エアロゾル形成基材201の原料として、風味を追加する風味添加剤も好ましく用いられる。風味添加剤としては、例えば、はっか、ココア、コーヒー、紅茶のエキス、茶抽出物のカテキンの粉末等が挙げられる。保存料としては、食品に使用されるものが好ましく、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0027】
エアロゾル形成基材201に、メントールおよび非水溶性架橋ポリマー(好ましくはポリビニルポリピロリドン)を含有させても良い。メントールに非水溶性架橋ポリマーを組み合わせることで、メントールの昇華を効果的に抑制でき、メントールの風味を長期間保つことができる。ここで、メントールとは、天然物から得られたものに限られず、合成物でも良い。また、はっか、ミント、ハッカ油、その他のメントールを含むものを使用しても良い。
【0028】
風味添加剤は、例えば、フィルタ10の壁部に含浸させることによってフィルタ10に設けられている。風味添加剤をフィルタ10に設ける態様は、このような態様に限られず、例えば、風味添加剤が封入されているカプセルをフィルタ10の壁部に埋設することによって、フィルタ10に風味添加剤が設けられているようにしても良い。または、フィルタ10と被加熱体10との間に風味添加剤が配置されるようにしても良い。風味添加剤がカプセルに封入されている場合、喫煙者は、カプセルを指で押圧することにより、カプセルを破壊することができ、所望のタイミングで風味添加剤の芳香成分を揮発させることが可能となる。
【0029】
さらに、風味添加剤が、例えば、マイクロカプセルに封入されている場合、封入されているマイクロカプセルは被加熱体20に設けられても良い。
【0030】
エアロゾル形成基材201の結着剤または増粘剤としては、例えばグアーガム、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガム等のゴム、例えばヒドロキシプロピルセルレロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロース等のセルロース結合剤、例えばデンプン、アルギン酸などの有機酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラナギン、寒天およびペクチンなどの有機酸の共役塩基塩などの多糖類、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
<<<<エアロゾル形成基材の製造方法>>>>
ここで、エアロゾル形成基材201の製造方法について説明する。図2は、エアロゾル形成基材の製造方法のフロー図である。図2に示すように、エアロゾル形成基材23の製造工程は、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物を乾燥・粉砕し、秤量等を行う乾燥・粉砕工程S10、その他の原料の前処理、秤量等を行う準備工程S20、原料を混合して組成物とする混合工程S30、組成物を成形する成形工程S40を有する。
【0032】
乾燥・粉砕工程S10では、主原料となるタバコ植物または非タバコ植物の使用部位(例えば、葉、種子、乾燥果実、茎、樹皮、根など)を乾燥・粉砕することで、タバコ植物または非タバコ植物を所定の粉砕物に加工する。その際、タバコ植物または非タバコ植物の水分量が、後に添加するエアロゾルフォーマ、水その他の成分を吸収あるいは担持するのに都合の良い水分量に調整されていることが好ましい。乾燥時の温度は60℃以上80℃以下であることが好ましい。この温度範囲とすることで、必要とする芳香成分の散逸を避けつつ、所望の水分量に到達させやすい。
【0033】
さらに、乾燥・粉砕工程S10には、粉砕物を篩分けする篩工程S15を設けることもできる。これにより、所望の粒度に調整した粉砕物を混合工程S30に投入することができる。
【0034】
準備工程S20では、エアロゾル形成基材201を作製するにあたり必要な原料を準備する。なお、前述の微結晶セルロースは、準備工程S20において秤量され、混合工程S30に投入される。
【0035】
混合工程S30では、エアロゾル形成基材201の原料を混合し、組成物を生成する。原料の混合には、通常の混合機を使用することができる。例えば、混合槽中の原料を撹拌羽根にて、剪断力を加えつつ混合するような形態が好ましく用いられる。
【0036】
成形工程S40では、各種原料が混合された組成物が所望の形状に成形される。例えば、組成物を薄いシート状に成形してから、切断することで、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材201が成形される。本実施の形態では、組成物を薄いシートにするため、複数本のロールミルを用意する。複数本のロールミルを用いることで、狭いロール間に押し込まれることによる圧縮と、ロール速度差による剪断とにより、混練、分散等を行いながら、ドクターブレードにより所望の厚さのシートとすることが可能であり、好ましい。また、プレスローラあるいはプレス機を用いてシートを作製することもできる。
【0037】
シートの厚さは、例えば、0.1mm~1.0mmの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mm~0.5mmの範囲である。得られたシートは、カッター、回転刃方式のロータリーカッター等により、所定の幅に切断される。
【0038】
また、成形工程S40では、前述の組成物に対して適宜粉砕または分級を行うことで粉状または粒状のエアロゾル形成基材201が形成されてもよい。粒状のエアロゾル形成基材201の平均粒径は、例えば0.1mm~3.0mmの範囲内が好ましく、0.5mm~0.7mmの範囲内がさらに好ましい。これにより、エアロゾル形成基材201の芳香成分を保持できるとともに、粒状のエアロゾル形成基材201が、収容体205の孔や網目から零れたり、孔や網目に詰まることを防止できる。
【0039】
なお、前述したエアロゾル形成基材の平均粒径は、例えばJIS K 0069-1992に記載された「化学製品のふるい分け試験方法」によって求められる。つまり、この平均粒径は、複数のふるいによる試験結果について、目開きの大きい方から質量の積算を行い、その質量50%に相当する径をいう。また、レーザ回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を平均粒径としてもよい。
【0040】
また、成形工程S40では、組成物を加圧によりオリフィスを通過させて成形するなど、他の手段を用いて組成物の成形が行われてもよい。また、成形工程S40では、必要に応じて、非タバコ植物、エアロゾルフォーマ、結着剤または増粘剤等、風味添加剤、保存料をさらに添加してもよいし、水などを添加してもよい。
【0041】
ここで、エアロゾル形成基材201の表面に粘着性を付与する場合は、粘着性を付与できる手段であれば特に限定されないが、既述の結着剤を少なくとも一部に付着させれば良い。粘着性を付与することで、短冊状または棒状のエアロゾル形成基材201と粉状、粒状またはペースト状のエアロゾル形成基材201と組み合わせる場合に、短冊状または棒状の充填物20の表面に粉状、粒状またはペースト状のエアロゾル形成基材201を安定して保持することができる。
【0042】
<<<サセプタ部材>>>
次に、サセプタ部材203について説明する。サセプタ部材203は、サセプタ部材203は、磁性体を含む金属材料で構成され、外部磁場により誘導加熱される。磁性体は、強磁性体、常磁性体、反磁性体に大別される。
【0043】
強磁性体は、外部磁場を加えると外部磁場と同じ方向の磁性を強く帯び、外部磁場をゼロにしても強い磁気が残る材料である。強磁性体としては、例えば、鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系ステンレス、強磁性鋼、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト等が挙げられる。強磁性体の比透磁率は、1より極めて大きく、例えば、鉄であれば5000程度、ニッケルであれば600程度、コバルトであれば250程度、フェライト系ステンレスであれば1000~1800程度である。
【0044】
常磁性体は、外部磁場を加えると外部磁場と同じ方向の磁気を弱く帯び、外部磁場をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料である。常磁性体としては、例えば、アルミニウム、白金、マンガン等が挙げられる。常磁性体の比透磁率は、1よりもわずかに大きく、例えば、アルミニウムであれば1.000021程度、白金であれば1.000265程度、マンガンであれば1.000830程度である。
【0045】
反磁性体は、外部磁場を加えると外部磁場と反対方向の磁気を弱く帯び、外部磁場をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料である。常磁性体としては、例えば銅、グラファイト、ビスマス等が挙げられる。反磁性体の比透磁率は、1よりもわずかに小さく、例えば、銅であれば0.999990程度、グラファイトであれば0.99980程度、ビスマスであれば0.999834程度である。
【0046】
強磁性体は、交流磁場が発生すると、誘導電流が流れてジュール熱が発生するだけでなく、分子同士の摩擦や振動によって熱(ヒステリシス損失)が発生するため、常磁性体や反磁性体に比べて容易に誘導加熱され、エアロゾル形成基材201を十分に加熱することができる。
【0047】
また、強磁性体は、キュリー温度が高く、例えば、ニッケルであれば358℃程度である。そのため、喫煙具用カートリッジ1を例えば200℃程度の高温に加熱する際にも、強磁性体は、温度がキュリー温度に達することはなく、強磁性体としての性質を維持することができ、エアロゾル形成基材201を安定して加熱することができる。
【0048】
サセプタ部材203には、強磁性体の材料である、上述した鉄、フェライト鉄、フェライト粉末、フェライト粒子、フェライト系ステンレス、強磁性鋼、ステンレス鋼、ニッケル、コバルト、またはこれらを組み合わせた金属材が採用されてもよい。金属材料の組み合わせとしては、例えば、フェライト系ステンレスとニッケルを組み合わせたもの等が挙げられ、より好ましくは、鉄、クロム、アルミを組合せた合金である。
【0049】
また、サセプタ部材203には、強磁性体を主成分として含む金属材料によって構成されてもよく、例えば磁性体を60%以上、好ましくは80%以上含む合金である強磁性合金を採用してもよい。強磁性合金としては、例えば、ニッケル合金あるいはニッケル鉄合金等が挙げられる。この場合でも、強磁性体が誘導加熱されることで、エアロゾル形成基材201を十分に加熱することができる。
【0050】
なお、強磁性体の代わりに、常磁性体および反磁性体を含む金属材料をサセプタ部材203として用いてもよい。この場合でも、サセプタ部材203の誘導加熱、ひいてはエアロゾル形成基材201の加熱は可能である。ただし、加熱時間の短縮化や消費電力の低減の観点から、サセプタ部材203に強磁性体を含む金属材料を用いる方が好ましい。
【0051】
サセプタ部材203の形状は、例えば、板状、柱状、粒状等である。また、これらの形状を有するサセプタ部材203が任意に組み合わされてもよい。サセプタ部材203の具体例については後述する。
【0052】
収容体205には、複数のサセプタ部材203が収容されてもよい。これにより、温度ムラを抑えつつエアロゾル形成基材201を加熱することができる。
【0053】
サセプタ部材203は、強磁性体、常磁性体または反磁性体の材料を組み合わせて構成されてもよい。例えば、強磁性体の材料であるニッケルで形成された第一のサセプタ部材と強磁性体の材料である鉄で形成された第二のサセプタ部材とを物理的に密着したもの、第一のサセプタ部材と常磁性体の材料であるアルミニウムで形成された第三のサセプタ部材とを物理的に密着したもの、第一のサセプタ部材の外表面を第三のサセプタ部材で被覆したもの等が挙げられる。
【0054】
板状や柱状のサセプタ部材203は、エアロゾル形成基材201の全長に対して占める割合が100%であることが好ましい。この場合、サセプタ部材203は、被加熱体20からフィルタ10(またはマウスピース)へ向かう方向におけるエアロゾル形成基材201の全長に渡る長さを有することとなる。なお、サセプタ部材203は、エアロゾル形成基材201の全長に渡っていなくてもよく、エアロゾル形成基材201の全長に対して占める割合が、例えば25%以上100%以下の長さであればよい。これにより、サセプタ部材203によりエアロゾル形成基材201の温度を確実に上昇させることができる。
【0055】
<<<<サセプタ部材の具体例(1)>>>>
次に、サセプタ部材の例について説明する。図3は、板状のサセプタ部材の一例を示す部分斜視図である。図4は、板状のサセプタ部材を備えた被加熱体の構成例を示す図である。図4では、被加熱体20からフィルタ10(またはマウスピース)へ向かう方向におけるサセプタ部材203の配置例が示されている。なお、図4では、エアロゾル形成基材201は省略されている。
【0056】
図3の例では、サセプタ部材203は細長い板状に形成されている。サセプタ部材203は、全長に渡って同様の長方形状の断面形状を有している。この場合に、サセプタ部材203は、幅が0.1mm以上6.0mm以下、好ましくは1.5mm以上4.0mm以下の範囲であり、厚さが0.1mm以上2.0mm以下、好ましくは0.2mm以上1.0mm以下の範囲である。
【0057】
図4に示すように、収容体205の内部には、サセプタ部材203が複数(図4では5つ)設けられる。サセプタ部材203は、収容体205の内部空間を中心側領域α1と外周側領域β1とで体積等分した場合に、サセプタ部材203の全体積のうち少なくとも半分以上は外周側領域β1に位置するように配置される。図4における一点鎖線は、中心側領域α1と外周側領域β1との境界線である。
【0058】
また、サセプタ部材203は、収容体205からフィルタ201へ向かう方向に沿った収容体205の中心軸Cが貫通しない位置に配置される。図4では、サセプタ部材203は、全体積が外周側領域β1に配置されている。このため、サセプタ部材203は、中心軸Cと交差する収容体205の径方向において外周寄りの位置に配置される。これにより、サセプタ部材203が収容体205の外周部に位置するエアロゾル形成基材201を確実に加熱し、収容体205内のエアロゾル形成基材201を全体にムラなく加熱することができるので、効率よくエアロゾルを発生させることができる。
【0059】
また、後述するように、本実施の形態の喫煙具用カートリッジ1は、発熱体を備えた喫煙具80にも使用可能である(図14を参照)。このような喫煙具80に喫煙具用カートリッジ1を挿入したとしても、図4のように配置されたサセプタ部材203は、収容体205の中心軸Cにかからない。また、サセプタ部材203が外周側領域β1に配置されている。これにより、ブレード(発熱体)82およびサセプタ部材203の破損を防止するこができる。
【0060】
ブレード82は、喫煙具用カートリッジ1の装着時に中心軸C(図4を参照)を含んで収容体205に挿入されるように配置される。また、収容体205の径方向におけるブレード82の幅は、5mm程度である。このため、図4において、サセプタ部材203は、中心軸Cから2.5mm以上離れて配置されることが望ましい。
【0061】
図5は、被加熱体の他の構成例を示す図である。図5図4と類似しているため、主に相違点について説明する。図5の例では、収容体205の内部空間を、収容体205と中心軸Cを共有し収容体205の半分の直径を有する中心側領域α2と、中心側領域α2の外側に位置する外周側領域β2とに分けた場合に、サセプタ部材203は、サセプタ部材203の全体積のうち少なくとも半分以上が外周側領域β2に位置するように配置される。図5における一点鎖線は、中心側領域α2と外周側領域β2との境界線である。図5では、サセプタ部材205の全体積が外周側領域β2に位置している。この場合も、サセプタ部材203は、収容体205の径方向において外周寄りに配置されるので、収容体205の外周部に位置するエアロゾル形成基材201を確実に加熱できる。
【0062】
<<<<サセプタ部材の具体例(2)>>>>
次に、サセプタ部材の他の例について説明する。図6は、円柱状のサセプタ部材の一例を示す部分斜視図である。図7は、円柱状のサセプタ部材を備えた被加熱体の構成例を示す図である。
【0063】
図6に示すように、サセプタ部材203は、円柱状でもよい。この場合、サセプタ部材203は、直径が0.1mm以上2.0mm以下、好ましくは0.5mm以上2.0mm以下の範囲であり、エアロゾル形成基材201の全長に対して占める割合が25%以上100%以下の長さとすることができる。なお、柱状のサセプタ部材203は、円柱状に限定されず、三角柱や四角柱等の角柱状でもよい。
【0064】
図7に示すように、円柱状のサセプタ部材203は、収容体205における全体積のうち半分以上が外周側領域β1に位置するように配置される。また、サセプタ部材203は、収容体205の中心軸Cが貫通しない位置に配置される。
【0065】
ここで、直径が7mm、長さが12mmの収容体205の内部に、図3のような板状のサセプタ部材203と、図6のような円柱状のサセプタ部材203とをそれぞれ設けた場合における試験結果について説明する。
【0066】
具体的には、喫煙具70(図13を参照)でサセプタ部材203を誘導加熱した場合に、エアロゾル形成基材201が十分に加熱されるかを試験した。サセプタ部材203の誘導加熱に用いた交流電流の周波数は、450kHzとした。
【0067】
板状のサセプタ部材203においては、体積が7.2(mm^3)以上でエアロゾル形成基材201が十分に加熱された。また、円柱状のサセプタ部材203においては、体積が5.7(mm^3)以上でエアロゾル形成基材201が十分に加熱された。これら結果から、収容体205の体積に対するサセプタ部材203の体積の割合は、1~50%の範囲で任意に設定することができることが分かった。
【0068】
<<<<サセプタ部材の具体例(3)>>>>
次に、サセプタ部材のさらに他の例について説明する。図8は、粒状のサセプタ部材の一例を示す図である。図9は、粒状のサセプタ部材を備えた被加熱体の構成例を示す図である。
【0069】
図8(a)に示すように、サセプタ部材203は、球体の粒状でもよい。この場合、サセプタ部材203の直径は0.01mm以上2.0mm以下、好ましくは0.05mm以上2.0mm以下の範囲である。また、図8(b)に示すように、サセプタ部材203は、複数の球体が一定の方向に沿って連結されたチェーン状であってもよい。
【0070】
チェーン状のサセプタ部材203が収容体205の長さ方向、すなわち、被加熱体20からフィルタ10(またはマウスピース)へ向かう方向に沿って配置された場合は、サセプタ部材203を、エアロゾル形成基材201の全長に対して占める割合が25%以上100%以下の長さとすることができる。
【0071】
図9(a)に示すように、粒状のサセプタ部材203は、収容体205の内部空間に分散して配置される。特に、粒状のサセプタ部材203は、エアロゾル形成基材201を粒状に成型した場合に、収容体205の内部空間に配置しやすい。また、図9(b)に示すように、チェーン状のサセプタ部材203は、収容体205の長さ方向に沿って配置することができる。
【0072】
図9(a)、図9(b)に示されたこれらの場合においても、サセプタ部材203は、収容体205の内部空間を中心側領域α1と外周側領域β1とで体積等分した場合に、全体積のうち少なくとも半分以上は外周側領域β1に位置するように配置される。あるいは、収容体205と中心軸Cを共有し収容体205の半分の直径を有する中心側領域α2と、中心側領域α2の外側に位置する外周側領域β2とに分けた場合に、サセプタ部材203は、サセプタ部材203の全体積のうち少なくとも半分以上が外周側領域β2に位置するように配置される。
【0073】
<<<<サセプタ部材の具体例(4)>>>>
次に、サセプタ部材のこれら以外の例について説明する。図10図11は、サセプタ部材のその他の例を示す図である。図10では、サセプタ部材203の表面に、凹凸部203aが形成されている。凹凸部203aは、サセプタ部材203の長さ方向に沿って複数形成されてもよい。これにより、凹凸部203aがエアロゾル形成基材201に引っ掛かるため、収容体205からのサセプタ部材203の脱落を効果的に防止できる。
【0074】
なお、凹凸部203aの形状、個数、寸法および配置については、図10の例に限られず、任意に設定できる。凹凸部203aは、例えば、サセプタ部材203の表面から最も高く突出した頂部までの距離を1.0mm以下、サセプタ部材203の表面から中心に向かって最も深い位置にある深部までの距離を1.0mm以下の範囲とすることができる。
【0075】
また、図11に示すように、サセプタ部材203は、喫煙具用カートリッジ1が発熱体を備えた喫煙具80(図14を参照)に挿入される側の先端部に鋭利部203bを備えてもよい。これにより、サセプタ部材203が収容体205の内部空間の中央付近に配置されていても、被加熱体20に発熱体であるブレード82(図14を参照)を挿入しやすくなる。なお、鋭利部203bの形状、寸法および角度については、図11の例に限られず、任意に設定できる。
【0076】
<<<収容体>>>
次に、収容体205について説明する。すでに述べた通り、収容体205は、エアロゾル形成基材201、サセプタ部材203を収容する。図1に示すように、収容体205は、フィルタ10と反対側に突出した形状を備えている。なお、図1では、フィルタ10側にも突出した形状を備えたカプセル状の収容体205が例示されている。
【0077】
収容体205のフィルタ10と反対側に突出した部分は、後述する喫煙具80(図14を参照)において使用される際、発熱体であるブレード82(図14を参照)が挿入される部分である。このように、収容体205は、発熱体が挿入されるよう構成されている。
【0078】
この構成により収容体205の強度が向上し、ブレード82が挿入される際における収容体205の損傷や、損傷箇所からのエアロゾル形成基材201およびサセプタ部材203の脱落が抑えられる。また、喫煙具からカートリッジを取り外す際にも、使用後のエアロゾル形成基材201およびサセプタ部材203の脱落が抑えられる。
【0079】
収容体205は、例えばゼラチンやヒドロキシプロピルメチル・セルロースのような、植物由来の原料、天然成分で構成される。より具体的には、収容体205は、食品として使用されるものや、エアロゾルに含まれる芳香成分に影響を与えないもので構成されてもよい。収容体205の色は、特に限定されず、無色透明でもよいし、任意の色に着色されてもよい。
【0080】
収容体205の寸法は、エアロゾル形成基材201およびサセプタ部材203を収容でき、包装部材30で巻くことができる範囲に設定される。収容体205の直径は、例えば4.0mm~7.5mmであり、収容体205の中心軸に沿った長さは、例えば50mm以下である。これにより、収容体205としての機能を発揮させつつ、喫煙具用カートリッジ1の寸法を抑えることができる。
【0081】
収容体205の膜厚は、例えば100μm以上であることが好ましい。ただし、ブレード82挿入時に収容体205が損傷しない範囲内で、収容体205の膜厚は適宜変更可能である。
【0082】
収容体205には、孔205aが形成されている。孔205aは、少なくとも収容体205の両側の端部に形成されていればよく、収容体205全体に形成されてもよい。孔205aの個数や配置は、特に限定されない。例えば、複数の孔205aが網目状に形成されてもよい。ただし、孔205aの大きさは、エアロゾル形成基材201およびサセプタ部材203の粒径や長さよりも小さい。これにより、エアロゾル形成基材201およびサセプタ部材203が、孔205aから零れたり、孔205aに詰まらないようになっている。
【0083】
フィルタ10側の孔205aでは、収容体205の内部空間で発生したエアロゾルがフィルタ10へ向かって移動する。フィルタ10と反対側の孔205aでは、外部から収容体205の内部空間へ向かって空気が移動する。このように、孔205aが設けられることにより、喫煙具用カートリッジ1内の通気性が確保されている。これにより、サセプタ部材203の温度が上がり過ぎることを防止することができる。また、収容体205の両側の端部のそれぞれに複数の孔205aが設けられることにより、喫煙具用カートリッジ1内の通気性をさらに向上させ、サセプタ部材203の温度が上がり過ぎることをさらに防止することができる。
【0084】
図1に示すように、収容体205のフィルタ10と反対側の端部は、包装部材30から露出してもよい。これにより、収容体205のフィルタ10と反対側の端部と包装部材30との隙間を無くすことができ、装着時や使用時における包装部材30の破損等が抑えられる。
【0085】
図12は、収容体の一例を示す分解斜視図である。図12に示すように、収容体205は、第1収容部2051と、第2収容部2052とを備えている。第1収容部2051は、一端側に第1開口2051aが形成され、他端側に例えば半球状の第1底部2051bが形成されている。これと同様に、第2収容部2052は、一端側に第2開口2052aが形成され、他端側に例えば半球状の第2底部2052bが形成されている。
【0086】
第1収容部2051および第2収容部2052の少なくとも一方に、エアロゾル形成基材201およびサセプタ部材203を収容した後に、第1収容部2051の第1開口2051aと第2収容部2052の第2開口2052aとを嵌合させ、これらを一体化することで、カプセル状の収容体205、ひいては被加熱体20が作製される。この方法であれば、収容体205内にサセプタ部材203を収容させるための特別な工程を設ける必要がなく、被加熱体20を容易に製造することができる。
【0087】
<喫煙具用カートリッジの使用方法>
次に、喫煙具用カートリッジ1の使用方法について説明する。図13は、誘導加熱体を備えた喫煙具に喫煙具用カートリッジを挿入した状態を示す断面図である。
【0088】
図13に示すように、喫煙具用カートリッジ1は、誘導加熱体であるコイル72を備えた喫煙具70に装着された状態で使用される。喫煙具70は、喫煙具用カートリッジ1を挿入するための挿入部71と、挿入部71の周りに円筒状に巻回するように内蔵されたコイル72と、コイル72に交流電流を流すよう制御するコントローラ(例えばCPU)を含む回路基板(図示は省略)と、を備える。喫煙具用カートリッジ1が挿入部71に挿入されると、被加熱体20はコイル72の内側に配置された状態となる。すなわち、収容体205は、喫煙具70に装着したとき、コイル72により誘導加熱を受ける位置に配置される。なお、図13では、説明の便宜上、喫煙具用カートリッジ1と挿入部71との間に若干の隙間を設けているが、実際にはこのような隙間はほとんどない。
【0089】
この状態で、喫煙具70のスイッチがオンされると、コントローラによる制御によってコイル72に交流電流が流れ、被加熱体20を貫くように交流磁界が発生する。これにより、サセプタ部材203に誘導電流が流れることでジュール熱が発生するとともに、ヒステリシス損失による熱が発生するため、サセプタ部材203が誘導加熱されて発熱する。そして、サセプタ部材203から各エアロゾル形成基材201に熱伝達されることにより、各エアロゾル形成基材201が加熱され、エアロゾル形成基材201からエアロゾルが生成される。その際、複数のエアロゾル形成基材201は収容体205によって全体を覆われているため、サセプタ部材205から伝達される熱が、収容体205の内部空間の全域に渡って満遍なく伝達される。この状態で喫煙者がマウスピースを咥えて吸引すると、エアロゾルは、被加熱体20からマウスピース側へ流れ、喫煙者の口内へと流入する。
【0090】
図14は、発熱体を備えた喫煙具に喫煙具用カートリッジを挿入した状態を示す断面図である。図14に示すように、喫煙具用カートリッジ1は、発熱体であるブレード82を備えた喫煙具80に装着された状態で使用される。喫煙具80は、喫煙具用カートリッジ1を挿入するための挿入部81と、挿入部81の底面81aから挿入部81の開口部81bへ向かって突出するように設けられたブレード82と、ブレード82に電流を流すよう制御するコントローラ(例えばCPU)を含む回路基板(図示は省略)と、を備える。喫煙具用カートリッジ1が挿入部81に挿入されると、収容体205の端部からブレード82が挿入された状態となる。なお、図14においても、説明の便宜上、喫煙具用カートリッジ1と挿入部81との間に若干のスペースを設けていが、実際にはこのような隙間はほとんどない。
【0091】
この状態で、喫煙具80のスイッチがオンされると、コントローラによる制御によってブレード82に電流が流れ、ジュール熱が発生する。そして、ブレード82から各エアロゾル形成基材201に熱伝達されることにより、各エアロゾル形成基材201が加熱され、エアロゾル形成基材201からエアロゾルが生成される。その際、金属で構成されたサセプタ部材203を介して熱伝達が行われるので、サセプタ部材を含まない従来のカートリッジより短時間でエアロゾル形成基材201を加熱することができる。これ以降は、喫煙具70を使用する場合と同様である。
【0092】
<本実施の形態による主な効果>
本実施の形態によれば、収容体205は、エアロゾル形成基材201およびサセプタ部材203を収容し、ブレード82を備えた喫煙具80に装着したとき、ブレード82が挿入される。また、収容体205は、コイル72を備えた喫煙具70に装着したとき、コイル72により誘導加熱を受ける位置に配置される。この構成によれば、ブレード82を備えた喫煙具80およびコイル72を備えた喫煙具70の両方に使用することが可能な喫煙具用カートリッジ1を提供することができる。これにより、喫煙具の方式ごとに専用のカートリッジを用意する必要がなくなる。
【0093】
(実施の形態2)
次に、喫煙具用カートリッジの他の例について説明する。図15は、本発明の実施の形態2に係る喫煙具用カートリッジの構成の一例を示す断面図である。図15に示すように、本実施の形態に係る喫煙具用カートリッジ1は、実施の形態1に係る図1の喫煙具用カートリッジ1に、支持部材40とシール部材50とが追加された構成となっている。図15に示すように、フィルタ10、支持部材40、被加熱体20、及びシール部材50は、直線状に順次配置されており、これらは、包装部材30により包装されている。
【0094】
<<支持部材>>
支持部材40は、一方の端部がフィルタ10と接し、他方の端部が非加熱体20と接するように配置され、被加熱体20を支持している。これにより、支持部材40は、被加熱体20のマウスピース側(すなわちフィルタ10側)への移動や、包装部材30の折れ曲がりを抑制するとともに、エアロゾル形成基材201で生成されたエアロゾルをフィルタ10側に流通させることができる。
【0095】
支持部材40は、例えば円柱状に形成され、その高さ方向(図15では横方向)の軸が喫煙具用カートリッジ1の中心軸に沿うように被加熱体20とフィルタ10との間に配置される。支持部材40は、例えば、直径が4.0mm~7.5mm、中心軸に沿った長さが50mm以下に形成される。なお、支持部材40は、適宜、機能および構成に応じて、これらとは異なる寸法を有していてもよい。
【0096】
支持部材40は、例えば、図15に示すように、樹脂材で形成された支持部材本体401に、空気やエアロゾルの流路となる挿通孔402が形成されている。挿通孔402は、実施の形態1で述べた移送空間SPに対応する。挿通孔402は、1つでもよいし、複数形成されてもよい。支持部材40を形成する素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリ乳酸、シリコーン、金属等が挙げられる。また、支持部材40は、紙を捲縮させたものでもよい。
【0097】
<<シール部材>>
シール部材50は、被加熱体20に対し、フィルタ10や支持部材40と反対側の端部に設けられている。具体的には、シール部材50は、一方の端部が非加熱体20と接するように配置される。
【0098】
シール部材50は、円柱状に形成される。シール部材50の寸法は、例えば、直径が4.0mm~7.5mm高さ方向の長さ方向(図15では横方向)の長さが3.0mm~7.0mmに設定されることが好ましい。シール部材50の素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリ乳酸、シリコーン、金属等が挙げられる。
【0099】
また、シール部材50は、フィルタ10と同様に、例えば紙からなるシート状の部材を円管状や渦巻状に巻いたもの、折り畳んだもの、または捲縮させたものを用いてもよい。また、シール部材50は、通気性を有する紙を包装部材30の端部に貼り付けたもので構成されてもよい。
【0100】
シール部材50は、喫煙具用カートリッジ1の外部から被加熱体20に向かって空気を通過させる機能を有する。また、シール部材50は、エアロゾル形成基材201で生成された水蒸気やエアロゾルのうち、被加熱体20に留まって液化した残留液を吸収する機能も有する。また、シール部材50は、被加熱体20がシール部材50側へ移動することを抑制する機能も有する。
【0101】
シール部材50は、フィルタ10とは異なる色(例えば黒色)を有してもよい。これにより、喫煙具用カートリッジ1の上流側と下流側とを簡単に判断可能にすることができる。また、シール部材50には、通気性を向上させるために、エアロゾルの通路となる貫通孔50aを1つまたは複数設けられても良い。
【0102】
また、支持部材40やシール部材50は、エアロゾル形成部材1が移動することが無い場合には、必ずしも設置する必要はない。例えば、フィルタ10と被加熱体20とを隣接して配置させてもよい。これにより、部品点数の削減ができるので、コスト削減に有効である。
【0103】
<<サセプタ部材の具体例(5)>>
次に、サセプタ部材のこれら以外の例について説明する。図16は、サセプタ部材のその他の例を示す図である。図16(a)には、サセプタ部材203に、表面と裏面との間を貫通する複数の貫通孔2031が格子状に形成された例が示されている。また、図16(b)には、サセプタ部材203に、図16(a)よりも開口の大きい貫通孔2031が形成された例が示されている。貫通孔2031は、サセプタ部材203の表面に1つまたは複数形成されてもよい。
【0104】
サセプタ部材203が、貫通孔2031を備えることにより、貫通孔2031、2032にエアロゾルを含む気流を通過させることができる。これにより、サセプタ部材203で温められた気流がエアロゾル形成基材201の表面と接する機会が増し、エアロゾル形成基材201をより効率的に加熱することができ、エアロゾル形成基材201からのエアロゾル生成を促進させることができる。
【0105】
なお、図16のサセプタ部材203の構成は、実施の形態1にも適用可能である。また、実施の形態1で説明したサセプタ部材203の構成は、本実施の形態にも適用可能である。
【0106】
なお、本発明はこれらに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するため詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えなくてもよい。なお、図面に記載した各要素や要素間の相対的なサイズは、本発明を分かりやすく説明するため簡素化・理想化しており、実際にはより複雑になる場合がある。
【符号の説明】
【0107】
1…喫煙具用カートリッジ、10…フィルタ、20…被加熱体、30…包装部材、40…支持部材、50…シール部材、70,80…喫煙具、72…コイル(誘導加熱体)、82…ブレード(発熱体)、201…エアロゾル形成基材、203…サセプタ部材、205…収容体。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16