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特開2023-143823中央部にクラッシュボックスを有するリアフレームアセンブリを備える自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143823
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】中央部にクラッシュボックスを有するリアフレームアセンブリを備える自動車
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/15 20060101AFI20230928BHJP
   B62D 21/00 20060101ALI20230928BHJP
   B60K 5/02 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B62D21/15 B
B62D21/00 Z
B60K5/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023043912
(22)【出願日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】102022000005870
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエーレ テスタ
【テーマコード(参考)】
3D203
3D235
【Fターム(参考)】
3D203AA10
3D203BA13
3D203BA15
3D203BC35
3D203DA03
3D203DA11
3D235AA01
3D235BB07
3D235BB18
3D235BB23
3D235CC03
3D235CC06
3D235DD05
3D235EE49
3D235FF03
3D235FF32
3D235HH25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自動車の重量及び寸法の低減に関する。
【解決手段】自動車(1)は、前進方向(A、B)と、前進方向(A、B)に従った前端部及び後端部(7)を有するリアフレーム(2)と、エンジン及びギアボックスを備える駆動ユニット(10)と、平衡位置の周りでリアフレーム(2)に対して弾性振動するように、駆動ユニット(10)をリアフレーム(2)に結合する弾性支持装置(15)と、前進方向(A、B)に沿った後部衝突を吸収するためのクラッシュボディ(16)とを有し、クラッシュボディ(16)は、前進方向(A、B)に沿って後端部(7)を越えて、前進方向(A、B)に従った駆動ユニット(10)の後部から、片持ち状に突出するように、駆動ユニット(10)に固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前進方向(A、B)を有する自動車(1)であって、
前記前進方向(A、B)に従った前端部(8)及び後端部(7)を有する、リアフレーム(2)と、
エンジン及びギアボックスを備える、駆動ユニット(10)と、
平衡位置の周りで前記リアフレーム(2)に対して弾性的に振動するように、前記駆動ユニット(10)を前記リアフレーム(2)に結合する、弾性支持手段(15)と、を備え、
前記前進方向(A、B)に沿った後方衝突を吸収するためのクラッシュボディ(16)であって、前記前進方向(A、B)に沿って前記後端部(7)を越えて、前記前進方向(A、B)に従って前記駆動ユニット(10)の後部から片持ち状に突出するように、前記駆動ユニット(10)に固定される、クラッシュボディ(16)を備えることを特徴とする、自動車。
【請求項2】
前記クラッシュボディ(16)が、前記前進方向(A、B)に直交する方向(C)に従って、中央に配置される、請求項1に記載の自動車。
【請求項3】
前記駆動ユニット(10)が、前記エンジンの第1のケーシング(11)及び前記ギアボックスを収容する第2のケーシング(12)を備え、前記第1のケーシング(11)及び前記第2のケーシング(12)が相互に固定され、前記クラッシュボディ(16)が前記第2のケーシング(12)から片持ち状に突出する、請求項1に記載の自動車。
【請求項4】
前記リアフレーム(2)に対して固定され、前記前進方向(A、B)に平行な前記駆動ユニット(10)の第1の部分(19)と、前記第1の部分(19)に対して前方位置で位置合わせされた、第1の対抗要素(18)を更に備え、前記駆動ユニット(10)が前記平衡位置にあるときに、前記前進方向(A、B)に平行に、前記第1の部分(19)が前記第1の対抗要素(18)から離れている、請求項1に記載の自動車。
【請求項5】
前記駆動ユニット(10)が前記平衡位置にあるときの、前記第1の部分(19)と、前記前進方向(A、B)に平行な前記第1の対抗要素(18)との間の第1の距離が30mmより大きい、請求項4に記載の自動車。
【請求項6】
前記フレームに対して固定された、2つの第2の対抗要素(20)を更に備え、前記第1の対抗要素(18)が、前記前進方向(A、B)に直交する方向(C)に従って、前記第2の対抗要素(20)の間に配置され、前記第2の対抗要素(20)のそれぞれが、前記駆動ユニット(10)の第2の部分(21)と、前記前進方向(A、B)に平行に、前記第2の部分(21)に対するそれぞれの前方位置で、それぞれ位置合わせされ、前記駆動ユニット(10)が前記平衡位置にあるときに、前記前進方向(A、B)に平行に、前記第2の部分(21)が前記第2の対抗要素(20)からそれぞれ離れており、前記第2の対抗要素(20)が、前記第1の対抗要素(18)の後方に配置される、請求項4に記載の自動車。
【請求項7】
前記駆動ユニット(10)が前記平衡位置にあるときの、前記第2の部分(21)と、前記前進方向(A、B)に平行な前記それぞれの第2の対抗要素(20)との間の第2の距離が、前記駆動ユニット(10)が前記平衡位置にあるときの、前記第1の部分(19)と、前記前進方向(A、B)に平行な前記第1の対抗要素(18)との間の第1の距離よりも小さく、前記第2の距離が、具体的には20mmよりも大きい、請求項6に記載の自動車。
【請求項8】
前記リアフレーム(2)が、前記前進方向(A、B)に平行なそれぞれの軸線(A)に沿って延びる2つの構造体(3)を備え、前記駆動ユニット(10)が、前記構造体(3)の間に配置され、前記リアフレーム(2)が、前記前進方向(A、B)に対して横方向に延び、前記構造体(3)を接続するクロス部材(5)を更に備え、前記駆動ユニット(10)が、前記前進方向(A、B)に従って、前記クロス部材(5)に対する後方部分(23)及び前方部分(19)を有する、請求項1に記載の自動車。
【請求項9】
前記クロス部材(5)に対する前記後方部分(23)が、前記前進方向(A、B)に平行に、前記クロス部材(5)と位置合わせされた付属物(24)を備え、前記駆動ユニット(10)が前記平衡位置にあるとき、前記前進方向(A、B)に平行に、前記付属物(24)が前記クロス部材(5)から離れている、請求項8に記載の自動車。
【請求項10】
前記リアフレーム(2)に対して固定され、前記前進方向(A、B)に平行に、前記第1の部分(19)に対する前方位置で、前記駆動ユニット(10)の第1の部分(19)と位置合わせされた、第1の対抗要素(18)を更に備え、前記駆動ユニット(10)が前記平衡位置にあるとき、前記前進方向(A、B)に平行に、前記第1の部分(19)が前記第1の対抗要素(18)から離れており、前記駆動ユニット(10)が前記平衡位置にあるとき、前記付属物(24)と前記前進方向(A、B)に平行な前記クロス部材(5)との間の第3の距離が、前記駆動ユニット(10)が前記平衡位置にあるときの、前記第1の部分(19)と前記前進方向(A、B)に平行な前記第1の対抗要素(18)との間の第1の距離よりも大きい、請求項9に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2022年3月24日に出願されたイタリア特許出願第102022000005870号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、自動車、特に道路を走行するのに適した自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
知られているように、自動車の後部には、様々な構成要素を支持する機能を備えたリアフレーム、並びに、そのフレームに対して後方に突出するように固定され、後方衝突、特に自動車の前進方向に沿って発生する衝突を吸収する機能を有する、リアクラッシュボックスが含まれる。
【0004】
特に、クラッシュボックスは、通常、自動車の側面に沿って前進方向と平行に延在する、一対の長手方向部材、並びに、長手方向部材に対して横方向に延在し、長手方向部材を互いに接続するように、長手方向部材にそれぞれ固定された端部を有する、クロス部材を含む。
【0005】
長手方向部材は、典型的には、フレームから、特に自動車のリアサスペンション用の連結器を含み、「リアショックタワー」としても知られる、リアサスペンションを取り付けるための構造体から延出する。
【0006】
場合によっては、自動車の駆動ユニットは自動車の後部に位置し、したがってリアフレームによって支持される。
【0007】
より具体的には、道路を走行するのに適した自動車では、駆動ユニットは、サスペンション装置を介してリアフレームに支持される。
【0008】
言い換えれば、通常は自動車のエンジン及びギアボックスを含む駆動ユニットは、弾性要素を介してリアフレームに対して懸架される。
【0009】
典型的には、こうした弾性要素は、駆動ユニットとリアフレームとの間に介在する、例えばゴムを含む、又はゴム製の弾性体である。弾性体が駆動ユニット及びフレームの両方に固定されることにより、リアフレームに対する駆動ユニットの懸架がもたらされる。
【0010】
従来技術によれば、走路上での走行専用のいくつかの自動車では、駆動ユニットは代わりにフレームに堅固に接続され、その結果、駆動ユニットはフレームの不可欠な部分を効果的に形成する。このタイプの自動車は、耐荷重エンジンを有する自動車として知られている。
【0011】
しかしながら、耐荷重エンジンを有する自動車は、エンジンの振動がフレームに直接伝達され、運転者が使用中に自動車を扱うことを非常に困難にするため、道路上での運転には適していない。
【0012】
そのため、以下の説明では、駆動ユニットがリアフレームに懸架される自動車のみを参照する。
【0013】
駆動ユニットが自動車の後方に向かって比較的大きい延長部を有する場合、典型的な場合よりも長手方向部材を長くしなければならず、そのため、駆動ユニットの延長部に起因して既に増加されている自動車の重量及び寸法が、更に増加する。
【0014】
このことは、明らかに、自動車の重量及び寸法の低減に関する技術的課題を呈示する、第1の欠点である。
【0015】
第2の欠点は、より一般的には、長手方向部材及びクロス部材の特定の寸法によって決定づけられる、自動車の全体積にわたる構成要素の配分に関する、設計上の制約に関連する。
【0016】
更に、第3の欠点は、長手方向部材は通常、吸収効率が低く、すなわち、後方衝突が発生した場合に、総重量に対して吸収されるエネルギーの比率が低い、という事実に関連する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記に照らし、特に前述した欠点を制限又は排除することによって、公知の自動車を改善する必要がある。
【0018】
本発明の目的は、好ましくは単純かつ信頼性のある方法で、上記の必要性を満たすことである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、請求項1に記載の自動車によって達成される。
【0020】
各従属請求項は、本発明の特定の実施形態を記載するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下に、非限定的な実施例として、添付の図面を参照して、本発明を解明するために、一実施形態の説明を行う。
【0022】
図1】本発明による自動車の後部の、概略斜視図である。
図2】明瞭にするために部品を取り除いた、後部の側面図である。
図3】後部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1において、参照番号1は、全体として自動車を示すために使用されるが、図1には自動車の後部のみが示されている。
【0024】
全ての自動車と同様に、自動車1は、通常の前進方向を有する。
【0025】
したがって、「前部」及び「後部」などの用語は、前進方向を基準として理解されるべきである。
【0026】
自動車1は、図示されていないが、1人又はそれ以上のユーザを収容するために、自動車1の車室を画定する、又は取り囲む、ボディセルを備える。
【0027】
自動車1は、特にボディセルに対して固定され、前進方向に沿って延在する、リアフレーム2を更に備える。前進方向に従って、リアフレーム2は、ボディセルの後方に配置される。更に、より具体的には、リアフレーム2は、ボディセルから自動車1の後方に向かって、片持ち状に突出する。
【0028】
図3に最もよく見られるように、フレーム2は、前進方向に平行なそれぞれの軸線Aに沿って延在する、2つの構造体3を備える。
【0029】
各構造体3は、軸線Aに平行な中心軸線Bの側方に配置される。軸線Bは、具体的には自動車1の対称軸である。
【0030】
基本的に、より具体的には、各構造体3は、それぞれの軸線Aに沿って、軸線Bから等距離にある部分を有する。
【0031】
各構造体3は、「ショックタワー」としても表される、サスペンション取付け構造体を形成する。
【0032】
各構造体3は、ボディセルから片持ち状に突出する。
【0033】
各構造体3は、互いに同一のものであることが好ましい。すなわち、一方の構造体3について説明した各特性は、他方の構造体3にも当てはめることができる。
【0034】
各構造体3は、自動車のサスペンション(図示せず)を支持する機能を有する。実際、各構造体3は、構造体3へサスペンションを結合できるように構成された、複数の取付け要素又は連結器4を備える。
【0035】
更に、フレーム2は、軸線Aに対して横方向に延在し、各構造体3を接続する、少なくとも1つのクロス部材又は梁5を備える。
【0036】
言い換えれば、クロス部材5は、各構造体3に固定された、2つの端部を有する。
【0037】
好ましくは、フレーム2はまた、クロス部材5の上方で各構造体3の間にブリッジを形成するように延在する、アーチ梁6を備える。
【0038】
したがって、フレーム2は、アーチ梁6とクロス部材5との間に、前進方向に対する横方向開口部を画定する。
【0039】
特に、クロス部材5は各構造体3の後端部に配置され、好ましくはアーチ梁6も構造体3の後端部に配置される。
【0040】
実際に、各構造体3の後端部は、クロス部材5、及び好ましくはアーチ梁6と共に、具体的にはフレーム2の後端部7の一部を形成する、又は後端部7を形成さえするものである。
【0041】
言い換えれば、フレーム2は、後端部7と共に、後方、すなわちボディセルの反対側で終端する。
【0042】
一方、フレーム2はまた、後端部の反対側にあり、図示されていない公知の方法で、具体的にはボディセルに接続される、前端部8を有する。
【0043】
フレーム2は、前進方向に沿って、又は軸線Bに従って、端部7と端部8との間に延在する。
【0044】
自動車1は、フレーム2によって支持される、駆動ユニット又はパワートレインアセンブリ10を更に備える。ユニット10は、各構造体3の間に、軸線Bに沿って配置される。
【0045】
特に、ユニット10は、クロス部材5の上方に、より具体的には、クロス部材5及びアーチ梁6によって画定された開口部を通って延在する。
【0046】
図示の実施形態では、ユニット10は、軸線Bに対して対称に、中心に配置される。
【0047】
ユニット10は、図示されていない自動車1の車輪に動力を供給する機能を果たし、それによって、自動車1を道路上で駆動させることができる。
【0048】
ユニット10は、少なくとも1つのエンジン及びギアボックス、並びに、特にエンジンをギアボックスに結合するための、エンジンとギアボックスとの間のクラッチを備える。使用中に、エンジンは、クラッチを介してギアボックスに動力を伝達する。
【0049】
エンジンは、好ましくは内燃エンジンである。
【0050】
更に、ユニット10は、エンジンの外装ケーシング11、及びギアボックスを収容するケーシング12を備える。言い換えれば、ケーシング12はギアボックスである。
【0051】
更に、ユニット10は、クラッチを収容するケーシング13を備える。
【0052】
ケーシング11、12は、互いに固定される。この特定の事例では、ケーシング13もケーシング11、12に固定される。
【0053】
図示の実施形態では、ケーシング12はケーシング11の後方に配置されているが、明らかに反対に配置することも可能である。
【0054】
ケーシング13は、軸線B又は前進方向に従って、ケーシング11、12の間に配置される。
【0055】
言い換えれば、ケーシング11、12、及びできればケーシング13は、軸線B又は前進方向に従って、互いに一列に位置合わせされる。
【0056】
ユニット10をフレーム2に結合するために、自動車1は、複数の弾性支持装置15を備える。ユニット10は、装置15を介して、平衡位置の周りで振動するように、フレーム2に結合される。
【0057】
各装置15は、ユニット10とフレーム2との間に介在する。
【0058】
更に、装置15は、特に装置15を収容するための、それぞれの指定された座部14において、フレーム2に固定される。
【0059】
次いで、ユニット10は、装置15に固定される。
【0060】
したがって、ユニット10は、装置15を介して、間接的にフレーム2に結合される。言い換えれば、ユニット10は、装置15を介してフレーム2に対して懸架される。
【0061】
装置15は、弾性であるため、ユニット10とフレーム2との間の相対移動を可能にする。しかしながら、装置15は、弾性的に反応することによって平衡位置からのこれらの動きに抵抗する。装置15の弾性反応は、ユニット10の平衡位置からの変位が増加するにつれて増加し、かつ平衡位置に向けられたものである。
【0062】
例えば、装置15は、円筒形又は箱形などのブロックである本体を備え、この本体は更に、ゴム又は他の弾性材料を含む、又はゴム又は他の弾性材料で作製されたものであるため、弾性である。
【0063】
図に示すように、装置15のいくつかはケーシング11に固定することができ、装置15のその他のものはケーシング12に固定することができる。後者の装置15は、簡略にするために図示されていないが、場合によっては、クロス部材5及び/又はアーチ梁6において、フレーム2に固定される。
【0064】
ユニット10がフレーム2に懸架されているという事実は、自動車1を潜在的に道路上での運転に適したものにする。逆に、ユニット10がフレーム2に堅固に接続されていたならば、自動車1は耐荷重エンジンを有しているはずであり、したがって道路上での運転に適さないであろう。
【0065】
自動車1の使用中、フレーム2に対するユニット10の移動は、基本的に運転振動に起因するものである。
【0066】
後方衝突、すなわち前進方向に沿った衝突が発生した場合、装置15は、軸線B又は前進方向に沿って、自動車1の前部、すなわち、ボディセルに向かってユニット10を移動させてしまう。
【0067】
本発明によれば、自動車1は、前進方向に沿った後方衝突を吸収するための、クラッシュボディ16を備える。
【0068】
クラッシュボディ16は、ユニット10、より具体的にはケーシング12に固定され、軸線B又は前進方向に従って、駆動ユニット10の後部から片持ち状に、端部7を超えて突出する。
【0069】
具体的には、ユニット10の後部とは、ケーシング12の後端部、より具体的にはギアボックスのカバーである。
【0070】
好ましくは、クラッシュボディ16は、各構造体3に対して中央に、すなわち軸線Bに沿って配置される。例えば、クラッシュボディ16は、軸線Bに対して対称である。
【0071】
言い換えれば、クラッシュボディ16は、軸線Aに直交する軸線Cに従って、中心に配置される。
【0072】
特に、クロス部材5は、軸線Cに沿って延在する。
【0073】
例えば、クラッシュボディ16は、梁、特に箱形又は管状の梁を備えるか、あるいは、箱形又は管状の梁である。したがって、クラッシュボディ16は、クラッシュボックスを画定する。
【0074】
クラッシュボディ16の梁は、軸線B又は前進方向に沿って、直線的に長手方向に延在する。
【0075】
クラッシュボディ16の断面は、具体的には台形形状を有する。あるいは、この断面は、4つより多くの角、例えば6つの角を有することもできる。
【0076】
したがって、クラッシュボディ16は、軸線B又は前進方向に沿って内部が中空であり、それによってキャビティを画定する。
【0077】
例えば、このキャビティには、複数の光源又は照明を収容することができ、これらは自動車1の制動を示すために、好ましくは作動させることができる。
【0078】
自動車1は、フレーム2に対して固定された、少なくとも1つの対抗要素18を備える。
【0079】
この要素18は、前進方向又は軸線Bに従って、ユニット10の部分19、特にユニット10の前端部と位置合わせされる。言い換えれば、要素18は、部分19に面して、又は対向して配置される。要素18は、前進方向に従って、部分19の前方に配置される。
【0080】
要素18は、ユニット10が平衡位置にあるとき、前進方向に平行に、部分19から離間している。軸線B又は前進方向に従った、要素18と部分19との間の距離は、30mmより大きいことが好ましく、40mmより大きいことがより好ましい。この距離は、ユニット10が平衡位置にあるときに測定される。
【0081】
言い換えれば、要素18と部分19との間の距離は、道路上での自動車1の使用に関連する通常の運転振動の結果として、ユニット10が要素18と接触しないような距離である。
【0082】
逆に、要素18と部分19との間に接触が生じるためには、軸線B又は前方移動方向に沿って、クラッシュボディ16が衝突される必要がある。
【0083】
この衝突は、実際には、クラッシュボディ16からユニット10に伝達され、その結果、装置15の弾性反応に抗して、前進方向又は軸線Bに沿って、ユニット10をフレーム2に対して前方に移動させる。
【0084】
フレーム2に対するユニット10の前進運動は、互いに対向する、すなわち軸線Bに沿って位置合わせされている、部分19と要素18との間の接触を引き起こし得る。
【0085】
ここで、要素18は、ユニット10に対する止め具を画定するように構成される。
【0086】
特に、要素18は、フレーム2に対して固定され、軸線B又は前進方向に沿って、部分19に向かって延出するバーを備える。
【0087】
したがって、図示の実施形態では、要素18は、各構造体3の間の中心に、又は軸線Cに従って配置される。
【0088】
好ましくは、自動車1は、フレーム2に対して固定された、2つの他の対抗要素20を更に備える。
【0089】
具体的には、各要素20は、軸線Bに関して対称に配置される。
【0090】
各要素20は、軸線Cに平行に互いに位置合わせされ、好都合には、互いに同一のものである。
【0091】
軸線Cに従って、要素18は、各要素20の間に配置される。しかしながら、各要素20は、好都合には、軸線B又は前進方向に従って、要素18の後方に配置される。
【0092】
要素18と同様に、各要素20もまた、前進方向又は軸線Bに平行に、ユニット10のそれぞれの部分21と位置合わせされる。
【0093】
各要素20は、対応する各部分21に面して、又は対向して配置される。各要素20は、前進方向に従って、それぞれの部分21の前方に配置される。
【0094】
各要素20は、ユニット10が平衡位置にあるとき、前進方向に平行に、対応する各部分21から離間している。軸線B又は前進方向に従った、各要素20と対応する各部分21との間の距離は、20mmより大きいことが好ましく、30mmより大きいことがより好ましい。これらの距離は、ユニット10が平衡位置にあるときに測定される。
【0095】
言い換えれば、各要素20とそれぞれの部分21との間の距離は、道路上での自動車1の使用に関連する通常の運転振動の結果として、ユニット10が各要素20と接触しないような距離である。
【0096】
逆に、各要素20と各部分21との間に接触が生じるためには、軸線B又は前進方向に沿って、クラッシュボディ16が衝突される必要がある。
【0097】
この点において、要素18と部分19との間の接触についてなされた同様の考察を当てはめ、ここでは、簡潔にするために、これらについての考察は繰り返さない。
【0098】
好都合には、軸線B又は前進方向に従った、各要素20と各部分21との間の距離は、軸線B又は前進方向に従った要素18と部分19との間の距離よりも小さい。
【0099】
このようにして、後方衝突が発生した場合、ユニット10は、要素18に直面する前に、各要素20に直面し、要素18は、各要素20が変形した後にのみ、部分19と接触する。
【0100】
このことは、要素18が最初にユニット10と接触した場合に受ける負荷よりも、低い負荷を各要素20が受けるため、好都合なものである。
【0101】
このようにして、各要素20が各部分21と接触し、したがって耐えるべき全負荷の一部を既に受けた後に、部分19との接触が起こるため、要素18は、代わりにそれよりも低い負荷を受けることになる。
【0102】
図示の実施形態では、各要素20は三角形の斜面の形状を有する。
【0103】
好ましくは、クロス部材5も、対抗要素を画定することができる。
【0104】
ユニット10の前端部、すなわち部分19は、クロス部材5に対する、ユニット10の前部である。
【0105】
ユニット10は、クロス部材5に対する後方部分23も有する。この後方部分23は、ユニット10の後端部を含む。好ましくは、後方部分23は、ケーシング12の一部を形成する。
【0106】
後方部分23は、前進方向に平行にクロス部材5と位置合わせされた、付属物24を備える。
【0107】
言い換えれば、付属物24は、軸線B又は前進方向に沿って、クロス部材5に対向して、又は面して配置される。
【0108】
クロス部材5は、前進方向に従って、付属物24の前方に配置される。
【0109】
クロス部材5は、ユニット10が平衡位置にあるとき、前進方向に平行に、付属物24から離間している。
【0110】
クロス部材5及び付属物24の役割は、要素18及び部分19の役割と極めて類似したものであるため、簡潔にするために繰り返さない。
【0111】
好都合には、軸線B又は前進方向に従った、付属物24からのクロス部材5の距離は、対抗要素18と部分19との間の、対応する距離よりも大きい。
【0112】
実際、要素18と部分19との間で接触が起こる前にクロス部材5が付属物24と接触した場合、クロス部材5は、要素18に与えられる負荷よりも、大きな負荷を受けることになる。
【0113】
したがって、クロス部材5と付属物24との間の距離がより大きいことの利便性は、ユニット10が平衡位置にあるときの、各要素20と各部分21との間の距離に対する、要素18と部分19との間の距離について、既に説明したものと同様である。
【0114】
各部分21及び部分19は、ケーシング11の一部を形成する。
【0115】
一方、付属物24は、特に、ケーシング12から離れて、より具体的には下向きに延在する。
【0116】
付属物24は、クロス部材5に対して凹状であることが好ましい。
【0117】
付属物24は、くさび形プレートを備える、又は、より具体的には、くさび形プレートである。
【0118】
上述したことから、本発明による自動車1の利点は明らかである。
【0119】
自動車1には、ボディセルの背後で長手方向に延在する2つの長手方向部材、並びに、長手方向部材を横方向に接続するクロス部材を伴う、嵩高のリアクラッシュボックスがない。
【0120】
より正確には、自動車1は、より効率的な、具体的には中央に配置された、クラッシュボディ16を有する。
【0121】
クラッシュボディ16は、特に小型であるため、長手方向部材及びクロス部材を伴う方策と比較して、自動車1の重量及び寸法が低減される。
【0122】
最後に、本発明による自動車1は、特許請求の範囲によって定義される保護の範囲から逸脱することなく、修正及び変更できることは明らかである。
【0123】
特に、説明及び図示された構成要素の数及び形状は、大きな自由度をもって変更することができる。
【0124】
更に、記載されたそれぞれの範囲は、複数の独立した選択可能な値として解釈されるべきである。その範囲内の個々の数値は、明示的に言及されていなくても、具体的に記載されていると見なされるべきである。
図1
図2
図3
【外国語明細書】