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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143857
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】温度測定のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/24 20060101AFI20230928BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G01K7/24 A
G01K7/24 D
H01L27/04 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023046338
(22)【出願日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】17/656,288
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】300057230
【氏名又は名称】セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ, マヌエル オルテンシア エル
【テーマコード(参考)】
2F056
5F038
【Fターム(参考)】
2F056RA04
2F056RA09
2F056RA10
2F056RD01
2F056RD09
2F056RD10
5F038AR00
5F038AV02
5F038AV04
5F038AV05
5F038AZ08
5F038BH16
5F038CA08
5F038DF03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】外部温度を測定して、装置の動作を補正するか、又は別様に制御する必要がある。
【解決手段】方法は、温度センサとしてサーミスタを使用することと、分圧器回路内でプルアップ抵抗をサーミスタに直列に接続することと、を含む。プルアップ抵抗は、集積回路内に製造され得、選択可能な電圧出力タブに接続された一連の抵抗セグメントを含む。方法は、プルアップ抵抗の製造時の抵抗値よりも小さいプルアップ抵抗の目標抵抗値に一致するように選択された抵抗値を有する、選択された抵抗セグメントの出力電圧タブを選択することと、サーミスタの電圧と分圧器回路内の選択した出力電圧タブの電圧との比率を計算することと、プルアップ抵抗の目標抵抗値と組み合わせて、サーミスタの温度-抵抗関係に基づいて、計算した比率をサーミスタの温度値にマッピングすることと、を更に含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路であって、
アナログ段であって、
外部温度依存性抵抗への接続と、
分圧回路内で前記外部温度依存性抵抗に接続されたプルアップ抵抗であって、前記プルアップ抵抗は製造時の抵抗値を有し、前記プルアップ抵抗は複数の抵抗セグメントを含む、プルアップ抵抗と、
前記プルアップ抵抗の目標抵抗値に一致する抵抗値を有する、前記複数の抵抗セグメントのうちの少なくとも1つを選択するように構成されたマルチプレクサと、を含む、アナログ段と、
アナログ-デジタル変換器(ADC)によって前記アナログ段に連結されたデジタル段であって、前記ADCは、前記外部温度依存性抵抗の電圧、及び前記デジタル段において処理するための前記抵抗値を有する、選択された前記抵抗セグメントの電圧をデジタル化するように構成されている、デジタル段と、を備える、集積回路。
【請求項2】
メモリに記憶されたルックアップテーブル(LUT)を更に備え、前記LUTは、前記外部温度依存性抵抗の温度-抵抗関係を表し、
データ処理モジュールは、前記メモリに記憶された前記LUTから前記外部温度依存性抵抗の温度の値を補間するように構成されている、請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
集積回路であって、
外部温度依存性抵抗に接続するための一対の外部端子と、
分圧回路内で前記外部温度依存性抵抗に直列に接続されたプルアップ抵抗であって、前記プルアップ抵抗は製造時の抵抗値を有し、前記プルアップ抵抗は、選択可能な電圧出力タブに接続された抵抗セグメントを含み、各抵抗セグメントは、前記プルアップ抵抗の前記製造時の抵抗値よりも小さい抵抗値を有する、プルアップ抵抗と、
前記プルアップ抵抗に取り付けられたスライドスイッチであって、前記スライドスイッチは、前記プルアップ抵抗内の少なくとも1つの抵抗セグメントを短絡させるように構成されている、スライドスイッチと、
前記選択可能な電圧出力タブに接続されマルチプレクサであって、前記マルチプレクサは、前記プルアップ抵抗の目標抵抗値に一致する選択された抵抗値を有する、選択された抵抗セグメントの出力電圧タブを選択するように構成されている、マルチプレクサと、
前記外部温度依存性抵抗の電圧、及び選択された前記抵抗値を有する選択された前記抵抗セグメントの選択した前記出力電圧タブの電圧をデジタル化するように構成されているアナログ-デジタル変換器(ADC)と、を備える、集積回路。
【請求項4】
前記ADCによってデジタル化された前記電圧の比率を計算するように構成されたデータ処理モジュールを更に備え、前記比率は、前記外部温度依存性抵抗の抵抗に比例しており、
前記データ処理モジュールは、前記プルアップ抵抗の前記目標抵抗値と組み合わせて、前記外部温度依存性抵抗の温度-抵抗関係に基づいて、計算した前記比率を前記外部温度依存性抵抗の温度にマッピングするように更に構成されている、請求項3に記載の集積回路。
【請求項5】
方法であって、
環境内に温度センサとしてサーミスタを配設することと、
分圧回路内でプルアップ抵抗を前記サーミスタに直列に接続することであって、前記プルアップ抵抗は集積回路内に製造され、選択可能な電圧出力タブに接続された一連の抵抗セグメントを含み、各抵抗セグメントは、前記プルアップ抵抗の製造時の抵抗値よりも小さい抵抗値を有する、ことと、
前記プルアップ抵抗の前記製造時の抵抗値よりも小さい、前記プルアップ抵抗の目標抵抗値に一致するように選択された抵抗値を有する、選択された抵抗セグメントの出力電圧タブを選択することと、
前記サーミスタの電圧と前記分圧器回路内の選択した前記出力電圧タブの電圧との比率を計算することであって、前記比率は、前記サーミスタの抵抗に比例する、ことと、
前記プルアップ抵抗の前記目標抵抗値と組み合わせて、前記サーミスタの温度-抵抗関係に基づいて、計算した前記比率を前記サーミスタの温度値にマッピングすることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2022年3月24日出願の米国特許出願第17/656,288号の利益を主張し、その優先権を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、超小型電子回路に関し、より具体的には、温度を測定するための回路に関する。
【背景技術】
【0003】
種々の状況における電気装置又は機械装置(例えば、電子デバイス、圧力センサ、微小電気機械システム(micro-electromechanical system、MEMS)デバイス、流量測定デバイス、バッテリセル、温度モニタ、暖房、換気、及び空調(heating, ventilation and air conditioning、HVAC)システム、油圧及び温度測定、医療デバイス、プロセスコントローラなど)の性能は、外部温度の関数であり得る。多くの場合、外部温度を測定して、装置の動作を補正するか、又は別様に制御する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
一般的な態様では、集積回路は、デジタル段に連結されたアナログ段を含む。アナログ段は、外部温度依存性抵抗への接続と、分圧器回路内で外部温度依存性抵抗に接続されたプルアップ抵抗と、を含む。プルアップ抵抗は、製造時の抵抗値を有し、複数の抵抗セグメントを含む。アナログ段は、プルアップ抵抗の目標抵抗値に一致する抵抗値を有する、複数の抵抗セグメントのうちの少なくとも1つを選択するように構成されたマルチプレクサを更に含む。更に、デジタル段は、アナログ-デジタル変換器(analog-to-digital convertor、ADC)によってアナログ段に連結される。ADCは、外部温度依存性抵抗の電圧、及びデジタル段において処理するための抵抗値を有する、選択された抵抗セグメントの電圧をデジタル化するように構成されている。
【0005】
一般的な態様では、集積回路は、外部温度依存性抵抗に接続するための一対の外部端子と、分圧器回路内で外部温度依存性抵抗に直列に接続されたプルアップ抵抗と、を含む。プルアップ抵抗は、製造時の抵抗値を有する。プルアップ抵抗は、選択可能な電圧出力タブに接続された抵抗セグメントを含む。各抵抗セグメントは、プルアップ抵抗の製造時の抵抗値よりも小さい抵抗値を有する。集積回路は、プルアップ抵抗に取り付けられたスライドスイッチを更に含む。スライドスイッチは、プルアップ抵抗内の少なくとも1つの抵抗セグメントを短絡させるように構成されている。
【0006】
集積回路は、マルチプレクサと、アナログ-デジタル変換器(ADC)と、を更に含む。マルチプレクサは、選択可能な電圧出力タブに接続され、プルアップ抵抗の目標抵抗値に一致する選択された抵抗値を有する、選択された抵抗セグメントの出力電圧タブを選択するように構成されている。ADCは、外部温度依存性抵抗の電圧、及び選択された抵抗値を有する選択された抵抗セグメントの選択した出力電圧タブの電圧をデジタル化するように構成されている。
【0007】
一般的な態様では、方法は、環境内に温度センサとしてサーミスタを配設することと、集積回路内に製造された分圧器回路内でプルアップ抵抗をサーミスタに直列に接続することと、を含む。プルアップ抵抗は、選択可能な電圧出力タブに接続された、一連の抵抗セグメントを含み、各抵抗セグメントは、プルアップ抵抗の製造時の抵抗値よりも小さい抵抗値を有する。方法は、プルアップ抵抗の製造時の抵抗値よりも小さいプルアップ抵抗の目標抵抗値に一致するように選択された抵抗値を有する、選択された抵抗セグメントの出力電圧タブを選択することと、サーミスタの電圧と分圧器回路内の選択した出力電圧タブの電圧との比率を計算することと、を更に含み、比率はサーミスタの抵抗に比例する。方法は、プルアップ抵抗の目標抵抗値と組み合わせて、サーミスタの温度-抵抗関係に基づいて、計算した比率をサーミスタの温度値にマッピングすることを更に含む。
【0008】
前述の例示的な概要、本開示の他の例示的な目的及び/又は利点、並びにそれらが達成される方法は、以下の詳細な説明及びその添付図面内で更に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】温度測定集積回路の例示的な実装形態のブロック図である。
図1B】サーミスタの温度と、サーミスタの抵抗に比例する電圧比との関係を示すグラフである。
図2A】温度測定集積回路の別の例示的な実装形態のブロック図である。
図2B図2Aの集積回路の分圧器装置に含まれる抵抗を表す図である。
図3】プルアップ抵抗の目標抵抗値の例示的な温度依存性のグラフである。
図4A】固定目標抵抗シナリオ、温度依存性可変目標抵抗シナリオにおける温度の関数としての例示的なサーミスタ電圧(Vntc)のグラフである。
図4B図4Aの一部の分解図である。
図5】外部環境の温度を測定する方法のフローチャートである。
【0010】
図面の構成要素は、必ずしも互いに対して一定の縮尺ではない。複数の図及び図面を通して、同様の参照番号は同様の部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
集積回路において、外部温度依存性抵抗は、サーミスタであり得る。
【0012】
いくつかの用途において、温度依存性抵抗、すなわちサーミスタは、外部温度を測定するために外部に配置された温度計として使用される。外部温度におけるサーミスタの抵抗は、例えば、分圧器回路において、サーミスタの未知の抵抗を、サーミスタと直列又は並列の既知のインピーダンス(例えば、プルアップ抵抗)と釣り合わせることによって特定され得る。いくつかの実装形態では、分圧器回路によって特定されたサーミスタの抵抗値は、温度値にマッピングされる。いくつかの実装形態では、分圧器回路によって特定されたサーミスタの抵抗値は、例えば、温度-抵抗関係(例えば、サーミスタの温度-抵抗関係曲線を表す、製造業者によって提供されたルックアップテーブル(look-up table、LUT))を使用して、温度値にマッピングされる。
【0013】
温度測定回路の集積回路(integrated circuit、IC)バージョンでは、分圧器回路内の既知のインピーダンス(例えば、プルアップ抵抗)は、半導体ダイ又はICチップに内蔵された抵抗である。しかしながら、内蔵抵抗は、固定、すなわち不変の抵抗値を有しないが、チップ温度とともに、及び/又はダイごとに(例えば、処理の変動に起因して)変動し得る値を有する。プルアップ抵抗の抵抗値の変動により、異なる温度測定ICは、同一サーミスタに対して異なる抵抗値を割り当てることがあり、実際の外部温度に対して異なる温度を読み出すことがある。実際の外部温度を正確に読み出すために、温度測定ICの抵抗の特定の値(例えば、抵抗)の変動を考慮することが望ましい場合がある。
【0014】
本開示は、サーミスタを外部温度センサとして使用して外部温度を正確に測定するための温度測定集積回路(IC)及び方法を説明する。サーミスタは、負温度係数サーミスタ(別名、NTC)又は正温度係数サーミスタ(別名、PTC)であり得る。集積回路は、サーミスタに接続するための外部端子を備えた半導体ダイ又はICチップ内に実装され得る。IC及び方法は、オンチップ基準抵抗(Rpull-up)を参照して、分圧器回路内で外部温度環境におけるサーミスタの抵抗を測定することを含む。
【0015】
オンチップ抵抗の抵抗値(例えば、Rpull-up)は、処理変動に起因して(また、ICチップの温度変動に起因して)ダイごとに異なり得る。プルアップ抵抗の抵抗値のこれらの変動のため、異なる温度測定ICは、同一サーミスタに異なる抵抗値を割り当てることがあり、実際の外部温度に対して異なる温度を読み出すことがある。換言すると、プルアップ抵抗の抵抗値のダイ間での処理変動及びICチップの温度変動は、外部温度の不正確な決定をもたらし得る。
【0016】
開示する温度測定IC及び方法では、ダイ間での処理変動及びICチップ温度の変動に関連して外部温度の特定が困難であることは、選択可能な所定の抵抗値の範囲を有するオンチップ基準抵抗(Rpull-up)を使用することによって克服することができる。
【0017】
例示的な実装形態では、オンチップ基準抵抗Rpull-upは、デジタルポテンショメータのような装置でICチップに実装され、その抵抗値は、分圧器回路で使用するように選択される(例えば、デジタル的に選択される)。Rpull-upの選択された抵抗値は、いかなるダイ間での処理変動及びIC構成要素値のいかなるICチップ温度依存性変動とも概ね関係なく、分圧器回路で使用するように選択された目標値であり得る。次いで、選択されたRpull-up抵抗値を使用して特定されたサーミスタの抵抗値は、サーミスタの既知の温度-抵抗関係曲線に基づいて外部温度にデジタル的にマッピングされる。
【0018】
図1Aは、本開示の原理による、サーミスタ(例えば、NTC110)を外部温度センサとして使用して(例えば、外部環境10内の)外部温度を測定するための温度測定集積回路(例えば、IC100)の例示的な実装形態のブロック図である。
【0019】
例示的な実装形態では、IC100は、(例えば、アナログIC段100Aの)アナログ分圧器回路と、(例えば、デジタルIC段100Dの)デジタル制御及びデータ処理回路と、を含む。
【0020】
アナログIC段100Aは、NTC110が外部環境10内で接続され得る2つの外部端子又はピン(例えば、ピンA及びピンB)を有し得る。NTC110の一端(例えば、ピンB)は、接地され得る。アナログIC段100Aは、(例えば、端子Aにおいて)NTC110に直列に接続された、内部(すなわち、オンチップ)基準抵抗(例えば、プルアップ抵抗120)を更に含む。プルアップ抵抗120は、製造時の抵抗値Rpuを有し得る。分圧器測定のために、電圧(例えば、VREF)は、NTC110及びプルアップ抵抗120の直列組み合わせにわたって印加され得る(例えば、VREFは、プルアップ抵抗120の上の基準電圧端子TRとピンB(接地)との間に印加され得る)。一対の背面接続されたツェナーダイオード(例えば、ダイオード112)をピンAとピンBとの間に配置して、過電圧による回路の損傷を防止することができる。
【0021】
例示的な実装形態では、内部基準抵抗(例えば、プルアップ抵抗120)は、複数の選択可能な抵抗値(例えば、SRpu)を有するタブ付き抵抗であり得る。選択可能な抵抗値(例えば、SRpu)は、製造時のプルアップ抵抗120全体の抵抗(例えば、Rpu)よりも小さくてよい。
【0022】
例示的な実装形態では、プルアップ抵抗120は、(選択可能な)電圧出力タブ(例えば、出力タブ122)に接続された、より小さい抵抗値の一連の抵抗素子又はセグメントとして製造され得る。各出力タブ122は、製造時のプルアップ抵抗120全体の抵抗(例えば、Rpu)とは異なる、より小さい抵抗値に対応し得る。出力タブ122はマルチプレクサ130に接続され得る。マルチプレクサ130は、デジタル命令又はトリムコード(例えば、rpu_trim)を(例えば、デジタルIC段100Dのトリムコード生成器160から)受信してプルアップ抵抗120の抵抗値をより低い値に調整する(すなわち、下げる)ことができる。例示的な実装形態では、トリムコード(例えば、rpu_trim)は、製造時のプルアップ抵抗120全体の抵抗(例えば、Rpu)よりも見かけ上低いプルアップ抵抗120の抵抗値(例えば、SRpu)に対応する、選択された出力タブ122を識別することができる。マルチプレクサ130は、プルアップ抵抗120の選択された、より低い抵抗値SRpuに対応する、選択された出力タブ122のプルアップ電圧出力(Vpu)を選択することによって、デジタル命令又はトリムコード(例えば、rpu_trim)に応答し得る。
【0023】
ピンAにおけるNTC110の電圧(例えば、Vntc)及びプルアップ電圧出力Vpuは、外部温度におけるNTC110の抵抗(Tntc)を計算するために使用され得る。
【0024】
例示的な実装形態では、アナログIC段100Aは、デジタルワード値(DW)に変換するために、アナログのVntc信号及びVpu信号をアナログデジタル変換器(例えば、ADC150)に送信するマルチプレクサ140を含み得る。ADC150は、アナログIC段100Aの回路をデジタルIC段100Dの回路と連結する。次いで、Vntc及びVpuのデジタルワード値(DW)が、処理のために(例えば、NTC110の温度(Tntc)を計算するために)、ADC150からデジタルIC段100Dに送信される。ADC150は、基準電圧に対する入力電圧(例えば、Vntc又はVpu)の比率をデジタル化し得る。ADC150は、例えば、プルアップ抵抗120の上の基準電圧端子TRに印加される基準電圧(例えば、VREF)と同じ基準電圧を供給され得る。しかしながら、2つの測定入力電圧の比率(例えば、Vntc/Vpu)は、ADC150に供給されるか、又はADC150によって使用される基準電圧とは無関係である。
【0025】
更に、デジタルIC段100Dは、例えば、温度センサ(例えば、Tsens170)、メモリ190(例えば、不揮発性メモリ(non-volatile memory、NVM))、Rpu選択モジュール(例えば、トリムコード生成器160)、及びデータ処理モジュール180を含み得る。
【0026】
デジタルIC段100Dにおいて、ダイ温度(IC100のオンチップ温度)は、オンチップ温度センサ(すなわち、Tsens170)によって測定され得る。例示的な実装形態では、Tsens170は、例えば、半導体バンドギャップベースの温度センサであり得る。温度センサは、例えば、バイポーラ接合トランジスタ(bipolar junction transistor、BJT)のベース-エミッタ接合部であり得るダイオード(例えば、シリコンダイオード)の順方向電圧が温度依存性であるという原理を利用し得る。例示的な実装形態では、Tsens170は、ダイオードの順方向接合電圧の測定値に基づいて接合温度Tjct(すなわち、ダイ温度)を特定するように構成され得る。
【0027】
デジタルIC段100Dにおいて、Rpu選択モジュール(例えば、トリムコード生成器160)は、アナログIC段100AでのNTC110の抵抗の分圧器回路測定のために、プルアップ抵抗120の抵抗値(Rpu)を(例えば、目標抵抗値に)調整する、すなわち低下させるための命令(例えば、デジタルトリムコード)を生成し得る。トリムコード生成器160は、(Tsens170から取得されるような)チップの接合温度Tjctに基づいて、及びメモリ(例えば、メモリ190)に記憶されたトリミングデータ(例えば、抵抗トリムデータ192)に基づいて、抵抗120の値(Rpu)を目標値に調整するためのデジタルトリムコードを選択し得る。
【0028】
抵抗120の抵抗の選択された目標値は、ある温度範囲にわたってプルアップ抵抗の目標インピーダンス値に一致するプルアップ抵抗の比率に対応し得る。抵抗120の抵抗の選択された目標値(又は比率)は、温度範囲にわたって一定でなくてもよく、正又は負の抵抗温度係数(temperature coefficient of resistance、TCR)を有してもよい。
【0029】
メモリ190は、(上述したアナログIC段100Aでの分圧器測定のために)プルアップ抵抗120の目標抵抗値を選択するための抵抗トリムデータ192を含み得る。個々のプルアップ抵抗120の特性(例えば、抵抗値及び温度挙動)は、例えば、個々のプルアップ抵抗120/IC100ダイが製造環境内で製造されていた、処理済み半導体ウェハ上で行われる自動試験装置(automated test equipment、ATE)試験によって取得され得る。ATE試験の結果に基づいて、抵抗トリムデータ192は、いくつか(例えば、1~10)の異なるIC(ダイ)の動作温度(又は温度範囲)における個々のプルアップ抵抗120の目標抵抗値を選択するためのリストを含み得る。メモリ190内の抵抗トリムデータ192内のリストは、例えば、異なる温度における個々のプルアップ抵抗120の選択された目標抵抗値を識別するデジタルトリムコードを含み得る。2つの異なるダイ温度(temp1及びtemp2)のデジタルトリムコードは、例えば、temp1,trimcode1及びtemp2,trimcode2として抵抗トリムデータ192に列挙され得る。デジタルトリムコード(例えば、trimcode1又はtrimcode2)のそれぞれは、集積回路(ダイ)の列挙された温度(例えば、temp1又はtemp2)でのプルアップ抵抗の目標抵抗値と、マルチプレクサ130が目標抵抗値に対応するプルアップ抵抗120のプルアップ電圧出力(Vpu)を選択するための命令と、を含み得る。
【0030】
トリムコード生成器160は、メモリ190の抵抗トリムデータ192に列挙されている異なるダイ温度(例えば、temp1及びtemp2)の間のチップの温度Tjctを補間することによって、プルアップ抵抗120の値(Rpu)を目標値に調整するためのデジタルトリムコードを選択し得る。
【0031】
デジタルIC段100Dは、サーミスタ(NTC110)の温度-抵抗関係曲線を計算することができる、温度-抵抗(T/R)関係生成器194を更に含み得る。いくつかの実装形態では、温度-抵抗(T/R)関係生成器194は、サーミスタの温度-抵抗関係を計算するためにルックアップテーブル(LUT)(例えば、メモリ190に記憶されたLUT)を使用し得るか、又は使用され得る。LUTは、プルアップ抵抗の目標抵抗値と組み合わされた、サーミスタ(NTC110)の温度-抵抗関係曲線を表し得る。説明のために、図1Bは、サーミスタの温度(x軸)とサーミスタの抵抗に比例する電圧比(y軸)との間の関係をグラフ形式で示す。いくつかの実装形態では、LUTは、メモリ190に記憶され、比率モジュール182にアクセス可能にされ得る。
【0032】
例示的な実装形態では、T/R関係生成器194は、プログラム可能(例えば、プログラム可能LUT)であり得る。T/R関係生成器194は、典型的なサーミスタと、目標抵抗値(Rtarget)を有するオンチップ基準抵抗Rpull-up(例えば、プルアップ抵抗120)と、を含む理想的なシステムのために構成され得る。
【0033】
いくつかの実装形態では、Rtargetは、(上記の)アナログIC段100AでのVntc及びVpuの測定に使用される、プルアップ抵抗120の選択された抵抗値(SRpu)と同じ(又はほぼ同じ)であり得る。
【0034】
更に、デジタルIC段100Dでは、データ処理モジュール180は、NTC110の抵抗(Rntc)に基づいて、すなわち、アナログIC段100AのADC150から受信したVntc及びVpuのデジタルワード値(DW)の比率に基づいて、NTC110の外部温度(Tntc)を特定するためのアルゴリズムを含み得る。
【0035】
例示的な実装形態では、データ処理モジュール180は、例えば、アナログIC段100AのADC150から受信したVntc及びVpuの比率を計算するために、比率モジュール182でアルゴリズムを実施し得る。比率モジュール182は、例えば、以下の分圧器方程式に基づいて比率を計算することができる。
比率=Vntc/Vpu=V(NTC)/(V(NTC)+V(SRpu))
式中、V(NTC)は、(ピンAにおける)NTC110の電圧であり、V(SRpu)は、プルアップ抵抗120の選択された抵抗値(SRpu)を超えた(VREFの)電圧降下である。
【0036】
データ処理モジュール180は、例えば、補間器184でアルゴリズムを更に実施して、比率Vntc/Vpu(比率モジュール182によって計算)に対応するサーミスタ温度(Tntc)値を特定し得る。例示的な実装形態では、補間器184は、例えば、サーミスタ110の温度-抵抗関係を表すT/R関係生成器194(例えば、ルックアップテーブル(LUT))に連結され得る。T/R関係生成器194(例えば、メモリに記憶されたLUT)は、例えば、比率(Vntc/Vpu)の離散集合に対するサーミスタ温度値(Tntc)のリスト又はテーブルを含み得る。補間器184は、例えば、T/R関係生成器194での(Vntc/Vpu)の隣接する値の間のサーミスタ温度(Tntc)値の線形補間又は多項式補間によって、中間比率Vntc/Vpu(比率モジュール182によって計算)に対するサーミスタ温度(Tntc)の値を推定することができる。
【0037】
いくつかの例示的な実装形態では、補間器184は、数学関数F(比率Vntc/Vpu)=(Tntc)(図示せず)を使用して、比率Vntc/Vpu(比率モジュール182によって計算)に対応するサーミスタ温度(Tntc)値を計算することができる。数学関数Fは、例えば、図1Bに示す、サーミスタ110の温度-抵抗関係曲線に対応する多項式関数であり得る。
【0038】
比率Vntc/Vpuの補間された(又は計算された)サーミスタ温度(Tntc)は、外部環境10の外部温度を正確に表すことができる。IC100の構成要素(例えば、プルアップ抵抗120)のダイ間変動又は温度変動を考慮するために、更なる補正は不要なことがある。
【0039】
前述の実装形態では、プルアップ抵抗(例えば、プルアップ抵抗120)は、ADC150による測定のために所定の目標抵抗値(Rtarget)に対応する出力タブ122を選択することによって調整される。これにより、Rpuの変動に起因して、計算された比率の温度にわたる任意の曲率を補償する必要がなくなる。
【0040】
上記の実装形態では、プルアップ抵抗120の選択された抵抗値SRpuは、予想温度範囲にわたってADC150によって更に処理されるべきプルアップ電圧出力Vpuを有する出力タブの選択に対応し得る。高精度又は高分解能処理を可能にするADC150の入力範囲は、限定的であり得る。選択された抵抗値SRpuは、出力タブの電圧出力Vpu(及びサーミスタ電圧Vntc)が、高精度又は高分解能処理を可能にするADC150の入力範囲内であるように選択され得る。
【0041】
上記の実装形態では、電圧Vpu及びVntcをデジタル化するADC150は、高精度又は高分解能のデジタル化結果を得るために限定的な入力範囲を有し得る。指定されたADC入力範囲の5%未満及び95%超では、ADC精度は、例えば、小さな入力信号(例えば、Vntc)が、入力NTC電圧Vntcとは無関係の外部ノイズレベルに圧倒されることに起因して低下し得る。また、小さなNTC電圧の温度勾配は、温度に対する電圧変化がより小さいので、より小さいことがある。結果として、ADC150における小さな誤差は、より大きな温度読み出し誤差をもたらし得る。
【0042】
ADC150に対する分解能要求を低減する方法は、マルチプレクサ140によってADC150に印加される入力電圧(例えば、Vpu又はVntc)を増加又は最大化することである。いくつかの例示的な実装形態では、入力電圧(例えば、Vpu又はVntc)は、プルアップ抵抗120の選択された抵抗値SRpuに対応する、選択された出力タブ122の上に位置するプルアップ抵抗セグメントを短絡させることによって増加させることができる。分圧器回路では、そうでなければ、選択されていない抵抗(すなわち、選択された出力タブ122の上に位置する抵抗120内のプルアップ抵抗セグメント)にわたって降下するであろう電圧を短絡させることにより、NTC110(Vntc)及びプルアップ抵抗120の非短絡部分(SRpu、Vpu)にわたる追加の電圧降下として再配置又は再分配される。
【0043】
図2Aは、プルアップ抵抗(すなわち、抵抗120)の選択されていない抵抗セグメントを短絡させるように構成された、例示的な温度測定集積回路105を示す。
【0044】
集積回路105は、デジタルIC段(例えば、図1AのデジタルIC段100D)に連結されたアナログIC段(例えば、アナログIC段105A)を含み得る。アナログIC段105A(図1AのアナログIC段100Aと同様)は、分圧器測定のために(例えば、端子Aにおいて)NTC110に直列に接続される内部基準抵抗(例えば、プルアップ抵抗120)を含み得る。基準電圧(例えば、VREF-RPU)は、NTC110及びプルアップ抵抗120の直列組み合わせにわたって印加され得る。異なる基準電圧(例えば、VREF-ADC)が、Vntc及びVpuをデジタル化する、ADC150に印加される。
【0045】
例示的な実装形態では、(IC100内のような)IC105内の内部基準抵抗(例えば、プルアップ抵抗120)は、(図1AのデジタルIC段100Dから)マルチプレクサ130によって受信されたデジタル命令(例えば、デジタルトリムコード)に応答して、出力タブ122による電圧出力のために(例えば、抵抗値SRpuを用いて)選択され得る、複数の選択可能な抵抗セグメントを有するタブ付き抵抗であり得る。集積回路の例示的な実装形態では、マルチプレクサは、スライドスイッチをアクティブ化して、プルアップ抵抗の上部と選択された抵抗セグメントとの間でプルアップ抵抗セグメントを短絡させるように更に構成されている。
【0046】
図2Aに示すように、IC105内のプルアップ抵抗120は、出力タブ122によって選択可能である、抵抗120の一連の抵抗セグメントに並列に配置され得るスライドスイッチ(例えば、スイッチS1)を更に含み得る(又はそれに取り付けられ得る)。スイッチS1は、例えば、マルチプレクサ130によってアクティブ化されて、出力タブ122による出力のために選択されない抵抗セグメント(すなわち、プルアップ抵抗120の上の基準電圧端子TRよりも下、及び抵抗値SRpuを有する選択された抵抗セグメントよりも上の選択されていない抵抗セグメント)を短絡させ得るか、又はバイパスし得る。
【0047】
図2Bに示すように、短絡された抵抗セグメントは、Rbpassに等しい非短絡抵抗値を有し得、スイッチS1は、それ自体が内部抵抗Rswを有し得る。
【0048】
図2Bは、IC105(図2A)の分圧器回路装置に含まれる抵抗を表す図である。図2Bに見られるように、(NTC110の)抵抗RNTC、(プルアップ抵抗120の選択された部分の)抵抗Rpu、及び(プルアップ抵抗120の選択されていない部分の)抵抗Rbypassは、基準電圧(ADCref)と接地との間に直列に配置される。内部スイッチ抵抗Rswを備えるスイッチS1は、抵抗Rbypassに並列である。
【0049】
Rbypassを短絡させることの影響を評価するために、図2Bに示す基準電圧及び抵抗が以下の例示的な値、すなわち、基準電圧(ADCref)=1000mV、RNTC=100オーム、Rpu=1100オーム、Rbypass=1030オーム、及びRsw=20オームを有する例示的な場合について検討する。
【0050】
この例の場合、スイッチS1を開位置にしておくことによってRbypassがバイパスされないとき、Vntc=ADCrefRNTC/(Rpu+Rbypass+RNTC)は、約45mVに等しい。スイッチS1を閉じることによってRbypassが短絡又はバイパスされるとき、Vntc=ADCrefRNTC/(Rpu+(1/Rbypass+1/Rsw)-1+RNTC)は、約82mVに等しい。したがって、IC105内の抵抗120の選択されていない抵抗セグメントを短絡させることは、ADC150(図1A及び図2A)に入力されるVntcの値を、約45mVから約82mVへとほぼ2倍にする。このようにして(すなわち、プルアップ抵抗の選択されていないセグメントを短絡させることによって)、ADC150によって処理されるVntc電圧及びVpu電圧を最大化させるか、又は増加させることが可能であり得る。Vntc電圧及びVpu電圧は、許容可能な分解能又は精度のデジタル化結果を得るために、ADC150への入力電圧をADCの指定電圧入力範囲(ADC入力範囲)の5%~95%の帯域に保つように増加され得る。
【0051】
前述の実装形態では、ADCの指定電圧入力範囲に一致させるための抵抗値の温度範囲は、プルアップ抵抗(例えば、抵抗120)が負の抵抗温度係数を特徴とするときに、より大きい。図3は、例えば、1100オームの指定抵抗(例えば、室温25℃で指定)を有するプルアップ抵抗に一致させるための目標抵抗値の温度依存性のグラフ300を示す。2つのシナリオ、すなわち、(a)目標抵抗値がプルアップ抵抗の抵抗値の温度依存性変動とは無関係であり、それとともに変化しない、固定目標抵抗値シナリオ(3-1)、及び(2)目標抵抗値がプルアップ抵抗の抵抗値の温度依存性変動に一致するように選択され得る、可変目標抵抗値シナリオ(3-2)を示す。
【0052】
図3に示すように、プルアップ抵抗は、負のTCRを有し得(すなわち、温度が上昇すると、抵抗は減少する)、その抵抗は、約-50℃の低温での約1260オームから約200℃のより高温での約760オームへと低下する。シナリオ3-2用に前述の実装形態(図1A及び図2A)において選択された目標抵抗は、拡大された温度範囲(例えば、-50℃~200℃、0℃~100℃など)にわたってプル抵抗値の温度依存性変動に一致するように選択された値を有し得る。
【0053】
プルアップ抵抗は、より高い温度においてより低い抵抗値を有するので、より高い温度における(ピンAにおける)サーミスタ電圧Vntc(ただし、シナリオ3-2ではより低い目標抵抗値を有する)は、シナリオ3-1における)一定の目標抵抗(Rpu)値に対するVntcよりも高い値を有し得る。これにより、デジタル化結果において許容可能な分解能又は精度を得るために、NTC電圧VntcがADCの指定電圧入力範囲(以下、ADC入力範囲)の5%~95%の範囲内である、より広い温度範囲をもたらし得る。
【0054】
図4Aは、2つのシナリオ(すなわち、シナリオ3-1(固定目標抵抗)及びシナリオ3-2(温度依存性可変目標抵抗))における温度の関数としてVntcを示す、例示的なグラフ400を示す。図4Bは、図4Aの一部の分解図である。
【0055】
図4A及び図4Bの両方において、グラフ400は、シナリオ3-1(固定目標抵抗)及びシナリオ3-2(温度依存性可変目標抵抗)のVntc値を温度の関数として示す。示したVntc値は、ADC入力範囲に対して正規化されている。例えば、0と1との間の正規化値を有する比率=(Vntc/ADC入力範囲)は、図4A及び図4Bの両方において、x軸に示す温度に対して(例えば、図4Aでは、約-50℃~約180℃の温度に対して、図4Bでは、約135℃~180℃の温度に対して)y軸にプロットされる。許容可能な分解能又は精度を得るためのADCの指定電圧入力範囲(ADC入力範囲)の5%~95%の帯域は、y軸の正規化値0.05及び0.95によって示される。
【0056】
図4A及び図4Bに示すように、シナリオ3-1(固定目標抵抗)のVntc値は、許容可能な分解能又は精度を得るためのADC入力範囲の5%~95%の帯域外にある。具体的には、約155℃~約180℃の温度範囲において、シナリオ3-1のVntc値は、0.05未満の正規化値を有する(換言すると、ADC入力範囲の5%未満である)。Vntc値は、(例えば、図3を参照して上述したように、例えば、IC100及びIC105において)温度依存性可変目標抵抗を選択することによって増加させることができる。図4A及び図4Bは、シナリオ3-2(温度依存性可変目標抵抗)のVntc値を示しており、約155℃~約180℃の温度範囲のVntc値は、シナリオ3-1の値よりも増加している。具体的には、シナリオ3-2(温度依存性可変目標抵抗)では、約55℃~170℃の温度範囲のVntc値は、約0.05よりも大きい(換言すると、許容可能な分解能又は精度を得るためのADC入力範囲の5%よりも大きい)Vntcの正規化値を有するように十分増加する。
【0057】
図5は、外部環境(例えば、集積回路(IC)の外部)の温度を測定するための例示的な方法500を示す。
【0058】
例示的な実装態様では、方法500は、環境内に温度センサとしてサーミスタを配設すること(510)と、分圧器回路内でプルアップ抵抗をサーミスタに直列に接続すること(520)と、を含む。プルアップ抵抗は、集積回路又は半導体ダイ内に製造され得、選択可能な電圧出力タブに接続された一連の抵抗セグメントを含み得る。各抵抗セグメントは、製造時のプルアップ抵抗全体の抵抗よりも小さい抵抗値を有し得る。
【0059】
方法500は、プルアップ抵抗の製造時の抵抗値よりも小さいプルアップ抵抗の目標抵抗値に一致するように選択された抵抗値を有する、選択された抵抗セグメントの出力電圧タブを選択すること(530)と、サーミスタの電圧と分圧器回路内の選択した出力電圧タブの電圧との比率を計算すること(540)と、を更に含む。この比率は、サーミスタの抵抗に比例する。
【0060】
方法500は、プルアップ抵抗の目標抵抗値と組み合わせて、サーミスタの温度-抵抗関係に基づいて、計算した比率をサーミスタの温度値にマッピングすること(550)を更に含む。
【0061】
いくつかの例示的な実装形態では、方法500は、(目標抵抗値に一致するように選択された抵抗値を有する選択された抵抗セグメントの出力電圧タブを選択した(530)後に)プルアップ抵抗の上部と選択された抵抗セグメントとの間で抵抗セグメントを短絡させることを含み得る。例示的な実装形態では、方法500において、計算した比率をサーミスタの温度値にマッピングすること(550)は、プルアップ抵抗の目標抵抗値と組み合わせて、サーミスタの温度-抵抗関係を表すT/R関係生成器(例えば、ルックアップテーブル(LUT))において温度値を補間することを含み得る。
【0062】
例示的な実装形態では、方法500において、プルアップ抵抗の目標抵抗値に一致するように選択された抵抗値は、オンチップ温度センサによって測定された集積回路の温度に基づいて選択され得る。
【0063】
例示的な実装形態では、方法500において、出力電圧タブを選択すること(530)は、選択可能な電圧出力タブに接続されたマルチプレクサに、プルアップ抵抗の目標抵抗値に一致するように選択された抵抗値を有する、選択された抵抗セグメントの出力電圧タブを選択するように指示するデジタルトリムコードを生成することを含み得る。選択可能な電圧出力タブに接続されたマルチプレクサに指示するデジタルトリムコードを生成することは、少なくとも2つの異なる温度について、記憶されたトリムコードのリストからデジタルトリムコードを補間することを含み得る。集積回路の(記憶されたリスト内の少なくとも2つの異なる温度以外の)更に別の異なる温度におけるプルアップ抵抗の目標抵抗値のトリムコードは、メモリ内に記憶された集積回路の少なくとも2つの異なる温度のトリムコードのリストの補間によって得ることができる。
【0064】
例示的な実装形態では、集積回路は、アナログデジタル変換器(ADC)によってアナログ段に連結されたデジタル段を含む。デジタル段は、ADCによってデジタル化された電圧の比率を計算するように構成されたデータ処理モジュールを含み、この比率は、外部温度依存性抵抗の抵抗に比例する。
【0065】
例示的な実装形態では、データ処理モジュールは、プルアップ抵抗の目標抵抗値と組み合わせて、外部温度依存性抵抗の温度-抵抗関係に基づいて、計算した比率を外部温度依存性抵抗の温度にマッピングするように更に構成されている。
【0066】
例示的な実装形態では、集積回路は、プルアップ抵抗の目標抵抗値に一致する抵抗値を有する複数の抵抗セグメントのうちの少なくとも1つを選択するようにマルチプレクサに指示するデジタルトリムコードを生成するように構成されたトリムコード生成器を更に備える。
【0067】
例示的な実装形態では、プルアップ抵抗内の複数の抵抗セグメントのそれぞれは、電圧出力タブに接続され、トリムコード生成器は、プルアップ抵抗の目標抵抗値に一致する抵抗値を有する複数の抵抗セグメントのうちの少なくとも1つの電圧出力タブを選択するようにマルチプレクサに指示するデジタルトリムコードを生成するように構成されている。
【0068】
例示的な実装形態では、プルアップ抵抗の目標抵抗値に一致する抵抗値は、オンチップ温度センサによって測定された集積回路の温度に基づいて選択され、抵抗値は、ある温度範囲にわたる異なる温度においてプルアップ抵抗の異なる目標抵抗値に一致するように選択される。
【0069】
例示的な実装形態では、集積回路は、集積回路の少なくとも2つの異なる温度についてトリムコードのリストを記憶したメモリを更に備え、各トリムコードは、集積回路のそれぞれの温度におけるプルアップ抵抗の目標抵抗値を含み、トリムコード生成器は、メモリに記憶された集積回路の少なくとも2つの異なる温度について記憶されたトリムコードのリストを補間することによって、集積回路の別の異なる温度におけるプルアップ抵抗の目標抵抗値のトリムコードを生成するように構成されている。
【0070】
典型的な実装形態を明細書及び/又は図に開示してきた。本開示は、そのような例示的な実装形態に限定されない。例えば、低ドロップアウト電圧レギュレータは、線形電圧レギュレータの1つのタイプであるが、開示原理は、他のタイプの線形電圧レギュレータ回路で使用され得る。「及び/又は」という用語の使用は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを含む。図は概略図であり、したがって必ずしも縮尺通りではない。特に明記しない限り、特定の用語は一般的かつ説明的な意味で使用されており、限定の目的では使用されていない。
【0071】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載の方法及び材料と同様又は同等の方法及び材料は、本開示の実施又は試験に使用することができる。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、「the」は、文脈から別途明確に規定されない限り、複数の指示対象を含む。本明細書で使用される「含む」という用語及びその変形は、「含む」という用語及びその変形と同義的に使用され、オープンで非限定的な用語である。本明細書で使用される「任意選択的な」又は「任意選択的に」という用語は、その後に記載される特徴、事象、又は状況が生じてもよいし、また生じなくてもよいこと、並びにその説明が、当該特徴、事象、又は状況が生じる場合と、それが生じない場合とを含むことを意味する。範囲は、本明細書では、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表現され得る。そのような範囲が表現される場合、態様は、1つの特定の値から、及び/又は別の特定の値までを含む。同様に、値が先行詞「約」を使用して近似値として表される場合、特定の値が別の態様を形成することが理解されよう。各範囲の終点は、他方の終点に関して有意であり、また他方の終点とは無関係に有意であることが更に理解されるであろう。
【0072】
いくつかの実装形態は、様々な半導体処理及び/又はパッケージング技術を使用して実装され得る。いくつかの実装形態は、例えば、シリコン(Si)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)、及び/又はそれら等を含むが、それらに限定されない半導体基板に関連付けられた様々なタイプの半導体処理技術を使用して実装され得る。
【0073】
開示の実施に関するいくつかの特徴を、本明細書で記載されるとおりに説明したが、これから、当業者は、多くの変形形態、代替え、変更、及び、等価物を発見するであろう。それ故、添付の特許請求の範囲を、こうした修正や変更の全てを実装の範囲内に含めるよう網羅していることが、理解されよう。これらが、限定ではなく、単なる例示として提示されており、形態や細部に様々な変更がなされ得ることは、理解しているはずである。本明細書に記載の機器及び/又は方法の任意の部分は、相互に排他的な組み合わせを除き、任意の組み合わせで組み合わせることが可能である。本明細書で述べる種々の機器は、記載の様々な機器の機能、構成要素及び/又は特徴の様々な組み合わせ及び/又は部分組み合わせを含み得る。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
【外国語明細書】