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特開2023-143873ミラベグロン含有徐放性錠剤及びその製造方法、並びにミラベグロン含有徐放性錠剤の変色・膨張抑制方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143873
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】ミラベグロン含有徐放性錠剤及びその製造方法、並びにミラベグロン含有徐放性錠剤の変色・膨張抑制方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/426 20060101AFI20230928BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230928BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20230928BHJP
   A61K 9/30 20060101ALI20230928BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20230928BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20230928BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20230928BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20230928BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20230928BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230928BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20230928BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230928BHJP
   A61P 13/10 20060101ALN20230928BHJP
   A61K 9/36 20060101ALN20230928BHJP
【FI】
A61K31/426
A61K9/20
A61K47/10
A61K9/30
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/04
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/14
A61K47/18
A61K47/02
A61P13/10
A61K9/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047671
(22)【出願日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2022049559
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592073695
【氏名又は名称】日医工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 貴大
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076DD23
4C076DD26
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD47
4C076DD51
4C076EE06
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE30
4C076EE32
4C076EE38
4C076FF31
4C076FF36
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC82
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086NA12
4C086ZA81
(57)【要約】
【課題】変色及び/又は膨張を抑制した、ミラベグロン含有徐放性錠剤及びその製造方法を提供する。また、ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩を含む徐放性錠剤の変色及び/又は膨張を抑制する方法を提供する。
【解決手段】本発明のミラベグロン含有徐放性錠剤は、ミラベグロン若しくはその薬学的に許容される塩、ポリエチレンオキシド及び親水性添加剤を含有し、但し親水性添加剤としてポリエチレングリコールを実質的に含まない錠剤である。本発明のミラベグロン含有徐放性錠剤は、ポリエチレングリコールを実質的に含まないことから、変色及び/又は膨張を抑制された錠剤である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩、ポリエチレンオキシド及び親水性添加剤を含み、かつ、親水性添加剤としてポリエチレングリコールを実質的に含まない、徐放性錠剤であって、
前記徐放性錠剤は、素錠、フィルムコーティング錠又は有核錠であり、
ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩、ポリエチレンオキシド及び親水性添加剤は、同じ層に含まれ、
前記親水性添加剤が、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、コポリピドン、カルメロース、無水リン酸水素Ca、キサンタンガム、エリスリトール、フマル酸ステアリルNa、L-グルタミン酸、L-アルギニン、トウモロコシデンプン、デキストリン及び塩化ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つであり、並びに
前記親水性添加剤の含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、10重量%~85重量%である
徐放性錠剤。
【請求項2】
親水性添加剤の含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、20重量%~75重量%である、請求項1に記載の徐放性錠剤。
【請求項3】
親水性添加剤の含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、35重量%~65重量%である、請求項2に記載の徐放性錠剤。
【請求項4】
ポリエチレンオキシドの含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、5重量%~85重量%である、請求項1に記載の徐放性錠剤。
【請求項5】
親水性添加剤とポリエチレンオキシドとの重量比が、1:10~10:1である、請求項1又は4に記載の徐放性錠剤。
【請求項6】
ミラベグロンがα型結晶である、請求項1又は4に記載の徐放性錠剤。
【請求項7】
乾燥剤とともに包装されている、請求項1又は4に記載の徐放性錠剤。
【請求項8】
乾燥剤が、塩化カルシウム、シリカゲル、シリカ・アルミナゲル、ゼオライト、酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び活性炭からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項7に記載の徐放性錠剤。
【請求項9】
ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩、ポリエチレンオキシド、親水性添加剤を混合するステップ、及び、任意に、結合剤、抗酸化剤及び/又は滑沢剤を添加し、さらに混合するステップ、
得られた混合物を打錠するステップ、
任意に、得られた打錠物をフィルムコーティングするステップ
を含む、ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩の徐放性錠剤の製造方法であって、
前記親水性添加剤が、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、コポリピドン、カルメロース、無水リン酸水素Ca、キサンタンガム、エリスリトール、フマル酸ステアリルNa、L-グルタミン酸、L-アルギニン、トウモロコシデンプン、デキストリン及び塩化ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つであり、
前記親水性添加剤の含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、10重量%~85重量%であり、
前記徐放性錠剤が、親水性添加剤としてポリエチレングリコールを実質的に含まないことを特徴とする、製造方法。
【請求項10】
親水性添加剤の含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、20重量%~75重量%である、請求項9に記載の製造方法。
【請求項11】
ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩、ポリエチレンオキシド及び親水性添加剤を含む徐放性錠剤の変色及び/又は膨張を抑制する方法であって、
前記徐放性錠剤は、素錠、フィルムコーティング錠又は有核錠であり、
ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩、ポリエチレンオキシド及び親水性添加剤は、同じ層に含まれ、
前記親水性添加剤が、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、コポリピドン、カルメロース、無水リン酸水素Ca、キサンタンガム、エリスリトール、フマル酸ステアリルNa、L-グルタミン酸、L-アルギニン、トウモロコシデンプン、デキストリン及び塩化ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つであり、
前記親水性添加剤の含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、10重量%~85重量%であり、並びに
前記徐放性錠剤が、親水性添加剤としてポリエチレングリコールを実質的に含まないことを特徴とする、変色及び/又は膨張を抑制する方法。
【請求項12】
ミラベグロンがα型結晶である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記徐放性錠剤を、さらに乾燥剤とともに包装する、請求項11又は12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変色及び/又は膨張を抑制した、ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩を含む徐放性錠剤及びその製造方法に関する。詳細には、ミラベグロンの放出を制御するためのハイドロゲル形成高分子物質としてポリエチレンオキシドを含む一方、ゲル化促進のための親水性添加剤としてポリエチレングリコールを実質的に含まないことを特徴とするミラベグロン含有徐放性錠剤及びその製造方法に関する。また、本発明は、ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩を含む徐放性錠剤の変色及び/又は膨張を抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミラベグロン(化学名:2-(2-アミノ-1,3-チアゾール-4-イル)-N-[4-(2-{[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ}エチル)フェニル]アセタミド)は、以下の式:
【0003】
【化1】
で表される選択的βアドレナリン受容体作動薬であり、過活動膀胱治療剤として、「ベタニス(登録商標)錠25mg」及び「ベタニス(登録商標)錠50mg」の名称で販売されている(非特許文献1)。
【0004】
ミラベグロンは、食事の影響により薬物動態が変動することが報告されており、種々の添加物を用いて薬物放出を制御することにより、薬物動態の変動を低減できることが知られている(特許文献1、特許文献2)。特許文献1には、「(1)ミラベグロン、(2)製剤内部に水を浸入させるための添加剤、及び(3)ハイドロゲルを形成する高分子物質、を含有する放出制御医薬組成物」が開示されており、(2)の製剤内部に水を浸入させるための添加剤としてポリエチレングリコールが(請求項2等)、ハイドロゲルを形成する高分子物質としてポリエチレンオキシド(請求項6等)が具体的に挙げられている。
【0005】
食事の影響による薬物動態の変動を最小限に抑えた特定の溶出プロファイルを担保したミラベグロン含有徐放性製剤を設計するためには、用いられる添加物の選択の範囲が限られたものとなっているが、より安定性に優れた錠剤を得るために、更なる改善が望まれていた。特に、錠剤の変色及び/又は膨張等の外観変化は、医薬品の規格の逸脱に繋がるため、外観変化が生じない安定性の高い錠剤が求められていた。とりわけ、錠剤の膨張は、錠剤フィルムコートのひび割れ、錠剤自動分包機への適応性消失、PTP包装におけるアルミ箔の破損、服用への悪影響等を引き起こすため、苛酷な外部環境でも膨張しない錠剤が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2010/038690号
【特許文献2】国際公開第2011/122523号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】医薬品インタビューフォーム ベタニス錠25mg ベタニス錠50mg 2021年10月改訂(第16版)
【発明の概要】
【0008】
本発明は、安定性に優れた、特に変色及び/又は膨張を抑制した、ミラベグロン含有徐放性錠剤の提供を目的とする。
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、市販のミラベグロン含有徐放性錠剤であるベタニス錠において、製剤内部に水を浸入させるための添加剤として用いられているポリエチレングリコールが、変色及び膨張の一因であること、及びポリエチレングリコールに代わる特定の親水性添加剤を用いることで、錠剤の変色及び/又は膨張が抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
【0011】
[1]
ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩、ポリエチレンオキシド及び親水性添加剤を含み、かつ、親水性添加剤としてポリエチレングリコールを実質的に含まない、徐放性錠剤であって、
前記徐放性錠剤は、素錠、フィルムコーティング錠又は有核錠であり、
ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩、ポリエチレンオキシド及び親水性添加剤は、同じ層に含まれ、
前記親水性添加剤が、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、コポリピドン、カルメロース、無水リン酸水素Ca、キサンタンガム、エリスリトール、フマル酸ステアリルNa、L-グルタミン酸、L-アルギニン、トウモロコシデンプン、デキストリン及び塩化ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つであり、並びに
前記親水性添加剤の含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、10重量%~85重量%である
徐放性錠剤。
[2]
親水性添加剤の含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、20重量%~75重量%である、[1]に記載の徐放性錠剤。
[3]
親水性添加剤の含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、35重量%~65重量%である、[2]に記載の徐放性錠剤。
[4]
ポリエチレンオキシドの含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、5重量%~85重量%である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の徐放性錠剤。
[5]
親水性添加剤とポリエチレンオキシドとの重量比が、1:10~10:1である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の徐放性錠剤。
[6]
ミラベグロンがα型結晶である、[1]~[5]のいずれか1つに記載の徐放性錠剤。
[7]
乾燥剤とともに包装されている、[1]~[6]のいずれか1つに記載の徐放性錠剤。
[8]
乾燥剤が、塩化カルシウム、シリカゲル、シリカ・アルミナゲル、ゼオライト、酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び活性炭からなる群から選択される少なくとも1つである、[7]に記載の徐放性錠剤。
[9]
ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩、ポリエチレンオキシド、親水性添加剤を混合するステップ、及び、任意に、結合剤、抗酸化剤及び/又は滑沢剤を添加し、さらに混合するステップ、
得られた混合物を打錠するステップ、
任意に、得られた打錠物をフィルムコーティングするステップ
を含む、ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩の徐放性錠剤の製造方法であって、
前記親水性添加剤が、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、コポリピドン、カルメロース、無水リン酸水素Ca、キサンタンガム、エリスリトール、フマル酸ステアリルNa、L-グルタミン酸、L-アルギニン、トウモロコシデンプン、デキストリン及び塩化ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つであり、
前記親水性添加剤の含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、10重量%~85重量%であり、
前記徐放性錠剤が、親水性添加剤としてポリエチレングリコールを実質的に含まないことを特徴とする、製造方法。
[10]
親水性添加剤の含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、20重量%~75重量%である、[9]に記載の製造方法。
[11]
ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩、ポリエチレンオキシド及び親水性添加剤を含む徐放性錠剤の変色及び/又は膨張を抑制する方法であって、
前記徐放性錠剤は、素錠、フィルムコーティング錠又は有核錠であり、
ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩、ポリエチレンオキシド及び親水性添加剤は、同じ層に含まれ、
前記親水性添加剤が、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、コポリピドン、カルメロース、無水リン酸水素Ca、キサンタンガム、エリスリトール、フマル酸ステアリルNa、L-グルタミン酸、L-アルギニン、トウモロコシデンプン、デキストリン及び塩化ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つであり、
前記親水性添加剤の含有量が、徐放性錠剤の総重量に対して、10重量%~85重量%であり、並びに
前記徐放性錠剤が、親水性添加剤としてポリエチレングリコールを実質的に含まないことを特徴とする、変色及び/又は膨張を抑制する方法。
[12]
ミラベグロンがα型結晶である、[11]に記載の方法。
[13]
前記徐放性錠剤を、さらに乾燥剤とともに包装する、[11]又は[12]に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】比較例1及び実施例1~3の処方を、60℃(乾燥剤なし又は乾燥剤あり)で1週間保存した後の外観を示す写真である。
図2】実施例9、16、18、19、20、21及び24、並びに比較例1及び5の処方の溶出試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0014】
「徐放性錠剤」とは、食事の影響による薬物動態の変動を低減するために、ミラベグロンの放出をコントロールした錠剤であり、具体的には、ポリエチレンオキシド、及び該ポリエチレンオキシドのゲル化を促進するための親水性添加剤を組み合わせた錠剤である。本発明の「徐放性錠剤」は、「素錠」、「素錠の表面がフィルムコーティング層で被覆されたフィルムコーティング錠」又は「核錠と外被とからなる有核錠」であり、好ましくは、フィルムコーティング錠である。ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩、ポリエチレンオキシド及び親水性添加剤は、同一の核錠層に含まれる。これらの成分を同一の層に含ませるには、これらを一緒に混合し、打錠することで1つの層を形成できる。
【0015】
「親水性添加剤」とは、ポリエチレンオキシドのゲル化を促進するために、錠剤内部に速やかに水を浸入させるための添加剤を意味する。本発明の態様において、親水性添加剤は、ミラベグロンの徐放性を担保するために、ミラベグロン及びポリエチレンオキシドと同じ層に含ませる必要がある。
【0016】
「変色及び/又は膨張を抑制する」とは、錠剤の保存期間に渡って、温度、湿度等に対して安定であり、錠剤の変色及び/又は膨張の程度を低減できることを意味する。より詳しくは、本発明において「変色を抑制する」とは、CIE-Lab表色系にしたがって測定された錠剤の保存開始前と保存終了後の色差(ΔEab)が、7以下、好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下であることをいう。また、「膨張を抑制する」とは、保存開始前と保存終了後の錠厚の増加が、0.5mm以下、好ましくは0.3mm以下、さらに好ましくは0.1mm以下であることをいう。
【0017】
本発明の徐放性錠剤の有効成分である、ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩は、例えば、国際公開第99/20607号に記載の方法、或いはそれに準じた方法により製造できる。
【0018】
ミラベグロンは塩を形成しないフリー体の態様以外に、酸と薬学的に許容される塩を形成しうる。薬学的に許容される塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等との無機酸塩、或いは、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、グルタミン酸等との有機酸塩を挙げることができる。本発明に用いるミラベグロンは、水和物等の溶媒和物でもよく、また、非晶質、α型結晶、β型結晶等の結晶でもよく、好ましくはα型結晶である。α型結晶、β型結晶については、国際公開第2003/037881号に報告されているとおりである。
【0019】
本発明に用いられる、ポリエチレンオキシド(以下、「PEO」ともいう。)は、ハイドロゲルを形成する高分子物質であり、薬物の血中濃度プロファイルが食物摂取の有無の影響を受けない程度に、ミラベグロンの放出速度をコントロールし得るものであれば、特に制限されない。ポリエチレンオキシドの分子量は、10万以上、好ましくは、10万~700万、より好ましくは、10万~500万、特に好ましくは、10万~200万である。ポリエチレンオキシドの粘度は、12mPa・s以上、好ましくは、12~10000mPa・s、より好ましくは、12~7500mPa・s、特に好ましくは、12~4000mPa・sである。ポリエチレンオキシドの含有量は、ミラベグロンの放出を食事の影響を受けない程度にコントロールし得る量であれば特に制限されないが、例えば、錠剤の総重量に対して、5重量%~85重量%、好ましくは、20重量%~75重量%、特に好ましくは、35重量%~65重量%である。
【0020】
本発明に用いられる、ポリエチレンオキシドとしては、例えば、商品名:Polyox WSR-N-12K(DOW製/平均分子量:100万、粘度:400-800mPa・s(25℃/2%水溶液))、商品名:Polyox WSR-308(DOW製/平均分子量:800万、粘度:10000-15000mPa・s(25℃/1%水溶液))、商品名:Polyox WSR-303(DOW製/平均分子量:700万、粘度:7500-10000mPa・s(25℃/1%水溶液))、商品名:Polyox Coagulant(DOW製/平均分子量:500万、粘度:5500-7500mPa・s(25℃/1%水溶液))、商品名:Polyox WSR-301(DOW製/平均分子量:400万、粘度:1650-5500mPa・s(25℃/1%水溶液))、商品名:Polyox WSR-N-60K(DOW製/平均分子量:200万、粘度:2000-4000mPa・s(25℃/2%水溶液))、商品名:Polyox WSR-1105(DOW製/平均分子量:90万、粘度:8800-17600mPa・s(25℃/5%水溶液))、商品名:Polyox WSR-205(DOW製/平均分子量:60万、粘度:4500-8800mPa・s(25℃/5%水溶液))、商品名:Polyox WSR-N-750(DOW製/平均分子量:30万、粘度:600-1200mPa・s(25℃/5%水溶液))、商品名:Polyox WSR-N-80(DOW製/平均分子量:20万、粘度:55-90mPa・s(25℃/5%水溶液))、商品名:Polyox WSR-N-10(DOW製/平均分子量:10万、粘度:12-50mPa・s(25℃/5%水溶液))等が挙げられる。
【0021】
本発明の徐放性錠剤は、徐放性錠剤の内部に水を浸入させるための親水性添加剤を含む。実施例に示されるとおり、市販製剤に使用されているポリエチレングリコール(以下、「PEG」ともいう。)を含む処方(比較例1)は、高温条件下(60℃)1週間保存で、錠剤の変色及び膨張を認めた。よって、本発明は、親水性添加剤として、ポリエチレングリコールを実質的に含まないことを特徴とする。本発明において、「ポリエチレングリコールを実質的に含まない」とは、最大でも5重量%未満、好ましくは、最大でも3重量%未満、より好ましくは、最大でも1重量%未満のポリエチレングリコールを含むことを意味し、特に好ましくは、ポリエチレングリコールの含量が0重量%であることをいう。ポリエチレングリコールは、ポリエチレンオキシドと同じくエチレングリコールが重合した構造を有するが、分子量が約400~約2万の範囲の高分子物質である。
【0022】
本発明では、ポリエチレングリコールに代わる親水性添加剤として、水溶性高分子である、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、コポリピドン;或いは、カルメロース、無水リン酸水素Ca、エリスリトール、フマル酸ステアリルNa、L-グルタミン酸、L-アルギニン、トウモロコシデンプン、デキストリン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、塩化ナトリウム等から選択される1つ以上の親水性添加剤が用いられる。好ましくは、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、コポリピドン、カルメロース、無水リン酸水素Ca、キサンタンガム、エリスリトール、フマル酸ステアリルNa、L-グルタミン酸、L-アルギニン、トウモロコシデンプン、デキストリン及び塩化ナトリウムから選択される1つ以上の親水性添加剤である。
親水性添加剤は、ポリエチレンオキシドのゲル化を補助・促進するためのものであり、錠剤に水を速やかに侵入させるための物性を有するが、必ずしも水溶性である必要はない。これらの親水性添加剤は、1つ又は2つ以上を適宜組合せて使用できる。
親水性添加剤の含有量は、ミラベグロンの放出を食事の影響を受けない程度にコントロールし得る量であれば特に制限されないが、例えば、錠剤の総重量に対して、10重量%~85重量%、好ましくは、20重量%~75重量%、特に好ましくは、35重量%~65重量%である。また、親水性添加剤とポリエチレンオキシドとの重量比は、例えば、1:10~10:1、好ましくは、1:7~7:1、特に好ましくは、1:5~5:1である。
【0023】
本発明に用いられる、ヒプロメロース(以下、「HPMC」ともいう。)の粘度は、ポリエチレンオキサイドのゲル化を補助・促進し得る粘度であれば特に制限されないが、例えば、20℃における2%水溶液粘度が3mPa・s~100000mPa・s、好ましくは、3mPa・s~15000mPa・s、より好ましくは、3mPa・s~15mPa・s、特に好ましくは、3mPa・s~4.5mPa・sである。
【0024】
本発明に用いられる、ヒプロメロースとしては、例えば、商品名:メトローズ90SH-15000SR(信越化学工業(株)製/粘度:約15000mPa・s(20℃/2%水溶液))、商品名:メトローズ90SH-4000SR(信越化学工業(株)製/粘度:約4000mPa・s(20℃/2%水溶液))、商品名:メトローズ90SH-100SR(信越化学工業(株)製/粘度:約100mPa・s(20℃/2%水溶液))、商品名:TC-5S(信越化学工業(株)製/粘度:約15mPa・s(20℃/2%水溶液))、商品名:TC-5R(信越化学工業(株)製/粘度:約6mPa・s(20℃/2%水溶液))、商品名:TC-5M(信越化学工業(株)製/粘度:約4.5mPa・s(20℃/2%水溶液))、商品名:TC-5E(信越化学工業(株)製/粘度:約3mPa・s(20℃/2%水溶液))等が挙げられる。
【0025】
本発明に用いられる、ヒドロキシプロピルセルロース(以下、「HPC」ともいう。)の粘度は、ポリエチレンオキサイドのゲル化を補助・促進し得る粘度であれば特に制限されないが、例えば、20℃における2%水溶液粘度が2mPa・s~6000mPa・s、好ましくは、2mPa・s~4000mPa・s、より好ましくは、2mPa・s~400mPa・s、特に好ましくは、2.0mPa・s~10.0mPa・sである。
【0026】
本発明に用いられる、ヒドロキシプロピルセルロースとしては、例えば、商品名:HPC-VH(日本曹達(株)製/粘度:4001-6000mPa・s(20℃/2%水溶液)、商品名:HPC-H(日本曹達(株)製/粘度:1000-4000mPa・s(20℃/2%水溶液)、商品名:HPC-M(日本曹達(株)製/粘度:150-400mPa・s(20℃/2%水溶液)、商品名:HPC-L(日本曹達(株)製/粘度:6.0-10.0mPa・s(20℃/2%水溶液)、商品名:HPC-SL(日本曹達(株)製/粘度:3.0-5.9mPa・s(20℃/2%水溶液)、商品名:HPC-SSL(日本曹達(株)製/粘度:2.0-2.9mPa・s(20℃/2%水溶液)等が挙げられる。
【0027】
本発明に用いられる、カルメロースナトリウム(以下、「CMCNa」ともいう。)としては、例えば、商品名:CMCダイセル1170(ダイセルミライズ製/1%粘度:500-800mPa・s(25℃))、商品名:CMCダイセル1140(ダイセルミライズ製/1%粘度:100-200mPa・s(25℃))、商品名:CMCダイセル1150(ダイセルミライズ製/1%粘度:200-300mPa・s(25℃))、商品名:CMCダイセル1270(ダイセルミライズ製/1%粘度:200-300mPa・s(25℃))等が挙げられる。
【0028】
本発明の徐放性錠剤には、本発明の効果を達成できる範囲で所望により、各種医薬品添加物が適宜使用され、錠剤化することができる。該医薬品添加物としては、薬学的に許容されるものであれば特に制限されず、例えば、結合剤、抗酸化剤、滑沢剤、安定化剤等を挙げることができる。
【0029】
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、部分α化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルピロリドン、カルメロースナトリウム等を挙げることができる。好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロースである、これらの結合剤は、1つ又は2つ以上組合せて適宜適量添加することができる。結合剤の含有量は、錠剤の総重量に対して、0.5重量%~5重量%、好ましくは、1重量%~3重量%である。
【0030】
抗酸化剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸等が挙げられる。好ましくは、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)である。これらの抗酸化剤は、1つ又は2つ以上組合せて適宜適量添加することができる。抗酸化剤の含有量は、錠剤の総重量に対して、0.01重量%~10重量%である。
【0031】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、硬化油、カルナウバロウ、ショ糖脂肪酸エステル等を挙げることができる。これらの滑沢剤は、1つ又は2つ以上組合せて適宜適量添加することができる。滑沢剤の含有量は、錠剤の総重量に対して、0.1重量%~10重量%である。
【0032】
安定化剤としては、例えば、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、酸化チタン等が挙げられる。これらの安定化剤は、1つ又は2つ以上組合せて適宜適量添加することができる。安定化剤の含有量は、錠剤の総重量に対して、0.01重量%~5重量%である。
【0033】
本発明のフィルムコーティング錠に用いるコーティング剤は、例えば、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、タルク、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄等が挙げられる。フィルムコーティング剤は、1つ又は2つ以上組み合わせて適宜適量添加することができる。コーティング率は、フィルムを形成する率であれば特に制限されない。例えば、錠剤の総重量に対して、2重量%~10重量%である。
【0034】
本発明の徐放性錠剤は、乾燥剤とともに包装することで、より効果的に、変色及び/又は膨張を抑制することができる。本発明に用いられる乾燥剤としては、シリカゲル、シリカ・アルミナゲル(アロフェン)、天然ゼオライト、合成ゼオライト、塩化カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、活性炭等を用いることができる。本発明の徐放性錠剤を乾燥剤とともに包装する方法としては、PTP包装或いはSP包装した徐放性錠剤を、乾燥剤とともにさらにピロー包装する方法、乾燥剤を容器(袋、瓶、ポリエチレンボトル等)内に配置、又は蓋の裏側に格納するとともに、徐放性錠剤を容器内に格納する方法等がある。
【0035】
ミラベグロン含有徐放性錠剤の製造方法
本発明のミラベグロン含有徐放性錠剤の製造方法を説明する。本発明の製造方法は、例えば、粉砕、混合、造粒、乾燥、成形(打錠)、フィルムコーティング等の工程を含む公知の方法により製造可能できる。
【0036】
<粉砕・混合工程>
粉砕・混合工程は、ミラベグロン、ポリエチレンオキシド、親水性添加剤及び適当な医薬品添加物を通常製薬学的に粉砕・混合できる方法であれば、装置、手段とも特に制限されないが、粉砕装置として、例えば、ハンマーミル、ファインインパクトミル、ジェットミル、パワーミル等が挙げられる。混合装置として、例えば、V型混合機、W型混合機、ドラム型混合機、リボン混合器、円錐スクリュー型混合機等が挙げられる。
本発明では、親水性添加剤として、水溶性高分子である、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、コポリピドン;或いは、カルメロース、無水リン酸水素Ca、エリスリトール、フマル酸ステアリルNa、L-グルタミン酸、L-アルギニン、トウモロコシデンプン、デキストリン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、塩化ナトリウム等から選択される1つ以上の親水性添加剤が用いられる。好ましくは、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、コポリピドン、カルメロース、無水リン酸水素Ca、キサンタンガム、エリスリトール、フマル酸ステアリルNa、L-グルタミン酸、L-アルギニン、トウモロコシデンプン、デキストリン及び塩化ナトリウムから選択される1つ以上の親水性添加剤である。本発明では、親水性添加剤として、ポリエチレングリコールを実質的に含まない。
【0037】
<造粒工程>
造粒工程としては、ミラベグロン、ポリエチレンオキシド、親水性添加剤及び適当な医薬品添加物等を造粒できる方法であれば、装置、手段とも特に制限されないが、造粒方法として、例えば、流動層造粒法、攪拌造粒法、高速攪拌造粒法、押し出し造粒法、乾式造粒法等が挙げられる。
【0038】
<乾燥工程>
乾燥方法としては、通常、薬学的に乾燥できる方法であれば特に制限されないが、装置としては、例えば、通風乾燥機、流動層造粒機等が挙げられる。乾燥後に篩、コーミルなどで篩過、整粒してもよい。
【0039】
<成形工程>
成形工程としては、本発明のミラベグロン含有徐放性錠剤を成形する方法であれば、装置、手段とも特に制限されないが、例えば、造粒・乾燥工程を行わず、混合後に直接圧縮成形し錠剤を製する方法、薬物、ポリエチレンオキシド、親水性添加剤及び適当な医薬品添加物等を造粒した後に打錠する方法等が挙げられる。打錠装置としては、例えば、ロータリー式打錠機、単発式打錠機等が挙げられる。
【0040】
<フィルムコーティング工程>
打錠後に錠剤表面にフィルムコーティングを施してもよい。方法としては、通常、薬学的にコーティングする方法であれば特に制限されないが、例えば、パンコーティング等が挙げられる。フィルムコーティングに用いられるコーティング剤としては、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、タルク、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄等が挙げられる。フィルムコーティング剤は、1つ又は2つ以上組み合わせて適宜適量添加することができる。コーティング率は、フィルムを形成する率であれば特に制限されない。例えば、錠剤の総重量に対して、2重量%~10重量%である。
【0041】
用法
ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩の投与量は、症状、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定されるが、通常経口投与の場合成人1日あたり25mg~50mgであり、これを1回で投与する。
ミラベグロン又はその薬学的に許容される塩の含有量は、例えば、錠剤の総重量に対して、5重量%~50重量%である。
【実施例0042】
以下に、実施例、比較例及び試験例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定解釈されるものではない。
【0043】
<実施例1>
ミラベグロン(β型結晶)2g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)3.9g、ヒプロメロース(METOLOSE 90SH-15000SR,信越化学製)3.9gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S、日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200、市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0044】
<実施例2>
ミラベグロン(β型結晶)2g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)3.9g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-VH FP,日本曹達製)3.9gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S、日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200、市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0045】
<実施例3>
ミラベグロン(β型結晶)2g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)3.9g、カルメロースナトリウム(CMCダイセル 1170,ダイセル製)を3.9g混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S、日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200、市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0046】
<比較例1>
ミラベグロン(β型結晶)2g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)3.9g、ポリエチレングリコール(マクロゴール6000P,日油製)3.9gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S、日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200、市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mg又は250mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0047】
実施例1~3及び比較例1にしたがって製造した処方を、表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
<安定性試験結果>
実施例1~3及び比較例1の錠剤を、熱苛酷条件(60℃で1週間、60℃で2週間、または40℃で1.5か月)で保存した結果を、表2及び表3に示す。
[色差試験]
安定性試験開始前及び開始後の錠剤の色(L、a、b)を、色差計(CM―5、コニカミノルタ社製)を用いて測定し、その差の絶対値(ΔL、Δa、Δb)から保存前後の色差(ΔEab)を下記式により算出した。
【0050】
【数1】
[錠厚増加試験]
安定性試験開始前及び開始後の各処方の錠厚を測定し、その差を算出した。
【0051】
【表2】
【0052】
表2に示すとおり、60℃で保存した場合、親水性添加剤として、ヒプロメロース(実施例1)、ヒドロキシプロピルセルロース(実施例2)、カルメロースナトリウム(実施例3)を用いた処方は、ポリエチレングリコール(比較例1)を使用した処方と比較して、変色が抑制されることが確認された。また、何れの親水性添加剤を用いた場合でも、乾燥剤とともに保存することで、より変色が抑制されることが確認された。
【0053】
【表3】
【0054】
表3に示すとおり、60℃で保存した場合、親水性添加剤として、ヒプロメロース(実施例1)、ヒドロキシプロピルセルロース(実施例2)、カルメロースナトリウム(実施例3)を用いた処方は、ポリエチレングリコール(比較例1)を使用した処方と比較して、膨張が抑制されることが確認された。40℃で保存した場合も、比較例1よりも実施例1~3で膨張がわずかに抑制された。また、何れの実施例でも、乾燥剤とともに保存することで、錠剤の膨張が抑制されることが確認された。
【0055】
<実施例4>
実施例1において、ポリエチレンオキシドを1.3g、ヒプロメロースを6.5g用いた以外は同様の方法により、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0056】
<実施例5>
実施例1において、ポリエチレンオキシドを6.5g、ヒプロメロースを1.3g用いた以外は同様の方法により、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0057】
<比較例2>
比較例1において、ポリエチレンオキシドを1.3g、ポリエチレングリコールを6.5g用いた以外は同様の方法により、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0058】
<比較例3>
比較例1において、ポリエチレンオキシドを6.5g、ポリエチレングリコールを1.3g用いた以外は同様の方法により、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0059】
実施例1、4~5及び比較例1~3にしたがって製造した処方を、表4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】
<安定性試験結果>
実施例1、4~5及び比較例1~3の錠剤を、60℃で2週間保存した結果を、表5及び表6に示す。
【0062】
【表5】
【0063】
表5に示すとおり、乾燥剤の有無にかかわらず、ヒプロメロース(実施例1、4~5)を用いた処方は、ポリエチレングリコール(比較例1~3)を用いた処方と比較して、色差が小さく、変色が抑制されていることが確認された。また、ヒプロメロース(実施例1、4~5)、ポリエチレングリコール(比較例1~3)とも、配合量の増加に伴い色差が増大した。さらに、乾燥剤とともに保存することで、より変色が抑制されることが確認された。よって、親水性添加剤として、ポリエチレングリコールの代わりにヒプロメロースを用い、その含有量を調整すること、さらに乾燥剤とともに保存することでより変色が低減できることが示唆された。
【0064】
【表6】
【0065】
表6に示すとおり、乾燥剤の有無にかかわらず、ヒプロメロース(実施例1、4~5)を用いた処方は、ポリエチレングリコール(比較例1~3)を用いた処方と比較して、錠厚の増加の程度が小さかった。また、ヒプロメロース(実施例1、4~5)、ポリエチレングリコール(比較例1~3)とも、乾燥剤とともに保存することで、錠剤の膨張がより抑制されることが確認された。よって、親水性添加剤として、ポリエチレングリコールの代わりにヒプロメロースを用い、乾燥剤とともに保存することで、錠剤の膨張がより低減できることが示唆された。
【0066】
<実施例6>
ミラベグロン(β型結晶)2g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)3.9g、カルメロース(NS-300,五徳薬品製)3.9gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S、日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200、市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0067】
<実施例7>
カルメロース3.9gを、無水リン酸水素Ca(GS,協和化学工業製)3.9gに代えた以外は、実施例4と同様の方法により、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0068】
<実施例8>
カルメロース3.9gを、キサンタンガム(エコーガム,DSP五協フード&ケミカル製)3.9gに代えた以外は、実施例4と同様の方法により、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0069】
<実施例9>
カルメロース3.9gを、エリスリトール(エリスリトール 100M,物産フードサイエンス製)3.9gに代えた以外は、実施例4と同様の方法により、1錠あたり150mg又は250mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0070】
<実施例10>
カルメロース3.9gを、フマル酸ステアリルNa(PRUV,JRS Pharma製)3.9gに代えた以外は、実施例4と同様の方法により、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0071】
<実施例11>
カルメロース3.9gを、L-グルタミン酸(L-グルタミン酸、味の素製)3.9gに代えた以外は、実施例4と同様の方法により、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0072】
<実施例12>
カルメロース3.9gを、トウモロコシデンプン(顆粒コンス,日本コーンスターチ製)3.9gに代えた以外は、実施例4と同様の方法により、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0073】
実施例6~12にしたがって製造した処方を、表7に示す。
【0074】
【表7】
【0075】
<安定性試験結果>
実施例6~12の処方を、60℃で1週間保存した結果を、表8及び表9に示す。
【0076】
【表8】
【0077】
表8に示すとおり、60℃で1週間保存した場合、親水性添加剤として、カルメロース(実施例6)、無水リン酸水素Ca(実施例7)、キサンタンガム(実施例8)、エリスリトール(実施例9)、フマル酸ステアリルNa(実施例10)、L-グルタミン酸(実施例11)、トウモロコシデンプン(実施例12)を用いた処方は、ポリエチレングリコール(比較例1)を使用した処方と比較して、変色が抑制さることが確認された。また、何れの親水性添加剤を用いた場合でも、乾燥剤とともに保存することで、より変色が抑制されることが確認された。
【0078】
【表9】
【0079】
表9に示すとおり、60℃で1週間保存した場合に、親水性添加剤として、カルメロース(実施例6)、無水リン酸水素Ca(実施例7)、キサンタンガム(実施例8)、エリスリトール(実施例9)、フマル酸ステアリルNa(実施例10)、L-グルタミン酸(実施例11)、トウモロコシデンプン(実施例12)を用いた処方は、ポリエチレングリコール(比較例1)を使用した処方と比較して、膨張が抑制されることが確認された。また、何れの親水性添加剤を用いた場合でも、乾燥剤とともに保存することで、錠剤の膨張が抑制されることが確認された。
【0080】
<実施例13>
実施例1において、ミラベグロン(β型結晶)2gの代わりに、ミラベグロン(α型結晶)2g用いた以外は同様の方法により、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0081】
<比較例4>
比較例1において、ミラベグロン(β型結晶)2gの代わりに、ミラベグロン(α型結晶)2g用いた以外は同様の方法により、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤をポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0082】
実施例1、13及び比較例1、4にしたがって製造した処方を、表10に示す。
【0083】
【表10】
【0084】
<安定性試験結果>
実施例1、13及び比較例1、4の錠剤を、60℃で1週間保存した結果を、表11及び表12に示す。
【0085】
【表11】
【0086】
表11に示すとおり、原薬(ミラベグロン)の結晶形によらず、ヒプロメロース(実施例1、13)を用いた処方は、ポリエチレングリコール(比較例1、4)を用いた処方と比較して、変色が抑制された。また、α型結晶の方がβ型結晶よりも、変色が少なかった。
【0087】
【表12】
【0088】
表12に示すとおり、原薬(ミラベグロン)の結晶形によらず、ヒプロメロース(実施例1、13)を用いた処方は、ポリエチレングリコール(比較例1、4)を用いた処方と比較して、錠剤の膨張が抑制され。また、α型結晶の方がβ型結晶よりも、膨張の程度が小さかった。
【0089】
<実施例14>
ミラベグロン(β型結晶)1g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)1.95g、メチルセルロース(METOLOSE SM-4,信越化学製)1.95gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S、日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200、市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート、アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0090】
<実施例15>
ミラベグロン(β型結晶)1g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)1.95g、ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol 250HHX,アシュランド製)1.95gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S、日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200、市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート、アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0091】
<実施例16>
ミラベグロン(β型結晶)1g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)1.95g、粉砕機(Tube Mill control,IKA製)で粉砕したポリビニルアルコール(ゴーセノール EG-05P,三菱ケミカル製)1.95gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S、日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200、市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mg又は250mgの錠剤を得た。
得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート、アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0092】
<実施例17>
ミラベグロン(β型結晶)1g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)1.95g、コポリピドン(Kollidon VA64 Fine,BASF製)1.95gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S,日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200,市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート,アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0093】
<実施例18>
ミラベグロン(β型結晶)1g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)1.95g、粉砕機(Tube Mill control,IKA製)で粉砕したL-アルギニン(L(+)-アルギニン,富士フィルム和光純薬製)1.95gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S,日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200,市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mg又は250mgの錠剤を得た。
得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート、アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0094】
<実施例19>
ミラベグロン(β型結晶)1g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)1.95g、デキストリン(パインデックス#1,松谷化学工業製)1.95gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S,日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200,市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mg又は250mgの錠剤を得た。
得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート、アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0095】
<実施例20>
ミラベグロン(β型結晶)1g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)1.95g、粉砕機(Tube Mill control,IKA製)で粉砕した塩化ナトリウム(塩化ナトリウム,富田製薬製)1.95gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S,日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200,市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mg又は250mgの錠剤を得た。
得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート、アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0096】
<実施例21>
ミラベグロン(β型結晶)1g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)1.95g、ヒプロメロース(TC-5E,信越化学製)1.95gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S,日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200,市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mg又は250mgの錠剤を得た。
得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート、アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0097】
<実施例22>
ミラベグロン(β型結晶)1g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)1.95g、ヒプロメロース(METOLOSE 90SH-4000SR,信越化学製)1.95gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S,日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200,市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート、アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0098】
<実施例23>
ミラベグロン(β型結晶)1g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)1.95g、ヒプロメロース(METOLOSE 90SH-100SR,信越化学製)1.95gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S,日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200,市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mgの錠剤を得た。
得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート、アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0099】
<実施例24>
ミラベグロン(β型結晶)1g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)1.95g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SSL SFP,日本曹達製)1.95gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S,日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200,市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり150mg又は250mgの錠剤を得た。
得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、アルミピロー内に包装した。乾燥剤を入れる場合は、得られた150mgの錠剤を、ポリエチレン袋に収容し、乾燥剤である塩化カルシウム(アイディシート、アイディ製)とともにアルミピロー内に包装した。
【0100】
実施例14~18にしたがって製造した処方を、表13に示す。
【表13】
【0101】
実施例19~24にしたがって製造した処方を、表14に示す。
【表14】
【0102】
<安定性試験結果>
[色差試験]
実施例14~23の処方を、60℃で1週間保存した色差試験結果を、表15に示す。
【0103】
【表15】
【0104】
表15に示すとおり、60℃で1週間保存した場合、親水性添加剤として、メチルセルロース(実施例14)、ヒドロキシエチルセルロース(実施例15)、ポリビニルアルコール(実施例16)、コポリピドン(実施例17)、L-アルギニン(実施例18)、デキストリン(実施例19)、塩化ナトリウム(実施例20)、ヒプロメロース(TC-5E)(実施例21)、ヒプロメロース(METOLOSE 90SH-4000SR)(実施例22)、ヒプロメロース(METOLOSE 90SH-100SR)(実施例23)を用いた処方は、ポリエチレングリコール(比較例1)を使用した処方と比較して、変色が抑制さることが確認された。また、何れの親水性添加剤を用いた場合でも、乾燥剤とともに保存することで、より変色が抑制されることが確認された。
【0105】
[錠厚増加試験]
実施例14~24の処方を、60℃で1週間保存した錠厚増加試験結果を、表16に示す。
【0106】
【表16】
【0107】
表16に示すとおり、60℃で1週間保存した場合に、親水性添加剤として、メチルセルロース(実施例14)、ヒドロキシエチルセルロース(実施例15)、ポリビニルアルコール(実施例16)、コポリピドン(実施例17)、L-アルギニン(実施例18)、デキストリン(実施例19)、塩化ナトリウム(実施例20)、ヒプロメロース(TC-5E)(実施例21)、ヒプロメロース(METOLOSE 90SH-4000SR)(実施例22)、ヒプロメロース(METOLOSE 90SH-100SR)(実施例23)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SSL SFP)(実施例24)を用いた処方は、ポリエチレングリコール(比較例1)を使用した処方と比較して、膨張が抑制されることが確認された。また、何れの親水性添加剤を用いた場合でも、乾燥剤とともに保存することで、錠剤の膨張が抑制されるか、又は同等であることが確認された。
【0108】
<比較例5>
ミラベグロン(β型結晶)1g、ポリエチレンオキシド(POLYOX WSR N-12K,Dow製)3.9gを混合した後、22メッシュ篩を用いて篩過し、ミラベグロンを含有する混合品を得た。
この混合品の一部にステアリン酸マグネシウム(日局ステアリン酸マグネシウム-S,日油製)を加えて混合し打錠末とした。この打錠末を、単発式打錠機(HANDTAB-200,市橋精機製)を用いて5kNの打錠圧にて圧縮成型し、1錠あたり250mgの錠剤を得た。
【0109】
<溶出試験結果>
本発明の代表的な処方(実施例9、16、18、19、20、21及び24、並びに比較例1及び5)について、日本薬局方溶出試験第二法(パドル法)により、錠剤(250mg)からの薬物放出性を評価した。試験液として水900mLを用い、パドル回転速度50回転で行った。試験開始後、0~20時間の試験液中のミラベグロン濃度を測定し、薬物放出性を評価した。各時間における溶出率を表17に、また溶出パターンを図2に示す。
【0110】
【表17】
【0111】
図2の溶出パターンから確認できるように、本発明の代表的な処方(実施例9、16、18、19、20、21及び24)は、親水性添加剤を含まない処方(比較例5)と比較して、良好な溶出パターンを示し、また、親水性添加剤としてポリエチレングリコールを含む処方(比較例1)と比較しても、ほぼ同等の溶出パターンを示した。よって、本発明の親水性添加剤の含有量を調節することで、比較例1と同等の溶出を有する処方とすることも可能である。
図1
図2