IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッドの特許一覧

特開2023-143877バスケットカテーテルの細長い円筒形電極及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143877
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】バスケットカテーテルの細長い円筒形電極及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230928BHJP
   A61N 1/36 20060101ALN20230928BHJP
【FI】
A61B18/14
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023047944
(22)【出願日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】63/323,832
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/169,844
(32)【優先日】2023-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・マーク・オカルスキ
(72)【発明者】
【氏名】ケシャバ・ダッタ
(72)【発明者】
【氏名】アブバカール・バー
(72)【発明者】
【氏名】タン・グエン
【テーマコード(参考)】
4C053
4C160
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ23
4C053KK02
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK62
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】医療用プローブを提供すること。
【解決手段】開示される技術は、医療用プローブの長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトを備える医療用プローブを含む。医療用プローブは、チューブ状シャフトの遠位端に結合された拡張可能バスケットアセンブリを更に備える。バスケットアセンブリは、複数のスパインと、複数の電極とを備える。電極は電極本体を備え、電極本体が、電極本体を通るルーメンを画定し、それぞれのスパインがルーメンを通って延在する。バスケットアセンブリは、各それぞれのスパインと各それぞれの電極との間に配置された電気絶縁ジャケットを備える。各電極本体及び電気絶縁ジャケットは、実質的に円形の断面形状を備える。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用プローブであって、
近位端及び遠位端を有し、前記医療用プローブの長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトと、
前記チューブ状シャフトの前記遠位端に結合された拡張可能バスケットアセンブリとを備え、前記拡張可能バスケットアセンブリが、
前記長手方向軸に沿って延在し、中心スパイン交差部で収束する複数のスパインを備え、前記複数のスパインのうちの各スパインが、
複数の電極であって、各電極が電極本体を含み、前記電極本体が、前記電極本体を通るルーメンを画定し、前記それぞれのスパインが前記ルーメンを通って延在する、複数の電極と、
前記複数のスパインのうちのそれぞれのスパインと前記複数の電極のうちのそれぞれの電極との間に配置され、それによって前記複数の電極を前記複数のスパインから電気的に絶縁する電気絶縁ジャケットとを備え、
各電極本体及び電気絶縁ジャケットの断面形状が、実質的に円形の形状を含む、医療用プローブ。
【請求項2】
前記複数のスパインが、実質的に長方形の断面形状を含み、
前記電気絶縁ジャケットが、内部を通る開口部を画定する本体を備え、前記それぞれのスパインが前記電気絶縁ジャケット本体を通って延在し、前記開口部が、実質的に長方形の断面形状を含む、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項3】
前記電気絶縁ジャケットが、前記それぞれのスパインの少なくとも一部分に沿って配置されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項4】
前記電気絶縁ジャケットが、前記中心スパイン交差部を除く前記それぞれのスパインの全長に沿って配置されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項5】
前記電気絶縁ジャケットが、前記それぞれのスパインの端部を除く前記それぞれのスパインの全長に沿って配置されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項6】
前記複数のスパインのうちの各スパインが、それぞれのスパインとそれぞれの電気絶縁ジャケットとの間に配置されたフレーム押出成形部を更に備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項7】
前記フレーム押出成形部が、前記それぞれのスパインの少なくとも一部分に沿って配置されている、請求項6に記載の医療用プローブ。
【請求項8】
前記フレーム押出成形部が、前記それぞれのスパインを覆う前記電気絶縁ジャケットの位置を維持する、請求項6に記載の医療用プローブ。
【請求項9】
スパインバスケット部材であって、
長手方向軸から半径方向に延在する複数のスパインと、
電極本体を含む複数の電極であって、前記電極本体が、前記電極本体を通るルーメンを画定し、前記複数のスパインのうちの各スパインが前記ルーメンを通って延在する、複数の電極と、
前記複数のスパインのうちのそれぞれのスパインと前記複数の電極のうちのそれぞれの電極との間に配置された電気絶縁ジャケットとを備え、
各電極本体及び電気絶縁ジャケットが実質的に円形の断面を含む、スパインバスケット部材。
【請求項10】
前記電気絶縁ジャケットが、前記それぞれのスパインの少なくとも一部分に沿って配置されている、請求項9に記載のスパインバスケット部材。
【請求項11】
前記複数のスパインのうちの各スパインが、それぞれのスパインとそれぞれの電気絶縁ジャケットとの間に配置されたフレーム押出成形部を更に備える、請求項9に記載のスパインバスケット部材。
【請求項12】
前記複数のスパインのうちの各それぞれのスパインが、2つの電極を備える、請求項9に記載のスパインバスケット部材。
【請求項13】
前記長手方向軸に近接する空の空間の第1の開放面積を画定する切り欠きを更に備え、前記空の空間の第1の開放面積が、前記長手方向軸からの第1の直径を含む第1の仮想円に近似し、前記切り欠きが、前記複数のスパインの各々に開口スロットを画定するために第1の長さにわたって前記複数のスパインの各々の中に延在し、各スロットが、前記第1の仮想円よりも大きい第2の仮想円の円周に隣接している、請求項9に記載のスパインバスケット部材。
【請求項14】
前記複数のスパイン上の1つおきのスロットのうちの1つが、前記空の空間の第1の開放面積よりも小さい第3の面積を画定する開口を含む、請求項13に記載のスパインバスケット部材。
【請求項15】
前記複数のスパインの各々の上のオタマジャクシ型切り欠きを更に備え、各切り欠きが、前記長手方向軸の周りに配置された第1の半径を有する第1の仮想円の円周に隣接している頭部を含み、前記頭部が、第2の半径を有する第2の仮想円に近似する負の面積を画定し、前記頭部が、前記スパインに沿って第1の長さにわたって延在し、第3の半径を含む第3の仮想円の内周に隣接しているスロット付き尾部に接続されている、請求項9に記載のスパインバスケット部材。
【請求項16】
前記切り欠きが、各スパインの近位部分まで延在するスロット付きテーパ状尾部と共に頭部を有する、彗星形状の切り欠きを画定する、請求項15に記載のスパインバスケット部材。
【請求項17】
前記長手方向軸からの中心半径を有する前記スパインの前記長手方向軸上に位置する円形孔を更に備える、請求項16に記載のスパインバスケット部材。
【請求項18】
医療用プローブを作製する方法であって、
拡張可能バスケットアセンブリのスパインを電極と位置合わせすることであって、前記電極が、内部を通るルーメンを画定する電極本体を備え、前記それぞれのスパインが前記電極の前記ルーメンを通って延在し、前記電極本体が、実質的に円形の断面形状を備える、位置合わせすることと、
前記スパインを前記電極の前記ルーメン内に挿入することと、
前記拡張可能バスケットアセンブリがチューブ状構成から湾曲構成に移動可能であるように、血管系を横断するようにサイズ決めされるチューブ状シャフトに前記スパインの端部を嵌合させることとを含む、方法。
【請求項19】
複数のスパインのうちの各それぞれのスパインが、第1の電極と第2の電極とを備え、前記方法が、
前記拡張可能バスケットアセンブリの前記スパインを、電気絶縁ジャケットの第1のルーメンを通して位置付けることと、
前記複数のスパインのうちの各それぞれのスパインを前記第1の電極及び前記第2の電極と位置合わせすることと、
前記複数のスパインのうちの各それぞれのスパインを前記第1の電極のルーメン内及び前記第2の電極のルーメン内に挿入することと、
前記複数のスパインのうちの各それぞれのスパインの端部を、血管系を横断するようにサイズ決めされた前記チューブ状シャフトに嵌合させることとを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
隣接するスパインの間で前記電極をオフセットすることを更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年3月25日に出願された先行出願の米国仮特許出願第63/323,832号に対する米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張し、その全内容は、以下に完全に記載されているかのようにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、医療デバイス、特に円筒形電極を有するカテーテルに関し、更に、心臓組織の不可逆エレクトロポレーション(IRE)を誘発するための使用に好適なカテーテルに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0003】
心房細動(atrial fibrillation:AF)などの心臓不整脈は、心臓組織の領域が隣接組織に電気信号を異常に伝達するときに生じる。これは、正常な心周期を混乱させ、非同期的な律動を引き起こす。不整脈を治療するための処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に破壊すること、及びそのような信号の伝導路を破壊することがある。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。
【0004】
当該技術分野における多くの現在のアブレーションアプローチは、高周波(RF)電気エネルギーを利用して組織を加熱する。RFアブレーションは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得る、熱加熱に関連する特定のリスクを有することができる。
【0005】
冷凍アブレーションは、一般にRFアブレーションに関連する熱リスクを低減するRFアブレーションの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気的アブレーションデバイスによって達成される可能性がある特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0006】
いくつかのアブレーションアプローチは、非熱アブレーション法を使用して心臓組織をアブレーションするために不可逆エレクトロポレーション(IRE)を使用する。IREは、高電圧の短パルスを組織に送達し、細胞膜の回復不能な透過化を生じさせる。多電極カテーテルを使用する組織へのIREエネルギーの送達は、特許文献において以前に提案された。IREアブレーションのために構成されたシステム及びデバイスの例は、米国特許公開第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号及び同第2021/0186604(A1)号に開示されており、これらの各々は、参照によりその全体が、あたかも完全に記載されているかのように本出願に組み込まれ、優先権出願の米国特許出願第63/323,832号の付録に添付されている。
【0007】
心臓組織の領域は、異常な電気信号を識別するためにカテーテルによってマッピングすることができる。同じ又は異なるカテーテルを使用してアブレーションを実行することができる。いくつかの例示的なカテーテルは、その上に電極が位置付けられた多数のスパインを含む。電極は、一般に、スパインに取り付けられ、はんだ付け、溶接、又は接着剤を使用することによって定位置に固定される。しかしながら、スパイン及び電極のサイズが小さいことに起因して、スパインに電極をはんだ付け、溶接、又は接着することは困難な作業であり得、製造時間及びコストを増加させ、不適切な結合又は位置ずれに起因して電極が機能しなくなる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、バスケットアセンブリの製造に必要な時間、代替的なカテーテルの幾何形状、及び代替的な電極の形状及びサイズを全体的に低減するのに役立つことができる、改善されたバスケットアセンブリを形成するデバイス及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
医療用プローブ及び関連する方法の種々の実施形態を説明し、図示する。医療用プローブは、近位端及び遠位端を含む、チューブ状シャフトを含み得る。チューブ状シャフトは、医療用プローブの長手方向軸に沿って延在することができる。医療用プローブは、チューブ状シャフトの遠位端に近接する、拡張可能バスケットアセンブリを含み得る。バスケットアセンブリは、長手方向軸に沿って延在し、中心スパイン交差部で収束する複数のスパインを含むことができる。中心スパイン交差部は、拡張可能バスケットアセンブリが圧潰形態から拡張形態に移行するときに、スパインが長手方向軸から半径方向外向きに湾曲することを可能にする1つ以上の切り欠きを含むことができる。複数のスパインのうちの各スパインは、複数の電極を含むことができる。それぞれの電極は、それぞれのスパインが電極本体ルーメンを通って延在することができるように、電極本体を通るルーメンを画定する電極本体を含むことができる。バスケットアセンブリは、各それぞれのスパインと各それぞれの電極との間に配置された電気絶縁ジャケットを含むことができる。各電極本体及び電気絶縁ジャケットは、実質的に円形の断面形状を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による、医療用プローブを含み、医療用プローブの遠位端が電極を有するバスケットアセンブリを含む、医療用システムの概略描画図である。
図2A】本発明の一実施形態による、拡張形態の医療用プローブの斜視図を示す概略描画図である。
図2B】本発明の実施形態による、圧潰形態の医療用プローブの側面図を示す概略描画図である。
図2C】本発明の一実施形態による、医療用プローブの分解側面図を示す概略絵画図である。
図2D】本発明の一実施形態による、図2Cに示される例示的な接触力センサの構成要素の分解図である。
図3A】本発明の一実施形態による、拡張形態の医療用プローブの斜視図である。
図3B】本発明の一実施形態による、図3Aのそれぞれのスパイン、絶縁ジャケット、及び電極の断面図を図示する。
図4A】本発明の実施形態による、様々な例示的な電極の斜視図を示す概略描画図である。
図4B】本発明の実施形態による、様々な例示的な電極の斜視図を示す概略描画図である。
図4C】本発明の実施形態による、様々な例示的な電極の斜視図を示す概略描画図である。
図5A】本発明の実施形態による、所与の医療デバイスの様々な絶縁ジャケットを示す概略描画図を提供する。
図5B】本発明の実施形態による、所与の医療デバイスのフレーム押出成形部を示す概略描画図である。
図5C】本発明の実施形態による、所与の医療デバイスのフレーム押出成形部を示す概略描画図である。
図5D】本発明の実施形態による、所与の医療デバイスのフレーム押出成形部を示す概略描画図である。
図5E】本発明の実施形態による、スパイン上に位置付けられた例示的なフレーム押出成形部の概略描画図である。
図5F】本発明の実施形態による、スパイン上に位置付けられた例示的なフレーム押出成形部の概略描画図である。
図5G】本発明の実施形態による、スパイン上に位置付けられた例示的なフレーム押出成形部の概略描画図である。
図6A】本発明の一実施形態による、医療用プローブの所与のワイヤの断面図を示す概略描画図である。
図6B】本発明の一実施形態による、医療用プローブの所与のワイヤの断面図を示す概略描画図である。
図7A】本発明の一実施形態による、中心スパイン交差部の概略絵図である。
図7B】本発明の一実施形態による、中心スパイン交差部の概略絵図である。
図7C】本発明の一実施形態による、中心スパイン交差部の概略絵図である。
図7D】本発明の一実施形態による、中心スパイン交差部の概略絵図である。
図7E】本発明の一実施形態による、中心スパイン交差部の概略絵図である。
図8A】本発明の実施形態による、所与の医療デバイスのバスケットアセンブリの外形輪郭を示す概略描画図である。
図8B】本発明の実施形態による、所与の医療デバイスのバスケットアセンブリの外形輪郭を示す概略描画図である。
図9】本発明の一実施形態による、バスケットアセンブリを形成する複数のスパインの側面図を示す概略描画図である。
図10A】本発明の一実施形態による、バスケットアセンブリを形成する方法の概略描画図である。
図10B】本発明の一実施形態による、バスケットアセンブリを形成する方法の概略描画図である。
図10C】本発明の一実施形態による、灌注管へのスパインの正確な整合及び保持を確実にするために、各スパインの近位端に孔及び基準ノッチが提供されている、一実施形態を図示する。
図10D】本発明の一実施形態による、スパインアセンブリを拡張するためにバルーンに依拠する実施形態を図示する。
図10E】本発明の一実施形態による、レーザを用いて円筒管ストックを切断することによって形成されたスパインアセンブリを図示する。
図10F】本発明の一実施形態による、図10Eのスパインを回転楕円体バスケット様形状に形状設定した後のスパインアセンブリを図示する。
図11】本発明の一実施形態による、バスケットアセンブリを組み立てる別の方法を図示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。この説明は、当業者が本発明を製造及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物及び使用を説明する。
【0012】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「およそ」は、記載された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、71%~110%の値の範囲を指してもよい。
【0013】
本明細書で使用する場合、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」及び「被験体」という用語は、任意のヒト被験体又は動物被験体を指し、上述のシステム又は方法をヒトにおける使用に限定することを目的としたものではないが、ヒト患者における対象の本発明の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。加えて、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「被験者」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であり得る。動物は、哺乳動物、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むがこれらに限定されない、様々な任意の適用可能な種類であり得ることを理解されたい。一例として、動物は、ヒトと同様の特定の特性を有するように特異的に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サル、又は同等物)であり得る。被験者は、例えば、あらゆる該当するヒト患者でよいことを理解するべきである。同様に、「近位」という用語は、作業者に近い方の位置を示す一方、「遠位部」は、作業者又は医師から更に遠い位置を示す。
【0014】
本明細書で論じられるように、「作業者」は、医師、外科医、技術者、科学者、又は被験体への薬物難治性心房細動の治療のための多電極カテーテルの送達に関連する任意の他の個人若しくは送達器具を含むことができる。
【0015】
本明細書で論じられるように、用語「アブレーションする」又は「アブレーション」は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、本開示全体を通して、パルス電界(PEF)及びパルス場アブレーション(PFA)と互換的に称される、不可逆エレクトロポレーション(IRE)などの非熱エネルギーを利用することによって、細胞内の不規則心臓信号の生成を低減又は防止するように構成される、構成要素及び構造的特徴を指す。本開示のデバイス及び対応するシステムに関する場合、アブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織の非熱アブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語はまた、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを達成するための既知の方法、デバイス、及びシステムを含む。
【0016】
本明細書で論じられるように、「双極」及び「単極」という用語は、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、両方とも治療部位に位置付けられた2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指す。電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極の各々で略等しい。「単極」とは、2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指し、ここで、高電流密度及び高電束密度を含む1つの電極が治療部位に位置付けられ、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を含む第2の電極が、治療部位から遠隔に位置付けられる。
【0017】
本明細書で論じられるように、「二相性パルス」及び「単相性パルス」という用語は、それぞれの電気信号を指す。「二相性パルス」とは、正電圧相パルス(本明細書では「正相」と称する)及び負電圧相パルス(本明細書では「負相」と称する)を含む電気信号を指す。「単相性パルス」は、正相のみ又は負相のみを含む電気信号を指す。好ましくは、二相性パルスを提供するシステムは、直流電圧(direct current voltage、DC)の患者への適用を防止するように構成されている。例えば、二相性パルスの平均電圧は、地面又は他の共通基準電圧に対してゼロボルトであり得る。追加的又は代替的に、システムは、コンデンサ又は他の保護構成要素を含むことができる。二相性パルス及び/又は単相性パルスの電圧振幅が本明細書に記載されている場合、発現された電圧振幅は、正電圧相及び/又は負電圧相の各々の近似ピーク振幅の絶対値であることが理解される。二相性パルス及び単相性パルスの各相は、好ましくは、相持続時間の大部分において本質的に一定の電圧振幅を含む正方形を有する。二相性パルスの相は、相間遅延によって時間的に分離される。相間遅延持続時間は、好ましくは、二相性パルスの相の持続時間未満であるか、又はその持続時間に略等しい。相間遅延持続時間は、より好ましくは、二相性パルスの相の持続時間の約25%である。
【0018】
本明細書で論じられるように、「チューブ状」及び「チューブ」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、チューブ状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、チューブ状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、テーパ状又は湾曲した外面を有してもよい。
【0019】
本明細書で使用される「温度定格」という用語は、構成要素が、構成要素の溶融又は熱劣化(例えば、炭化及び崩壊)などの熱損傷を引き起こすことなく、その寿命の間に耐えることができる最大連続温度として定義される。
【0020】
本開示は、スパインに取り付けられた電極を含むエンドエフェクタを利用するシステム、方法、又は使用、及びデバイスに関する。本開示の例示的なシステム、方法、及びデバイスは、心不整脈を治療するための心臓組織のIREアブレーションに特に適し得る。アブレーションエネルギーは、通常、アブレーションするべき組織に沿ってアブレーションエネルギーを送達することができるカテーテルの先端部分によって心臓組織に供給される。いくつかの例示的カテーテルは、先端部分に三次元構造を含み、三次元構造上に位置付けられた様々な電極からアブレーションエネルギーを供給するように構成される。このような例示的なカテーテルを組み込むアブレーション処置は、X線透視法を使用して可視化され得る。
【0021】
機能不全の心臓を改善するために、高周波(RF)エネルギー及び冷凍アブレーションなどの熱的技術を適用する心臓組織のアブレーションは、周知の処置である。典型的には、熱的技術を使用して首尾よくアブレーションするために、心筋の様々な位置で心電位を測定する必要がある。加えて、アブレーション中の温度測定により、アブレーションの有効性を可能にするデータを提供する。通常、熱的技術を使用したアブレーション処置では、実際のアブレーション前、アブレーション中、及びアブレーション後に、電極電位及び温度が測定される。
【0022】
RFアプローチは、組織の炭化、燃焼、スチームポップ、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄、及び食道瘻につながり得るリスクを有し得る。冷凍アブレーションは、RFアブレーションに関連するいくらかの熱リスクを低減することができるRFアブレーションへの代替アプローチである。しかしながら、冷凍アブレーションデバイスを操作し、冷凍アブレーションを選択的に適用することは、一般に、RFアブレーションと比較してより困難である。したがって、冷凍アブレーションは、電気アブレーションデバイスによって到達され得る特定の解剖学的幾何形状では実行可能ではない。
【0023】
本開示で論じられるIREは、心房性不整脈のアブレーションに使用することができる非熱的細胞死技術である。IRE/PEFを使用してアブレーションするために、二相性電圧パルスを印加して心筋の細胞構造を破壊する。二相性パルスは非正弦波形であり、細胞の電気生理学に基づいて標的細胞に調整することができる。対照的に、RFを使用してアブレーションするために、正弦波電圧波形が適用されて、治療領域において熱を生成し、治療領域内の全ての細胞を無差別に加熱する。IREはしたがって、アブレーションモダリティ又は隔離モダリティで知られている起こり得る合併症の低減において有益であろう、隣接する感熱性構造又は組織を救う能力を有する。追加的又は代替的に、単相性パルスが利用され得る。
【0024】
エレクトロポレーションは、細胞膜内の細孔の可逆的な(reversable)(一時的な)又は不可逆的な(永久的な)生成を引き起こすために、生物学的細胞にパルス電界を適用することによって誘発され得る。細胞は、パルス電界の印加時に静止電位を超えて増加する膜貫通静電位を有する。膜貫通静電位は閾値電位未満のままであるが、エレクトロポレーションは可逆的であり、これは、印加されたパルス電界が除去されると細孔が閉じることができ、細胞は自己修復して生存することができることを意味する。膜貫通静電位が閾値電位を超えて増加する場合、エレクトロポレーションは不可逆的であり、細胞は永久的に透過性になる。結果として、細胞は、恒常性の喪失に起因して死滅し、典型的には、プログラムされた細胞死又はアポトーシスによって死滅し、これは、他のアブレーションモダリティと比較して、より少ない瘢痕組織を残すと考えられている。一般に、異なるタイプの細胞は、異なる閾値電位を有する。例えば、心臓細胞はおよそ500V/cmの閾値電位を有するが、骨は3000V/cmの閾値電位を有する。閾値電位のこれらの差は、IREが閾値電位に基づいて組織を選択的に標的とすることを可能にする。
【0025】
本開示の解決策は、好ましくは心筋組織においてエレクトロポレーションを誘発するのに有効なパルス電界を印加することによって、心筋組織の近傍に位置付けられたカテーテル電極から電気信号を印加するためのシステム及び方法を含む。本システム及び方法は、不可逆エレクトロポレーションを誘発することによって標的組織をアブレーションするのに有効であり得る。いくつかの例では、本システム及び方法は、診断処置の一部として可逆エレクトロポレーションを誘発するのに有効であり得る。可逆的電気穿孔は、細胞が修復することを可能にする、電極で印加された電気が標的組織の電界閾値を下回るときに行われる。可逆エレクトロポレーションは細胞を死滅させないが、医師が、標的位置の近傍で電気活性化信号に対する可逆エレクトロポレーションの効果を見ることを可能にする。可逆エレクトロポレーションのための例示的なシステム及び方法は、米国特許公開第2021/0162210号に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、優先権出願の米国特許出願第63/323,832号の付録に添付されている。
【0026】
パルス電界、並びに可逆エレクトロポレーション及び/又は不可逆エレクトロポレーションを誘発するパルス電界の有効性は、システムの物理パラメータ及び電気信号の二相性パルスパラメータによって影響を受け得る。物理パラメータは、電極接触面積、電極間隔、電極幾何形状などを含み得、本明細書に提示される例は、概して、可逆エレクトロポレーション及び/又は不可逆エレクトロポレーションを有効に誘発するように適合される物理パラメータを含む。電気信号の二相性パルスパラメータは、電圧振幅、パルス持続時間、パルス相間遅延、パルス間遅延、総印加時間、送達エネルギーなどを含み得る。いくつかの例では、電気信号のパラメータは、同じ物理パラメータが与えられると、可逆エレクトロポレーション及び不可逆エレクトロポレーションの両方を誘発するように調整することができる。IREを含むアブレーションの様々なシステム及び方法の例は、米国特許公開第2021/0169550(A1)号、同第2021/0169567(A1)号、同第2021/0169568(A1)号、同第2021/0161592(A1)号、同第2021/0196372(A1)号、同第2021/0177503(A1)号、及び同第2021/0186604(A1)号に提示されており、これらの各々の全体は、参照により本明細書に組み込まれ、優先権出願の米国特許出願第63/323,832号の付録に添付されている。
【0027】
IRE(不可逆エレクトロポレーション)処置でパルス場アブレーション(PFA)を送達するために、電極は、アブレーションされる組織と十分に大きな表面積で接触しなければならない。以下に説明するように、医療用プローブは、近位端及び遠位端を有するチューブ状シャフトと、チューブ状シャフトの遠位端にあるバスケットアセンブリと、を含む。バスケットアセンブリは、単一の一体構造を含む。一体構造は、平面材料シートから形成された複数のスパインと、スパインの各々に結合された1つ以上の電極とを含むことができる。複数のスパインは、1つ以上の切り欠きを含む中心スパイン交差部で収束することができる。切り欠きは、スパインが略球形又は偏楕円体のバスケットアセンブリを形成するように、各スパインの屈曲を可能にすることができる。切り欠き(本明細書に記載及び図示される様々な構成における)は、バスケットが、座屈又は塑性変形を伴わずに、展開されていない(又は送出シース内への後退を受ける)ときに、はるかに小さい形状因子に圧縮されることを可能にすることに留意されたい。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態による、医療用プローブ22と、制御コンソール24とを含む医療用システム20の概略描画図である。医療用システム20は、例えば、Biosense Webster Inc.(31 Technology Drive,Suite 200,Irvine,CA 92618 USA)によって製造されたCARTO(登録商標)システムに基づき得る。以下に説明する実施形態では、医療用プローブ22は、患者28の心臓26においてアブレーション処置を実行するためなど、診断的処置又は治療的処置のために使用することができる。代替的に、医療用プローブ22は、必要な変更を加えて、心臓又は他の身体器官における他の治療目的及び/又は診断目的に使用されてもよい。
【0029】
医療用プローブ22は、可撓性挿入管30と、チューブ状シャフトの近位端に連結されたハンドル32と、を含む。医療処置の間、医療専門家34は、医療用プローブの遠位端36が心臓26の室などの体腔に入るように、患者28の血管系を通してプローブ22を挿入することができる。遠位端36が心臓26の室に入ると、医療専門家34は、医療用プローブ22の遠位端36に接近するバスケットアセンブリ38を展開させることができる。バスケットアセンブリ38は、以下の図2A及び図2Bを参照する説明に記載するように、複数のスパイン214に取り付けられた、複数の電極40を含み得る。不可逆エレクトロポレーション(IRE)アブレーションなどの医療処置の実行を開始するために、医療専門家34は、電極40が所望の位置(単数又は複数)で心臓組織に係合するように、ハンドル32を操作して遠位端36を位置決めすることができる。電極40が心臓組織に係合するように遠位端36を位置付けると、医療専門家34は、電気パルスが電極40によって送達されてIREアブレーションを行うように、医療用プローブ22を作動させることができる。
【0030】
医療用プローブ22は、ガイドシースと、治療用カテーテルと、を含み得、ガイドシースは、可撓性挿入管30と、ハンドル32と、を含み、治療用カテーテルは、バスケットアセンブリ38と、電極40と、チューブ状シャフト84と、を含む(図2図4を参照)。治療用カテーテルは、バスケットアセンブリ38が心臓26内に位置付けられるように、ガイドシースを通って並進する。医療用プローブ22の遠位端36は、バスケットアセンブリ38が可撓性挿入管30内に収容されているときにガイドシースの遠位端に一致し、医療用プローブ22の遠位端36は、バスケットアセンブリ38がガイドシースの遠位端から延出しているときにバスケットアセンブリ38の遠位端に一致する。代替的に、医療用プローブ22は、当業者によって理解されるように、治療用カテーテル上の第2のハンドルと、他の特徴と、を含むように構成され得る。
【0031】
図1に示される構成では、制御コンソール24は、ケーブル42によって体表面電極に接続され、体表面電極は典型的には、患者28に取り付けられている接着性皮膚パッチ44を含む。制御コンソール24は、追跡モジュール48と共に、心臓26内の遠位端36の位置座標を決定するプロセッサ46を含む。位置座標は、生成された磁場が存在するときにカテーテルの遠位部分から提供される電磁位置センサ出力信号に基づいて決定することができる。位置座標は、追加的又は代替的に、接着性皮膚パッチ44とバスケットアセンブリ38に取り付けられた電極40との間で測定されたインピーダンス及び/又は電流に基づくことができる。医療処置中に位置センサとして使用されることに加えて、電極40は、心臓内の組織をアブレーションするなど、他のタスクを実行することができる。
【0032】
これまで述べたように、追跡モジュール48と共に、プロセッサ46は、接着性皮膚パッチ44と電極40との間で測定されたインピーダンス及び/又は電流に基づいて、心臓26内の遠位端36の位置座標を決定してもよい。このような決定は、典型的には、インピーダンス又は電流を遠位端の既知の位置に関連付ける較正プロセスが実行された後に行われる。本明細書に提示するいくつかの実施形態は、好ましくは、心臓26内の組織にIREアブレーションエネルギーを送達するように構成されている電極40を説明するが、任意の体腔内の組織に任意の他のタイプのアブレーションエネルギーを送達するように電極40を構成することは、本発明の趣旨及び範囲内であるとみなされる。更に、IREアブレーションエネルギーを心臓26内の組織に送達するように構成された電極40であるという文脈で説明されているが、当業者は、本開示の技術が、患者28の身体の器官又は他の部分の様々な性質をマッピング及び/又は決定するために使用される電極に適用可能であり得ることを理解するであろう。
【0033】
プロセッサ46は、典型的にはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として構成されたリアルタイムノイズ低減回路50と、それに続くアナログ-デジタル(A/D)信号変換集積回路52とを含んでもよい。プロセッサは、1つ以上のアルゴリズムを実行するようにプログラムすることができ、医療専門家34がIREアブレーション処置を実行することを可能にするために、回路50及び回路52並びにモジュールの特徴を使用する。
【0034】
制御コンソール24はまた、制御コンソール24が電極40及び接着性皮膚パッチ44から信号を転送し、且つ/又はそれらに信号を転送することを可能にする入出力(I/O)通信インタフェース54を含む。図1に示される構成では、制御コンソール24は、IREアブレーションモジュール56とスイッチングモジュール58とを更に含む。
【0035】
IREアブレーションモジュール56は、数十キロワットの範囲のピーク電力を含むIREパルスを発生させるように構成されている。いくつかの例では、電極40は、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を含む電気パルスを送出するように構成されている。医療用システム20は、IREパルスを電極40に送達することによってIREアブレーションを実行する。好ましくは、医療用システム20は、スパイン上の電極40間に二相性パルスを送達する。追加的又は代替的に、医療用システム20は、電極40のうちの少なくとも1つと皮膚パッチとの間に単相性パルスを送達する。
【0036】
熱を放散するため、且つアブレーションプロセスの効率を改善するために、システム20は、チューブ状シャフト84内のチャネル(図示せず)を介して遠位端36及び電極40に灌注流体(例えば、生理食塩水)を供給する(図2A図2C参照)。加えて、又は代替的に、灌注流体は、可撓性挿入管30を通して供給され得る。制御コンソール24は、灌注流体の圧力及び温度などの灌注パラメータを監視及び制御するための灌注モジュール60を含む。IRE又はPFAについては、医療用プローブの例示的な実施形態が好ましいが、医療用プローブを、RFアブレーション(外部接地電極を有する単極モード又は双極モード)のためだけに別個に使用すること、又はIREアブレーション及びRFアブレーションを組み合わせて順次使用すること(IREモードの特定の電極及びRFモードの他の電極)、又は同時に使用すること(IREモードの電極及びRFモードの他の電極の群)も本発明の範囲内であることに留意されたい。
【0037】
電極40及び/又は接着性皮膚パッチ44から受信した信号に基づいて、プロセッサ46は、患者の体内における遠位端36の位置を示す電気解剖学的マップ62を生成することができる。処置中、プロセッサ46は、ディスプレイ64上でマップ62を医療専門家34に提示し、電気解剖学的マップを表すデータをメモリ66に記憶することができる。メモリ66は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなど、任意の好適な揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリを含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、医療専門家34は、1つ以上の入力デバイス68を使用して、マップ62を操作することができる。代替的な実施形態では、ディスプレイ64は、マップ62を提示することに加えて、医療専門家34からの入力を受け入れるように構成され得るタッチスクリーンを含んでもよい。
【0039】
図2Aは、挿入管30の遠位端36において挿入管ルーメン37から前進して出ることなどによる、非拘束時の拡張形態のバスケットアセンブリ38を含む医療用プローブ22の斜視図を示す概略描画図である。図2Aに示す医療用プローブ22では、図1に示したガイドシースが不在である。図2Bは、ガイドシースの挿入管30内の圧潰形態のバスケットアセンブリを示す。拡張形態(図2A)では、スパイン214は、半径方向外向きに湾曲し、折り畳み形態(図2B)では、スパインは、挿入管30の長手方向軸86に概ね沿って配置される。
【0040】
図2Aに示されるように、バスケットアセンブリ38は、チューブ状シャフト84の端部に形成され、両端で接続された複数の可撓性スパイン214を含む。医療処置中、医療専門家34は、チューブ状シャフト84を挿入管30から延出させ、バスケットアセンブリ38を挿入管30から出して拡張形態に移行させることによって、バスケットアセンブリ38を展開することができる。スパイン214は、楕円形(例えば、円形)又は(平坦に見えることがある)長方形の断面を有してもよく、本明細書でより詳細に説明されるように、支柱を形成する可撓性弾性材料(例えば、ニチノールとしても知られるニッケル-チタンなどの形状記憶合金)を含んでもよい。
【0041】
図2Aに示されるように、複数の可撓性スパイン214は、中心スパイン交差部211で収束する。いくつかの実施例では、中心スパイン交差部211は、以下でより詳細に説明するように、各スパインのそれぞれの取り付け端部216がスパイン保持ハブ90に接続されるときにスパイン214の屈曲を可能にする、1つ以上の切り欠き212を含み得る。
【0042】
本明細書に記載の実施形態では、バスケットアセンブリ38のスパイン114上に位置付けられる1つ以上の電極40は、心臓26内の組織にアブレーションエネルギー(RF及び/又はIRE)を送達するように構成され得る。加えて、又は代替的に、電極を使用して、バスケットアセンブリ38の位置を決定すること、及び/又は心臓26内の組織上のそれぞれの位置における局所表面電位など生理学的特性を測定することができる。電極40は、1つ以上の電極40のより多くの部分がバスケットアセンブリ38から外向きに面するように付勢され得、その結果、1つ以上の電極40は、内向きよりもバスケットアセンブリ38から離れる方向に外向きに(すなわち、心臓26組織に向かって)より多くの量の電気エネルギーを送達する。
【0043】
電極40を形成するのに理想的に適した材料の例としては、金、白金、及びパラジウム(及びそれらのそれぞれの合金)が挙げられる。これらの材料はまた、非常に高い熱伝導率を有し、これにより、組織上で生成された(すなわち、組織に送達されたアブレーションエネルギーによる)最小限の熱が、電極を通って電極の裏側(すなわち、スパインの内側にある電極の部分)に、次に心臓26内の血液プールに伝導されることが可能になる。
【0044】
図2A及び2Bに示されるように、バスケットアセンブリ38は、遠位端39を有する。医療用プローブ22は、チューブ状シャフト84の遠位端からバスケットアセンブリ38の遠位端39に向かって縦方向に延在する、スパイン保持ハブ90を含むことができる。上記に記載されるように、制御コンソール24は、チューブ状シャフト84を通して灌注流体をバスケットアセンブリ38に送出する灌注モジュール60を含む。
【0045】
図2Cを参照すると、バスケットアセンブリ38は、平面材料シート210から形成された複数のスパイン214を含む(図9及び図10Aにより明確に示される)単一の一体構造を含む。スパイン保持ハブ90は、チューブ状シャフト84内に挿入され、チューブ状シャフト84に取り付けられ得る。スパイン保持ハブ90は、複数のリリーフランド96、灌注ハブ97、複数の灌注開口部98、及び少なくとも1つのスパイン保持ハブ電極99、又はそれらのある組み合わせを含む、円筒部材94を含むことができる。リリーフランド96は、円筒部材94の外面に配設され、各スパイン取り付け端部216など各スパイン214の一部分を、それぞれのリリーフランド96に嵌合可能にするように構成され得る。特に、各スパイン取り付け端部216は、アイレット216a及び1つ以上のロケータ216bを含むことができる。アイレット216a及びロケータ216bは、スパインの組立及びリリーフランド96を介したチューブ状部材84への物理的保持を補助するために設けることができる。
【0046】
取り付け端部216は、スパイン214の略直線状端部であり得る。取り付け端部216は、バスケットアセンブリ38がスパイン保持ハブ90から外向きに、その結果として、チューブ状シャフト84から外向きに位置付けられるように、スパイン保持ハブ90から外向きに延在するように構成され得る。このようにして、スパイン214は、バスケットアセンブリの展開時に、バスケットアセンブリ38をチューブ状シャフト84の遠位端から遠位に、且つ挿入管30の遠位端から遠位に位置付けるように構成され得る。
【0047】
上述したように、制御コンソール24は、灌注流体を遠位端36に送達する灌注モジュール60を含む。複数の灌注開口部98は、所与の電極40又は心臓26内の組織のいずれかに灌注流体を噴霧するか、又は別様に分散させるように角度をなし得る。電極40は、灌注流体を送達する灌注開口部を含まないので、上記の構成により、熱を組織からスパイン214の内側にある電極の部分に(すなわち、アブレーション処置中に)伝達することが可能になり、また、灌注開口部98を介して、スパイン214の内側にある電極40の部分に灌注流体を向けることによって、電極40を冷却することができる。保持ハブ90の遠位端に配置されたスパイン保持ハブ電極99は、スパイン214上の電極40と組み合わせて使用することができるか、又は代替的に、基準マッピング若しくはアブレーションのために電極40から独立して使用することができる。
【0048】
図2Dは、図2Cで参照される接触力センサ400の分解図である。図2Dに示されるように、接触力センサ400は、スパイン214による心臓組織との接触が接触力センサ400に伝達され得るように、チューブ84(図2Dには図示せず)内で、バスケットアセンブリ38に対して近位に、バスケット38に可能な限り近接して配置される。接触力センサ400は、ビーム結合部材190の突出部194a、194b、194cとの対応する係合のために、円筒部材又はカプラ414の周囲に複数のノッチ414a、414b、414cが設けられたカプラ414を含む。スパイン保持ハブ又はカプラ90には、ビーム結合部材190の突出部192a、192b、192cと嵌合するノッチ416a、416b、416cが設けられている。スパイン保持ハブ又はカプラ416dの(スパイン保持ハブ又はカプラ90のために軸86に対して角度が付けられている)平坦面90が形成され、それによって各平坦面416dは軸86に対して角度が付けられ、各平坦面は、突出部194a、194b、194cの螺旋状経路(すなわち、ねじれ角)によって画定されるビーム結合部材190の角度に対して相補的である。接触力センサ400の3つの平坦面414d(斜視図のために図示せず)もまた、スパイン保持ハブ又はカプラ90の平坦面416dと同様の構成でカプラ414に提供され、3つの平坦面414dも軸86に対して角度が付けられ、それにより、カプラ414の各平坦面414dは、突出部194a~194cの螺旋状ランプ及び平坦面416dによって画定されるビーム結合部材190の角度経路に略平行になる。
【0049】
位置センサコイル422及び424は、軸86の周りに略等角構成で(ハブ96と結合するために)カプラ414に取り付けられる。例示的実施形態では、(X軸及びY軸のための)2つのコイルが、これらのコイルの位置(カプラ414に取り付けられ、それによってバスケットスパインと位置センサとの間の距離が知られているようにバスケットスパインの位置)を決定するために使用されるが、特定の状況では、他の2つの軸が他の可視化技術を介して知られている場合、1つの位置感知コイルのみが利用されてもよいことに留意されたい。同様に、3つの位置感知コイルもまた、カテーテルの包装制約に応じて使用され得る。接触力センサの詳細は、2021年3月18日に公開された米国特許公開第2021/0077180(A1)号に提供されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれ、優先権出願の米国特許出願第63/323,832号の付録に添付されている。
【0050】
図3Aは、拡張形態のバスケットアセンブリ38の斜視図であり、複数の可撓性スパイン214が、単一の切り欠き212を有する中心スパイン交差部211で収束している。各スパイン214は、複数の電極40を含むことができる。図示のように、各スパイン214は、スパイン214の少なくとも一部分を覆う絶縁ジャケット80によってそれぞれの電極40から絶縁することができる。加えて、各スパインは、図5Bにより明確に示されるフレーム押出成形部70を更に含むことができる。フレーム押出成形部70は、展開中に絶縁ジャケット80がスパイン214の周りで滑ったり移動したりするのを防止することによって、絶縁ジャケット80及び電極40の位置を維持するように機能することができる。フレーム押出成形部70はまた、スパイン214から電極40を絶縁するように機能することができる。
【0051】
図3Bは、図3Aのそれぞれのスパイン214、絶縁ジャケット80、及び電極40の断面図を図示する。いくつかの例では、電極40は、絶縁ジャケット80の断面形状に一致する実質的に円形又は楕円形の断面形状を有することができ、スパイン214は、実質的に長方形の断面形状を有することができる。絶縁ジャケット80はまた、それぞれのスパイン214が絶縁ジャケット80を通って延在することができるように、実質的に長方形の開口部を含むことができる。図3Bに示すように、電極40は、スパイン厚さT2と実質的に同様である電極本体厚さT1を含むことができる。いくつかの例では、複数のスパイン214は、約0.05mm(0.002インチ)~約0.15mm(0.006インチ)の断面厚さを有することができる。各電極本体40は、約0.03mm(0.001 インチ)~約0.13mm(0.005 インチ)の壁断面厚さを有することができる。各電極本体40は、約0.1mm(0.004インチ)~約0.3mm(0.012インチ)の壁断面厚さを有することができる。
【0052】
図2A図2Cに戻って参照すると、1つ以上の電極40をスパイン214に取り付けて、バスケットアセンブリ38を形成することができる。いくつかの例では、各電極40は、導電性材料(例えば、金、白金、及びパラジウム(並びにそれらのそれぞれの合金))を含み得る。
【0053】
図4A図4Cに示すように、電極40は、様々な断面形状、曲率、長さ、ルーメン数及びルーメン形状を有することができる。電極440は、医療デバイス22と共に使用することができる電極40の様々な構成を示すために提供されるが、限定として解釈されるべきではない。当業者は、電極40の様々構成が、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の技術を用いて使用することができることを理解するであろう。
【0054】
各電極440は、電極440から外向きに面する外面474と、電極440に向かって内向きに面する内面476とを有することができ、少なくとも1つのルーメン470が電極440を通って形成される。ルーメン470は、スパイン214が電極440を貫通することができるように、スパイン214を受容するようにサイズ決めされ、構成され得る。ルーメン470は、電極440を通る対称的な開口部とすることができ、それぞれの電極の中心軸87に対してオフセットして配置することができる。他の例では、ルーメン470は、それぞれの電極の中心軸87に対して概ね横方向に電極440を貫通することができる。更に、ルーメン470は、特定の構成に応じて、電極440内で電極440の下面のより近く、上面のより近く、又は中間のより近くに位置付けられ得る。図4A及び図4Bでは、上面(上側)は図面の上側を向き、下面(下側)は図面の下側を向き、中間は上面と下面との間にある。換言すると、各電極440は、電極440の重心に対してオフセットされたルーメン470を含むことができる。
【0055】
加えて、図4A図4Cに示されるように、電極440は、電極440が制御コンソール24と電気通信することができるように、それぞれのスパイン214及びワイヤが電極を貫通するのに十分な大きさのルーメン470を有することができる。図示されていないが、電極440はまた、1つ以上のワイヤがそれぞれのスパイン214と共にルーメン470を貫通するために、ルーメン470に隣接する電極440に凹部又は窪みを形成するワイヤリリーフを含むことができる。リリーフは、電極440が制御コンソール24と電気通信し得るように、電極440のワイヤが電極440を貫通するための空間を提供するようにサイズ決めされ得る。
【0056】
代替的に、又は加えて、ワイヤは、ワイヤルーメンを貫通することができる。図示していないが、電極40は、ルーメン470に隣接するワイヤリリーフ及びワイヤルーメンの両方を含んでもよい。かかる電極は、追加のワイヤが電極本体を貫通することを可能にし得る。
【0057】
図4A図4Cに示すように、電極440は、実質的に円形又は楕円形の断面形状を含むことができる。特に、電極440は、電極440の長さ方向を画定し、互いに接合して実質的に円形の形状を形成する第1のセクション441A及び第2のセクション441Bを含むことができる。2つのセクション441A、441Bは、各々、独立して、それぞれの電極440の中心軸87に対して内向きに湾曲する半円形又は半楕円形状であり得る。図示されていないが、2つのセクション441A、441Bは、それぞれの電極の寸法が、図4Aに示されるように、より円形であることができるように、又は第1のセクション441A若しくは第2のセクション441Bのいずれかにおいて、より楕円形又は実質的に平坦であることができるように、独立した長さ又は曲率であり得る。
【0058】
図5A及び図5Bは、本発明の実施形態による、所与の医療デバイス22の様々な絶縁ジャケット580A~580Cを示す概略描画図である。図5Aは絶縁ジャケット580Cの正面図であり、図5Bは斜視図である。絶縁ジャケット580A~580Cは、ポリアミド-ポリエーテル(Pebax)コポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ウレタン、ポリイミド、パリレン、シリコーンなど生体適合性の電気絶縁材料から作製され得る。いくつかの例では、絶縁材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)コポリマー(PLGA)、ポリカプロラクティブ(PCL)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシ吉草酸)(PHBV)、ポリ-L-ラクチド、ポリジオキサノン、ポリカーボネート、及びポリ無水物が挙げられるが、これらに限定されない生体適合性ポリマーを含み得、特定のポリマーの比率は、炎症反応の程度を制御するように選択される。絶縁ジャケット580A~580Cはまた、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛などの1つ以上の添加剤又は充填剤を含んでもよい。絶縁ジャケット580A~580Cは、絶縁ジャケット580A~580Cを貫通するスパイン214及び/又はワイヤを電極40から絶縁して、電極40からスパイン214へのアーク放電及び/又は絶縁ジャケット580A~580Cを貫通するワイヤの機械的摩耗を防止するのに役立ち得る。
【0059】
図5A及び図5Bに示すように、絶縁ジャケット580A~580Cは、実質的に円形又は楕円形である断面形状を含むことができる。絶縁ジャケットは、(図5Bに示されるような)単一ルーメン構成又は(図5Aに示される)複数ルーメン構成から成ってもよい。複数ルーメンジャケットは、合金フレーム及びワイヤが単一のルーメンを共有し、第2のルーメンが灌注に使用され得るように構成されてもよい。合金フレーム及びワイヤはまた、説明されるように、別個のルーメンを占有してもよい。本実施形態は、灌注ジャケットを利用しない。これらの設計では、絶縁ジャケットは、連続的(各合金フレーム支柱の近位端から遠位端まで延在する個々のスリーブ)、分割的(電極間隙間の架橋)、又は両方の組み合わせであってもよい。更に、絶縁ジャケット580A、580Bは、第1のルーメン582A、582B及び第2のルーメン584A、584Bを含むことができ、絶縁ジャケット580Cは、第1のルーメン582Cのみを含む。一構成では、第1のルーメン582A、582Bはスパイン214を受容するように構成することができ、第2のルーメン584A、584Bはワイヤを受容するように構成することができ、又はその逆も可能である。他の例では、第1のルーメン582A~582Cは各々、1つ以上の電極40に接続することができる1つ以上のワイヤに加えてスパイン214を受容するように構成することができる。更に、図5Bに示すように、絶縁ジャケット580A~580Cは、ワイヤを電極40に電気的に接続することができる開口586を含むことができる。図5Bでは、絶縁ジャケット580Cの底部に近接しているように図示されているが、開口586は、絶縁ジャケット580Cの上部又は側部に近接して位置付けることができる。更に、図5Bに示すように、絶縁ジャケット580Cは、複数の開口586を含むことができ、各開口は、用途に応じて絶縁ジャケットの同じ側(すなわち、上、下、左、右)又は絶縁ジャケットの異なる側に配置される。図5Bに示すように、フレーム押出成形部570は、展開中に絶縁ジャケット580Cが滑ったり、スパインの周りを移動したりするのを防止することによって、絶縁ジャケット580及び電極(図示せず)の位置を維持するように機能することができる。
【0060】
図5Cに示すように、フレーム押出成形部570は、バスケットアセンブリの中心交差部211に近接する遠位フレーム押出成形部570Aと、スパイン取り付け端部216に近接する近位フレーム押出成形部570Bとを含む、2つのセグメントから構成され得る。2つのセグメントを有するフレーム押出成形部570は、バスケットアセンブリ38の結合及び機械的性能を改善する場合がある。加えて、フレーム押出成形部570は、スパイン114と電極40との間に電気絶縁を提供することができる。2つのセグメント570A、570Bを有し、関連するスパイン114の中心にわたって延在するフレーム押出成形部がないフレーム押出成形部570は、バスケットアセンブリ38のより高い可撓性及び形状保持を可能にする場合がある。図示されていないが、フレーム押出成形部570は、それぞれのスパインの全長に沿って延在する単一の構成要素とすることができる。いくつかの例では、フレーム押出成形部570は、コーティングされていなくてもよいし、シリコーン、ウレタン、パリレン、(例えば、PEBAX(Arkema)及びVESTAMID E(Evonik Industries)の商品名で知られている)ポリエーテルブロックアミド、又はポリエチレンテレフタレートを含む材料でコーティングされていてもよい。コーティングは、フレーム押出成形部570の少なくとも一部分に沿って、又は各セグメント570A、570Bの一部分にわたって延在することができる。コーティングはまた、フレーム押出成形部570の全長に沿って、及び/又は各セグメント570A、570Bの全長に沿って延在することができる。コーティングは、非常に薄い壁厚さを生成するために熱収縮材料から構成されてもよい。コーティングは、更なる電気絶縁を提供すると共に、滑りにくい結合可能な表面を提供してもよい。いくつかの例では、フレーム押出成形部570は、1つ以上のセグメント化された(近位端及び遠位端)押出成形部と組み合わせられたいくつかの全長押出成形部を含む、いくつかの層から構成されてもよい。特定の例では、全長押出成形部は、患者に接触することができ、構造に応じて二次又は三次層を更に含んでもよい。
【0061】
図5Dは、中心交差部211に近接して位置付けられたそれぞれの遠位フレーム押出成形部570Aを示す概略描画図を提供する。遠位フレーム押出成形部570Aは、実質的に円形の断面形状を有することができ、近位ルーメン572Aは、それを通してスパイン214に緩く嵌合するようにサイズ決めされる。遠位フレーム押出成形部570Aはまた、スパイン214が貫通して緊密に嵌合するようにサイズ決めされた遠位ルーメン572Bを含むことができる。いくつかの例では、遠位フレーム押出成形部570Aの遠位ルーメン572Bは、スパイン214の周りで中心軸87に対して内向きにテーパ状になっており、スパイン214と緊密に嵌合し、スパイン214に沿った滑りを防止するようにサイズ決めされた実質的に長方形の断面開口部を形成する。
【0062】
図5E図5Gは、フレーム押出成形部570及び/又は絶縁ジャケット580の位置合わせを提供するためにスパイン214上に位置付けられたフレーム押出成形部573A、573Bの概略描画図を提供する。各それぞれのスパイン214は、レーザ切断又は他の好適な方法によってスパイン214に追加された1つ以上の隆起部573A又は貫通孔573Bを有してもよい。隆起部573A及び/又は貫通孔573Bの一方又は両方を有するスパイン214は、フレーム延長部570の接着結合を向上させると共に、機械的保持を向上させることができる。特定の長さの隆起部573B間の隙間は、隆起部ピーク間の押出成形部の「架橋」を最小限にするのに役立ち得る。図示されていないが、各遠位フレーム押出成形部570は、図7A図7Eに示されるスパイン214の長さに沿って延在する1つ以上の切り欠きと相互作用するように構成される、遠位フレーム押出成形部570Aの遠位ルーメン572Bの内部にノッチを提供することができる。
【0063】
図6A及び図6Bは、本発明の一実施形態による、所与の電極40に接続することができる所与のワイヤ600、650の断面図を示す概略描画図である。図6Aは、中実コアワイヤ600を示す。図6Bは、ストランドワイヤ650を示す。各ワイヤ600、650は、チューブ状シャフト84の少なくとも一部分及びチューブ状シャフト84を通って延在し得る。中実コアワイヤ600は、導電性コア材料602と、導電性コア材料602を取り囲む導電性カバー材料604とを含むことができる。同様に、ストランドワイヤ650は、導電性コア材料652と、導電性コア材料652を取り囲む導電性カバー材料654とを各々含むストランドを含むことができる。各ワイヤ600、650は、導体を取り囲む絶縁ジャケット606を含むことができる。ワイヤ600、650は、IREパルスを送達するのに十分な隣接するワイヤの電圧差に耐えるように構成され得る。好ましくは、ワイヤ600、650は、隣接するワイヤ間で少なくとも900V、より好ましくは少なくとも1,800Vに耐えることができる。隣接するワイヤの導体間での絶縁破壊の可能性を低減するために、導電性カバー材料604、654は、コア材料602、652と比較して低い導電性を有し得る。
【0064】
絶縁ジャケット606は、150~200℃の温度定格を有し、その結果、ワイヤ600の電極40へのはんだ付け中に(例えば、300℃の温度で)電気絶縁ジャケット606が溶融又は劣化(例えば、炭化及び崩壊)し、したがってワイヤ600の絶縁ジャケット606を機械的に取り去る必要がないように構成され得る。他の例では、絶縁ジャケット606は、医療用プローブ22の製造中及び/又は使用中に電気絶縁材料602が溶融又は劣化(例えば、炭化及び崩壊)するのを防止するために、200℃を超える温度定格を有し得る。絶縁ジャケット606は、ワイヤ600が電極40に電気的に接続される前に、ワイヤ600から機械的に取り去ることができる。
【0065】
図7A図7Eは、中心スパイン交差部211上の1つ以上の切り欠き212の様々な実施例を示す、バスケットアセンブリ38の上面図の概略絵図である。示されるように、交差部211は、図7A及び図7Bに示されるように、単一の個別の切り欠き212Aを含むことができる。代替的に、交差部211は、図7C及び図7Dで例として提供されるような2つ以上の切り欠き212Bを含むことができる。1つ以上の切り欠き212A、212Bは、スパイン214間の均等な屈曲を可能にするための中心対称(すなわち、中心点に対して対称)及び等角(すなわち、等しい角度を含む)、並びにスパイン214の不均等な屈曲を可能にして構造安定性を変更するための不均衡及び非対称などの様々なパターンを含むことができる。特定の例では、バスケットアセンブリ38が偶数のスパイン214を含むとき、1つ以上の切り欠き212のパターンは、図7Bに図示されるように、1つおきのスパインの間で変更することができる。いくつかの実施例では、1つ以上の切り欠き212は、各スパイン214の一部分に沿って延在し得る。図7A図7Eに図示される各設計は、別個に説明される。
【0066】
図7Aでは、バスケットアセンブリ38の遠位端は、(直径D1を有する仮想円213によって実質的に近似される)中心開口212A及び(合計6つの溝212Bを与える)各スパインのための溝212Bの組み合わせである、開放切り欠き212を有する。各スパインは、いずれか2つのスパイン間の所定の角度αの長手方向軸の周囲に概して等角度で配置される。各溝212Bは、直径D2を有する仮想円215が溝212Bに隣接するように、仮想円D1の円周から略長さL1に延在する溝幅Sを有する。第2の仮想円215は、第1の仮想円213の直径D1の約3.6倍の直径D2を有する。一実施形態では、(中心切り欠き212A及び開放溝212Bによって表される)切り欠き212は、約1.1mmの仮想円213の直径及び約4mmの仮想円215を有する約1.9mmの負の面積を有し、各開放溝212Bは、この設計の全ての切り欠きによって画定される負の面積が約1.9mmを含むように、仮想円213から約1.5mmにわたって延在する約0.08mmの幅Sを有する。
【0067】
図7Bでは、バスケット38は、6本のスパイン214の各々の中に放射状に広がる開放中心212Aを有するように構成されたその遠位部分を有する。開放中心212Aは、半径r1を有する仮想円によって近似され得る第1の面積A1を有する。約120度離れた3本のスパインは、バスケット38の近位部分に向かって後方に延在するテーパ溝212Bを有する。約120度離れた3つの他のスパインは、バスケット38の近位部分に向かって配置された面積A3を有する大きな開口217を有する。切り欠き面積A3は、開口217が半径r2を有する仮想円215の内周に隣接するように、半径r3を有する仮想円によって近似され、スパイン214上に配置され得る。この構成では、各第3の面積A3が、第1の開放面積A1の約1/4である一方で、切り欠き全体の負の総表面積は、空の空間の第1の開放面積A1の約1.6倍を含み、(半径r2で計算される)第2の面積A2は、第1の面積A1の約7倍を含む。加えて、第2の面積A2は、第3の面積A3の約36倍を含む。半径r3が、半径r1の約0.4倍の半径を含む一方で、半径r2は、半径r1の約2.8倍の半径を含む。例示的な一実施形態では、空の空間A1の第1の開放面積は、約2mmを含み、(半径r2によって画定される)第2の面積A2は、約15mmであり、第3の面積A3は、約0.4mmを含み、全ての切り欠きの総面積は、約3.5mmを含み、半径r1は、約0.8mmであり、r2は、約2.2mmであり、r3は、約0.4mmである。
【0068】
図7Cでは、この設計は、オタマジャクシ型切り欠き(tadpole shaped cutout)211がスパイン214の各々の上に配置された、(長手方向軸86と一致する)バスケット38の中心に配置された小さい開口212Aを有する。各オタマジャクシ型切り欠き211は、溝付き切り欠き212Cと併合される開口切り欠き212Bによって画定される。開口212A又は212Bは円に近似して示されているが、各開口212A又は212Bが必要な負の面積を有する限り、任意の形状で切り欠き開口212A又は212Bを有することは本発明の範囲内であることに留意されたい。開口212Aが円として構成されている場合、開口212Aが、半径r0を有する第1の仮想円によって近似され得る(負の面積の)中心空隙A0を有する一方で、各開口212Bは、半径r2を有する第2の仮想円によって表され得る第2の面積A2を有する。開口212B(又はオタマジャクシ型切り欠きの「頭部」)は、開口212Bが半径r1を有する第1の仮想円に隣接するように半径方向に配列されている。第2の仮想円が、開口212Aを表す第1の仮想円の半径r0の1.2倍の第2の半径r2を有し得る一方で、第1の仮想円r1は、中心仮想円r0の半径の約1.5倍の半径r1を有し得る。尾部又は「尾部」の溝付き開口212Cは、各尾部が第3の仮想円215の内周に隣接するように、バスケット38の近位端に向かって長さL1に延在する。スロット長さL1は、第1の半径r1の約6~10倍の長さを含む。第3の仮想円215は、半径r3が第1の半径r1又は中心半径r0のいずれかの約10~15倍の半径を含む、長手方向軸86から延在する半径r3を有し得る。(多くの中でも)例示的実施形態では、オタマジャクシ型切り欠き211の各々の負の面積が、約0.2mmを含む一方で、中心開口212Aの負の面積は、切り欠きの全てによって画定された負の総面積が約1.4mmであるように、約0.05mmを含む。同じ例示的実施形態では、中心半径r0は、約0.13mmであり得、第2の半径r2は、約0.2mmであり得、第1の半径r1は、約0.23mmであり得る。
【0069】
図7Dでは、バスケット38の設計には、スパイン214の略中心(すなわち、軸86)に開口212Aが提供されている。各スパイン214には、開放テーパ状スロット尾部212Cが各スパイン214の近位部分に向かってテーパ状である、頭部212Bを有する彗星形状の切り欠き211が提供されている。彗星形状の切り欠き212Bは、切り欠き211の遠位頭部212Bが第2の仮想円213の外周に隣接する一方で、切り欠き211の近位スロット付き開口212Cが第3の仮想円215の内周に隣接するように配列されている。開口212Aが半径r0を有する中心軸86上に位置する円形孔として構成され、第1の半径r1が中心半径r0の約90%を含む場合、第2の仮想円213が、中心半径r0の約2.5倍の第2の半径r2を有し得る一方で、第3の仮想円215は、中心半径r0の約10倍の半径r3を有する(全て中心軸86から測定される)。スパイン214は、第1の幅W1を有し、これは、彗星形状の切り欠き212Bによって、各アームが幅W1の約1/3の第3のスパイン幅W3を含む、2つのより狭いスパインアームに細分される前に、中心軸86に向かって、その最も狭い点で第1のスパイン幅W1の約66%のより狭い第2のスパイン幅W2までテーパ状である。彗星形状の切り欠き212Bは、最大スパイン幅W1の約1.8倍のスパインに沿った長さL1を有する。
【0070】
図7Eでは、バスケット38のための放射スパイン214の(長手方向軸86上の)中心は、バスケットの中心に、生物学的組織に対して(そのような中心開口の縁において)鋭利な縁表面として作用する空隙が存在しないように、切り欠きを有していない。バスケット38の遠位部分の付近でスパインの一貫した折り畳みを可能にするために、各スパインには、頭部212Bから尾部212Cまで延在するオタマジャクシ型切り欠き211が提供されている。頭部212Bは、頭部212Bが半径r1を有する第1の仮想円213の外周に隣接するように配列されている。各頭部212Bは、第1の半径r1の約90%の半径r2を有する第2の仮想円によって近似され得る負の表面積を有する。尾部212Cは、第1の半径の約10倍の半径r3を有する第3の仮想円215によって境界付けられる。尾部の各々の長さL1は、スパイン214の幅W1の約1.5倍の長さを含む。(多くのうちの)一例示的実施形態では、6つの切り欠きの負の総面積は、約1.5mmを含む。
【0071】
スパイン214は、スパイン214の各それぞれの取り付け端部216が、(図2Bに示されるように)チューブ状シャフト84の遠位端85及びスパイン保持ハブ90のリリーフランド96(図示せず)に挿入され得るように、折り畳まれるか、又は別様に屈曲され得る。図10A及び図10Bには示されていないが、スパインがチューブ状シャフト84に挿入されてバスケットアセンブリ38を形成する前に、電極40をスパイン214に取り付けることができることが理解されるであろう。前述のように、スパイン214は、バスケットアセンブリ38がチューブ状シャフト84から展開されるときにバスケットアセンブリ38がその拡張形態(図2Aに示すように)に移行することを可能にし得る、可撓性の弾性材料(例えば、ニチノールとしても知られているニッケル-チタンなど形状記憶合金)を含み得る。本開示の随所で明らかになるように、スパイン214は、電極40から電気的に絶縁されて、電極40からそれぞれのスパイン214へのアーク放電を防止することができる。
【0072】
本開示の利益を享受する当業者によって理解されるように、平面材料の単一シートから形成され、中心交差部で収束するスパイン214を含む、図2A図2Cに示されるバスケットアセンブリ38は、単に例証目的のために提供され、開示された技術は、バスケットアセンブリ38の他の構成に適用可能であり得る。例えば、バスケットスパインアセンブリの記載された構成は、ニチノール管をレーザ切断し、スパインをチューブ状ストックから実質的に本明細書に示される平面形態に熱処理することを介して得ることができる。同様に、開示された技術は、単一のスパイン214又は各スパイン214が両端に取り付けられた複数のスパイン214から形成されたバスケットアセンブリ38に適用可能であり得る。他の例では、バスケットアセンブリ38は、バスケットアセンブリ38の遠位端39において複数のスパイン214を互いに接続する中心ハブを含むことができる。更に他の例では、バスケットアセンブリ38は、螺旋を形成するように構成された単一のスパイン214、螺旋を形成するように構成された複数のスパイン214、1つ又は複数の三脚を形成するように構成された複数のスパイン214、又はバスケットアセンブリ38の任意の他の形状を含み得る。したがって、図2A図2Cはバスケットアセンブリ38の特定の構成を示すが、開示技術はそのように限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0073】
本明細書に示される例示的実施形態では、スパイン幅Wは、約0.6mmの公称幅を有してもよく、0.2mmと同程度の小ささ又は1.5mmと同程度の大きさであり得る。各スパインの厚さは、公称上0.09mmであり得、0.05mmから0.2mmまで変化し得る。幅及び厚さのこれらの値は、所望される剛性に応じて変化し得ることに留意されたい。
【0074】
図8A及び図8Bは、バスケットアセンブリが展開されると、スパインが外形を含む三次元形状を画定するように、バスケットアセンブリ38A、38Bの外形輪郭を示す概略描画図である。バスケットアセンブリは、図8Aに示されるような略円形の外形を含む、略回転楕円体であり得る。バスケットアセンブリは、図8Bに示されるような略楕円形の外形を含む、略偏楕円体の形状を有することができる。形状の全ての変形例を本明細書に示すか、又は説明するわけではないが、当業者は、スパイン214が、特定の用途に好適であるような他の種々の形状を形成するように更に構成され得ることを理解するであろう。
【0075】
拡張形態時に種々の形状を形成するように構成されたスパイン214を含むことによって、バスケットアセンブリ38は、スパイン214に取り付けられた種々の電極40を様々な位置に位置付けるように構成され得、各位置は、チューブ状シャフト84の遠位端によりも近いか、又は遠い。例えば、図8Aに示すスパイン214の中間付近でスパイン214取り付けられた電極40は、バスケットアセンブリ38の拡張形態時に、図8Bに示すスパイン214よりもチューブ状シャフト84の遠位端から遠くにある。加えて、各スパイン214は、楕円形(例えば、円形)又は長方形(平坦に見える場合がある)の断面を有してもよく、可撓性で弾性の材料(例えば、ニッケルチタン(ニチノールとしても知られている)、コバルトクロム、又は任意の他の好適な材料などの形状記憶合金)を含む。
【0076】
図9図10A及び図10Bは、バスケットアセンブリ38を形成するスパイン214の図を示す概略描画図である。図9は、平面材料シート210がチューブ状シャフト84と合わせて組み立てられてもよい方法の一例を提供し、それぞれの取り付け端部216がスパイン保持ハブ90に接続されるときに、各スパイン214は屈曲又は湾曲する。図10Aに示されるように、スパイン214は、平面材料の単一シート210から形成されて、略星形状を形成することができる。換言すると、スパイン214は、スパイン214が中心交差部211に向かって集合するように、単一の平面材料シートから形成され得る。交差部211は、(図10Aに示されるように)中実材料片であり得るか、又は(図10Bに示されるように)1つ以上の切り欠き212を含むことができる。バスケットアセンブリ38は、平面材料の単一シート210からの約4本~約10本のスパインに及ぶスパイン214を含むことができる。
【0077】
スパインアセンブリ210は、接着剤又は成形などの好適な技法を介してチューブ状部材84に物理的に接続することができる。ここで図10Cに示される一実施形態では、チューブ状部材84へのスパインの組立並びに物理的保持を補助するために、アイレット216a並びにロケータ216bを提供することができる。
【0078】
所望される場合、円筒形状因子から図10Cに示されるような回転楕円体形態へのスパインアセンブリ210’の完全拡張を確実にするために、バルーンBLを、図10Dに示されるようにスパインアセンブリ210’の内側に提供することができる。バルーンBLは、ポリマー材料を含むことができる。図10Cの実施形態では、スパインアセンブリは、近位部分210A及び遠位部分210Bが一部品材料であるように、チューブ状円筒ストック材料から作製することができる。チューブ状ストックは、図10Eに示されるように、スパインアセンブリ210’のための所望の形状に切断される。その後、切断された管は、図10Fに示される回転楕円体スパイン構成を提供するために、当業者によって公知であるように形状設定(又は熱設定)することができる。
【0079】
図11は、本発明の一実施形態による、バスケットアセンブリ38を製造する方法1100を示すフロー図である。方法1100は、拡張可能バスケットアセンブリ38のスパインを電極40と位置合わせすること1102を含むことができる。電極は、それぞれのスパイン214が電極本体を通って延在するように、電極本体を通るルーメンを画定する電極本体を含むことができる。電極本体は、実質的に円形の断面形状を含むことができる。方法1100は、各スパインを少なくとも1つの電極40のルーメンに挿入すること(1104)を含むことができる。電極40は、隣接するスパイン214上の電極40間で電極がオフセットするように位置付けられ得る。方法1100は、中心スパイン交差部211が医療用プローブ22の遠位端39に位置付けられ、それぞれのスパインがチューブ状構成から湾曲構成に移動可能であるように、スパイン216の端部を、血管系を横断するようにサイズ決めされたチューブ状シャフト84に嵌合させること(1106)を含むことができる。本開示の利益を含む当業者によって理解されるように、スパインの端部をチューブ状シャフトに嵌合させること(1106)は、スパイン214をスパイン保持ハブ90に取り付けることを含むことができる。更に、スパイン保持ハブ90及び/又はスパイン214並びにチューブ状シャフト84は、可撓性挿入管30に挿入されて、医療用プローブ22を形成することができる。
【0080】
いくつかの例では、本方法はまた、スパインを用いて略回転楕円体又は偏楕円体の形状を形成することを含むことができる。方法1100は、ワイヤを1つ以上の電極に電気的に接続することを更に含むことができる。方法1100はまた、実質的に長方形の断面形状を有するスパインを覆って絶縁ジャケットを配置することを含むことができる。電気絶縁ジャケットは、それぞれのスパインが通って延在することができるように、実質的に長方形の断面形状を有する開口部を画定する本体を含むことができる。
【0081】
方法は、平面材料シート210を切断して、中心スパイン交差部211を含む複数のスパイン214を形成することを含むことができる。複数のスパイン214を切断することは、長手方向及び横方向のスコアを含むパターンから切断することを含むことができる。平面弾性材料シートは、ニッケル-チタン(ニチノールとしても知られる)、コバルトクロム、又は任意の他の好適な材料など形状記憶合金を含み得る。方法1100は、中心スパイン交差部211において個別の切り欠き212を切断することを含むことができる。上述したように、個別の切り欠き212は、単一の切り欠き又は2つ以上の切り欠きであり得る。加えて、1つ以上の個別の切り欠きは、各スパインの少なくとも一部分に沿って延在するパターンで切断され得る。いくつかの例では、ステップは、同時ステップとして、又は一連のステップとして起こってもよい。代替として、金属ストランドは、平面シートを切断することによって形成されるパターンと同様に成形することができる。
【0082】
当業者によって理解されるように、方法1100は、本明細書に記載の開示技術の様々な特徴のいずれかを含み得、特定の構成に応じて様々であり得る。したがって、方法1100は、本明細書で明示的に記載した特定のステップ及びステップの順序に限定されるものとして解釈されるべきではない。IRE又はPFAについては、医療用プローブの例示的な実施形態が好ましいが、医療用プローブを、RFアブレーション(外部接地電極を有する単極モード又は双極モード)のためだけに別個に使用すること、又はIREアブレーション及びRFアブレーションを組み合わせて順次使用すること(IREモードの特定の電極及びRFモードの他の電極)、又は同時に使用すること(IREモードの電極及びRFモードの他の電極の群)も本発明の範囲内であることに留意されたい。
【0083】
本明細書に記載の本開示の技術は、以下の条項に従って更に理解することができる。
条項1:医療用プローブであって、近位端及び遠位端を有し、医療用プローブの長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトと、チューブ状シャフトの遠位端に結合された拡張可能バスケットアセンブリとを備え、拡張可能バスケットアセンブリが、長手方向軸に沿って延在し、中心スパイン交差部で収束する複数のスパインを備え、複数のスパインのうちの各スパインが、複数の電極であって、各電極が電極本体を含み、電極本体が、電極本体を通るルーメンを画定し、それぞれのスパインが電極本体ルーメンを通って延在する、複数の電極と、複数のスパインのうちのそれぞれのスパインと複数の電極のうちのそれぞれの電極との間に配置され、それによって複数の電極を複数のスパインから電気的に絶縁する電気絶縁ジャケットとを備え、各電極本体及び電気絶縁ジャケットの断面形状が、実質的に円形の形状を含む、医療用プローブ。
条項2:複数のスパインが、実質的に長方形の断面形状を含み、電気絶縁ジャケットが、内部を通る開口部を画定する本体を備え、それぞれのスパインが電気絶縁ジャケット本体を通って延在し、開口部が、実質的に長方形の断面形状を含む、条項1に記載の医療用プローブ。
条項3:電気絶縁ジャケットが、それぞれのスパインの少なくとも一部分に沿って配置されている、条項1及び2に記載の医療用プローブ。
条項4:電気絶縁ジャケットが、中心スパイン交差部を除くそれぞれのスパインの全長に沿って配置されている、条項1及び2に記載の医療用プローブ。
条項5:電気絶縁ジャケットが、それぞれのスパイン端部を除くそれぞれのスパインの全長に沿って配置されている、条項1及び2に記載の医療用プローブ。
条項6:各電極の断面厚さが、スパインの寸法と実質的に同様の寸法を含み、各電極の断面厚さが、拡張可能バスケットアセンブリが圧潰形態から拡張形態に移行するときに、各電極が長手方向軸から半径方向外向きに湾曲することを可能にするように構成されている、条項1~5のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項7:電気絶縁ジャケットの各々が、それぞれのスパインを受容するように構成された第1のルーメンを備える、条項1~6のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項8:複数の電気絶縁ジャケットのうちの各々が、第1の開口部と第2の開口部とを備え、第1の開口部が第1のワイヤを受容するように構成され、第2の開口部がそれぞれのスパインを受容するように構成されている、条項1~6のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項9:複数のスパインのうちの各スパインが、それぞれのスパインとそれぞれの電気絶縁ジャケットとの間に配置されたフレーム押出成形部を更に備える、条項1に記載の医療用プローブ。
条項10:フレーム押出成形部が、それぞれのスパインの少なくとも一部分に沿って配置されている、条項9に記載の医療用プローブ。
条項11:フレーム押出成形部が、中心スパイン交差部に近接する電気絶縁ジャケットの出口を越えて延在している、条項9及び10に記載の医療用プローブ。
条項12:フレーム押出成形部が、それぞれのスパイン端部に近接する電気絶縁ジャケットの出口を越えて延在している、条項9及び10に記載の医療用プローブ。
条項13:フレーム押出成形部が、それぞれのスパインを覆う電気絶縁ジャケットの位置を維持する、条項9~12に記載の医療用プローブ。
条項14:複数のスパインが、それぞれ隣接するスパイン間のそれぞれの角度が略等しいように、等角パターンで中心スパイン交差部から延在する、条項1~13のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項15:拡張可能バスケットアセンブリが、複数のスパインのうちの4個~10個のスパインを備える、条項1~13のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項16:複数のスパインのうちの各それぞれのスパインが2つの電極を備える、条項1に記載の医療用プローブ。
条項17:医療用プローブであって、ワイヤを更に備え、電極本体ルーメンが、医療用プローブのワイヤを受容するように構成されているリリーフを備える、条項1~16のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項18:ワイヤが電極に電気的に接続されている、条項17に記載の医療用プローブ。
条項19:ワイヤの少なくとも一部分が、第1の導電性を含む導電性コア材料と、第1の導電性よりも低い第2の導電性を含む導電性カバー材料とを備え、導電性カバー材料が導電性コア材料を取り囲み、絶縁ジャケットが導電性カバー材料を取り囲む、条項17~18のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項20:ワイヤの少なくとも一部分が、複数のストランドと、複数のストランドを取り囲む絶縁ジャケットとを備え、複数のストランドの各ストランドが、それぞれ、第1の導電性を含む導電性コア材料と、第1の導電性よりも低い第2の導電性を含む導電性カバー材料とを備え、導電性カバー材料が導電性コア材料を取り囲む、条項17~18のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項21.電極本体ルーメンが、電極の中心軸の周りに対称に配置されている、条項1~20のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項22:複数のスパインが、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタンから成る群及びそれらの組み合わせから選択される材料を備える、条項1~21のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項23:複数のスパインがポリマーを備える、条項1~21のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項24:複数の電極が、不可逆エレクトロポレーションのための電気パルスを送達するように構成され、電気パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する、条項1~21のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項25:複数のスパインが、拡張形態にあるときに、略球形の形状のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、条項1~24のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項26:複数のスパインが、拡張形態にあるときに、略偏楕円体のバスケットアセンブリを形成するように構成されている、条項1~24のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項27:灌注流体を複数の電極に送達するように構成されているスプレーポートを更に備える、条項1~26のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項28:拡張可能バスケットアセンブリのスパインを電極と位置合わせすることであって、電極が、内部を通るルーメンを画定する電極本体を備え、それぞれのスパインが電極のルーメンを通って延在し、電極本体が、実質的に円形の断面形状を備える、位置合わせすることと、スパインを電極のルーメンに挿入することと、スパインの端部を、血管系を横断するようにサイズ決めされたチューブ状シャフトに嵌合させて、拡張可能バスケットアセンブリがチューブ状構成から湾曲構成に移動可能であるようにすることとを含む、医療用プローブを作製する方法。
条項29:電気絶縁性ジャケットの第1のルーメンを通して拡張可能バスケットアセンブリのスパインを位置付けることと、電気絶縁ジャケットの第2のルーメンを通してワイヤを位置付けることと、電気絶縁ジャケットを覆って電極を位置付けることと、第2のルーメンと電極との間に経路を提供する電気絶縁ジャケットの開口を通してワイヤを電極に電気的に接続することとを更に含む、条項28に記載の方法。
条項30:複数のスパインのうちの各それぞれのスパインが、第1の電極と、第2の電極とを備え、方法が、拡張可能バスケットアセンブリのスパインを、電気絶縁ジャケットの第1のルーメンを通して位置付けることと、複数のスパインのうちの各それぞれのスパインを第1の電極及び第2の電極と位置合わせすることと、複数のスパインのうちの各それぞれのスパインを第1の電極のルーメン及び第2の電極のルーメン内に挿入することと、複数のスパインのうちの各それぞれのスパインの端部を、血管系を横断するようにサイズ決めされたチューブ状シャフトに嵌合させることとを更に含む、条項28に記載の方法。
条項31:隣接するスパイン間で電極をオフセットすることを更に含む、条項30に記載の方法。
条項32:電気絶縁ジャケットの断面形状が実質的に円形の形状を含む、条項28~31のいずれか一項に記載の方法。
条項33:ワイヤがスパインから絶縁されている、条項29~32のいずれか一項に記載の方法。
条項34:ワイヤの少なくとも一部分が、第1の導電性を含む導電性コア材料と、第1の導電性よりも低い第2の導電性を含む導電性カバー材料とを備え、導電性カバー材料が導電性コア材料を取り囲み、絶縁ジャケットが導電性カバー材料を取り囲む、条項29~33のいずれか一項に記載の方法。
条項35:ワイヤの少なくとも一部分が、複数のストランドと、複数のストランドを取り囲む絶縁ジャケットとを備え、複数のストランドの各ストランドはそれぞれ、第1の導電性を含む導電性コア材料と、第1の導電性よりも低い第2の導電性を含む導電性カバー材料とを備え、導電性カバー材料が導電性コア材料を取り囲む、第29~33項のいずれか一項に記載の方法。
条項36:複数のスパインが、ニチノール、コバルトクロム、ステンレス鋼、チタンから成る群から選択される材料を備える、条項28~35のいずれか一項に記載の方法。
条項37:複数のスパインがポリマーを備える、条項28~35のいずれか一項に記載の医療用プローブ。
条項38:不可逆エレクトロポレーションのための電気パルスを送達するように構成されている電極を更に備え、パルスが、少なくとも900ボルト(V)のピーク電圧を有する、条項28~37のいずれか一項に記載の方法。
条項39:複数のスパインを、略球形の形状のバスケットアセンブリを形成するように構成することを更に含む、条項28~38のいずれか一項に記載の方法。
条項40:複数のスパインを、略偏楕円体形状のバスケットアセンブリを形成するように構成することを更に含む、条項28~38のいずれか一項に記載の方法。
条項41:灌注流体を電極に送達するようにスプレーポートを構成することを更に含む、条項28~40のいずれか一項に記載の方法。
条項42:長手方向軸から半径方向に延在する複数のスパインと、電極本体を含む複数の電極であって、電極本体が、電極本体を通るルーメンを画定し、複数のスパインのうちの各スパインがルーメンを通って延在する、複数の電極と、複数のスパインのうちのそれぞれのスパインと複数の電極のうちのそれぞれの電極との間に配置された電気絶縁ジャケットとを備え、各電極本体及び電気絶縁ジャケットが実質的に円形の断面を含む、スパインバスケット部材。
条項43:長手方向軸に近接する空の空間の第1の開放面積を画定する切り欠きを更に備え、空の空間の第1の開放面積が、長手方向軸からの第1の直径を含む第1の仮想円に近似し、切り欠きが、複数のスパインの各々に開口スロットを画定するために第1の長さにわたって複数のスパインの各々の中に延在し、各スロットが、第1の仮想円よりも大きい第2の仮想円の円周に隣接している、条項42に記載のスパインバスケット部材。
条項44:複数のスパイン上の1つおきのスロットのうちの1つが、空の空間の第1の開放面積よりも小さい第3の面積を画定する開口を含む、条項43に記載のスパインバスケット部材。
条項45:第2の仮想円が、第3の面積の約36倍の第2の面積を画定する、条項44に記載のスパインバスケット部材。
条項46:第2の面積が、空の空間の第1の開放面積の約7倍を含む、条項45に記載のスパインバスケット部材。
条項47:第3の面積が、第1の開放面積の約1/4である一方で、切り欠き全体の負の総表面積が、空の空間の第1の開放面積の約1.6倍を含む、条項45に記載のスパインバスケット部材。
条項48:第3の面積が、半径を有する円を含み、第1の仮想円の第1の半径の約0.4倍の半径を含み、第2の仮想円の半径が、第1の半径の約2.8倍の半径を含む、条項45に記載のスパインバスケット部材。
条項49:空の空間の第1の開放面積が、約2mmを含み、第2の面積が、約15mmであり、第3の面積が、約0.4mmを含み、全ての切り欠きの総面積が、約3.5mmを含む、条項48に記載のスパインバスケット部材。
条項50:複数のスパインの各々の上のオタマジャクシ型切り欠きを更に備え、各切り欠きが、長手方向軸の周りに配置された第1の半径を有する第1の仮想円の円周に隣接している頭部を含み、頭部が、第2の半径を有する第2の仮想円に近似する負の面積を画定し、頭部が、スパインに沿って第1の長さにわたって延在し、第3の半径を含む第3の仮想円の内周に隣接しているスロット付き尾部に接続されている、条項42に記載のスパインバスケット部材。
条項51:第2の半径が、第1の仮想円の半径と略等しい半径を含み、第3の半径が、第1の仮想円の半径の約8~15倍の半径を含む、条項50に記載のスパインバスケット部材。
条項52:スロット付き尾部の第1の長さが、第1の仮想円の半径の長さの約6~10倍の長さを含む、条項51に記載のスパインバスケット部材。
条項53:長手方向軸上に配置され、第1の半径よりも小さい中心半径を含む中心円に近似する負の中心面積を画定する切り欠きを更に備える、条項50に記載のスパインバスケット部材。
条項54:オタマジャクシ型切り欠きの各々の負の面積が、約0.2mmを含む一方で、中心円の負の面積が、切り欠きの全てによって画定された負の総面積が約1.4mmであるように、約0.05mmを含む、条項50に記載のスパインバスケット部材。
条項55:中心空隙半径が、約0.13mmを含み、第2の半径が、約0.2mmを含み、第1の半径が、約0.23mmを含む、条項50に記載のスパインバスケット部材。
条項56:切り欠きが、各スパインの近位部分まで延在するスロット付きテーパ状尾部と共に頭部を有する彗星形状の切り欠きを画定する、条項50に記載のスパインバスケット部材。
条項57:長手方向軸からの中心半径を有するスパインの長手方向軸上に位置する円形孔を更に備える、条項56に記載のスパインバスケット部材。
条項58:第1の半径が、中心半径の約90%を含み、第2の仮想円が、中心半径の約2.5倍の第2の半径を含む一方で、第3の仮想円が、中心半径の約10倍の半径を含む、条項57に記載のスパインバスケット部材。
条項59:各スパインが、長手方向軸に向かってより小さい第2のスパイン幅までテーパ状であり、更に、彗星形状の切り欠き部分によって、彗星形状の切り欠きに沿って延在する2つのより狭いスパインアームに細分される第1のスパイン幅を含み、各狭いスパインアームが、第3のスパイン幅を含む、条項58に記載のスパインバスケット部材。
【0084】
これまで述べた実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、本明細書にこれまで具体的に図示し述べたものに限られるものではない。むしろ、本発明の範囲は、上記に記載及び図示される様々な特徴の組み合わせ及び副次的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むと当業者に想起されるであろう、従来技術で開示されていないそれらの変形例及び修正を含む。
【0085】
〔実施の態様〕
(1) 医療用プローブであって、
近位端及び遠位端を有し、前記医療用プローブの長手方向軸に沿って延在するチューブ状シャフトと、
前記チューブ状シャフトの前記遠位端に結合された拡張可能バスケットアセンブリとを備え、前記拡張可能バスケットアセンブリが、
前記長手方向軸に沿って延在し、中心スパイン交差部で収束する複数のスパインを備え、前記複数のスパインのうちの各スパインが、
複数の電極であって、各電極が電極本体を含み、前記電極本体が、前記電極本体を通るルーメンを画定し、前記それぞれのスパインが前記ルーメンを通って延在する、複数の電極と、
前記複数のスパインのうちのそれぞれのスパインと前記複数の電極のうちのそれぞれの電極との間に配置され、それによって前記複数の電極を前記複数のスパインから電気的に絶縁する電気絶縁ジャケットとを備え、
各電極本体及び電気絶縁ジャケットの断面形状が、実質的に円形の形状を含む、医療用プローブ。
(2) 前記複数のスパインが、実質的に長方形の断面形状を含み、
前記電気絶縁ジャケットが、内部を通る開口部を画定する本体を備え、前記それぞれのスパインが前記電気絶縁ジャケット本体を通って延在し、前記開口部が、実質的に長方形の断面形状を含む、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(3) 前記電気絶縁ジャケットが、前記それぞれのスパインの少なくとも一部分に沿って配置されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(4) 前記電気絶縁ジャケットが、前記中心スパイン交差部を除く前記それぞれのスパインの全長に沿って配置されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(5) 前記電気絶縁ジャケットが、前記それぞれのスパインの端部を除く前記それぞれのスパインの全長に沿って配置されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0086】
(6) 前記複数のスパインのうちの各スパインが、それぞれのスパインとそれぞれの電気絶縁ジャケットとの間に配置されたフレーム押出成形部を更に備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(7) 前記フレーム押出成形部が、前記それぞれのスパインの少なくとも一部分に沿って配置されている、実施態様6に記載の医療用プローブ。
(8) 前記フレーム押出成形部が、前記それぞれのスパインを覆う前記電気絶縁ジャケットの位置を維持する、実施態様6に記載の医療用プローブ。
(9) スパインバスケット部材であって、
長手方向軸から半径方向に延在する複数のスパインと、
電極本体を含む複数の電極であって、前記電極本体が、前記電極本体を通るルーメンを画定し、前記複数のスパインのうちの各スパインが前記ルーメンを通って延在する、複数の電極と、
前記複数のスパインのうちのそれぞれのスパインと前記複数の電極のうちのそれぞれの電極との間に配置された電気絶縁ジャケットとを備え、
各電極本体及び電気絶縁ジャケットが実質的に円形の断面を含む、スパインバスケット部材。
(10) 前記電気絶縁ジャケットが、前記それぞれのスパインの少なくとも一部分に沿って配置されている、実施態様9に記載のスパインバスケット部材。
【0087】
(11) 前記複数のスパインのうちの各スパインが、それぞれのスパインとそれぞれの電気絶縁ジャケットとの間に配置されたフレーム押出成形部を更に備える、実施態様9に記載のスパインバスケット部材。
(12) 前記複数のスパインのうちの各それぞれのスパインが、2つの電極を備える、実施態様9に記載のスパインバスケット部材。
(13) 前記長手方向軸に近接する空の空間の第1の開放面積を画定する切り欠きを更に備え、前記空の空間の第1の開放面積が、前記長手方向軸からの第1の直径を含む第1の仮想円に近似し、前記切り欠きが、前記複数のスパインの各々に開口スロットを画定するために第1の長さにわたって前記複数のスパインの各々の中に延在し、各スロットが、前記第1の仮想円よりも大きい第2の仮想円の円周に隣接している、実施態様9に記載のスパインバスケット部材。
(14) 前記複数のスパイン上の1つおきのスロットのうちの1つが、前記空の空間の第1の開放面積よりも小さい第3の面積を画定する開口を含む、実施態様13に記載のスパインバスケット部材。
(15) 前記複数のスパインの各々の上のオタマジャクシ型切り欠きを更に備え、各切り欠きが、前記長手方向軸の周りに配置された第1の半径を有する第1の仮想円の円周に隣接している頭部を含み、前記頭部が、第2の半径を有する第2の仮想円に近似する負の面積を画定し、前記頭部が、前記スパインに沿って第1の長さにわたって延在し、第3の半径を含む第3の仮想円の内周に隣接しているスロット付き尾部に接続されている、実施態様9に記載のスパインバスケット部材。
【0088】
(16) 前記切り欠きが、各スパインの近位部分まで延在するスロット付きテーパ状尾部と共に頭部を有する、彗星形状の切り欠きを画定する、実施態様15に記載のスパインバスケット部材。
(17) 前記長手方向軸からの中心半径を有する前記スパインの前記長手方向軸上に位置する円形孔を更に備える、実施態様16に記載のスパインバスケット部材。
(18) 医療用プローブを作製する方法であって、
拡張可能バスケットアセンブリのスパインを電極と位置合わせすることであって、前記電極が、内部を通るルーメンを画定する電極本体を備え、前記それぞれのスパインが前記電極の前記ルーメンを通って延在し、前記電極本体が、実質的に円形の断面形状を備える、位置合わせすることと、
前記スパインを前記電極の前記ルーメン内に挿入することと、
前記拡張可能バスケットアセンブリがチューブ状構成から湾曲構成に移動可能であるように、血管系を横断するようにサイズ決めされるチューブ状シャフトに前記スパインの端部を嵌合させることとを含む、方法。
(19) 複数のスパインのうちの各それぞれのスパインが、第1の電極と第2の電極とを備え、前記方法が、
前記拡張可能バスケットアセンブリの前記スパインを、電気絶縁ジャケットの第1のルーメンを通して位置付けることと、
前記複数のスパインのうちの各それぞれのスパインを前記第1の電極及び前記第2の電極と位置合わせすることと、
前記複数のスパインのうちの各それぞれのスパインを前記第1の電極のルーメン内及び前記第2の電極のルーメン内に挿入することと、
前記複数のスパインのうちの各それぞれのスパインの端部を、血管系を横断するようにサイズ決めされた前記チューブ状シャフトに嵌合させることとを更に含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 隣接するスパインの間で前記電極をオフセットすることを更に含む、実施態様19に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11
【外国語明細書】