(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143891
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、情報処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20230928BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】有
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023061286
(22)【出願日】2023-04-05
(62)【分割の表示】P 2022169926の分割
【原出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000206956
【氏名又は名称】大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(72)【発明者】
【氏名】中川 恭
(72)【発明者】
【氏名】出口 直幸
(72)【発明者】
【氏名】浜本 圭介
(72)【発明者】
【氏名】戸羽 正道
(72)【発明者】
【氏名】岩下 聡
(72)【発明者】
【氏名】坪内 美樹
(72)【発明者】
【氏名】郭 敬卓
(72)【発明者】
【氏名】吉江 美帆
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】対象ユーザにより実行された行動の履歴に基づいて対象ユーザの健康の状態を推定する、少なくとも部分的に向上した性能を有するプログラム、情報処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】通信システムが実行する方法は、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、対象ユーザの体重を識別するデータ、対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、対象ユーザの歩数を識別するデータ、対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ及び対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータのうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、推定モデルから出力させる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項2】
各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別するサンプル状態データと、を含む、複数組の教師データを、学習モデルに入力することにより生成された前記推定モデルを、取得する、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別するサンプル状態データと、を含む、複数組の教師データを、学習モデルに入力することにより生成された前記推定モデルに対して、通信回線を介して接続される、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別するサンプル状態データと、を含む、複数組の教師データを取得し、
該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、前記推定モデルを生成する、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
複数の商品及び/又は複数のサービスのうち、前記対象状態データに対応する少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを決定する、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項1から請求項4のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
教師あり学習を実行することにより生成された別の推定モデルに前記対象状態データを入力することにより、該別の推定モデルから、前記少なくとも1つの対象商品及び/又は前記少なくとも1つの対象サービスを識別する提案データを出力させる、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
対象状態データと前記複数の商品及び/又は前記複数のサービスとを対応付けた検索テーブルに前記対象状態データを入力することにより、該検索テーブルから前記少なくとも1つの対象商品及び/又は前記少なくとも1つの対象サービスを識別する提案データを取得する、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含む、請求項1から請求項7のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサを具備し、
該少なくとも1つのプロセッサが、
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる、
ように構成される、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
端末装置又はサーバ装置である、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含む、請求項9又は請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得する段階と、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、
各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別するサンプル状態データと、を含む、複数組の教師データを取得する取得段階と、
該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力して、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、出力するように構成された推定モデル、
を生成する生成段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを前記推定モデルに入力することにより、該推定モデルから前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データを出力する推定段階、
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含む、請求項14又は請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件出願に開示された技術は、推定の対象とされるユーザ(対象ユーザ)により実行された行動の履歴を識別するデータを学習モデルに入力することにより、この対象ユーザの健康の状態を識別するデータを上記学習モデルから出力させる、コンピュータプログラム、情報処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象ユーザの購買履歴を記述するデータに基づいてこの対象ユーザの健康状態を推定する推定モデルを構築する手法が、特許第6916367号公報(特許文献1)に開示されている。なお、本特許文献は、参照により、その全体が本明細書に組み入れられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、対象ユーザにより実行された行動の履歴に基づいてこの対象ユーザの健康の状態を推定する手法として、より向上した性能を有する手法を提供することが、求められている。
【0005】
したがって、本件出願に開示された技術は、対象ユーザにより実行された行動の履歴に基づいてこの対象ユーザの健康の状態を推定するために用いられ、少なくとも部分的に向上した性能を有する、コンピュータプログラム、情報処理装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係るコンピュータプログラムは、「少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの睡眠の状態を識別する対象睡眠状態データであって、該対象ユーザの睡眠の性質を識別する対象性質データ、該対象ユーザの睡眠のリズムを識別する対象リズムデータ、該対象ユーザの睡眠時間を識別する対象時間データ、及び、該対象ユーザが属する睡眠カテゴリーを識別する対象カテゴリーデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象睡眠状態データを、前記推定モデルから出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
【0007】
一態様に係る情報処理装置は、「少なくとも1つのプロセッサを具備し、該少なくとも1つのプロセッサが、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの睡眠の状態を識別する対象睡眠状態データであって、該対象ユーザの睡眠の性質を識別する対象性質データ、該対象ユーザの睡眠のリズムを識別する対象リズムデータ、該対象ユーザの睡眠時間を識別する対象時間データ、及び、該対象ユーザが属する睡眠カテゴリーを識別する対象カテゴリーデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象睡眠状態データを、前記推定モデルから出力させる、ように構成され」得る。
【0008】
一態様に係る方法は、「コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得する段階と、教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの睡眠の状態を識別する対象睡眠状態データであって、該対象ユーザの睡眠の性質を識別する対象性質データ、該対象ユーザの睡眠のリズムを識別する対象リズムデータ、該対象ユーザの睡眠時間を識別する対象時間データ、及び、該対象ユーザが属する睡眠カテゴリーを識別する対象カテゴリーデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象睡眠状態データを、前記推定モデルから出力させる段階と、を含む」ことができる。
【0009】
別の態様に係る方法は、「コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の状態を識別するサンプル睡眠状態データと、を含む、複数組の教師データを取得する取得段階と、該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力して、前記対象ユーザの睡眠の状態を識別する対象睡眠状態データであって、該対象ユーザの睡眠の性質を識別する対象性質データ、該対象ユーザの睡眠のリズムを識別する対象リズムデータ、該対象ユーザの睡眠時間を識別する対象時間データ、及び、該対象ユーザが属する睡眠カテゴリーを識別する対象カテゴリーデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象睡眠状態データを、ように構成された推定モデル、
を生成する生成段階と、を含む」ことができる。
【0010】
別の態様に係るコンピュータプログラムは、「少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの更年期症状の状態を識別する対象更年期状態データであって、該対象ユーザの更年期症状の総合的な状態を識別する対象総合状態データ、該対象ユーザの第1症状の状態を識別する対象第1状態データ、該対象ユーザの第2症状の状態を識別する対象第2状態データ、のうちの少なくとも1つを含む対象更年期状態データを、前記推定モデルから出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
【0011】
別の態様に係る情報処理装置は、「少なくとも1つのプロセッサを具備し、該少なくとも1つのプロセッサが、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの更年期症状の状態を識別する対象更年期状態データであって、該対象ユーザの更年期症状の総合的な状態を識別する対象総合状態データ、該対象ユーザの第1症状の状態を識別する対象第1状態データ、及び、該対象ユーザの第2症状の状態を識別する対象第2状態データ、のうちの少なくとも1つを含む対象更年期状態データを、前記推定モデルから出力させる、ように構成され」得る。
【0012】
別の態様に係る方法は、「コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得する段階と、教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの更年期症状の状態を識別する対象更年期状態データであって、該対象ユーザの更年期症状の総合的な状態を識別する対象総合状態データ、該対象ユーザの第1症状の状態を識別する対象第1状態データ、及び、該対象ユーザの第2症状の状態を識別する対象第2状態データ、のうちの少なくとも1つを含む対象更年期状態データを、前記推定モデルから出力させる段階と、を含む」ことができる。
【0013】
別の態様に係る方法は、「コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の状態を識別するサンプル更年期状態データと、を含む、複数組の教師データを取得する取得段階と、該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力して、前記対象ユーザの更年期症状の状態を識別する対象更年期状態データであって、該対象ユーザの更年期症状の総合的な状態を識別する対象総合状態データ、該対象ユーザの第1症状の状態を識別する対象第1状態データ、及び、該対象ユーザの第2症状の状態を識別する対象第2状態データ、のうちの少なくとも1つを含む対象更年期状態データを、出力するように構成された推定モデル、を生成する生成段階と、を含む」ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したサーバ装置10が有するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した通信システム1により実行される動作の一例を示すフロー図である。
【
図4】
図4は、アテネ不眠尺度の一例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、ピッツバーグ睡眠質問票の一例を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、ピッツバーグ睡眠質問票の一例を示す図である。
【
図5C】
図5Cは、ピッツバーグ睡眠質問票の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、不眠症重症度質問票の一例を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、ミュンヘンクロノタイプ質問票の一例を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、ミュンヘンクロノタイプ質問票の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、
図1に示した通信システム1において用いられる睡眠カテゴリーデータの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、
図1に示した通信システム1において用いられる睡眠カテゴリーデータの別の例を示す図である。
【
図11】
図11は、
図1に示した通信システム1において用いられる検索テーブルの一例を概念的に示す図である。
【
図12】
図12は、
図1に示した通信システム1により実行される動作の別の例を示すフロー図である。
【
図13】
図13は、簡略更年期指数(SMI)の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、
図1に示した通信システム1において用いられる検索テーブルの別の例を概念的に示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る健康予測システムを利用して、顧客の健康予測を行うためのデータの流れを模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係る統合健康予測プログラム100の機能構成の具体例を示す図である。
【
図17】
図17は、実施形態に係る購買データの具体例を示す図である。
【
図18】
図18は、実施形態に係る購買データの具体例を示す図である。
【
図19】
図19は、予測モデルの出力値に応じた顧客への提案を実現するためのテーブルの具体例を示す図である。
【
図20】
図20は、予測モデルの出力値に応じた顧客への提案を実現するためのテーブルの具体例を示す図である。
【
図21】
図21は、実施形態に係る統合健康予測プログラムの処理の流れを示す図である。
【
図22】
図22は、実施形態に係る統合健康予測プログラムが実行される情報処理装置のハードウェア構成の具体例を示す図である。
【
図23】
図23は、実施形態に係るモデル学習プログラムを含む学習システムの機能構成の具体例を示す図である。
【
図25】
図25は、更年期症状に関するH層の被験者による購入品目から見出された更年期症状と、健康課題との関係の具体例を示す図である。
【
図26】
図26は、H層に属する更年期症状を有する女性向けの商品カテゴリーの具体例を示す図である。
【
図27】
図27は、実施形態に係るモデル学習プログラムの処理の流れを示す図である。
【
図28】
図28は、実施形態に係るモデル学習プログラムが実行される情報処理装置のハードウェア構成の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の様々な実施形態を説明する。なお、図面において共通した構成要素には同一の参照符号が付されている。また、或る図面に表現された構成要素が、説明の便宜上、別の図面においては省略されていることがある点に留意されたい。さらにまた、添付した図面が必ずしも正確な縮尺で記載されている訳ではないということに注意されたい。
【0016】
本明細書において記載される、様々なシステム、方法および装置は、いかなる方法によっても限定されるものとして解釈されるべきではない。実際には、本開示は、開示された様々な実施形態の各々、これら様々な実施形態を相互に組み合わせたもの、および、これら様々な実施形態の一部を相互に組み合わせたもの、のうちのあらゆる新規な特徴および態様に向けられている。本明細書において記載される、様々なシステム、方法および装置は、特定の態様、特定の特徴、または、このような特定の態様と特定の特徴とを組み合わせたものに限定されないし、本明細書に記載される物および方法は、1もしくはそれ以上の特定の効果が存在することまたは課題が解決されることを、要求するものでもない。さらには、本明細書において記載された様々な実施形態のうちの様々な特徴もしくは態様、または、そのような特徴もしくは態様の一部は、相互に組み合わせて用いられ得る。
【0017】
本明細書において開示された様々な方法のうちの幾つかの方法の動作が、便宜上、特定の順序に沿って記載されているが、このような手法による記載は、特定の順序が以下特定の文章によって要求されていない限り、上記動作の順序を並び替えることを包含する、と理解すべきである。例えば、順番に記載された複数の動作は、幾つかの場合には、並び替えられるかまたは同時に実行される。さらには、簡略化を目的として、添付図面は、本明細書に記載された様々な事項および方法が他の事項および方法とともに用いられ得るような様々な方法を示していない。
【0018】
本開示の装置または方法に関連して本明細書に提示される、動作理論、科学的原理または他の理論的な記載は、よりよい理解を目的として提供されており、技術的範囲を限定することを意図していない。添付した特許請求の範囲における装置および方法は、このような動作理論により記載される方法により動作する装置および方法に限定されない。
【0019】
本明細書に開示された様々な方法のいずれもが、コンピュータにより読み取り可能な1またはそれ以上の媒体に記憶された、コンピュータにより実行可能な複数の命令を用いて実装され、さらに、コンピュータにおいて実行され得る。上記1またはそれ以上の媒体は、例えば、少なくとも1つの光学媒体ディスク、複数の揮発性メモリ部品、または、複数の不揮発性メモリ部品といったような、非一時的なコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であり得る。ここで、上記複数の揮発性メモリ部品は、例えばDRAMまたはSRAMを含む。また、上記複数の不揮発性メモリ部品は、例えばハードドライブおよびソリッドステートドライブ(SSD)を含む。さらに、上記コンピュータは、例えば、計算を行うハードウェアを有するスマートフォンおよび他のモバイル装置を含む、市場において入手可能な任意のコンピュータを含む。
【0020】
本明細書において開示された技術を実装するためのこのようなコンピュータにより実行可能な複数の命令のいずれもが、本明細書において開示された様々な実施形態の実装の間において生成され使用される任意のデータとともに、1またはそれ以上のコンピュータにより読み取り可能な媒体(例えば、非一時的なコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体)に記憶され得る。このようなコンピュータにより実行可能な複数の命令は、例えば、個別のソフトウェアアプリケーションの一部であり得るか、または、ウェブブラウザもしくは(リモート計算アプリケーションといったような)他のソフトウェアアプリケーションを介してアクセスまたはダウンロードされるソフトウェアアプリケーションの一部であり得る。このようなソフトウェアは、例えば、(例えば市場において入手可能な任意の好適なコンピュータにおいて実行されるプロセスとしての)単一のローカルコンピュータにおいて、または、1またはそれ以上のネットワークコンピュータを用いて、ネットワーク環境(例えば、インターネット、ワイドエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、(クラウド計算ネットワークといったような)クライアントサーバネットワーク、または、他のそのようなネットワーク)において、実行され得る。
【0021】
明確化のために、ソフトウェアをベースとした様々な実装のうちの特定の選択された様々な態様のみが記載される。当該分野において周知である他の詳細な事項は省略される。例えば、本明細書において開示された技術は、特定のコンピュータ言語またはプログラムに限定されない。例えば、本明細書において開示された技術は、C、C++、Java(登録商標)、または、他の任意の好適なプログラミング言語で記述されたソフトウェアにより実行され得る。同様に、本明細書において開示された技術は、特定のコンピュータまたは特定のタイプのハードウェアに限定されない。好適なコンピュータおよびハードウェアの特定の詳細な事項は、周知であって、本明細書において詳細に説明する必要はない。
【0022】
さらには、このようなソフトウェアをベースとした様々な実施形態(例えば、本明細書において開示される様々な方法のいずれかをコンピュータに実行させるための、コンピュータにより実行可能な複数の命令を含む)のいずれもが、好適な通信手段により、アップロードされ、ダウンロードされ、または、リモート方式によりアクセスされ得る。このような好適な通信手段は、例えば、インターネット、ワールドワイドウェブ、イントラネット、ソフトウェアアプリケーション、ケーブル(光ファイバケーブルを含む)、磁気通信、電磁気通信(RF通信、マイクロ波通信、赤外線通信を含む)、電子通信、または、他のそのような通信手段を含む。
【0023】
I.第1章
1.概要
本件出願に開示された技術では、簡潔にいえば、少なくとも1つの情報処理装置が、推定の対象とされるユーザ(対象ユーザ)により実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、この対象行動データを推定モデルに入力することにより、上記対象ユーザの健康の状態を識別するデータ(健康状態データ)を、上記推定モデルから出力させることができる。
【0024】
また、少なくとも1つの情報処理装置が、複数の商品及び/又は複数のサービスのうち、上記対象ユーザの健康状態データに対応する少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを決定することもできる。さらに、少なくとも1つの情報処理装置が、このように決定された少なくとも1つの対象サービス及び/又は少なくとも1つの対象サービスを識別する情報を出力することもできる。
【0025】
2.通信システムの構成
このような技術は、
図1に例示されるような通信システムを用いて実現可能である。
図1は、一実施形態に係る通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0026】
図1に示すように、一実施形態に係る通信システム1は、例えば、通信網2に接続可能な少なくとも1つのサーバ装置(情報処理装置)10と、通信網2に接続可能な少なくとも1つの端末装置(情報処理装置)20と、を含むことができる。
図1には、少なくとも1つのサーバ装置10として、2つのサーバ装置10A、10Bが例示されているが、任意の数のサーバ装置10が用いられ得る。同様に、
図1には、少なくとも1つの端末装置20として、2つの端末装置20A、20Bが例示されているが、任意の数のサーバ装置10が用いられ得る。
【0027】
各サーバ装置10は、他の少なくとも1つのサーバ装置10、及び/又は、少なくとも1つの端末装置20に対して、通信網2を介して接続可能である。また、各端末装置20は、他の少なくとも1つの端末装置20、及び/又は、少なくとも1つのサーバ装置10に対して、通信網2を介して接続可能である。
【0028】
各サーバ装置10は任意の情報処理装置であり得る。このような情報処理装置は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、スーパーコンピュータ及びメインフレーム等を、これらに限定することなく含むことができる。各端末装置20は任意の情報処理装置であり得る。このような情報処理装置は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、ワークステーション及び携帯情報端末等を、これらに限定することなく含むことができる。
【0029】
一例では、少なくとも1つのサーバ装置10は、任意のユーザの健康の状態を推定するサービス(「推定サービス」)、及び/又は、任意のユーザの健康の状態に対応する少なくとも1つの対象商品等を提案するサービス(「提案サービス」)を、運営する運営企業により管理される情報処理装置であり得る。なお、以下、便宜上、推定サービス及び/又は提案サービスを指す用語として、「推定サービス等」という用語を用いる場合がある。
【0030】
一例では、少なくとも1つのサーバ装置10及び/又は少なくとも1つの端末装置20は、上記運営企業から推定サービス等の提供を受ける企業ユーザ及び/又は個人ユーザにより管理される情報処理装置であり得る。
【0031】
上述した対象行動データを取得する動作は、少なくとも1つのサーバ装置10、及び/又は、少なくとも1つの端末装置20により実行され得る。
【0032】
上述した推定モデルは、少なくとも1つのサーバ装置10、及び/又は、少なくとも1つの端末装置20により生成され得る。このように生成された推定モデルは、少なくとも1つのサーバ装置10、及び/又は、少なくとも1つの端末装置20により保持され得る。このように保持された推定モデルは、少なくとも1つのサーバ装置10、及び/又は、少なくとも1つの端末装置20により利用され得る。
【0033】
上述した健康状態データを推定モデルから出力させる動作は、少なくとも1つのサーバ装置10、及び/又は、少なくとも1つの端末装置20により実行され得る。
【0034】
上述した少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを決定する動作は、少なくとも1つのサーバ装置10、及び/又は、少なくとも1つの端末装置20により実行され得る。上述した少なくとも1つの対象サービス及び/又は少なくとも1つの対象サービスを識別するデータを出力する動作は、少なくとも1つのサーバ装置10、及び/又は、少なくとも1つの端末装置20により実行され得る。
【0035】
なお、通信網2は、携帯電話網、無線ネットワーク、固定電話網、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、及び/又は、イーサネット(登録商標)ネットワークを、これらに限定することなく含むことができる。上記無線ネットワークは、例えば、Bluetooth(登録商標)、(IEEE 802.11a/b/nといったような)WiFi、WiMax、セルラー、衛星、レーザー、赤外線、を介したRF接続を、これらに限定することなく含むことができる。
【0036】
3.各情報処理装置が有するハードウェア構成
次に、各情報処理装置(サーバ装置10、端末装置20)が有するハードウェア構成の一例について説明する。
【0037】
(1)サーバ装置10のハードウェア構成
図2は、
図1に示したサーバ装置10が有するハードウェア構成の一例を示すブロック図である(なお、
図2において、括弧内の参照符号は、後述するように端末装置20に関連して記載されている)。
【0038】
図2に示すように、サーバ装置10は、中央処理装置11と、主記憶装置12と、入出力インターフェイス装置13と、入力装置14と、補助記憶装置15と、出力装置16と、を含むことができる。これら装置同士は、データバス及び/又は制御バスにより接続されている。
【0039】
中央処理装置11は、「CPU」と称され、主記憶装置12に記憶されている命令及びデータに対して演算を行い、その演算の結果を主記憶装置12に記憶させることができる。さらに、中央処理装置11は、入出力インターフェイス装置13を介して、入力装置14、補助記憶装置15及び出力装置16等を制御することができる。サーバ装置10は、1又はそれ以上のこのような中央処理装置11を含むことが可能である。
【0040】
主記憶装置12は、「メモリ」と称され、入力装置14、補助記憶装置15及び通信網2等(端末装置20等)から、入出力インターフェイス装置13を介して受信した命令及びデータ、並びに、中央処理装置11の演算結果を記憶することができる。主記憶装置12は、揮発性メモリ(例えば、レジスタ、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM))、不揮発性メモリ(例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、EEPROM、フラッシュメモリ)、及び、ストレージ(例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、磁気テープ、光学媒体)、といったようなコンピュータにより読み取り可能な媒体を、これらに限定することなく含むことができる。容易に理解されるように、「コンピュータにより読み取り可能な記録媒体」という用語は、変調されたデータ信号すなわち一時的な信号といったような送信媒体ではなく、メモリ及びストレージといったようなデータストレージのための媒体を含むことができる。
【0041】
補助記憶装置15は、主記憶装置12よりも大きな容量を有する記憶装置である。補助記憶装置15は、特定のアプリケーション等を構成する命令及びデータ(コンピュータプログラム)を記憶しておき、中央処理装置11により制御されることにより、これらの命令及びデータ(コンピュータプログラム)を、入出力インターフェイス装置13を介して主記憶装置12に送信することができる。補助記憶装置15は、磁気ディスク装置及び/又は光ディスク装置等をこれらに限定することなく含むことができる。
【0042】
ここでいう特定のアプリケーションは、オペレーションシステム、様々なソフトウェアアプリケーション(ウェブブラウザを含む)、推定サービス等を提供するために実行される専用のアプリケーション、推定サービス等の提供を受けるために実行される専用のアプリケーション等を、これらに限定することなく含むことができる。
【0043】
入力装置14は、外部からデータを取り込む装置であり、キーボード、タッチパネル、ボタン、マウス及び/又はセンサ(マイク、カメラ)等をこれらに限定することなく含むことができる。
【0044】
出力装置16は、ディスプレイ装置、タッチパネル及び/又はプリンタ装置等をこれらに限定することなく含むことができる。
【0045】
このようなハードウェア構成にあっては、中央処理装置11が、補助記憶装置15に記憶された上記特定のアプリケーションを構成する命令及びデータ(コンピュータプログラム)を順次主記憶装置12にロードし、ロードした命令及びデータを演算することができる。これにより、中央処理装置11は、入出力インターフェイス装置13を介して出力装置16を制御し、或いはまた、入出力インターフェイス装置13及び通信網2を介して、他の装置(例えば他のサーバ装置10及び/又は端末装置20等)との間で様々な情報(データ)の送受信を行うことができる。
【0046】
このように、サーバ装置10は、インストールされた上記特定のアプリケーションを実行することにより、推定サービス等を提供すること及び/又は推定サービス等の提供を受けることに関連する動作等(
図3及び
図12等を参照して後述する様々な動作等)を実行することができる。これに加えて又はこれに代えて、サーバ装置10は、ブラウザを実行して他のサーバ装置10にアクセスすることにより、推定サービス等を提供すること及び/又は推定サービス等の提供を受けることに関連する動作等(
図3及び
図12等を参照して後述する様々な動作等)を実行することもできる。
【0047】
なお、サーバ装置10は、中央処理装置11に代えて又は中央処理装置11とともに、1又はそれ以上のマイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含むこともできる。
【0048】
(2)端末装置20のハードウェア構成
図2において括弧内に示すように、端末装置20は、実質的にサーバ装置10と同様のハードウェア構成を有することができる。
図2に示すように、端末装置20は、中央処理装置21と、主記憶装置22と、入出力インターフェイス装置23と、入力装置24と、補助記憶装置25と、出力装置26と、を含むことができる。これら装置同士は、データバス及び/又は制御バスにより接続されている。これらの装置の各々は、サーバ装置10に関連して説明したとおりである。
【0049】
補助記憶装置25に記憶され中央処理装置21により実行される、特定のアプリケーションは、オペレーションシステム、様々なソフトウェアアプリケーション(ウェブブラウザを含む)、推定サービス等の提供を受けるために実行される専用のアプリケーション等を、これらに限定することなく含むことができる。また、特定のアプリケーションは、推定サービス等を提供するために実行される専用のアプリケーションを含むこともできる。
【0050】
このようなハードウェア構成にあっては、中央処理装置21が、補助記憶装置25に記憶された上記特定のアプリケーションを構成する命令及びデータ(コンピュータプログラム)を順次主記憶装置22にロードし、ロードした命令及びデータを演算することができる。これにより、中央処理装置21は、入出力インターフェイス装置23を介して出力装置26を制御し、或いはまた、入出力インターフェイス装置23及び通信網2を介して、他の装置(例えばサーバ装置10等及び/又は他の端末装置20等)との間で様々な情報(データ)の送受信を行うことができる。
【0051】
このように、端末装置20は、インストールされた上記特定のアプリケーションを実行することにより、推定サービス等の提供を受けること及び/又は推定サービス等を提供することに関連する動作等(
図3及び
図12等を参照して後述する様々な動作等)を実行することができる。これに加えて又はこれに代えて、サーバ装置10は、ブラウザを実行して他のサーバ装置10にアクセスすることにより、推定サービス等を提供すること及び/又は推定サービス等の提供を受けることに関連する動作等(
図3及び
図12等を参照して後述する様々な動作等)を実行することもできる。
【0052】
なお、端末装置20は、中央処理装置21に代えて又は中央処理装置21とともに、1又はそれ以上のマイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含むこともできる。
【0053】
4.睡眠の状態に関する睡眠状態データを提供するために通信システム2により実行される動作
次に、睡眠の状態に関する睡眠状態データを提供するために、上述した通信システム2により実行される動作の具体例について、さらに
図3を参照して説明する。
図3は、
図1に示した通信システム1により実行される動作の一例を示すフロー図である。
【0054】
(1)ステップ1000
まず、ステップ(以下「ST」という。)1000において、情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10Aが、推定モデルを生成するために用いられる複数組の教師データを取得して記憶することができる。
【0055】
複数組の教師データを構成する各組の教師データは、この組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するデータ(「サンプル行動データ」)と、この組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の状態を識別するデータ(「サンプル睡眠状態データ」)と、を含むことができる。例えば、第1組の教師データは、第1組に対応する1人のサンプルユーザ(Aさん)により実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、Aさんの睡眠の状態を識別するサンプル睡眠状態データと、を含むことができ、第2組の教師データは、第2組に対応する1人のサンプルユーザ(Bさん)により実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、Bさんの睡眠の状態を識別するサンプル睡眠状態データと、を含むことができる。
【0056】
(1A)サンプル行動データ
各サンプル行動データは、予め定められた複数の行動のうちの少なくとも1つの(1つの又は複数の)行動を識別するデータであり得る。ここで、予め定められた複数の行動の各々は、その行動を実行した人間の睡眠の状態に少なくとも部分的に良い影響又は悪い影響を与え得る行動であり得る。このような予め定められた複数の行動は、例えば、以下に例示するものをこれらに限定することなく含むことができる。
(人間の睡眠の状態に少なくとも部分的に良い影響を与え得る行動の例)
・1週間に2日以上のペースで1時間以上の有酸素運動を行った。
・毎日一定の時間に起床した。
・カフェインを含む飲料を1日に2杯以下に抑えた。
・1日の勤務時間が8時間以下であった。
・コーヒーを10本以上購入した(この行動は、例えば、コーヒーが属する商品カテゴリーとその購入数量とを含むデータにより識別され得る)。
(人間の睡眠の状態に少なくとも部分的に悪い影響を与え得る行動の例)
・1週間に1日以下のペースで1時間以上の有酸素運動を行った。
・毎日異なる時間に起床した。
・カフェインを含む飲料を1日に3杯以上飲んだ。
・1日の勤務時間が13時間以上であった。
・牛乳を5本以上購入した(この行動は、例えば、牛乳が属する商品カテゴリーとその購入数量とを含むデータにより識別され得る)。
【0057】
各サンプル行動データは、このように例示される予め定められた複数の行動のうち少なくとも1つの行動の各々を識別するデータであり得る。
【0058】
また、一例では、ユーザが購入した商品及び/又はユーザが利用したサービスが、そのユーザの睡眠の状態に良い影響又は悪い影響を与える傾向があり得ることから、上記予め定められた複数の行動は、サンプルユーザが購入した商品(又はその商品が属するカテゴリー)、サンプルユーザが利用したサービス(又はそのサービスが属するカテゴリー)を含むこともできる。この種の行動は、例えば、小売店舗(ドラッグストア、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等)等が保有するPOS(Point Of Sales)データを利用して生成され得る。
【0059】
一例では、予め定められた複数の行動の各々には、固有の識別データ(英字、数字又はこれらの組み合わせ等)が割り当てられており、各サンプル行動データは、このような識別データを含むことができる。例えば、POSデータを利用する場合には、複数のサンプル行動データの各々は、購入された商品に対応する、JICFS分類(分類コード)、商品カテゴリー、購入金額、購入数量、購入回数、性別、年齢、及び/又は、購入日等を、これらに限定することなく含むことができる。
【0060】
情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10Aは、このようなサンプル行動データを、例えば、以下に例示する方法のうち少なくとも1つの方法により取得することができる。
・情報処理装置が、通信網2を介して、少なくとも1つの他のサーバ装置10(例えばドラッグストア等に設置されたPOSデータを記憶する他のサーバ装置10、又は、このPOSデータにアクセス可能な他のサーバ装置10)から、POSデータを受信する。
・情報処理装置が、通信網2を介して、所定のアンケート(サンプルユーザにより実行された行動に関するアンケート)に対する回答を記載したメール又はウェブページを、少なくとも1つの端末装置20及び/又は少なくとも1つのサーバ装置10から受信する。
・情報処理装置が、上記所定のアンケートに対する複数のユーザによる回答を収集した少なくとも1つのサーバ装置10から通信網2を介してその回答の内容を受信する。
・情報処理装置が、上記所定のアンケートに対する複数のユーザによる回答を収集した記録媒体(USBメモリ、DVD-ROM等)を介して、その回答の内容を受信する。
【0061】
(1B)サンプル睡眠状態データ
各組の教師データに含まれるサンプル睡眠状態データは、以下に例示するデータのうちの少なくとも1つを、これに限定することなく、含むことができる。
・その組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の性質を識別するデータ(「サンプル性質データ」)
・その組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠のリズムを識別するデータ(「サンプルリズムデータ」)
・その組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠時間を識別するデータ(「サンプル時間データ」)
・その組に対応する1人のサンプルユーザ(の睡眠)が属する睡眠カテゴリーを識別するデータ(「サンプル睡眠カテゴリーデータ」)
【0062】
まず第1に、サンプル性質データは、そのサンプルユーザの睡眠の質が良いのか(例えばどの程度良いのか)悪いのか(例えばどの程度悪いのか)を識別するデータであり得る。一例では、サンプル性質データは、そのサンプルユーザの睡眠の質を総合的に評価したスコアを識別するデータであり得る。この場合、そのサンプルユーザの睡眠の質は、例えば、以下に例示するいずれかの方法で算出されたスコアを識別するデータであり得る。
【0063】
・アテネ不眠尺度(AIS)(
図4参照)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、アテネ不眠尺度に記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)(
図5A乃至
図5C参照)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、ピッツバーグ睡眠質問票に記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・3次元型睡眠尺度(3DSS)(
図6A及び
図6B参照)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、3次元型睡眠尺度に記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・不眠症重症度質問票(ISI)(
図7参照)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、不眠症重症度質問票に記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・その他の任意の質問票又は尺度に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、その質問票又は尺度に記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算することにより得られた修正スコア
【0064】
第2に、サンプルリズムデータは、そのサンプルユーザのリズムの質が良いのか(例えばどの程度良いのか)悪いのか(例えばどの程度悪いのか)を識別するデータであり得る。一例では、サンプルリズムデータは、そのサンプルユーザの睡眠のリズムを評価したスコアを識別するデータであり得る。
【0065】
この場合、そのサンプルユーザの睡眠のリズムは、例えば、サンプルユーザの平日の睡眠時間帯の中央時間と休日の睡眠時間帯の中央時間との差の絶対値であるソーシャルジェットラグ(又はこのソーシャルジェットラグを任意の手法で演算した値)を識別するデータであり得る。ここで、例えば、或るサンプルユーザの平日の睡眠時間帯が午前0時から午前6時である場合には、その中央時間は午前3時であり、そのサンプルユーザの休日の睡眠時間帯が午前3時から午前11時である場合には、その中央時間は午前7時であるため、ソーシャルジェットラグは4時間となる。一般的には、ソーシャルジェットラグが小さい(又は大きい)程、そのサンプルユーザの睡眠のリズムはより良い(又はより悪い)ということができる。
【0066】
サンプルユーザの平日及び休日のそれぞれの睡眠時間帯は、一例では、ミュンヘンクロノタイプ質問票(MCTQ)(
図8A及び
図8B参照)に記載された質問事項に対するそのサンプルユーザによる回答内容から抽出され得るし、別の例では、そのサンプルユーザから電子メール又はウェブページ等を介して取得され得る。
【0067】
第3に、サンプル時間データは、そのサンプルユーザの睡眠時間(1日の睡眠時間)を識別するデータであり得る。サンプルユーザの睡眠時間は、一例では、ミュンヘンクロノタイプ質問票(MCTQ)(
図8A及び
図8B参照)に記載された質問事項に対するそのサンプルユーザによる回答内容から抽出され得るし、別の例では、そのサンプルユーザから電子メール又はウェブページ等を介して取得され得る。
【0068】
第4に、サンプル睡眠カテゴリーデータは、サンプルユーザ(の睡眠)が属する睡眠カテゴリーを識別するデータであり得る。一例として、サンプル睡眠カテゴリーデータは、そのサンプルユーザのサンプル性質データと、そのサンプルユーザのサンプルリズムデータとに基づいて決定された、そのサンプルユーザ(の睡眠)が属するカテゴリーを識別するデータであり得る。この場合、睡眠カテゴリーは、例えば、以下の手法により定められ得る。
【0069】
図9は、
図1に示した通信システム1において用いられる睡眠カテゴリーデータの一例を示す図である。
図9に示すように、縦軸及び横軸の一方(ここでは横軸)に、サンプル性質データにより識別されるスコアが配置され、縦軸及び横軸の他方(ここでは縦軸)に、サンプルリズムデータにより識別される値が配置され得る。上記一方の軸には、サンプル性質データにより識別されるスコアに対して、少なくとも1つの(ここでは1つの)閾値、すなわち、閾値A1(6点)が設定され得る。上記他方の軸には、サンプルリズムデータにより識別される値に対して、少なくとも1つの(ここでは1つの)閾値、すなわち、閾値B1(1時間)が設定され得る。これにより、閾値A1及び閾値B1によって、睡眠の性質及び睡眠のリズムの観点から分割された、相互に異なる4つの睡眠カテゴリー(ここでは、睡眠カテゴリー10、11、20、21)が形成され得る。この例では、睡眠カテゴリー10は、睡眠に生じている障害が最も顕著である可能性の高いカテゴリーであり、睡眠カテゴリー21は、睡眠に生じている障害が最も少ない可能性の高いカテゴリーであり、睡眠カテゴリー11、20は、睡眠カテゴリー10と21との間に位置付けられるカテゴリーである、といえる。睡眠カテゴリーデータは、これら4つの睡眠カテゴリーのうちのいずれかの睡眠カテゴリーを識別するデータであり得る。
【0070】
図10は、
図1に示した通信システム1において用いられる睡眠カテゴリーデータの別の例を示す図である。
図10に示す例では、上記一方の軸には、サンプル性質データにより識別されるスコアに対して、例えば2つの閾値、すなわち、閾値A1(6点)及び閾値A2(8点)が設定され得る。上記他方の軸には、サンプルリズムデータにより識別される値に対して、例えば2つの閾値、すなわち、閾値B1(1時間)及び閾値B2(3時間)が設定され得る。これにより、閾値A1、A2及び閾値B1、B2によって、睡眠の性質及び睡眠のリズムの観点から分割された、相互に異なる9つの睡眠カテゴリー(ここでは、睡眠カテゴリー100、101、102、200、201、202、300、301、302)が形成され得る。この例では、睡眠カテゴリー300は、睡眠に生じている障害が最も顕著である可能性の高いカテゴリーであり、睡眠カテゴリー202は、睡眠に生じている障害が最も少ない可能性の高いカテゴリーであり、残りの睡眠カテゴリーは、睡眠カテゴリー300と202との間に位置付けられるカテゴリーである、といえる。睡眠カテゴリーデータは、これら9つの睡眠カテゴリーのうちのいずれかの睡眠カテゴリーを識別するデータであり得る。
【0071】
図9及び
図10に示した例は、便宜的に示した例に過ぎず、サンプル性質データにより識別されるスコアに対して、任意の数の閾値が設定され、サンプルリズムデータにより識別される値に対しても、任意の数の閾値が設定され得る。サンプル性質データ及びサンプルリズムデータの各々に対して、より多くの閾値を設定することにより、睡眠の性質及び睡眠のリズムの観点から分割された、相互に異なるより多くの睡眠カテゴリーを生成することが可能である。
【0072】
情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)は、サンプルユーザごとに、このようなサンプル行動データとサンプル睡眠状態データとを組み合わせて、そのサンプルユーザについて、1組の教師データを生成して記憶することができる。これを実現するために、例えば、情報処理装置は、取得した複数のサンプル行動データの中から、或るサンプルユーザを識別する識別データが付されたサンプル行動データを抽出し、取得した複数のサンプル睡眠状態データの中からこれと同一のサンプルユーザを識別する識別データが付されたサンプル睡眠状態データを抽出し、これらを組み合わせて、このサンプルユーザについての1組の教師データを生成して保存することができる。同様の処理を複数のサンプルユーザの各々について実行することにより、情報処理装置は、複数組の教師データを生成して保存することができる。
【0073】
(2)ステップ1002
図3に戻り、次に、ST1002において、情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)は、ST1000において取得された複数組の教師データを用いて、学習モデルを機械学習により学習させることにより、推定モデルを生成することができる。ここでいう機械学習は、任意の周知の機械学習、例えば、勾配ブースティング木(例えばLightGBM)、ニューラルネットワーク又は線形回帰等を、これらに限定することなく含み得る。
【0074】
情報処理装置は、複数組の教師データデータを、順次、学習モデルに入力することにより学習を実行させることができる。ここで、各組の教師データは、上述したように、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、その組に対応するサンプルユーザのサンプル睡眠状態データと、を含むことができる。情報処理装置は、各組の教師データに含まれるサンプル行動データを説明変数として用い、その組の教師データに含まれるサンプル睡眠状態データを目的変数として用いることができる。
【0075】
(2A)機械学習の例
情報処理装置は、例えば勾配ブースティング木を用いるケースでは、或る組の教師データに含まれるサンプル行動データ(説明変数)を学習データに入力したときに、サンプル睡眠状態データ(目的変数)及び推定値(すなわち、学習モデルから出力される値)から計算される目的関数を改善するように、決定木を作成して学習モデルに追加することができる。情報処理装置は、この処理を、ハイパーパラメータで定めた決定木の本数の分について繰り返すことができる。2本目以降の決定木については、目的変数とそれまでに作成した決定木による推定値との差について学習を行うことができる。このようにして、情報処理装置は、それぞれの決定木の分岐及び葉のウェイトを定めることができる。すなわち、勾配ブースティング木では、各決定木は、教師データのうちの説明変数を入力データとして決定木の各分岐を辿って到達する葉ノードの値を出力されるデータ(目的変数)とする。さらに、このデータ(目的変数)と、教師データのうちの目的変数との誤差が小さくなるように、決定木の各分岐の方法及び各葉ノードの値を最適化することができる。
【0076】
情報処理装置は、例えば、入力層、中間層及び出力層を含むニューラルネットワークを用いるケースでは、情報処理装置は、教師データのうちの説明変数を入力層に入力することによって出力層から出力されるデータ(目的変数)と、教師データのうちの目的変数との誤差を小さくするように、誤差逆伝搬法を用いて、ニューラルネットワークに含まれる各パラメータ(ウェイト)を最適化(学習)することができる。
【0077】
情報処理装置は、線形回帰を用いるケースでは、目的変数と推定値との誤差を改善するように、線形回帰モデルのパラメータを学習することができる。この線形回帰モデルは、入力層及び出力層に分かれており、教師データのうち説明変数を入力データとして入力層に入力することによって出力層から出力されるデータ(目的変数)と、教師データのうち目的変数との誤差が小さくなるように、最小二乗法を用いて、線形回帰モデルに含まれるパラメータを最適化することができる。
【0078】
(2B)複数組の教師データに含まれる第1の複数組の教師データ
一例では、情報処理装置は、複数組の教師データに含まれる第1の複数組の教師データを用いて、推定モデルを生成(更新)することができる。第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、その組に対応するサンプルユーザのサンプル睡眠状態データと、を含むことができる。ここで、各組の教師データにおけるサンプル睡眠状態データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル性質データと、そのサンプルユーザのサンプルリズムデータと、を含むことができる。
【0079】
この場合、情報処理装置は、第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、前処理を実行することができる。具体的には、情報処理装置は、各組の教師データに含まれる、サンプル性質データとサンプルリズムデータとを用いて、
図9及び
図10を参照して上述した処理を行うことにより、その組について、サンプル睡眠カテゴリーデータを生成する、という前処理を実行することができる。これにより、情報処理装置は、前処理後の第1の複数組の教師データ(各組の教師データが、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、そのサンプルユーザのサンプル睡眠カテゴリーデータと、を含む)を、学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。このような推定モデルは、後述するように、説明変数として、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力することに応答して、対象ユーザが属する睡眠カテゴリーを識別する対象睡眠カテゴリーデータを、少なくとも出力することができるようになる。
【0080】
(2C)複数組の教師データに含まれる第2の複数組の教師データ
一例では、情報処理装置は、複数組の教師データに含まれる第2の複数組の教師データを用いて、推定モデルを生成(更新)することができる。第2の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、その組に対応するサンプルユーザのサンプル睡眠状態データと、を含むことができる。ここで、各組の教師データにおけるサンプル睡眠状態データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル睡眠カテゴリーデータを含むことができる。
【0081】
この場合、情報処理装置は、第2の複数組の教師データ(各組の教師データが、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、そのサンプルユーザのサンプル睡眠カテゴリーデータと、を含む)を、学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。このような推定モデルは、後述するように、説明変数として、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力することに応答して、対象ユーザが属する睡眠カテゴリーを識別する対象睡眠カテゴリーデータを、少なくとも出力することができるようになる。
【0082】
(2D)複数組の教師データに含まれる第3の複数組の教師データ
一例では、情報処理装置は、複数組の教師データに含まれる第3の複数組の教師データを用いて、推定モデルを生成(更新)することができる。第3の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、その組に対応するサンプルユーザのサンプル睡眠状態データと、を含むことができる。ここで、各組の教師データにおけるサンプル睡眠状態データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル性質データと、そのサンプルユーザのサンプルリズムデータと、を含むことができる。
【0083】
この場合、情報処理装置は、第3の複数組の教師データ(各組の教師データが、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、そのサンプルユーザのサンプル性質データと、そのサンプルユーザのサンプルリズムデータと、を含む)を、学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。このような推定モデルは、後述するように、説明変数として、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力することに応答して、対象ユーザの睡眠の性質を識別する対象性質データと、この対象ユーザの睡眠のリズムを識別する対象リズムデータとを、少なくとも出力することができるようになる。
【0084】
(2E)複数組の教師データに含まれる第4の複数組の教師データ
一例では、情報処理装置は、複数組の教師データに含まれる第4の複数組の教師データを用いて、推定モデルを生成(更新)することができる。第4の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、その組に対応するサンプルユーザのサンプル睡眠状態データと、を含むことができる。ここで、各組の教師データにおけるサンプル睡眠状態データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル性質データを含むことができる。
【0085】
この場合、情報処理装置は、第4の複数組の教師データ(各組の教師データが、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、そのサンプルユーザのサンプル性質データと、を含む)を、学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。このような推定モデルは、後述するように、説明変数として、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力することに応答して、対象ユーザの睡眠の性質を識別する対象性質データを、少なくとも出力することができるようになる。
【0086】
(2F)複数組の教師データに含まれる第5の複数組の教師データ
一例では、情報処理装置は、複数組の教師データに含まれる第5の複数組の教師データを用いて、推定モデルを生成(更新)することができる。第5の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、その組に対応するサンプルユーザのサンプル睡眠状態データと、を含むことができる。ここで、各組の教師データにおけるサンプル睡眠状態データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプルリズムデータを含むことができる。
【0087】
この場合、情報処理装置は、第5の複数組の教師データ(各組の教師データが、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、そのサンプルユーザのサンプルリズムデータと、を含む)を、学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。このような推定モデルは、後述するように、説明変数として、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力することに応答して、対象ユーザの睡眠のリズムを識別する対象リズムデータを、少なくとも出力することができるようになる。
【0088】
(2G)複数組の教師データに含まれる第6の複数組の教師データ
一例では、情報処理装置は、複数組の教師データに含まれる第5の複数組の教師データを用いて、推定モデルを生成(更新)することができる。第6の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、その組に対応するサンプルユーザのサンプル睡眠状態データと、を含むことができる。ここで、各組の教師データにおけるサンプル睡眠状態データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル時間データを含むことができる。
【0089】
この場合、情報処理装置は、第6の複数組の教師データ(各組の教師データが、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、そのサンプルユーザのサンプル時間データと、を含む)を、学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。このような推定モデルは、後述するように、説明変数として、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力することに応答して、対象ユーザの睡眠時間を識別する対象時間データを、少なくとも出力することができるようになる。
【0090】
このような推定モデルの生成(更新)は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)に代えて、又は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)とともに、他の企業により管理される他のサーバ装置10(及び/又は端末装置20)により実行され得る。当該他のサーバ装置10(端末装置20)により生成(更新)された推定モデルは、サーバ装置10Aを含む任意のサーバ装置10に対して送信され得るし、或いはまた、サーバ装置10Aを含む任意のサーバ装置10によりアクセス及び利用され得る。
【0091】
なお、「複数組の教師データ」の直前に付された「第1の」~「第6の」という名称は、これらの名称のうちの或る名称を付した「複数組の教師データ」と、これらの名称のうちの別の名称を付した「複数組の教師データ」と、を区別するために便宜上用いられたものであって、何らかの順序又は内容等を限定するものではない。
【0092】
(3)ステップ1004
再度
図3を参照すると、次に、ST1004において、情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)は、例えば、特定のアプリケーション(推定サービス等の提供を受けるためのアプリケーション等)を実行してこのサーバ装置10Aにアクセスしてきた端末装置20(又は他のサーバ装置10)から、及び/又は、ブラウザを実行してこのサーバ装置10Aにアクセスしてきた端末装置20から、推定対象となる対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを、取得することができる。この対象行動データは、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの(1つの又は複数の)行動を識別するデータであり得る。
【0093】
このような対象行動データの取得は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)に代えて、又は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)とともに、他の企業により管理される他のサーバ装置10(及び/又は端末装置20)により実行され得る。
【0094】
(4)ステップ1006
次に、ST1006において、情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)は、ST1004において取得された対象行動データ、及び、ST1002において生成された推定モデルを用いて、対象ユーザの睡眠の状態を識別する対象睡眠状態データを取得することができる。具体的には、サーバ装置10Aは、説明変数としての対象行動データを、推定モデルに入力することにより、推定モデルから、目的変数としての対象睡眠状態データを出力させることができる。
【0095】
対象睡眠状態データは、以下に示すデータのうちの少なくとも1つを含むことができる。
・対象ユーザの睡眠の性質を識別するデータ(「対象性質データ」)
・対象ユーザの睡眠のリズムを識別するデータ(「対象リズムデータ」)
・対象ユーザの睡眠時間を識別するデータ(「対象時間データ」)
・対象ユーザ(の睡眠)が属する睡眠カテゴリーを識別するデータ(「対象睡眠カテゴリーデータ」)
【0096】
推定モデルが、対象睡眠状態データとしていずれのデータを出力するかは、この推定モデルの生成(更新)の際に、サンプル睡眠状態データとしていずれのデータが用いられたかに依存し得る。
【0097】
例えば、推定モデルの生成(更新)の際に、サンプル睡眠状態データとして、第1の複数組の教師データが用いられた場合(上記「4(2)(2B)」項)には、推定モデルは、対象睡眠状態データとして、対象睡眠カテゴリーデータを、少なくとも出力することができる。
【0098】
例えば、推定モデルの生成(更新)の際に、サンプル睡眠状態データとして、第2の複数組の教師データが用いられた場合(上記「4(2)(2C)」項)には、推定モデルは、対象睡眠状態データとして、対象睡眠カテゴリーデータを、少なくとも出力することができる。
【0099】
例えば、推定モデルの生成(更新)の際に、サンプル睡眠状態データとして、第3の複数組の教師データが用いられた場合(上記「4(2)(2D)」項)には、推定モデルは、対象睡眠状態データとして、対象性質データ及び対象リズムデータを、少なくとも出力することができる。
【0100】
例えば、推定モデルの生成(更新)の際に、サンプル睡眠状態データとして、第4の複数組の教師データが用いられた場合(上記「4(2)(2E)」項)には、推定モデルは、対象睡眠状態データとして、対象性質データを、少なくとも出力することができる。
【0101】
例えば、推定モデルの生成(更新)の際に、サンプル睡眠状態データとして、第5の複数組の教師データが用いられた場合(上記「4(2)(2F)」項)には、推定モデルは、対象睡眠状態データとして、対象リズムデータを、少なくとも出力することができる。
【0102】
例えば、推定モデルの生成(更新)の際に、サンプル睡眠状態データとして、第6の複数組の教師データが用いられた場合(上記「4(2)(2G)」項)には、推定モデルは、対象睡眠状態データとして、対象時間データを、少なくとも出力することができる。
【0103】
例えば、サンプル睡眠状態データとして、第1の複数組の教師データを用いて推定モデルの生成(更新)が行われ(上記「4(2)(2B)」項)、その後に、サンプル睡眠状態データとして、第6の複数組の教師データを用いて推定モデルの生成(更新)が行われた(上記「4(2)(2G)」項)場合には、推定モデルは、対象睡眠状態データとして、対象睡眠カテゴリーデータ及び対象時間データを、少なくとも出力することができる。さらにこの後に、サンプル睡眠状態データとして、第5の複数組の教師データを用いて推定モデルの生成(更新)が行われた(上記「4(2)(2F)」項)場合には、推定モデルは、対象睡眠状態データとして、対象睡眠カテゴリーデータ、対象時間データ及び対象リズムデータを、少なくとも出力することができる。
【0104】
推定モデルの利用方法としては、以下に例示する方法のうちのいずれかを用いることが可能である。
・サーバ装置10Aは、ST1004において生成された推定モデルを取得及び保持しており、この推定モデルに対象行動データを入力し、この推定モデルから出力される対象睡眠状態データを取得する。
・サーバ装置10Aは、ST1004において生成された推定モデルを取得及び保持する外部の装置(他のいずれかサーバ装置10又はいずれかの端末装置20)に対して、通信網2を介して対象行動データを送信することにより、この対象行動データを説明変数として入力した上記推定モデルに対象睡眠状態データを出力させる。この後、サーバ装置10Aは、この推定モデルにより出力された対象睡眠状態データを、上記外部の装置から通信網2を介して受信する。
【0105】
このような対象睡眠状態データの取得は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)に代えて、又は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)とともに、他の企業により管理される他のサーバ装置10(及び/又は端末装置20)により実行され得る。
【0106】
(5)ステップ1008
次に、ST1008において、情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)は、ST1006において取得された対象睡眠状態データを用い、この対象睡眠状態データに対応する少なくとも1つの対象商品/1つの対象サービスを決定することができる。このような対象商品/対象サービスは、対象睡眠状態データにより識別される対象ユーザの現在の(推定された)睡眠の状態に適したものであり得る。
【0107】
具体的には、一例では、サーバ装置10Aは、まず、対象睡眠状態データと複数の商品及び/又は複数のサービスとを対応付けて記憶する検索テーブルを用意して記憶することができる。次に、サーバ装置10Aは、ST1006において取得された対象睡眠状態データを検索テーブルに入力することにより、この検索テーブルから少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを識別するデータ(「提案データ」)を取得することができる。
【0108】
図11は、
図1に示した通信システム1において用いられる検索テーブルの一例を概念的に示す図である。
図11に例示される検索テーブルは、対象睡眠状態データに含まれ得る各データ(対象性質データ、対象リズムデータ、対象時間データ及び対象睡眠カテゴリーデータの各々)に対応付けて、提案すべき少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを記憶している。
【0109】
この例では、説明の簡略化のために、対象性質データ、対象リズムデータ、対象時間データ及び対象睡眠カテゴリーデータの各々が示す相互に異なる3つのレベルの各々に対応付けて、提案すべき少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスが割り当てられ得る。対象性質データを例に挙げれば、対象性質データが示す、クラスV1(対象ユーザの睡眠の性質が良いクラス)、クラスV2(対象ユーザの睡眠の性質が標準であるクラス)、及び、クラスV3(対象ユーザの睡眠の性質が悪いクラス)の各々に対応付けて、提案すべき少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスが割り当てられ得る。
【0110】
クラスW1~W3もまた、この順序で、対象ユーザの睡眠のリズムが「良い」、「標準」、「悪い」を示すものであり得る。クラスX1~X3もまた、この順序で、対象ユーザの睡眠時間が「長い」、「標準」、「短い」を示すものであり得る。
【0111】
クラスY1~Y3もまた、この順序で、対象ユーザ(の睡眠)が属する睡眠カテゴリーが、「良い」、「標準」、「悪い」を示すものであり得る。一例では、クラスY1が、
図9に例示された「睡眠カテゴリー21」に対応し、クラスY2が同図における「睡眠カテゴリー20」又は「睡眠カテゴリー11」に対応し、クラスY3が同図における「睡眠カテゴリー10」に対応する、と考えることもできる。
【0112】
図11に例示された商品P1~P11は、いずれも、ユーザの睡眠の状態を改善させるのに適した任意の商品を示し、
図11に例示されたサービスS1~S8は、いずれも、ユーザの睡眠の状態を改善させるのに適した任意のサービスを示す。これらの商品は、食品、日用品、薬品、運動用具、電気製品等を、これらに限定することなく含むことができる。また、これらのサービスは、病院、クリニック、スポーツジム等を、これらに限定することなく含むことができる。
【0113】
サーバ装置10Aは、例えば、対象睡眠状態データにおける対象性質データがクラスV3を示す場合には、商品P4及びサービスS1をそれぞれ対象商品及び対象サービスとして決定することができる。また、サーバ装置10Aは、例えば、対象睡眠状態データが(クラスX2を示す)対象時間データ及び(クラスW3を示す)対象リズムデータを含む場合には、商品P8を対象商品として、サービスS1、S3、S4を対象サービスとして決定することができる。
【0114】
なお、対象睡眠状態データに含まれる各データについて、用いられるクラスの総数、各クラスに割り当てられる商品及び/又はサービスの総数等は、任意に定められ得る。
【0115】
別の例では、サーバ装置10Aは、教師あり学習(機械学習)を実行することにより生成された別の推定モデルを用いて、少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを決定することも可能である。当該別の推定モデルは、対象睡眠状態データに含まれる各データの各クラスを示すデータを、説明変数とし、少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを示すデータを、目的変数として、教師あり学習を実行することにより、生成(更新)され得る。
【0116】
当該別の推定モデルを学習させるための機械学習は、例えば、上記「2A」項において述べたとおり、任意の周知の機械学習、例えば、勾配ブースティング木(例えばLightGBM)、ニューラルネットワーク又は線形回帰等を、これらに限定することなく含み得る。
【0117】
サーバ装置10Aは、当該別の推定モデルに対象睡眠状態データを入力することにより、当該別の推定モデルから、少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを識別するデータ(「提案データ」)を出力することができる。
【0118】
当該別の推定モデルの利用方法としては、以下に例示する方法のうちのいずれかを用いることが可能である。
・サーバ装置10Aは、生成された当該別の推定モデルを取得及び保持しており、当該別の推定モデルに対象睡眠状態データを入力し、当該別の推定モデルから出力される提案データを取得する。
・サーバ装置10Aは、生成された当該別の推定モデルを取得及び保持する外部の装置(他のいずれかサーバ装置10又はいずれかの端末装置20)に対して、通信網2を介して対象睡眠状態データを送信することにより、この対象睡眠状態データを説明変数として入力した当該別の推定モデルに提案データを出力させる。この後、サーバ装置10Aは、当該別の推定モデルにより出力された提案データを、上記外部の装置から通信網2を介して受信する。
【0119】
このような提案データの取得は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)に代えて、又は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)とともに、他の企業により管理される他のサーバ装置10(及び/又は端末装置20)により実行され得る。
【0120】
(6)ステップ1010
再度
図3を参照すると、次に、情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)は、ST1008において取得された提案データを、企業ユーザ及び/又は個人ユーザにより管理される少なくとも1つの端末装置20(他のサーバ装置10であってもよい)に対して、通信網2を介して提供(送信)することができる。ここでいう「個人ユーザ」は「対象ユーザ」を含み得る。
【0121】
提案データの提供は、ウェブページ、電子メール、チャット、電子ファイル、記録媒体(USBメモリ、CD-ROM等)、及び/又は、紙媒体等を含む任意の手段により、企業ユーザ及び/又は個人ユーザにより管理される少なくとも1つの端末装置20(他のサーバ装置10であってもよい)に対して提供され得る。
【0122】
このような提案データの提供は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)に代えて、又は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)とともに、他の企業により管理される他のサーバ装置10(及び/又は端末装置20)により実行され得る。
【0123】
5.変形例
上述した様々な例では、サンプル性質データ、サンプルリズムデータ、サンプル時間データ及びサンプル睡眠カテゴリーデータを、目的変数として、推定モデルを生成及び利用する場合について説明した。別の例では、サンプル性質データ、サンプルリズムデータ、サンプル時間データ及びサンプル睡眠カテゴリーデータのうちの少なくとも1つ(最大3つ)を、目的変数ではなく説明変数として用いて、推定モデルを生成及び利用することも可能である。
【0124】
また、上述した様々な例では、
図3に例示された様々なステップ(例えばST1000~ST1010)の実行主体を、主に、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)とした場合について、説明した。しかし、
図3に例示された様々なステップを、任意の複数のサーバ装置10及び/又は複数の端末装置20に、分担して実行させることも可能である。ここで、任意の複数のサーバ装置10及び/又は複数の端末装置20に、一例では、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)が含まれ得るし、別の例では、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)が含まれない。
【0125】
なお、上記「4(4)ステップ1006」において、対象睡眠状態データに含まれ得る、対象性質データ、対象リズムデータ、対象時間データ及び対象睡眠カテゴリーデータの各々の定義が示されている。別の実施形態では、対象睡眠状態データは、上記「4(4)ステップ1006」で示したデータに代えて、以下に示すデータのうちの少なくとも1つを含むことができる。
・対象ユーザの睡眠の性質を「一意に」識別するデータ(「対象性質データ」)
・対象ユーザの睡眠のリズムを「一意に」識別するデータ(「対象リズムデータ」)
・対象ユーザの睡眠時間を「一意に」識別するデータ(「対象時間データ」)
・対象ユーザ(の睡眠)が属する睡眠カテゴリーを「一意に」識別するデータ(「対象睡眠カテゴリーデータ」)
【0126】
ここで、「対象性質データ」が「一意に識別する」とは、この「対象性質データ」以外の他のデータによらずとも、対象ユーザの睡眠の性質を識別することができる、ということを意味する。すなわち、複数のデータが、協働して対象ユーザの睡眠の性質を識別するような場合には、これら複数のデータは、対象ユーザの睡眠の性質を「一意に識別する」データには該当しない。例えば、第1のデータが、対象ユーザの睡眠の質が「低質である」ことを示すデータとフラグ「0」とを含み、第2のデータが、対象ユーザの睡眠の質が「標準である」ことを示すデータとフラグ「0」とを含み、第3のデータが、対象ユーザの睡眠の質が「高質である」ことを示すデータとフラグ「1」とを含むケースを考える。このケースでは、第1のデータ及び第2のデータだけでは、対象ユーザの睡眠の性質を決定することができない。フラグ「1」を有する第3のデータをチェックすることによってはじめて、対象ユーザの睡眠の質が「高質である」ことを決定することができる。したがって、これらのデータは、いずれも、対象ユーザの睡眠の質を「一意に」識別するデータではない。
【0127】
「対象リズムデータ」、「対象時間データ」及び「対象睡眠カテゴリーデータ」の各々の上記定義に含まれる「一意に識別する」という用語についても、同様に考えることができる。
【0128】
以上説明したように、本件出願に開示された技術によれば、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの行動の履歴を識別する対象行動データを推定モデルに入力することにより、この推定モデルから、対象ユーザの現在の(予測された)睡眠の状態を識別する対象睡眠状態データを取得することができる。さらに、予め用意された複数の対象商品及び/又は複数の対象サービスのうち、このように取得された対象睡眠状態データに適した少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを、対象ユーザの睡眠状態を改善させるために、対象ユーザを含む任意のユーザに提案することができる。
【0129】
これにより、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの行動の履歴に基づいてこの対象ユーザの睡眠の状態を推定するために用いられ、少なくとも部分的に向上した性能を有する、コンピュータプログラム、情報処理装置及び方法を提供することができる。
【0130】
6.更年期症状の状態に関する更年期状態データを提供するために通信システム2により実行される動作
次に、更年期症状の状態に関する更年期状態データを提供するために、上述した通信システム2により実行される動作の具体例について、さらに
図12を参照して説明する。
図12は、
図1に示した通信システム1により実行される動作の別の例を示すフロー図である。
【0131】
(1)ステップ1100
まず、ST1100において、情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10Aが、推定モデルを生成するために用いられる複数組の教師データを取得して記憶することができる。
【0132】
複数組の教師データを構成する各組の教師データは、この組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するデータ(「サンプル行動データ」)と、この組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の状態を識別するデータ(「サンプル更年期状態データ」)と、を含むことができる。例えば、第1組の教師データは、第1組に対応する1人のサンプルユーザ(Vさん)により実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、Vさんの更年期症状の状態を識別するサンプル更年期状態データと、を含むことができ、第2組の教師データは、第2組に対応する1人のサンプルユーザ(Wさん)により実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、Wさんの更年期症状の状態を識別するサンプル更年期状態データと、を含むことができる。
【0133】
(1A)サンプル行動データ
各サンプル行動データは、予め定められた複数の行動のうちの少なくとも1つの(1つの又は複数の)行動を識別するデータであり得る。ここで、予め定められた複数の行動の各々は、その行動を実行した人間の更年期症状の状態に少なくとも部分的に良い影響又は悪い影響を与え得る行動であり得る。このような予め定められた複数の行動は、例えば、以下に例示するものをこれらに限定することなく含むことができる。
(人間の更年期症状の状態に少なくとも部分的に良い影響を与え得る行動の例)
・1週間に2日以上のペースで1時間以上の有酸素運動を行った。
・毎日一定の時間に起床した。
・毎週リラックスする時間を確保した。
・缶ビールを10本以上購入した(この行動は、例えば、ビールが属する商品カテゴリーとその購入数量とを含むデータにより識別され得る)。
(人間の更年期症状の状態に少なくとも部分的に悪い影響を与え得る行動の例)
・1週間に1日以下のペースで1時間以上の有酸素運動を行った。
・毎日異なる時間に起床した。
・1週間に1日も休まずに仕事をした。
・青汁を5本以上購入した(この行動は、例えば、青汁が属する商品カテゴリーとその購入数量とを含むデータにより識別され得る)。
【0134】
各サンプル行動データは、このように例示される予め定められた複数の行動のうち少なくとも1つの行動の各々を識別するデータであり得る。
【0135】
また、一例では、ユーザが購入した商品及び/又はユーザが利用したサービスが、そのユーザの更年期症状の状態に良い影響又は悪い影響を与える傾向があり得ることから、上記予め定められた複数の行動は、サンプルユーザが購入した商品(又はその商品が属するカテゴリー)、サンプルユーザが利用したサービス(又はそのサービスが属するカテゴリー)を含むこともできる。この種の行動は、例えば、小売店舗(ドラッグストア、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等)等が保有するPOS(Point Of Sales)データを利用して生成され得る。
【0136】
一例では、予め定められた複数の行動の各々には、固有の識別データ(英字、数字又はこれらの組み合わせ等)が割り当てられており、各サンプル行動データは、このような識別データを含むことができる。例えば、POSデータを利用する場合には、複数のサンプル行動データの各々は、購入された商品に対応する、JICFS分類(分類コード)、商品カテゴリー、購入金額、購入数量、購入回数、及び/又は、購入日等を、これらに限定することなく含むことができる。
【0137】
情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10Aは、このようなサンプル行動データを、例えば、以下に例示する方法のうち少なくとも1つの方法により取得することができる。
・情報処理装置が、通信網2を介して、少なくとも1つの他のサーバ装置10(例えばドラッグストア等に設置されたPOSデータを記憶する他のサーバ装置10、又は、このPOSデータにアクセス可能な他のサーバ装置10)から、POSデータを受信する。
・情報処理装置が、通信網2を介して、所定のアンケート(サンプルユーザにより実行された行動に関するアンケート)に対する回答を記載したメール又はウェブページを、少なくとも1つの端末装置20及び/又は少なくとも1つのサーバ装置10から受信する。
・情報処理装置が、上記所定のアンケートに対する複数のユーザによる回答を収集した少なくとも1つのサーバ装置10から通信網2を介してその回答の内容を受信する。
・情報処理装置が、上記所定のアンケートに対する複数のユーザによる回答を収集した記録媒体(USBメモリ、DVD-ROM等)を介して、その回答の内容を受信する。
【0138】
(1B)サンプル更年期状態データ
各組の教師データに含まれるサンプル更年期状態データは、以下に例示するデータのうちの少なくとも1つを、これに限定することなく、含むことができる。
・その組に対応する1人のサンプルユーザの総合的な状態を識別するデータ(「サンプル総合状態データ」)
・その組に対応する1人のサンプルユーザの第1症状の状態を識別するデータ(「サンプル第1状態データ」)
・その組に対応する1人のサンプルユーザの第2症状の状態を識別するデータ(「サンプル第2状態データ」)
【0139】
まず第1に、サンプル総合状態データは、そのサンプルユーザの更年期症状の状態が良いのか(例えばどの程度良いのか)悪いのか(例えばどの程度悪いのか)を識別するデータであり得る。一例では、サンプル総合状態データは、そのサンプルユーザの更年期症状の状態を総合的に評価したスコアを識別するデータであり得る。この場合、そのサンプルユーザの更年期症状の状態は、例えば、以下に例示するいずれかの方法で算出されたスコアを識別するデータであり得る。
【0140】
・簡略更年期指数(SMI)(
図13参照)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、SMIに記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・更年期障害評価尺度(Menopause Rating Scale)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、更年期障害評価尺度に記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・クッパーマン更年期指数(Kupperman index)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、クッパーマン更年期指数に記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・更年期障害評価(Green Climacteric Scale)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、更年期障害評価に記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・PSST(Premenstrual Symptoms Screening Tool)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、PSSTに記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・WHQ(Women’s Health Questionnaire)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、WHQに記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・VAS(Visual Analogue Scale)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、VASに記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・HFRDI(Hot Flash Related Daily Interference Scale)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、HFRDIに記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・HFCS(Hot Flash Composite Score)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、HFCSに記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・MENQOL(Menopause-Specific Quality Of Life)に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、MENQOLに記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・日本人女性の更年期症状評価表に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、日本人女性の更年期症状評価表に記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算(加減乗除等)することにより得られた修正スコア
・その他の任意の質問票又は尺度に記載された質問事項に対するサンプルユーザの回答内容に基づいて、その質問票又は尺度に記載された方法で算出されたスコア、又は、このスコアを任意の手法で演算することにより得られた修正スコア
【0141】
第2に、サンプル第1状態データは、複数の更年期症状のうちそのサンプルユーザの或る1つの症状の状態が良いのか(例えばどの程度良いのか)悪いのか(例えばどの程度悪いのか)を識別するデータであり得る。一例では、サンプル第1状態データは、そのサンプルユーザの上記或る1つの症状の状態を評価したスコアを識別するデータであり得る。
【0142】
上記複数の更年期症状は、SMIを例にとれば、「顔がほてる」、「汗をかきやすい」、「腰や手足が冷えやすい」といったSMIに記載された複数の更年期症状であり得る。なお、上記複数の更年期症状は、SMI以外にも、上記のとおり列挙したいずれかの指数等に記載された複数の更年期症状であり得る。また、上記或る1つの症状は、このような複数の更年期症状の中から選択された任意の1つの症状であり得る。
【0143】
SMIを例にとれば、サンプル第1状態データは、一例では、SMI(
図13参照)に記載された質問事項に対するそのサンプルユーザによる回答内容から抽出され得る。この場合、サンプル第1状態データは、例えば「息切れ、動悸がする」という或る1つの症状の状態を識別するデータであり、例えば、0、4、8又は12というスコア(
図13参照)を識別するデータであり得る。別の例では、サンプル第1状態データは、そのサンプルユーザから電子メール又はウェブページ等を介して取得され得る。
【0144】
第3に、サンプル第2状態データは、複数の更年期症状のうちそのサンプルユーザの別の1つの症状の状態が良いのか(例えばどの程度良いのか)悪いのか(例えばどの程度悪いのか)を識別するデータであり得る。一例では、サンプル第2状態データは、そのサンプルユーザの上記別の1つの症状の状態を評価したスコアを識別するデータであり得る。
【0145】
上記複数の更年期症状は、SMIを例にとれば、「顔がほてる」、「汗をかきやすい」、「腰や手足が冷えやすい」といったSMIに記載された複数の更年期症状であり得る。なお、上記複数の更年期症状は、SMI以外にも、上記のとおり列挙したいずれかの指数等に記載された複数の更年期症状であり得る。また、上記別の1つの症状は、このような複数の更年期症状の中から選択された任意の1つの症状であり得るが、上記或る1つの症状とは異なる症状であり得る。
【0146】
SMIを例にとれば、サンプル第2状態データは、一例では、SMI(
図13参照)に記載された質問事項に対するそのサンプルユーザによる回答内容から抽出され得る。この場合、サンプル第2状態データは、例えば「疲れやすい」という別の1つの症状の状態を識別するデータであり、例えば、0、2、4又は7というスコア(
図13参照)を識別するデータであり得る。別の例では、サンプル第2状態データは、そのサンプルユーザから電子メール又はウェブページ等を介して取得され得る。
【0147】
情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)は、サンプルユーザごとに、このようなサンプル行動データとサンプル更年期状態データとを組み合わせて、そのサンプルユーザについて、1組の教師データを生成して記憶することができる。これを実現するために、例えば、情報処理装置は、取得した複数のサンプル行動データの中から、或るサンプルユーザを識別する識別データが付されたサンプル行動データを抽出し、取得した複数のサンプル更年期状態データの中からこれと同一のサンプルユーザを識別する識別データが付されたサンプル更年期状態データを抽出し、これらを組み合わせて、このサンプルユーザについての1組の教師データを生成して保存することができる。同様の処理を複数のサンプルユーザの各々について実行することにより、情報処理装置は、複数組の教師データを生成して保存することができる。
【0148】
(2)ステップ1102
図3に戻り、次に、ST1102において、情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)は、ST1100において取得された複数組の教師データを用いて、学習モデルを機械学習により学習させることにより、推定モデルを生成することができる。ここでいう機械学習は、任意の周知の機械学習、例えば、勾配ブースティング木(例えばLightGBM)、ニューラルネットワーク又は線形回帰等を、これらに限定することなく含み得る。
【0149】
(2A)複数組の教師データに含まれる第1の複数組の教師データ
一例では、情報処理装置は、複数組の教師データに含まれる第1の複数組の教師データを用いて、推定モデルを生成(更新)することができる。第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、その組に対応するサンプルユーザのサンプル更年期状態データと、を含むことができる。ここで、各組の教師データにおけるサンプル更年期状態データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル総合状態データを含むことができる。
【0150】
この場合、情報処理装置は、第1の複数組の教師データ(各組の教師データが、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、そのサンプルユーザのサンプル総合状態データと、を含む)を、学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。このような推定モデルは、後述するように、説明変数として、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力することに応答して、対象ユーザの総合的な状態を識別する対象総合状態データを、少なくとも出力することができるようになる。
【0151】
なお、一実施形態では、各組の教師データにおけるサンプル更年期状態データが、該組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の総合的な状態「に対応するスコア」を識別するものである場合を考える。
【0152】
この場合、情報処理装置は、第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、前処理を実行することができる。具体的には、情報処理装置は、各組の教師データについて、この組に対応するサンプル総合状態データにより識別されるスコアを、少なくとも1つの閾値を用いて、複数のカテゴリーのうちのいずれかのカテゴリーに変換する、という前処理を実行することができる。例えば、情報処理装置は、1つの閾値(第1閾値)を用いる場合には、各組に対応するサンプル総合状態データにより識別されるスコアを、そのスコアが第1閾値以上であるか第1閾値未満であるかに応じて、2つのカテゴリー(「High」及び「Low」)のうちのいずれかのカテゴリーに変換することができる。或いはまた、例えば、情報処理装置は、2つの閾値(第1閾値、及び、第1閾値より小さい第2閾値)を用いる場合には、各組に対応するサンプル総合状態データにより識別されるスコアを、そのスコアが、第1閾値以上であるか、第2閾値以上第1閾値未満であるか、第2閾値未満であるかに応じて、3つのカテゴリー(「High」、「Middle」及び「Low」)のうちのいずれかのカテゴリーに変換することができる。
【0153】
このように、情報処理装置は、前記第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、この組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の総合的な状態「に対応するスコア」を識別するサンプル総合状態データを、この組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の総合的な状態「に対応するカテゴリー」を識別するサンプル総合状態データに変換する、という前処理を実行することができる。
【0154】
これにより、情報処理装置は、前処理後の第1の複数組の教師データ(各組の教師データが、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、そのサンプルユーザのサンプル総合状態データと、を含む)を、学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。
【0155】
このような推定モデルは、後述するように、説明変数として、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力することに応答して、対象ユーザの更年期症状の総合的な状態に対応するカテゴリーを識別する対象総合状態データを、少なくとも出力することができるようになる。
【0156】
(2B)複数組の教師データに含まれる第2の複数組の教師データ
一例では、情報処理装置は、複数組の教師データに含まれる第2の複数組の教師データを用いて、推定モデルを生成(更新)することができる。第2の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、その組に対応するサンプルユーザのサンプル更年期状態データと、を含むことができる。ここで、各組の教師データにおけるサンプル更年期状態データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル第1状態データを含むことができる。
【0157】
この場合、情報処理装置は、第2の複数組の教師データ(各組の教師データが、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、そのサンプルユーザのサンプル第1状態データと、を含む)を、学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。このような推定モデルは、後述するように、説明変数として、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力することに応答して、対象ユーザの第1症状の状態を識別する対象第1状態データを、少なくとも出力することができるようになる。
【0158】
なお、一実施形態では、各組の教師データにおけるサンプル第1状態データが、該組に対応する1人のサンプルユーザの第1症状の状態「に対応するスコア」を識別するものである場合を考える。
【0159】
この場合、情報処理装置は、第2の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、前処理を実行することができる。具体的には、情報処理装置は、各組の教師データについて、この組に対応するサンプル第1状態データにより識別されるスコアを、少なくとも1つの閾値を用いて、複数のカテゴリーのうちのいずれかのカテゴリーに変換する、という前処理を実行することができる。例えば、情報処理装置は、1つの閾値(第1閾値)を用いる場合には、各組に対応するサンプル第1状態データにより識別されるスコアを、そのスコアが第1閾値以上であるか第1閾値未満であるかに応じて、2つのカテゴリー(「High」及び「Low」)のうちのいずれかのカテゴリーに変換することができる。或いはまた、例えば、情報処理装置は、2つの閾値(第1閾値、及び、第1閾値より小さい第2閾値)を用いる場合には、各組に対応するサンプル第1状態データにより識別されるスコアを、そのスコアが、第1閾値以上であるか、第2閾値以上第1閾値未満であるか、第2閾値未満であるかに応じて、3つのカテゴリー(「High」、「Middle」及び「Low」)のうちのいずれかのカテゴリーに変換することができる。
【0160】
このように、情報処理装置は、前記第2の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、この組に対応する1人のサンプルユーザの第1症状の状態「に対応するスコア」を識別するサンプル第1状態データを、この組に対応する1人のサンプルユーザの第1症状の状態「に対応するカテゴリー」を識別するサンプル第1状態データに変換する、という前処理を実行することができる。
【0161】
これにより、情報処理装置は、前処理後の第2の複数組の教師データ(各組の教師データが、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、そのサンプルユーザのサンプル第1状態データと、を含む)を、学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。
【0162】
このような推定モデルは、後述するように、説明変数として、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力することに応答して、対象ユーザの第1症状の状態に対応するカテゴリーを識別する対象第1状態データを、少なくとも出力することができるようになる。
【0163】
さらにまた、情報処理装置は、上記のような前処理(便宜上「前処理A」)に加えて、更なる前処理(便宜上「前処理B」)を実行することも可能である。具体的には、まず、情報処理装置は、第2の複数組の教師データの中から、別の複数組の教師データを抽出する、という「前処理B」を実行することができる。当該別の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、閾値以上のスコアを識別するサンプル第1状態データを有する。
【0164】
例えば、第1症状がSMI(
図13参照)における「汗をかきやすい」という症状であるときには、上記別の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、5という閾値以上のスコア(10又は6)を識別するサンプル第1状態データであり得る。すなわち、上記別の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、より強い第1症状(ここでは「汗をかきやすい」)を有するサンプルユーザのみに関する教師データを含むものである。
【0165】
さらに、情報処理装置は、このように抽出した当該別の複数組の教師データを、「新たな」第2の複数組の教師データとすることができる。この後、情報処理装置は、「新たな」第2の複数組の教師データに対して、上述した前処理Aを実行することができる。この前処理Aでは、用いるべき少なくとも1つの閾値を、前処理Bを実行しない上述した例に比べて、より大きな値に設定することができる。次に、情報処理装置は、前処理A後の「新たな」第2の複数組の教師データを学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。
【0166】
このような「新たな」第2の複数組の教師データは、より強い第1症状を有するサンプルユーザのみについての、サンプル行動データとサンプル第1状態データとを含むものである。よって、このような「新たな」第2の複数組の教師データを用いて学習を行った推定モデルは、強い第1症状に結び付く可能性のある行動を行った対象ユーザを、強い第1症状を有するユーザとして、より簡単に推定することができ、さらに、そのような対象ユーザの第1症状の強さのレベルを細かく推定することもできる。
【0167】
(2C)複数組の教師データに含まれる第3の複数組の教師データ
一例では、情報処理装置は、複数組の教師データに含まれる第3の複数組の教師データを用いて、推定モデルを生成(更新)することができる。第3の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、その組に対応するサンプルユーザのサンプル更年期状態データと、を含むことができる。ここで、各組の教師データにおけるサンプル更年期状態データは、その組に対応するサンプルユーザのサンプル第2状態データを含むことができる。
【0168】
この場合、情報処理装置は、第3の複数組の教師データ(各組の教師データが、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、そのサンプルユーザのサンプル第2状態データと、を含む)を、学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。このような推定モデルは、後述するように、説明変数として、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力することに応答して、対象ユーザの第2症状の状態を識別する対象第2状態データを、少なくとも出力することができるようになる。
【0169】
なお、一実施形態では、各組の教師データにおけるサンプル第2状態データが、該組に対応する1人のサンプルユーザの第2症状の状態「に対応するスコア」を識別するものである場合を考える。
【0170】
この場合、情報処理装置は、第3の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、前処理を実行することができる。具体的には、情報処理装置は、各組の教師データについて、この組に対応するサンプル第2状態データにより識別されるスコアを、少なくとも1つの閾値を用いて、複数のカテゴリーのうちのいずれかのカテゴリーに変換する、という前処理を実行することができる。例えば、情報処理装置は、1つの閾値(第1閾値)を用いる場合には、各組に対応するサンプル第2状態データにより識別されるスコアを、そのスコアが第1閾値以上であるか第1閾値未満であるかに応じて、2つのカテゴリー(「High」及び「Low」)のうちのいずれかのカテゴリーに変換することができる。或いはまた、例えば、情報処理装置は、2つの閾値(第1閾値、及び、第1閾値より小さい第2閾値)を用いる場合には、各組に対応するサンプル第2状態データにより識別されるスコアを、そのスコアが、第1閾値以上であるか、第2閾値以上第1閾値未満であるか、第2閾値未満であるかに応じて、3つのカテゴリー(「High」、「Middle」及び「Low」)のうちのいずれかのカテゴリーに変換することができる。
【0171】
このように、情報処理装置は、前記第3の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、この組に対応する1人のサンプルユーザの第2症状の状態「に対応するスコア」を識別するサンプル第2状態データを、この組に対応する1人のサンプルユーザの第2症状の状態「に対応するカテゴリー」を識別するサンプル第2状態データに変換する、という前処理を実行することができる。
【0172】
これにより、情報処理装置は、前処理後の第3の複数組の教師データ(各組の教師データが、その組に対応するサンプルユーザのサンプル行動データと、そのサンプルユーザのサンプル第1状態データと、を含む)を、学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。
【0173】
このような推定モデルは、後述するように、説明変数として、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力することに応答して、対象ユーザの第2症状の状態に対応するカテゴリーを識別する対象第2状態データを、少なくとも出力することができるようになる。
【0174】
さらにまた、情報処理装置は、上記のような前処理(便宜上「前処理A」)に加えて、更なる前処理(便宜上「前処理B」)を実行することも可能である。具体的には、まず、情報処理装置は、第3の複数組の教師データの中から、別の複数組の教師データを抽出する、という「前処理B」を実行することができる。当該別の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、閾値以上のスコアを識別するサンプル第2状態データを有する。
【0175】
例えば、第2症状がSMI(
図13参照)における「疲れやすい」という症状であるときには、上記別の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、3という閾値以上のスコア(7又は4)を識別するサンプル第2状態データであり得る。すなわち、上記別の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、より強い第2症状(ここでは「疲れやすい」)を有するサンプルユーザのみに関する教師データを含むものである。
【0176】
さらに、情報処理装置は、このように抽出した当該別の複数組の教師データを、「新たな」第3の複数組の教師データとすることができる。この後、情報処理装置は、「新たな」第3の複数組の教師データに対して、上述した前処理Aを実行することができる。この前処理Aでは、用いるべき少なくとも1つの閾値を、前処理Bを実行しない上述した例に比べて、より大きな値に設定することができる。次に、情報処理装置は、前処理A後の「新たな」第3の複数組の教師データを学習モデルに入力して推定モデルを生成(更新)することができる。
【0177】
このような「新たな」第3の複数組の教師データは、より強い第2症状を有するサンプルユーザのみについての、サンプル行動データとサンプル第2状態データとを含むものである。よって、このような「新たな」第3の複数組の教師データを用いて学習を行った推定モデルは、強い第2症状に結び付く可能性のある行動を行った対象ユーザを、強い第2症状を有するユーザとして、より簡単に推定することができ、さらに、そのような対象ユーザの第2症状の強さのレベルを細かく推定することもできる。
【0178】
以上のような推定モデルの生成(更新)は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)に代えて、又は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)とともに、他の企業により管理される他のサーバ装置10(及び/又は端末装置20)により実行され得る。当該他のサーバ装置10(端末装置20)により生成(更新)された推定モデルは、サーバ装置10Aを含む任意のサーバ装置10に対して送信され得るし、或いはまた、サーバ装置10Aを含む任意のサーバ装置10によりアクセス及び利用され得る。
【0179】
なお、「複数組の教師データ」の直前に付された「第1の」~「第3の」という名称は、これらの名称のうちの或る名称を付した「複数組の教師データ」と、これらの名称のうちの別の名称を付した「複数組の教師データ」と、を区別するために便宜上用いられたものであって、何らかの順序又は内容等を限定するものではない。
【0180】
(3)ステップ1104
再度
図12を参照すると、次に、ST1104において、情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)は、例えば、特定のアプリケーション(推定サービス等の提供を受けるためのアプリケーション等)を実行してこのサーバ装置10Aにアクセスしてきた端末装置20(又は他のサーバ装置10)から、及び/又は、ブラウザを実行してこのサーバ装置10Aにアクセスしてきた端末装置20から、推定対象となる対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを、取得することができる。この対象行動データは、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの(1つの又は複数の)行動を識別するデータであり得る。
【0181】
このような対象行動データの取得は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)に代えて、又は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)とともに、他の企業により管理される他のサーバ装置10(及び/又は端末装置20)により実行され得る。
【0182】
(4)ステップ1106
次に、ST1106において、情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)は、ST1104において取得された対象行動データ、及び、ST1102において生成された推定モデルを用いて、対象ユーザの更年期症状の状態を識別する対象更年期状態データを取得することができる。具体的には、サーバ装置10Aは、説明変数としての対象行動データを、推定モデルに入力することにより、推定モデルから、目的変数としての対象更年期状態データを出力させることができる。
【0183】
対象更年期状態データは、以下に示すデータのうちの少なくとも1つを含むことができる。
・対象ユーザの更年期症状の総合的な状態を識別するデータ(「対象総合状態データ」)
・対象ユーザの第1症状の状態を識別するデータ(「対象第1状態データ」)
・対象ユーザの第2症状の状態を識別するデータ(「対象第2状態データ」)
【0184】
推定モデルが、対象更年期状態データとしていずれのデータを出力するかは、この推定モデルの生成(更新)の際に、サンプル更年期状態データとしていずれのデータが用いられたかに依存し得る。
【0185】
例えば、推定モデルの生成(更新)の際に、サンプル更年期状態データとして、第1の複数組の教師データが用いられた場合(上記「6(2)(2A)」項)には、推定モデルは、対象更年期状態データとして、対象総合状態データを、少なくとも出力することができる。
【0186】
例えば、推定モデルの生成(更新)の際に、サンプル更年期状態データとして、第2の複数組の教師データが用いられた場合(上記「6(2)(2B)」項)には、推定モデルは、対象更年期状態データとして、対象第1状態データを、少なくとも出力することができる。
【0187】
例えば、推定モデルの生成(更新)の際に、サンプル更年期状態データとして、第3の複数組の教師データが用いられた場合(上記「6(2)(2C)」項)には、推定モデルは、対象更年期状態データとして、対象第2状態データを、少なくとも出力することができる。
【0188】
例えば、サンプル更年期状態データとして、第1の複数組の教師データを用いて推定モデルの生成(更新)が行われ(上記「6(2)(2A)」項)、その後に、サンプル更年期状態データとして、第2の複数組の教師データを用いて推定モデルの生成(更新)が行われた(上記「6(2)(2B)」項)場合には、推定モデルは、対象更年期状態データとして、対象総合状態データ及び対象第1状態データを、少なくとも出力することができる。さらにこの後に、サンプル更年期状態データとして、第3の複数組の教師データを用いて推定モデルの生成(更新)が行われた(上記「6(2)(2C)」項)場合には、推定モデルは、対象更年期状態データとして、対象総合状態データ、対象第1状態データ及び対象第2状態データを、少なくとも出力することができる。
【0189】
推定モデルの利用方法としては、以下に例示する方法のうちのいずれかを用いることが可能である。
・サーバ装置10Aは、ST1104において生成された推定モデルを取得及び保持しており、この推定モデルに対象行動データを入力し、この推定モデルから出力される対象更年期状態データを取得する。
・サーバ装置10Aは、ST1104において生成された推定モデルを取得及び保持する外部の装置(他のいずれかサーバ装置10又はいずれかの端末装置20)に対して、通信網2を介して対象行動データを送信することにより、この対象行動データを説明変数として入力した上記推定モデルに対象更年期状態データを出力させる。この後、サーバ装置10Aは、この推定モデルにより出力された対象更年期状態データを、上記外部の装置から通信網2を介して受信する。
【0190】
このような対象更年期状態データの取得は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)に代えて、又は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)とともに、他の企業により管理される他のサーバ装置10(及び/又は端末装置20)により実行され得る。
【0191】
(5)ステップ1108
次に、ST1108において、情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)は、ST1106において取得された対象更年期状態データを用い、この対象更年期状態データに対応する少なくとも1つの対象商品/1つの対象サービスを決定することができる。このような対象商品/対象サービスは、対象更年期状態データにより識別される対象ユーザの現在の(推定された)更年期症状の状態に適したものであり得る。
【0192】
具体的には、一例では、サーバ装置10Aは、まず、対象更年期状態データと複数の商品及び/又は複数のサービスとを対応付けて記憶する検索テーブルを用意して記憶することができる。次に、サーバ装置10Aは、ST1106において取得された対象更年期状態データを検索テーブルに入力することにより、この検索テーブルから少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを識別するデータ(「提案データ」)を取得することができる。
【0193】
図14は、
図1に示した通信システム1において用いられる検索テーブルの別の例を概念的に示す図である。
図14に例示される検索テーブルは、対象更年期状態データに含まれ得る各データ(対象総合状態データ、対象第1状態データ及び対象第2状態データの各々)に対応付けて、提案すべき少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを記憶している。
【0194】
この例では、説明の簡略化のために、対象総合状態データ、対象第1状態データ及び対象第2状態データの各々が示す相互に異なる3つのレベルの各々に対応付けて、提案すべき少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスが割り当てられ得る。対象総合状態データを例に挙げれば、対象総合状態データが示す、クラスV1(対象ユーザの更年期症状の総合的な状態が良いクラス)、クラスV2(対象ユーザの更年期症状の総合的な状態が標準であるクラス)、及び、クラスV3(対象ユーザの更年期症状の総合的な状態が悪いクラス)の各々に対応付けて、提案すべき少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスが割り当てられ得る。
【0195】
クラスW1~W3もまた、この順序で、対象ユーザの第1症状の状態が「良い」、「標準」、「悪い」を示すものであり得る。クラスX1~X3もまた、この順序で、対象ユーザの第2症状の状態が「良い」、「標準」、「悪い」を示すものであり得る。
【0196】
図14に例示された商品(P10、P20といったように「P」及び数字からなる参照符号が付された商品)は、いずれも、ユーザの更年期症状の状態を改善させるのに適した任意の商品を示し、
図14に例示されたサービス(S10、S20といったように「S」及び数字からなる参照符号が付されたサービス)は、いずれも、ユーザの更年期症状の状態を改善させるのに適した任意のサービスを示す。これらの商品は、食品、日用品、薬品、運動用具、電気製品等を、これらに限定することなく含むことができる。また、これらのサービスは、病院、クリニック、スポーツジム等を、これらに限定することなく含むことができる。
【0197】
サーバ装置10Aは、例えば、対象更年期状態データにおける対象総合状態データがクラスV3を示す場合には、商品P40及びサービスS10をそれぞれ対象商品及び対象サービスとして決定することができる。また、サーバ装置10Aは、例えば、対象更年期状態データが(クラスX2を示す)対象第2状態データ及び(クラスW3を示す)対象第1状態データを含む場合には、商品P80を対象商品として、サービスS10、S30、S40を対象サービスとして決定することができる。
【0198】
なお、対象更年期状態データに含まれる各データについて、用いられるクラスの総数、各クラスに割り当てられる商品及び/又はサービスの総数等は、任意に定められ得る。
【0199】
別の例では、サーバ装置10Aは、教師あり学習(機械学習)を実行することにより生成された別の推定モデルを用いて、少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを決定することも可能である。当該別の推定モデルは、対象更年期状態データに含まれる各データの各クラスを示すデータを、説明変数とし、少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを示すデータを、目的変数として、教師あり学習を実行することにより、生成(更新)され得る。
【0200】
当該別の推定モデルを学習させるための機械学習は、例えば、上述したとおり、任意の周知の機械学習、例えば、勾配ブースティング木(例えばLightGBM)、ニューラルネットワーク又は線形回帰等を、これらに限定することなく含み得る。
【0201】
サーバ装置10Aは、当該別の推定モデルに対象更年期状態データを入力することにより、当該別の推定モデルから、少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを識別するデータ(「提案データ」)を出力することができる。
【0202】
当該別の推定モデルの利用方法としては、以下に例示する方法のうちのいずれかを用いることが可能である。
・サーバ装置10Aは、生成された当該別の推定モデルを取得及び保持しており、当該別の推定モデルに対象更年期状態データを入力し、当該別の推定モデルから出力される提案データを取得する。
・サーバ装置10Aは、生成された当該別の推定モデルを取得及び保持する外部の装置(他のいずれかサーバ装置10又はいずれかの端末装置20)に対して、通信網2を介して対象更年期状態データを送信することにより、この対象更年期状態データを説明変数として入力した当該別の推定モデルに提案データを出力させる。この後、サーバ装置10Aは、当該別の推定モデルにより出力された提案データを、上記外部の装置から通信網2を介して受信する。
【0203】
このような提案データの取得は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)に代えて、又は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)とともに、他の企業により管理される他のサーバ装置10(及び/又は端末装置20)により実行され得る。
【0204】
(6)ステップ1110
再度
図12を参照すると、次に、情報処理装置である、例えば、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)は、ST1108において取得された提案データを、企業ユーザ及び/又は個人ユーザにより管理される少なくとも1つの端末装置20(他のサーバ装置10であってもよい)に対して、通信網2を介して提供(送信)することができる。ここでいう「個人ユーザ」は「対象ユーザ」を含み得る。
【0205】
提案データの提供は、ウェブページ、電子メール、チャット、電子ファイル、記録媒体(USBメモリ、CD-ROM等)、及び/又は、紙媒体等を含む任意の手段により、企業ユーザ及び/又は個人ユーザにより管理される少なくとも1つの端末装置20(他のサーバ装置10であってもよい)に対して提供され得る。
【0206】
このような提案データの提供は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)に代えて、又は、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)とともに、他の企業により管理される他のサーバ装置10(及び/又は端末装置20)により実行され得る。
【0207】
7.変形例
上述した様々な例では、サンプル総合状態データ、サンプル第1状態データ及びサンプル第2状態データを、目的変数として、推定モデルを生成及び利用する場合について説明した。別の例では、サンプル総合状態データ、サンプル第1状態データ及びサンプル第2状態データのうちの少なくとも1つ(最大2つ)を、目的変数ではなく説明変数として用いて、推定モデルを生成及び利用することも可能である。
【0208】
また、上述した様々な例では、
図12に例示された様々なステップ(例えばST1100~ST1110)の実行主体を、主に、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)とした場合について、説明した。しかし、
図12に例示された様々なステップを、任意の複数のサーバ装置10及び/又は複数の端末装置20に、分担して実行させることも可能である。ここで、任意の複数のサーバ装置10及び/又は複数の端末装置20に、一例では、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)が含まれ得るし、別の例では、推定サービス等を運営する企業により管理されるサーバ装置10A(及び/又は端末装置20)が含まれない。
【0209】
以上説明したように、本件出願に開示された技術によれば、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの行動の履歴を識別する対象行動データを推定モデルに入力することにより、この推定モデルから、対象ユーザの現在の(予測された)更年期症状の状態を識別する対象更年期状態データを取得することができる。さらに、予め用意された複数の対象商品及び/又は複数の対象サービスのうち、このように取得された対象更年期状態データに適した少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを、対象ユーザの更年期症状を改善させるために、対象ユーザを含む任意のユーザに提案することができる。
【0210】
これにより、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの行動の履歴に基づいてこの対象ユーザの更年期症状の状態を推定するために用いられ、少なくとも部分的に向上した性能を有する、コンピュータプログラム、情報処理装置及び方法を提供することができる。
【0211】
8.様々な健康の状態を予測するための推定モデルについて
本件出願に開示された技術は、上述した睡眠の状態及び更年期症状の状態を予測することだけでなく、例えば、以下に例示する様々な健康の状態を予測することにも適用可能である。
・運動の状態
・免疫の状態
・水分補給の状態
・栄養の状態
【0212】
(1)運動の状態について
運動の状態を予測するための推定モデルは、生活習慣病に関連する状態等を予測するために用いられる。かかる推定モデルを生成するために、説明変数であるサンプル行動データは、以下に例示する複数のデータのうちの少なくとも1つのデータであり得る。
・サンプルユーザが一定期間(例えば1年間等)において購入した商品(又はその商品が属するカテゴリー)を識別するデータ
・サンプルユーザが一定期間(例えば1年間等)において利用したサービス(又はそのサービスが属するカテゴリー)を識別するデータ
・サンプルユーザが肥満の状態にあるか否かを識別するデータ
・サンプルユーザの一定期間(例えば30歳代から現在までの期間等)における体重の変化量を識別するデータ
・サンプルユーザの運動の量(例えば歩数等)を識別するデータ
【0213】
また、目的変数である症状を識別するデータは、以下に例示する複数のデータ(測定値であってもよい)のうちの少なくとも1つであり得る。
・サンプルユーザの体重を識別するデータ
・サンプルユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ
・サンプルユーザの歩数を識別するデータ
・サンプルユーザの喫煙の有無を識別するデータ
・サンプルユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ
【0214】
なお、メタボリックシンドローム診断基準値は、サンプルユーザの内臓脂肪蓄積及び/又はウエスト周囲の長さと、以下に例示する複数の値のうちの少なくとも2つの値とを含む。
・サンプルユーザについて高グリセリド血症及び/又は低HDLコレステロール血症の診断のために定められた閾値
・サンプルユーザの収縮期及び/又は拡張期の血圧
・サンプルユーザについて空腹時高血糖の診断のために定められた閾値
【0215】
情報処理装置は、このような説明変数及び目的変数を用いて機械学習を実行することにより、運動の状態を予測する推定モデルを生成することができる。このような推定モデルの生成及び利用方法等に関連して通信システム2により実行される動作は、上記更年期症状の状態を予測する態様に関連して上記「6」項及び上記「7」項において説明した動作と実質的に同一であり得る。上記「6」項及び上記「7」項において(特に
図12及び
図14を参照して)述べた説明において、更年期症状の状態を予測するための推定モデルに用いられる説明変数及び目的変数を、それぞれ、本「8(1)」項において述べた説明変数及び目的変数で置き換えることにより、運動の状態を予測するための推定モデルの生成及び利用方法等に関連して通信システム2により実行される動作が、当業者により理解されよう。
【0216】
以上説明したように、本件出願に開示された技術によれば、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの行動の履歴を識別する対象行動データを推定モデルに入力することにより、この推定モデルから、対象ユーザの現在の(予測された)運動の状態を識別する対象状態データを取得することができる。さらに、予め用意された複数の対象商品及び/又は複数の対象サービスのうち、このように取得された対象状態データに適した少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを、対象ユーザの運動の状態を改善させるために、対象ユーザを含む任意のユーザに提案することができる。
【0217】
これにより、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの行動の履歴に基づいてこの対象ユーザの運動の状態を推定するために用いられ、少なくとも部分的に向上した性能を有する、コンピュータプログラム、情報処理装置及び方法を提供することができる。
【0218】
(2)免疫の状態について
免疫の状態を予測するための推定モデルは、身体の免疫力が低下している人の症状の程度を予測するために用いられる。かかる推定モデルを生成するために、説明変数であるサンプル行動データは、以下に例示する複数のデータのうちの少なくとも1つのデータであり得る。
・サンプルユーザが一定期間(例えば1年間等)において購入した商品(又はその商品が属するカテゴリー)を識別するデータ
・サンプルユーザが一定期間(例えば1年間等)において利用したサービス(又はそのサービスが属するカテゴリー)を識別するデータ
【0219】
また、目的変数である症状を識別するデータは、以下に例示する複数のデータ(測定値であってもよい)のうちの少なくとも1つであり得る。
・サンプルユーザの風邪の引きやすさを識別するデータ
・サンプルユーザの風邪を引き起こす頻度を識別するデータ
・サンプルユーザのSIgA濃度を識別するデータ
・サンプルユーザのアレルギー症状を識別するデータ
・サンプルユーザの口腔環境及び/又は免疫力の状態を識別するデータ
・サンプルユーザの睡眠の状態を識別するデータ
・サンプルユーザの運動の状態を識別するデータ
・サンプルユーザのストレスの状態を識別するデータ
【0220】
なお、このような症状を識別するデータは、アンケート等から取得されたサンプルユーザの自覚症状であってもよいし、医療機関におけるサンプルユーザの受信履歴から取得されたものであってもよい。かかる症状を識別するデータは、複数の(好ましくは3つ以上の)カテゴリーのうちのいずれかを識別するものであり得る。
【0221】
情報処理装置は、このような説明変数及び目的変数を用いて機械学習を実行することにより、免疫の状態を予測する推定モデルを生成することができる。このような推定モデルの生成及び利用方法等に関連して通信システム2により実行される動作は、上記更年期症状の状態を予測する態様に関連して上記「6」項及び上記「7」項において説明した動作と実質的に同一であり得る。上記「6」項及び上記「7」項において(特に
図12及び
図14を参照して)述べた説明において、更年期症状の状態を予測するための推定モデルに用いられる説明変数及び目的変数を、それぞれ、本「8(2)」項において述べた説明変数及び目的変数で置き換えることにより、免疫の状態を予測するための推定モデルの生成及び利用方法等に関連して通信システム2により実行される動作が、当業者により理解されよう。
【0222】
以上説明したように、本件出願に開示された技術によれば、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの行動の履歴を識別する対象行動データを推定モデルに入力することにより、この推定モデルから、対象ユーザの現在の(予測された)免疫の状態を識別する対象状態データを取得することができる。さらに、予め用意された複数の対象商品及び/又は複数の対象サービスのうち、このように取得された対象状態データに適した少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを、対象ユーザの免疫の状態を改善させるために、対象ユーザを含む任意のユーザに提案することができる。
【0223】
これにより、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの行動の履歴に基づいてこの対象ユーザの免疫の状態を推定するために用いられ、少なくとも部分的に向上した性能を有する、コンピュータプログラム、情報処理装置及び方法を提供することができる。
【0224】
(3)水分補給の状態について
水分補給の状態を予測するための推定モデルは、身体の免疫力が低下している人の症状の程度を予測するために用いられる。かかる推定モデルを生成するために、説明変数であるサンプル行動データは、以下に例示する複数のデータのうちの少なくとも1つのデータであり得る。
・サンプルユーザが一定期間(例えば1年間等)において購入した商品(又はその商品が属するカテゴリー)を識別するデータ
・サンプルユーザが一定期間(例えば1年間等)において利用したサービス(又はそのサービスが属するカテゴリー)を識別するデータ
【0225】
また、目的変数である症状を識別するデータは、以下に例示する複数のデータ(測定値であってもよい)のうちの少なくとも1つであり得る。
・サンプルユーザの血清Na値を識別するデータ
・サンプルユーザの尿浸透圧を識別するデータ
・サンプルユーザの尿比重を識別するデータ
・サンプルユーザの尿カラーを識別するデータ
・サンプルユーザのBUN/クレアチニン比を識別するデータ
・サンプルユーザの脱水評価スケールを識別するデータ
・サンプルユーザの水分不足に伴う自覚症状を識別するデータ
【0226】
これらのデータは、サンプルユーザが受信した健康診断若しくは人間ドックにより得られる臨床検査値から、又は、健康アンケートに対するサンプルユーザの回答内容から、生成され得る。なお、サンプルユーザの水分不足に伴う自覚症状を識別するデータは、アンケートに対するサンプルユーザの回答内容から生成され得る。かかる自覚症状の程度は、血清Na値、尿浸透圧、尿比重、尿カラー、BUN/クレアチニン比、飲水量及び/又は身体活動量等から把握され得る。
【0227】
情報処理装置は、このような説明変数及び目的変数を用いて機械学習を実行することにより、水分補給の状態を予測する推定モデルを生成することができる。このような推定モデルの生成及び利用方法等に関連して通信システム2により実行される動作は、上記更年期症状の状態を予測する態様に関連して上記「6」項及び上記「7」項において説明した動作と実質的に同一であり得る。上記「6」項及び上記「7」項において(特に
図12及び
図14を参照して)述べた説明において、更年期症状の状態を予測するための推定モデルに用いられる説明変数及び目的変数を、それぞれ、本「8(3)」項において述べた説明変数及び目的変数で置き換えることにより、水分補給の状態を予測するための推定モデルの生成及び利用方法等に関連して通信システム2により実行される動作が、当業者により理解されよう。
【0228】
以上説明したように、本件出願に開示された技術によれば、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの行動の履歴を識別する対象行動データを推定モデルに入力することにより、この推定モデルから、対象ユーザの現在の(予測された)水分補給の状態を識別する対象状態データを取得することができる。さらに、予め用意された複数の対象商品及び/又は複数の対象サービスのうち、このように取得された対象状態データに適した少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを、対象ユーザの水分補給の状態を改善させるために、対象ユーザを含む任意のユーザに提案することができる。
【0229】
これにより、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの行動の履歴に基づいてこの対象ユーザの水分補給の状態を推定するために用いられ、少なくとも部分的に向上した性能を有する、コンピュータプログラム、情報処理装置及び方法を提供することができる。
【0230】
(4)栄養の状態について
栄養の状態を予測するための推定モデルは、栄養補給ができていない人の症状の程度を予測するために用いられる。かかる推定モデルを生成するために、説明変数であるサンプル行動データは、以下に例示する複数のデータのうちの少なくとも1つのデータであり得る。
・サンプルユーザが一定期間(例えば1年間等)において購入した商品(又はその商品が属するカテゴリー)を識別するデータ
・サンプルユーザが一定期間(例えば1年間等)において利用したサービス(又はそのサービスが属するカテゴリー)を識別するデータ
【0231】
また、目的変数である症状を識別するデータは、以下に例示する複数のデータ(測定値であってもよい)のうちの少なくとも1つであり得る。
・サンプルユーザの栄養低下に伴う自覚症状の有無を識別するデータ
・サンプルユーザの食品摂取の多様性得点(DVS)を識別するデータ
・サンプルユーザの食欲尺度短縮版(SNAQ:Simplified Nutritional Appetite Questionnaire)を識別するデータ
・サンプルユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ
【0232】
なお、このような症状を識別するデータは、アンケート等から取得されたサンプルユーザの自覚症状であってもよいし、医療機関におけるサンプルユーザの受信履歴から取得されたものであってもよい。かかる症状を識別するデータは、複数の(好ましくは3つ以上の)カテゴリーのうちのいずれかを識別するものであり得る。
【0233】
情報処理装置は、このような説明変数及び目的変数を用いて機械学習を実行することにより、栄養の状態を予測する推定モデルを生成することができる。このような推定モデルの生成及び利用方法等に関連して通信システム2により実行される動作は、上記更年期症状の状態を予測する態様に関連して上記「6」項及び上記「7」項において説明した動作と実質的に同一であり得る。上記「6」項及び上記「7」項において(特に
図12及び
図14を参照して)述べた説明において、更年期症状の状態を予測するための推定モデルに用いられる説明変数及び目的変数を、それぞれ、本「8(4)」項において述べた説明変数及び目的変数で置き換えることにより、栄養の状態を予測するための推定モデルの生成及び利用方法等に関連して通信システム2により実行される動作が、当業者により理解されよう。
【0234】
以上説明したように、本件出願に開示された技術によれば、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの行動の履歴を識別する対象行動データを推定モデルに入力することにより、この推定モデルから、対象ユーザの現在の(予測された)栄養の状態を識別する対象状態データを取得することができる。さらに、予め用意された複数の対象商品及び/又は複数の対象サービスのうち、このように取得された対象状態データに適した少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを、対象ユーザの栄養の状態を改善させるために、対象ユーザを含む任意のユーザに提案することができる。
【0235】
これにより、対象ユーザにより実行された少なくとも1つの行動の履歴に基づいてこの対象ユーザの栄養の状態を推定するために用いられ、少なくとも部分的に向上した性能を有する、コンピュータプログラム、情報処理装置及び方法を提供することができる。
【0236】
9.様々な態様
第1の態様に係るコンピュータプログラムは、「少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの睡眠の状態を識別する対象睡眠状態データであって、該対象ユーザの睡眠の性質を識別する対象性質データ、該対象ユーザの睡眠のリズムを識別する対象リズムデータ、該対象ユーザの睡眠時間を識別する対象時間データ、及び、該対象ユーザが属する睡眠カテゴリーを識別する対象カテゴリーデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象睡眠状態データを、前記推定モデルから出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第2の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第1の態様において「各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の状態を識別するサンプル睡眠状態データと、を含む、複数組の教師データを、学習モデルに入力することにより生成された前記推定モデルを、取得する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第3の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第1の態様において「各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の状態を識別するサンプル睡眠状態データと、を含む、複数組の教師データを、学習モデルに入力することにより生成された前記推定モデルに対して、通信回線を介して接続される、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第4の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第1の態様において「各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の状態を識別するサンプル睡眠状態データと、を含む、複数組の教師データを取得し、該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、前記推定モデルを生成する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第5の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第4の態様において「取得された前記複数組の教師データが第1の複数組の教師データを含み、該第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データが、前記サンプル睡眠状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の性質を識別するサンプル性質データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠のリズムを識別するサンプルリズムデータと、を含み、取得された前記第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の性質を識別するサンプル性質データと該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠のリズムを識別するサンプルリズムデータとに基づいて、該組に対応する1人のサンプルユーザが属する睡眠カテゴリーを識別するサンプル睡眠カテゴリーデータを生成する、という前処理を実行し、各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザの前記サンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの前記サンプル睡眠カテゴリーデータと、を含む、前記前処理後の前記第1の複数組の教師データを、前記学習モデルに入力して前記推定モデルを生成し、該推定モデルから、前記対象睡眠状態データとして、前記対象ユーザが属する睡眠カテゴリーを識別する対象睡眠カテゴリーデータを、出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第6の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第2の態様から上記第4の態様のいずれかにおいて「前記複数組の教師データが第2の複数組の教師データを含み、該第2の複数組の教師データに含まれる各組の教師データが、前記サンプル睡眠状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の性質を識別するサンプル性質データと該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠のリズムを識別するサンプルリズムデータとに基づいて決定された、該組に対応する1人のサンプルユーザが属する睡眠カテゴリーを識別するサンプル睡眠カテゴリーデータ、を含み、該推定モデルから、前記対象睡眠状態データとして、前記対象ユーザが属する睡眠カテゴリーを識別する対象睡眠カテゴリーデータを、出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第7の態様に係るコンピュータプログラムにあっては、上記第5の態様又は上記第6の態様において「前記組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の性質を識別するサンプル性質データは、アテネ不眠尺度、ピッツバーグ睡眠質問票、3次元型睡眠尺度、又は、不眠症重症度質問票に対する前記サンプルユーザによる回答内容に基づいて算出されたスコアを示し、前記組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠のリズムを識別するサンプルリズムデータは、前記サンプルユーザの平日の睡眠時間帯の中央時間と休日の睡眠時間帯の中央時間帯との差の絶対値であるソーシャルジェットラグを示し、前記組に対応する1人のサンプルユーザが属する睡眠カテゴリーは、横軸及び縦軸のうちの一方の軸において前記スコアに対応付けて配置された少なくとも1つの閾値と、前記横軸及び前記縦軸のうちの他方の軸において前記ソーシャルジェットラグに対応付けて配置された少なくとも1つの閾値と、により分割される複数のカテゴリーのうちのいずれかであ」り得る。
第8の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第2の態様から上記第4の態様のいずれかにおいて「前記複数組の教師データが第3の複数組の教師データを含み、該第3の複数組の教師データに含まれる各組の教師データが、前記サンプル睡眠状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の性質を識別するサンプル性質データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠のリズムを識別するサンプルリズムデータと、を含み、前記推定モデルから、前記対象睡眠状態データとして、前記対象ユーザの睡眠の性質を識別する対象性質データと、該対象ユーザの睡眠のリズムを識別する対象リズムデータとを、出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第9の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第2の態様から上記第4の態様のいずれかにおいて「前記複数組の教師データが第4の複数組の教師データを含み、該第4の複数組の教師データに含まれる各組の教師データが、前記サンプル睡眠状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の性質を識別するサンプル性質データを含み、前記推定モデルから、前記対象睡眠状態データとして、前記対象ユーザの睡眠の性質を識別する対象性質データを、出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第10の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第2の態様から上記第4の態様のいずれかにおいて「前記複数組の教師データが第5の複数組の教師データを含み、該第5の複数組の教師データに含まれる各組の教師データが、前記サンプル睡眠状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠のリズムを識別するサンプルリズムデータを含み、前記推定モデルから、前記対象睡眠状態データとして、前記対象ユーザの睡眠のリズムを識別する対象リズムデータを、出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第11の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第2の態様から上記第4の態様のいずれかにおいて「前記複数組の教師データが第6の複数組の教師データを含み、該第6の複数組の教師データに含まれる各組の教師データが、前記サンプル睡眠状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠時間を識別するサンプル時間データを含み、前記推定モデルから、前記対象睡眠状態データとして、前記対象ユーザの睡眠時間を識別する対象時間データを、出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第12の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第1の態様から上記第11の態様のいずれかにおいて「複数の商品及び/又は複数のサービスのうち、前記対象睡眠状態データに対応する少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを決定する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第13の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第12の態様において「教師あり学習を実行することにより生成された別の推定モデルに前記対象睡眠状態データを入力することにより、該別の推定モデルから、前記少なくとも1つの対象商品及び/又は前記少なくとも1つの対象サービスを識別する提案データを出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第14の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第12の態様において「対象睡眠状態データと前記複数の商品及び/又は前記複数のサービスとを対応付けた検索テーブルに前記対象睡眠状態データを入力することにより、該検索テーブルから前記少なくとも1つの対象商品及び/又は前記少なくとも1つの対象サービスを識別する提案データを取得する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第15の態様に係るコンピュータプログラムにあっては、上記第1の態様から上記第14の態様のいずれかにおいて「前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含む」ことができる。
第16の態様に係る情報処理装置は、「少なくとも1つのプロセッサを具備し、該少なくとも1つのプロセッサが、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの睡眠の状態を識別する対象睡眠状態データであって、該対象ユーザの睡眠の性質を識別する対象性質データ、該対象ユーザの睡眠のリズムを識別する対象リズムデータ、該対象ユーザの睡眠時間を識別する対象時間データ、及び、該対象ユーザが属する睡眠カテゴリーを識別する対象カテゴリーデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象睡眠状態データを、前記推定モデルから出力させる、
ように構成され」得る。
第17の態様に係る情報処理装置は、上記第16の態様において「端末装置又はサーバ装置であ」り得る。
第18の態様に係る情報処理装置にあっては、上記第17の態様において「前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含」み得る。
第19の態様に係る方法は、「コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得する段階と、教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの睡眠の状態を識別する対象睡眠状態データであって、該対象ユーザの睡眠の性質を識別する対象性質データ、該対象ユーザの睡眠のリズムを識別する対象リズムデータ、該対象ユーザの睡眠時間を識別する対象時間データ、及び、該対象ユーザが属する睡眠カテゴリーを識別する対象カテゴリーデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象睡眠状態データを、前記推定モデルから出力させる段階と、を含む」ことができる。
第20の態様に係る方法にあっては、上記第19の態様において「前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含」み得る。
第21の態様に係る方法は、「コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の状態を識別するサンプル睡眠状態データと、を含む、複数組の教師データを取得する取得段階と、該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力して、前記対象ユーザの睡眠の状態を識別する対象睡眠状態データであって、該対象ユーザの睡眠の性質を識別する対象性質データ、該対象ユーザの睡眠のリズムを識別する対象リズムデータ、該対象ユーザの睡眠時間を識別する対象時間データ、及び、該対象ユーザが属する睡眠カテゴリーを識別する対象カテゴリーデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象睡眠状態データを、出力するように構成された推定モデル、を生成する生成段階と、を含む」ことができる。
第22の態様に係る方法は、上記第21の態様において「前記取得段階が、前記複数組の教師データに含まれる第1の複数組の教師データを取得する段階を含み、該第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、前記サンプル睡眠状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の性質を識別するサンプル性質データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠のリズムを識別するサンプルリズムデータと、を含み、さらに、前記生成段階が、取得された前記第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の性質を識別するサンプル性質データと該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠のリズムを識別するサンプルリズムデータとに基づいて、該組に対応する1人のサンプルユーザが属する睡眠カテゴリーを識別するサンプル睡眠カテゴリーデータを生成する、という前処理を実行する段階と、各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザの前記サンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの前記サンプル睡眠カテゴリーデータと、を含む、前記前処理後の前記第1の複数組の教師データを、前記学習モデルに入力して前記推定モデルを生成する段階と、を含む」ことができる。
第23の態様に係る方法は、上記第21の態様において「前記取得段階が、前記複数組の教師データに含まれる第2の複数組の教師データを取得する段階を含み、該第2の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、前記サンプル睡眠状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の性質を識別するサンプル性質データと該組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠のリズムを識別するサンプルリズムデータとに基づいて決定された、該組に対応する1人のサンプルユーザが属する睡眠カテゴリーを識別するサンプル睡眠カテゴリーデータ、を含み、前記第2の複数組の教師データを、前記学習モデルに入力して前記推定モデルを生成する段階と、を含む」ことができる。
第24の態様に係る方法にあっては、上記第23の態様において「前記組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠の性質を識別するサンプル性質データは、アテネ不眠尺度、ピッツバーグ睡眠質問票、3次元型睡眠尺度、又は、不眠症重症度質問票に対する前記サンプルユーザによる回答内容に基づいて算出されたスコアを示し、前記組に対応する1人のサンプルユーザの睡眠のリズムを識別するサンプルリズムデータは、前記サンプルユーザの平日の睡眠時間帯の中央時間と休日の睡眠時間帯の中央時間帯との差の絶対値であるソーシャルジェットラグを示し、前記組に対応する1人のサンプルユーザが属する睡眠カテゴリーは、横軸及び縦軸のうちの一方の軸において前記スコアに対応付けて配置された少なくとも1つの閾値と、前記横軸及び前記縦軸のうちの他方の軸において前記ソーシャルジェットラグに対応付けて配置された少なくとも1つの閾値と、により分割される複数のカテゴリーのうちのいずれかであ」り得る。
第25の態様に係る方法は、上記第21の態様から上記第24の態様のいずれかにおいて「対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを前記推定モデルに入力することにより、該推定モデルから前記対象ユーザの睡眠の状態を識別する対象睡眠状態データを出力する推定段階、をさらに含む」ことができる。
第26の態様に係る方法にあっては、上記第21の態様から上記第25の態様のいずれかにおいて「前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含」み得る。
第27の態様に係るコンピュータプログラムは、「少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの更年期症状の状態を識別する対象更年期状態データであって、該対象ユーザの更年期症状の総合的な状態を識別する対象総合状態データ、該対象ユーザの第1症状の状態を識別する対象第1状態データ、該対象ユーザの第2症状の状態を識別する対象第2状態データ、のうちの少なくとも1つを含む対象更年期状態データを、前記推定モデルから出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第28の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第27の態様において「各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の状態を識別するサンプル更年期状態データと、を含む、複数組の教師データを、学習モデルに入力することにより生成された前記推定モデルを、取得する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第29の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第27の態様において「各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の状態を識別するサンプル更年期状態データと、を含む、複数組の教師データを、学習モデルに入力することにより生成された前記推定モデルに対して、通信回線を介して接続される、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第30の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第27の態様において「各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の状態を識別するサンプル更年期状態データと、を含む、複数組の教師データを取得し、該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、前記推定モデルを生成する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第31の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第30の態様において「取得された前記複数組の教師データが第1の複数組の教師データを含み、該第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データが、前記サンプル更年期状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の総合的な状態を識別するサンプル総合状態データ、を含み、前記推定モデルから、前記対象更年期状態データとして、前記対象ユーザの更年期症状の総合的な状態を識別する対象総合状態データを、出力させる、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第32の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第31の態様において「前記第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データが、前記サンプル更年期状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の総合的な状態に対応するスコアを識別するサンプル総合状態データを含み、前記第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、該組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の総合的な状態に対応するスコアを識別するサンプル総合状態データを、該組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の総合的な状態に対応するカテゴリーを識別するサンプル総合状態データに変換する、という前処理を実行し、前記前処理後の前記第1の複数組の教師データを、前記学習モデルに入力して前記推定モデルを生成し、該推定モデルから、前記対象更年期状態データとして、前記対象ユーザの更年期症状の総合的な状態に対応するカテゴリーを識別する対象総合状態データを、出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第33の態様に係るコンピュータプログラムにあっては、上記第32の態様において「前記組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の総合的な状態に対応するスコアは、簡略更年期指数(SMI)、更年期障害評価尺度(Menopause Rating Scale)、クッパーマン更年期指数(Kupperman index)、更年期障害評価(Green Climacteric Scale)、PSST(Premenstrual Symptoms Screening Tool)、WHQ(Women’s Health Questionnaire)、VAS(Visual Analogue Scale)、HFRDI(Hot Flash Related Daily Interference Scale)、HFCS(Hot Flash Composite Score)、MENQOL(Menopause-Specific Quality Of Life)又は日本人女性の更年期症状評価表に対する前記サンプルユーザ回答内容に基づいて算出されたスコアであ」り得る。
第34の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第30の態様において「取得された前記複数組の教師データが第2の複数組の教師データを含み、該第2の複数組の教師データに含まれる各組の教師データが、前記サンプル更年期状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの第1症状の状態を識別するサンプル第1状態データ、を含み、前記推定モデルから、前記対象更年期状態データとして、前記対象ユーザの第1症状の状態を識別する対象第1状態データを、出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第35の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第34の態様において「前記第2の複数組の教師データに含まれる各組の教師データが、前記サンプル更年期状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの第1症状の状態に対応するスコアを識別するサンプル第1状態データを含み、前記第2の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、該組に対応する1人のサンプルユーザの第1症状の状態に対応するスコアを識別するサンプル第1状態データを、該組に対応する1人のサンプルユーザの第1症状の状態に対応するカテゴリーを識別するサンプル第1状態データに変換する、という前処理を実行し、前記前処理後の前記第2の複数組の教師データを、前記学習モデルに入力して前記推定モデルを生成し、該推定モデルから、前記対象更年期状態データとして、前記対象ユーザの第1症状の状態に対応するカテゴリーを識別する対象第1状態データを、出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第36の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第30の態様において「取得された前記複数組の教師データが第3の複数組の教師データを含み、該第3の複数組の教師データに含まれる各組の教師データが、前記サンプル更年期状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの第2症状の状態を識別するサンプル第2状態データ、を含み、前記推定モデルから、前記対象更年期状態データとして、前記対象ユーザの第2症状の状態を識別する対象第1状態データを、出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第37の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第36の態様において「前記第3の複数組の教師データに含まれる各組の教師データが、前記サンプル更年期状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの第2症状の状態に対応するスコアを識別するサンプル第2状態データを含み、前記第3の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、該組に対応する1人のサンプルユーザの第2症状の状態に対応するスコアを識別するサンプル第2状態データを、該組に対応する1人のサンプルユーザの第2症状の状態に対応するカテゴリーを識別するサンプル第2状態データに変換する、という前処理を実行し、前記前処理後の前記第3の複数組の教師データを、前記学習モデルに入力して前記推定モデルを生成し、該推定モデルから、前記対象更年期状態データとして、前記対象ユーザの第2症状の状態に対応するカテゴリーを識別する対象第2状態データを、出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第38の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第27の態様から上記第37の態様のいずれかにおいて「複数の商品及び/又は複数のサービスのうち、前記対象更年期状態データに対応する少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを決定する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第39の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第38の態様において「教師あり学習を実行することにより生成された別の推定モデルに前記対象更年期状態データを入力することにより、該別の推定モデルから、前記少なくとも1つの対象商品及び/又は前記少なくとも1つの対象サービスを識別する提案データを出力させる、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第40の態様に係るコンピュータプログラムは、上記第38の態様において「対象更年期状態データと前記複数の商品及び/又は前記複数のサービスとを対応付けた検索テーブルに前記対象更年期状態データを入力することにより、該検索テーブルから前記少なくとも1つの対象商品及び/又は前記少なくとも1つの対象サービスを識別する提案データを取得する、ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる」ことができる。
第41の態様に係るコンピュータプログラムにあっては、上記第27の態様から上記第40の態様のいずれかにおいて「前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含」み得る。
第42の態様に係る情報処理装置は、「少なくとも1つのプロセッサを具備し、該少なくとも1つのプロセッサが、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの更年期症状の状態を識別する対象更年期状態データであって、該対象ユーザの更年期症状の総合的な状態を識別する対象総合状態データ、該対象ユーザの第1症状の状態を識別する対象第1状態データ、及び、該対象ユーザの第2症状の状態を識別する対象第2状態データ、のうちの少なくとも1つを含む対象更年期状態データを、前記推定モデルから出力させる、ように構成され」得る。
第43の態様に係る情報処理装置は、上記第42の態様において「端末装置又はサーバ装置であ」り得る。
第44の態様に係る情報処理装置にあっては、上記第42の態様又は上記第43の態様において「前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含」み得る。
第45の態様に係る方法は、「コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得する段階と、教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの更年期症状の状態を識別する対象更年期状態データであって、該対象ユーザの更年期症状の総合的な状態を識別する対象総合状態データ、該対象ユーザの第1症状の状態を識別する対象第1状態データ、及び、該対象ユーザの第2症状の状態を識別する対象第2状態データ、のうちの少なくとも1つを含む対象更年期状態データを、前記推定モデルから出力させる段階と、を含む」ことができる。
第46の態様に係る方法にあっては、上記第45の態様において「前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含」み得る。
第47の態様に係る方法は、「コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の状態を識別するサンプル更年期状態データと、を含む、複数組の教師データを取得する取得段階と、該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力して、前記対象ユーザの更年期症状の状態を識別する対象更年期状態データであって、該対象ユーザの更年期症状の総合的な状態を識別する対象総合状態データ、該対象ユーザの第1症状の状態を識別する対象第1状態データ、及び、該対象ユーザの第2症状の状態を識別する対象第2状態データ、のうちの少なくとも1つを含む対象更年期状態データを、出力するように構成された推定モデル、を生成する生成段階と、を含む」ことができる。
第48の態様に係る方法は、上記第47の態様において「前記取得段階が、前記複数組の教師データに含まれる第1の複数組の教師データを取得する段階を含み、該第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、前記サンプル更年期状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の総合的な状態に対応するスコアを識別するサンプル総合状態データを含み、さらに、前記生成段階が、取得された前記第1の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、該組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の総合的な状態に対応するスコアを識別するサンプル総合状態データを、該組に対応する1人のサンプルユーザの更年期症状の総合的な状態に対応するカテゴリーを識別するサンプル総合状態データに変換する、という前処理を実行する段階と、各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザの前記サンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの前記サンプル総合状態データと、を含む、前記前処理後の前記第1の複数組の教師データを、前記学習モデルに入力して前記推定モデルを生成する段階と、を含む」ことができる。
第49の態様に係る方法は、上記第47の態様において「前記取得段階が、前記複数組の教師データに含まれる第1の複数組の教師データを取得する段階を含み、該第2の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、前記サンプル更年期状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの第1症状の状態に対応するスコアを識別するサンプル第1状態データを含み、さらに、前記生成段階が、取得された前記第2の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、該組に対応する1人のサンプルユーザの第1症状の状態に対応するスコアを識別するサンプル第1状態データを、該組に対応する1人のサンプルユーザの第1症状の状態に対応するカテゴリーを識別するサンプル第1状態データに変換する、という前処理を実行する段階と、各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザの前記サンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの前記サンプル第1状態データと、を含む、前記前処理後の前記第2の複数組の教師データを、前記学習モデルに入力して前記推定モデルを生成する段階と、を含む」ことができる。
第50の態様に係る方法は、上記第47の態様において「前記取得段階が、前記複数組の教師データに含まれる第3の複数組の教師データを取得する段階を含み、該第3の複数組の教師データに含まれる各組の教師データは、前記サンプル更年期状態データとして、少なくとも、該組に対応する1人のサンプルユーザの第2症状の状態に対応するスコアを識別するサンプル第2状態データを含み、さらに、前記生成段階が、取得された前記第3の複数組の教師データに含まれる各組の教師データについて、該組に対応する1人のサンプルユーザの第2症状の状態に対応するスコアを識別するサンプル第2状態データを、該組に対応する1人のサンプルユーザの第2症状の状態に対応するカテゴリーを識別するサンプル第2状態データに変換する、という前処理を実行する段階と、各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザの前記サンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの前記サンプル第2状態データと、を含む、前記前処理後の前記第3の複数組の教師データを、前記学習モデルに入力して前記推定モデルを生成する段階と、を含む」ことができる。
第51の態様に係る方法にあっては、上記第47の態様から上記第50の態様において「前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含む」ことができる。
【0237】
II.第2章
第1章において説明した技術と第2章において以下のとおり説明する技術とを組み合わせて利用することが可能である。
【0238】
例えば、第1章において説明した睡眠の状態を推定する推定モデルを、以下に説明する技術において、睡眠状態予測モデル110bとして利用することが可能である。同様に、第1章において説明した更年期症状の状態を推定する推定モデルを、以下に説明する技術において、女性の健康予測モデル100aとして利用することが可能である。さらに同様に、第1章において説明した、運動の状態を予測する推定モデル、免疫の状態を予測する推定モデル、水分補給の状態を予測する推定モデル、及び、栄養の状態を予測する推定モデルを、以下に説明する技術において、それぞれ、生活習慣病予測モデル110c、免疫状態予測モデル110e、水分状態予測モデル110d、及び、栄養状態予測モデル110fとして利用することが可能である。
【0239】
これに限らず、第1章において説明した技術に含まれる少なくとも1つの特徴(又は第2章において説明する技術に含まれる少なくとも1つの特徴)を、第2章において説明する技術(又は第1章において説明した技術)において利用することも可能である。
【0240】
1 概要
図15乃至
図28は、実施形態を説明するための図である。以下、大きく、顧客の健康状態(健康症状ともいう。)を予測する健康予測システムと、当該健康予測システムで利用される、顧客の健康状態を予測するための予測モデルを生成する学習システムとに分けて、順次、概要や機能構成、処理の流れ等を説明する。
【0241】
2 健康予測システム
2.1 健康予測システムの処理の概要
まず、
図15を参照しながら、実施形態にかかる健康予測システム1Zの大まかな処理の概要を説明する。
図15は、実施形態に係る健康予測システム1Zを利用して、顧客の健康予測を行うためのデータの流れを模式的に示すものである。
【0242】
健康予測システム1Zは、個人の健康状態を、当該個人の購買行動から推定するためのものである。この健康予測システム1Zを用いれば、顧客個人の健康状態を、検診データなどの本人の健康に関するデータなしに、顧客の購買行動である購買データに基づいて推定することができる。推定された健康状態は、例えば顧客の健康改善に役立てられ得る。
【0243】
ここで、個人の購買行動から当該個人の健康状態を予測する統合健康予測プログラム100Zは、個人の購買行動から健康状態を予測する複数種類の学習済みの予測モデルを含む。
図15の例では、統合健康予測プログラム100Zは6つの予測モデルが統合されることにより構成されているが、6つに限られるものではなく、5つ以下であっても、7つ以上であってもよい。
【0244】
本実施形態にかかる統合健康予測プログラム100Zは、女性の健康を予測する女性の健康予測モデル110a、睡眠状態を予測する睡眠状態予測モデル110b、生活習慣病を予測する生活習慣病予測モデル110c、水分状態を予測する水分状態予測モデル110d、免疫状態を予測する免疫状態予測モデル110e、栄養状態を予測する栄養状態予測モデル110fの6つの予測モデル(以下、総称して「予測モデル110Z」という。)を含む。統合健康予測プログラム100Zに含まれる各予測モデルは、顧客の購買履歴を示す購買データ150Zから、女性の健康状態(更年期症状に関するSMI等)/睡眠状態/生活習慣病/水分状態(水分補給状況)/免疫状態/栄養状態を示す値(特定の疾病に罹患している可能性及び/又は程度を示す値)を、顧客の健康予測値160Zとして算出するものである。
図15の例では、6つの健康状態を示す値が%で示されている。疾病の種類に応じて、男性のみ、女性のみ、又は、男性女性双方を対象とするようにしてもよい。これらの予測モデル110Zは、関数として記述され得る。商品の購買履歴と、健康に関する各種状態とを含む教師データを用いた機械学習により構築される。予測モデルの構築方法については後述する。
【0245】
より具体的には、統合健康予測プログラム100Zは、顧客の購買データ150Zを受け取る。購買データ150Zは、健康を予測したい顧客の購買履歴に関するデータであり、統合健康予測プログラム100Zに含まれる各予測モデル110Z構築時の教師データの説明変数に対応するデータである。統合健康予測プログラム100Zは、各予測モデル110Zに購買データ150Zを並列的に入力し、顧客の健康予測値160Zを算出する。なお、本実施形態では、購買データ150Zのみを予測モデル110Zへの入力としているが、例えば、顧客の性別や年齢などの顧客の属性情報も入力するようにしてもよい。
【0246】
また、統合健康予測プログラム100Zは、算出した健康予測値160Zに応じて、顧客に健康改善等に関する各種提案を行うようにしてもよい。より具体的には、例えば、顧客に健康予測値が高いカテゴリーを指摘し、顧客が気づいていない(潜在的な)症状、あるいは顕在化している症状が軽いうちに取り得る措置を提案することが考えられる。当該提案方法については、
図18等を参照しながら後述する。
【0247】
2.2 統合健康予測プログラムの構成
以下、
図16を参照しながら、統合健康予測プログラム100Zの機能構成を説明する。
図16は、統合健康予測プログラム100Zの機能構成を示す図である。統合健康予測プログラム100Zは、入力部120Z、商品カテゴリー決定部125Z、予測モデル110Z、出力部130Z、提案部135Zを含む。なお、統合健康予測プログラム100Zは、単一のプログラムとして実装されてもよいし、データの入出力により連携して動作可能な複数のプログラムとして実装されてもよい。
【0248】
入力部120Zは、購買データ150Zの入力を受ける(取得する)。入力部120Zは、統合健康予測プログラム100Zが実行される情報処理装置(コンピュータ)が内蔵するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体から購買データ150Zを読み込んでもよいし、あるいは、LAN(Local Area Network)やインターネット等を介して接続される外部の情報処理装置等から購買データ150Zの入力を受けてもよい。
【0249】
ここで、
図17を参照しながら、入力部120Zが入力を受ける購買データ150Zの具体例を説明する。
図17は、購買データ150Zの具体例を示す図である。ここで、購買データ150Zは、調査会社が提供する顧客の購買履歴を蓄積したパネルデータを採用し得る。当該パネルデータは、商品が購入された際に、購入者である顧客により当該商品がスキャンされることにより取得されるデータである。顧客が自身のスマートフォンや貸与されたバーコードリーダを用いて商品をスキャンすると、当該商品と、あらかじめ設定された顧客の属性(会社員/学生/主婦等)、購入先の情報等とが関連付けられて蓄積される。これにより、どのような人が、何を、どれだけ、どのような店舗で購入したかが把握される。
【0250】
図17の購買データ150Zの例は、顧客が一定期間(例えば一年間)にわたって購入した食品及び/又は日用品の購入履歴を示している。顧客が購入する各商品は、それぞれJICFS(JAN Item Code File Service)分類において商品カテゴリーに分類される。換言すると、各商品カテゴリーには、少なくとも1つの商品が属する。購買データ150Zには、顧客のIDごとに、顧客が購入した商品が属する商品カテゴリーに関する、JICFS分類における大カテゴリー「食品」「日用品」に含まれる細カテゴリーの約500品目(例:清涼飲料水、洗口液等)の各項目150aと、期間中の購入金額や購入数量、購入回数などの数値データである実績データ150bとが対応付けて入力されている。
【0251】
なお、本実施形態では、購買データ150Zに含まれるのは食品及び/又は日用品の購買履歴であるが、顧客の健康状態との関連が推定されるものであれば、これらに限られるものではない。例えば、例えば薬品などの他の商品や、マッサージ、鍼灸治療等の各種サービス等の購買履歴を購買データ150Zに含むことも考えられる。また、購買データ150Zは、小売店が管理する決済情報によって特定することも考えられるし、例えばクレジットカードの決済情報、金融機関への支払情報等を利用して特定することも考えられる。
【0252】
商品カテゴリー決定部125Zは、入力部120Zから購買データ150Zを受け取ると、各予測モデル110Zに入力する購買データ150Zから、各予測モデル110Zに入力する分類コード(JICFS分類)及び商品カテゴリーを決定し、得られた分類コード及び商品カテゴリーに関する購入金額、購入数量、及び購入回数などの数値データである実績データ150b(これらの一部のみを用いてもよい)を、各予測モデル110Zに並列的に入力する。
【0253】
なお、予測モデル110Zに入力する購買データ150Zの分類コード(商品カテゴリー)は、各予測モデル110Z毎に決定することができる。予測モデル110Zの入力とする商品カテゴリーの決定方法については、予測モデル110Zの作成に関する下記3.4で後述する。
【0254】
なお、入力部120Zから入力された購買データ150Zを、特に商品カテゴリーで絞ることなく、その実績データ15-bをそのまま予測モデル110Zに入力することも考えられる。その場合には、商品カテゴリー決定部125Zは不要である。
【0255】
予測モデル110Zは、商品カテゴリー決定部125Zが選択した分類コード及び商品カテゴリーに関する購入金額、購入数量、及び購入回数などの数値データである実績データ150bの入力を受け、各々、女性の健康状態(更年期症状)、睡眠状態(睡眠の乱れ)、生活習慣病(身体活動不足)、水分状態(水分不足度/水分補給状況)、免疫状態(免疫低下度)、及び栄養状態(栄養不足度)の健康予測値を算出する。
図15の例では、ユーザID001の顧客に対し、各々の予測モデル110Zが、更年期症状90%、睡眠の乱れ21%、身体活動不足度40%、水分不足度76%、免疫低下度72%、栄養不足度11%の値を算出している。
【0256】
予測モデル110Zは、先述のとおり、各顧客の購買履歴である購買データ150Zと、それらの顧客の健康状態とを対応付けた教師データを用いて、前者を説明変数、後者を目的変数として機械学習することにより構築することができる。予測モデル110Zの構築方法については下記3で後述する。
【0257】
出力部130Zは、各予測モデル110Zが算出した値を、当該顧客に関する健康予測値160Zとして、提案部135Zや、内蔵する記憶媒体や、ネットワーク等を介して接続される他の情報処理装置等に出力する。あるいは、出力部130Zは、表示装置上に算出した健康予測値160Zを表示させてもよい。
図15の例では、出力部140Zは、顧客ID、更年期、睡眠の乱れ、等の値を順に行方向に並べて配列し、これを顧客データのID毎に繰り返すことで、複数の顧客に対する健康予測値160Zを出力している。なお、健康予測値160Zは、顕在化している顧客の健康状態のみならず、将来的に起こることが予想され得る健康状態(潜在的な健康状態)をも含み得る。
【0258】
提案部135Zは、顧客毎に、予測した健康予測値160Zに応じた食品や用品、サービス等を提案する。提案方法は種々考えられるが、例えば、小売店の店員が使用する各種端末上に表示するようにしてもよいし、メッセンジャーサービス等により直接顧客に提案内容を送付したり、ウェブページ上に顧客向けに表示したりこと等も考えられる。
【0259】
2.3 顧客への各種提案の具体例及び処理
以下、
図18乃至
図20を参照しながら、統合健康予測プログラム100Zが顧客に対して行う各種提案について説明する。
【0260】
図18は、顧客の健康予測値160Zに応じて、提案部135Zが提案する食品/用品/サービス等を模式的に示す図である。例えば、更年期症状が90%であると予測された女性(顧客ID=001)には、提案部135Zは、ドラッグストア41Zで販売されている更年期症状を改善する商品を提案する。また、栄養不足度が93%であると予測された男性(顧客ID=002)には、提案部135Zは、ドラッグストア41Zで販売されている高機能栄養食品を提案する。他の例として、更年期及び睡眠の乱れの予測値がそれぞれ79%及び89%の女性(顧客ID=003)には、提案部135Zは、医療機関43Zの受診を提案する。また、提案部135Zは、身体活動不足度が相対的に高い顧客には、スポーツジム45Zに通うことを提案し、身体活動不足度が所定値よりも低い顧客には、保険会社47Zが提供する、生活習慣病に対応する医療保険商品を提案する。
【0261】
このように、統合健康予測プログラム100Zの提案部135Zは、購買データ150Zから、複数の予測モデル110Zの各々から予測結果を得ることにより、その顧客に適合した食品/用品/サービスを提案することができる。そのような提案を実現するには、予測モデルの出力値である各健康症状と関連付けられた食品、用品、及び/又はサービスのリストを予め用意しておけばよい。
【0262】
図19は、更年期症状に関する提案を実現するためのテーブル50Zと、参照するデータベース52Z、54Z及び56Zを示す。
【0263】
テーブル50Zには、更年期予測モデル(
図16における女性の健康予測モデル110a)の出力範囲が40%未満のクラス50a、40%以上80%未満のクラス50b、及び、80%以上のクラス50cの3つのクラスが設けられている。クラス50aでは、ドラッグストアの更年期症状を予防する商品データベース52Zが参照される。商品データベース52Zには、商品カテゴリーP1の商品X1、X2、商品カテゴリーP2の商品X3が記述されている。提案部135Zは、商品データベース52Zを参照して、このうちの一部又は全部のカテゴリー及び/又は商品名を、該当する顧客に提案することができる。予測モデルの出力値がクラス50bに該当する場合、提案部135Zは、更年期症状を改善するための商品データベース54Zを参照して、商品カテゴリーQ1の商品Y1、Y2を提案する。予測モデルの出力値が50cに該当する場合、提案部135Zは、現在地及び/又はあらかじめ登録された顧客の居住地の情報を用いて更年期外来医療機関データベース56Zを参照し、医療機関を提案する。これはすなわち、顧客の健康予測結果に応じた、予防診療及び/又は治療を行う医療機関の顧客への紹介に相当する。
【0264】
他の例を、
図20を参照しながら説明する。
図20は、生活習慣病予測モデル110cの出力値に応じた提案を実現するためのテーブル60Zを示す。
【0265】
テーブル60Zには、生活習慣病予測モデル110cの出力値、換言すると、身体活動の不足度の範囲が20%未満のクラス60a、20%以上80%未満のクラス60b、及び、80%以上のクラス60cの3つのクラスが設けられている。クラス60aでは、身体活動は充実していると考えられ、継続して身体活動を行わせるため、栄養指導(1)や、E1スポーツジムの月会費プランが提案される。栄養指導(1)は、例えば毎食当たり、10グラム未満の脂質、30グラム以上の蛋白質の栄養成分を取るための食事の提案である。クラス60bでは、身体活動は不足していないと考えられ、栄養指導(2)や定期的に身体活動を行わせるため、E2フィットネスクラブの都度会費プランが提案される。栄養指導(2)は、例えば毎食当たり、20グラム未満の脂質、20グラム以上のたんぱく質の栄養成分を摂るための食事の提案である。クラス60cでは、身体活動は不足しており、将来的に生活習慣病に罹患する可能性があることを踏まえ、栄養指導(3)やE3生命保険会社が提案する医療保険商品が提案される。栄養指導(3)は、例えば毎食当たり、20グラム未満の脂質、20グラム以上の蛋白質、及び20グラム未満の糖質の栄養成分を摂るための食事の提案である。栄養指導、スポーツジム、フィットネスクラブ及び保険商品の提案は、商品又はサービス提供の範疇である。生活習慣病予測モデル110cの出力値に関しても、提案部135Zは、テーブル60Zを参照することにより、出力値に応じた提案を顧客に行うことができる。
【0266】
図19及び
図20の例の他、睡眠状態、免疫状態、水分状態、栄養状態の各々についても、同様のテーブル、さらに必要に応じたデータベースを設けることで、提案部135Zは顧客ごとに、各予測モデル110Zの出力値である健康予測値160Zに応じた顧客への提案を行うことができる。
【0267】
なお、統合健康予測プログラム100Z自体が、提案部135Zを必ずしも内包する必要はない。例えば、統合健康予測プログラム100Zの出力部130Zが、統合健康予測プログラム100Zを運用する事業者とは別の事業者に対し、顧客の許可のもとで健康予測値160Zを送信し、当該別の事業者のプログラムが、提案部135Zにかかるプログラムを実装して顧客に対し、上記のような提案を行うことも考えられる。例えば、統合健康予測プログラム100Zが、予測モデル110Zの出力値である健康予測値160Zを保険会社に送信することで、その保険会社が顧客に保険商品を提案してもよい。
【0268】
2.4 処理の流れ
以下、
図21を参照しながら、統合健康予測プログラム100Zの処理の流れを説明する。
図21は、統合健康予測プログラム100Zによって実行される、顧客の健康予測処理の手順を示すフローチャートである。
【0269】
統合健康予測プログラム100Zの入力部120Zは、健康状態の予測を行いたい顧客の購入履歴を示す購買データ150Zを取得する(S701)。入力部120Zは、例えば、小売店での商品購入時に、その顧客の会員証をPOS(Point of Sale)システムから読み取ることによって、その顧客と購入履歴とを紐づけたデータベースが構築される。顧客の承諾のもと、そのようなデータベースから購買データ150Zを抽出することにより、入力部120Zは統合健康予測プログラム100Zに購買データ150Zを入力することができる。先述のとおり、そのような購買データ150Zは、例えば、JICFS分類及び商品カテゴリーを含む。
【0270】
商品カテゴリー決定部125Zは、購買データ150Zのうち、各予測モデル110Zの入力とするJICFS分類(分類コード)及び商品カテゴリーを決定する(S703)。なお、先述のとおり、予測モデル110Zが予測に用いる商品カテゴリーを特に絞らず、購買データ150Z全体を用いる場合には、S703の処理は不要である。
【0271】
次に、各予測モデル110Zは、商品カテゴリー決定部125Zが決定した分類コード及び商品カテゴリーの購買データ150Zを用いて、健康状態を予測する(S705)。出力部130Zは、予測モデル110Zが予測した健康状態を示す健康予測値160Zを出力し、提案部135Zは、当該健康予測値160Zに基づく提案を顧客に提供する(S707)。具体的には、レシートへの印字やディスプレイへの表示、スマートフォンへの通知等の形で健康予測値160Z又は提案部135Zによる顧客への健康改善の提案をおこなうこと考えられる。
【0272】
2.5 ハードウェア構成
図22を参照しながら、統合健康予測プログラム100Zが実行される情報処理装置800Zのハードウェア構成の具体例を説明する。
図22は、統合健康予測プログラム100Zが実行される情報処理装置800Zのハードウェア構成図である。情報処理装置800Zは、統合健康予測プログラム100Zを利用して、顧客の更年期症状や睡眠状態等に関する予測結果を算出する。情報処理装置800Zは、一般に入手可能なコンピュータシステム、例えばデスクトップ型PC(Personal Computer)、ノート型PC、タブレットPC、サーバコンピュータ等でありうる。当該コンピュータシステムは、健康予測システム1Zを運用する事業者の事業所に設置されてもよいし、クラウドサービスとして提供されてもよい。後者の場合、事業所にはクラウドサービスと相互に通信可能なPC等が設けられればよい。
【0273】
情報処理装置800Zは、制御部810Zと、入力インタフェース(I/F)部820Zと、記憶装置830Zと、出力I/F部840Zとを備える。
【0274】
制御部810Zは、CPU(Central Processing Unit。図示せず)、ROM(Read Only Memory。図示せず)、RAM(Random Access Memory)等を含み得る。制御部810Zは、記憶装置830Zに記憶される統合健康予測プログラム100Zを実行可能である。これにより、情報処理装置800Zは、一般的なコンピュータとしての機能に加え、上述した健康予測に係る各種処理を実行可能である。なお、制御部810Zに含まれる演算回路はCPUでなくともよく、MPUやGPU等の種々のプロセッサで実現されてもよく、また、1つのプロセッサでなく、複数のプロセッサにより実現されてもよい。
【0275】
入力I/F部820Zは、健康状態を予測したい顧客にかかる購買データ150Zを受け取る。先述のとおり、入力I/F部820Zは、例えばインターネットやLAN等のネットワークを介して接続される外部のサーバ等の情報処理装置から購買データ150Zを受信することが可能である。入力I/F部820Zは、例えばイーサネット(登録商標)の通信端子、USB(登録商標)端子、IEEE802.11、4G、又は5G等の規格に準拠して通信をおこなう通信回路により実現することができる。
【0276】
記憶装置830Zは、情報処理装置800Zを動作させるために必要なコンピュータプログラム及びデータを記憶する記憶媒体である。記憶装置830Zは、例えばHDD又は半導体記憶装置であるSSDであり得る。記憶装置830Zは、例えばDRAM又はSRAM等のRAMにより構成される一時的な記憶素子を備えてもよく、制御部810Zの作業領域として機能してもよい。記憶装置830Zは、統合健康予測プログラム100Zや、
図19のテーブル50Zや
図20のテーブル60Zとして具体例を示した提案用テーブル831Zを格納する。
【0277】
なお、予測モデル110Zは、統合健康予測プログラム100Zの一部として組み込まれてもよいし、統合健康予測プログラム100Zとは別のデータとして設けられてもよい。また、予測モデル110Zは、テーブルやパラメータ群として記憶装置830Zに格納されてもよい。
【0278】
また、提案用テーブル831Zは、健康状態の程度を示す予測結果、例えばH層/M層/L層や、90%/50%/20%と、各程度に応じて提案すべき商品・サービスを対応付けたものとすることができる。
【0279】
出力I/F部840Zは、情報処理装置800Zの外部に設けられた種々の出力装置と接続される通信回路及び/又は通信端子である。例えば出力I/F部840Zは、レシートプリンタPに印字すべき内容を示す印字データを出力するUSB端子であり得る。統合健康予測プログラム100Zは、顧客の健康状態に関する予測結果を算出し、その結果、もしくは結果に応じた顧客への提案をレシートプリンタPへ送信してレシートに印刷させることができる。
【0280】
出力I/F部840Zは、ディスプレイDと接続される映像出力端子であってもよい。統合健康予測プログラム100Zは、顧客の健康状態に関する予測結果を算出し、その結果、もしくは結果に応じた顧客への提案をディスプレイDに表示させる。ディスプレイDに表示された内容を、例えば薬剤師が確認することで、当該薬剤師は顧客の症状に応じた1又は複数の商品を提案することができる。
【0281】
別の形態として、出力I/F部840Zは、通信ネットワークN等と接続されてデータ通信することが可能な通信端子又は通信回路であってもよい。出力I/F部840Zが通信端子又は通信回路である場合には、入力I/F部820Z及び出力I/F部840Zのハードウェアは同一であってもよい。出力I/F部840Zは、例えば携帯電話回線を介して、顧客の健康状態に関する予測結果、もしくは結果に応じた顧客への提案を、顧客のスマートフォンMに送信することができる。
【0282】
3 予測モデル110Zを学習する学習システム9
3.1 概要
続いて、統合健康予測プログラム100Zに含まれる予測モデル110Zを機械学習により生成する方法を、
図23を参照しながら説明する。ここでは、モデル学習プログラム900Zが予測モデル110Zを生成するものとして説明する。なお、モデル学習プログラム900Zは、単一のプログラムとして実装されてもよいし、データの入出力により連携して動作可能な複数のプログラムとして実装されてもよい。
【0283】
なお、
図15に例を示した統合健康予測プログラム100Zは、6種類の予測モデル110Zを含んでいるが、これらの予測モデルは、用いる教師データ950Zのうちの健康データ954Zの違いのみで、同様に生成することができる。以下では、女性の健康にかかる更年期予測モデル110aを生成する場合を中心に説明する。
【0284】
3.2 教師データ950Z
モデル学習プログラム900Zは、多数の被験者から収集された種々のデータを含む教師データ950Zを利用して機械学習を行い、予測モデル110Zを構築する。教師データ950Zは、被験者の各々の購買行動に関する購買データ952Zと、それらの被験者の健康に関するデータである健康データ954Zとを含む。
【0285】
購買データ952Zは、
図17を参照して具体例を示したものと同様の情報に関するものである。すなわち、本実施形態においては、被験者のID毎に、JICFS分類におけるカテゴリーに係る項目150aと、期間中の購入金額や購入数量、購入回数などの数値データである実績データ150bとを購買データ952Zに含むことができる。なお、食品及び/又は飲料は被験者や顧客の健康状態等を関連付ける商品として好適であることから、購買データ952Zには、食品及び/又は飲料の購入履歴を含むことが好ましい。
【0286】
健康データ954Zは、被験者の健康状態を記述するものである。この健康状態とは、自覚症状に関する状態であってもよいし、測定した結果認められる状態であってもよい。すなわち、健康意識、メンタルヘルス、認知機能、健康診断結果のうちの少なくともいずれかを健康データ954Zに用いることが可能である。本実施形態における健康データ954Zでは、被験者の健康状態として、被験者の状態セグメント毎の判定値を記述する。状態セグメントでは、健康状態の種類及びレベル(換言すれば大きさ)の組合せ毎に定義される。本実施形態でいう健康状態の種類及びレベルは、対応する個人が有する心身の不調の種類及びレベルである。判定値は、健康状態を示す指数を、2クラスや3クラス等で表すことができる。なお、ここでいう「健康状態の種類及びレベル」は、医学的な厳密さを伴うものではなく、個人が有する健康の悩みの種類及びレベルと理解することも可能である。
【0287】
ここで、例として、モデル学習プログラム900Zが更年期予測モデル110aを生成する場合であって、更年期のレベルを判定するために、簡略更年期指数SMIの症状を利用する場合を考える。この場合、健康データ954Zには、被験者が属する簡略更年期指数SMIの症状を示すラベルを健康データ954Zに含むことができる。例えば、簡略更年期指数SMIを2クラスとして表現することが可能である。具体的には、更年期症状が相対的に大きいことを示す「H」と、「H以外」か、である。「H以外」については、相対的に症状が中程度である「M」と、相対的に小さいことを示す「L」に細分化する(すなわち、症状を計3クラスとして表現する)ことも可能である。以下では、「H」に該当する被験者層を「H層」と呼ぶ。
【0288】
なお、健康データ954Zにおける症状の程度を示すラベル付けにおいて、2クラスや3クラスではなく、さらに細分化して4クラス以上としてもよいし、あるいは、これらのクラスに代えて、更年期症状に該当する可能性を示す数値を使用することも考えられる。
【0289】
すなわち、教師データ950Zは、各被験者の各商品カテゴリーに関する情報と、所定期間中の購入金額や購入数量、購入回数などにかかる情報とを含む購買データ952Zと、健康状態を示すラベルの情報を少なくとも含む健康データ954Zとが紐づけられたものである。ここで、モデル学習プログラム900Zが、例えば、女性の健康状態(更年期症状)、睡眠状態(睡眠の乱れ)、生活習慣病(身体活動不足)、水分状態(水分不足度)、免疫状態(免疫低下度)、及び栄養状態(栄養不足度)の6つの予測モデル110Zを生成するのであれば、これらの予測モデル110Zにそれぞれ対応する情報を、健康データ954Zに含ませるようにすればよい。教師有り学習における機械学習において、教師データ950Zは、大きく説明変数と目的変数とに分類される。本実施形態においては、購買データ952Zが説明変数、健康データ954Zが目的変数に相当する。なお、本実施形態では、説明変数は購買データ952Zのみを用いているが、これに限られるものではない。例えば、被験者の属性である、性別や年齢を説明変数に追加することが考えられる。
【0290】
以下、モデル学習プログラム900Zは、適切な健康データ954Zを用意すれば、睡眠状態、生活習慣病、免疫状態、水分状態、栄養状態、認知症、酸素利用、血管の健康、頭髪の健康、腸内環境、運動効果の促進、食欲増進、目の健康、肌の健康、口腔衛生、心の健康、うつ、ストレス、頭痛、肩こり、耳の健康、関節の健康、体温恒常性、疲労、骨の健康、男性の更年期障害、高血圧、天気痛等、種々の症状等に関する予測モデル110Zを生成することが可能である。以下では、特に、女性の健康状態(更年期症状)、睡眠状態(睡眠の乱れ)、生活習慣病(身体活動不足)、水分状態(水分不足度)、免疫状態(免疫低下度)、及び栄養状態(栄養不足度)を示す指標として利用可能な指数を例示する。
【0291】
3.2.1 女性の健康状態(更年期症状)
更年期症状の度合いを示す指標としては、例えば、上述のとおり、簡略更年期指数SMIを用いることができる。簡略更年期指数SMIは、列挙された種々の症状の程度に応じた該当項目を各被験者に事前にしておいてもらい、その結果を点数化することにより取得される。簡略更年期指数SMIは日本人の更年期女性特有の症状を反映した指標であるとされている。そのため、国や地域等に応じて、更年期症状に関する他の指標、例えば、更年期障害評価尺度(the Menopause Rating Scale)、クッパーマン更年期指数(The Kupperman index)、更年期障害評価尺度(Green Climacteric Scale)、PSST(The premenstrual symptomsscreening tool)、MRS(Menopause rating Scale)、WHQ(The Women’s Health Questionnaire)、VAS(Visual analogue scale)、HFRDI(Hot Flash Related Daily Interference Scale)、HFCS(Hot Flash Composite Score)、及びMENQOL(Menopause-Specific Quality of life)、日本人女性の更年期症状評価表のいずれか1つ以上を適宜利用することも考えられる。
【0292】
なお女性の健康状態については、更年期症状の他、月経前症候群(PMS、PMDD)症状も考えられる。すなわち、月経前症候群を予測するためには、月経前症候群の症状の程度を示す指標を目的変数、購買データ952を説明変数として機械学習することにより健康予測モデル110Zを構築すればよい。
【0293】
また、健康データ954Zには、これらの指標の数値データを含ませてもよいし、これらの指標の数値から、症状の程度を示すラベルのみを含ませてもよい。この点については、以降の、睡眠状態、生活習慣病等の指標についても同様である。
【0294】
3.2.2 睡眠状態(睡眠の乱れ)
睡眠を示す指標としては、睡眠状態の悪化及び/又は睡眠リズム、不適切な睡眠時間のいずれかを示す指標であることが考えられる。アンケート等によって取得された各対照の自覚症状であってもよいし、各対照を測定した結果認められる測定値であってもよい。睡眠状態には、アテネ睡眠評価尺度(AIS)、ピッツバーグ睡眠質問票(Pittsburgh Sleep Quality Index:PSQI)、3次元型睡眠尺度(3 Dimentional Sleep Scale:3DSS)、不眠症重症度質問票(Insomnia Severity Index:ISI)の少なくともいずれかを用いることができる。症状の程度は、それぞれの項目の単体及び複合的に解析され、生活者の健康状態をカテゴリーに割り付け分類される。睡眠リズムはミュンヘンクロノタイプ質問票(Munich ChronoType Questionnaire:μMCTQ)を用い、平日と休日のそれぞれの睡眠中央時間を求め、その差からソーシャルジェットラグ(Social Jet Lag:SJL)を算出することで把握することができる。
【0295】
3.2.3 生活習慣病(身体活動不足)
運動状態を示す指標としては、運動不足、肥満、一定期間における体重の変化から選択される1つ以上程度を含み得る。より具体的には、各被験者の体重、BMI(Body Mass Index)、歩数及び/又はメタボリックシンドローム診断基準値のいずれか1つ以上を用いることが考えられる。メタボリックシンドローム診断基準値は、ウエスト周囲径、高グリセリド血症及び/又は低HDLコレステロール血症の診断のために定められた閾値、血圧の最大値及び/又は最小値、及び、空腹時高血糖の診断のために定められた閾値のいずれか1以上である。
【0296】
なお、生活習慣病や運動状態にかかる予測モデルを生成する機械学習の際に、購買データ952Zに加え、被験者の喫煙の有無や座位行動の1つ以上の情報を説明変数に含めて機械学習を行ってもよい。
【0297】
3.2.4 水分状態(水分不足度)
水分状態を示す指標としては、血清Na値、BUN/クレアチニン比、及び、或いは尿浸透圧、尿比重、尿カラー、脱水評価スケール、水分不足に伴う自覚症状であることが考えられる。これら情報は、先の更年期症状の例と同様の方法によって取得され得る。例えば複数の対照の各々が一定期間、例えば一年間、経験した体の変化を健康診断や人間ドックで得られる臨床検査値や別に実施される健康アンケートによって得られる。一方、水分低下に伴う自覚症状は、アンケート等によって取得され得る。症状の程度は、血清Na値、尿浸透圧、尿比重、BUN/クレアチニン比、飲水量、身体活動量、尿カラーの少なくとも1つ以上から把握され得る。
【0298】
これらの指標に基づき、悪化した健康状態を経験している、あるいは今後経験する可能性がある状態を疫学情報から文献的に見出すことが可能である。例えば、血清Na値が142mEq/Lを超える生活者は血清Na値が142mEq/L未満の生活者よりも認知障害や高血圧の発症リスクが高いことが見出されており、健康リスクが高いと評価することが可能である。
【0299】
なお、水分状態に係る予測モデルを生成する機械学習の際に、購買データ952Zに加え、被験者の飲水量、飲酒量、身体活動量、尿カラー、尿浸透圧、尿比重、血清Na値、BUN/クレアチニン比、の1つ以上の情報を説明変数に含めて機械学習を行ってもよい。
【0300】
3.2.5 免疫状態(免疫低下度)
免疫状態を示す指標としては、例えば、風邪の引きやすさ及び/又はその頻度、風邪様症状を用いることが可能である。この風邪の引きやすさや頻度は、アンケート等によって取得された各対照の自覚症状であってもよいし、医療機関の受診履歴から取得されてもよい。症状の程度は3段階以上のカテゴリーで集計され、症状の程度は、風邪の引きやすさ、SIgA濃度、アレルギー症状、口腔環境・免疫力の状態、運動の状態、ストレスの状態、重度の睡眠症状、中程度の睡眠症状、軽度の睡眠症状、風邪様症状であり得る。
【0301】
3.2.6 栄養状態(栄養不足度)
栄養状態を表す指標は、アンケート等によって取得された各対照の自覚症状であってもよいし、各対照を測定した結果認められる測定値であってもよい。症状の程度は、栄養低下に伴う自覚症状の有無、食品摂取の多様性得点(DVS)、食欲尺度短縮版(SNAQ:Simplified nutritional appetite questionnaire)、BMI(Body Mass Index)の少なくともいずれかであり得る。
【0302】
3.3 機械学習の方法
本実施形態にかかるモデル学習プログラム900Zは、機械学習の手法として、ロジスティック回帰を用いる。しかしながら、ロジスティック回帰は一例であり、他の手法、例えば、例えばランダムフォレスト、決定木、勾配ブースティング、サポートベクトル回帰、線形回帰、部分的最小二乗(Partial Least Squares:PLS)回帰、ガウス過程回帰、ニューラルネットワーク等を採用することも考えられる。また、ロジスティック回帰を用いる際にも、L1正規化法を用いることにより精度をより向上させてもよいし、L1正規化法に代えてL2正規化法を用いたロジスティック回帰(リッジ回帰)を採用してもよい。L1正規化法及びL2正規化法を両方採用したエラスティックネットを利用することもできる。
【0303】
ロジスティック回帰は、入力を受けて、それがある事象に該当する確率(あるいは該当しない確率)を算出することにより、入力がある事象に該当するか否かを判定する手法である。ロジスティック回帰のモデルは、一例として、ロジット関数と呼ばれる下記式(1)のように説明される。式(1)において、左辺は自然対数である。また、iはi番目の対象者を、pは目的変数の事象が発生する確率を、b1、b2…bnは偏回帰係数を、b0は定数項を、x1、x2…xnは説明変数を、それぞれ示す。
【0304】
【0305】
式(1)の右辺をzとすると、式(1)は、確率pを表す式(2)に変形することができる。
【0306】
【数2】
式(2)はシグモイド関数と呼ばれ、ロジスティック回帰モデルにおける活性化関数である。zの定義における偏回帰係数b
1、b
2…b
nは重みと呼ばれ、b
0はバイアス項である。zをシグモイド関数に入力すると、0~1の値、すなわち確率値が算出される。
【0307】
ここで、式(2)で求めたシグモイド関数を「φ(z)」と置き、その出力値に応じて2値のいずれかを示す出力yに分類する。式(3)は、φ(z)が0.5以上であれば1のクラスに分類し、0.5未満であれば0のクラスに分類することを意味する。なお、0.5は例であり、0.5以外の値を閾値としてもよい。換言すると、式(3)は、式(2)のzが0以上であれば1のクラスに分類し、式(2)のzが0未満であれば0のクラスに分類することを意味する。
【数3】
【0308】
次に、ロジスティック回帰において学習に利用される「尤度」を導入する。尤度は、結果から見たところの条件の尤もらしさを意味する。尤度を表す尤度関数Lは以下の式(4)により表される。なお、Pは確率値を表す。
【数4】
【0309】
尤度関数Lは、全ての事象について正しく判定する確率を示している。尤度を最大化する重みを求めることにより、予測したい事象の確率を、より正確に出力できる。具体的には、尤度関数Lに(-1)を乗じて尤度関数の政府を逆転させる。この正負が逆転した尤度関数が、ロジスティック回帰における誤差関数である。誤差関数が最小値となる重み、すなわち偏回帰係数b1、b2…bnを求めるため、誤差関数をb1、b2…bnのそれぞれについて偏微分氏、勾配降下法を適用する。これにより、ロジスティック回帰の学習が行われる。
【0310】
なお、尤度関数として、式(4)の自然対数を用いた対数尤度関数を利用してもよい。対数尤度関数に(-1)を乗じて正負を逆転させた関数を最小化していくことにより最適な重みを見出すことができる。
【0311】
上述のロジスティック回帰に関する演算アルゴリズムは周知であり、そのようなアルゴリズムにより機械学習を行うためのソフトウェアアプリケーションは容易に入手可能である。原理的には上述のとおりであるが、入手可能なソフトウェアを用いれば、数式を用いた具体的な解析手法の詳細を知らない者であっても、本実施形態に係るロジスティック回帰を利用した機械学習を実現することは可能である。
【0312】
3.4 健康予測に用いる商品カテゴリーの決定方法
教師データ950Zに含まれる購買データ952Zにおける、各商品やサービスカテゴリーに関する購入金額、購入数量、購入回数などの数値データが、上述した式(1)の等における説明変数xに対応する。
【0313】
先述のとおり、本実施形態における教師データ950Zに含まれる健康データ954Zは、更年期症状や睡眠の乱れ等の各症状について、H層に分類されるか、L層に割り当てられるかを示す「H」や「L」(もしくは「H」「M」「L」)のラベルが各被験者に対して割り当てられる。上記式(3)において、H層である場合に「1」を出力し、H層以外の場合に「0」を出力するように分類させることで、尤度関数を求めることができる。説明変数xを構成する要素は、上述の購買データ952Zに限られるものではない。例えば、年齢層を示すデータや性別を示すデータを説明変数に含むことも考えられる。
【0314】
多数の被験者にかかる教師データ950Zを用いて機械学習をおこない、予測モデルを構築することにより、H層の顧客が購入することの多い商品群(カテゴリー)を判別することができる。
【0315】
図24は、更年期症状に関するH層及びH層以外の層の被験者の多くが選択した(購入することの多い)商品カテゴリーを示している。
図24の上部には、H層の被験者の多くが選択した商品カテゴリー、下部にはH層以外の被験者も選択した商品カテゴリーが示されている。
【0316】
また、
図25は、更年期症状に関するH層の被験者による購入品目から見出された更年期症状と、健康課題との関係を示している。
図25最右欄の数値は、更年期症状を有する女性による選択のされやすさを示す程度(偏差値)を示している。この数値は、「お金をかけてでも対処したい事項症状別偏差値-女性の健康・美容ライフスタイル理解に関するリサーチプロジェクト報告書-行動観察調査結果」からの引用である。
【0317】
これらの結果から、更年期症状に関するH層の被験者は、特定の商品を積極的に選択(購入)していることがわかる。H層の被験者は、肌や体内の乾燥、不定愁訴に対応する商品を購入している。
【0318】
図26は、H層に属する更年期症状を有する女性向けの商品群(商品カテゴリー)の例を示している。このように、H層の被験者が、H層以外の層の被験者と比較して頻繁に購入する商品カテゴリーを決定することができるので、そのような商品の購入(数量、金額、回数)の多い被験者は、更年期症状におけるH層に属する可能性が高いと推定することができる。なお、同様に、H層に属さない被験者が、H層の被験者と比較して頻繁に購入する商品カテゴリーを決定することもできるので、そのような商品カテゴリーの購入の多い被験者は、更年期症状におけるH層に属さない可能性が高いと推定することができる。
【0319】
よって、本実施形態におけるモデル学習プログラム900Zは、購買データ952Zのうち、H層に属する、あるいはH層に属さないとの推定に貢献し得る商品カテゴリーのデータを用いて、予測モデル110Zを構築することで、精度よくH層に属する顧客を推定できるようにしている。
【0320】
3.5 モデル学習プログラム900Zの構成
以下、
図23を参照しながら、モデル学習プログラム900Zの機能構成を説明する。
図23は、モデル学習プログラム900Zの機能構成を示す図である。モデル学習プログラム900Zは、入力部910Z、商品カテゴリー決定部912Z、学習部914Z、及び出力部916Zを有する。なお、モデル学習プログラム900Zは、単一のプログラムとして実現されてもよいし、協働する複数のプログラムとして実現されてもよい。
【0321】
入力部910Zは、教師データ950Zの入力を受ける。入力部910Zは、モデル学習プログラム900Zが実行される情報処理装置(コンピュータ)が内蔵するHDDやSSD等の記憶媒体から教師データ950Zを読み込んでもよいし、あるいは、LANやインターネットなどのネットワークを介して接続される外部の情報処理装置等から教師データ950Zの入力を受けてもよい。
【0322】
商品カテゴリー決定部912Zは、学習対象の予測モデル110Zの機械学習に用いる購買データ952Zの商品カテゴリーを選択する。商品カテゴリーの選択方法は、上記3.4に記載したため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、複数の症状にそれぞれ対応する複数の予測モデル110Zを生成する場合、商品カテゴリー決定部912Zは、それぞれの予測モデル110Zに対して、異なる商品カテゴリーを選択することができる。
【0323】
なお、先述のとおり、予測モデル110Zの機械学習の際に、商品カテゴリーを絞らずに購買データ952Z全体を用いて予測モデル110Zを作成することも考えられる。その場合には、商品カテゴリー決定部912Zは不要である。
【0324】
学習部914Zは、商品カテゴリー決定部912Zで決定した商品カテゴリーの購買データ952Zを用いて機械学習を行い、予測モデル110Zを生成する。予測モデル110Zの生成方法については、上記3.3に記載したため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0325】
出力部916Zは、学習部914Zが生成した予測モデル110Zを、内蔵する記憶媒体やネットワーク等を介して接続される他の情報処理装置(例えば、
図22を参照しながら説明した情報処理装置800Z)等に出力する。なお、出力方法としては、予測モデル110Zを構成する関数そのものとして出力することも考えられるし、あるいは予測モデル110Zを構成する関数のパラメータとして出力することも考えられる。
【0326】
3.6 処理の流れ
以下、
図27を参照しながら、モデル学習プログラム900Zの処理の流れを説明する。
図27は、モデル学習プログラム900Zによって実行される、予測モデル110Z作成にかかる手順を示すフローチャートである。
【0327】
モデル学習プログラム900Zの入力部910Zは、学習に用いる多数の被験者にかかる教師データ950Zを取得する(S1301)。教師データ950Zには、被験者の購買履歴を示す購買データ952Zと、健康状態(症状の程度)を示す健康データ954Zとを含む。先述のとおり、購買データ952Zには、例えばJICFS分類(分類コード)及び商品カテゴリー、並びに、それらに対応する購入回数、購入金額、購入数量等の数値データを含むことができる。
【0328】
次に、商品カテゴリー決定部912Zは予測モデル110Zの生成に用いるJICFS分類及び商品カテゴリーを決定する(S1303)。決定方法については上記3.4で説明したとおりであるが、健康データ954Zとして得られる健康状態の推定への影響の大きいJICFS分類及び商品カテゴリーを商品カテゴリー決定部912Zは選択すればよい。なお、商品カテゴリーを特に絞らずに購買データ952Z全体を使って予測モデル110Zを作成する際には、S1303の処理は不要である。
【0329】
学習部914Zは、購買データ952Zを説明変数とし、健康データ954Zを目的関数として、機械学習を行う(S1305)。機械学習の方法については、上記3.3に具体例を示して説明したため、ここでは説明を省略する。
【0330】
出力部916Zは、S1305において学習部914Zが生成した予測モデル110Zを、内蔵する記憶媒体や、ネットワークを介して接続される他の情報処理装置等へ出力する。なお、予測モデル110Zは、予測モデル110Zを構成する関数そのものとして出力しても、パラメータ等の形で出力してもよいことについては、前述のとおりである。
【0331】
3.7 ハードウェア構成
図28を参照しながら、モデル学習プログラム900Zが実行される情報処理装置1400Zのハードウェア構成の具体例を説明する。
図28は、モデル学習プログラム900Zが実行される情報処理装置1400Zのハードウェア構成図である。情報処理装置1400Zは、モデル学習プログラム900Zを利用して、顧客の更年期症状や睡眠状態等に関する予測を行う予測モデル110Zを生成する。
【0332】
情報処理装置1400Zは、一般に入手可能なコンピュータシステムとして実現可能な点、健康予測システム1Zを運用する事業者の事業所に設置されてもクラウドサービスとして提供されてもよい点等については、上述の情報処理装置800Zと同様である。なお、本実施形態では、健康予測を行う情報処理装置800Zと、予測モデル110Zを生成する情報処理装置1400Zは別の装置である場合を中心に説明するが、両者は同一の装置として実現されてもよい。
【0333】
情報処理装置1400Zは、制御部1410Zと、通信I/F部1420Zと、記憶装置1430Zとを備えている。
【0334】
制御部1410Zは、CPU、ROM、RAM等を含み得る。制御部1410Zは、記憶装置1430Zに記憶されるモデル学習プログラム900Zを実行可能である。これにより、情報処理装置1400Zは、一般的なコンピュータとしての機能に加え、上述した予測モデル110Zの構築に係る各種処理を実行可能である。なお、制御部1410Zに含まれる演算回路はCPUでなくともよく、MPUやGPU等の種々のプロセッサで実現されてもよい。また、1つのプロセッサでなく、複数のプロセッサにより実現されてもよい。
【0335】
通信I/F部1420Zは、入力I/F部820Zは、例えばイーサネット(登録商標)の通信端子、USB(登録商標)端子、IEEE802.11、4G、又は5G等の規格に準拠して通信をおこなう通信回路により実現することができる。通信I/F部1420Zは、イントラネット、インターネットなどの通信ネットワークに接続可能であり、学習システム9を運用する事業者が用意した教師データ950Zを受信する。また、情報処理装置1400Zは、通信I/F部1420Zを介して他の機器と直接通信してもよく、アクセスポイント等を介して通信してもよい。
【0336】
記憶装置1430Zは、情報処理装置1400Zを動作させるために必要なコンピュータプログラム及びデータを記憶する記憶媒体である。記憶装置1430Zは、例えばHDDやSSDであり得る。記憶装置1430Zは、例えばDRAMやSRAM等のRAMにより構成される一時的な記憶素子を備えてもよく、制御部1410Zの作業領域として機能してもよい。記憶装置1430Zは、モデル学習プログラム900Zや、モデル学習プログラム900Zが生成する予測モデル110Z(予測モデル110Zを定義するテーブル及び/又はパラメータ群を含む)を格納する。
【0337】
4 本実施形態の効果
本実施形態にかかる健康予測システム1Zでは、統合健康予測プログラム100Zにおいて、顧客の購買データ150Zから、その顧客の複数の健康リスクを予測することが可能である。そして、個々の予測結果を踏まえて、顧客ごとにきめ細かく、現在又は将来の健康状態を改善し、及び/又は維持するための提案を行うことができる。
【0338】
5 付記
なお、上述の実施形態の構成は、組み合わせたり或いは一部の構成部分を入れ替えたりしてもよい。また、本発明の構成は上述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【0339】
例えば、上述の実施形態では、統合健康予測プログラム100Zは6種類の健康予測モデルを含むこととしたが、6種類を含むことは一例に過ぎない。2種類以上、6種類未満でもよいし、7種以上の健康予測を含むようにしてもよい。一般的に記載すると、統合健康予測プログラム100Zは、第1種~第N種(Nは2以上の整数)の各健康症状に関する予測モデル110Zを含み得る。そして、k番目の第k種(1≦k≦N)の健康症状に関する健康予測モデル110Zは、少なくとも1つの商品が属する商品カテゴリーに関する購買データ150Zを入力とし、第k種の健康症状の程度を出力とする予測モデルとして構築されればよい。この第k種(1≦k≦N)の健康症状に関する健康予測モデル110Zは、複数の被験者の各々の購買履歴に係る購買データ952Zを説明変数とし、それらの被験者の各々から収集された健康状態の程度を表す健康データ954Zを目的変数として機械学習することにより構築され得る。
【0340】
また、健康症状の程度を数値によって表した際の、クラスを定義する数値範囲の上限及び下限の数値は一例であり、適宜変更し得る。定義されるクラスの数も当業者が任意に決定し得る。
【0341】
本開示の利益を有する当業者により容易に理解されるように、上述した様々な例は、矛盾の生じさせない限りにおいて、相互に様々なパターンで適切に組み合わせて用いられ得る。
【0342】
本明細書に開示された発明の原理が適用され得る多くの可能な実施形態を考慮すれば、例示された様々な実施形態は好ましい様々な例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明の技術的範囲をこれらの好ましい様々な例に限定すると考えるべきではない、と理解されたい。実際には、特許請求の範囲に係る発明の技術的範囲は、添付した特許請求の範囲により定められる。したがって、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲に属するすべてについて、本発明者らの発明として、特許の付与を請求する。
【符号の説明】
【0343】
1 通信システム
2 通信網(通信回線)
10、10A、10B サーバ装置
20、20A、20B 端末装置
11、21 中央処理装置(CPU)
【手続補正書】
【提出日】2023-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させ、
前記対象状態データが、前記対象ユーザの体重を識別するデータを含む、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項2】
少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データ(家庭センサにより取得されたデータを除く)を入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項3】
少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、
対象ユーザの履歴を識別する対象履歴データを取得し、
サンプルユーザが肥満の状態にあるか否かを識別するデータを説明変数として含む教師データを用いた教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象履歴データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項4】
少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、
対象ユーザの履歴を識別する対象履歴データであって、該対象ユーザが肥満の状態にあるか否かを識別するデータを含む対象履歴データ、を取得し、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象履歴データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項5】
少なくとも1つのプロセッサにより実行されることにより、
対象ユーザ(高齢者及び患者を含む見守りが必要とされる見守り対象者を除く)により実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項6】
各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別するサンプル状態データと、を含む、複数組の教師データを、学習モデルに入力することにより生成された前記推定モデルを、取得する、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項1、請求項2及び請求項5のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別するサンプル状態データと、を含む、複数組の教師データを、学習モデルに入力することにより生成された前記推定モデルに対して、通信回線を介して接続される、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項1、請求項2及び請求項5のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別するサンプル状態データと、を含む、複数組の教師データを取得し、
該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、前記推定モデルを生成する、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項1、請求項2及び請求項5のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
複数の商品及び/又は複数のサービスのうち、前記対象状態データに対応する少なくとも1つの対象商品及び/又は少なくとも1つの対象サービスを決定する、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項1から請求項8のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
教師あり学習を実行することにより生成された別の推定モデルに前記対象状態データを入力することにより、該別の推定モデルから、前記少なくとも1つの対象商品及び/又は前記少なくとも1つの対象サービスを識別する提案データを出力させる、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
対象状態データと前記複数の商品及び/又は前記複数のサービスとを対応付けた検索テーブルに前記対象状態データを入力することにより、該検索テーブルから前記少なくとも1つの対象商品及び/又は前記少なくとも1つの対象サービスを識別する提案データを取得する、
ように前記少なくとも1つのプロセッサを機能させる、請求項9に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含む、請求項1から請求項11のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
少なくとも1つのプロセッサを具備し、
該少なくとも1つのプロセッサが、
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる、
ように構成され、
前記対象状態データが、前記対象ユーザの体重を識別するデータを含む、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
少なくとも1つのプロセッサを具備し、
該少なくとも1つのプロセッサが、
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データ(家庭センサにより取得されたデータを除く)を入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる、
ように構成される、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
少なくとも1つのプロセッサを具備し、
該少なくとも1つのプロセッサが、
対象ユーザの履歴を識別する対象履歴データを取得し、
サンプルユーザが肥満の状態にあるか否かを識別するデータを説明変数として含む教師データを用いた教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象履歴データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる、
ように構成される、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項16】
少なくとも1つのプロセッサを具備し、
該少なくとも1つのプロセッサが、
対象ユーザの履歴を識別する対象履歴データであって、該対象ユーザが肥満の状態にあるか否かを識別するデータを含む対象履歴データ、を取得し、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象履歴データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる、
ように構成される、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項17】
少なくとも1つのプロセッサを具備し、
該少なくとも1つのプロセッサが、
対象ユーザ(高齢者及び患者を含む見守りが必要とされる見守り対象者を除く)により実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得し、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる、
ように構成される、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項18】
端末装置又はサーバ装置である、請求項13から請求項17のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含む、請求項13から請求項18のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項20】
コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得する段階と、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる段階と、
を含み、
前記対象状態データが、前記対象ユーザの体重を識別するデータを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項21】
コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得する段階と、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データ(家庭センサにより取得されたデータを除く)を入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、
対象ユーザの履歴を識別する対象履歴データを取得する段階と、
サンプルユーザが肥満の状態にあるか否かを識別するデータを説明変数として含む教師データを用いた教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象履歴データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、
対象ユーザの履歴を識別する対象履歴データであって、該対象ユーザが肥満の状態にあるか否かを識別するデータを含む対象履歴データ、を取得する段階と、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象履歴データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、
対象ユーザ(高齢者及び患者を含む見守りが必要とされる見守り対象者を除く)により実行された行動の履歴を識別する対象行動データを取得する段階と、
教師あり学習を実行することにより生成された推定モデルに前記対象行動データを入力することにより、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、前記推定モデルから出力させる段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含む、請求項20から請求項24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、
各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別するサンプル状態データと、を含む、複数組の教師データを取得する取得段階と、
該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力して、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、出力するように構成された推定モデル、
を生成する生成段階と、
を含み、
前記対象状態データが、前記対象ユーザの体重を識別するデータを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項27】
コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、
各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別するサンプル状態データと、を含む、複数組の教師データを取得する取得段階と、
該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データ(家庭センサにより取得されたデータを除く)を入力して、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、出力するように構成された推定モデル、
を生成する生成段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、
各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザの履歴を識別するサンプル履歴データであって、該組に対応する1人のサンプルユーザが肥満の状態にあるか否かを識別するデータを含むサンプル履歴データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別するサンプル状態データと、を含む、複数組の教師データを取得する取得段階と、
該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、
対象ユーザの履歴を識別する対象履歴データを入力して、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、出力するように構成された推定モデル、
を生成する生成段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、
各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザの履歴を識別するサンプル履歴データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別するサンプル状態データと、を含む、複数組の教師データを取得する取得段階と、
該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、
対象ユーザの履歴を識別する対象履歴データであって、該対象ユーザが肥満の状態にあるか否かを識別するデータを含む対象履歴データ、を入力して、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、出力するように構成された推定モデル、
を生成する生成段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項30】
コンピュータにより読み取り可能な命令を実行する少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
該少なくとも1つのプロセッサが、前記命令を実行することにより、
各組の教師データが、該組に対応する1人のサンプルユーザにより実行された行動の履歴を識別するサンプル行動データと、該組に対応する1人のサンプルユーザの運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別するサンプル状態データと、を含む、複数組の教師データを取得する取得段階と、
該複数組の教師データを学習モデルに入力して学習させることにより、
対象ユーザ(高齢者及び患者を含む見守りが必要とされる見守り対象者を除く)により実行された行動の履歴を識別する対象行動データを入力して、前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データであって、該対象ユーザの体重を識別するデータ、該対象ユーザのBMI(Body Mass Index)を識別するデータ、該対象ユーザの歩数を識別するデータ、該対象ユーザの喫煙の有無を識別するデータ、及び、該対象ユーザのメタボリックシンドローム診断基準値を識別するデータ、のうちの少なくとも1つを含む対象状態データを、出力するように構成された推定モデル、
を生成する生成段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
対象ユーザにより実行された行動の履歴を識別する対象行動データを前記推定モデルに入力することにより、該推定モデルから前記対象ユーザの、運動の状態、生活習慣病に関連する状態又は身体活動の不足の状態を識別する対象状態データを出力する推定段階、
をさらに含む、請求項26、請求項27及び請求項30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも1つのプロセッサが、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、及び/又は、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)を含む、請求項26から請求項31のいずれかに記載の方法。