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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143903
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20230928BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20230928BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20230928BHJP
   H10K 59/12 20230101ALI20230928BHJP
   H10K 77/10 20230101ALI20230928BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20230928BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230928BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALN20230928BHJP
【FI】
G09F9/30 308Z
H05B33/14 Z
H10K59/10
H10K59/12
H10K77/10
G09G5/00 530M
G09G5/00 550G
G09G5/00 550C
G09G5/00 510V
G09F9/30 365
G09F9/00 350A
G02F1/1368
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103938
(22)【出願日】2023-06-26
(62)【分割の表示】P 2022018386の分割
【原出願日】2017-10-02
(31)【優先権主張番号】P 2016196153
(32)【優先日】2016-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 義元
(57)【要約】      (修正有)
【課題】消費電力の少ない半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、コントローラ、レジスタ、および画像処理部を有する。画像処理部は、画像データをフレームメモリから、パラメータをレジスタから取り込み、パラメータを使用して画像データを処理する機能を有する。フレームメモリは、画像データを電源供給が遮断されている状態で保持し、レジスタは、パラメータを電源供給が遮断されている状態で保持する機能を有する。コントローラは、レジスタ、フレームメモリ、およ
び画像処理部に対する電源供給を制御する。レジスタは、第1および第2スキャンチェーンレジスタを有し、第1表示領域に対するパラメータを第1スキャンチェーンレジスタに、第2表示領域に対するパラメータを第2スキャンチェーンレジスタに格納する。パラメータの変更は、第1スキャンチェーンレジスタまたは第2スキャンチェーンレジスタのデータをロードすることで行われる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、
第2の筐体と、
ヒンジと、
前記第1の筐体と重なる第1の表示領域と、前記第2の筐体と重なる第2の表示領域を有する表示部と、を有し、
第1の画像データが、前記第1の表示領域に出力され、
第2の画像データが、前記第2の表示領域に出力される半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、半導体装置に関する。
【0002】
なお本発明の一形態は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の技
術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一形態は
、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マタ
ー)に関するものである。
【0003】
そのため、より具体的に本明細書等で開示する本発明の一形態の技術分野としては、半導
体装置、表示装置、電子機器、それらの駆動方法、または、それらの製造方法を一例とし
てあげることができる。なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用す
ることで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0004】
可撓性を有する表示装置が実現されている。可撓性を有する表示装置は、折り畳むことに
よって複数の表示領域を有することができる。また、反射型素子と発光型素子を組み合わ
せた、表示装置が提案されている。明るい環境では反射型素子、暗い環境では発光型素子
を用いることで、外光環境に依存しない良好な表示品質と、消費電力が少ない表示装置を
提供することができる。
【0005】
一方、酸化物半導体を用いたトランジスタはオフ電流が非常に小さいため、液晶ディスプ
レイや有機ELディスプレイの画素に適用した場合、静止画を表示する際のリフレッシュ
頻度を少なくし、消費電力を低減することができる。なお、本明細書等において、上述の
表示装置の消費電力を低減する技術を、「アイドリングストップ」または「IDS駆動」
と呼称する。
【0006】
また、オフ電流が小さいことを利用して、酸化物半導体を用いたトランジスタを不揮発性
の記憶装置に用いた例が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-151383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
折り畳むことによって複数の表示領域を実現した表示装置は、それぞれの表示領域が異な
る方向を向いている場合がある。表示領域の向きが異なると、それぞれの表示領域に入射
する光が異なり、適切な輝度や色調といったパラメータも異なることになる。表示装置の
使用者が、それぞれの表示領域のパラメータを設定することも可能であるが、表示領域の
向きが異なるたびに設定し直す必要があった。
【0009】
以上を鑑み、本発明の一形態は、複数の表示領域に対し、個別に適切な輝度や色調といっ
たパラメータを設定できる仕組みを持った、半導体装置を提供することを課題の一つとす
る。また、本発明の一形態は、消費電力が低く、一部回路の電源供給を遮断しても表示品
質に影響を及ぼさない仕組みを持った、半導体装置を提供することを課題の一つとする。
【0010】
本発明の一形態は、新規な半導体装置を提供することを課題の一つとする。または、消費
電力が低い新規な半導体装置を提供することを課題の一つとする。または、本発明の一形
態は、新規な半導体装置を有する表示装置を提供することを課題の一つとする。または、
本発明の一形態は、新規な半導体装置を有する表示装置を使用した、電子機器を提供する
ことを課題の一つとする。
【0011】
なお、本発明の一形態は、必ずしも上記の課題の全てを解決する必要はなく、少なくとも
一つの課題を解決できるものであればよい。また、上記の課題の記載は、他の課題の存在
を妨げるものではない。これら以外の課題は、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載
から自ずと明らかになるものであり、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から、こ
れら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一形態は、第1コントローラと、レジスタと、フレームメモリと、画像処理部と
、を有する半導体装置である。フレームメモリは、画像データを格納する機能を有し、画
像処理部は、画像データを処理する機能を有し、レジスタは、画像処理部が処理を行うた
めのパラメータを格納する機能を有する。フレームメモリは、フレームメモリへの電源供
給が遮断されている状態で、画像データを保持する機能を有する。レジスタは、レジスタ
への電源供給が遮断されている状態で、パラメータを保持する機能を有する。第1コント
ローラは、レジスタ、フレームメモリ、および画像処理部に対する電源供給を制御する機
能を有する。レジスタは、第1スキャンチェーンレジスタと、第2スキャンチェーンレジ
スタと、第1レジスタと、を有し、第1スキャンチェーンレジスタは第2レジスタを有し
、第2スキャンチェーンレジスタは第3レジスタを有する。第1レジスタには、第2レジ
スタから第1データが、および、第3レジスタから第2データが、出力され、第1レジス
タは、第1データと第2データの何れか一方を選択し、選択したデータを格納し、第1レ
ジスタは、格納しているデータをパラメータとして、画像処理部に出力する。第2レジス
タおよび第3レジスタは、それぞれ、保持回路を有し、第2レジスタの保持回路は、第1
データを格納する機能を有し、第3レジスタの保持回路は、第2データを格納する機能を
有し、レジスタへの電源供給が遮断されている状態で、保持回路は格納したデータを保持
する機能を有する。
【0013】
また、本発明の一形態は、上記形態において、表示装置を有する半導体装置である。表示
装置は、第1表示領域と、第2表示領域と、を有し、画像処理部は、第1データを用いて
、第1表示領域へ出力する画像データを処理し、画像処理部は、第2データを用いて、第
2表示領域へ出力する画像データを処理する機能を有する。
【0014】
また、上記形態において、保持回路は、第1トランジスタと、第1容量素子と、を有し、
第1トランジスタは第1容量素子の充放電を制御し、第1トランジスタのチャネル形成領
域は、金属酸化物を含む。
【0015】
また、上記形態において、フレームメモリは、複数のメモリセルを有し、メモリセルは、
第2トランジスタと、第2容量素子と、を有し、第2トランジスタは、第2容量素子の充
放電を制御し、第2トランジスタのチャネル形成領域は、金属酸化物を含む。
【0016】
また、本発明の一形態は、上記形態において、第2コントローラを有する半導体装置であ
る。第2コントローラは、タイミング信号を生成する機能を有し、レジスタは、第2コン
トローラがタイミング信号を生成するためのパラメータを格納する機能を有する。
【0017】
また、上記形態において、第1コントローラは、第2コントローラに対する電源供給を制
御する機能を有する。
【0018】
また、本発明の一形態は、上記形態において、第3コントローラを有する半導体装置であ
る。第3コントローラは、光センサからの第1信号を受け取る機能と、第1信号をもとに
画像処理部が処理を行うための第2信号を生成する機能と、を有する。
【0019】
また、上記形態において、外部装置から画像データおよびパラメータが入力されない場合
、フレームメモリに格納された画像データ、およびレジスタに格納されたパラメータをも
とに、静止画を表示するための第3信号を生成する機能を有する。
【0020】
また、本発明の一形態は、上記形態において、ソースドライバを有する半導体装置である
。ソースドライバは、画像処理部で処理された画像データをもとに、データ信号を生成す
る機能を有する。
【0021】
また、上記形態において、ソースドライバは、画像処理部で処理された画像データをもと
に、第1データ信号または第2データ信号を生成する機能を有し、第1データ信号は、反
射素子を駆動する機能を有し、第2データ信号は、発光素子を駆動する機能を有する。
【0022】
また、上記形態において、第1コントローラは、ソースドライバに対する電源供給を制御
する機能を有する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一形態は、新規な半導体装置を提供することができる。または、複数の表示領域
に対応した、新規な半導体装置を提供することができる。または、消費電力が低い、新規
な半導体装置を提供することができる。
【0024】
または、本発明の一形態は、新規な半導体装置を有する、表示装置を提供することができ
る。または、本発明の一形態は、新規な半導体装置を有する表示装置を使用した、電子機
器を提供することができる。
【0025】
なお本発明の一形態の効果は、上記列挙した効果に限定されない。上記列挙した効果は、
他の効果の存在を妨げるものではない。なお他の効果は、以下の記載で述べる、本項目で
言及していない効果である。本項目で言及していない効果は、当業者であれば明細書又は
図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。
なお、本発明の一形態は、上記列挙した効果、および他の効果のうち、少なくとも一つの
効果を有するものである。従って本発明の一形態は、場合によっては、上記列挙した効果
を有さない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】電子機器の構成例を示す図。
図2】表示装置の構成例を示す図。
図3】タッチセンサユニットの構成例を示す図。
図4】コントローラICの構成例を示すブロック図。
図5】パラメータを説明する図。
図6】フレームメモリの構成例を示すブロック図。
図7】A:メモリセルアレイの構成例を示すブロック図。B:メモリセルの構成例を示す回路図。
図8】レジスタの構成例を示すブロック図。
図9】レジスタの構成例を示す回路図。
図10】レジスタの構成例を示す回路図。
図11】レジスタの動作例を示すタイミングチャート。
図12】コントローラICの構成例を示すブロック図。
図13】表示装置の構成例を説明する断面図。
図14】表示装置の構成例を説明する断面図。
図15】表示装置の構成例を説明する断面図。
図16】試料のXRDスペクトルの測定結果を説明する図。
図17】試料のTEM像、および電子線回折パターンを説明する図。
図18】試料のEDXマッピングを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異な
る形態で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及
び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は
、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、以下に示され
る複数の実施の形態は、適宜組み合わせることが可能である。
【0028】
なお、実施の形態において説明する、コントローラICは、チャネル形成領域にシリコン
を有するトランジスタと、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタと、容
量素子等によって、構成された半導体装置である。したがって、コントローラICを半導
体装置と言い換えることができる。
【0029】
また、図面等において、大きさ、層の厚さ、領域等は、明瞭化のため誇張されている場合
がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。図面は、理想的な例を模式的に
示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。
【0030】
また、図面等において、同一の要素または同様な機能を有する要素、同一の材質の要素、
あるいは同時に形成される要素等には同一の符号を付す場合があり、その繰り返しの説明
は省略する場合がある。
【0031】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替
えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更
することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」と
いう用語に変更することが可能な場合がある。
【0032】
また、本明細書等において、「上」や「下」などの配置を示す用語は、構成要素の位置関
係が、「直上」または「直下」であることを限定するものではない。例えば、「ゲート絶
縁層上のゲート電極」の表現であれば、ゲート絶縁層とゲート電極との間に他の構成要素
を含むものを除外しない。
【0033】
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度
で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また
、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をい
う。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0034】
また、本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、構成要素の
混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではない。
【0035】
また、本明細書等において、「電気的に接続」とは、「何らかの電気的作用を有するもの
」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの
」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。
例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタ
などのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、容量素子、その他の各種機能を有する
素子などが含まれる。
【0036】
また、本明細書等において、「電圧」とは、ある電位と基準の電位(例えば、グラウンド
電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧、電位、電位差を、各々、電位
、電圧、電圧差と言い換えることが可能である。
【0037】
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む
、少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイ
ン領域、またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域、またはソース電極)
の間にチャネル領域を有しており、チャネル領域を介して、ソースとドレインとの間に電
流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チャネル領域とは、電流
が主として流れる領域をいう。
【0038】
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動
作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細
書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする
【0039】
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状
態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは
、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ソースに対するゲートの電圧V
gsがしきい値電圧Vthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ソースに対
するゲートの電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも高い状態をいう。つまり、nチャネ
ル型のトランジスタのオフ電流とは、ソースに対するゲートの電圧Vgsがしきい値電圧
Vthよりも低いときのドレイン電流、という場合がある。
【0040】
上記オフ電流の説明において、ドレインをソースと読み替えてもよい。つまり、オフ電流
は、トランジスタがオフ状態にあるときのソースを流れる電流を言う場合がある。
【0041】
また、本明細書等では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。また
、本明細書等において、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースと
ドレインの間に流れる電流を指す場合がある。
【0042】
また、本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での
金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を
含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともい
う)などに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該
金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用、整流
作用、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有する場合、当該金属酸化物を、金属酸
化物半導体(metal oxide semiconductor)、略してOSと呼
ぶことができる。また、OSトランジスタ、またはOS FETと記載する場合において
は、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0043】
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体装置の一例として表示部を備える電子機器を説明する。
【0044】
図1に電子機器の構成例を示す。図1に示す電子機器900は、筐体901a、筐体90
1b、ヒンジ903、表示部902、光センサ143a乃至143c、光センサ144a
乃至144c等を有する。表示部902は、筐体901aおよび筐体901bに、組み込
まれている。
【0045】
電子機器900は、折り畳みが可能である。筐体901aと筐体901bとは、ヒンジ9
03で回転可能な状態で連結されている。電子機器900は、筐体901aと筐体901
bとが閉じた状態と、図1に示すように開いた状態と、に変形することができる。これに
より、持ち運ぶ際には可搬性に優れ、使用するときには大きな表示領域により、視認性に
優れる。
【0046】
ヒンジ903は、筐体901aと筐体901bとを開いたときに、これらの角度が所定の
角度よりも大きい角度にならないように、ロック機構を有することが好ましい。例えば、
ロックがかかる(それ以上に開かない)角度は、90度以上180度未満であることが好
ましく、代表的には、90度、120度、135度、150度、または175度などとす
ることができる。これにより、利便性、安全性、及び信頼性を高めることができる。
【0047】
表示部902はタッチパネルを具備する。表示部902を指やスタイラス等でタッチする
ことで、電子機器900を操作することができる。
【0048】
表示部902は、一つのフレキシブルディスプレイで構成されている。これにより、筐体
901aと筐体901bの間で途切れることのない連続した表示を行うことができる。な
お、表示部902は、折り曲げ線904により、第1表示領域905aと第2表示領域9
05bに分けられる。
【0049】
以下では、表示部902を有する表示装置について説明する。特に、表示装置のコントロ
ーラICについて説明する。
【0050】
<<表示装置>>
図2は、表示装置の構成例を示す図である。表示装置100は、表示ユニット110、タ
ッチセンサユニット120を有する。
【0051】
<表示ユニット>
表示ユニット110は、画素アレイ111、ゲートドライバ113、ゲートドライバ11
4、およびコントローラIC115を有する。
【0052】
画素アレイ111は、画像を表示できる領域を形成し、表示ユニット110が電子機器9
00に組み込まれた場合、画素アレイ111は表示部902として機能する。画素アレイ
111は、複数の画素10を有し、それぞれの画素10はトランジスタを用いて駆動され
るアクティブ型の素子である。また、画素10は、反射素子10aと発光素子10bを有
する。表示ユニット110のより具体的な構成例については、実施の形態2にて説明する
【0053】
ゲートドライバ113は、反射素子10aを選択するためのゲート線を駆動する機能を有
し、ゲートドライバ114は、発光素子10bを選択するためのゲート線を駆動する機能
を有する。反射素子10aにデータ信号を供給するソース線を駆動するソースドライバ、
および発光素子10bにデータ信号を供給するソース線を駆動するソースドライバは、そ
れぞれ、コントローラIC115に設けられている。コントローラIC115は、表示装
置100の動作を統括的に制御する機能を備える。コントローラIC115の数は、画素
アレイの画素数に応じて決定される。
【0054】
図2の例では、画素アレイ111と共にゲートドライバ113、114が同一基板上に集
積されている例を示しているが、ゲートドライバ113、114を専用ICとすることも
できる。あるいは、コントローラIC115に、ゲートドライバ113またはゲートドラ
イバ114を組み込んでもよい。
【0055】
ここでは、コントローラIC115の実装方式は、COG(Chip on Glass
)方式としているが、実装方式に特段の制約はなく、COF(Chip on Flex
ible)方式、TAB(Tape Automated Bonding)方式などで
もよい。タッチセンサユニット120のICの実装方式についても同様である。
【0056】
なお、画素10に使用されるトランジスタはOSトランジスタであり、Siトランジスタ
に比べてオフ電流が低いトランジスタである。
【0057】
OSトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有することが好ましい。また、O
Sトランジスタに適用される金属酸化物は、インジウム(In)および亜鉛(Zn)の少
なくとも一方を含む酸化物であることが好ましい。
【0058】
このような酸化物としては、In-M-Zn酸化物、In-M酸化物、Zn-M酸化物、
In-Zn酸化物(元素Mは、例えば、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、イッ
トリウム(Y)、スズ(Sn)、ホウ素(B)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、鉄
(Fe)、ニッケル(Ni)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、モリブデ
ン(Mo)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、バナジウム(V
)、ベリリウム(Be)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)またはタングステン(
W)など)が代表的である。OSトランジスタは、チャネル幅1μmあたりのオフ電流を
1yA/μm(y;ヨクト、10-24)以上1zA/μm(z;ゼプト、10-21
以下程度に低くすることができる。
【0059】
また、OSトランジスタにはCAC(Cloud-Aligned Composite
)-OSを用いることが好ましい。なお、CAC-OSの詳細については、実施の形態2
で説明する。
【0060】
もしくは、画素10に使用されるトランジスタとして、オフ電流が低ければOSトランジ
スタを適用しないことができる。例えば、バンドギャップが大きい半導体を用いたトラン
ジスタを適用してもよい。バンドギャップが大きい半導体とは、バンドギャップが2.2
eV以上の半導体を指す場合がある。例えば、炭化ケイ素、窒化ガリウム、ダイヤモンド
などが挙げられる。
【0061】
画素10に、オフ電流が低いトランジスタを用いることで、表示画面を書き換える必要が
ない場合(すなわち静止画を表示する場合)、一時的にゲートドライバ113、114お
よびソースドライバを停止することができる(上述した、「アイドリングストップ」また
は「IDS駆動」)。IDS駆動によって、表示装置100の消費電力を低減することが
できる。
【0062】
<タッチセンサユニット>
図2に示す、タッチセンサユニット120は、センサアレイ121、および周辺回路12
5を有する。周辺回路125は、タッチセンサドライバ(以下、「TSドライバ」と呼ぶ
)126、センス回路127を有する。周辺回路125は、専用ICで構成することがで
きる。
【0063】
センサアレイ121は、指やスタイラスなどで入力できる領域を形成し、タッチセンサユ
ニット120が電子機器900に組み込まれた場合、センサアレイ121は、表示部90
2におけるタッチパネルとして機能する。
【0064】
図3に、タッチセンサユニット120の構成例を示す。ここでは、タッチセンサユニット
120が、相互容量タッチセンサユニットである例を示す。センサアレイ121は、m本
(mは1以上の整数)の配線DRL、n本(nは1以上の整数)の配線SNLを有する。
配線DRLはドライブ線であり、配線SNLはセンス線である。ここでは、第α(αは1
以上m以下の整数)番の配線DRLを配線DRL<α>と呼び、第β(βは1以上n以下
の整数)番の配線SNLを配線SNL<β>と呼ぶこととする。容量CTαβは、配線D
RL<α>と配線SNL<β>との間に形成される容量である。
【0065】
m本の配線DRLは、TSドライバ126に電気的に接続されている。TSドライバ12
6は配線DRLを駆動する機能を有する。n本の配線SNLは、センス回路127に電気
的に接続されている。センス回路127は配線SNLの信号を検出する機能を有する。T
Sドライバ126によって配線DRL<α>が駆動されているときの配線SNL<β>の
信号は、容量CTαβの容量値の変化量の情報をもつ。n本の配線SNLの信号を解析す
ることで、タッチの有無、タッチ位置などの情報を得ることができる。
【0066】
<<コントローラIC>>
図4は、コントローラIC115の構成例を示すブロック図である。コントローラIC1
15は、インターフェース150、フレームメモリ151、デコーダ152、センサコン
トローラ153、コントローラ154、クロック生成回路155、画像処理部160、メ
モリ170、タイミングコントローラ173、レジスタ175、ソースドライバ180、
およびタッチセンサコントローラ184を有する。
【0067】
ソースドライバ180は、ソースドライバ181、182を有する。ソースドライバ18
1は、反射素子10aを駆動するためのドライバであり、ソースドライバ182は、発光
素子10bを駆動するためのドライバである。ここでは、反射素子10aとして液晶(L
C)素子、発光素子10bとして有機EL(Electro Luminescence
)素子である場合の、コントローラICを説明する。
【0068】
コントローラIC115とホスト140との通信は、インターフェース150を介して行
われる。ホスト140からは、画像データ、各種制御信号等がコントローラIC115に
送られる。また、コントローラIC115からは、タッチセンサコントローラ184が取
得したタッチ位置などの情報が、ホスト140に送られる。なお、コントローラIC11
5が有するそれぞれの回路は、ホスト140の規格、表示装置100の仕様等によって、
適宜取捨される。
【0069】
フレームメモリ151は、コントローラIC115に入力された画像データを保存するた
めのメモリである。ホスト140から圧縮された画像データが送られる場合、フレームメ
モリ151は、圧縮された画像データを格納することができる。デコーダ152は、圧縮
された画像データを伸長するための回路である。画像データを伸長する必要がない場合、
デコーダ152は処理を行わない。または、デコーダ152を、フレームメモリ151と
インターフェース150との間に、配置することもできる。
【0070】
画像処理部160は、画像データに対して各種画像処理を行う機能を有する。例えば、画
像処理部160は、ガンマ補正回路161、調光回路162、調色回路163、EL補正
回路164を有する。
【0071】
EL補正回路164は、ソースドライバ182に発光素子10bを流れる電流を検出する
電流検出回路を備えている場合、設けられる。EL補正回路164は、ソースドライバ1
82の電流検出回路から送信される信号に基づいて、発光素子10bの輝度を調節する機
能を有する。
【0072】
画像処理部160で処理された画像データは、メモリ170を経て、ソースドライバ18
0に出力される。メモリ170は、画像データを一時的に格納するためのメモリである。
ソースドライバ181、182は、それぞれ、入力された画像データを処理し、画素アレ
イ111のソース線に書き込む機能を有する。
【0073】
タイミングコントローラ173は、ソースドライバ180、タッチセンサコントローラ1
84、表示ユニット110のゲートドライバ113、114で使用するタイミング信号を
生成する機能を有する。
【0074】
タッチセンサコントローラ184は、タッチセンサユニット120のTSドライバ126
、センス回路127を制御する機能を有する。センス回路127で読み出されたタッチ情
報を含む信号は、タッチセンサコントローラ184で処理され、インターフェース150
を介して、ホスト140に送出される。ホスト140は、タッチ情報を反映した画像デー
タを生成し、コントローラIC115に送出する。なお、コントローラIC115で、画
像データにタッチ情報を反映する構成も可能である。
【0075】
クロック生成回路155は、コントローラIC115で使用されるクロック信号を生成す
る機能を有する。コントローラ154は、インターフェース150を介してホスト140
から送られる各種制御信号を処理し、コントローラIC115内の各種回路を制御する機
能を有する。また、コントローラ154は、コントローラIC115内の各種回路への電
源供給を制御する機能を有する。以下、使われていない回路への電源供給を一時的に遮断
することを、パワーゲーティングと呼ぶ。なお、図4において、クロック信号や電源供給
線などは省略している。
【0076】
レジスタ175は、コントローラIC115の動作に用いられるデータを格納する。レジ
スタ175が格納するデータには、画像処理部160が補正処理を行うために使用するパ
ラメータ、タイミングコントローラ173が各種タイミング信号の波形生成に用いるパラ
メータなどがある。レジスタ175は、複数のレジスタで構成されるスキャンチェーンレ
ジスタを備える。
【0077】
センサコントローラ153には、光センサ143a乃至143c、光センサ144a乃至
144cが電気的に接続されている。光センサ143a乃至143c、および光センサ1
44a乃至144cは、光145を検知し、検知信号を生成する。センサコントローラ1
53は、検知信号を基に、制御信号を生成する。センサコントローラ153で生成される
制御信号は、例えば、コントローラ154に出力される。
【0078】
また、センサコントローラ153に、角度センサ146を電気的に接続してもよい。電子
機器900において、筐体901aと筐体901bの角度を検知し、閉じた状態であれば
、後述するパワーゲーティングを行うことができる。
【0079】
本実施の形態において、電子機器900は、6つの光センサ(光センサ143a乃至14
3c、光センサ144a乃至144c)を有するが、この限りではない。例えば、第1表
示領域905aに対し1つの光センサ、第2表示領域905bに対し1つの光センサ、を
有してもよい。しかし、例えば、電子機器900は折り畳みが可能であるため、筐体90
1aと筐体901bとの角度によっては、第1表示領域905aもしくは第2表示領域9
05bの一部が陰になってしまう場合がある。また、使用者が手で支えながら電子機器9
00を使用する場合、使用者の手によって光145がさえぎられる場合がある。よって、
1つの表示領域に対し、複数の光センサを有することが好ましい。
【0080】
反射素子10aと発光素子10bが同じ画像データを表示する場合、画像処理部160は
、反射素子10aが表示する画像データと、発光素子10bが表示する画像データとを、
分けて作成する機能を有する。この場合、光センサ143a乃至143c、および光セン
サ144a乃至144cを用いて測定した、光145の明るさに応じて、反射素子10a
の反射強度および発光素子10bの発光強度を調整することができる。ここでは、当該調
整を調光、あるいは調光処理と呼ぶ。また、当該処理を実行する回路を調光回路と呼ぶ。
【0081】
例えば、晴れの日の日中に外で表示装置100を使用する場合、反射素子10aのみで十
分な輝度が得られるときは、発光素子10bを光らせる必要はない。これは、発光素子1
0bで表示を行おうとしても、外光に負けて良好な表示が得られないからである。また、
夜間や暗所で表示装置100を使用する場合、発光素子10bを光らせて表示を行う。
【0082】
光145の明るさに応じて、画像処理部160は、反射素子10aのみで表示を行う画像
データを作成、もしくは発光素子10bのみで表示を行う画像データを作成、もしくは反
射素子10aと発光素子10bを組み合わせて表示を行う画像データを作成することがで
きる。光145の明るい環境においても、暗い環境においても、表示装置100は良好な
表示を行うことができる。光145の明るい環境においては、発光素子10bを光らせな
い、もしくは発光素子10bの輝度を低くすることで、消費電力を低減することができる
【0083】
また、反射素子10aの表示に、発光素子10bの表示を組み合わせることで、色調を補
正することができる。このような色調補正のためには、光センサ143a乃至143c、
光センサ144a乃至144c、およびセンサコントローラ153に、光145の色調を
測定する機能を追加すればよい。例えば、夕暮れ時の赤みがかった環境において表示装置
100を使用する場合、反射素子10aによる表示のみではB(青)成分が足りないため
、発光素子10bのB(青)画素を発光することで、色調を補正することができる。ここ
では、当該補正を調色、あるいは調色処理と呼ぶ。また、当該処理を実行する回路を調色
回路と呼ぶ。
【0084】
これらの調光処理、調色処理は、表示装置100の使用者が設定した輝度、もしくは色度
を中心に行ってもよい。なお、本実施の形態において、表示装置100の使用者は、電子
機器900の使用者でもある。表示装置100の使用者と、電子機器900の使用者は、
言い換えることができる。
【0085】
画像処理部160は、表示装置100の仕様によって、RGB-RGBW変換回路など、
他の処理回路を有してもよい。RGB-RGBW変換回路とは、RGB(赤、緑、青)画
像データを、RGBW(赤、緑、青、白)画像データに変換する機能をもつ回路である。
すなわち、表示装置100がRGBW4色の画素を有する場合、画像データ内のW(白)
成分を、W(白)画素を用いて表示することで、消費電力を低減することができる。なお
、表示装置100がRGBYの4色の画素を有する場合、例えば、RGB-RGBY(赤
、緑、青、黄)変換回路を用いることができる。
【0086】
また、反射素子10aと発光素子10bは、異なる画像データを表示することができる。
一般に、反射素子として適用できる液晶や電子ペーパー等は、動作速度が遅いものが多い
(絵を表示するまでに時間を要する)。そのため、反射素子10aに背景となる静止画を
表示し、発光素子10bに動きのあるマウスポインタ等を表示することができる。静止画
に対しては、前述したIDS駆動を行い、動画に対しては、発光素子10bを光らせるこ
とで、表示装置100は、なめらかな動画表示と低消費電力を両立することができる。こ
の場合、フレームメモリ151には、反射素子10aと発光素子10b、それぞれに表示
する画像データを保存する領域を設ければよい。
【0087】
<パラメータ>
ガンマ補正、調光、調色などの画像補正処理は、入力の画像データXに対して出力の補正
データYを作成する処理に相当する。画像処理部160が使用するパラメータは、画像デ
ータXを、補正データYに変換するためのパラメータである。
【0088】
パラメータの設定方式には、テーブル方式、関数近似方式がある。図5(A)に示すテー
ブル方式では、画像データXに対して、補正データYをパラメータとしてテーブルに
格納される。テーブル方式では、当該テーブルに対応するパラメータを格納するレジスタ
を多数必要とするが、補正の自由度が高い。一方、あらかじめ経験的に画像データXに対
する補正データYを決められる場合には、図5(B)のように、関数近似方式を採用する
構成が有効である。a1、a2、b2等がパラメータである。ここで、区間毎に線形近似
する方法を示しているが、非線形関数で近似する方法も可能である。関数近似方式では、
補正の自由度は低いが、関数を定義するパラメータを格納するレジスタが少なくて済む。
【0089】
タイミングコントローラ173が使用するパラメータは、例えば、図5(C)に示すよう
に、タイミングコントローラ173の生成信号が、基準信号に対して“L”(または“H
”)となるタイミングを示すものである。パラメータRa(またはRb)は、基準信号に
対して“L”(または“H”)となるタイミングが、クロック何周期分であるかを示して
いる。
【0090】
上記、補正のためのパラメータは、レジスタ175に格納することができる。また、上記
以外にレジスタ175に格納できるパラメータとしては、EL補正回路164のデータ、
使用者が設定した表示装置100の輝度、色調、省エネルギー設定(表示を暗くする、ま
たは表示を消す、までの時間)、タッチセンサコントローラ184の感度、また、折り曲
げ線904の位置(第1表示領域905aと第2表示領域905bの範囲)、などがある
【0091】
<パワーゲーティング>
コントローラ154は、ホスト140から送られる画像データに変化がない場合、コント
ローラIC115内の一部回路をパワーゲーティングすることができる。具体的には、例
えば、領域190内の回路(フレームメモリ151、デコーダ152、画像処理部160
、メモリ170、タイミングコントローラ173、レジスタ175、ソースドライバ18
0)を指す。ホスト140から画像データに変化がないことを示す制御信号をコントロー
ラIC115に送信し、当該制御信号をコントローラ154で検出した場合にパワーゲー
ティングする構成が可能である。
【0092】
領域190内の回路は、画像データに関する回路と、表示ユニット110を駆動するため
の回路であるため、画像データに変化がない場合は、一時的に領域190内の回路を停止
することができる。なお、画像データに変化がない場合でも、画素10に使用されるトラ
ンジスタがデータを保持できる時間(IDS駆動が可能な時間)を考慮してもよい。例え
ば、コントローラ154にタイマ機能を組み込むことで、タイマで測定した時間に基づい
て、領域190内の回路への電源供給を再開するタイミングを決定してもよい。
【0093】
以下、フレームメモリ151、レジスタ175の具体的な回路構成を説明する。なお、パ
ワーゲーティングすることができる回路として説明した領域190内の回路等は、この限
りではない。コントローラIC115の構成、ホスト140の規格、表示装置100の仕
様等によって、様々な組み合わせが考えられる。
【0094】
<フレームメモリ151>
図6図7を参照して、フレームメモリ151の構成例を説明する。
【0095】
フレームメモリ151は、コントローラ1405、行回路1410、列回路1415、メ
モリセルおよびセンスアンプアレイ(以下、「MC-SAアレイ」と呼ぶ)1420を有
する。
【0096】
行回路1410は、デコーダ1411、ワード線ドライバ回路1412、列セレクタ14
13、センスアンプドライバ回路1414を有する。列回路1415は、グローバルセン
スアンプアレイ1416、入出力回路1417を有する。グローバルセンスアンプアレイ
1416は、複数のグローバルセンスアンプ1447を有する。MC-SAアレイ142
0は、メモリセルアレイ1422、センスアンプアレイ1423、グローバルビット線G
BLL、GBLRを有する。
【0097】
(MC-SAアレイ1420)
MC-SAアレイ1420は、メモリセルアレイ1422をセンスアンプアレイ1423
上に積層した積層構造をもつ。グローバルビット線GBLL、GBLRは、メモリセルア
レイ1422上に積層されている。フレームメモリ151では、ビット線の構造に、ロー
カルビット線とグローバルビット線とで階層化された階層ビット線構造が採用されている
【0098】
メモリセルアレイ1422は、M個(Mは2以上の整数)のローカルメモリセルアレイ1
425<0>―1425<M-1>を有する。図7(A)にローカルメモリセルアレイ1
425の構成例を示す。ローカルメモリセルアレイ1425は、複数のメモリセル144
5、複数のワード線WL、複数のビット線BLL、BLRを有する。図7(A)の例では
、ローカルメモリセルアレイ1425の構造はオープンビット線型であるが、フォールデ
ッドビット線型であってもよい。
【0099】
図7(B)にメモリセル1445の回路構成例を示す。メモリセル1445は、トランジ
スタMW1、容量素子CW1、ノードB1、B2を有する。トランジスタMW1は、容量
素子CW1の充放電を制御する機能をもつ。トランジスタMW1のゲートはワード線WL
に電気的に接続され、第1端子はビット線BLL(又はBLR)に電気的に接続され、第
2端子は容量素子CW1の第1端子に電気的に接続されている。容量素子CW1の第2端
子は、ノードB2に電気的に接続されている。ノードB2には、定電圧(例えば、低電源
電圧)が入力される。
【0100】
トランジスタMW1は、バックゲートを備えており、バックゲートはノードB1に電気的
に接続されている。そのため、ノードB1の電圧によって、トランジスタMW1の閾値電
圧を変更することができる。例えば、ノードB1の電圧は固定電圧(例えば、負の定電圧
)であってもよいし、フレームメモリ151の動作に応じて、ノードB1の電圧を変化さ
せてもよい。
【0101】
なお、トランジスタMW1のバックゲートを、トランジスタMW1のゲート、ソース、ま
たはドレインに電気的に接続してもよい。あるいは、トランジスタMW1にバックゲート
を設けなくてもよい。
【0102】
OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、OSトランジスタでメモリセル144
5を構成することで、容量素子CW1から電荷がリークすることを抑えられるため、フレ
ームメモリ151のリフレッシュ動作の頻度を低減できる。また、電源供給が遮断されて
も、フレームメモリ151は長時間画像データを保持することが可能である。また、ノー
ドB1に負電位を入力することで、トランジスタMW1の閾値電圧を正電位側にシフトさ
せることができ、メモリセル1445の保持時間を長くすることができる。
【0103】
ここでいう、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態のときにソースとドレインとの間に
流れる電流をいう。トランジスタがnチャネル型である場合、例えば、しきい値電圧が0
V乃至2V程度であれば、ソースに対するゲートの電圧が負の電圧であるときの、ソース
とドレインとの間に流れる電流をオフ電流と呼ぶことができる。また、オフ電流が極めて
小さいとは、例えば、チャネル幅1μmあたりのオフ電流が100zA(z;ゼプト、1
-21)以下であることをいう。オフ電流は小さいほど好ましいため、この規格化され
たオフ電流が10zA/μm以下、あるいは1zA/μm以下とすることが好ましく、1
0yA/μm(y;ヨクト、10-24)以下であることがより好ましい。
【0104】
センスアンプアレイ1423は、M個のローカルセンスアンプアレイ1426<0>―1
426<M-1>を有する。ローカルセンスアンプアレイ1426は、1つのスイッチア
レイ1444、複数のセンスアンプ1446を有する。センスアンプ1446には、ビッ
ト線対が電気的に接続されている。センスアンプ1446は、ビット線対をプリチャージ
する機能、ビット線対の電圧差を増幅する機能、この電圧差を保持する機能を有する。ス
イッチアレイ1444は、ビット線対を選択し、選択したビット線対とグローバルビット
線対との間を導通状態にする機能を有する。
【0105】
ここで、ビット線対とは、センスアンプによって、同時に比較される2本のビット線のこ
とをいう。グローバルビット線対とは、グローバルセンスアンプによって、同時に比較さ
れる2本のグローバルビット線のことをいう。ビット線対を一対のビット線と呼ぶことが
でき、グローバルビット線対を一対のグローバルビット線と呼ぶことができる。ここでは
、ビット線BLLとビット線BLRが1組のビット線対を成す。グローバルビット線GB
LLとグローバルビット線GBLRとが1組のグローバルビット線対をなす。以下、ビッ
ト線対(BLL,BLR)、グローバルビット線対(GBLL,GBLR)とも表す。
【0106】
(コントローラ1405)
コントローラ1405は、フレームメモリ151の動作全般を制御する機能を有する。コ
ントローラ1405は、外部から入力されるコマンド信号を論理演算して、動作モードを
決定する機能、決定した動作モードが実行されるように、行回路1410、列回路141
5の制御信号を生成する機能、外部から入力されるアドレス信号を保持する機能、内部ア
ドレス信号を生成する機能を有する。
【0107】
(行回路1410)
行回路1410は、MC-SAアレイ1420を駆動する機能を有する。デコーダ141
1はアドレス信号をデコードする機能を有する。ワード線ドライバ回路1412は、アク
セス対象行のワード線WLを選択する選択信号を生成する。
【0108】
列セレクタ1413、センスアンプドライバ回路1414はセンスアンプアレイ1423
を駆動するための回路である。列セレクタ1413は、アクセス対象列のビット線を選択
するための選択信号を生成する機能をもつ。列セレクタ1413の選択信号によって、各
ローカルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444が制御される。センスア
ンプドライバ回路1414の制御信号によって、複数のローカルセンスアンプアレイ14
26は独立して駆動される。
【0109】
(列回路1415)
列回路1415は、データWDAの入力を制御する機能、データRDAの出力を制御する
機能を有する。データWDAは書き込みデータ信号であり、データRDAは読み出しデー
タ信号である。
【0110】
グローバルセンスアンプ1447は、グローバルビット線対(GBLL,GBLR)に電
気的に接続されている。グローバルセンスアンプ1447は、グローバルビット線対(G
BLL,GBLR)間の電圧差を増幅する機能、この電圧差を保持する機能を有する。グ
ローバルビット線対(GBLL,GBLR)へのデータの書き込み、および読み出しは、
入出力回路1417によって行われる。
【0111】
フレームメモリ151の書き込み動作の概要を説明する。入出力回路1417によって、
データがグローバルビット線対(GBLL,GBLR)に書き込まれる。グローバルビッ
ト線対(GBLL,GBLR)のデータは、グローバルセンスアンプアレイ1416によ
って保持される。アドレス信号が指定するローカルセンスアンプアレイ1426のスイッ
チアレイ1444によって、グローバルビット線対のデータが、対象列のビット線対(B
LL,BLR)に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ1426は、書き込まれた
データを増幅し、保持する。指定されたローカルメモリセルアレイ1425では、行回路
1410によって、対象行のワード線WLが選択され、選択行のメモリセル1445にロ
ーカルセンスアンプアレイ1426の保持データが書き込まれる。
【0112】
フレームメモリ151の読み出し動作の概要を説明する。アドレス信号によって、ローカ
ルメモリセルアレイ1425の1行が指定される。指定されたローカルメモリセルアレイ
1425において、対象行のワード線WLが選択状態となり、メモリセル1445のデー
タがビット線BLL(またはBLR)に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ14
26によって、各列のビット線対(BLL,BLR)の電圧差がデータとして検出され、
かつ保持される。スイッチアレイ1444によって、ローカルセンスアンプアレイ142
6の保持データの内、アドレス信号が指定する列のデータが、グローバルビット線対(G
BLL,GBLR)に書き込まれる。グローバルセンスアンプアレイ1416は、グロー
バルビット線対(GBLL,GBLR)のデータを検出し、保持する。グローバルセンス
アンプアレイ1416の保持データは、入出力回路1417に出力される。以上で、読み
出し動作が完了する。
【0113】
容量素子CW1の充放電によってデータを書き換えるため、フレームメモリ151には原
理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エネルギーで、データの書き込みおよび読
み出しが可能である。また、メモリセル1445の回路構成が単純であるため、大容量化
が容易である。
【0114】
トランジスタMW1は、OSトランジスタである。OSトランジスタは、オフ電流が極め
て小さいため、容量素子CW1から電荷がリークすることを抑えることができる。したが
って、フレームメモリ151の保持時間は、DRAMに比べて非常に長い。したがって、
コントローラIC115をパワーゲーティング時にはフレームメモリ151のバックアッ
プ動作を行わなくてもよい。
【0115】
また、コントローラIC115の通常動作時では、フレームメモリ151のリフレッシュ
の頻度を低減できるため、リフレッシュ動作に要する電力を削減できる。これは、コント
ローラIC115の通常動作時の消費電力の低減につながる。
【0116】
MC-SAアレイ1420が積層構造であることによって、フレームメモリ151の回路
面積を縮小できるので、コントローラIC115の小型化につながる。
【0117】
また、MC-SAアレイ1420が積層構造であることによって、ローカルセンスアンプ
アレイ1426の長さと同程度の長さにビット線を短くすることができる。ビット線を短
くすることで、ビット線容量が小さくなり、メモリセル1445の保持容量を低減するこ
とができる。また、ローカルセンスアンプアレイ1426にスイッチアレイ1444を設
けることで、長いビット線の本数を減らすことができる。以上の理由から、フレームメモ
リ151のアクセス時に駆動する負荷が低減されるので、コントローラIC115の消費
エネルギーを低減できる。
【0118】
<レジスタ175>
図8乃至図11を参照して、レジスタ175の構成例、動作例を説明する。
【0119】
図8は、レジスタ175の構成例を示すブロック図である。レジスタ175は、レジスタ
部230、およびスキャンチェーンレジスタ部231、232を有する。スキャンチェー
ンレジスタ部231は、主に第1表示領域905aに関するデータを格納する。スキャン
チェーンレジスタ部232は、主に第2表示領域905bに関するデータを格納する。
【0120】
レジスタ部230は、複数のレジスタ235を有する。スキャンチェーンレジスタ部23
1は、複数のレジスタ236、ノードSCIN1、SCOT1を有する。スキャンチェー
ンレジスタ部232は、複数のレジスタ237、ノードSCIN2、SCOT2を有する
【0121】
レジスタ236、237は、電源供給が遮断された状態でもデータが消失しない不揮発性
レジスタである。レジスタ236、237を不揮発化するため、レジスタ236、237
は、OSトランジスタを用いた保持回路を備えている。
【0122】
他方、レジスタ235は揮発性レジスタである。レジスタ235の回路構成には特段の制
約はなく、データを記憶することが可能な回路であればよく、ラッチ回路、フリップフロ
ップ回路などで構成すればよい。画像処理部160、およびタイミングコントローラ17
3は、レジスタ部230にアクセスし、対応するレジスタ235からデータを取り込む。
あるいは、画像処理部160、およびタイミングコントローラ173は、レジスタ部23
0から供給されるデータにしたがって、処理内容が制御される。
【0123】
レジスタ175に格納しているデータを更新する場合、まず、スキャンチェーンレジスタ
部231、232のデータを変更する。スキャンチェーンレジスタ部231のデータを変
更するには、スキャンクロック信号SCK1をトグルさせながら、ノードSCIN1より
データを入力する。ノードSCIN1より入力されたデータは、スキャンクロック信号S
CK1に従い、各レジスタ236のデータを更新する。最終段のレジスタ236は、ノー
ドSCOT1よりデータを出力する。同様に、スキャンチェーンレジスタ部232のデー
タを変更するには、スキャンクロック信号SCK2をトグルさせながら、ノードSCIN
2よりデータを入力する。ノードSCIN2より入力されたデータは、スキャンクロック
信号SCK2に従い、各レジスタ237のデータを更新する。最終段のレジスタ237は
、ノードSCOT2よりデータを出力する。
【0124】
ここで、ノードSCIN1、ノードSCIN2より入力されるデータは、電子機器900
もしくは表示装置100の製造者が設定し、ホスト140から送信されるデータ、電子機
器900の使用者が設定し、ホスト140から送信されるデータ、または、センサコント
ローラ153で生成される制御信号に対応し、コントローラ154から送信されるデータ
などである。
【0125】
スキャンチェーンレジスタ部231の各レジスタ236のデータを書き換えた後、各レジ
スタ236のデータを、レジスタ部230の各レジスタ235に一括してロードする。ま
たは、スキャンチェーンレジスタ部232の各レジスタ237のデータを書き換えた後、
各レジスタ237のデータを、レジスタ部230の各レジスタ235に一括してロードす
る。
【0126】
また、画像処理部160は、第1表示領域905aに表示する画像データを処理する場合
、スキャンチェーンレジスタ部231のデータを必要とし、第2表示領域905bに表示
する画像データを処理する場合、スキャンチェーンレジスタ部232のデータを必要とす
る。この場合、スキャンチェーンレジスタ部231、232のデータが変更されたか否か
にかかわらず、スキャンチェーンレジスタ部231のデータをレジスタ部230に、また
は、スキャンチェーンレジスタ部232のデータをレジスタ部230に、ロードする。
【0127】
これにより、画像処理部160、およびタイミングコントローラ173等は、一括して更
新されたデータを使用して、各種処理を行うことができる。データの更新に同時性が保た
れるため、コントローラIC115の安定した動作を実現できる。スキャンチェーンレジ
スタ部231、232とレジスタ部230とを備えることで、画像処理部160、および
タイミングコントローラ173が動作中でも、スキャンチェーンレジスタ部231、23
2のデータを更新することができる。
【0128】
コントローラIC115のパワーゲーティング実行時には、レジスタ236、237にお
いて、保持回路にデータを格納(セーブ)してから電源供給を遮断する。電源復帰後、レ
ジスタ236もしくはレジスタ237のデータを、レジスタ235に復帰(ロード)して
通常動作を再開する。なお、レジスタ236もしくはレジスタ237に格納されているデ
ータと、レジスタ235に格納されているデータとが整合しない場合は、レジスタ235
のデータをレジスタ236もしくはレジスタ237にセーブした後、あらためて、レジス
タ236、237の保持回路にデータを格納する構成が好ましい。データが整合しない場
合としては、スキャンチェーンレジスタ部231、232のデータを変更している場合な
どが挙げられる。
【0129】
図9図10を用いて、レジスタ175の回路構成例を説明する。
【0130】
レジスタ部230は、N個(Nは2以上の整数)のレジスタ235を有する。レジスタ部
230には、信号LDA1、LDA2が入力される。信号LDA1、LDA2は、データ
のロードを制御するための信号である。
【0131】
スキャンチェーンレジスタ部231、232は、それぞれ、N個のレジスタ236、23
7を有する。スキャンチェーンレジスタ部231には、スキャンクロック信号SCK1、
信号SVA1、SVB1、LDB1が入力される。スキャンチェーンレジスタ部232に
は、スキャンクロック信号SCK2、信号SVA2、SVB2、LDB2が入力される。
信号LDB1、LDB2はデータのロードを制御するための信号であり、信号SVA1、
SVA2、SVB1、SVB2は、データのセーブを制御するための信号である。
【0132】
なお、本明細書において、複数のレジスタ235のうち1個を特定する必要があるときは
、レジスタ235[1]等と表記する。また、レジスタ235と記載した場合は、任意の
レジスタ235を指している。他の要素についても同様である。
【0133】
レジスタ235は、ラッチ回路30、MUX(マルチプレクサ)31を有する。レジスタ
236は、セレクタ40、フリップフロップ回路41、保持回路42、ノードSDI1、
SDO1を有する。レジスタ237は、セレクタ45、フリップフロップ回路46、保持
回路47、ノードSDI2、SDO2を有する。ノードSDI1、SDI2はデータが入
力されるノードであり、ノードSDO1、SDO2はデータが出力されるノードである。
【0134】
<レジスタ235>
レジスタ235は揮発性レジスタである。ノードQ、Aは、ラッチ回路30の出力ノード
であり、論理が同じデータを出力する。ノードQは、画像処理部160またはタイミング
コントローラ173等に電気的に接続され、ノードAは、レジスタ236、237に電気
的に接続されている。ラッチ回路30に特段の制約はなく、フリップフロップ回路など、
他の回路を設けてもよい。
【0135】
MUX31は、ラッチ回路30に入力するデータを選択する機能を有する。信号LDA1
、LDA2は、MUX31の制御信号である。図9の例では、信号LDA1が“H“であ
り、かつLDA2が”L“である場合、ノードSDO1のデータによってラッチ回路30
のデータが更新される。他方、信号LDA1が“L“であり、かつLDA2が”H“であ
る場合、ノードSDO2のデータによってラッチ回路30のデータが更新される。
【0136】
レジスタ236、237は、不揮発性レジスタである。図10を用いて、レジスタ236
、237のより具体的な回路構成例を説明する。
【0137】
<レジスタ236>
レジスタ236において、セレクタ40とフリップフロップ回路41とで、スキャンフリ
ップフロップ回路が構成されている。スキャンチェーンレジスタ部231がシフトレジス
タとして動作する場合、レジスタ236は、ノードSDI1からデータを取り込み、ノー
ドSDO1からデータを出力する。ノードSDO1のデータは、次段のレジスタ236の
ノードSDI1に入力される。
【0138】
信号SVA1は、セレクタ40の制御信号である。信号SVA1が“H”である場合、セ
レクタ40は、フリップフロップ回路41の入力ノードと、レジスタ235のノードA間
を導通し、信号SVA1が“L”である場合、セレクタ40はフリップフロップ回路41
の入力ノードと、ノードSDI1間を導通する。
【0139】
フリップフロップ回路41は、図10の回路構成に限定されず、様々なフリップフロップ
回路を適用することができる。フリップフロップ回路41のノードN1、NB1に、保持
回路42が電気的に接続されている。信号LDB1、SVB1は、保持回路42の制御信
号である。
【0140】
保持回路42は、フリップフロップ回路41が保持するデータを記憶するための回路であ
り、2個のメモリ回路43、44を有する。ここでは、メモリ回路43、44は3トラン
ジスタ型のゲインセルで構成されている。メモリ回路43は、トランジスタM11乃至M
13、容量素子CS1、ノードSN1を有し、メモリ回路44は、トランジスタM14乃
至M16、容量素子CS2、ノードSN2を有する。ノードSN1、SN2は、メモリ回
路43、44の保持ノードである。
【0141】
メモリ回路43は、ノードN1のデータをバックアップし、バックアップしたデータをノ
ードNB1にロードする機能を有し、メモリ回路44は、ノードNB1のデータをバック
アップし、バックアップしたデータをノードN1にロードする機能を有する。信号SVB
1に従い、メモリ回路43はノードN1のデータをノードSN1に書き込み、メモリ回路
44はノードNB1のデータをノードSN2に書き込む。信号LDB1に従い、メモリ回
路43はノードSN1のデータをノードNB1に書き込み、メモリ回路44はノードSN
2のデータをノードN1に書き込む。
【0142】
トランジスタM11、M14がOSトランジスタであるので、保持回路42は、電源供給
が遮断された状態でも長時間データを保持することが可能である。レジスタ236におい
て、トランジスタM11、M14以外のトランジスタは、Siトランジスタで構成しても
よい。
【0143】
<レジスタ237>
レジスタ237の回路構成は、レジスタ236と同様のため、レジスタ237の詳細な説
明はレジスタ236の説明を援用する。
【0144】
レジスタ237において、セレクタ45とフリップフロップ回路46とで、スキャンフリ
ップフロップ回路が構成されている。セレクタ45は、信号SVA2に従い、ノードAま
たはノードSDI2の一方を選択し、選択したノードとフリップフロップ回路46の入力
ノード間を導通する。
【0145】
フリップフロップ回路46のノードN2、NB2には、保持回路47が電気的に接続され
ている。保持回路47は、メモリ回路48、49を有する。メモリ回路48は、トランジ
スタM21乃至M23、容量素子CS3、ノードSN3を有する。メモリ回路49は、ト
ランジスタM24乃至M26、容量素子CS4、ノードSN4を有する。メモリ回路48
は、信号SVB2に従いフリップフロップ回路46のデータを格納し、信号LDB2に従
い、保持しているデータをフリップフロップ回路46にロードする。
【0146】
トランジスタM21、M24がOSトランジスタであるので、保持回路47は、電源供給
が遮断された状態でも長時間データを保持することが可能である。トランジスタM21、
トランジスタM24は、トランジスタMW1(図7(B))と同様にバックゲートを有す
るトランジスタであってもよい。トランジスタM11、M14についても同様である。
【0147】
レジスタ237において、トランジスタM21、M24以外のトランジスタは、Siトラ
ンジスタで構成してもよい。
【0148】
なお、図10には、フリップフロップ回路46の前段のインバータループの相補データを
保持回路47でバックアップする例を示している。フリップフロップ回路46の後段のイ
ンバータループの相補データをバックアップできるように、保持回路47を設けてもよい
。これは、レジスタ236でも同様である。保持回路42、47をこのような構成とする
ことで、バックアップしたデータのロードが非同期で行えるため、高速なデータのロード
ができる。これにより、パワーゲーティング時に、コントローラIC115を電源オフ状
態から通常動作状態に復帰させる時間を短縮できる。
【0149】
<レジスタ175の動作例>
図11を参照して、レジスタ175の動作例を説明する。図11は、レジスタ175の動
作例を示すタイミングチャートである。図11において、T1、T2等は期間を表す。P
LDDはレジスタ175に電位VDDを供給する配線である。電位VDDは電源電位であ
る。また、ノードN1等の波形において、ハッチングで示されている箇所は、論理が“H
”か“L”か定まらない不定値であることを示している。
【0150】
期間T1では、スキャンチェーンレジスタ部231、232をスキャン動作させて、それ
ぞれにデータを書き込んでいる。この間、信号SVA1、SVA2は“L”であり、スキ
ャンクロック信号SCK1、SCK2はアクティブである。したがって、セレクタ40に
よって、ノードSDI1とフリップフロップ回路41の入力ノード間が導通され、セレク
タ45によって、ノードSDI2とフリップフロップ回路46の入力ノード間が導通され
る。
【0151】
スキャンチェーンレジスタ部231のN段のレジスタ236にデータを書き込むため、ス
キャンクロック信号SCK1に同期して、ノードSCIN1のデータが更新される。レジ
スタ236[k](kは1以上N以下の整数)において、スキャンクロック信号SCK1
の立ち上がりエッジに同期して、ノードSDO1[k]のデータが更新され、スキャンク
ロック信号SCK1の立ち下がりエッジに同期して、ノードSDO1[k]のデータによ
って、ノードN1[k+1]のデータが更新される。スキャンクロック信号SCK1がト
グルを繰り返すことで、ノードSCIN1のデータが各段のレジスタ236をシフトして
いく。
【0152】
スキャンチェーンレジスタ部232のシフト動作も、スキャンチェーンレジスタ部231
と同様に実行される。スキャンクロック信号SCK2の立ち上がりエッジに同期して、ノ
ードSDO2のデータが更新される。
【0153】
期間T2では、レジスタ部230のデータの更新動作が行われる。信号LDA1が“H”
に遷移することで、MUX31[k]によって、ノードSDO1[k]とラッチ回路30
[k]の入力ノード間が導通される。ラッチ回路30[k]は、レジスタ236[k]が
保持するデータDkを格納する。ノードQ[k]、A[k]からはデータDkが出力され
る。つまり、信号LDA1を“H”にすることで、スキャンチェーンレジスタ部231が
保持しているデータD1乃至DNが、レジスタ部230に一括してロードされる。これに
より、画像処理部160、およびタイミングコントローラ173が使用するパラメータな
どを一括して変更することができる。
【0154】
スキャンチェーンレジスタ部232が保持しているデータによって、レジスタ部230の
データを更新する場合は、信号LDA1を“L”に維持し、信号LDA2を“H”にすれ
ばよい。
【0155】
なお、期間T2で、スキャンクロック信号SCK1および信号SVA1が“L”になるこ
とで、ノードN1[1]とノードSCIN1間が導通されるため、ノードN1[1]の電
位は、ノードSCIN1の電位に応じて変化する。同様に、スキャンクロック信号SCK
2および信号SVA2が“L”になることで、ノードN2[1]の電位は、ノードSCI
N2の電位に応じて変化する。
【0156】
期間T3では、レジスタ175は通常動作を行っている。ノードQ[1]乃至Q[N]か
ら、期間T2で書き込まれたデータD1乃至DNを出力する。この間、スキャンチェーン
レジスタ部231をスキャン動作させて、スキャンチェーンレジスタ部231のデータ変
更を行ってもよい。スキャンチェーンレジスタ部231のデータを変更した後、信号LD
A1を“H”にすることで、レジスタ部230のデータを書き換えてもよい。スキャンチ
ェーンレジスタ部232についても同様である。
【0157】
期間T10では、パワーゲーティング動作が行われる。パワーゲーティング動作は、レジ
スタ175のバックアップ動作、電源オフ動作、レジスタ175のリカバリ動作に大別さ
れる。
【0158】
期間T4では、レジスタ175のバックアップ動作が行われる。まず、信号SVA1を“
H”にし、その後、スキャンクロック信号SCK1を“H”にすることで、レジスタ部2
30が格納しているデータD1乃至DNを、スキャンチェーンレジスタ部231のフリッ
プフロップ回路41に書き込む。図11の例では、信号の制御を簡単化するため、スキャ
ンクロック信号SCK2をスキャンクロック信号SCK1と共に、“H”にしているが、
“L”で維持してもよい。
【0159】
信号SVA1が“H”になることで、セレクタ40はラッチ回路30のノードAとフリッ
プフロップ回路41の入力ノード間を導通する。スキャンクロック信号SCK1が“L”
であるため、フリップフロップ回路41のノードN1にノードAのデータが書き込まれる
。スキャンクロック信号SCK1が“H”に遷移することで、ノードN1とノードA間が
非導通状態になり、かつノードN1[1]とノードSCIN1間が非導通状態になる。
【0160】
なお、レジスタ部230が格納しているデータが、スキャンチェーンレジスタ部232か
らロードされたデータである場合、レジスタ部230のデータはスキャンチェーンレジス
タ部232でバックアップされる。この場合は、信号SVA2を“H”にし、その後、ス
キャンクロック信号SCK2を“H”にする。
【0161】
次に、スキャンチェーンレジスタ部231、232のバックアップ動作が行われる。この
間、信号SVB1、SVB2を“H”にする。信号SVB1が“H”になることで、フリ
ップフロップ回路41のノードN1、NB1のデータが保持回路42のノードSN1、S
N2に書き込まれる。信号SVB2が“H”になることで、フリップフロップ回路46の
ノードN1、NB1のデータが保持回路47のノードSN3、SN4に書き込まれる。
【0162】
信号SVB1、SVB2を“L”にすることで、レジスタ175のバックアップ動作が終
了する。
【0163】
期間T5は、電源オフ動作が行われる。配線PLDDへの電位VDDの供給を停止する。
配線PLDDは徐々に放電される。配線PLDDの電位が低下するため、ラッチ回路30
、フリップフロップ回路41、46のデータは消失するが、保持回路42、47のデータ
は消失しない。
【0164】
期間T6は、スキャンチェーンレジスタ部231、232のリカバリ動作が行われる。ま
ず、配線PLDDに電位VDDの供給を開始する。配線PLDDの電位は上昇し、やがて
電位VDDになる。
【0165】
次に、信号LDB1、LDB2を“H”にし、かつスキャンクロック信号SCK1、SC
K2を1クロック入力する。信号LDB1が“H”になることで、保持回路42は、ノー
ドSN1、SN2のデータをフリップフロップ回路41のノードN1、NB1に書き込む
。スキャンクロック信号SCK1の立ち上がりエッジに同期して、ノードN1のデータが
ノードSDO1に入力される。信号LDB2が“H”になることで、保持回路47は、ノ
ードSN3、SN4のデータを、フリップフロップ回路46のノードN2、NB2に書き
込む。スキャンクロック信号SCK2の立ち上がりエッジに同期して、ノードN2のデー
タはノードSDO2に入力される。
【0166】
信号LDB1、LDB2を“L”にすることで、リカバリ動作が終了する。
【0167】
期間T7では、レジスタ部230のリカバリ動作が行われる。期間T3の状態にレジスタ
部230を復帰させるため、信号LDA1を“H”にする。期間T7のリカバリ動作は、
期間T3のレジスタ部230のデータ更新動作と同じ動作であり、スキャンチェーンレジ
スタ部231が保持しているデータD1乃至DNが、一括してレジスタ部230にロード
される。信号LDA1を“L”にすることで、リカバリ動作が終了する。
【0168】
期間T8ではレジスタ175は通常動作を行い、ノードQ[1]乃至Q[N]から、期間
T7で書き込まれたデータD1乃至DNを出力する。
【0169】
<<動作例>>
表示装置100に関するコントローラIC115とレジスタ175の動作例について、出
荷前と、表示装置100を有する電子機器の起動時、および通常動作時に分けて説明する
【0170】
<出荷前>
出荷前には、表示装置100の仕様等に関するパラメータを、レジスタ175に格納する
。これらのパラメータには、例えば、画素数、タッチセンサ数、タイミングコントローラ
173が各種タイミング信号の波形生成に用いるパラメータ、折り曲げ線904の位置(
第1表示領域905aと第2表示領域905bの範囲)、ソースドライバ180に画素1
0を流れる電流を検出する電流検出回路を備えている場合、EL補正回路164の補正デ
ータ等がある。これらのパラメータは、レジスタ175以外に、専用のROMを設けて格
納してもよい。
【0171】
<起動時>
表示装置100を有する電子機器900の起動時には、使用者が設定したパラメータがホ
スト140より送られ、レジスタ175に格納される。これらのパラメータには、例えば
、表示の輝度や色調、タッチセンサの感度、省エネルギー設定(表示を暗くする、または
表示を消す、までの時間)、また、ガンマ補正のカーブやテーブル等がある。なお、当該
パラメータをレジスタ175に格納する際、コントローラ154からレジスタ175に、
スキャンクロック信号と、スキャンクロック信号に同期した当該パラメータに相当するデ
ータが送信される。
【0172】
<通常動作>
通常動作時には、使用者が設定を変更する際、パラメータがホスト140より送られ、レ
ジスタ175に格納される。変更されるパラメータは、電子機器900の起動時と同様で
あるため、説明を援用する。
【0173】
また、コントローラ154は、センサコントローラ153より送られる、光センサ143
a乃至143c、光センサ144a乃至144c、または角度センサ146の信号をモニ
タしている。例えば、コントローラ154は、使用者が設定した輝度や色調のパラメータ
と、光センサ143a乃至143cの信号を計算し、得られたデータをスキャンチェーン
レジスタ部231に格納する。前記データは、画像処理部160が第1表示領域905a
に表示する画像データを処理する際、スキャンチェーンレジスタ部231からレジスタ部
230へロードされ、画像処理部160の処理内容が制御される。
【0174】
同様に、例えば、コントローラ154は、使用者が設定した輝度や色調のパラメータと、
光センサ144a乃至144cの信号を計算し、得られたデータをスキャンチェーンレジ
スタ部232に格納する。前記データは、画像処理部160が第2表示領域905bに表
示する画像データを処理する際、スキャンチェーンレジスタ部232からレジスタ部23
0へロードされ、画像処理部160の処理内容が制御される。
【0175】
このように、折り畳みが可能な電子機器の場合、第1表示領域905aと第2表示領域9
05bの向きが異なり、光145の当たり方が異なる場合があるが、第1表示領域905
aと第2表示領域905bのそれぞれにおいて、適切な輝度や色調とすることができる。
【0176】
以下、通常動作を、動画等を表示している状態、静止画を表示中でIDS駆動が可能な状
態、表示を行わない状態等に分けて説明する。
【0177】
動画等を表示している状態は、画像処理部160、およびタイミングコントローラ173
等は動作中であるが、レジスタ175のデータ変更は、スキャンチェーンレジスタ部23
1、232に対して行われるため、画像処理部160等への影響はない。スキャンチェー
ンレジスタ部231、232のデータ変更が終わった後、スキャンチェーンレジスタ部2
31、232のデータをレジスタ部230へ一括してロードすることで、レジスタ175
のデータ変更が完了する。また、画像処理部160等は当該データに対応した動作に切り
替わる。
【0178】
静止画を表示中でIDS駆動が可能な状態では、レジスタ175は、例えば、領域190
内の他の回路と同様、パワーゲーティングすることができる。この場合、パワーゲーティ
ングの前に、スキャンチェーンレジスタ部231、232が有するレジスタ236、23
7内では、信号SVB1、SVB2に従い、フリップフロップ回路41および46が保持
するデータを、保持回路42および47に格納する作業が行われる。
【0179】
パワーゲーティングから復帰する際は、信号LDB1、LDB2に従い、保持回路42お
よび47が保持しているデータをフリップフロップ回路41および46にロードし、信号
LDA1に従い、フリップフロップ回路41のデータをレジスタ部230にロードする。
または、信号LDA2に従い、フリップフロップ回路46のデータをレジスタ部230に
ロードする。
【0180】
このようにして、パワーゲーティング前と同じ状態で、レジスタ175のデータは有効と
なる。なお、パワーゲーティングの状態であっても、ホスト140よりレジスタ175の
パラメータ変更要求があった場合、レジスタ175のパワーゲーティングを解除し、パラ
メータを変更することができる。
【0181】
表示を行わない状態では、例えば、領域190内の回路(レジスタ175を含む)は、パ
ワーゲーティングすることができる。この場合、ホスト140も停止することがあるが、
フレームメモリ151およびレジスタ175は不揮発性であるので、パワーゲーティング
から復帰する際には、ホスト140の復帰を待たずに、パワーゲーティング前の表示(静
止画)を行うことができる。
【0182】
例えば、電子機器900に角度センサ146を適用する場合、角度センサ146の信号に
よって、電子機器900が折りたたまれ、表示装置100の表示面が使用されないことが
検出されたとき、領域190内の回路に加えて、センサコントローラ153、およびタッ
チセンサコントローラ184等をパワーゲーティングすることができる。
【0183】
電子機器900が折りたたまれたとき、ホスト140の規格によっては、ホスト140が
停止する場合がある。ホスト140が停止した状態で、電子機器900が再び展開されて
も、フレームメモリ151およびレジスタ175は不揮発性であるので、ホスト140か
ら画像データ、各種制御信号等が送られる前に、フレームメモリ151内の画像データを
表示することができる。
【0184】
このように、レジスタ175はスキャンチェーンレジスタ部231、232とレジスタ部
230を有し、スキャンチェーンレジスタ部231、232に対してデータ変更を行うこ
とで、画像処理部160およびタイミングコントローラ173等へ影響を与えることなく
、スムーズなデータ変更を行うことができる。また、スキャンチェーンレジスタ部231
、232の各レジスタ236、237は、保持回路42、47を有し、パワーゲーティン
グ状態への移行と復帰を円滑に行うことができる。
【0185】
<コントローラICの他の構成例>
以下に、コントローラICの他の構成例を説明する。
【0186】
図12に、ソースドライバを内蔵しないコントローラICの構成例を示す。図12に示す
コントローラIC117は、コントローラIC115の変形例であり、領域191を有す
る。コントローラ154は、領域191内の回路への電源供給を制御する。
【0187】
コントローラIC117には、ソースドライバ180が設けられていない。そのため、表
示ユニット110は、ソースドライバIC186を有する。ソースドライバIC186の
数は、画素アレイ111の画素数に応じて決定される。
【0188】
ソースドライバの構成はこれに限定されない。ゲートドライバ113、114と同様に、
画素アレイ111の基板上にソースドライバを作製してもよい。また、コントローラIC
117に、TSドライバ126およびセンス回路127の一方または双方を設けてもよい
。コントローラIC115も同様である。
【0189】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0190】
(実施の形態2)
本実施の形態では、表示ユニット110の構成例について、断面図を用いて説明する。
【0191】
<断面構成例1>
図13に、ゲートドライバ113、114を含む領域の一部、および画素アレイ111を
含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0192】
表示ユニットは、基板351と基板361の間に、絶縁層220を有する。また基板35
1と絶縁層220の間に、発光素子360、トランジスタ201、トランジスタ205、
トランジスタ206、着色層134等を有する。また絶縁層220と基板361の間に、
液晶素子340、着色層135等を有する。また基板361と絶縁層220は接着層16
8を介して接着され、基板351と絶縁層220は接着層169を介して接着されている
【0193】
着色層134には、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)等を透過する、原色系の
カラーフィルタを用いることができる。一方、着色層135には、シアン(C)、マゼン
タ(M)、イエロー(Y)等を透過する、補色系のカラーフィルタを用いることができる
【0194】
トランジスタ206は、液晶素子340と電気的に接続し、トランジスタ205は、発光
素子360と電気的に接続する。トランジスタ205とトランジスタ206は、いずれも
絶縁層220の基板351側の面上に形成されているため、これらを同一の工程を用いて
作製することができる。
【0195】
基板361には、着色層135、遮光層136、絶縁層218、および液晶素子340の
共通電極として機能する導電層313、配向膜133b、絶縁層118等が設けられてい
る。絶縁層118は、液晶素子340のセルギャップを保持するためのスペーサとして機
能する。
【0196】
絶縁層220の基板351側には、絶縁層211、絶縁層212、絶縁層213、絶縁層
214、絶縁層215等の絶縁層が設けられている。絶縁層211は、その一部が各トラ
ンジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層212、絶縁層213、および絶縁層2
14は、各トランジスタを覆って設けられている。また絶縁層214を覆って絶縁層21
5が設けられている。絶縁層214および絶縁層215は、平坦化層としての機能を有す
る。なお、ここではトランジスタ等を覆う絶縁層として、絶縁層212、絶縁層213、
絶縁層214の3層を有する場合について示しているが、これに限られず4層以上であっ
てもよいし、単層、または2層であってもよい。また平坦化層として機能する絶縁層21
4は、不要であれば設けなくてもよい。
【0197】
また、トランジスタ201、トランジスタ205、およびトランジスタ206は、一部が
ゲートとして機能する導電層221、一部がソースまたはドレインとして機能する導電層
222、半導体層239を有する。ここでは、同一の導電膜を加工して得られる複数の層
に、同じハッチングパターンを付している。
【0198】
液晶素子340は反射型の液晶素子である。液晶素子340は、導電層311a、液晶3
12、導電層313が積層された積層構造を有する。また、導電層311aの基板351
側に接して、可視光を反射する導電層311bが設けられている。導電層311bは開口
251を有する。また、導電層311aおよび導電層313は可視光を透過する材料を含
む。また、液晶312と導電層311aの間に配向膜133aが設けられ、液晶312と
導電層313の間に配向膜133bが設けられている。また、基板361の外側の面には
、偏光板130を有する。
【0199】
液晶素子340において、導電層311bは可視光を反射する機能を有し、導電層313
は可視光を透過する機能を有する。基板361側から入射した光は、偏光板130により
偏光され、導電層313、液晶312を透過し、導電層311bで反射する。そして、液
晶312および導電層313を再度透過して、偏光板130に達する。このとき、導電層
311bと導電層313の間に与える電圧によって液晶の配向を制御し、光の光学変調を
制御することができる。すなわち、偏光板130を介して射出される光の強度を制御する
ことができる。また光は着色層135によって特定の波長領域以外の光が吸収されること
により、取り出される光は、例えば赤色を呈する光となる。
【0200】
発光素子360は、ボトムエミッション型の発光素子である。発光素子360は、絶縁層
220側から導電層199、EL層192、および導電層193bの順に積層された積層
構造を有する。また導電層193bを覆って導電層193aが設けられている。導電層1
93bは可視光を反射する材料を含み、導電層199および導電層193aは可視光を透
過する材料を含む。発光素子360が発する光は、着色層134、絶縁層220、開口2
51、導電層313等を介して、基板361側に射出される。
【0201】
ここで、図13に示すように、開口251には可視光を透過する導電層311aが設けら
れていることが好ましい。これにより、開口251と重なる領域においてもそれ以外の領
域と同様に液晶312が配向するため、これらの領域の境界部で液晶の配向不良が生じ、
意図しない光が漏れてしまうことを抑制できる。
【0202】
ここで、基板361の外側の面に配置する偏光板130として直線偏光板を用いてもよい
が、円偏光板を用いることもできる。円偏光板としては、例えば直線偏光板と1/4波長
位相差板を積層したものを用いることができる。これにより、外光反射を抑制することが
できる。また、外光反射を抑制するために光拡散板を設けてもよい。また、偏光板の種類
に応じて、液晶素子340に用いる液晶素子のセルギャップ、配向、駆動電圧等を調整す
ることで、所望のコントラストが実現されるようにすればよい。
【0203】
導電層199の端部を覆う絶縁層216上には、絶縁層217が設けられている。絶縁層
217は、絶縁層220と基板351が必要以上に接近することを抑制するスペーサとし
ての機能を有する。またEL層192や導電層193aを遮蔽マスク(メタルマスク)を
用いて形成する場合には、当該遮蔽マスクが被形成面に接触することを抑制する機能を有
していてもよい。なお、絶縁層217は不要であれば設けなくてもよい。
【0204】
トランジスタ205のソースまたはドレインの一方は、導電層224を介して発光素子3
60の導電層199と電気的に接続されている。
【0205】
トランジスタ206のソースまたはドレインの一方は、接続部207を介して導電層31
1bと電気的に接続されている。導電層311bと導電層311aは接して設けられ、こ
れらは電気的に接続されている。ここで、接続部207は、絶縁層220に設けられた開
口を介して、絶縁層220の両面に設けられる導電層同士を接続する部分である。
【0206】
基板351と基板361が重ならない領域には、接続部204が設けられている。接続部
204は、接続層242を介してFPC372と電気的に接続されている。接続部204
は接続部207と同様の構成を有している。接続部204の上面は、導電層311aと同
一の導電膜を加工して得られた導電層が露出している。これにより、接続部204とFP
C372とを接続層242を介して電気的に接続することができる。
【0207】
接着層168が設けられる一部の領域には、接続部252が設けられている。接続部25
2において、導電層311aと同一の導電膜を加工して得られた導電層と、導電層313
の一部が、接続体243により電気的に接続されている。したがって、基板361側に形
成された導電層313に、基板351側に接続されたFPC372から入力される信号ま
たは電位を、接続部252を介して供給することができる。
【0208】
接続体243としては、例えば導電性の粒子を用いることができる。導電性の粒子として
は、有機樹脂またはシリカなどの粒子の表面を金属材料で被覆したものを用いることがで
きる。金属材料としてニッケルや金を用いると接触抵抗を低減できるため好ましい。また
ニッケルをさらに金で被覆するなど、2種類以上の金属材料を層状に被覆させた粒子を用
いることが好ましい。また接続体243として、弾性変形、または塑性変形する材料を用
いることが好ましい。このとき導電性の粒子である接続体243は、図13に示すように
上下方向に潰れた形状となる場合がある。こうすることで、接続体243と、これと電気
的に接続する導電層との接触面積が増大し、接触抵抗を低減できるほか、接続不良などの
不具合の発生を抑制することができる。
【0209】
接続体243は、接着層168に覆われるように配置することが好ましい。例えば硬化前
の接着層168に接続体243を散布すればよい。
【0210】
図13では、回路364の例としてトランジスタ201が設けられている例を示している
【0211】
図13では、トランジスタ201およびトランジスタ205の例として、チャネルが形成
される半導体層239を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。一方のゲートは
導電層221により、他方のゲートは絶縁層212を介して半導体層239と重なる導電
層223により構成されている。このような構成とすることで、トランジスタのしきい値
電圧を制御することができる。このとき、2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を
供給することによりトランジスタを駆動してもよい。このようなトランジスタは他のトラ
ンジスタと比較して電界効果移動度を高めることが可能であり、オン電流を増大させるこ
とができる。その結果、高速駆動が可能な回路を作製することができる。さらには、回路
部の占有面積を縮小することが可能となる。オン電流の大きなトランジスタを適用するこ
とで、表示ユニットを大型化、または高精細化したときに配線数が増大したとしても、各
配線における信号遅延を低減することが可能であり、表示ムラを抑制することができる。
【0212】
なお、回路364が有するトランジスタと、表示部362が有するトランジスタは、同じ
構造であってもよい。また回路364が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であ
ってもよいし、異なる構造のトランジスタを組み合わせて用いてもよい。また、表示部3
62が有する複数のトランジスタは、全て同じ構造であってもよいし、異なる構造のトラ
ンジスタを組み合わせて用いてもよい。
【0213】
各トランジスタを覆う絶縁層212、絶縁層213のうち少なくとも一方は、水や水素な
どの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。すなわち、絶縁層212または
絶縁層213はバリア膜として機能させることができる。このような構成とすることで、
トランジスタに対して外部から不純物が拡散することを効果的に抑制することが可能とな
り、信頼性の高い表示ユニットを実現できる。
【0214】
基板361側において、着色層135、遮光層136を覆って絶縁層218が設けられて
いる。絶縁層218は、平坦化層としての機能を有していてもよい。絶縁層218により
、導電層313の表面を概略平坦にできるため、液晶312の配向状態を均一にできる。
【0215】
<断面構成例2>
また、本発明の一態様の表示ユニットは、図14に示すように、画素に設けられる第1の
トランジスタと、第2のトランジスタが重なる領域を有する構成であってもよい。このよ
うな構成とすることで、一画素あたりの面積を小さくすることができ、高精細な画像が表
示できる画素密度の高い表示ユニットを形成することができる。
【0216】
例えば、発光素子360を駆動するためのトランジスタであるトランジスタ205と、ト
ランジスタ208が重なる領域を有するように構成することができる。または、液晶素子
340を駆動するためのトランジスタ206と、トランジスタ205およびトランジスタ
208の一方が重なる領域を有するように構成であってもよい。
【0217】
<断面構成例3>
また、本発明の一態様の表示ユニットは、図15に示すように、表示ユニット300aと
表示ユニット300bが接着層50を介して貼り合わされた構成であってもよい。表示ユ
ニット300aは、表示部362aに液晶素子340およびトランジスタ206を有し、
表示部362aを駆動する回路364aにトランジスタ201aを有する。表示ユニット
300bは、表示部362bに発光素子360およびトランジスタ205、208を有し
、表示部362bを駆動する回路364bにトランジスタ201bを有する。
【0218】
このような構成とすることで、表示ユニット300aおよび表示ユニット300bのそれ
ぞれに適した作製工程を用いることができ、製品歩留りを向上させることができる。
【0219】
[各構成要素について]
以下では、上記に示す各構成要素について説明する。
【0220】
<基板>
表示ユニットが有する基板には、平坦面を有する材料を用いることができる。表示素子か
らの光を取り出す側の基板には、該光を透過する材料を用いる。例えば、ガラス、石英、
セラミック、サファイヤ、有機樹脂などの材料を用いることができる。
【0221】
厚さの薄い基板を用いることで、表示ユニットの軽量化、薄型化を図ることができる。さ
らに、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有する表示ユニットを
実現できる。
【0222】
また、発光を取り出さない側の基板は、透光性を有していなくてもよいため、上記に挙げ
た基板の他に、金属基板等を用いることもできる。金属基板は熱伝導性が高く、基板全体
に熱を容易に伝導できるため、表示ユニットの局所的な温度上昇を抑制することができ、
好ましい。可撓性や曲げ性を得るためには、金属基板の厚さは、10μm以上200μm
以下が好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0223】
金属基板を構成する材料としては、特に限定はないが、例えば、アルミニウム、銅、ニッ
ケル等の金属、もしくはアルミニウム合金またはステンレス等の合金などを好適に用いる
ことができる。
【0224】
また、金属基板の表面を酸化する、または表面に絶縁膜を形成するなどにより、絶縁処理
が施された基板を用いてもよい。例えば、スピンコート法やディップ法などの塗布法、電
着法、蒸着法、またはスパッタリング法などを用いて絶縁膜を形成してもよいし、酸素雰
囲気で放置するまたは加熱するほか、陽極酸化法などによって、基板の表面に酸化膜を形
成してもよい。
【0225】
可撓性を有し、可視光に対する透過性を有する材料としては、例えば、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポ
リアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボ
ネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオ
レフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)樹脂等が挙げられる。特に、熱膨張係数の低い材料を
用いることが好ましく、例えば、熱膨張係数が30×10-6/K以下であるポリアミド
イミド樹脂、ポリイミド樹脂、PET等を好適に用いることができる。また、ガラス繊維
に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜて熱膨張係数を下げた基板
を使用することもできる。このような材料を用いた基板は、重量が軽いため、該基板を用
いた表示ユニットも軽量にすることができる。
【0226】
上記材料中に繊維体が含まれている場合、繊維体は有機化合物または無機化合物の高強度
繊維を用いる。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率またはヤング率の高い繊維のこと
を言い、代表例としては、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミ
ド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサ
ゾール繊維、ガラス繊維、または炭素繊維が挙げられる。ガラス繊維としては、Eガラス
、Sガラス、Dガラス、Qガラス等を用いたガラス繊維が挙げられる。これらは、織布ま
たは不織布の状態で用い、この繊維体に樹脂を含浸させ樹脂を硬化させた構造物を、可撓
性を有する基板として用いてもよい。可撓性を有する基板として、繊維体と樹脂からなる
構造物を用いると、曲げや局所的押圧による破損に対する信頼性が向上するため、好まし
い。
【0227】
または、可撓性を有する程度に薄いガラス、金属などを基板に用いることもできる。また
は、ガラスと樹脂材料とが接着層により貼り合わされた複合材料を用いてもよい。
【0228】
可撓性を有する基板に、表示ユニットの表面を傷などから保護するハードコート層(例え
ば、窒化シリコン、酸化アルミニウムなど)や、押圧を分散可能な材質の層(例えば、ア
ラミド樹脂など)等が積層されていてもよい。また、水分等による表示素子の寿命の低下
等を抑制するために、可撓性を有する基板に透水性の低い絶縁膜が積層されていてもよい
。例えば、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒
化アルミニウム等の無機絶縁材料を用いることができる。
【0229】
基板は、複数の層を積層して用いることもできる。特に、ガラス層を有する構成とすると
、水や酸素に対するバリア性を向上させ、信頼性の高い表示ユニットとすることができる
【0230】
<トランジスタ>
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として機
能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する絶
縁層と、を有する。上記では、ボトムゲート構造のトランジスタを適用した場合を示して
いる。
【0231】
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例え
ば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし
、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型またはボトムゲート型
のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設け
られていてもよい。
【0232】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結
晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領
域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トラン
ジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0233】
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好
ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることがで
きる。代表的には、インジウムを含む金属酸化物などであり、例えば、後述するCAC-
OSなどを用いることができる。
【0234】
シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい金属酸化物を用いたト
ランジスタは、その低いオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量素子に蓄
積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。
【0235】
半導体層は、例えばインジウム、亜鉛およびM(アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲル
マニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハ
フニウム等の金属)を含むIn-M-Zn系酸化物で表記される膜とすることができる。
【0236】
半導体層を構成する金属酸化物がIn-M-Zn系酸化物の場合、In-M-Zn酸化物
を成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、
Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原
子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:
M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1
、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1
:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリ
ングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0237】
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるため
好ましい。またこのとき金属酸化物を用いることで、多結晶シリコンよりも低温で形成で
き、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐熱性の低い材料を用
いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例えば、極めて大面積の
ガラス基板などを好適に用いることができる。
【0238】
半導体層としては、キャリア密度の低い金属酸化物膜を用いる。例えば、半導体層は、キ
ャリア密度が1×1017/cm以下、好ましくは1×1015/cm以下、さらに
好ましくは1×1013/cm以下、より好ましくは1×1011/cm以下、さら
に好ましくは1×1010/cm未満であり、1×10-9/cm以上の金属酸化物
を用いることができる。そのような金属酸化物を、高純度真性または実質的に高純度真性
な金属酸化物と呼ぶ。これにより不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低いため、安定な特
性を有する金属酸化物であるといえる。
【0239】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気特性(電界効
果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とす
るトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥
密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好まし
い。
【0240】
半導体層を構成する金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含
まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層
におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1
18atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とする
【0241】
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、金属酸化物と結合するとキャリアを生成
する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導体
層における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の
濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/c
以下にする。
【0242】
また、半導体層を構成する金属酸化物に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生
じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている金属酸化物
を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層における二
次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm以下に
することが好ましい。
【0243】
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、c軸に配向
した結晶を有するCAAC-OS(C-Axis Aligned Crystalli
ne Oxide Semiconductor、または、C-Axis Aligne
d and A-B-plane Anchored Crystalline Oxi
de Semiconductor)、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含
む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC-OSは最
も欠陥準位密度が低い。
【0244】
非晶質構造の金属酸化物膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。
または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない
【0245】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC
-OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合
膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層
構造を有する場合がある。
【0246】
<CAC-OSの構成>
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cl
oud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0247】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属の
酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)
、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)な
どに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸
化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OS FETと記載する場合におい
ては、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0248】
本明細書において、金属酸化物が、導電体の機能を有する領域と、誘電体の機能を有する
領域とが混合し、金属酸化物全体では半導体として機能する場合、CAC(Cloud-
Aligned Composite)-OS(Oxide Semiconducto
r)、またはCAC-metal oxideと定義する。
【0249】
つまり、CAC-OSとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が、0.5nm以上1
0nm以下、好ましくは、0.5nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで偏在し
た材料の一構成である。なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以上
の元素が偏在し、該元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、0
.5nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、または
パッチ状ともいう。
【0250】
特定の元素が偏在した領域は、該元素が有する性質により、物理特性が決定する。例えば
、金属酸化物を構成する元素の中でも比較的、絶縁体となる傾向がある元素が偏在した領
域は、誘電体領域となる。一方、金属酸化物を構成する元素の中でも比較的、導体となる
傾向がある元素が偏在した領域は、導電体領域となる。また、導電体領域、および誘電体
領域がモザイク状に混合することで、材料としては、半導体として機能する。
【0251】
つまり、本発明の一態様における金属酸化物は、物理特性が異なる材料が混合した、マト
リックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材
(metal matrix composite)の一種である。
【0252】
なお、酸化物半導体は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムお
よび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、元素M(Mは、ガリウム、アル
ミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄
、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム
、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、ま
たは複数種)が含まれていてもよい。
【0253】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-G
a-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい)とは、インジウム酸化物(
以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする)、またはインジウム亜鉛酸化物
(以下、InX2ZnY2Z2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とす
る)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする)、ま
たはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4Z4(X4、Y4、およびZ4は0
よりも大きい実数)とする)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイ
ク状のInOX1、またはInX2ZnY2Z2が、膜中に均一に分布した構成(以下
、クラウド状ともいう)である。
【0254】
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2
またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導体
である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比
が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第
2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0255】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場
合がある。代表例として、InGaO(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn
1+x0)Ga(1-x0)(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表
される結晶性の化合物が挙げられる。
【0256】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、
CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面において
は配向せずに連結した結晶構造である。
【0257】
一方、CAC-OSは、酸化物半導体の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、G
a、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状領域
が観察され、一部にInを主成分とするナノ粒子状領域が観察され、それぞれモザイク状
にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC-OSにおいて、結晶構造は副次
的な要素である。
【0258】
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。
例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含ま
ない。
【0259】
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1
主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0260】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、銅、バナ
ジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン
、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネ
シウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一部
に該元素を主成分とするナノ粒子状領域が観察され、一部にInを主成分とするナノ粒子
状領域が観察され、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
【0261】
<CAC-OSの解析>
続いて、各種測定方法を用い、基板上に成膜した酸化物半導体について測定を行った結果
について説明する。
【0262】
<試料の構成と作製方法>
以下では、本発明の一態様に係る9個の試料について説明する。各試料は、それぞれ、酸
化物半導体を成膜する際の基板温度、および酸素ガス流量比を異なる条件で作製する。な
お、試料は、基板と、基板上の酸化物半導体と、を有する構造である。
【0263】
各試料の作製方法について、説明する。
【0264】
まず、基板として、ガラス基板を用いる。続いて、スパッタリング装置を用いて、ガラス
基板上に酸化物半導体として、厚さ100nmのIn-Ga-Zn酸化物を形成する。成
膜条件は、チャンバー内の圧力を0.6Paとし、ターゲットには、酸化物ターゲット(
In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いる。また、スパッタリング装置
内に設置された酸化物ターゲットに2500WのAC電力を供給する。
【0265】
なお、酸化物を成膜する際の条件として、基板温度を、意図的に加熱しない温度(以下、
室温またはR.T.ともいう)、130℃、または170℃とした。また、Arと酸素の
混合ガスに対する酸素ガスの流量比(以下、酸素ガス流量比ともいう)を、10%、30
%、または100%とすることで、9個の試料を作製する。
【0266】
<X線回折による解析>
本項目では、9個の試料に対し、X線回折(XRD:X-ray diffractio
n)測定を行った結果について説明する。なお、XRD装置として、Bruker社製D
8 ADVANCEを用いた。また、条件は、Out-of-plane法によるθ/2
θスキャンにて、走査範囲を15deg.乃至50deg.、ステップ幅を0.02de
g.、走査速度を3.0deg./分とした。
【0267】
図16にOut-of-plane法を用いてXRDスペクトルを測定した結果を示す。
なお、図16において、上段には成膜時の基板温度条件が170℃の試料における測定結
果、中段には成膜時の基板温度条件が130℃の試料における測定結果、下段には成膜時
の基板温度条件がR.T.の試料における測定結果を示す。また、左側の列には酸素ガス
流量比の条件が10%の試料における測定結果、中央の列には酸素ガス流量比の条件が3
0%の試料における測定結果、右側の列には酸素ガス流量比の条件が100%の試料にお
ける測定結果、を示す。
【0268】
図16に示すXRDスペクトルは、成膜時の基板温度を高くする、または、成膜時の酸素
ガス流量比の割合を大きくすることで、2θ=31°付近のピーク強度が高くなる。なお
、2θ=31°付近のピークは、被形成面または上面に略垂直方向に対してc軸に配向し
た結晶性IGZO化合物(CAAC(c-axis aligned crystall
ine)-IGZOともいう)であることに由来することが分かっている。
【0269】
また、図16に示すXRDスペクトルは、成膜時の基板温度が低い、または、酸素ガス流
量比が小さいほど、明確なピークが現れなかった。従って、成膜時の基板温度が低い、ま
たは、酸素ガス流量比が小さい試料は、測定領域のa-b面方向、およびc軸方向の配向
は見られないことが分かる。
【0270】
<電子顕微鏡による解析>
本項目では、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料を
、HAADF(High-Angle Annular Dark Field)-ST
EM(Scanning Transmission Electron Micros
cope)によって観察、および解析した結果について説明する(以下、HAADF-S
TEMによって取得した像は、TEM像ともいう)。
【0271】
HAADF-STEMによって取得した平面像(以下、平面TEM像ともいう)、および
断面像(以下、断面TEM像ともいう)の画像解析を行った結果について説明する。なお
、TEM像は、球面収差補正機能を用いて観察した。なお、HAADF-STEM像の撮
影には、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM-ARM200Fを用いて
、加速電圧200kV、ビーム径約0.1nmφの電子線を照射して行った。
【0272】
図17(A)は、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試
料の平面TEM像である。図17(B)は、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス
流量比10%で作製した試料の断面TEM像である。
【0273】
<電子線回折パターンの解析>
本項目では、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料に
、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう)を照射することで、電子線
回折パターンを取得した結果について説明する。
【0274】
図17(A)に示す、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製し
た試料の平面TEM像において、黒点a1、黒点a2、黒点a3、黒点a4、および黒点
a5で示す電子線回折パターンを観察する。なお、電子線回折パターンの観察は、電子線
を照射しながら0秒の位置から35秒の位置まで一定の速度で移動させながら行う。黒点
a1の結果を図17(C)、黒点a2の結果を図17(D)、黒点a3の結果を図17
E)、黒点a4の結果を図17(F)、および黒点a5の結果を図17(G)に示す。
【0275】
図17(C)、図17(D)、図17(E)、図17(F)、および図17(G)より、
円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測できる。また、リング状の領域に複
数のスポットが観測できる。
【0276】
また、図17(B)に示す、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で
作製した試料の断面TEM像において、黒点b1、黒点b2、黒点b3、黒点b4、およ
び黒点b5で示す電子線回折パターンを観察する。黒点b1の結果を図17(H)、黒点
b2の結果を図17(I)、黒点b3の結果を図17(J)、黒点b4の結果を図17
K)、および黒点b5の結果を図17(L)に示す。
【0277】
図17(H)、図17(I)、図17(J)、図17(K)、および図17(L)より、
リング状に輝度の高い領域が観測できる。また、リング状の領域に複数のスポットが観測
できる。
【0278】
ここで、例えば、InGaZnOの結晶を有するCAAC-OSに対し、試料面に平行
にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、InGaZnOの結晶の(009
)面に起因するスポットが含まれる回折パターンが見られる。つまり、CAAC-OSは
、c軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわか
る。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させ
ると、リング状の回折パターンが確認される。つまり、CAAC-OSは、a軸およびb
軸は配向性を有さないことがわかる。
【0279】
また、微結晶を有する酸化物半導体(nano crystalline oxide
semiconductor。以下、nc-OSという。)に対し、大きいプローブ径(
例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折を行うと、ハローパターンのような回
折パターンが観測される。また、nc-OSに対し、小さいプローブ径の電子線(例えば
50nm未満)を用いるナノビーム電子線回折を行うと、輝点(スポット)が観測される
。また、nc-OSに対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くように(リング状に
)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域に複数の輝点が観測
される場合がある。
【0280】
成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料の電子線回折パ
ターンは、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点を有する。従って、
成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料は、電子線回折
パターンが、nc-OSになり、平面方向、および断面方向において、配向性は有さない
【0281】
以上より、成膜時の基板温度が低い、または、酸素ガス流量比が小さい酸化物半導体は、
アモルファス構造の酸化物半導体膜とも、単結晶構造の酸化物半導体膜とも明確に異なる
性質を有すると推定できる。
【0282】
<元素分析>
本項目では、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersiv
e X-ray spectroscopy)を用い、EDXマッピングを取得し、評価
することによって、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した
試料の元素分析を行った結果について説明する。なお、EDX測定には、元素分析装置と
して日本電子株式会社製エネルギー分散型X線分析装置JED-2300Tを用いる。な
お、試料から放出されたX線の検出にはSiドリフト検出器を用いる。
【0283】
EDX測定では、試料の分析対象領域の各点に電子線照射を行い、これにより発生する試
料の特性X線のエネルギーと発生回数を測定し、各点に対応するEDXスペクトルを得る
。本実施の形態では、各点のEDXスペクトルのピークを、In原子のL殻への電子遷移
、Ga原子のK殻への電子遷移、Zn原子のK殻への電子遷移及びO原子のK殻への電子
遷移に帰属させ、各点におけるそれぞれの原子の比率を算出する。これを試料の分析対象
領域について行うことにより、各原子の比率の分布が示されたEDXマッピングを得るこ
とができる。
【0284】
図18には、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料の
断面におけるEDXマッピングを示す。図18(A)は、Ga原子のEDXマッピング(
全原子に対するGa原子の比率は1.18乃至18.64[atomic%]の範囲とす
る)である。図18(B)は、In原子のEDXマッピング(全原子に対するIn原子の
比率は9.28乃至33.74[atomic%]の範囲とする)である。図18(C)
は、Zn原子のEDXマッピング(全原子に対するZn原子の比率は6.69乃至24.
99[atomic%]の範囲とする)である。また、図18(A)、図18(B)、お
よび図18(C)は、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製し
た試料の断面において、同範囲の領域を示している。なお、EDXマッピングは、範囲に
おける、測定元素が多いほど明るくなり、測定元素が少ないほど暗くなるように、明暗で
元素の割合を示している。また、図18に示すEDXマッピングの倍率は720万倍であ
る。
【0285】
図18(A)、図18(B)、および図18(C)に示すEDXマッピングでは、画像に
相対的な明暗の分布が見られ、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%
で作製した試料において、各原子が分布を持って存在している様子が確認できる。ここで
図18(A)、図18(B)、および図18(C)に示す実線で囲む範囲と破線で囲む
範囲に注目する。
【0286】
図18(A)では、実線で囲む範囲は、相対的に暗い領域を多く含み、破線で囲む範囲は
、相対的に明るい領域を多く含む。また、図18(B)では実線で囲む範囲は、相対的に
明るい領域を多く含み、破線で囲む範囲は、相対的に暗い領域を多く含む。
【0287】
つまり、実線で囲む範囲はIn原子が相対的に多い領域であり、破線で囲む範囲はIn原
子が相対的に少ない領域である。ここで、図18(C)では、実線で囲む範囲において、
右側は相対的に明るい領域であり、左側は相対的に暗い領域である。従って、実線で囲む
範囲は、InX2ZnY2Z2、またはInOX1などが主成分である領域である。
【0288】
また、実線で囲む範囲はGa原子が相対的に少ない領域であり、破線で囲む範囲はGa原
子が相対的に多い領域である。図18(C)では、破線で囲む範囲において、左上の領域
は、相対的に明るい領域であり、右下側の領域は、相対的に暗い領域である。従って、破
線で囲む範囲は、GaOX3、またはGaX4ZnY4Z4などが主成分である領域で
ある。
【0289】
また、図18(A)、図18(B)、および図18(C)より、In原子の分布は、Ga
原子よりも、比較的、均一に分布しており、InOX1が主成分である領域は、InX2
ZnY2Z2が主成分となる領域を介して、互いに繋がって形成されているように見え
る。このように、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域は、ク
ラウド状に広がって形成されている。
【0290】
このように、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、またはI
nOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有するIn-Ga-Zn
酸化物を、CAC-OSと呼称することができる。
【0291】
また、CAC-OSにおける結晶構造は、nc構造を有する。CAC-OSが有するnc
構造は、電子線回折像において、単結晶、多結晶、またはCAAC構造を含むIGZOに
起因する輝点(スポット)以外にも、数か所以上の輝点(スポット)を有する。または、
数か所以上の輝点(スポット)に加え、リング状に輝度の高い領域が現れるとして結晶構
造が定義される。
【0292】
また、図18(A)、図18(B)、および図18(C)より、GaOX3などが主成分
である領域、及びInX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域のサイ
ズは、0.5nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下で観察される。なお、
好ましくは、EDXマッピングにおいて、各元素が主成分である領域の径は、1nm以上
2nm以下とする。
【0293】
以上より、CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造で
あり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3など
が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域
と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0294】
ここで、InX2ZnY2Z2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3
などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2Zn
Z2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化
物半導体としての導電性が発現する。従って、InX2ZnY2Z2、またはInO
が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果
移動度(μ)が実現できる。
【0295】
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2Z2、またはInO
が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが
主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なス
イッチング動作を実現できる。
【0296】
従って、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、
InX2ZnY2Z2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用するこ
とにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することが
できる。
【0297】
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC-OSは、デ
ィスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0298】
また、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタは電界効果移動度が高く、且つ駆動
能力が高いので、該トランジスタを、駆動回路、代表的にはゲート信号を生成するゲート
ドライバに用いることで、額縁幅の狭い(狭額縁ともいう)表示装置を提供することがで
きる。また、該トランジスタを、表示装置が有する信号線からの信号の供給を行うソース
ドライバ(とくに、ソースドライバが有するシフトレジスタの出力端子に接続されるデマ
ルチプレクサ)に用いることで、表示装置に接続される配線数が少ない表示装置を提供す
ることができる。
【0299】
また、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタは低温ポリシリコンを用いたトラン
ジスタのように、レーザ結晶化工程が不要である。このため、大面積基板を用いた表示装
置であっても、製造コストを低減することが可能である。さらに、ウルトラハイビジョン
(「4K解像度」、「4K2K」、「4K」)、スーパーハイビジョン(「8K解像度」
、「8K4K」、「8K」)のように高解像度であり、且つ大型の表示装置において、半
導体層にCAC-OSを有するトランジスタを駆動回路及び表示部に用いることで、短時
間での書き込みが可能であり、表示不良を低減することが可能であり好ましい。
【0300】
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体にシリコンを用いてもよい。シリコ
ンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリコンを用いる
ことが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどを用い
ることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、
且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
【0301】
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるため
好ましい。またこのときアモルファスシリコンを用いることで、多結晶シリコンよりも低
温で形成できるため、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐熱
性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例えば
、極めて大面積のガラス基板などを好適に用いることができる。一方、トップゲート型の
トランジスタは、自己整合的に不純物領域を形成しやすいため、特性のばらつきなどを低
減することができるため好ましい。このとき特に、多結晶シリコンや単結晶シリコンなど
を用いる場合に適している。
【0302】
<導電層>
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線およ
び電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム
、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタン
グステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの材
料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含
むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タング
ステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金
膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜
上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミニ
ウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層
構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅
膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等
がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。また
、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい。
【0303】
また、透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、イン
ジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグ
ラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タン
グステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、またはチタンなどの金
属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化
物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれ
らの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすればよい。また、上記材料
の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジ
ウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。こ
れらは、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層や、表示素子が有する導電
層(画素電極や共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0304】
<絶縁層>
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹
脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリ
コン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0305】
また、発光素子は、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。こ
れにより、発光素子に水等の不純物が侵入することを抑制でき、装置の信頼性の低下を抑
制できる。
【0306】
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含
む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸
化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0307】
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10-5[g/(m・day)]
以下、好ましくは1×10-6[g/(m・day)]以下、より好ましくは1×10
-7[g/(m・day)]以下、さらに好ましくは1×10-8[g/(m・da
y)]以下とする。
【0308】
<液晶素子>
液晶素子としては、例えば垂直配向(VA:Vertical Alignment)モ
ードが適用された液晶素子を用いることができる。垂直配向モードとしては、MVA(M
ulti-Domain Vertical Alignment)モード、PVA(P
atterned Vertical Alignment)モード、ASV(Adva
nced Super View)モードなどを用いることができる。
【0309】
また、液晶素子には、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例えば
VAモードのほかに、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In-
Plane-Switching)モード、FFS(Fringe Field Swi
tching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned
Micro-cell)モード、OCB(Optically Compensate
d Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Li
quid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric
Liquid Crystal)モード、ECB(Electrically Cont
rolled Birefringence)モード、ゲストホストモード等が適用され
た液晶素子を用いることができる。
【0310】
なお、液晶素子は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子
である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電
界または斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子に用いる液晶とし
ては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:
Polymer Dispersed Liquid Crystal)、高分子ネット
ワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Cryst
al)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、
条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック
相、等方相等を示す。
【0311】
また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく、
適用するモードや設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
【0312】
また、液晶の配向を制御するため、配向膜を設けることができる。なお、横電界方式を採
用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の
一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移
する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲
を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。
ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性
である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、配向処理が不要
であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要
となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製
工程中の表示装置の不良や破損を軽減することができる。
【0313】
また、液晶素子として、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、または半透過型の液晶素
子などを用いることができる。
【0314】
本発明の一態様では、特に反射型の液晶素子を用いることができる。
【0315】
透過型または半透過型の液晶素子を用いる場合、一対の基板を挟むように、2つの偏光板
を設ける。また偏光板よりも外側に、バックライトを設ける。バックライトとしては、直
下型のバックライトであってもよいし、エッジライト型のバックライトであってもよい。
LED(Light Emitting Diode)を備える直下型のバックライトを
用いると、ローカルディミングが容易となり、コントラストを高めることができるため好
ましい。また、エッジライト型のバックライトを用いると、バックライトを含めたモジュ
ールの厚さを低減できるため好ましい。
【0316】
反射型の液晶素子を用いる場合には、表示面側に偏光板を設ける。またこれとは別に、表
示面側に光拡散板を配置すると、視認性を向上させられるため好ましい。
【0317】
また、反射型、または半透過型の液晶素子を用いる場合、偏光板よりも外側に、フロント
ライトを設けてもよい。フロントライトとしては、エッジライト型のフロントライトを用
いることが好ましい。LED(Light Emitting Diode)を備えるフ
ロントライトを用いると、消費電力を低減できるため好ましい。
【0318】
<発光素子>
発光素子としては、自発光が可能な素子を用いることができ、電流または電圧によって輝
度が制御される素子をその範疇に含んでいる。例えば、LED、有機EL素子、無機EL
素子等を用いることができる。
【0319】
発光素子は、トップエミッション型、ボトムエミッション型、デュアルエミッション型な
どがある。光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取
り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0320】
EL層は少なくとも発光層を有する。EL層は、発光層以外の層として、正孔注入性の高
い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性
の高い物質、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性および正孔輸送性が高い物質)等を
含む層をさらに有していてもよい。
【0321】
EL層には低分子系化合物および高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合
物を含んでいてもよい。EL層を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)
、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0322】
陰極と陽極の間に、発光素子の閾値電圧より高い電圧を印加すると、EL層に陽極側から
正孔が注入され、陰極側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において
再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
【0323】
発光素子として、白色発光の発光素子を適用する場合には、EL層に2種類以上の発光
物質を含む構成とすることが好ましい。例えば2以上の発光物質の各々の発光が補色の関
係となるように、発光物質を選択することにより白色発光を得ることができる。例えば、
それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、O(橙)等の発光を示す発光物質、
またはR、G、Bのうち2以上の色のスペクトル成分を含む発光を示す発光物質のうち、
2以上を含むことが好ましい。また、発光素子からの発光のスペクトルが、可視光領域の
波長(例えば350nm乃至750nm)の範囲内に2以上のピークを有する発光素子を
適用することが好ましい。また、黄色の波長領域にピークを有する材料の発光スペクトル
は、緑色および赤色の波長領域にもスペクトル成分を有する材料であることが好ましい。
【0324】
EL層は、一の色を発光する発光材料を含む発光層と、他の色を発光する発光材料を含む
発光層とが積層された構成とすることが好ましい。例えば、EL層における複数の発光層
は、互いに接して積層されていてもよいし、いずれの発光材料も含まない領域を介して積
層されていてもよい。例えば、蛍光発光層と燐光発光層との間に、当該蛍光発光層または
燐光発光層と同一の材料(例えばホスト材料、アシスト材料)を含み、且ついずれの発光
材料も含まない領域を設ける構成としてもよい。これにより、発光素子の作製が容易にな
り、また、駆動電圧が低減される。
【0325】
また、発光素子は、EL層を1つ有するシングル素子であってもよいし、複数のEL層が
電荷発生層を介して積層されたタンデム素子であってもよい。
【0326】
可視光を透過する導電膜は、例えば、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム
亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などを用いて形成することができる
。また、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、
鉄、コバルト、銅、パラジウム、もしくはチタン等の金属材料、これら金属材料を含む合
金、またはこれら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等も、透光性を有する程度に
薄く形成することで用いることができる。また、上記材料の積層膜を導電層として用いる
ことができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜などを用
いると、導電性を高めることができるため好ましい。また、グラフェン等を用いてもよい
【0327】
可視光を反射する導電膜は、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングス
テン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、もしくはパラジウム等の金属材料、また
はこれら金属材料を含む合金を用いることができる。また、上記金属材料や合金に、ラン
タン、ネオジム、またはゲルマニウム等が添加されていてもよい。また、チタン、ニッケ
ル、またはネオジムと、アルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)を用いてもよい。
また銅、パラジウム、マグネシウムと、銀を含む合金を用いてもよい。銀と銅を含む合金
は、耐熱性が高いため好ましい。さらに、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜に接
して金属膜または金属酸化物膜を積層することで、酸化を抑制することができる。このよ
うな金属膜、金属酸化物膜の材料としては、チタンや酸化チタンなどが挙げられる。また
、上記可視光を透過する導電膜と金属材料からなる膜とを積層してもよい。例えば、銀と
インジウム錫酸化物の積層膜、銀とマグネシウムの合金とインジウム錫酸化物の積層膜な
どを用いることができる。
【0328】
電極は、それぞれ、蒸着法やスパッタリング法を用いて形成すればよい。そのほか、イン
クジェット法などの吐出法、スクリーン印刷法などの印刷法、またはメッキ法を用いて形
成することができる。
【0329】
なお、上述した、発光層、ならびに正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子
輸送性の高い物質、および電子注入性の高い物質、バイポーラ性の物質等を含む層は、そ
れぞれ量子ドットなどの無機化合物や、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリ
マー等)を有していてもよい。例えば、量子ドットを発光層に用いることで、発光材料と
して機能させることもできる。
【0330】
なお、量子ドット材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コ
ア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料などを用いることができる。また、
12族と16族、13族と15族、または14族と16族の元素グループを含む材料を用
いてもよい。または、カドミウム、セレン、亜鉛、硫黄、リン、インジウム、テルル、鉛
、ガリウム、ヒ素、アルミニウム等の元素を含む量子ドット材料を用いてもよい。
【0331】
<接着層>
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤
、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエ
ポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド
樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EV
A(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が
低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用
いてもよい。
【0332】
また、上記樹脂に乾燥剤を含んでいてもよい。例えば、アルカリ土類金属の酸化物(酸化
カルシウムや酸化バリウム等)のように、化学吸着によって水分を吸着する物質を用いる
ことができる。または、ゼオライトやシリカゲル等のように、物理吸着によって水分を吸
着する物質を用いてもよい。乾燥剤が含まれていると、水分などの不純物が素子に侵入す
ることを抑制でき、表示ユニットの信頼性が向上するため好ましい。
【0333】
また、上記樹脂に屈折率の高いフィラーや光散乱部材を混合することにより、光取り出し
効率を向上させることができる。例えば、酸化チタン、酸化バリウム、ゼオライト、ジル
コニウム等を用いることができる。
【0334】
<接続層>
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Condu
ctive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic C
onductive Paste)などを用いることができる。
【0335】
<着色層>
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含ま
れた樹脂材料などが挙げられる。
【0336】
<遮光層>
遮光層として用いることのできる材料としては、カーボンブラック、チタンブラック、金
属、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。遮光層は
、樹脂材料を含む膜であってもよいし、金属などの無機材料の薄膜であってもよい。また
、遮光層に、着色層の材料を含む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の光
を透過する着色層に用いる材料を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料を
含む膜との積層構造を用いることができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで、
装置を共通化できるほか工程を簡略化できるため好ましい。
【0337】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み
合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0338】
a1 黒点
a2 黒点
a3 黒点
a4 黒点
a5 黒点
b1 黒点
b2 黒点
b3 黒点
b4 黒点
b5 黒点
B1 ノード
B2 ノード
CS1 容量素子
CS2 容量素子
CS3 容量素子
CS4 容量素子
CW1 容量素子
LDA1 信号
LDA2 信号
LDB1 信号
LDB2 信号
M11 トランジスタ
M13 トランジスタ
M14 トランジスタ
M16 トランジスタ
M21 トランジスタ
M23 トランジスタ
M24 トランジスタ
M26 トランジスタ
MW1 トランジスタ
N1 ノード
N2 ノード
NB1 ノード
SCIN1 ノード
SCIN2 ノード
SCK1 スキャンクロック信号
SCK2 スキャンクロック信号
SCOT1 ノード
SCOT2 ノード
SDI1 ノード
SDI2 ノード
SDO1 ノード
SDO2 ノード
SN1 ノード
SN2 ノード
SN3 ノード
SN4 ノード
SVA1 信号
SVA2 信号
SVB1 信号
SVB2 信号
10 画素
10a 反射素子
10b 発光素子
30 ラッチ回路
31 MUX
40 セレクタ
41 フリップフロップ回路
42 保持回路
43 メモリ回路
44 メモリ回路
45 セレクタ
46 フリップフロップ回路
47 保持回路
48 メモリ回路
49 メモリ回路
50 接着層
100 表示装置
110 表示ユニット
111 画素アレイ
113 ゲートドライバ
114 ゲートドライバ
115 コントローラIC
117 コントローラIC
118 絶縁層
120 タッチセンサユニット
121 センサアレイ
125 周辺回路
126 TSドライバ
127 センス回路
130 偏光板
133a 配向膜
133b 配向膜
134 着色層
135 着色層
136 遮光層
140 ホスト
143a 光センサ
143c 光センサ
144a 光センサ
144c 光センサ
145 光
146 角度センサ
150 インターフェース
151 フレームメモリ
152 デコーダ
153 センサコントローラ
154 コントローラ
155 クロック生成回路
160 画像処理部
161 ガンマ補正回路
162 調光回路
163 調色回路
164 EL補正回路
168 接着層
169 接着層
170 メモリ
173 タイミングコントローラ
175 レジスタ
180 ソースドライバ
181 ソースドライバ
182 ソースドライバ
184 タッチセンサコントローラ
186 ソースドライバIC
190 領域
191 領域
192 EL層
193a 導電層
193b 導電層
199 導電層
200kV 加速電圧
201 トランジスタ
201a トランジスタ
201b トランジスタ
204 接続部
205 トランジスタ
206 トランジスタ
207 接続部
208 トランジスタ
211 絶縁層
212 絶縁層
213 絶縁層
214 絶縁層
215 絶縁層
216 絶縁層
217 絶縁層
218 絶縁層
220 絶縁層
221 導電層
222 導電層
223 導電層
224 導電層
230 レジスタ部
231 スキャンチェーンレジスタ部
232 スキャンチェーンレジスタ部
235 レジスタ
236 レジスタ
237 レジスタ
239 半導体層
242 接続層
243 接続体
251 開口
252 接続部
300a 表示ユニット
300b 表示ユニット
311a 導電層
311b 導電層
312 液晶
313 導電層
340 液晶素子
351 基板
360 発光素子
361 基板
362 表示部
362a 表示部
362b 表示部
364 回路
364a 回路
364b 回路
372 FPC
900 電子機器
901a 筐体
901b 筐体
902 表示部
903 ヒンジ
904 線
905a 表示領域
905b 表示領域
1405 コントローラ
1410 行回路
1411 デコーダ
1412 ワード線ドライバ回路
1413 列セレクタ
1414 センスアンプドライバ回路
1415 列回路
1416 グローバルセンスアンプアレイ
1417 入出力回路
1420 MC-SAアレイ
1422 メモリセルアレイ
1423 センスアンプアレイ
1425 ローカルメモリセルアレイ
1426 ローカルセンスアンプアレイ
1444 スイッチアレイ
1445 メモリセル
1446 センスアンプ
1447 グローバルセンスアンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18