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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143906
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】組織クリッピング装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/128 20060101AFI20230928BHJP
   A61B 17/122 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A61B17/128
A61B17/122
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023111327
(22)【出願日】2023-07-06
(62)【分割の表示】P 2021571299の分割
【原出願日】2020-07-07
(31)【優先権主張番号】62/879,874
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】サエンス ビラロボス、ゴンサロ ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ソラーノ モンテネグロ、エステバン
(57)【要約】
【課題】横断方向のアプローチを介して適用される手術に関連する困難さ及び/又はリスクを軽減する。
【解決手段】装置は、使用中に標的部位に挿入される遠位端から、生体の外側に残る近位端まで延びる可撓性の挿入セクションと、挿入セクションの遠位端に結合されたエンドエフェクタと、挿入セクション内に受け入れられ、且つアクチュエータに結合された近位端から、エンドエフェクタに結合された遠位端まで延びる制御ワイヤとを含む。制御ワイヤは、エンドエフェクタを動作させるために挿入セクション内で移動可能である。制御ワイヤ及び挿入セクションは、静止状態において、制御ワイヤ及び挿入セクションが、選択された曲げ半径で予め定められた円弧を通って屈曲するように構成される、その遠位部分における屈曲部を含む。制御ワイヤの遠位部分は、制御ワイヤの塑性変形することなく、挿入装置の作業チャネル内に入り且つそれを通過する。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を処置するための装置であって、
可撓性の挿入セクションを備え、該挿入セクションは、使用中に生体内の標的部位に挿入される遠位端から、使用中に前記生体の外側に残る近位端まで延び、
前記挿入セクションの遠位端に結合されたエンドエフェクタを備え、
前記挿入セクション内に受け入れられるとともにアクチュエータに結合された近位端から延びる制御ワイヤを備え、前記制御ワイヤは、当該制御ワイヤの遠位部分に屈曲部を含み、該屈曲部は、静止状態において、当該制御ワイヤ及び前記挿入セクションが、選択された曲げ半径で予め定められた円弧を通って屈曲するように構成され、前記制御ワイヤの遠位部分は、前記制御ワイヤが塑性変形することなく、挿入装置の作業チャネル内に入り且つそれを通過するように構成される、装置。
【請求項2】
前記挿入セクションはブッシングを含み、前記ブッシングの遠位端は前記エンドエフェクタに結合され、前記エンドエフェクタは組織クリッピング装置である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記組織クリッピング装置は、前記制御ワイヤの遠位端に結合された摺動可能要素を含み、前記摺動可能要素は、前記組織クリッピング装置の組織把持アームに結合され、それにより、前記制御ワイヤが前記挿入セクション内で近位側及び遠位側に移動されるとき、前記摺動可能要素は、前記組織クリッピング装置のカプセル内で近位側及び遠位側に摺動して、前記組織把持アームを前記カプセルの内外に移動させる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記摺動可能要素の近位部分は、その半径方向外側部分に当接面を含み、該当接面は、前記摺動可能要素の前記近位部分が前記カプセルから出て前記ブッシング内に入るように近位側に引かれるときに係合するような大きさに設定されており、前記摺動可能要素の前記半径方向外側部分は、前記ブッシングの係止構造を前記カプセルの対応する係止構造から係合解除して前記カプセルを前記ブッシングから分離するように半径方向外向きに前記ブッシングの一部を押す、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記制御ワイヤにおける前記屈曲部は、静止状態において、前記挿入セクションが90度の円弧を通って屈曲するように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御ワイヤにおける前記屈曲部は、静止状態において、前記挿入セクションが45度の円弧を通って屈曲するように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記摺動可能要素の遠位部分は、対向する方向付けフィンガをさらに備え、前記方向付けフィンガの各々は、前記組織把持アームの所望の向きを維持するために、前記組織把持アームの1つの近位部の開口を通過するような大きさ及び形状に設定される、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記組織把持アーム上に拡大されたセクション及び近位側当接面をさらに備え、前記拡大されたセクション及び前記近位側当接面は、前記組織把持アームが前記カプセル内に近位側に引かれ得る最大範囲を画定する、請求項3に記載の装置。
【請求項9】
前記ブッシングは、カプラを介して前記組織クリッピング装置のカプセルに結合され、前記カプラは前記カプラの円周の周りに配設された複数のアームを含み、前記アームの各々は、前記ブッシングを前記カプラに結合するために前記ブッシングの係止壁に係合するような大きさ及び形状に設定された凹部を含み、前記凹部の各々は、前記ブッシングの前記係止壁に係合する近位面及び遠位面を含み、前記近位面及び遠位面のうちの第1のものは、傾斜部を形成し、該傾斜部は当該傾斜部が接触する前記係止壁の表面に対して角度が付けられ、前記傾斜部は、予め定められた圧縮が前記ブッシングと前記カプラとの間にかけられた場合に、前記傾斜部が前記係止壁にわたって摺動し、且つ前記係止壁から係合解除して前記カプラ及び前記カプセルを前記ブッシングから分離するように方向付けられる、請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記ブッシングは、前記カプセルの一部に被さって遠位側に延びる第1及び第2のアームを含み、前記第1及び第2のアームの各々は、前記カプセルの外壁に形成された対応する受部内に延びるピンを含み、前記ピンは、前記ブッシングに対する前記カプセルの相対回動を可能にする揺動接続部を形成する、請求項4に記載の装置。
【請求項11】
前記摺動可能要素は、破断可能なリンクによって引張部材に結合されたヨークを含む、請求項3に記載の装置。
【請求項12】
前記屈曲部の近位端に第1の穴をさらに備え、
前記エンドエフェクタの近位端に第2の穴をさらに備え、
使用中に使用者がアクセス可能なアクチュエータに結合された近位端から前記エンドエフェクタに結合された遠位端まで延びる作動コードをさらに備え、該作動コードは、前記挿入セクションを通過し、前記第1の穴を出て、前記第2の穴に入り、且つ前記屈曲部の遠位側である前記装置の部分に結合する、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
組織を処置するためのシステムであって、
挿入装置を備え、該挿入装置は、ポートと、カメラと、長手方向軸に沿ってそれを通して延びる作業チャネルとを含み、
組織処置装置を備え、前記組織処置装置は、
使用中に生体内の標的部位に挿入される遠位端から、使用中に前記生体の外側に残る近位端まで延びる可撓性の挿入セクションと、
前記挿入セクションの遠位端に結合されたエンドエフェクタと、
前記挿入セクション内に受け入れられ、且つアクチュエータに結合された近位端から延びる制御ワイヤと、を備え、
前記制御ワイヤは、当該制御ワイヤの遠位部分に屈曲部を含み、該屈曲部は、静止状態において、当該制御ワイヤ及び前記挿入セクションが選択された曲げ半径で予め定められた円弧を通って屈曲するように構成され、前記制御ワイヤの遠位部分は、前記制御ワイヤが塑性変形することなく、前記挿入装置の前記作業チャネル内に入り且それを通過するように構成される、システム。
【請求項14】
前記制御ワイヤ及び前記挿入セクションの各々の前記屈曲部を変化させる、前記挿入装置の遠位端にエレベータをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記挿入装置の前記カメラは、前記挿入装置の前記長手方向軸に対して直角に向けられ、前記長手方向軸から離れて半径方向に延びる略円錐の体積において表示領域を作る、請求項13又は14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、挿入装置を介してアクセスされる、自然発生の体管腔内の組織を処置するための装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消化管内深部の低侵襲処置は、一層広まっているが、これまでに完全には対処されていない浮き彫りになった潜在的問題も有する。例えば、ECRP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)などの手術において、これら及び同様の手術は、装置の長手方向軸に対して直角に延びる解剖学的構造を観察及び処置するように特別に構成された十二指腸内視鏡などの挿入器具により、最良に目的が果たされることが多いため、現在利用可能なクリップの特性は、多くの場合に問題を含む。すなわち、多くの手術について、医師は、それに沿って装置が延びる軸に対して直角な視野を備えた光学レンズを含み、且つ同様に横断軸に沿った処置装置の挿入のためのポートを含む十二指腸内視鏡を好み得る。しかしながら、多くの処置装置(例えば、止血クリップ)は、挿入装置の長手方向軸に沿った用途に最も良く適しており、且つそれらの処置装置が横断方向のアプローチを介して適用される手術に関連する困難さ及び/又はリスクを増加させ得る。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、組織を処置するための装置に関する。装置は、使用中に生体内の標的部位に挿入される遠位端から、使用中に生体の外側に残る近位端まで延びる可撓性の挿入セクションと、挿入セクションの遠位端に結合されたエンドエフェクタと、挿入セクション内に受け入れられ、且つ使用中に使用者がアクセス可能なままである、アクチュエータに結合された近位端から、エンドエフェクタに結合された遠位端まで延びる制御ワイヤとを備え得る。制御ワイヤは、エンドエフェクタを動作させるために挿入セクション内で移動可能であり、制御ワイヤ及び挿入セクションは、その遠位部分における屈曲部を含み、該屈曲部は、静止状態において、制御ワイヤ及び挿入セクションが、選択された曲げ半径で予め定められた円弧を通って屈曲するように構成される。制御ワイヤの遠位部分は、制御ワイヤの塑性変形することなく、挿入装置の作業チャネルに入り且つそれを通過するように構成される。
【0004】
実施態様において、挿入セクションは、ブッシングを含み、ブッシングの遠位端は、エンドエフェクタに結合され、エンドエフェクタは、組織クリッピング装置である。
実施態様において、クリッピング装置は、制御ワイヤの遠位端に結合された摺動可能要素を含み、摺動可能要素は、組織クリッピング装置の組織把持アームに結合され、それにより、制御ワイヤが挿入セクション内で近位側及び遠位側に移動されるとき、摺動可能要素は、組織クリッピング装置のカプセル内で近位側及び遠位側に摺動して、アームをカプセル内に且つそれから移動させる。
【0005】
実施態様において、摺動可能要素の近位部分は、その半径方向外側部分における当接面を含み、該当接面は、摺動可能要素の近位部分がカプセルから出てブッシング内に入るように近位側に引かれるときに係合するような大きさに設定されており、摺動可能要素の半径方向外側部分は、ブッシングの係止構造をカプセルの対応する係止構造から係合解除してカプセルをブッシングから分離するように半径方向外向きにブッシングの一部を押す。
【0006】
実施態様において、制御ワイヤにおける屈曲部は、静止状態において、挿入セクションが約90度の円弧を通って屈曲するように構成される。
実施態様において、制御ワイヤにおける屈曲部は、静止状態において、挿入セクションが約45度の円弧を通って屈曲するように構成される。
【0007】
実施態様において、摺動可能要素の遠位部分は、対向する方向付けフィンガをさらに備え、方向付けフィンガの各々は、アームの所望の向きを維持するために、アームの1つにおける対応する開口を通過するような大きさ及び形状に設定される。
【0008】
実施態様において、装置は、アームがカプセル内に近位側に引かれ得る最大範囲を画定する、アーム上の拡大されたセクション及び近位側当接面をさらに含む。
実施態様において、ブッシングは、カプラを介して組織クリッピング装置のカプセルに結合され、カプラは、カプラの円周の周りに配設された複数のアームを含み、アームの各々は、ブッシングをカプラに結合するためにブッシングの係止壁に係合するような大きさ及び形状に設定された凹部を含み、凹部の各々は、ブッシングの係止壁に係合する近位面及び遠位面を含み、近位面及び遠位面のうちの第1のものは、傾斜部を形成し、該傾斜部は、当該傾斜部が接触する係止壁の表面に対して角度が付けられ、傾斜部は、予め定められた圧縮がブッシングとカプラとの間にかけられた場合に、傾斜部が、カプラ及びカプセルをブッシングから分離するために、係止壁にわたって摺動し、且つ係止壁から係合解除するように方向付けられる。
【0009】
実施態様において、ブッシングは、カプセルの一部に被さって遠位側に延びる第1及び第2のアームを含み、アームの各々は、カプセルの外壁に形成された対応する受部内に延びるピンを含み、ピンは、ブッシングに対するカプセルの相対回動を可能にする揺動接続部を形成する。
【0010】
実施態様において、摺動可能要素は、壊れやすいリンクを介して互いに結合されたヨーク及び引張部材を含む。
実施態様において、装置は、屈曲部の近位端に第1の穴をさらに備え、エンドエフェクタの近位端に第2の穴をさらに備え、使用中に使用者がアクセス可能なアクチュエータに結合された近位端からエンドエフェクタに結合された遠位端まで延びる作動コードをさらに備え、該作動コードは、挿入セクションを通過し、第1の穴を出て、第2の穴に入り、且つ屈曲部の遠位側である装置の部分に結合する。
【0011】
本発明は、組織を処置するためのシステムにも関する。システムは、ポートと、カメラと、長手方向軸に沿ってそれを通して延びる作業チャネルとを含む挿入装置と、組織処置装置とを備え得る。組織処置装置は、使用中に生体内の標的部位に挿入される遠位端から、使用中に生体の外側に残る近位端まで延びる可撓性の挿入セクションと、挿入セクションの遠位端に結合されたエンドエフェクタと、挿入セクション内に受け入れられ、且つアクチュエータに結合された近位端から延びる制御ワイヤとを含み、制御ワイヤ及び挿入セクションは、その遠位部分における屈曲部を含み、該屈曲部は、静止状態において、制御ワイヤ及び挿入セクションが選択された曲げ半径で予め定められた円弧を通って屈曲する構成され、制御ワイヤの遠位部分は、制御ワイヤの塑性変形することなく、挿入装置の作業チャネル内に入り且つそれを通過するように構成され得る。
【0012】
実施態様において、システムは、制御ワイヤ及び挿入セクションの各々の屈曲部を変化させる、挿入装置の遠位端にエレベータをさらに含む。
実施態様において、挿入装置のカメラは、挿入装置の軸に対して直角に向けられ、長手方向軸から離れて半径方向に延びる略円錐の体積において表示領域を作る。
【0013】
加えて、本発明は、組織を処置するための方法に関する。方法は、挿入装置の作業チャネル内に、使用中に生体内の標的部位に挿入される遠位端から、使用中に生体の外側に残る近位端まで延びる可撓性の挿入セクションを挿入することと、挿入装置を生体における標的位置に挿入することと、挿入セクションの遠位端に結合されたエンドエフェクタがポートを介して挿入装置を出るまで、挿入セクションを、挿入装置の作業チャネルを通して前進させることであって、挿入装置の作業チャネルは、挿入装置の長手方向軸に概ね平行に延び、ポートは、長手方向軸に対して概ね直角に延び、挿入セクションを通して延びる制御ワイヤは、その遠位部分において屈曲部を含み、制御ワイヤにおける屈曲部は、静止状態において、制御ワイヤが、作業チャネルからポートに、移行部の円弧に概ね対応する円弧を通って挿入セクションを屈曲させるように構成される、前進させることとを含み得る。
【0014】
実施態様において、挿入装置は、十二指腸内視鏡であり、及びエンドエフェクタは、組織クリッピング装置である。
実施態様において、方法は、組織クリッピング装置がポートを通して出るとき、挿入セクションの遠位部分が概ね静止状態であるように挿入セクションを位置付け且つ方向付けることをさらに含む。
【0015】
実施態様において、組織クリッピング装置は、その近位端に直径方向に対向するピンを含み、組織クリッピング装置を、ピンを中心として横方向に回転させるために制御ワイヤを作動させることをさらに含む。
【0016】
実施態様において、挿入セクションは、近位端から遠位端まで延び、挿入セクションを通過し、屈曲部の近位端の第1の穴を出て、組織クリッピング装置の近位端で第2の穴に入り、且つ組織クリッピング装置に結合する作動コードを含み、作動コードが組織クリッピング装置を所望の形状に屈曲させるまで作動コードの近位端を引き寄せることをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】第1の実施形態によるクリップ組立体を示す。
図1B図1のクリップの部分断面図の近接撮影を示す。
図2】十二指腸内視鏡から展開された図1のクリップ組立体を示す。
図3】十二指腸内視鏡のエレベータを使用して調整された位置で展開された図1のクリップ組立体を示す。
図4】さらなる実施形態によるクリップ組立体の断面図を示す。
図5】クリップと可撓性の挿入セクションとの間のカップリングの実施形態を示す。
図6】クリップと可撓性の挿入セクションとの間のカップリングの第2の実施形態を示す。
図7A図6のカップリングを含むクリップ組立体を第1の構成において示す。
図7B図7Aのクリップ組立体を第2の構成において示す。
図8】さらなる実施形態によるクリップ組立体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、以下の説明及び添付図面をしてさらに理解され得、同様の要素に同じ参照符号が付され得る。本発明は、十二指腸内視鏡などの挿入器具の長手方向軸に対して直角に組織を処置するための装置及び方法を対象とする。より具体的には、本発明の実施形態は、挿入装置の長手方向軸に対して横方向にオフセットされた位置において組織を挟持するための装置を対象とする。近位及び遠位という用語は、本明細書で使用されるとき、装置の使用者に向かう(近位)及び装置の使用者から離れる(遠位)方向を指すことに留意されたい。
【0019】
本明細書において説明される実施形態は、十二指腸内視鏡を介した消化管の処置のために特別に構成されるが、当業者は、本明細書において説明される実施形態が、十二指腸内視鏡における横方向に方向付けられたポートを介してアプローチされるか、又は標準的な内視鏡における長手方向ポートを通してアプローチされるかによらず、乳頭(内部胆管の丸い形の開口)を閉鎖するため及び届きにくい位置における組織欠陥を処置するためにも用いられ得ることを理解する。例えば、十二指腸内視鏡は、縫合が必要とされ得る胃の一部の切除のために使用されることが多い。追加的に、屈曲が90度ほど鋭くない、例えば屈曲が45度である実施形態は、欠陥の位置が扱いにくく、標準的な内視鏡を用いることができないシナリオにおいて前方視スコープのために使用され得る。
【0020】
図1図3に示される通り、本例における本発明の一実施形態による処置装置10は、十二指腸内視鏡12を通して挿入されるクリッピング装置である。装置10は、可撓性の挿入セクション14を含み、該可撓性の挿入セクション14は、この実施形態において近位端(図示せず)からブッシング18に結合された遠位端16に延びる管状コイルとして形成される。ブッシング18は、カプセル24内に摺動可能に受け入れられるクリップアーム22の対を含むクリップ20に解放可能に結合される。制御ワイヤ26は、近位アクチュエータ(図示せず)から延び、該近位アクチュエータは、使用中、十二指腸内視鏡の近位端の外側で身体の外側の使用者がアクセス可能なままである。制御ワイヤ26は、ブッシング18を通してカプセル24内に通り、クリップ20に結合され、それによって、挿入セクション14を通した制御ワイヤ26の近位側及び遠位側の移動がクリップアーム22をカプセル24に対して相対的に近位側及び遠位側に移動させる。
【0021】
挿入セクション14及び制御ワイヤ26を別として、この実施形態のクリップ20は、任意の既知の方法で構築され得る。従って、クリップ20の内部構造の特定の構造及びクリップ20とブッシング18との間の接続は、例示的なものに過ぎない。本例において、制御ワイヤ26は、拡大された遠位チップ28を含み、該遠位チップ28は、ヨーク32に対応する形状にされたキャビティ30内に受け入れられ、該ヨーク32は、カプセル24内に摺動可能に受け入れられる。ヨーク32は、対向するアーム34を含み、該アーム34は引張部材38の近位側に延びるタブ36を把持する。クリップアーム22は、クリップアーム22の近位端がヨーク32に結合された状態で引張部材38の周りで屈曲される。
【0022】
当業者により理解されるであろう通り、挿入セクション14は可撓性であるが、ブッシング18の近位端からクリップアーム22の遠位端まで延びる装置10の遠位部分40は、概ね剛性である。使用者が、装置の長手方向軸に対して直角なポートであって、それを通してクリップが挿入されるポートを通してクリップを展開することを望む用途においては、この遠位部分40の剛性は既知のクリップの使用者にとって困難を引き起こし得る。すなわち、この遠位部分40の剛性及び長さは、このようなクリップが、横断ポート、例えば十二指腸内視鏡12のポート42を出ることが求められる曲げ半径の周りで屈曲されることを困難にし得る。十二指腸内視鏡12のようなスコープは、十二指腸内視鏡12の長手方向軸Lに対して直角にも向けられるため、十二指腸内視鏡12のカメラ48の表示領域46は、軸Lから半径方向に離れて延びる略円錐の体積である。ポート42を通して出る標準的なクリップは、表示領域46の外側の十二指腸内視鏡12から離れて遠位側に概ね延びることになる。当業者により理解されるであろう通り、このクリップを表示領域46内の標的組織部位に向かって向け直すことを望む使用者は、このクリップを屈曲させるためにスコープのエレベータ52を使用し得る。しかしながら、クリップにおけるこのような鋭い屈曲部を押し進めるためにエレベータ52を使用することは、クリップ及び/又は十二指腸内視鏡12にダメージを与える危険がある。
【0023】
この実施形態による装置10の制御ワイヤ26は、静止状態において、挿入セクション14が半径Rの周りで屈曲するように屈曲部50を含むように前処理される。この実施形態において、半径Rは、5~15mmの範囲であり得る。装置10がポート42を出るとき、屈曲部50が、十二指腸内視鏡12のエレベータ52に隣接した十二指腸内視鏡12の作業チャネルの一部に据えられるように、屈曲部50は、好ましくは、ブッシング18の近位側の選択された距離Dで終端する。この実施形態において、距離Dは、0~12mmの範囲であり得、組織が十二指腸内視鏡12により近くなるようにより短い距離が好ましい場合がある。この実施形態において、屈曲部50は、軸Lに対して略直角に装置10を向けるために、数十度の変動を伴って約90度、すなわち80度~100度の円弧角度αの周りに延びる。
【0024】
しかしながら、他の実施形態において、扱いにくい場所にある病変のための前方視スコープで用いられるために、円弧角度αは、異なる角度構成、例えば45度であり得る。屈曲部50は、制御ワイヤ26を予め定められた形状に屈曲させる機械的塑性変形を通して制御ワイヤ26に与えられる。制御ワイヤ26が、制御ワイヤ26を直線にする力に耐え得るとともに、その予め定められた形状に跳ね返り得るように、制御ワイヤ26は、堅い剛性の材料でできている。同様に、管状コイルは、予め定められた形状を有し、該形状は管状コイルの熱処理を通して与えられる屈曲部を含む。管状コイルも、強制的に直線の形状にされた後、その予め定められた形状に跳ね返り得る。従って、直線にする力は、制御ワイヤ26及び管状コイルに、それらを直線にするためにかけられ得るが、直線にする力が解放された後、制御ワイヤ26及び管状コイルは、それらのそれぞれの予め定められた形状に戻る。
【0025】
当業者は、この実施形態による装置10が、当初、カメラ48の表示領域46内でポート42を出るように延びるため、装置10が、図3に示されている通り、カメラ48により可視化される一方、エレベータ52が、装置10の照準を合わせるための精密な修正として使用され得ることを理解する。上で示された通り、制御ワイヤ26に屈曲部50があるこの配置構成は、十二指腸内視鏡12のポート42のような横断方向に向けられたポートを介して装置を展開することを円滑にする可撓性の挿入セクションを含む任意の既知のクリッピング装置(又は他のエンドエフェクタ)と共に用いられ得る。装置10には、抵抗が最も少ない経路に向かって移動するという自然な傾向があり、従って、装置10は、十二指腸内視鏡12を出るためのポート42と自動的に位置合わせすることができる。例示的な実施形態において、装置10が十二指腸内視鏡12を出るとき、内科医が装置10を追跡することができるように、近位側の印が内部セクション14の近位端に実装され得る。
【0026】
図4は、クリッピング装置100を示し、このクリッピング装置100は、ブッシング104に結合されたクリップ101を備え、ブッシング104の近位端は、可撓性の挿入セクション106の遠位端に結合され、可撓性の挿入セクション106を通して、制御ワイヤ108は、引張部材の機能性及び上述のクリップ20のヨークを単一の要素に組み入れるヨーク110に結合するために延びる。これは、引張部材38のタブ36を把持するヨーク32のアーム34をなくし、クリップメカニズムの対応する短縮を可能にし、これは、同様に、ヨーク110のアーム114がさらに遠位側に移動することを可能にし、クリップアームの対応する短縮を可能にする。
【0027】
当業者は、クリッピング装置100が任意の標準的な挿入セクション及び制御ワイヤと共に用いられ得るか、又は制御ワイヤ26及び挿入セクション14のための上述の通りの屈曲部50を含む制御ワイヤ/挿入セクションの組合せを含み得ることを理解する。この実施形態による装置100の操作性は、装置100の剛性部分がブッシング104の近位端から遠位側にカプセル102を通してクリップアーム112の遠位端まで延びることを可能にする、制御ワイヤ108をクリップアーム112に結合する内部メカニズムの構造によりさらに強化される。
【0028】
ヨーク110は、その中間セクションから延びるアーム114の対を含み、且つクリップアーム保持セクション116を含み、クリップアーム保持セクション116は、壊れやすいジョイント118を介して(例えば、ヨーク110と溶接されるか又は一体的に形成されることにより)ヨーク110の近位部分に結合される。該壊れやすいジョイント118は、例えば、クリップアーム保持セクション116の狭くされた又は弱くされたセクションとして形成され得る。壊れやすいジョイント118の遠位側において、クリップアーム保持セクション116は、舌状部120を含む。該舌状部120は、クリップアーム112を互いから離れるように付勢するためにクリップアーム112間で受けられ、これによって、図4に示される通り、クリップアーム112が遠位側に進んでカプセル102を出ると、クリップアーム112は組織受入構成に分かれる。この配置構成は、クリップアーム112の近位部分がクリップ20においてより短くなることも可能にし、クリップ101の全長を短くする。クリップアーム保持セクション116は、対向する方向付けフィンガ122も含む。対向する方向付けフィンガ122の各々は、クリップアーム112がカプセル102を通して近位側及び遠位側に移動するとき、クリップアーム112の所望の向きを維持するクリップアーム112の1つにおける対応する開口を通過する。
【0029】
方向付けフィンガ122は、この実施形態において、所定の寸法にも設定され、それによって、制御ワイヤ108が挿入セクション106を通して前進又は後退されるとき、クリップアーム112が近位側及び遠位側に滑らかに移動することを確実にするために、方向付けフィンガ122がカプセル102の対向する表面に概ねわたって延び、且つ摺動可能に係合する。クリップアーム112は、拡大されたセクション124と、クリップアーム112がカプセル102内に近位側に引かれ得る最大範囲を画定する近位側当接面126とを含む。すなわち、当接面126は、クリップアーム112がカプセル102内に近位側に引かれるとき、最終的に、当接面126が、開口128を囲むカプセル102の端部に接触するように、開口128の直径より大きい程度まで装置100の長手方向軸Lに対して横方向に延びる。
【0030】
クリップ101が必要に応じて標的組織を把持している状態で位置付けられている場合にクリップ101を展開するために、使用者は、当接面126がカプセル102に接触するまで、(例えば、近位ハンドル(図示せず))上のアクチュエータを作動させることにより、制御ワイヤ108を近位側に引く。使用者は、制御ワイヤ108のさらなる近位側への移動に対して抵抗を感じる。使用者は、次いで、予め定められたレベルの張力に到達して壊れやすいジョイント118が機能しなくなり、ヨーク110がカプセル102を通してクリップアーム保持セクション116から離れて近位側に引かれるまで、制御ワイヤ108に対してより多くの張力をかける。ヨーク110がクリップアーム保持セクション116から離れて近位側に移動すると、ヨークのアーム114は、クリップアーム112の近位端130から離れて移動し、クリップアーム112の近位端130を外向きに跳ねるように自由にする。それによって、クリップアーム112の近位端130のロック機構が軸Lから半径方向外向きに跳ね、カプセル102上のロック機構132に係合する。これにより、クリップアーム112の遠位端は、それらの間に位置付けられた組織を把持するために、軸Lに向かって引き合わせられ、クリップアーム112は、組織把持構成において係止される。
【0031】
加えて、ヨーク110がクリップアーム保持セクション116から分離された後、当該ヨーク110は、カプセル102の近位端から出るようにさらに近位側に引かれる。この時点において、ヨーク110のより近位側の部分よりも軸Lから離れてさらに半径方向に延びるヨーク110のアーム114は、カプセル102の対応する結合機構136を把持するブッシング結合機構134に係合する。ヨーク110がブッシング104内に近位側に引かれると、アーム114は、ブッシング結合機構134を軸Lから離れて半径方向外向きに押し、カプセル102の結合機構136との係合から外れるようにそれらを移動させ、クリップ101をブッシング104及び挿入セクション106から分離し、装置100の残りの部分が身体から引き抜かれる一方、クリップ101を標的組織の把持部分上に係止されたままとする。当業者により理解されるであろう通り、以下に記載の図5のカップリングを含む任意の既知のカップリングであって、それによりブッシングがクリップのカプセルに解放可能に結合される任意の既知のカップリングが用いられ得る。
【0032】
図5に示される通り、クリッピング装置(例えば、装置100)のカプセル202とブッシング204との間のカップリング200は、カプラ206を含む。カプラ206の遠位端は、カプセル202に結合されたチューブ208として形成される一方、カプラ206の近位端は、チューブ208の円周の周りに配設された複数のアーム210を含む。アーム210の各々は、凹部212を含み、該凹部212は、ブッシング204の半径方向突出部216を把持する近位側係止面214を有する。この実施形態において、半径方向突出部216は、ブッシング204の外面から離れて略直角に延びるように、軸Lから離れて半径方向外向きに突出する環状の表面として形成される。この実施形態のアーム210の近位側係止面214は、カプセル202がカプラ206を介してブッシング204に動かないように結合されるように軸Lに略直角でもある。
【0033】
凹部212の各々の遠位面は、傾斜部218として形成され、傾斜部218は、半径方向突出部216の遠位面220の半径方向外側エッジからある角度(例えば、アーム210の内面から30~45度の範囲の角度)で離れて遠位側に延びており、それによって、傾斜部218のより半径方向に内部に位置する部分と遠位面220との間に間隙が形成される一方、傾斜部218の各々の半径方向最外端部が遠位面220に接触する。従って、カップリング200を含むクリップが挿入装置を通して身体内の標的部位に挿入されると、アーム210は、カプセル202をブッシング204に、動かないように係止する。しかしながら、上述の通り、クリップが、カプセル202内で近位側にさらに移動され得ないポイントまでカプセル内に引き込まれると、使用者は、挿入セクション106が圧縮に抵抗するため、遠位側に向けられた力により対抗される制御部材222に対して、一層大きい近位側に向けられる力をかける。
【0034】
この圧縮がカプラ206にかけられると、傾斜部218は、ブッシング204の遠位面220に抗して近位側に摺動し、アーム210の近位端を図5の矢印Aの方向において外向きに回わる。これにより、半径方向突出部216が凹部212から係合解除されるまで、アーム210の近位側係止面214を半径方向突出部216との係合から外れるように移動させ、それによりブッシング204をカプラ206から分離する。従って、チューブ208及びカプセル202は、軸Lを中心として自由に回転し得る。別の実施形態において、制御ワイヤ駆動回転を生じさせるために三重ワイヤ構成が使用され得、それが必要に応じて配置され得るように、使用者は、クリップを回転させる。別の実施形態において、カプセル202は、ブッシング204に固定され得、従って軸Lを中心とした回転は生じ得ない。
【0035】
図6図7A及び図7Bに示される通り、第2の実施形態によるカップリングメカニズムを含む装置300は、カプセル302を含み、該カプセル302は、ブッシング304に結合されるとともに、制御ワイヤ308が取り付けられたヨーク306を格納する。クリップが展開されると、制御ワイヤ308がカプセル302から出てブッシング304に入る状態でヨーク306が近位側に移動するように自由にされる限り、ヨーク306は、引張部材(図示せず)又は他の任意の既知の挟持メカニズムと組み合わせて動作する。以下で分かる通り、ブッシングは、対向するアーム310を含み、該アーム310は、カプセル302の近位部分の周りに延びており、それによって、ブッシング304の遠位端において直径方向に対向するピン312が、カプセル302の壁に形成された受部314内に延びる。アーム310は、傾斜部分315を介して外向きに広げられる。アーム310がカプセル302の外側の周りに延びており、アーム310がカプセル302の直径より大きい距離だけ互いから分離される一方で、傾斜部分315は、カプセル302の直径未満の直径を有するブッシング304の縮小した直径部分を画定する。これにより、以下でより詳細に説明される通り、カプセル302内で摺動可能であるヨーク306の半径方向外側縁は、当該ヨーク306がブッシング304を通して近位側に引かれるときに、半径方向外向きの傾斜部分315に衝合し、且つ半径方向外向きの傾斜部分315を付勢する。
【0036】
しかしながら、当業者は、(少なくとも1つの方向において)内径が縮小している限りは、クリップが展開されるとともにヨーク306がブッシング304を通して近位側に引かれた後、ヨーク306の半径方向外面がブッシング304の少なくとも一部の内面に接触し、アーム310を半径方向外向きに駆動するように、ブッシング304の外径がその長さ全体にわたって一定のままであり得ることを理解する。このように、ヨーク306が傾斜部分315に接触し、それらを半径方向外向きに駆動するため、ピン312は、受部314を出るように半径方向外向きに押され、カプセル302をブッシング304から自由にし、且つクリップを挿入セクション316、ブッシング304、制御ワイヤ308及び装置の近位部分全体から分離する。
【0037】
さらに、当業者により理解されるであろう通り、受部314及びピン312が円形に作られる場合、カプセル302は、ブッシング304及び挿入セクション316に対して相対回転可能である。この回転は、当然のことながら、制御ワイヤ308の屈曲への何らかの抵抗により制限される。しかしながら、(図7A及び図7Bに示される)この回転は、例えば、クリップが十二指腸内視鏡を通して長手方向に通され、次いで横方向に向いているポートを介してスコープを出るために約90度の円弧を通って屈曲しなければならないときに遭遇され得る、急峻な屈曲部を含む経路を通したクリップの適用を円滑にすることをさらに支援し得る。
【0038】
図8に示される通り、処置装置400は、上述の処置装置10と概ね同様であり得る。装置400は、制御ワイヤ426、挿入セクション414、ブッシング418、クリップアーム422を含むクリップ420及び遠位部分440を含み得る。上述の遠位部分40と同様に、遠位部分440は、ブッシング418の近位端からクリップアーム422の遠位端まで延びる。遠位部分440は、カプセル424を含む。カプセル424は、装置10及び100~300のものと同様のカップリングメカニズムを収納する。カップリングメカニズムは、ヨーク432、タブ436、引張部材438及びクリップ420を含む。さらに、制御ワイヤ426は、近位端(図示せず)から遠位端まで延び、装置10の半径Rと同様の半径R’を有する制御ワイヤ26の屈曲部50と同様の屈曲部450を有する。この実施形態において、屈曲部450は、円弧角度α’の周りに延び、角度α’は、装置10の角度αと同様である。この実施形態において、距離D’は、屈曲部450の遠位端とブッシング418の近位端との間であり、距離D’は、装置10の距離Dと同様である。
【0039】
装置400は、屈曲部450の近位端に第1の穴462及び遠位部分440の近位端に第2の穴464を含む。第1の穴462及び第2の穴464は、クリップ420のより良好な配置を可能にするために、作動コード470がそれらの間に延び得るような大きさ及び形状にされる。コード470は、遠位部分440の近位端において、近位端(図示せず)から遠位端まで延びる。コード470の一部は、挿入セクション414を通して第1の穴462に延びる。コード470の近位端は、使用者がアクセス可能であり、その結果、使用者がコード470を直線にするためにコード470の近位端で近位側に引くことができ、従って第1の穴462と第2の穴464との間の斜辺を形成し、屈曲部450をさらに屈曲させる。コード470の近位端を押すときに異なる量の力をかけることにより、使用者は、屈曲部450の屈曲及び遠位部分440の位置を制御する。
【0040】
さらに理解されるであろう通り、クリップ組立体であって、カプセルとブッシングとの間のこのような枢動接続を、挿入セクションの遠位端に隣接する屈曲部を有する制御ワイヤ(例えば、上述の制御ワイヤ26)と組み合わせるクリップ組立体は、側方ポートでの操作及び/又はきつい曲げ半径を必要とする届きにくい位置へのアクセスを必要とする処置においてかなりの改良を見せ得る。このような組合せは、上述の装置100のより短いクリップメカニズムを用いることによりさらに改良され得る。このような装置は、密封空間又はスコープが利用可能な視界が斜めである場所において、例えば大腸又は胃腸病学的消化管の他の部分における複雑な位置における病変部を閉鎖するために、内視鏡など、その作業チャネルへの長手方向に方向付けられた出口ポートを備えた内視鏡などの挿入装置又は上述の十二指腸内視鏡の側方部分を備えた内視鏡などの挿入装置のいずれかにおいて有効であろう。
【0041】
当業者は、説明された実施形態に対して、本出願の教示から逸脱することなしに様々な修正形態がなされ得ることを理解する。例えば、実施形態は、内出血の処置及び組織における切除欠陥又は穴の閉鎖に関して説明されたが、当業者は、同様の構造的用途のために使用されるように実施形態が修正され得ることを理解する。同様の構造的用途について、挿入セクションは、生検鉗子のために含まれ得、挿入セクションの曲率が扱いにくい又は斜めの位置におけるサンプルを取得するために使用され得る。追加的に、実施形態は、異なる使用者ニーズに適合するため且つ前方視スコープで用いられ得るために、30、45又は60度の屈曲部を含むように修正され得る。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を処置するための装置であって、
可撓性の挿入セクションを備え、該挿入セクションは、使用中に生体内の標的部位に挿入される遠位端から、使用中に前記生体の外側に残る近位端まで延び、
前記挿入セクションの遠位端に結合されたエンドエフェクタを備え、
前記挿入セクション内に受け入れられるとともにアクチュエータに結合された近位端から延びる制御ワイヤを備え、前記制御ワイヤは、当該制御ワイヤの遠位部分に屈曲部を含み、該屈曲部は、静止状態において、当該制御ワイヤ及び前記挿入セクションが、選択された曲げ半径で予め定められた円弧を通って屈曲するように構成され、前記制御ワイヤの遠位部分は、前記制御ワイヤが塑性変形することなく、挿入装置の作業チャネル内に入り且つそれを通過するように構成される、装置。
【外国語明細書】