(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143941
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】分散型のビークルライダシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 17/931 20200101AFI20230928BHJP
G01S 17/34 20200101ALI20230928BHJP
【FI】
G01S17/931
G01S17/34
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023119273
(22)【出願日】2023-07-21
(62)【分割の表示】P 2019504025の分割
【原出願日】2017-07-28
(31)【優先権主張番号】62/367,815
(32)【優先日】2016-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517351961
【氏名又は名称】ストローブ,インク.
【氏名又は名称原語表記】STROBE,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】シンガー スコット
(72)【発明者】
【氏名】マレキ ルトフォーラ
(57)【要約】
【課題】光学部品のみを含む複数の光学ヘッドとともに、周波数変調光信号源と、反射光用の中央受信器とを含む中央ユニットを提供する、分散型のFMライダシステムについて記載する。
【解決手段】中央ユニットと光学ヘッドとの間に、光遅延線又はタイミング補正フォトニックもしくは電子回路は必要ない。
相対的にシンプルな光学ヘッドは、衝撃又は振動からの広範な保護を必要とせず、光結合部材により接続され、ビークルと、牽引されるトレーラ又は類似のビークルとの間に分散することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型のFMライダシステムであって、
ハウジングを有する信号処理ユニットを備え、
前記ハウジングは、周波数変調波形を提供する周波数変調光源と、反射した周波数変調波形を電子信号に変換する受信器と、前記受信器と電子通信する制御器とを備え、
前記周波数変調光源と光通信する光スキャナと、前記受信器と光通信する光入力部とを有する光学ヘッドと、
前記周波数変調光源と前記第1の光スキャナ間の光通信を提供する第1の導波路と、を備えることを特徴とする、分散型のFMライダシステム。
【請求項2】
前記第1の導波路は、前記第1の光入力部と前記受信器間の光通信を提供することを特徴とする、請求項1記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項3】
前記第1の光入力部と前記受信器間の光通信を提供する第2の導波路をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項4】
前記信号処理ユニットと前記光学ヘッド間には電気通信が存在しないことを特徴とする、請求項1に記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項5】
前記ハウジングに結合された防振動衝撃台をさらに備えることを特徴とする、請求項1記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項6】
前記光学ヘッドには、防衝撃又は防振動部材が設けられていないことを特徴とする、請求項1記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項7】
前記信号及び処理ユニットは、プライマリビークルに取り付けられ、
前記光学ヘッドは、セカンダリビークルに取り付けられ、
前記セカンダリビークルは、前記プライマリビークルに結合され、前記プライマリビークルにより、受動的に誘導又は牽引されることを特徴とする、請求項1記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項8】
前記プライマリビークルと前記セカンダリビークルとの間に配置され、前記信号処理ユニットと前記光学ヘッド間で光通信する光結合部材をさらに備えることを特徴とする、請求項7に記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項9】
分散型のFMライダシステムであって、
ハウジングを有する信号処理ユニットを備え、
前記ハウジングは、周波数変調光を提供する周波数変調光源と、反射した周波数変調光を電子信号に変換する受信器と、前記受信器と電子通信する制御器とを備え、
前記周波数変調光源と光通信する第1の光スキャナ及び前記受信器と光通信する第1の光入力部を有する第1の光学ヘッドと、
前記周波数変調光源及び前記第1の光スキャナと光通信する第1の導波路と、
前記第1の光入力部及び前記受信器と光通信する第2の導波路と、
前記周波数変調光源と光通信する第2の光スキャナ及び前記受信器と光通信する第2の光入力部を有する第2の光学ヘッドと、
前記周波数変調光源及び前記第2の光スキャナと光通信する第3の導波路と、
前記第2の光入力部及び前記受信器と光通信する第4の導波路と、を備えることを特徴とする、分散型のFMライダシステム。
【請求項10】
前記信号処理ユニットと、前記第1の光学ヘッドと、前記第2の光学ヘッドと光通信する光スイッチをさらに備えることを特徴とする、請求項9記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項11】
前記光スイッチが前記ハウジング内に位置することを特徴とする、請求項10記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項12】
前記信号処理ユニットと、前記第1の光学ヘッドと、前記第2の光学ヘッドとの間には電気通信が存在しないことを特徴とする、請求項9記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項13】
前記信号処理ユニットと、前記第1の光学ヘッド又は前記第2の光学ヘッドとの間の光通信には、光遅延装置を備えないことを特徴とする、請求項9に記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項14】
前記ハウジングに結合される防振動衝撃台をさらに備えることを特徴とする、請求項9記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項15】
前記第1の光学ヘッド又は前記第2の光学ヘッドに、防衝撃又は防振動部材が設けられていないことを特徴とする、請求項9記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項16】
前記信号及び処理ユニット及び前記第1の光学ヘッドは、プライマリビークルに取り付けられ、前記第2の光学ヘッドは、セカンダリビークルに取り付けられ、
前記セカンダリビークルは、前記プライマリビークルに結合され、前記プライマリビークルによって受動的に誘導又は牽引されることを特徴とする、請求項9記載の分散型のFMライダシステム。
【請求項17】
前記プライマリビークルと前記セカンダリビークルとの間に配置され、前記信号処理ユニットと前記第2の光学ヘッドとの間で光通信する光結合部材をさらに備えることを特徴とする、請求項16記載の分散型のFMライダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年7月28日出願の米国特許仮出願第62/367,815号明細書の優先権を主張する。
これら及び他の参照される付帯資料は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
参照により組み込まれた引例される用語の定義又は用法が、本明細書に示す用語の定義と不一致又は反する場合、本明細書で示す用語の定義を有効とみなす。
【0002】
本発明は、ライダシステム(LiDAR system)、特に、ビークル(vehicle)で使用するための周波数が変調された連続波ライダシステム(frequency modulated continuous wave LiDAR system:周波数連続変調ライダシステム)に関するものである。
【背景技術】
【0003】
以下の説明には、本発明を理解するのに役立つ情報が含まれる。
そして、本明細書で示す情報が、先行技術であること、若しくは現在請求されている発明に相当すること、又は、明示的又は暗示的に参照する刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0004】
ライダ(LiDAR)は、自律ナビゲーション(自律移動)に関する様々な分野において、センシング(検知)用途で重要になりつつある。
具体的には、自律ビークル(自律運転車)、UAV、及びロボットは、他のセンサからの情報の有る無しに関わらず、ライダに依存して、それらプラットフォーム(輸送体)の移動をガイドするために利用されるイメージング(画像化)情報を生成する。
現在のところ、上述のような用途に使用するための、機器ヘッド(光源、光検知器、送信/ステアリング光学部品、及び、検知光学部品が配置される)と、制御及び処理アセンブリとからなるライダシステムは、単一のハウジングに収容され、画像分析用のコンピュータ又は同様の機能の装置に電力及びデータを伝達するためのケーブル及びワイヤに接続される。これは、全パッケージをプラットフォーム上の、イメージングが必要とされる領域にアクセスする箇所に配置すべきことを示唆する。
例えば、先進運転支援システム(ADAS)と共に使用する場合は、道路及び路肩にアクセスできるように、ライダは車の頂部、又はその他の箇所(例えばフロントグリルの下)に配置しなければならない。当パッケージが車体構造と干渉しないようにしたいという要望がある場合には、実装が困難となり得る。
ライダの適正な動作を妨げたりライダの性能を低下する望ましくない衝撃及び振動の影響を低減するために、能動的(アクティブ)/受動的(パッシブ)絶縁(アイソレーション)部材をパッケージに組み込まなければならない場合にはさらに複雑化する。
【0005】
ライダは、様々な方法で実現され得る。
「タイムオブフライト(飛行時間)」(TOF)ライダでは、光の短パルスが放射され、反射したパルスが受信され、放射と受信との間の遅延により、エミッタ(放射体)と反射物体との間の距離が測定される。
しかし、このようなTOFシステムには、多くの短所がある。
例えば、受信した光の強度にのみ依存する単純なTOF測定では、外部の無関係な信号源からの干渉を非常に受けやすい。この問題は、エミッタと反射物体との間の距離が増大するとより顕著になる。これは、距離により、反射信号の強さが必然的に低下するからである。
一方、極めて短い時間間隔を正確に測定するときの本質的な制限により、近距離におけるTOFライダシステムの空間分解能が制限される。
さらに、TOFライダの範囲(レンジ)は、比較的微弱な反射信号を検知する能力に決まる。
結果として生じる範囲の制限は、高感度光検出器を使用し、対処されることが多い。場合によっては、このような検出器は、単一の光子を検知することができる。残念ながら、このような高度な感度は、標的以外の物体又は他の光源からの反射TOFライダパルスとして、干渉信号の誤認の増加につながる。
これらの短所にもかかわらず、TOFライダシステムは、今のところ、主に、非常にコンパクトなシステムを提供する能力と、比較的安価な非コヒーレントレーザ光源を利用する能力ゆえに、広い用途を見いだしている。
【0006】
この問題を解決するための1つのアプローチは、システム部品をビークルの周囲に分散させたToFライダシステムを提供することである。このようなアプローチの例が、(Villeneuve及びEichenholzに対する)米国特許出願公開第2017/0153319号明細書に見られる。
本明細書に示す刊行物はすべて、個々の刊行物又は特許出願が、詳細かつ個別に、参照により組み込まれ示されるのと同じ程度、参照により組み込まれる。組み込まれた引例中の用語の定義又は用法が、本明細書に示す同じ用語の定義と不一致又は反する場合、本明細書に示す同じ用語の定義が適用され、引例中の同じ用語の定義は適用されない。
このようなアプローチでは、ToFライダシステムのいくつかの部品(送信スキャナ、反射光を収集するための入力部、及び、反射光を特徴付けるための受信器等)を、ビークルの1つの箇所に、ユニットとして配置することができ、それと同時に、(光源などの)別の部品を他所に配置することができる。分散して配置された部品は、従来のファイバ光学系及び電気ケーブル配線を使用して接続することができる。
しかし、TOFライダの時間に依存する性質により、タイミング忠実度を維持するために、送信スキャナ、入力部、及び受信器は近接して配置される必要がある。その結果、このようなシステムの走査/受信アセンブリは、相対的に大きく複雑なままである。
【0007】
TOFライダの代替物が、開発されてきた。
代替物の1つである、周波数変調(FM)ライダは、時分割された周波数変調光エネルギーの経時的な周波数の変化、又は「チャープ」を表す反復波形(波)を生成するコヒーレントレーザ源に依存(依拠)する。
波形又はチャープの範囲内の周波数は経時的に変化し、基準信号に対する、反響する波形(波)又はチャープの位相及び周波数を測定することにより、エミッタ(放射体)に対する反射物体の距離及び速度が測定される。反射したチャープの他の特性(例えば強度)は、反射面の色、表面質感、又は組成に関係し得る。
加えてFMライダは、干渉光源(受信信号とコヒーレントでない非変調信号を生成する傾向がある)の影響を比較的受けにくく、高感度光検出器を使用する必要はない。
【0008】
残念ながら、今日まで開発されてきたFMライダシステムは、比較的大きなFMCWレーザ源に依存しているために、一般にコンパクトでない。
加えて、このようなシステムは通常、比較的大きな干渉計により供給される放射チャープに対応する周波数の変調を有する、慎重に変調された低ノイズの局部発振器(例えば、狭線幅のソリッドステート、ガス、又はファイバレーザ)に依存している。
この局部発振器は、放射された波形又はチャープを正確に再現し、かつ、受信した反射信号の基準として機能する。
その結果、FMライダは通常、大きくて複雑で高価であり、その性能の利点にもかかわらず、TOFライダに対する実施が制限されてきた。
【0009】
ゆえに、車両(motor vehicleモータビークル)を囲む領域を完全にカバーする、有効かつ安価なライダシステムが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0153319号
【発明の概要】
【0011】
本発明の主題の様々な目的、特徴、局面及び利点が、添付図面とともに、好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、より明らかとなるであろう。添付図面において、類似の番号は類似の部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1A及び
図1Bは、本発明概念の分散型のFMライダシステムを模式的に示す。システム部品は、光学部品を含む小型で軽量の光学ヘッド120と、周波数変調パルス又はチャープソース及び受信器(レシーバ)を含む信号処理ユニット105とに分けられる。
図1Aは、放射及び入射周波数変調光信号に対して、別個の導波路(ウェーブガイド)を有するシステムを模式的に示している。
図1Bは、放射及び入射周波数変調光信号に対し、共通の導波路(ウェーブガイド)を利用するシステムを模式的に示している。
【
図2】
図2A及び
図2Bは、中央信号処理ユニットとの光通信において複数の光学ヘッドを組み込む、本発明概念の分散型のFMライダシステムを模式的に示している。
図2Aは、光ルータが、入射及び/又は放射FM変調光チャープ又はパルスを分配させるために利用され、中央の信号及び制御ユニットから分離されているシステムを模式的に示している。
図2Bは、光ルータが、入射及び/又は放射FM変調光チャープ又はパルスを分配させるために利用され、中央の信号及び制御ユニット内に配置されるシステムを、模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の主題は、FMライダシステムの部品がビークル(vehicle)周囲の異なる箇所に分散され、かつ、光遅延線又は同様の特性を有する装置を備える必要なく、光ファイバと相互接続される、機器、システム、及び方法を提供することである。
例えば、スキャナ及び反射信号用の入力部を含む小型で比較的シンプルな光学ヘッドを、反射信号用の受信器、ソースレーザ、及びFMライダの他の部品から距離を置いて(離隔して)配置することができる。
分散した部品は、光ファイバによって接続することができ、電気通信(電気的通信)は必要としない。
加えて、比較的小さくて軽量の光学ヘッドは、広範な箇所に好適に配置することができ、低減されたサイズ及び重量により、衝撃及び振動制御をシンプルにする。
いくつかの実施形態では、2つ以上の光学ヘッドが、ビークル又はトレーラ周囲に分散されており、光信号用の光ファイバ及びルーティング装置を使用して、FMライダシステムの他の部品(例えば、反射信号用の受信器、レーザ光源等)に接続されている。
【0014】
本明細書に記載の装置及びシステムにより、ビークル上又はビークル内の広範な箇所への配置に適した軽量で頑丈な部品を使用した、物体、障害物、及びビークルの正確な識別を可能にする、分散型のFMライダシステムが提供されることを理解されたい。
【0015】
以下の記述により、本発明の主題の多くの例示的な実施形態を示す。
各実施形態は、発明の要素の一つの組み合わせを示すが、本発明の範囲(主題)は、開示された要素のすべての可能な組み合わせを含むとみなされる。
ゆえに、1つの実施形態が要素A、B及びCを備え、第2の実施形態が要素B及びDを備えている場合、本発明の範囲(主題)は、明示的に開示されていなくとも、A、B、C、又はDとの他の組み合わせをも含むと考慮される。
【0016】
本明細書で使用され、文脈で異なるよう示されていない限り、「に結合された」という用語は、(互いに結合される2つの要素が互いに接触する)直接の結合と、(少なくとも1つの追加の要素が、2つの要素の間に配置されている)間接的な結合との両方を含むことを意図している。
ゆえに、「に結合された」という用語及び「と結合された」という用語は、同義的に使用される。
【0017】
本発明概念であるFMライダシステムは、周波数変調光源(変調された周波数の光源)(FMレーザ又はFMレーザ光学サブシステム等)と、周波数変調レーザ波形(frequency modulated laser waveform:周波数変調されたレーザー波)又はチャープを環境(周囲)に伝達(送信)するための光学走査(光スキャナ)装置及び反射パルス又はチャープを捕捉するための入力部を含む光学ヘッドと、捕捉された波形(waveform)又はチャープ(chirp)を受信し、捕捉された波形又はチャープを電気信号へと変換するための受信器(レシーバ)と、を含んでいてもよい。
このようなシステムは、電気信号を受信し、そして反射物体の距離に関する情報を引き出す(導出する)制御器(コントローラ)を含んでいてもよい。
制御器を、光スキャナに結合することもでき、光パルス又はチャープの走査ストリームの比率及び方向に関する指示を与えることもできる。
同様に制御器を、周波数変調レーザ光源に結合することもでき、反復率、周波数ランプ(ramp)時間(周波数の変更時間)、周波数ランプ構成(周波数の変更構成)、及び/又は、伝達される波形(waveform)、変調又はチャープの他の特性に関する指示を与えることもできる。
【0018】
いずれかの適切な周波数変調光源を利用して、本発明概念のシステム及び装置による伝達用に、周波数変調パルス又はチャープを生成することができる。
いくつかの実施形態では、放射光の瞬時(各時刻の)の周波数をシフト(変更)させるため、波長可変レーザダイオードに変調バイアス電流を印加することにより、光波形又はチャープを生成することができる。
他の実施形態では、レーザ光源の出力を、電気光学又は音響光学変調器を介して導き(方向付けし)、必要な周波数シフトを供給することができる。
このような実施形態では、レーザ光の一部を、変調器を介して導き(方向付けし)、局部発振器信号を供給することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明概念の装置及びシステムは、周波数変調光源(frequency modulated light source)として、ウィスパリングギャラリーモード光共振器に光学的に結合されたレーザ光源を組み込んでいてもよい。
レーザからの光は、ウィスパリングギャラリーモード光共振器へ結合され、光共振器のウィスパリングギャラリーモードの周波数特性を有する戻り逆伝播波(returning counterpropagating wave)として戻され結合される。
この戻り波は、光注入によりソースレーザの線幅を小さくすることができる。
周波数変調波形又はチャープを、ウィスパリングギャラリーモード光共振器の光学特性を変調することにより生成することができ、共振器のウィスパリングギャラリーモードによりサポートされる周波数の変調につながる。
このような変調周波数(変調された周波数)を有する光を使用して、堅牢(ロバスト)で安価なレーザ光源、例えば半導体レーザからの周波数変調波形又はチャープを供給することができる。
【0020】
本発明概念の一実施形態が、レーザ光源と、レーザ光源に光学的に結合されて、光注入(或いは、電子ロッキング)を介して線幅狭小化をもたらす、変調可能なウィスパリングギャラリーモード共振器と、ウィスパリングギャラリーモード光共振器の光学特性(例えば屈折率)を変化させることのできる変換器(トランスデューサ)と、変換器を制御する制御器と、制御器により生成された光チャープを送信するための送信アセンブリと、反射した光学的な周波数変調波形又はチャープを受信する受信器と、反射した周波数変調波形又はチャープから引き出したデータを利用して、チャープを反射する物体の位置を判定するプロセッサとを含む、ライダシステムである。
いくつかの実施形態では、これらの部品のすべてが、単一の基板上に設けられている。
ロックされたレーザ源の線幅は、1kHz未満であってもよい。
このような実施形態では、レーザ源は、反射物体の位置を判定する際に、反射された波形、変調、又はチャープと組み合わされる基準の波形、変調、又はチャープの源としても作動することができる。
【0021】
本発明概念の実施形態では、FMレーザ及び受信器は、光スキャナ(周波数変調光を周囲へと方向付けする(導く)のに利用される)と光入力部(周囲からの反射光を受ける(受光する)のに利用される)とを有する光学ヘッドとは別に収容される。
図1Aに示すように、FMレーザは、FM変調、波形、又はチャープソース110の一部であってもよく、また、受信器150(受信した反射光を電気的インパルスに変換するよう機能する)及び制御器160とともに収容されることができる。
好ましい実施形態では、これらの部品は、共通の囲い又はハウジング100内の共通の信号処理ユニット105内に収容されることができ、共通の囲い又はハウジングは、車両内の中央、又は好適な位置に配置することができる。
比較的に外部からの影響を受けやすい部品への損傷を低減又は無くすために、ハウジング又は囲い100は、振動低減及び/又は衝撃低減取り付け台(防振動衝撃台)に取り付け又は結合され得る。
【0022】
図示したように、信号処理ユニットの部品は、光学ヘッド120と光通信(光学的に通信)してもよい。
光通信は、光ファイバなどの導波路(ウェーブガイド)(115、145)により提供され得る。
例えば、放射光導波路(放射光ウェーブガイド)115は、FMチャープソース110と光学ヘッドのスキャナ/エミッタ130との間に、光通信を供給する(光通信を可能とする)ことができる。同様に、入射光導波路145は、光学ヘッド120の光入力部(入光部)140で収集された反射光を、信号処理ユニット105の受信器150に方向付けする(導く)ことができる。
図1Aには別体の入射及び放射光導波路を使用することが示されているが、いくつかの実施形態では、
図1Bに示すように、放射周波数変調波形又はチャープと、(反射された周波数変調波形又はチャープを含み得る)入射光とで、共通の導波路115Aを使用してもよい。
いくつかの実施形態では、必要であれば、放射周波数変調波形又はチャープと入射周波数変調波形又はチャープとの間の相違(識別)を、光スイッチ又はルータにより、及び/又は、周波数変調波形又はチャープのタイミングを追跡することにより、提供することができる。このような光スイッチ又はルータを、ハウジング100内又は外側に配置することができる。
【0023】
光学ヘッド120が、光学部品及び関係する操縦器(マニピュレータ)のみを含めばよいことを理解されたい。
例えば、光学ヘッドは、反射されたパルス又はチャープ用に、光スキャナ130(例えばX/Yスキャナ)及び光入力部140を含むことができる。
光スキャナは、方位(向き)を制御する機構(モータ及び/又は圧電素子など)に結合された、1つ以上の反射面を含んでいてもよく、周波数変調光源から(例えば光ファイバを介して)光スキャナにより受信されたパルス又はチャープのストリームの走査を可能にする。
走査機能を提供するのに適した様々な機構があり、回転又はジンバル搭載ミラー、MEM装置、相互に直交する仕方でアクチュエータ(例えば、電気モータ、ソレノイド及び/又は圧電素子)に取り付けられた2つ以上のミラーのセット、回転プリズム、及び/又は、回転レンズが含まれる。
適切なMEM装置の一例は、MinFaros(登録商標)により開発された、ソリッドステート三脚ミラー台である。
いくつかの実施形態では、位相配列ステアリング装置を使用して、走査機能を提供することができる。
このような走査機能を利用して、一連の送信パルス又はチャープを、X-Y平面を通る、及び/又は、三次元ボリューム(空間)をインテロゲート(調査)するパターンで、方向付けすることができる。
【0024】
光入力部140は集光用装置を有してもよく、それは、入射する反射光を、光学ヘッドから離れて配置され得る受信部145に光学的に結合された入射導波路145へ導くように配置されてもよい。
例えば、レンズ又はミラーを、光学ヘッド120の光学的に透明な窓の後ろに配置することができる。
入射光ファイバ145として機能する導波路の入力ファセット(面)を、レンズ又はミラーの焦点に、又は焦点付近に配置することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、放射された変調、波形、又はチャープ、あるいは変調された光が光学ヘッドを離れる位置と、反射した変調、波形、又はチャープが光入力部に入る位置とは、同軸である。
他の実施形態では、放射された変調、波形、又はチャープ、あるいは変調された光が光学ヘッドを離れる位置と、反射した変調、波形、又はチャープ、あるいは変調された光が光入力部に入る位置とは、異なる光軸上に位置する。
好ましい実施形態では、コンパクトな装置とするために、放射された変調、波形、又はチャープ、あるいは変調された光がライダシステムを離れる位置と、反射した変調、波形、又はチャープ、あるいは変調された光が光入力部に入る位置とは同軸であり、近接している。
いくつかの実施形態では、光スキャナ及び光入力部は、シリコンチップ又はウエハ上といった共通の表面上に形成され、本質的に単一の、及び/又はソリッドステート(固体)のデバイスを提供する。
【0026】
光スキャナ及び光入力部は両方共、シンプルかつコンパクトであるため、光学ヘッドを比較的小型かつ軽量とすることができる。
これにより、ビークル(vehicle:輸送機関)の幅広い箇所に、例えば、フロントグリルの背部(後ろ)、ドアの内部又はルーフパネルの内部、バンパーアセンブリの内部などに、本発明概念の光学ヘッドを設置することができる。比較的小型かつ軽量であることで、耐振動及び耐衝撃を簡単化することもできる。
このようなシステム部品が比較的露出した位置にあることを特に鑑みて、光学ヘッドの比較的簡素さにより、修理及び交換の費用が単純化及び低減されることも理解されたい。
【0027】
好ましい実施形態では、
図2A及び
図2Bに示すように、単一の信号処理ユニット105が、導波路(光学ガイド)を使用して2つ以上の光学ヘッド(130A~130F)に光学的に結合されている。
分散型のライダシステムを提供するために、光学ヘッドをビークル(vehicle)の外部に配置してもよい。
各光学ヘッドの観察視野の重なりを提供するために、光学ヘッドの数及び位置を選択することができ、ビークル周囲の完全なライダ(LiDAR)のカバー(検知範囲)を提供する。
光チャープ又はパルス間の飛行時間の相違(差)を補正するために、光遅延線又は類似の装置を導波路に組み込む必要がないことを、理解されたい。
同様に、送信及び受信された光及び信号間の飛行時間の相違(差)を補正するために、システムを較正したり、補正アルゴリズムを適用することは必要ではない。
いくつかの実施形態では、各光学ヘッドを信号処理ユニットに直接接続することができる。信号処理ユニットは、個々の(それぞれの)光学ヘッドからの入射反射光(反射した入射光)を、共通の受信器へ切り替える(スイッチングする)ことができる光ルータ、またはそれと類似の装置を有してもよい。
他の実施形態では、それぞれの光学ヘッドを、光スイッチ、光ルータ、又は類似の装置170に接続することができる。これにより、周波数変調(周波数が変調)された変調、波形、チャープ又はそれ以外の変調された光を、FM変調、波形、又はチャープ又はそれ以外の変調された光源110から、放射光ファイバ又は導波路(ウェーブガイド)を介して1以上の光学ヘッド130へ方向付け(導き)、及び又は反射された周波数変調された変調、波形、チャープ又はそれ以外の変調された光を1以上の光学ヘッド130から入射光ファイバ又は導波路(ウェーブガイド)を介して受信部150に方向付ける(導く)。
いくつかの実施形態では、
図2Aに示すように、光ルータ170は、信号処理ユニット105から独立して(離れて)配置されている。
他の実施形態では、
図2Bに示すように、光ルータ170は、信号処理ユニット105内に配置されている。
【0028】
制御器160は、周波数を変調したFM変調、波形、チャープ、又は、その他の変調された光源の制御を提供することができ、例えば、所望のFM変調、波形、もしくはチャープを生成するために利用される周波数変調された電気信号を提供することができる。
いくつかの実施形態では、制御器は、受信器150から電気信号を受信することもでき、電気信号は、周囲からの反射光に対応している。
このような実施形態では、制御器は、光学ヘッドの範囲(レンジ)内にある反射物体の位置データを引き出す(導出する)ために、受信した電気信号の情報内容を利用する、プロセッサ及び/又はアルゴリズムを有してもよい。
制御器は、1つ以上のマイクロプロセッサが組み込まれ得る1つ以上の処理モジュールを含んでもよい。
適切なマイクロプロセッサは、例えば、QualComm(登録商標)のSnapDragon(登録商標)チップのシリーズ等である。
例えば、制御器は、周囲から受信した反射チャープと基準の非反射チャープとからの組み合わせたデータに対する初期処理用の高速フーリエ変換モジュールを含んでいてもよい。
次いで、このような高速フーリエ変換モジュールで変換されたデータを、反射光を生成した反射面の空間座標及び/又は速度を引き出すために使用することができる。
制御器160は、1つ以上の反射FM変調、波形、又はチャープ、又はそれ以外の変調された光から得られたデータを、点群(ポイントクラウド)(すなわち、反射面の空間座標を表すデータ点の集まり)の形態で保存及び/又は送信することができる。
このような点群により、速度及び/又は二次的な情報(色、質感、粗さ、組成など)に関する情報をコード化することもできる。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明概念のFMライダは、移動体支援システム(vehicle assistance system:ビークル支援システム)に一体化されている。
このような実施形態では、FMライダは、移動ビークル(例えば、陸上車両、航空機、ドローン及び/又は船舶)に一体化されても、取り付けられていてもよい。
例えば、信号処理ユニット105は、信号処理ユニットと必須の耐衝撃及び耐振動部材(台)のための十分な空間(スペース)に設置し、その一方で複数の光学ヘッドを移動体の外部の適切な位置に(又は、少なくとも外部と光学的にアクセスできる状態で)分散して配置することができる。このような実施形態では、FMライダは、FMライダシステムの走査範囲内の反射物体の位置及び/又は速度に関する空間データを提供することができる。
走査範囲は、FMライダシステムの構成に応じて、面及び/又は立体(ボリューム)を表すことができる。
データは、点群として表すことができ、その際、各点は、反射物体に関する二次元又は三次元の空間座標を少なくとも表す。
いくつかの実施形態では、反射光の特徴(例えば、振幅及び/又は強度)により、反射物体の追加の特徴(例えば、組成、色、表面質感等)に関する情報を提供することができる。
このような追加の特徴の値を、点群の点にコード化することができる。
【0030】
点群データをオンボードの(搭載の)又はオフボードの(非搭載の)プロセッサで利用し、このような装備のあるビークルの運転に、支援を与えることができる。
いくつかの実施形態では、このような支援は、ビークル操縦者に与えられる警告及び/又は促し(示唆)の形態であってもよい。
ビークル操縦者はビークル内に居てもいいし、ビークルを遠隔で操縦することもできる。
いくつかの実施形態では、ビークル操縦者への支援は、自動ビークル応答(automated vehicle response)の形態で与えられてもよい。
自動ビークル応答の例には、速さ(例えば、加速、減速、制動等)、高度及び/又は方向の変更が含まれる。
このような自動ビークル応答は、ビークル操縦者の促しに従うことで、又は、自律的な方法で提供され得る。
いくつかの実施形態では、このような自動ビークル応答は、例えば、検知された状況が特定の規準に合致するときに、ビークル操縦者のビークルの制御を無効にしてもよい。
このような規準は例えば、検知された状況が、操縦者の負傷、及び/又は検知された個々のビークルの損傷又は損失につながり得る、あるいは操縦者の動作よりも迅速な行動が必要であり得ると判断される場合等である。
【0031】
本発明概念の他の実施形態では、オンボードの(搭載の)又はオフボードの(非搭載での)プロセッサで点群データが利用され、このような装備のあるビークルに、自律的に運転(走行)する能力を提供する(自律運転(走行)を可能にする)ことができる。
いくつかの実施形態では、このような自律的な機能は、ビークル内又は遠隔のビークル操縦者の自由裁量とすることができる。
このような実施形態では、ビークルは一部の操作(例えば、離陸、着陸、歩行者の混雑等)の間はビークル操縦者からの命令を受けることができ、他の状況下では自律的に走行することができる。
他の実施形態では、このような装備のあるビークルは、完全に自律的に運転(走行)する。
自律的なビークルは、乗客(すなわち、ビークルの操縦に関わっていない人)を乗せるよう構成することができ、又は、人間の存在なしに走行するよう設計することができる。
【0032】
本発明概念の実施形態のいくつかでは、単一の信号処理ユニット(FM変調、波形、又はチャープ、あるいは変調された光源と、反射光を電子インパルスに変換するための受信器と、制御器と、任意で光スイッチ又はルータとを組み込む)と、導波路により接続された複数の光学ヘッド(反射光用の光スキャナと光入力部とを組み込む)とを含む、分散型のライダシステムを、車両(モータービークル)に組み込むことができる。
いくつかの実施形態では、このような分散型のライダシステムの部品は、信号処理ユニットの為に設けられた衝撃及び振動保護部材と共に、個別のビークル(自動車、船舶、航空機等)に分散させる。
他の実施形態では、このような分散型のライダシステムの部品は、プライマリビークル(主ビークル)(操縦者及び/又は自律的な操縦システムを含み得る)と、プライマリビークルによって受動的に誘導(誘導され)及び/又は牽引される、連結されたセカンダリビークル(従ビークル)間に分散する。
セカンダリビークルは、セカンダリビークルに動力を与えるエンジン又はモータを含んでいてもよく、または、プライマリビークルから動力の供給を受けることで、エンジン又はモータがなくてもよい。
いくつかの実施形態では、セカンダリビークルは、プライマリビークルによって誘導されるステアリング(操縦)機構及び/又は制動機構を含んでいてもよい。
例えば、信号処理ユニット(及び、適宜に、1つ以上の光学ヘッド)を、動力及び主たる操縦を供給する、商用の輸送トラックのキャブ部(運転部)内又はキャブ部上に設置することができる。そして、キャブに結合されキャブによって牽引される、1つ以上のトレーラ内又はトレーラ上に、1つ以上の光学ヘッドを設置することができ、キャブはキャブの管理下にあるトレーラのための制動(ブレーキ)を提供する。これらの部品間の接続は、光ファイバ又は導波路により提供される。
このような実施形態では、プライマリビークルとセカンダリビークルとの間に、光コネクタ(光接続器)を設けてもよい。光コネクタは、セカンダリビークル内又はセカンダリビークル上に取り付けられた1以上の光学ヘッドに接続された1以上の光ファイバ又は導波路と、プライマリビークル内又はプライマリビークル上に配置された信号処理ユニットに接続された1つ以上の導波路との間に、光リンク(連結)を設ける(供給する)。
【0033】
本発明概念のいくつかの実施形態では、本発明概念の分散型のFMライダが、先進運転支援システム(ADAS)に組み込まれてもよい。
このようなシステムでは、運転中に安全性を向上させる、自動的な/適応性のある、及び/又は、強化されたビークルシステムが提供される。
このようなシステムは、起こり得る問題について運転者に警告する技術を利用することにより、衝突及び事故を回避したり、又は、ビークルの制御を引き受けることにより、衝突を回避するよう設計されている。
ADASにより、自動点灯、アダプティブ・クルーズ・コントロール及び自動制動などの適応特性を提供することができ、そして、GPS/交通警報を組み込むことができ、スマートフォン及び/又はデータクラウドに接続することができる。
このようなシステムは、他のビークルもしくは障害物の存在及び/又は接近について運転者に注意を促すことができ、ビークルを所望の車線内に保つことができ、及び/又は、ビークルのミラーで視認できない物体を運転者に表示することができる。
【0034】
他の実施形態では、本発明概念の分散型のFMライダ(FM-LiDAR)を組み込んだADASシステムにより、ビークルの動きを誘導する指示をシステムに与えることができる。
例えばADASシステムは、ビークルの制動システム、ステアリングシステム、及び/又はエンジン加速装置の部品を操作するアクチュエータを起動する指示を与えることができる。
このような実施形態では、システムは、ビークル操縦者の行動を補うことができ、又はビークルが自律的又は半自律的な方法で運転(操縦)することを可能にすることができる。
他の実施形態では、ADASシステムは、ビークルシステムに対して、少なくとも部分的に、ビークルを操縦する指示を与えることができる。
例えば、ADASエンジンは、クルーズ・コントロール・システムに指示を与えることができ、次いで、クルーズ・コントロール・システムは、様々なビークル操縦部に結合されたアクチュエータに指示を与える。
また、本発明概念のADASシステムは、ビークル操縦者による直接の行動を必要とせずにビークルを操縦する自律的な運転システムに指示を与えることができる。
【0035】
すでに説明したものに加えて、さらに多くの変形が、本明細書中の本発明概念を逸脱することなしに可能であることは、当業者にとって明らかであろう。
したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の主旨を除いて制限されるべきではない。
さらに明細書及び特許請求の範囲の両方を解釈する際、すべての用語は、文脈と一致した、考え得る最も広い意味で解釈されるものとする。
特に、「備える(有する)」及び「備えた(有した)」という用語は、非排他的な意味では要素、部品、又はステップ(工程)に言及しており、言及された要素、部品、又はステップ(工程)が、明示的に言及されていない他の要素、部品、又はステップ(工程)とともに、存在しても、又は利用されても、又は組み合わされてもよいことを示唆していると解釈されるものとする。
明細書が請求しているものが、A、B、C・・・及びNからなる群から選択される何かの少なくとも1つに言及している場合、文面は、群からの1つの要素のみを要求しており、A且つN又はB且つNなどでないと解釈されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークルであって、
分散型ライダシステムを備え、
前記分散型ライダシステムは、
ハウジング内に単一の信号処理ユニットと
前記ハウジングと離隔して前記ビークルに配置された光学ヘッドと、
前記信号処理ユニットと前記光学ヘッドとの光通信を供給する少なくとも1つの導波路とを有し、
前記信号処理ユニットは、
前記ハウジング内に単一の周波数変調光源と、
前記ハウジング内に受信器とを有し、
前記周波数変調光源は周波数変調波形を供給するよう構成され、
前記受信器は、反射された周波数変調波形を電気信号に変換し、
前記光学ヘッドは
前記周波数変調光源と光通信する光スキャナと
前記受信器と光通信する光入力部とを有し、
前記光スキャナは、前記周波数変調波形を周囲に送信するように構成され、
前記光入力部は、前記周囲から前記反射された周波数変調波形を受信するよう構成されたことを特徴とするビークル。
【請求項2】
前記ビークルはフロントグリルを有し、
前記光学ヘッドは、前記フロントグリルの背部にあることを特徴とする請求項1記載のビークル。
【請求項3】
前記ビークルはドアを有し、
前記光学ヘッドは、前記ドア内にあることを特徴とする請求項1記載のビークル。
【請求項4】
前記ビークルはバンパーアセンブリを有し、
前記光学ヘッドは、前記バンパーアセンブリ内にあることを特徴とする請求項1記載のビークル。
【請求項5】
前記ビークルは自律運転車であることを特徴とする請求項1記載のビークル。
【請求項6】
前記周波数変調光源はウィスパリングギャラリーモード光共振器に結合されたレーザ光源を有することを特徴とする請求項1記載のビークル。
【請求項7】
前記信号処理ユニットは、
前記ハウジングに制御器をさらに有し、
前記制御器は、前記電気信号に基づき、前記周囲の物体までの距離に関する情報を引き出すことを特徴とする請求項1記載のビークル。
【請求項8】
前記ビークルは、
前記ビークルを自律運転可能にするよう構成された少なくとも1つのプロセッサを有し、
前記プロセッサは、少なくとも部分的に、前記周囲の前記物体までの前記距離に関する前記情報に基づいて自律運転することを特徴とする請求項7記載のビークル。
【請求項9】
前記信号処理ユニットの前記ハウジングに取り付けられた耐衝撃及び耐振動部材を有することを特徴とする請求項1記載のビークル。
【請求項10】
前記分散型ライダシステムは、
前記ハウジングから離隔し、前記ビークルの異なる第2の位置に第2の光学ヘッドと、
前記信号処理ユニットと前記第2の光学ヘッド間の光通信を供給する少なくとも1つの別の導波路とをさらに有し、
前記第2の光学ヘッドは、
前記周波数変調光源と光通信する第2の光スキャナと、
前記受信器と光通信する第2の光入力部とを有する
ことを特徴とする請求項1記載のビークル。
【請求項11】
前記信号処理ユニットは、前記光入力部と前記第2の光入力部とを切り替える光ルータをさらに有することを特徴とする請求項10記載のビークル。
【請求項12】
光コネクタをさらに備え、
セカンダリビークルが前記ビークルに連結され、前記セカンダリビークルが第2の光学ヘッドを有し、
前記第2の光学ヘッドは、
前記ビークルの前記光コネクタを介して前記周波数変調光源と光通信する第2の光スキャナと、
前記ビークルの前記光コネクタを介して前記受信器と光通信する第2の光入力部とを有することを特徴とする請求項1記載のビークル。
【請求項13】
少なくとも1つの前記導波路は、
前記ハウジングの前記周波数変調光源と前記光スキャナとの光通信を提供する第1の導波路と、
前記光入力部と前記ハウジングの前記受信器との光通信を提供する第2の導波路を有することを特徴とする請求項1記載のビークル。
【請求項14】
ビークルであって、
分散型ライダシステムと前記分散型ライダシステム通信する少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記分散型ライダシステムは、
ハウジング内に単一の信号処理ユニットと、
前記ハウジングと離隔して前記ビークルに配置された光学ヘッドと、
前記信号処理ユニットと前記光学ヘッドとの光通信を供給する少なくとも1つの導波路とを有し、
前記信号処理ユニットは、
前記ハウジング内に単一の周波数変調光源と、
前記ハウジング内に受信器と
前記ハウジング内に制御器とを有し、
前記周波数変調光源は周波数変調波形を供給するよう構成され、
前記受信器は、反射された周波数変調波形を電気信号に変換し、
前記制御器は、前記電気信号に基づいて周囲の物体までの距離に関する情報を引き出すよう構成され、
前記光学ヘッドは
前記周波数変調光源と光通信する光スキャナと、
前記受信器と光通信する光入力部とを有し、
前記光スキャナは、前記周波数変調波形を前記周囲に送信するように構成され、
前記光入力部は、前記周囲から前記反射された周波数変調波形を受信し、
少なくとも1つの前記プロセッサは前記ビークルの自律運転を可能とするよう構成され、
少なくとも1つの前記プロセッサは、少なくとも部分的に、前記周囲の前記物体までの前記距離に関するの前記情報に基づいて自律運転することを特徴とするビークル。
【請求項15】
前記光学ヘッドは、前記ビークルのフロントグリルの背部、前記ビークルのドア内又は前記ビークルのバンパーアセンブリ内のいずれかにあることを特徴とする請求項14記載のビークル。
【請求項16】
前記周波数変調光源は、ウィスパリングギャラリーモード光共振器に結合されたレーザ光源を有することを特徴とする請求項14記載のビークル。
【請求項17】
前記分散型ライダシステムは、
前記ハウジングから離隔し、前記ビークルの異なる第2の位置に第2の光学ヘッドと、
前記信号処理ユニットと前記第2の光学ヘッド間の光通信を供給する少なくとも1つの異なる導波路とをさらに有し、
前記第2の光学ヘッドは、
前記周波数変調光源と光通信する第2の光スキャナと、
前記受信器と光通信する第2の光入力部と
を有することを特徴とする請求項14記載のビークル。
【請求項18】
光コネクタをさらに備え、
セカンダリビークルが前記ビークルに連結され、
前記セカンダリビークルは第2の光学ヘッドを有し、
前記第2の光学ヘッドは、
前記ビークルの前記光コネクタを介して前記周波数変調光源と光通信する第2の光スキャナと、
前記ビークルの前記光コネクタを介して前記受信器と光通信する第2の光入力部とを有することを特徴とする請求項14記載のビークル。
【請求項19】
ビークルであって、
分散型ライダシステムを備え、
前記分散型ライダシステムは、
ハウジング内に単一の信号処理ユニットと
前記ハウジングと離隔して前記ビークルの第1の位置に配置された第1の光学ヘッドと、
前記ハウジングと離隔して前記ビークルの第2の位置に配置された第2の光学ヘッドと、
前記第1の光学ヘッドと前記信号処理ユニットとの光通信を供給する少なくとも1つの導波路と、
前記第2の光学ヘッドと前記信号処理ユニットとの光通信を供給する少なくとも1つの別の導波路とを有し、
前記信号処理ユニットは、
前記ハウジング内に単一の周波数変調光源と、
前記ハウジング内に受信器とを有し、
前記周波数変調光源は周波数変調波形を供給するよう構成され、
前記受信器は、反射された周波数変調波形を電気信号に変換し、
前記第1の光学ヘッドは、
前記周波数変調光源と光通信する第1の光スキャナと
前記受信器と光通信する第1の光入力部とを有し、
前記第1の光スキャナは、前記周波数変調波形を周囲に送信するように構成され、
前記第1の光入力部は、前記周囲から前記反射された周波数変調波形を受信するよう構成され、
前記第2の光学ヘッドは、
前記周波数変調光源と光通信する第2の光スキャナと
前記受信器と光通信する第2の光入力部とを有することを特徴とするビークル。
【請求項20】
前記第1の光学ヘッド又は前記第2の光学ヘッドの少なくとも1つは前記ビークルのフロントグリルの背部にあることを特徴とする請求項19記載のビークル。
【外国語明細書】