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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143945
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】飲料充填システム
(51)【国際特許分類】
   B67C 3/00 20060101AFI20230928BHJP
   A61L 2/04 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B67C3/00 A
A61L2/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121200
(22)【出願日】2023-07-26
(62)【分割の表示】P 2019198200の分割
【原出願日】2019-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】関屋 雄一
(57)【要約】
【課題】定置洗浄等の性能を損なうことなく、低コストの飲料充填システムを提供すること。
【解決手段】飲料充填システムは、製品液を殺菌する殺菌部と、殺菌部から供給される製品液を一時的に蓄える貯留部と、貯留部から供給される製品液を容器に充填する充填部と、を備える。充填部は、容器を洗浄する洗浄液を生成する第3洗浄・殺菌機構と、製品液を容器に充填する充填機と、第3洗浄・殺菌機構と前記充填機とを通る循環路と、を備える。第3洗浄・殺菌機構は、充填部の機械的な構成要素の定置洗浄および定置殺菌を賄う。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品液を殺菌する殺菌部と、
前記殺菌部から供給される前記製品液を一時的に蓄える貯留部と、
前記貯留部から供給される前記製品液を容器に充填する充填部と、を備え、
前記殺菌部は、
前記製品液を殺菌する製品液殺菌機構と、前記製品液殺菌機構を定置洗浄、定置殺菌するための第1洗浄・殺菌機構と、を備え、
前記充填部は、
前記容器を洗浄する洗浄液を生成する第3洗浄・殺菌機構と、前記製品液を前記容器に充填する充填機と、前記第3洗浄・殺菌機構と前記充填機とを通る循環路と、を備え、
前記第3洗浄・殺菌機構は、
前記充填部の機械的な構成要素の前記定置洗浄および前記定置殺菌を賄う、飲料充填システム。
【請求項2】
前記殺菌部の前記定置洗浄において、前記第1洗浄・殺菌機構で生成される前記洗浄液を使って行われ、
前記充填部の機械的な前記構成要素の前記定置洗浄において、前記第3洗浄・殺菌機構で生成される前記洗浄液を使って行われる、
請求項1に記載の飲料充填システム。
【請求項3】
前記第3洗浄・殺菌機構で生成される前記洗浄液を前記充填部の機械的な前記構成要素に向けて供給する第6流路と、
前記充填部の機械的な前記構成要素の洗浄、殺菌で使用された前記洗浄液を前記第3洗浄・殺菌機構に回収するための第7流路と、
前記第3洗浄・殺菌機構で生成される前記洗浄液、殺菌液を前記充填部に供給された前記容器の洗浄、殺菌のために供給する第8流路と、
前記充填部における前記容器の洗浄、殺菌で使用された前記洗浄液を前記第3洗浄・殺菌機構に回収するための第9流路と、を備え、
前記第6流路と前記第7流路により循環路が形成され、
前記第8流路と前記第9流路により循環路が形成される、
請求項1または請求項2に記載の飲料充填システム。
【請求項4】
前記殺菌部の前記定置殺菌において、前記殺菌部の前記第1洗浄・殺菌機構で生成される熱水を使って行われ、
前記充填部の前記定置殺菌は、前記貯留部の前記第3洗浄・殺菌機構で生成される熱水を使って行われる、
請求項2または請求項3に記載の飲料充填システム。
【請求項5】
前記貯留部の機械的な構成要素の前記定置洗浄および前記定置殺菌を行う第2洗浄・殺菌機構を備え、
第2洗浄・殺菌機構は、前記貯留部の前記構成要素の前記定置洗浄および前記定置殺菌に占有され、
前記貯留部の前記定置洗浄は、前記貯留部の前記第2洗浄・殺菌機構で生成される前記洗浄液を使って行われ、
前記貯留部の前記定置殺菌は、前記貯留部の前記第2洗浄・殺菌機構で生成される熱水を使って行われる、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の飲料充填システム。
【請求項6】
前記殺菌部の前記製品液殺菌機構は、
前記製品液を熱交換により加熱殺菌し、かつ、前記第1洗浄・殺菌機構からの前記洗浄液、殺菌液を熱交換により加熱する、
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の飲料充填システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製品液を無菌状態で充填するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料、その他の製品液を無菌状態で充填するシステムは、例えばプラスチック容器に充填する飲料の種類を切り替える際に、あるいは定期的に、飲料が流れる経路を構成する機器および配管系を含む機械的な構成要素を洗浄して、配管系に付着した汚れを除去するとともに、その殺菌を行う。
従来、この洗浄は、定置洗浄(CIP:cleaning in place)と称され、配管系内に洗
浄液を循環させることにより行われている。また、配管系を無菌状態に維持するために、蒸気や殺菌液を配管系内に循環させる定置殺菌(SIP:sterilization in place)と称される殺菌処理が定置洗浄に続いて行われる。
本開示において、無菌とは菌類が皆無であることまで意味するものではなく、あるレベル以下の存在量に抑えられていることをいう。殺菌についても同様であり、存在していた全ての殺菌が死滅することまでを意味するものではない。
【0003】
飲料充填システムは、システムを構成する要素として、製品液の殺菌の他に、定置洗浄殺菌機構又は定置洗浄殺菌機構として機能する、例えば、超高温(UHT:ultra high temperature)又は無菌超高温(AUHT:aseptic ultra high temperature)式殺菌機を備える。この殺菌機は、特許文献1に記載されるように、飲料を加熱して殺菌するのに加えて、定置洗浄のための洗浄液を加熱する機能を備える。なお、以下では定置洗浄および定置殺菌の両者を定置洗浄等と総称することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-174692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、飲料充填システムは、殺菌された飲料を貯留する無菌タンク(ACT:aseptic tank)を備えており、定置洗浄殺菌機構等はこの無菌タンクにも設けられている。さらに、特許文献1に開示されるように、定置洗浄殺菌機構等は飲料を充填する部分にも設けられている。このように、従来の飲料充填システムは、複数の同じ機能を有する定置洗浄殺菌機構等を異なる部位に備えており、高コストな設備となる。
以上より、本開示は、定置洗浄等の性能を損なうことなく、低コストな飲料充填システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る飲料充填システムは、殺菌部、貯留部および充填部を備える。
殺菌部は、製品液を殺菌する。
貯留部は、殺菌部から供給される製品液を一時的に蓄える。
充填部は、貯留部から供給される製品液を容器に充填する。
本開示に係る充填部は、容器を洗浄する洗浄液を生成する第3洗浄・殺菌機構と、製品液を容器に充填する充填機と、第3洗浄・殺菌機構と充填機とを通る循環路と、を備える。
第3洗浄・殺菌機構は、充填部の機械的な構成要素の定置洗浄および定置殺菌を賄う。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る飲料充填システムによれば、充填部が備える第3洗浄・殺菌機構が充填部の機械的な要素の定置洗浄および定置殺菌を賄う。これにより、充填部はその機械的な構成要素の定置洗浄および定置殺菌を行う専用の洗浄・殺菌機構を省けるので、飲料充填システムのコストを下げることができる。
しかも、本開示に係る飲料充填システムによれば、洗浄性能および殺菌性能が担保された第3洗浄・殺菌機構が洗浄・殺菌を賄うので、洗浄・殺菌の性能を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態に係る飲料充填システムの概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態に係る飲料充填システムの殺菌部の構成を示す図である。
図3】第1実施形態に係る飲料充填システムの流路構成を示す図である。
図4】第1実施形態に係る飲料充填システムの定置洗浄における洗浄液の流れを示す図である。
図5】第1実施形態に係る飲料充填システムの定置殺菌における洗浄液の流れを示す図である。
図6】第1実施形態に係る飲料充填システムの充填動作における製品液の流れを示す図である。
図7】本開示の第2実施形態に係る飲料充填システムの概略構成を示す図である。
図8】第2実施形態に係る飲料充填システムの流路構成を示す図である。
図9】第2実施形態に係る飲料充填システムの定置洗浄における洗浄液の流れを示す図である。
図10】第2実施形態に係る飲料充填システムの定置殺菌における殺菌液の流れを示す図である。
図11】第2実施形態に係る飲料充填システムの充填動作における製品液の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る第1実施形および第2実施形態を順に説明する。第1実施形態に係る飲料充填システム1は、殺菌部3が備える第1洗浄・殺菌機構20で充填部7の機械的な構成要素の定置洗浄および定置殺菌を賄う。また、第2実施形態に係る飲料充填システム2は、容器、キャップの洗浄、殺菌のために設けられる第3洗浄・殺菌機構70で充填部7の機械的な構成要素の定置洗浄および定置殺菌を賄う。
【0010】
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る飲料充填システム1は、図1に示すように、製品液を殺菌する殺菌部3と、殺菌部3で殺菌された製品液を一時的に貯留する貯留部5と、貯留部5から供給される製品液を容器に充填する充填部7と、を主要な要素として備える。飲料充填システム1は、殺菌部3、貯留部5および充填部7の動作を制御する制御部9を備える。
【0011】
[飲料充填システム1の基本構成]
飲料充填システム1は、貯留部5を介して殺菌部3で殺菌された製品液を充填部7に供給するシステムであり、殺菌部3、貯留部5および充填部7を定置洗浄および定置殺菌する構成に特徴を有している。
【0012】
[殺菌部3]
殺菌部3は、図1に示すように、飲料等の製品液を高温で加熱して殺菌し、殺菌された製品液が貯留部5に送られる。殺菌部3は、製品液を殺菌するUHT機構10を備える。殺菌部3は、UHT機構10を含む構成要素を定置洗浄、定置殺菌するための第1洗浄・殺菌機構20を備える。UHT機構10は、製品液を加熱するのに加えて、定置洗浄のた
めの洗浄液、定置殺菌のための殺菌液を加熱する。本実施形態においては、これら洗浄液および殺菌液が充填部7に供給され、充填部7の構成要素の定置洗浄および定置殺菌が行われる。UHT機構10と第1洗浄・殺菌機構20は、第1流路22と第2流路24からなる循環路(第1循環路)の上に設けられている。
【0013】
[UHT機構10]
UHT機構10は熱交換器としての機能を有し、製品液、洗浄液、殺菌液を熱交換によって加熱したり、冷却したりする。UHT機構10は、図2に示すように、上流側に配置される加熱部11と、下流側に配置される冷却部13とを有する。
【0014】
加熱部11は、製品製造のときには、供給されてくる製品液を例えば蒸気と熱交換して加熱する。加熱部11は、例えば、120℃以上に製品液を加熱する。加熱部11は、定置洗浄時には、供給されてくる洗浄液を蒸気と熱交換して加熱する。また、加熱部11は、定置殺菌時には、供給されてくる水を蒸気と熱交換して、殺菌液としての殺菌液を生成する。加熱部11は、制御部9からの指示に基づいて、製品液などの加熱を開始または停止する。
【0015】
冷却部13は、製品製造のときには、加熱部11で加熱された製品液を冷媒と熱交換させることで冷却する。冷却部13は、定置洗浄、定置殺菌の時にも、供給されてくる洗浄液、殺菌液を冷媒と熱交換させることで冷却する。冷却部13は、制御部9からの指示に基づいて、製品液などの冷却を開始または停止する。
【0016】
[第1洗浄・殺菌機構20]
第1洗浄・殺菌機構20は、製品製造のときには製品液をUHT機構10に供給し、定置洗浄等のときには洗浄液、殺菌液をUHT機構10に供給する。第1洗浄・殺菌機構20は、定置洗浄および定置洗浄のときには、洗浄液、殺菌液がUHT機構10と第1洗浄・殺菌機構20を通る経路を循環する。
以上の機能を奏する第1洗浄・殺菌機構20は、図2に示すように、クッションタンク21と、第1流路22と、第2流路24と、を有している。
【0017】
クッションタンク21は、上流側から供給されてくる製品液などを一時的に蓄える。クッションタンク21は、必要な量の製品液などを下流に向けて供給する。
本実施形態のクッションタンク21には、製品液を供給する第1供給源32、洗浄液を供給する第2供給減34および殺菌液をなす水を供給する第3供給源36が接続されている。製品製造のときには第1供給源32から製品液がクッションタンク21に供給され、定置洗浄のときには第2供給減34から洗浄液がクッションタンク21に供給され、定置殺菌時には第3供給源36から水がクッションタンク21に供給される。
【0018】
第1流路22は、クッションタンク21から供給される製品液などを下流に向けて流す。第1流路22は、図2に示すように、一端がクッションタンク21に接続され、他端(矢印の先端)が第2弁31を通って第2流路24と接続される配管である。第1流路22は、その途中にクッションタンク21から加熱部11に向かって製品液などを圧送するポンプを設けることができる。第2流路24を含め、他の流路も同様である。
【0019】
第1流路22には、図2および図3に示すように、上流側から第1弁29および第2弁31が設けられている。
第1弁29は、後述する第3流路41の一端が接続される。第3流路41からは第1往路47が分岐され、この第1往路47は第4流路43に合流する。第1往路47は、第1洗浄・殺菌機構20で生成される洗浄液、殺菌液を充填機60に供給する流路である。
第2弁31は、後述する第1復路49の一端が接続される。第1復路49は、第2弁31と充填機60とを接続する。第1復路49は、充填機60に供給された洗浄液、殺菌液を殺菌部3に戻すための流路である。第1往路47と第1復路49は、貯留部5を迂回して充填部7に接続される。
【0020】
第1弁29が設けられる位置が本開示における第1接続位置P1であり、第2弁31が設けられる位置が本開示における第2接続位置P2である。第1接続位置P1より、第2接続位置P2が、第1流路22および第2流路24からなる第1循環路を洗浄液または殺菌液が流れる向きを基準にして、下流に設けられる、
【0021】
第2流路24は、第2弁31を通過してきた洗浄液、殺菌液をクッションタンク21に向けて流す。第2流路24は、一端が第1流路22と接続され、他端(矢印の先端)がクッションタンク21と接続されている。これにより、第1流路22と第2流路24はクッションタンク21を介して循環経路を形成する。この循環経路には、洗浄液、殺菌液を例えばろ過により清浄にする機能を持たせてもよい。
【0022】
第1洗浄・殺菌機構20には、図2に示すように、第1流路22に第1背圧弁25が設けられるとともに、第2流路24に第2背圧弁37が設けられる。また、第1洗浄・殺菌機構20には、第1流路22に第1圧力計27が設けられるとともに、第2流路24に第2圧力計33と温度計35が設けられる。
第1背圧弁25はそれよりも上流の第1流路22を流れる流体に必要な圧力を付与し、第2背圧弁37はそれよりも上流の第1流路22および第2流路24を流れる流体に必要な圧力を付与する。また、第1圧力計27は第1弁29よりも上流側を流れる流体の圧力を測定し、第2圧力計33は第2弁31よりも下流側を流れる流体の圧力を測定する。温度計35は、第2弁31よりも下流側を流れる流体の温度を測定する。制御部9は、測定された圧力および温度を取得し、飲料充填システム1の運転を制御する。第1背圧弁25と第2背圧弁37は、第1接続位置P1における第1往路47の第1圧力と第2接続位置P2における第1復路49の第2圧力とを一致させる圧力調整機構を構成する。
【0023】
第2弁31は、第1弁29よりも下流に設けられる。また、第2弁31は、第2背圧弁37よりも上流に設けられている。つまり、第2弁31は第1弁29と第2背圧弁37の間に設けられている。
【0024】
[貯留部5]
貯留部5は、殺菌部3にて殺菌された製品液を無菌タンク40で一時的に蓄える。充填部7で必要とされるときに、貯留部5から製品液が充填部7に向けて供給される。貯留部5は、図1および図3に示すように、無菌タンク40と第2洗浄・殺菌機構50を添える。第2洗浄・殺菌機構50は、殺菌部3の第1洗浄・殺菌機構20と同様の構成を備えている。ただし、第2洗浄・殺菌機構50は、製品液を供給する機能を備えていないのに加えて、貯留部5の定置洗浄、定置殺菌に占有される。
【0025】
貯留部5は、図1および図3に示すように、貯留部5と殺菌部3の第1流路22とを接続する第3流路41を有しており、その一端が無菌タンク40に接続され、他端が第1弁29を介して第1流路22に接続される。第3流路41には、第3弁42が設けられている。
【0026】
貯留部5は、図1および図3に示すように、貯留部5と充填部7とを接続する第4流路43を有している。第4流路43は、無菌タンク40と充填機60とを接続する配管であり、その一端が無菌タンク40に接続され、他端が充填機60に接続される。第4流路43には、第4弁44が設けられている。
【0027】
貯留部5は、図1および図3に示すように、第3弁42と第4弁44を接続する第5流路45を有している。第2洗浄・殺菌機構50は第5流路45に設けられている。
【0028】
また、貯留部5は、図1および図3に示すように、第3流路41から分岐し、第4流路43に合流する第1往路47を備える。殺菌部3の第1洗浄・殺菌機構20で生成される洗浄液または殺菌液がこの第1往路47を通って充填機60に供給される。第1往路47は、第1弁29と第3弁42の間の第3流路41に一端が接続され、第4弁44と充填機60の間の第4流路43に他端が接続される。第1往路47には、第5弁46と第6弁48が設けられている。
【0029】
第2洗浄・殺菌機構50は、無菌タンク40、第3流路41および第4流路43などの貯留部5の機械的な構成要素を定置洗浄、定置殺菌を担う。第1実施形態において、第2洗浄・殺菌機構50は、貯留部5の定置洗浄、定置殺菌の専用の機構である。
【0030】
[充填部7]
充填部7は、貯留部5を介して供給される殺菌された製品液を、例えば空のプラスチック容器に充填する。
充填部7に設けられる充填機60は、例えば複数の充填ノズルが水平面内で高速回転するホイールの周縁に配置される回転式の充填機を採用できる。この充填機は、ホイールの回転に伴って充填ノズルを旋回運動させつつ、充填ノズルの下をホイールの周速度に同調して走行する各容器に、充填ノズルから製品液を定量充填する。ただし、本開示においては、回転式に限らず直線式の充填機を採用することもできる。本実施形態に係る充填部7は、専用の定置洗浄殺菌機構を備えておらず、殺菌部3の第1洗浄・殺菌機構20で生成される洗浄液および殺菌液を用いて充填ノズルなどの定置洗浄および定置殺菌を行う。
【0031】
[第1弁29および第2弁31の動作]
次に、飲料充填システム1が備える第1弁29、第2弁31などの動作について順に説明する。
第1弁29は、第1流路22を流れる流体について、以下のAおよびBの2つの経路を選択的に形成される。この経路の選択は、制御部9からの指示に基づく。
経路A:貯留部5だけに流す。このときに流れる流体は、製品液である。
経路B:貯留部5および第1洗浄・殺菌機構20に流す。このときに流れる流体は、第1洗浄・殺菌機構20で生成される洗浄液または殺菌液である。
次に、第2弁31は、第1流路22を流れる流体および第1復路49を流れる流体について、以下のaおよびbの2つの経路が選択的に形成される。この経路の選択は、制御部9からの指示に基づく。
経路a:流れを止める。このときに止められる流体は、製品液である。
経路b:第1洗浄・殺菌機構20に流す。このときに流れる流体は、第1洗浄・殺菌機構20で生成される洗浄液または殺菌液である。洗浄液または殺菌液は、第1弁29を通過して流入するものおよび第1復路49を通過して流入するものの両者である。
【0032】
[第3弁42および第4弁44の動作]
第3弁42は、以下のCおよびDの2つの経路が選択的に形成される。
経路C:第1弁29を通過した流体を無菌タンク40に流す。このときに流れる流体は、製品液である。
経路D:第2洗浄・殺菌機構50からの流体を無菌タンク40に流す。このときに流れる流体は、第2洗浄・殺菌機構50で生成される洗浄液または殺菌液である。
次に、第4弁44は、以下のcおよびdの2つの経路が選択的に形成される。
経路c:無菌タンク40を通過した流体を充填機60に流す。このときに流れる流体は、製品液である。
経路d:無菌タンク40を通過した流体を第2洗浄・殺菌機構50に流す。このときに流れる流体は、第2洗浄・殺菌機構50で生成される、洗浄液または殺菌液である。
【0033】
[第5弁46および第6弁48の動作]
第5弁46は、以下のEおよびFの2つの経路が選択的に形成される。
経路E:第5弁46を通過した流体を無菌タンク40に流す。このときに流れる流体は、第1洗浄・殺菌機構20で生成される洗浄液または殺菌液である。
経路F:閉
次に、第6弁48は、以下のeおよびfの2つの経路が選択的に形成される。
経路e:第6弁48を通過した流体を第4流路43に流す。このときに流れる流体は、第1洗浄・殺菌機構20で生成される洗浄液または殺菌液である。
経路f:閉
【0034】
[飲料充填システム1の動作]
次に、図4図6を参照して、定置洗浄動作(図4)、定置殺菌動作(図5)および製品製造(図6)の順に、飲料充填システム1の動作を説明する。なお、図4図6において、開いている弁の経路は白抜きで示され、閉じている弁の経路は黒く塗りつぶされている。後述する第2実施形態の飲料充填システム2においても同様である。
【0035】
[定置洗浄動作(図4)]
殺菌部3と充填部7の機械的な構成要素の定置洗浄は、殺菌部3の第1洗浄・殺菌機構20で生成される洗浄液を使って行われる。貯留部5の定置洗浄動作は、貯留部5の第2洗浄・殺菌機構50で生成される洗浄液を使って行われる。
【0036】
殺菌部3と充填部7の定置洗浄においては、殺菌部3について定置洗浄が行われる経路α11と、充填部7について定置洗浄が行われる経路α12と、が形成される。
経路α11は、第1洗浄・殺菌機構20で生成される洗浄液が、UHT機構10、第1弁29および第2弁31を通って第1洗浄・殺菌機構20に戻る循環経路をなしている。
経路α12は、第1洗浄・殺菌機構20で生成される洗浄液が、UHT機構10、第1弁29、第6弁48、第6弁48、充填機60および第2弁31を通って第1洗浄・殺菌機構20に戻る循環経路をなしている。
【0037】
ここで、経路α12において、洗浄液が戻る第2弁31は洗浄液が出る第1弁29よりも下流であって、第2背圧弁37よりも下流に配置される。これは、殺菌液として熱水を用いる場合にその沸騰を抑えるためである。また、できるだけ洗浄および殺菌がなされない領域を減らすためである。
また、第1背圧弁25と第2背圧弁37は、第1接続位置P1における第1往路47の第1圧力と第2接続位置P2における第1復路49の第2圧力とを一致させる圧力調整機構を構成する。
【0038】
貯留部5の定置洗浄は、第2洗浄・殺菌機構50で生成される洗浄液が第3流路41、第4流路43および第5流路45を循環する過程で、無菌タンク40の内部を通過する。こうして、貯留部5の洗浄は、殺菌部3と充填部7の定置洗浄とは独立して行われる。
【0039】
[定置殺菌動作(図5)]
次に、図5を参照して、定置殺菌の動作について説明する。
殺菌部3と充填部7の機械的な構成要素の定置殺菌は、殺菌部3の第1洗浄・殺菌機構20で生成される殺菌液としての熱水HWを使って行われる。貯留部5の定置洗浄動作は、貯留部5の第2洗浄・殺菌機構50で殺菌液としての熱水HWを使って行われる。
【0040】
殺菌部3と充填部7の定置殺菌においては、殺菌部3について定置殺菌が行われる経路β11と、充填部7について定置殺菌が行われる経路β12と、が形成される。
経路β11は、第1洗浄・殺菌機構20で生成される殺菌液が、UHT機構10、第1弁29および第2弁31を通って第1洗浄・殺菌機構20に戻り、以後は同じ経路を繰り返して辿る循環経路をなしている。
経路β12は、第1洗浄・殺菌機構20で生成される殺菌液が、UHT機構10、第1弁29、第6弁48、第6弁48、充填機60および第2弁31を通って第1洗浄・殺菌機構20に戻り、以後は同じ経路を繰り返して辿る循環経路をなしている。
【0041】
貯留部5の定置殺菌においては、第2洗浄・殺菌機構50で生成される殺菌液としての熱水HWが第3流路41、第4流路43および第5流路45を循環する過程で、無菌タンク40の内部を通過する。こうして、貯留部5の定置殺菌は、殺菌部3と充填部7の定置殺菌とは独立して行われる。定置殺菌に供された熱水HWは、第3弁42、第4弁44から外部に排出させることもできる。
【0042】
以上の通りであり、飲料充填システム1において、殺菌部3の第1洗浄・殺菌機構20で生成される洗浄液は、貯留部5の特に無菌タンク40を経由することなく、充填部7で共用され、充填部7の殺菌を賄う。これは、定置洗浄においても同様である。ここで、無菌タンク40は容量が大きい。そして、例えば、第1洗浄・殺菌機構20で生成される殺菌液としての熱水HWが無菌タンク40を経由して充填部7に供給されるものとすると、無菌タンク40を通過した熱水HWは温度が低くなり、殺菌液として機能しなくなるおそれがある。そこで、無菌タンク40よりも容量の小さい貯留部5および充填部7においては第1洗浄・殺菌機構20を共用するが、無菌タンク40を備える貯留部5においては第2洗浄・殺菌機構50により貯留部5および充填部7と独立して定置洗浄および定置殺菌が実施される。
【0043】
[製品製造動作(図6)]
次に、図6を参照して、製品を製造する動作について説明する。
製品を製造するときには、製品液PLが第1流路22および第3流路41を通って無菌タンク40に供給される。無菌タンク40に供給された製品液は、第4流路43を通って充填機60に供給され、充填機60に連続的に供給される空の容器に充填される。
無菌タンク40には、その液位に応じて製品液の供給が行われる。例えば、製品液の液位が下限に達すれば、製品液が無菌タンク40に供給される。製品液の液位が上限に達すれば、製品液の無菌タンク40への供給が停止される。
【0044】
[飲料充填システム1の効果]
以上説明した飲料充填システム1によれば、以下の効果を奏する。
飲料充填システム1は、殺菌部3と充填部7の定置洗浄および定置殺菌の両者を、殺菌部3が備える第1洗浄・殺菌機構20で賄うことができる。したがって、飲料充填システム1は、充填部7の機械的な構成要素の定置洗浄および定置殺菌のために専用の洗浄・殺菌機構を設けるのを省けるので、飲料充填システム1の製造コストを下げることができる。しかも、飲料充填システム1によれば、洗浄性能および殺菌性能が担保された殺菌部3が備える第1洗浄・殺菌機構20が洗浄・殺菌を賄うので、充填部7における洗浄・殺菌の性能を担保できる。
【0045】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態に係る飲料充填システム2を、図7図11を参照して説明する。
飲料充填システム2も専用の洗浄・殺菌機構を設けることなく、充填機60の定置洗浄・殺菌を行うことができる。飲料充填システム2は、図7および図8に示すように、充填機60の定置洗浄・殺菌を第3洗浄・殺菌機構70が賄う。
【0046】
第3洗浄・殺菌機構70は、製品液が供給される容器、キャップを洗浄する洗浄液を生成し充填機60に供給する機構を有している。また、第3洗浄・殺菌機構70は、容器、キャップの洗浄後に容器、キャップをすすいで殺菌する殺菌液を生成し充填機60に供給する機構を備えている。つまり、第3洗浄・殺菌機構70は、第1洗浄・殺菌機構20と同様の構成を備えている。これらの機能を有する第3洗浄・殺菌機構70は、飲料充填システムにおける必須の要素と言える。そこで、飲料充填システム2は、第3洗浄・殺菌機構70が備える洗浄・殺菌機構で充填機60を構成する機械的な構成要素の定置洗浄・殺菌を賄う。充填機60における定置洗浄・殺菌の主たる対象は、充填機60が備える製品液を貯留するタンク、製品液を容器に充填するバルブおよびこれらを繋ぐ配管類である。貯留タンクおよび充填バルブの図示は省略されている。
【0047】
飲料充填システム2は、第3洗浄・殺菌機構70で生成される洗浄液、殺菌液を充填機60の機械的な構成要素に向けて供給する第6流路71と、充填機60の機械的な構成要素の洗浄、殺菌で使用された洗浄液、殺菌液を第3洗浄・殺菌機構70に回収するための第7流路72と、を備えている。第6流路71には第7弁73が設けられ、第7流路72には第8弁74が設けられる。
飲料充填システム2は、第3洗浄・殺菌機構70で生成される洗浄液、殺菌液を充填機60に供給された容器、キャップの洗浄、殺菌のために供給する第8流路75を備える。また、飲料充填システム2は、充填機60における容器、キャップの洗浄、殺菌で使用された洗浄液、殺菌液を第3洗浄・殺菌機構70に回収するための第9流路76を備える。
【0048】
第3洗浄・殺菌機構70は、容器およびキャップを洗浄、殺菌する洗浄液、殺菌液を第6流路71から供給するとともに、貯留タンクおよび充填バルブを洗浄、殺菌する洗浄液、殺菌液を第6流路71から供給する。ただし、本開示において、容器およびキャップ用の洗浄液、殺菌液と、貯留タンクおよび充填バルブ用の洗浄液、殺菌液と、を独立した流路で供給することもできる。
【0049】
充填機60および第3洗浄・殺菌機構70において、容器およびキャップを洗浄、殺菌する洗浄液、殺菌液は消費されるが、貯留タンクおよび充填バルブを洗浄、殺菌する洗浄液、殺菌液は、第7流路72で回収される。
【0050】
[飲料充填システム2の動作]
次に、図9図11を参照して、定置洗浄動作(図9)、定置殺菌動作(図10)および製品製造(図11)の順に、飲料充填システム2の動作を説明する。
【0051】
[定置洗浄動作(図9)]
殺菌部3の定置洗浄は、殺菌部3の第1洗浄・殺菌機構20で生成される洗浄液WLを使って行われる。貯留部5の定置洗浄動作は、貯留部5の第2洗浄・殺菌機構50で生成される洗浄液WLを使って行われる。また、充填部7の機械的な構成要素の定置洗浄は、殺菌部3の第3洗浄・殺菌機構70で生成される洗浄液WLを使って行われる。
【0052】
飲料充填システム2において、殺菌部3について定置洗浄が行われる経路α21と、貯留部5について定置洗浄が行われる経路α22と、充填部7について定置洗浄が行われる経路α23と、が形成される。
経路α21は、第1洗浄・殺菌機構20で生成される洗浄液WLが、UHT機構10、第1弁29および第2弁31を通って第1洗浄・殺菌機構20に戻る循環経路をなしている。
経路α22は、第2洗浄・殺菌機構50で生成される洗浄液WLが第3流路41、第4流路43および第5流路45を循環する過程で、無菌タンク40の内部を通過する。
経路α23は、第3洗浄・殺菌機構70で生成される洗浄液WLが、第6流路71、充填機60および第7流路72を通って第3洗浄・殺菌機構70に戻る循環経路をなしている。
【0053】
[定置殺菌動作(図10)]
次に、図10を参照して、定置殺菌の動作について説明する。
殺菌部3の定置殺菌は、殺菌部3の第1洗浄・殺菌機構20で生成される殺菌液としての熱水HWを使って行われる。貯留部5の定置殺菌は、貯留部5の第2洗浄・殺菌機構50で生成される熱水HWを使って行われる。充填部7の定置殺菌は、貯留部5の第3洗浄・殺菌機構70で生成される熱水HWを使って行われる。
【0054】
飲料充填システム2において、殺菌部3について定置殺菌が行われる経路β21と、貯留部5について定置殺菌が行われる経路β22と、充填部7について定置殺菌が行われる経路β23と、が形成される。
経路β21は、第1洗浄・殺菌機構20で生成される殺菌液としての熱水HWが、UHT機構10、第1弁29および第2弁31を通って第1洗浄・殺菌機構20に戻り、以後は同じ経路を繰り返して辿る循環経路をなしている。
経路β22は、第2洗浄・殺菌機構50で生成される洗浄液WLが第3流路41、第4流路43および第5流路45を循環する過程で、無菌タンク40の内部を通過する。
経路β23は、第3洗浄・殺菌機構70で生成される洗浄液WLが、第6流路71、充填機60および第7流路72を通って第3洗浄・殺菌機構70に戻り、以後は同じ経路を繰り返して辿る循環経路をなしている。
【0055】
[製品製造動作(図11)]
次に、図11を参照して、製品を製造する動作について説明する。
製品を製造するときには、製品液PLが第1流路22および第3流路41を通って無菌タンク40に供給される。無菌タンク40に供給された製品液は、第4流路43を通って充填機60に供給され、充填機60に連続的に供給される空の容器に充填される。
無菌タンク40には、その液位に応じて製品液の供給が行われる。例えば、製品液の液位が下限に達すれば、製品液が無菌タンク40に供給される。製品液の液位が上限に達すれば、製品液の無菌タンク40への供給が停止される。
【0056】
[飲料充填システム2の効果]
以上説明した飲料充填システム2によれば、以下の効果を奏する。
飲料充填システム2は、充填部7において容器類の洗浄および殺菌を行うための第3洗浄・殺菌機構70で、充填機60の定置洗浄および定置殺菌を賄うことができる。したがって、飲料充填システム2は、充填部7に専用の洗浄・殺菌機構を設けるのを省けるので、飲料充填システム2の製造コストを下げることができる。しかも、飲料充填システム1によれば、洗浄性能および殺菌性能が担保された充填部7が備える第3洗浄・殺菌機構70が洗浄・殺菌を賄うので、洗浄・殺菌の性能を担保できる。
【0057】
以上の実施形態に記載の飲料充填システムは、以下のように把握される。
[第1の態様に係る飲料充填システム]
第1の態様に係る飲料充填システム1,2は、製品液を殺菌する殺菌部3と、殺菌部3から供給される製品液を一時的に蓄える貯留部5と、貯留部5から供給される製品液を容器に充填する充填部7と、を備える。
第1の態様に係る飲料充填システム1,2によれば、充填部7の機械的な構成要素の定置洗浄および定置殺菌を、殺菌部3および充填部7の少なくとも一方が備える第1洗浄・殺菌機構20または第3洗浄・殺菌機構70で賄うことができる。したがって、飲料充填システム1は、充填部7に機械的な構成要素のための専用の洗浄・殺菌機構を設けるのを
省けるので、飲料充填システム1の製造コストを下げることができる。しかも、飲料充填システム1によれば、洗浄性能および殺菌性能が担保された第1洗浄・殺菌機構20または第3洗浄・殺菌機構70が洗浄・殺菌を賄うので、洗浄・殺菌の性能を担保できる。
【0058】
[第2の態様に係る飲料充填システム]
第2の態様に係る飲料充填システム1は、殺菌部3の構成要素を定置洗浄および定置殺菌を行う第1洗浄・殺菌機構20を備える。第1洗浄・殺菌機構20は、充填部7の定置洗浄および定置殺菌も賄う。
第2の態様に係る飲料充填システム1によれば、充填部7の定置洗浄および定置殺菌を、殺菌部3が備える第1洗浄・殺菌機構20で賄うことができる。したがって、飲料充填システム1は、充填部7に専用の洗浄・殺菌機構を設けるのを省けるので、飲料充填システム1の製造コストを下げることができる。しかも、飲料充填システム1によれば、洗浄性能および殺菌性能が担保された第1洗浄・殺菌機構20が洗浄・殺菌を賄うので、洗浄・殺菌の性能を担保できる。
【0059】
[第3の態様に係る飲料充填システム]
第3の態様に係る飲料充填システム1は、第1洗浄・殺菌機構20による洗浄液または殺菌液を循環させる第1循環路と、第1循環路から充填部7に洗浄液または殺菌液を流す第1往路47と、充填部7から洗浄液または殺菌液を第1循環路に戻す第1復路49と、を備える。第1往路47と第1循環路の第1接続位置P1より、第1復路49と第1循環路の第2接続位置P2が、洗浄液または殺菌液が第1循環路を流れる向きを基準にして、下流に設けられる。
第3の態様に係る飲料充填システム1によれば、第1復路49から第1循環路に洗浄液、殺菌液を戻すのが容易である。
【0060】
[第4の態様に係る飲料充填システム]
第4の態様に係る飲料充填システムは、第1循環路は、第1接続位置における第1往路の第1圧力と第2接続位置における第1復路の第2圧力とを一致させる圧力調整機構を備える。
第4の態様に係る飲料充填システム1によれば、充填機60の定置洗浄または定置殺菌の際に、圧損により洗浄液および殺菌液の圧力が低下するが、当該圧力を一致するように調整することで、第1往路47と第1復路49の円滑な流れを担保する。
【0061】
[第5の態様に係る飲料充填システム]
第5の態様に係る飲料充填システムは、第1循環路は、第2接続位置よりも下流に第1背圧弁を備える。
第5の態様に係る飲料充填システム1によれば、第1背圧弁により背圧を調整することにより、殺菌液として熱水を用いる場合に、熱水が沸騰するのを抑えることができる。
【0062】
[第6の態様に係る飲料充填システム]
第6の態様に係る飲料充填システムは、充填部7において少なくとも容器の洗浄および殺菌を行う第3洗浄・殺菌機構70を備え、第3洗浄・殺菌機構70は、充填部7の定置洗浄および定置殺菌も賄う。
第6の態様に係る飲料充填システム2によれば、充填部7の定置洗浄および定置殺菌を、充填部7が備える第3洗浄・殺菌機構70で賄うことができる。したがって、飲料充填システム2は、充填部7に専用の洗浄・殺菌機構を設けるのを省けるので、飲料充填システム2の製造コストを下げることができる。しかも、飲料充填システム1によれば、洗浄性能および殺菌性能が担保された第3洗浄・殺菌機構70が洗浄・殺菌を賄うので、洗浄・殺菌の性能を担保できる。
【0063】
[第7の態様に係る飲料充填システム]
第7の態様に係る飲料充填システムは、貯留部5の構成要素の定置洗浄および定置殺菌を行う第2洗浄・殺菌機構50を備える。第2洗浄・殺菌機構50は、貯留部5の構成要素の定置洗浄および定置殺菌に占有される。
貯留部5が備える無菌タンク40は容量が大きいため、殺菌部3または充填部7との定置洗浄および定置殺菌と共用するには向いていない。そこで、第7の態様のように、貯留部5については、独立して定置洗浄および定置殺菌を行うのが好ましい。
【0064】
[付記]
第2実施形態においては、充填機60の機械的な構成要素の定置洗浄、定置殺菌のための第6流路71および第7流路72と、容器およびキャップの洗浄、殺菌のための第8流路75および第9流路76と、を独立して、かつ並列に設ける例を示している。しかし、これはあくまで一例であり、第1実施形態と同様に、容器およびキャップの洗浄、殺菌のための流路から定置洗浄、定置殺菌のための流路を分岐して設けることもできる。
【0065】
本開示における洗浄液、殺菌液はその目的を達成できる限り任意である。
例えば、洗浄液としては、アルカリ性洗浄液を用いることができる。この洗浄液のアルカリ成分として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、次亜塩素酸ナトリウム等の塩素化アルカリ等を好適に用いることができる。また、必要に応じて酸性の洗浄液を用いることもできる。また、殺菌液としては熱水の他に蒸気を用いることもできる。
【符号の説明】
【0066】
1,2 飲料充填システム
3 殺菌部
5 貯留部
7 充填部
10 UHT機構
11 加熱部
13 冷却部
20 第1洗浄・殺菌機構
21 クッションタンク
22 第1流路
24 第2流路
25 第1背圧弁
27 第1圧力計
29 第1弁
31 第2弁
32 第1供給源
33 第2圧力計
34 第2供給減
35 温度計
36 第3供給源
37 第2背圧弁
40 無菌タンク
41 第3流路
42 第3弁
43 第4流路
44 第4弁
45 第5流路
46 第5弁
47 第1往路
48 第6弁
49 第1復路
50 第2洗浄・殺菌機構
60 充填機
70 第3洗浄・殺菌機構
71 第6流路
72 第7流路
73 第7弁
74 第8弁
75 第8流路
76 第9流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11