(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144001
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】固形剤小分け装置及び固形剤販売方法
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20230928BHJP
B65B 1/30 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
B65B1/30 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127822
(22)【出願日】2023-08-04
(62)【分割の表示】P 2019530555の分割
【原出願日】2018-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2017140622
(32)【優先日】2017-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】湯山 裕之
(57)【要約】
【課題】個人用として包装袋や瓶等の小容器に充填されて販売された固形剤を再分配して一服用分ずつに小分けする装置を提供する。
【解決手段】一又は複数の固形剤払出し装置と、固形剤に関する情報を入力する固形剤情報入力手段と、服用情報入力手段と、包装手段を有する。前記固形剤払出し装置は、固形剤が投入される投入口を備え固形剤を収容可能な固形剤収容部と、固形剤収容部から固形剤を所望の数だけ排出させる固形剤取り出し手段を有する。服用情報入力手段は、固形剤の服用時期と、服用時期ごとの服用数を、固形剤収容部に投入された固形剤に関連付けて直接的に入力することが可能である。服用情報入力手段に入力された情報に基づいて、前記固形剤払出し装置から固形剤を一服用分ずつ排出して前記包装手段に送り出し、一回に服用する一又は複数種類の固形剤をひとまとめにして前記包装手段で包装する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の固形剤を一服用分ずつに小分けする固形剤小分け装置であって、
一又は複数の固形剤払出し装置と、固形剤に関する情報を入力する固形剤情報入力手段と、服用情報入力手段と、包装手段を有し、
前記固形剤払出し装置は、固形剤が投入される投入口を備え固形剤を収容可能な固形剤収容部と、固形剤収容部から固形剤を所望の数だけ排出させる固形剤取り出し手段を有し、
前記固形剤情報入力手段は前記固形剤収容部に投入される固形剤を特定する情報を入力するものであり、
前記服用情報入力手段は、固形剤の服用時期と、服用時期ごとの服用数を、固形剤収容部に投入された固形剤に関連付けて入力することが可能であり、
前記服用情報入力手段に入力された情報に基づいて、前記固形剤払出し装置から固形剤を一服用分ずつ排出して前記包装手段に送り出し、一回に服用する一又は複数種類の固形剤をひとまとめにして前記包装手段で包装する一連の個別包装動作を実行するものであり、前記服用情報入力手段が個々の固形剤払出し装置に取り付けられていることを特徴とする固形剤小分け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形剤を一服用分ずつに小分けする装置に関するものである。本発明は、例えば瓶詰めや袋詰めされて市販されている固形剤の商品を開封し、固形剤を再分配して一服用分ずつに小分けする装置に関するものである。
また本発明は、市販されている固形剤の包装器材を開封し、固形剤を再分配して一服用分ずつに小分けして販売する固形剤販売方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば健康増進のために服用するサプリメントがある。サプリメントは、医師の処方が必要でない場合が多く、ドラッグストアやコンビニエンスストアで買い求めることができる。
サプリメントは、飲みやすいように固形に成形されているものが多い。
この様な固形サプリメントは、20個とか50個というような所定の個数のものが、瓶詰めや袋詰めされた包装形態で市販される場合が多い。
【0003】
サプリメントは一般に人体に対する作用が緩やかであり、服用数や服用時期に関する制約は少ない。しかしながら、サプリメントであっても、決められた時刻に決められた量だけ服用することが望ましい。またサプリメントの愛飲者は、一般に健康指向が強く、自分自身で服用時期や服用数を決めている場合が多い。
従来においては、服用者は、ドラッグストア等で所望のサプリメントを買い求め、服用時期が到来すると、商品の瓶や袋を開封して必要量を取り出し、服用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-13216号公報
【特許文献2】特開2005-289463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固形サプリメントの愛飲者は、複数のサプリメントを併用して服用する傾向にある。
ここで固形サプリメントの服用は、服用時刻の際に外出中である場合も少なくない。そのため服用者は、サプリメントが充填された商品の袋や瓶をバッグ等に入れて持ち歩くこととなる。サプリメントの愛好者の中には商品の包装袋や瓶を常時携行している者もある。
サプリメントの包装は、さほど大きなものではないが、複数個が集まると嵩張る。
そのため需要者の間では、服用し易く、持ち運び易い様に包装を開封してサプリメントを小分けしたいという要望がある。
【0006】
本発明は、個人用として包装袋や瓶等の小容器に充填されて販売された固形剤を再分配して一服用分ずつに小分けする装置を提供することを課題とするものである。また本発明は、新たなビジネスモデルとして、固形剤を小分けして販売する固形剤販売方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための態様は、複数個の固形剤を一服用分ずつに小分けする固形剤小分け装置であって、一又は複数の固形剤払出し装置と、固形剤に関する情報を入力する固形剤情報入力手段と、服用情報入力手段と、包装手段を有し、前記固形剤払出し装置は、固形剤が投入される投入口を備え固形剤を収容可能な固形剤収容部と、固形剤収容部から固形剤を所望の数だけ排出させる固形剤取り出し手段を有し、前記固形剤情報入力手段は前記固形剤収容部に投入される固形剤を特定する情報を入力するものであり、前記服用情報入力手段は、固形剤の服用時期と、服用時期ごとの服用数を、固形剤収容部に投入された固形剤に関連付けて入力することが可能であり、前記服用情報入力手段に入力された情報に基づいて、前記固形剤払出し装置から固形剤を一服用分ずつ排出して前記包装手段に送り出し、一回に服用する一又は複数種類の固形剤をひとまとめにして前記包装手段で包装する一連の個別包装動作を実行することを特徴とする固形剤小分け装置である。
【0008】
上記した構成において、印刷手段を有し、一服用分の包装に前記印刷手段によって所定の印刷を行うことが望ましい。
【0009】
上記した各構成において、固形剤払出し装置は、固形剤の形状に応じて固形剤を円滑に排出できる様に形態を変更させる形態変更手段を有することが望ましい。
【0010】
前記形態変更手段は、固形剤情報入力手段に入力された情報に基づいて機能するものであることが望ましい。
【0011】
上記した構成において、固形剤が通過する払出し経路があり、前記形態変更手段は前記払出し経路の状態を変更して通過し得る固形剤の形状を制限可能であり、固形剤情報入力手段に入力された情報に基づいて払出し経路の状態が変更され、固形剤払出し装置の固形剤収容部に収容された固形剤を排出可能な状態とすることが望ましい。
【0012】
前記服用情報入力手段は、1又は複数の入力装置によって構成され、各入力装置はそれぞれ前記固形剤払出し装置のいずれかに対応していて当該入力装置から入力することによって固形剤が特定され、入力装置を使用して当該固形剤の服用時期と、服用時期ごとの服用数を関連付けて直接的に入力することが可能であることが望ましい。
【0013】
前記服用情報入力手段が個々の固形剤払出し装置に取り付けられていることが望ましい。
【0014】
前記服用情報入力手段は、表示画面を有し、表示画面に固形剤を特定する固形剤表示欄と、固形剤の服用時期を表示する時期欄が関連付けて表示され、前記服用時期に対応する個数入力欄があり、個数入力欄に個数を入力可能であることが望ましい。
【0015】
前記した各態様において、固形剤情報入力手段は読み取り手段を備えていることが望ましい。
【0016】
前記した各態様において、記憶手段を有し、前記記憶手段に、服用者を特定する情報と、固形剤情報入力手段に入力された情報に関連付けて前記服用情報入力手段に入力された情報が記憶され、一連の個別包装動作が実行された後、固形剤が再度投入口から固形剤収容部に投入され、さらに前記固形剤情報入力手段に前記固形剤収容部に再度投入された固形剤を特定する情報が入力された場合、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて一連の個別包装動作が再度実行されることが望ましい。
【0017】
前記した各態様において、複数の固形剤払出し装置を有し、複数の固形剤払出し装置に固形剤が投入された場合であって、異なる固形剤であるが服用時期が同じである固形剤がある場合は、同一の包装内に服用時期が同じである異なる固形剤が同封されることが望ましい。
【0018】
固形剤販売方法に関する態様は、同一の固形剤が複数個、予め包装器材に内蔵されて市販されている市販固形剤が複数種類あり、複数種類の市販固形剤の内から所望の市販固形剤を購入者に選択させ、選択した包装器材を開封し、開封されて取り出された固形薬剤を服用時期ごとに仕分けて包装して引き渡し、さらにいずれかの段階で選択した市販固形剤の代金を決裁することを特徴とする固形剤販売方法である。
【0019】
上記した態様において、複数個の固形剤を一服用分ずつに小分けする固形剤小分け装置を使用し、開封されて取り出された固形薬剤を前記固形剤小分け装置に投入して固形薬剤を服用時期ごとに仕分けることが望ましい。
【0020】
上記した態様において、前述した固形剤小分け装置を使用し、開封されて取り出された固形薬剤を前記固形剤小分け装置に投入して固形薬剤を服用時期ごとに仕分けることが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の固形剤小分け装置によると、袋や瓶に入れて販売された固形剤を再分配し、一服用分ずつに小分けすることができる。
また本発明の固形剤販売方法によると、固形剤を一服用分ずつに小分けされた状態で購入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態の固形剤小分け装置の概念図である。
【
図2】市販された固形剤の包装形態を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態の固形剤小分け装置で採用する固形剤払出し装置を一方の方向から観察した斜視図である。
【
図4】
図3の固形剤払出し装置を異なる方向から観察した斜視図である。
【
図5】
図3の固形剤払出し装置を下側から観察した斜視図である。
【
図6】(a)は本発明の実施形態の固形剤小分け装置の外観図であり、(b)は及固形剤払出し装置に付属する入力装置の表示画面である。
【
図7】
図6の固形剤小分け装置が設置されたドラッグストアの様子を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の固形剤小分け装置1は、包装袋2や瓶5等の包装器材6に充填されて販売される固形剤3を、服用時期に合わせて小分けし、さらに包装して一服用分に分かれた袋体(包装体)8を作る装置である。
例えば包装器材6は、サプリメント等の固形剤3を販売目的で充填する入れ物であり、公知のものである。代表例な包装器材6には、包装袋2と瓶5がある。
固形剤3はサプリメントに限定されるものではなく、例えば市販のビタミン剤や整腸剤等の薬剤であってもよい。
【0024】
本実施形態の包装袋2及び瓶5には、サプリメントの製造者が独自の処方に基づいて、薬効があったり、健康増進に役立つ食材やビタミン、ミネラルが調合され、固形剤3の形に成形され、所定数だけ充填されている。
【0025】
本実施形態が対象とする包装袋2詰め、瓶5詰めされた固形剤3は、特定の患者やサプリメント服用者のために調剤されたものではなく、ドラッグストアやコンビニエンスストア等に陳列し、一般大衆向けに販売されるものである。
一般に、包装袋2等には、商品を特定する情報がラベル17等に記録されている。また情報が包装袋2等に直接印刷されている場合もある。
本実施形態では、ラベル17に文字による記録と、バーコード等の記録手段による記録が併用されている。情報の記録は、ICチップ等の電気的方法による記録であってもよい。
本実施形態では、包装袋2や瓶5にラベル17が貼り付けられており、ラベル17に文字と二次元バーコード7等が付されている。本実施形態では、二次元バーコード7が情報記録部として機能する。
【0026】
ラベル17に印刷された文字情報として、商品名と、固形剤名又は成分を表示する成分表示と、推奨すべき用法・用量等の表示が付されている。
具体的には、
図2の様に包装袋2Aのラベル(情報記録部)17には、商品名として「ビタミンサプリメント」の文字表示があり、成分表示として「ビタミンA、ビタミンB、ビタミンE」の文字表示があり、推奨される用法表示として、「一日3回、一回1錠」の文字表示がある。
包装袋2Bには、商品名として「魚成分サプリメント」の文字表示があり、成分表示として「DHA、EPA」の文字表示があり、推奨される用法表示として、「一日1回 一回5錠」の文字表示がある。
瓶5Aには、商品名として「亜鉛サプリメント」の文字表示があり、成分表示として「亜鉛」の文字表示があり、推奨される用法表示として、「一日1回 一回3錠」の文字表示がある。
瓶5Bには、「ニンニクサプリメント」の文字表示があり、成分表示として「にんにく」の文字表示があり、用法表示として、「一日2回 一回1錠」の文字表示がある。
【0027】
また二次元バーコード7にも、商品名と、成分と、用法・用量に相当する情報が書き込まれている。
また固形剤が薬剤である場合には、二次元バーコード7には、固形剤の識別情報が記録されている。
識別情報は、固形剤(薬品)の種類を識別可能な情報であって、例えば薬品名、薬ID、薬品コード、JANコード、RSSコード、ORコード(登録商標)などである。
識別情報は、前記した二次元バーコード7とは別に記録される場合もある。
【0028】
本実施形態の固形剤小分け装置1は、複数個の固形剤払出し装置10及びこれに対応する複数個の入力装置40と、集合ホッパー11と、包装手段12及び制御装置15を有している。
固形剤払出し装置10は、固形剤3を収容する固形剤収容部20を有し、固形剤収容部20内の固形剤3を所望の数だけ排出するものである。固形剤払出し装置10は、固形剤収容部20の下部に、排出された薬剤の個数を検知する個数検知手段32が設けられている。
【0029】
固形剤収容部20には、その上面に固形剤3が投入される投入口13がある。投入口13には容易に開閉する上蓋が設けられている(図示せず)。
固形剤払出し装置10は、制御装置15によって制御され、固形剤3を一服用分ずつ排出する。
固形剤払出し装置10は、固形剤3が通過する払出し経路の実施的な広さ(幅、高さ等)を規制して通過し得る固形剤の形状を制限可能であり、複数種類の固形剤3に対応することができるものである。固形剤払出し装置10の構成については、後記する。
【0030】
入力装置40は、服用情報入力手段を構成するものであり、各固形剤払出し装置10に対応して一台ずつ設けられている。特に本実施形態では、入力装置40は、固形剤払出し装置10と一体化されている。
入力装置40は、固形剤3の服用時期と、服用時期ごとの服用数を、固形剤収容部20に投入された固形剤3に関連付けて直接的に入力するものである。
入力装置40は、キーボード等の入力部41と、表示手段42を有している。
表示手段42の表示画面48は、例えば
図6(b)の様であり、氏名入力欄43と、商品名表示欄(固形剤表示欄)45と、服用時期指定欄(時期欄)46及び服用個数入力欄(個数入力欄)47がある。
【0031】
氏名入力欄43は、服用者や購入者の氏名をキーボード等の入力部41を操作して入力する欄である。
商品名表示欄45は、後記する固形剤情報読み取り手段30で読み取られた情報に基づいて、固形剤払出し装置10の固形剤収容部20に投入された固形剤3の商品名等を自動表示する欄である。
服用時期指定欄46には、「朝食後」「昼食後」「夕食後」「寝る前」の表示があり、キーボード等の入力部41を操作して、必要な服用時期にチェックを入れる欄である。服用時期指定欄46には、「朝食後」「昼食後」「夕食後」「寝る前」をクリックすると、表示が発光したり変色し、選択されたことが示される。
服用個数入力欄47は、前記した服用時期指定欄46の「朝食後」「昼食後」「夕食後」「寝る前」に対応して、服用する固形剤の個数を入力する欄である。
【0032】
複数個の固形剤払出し装置10は、入力装置40と一体化された状態で、
図6の様に装置本体56の上部側に横一列に並べて配置されている。固形剤払出し装置10の数が多い場合は、複数段に並べられ、固形剤払出し装置10が立体的に配置される。
【0033】
集合ホッパー11は、固形剤払出し装置群の下部にあり、固形剤払出し装置10から排出された固形剤3を集めて包装手段12に供給するものである。
【0034】
包装手段12は、
図6の様に、印刷部22と、袋部形成機構31及び仕切り形成装置25を有している。なお仕切り形成装置25は、シート送り機構としても機能する。
シート送り機構は、ロール軸26に巻かれたシート状の薬包紙27を繰り出して下流側の印刷部22や袋部形成機構(図示せず)に送る装置である。
本実施形態では、薬包紙27は予め二つ折りにされた状態のものであり、ロール状に巻かれている。
【0035】
印刷部22は、所定の情報を薬包紙27に印刷する部分である。
本実施形態では、薬包紙27に、服用者名、薬剤名又はサプリメント名、「朝食後」、「昼食後」等の服用時期等の情報が印字される。
【0036】
袋部形成機構31は、二つ折り状態の薬包紙27に図示しない板等を割り込ませ、薬包紙27の一辺側(図面上辺側)を開き、一辺側が開いた袋部を形成させるものである。集合ホッパー11の下部は、袋部形成機構(図示せず)によって形成された薬包紙27の袋部内に開いている。
【0037】
仕切り形成装置25は、ヒートシール装置であり、図示しないモータで駆動され、袋部を仕切り、袋部を独立させて薬剤を1包ずつに分包し、袋体(包装体)8を形成する装置である。
【0038】
装置本体56の下部には、シート排出口33がある。包装手段12によって個別に包装された固形剤3(袋体8)は、シート排出口33から排出される。
【0039】
制御装置15は、固形剤小分け装置1の各部を制御する装置である。
制御装置15には、固形剤情報読み取り手段30が取り付けられている。固形剤情報読み取り手段30は、バーコードリーダや、ICチップに書き込まれた情報を読み取る読み取り装置である。本実施形態では、固形剤情報読み取り手段30としてバーコードリーダが採用されている。即ち固形剤情報読み取り手段30は、画像読み取り手段たるバーコードリーダである。固形剤情報読み取り手段30は、バーコードリーダに限定されるものではなく、ICチップの情報を読み取るものであってもよい。また文字を解析するものであってもよい。
【0040】
次に、本実施形態の固形剤小分け装置1の機能を使用手順に沿って説明する。
前記した様に本実施形態の固形剤小分け装置1は、包装袋2等の小容器に充填されて市販された固形剤3を使用時期に合わせて小分けし、さらに個別に包装する装置である。
本固形剤小分け装置1を使用する際には、固形剤情報読み取り手段30によって各包装袋2のラベル17に設けられた二次元バーコード(情報記録部)7に記録された情報を読み出す。また識別情報がある場合には、これも固形剤情報読み取り手段30で読み出す。
【0041】
そして包装袋2や、瓶5の封を切り、中の固形剤3を、一つの固形剤払出し装置10の中に投入する。即ち一つの包装袋2等の中の固形剤3を一つの固形剤払出し装置10の固形剤収容部20の中に全部投入する。
固形剤収容部20への固形剤3の投入は、固形剤収容部20の上面に設けられた投入口13から行われることとなる。本実施形態では、投入口13には容易に開閉する上蓋が設けられているので、当該上蓋を開いて固形剤収容部20に固形剤3を投入する。
【0042】
例えば固形剤情報読み取り手段30によって包装袋2Aのラベル17に設けられた二次元バーコード(情報記録部)7に記録された情報を読み出す。そして続いて包装袋2Aの封を切り、中の固形剤3を、固形剤払出し装置10の中に投入する。
同様に、固形剤情報読み取り手段30によって各包装袋2Bのラベル17に設けられた情報を読み出す。そして続いて包装袋2Bの封を切り、包装袋2B内の固形剤3を固形剤払出し装置10Bの固形剤収容部20の中に全部投入する。
瓶A、瓶Bに対しても同様であり、固形剤情報読み取り手段30によってラベル17に設けられた情報を読み出し、中の固形剤3を固形剤払出し装置10C、10Dの固形剤収容部20の中に全部投入する。
【0043】
そして各固形剤払出し装置10に付属する入力装置40を操作し、固形剤3ごとに固形剤3の服用時期と、服用時期ごとの服用数を直接的に入力する。
本実施形態では、服用情報入力手段たる入力装置40は、固形剤3の服用時期と、服用時期ごとの服用数を、固形剤収容部20に投入された固形剤3に関連付けて直接的に入力することができる。
【0044】
例えば固形剤払出し装置10Aに付属する入力装置40Aの氏名入力欄43に、キーボード等の入力部41を操作して自己の氏名「HIRAGA GENNAI」を入力する。入力装置40Aの商品名表示欄45には、固形剤情報読み取り手段30で読み取られた情報に基づいて、固形剤払出し装置10Aの固形剤収容部20に投入された固形剤3の商品名「ビタミンサプリメント」が自動表示されている。
服用時期指定欄46には、「朝食後」「昼食後」「夕食後」「寝る前」の欄があり、キーボード等の入力部41を操作して、例えば「朝食後」と「昼食後」と「夕食後」にチェックする。
そして服用個数入力欄47の、「朝食後」の項目に例えば1を、「昼食後」の項目には2を、「夕食後」の項目に例えば2を入力する。
【0045】
本実施形態では、表示画面48は、一つの固形剤払出し装置10Aに内蔵された固形剤3に対する専用画面であるから、固形剤3の服用時期と、服用時期ごとの服用数を、固形剤収容部20に投入された固形剤3に関連付けて直接的に入力される。
【0046】
固形剤払出し装置10Bに付属する入力装置40Bの氏名入力欄43には、先の入力装置40Aで入力された氏名が自動的に表示されている。また入力装置40Bの商品名表示欄45には、固形剤情報読み取り手段30で読み取られた情報に基づいて、固形剤払出し装置10Bの固形剤収容部20に投入された固形剤3の商品名「魚成分サプリメント」が自動表示されている。
服用時期指定欄46には、「朝食後」「昼食後」「夕食後」「寝る前」の欄があり、キーボード等の入力部41を操作して、例えば「朝食後」と「昼食後」にチェックする。
そして服用個数入力欄47の、「朝食後」の項目に例えば2を「昼食後」の項目に例えば2を入力する。
【0047】
固形剤払出し装置10Cに付属する入力装置40Cの氏名入力欄43には、先の入力装置40Aで入力された氏名が自動的に表示されている。また入力装置40Cの商品名表示欄45には、固形剤情報読み取り手段30で読み取られた情報に基づいて、固形剤払出し装置10Cの固形剤収容部20に投入された固形剤3の商品名「亜鉛サプリメント」が自動表示されている。
服用時期指定欄46には、「朝食後」「昼食後」「夕食後」「寝る前」の欄があり、キーボード等の入力部41を操作して、例えば「朝食後」と「寝る前」にチェックする。
そして服用個数入力欄47の、「朝食後」の項目に例えば1を入力し、「寝る前」の項目に1を入力しする。
【0048】
固形剤払出し装置10Dに付属する入力装置40Dの氏名入力欄43には、先の入力装置40Aで入力された氏名が自動的に表示されている。また入力装置40Dの商品名表示欄45には、固形剤情報読み取り手段30で読み取られた情報に基づいて、固形剤払出し装置10Dの固形剤収容部20に投入された固形剤3の商品名「ニンニクサプリメント」が自動表示されている。
服用時期指定欄46には、「朝食後」「昼食後」「夕食後」「寝る前」の欄があり、キーボード等の入力部41を操作して、例えば「朝食後」と「寝る前」にチェックする。
そして服用個数入力欄47の、「朝食後」の項目に例えば1を入力し、「寝る前」の項目に2を入力する。
【0049】
固形剤3の投入及び入力装置40に対する必要事項の入力が終了すると、図示しないスタートスイッチを操作して小分け動作を開始する。
固形剤払出し装置10は、固形剤3の形状に応じて円滑に排出できる様に形態を変更させる形態変更手段を有し、複数種類の固形剤3に対応することができる。本実施形態の固形剤小分け装置1では、最初に形態変更手段が機能する。
ここで固形剤3の形状は、固形剤情報読み取り手段30で読み取られた情報から特定することができ、且つ各固形剤払出し装置10にどの固形剤3が投入されているかが既知である。そのため各固形剤払出し装置10は、投入された固形剤3の形状に合わせて形態を変化させる。
【0050】
そして実際に固形剤3の小分けが行われる。
例えば前記した例に従うと、朝食後に服用する固形剤3として、固形剤払出し装置10Aから包装袋2Aに充填されていた「ビタミンサプリメント」が1錠排出され、固形剤払出し装置10Bから包装袋2Bに充填されていた「魚成分サプリメント」が2錠排出される。
さらに固形剤払出し装置10Cから瓶5Aに充填されていた「亜鉛サプリメント」が1錠排出され、固形剤払出し装置10Dから瓶5Bに充填されていた「ニンニクサプリメント」が1錠排出される。
【0051】
各固形剤払出し装置10から排出された朝食後に服用する1服用分の固形剤3は、集合ホッパー11で集められて包装手段12に送られ、袋部形成機構31によって形成された薬包紙27の一つの袋部内に全部の固形剤3が入れられる。
またこれに先立って、当該袋部には、上流側の印刷部22によって、必要な情報が印字される。
即ち服用者を特定する表示として「HIRAGA GENNAI」の文字が印字される。また服用時期を示す表示として、「朝食後」の表示が印字される。さらに必要に応じて、内包する固形剤3の種類と個数が印字される。
【0052】
固形剤3が投入された袋部は、下流側の仕切り形成装置(熱シール装置)25に送られ、3辺が熱融着された独立した袋体(包装体)8に仕切られる。
以後、上記した一連の個別包装動作が自動的に繰り返される。即ち次の服用時期に対応する固形剤3が、各固形剤払出し装置10から排出され、集合ホッパー11を介して包装手段12に送られ、薬包紙27の一つの袋部内に全部の固形剤3が入れられる。
またこれに先立って、当該袋部には、上流側の印刷部22によって、必要な情報が印字される。
【0053】
具体的には、次の服用時期は、昼食後であるから、昼食後に服用する固形剤3として、固形剤払出し装置10Aから包装袋2Aに充填されていた「ビタミンサプリメント」が2錠排出され、固形剤払出し装置10Bから包装袋2Bに充填されていた「魚成分サプリメント」が2錠排出される。
固形剤払出し装置10Cからは「亜鉛サプリメント」は排出されない。また固形剤払出し装置10Dからは「ニンニクサプリメント」は排出されない。
また袋部には服用者を特定する表示として「HIRAGA GENNAI」の文字が印字される。また服用時期を示す表示として、「昼食後」の表示が印字される。
【0054】
続いて夕食後の服用すべき固形剤3が各固形剤払出し装置10から排出され、包装手段12で一個の袋部に包まれる。具体的には固形剤払出し装置10Aから「ビタミンサプリメント」が2錠排出されて包装される。他の固形剤は排出されない。
さらに続いて寝る前に服用すべき固形剤3が各固形剤払出し装置10から排出され、包装手段12で一個の袋部に包まれる。具体的には固形剤払出し装置10Cから瓶5Aに充填されていた「亜鉛サプリメント」が1錠排出され、固形剤払出し装置10Dから瓶5Bに充填されていた「ニンニクサプリメント」が2錠排出される。
【0055】
「朝食後」「昼食後」「夕食後」「寝る前」と順番に服用する固形剤3が、それぞれ一つの袋体8に封入され、一日分の固形剤包装が完了すると、翌日の「朝食後」「昼食後」「夕食後」に服用する固形剤3が、順次一つの袋体8に封入される。こうして、固形剤払出し装置10内の固形剤3が全て無くなるまで、小分け動作が続行される。
袋体8は帯状に繋がった状態で、シート排出口33から排出される。
【0056】
仮に各包装袋に充填されていた固形剤3に過不足があり、一つの袋体8内に封入すべき固形剤3が足りない場合は、小分け動作が中断されてモニター(図示せず)にその旨が表示される。
例えば、包装袋2A,2B,瓶5Aには、二週間分の固形剤3が充填されているにもかかわらず、瓶5Bには、10日分の固形剤3しか充填されていなかった場合であれば、袋体8が10日分出来上がった段階で小分け動作が中断されて表示部にその旨が表示される。
使用者は、不足があることを承知の上で小分け動作を再開することもできるし、余った固形剤3を排出して包装袋2A,2B,瓶5Aに回収することもできる。この選択は、制御装置15の入力手段(図示せず)を手動操作することによって行う。また予めの設定により、いずれかが選択されていてもよい。
【0057】
以上説明した実施形態では、固形剤払出し装置10に投入される固形剤3は、全て大衆用に市販されたサプリメントや薬剤である。しかしながら、本発明は、この構成に限定されるものでなく、個人用に調剤されたものが混じっていてもよい。
例えば、固形剤払出し装置10A,10Bに、医師の処方によって患者個人用に調剤された胃腸薬やビタミン剤等が投入され、固形剤払出し装置10C,10Dには使用者の嗜好によって購入されたサプリメントが投入されてもよい。
【0058】
上記した実施形態では、服用時期を、「朝食後」「昼食後」「夕食後」「寝る前」としたが、それに限定されるわけではなく、例えば、「朝食前」、「昼食前後」「夕食後」としても良い。さらに固形剤の服用量や、種類が少ない場合は、上記の異なる服用時期を取りまとめて「日」単位で包装してもよい。「日」単位とは、例えば「月曜」「火曜」「水曜」等の曜日による区分でもよく、「7月1日」「7月2日」等の日付による区分でもよい。
分包紙への印字内容は、見間違いや飲み間違いを防ぐ目的から、服用時期に応じて適宜変更される。例えば「朝食前」、「昼食前後」「夕食後」と印刷されたり、「月曜」「火曜」と印刷される。その場合についても、薬品名や服用者名等が合わせて印刷される。
【0059】
次に、固形剤払出し装置10について説明する。本実施形態で採用する固形剤払出し装置10は、固形剤3を収容する固形剤収容部20を有し、固形剤収容部20内の固形剤3を所望の数だけ排出するものである。
また本実施形態で採用する固形剤払出し装置10は、各種の形状や構造の固形剤3に対応し、固形剤3を一個ずつ又は複数個ずつ排出することができるものであることが望ましい。
即ち固形剤3は、構造上、錠剤とカプセルに大別される。また錠剤の形状には、偏平な円形状のもの、楕円形のもの、球形のものがある。錠剤の大きさはまちまちである。カプセルについても同様であり、大きさはまちまちである。
【0060】
本実施形態で採用する固形剤払出し装置10は、固形剤3の形状に応じて固形剤3を円滑に排出できる様に形態を変更させる形態変更手段を有している。具体的には、固形剤払出し装置10は複数の形状や構造の固形剤3に対応できる様に、固形剤3が通過する払出し経路の広さを増減して通過し得る固形剤の形状を制限し、複数種類の固形剤3に対応することができるものである。
【0061】
即ち固形剤3を一個ずつ排出させるためには、いずれかの位置で、固形剤3を一列に配列しなければならない。ここで払出し経路が広いと複数の固形剤3が並列状にならんでしまい、複数の固形剤が一度に排出される場合がある。逆に払出し経路が狭いと、固形剤3が通過できず、固形剤3を排出することができない。
そのため、固形剤3を一個ずつ排出させるためには、内蔵される固形剤3に合わせて、払出し経路の大きさ(広さ)を変える必要がある。
【0062】
本実施形態の固形剤払出し装置10は、固形剤3の払出し経路を規制して、払出し経路の高さと、幅を任意に調節することが可能であり、どの様な形状や大きさの固形剤3を固形剤収容部20に投入した場合であっても、固形剤3を所望の数だけ滞りなく排出することができるものである。
【0063】
以下説明する。
固形剤払出し装置10は、
図3,4の様に多数の固形剤3が収容される固形剤収容部20と、第1回転体50及び第2回転体51を有している。
なお、
図3,4は、上部を覆うカバー部材を省略した図である。
第1回転体50は、固形剤収容部20の底面を構成する円盤状の部材である。第1回転体50の回転軸は、鉛直方向に対して所定角度だけ傾斜しており、第1回転体50の上面が水平面に対して所定角度だけ傾斜している。また、第1回転体50の上面には放射状のリブ62が所定間隔ごとに形成されている。
第1回転体50は、固形剤払出し装置10の筐体によって回転可能に支持されており、図示しないモータによって回転する。また第1回転体50は、昇降する。
【0064】
第2回転体51は、平面視で前記第1回転体50の周囲に配置された中空環状の部材である。第2回転体51は、固形剤収容部20の上部側にある。前記した第1回転体50の上端部は、第2回転体51と同一水平面上に位置している。
第2回転体51についても、固形剤払出し装置10の筐体によって回転可能に支持されており、図示しないモータによって回転する。
【0065】
第2回転体51の一部は、固形剤収容部20から固形剤3を排出する排出口53につながっている。そして第2回転体51の回転により、固形剤3が排出口53に運ばれることとなる。従って、第2回転体51の上部は固形剤3が通過する払出し経路の一部となっている。
そして本実施形態では、第2回転体51によって排出口53まで固形剤3が搬送される払出し経路上に、高さ規制部材55及び幅規制部材57が配されている。
【0066】
ここで 高さ規制部材55は、第2回転体51の上にあり、第2回転体51の搬送面から上の高さを規制するものである。高さ規制部材55は、当該部位を通過する物の高さを制限するものである。高さ規制部材55は、第2回転体51により排出口53まで搬送可能な固形剤3の高さ方向のサイズを規制するものである。
【0067】
一方、幅規制部材57は第2回転体51の側方側から第2回転体51の領域(払出し経路)に張り出すものであり、第2回転体51の搬送路の幅を一時的に狭めるものである。幅規制部材57は、第2回転体51により排出口53まで搬送可能な固形剤3の幅方向のサイズを規制する。
これにより、固形剤払出し装置10では、第2回転体51に載置された錠剤のうち前記した高さ規制部材55により規制される高さh及び前記幅規制部材57により規制される幅wに収まる錠剤のみが排出口53から払い出される。従って、固形剤払出し装置10では、高さh及び幅wが、固形剤収容部20に収容される錠剤の1錠分の高さ及び幅である場合に、その錠剤を1個単位で払い出すことができる。
【0068】
前記した幅規制部材57は、固形剤払出し装置10の筐体に対して垂直軸(図示せず)を介して回転可能に支持されている。そして図示しないモータを駆動することによって幅規制部材57が水平方向に回動し、幅規制部材57の固形剤収容部20側(第2回転体51の領域)への突出量を変更し、幅規制部材57により規制される幅wを変更する。
即ち固形剤払出し装置10には、幅規制部材57により規制される幅wを変更するための幅調整部材60が備えられている。幅調整部材60の外周面には、ピニオンギアが形成されており、幅規制部材57に形成された長穴61の内周面に形成されたラック(ギア)と係合している。
幅規制部材57の固形剤収容部20側への突出量は、幅調整部材60の回転により、幅調整部材60及び長穴61各々が矢印R3方向(
図3参照)に相対的に移動することによって変更される。
【0069】
また固形剤払出し装置10には、前記した高さ規制部材55により規制される高さhを変更するための高さ調整部58を有している。
高さ調整部58は、固形剤払出し装置10の筐体に回転可能に支持されている。高さ調整部58は、図示しないモータによって回転されることにより下端部の位置が上下に移動し、高さ規制部材55により規制される前記高さhを変更する。
【0070】
本実施形態の固形剤払出し装置10は、図示しないモータによって第1回転体50及び第2回転体51が回転する。また第1回転体50は、固形剤収容部20内で昇降する。固形剤払出し装置10内の固形剤3を排出させる際には、第1回転体50と第2回転体51を回転させる。第1回転体50が回転方向R1(
図3及び
図4参照)に回転されると、固形剤収容部20内の錠剤が第1回転体50から第2回転体51に排出される。また第2回転体51が回転方向R2(
図3及び
図4参照)に回転されると、第2回転体51上の錠剤が排出口53に向けて搬送される。
【0071】
但し、本実施形態では、高さ規制部材55及び幅規制部材57によって固形剤3の払出し経路が規制されていて高さと幅が制限されている。そのため第2回転体51により搬送される固形剤3のうち高さ方向に積み重なった錠剤は高さ規制部材55に接触して固形剤収容部20に戻される。また、第2回転体51により搬送される錠剤のうち幅方向に並んで搬送されている固形剤3は幅規制部材57に接触して固形剤収容部20に戻される。
従って本実施形態の固形剤払出し装置10では、高さ規制部材55により規制される高さh及び幅規制部材57により規制される幅wに対応するサイズの錠剤が、第2回転体51上の周方向に1錠ずつ並んだ状態で排出口53まで搬送される。そのため、固形剤払出し装置10では、固形剤収容部20に収容された錠剤を1錠単位で払い出すことが可能であり、錠剤の払出量を制御することが可能である。
【0072】
例えば固形剤小分け装置1の制御装置15や、上位の制御装置に、各固形剤3のマスタデータを記憶し、当該マスタデータに固形剤3の形状情報(寸法)を予め登録しておくことが望ましい。
固形剤情報読み取り手段30が検知した情報から固形剤3を特定し、マスタデータと照合して固形剤払出し装置10に投入された固形剤3の形状に関する情報を取得する。
そして取得した固形剤3の形状情報に基づいて形態変更手段を機能させ、払出し経路の高さと、幅が調節される。また適切な払出し速度が決定される。本実施形態では、第2回転体51の回転速度が決められる。
【0073】
一方、マスタデータに固形剤3の形状情報が無い場合には、形態変更手段を機能させて適切な払出し経路の大きさを探り当てる。具体的には段階的に払出し経路(幅、高さ)を広くしていき、固形剤2が通過する経路の広さを探り、経路の大きさを決める。そしてこのときの払出し経路の情報を形状情報としてマスタデータに記憶し、次回以降はこの情報を参照して形態変更手段を制御する。
マスターデータそのものが無かったり、マスターデータを記憶する手段が無い場合には、前記した適切な払出し経路の大きさを探り当てる作業を、固形剤3が固形剤払出し装置10に投入される度に実施する。
【0074】
以上説明した固形剤払出し装置10は、固形剤3が通過する通路の高さと幅の双方を規制するものであるが、いずれか一方だけを規制するものであってもよい。
また本発明は、固形剤3の払出し経路が固定的であって高さや幅を変えることができないものであってもよい。
【0075】
固形剤払出し装置10は、例えば特許文献2に開示された様に、固形剤収容部20内にロータが内蔵されたものであってもよい。ロータには縦溝があり、当該縦溝に固形剤3が嵌まり込む。そしてロータが回転することによって、縦溝が排出口の位置に到達し、縦溝内の固形剤3が固形剤収容部20から排出される。
【0076】
固形剤取り出し手段は、上記した構成に限定されるものではなく、プッシャ等で固形剤を一つずつ押し出す様なものであってもよい。
また固形剤取り出し手段は、振動を利用して固形剤を一粒ずつ排出させるものであってもよい。例えば固形剤を進行させる案内トラックを設け、当該案内トラックを振動させて固形剤を案内トラックに沿って移送させる様な構造のものであってもよい。
【0077】
次に、本実施形態の固形剤小分け装置1を使用した店舗の例を説明する。
固形剤小分け装置1は、例えば
図7に示すようなドラッグストアに設置される。ドラッグストアには、固形剤小分け装置1の他に陳列棚70と、精算カウンター71が設置されている。
陳列棚70には、各種のサプリメントが販売のために陳列されている。サプリメントは、包装袋2や、瓶5等の包装器材6に充填されている。
【0078】
購入者は、陳列棚70から好みのサプリメントを選び出し、包装器材6を持って固形剤小分け装置1に進む。そして包装袋2や、瓶5を開封し、固形剤(サプリメント)3を、それぞれ別の固形剤収容部20に投入する。また固形剤3の投入と前後して固形剤情報読み取り手段30で、各包装袋2等のラベル17に設けられた二次元バーコード(情報記録部)7に記録された情報を読み出す。
【0079】
そして前記した様に一連の小分け動作を行う。小分けされた固形剤3は、連続シート状に繋がった状態でシート排出口33から排出される。
購入者は、連続シート状に繋がった固形剤3と、空いた包装袋2及び瓶5を精算カウンター71に持ち込み、料金を支払う。
なお料金の支払い(決裁)は、包装袋2や瓶5を選択して開封する前に行ってもよい。
【0080】
また固形剤小分け装置1を、精算カウンター71の中に設置し、店員が包装袋2や瓶5を開封して小分け作業を行ってもよい。
この場合、入力装置40の操作は、店員が行ってもよい。例えば経験豊富な店員や薬剤師が、購入者の希望を聞いて服用時期や服用量についてのアドバイスを行い、購入者や店員が所定の入力を行ってもよい。
【0081】
上記した実施形態では、固形剤払出し装置10に対応して複数の入力装置40を設けたが、一つの入力装置から必要事項を入力してもよい。
例えばハーソナルコンピュータの画面を利用し、表示画面を切り換えて各画面で必要事項を入力してゆく。
要するに、服用情報入力手段は、表示画面を有し、表示画面に固形剤を特定する固形剤表示欄と、固形剤の服用時期を表示する時期欄が関連付けて表示され、これらに関連付けて個数入力欄があり、個数入力欄に個数を入力可能であれば足る。
【0082】
また制御装置15の記憶手段73に過去の入力履歴を記憶しておき、必要に応じてこれを呼び出して前記した一連の個別包装動作を行わしめてもよい。
例えば、購入者が別の日にドラッグストアを来訪し、以前に購入した固形剤3と同一のものを選択し、固形剤情報読み取り手段30で各包装袋2等の情報を読みだした場合、表示手段42の表示画面48に、記憶に残されていた服用情報を自動表示する。購入者がそれを訂正しなければ、記憶手段73に記憶された情報に基づいて一連の個別包装動作が再度実行される。
【符号の説明】
【0083】
1 固形剤小分け装置
2 包装袋
3 固形剤
7 二次元バーコード(情報記録部)
8 袋体(包装体)
10 固形剤払出し装置
11 集合ホッパー
12 包装手段
15 制御装置
20 固形剤収容部
30 固形剤情報読み取り手段
43 氏名入力欄
45 商品名表示欄(固形剤表示欄)
46 服用時期指定欄(時期欄)
47 服用個数入力欄(個数入力欄)
【手続補正書】
【提出日】2023-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装器材に充填されている特定の者が服用しようとする固形剤を再分配して小分けする固形剤小分け装置であって、当該包装器材には情報記録部があり、
複数の固形剤払出し装置と、固形剤に関する情報を前記複数の固形剤払出し装置のそれぞれに入力する固形剤情報入力手段と、服用情報入力手段と、包装手段を有し、
前記固形剤払出し装置は、固形剤が投入される投入口を備え固形剤を収容可能な固形剤収容部と、固形剤収容部から固形剤を所望の数だけ排出させる固形剤取り出し手段を有し、
前記複数の固形剤払出し装置には、特定の者が服用しようとする固形剤が種類ごとにそれぞれ投入され、
前記固形剤情報入力手段は前記固形剤収容部に投入される特定の者が服用しようとする固形剤を特定する情報を入力するものであり、前記固形剤情報入力手段は読み取り手段を備えており、当該読み取り手段は特定の者が服用しようとする固形剤が充填された前記包装器材の情報記録部に記録された情報を読み出して入力するものであり、
前記服用情報入力手段は、前記固形剤収容部に投入された固形剤ごとに、服用時期と、服用時期ごとの服用数を入力することが可能であり、
前記服用情報入力手段に入力された情報に基づいて、前記固形剤払出し装置から固形剤を一服用分ずつ排出して前記包装手段に送り出し、一回に服用する一又は複数種類の固形剤をひとまとめにして前記包装手段で包装する一連の個別包装動作を実行することを特徴とする固形剤小分け装置。
【請求項2】
固形剤払出し装置は、固形剤の形状に応じて固形剤を円滑に排出できる様に形態を変更させる形態変更手段を有し、
前記形態変更手段は、固形剤情報入力手段に入力された情報に基づいて機能するものであることを特徴とする請求項1に記載の固形剤小分け装置。
【請求項3】
前記固形剤払出し装置には固形剤が通過する払出し経路があり、前記形態変更手段は前記払出し経路の状態を変更して通過し得る固形剤の形状を制限可能であり、
固形剤情報入力手段に入力された情報に基づいて払出し経路の状態が変更され、固形剤払出し装置の固形剤収容部に収容された固形剤を排出可能な状態とすることを特徴とする請求項2に記載の固形剤小分け装置。
【請求項4】
記憶手段を有し、
前記記憶手段に、服用者を特定する情報と、固形剤情報入力手段に入力された情報に関連付けて前記服用情報入力手段に入力された情報が記憶され、
一連の個別包装動作が実行された後、固形剤が再度投入口から固形剤収容部に投入され、さらに前記固形剤情報入力手段に前記固形剤収容部に再度投入された固形剤を特定する情報が入力された場合、
前記記憶手段に記憶された情報に基づいて一連の個別包装動作が再度実行されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の固形剤小分け装置。
【請求項5】
複数の固形剤払出し装置を有し、複数の固形剤払出し装置に固形剤が投入された場合であって、
異なる固形剤であるが服用時期が同じである固形剤がある場合は、同一の包装内に服用時期が同じである異なる固形剤が同封されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の固形剤小分け装置。
【請求項6】
陳列棚を有し、前記陳列棚は、一般大衆向けに市販される包装器材に充填された市販固形剤の商品が販売のために陳列されているものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の固形剤小分け装置。