(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144128
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】心臓弁輪を再形成するためのデバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133926
(22)【出願日】2023-08-21
(62)【分割の表示】P 2021131625の分割
【原出願日】2016-12-12
(31)【優先権主張番号】62/265,753
(32)【優先日】2015-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518202312
【氏名又は名称】エムブイアールエックス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー アール. マクホールド
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エー. ラーダート
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ティー. チャン
(72)【発明者】
【氏名】ガネシュ マノハラン
(57)【要約】
【課題】心臓弁輪を再形成するためのデバイス、システム、および方法の方法。
【解決手段】人体器官内でインプラントを固定し、および/または人体器官を再形成するためのアンカが、本明細書で提供される。患者の生体構造に適応するように曲線状または適合可能であるアンカは、患者の身体管腔もしくは血管系内の展開のために構成される。そのようなアンカは、横方向への架橋要素の張力に応じて、変形可能または折り畳み可能構造、もしくはそれを通って延びている1つ以上の繋留鎖の緊張によって調節され得る分割された管を含むことができる。そのようなアンカは、後部アンカと、人体器官内またはそれに沿った別の場所に展開される前部アンカとの間に延びている張力を加えられた架橋要素を有するインプラントシステム内で、血管内の後部アンカとして使用されることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮出願第62/265,753号(2015年12月10日出願、名称「DEVICES,SYSTEMS,AND METHODS FOR RESHAPING A HEART VALVE ANNULUS」)の利益および優先権を主張し、上記出願の内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に引用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、体内にインプラントを係留するため、および/または体内の器官を再形成するためのデバイス、システム、ならびに方法に関する。具体的には、本発明は、僧帽弁逆流の治療のための係留されたインプラントシステムを用いて僧帽弁輪を再形成することによって、心臓弁の機能を改善することを対象とし得る。本発明は、左心房にまたがり、大心臓静脈の中に位置する後部アンカに取り付く架橋要素に取り付けられた前部アンカを採用する、インプラントシステムでの使用のための改良された後部係留デバイスを提供する。
【背景技術】
【0003】
健康なヒト心臓は、
図2A-2Cで見られ得るように、握り拳よりもわずかに大きい、筋肉の両側自己調整ポンプである。それは、4つの空洞から成る;右心房(RA)および右心室(RV)、ならびに左心房(LA)およびLV(LV)。RAは、下大静脈(IVC)を介して下半身から、および上大静脈(SVC)を介して頭部ならびに上半身から戻る酸素不足の血液を収集し、三尖弁を通してそれをRVに送達する。RVは、次いで、収縮し、それは、三尖弁を閉鎖し、肺への循環のために肺動脈弁を通して肺動脈の中へ血液を押し進める効果を有する。心臓の左側は、肺静脈を介して肺から戻る、酸素を豊富に含む血液をLAの中で収集する。そこから、血液は、LVに送達される。LVは、次いで、強力に収縮し、それは、僧帽弁(MV)を閉鎖し、大動脈弁を通して大動脈の中へ、そこから身体の全体を通して血液を押し進める効果を有する。
【0004】
心房中隔、すなわち、線維および筋肉部分から成る壁は、
図2Cで見られ得るように、RAおよびLAを分離する。線維性心房中隔は、心臓のより脆い筋肉組織と比較して、心臓内のそれ自身の範囲内でより物質的に強い組織構造である。心房中隔上の解剖学的目印は、
図2Cで見られ得るように、胎児における卵円孔およびその弁の名残である、卵円窩(oval fossaまたはfossa ovalis)と呼ばれる卵形の親指指紋サイズのくぼみである。それは、弁構造、血管、および伝導経路等のいかなる重要構造も含まない。血管造影技法によってそれを識別可能にする、その固有の線維性構造および周辺線維性隆起とともに、卵円窩は、右から左の心臓への経中隔診断ならびに治療手技のための有利な部位である。出生前に、胎盤からの酸素を豊富に含む血液は、卵円孔を通してLAの中へ差し向けられ、出生後、卵円孔は、閉鎖する。心臓の4つの弁は、主に、心周期中に血液が間違った方向に流動しない、すなわち、心室から心房に逆流または動脈から対応する心室の中へ逆流しないことを確実にするように機能する。
【0005】
心臓の左および右側の同期ポンプ作用は、心周期を構成する。周期は、心室拡張期と呼ばれる心室弛緩の周期から始まる。心室拡張期(すなわち、心室充填)の開始時、大動脈および肺動脈弁は、動脈から心室の中への逆流を防止するように閉鎖される。その後すぐに、三尖および僧帽弁は、心房から対応する心室の中への流動を可能にするように開放する。心室収縮期(すなわち、心室収縮および排出)が始まった直後、三尖および僧帽弁は、心室から対応する心房の中への逆流を防止するように閉鎖する。大動脈および肺動脈弁は、次いで、対応する心室から動脈の中への血液の排出を可能にするように開放する。心臓弁の開閉は、主に圧力差の結果として起こる。例えば、僧帽弁の開閉は、LAとLVとの間の圧力差の結果として起こる。心室拡張期中にLVが弛緩されるとき、肺からLAの中へ戻る血液は、心房内の圧力に、LV内の圧力を超えさせる。結果として、僧帽弁が開放し、血液がLAからLVに流入することを可能にする。続いて、現在満杯の心室が心室収縮期中に収縮すると、心室内圧が、心房内の圧力を上回って上昇し、僧帽弁を押して閉める。
【0006】
僧帽および三尖弁は、心臓の線維骨格の一部を形成する、それぞれ輪と呼ばれるコラーゲンの線維輪によって画定される。輪は、僧帽弁の尖頭または弁尖(前および後尖頭または弁尖と呼ばれる)および三尖弁の3つの尖頭または弁尖に取り付けを提供する。健康な僧帽弁の尖頭が、
図2Bに示されている。適切な閉鎖機能は、腱索および1つ以上の乳頭筋の繋留作用によって補助される。
図2Cで見られ得るように、大心臓静脈(GVC)を含む冠状静脈洞およびその分岐も、本発明に構造的に関連し、僧帽弁輪の近傍に位置する。GVCは、概して、心房の外側であるが心房壁内で、LAの下壁の周囲に流れる。GVCは、冠状静脈洞を通ってRAの中へ排出する。
【0007】
問題となっている弁の各々は、適切な方向のみに血液が流動することを可能にするように機能する一方向弁である。弁のうちのいずれかが適切に機能しない場合、それは、心臓の効率に影響を及ぼし、重大な心臓の問題をもたらし得る。例えば、LVが収縮している間に、LAとLVとの間の僧帽弁が完全に密閉できないことは、LV内の血液の一部がLAの中へ逆行して放出されることをもたらす。これは、概して、僧帽弁逆流と称され、重症度に応じて、結果として生じた重篤な健康上の影響とともに、身体の全体を通して不十分な血流をもたらし得る。
【0008】
(II.僧帽弁機能不全の特性および原因)
LVがLAからの血液で充填した後に収縮するとき、心室の壁は、内向きに動き、乳頭筋および腱索から張力の一部を解放する。僧帽弁尖の下面に対して押し上げられる血液は、僧帽弁輪面に向かってそれらを上昇させる。それらが輪に向かって進むと、前および後尖の前縁が一体となり、シールを形成して弁を閉鎖する。健康な心臓では、弁尖接合が、僧帽弁輪の平面の近傍で起こる。血液は、大動脈の中へ放出されるまで、LVの中で加圧され続ける。乳頭筋の収縮は、心室の収縮と同時であり、心室によって及ぼされるピーク収縮圧において健康な弁尖を緊密に閉じた状態に保つ役割を果たす。
【0009】
健康な心臓では、僧帽弁輪の寸法は、弁尖が、収縮圧において接合し、緊密な接合部を形成するように、解剖学的形状および張力を生成する。弁尖が輪の対向する内側および外側において接合する場所は、
図2Bに示されるように、弁尖交連CM、CLと呼ばれる。弁機能不全は、腱索(索)が伸張され、ある場合には、裂けることに起因し得る。腱索が裂けるとき、これは、動揺する弁尖をもたらす。さらに、正常な構造の弁は、弁輪の拡大または形状変化により、適切に機能しないこともある。この症状は、輪の拡張と称され、概して、心筋不全に起因する。加えて、弁は、出生時、または後天性疾患により、欠陥があり得る。原因にかかわらず、僧帽弁機能不全は、弁尖がピーク収縮圧において接合しないときに起こり得る。これが起こるとき、2つの弁尖の接合線は、心室収縮期において緊密ではない。結果として、LVからLAの中への血液の所望されない逆流が起こり得る。
【0010】
この僧帽弁逆流は、量が有意である場合、いくつかの重篤な健康上の影響をもたらし得る。例えば、心房の中へ逆流する血液は、高い心房圧を引き起こし、肺からLAの中への血流を低減させ得る。血液が肺系の中へ後退すると、流体が肺の中へ漏出し、肺水腫を引き起こす。僧帽弁機能不全に起因する別の健康問題は、心臓の駆出率、またはLVに流入するその血液の身体を通した血液の有効拍出の低減である。心房の中へ逆流する血液体積は、大動脈の中へ前方に進む血液の体積を低減させ、低い心拍出量を引き起こす。僧帽弁逆流の結果としての心房内の過剰な血液は、各心周期中に心室を過剰に充填し、LV内で容量過負荷を引き起こし得る。経時的に、これは、LV、実際には、心臓の左側全体の拡張をもたらし得る。これは、有効心拍出量をさらに低減させ、僧帽弁輪を拡張することによって、僧帽弁逆流問題をさらに悪化させ得る。したがって、僧帽弁逆流の問題が始まると、結果として生じたサイクルが、心不全を早めさせ得る。したがって、問題を治療することは、上記の心拍出量問題を軽減する即時効果を有するだけではなく、心不全に向かった下向きのサイクルを中断し得る。
【0011】
(III.現在の治療方法)
この重篤心臓症状を治療する種々の方法が、提案されている。1つのアプローチでは、Jones、他に対する米国第6,200,341号(特許文献1)およびStoneに対する米国第7,645,568号(特許文献2)に説明されるように、自然弁が除去され、新しい弁と置換される。このアプローチは、いくつかの状況では有用であり得るが、そのような外科的手技は、概して、侵襲性であり、多くの場合、僧帽弁逆流に罹患している患者の多くを含む、重症または高齢患者には禁忌である、開胸手術を要求する。
【0012】
提案されている別の方法は、Schroeder、他に対する米国第2005/0075723号に説明されるように、LVを再形成するようにLVを横断して張力を加え、それによって、僧帽弁の機能に影響を及ぼすことである。このアプローチは、心室を横断してまたがり、心臓の外側表面に係合する心外膜パッドの間に延びている、スプリントを使用する。このアプローチも、侵襲性であり、心臓の外面を貫通するため、潜在的に問題となる。
【0013】
提案されている別の方法は、Cohn、他に対する米国第2002/0183841A1号に説明されるように、LAの後壁に沿って流れるGVCの内側に延びているベルト様収縮デバイスを用いたLAの収縮の試行である。これは、部分的に役立ち得るが、多くの場合、デバイスは、弁尖が接合できないことを完全に解決するために左心房の形状を十分に改変することができない。
【0014】
特に有用であることが証明されているさらに別の方法は、
図3に示されるように、LAの幅を横断し、かつ僧帽弁輪の短軸を横断して直接張力を加えるシステムを採用することである。システム1は、前部アンカ3と後部アンカ4との間に延びている架橋要素2を利用する。前部アンカ3は、概して、LAとRAとの間の壁に、例えば、隔壁上の卵円窩の上に位置し、LAにまたがる架橋要素2に取り付けられる。後部アンカ4は、前部アンカの後方に心房を横断して位置し、GVC内で心房の外側に位置し得る。架橋要素は、後部アンカに付着され、隔壁の間でLAを横断するブリッジを提供する。GVCは、LA、具体的には、僧帽弁輪の形状に直接影響を及ぼすように張力を加えられる。架橋要素の張力を調節することによって、LA、具体的には、僧帽弁輪の形状は、心臓機能中に僧帽弁の最適な閉鎖を達成するように調節されることができる。このアプローチの例は、その内容全体があらゆる目的で参照することによって本明細書に組み込まれる、Chang、他に対する米国第8,979,925B2号(特許文献3)で詳細に説明される。
【0015】
このアプローチは、開心術等の侵襲性手技を回避すること、または人工心肺装置につながれることを含む従来のアプローチと比べて多くの利点を有する。しかしながら、依然として、対処されなければならないいくつかの課題がある。前部アンカは、卵円窩との比較的頑強で頑丈な係留を提供するが、GCV等の身体血管内の係留は、より問題がある。卵円窩は、内側に配置されたアンカを有することに役立つ、顕著なくぼみによって画定されるが、GCVには、いかなる顕著な解剖学的特徴も欠いており、左心房の外壁に沿った比較的平滑な壁の血管によって画定される。加えて、心臓は、高度に動的な器官であり、その中に配置される任意のインプラントは、心臓のポンプサイクル中の心筋のねじれに起因する高度に変化する力および移動を受ける。これらの側面は、GCV内の係留を特に困難にする。したがって、GCV等の血管内で頑強な信頼できる係留を可能にするデバイス、システム、および方法の必要性がある。さらに、デバイスの耐用年数にわたって著しい力に耐えることができるそのような係留デバイスの必要性がある。さらに、心臓等の器官の再形成を支援することができるそのような係留デバイスの必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第6,200,341号明細書
【特許文献2】米国特許第7,645,568号明細書
【特許文献3】米国特許第8,979,925号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、側方に加えられた負荷に対して改良された係留を提供する身体管腔または血管内の展開のためのアンカを対象とする。そのようなアンカは、人体器官内でインプラントを固定するために、または器官壁の一部をアンカと係合させることによって人体器官を再形成するために使用されることができる。心臓機能を改善するために、主に、LAを再形成することによって僧帽弁を改善するためのインプラントデバイスおよびシステムが、特に有用である。本明細書に説明される実施形態のうちのいずれかでは、インプラントおよびアンカは、血管内に送達されて展開されるように構成される。
【0018】
そのようなアンカデバイスおよびシステムは、左心房の後部分に係合することによって、僧帽弁輪を再形成することに特に効果的であり得る。そのようなアプローチでは、外力が、GVCの外部に提供され、概して、GVCと垂直である。僧帽弁治療インプラントシステムでは、張力が、架橋要素によって後部アンカに加えられる。したがって、GVC壁への損傷を回避するため、かつ心房壁をより効果的に動かすために、係留力を可能な限り広くかつ均等に分散するデバイスおよび方法を有することが有益である。一側面では、本発明は、例えば、GVCの内壁に沿って張力を分散するように、かつ後部アンカがGVC内で縦方向にスライドすることを防止するように設計される後部アンカに関連する。アンカのスライドは、架橋要素にGVC壁を薄切りにさせ、または引き裂かせ得、そこで架橋要素がGVC壁を通過する。本発明は、GVCに沿って張力を分散し、GVC内で後部アンカの縦運動を防止するための方法も対象とする。具体的には、そのような方法は、左心房の壁をより効果的に内向きに動かすように、GVCに沿って外力を広く加える、僧帽弁治療システムでの使用のための後部アンカの送達および展開を含む。
【課題を解決するための手段】
【0019】
一側面では、本発明は、人体器官内でインプラントを固定し、患者の人体器官を再形成するためのアンカを提供する。アンカは、患者の身体管腔または血管内の送達および展開のためにサイズおよび寸法を決定された実質的に円筒形の本体を含むことができる。いくつかの実施形態では、アンカは、外科的に形成された嚢または開口部の中に展開されるように構成される。円筒形本体は、横方向に変形可能または折り畳み可能であるように構成される。円筒形本体は、円筒形本体上または内に配置されている、縦方向に延びている実質的に剛体のバックボーンを含む。バックボーンは、インプラントの架橋要素と結合するためのその中間部分に沿った取り付け領域を含む。円筒形本体は、アンカが身体管腔または血管内に配置されている間に架橋要素が取り付け領域に結合されて張力を加えられると、バックボーンが、身体管腔または血管の内壁の一側面に沿って適合するように、円筒形本体を変形もしくは折り畳むように構成される。典型的には、円筒形本体は、側方に変形させられ、または折り畳まれると、身体管腔または血管の内壁の180度以下に係合するように構成される。アンカは、患者の血管内で血管内送達および展開のためにサイズおよび寸法を決定されることができる。
【0020】
バックボーンは、患者の生体構造に適合するように縦方向に曲線状であり得る。いくつかの実施形態では、円筒形本体は、展開されたときに血管の開存性を維持しながら、血管の壁に対する円筒形本体の接触表面を増大させるように、塑性的に圧縮可能な発泡材料で形成される。
【0021】
いくつかの実施形態では、円筒形本体は、拡張可能足場である。典型的には、そのような足場は、足場が血管に円周方向に係合する拡張構成と、架橋要素が張力を加えられると、血管の一側面の少なくとも一部に係合するように、足場が折り畳まれ、患者の生体構造、例えば、C字形に一致する、側方に折り畳まれた構成とを含む。典型的には、足場は、血管を通した血管内送達を促進するための半径方向に圧縮された構成を有する。いくつかの実施形態では、拡張可能足場は、横力がバックボーンに加えられたときに側方折り畳みを促進するように、足場の両側で縦方向に延び、バックボーンからオフセットされる、折り畳みゾーンを備えている。アンカは、他の管腔または身体構造内での使用のための種々の他の形状に同様に適合するように構成され得ることが理解される。そのような足場は、金属、種々のポリマー、または好適な材料の任意の組み合わせで形成されることができる。いくつかの足場は、隣接組織の内方成長を促進するように、メッシュまたはウェブ材料で形成される。いくつかの実施形態では、足場は、係留されたときに管腔に沿ったスライドを阻止するように、返しまたは他の特徴を含むことができる。
【0022】
別の側面では、インプラントシステムが、本明細書で提供される。そのようなインプラントシステムは、人体器官または構造内に、もしくはそれに対して位置付けるための前部アンカと、器官または構造に隣接する身体管腔もしくは血管内の展開のための後部アンカとの間に延びている、緊張可能なブリッジ要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、インプラントシステムは、ヒト心臓弁を治療するためのものである。いくつかの実施形態では、インプラントシステムは、患者の器官に沿った、または器官内の所望の場所内に位置付けられるように構成される、前部アンカと、架橋要素と、後部アンカとを含む。円筒形本体は、人体器官の血管、典型的には、GCV内の送達および展開のためにサイズおよび寸法を決定される。円筒形本体は、横方向に変形可能または折り畳み可能であり、架橋要素に取り付けられる、円筒形本体上もしくは内に配置されている実質的に剛体のバックボーンを有する。架橋要素は、前部アンカと後部アンカとの間の心臓の空洞をまたぎ、前部アンカと後部アンカとの間に所望の間隔を提供するように、十分な張力を維持し、それによって、心臓弁の機能を改善するよう心臓の空洞を再形成するように適合される。
【0023】
別の側面では、反転防止特徴を含む身体管腔または血管内の展開のためのアンカが提供される。そのようなアンカは、患者の生体構造に適応するよう曲線状または適合可能である細長い主要本体と、主要本体に取り付けられた架橋要素が、細長い主要本体の湾曲の方向に沿って張力を加えられると、細長い主要本体の反転または逆転に抵抗するように適合される反転防止特徴とを含むことができる。典型的には、細長い主要本体は、ガイドワイヤまたはカテーテルによる送達および展開を促進するように、中空である、またはそれを通って延びている管腔を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、アンカは、架橋要素と結合するためにその中間部分上に取り付け領域を伴う実質的に剛体の細長い支持部材を含み、反転防止特徴は、剛体支持体を覆って適合されるジャケットまたはカバーを含み得る。ジャケットは、成形され、可撓性材料で形成されることができる。いくつかの実施形態では、ジャケットは、非外傷性先端を提供するように細長い支持部材の各対向端を越えて延びている。反転防止特徴は、身体管腔または血管内の係合をさらに改良し、反転を阻止するように、種々の形状で形成されることができる。いくつかの実施形態では、ジャケットは、血管または身体管腔の壁の係合のための平面的部分を一側面上に含むように成形される。平面的部分は、1つ以上の軸に沿って曲線状であり得、または輪郭形成されることができ、例えば、平面的部分は、血管壁の湾曲に適応するように横方向に曲線状であり得、血管の曲線状経路に適応するように縦方向に沿って曲線状であり得る。いくつかの実施形態では、ジャケットは、ジャケットの各対向端部分よりも広い平面的な中心部分を含むように成形される。この平面的部分は、反転をさらに阻止する、管腔と係合するための増大した接触面積を提供する。中心部分は、架橋要素の取り付けを可能にするように取り付け領域を含むことができる。いくつかの実施形態では、取り付け領域は、ジャケット内に配置される剛体支持部材への架橋要素の通過を可能にするように、平面的な中心部分内に開口部を含む。しかしながら、架橋要素は、任意の好適な手段によって取り付けられ得ることが理解される。
【0025】
他の実施形態では、反転防止特徴は、主要本体に取り付けられ、架橋要素を主要本体に結合する可動連結部を含む。連結部は、典型的には短く、主要本体の長さよりも実質的に短く、架橋要素がそれを通過することができるように中空である。いくつかの実施形態では、連結部は、主要本体の中間部分に旋回可能に結合され、送達中に細長い主要本体に対して折り畳み可能であり、展開されたときに主要本体から側方に延長されるように、細長い湾曲面に沿って旋回可能に移動可能である。
【0026】
他の実施形態では、反転防止特徴は、複数の区画によって画定される主要本体と、横方向への1つ以上の繋留鎖の張力が、複数の区画を一緒に引き寄せ、それによって、それに沿って1つ以上の繋留鎖が張力を加えられる方向に主要本体を湾曲させるように、細長い主要本体の両端部分と係合される、細長い主要本体の内部を通って延びている1つ以上の繋留鎖とを含むアンカの設計である。いくつかの実施形態では、主要本体は、単一の管の長さに沿って分布させられた複数のカーフによって分割されている単一の中空管である。いくつかの実施形態では、アンカは、それぞれ、中空管の両端と結合され、管の管状端が第1および第2の繋留鎖の張力によって内向きに押し進められるとき、管が曲線形状を成すように、中空管の中心部分内の1つ以上の開口部を通って退出する第1および第2の繋留鎖を含む。他の実施形態では、アンカは、管の一方の端部から直接延び、留め具によって管の他方の端部に固定されている単一の繋留鎖を含み、繋留鎖は、中空管が展開のための所望の曲率半径を成す長さに短くされる。なおも他の実施形態では、アンカは、繋留鎖の張力が両端部分を一緒に引き寄せ、それによって、中空管を湾曲させるように、中空管の内部を通って延び、直接、または架橋部材もしくは要素を通してのいずれかで、別のアンカへの取り付けのために中空管の両端部分から退出する繋留鎖を含む。別の実施形態では、アンカは、1つ以上の繋留鎖が張力を加えられると、中空管の湾曲を促進するように角度を付けられる相互作用端を有する複数の独立区画を備えている、中空管によって画定される。
【0027】
別の側面では、インプラントを係留し、患者の人体器官を再形成する方法が、本明細書で提供される。そのような方法は、患者の器官に沿う、または患者の器官内の所望の場所内に前部アンカを送達して展開するステップと、人体器官に隣接して患者の血管系内で後部アンカを送達するステップであって、後部アンカは、後部アンカの展開時、患者の生体構造に適合可能である、ステップと、展開されたときに前部アンカを後部アンカと取り付けるように、前部アンカと後部アンカとの間に延びている第1の架橋要素を送達するステップと、後部アンカおよび前部アンカと相互作用させられている間に、第1の架橋要素に張力を加えることによって、患者の生体構造に適応するための所望の形状に後部アンカを適合させるステップであって、第1の架橋要素に張力を加えるステップは、適合された後部アンカの係合によって人体器官を再形成するように、第1の架橋要素を短くし、前部アンカと後部アンカとの間の所望の間隔を維持するステップを含む、ステップとを含むことができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、係留方法は、側方に変形可能または折り畳み可能であり、円筒形本体に取り付けられた実質的に剛体のバックボーンを有する円筒形本体を有する後部アンカの使用を含む。いくつかのそのような方法では、後部アンカを適合させることは、円筒形本体を変形させるように、または折り畳むように、剛体バックボーンに取り付けられている間に第1の架橋要素に張力を加えることを含み、剛体バックボーンは、患者の生体構造に対して短くする。円筒形本体が足場である、いくつかの実施形態では、アンカを適合させることは、バックボーンに取り付けられた架橋要素に張力を加えている間に折り畳みゾーンに沿って足場を折り畳むことによって、足場を側方に折り畳むことを含む。いくつかのそのような方法はさらに、ガイドワイヤまたはカテーテルによって、半径方向に圧縮された構成で足場を送達することと、足場を側方に折り畳む前に血管系内で足場を半径方向に拡張することとを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、係留方法は、分割された管として画定されるアンカの使用を含む。そのような方法では、アンカを適合させることは、分割された管の反対端部分と相互作用した1つ以上の繋留鎖の短縮を含むことができる。例えば、後部アンカが、分割された管と、分割された管の第1の端部に取り付けられ、その中心部分に沿って分割された管から退出する第1の繋留鎖とを含む場合、第1の繋留鎖を短くし、それによって、第1の端部と中心部分との間の分割された管の一部を湾曲させる。いくつかの実施形態では、そのような方法はさらに、分割された管の第2の反対側から延び、その中心部分に沿って分割された管から退出する第2の繋留鎖を短くし、それによって、第2の端部と中心部分との間の分割された管の別の部分を湾曲させることを含む。
【0030】
分割された管によって画定されるアンカを利用するいくつかの実施形態では、架橋要素は、張力下の架橋要素または繋留鎖要素を両方とも短くすることが、それに対して後部アンカが係合されている生体構造に適合するように、分割された管を湾曲させるように、それぞれ、分割された管の端部と前部アンカとの間に、直接、複数の架橋要素または繋留鎖を含む。いくつかの実施形態では、架橋要素は、器官の空洞を横断して延び、それに対してアンカが係合される組織を貫通する。いくつかの実施形態では、アンカは、ループの短縮または緊張が、後部アンカを湾曲させるように、区画管の両端を内向きに引き寄せるように、分割された管を通って延び、ループを形成するよう両端において前部アンカに取り付けられる、単一の繋留鎖を含むことができる。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
患者の人体器官の再形成のために人体器官内にインプラントを固定するためのアンカであって、前記アンカは、
前記患者の身体管腔または血管内の送達および展開のためにサイズおよび寸法を決定された実質的に円筒形の本体であって、前記円筒形の本体は、横方向に変形可能または折り畳み可能である、円筒形本体と、
前記円筒形本体の少なくとも一部に沿って縦方向に延びている実質的に剛体のバックボーンであって、前記実質的に剛体のバックボーンは、前記円筒形本体上または前記円筒形本体内に配置されている、実質的に剛体のバックボーンと
を備え、
前記バックボーンは、前記インプラントの架橋要素と結合するためのその中間部分に沿った取り付け領域を含み、
前記円筒形本体は、前記アンカが前記身体管腔または血管内に配置されている間に前記架橋要素が前記取り付け領域に結合されて張力を加えられると、前記バックボーンは、前記円筒形本体を変形させるように、または折り畳むように構成されている、アンカ。
(項目2)
前記実質的に円筒形の本体は、側方に変形させられ、または折り畳まれると、前記身体管腔または血管の内壁の180度以下に係合するように構成されている、項目1に記載のアンカ。
(項目3)
前記アンカは、前記患者の血管内の送達および展開のためにサイズおよび寸法を決定された血管内アンカである、項目1に記載のアンカ。
(項目4)
前記バックボーンは、前記患者の生体構造に適合するように縦方向に曲線状である、項目1に記載のアンカ。
(項目5)
前記円筒形本体は、前記血管または器官の壁に対する前記円筒形本体の接触表面を増大させるように、塑性的に圧縮可能な発泡材料を備えている、項目1に記載のアンカ。
(項目6)
前記円筒形本体は、足場が前記血管に円周方向に係合する拡張構成と、側方に折り畳まれた構成とを有する拡張可能足場を備え、前記側方に折り畳まれた構成において、前記架橋要素が張力を加えられると、足場が、前記血管の一側面の少なくとも一部に係合するようにC字形に折り畳まれる、項目1に記載のアンカ。
(項目7)
前記拡張可能足場は、前記血管を通した血管内送達を促進するための半径方向に圧縮された構成をさらに備えている、項目6に記載のアンカ。
(項目8)
前記拡張可能足場は、横力が前記バックボーンに加えられたときに側方折り畳みを促進するように、前記足場の両側で縦方向に延び、前記バックボーンからオフセットされている折り畳みゾーンを備えている、項目6に記載のアンカ。
(項目9)
前記拡張可能足場は、メッシュ円筒であり、前記メッシュは、隣接組織の内方成長を促進するように適合されている、項目6に記載のアンカ。
(項目10)
ヒト心臓弁を治療するためのインプラントシステムであって、前記システムは、
患者の器官に沿った、または患者の器官内の所望の場所内に位置付けられるように構成されている前部アンカと、
前記人体器官の血管内の送達および展開のためにサイズおよび寸法を決定された実質的に円筒形の本体を備えている後部アンカであって、前記円筒形本体は、横方向に変形可能または折り畳み可能であり、前記円筒形本体上または前記円筒形本体内に配置されている実質的に剛体のバックボーンを有する、後部アンカと、
前部アンカと後部アンカとの間の心臓の空洞をまたぐように適合されている架橋要素と
を備え、
前記架橋要素は、前記前部アンカと後部アンカとの間に所望の間隔を提供するようにそれらの間で十分な張力を維持し、それによって、前記心臓弁の機能を改善するように前記心臓の空洞を再形成する、システム。
(項目11)
患者の人体器官の再形成のために身体管腔内にインプラントを固定するためのアンカであって、前記アンカは、
前記患者の生体構造に適応するよう曲線状または適合可能である細長い主要本体であって、前記細長い主要本体は、ガイドワイヤまたはカテーテルによる送達を促進するために中空である、細長い主要本体と、
反転防止特徴と
を備え、
前記反転防止特徴は、前記主要本体に取り付けられた架橋要素が前記細長い主要本体の湾曲の方向に沿って張力を加えられたとき、前記細長い主要本体の反転または逆転に抵抗するように適合されている、アンカ。
(項目12)
前記アンカは、前記架橋要素と結合するためのその中間部分上に取り付け領域を伴う実質的に剛体の細長い支持部材をさらに備え、
前記細長い主要本体は、前記細長い支持部材の少なくとも一部を被覆するように構成されているジャケットを備え、前記ジャケットは、可撓性材料で形成され、非外傷性先端を提供するために前記細長い支持部材の各対向端を越えて延びている、項目11に記載のアンカ。
(項目13)
前記反転防止特徴は、前記ジャケットの形状を備え、前記ジャケットの前記形状は、前記管腔と係合するための増大した接触面積を提供するために前記ジャケットの各対向端部分よりも広い平面的な中心部分と、前記支持部材への架橋要素の取り付けを可能にするための前記平面的な中心部分内の取り付け領域とを含む、項目12に記載のアンカ。
(項目14)
前記反転防止特徴は、前記曲線状細長い主要本体の中間部分に旋回可能に結合されている実質的に剛体の連結部を備え、前記実質的に剛体の連結部は、前記細長い湾曲面に沿って旋回可能に移動可能であることにより、送達中、前記細長い主要本体に対して折り畳み可能であり、展開されたとき、前記主要本体から側方に延長される、項目11に記載のアンカ。
(項目15)
患者の人体器官の再形成のために身体管腔内にインプラントを固定するためのアンカであって、前記アンカは、
前記患者の生体構造に適応するように実質的に線形の構成から曲線構成に変換可能である細長い主要本体であって、前記細長い主要本体は、複数の区画を備え、前記複数の区画は、それらを通って延びている内部管腔を有する、細長い主要本体と、
前記細長い主要本体の内部を通って延びている1つ以上の繋留鎖と
を備え、
前記1つ以上の繋留鎖は、前記細長い主要本体の両端部分と係合されており、それによって、横方向への1つ以上の繋留鎖の張力は、前記複数の区画を一緒に引き寄せ、それによって、前記1つ以上の繋留鎖が張力を加えられる方向に前記主要本体を湾曲させる、アンカ。
(項目16)
前記細長い主要本体は、単一の中空管であり、前記単一の中空管は、その長さに沿って分布させられた複数のカーフによって分割されている、項目15に記載のアンカ。
(項目17)
前記1つ以上の繋留鎖は、それぞれ、前記主要本体の対向端と結合されている第1および第2の繋留鎖を備え、前記第1および第2の繋留鎖は、前記主要本体の中心部分における1つ以上の開口部を通って退出しており、それによって、前記主要本体は、前記主要本体の端部が前記第1および第2の繋留鎖の張力によって内向きに押し進められると、曲線形状を成す、項目15に記載のアンカ。
(項目18)
前記1つ以上の繋留鎖は、前記主要本体の一方の端部から直接延び、留め具によって前記主要本体の他方の端部に固定されている単一の繋留鎖を備え、前記繋留鎖は、前記主要本体が展開のための所望の曲率半径を成す長さに短くされる、項目15に記載のアンカ。(項目19)
前記1つ以上の繋留鎖は、前記主要本体の内部管腔を通って延び、直接または架橋要素を通した別のアンカへの取り付けのために前記主要本体の両端部分から退出する繋留鎖を備え、それによって、前記繋留鎖の張力は、前記両端部分を一緒に引き寄せ、それによって、前記主要本体を湾曲させる、項目18に記載のアンカ。
(項目20)
前記主要本体は、相互作用端を有する複数の独立区画を備え、前記相互作用端は、前記1つ以上の繋留鎖が張力を加えられたときに前記主要本体の湾曲を促進するように、角度を付けられている、項目15に記載のアンカ。
(項目21)
前記複数の区画は、複数の中空管状区画を備えている、項目15に記載のアンカ。
(項目22)
前記複数の区画は、一連の相互作用要素を備え、各要素は、任意の好適な材料および形状で形成される、項目15に記載のアンカ。
(項目23)
インプラントを係留し、患者の人体器官を再形成する方法であって、前記方法は、
患者の器官に沿う、または患者の器官内の所望の場所内に前部アンカを送達して展開することと、
前記人体器官に隣接する前記患者の血管系内に後部アンカを送達することであって、前記後部アンカは、前記後部アンカの展開時、前記患者の生体構造に適合可能である、ことと、
第1の架橋要素を送達することであって、第1の架橋要素は、前記前部アンカを前記後部アンカと取り付けるように、前記前部アンカと前記後部アンカとの間の前記器官の空洞を横断して延び、前記第1の架橋要素は、前記インプラントが展開されているとき、前記後部アンカが係合されている組織を貫通している、ことと、
前記後部アンカおよび前記前部アンカと相互作用させられている間に前記第1の架橋要素に張力を加えることによって、前記患者の前記生体構造に適応するための所望の形状に前記後部アンカを適合させることと
を含み、
前記第1の架橋要素に張力を加えることは、前記適合された後部アンカの係合によって前記人体器官を再形成するように、前記第1の架橋要素を短くし、前記前部アンカと前記後部アンカとの間の所望の間隔を維持することを含む、方法。
(項目24)
前記後部アンカは、側方に変形可能または折り畳み可能であり、前記円筒形本体に取り付けられた実質的に剛体のバックボーンを有する円筒形本体であり、
前記後部アンカを適合させることは、前記円筒形本体を変形させるように、または折り畳むように、前記剛体バックボーンに取り付けられている間に前記第1の架橋要素に張力を加えることを含む、項目23に記載の係留する方法。
(項目25)
前記円筒形本体は、圧縮可能な発泡材料であり、前記バックボーンは、前記円筒形本体内または前記円筒形本体上に配置されている、項目24に記載の係留する方法。
(項目26)
前記円筒形本体は、縦方向に延び、前記バックボーンからオフセットされている折り畳みゾーンを含む拡張可能足場であり、
前記後部アンカを適合させることは、前記バックボーンに取り付けられた前記架橋要素に張力を加えている間に前記折り畳みゾーンに沿って前記足場を折り畳むことによって、前記足場を側方に折り畳むことを含む、項目24に記載の係留する方法。
(項目27)
前記円筒は、拡張可能足場であり、前記方法は、
ガイドワイヤまたはカテーテルによって、半径方向に圧縮された構成で前記足場を送達することと、
前記足場を側方に折り畳む前に前記血管系内で前記足場を半径方向に拡張することと
をさらに含む、項目24に記載の係留する方法。
(項目28)
前記後部アンカは、複数の区画を有する分割された管を備え、前記第1の架橋要素は、前記分割された管の第1の端部に取り付けられ、前記分割された管の中心部分に沿って前記分割された管から退出する第1の繋留鎖を備え、
前記第1の架橋要素を短くすることは、前記第1の繋留鎖を短くし、それによって、前記第1の端部と前記中心部分との間の前記分割された管の一部を湾曲させることを含む、項目23に記載の係留する方法。
(項目29)
前記後部アンカを適合させることが、前記分割された管の第2の反対側から延び、前記分割された管の前記中心部分に沿って前記分割された管から退出する第2の繋留鎖を短くし、それによって、前記第2の端部と前記中心部分との間の前記分割された管の別の部分を湾曲させることを含むことをさらに含む、項目28に記載の係留する方法。
(項目30)
前記架橋要素は、前記分割された管の第1の端部と前記前部アンカとの間に直接延び、前記分割された管の第2の反対端は、第2の架橋要素によって前記前部アンカに取り付けられ、前記方法は、
前記後部アンカを適合させることが、前記第2の架橋要素を張力下に置くように、前記第2の架橋要素を短くすることを含み、張力下の前記第1および第2の架橋要素に張力を加えることは、前記後部アンカが係合されている生体構造に適合するように、前記分割された管を湾曲させることをさらに含む、項目28に記載の係留する方法。
(項目31)
前記後部アンカは、複数の区画を有する分割された管を備え、前記第1の架橋要素は、前記分割された管に縦方向に通され、前記分割された管の両端またはその近傍で退出する繋留鎖を備え、
前記架橋部分を短くすることは、前記繋留鎖を短くし、それによって、前記後部アンカを湾曲させるように、前記区画管の両端を内向きに引き寄せることを含む、項目28に記載の係留する方法。
(項目32)
前記後部アンカは、一連の相互作用要素を備え、1つ以上の繋留鎖が、相互作用要素を通って延び、前記第1の架橋要素に取り付き、取り付けられ、前記相互作用要素は、任意の好適な材料および形状で形成され、
前記第1の架橋要素を短くすることは、前記1つ以上の繋留鎖を短くし、それによって、前記一連の相互作用要素の少なくとも一部を湾曲させることを含む、項目23に記載の係留する方法。
(項目33)
インプラント全体が、血管内に送達されて展開される、項目23に記載の係留する方法。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1Aおよび1Bは、本発明の側面による、卵円窩の中に配置された前部アンカとGVCの中に位置付けられた後部アンカとの間で僧帽弁輪にまたがる心房内架橋要素を含む心臓インプラントシステムを図示する。
【
図2A】
図2Aは、心周期の心室拡張期(心室充填)中に三尖および僧帽弁が開放し、大動脈および肺動脈弁が閉鎖された、右心房内の三尖弁、LA内の僧帽弁、ならびにその間の大動脈弁を示す、ヒト心臓の一区分の解剖学的上面図である。
【
図2B】
図2Bは、弁の主軸全体に沿った弁尖の間の完全接合を実証する、健康な僧帽弁を図示する。
【
図2C】
図2Cは、心臓の空洞の内部および卵円窩、冠状静脈洞、ならびにGVC等の関連付けられる構造を示すように、一部が断面に切断された、左および右心房の解剖学的前面斜視図である。
【
図3】
図3は、卵円窩の中に配置された前部アンカとGCVの中に配置された曲線状後部アンカとの間で左心房にまたがるブリッジを有する、従来のインプラントシステムを示す。
【
図4】
図4A-4Bは、張力が加えられるときに反転または逆転する従来の曲線状後部アンカの傾向を図示する。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による、張力部材に取り付けられたジャケットを伴う後部アンカを図示する。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による、張力部材に取り付けられたジャケットを伴う後部アンカを図示する。
【
図7】
図7A-7Bは、いくつかの実施形態による、反転防止特徴を伴う張力部材に取り付けられた後部アンカを図示する。
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による、別の反転防止特徴を伴う張力部材に取り付けられた後部アンカを図示する。
【
図9A】
図9Aは、いくつかの実施形態による、張力を加えられたときに円筒を変形させるように、圧縮性円筒の裏側に配置された支持要素を含む後部アンカを図示する。
【
図9B】
図9B-9Cは、いくつかの実施形態による、それぞれ、変形の前および後のGCV内に配置された
図9Aの後部アンカを図示する。
【
図9C】
図9B-9Cは、いくつかの実施形態による、それぞれ、変形の前および後のGCV内に配置された
図9Aの後部アンカを図示する。
【
図10A】
図10Aは、いくつかの実施形態による、前部アンカと、GCV内の別個の後部アンカまでそれぞれ延びている複数のブリッジ要素とを有する心臓インプラントシステムを図示する。
【
図10B】
図10Bは、いくつかの実施形態による、前部アンカと、GCV内の単一の後部アンカまで延びている複数のブリッジ要素とを有する、心臓インプラントシステムを図示する。
【
図10C】
図10Cは、いくつかの実施形態による、三尖弁を再形成するための心臓インプラントシステムであって、上および下大静脈内のアンカから右心室の中に配置された後部アンカまで延びている2つのブリッジ要素を有するシステムを図示する。
【
図11-1】
図11A-11Gは、いくつかの実施形態による、1つ以上の繋留鎖の使用による張力部材の調節に応じて、湾曲可能もしくは適合可能である後部アンカを図示する。
【
図11-2】
図11A-11Gは、いくつかの実施形態による、1つ以上の繋留鎖の使用による張力部材の調節に応じて、湾曲可能もしくは適合可能である後部アンカを図示する。
【
図12】
図12A-13Bは、いくつかの実施形態による、支持バックボーンの張力に応じて側方に折り畳み可能である拡張可能構造によって画定される後部アンカを図示する。
【
図13】
図12A-13Bは、いくつかの実施形態による、支持バックボーンの張力に応じて側方折り畳みを促進する折り畳みゾーンを有する拡張可能構造によって画定される代替的後部アンカを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、体内のインプラントの血管内係留および/または身体管腔もしくは身体血管内に展開されるアンカの使用による体内の器官の再形成のためのデバイス、システム、ならびに方法に関する。本明細書に説明されるインプラントおよび関連付けられるアンカは、僧帽弁逆流の治療のために僧帽弁輪を再形成することによって、心臓弁の機能を改善することを対象とする。任意の心臓インプラントシステムは、本明細書に説明される特徴のうちのいずれかまたはそれらの任意の組み合わせを有する後部アンカを利用し得ることが理解される。さらに、以下の実施形態は、前部アンカとGCVの中に配置される後部アンカとの間で左心房にまたがる架橋要素を有する心臓インプラントシステムでの使用のための後部アンカを説明するが、本明細書に説明される特徴は、任意の心臓弁の治療のためのインプラントシステムに関連し、または身体管腔内の展開のための任意のアンカに関連することができ、本明細書に説明される概念によると、他の身体場所において種々の他のインプラントシステムで利用され得ることが理解される。
【0033】
本明細書で提示される僧帽弁逆流の治療のための心臓弁治療システムの1つの重要な特徴は、後部アンカである。
図1A-1Bのインプラントシステム100に示されるように、据え付けられると、後部アンカ10は、概して、GVC内に位置する。後部アンカが、GVC/LA壁を引き裂くこと、またはGVC/LA壁の組織を通して後部アンカを引っ張ることを回避し、したがって、架橋要素上の張力を低減もしくは排除するために、GVCの長さに沿って可能な限り広く架橋要素からの張力を分散することが重要である。架橋要素上の張力が輪のエリアにおけるLV壁の大部分を隔壁に向かって前方に引っ張ることも、LAの形状ならびに隔壁および僧帽弁輪からの解剖学的距離を復元する治療に役立つ。張力が、代わりに、LA壁上の点において集中させられる場合、これは、限定された点エリアのみを前方に引っ張り、LAの壁全体を有意に移動させない傾向があり得る。組織は、LAの壁全体を前方に引っ張るのではなく、内向きにしわを寄せ得るか、または折り重なり得る。
【0034】
デバイスが左心房を再形成するためにGCV内のみに設置される以前のGCVデバイス概念と異なり、これらのシステムは、好ましい中隔側方間隔への実質的により厚く頑強な隔壁上のアンカによって供給され、それに取り付けられ、かつそれによって維持されるLA壁に加えられる追加の横力に依拠し、それは、オペレータによって制御される。GCV専用デバイスは、GCVの経路を内向きに再形成しようとするが、心室の一部を含む周辺組織を移動させるそれらの能力は大幅に限定され、全ての加えられた力は、GCV自体の中で解決するか、または釣り合いを保たなければならない。側壁を一様に動かし、外傷または浸食を伴わずに弁尖を接合させ、理想的には、GCVおよび隔壁を伴う中隔側方間隔の天然形状、輪郭、ならびに機能の可能な限り多くを維持する様式で、これらの実質的に大きい力を分配するGCVのためのアンカの必要性がある。
【0035】
そのようなインプラントシステムに関連付けられる課題の間には、GCV内に配置されながら、左心房の後壁に沿って後部アンカの安定した頑丈な係合を提供することに困難がある。第1に、左心房に沿ったGCVの内壁が、いかなる顕著な解剖学的特徴も伴わずに略平滑壁であるので、後部アンカは、スライドまたは移動する傾向があり、それは、インプラントシステムによって提供される中隔側方間隔の変動性につながり、あるレベルの僧帽弁逆流が、依然として起こり得る。さらに、心臓が心周期中に有意量の循環運動を受けるので、経時的な後部アンカのこのスライド運動は、組織の浸食、またはそれを通って架橋要素が延びている貫通の拡大につながり、GCVに沿ったLA壁の引き裂きにつながり得る。第2に、曲線状または可撓性の後部アンカを有するそのようなシステムでは、アンカの湾曲は、多くの場合、心房壁の天然湾曲に合致せず、後部アンカは、輪の所望の再形成が心周期全体を通して維持されることを確実にするための左心房の後壁の十分に大きい部分に一貫して係合できない。さらに、後部アンカが、典型的には、係留力を分配するために中間部分に沿って取り付けられた架橋要素によって張力を加えられるので、曲線状後部アンカの張力は、
図4A-4Bに示されるように、心周期中に剛体曲線状アンカを反転させる、または半剛体曲線状アンカを逆転させる傾向があり、後部アンカの目的をさらにくじく。
【0036】
これらの課題に対処するために、本明細書では、係留の安定性および一貫性の増加、ならびに特に身体血管の中に展開されたときに隣接組織との改良された係合を提供する改良された設計特徴を有するアンカが提示される。一側面では、アンカは、患者の血管系内の送達および展開のためにサイズおよび寸法を決定される細長い主要本体を有する。心臓インプラントシステムに対して、そのようなアンカは、側方に加えられた係留力を分配し、心臓壁の実質的な部分に係合するように、1cm~10cm、典型的には、2cm~8cmの長さ寸法を有することができる。アンカは、0.5cm~5cm、典型的には、1cm~3cmの幅寸法を有することができる。アンカは、身体管腔または隣接器官の生体構造により密接に一致するように、その長さ寸法に沿って、ならびに幅寸法に沿って、輪郭形成または湾曲されることができる。いくつかの実施形態では、アンカは、血管を通る血流を促進するように血管の残りの部分を開放したままにしながら、それが展開される血管の一側面の少なくとも一部に係合するように、特別に成形される。そのような形状の例は、DまたはC字形、ならびに卵形を含み、その全ては、血管の開存性を維持しながら、身体血管の一側面に沿った後部アンカの接触面積を増大させる。
【0037】
図1Aおよび1Bは、卵円窩の中に固定された前部アンカ14とGVCの中に展開された後部アンカ10との間に延びている、左心房を横断してまたがる架橋要素12を含む、例示的心臓弁治療システム100を図示する。本実施形態では、後部アンカ10は、
図13Aで詳述されるもの等の円筒形構造であり、円筒形構造は、展開されたと、LAの壁に沿ったGCVの内壁に沿って増大した接触表面積を提供するように、側方に折り畳み可能である。
図1Bで見られ得るように、後部アンカ10は、それに沿ってGCVが延びているLAの外側湾曲の生体構造とより密接に一致するように、その長さに沿って曲線状でもある。後部アンカ10は、心周期中に心臓の構造によって加えられで引き起こされる動きおよび力に起因するその長さに沿った反転または逆転を阻止するように、反転防止特徴11をさらに含むことができる。後部アンカの特定の設計が
図1A-1Bに示されているが、システム100は、本明細書に説明されるもののうちのいずれか、または本明細書に説明される概念による任意の好適なアンカ特徴を含む任意の好適な後部アンカを利用し得ることが理解される。
【0038】
いくつかの実施形態では、血管内アンカは、張力部材が取り付く場所に沿った中心剛体部分と、可撓性外側端とを有する細長い部材として画定される。中心剛体部分は、心周期中に隣接組織とのアンカの係合を維持するように、張力部材の突然の移動に適応するように可撓性であるか、移動可能であるか、または旋回する取り付け点等の応力緩和特徴を含むことができる。可撓性外側端は、中心剛体部分の修正(例えば、切り欠き、カーフ)によって提供されることができるか、または剛体部分を覆って適合するポリマージャケットもしくはカバー等の追加の構成要素によって提供されることができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、血管内アンカは、それが配置される血管の一側面の少なくとも一部に一致するように輪郭形成または成形される。いくつかの実施形態では、血管内アンカが、固定形状を有する一方で、他の実施形態では、アンカの形状は、柔軟、または適合的である。いくつかの実施形態では、血管内アンカは、送達および展開を促進するように、変動するサイズならびに形状の複数の構成を成すことができる。本明細書に説明される実施形態のうちのいずれかでは、アンカは、ガイドワイヤまたはカテーテルによる血管内送達を促進するために、それを通る中空管腔を伴って画定されることができる。
【0040】
改良されたアンカのこれらおよび他の側面は、
図5-13Bで描写される実施形態を参照することによって、さらに理解されることができる。これらの実施形態は、張力を受ける心臓インプラントでの使用のための後部アンカを説明するが、これらのアンカ特徴は、種々の他の身体場所でインプラントのための種々の他のタイプのアンカに適用され得ることが理解される。例えば、説明される特徴のうちのいずれかは、人体器官の再形成を促進するように、係留された組織に対する改良された一致、力の改良された分配、および組織の改良された係合を含み得る、改良された係留を提供するために、インプラントで使用されることができる。
【0041】
図5は、ひずみ緩和および非外傷性先端構成を提供するためにジャケットで覆われているT字バー110として画定される後部アンカを図示する。いくつかの実施形態では、薄壁または厚壁のポリマージャケット160が、非外傷性表面を提供するために従来の剛体T字バーアンカを覆って適合されることができる。T字バー110は、ブリッジ要素105と結合され、ブリッジ要素は、縫合糸、繋留鎖、または、左心房を横断してまたがり、心房を再形成するために十分な張力を維持するために好適な任意の要素であることができる。ジャケット160は、ジャケットの端部分が剛体T字バー110の端部を越えて延びているようにサイズを決定および寸法を決定される。ジャケット160は、PTFE、高シリコーンソフトブロックウレタン、シリコーン、または任意の好適な材料で形成されることができ、ポリエステル等の薄い織物外側被覆をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、ジャケットは、好ましくは、組織内方成長を促す材料で形成される。ジャケットは、接着剤によって定位置で保持され得るか、T字バーを覆って収縮され得るか、もしくは両方である。本実施形態では、ジャケット160は、内側の取り付けられた中心ブリッジ取り付け部に当接する2つの端部品として画定されるが、ジャケットは、以下で説明される次の実施形態のように、T字バーの全長を覆って取り付けられた単一部品ジャケットとして画定され得る。先端延長部は、組織ひずみを低減させるように成形され、例えば、安定性を増加させて送達を補助するように曲線状またはベビ状(図示せず)であり得る。このアプローチは、アンカのサイズおよび/または形状を変化させるように、その長さに沿って改良された、もしくは可変の可撓性を提供するように、または、種々の他の有利な特性を提供するように従来のT字バーアンカが改造されることを可能にする。
【0042】
図6は、成形ジャケット162によって被覆された剛体T字バーバックボーン110として構成される別の後部アンカを図示する。成形ジャケット162は、剛体T字バー110を覆って適合するポリマー半剛体またはコンプライアントな「サーフボード」であることができる。そのような構成は、従来の剛体T字バーアンカが、特定の用途のために所望される任意の形状、輪郭、または可撓性を成すように改造されることを可能にするので、有利である。上で説明される心臓インプラントシステムでの使用のために構成される本実施形態では、成形ジャケット162は、LAに向かったGVCの内壁との組織接触面積を増大させるように、かつ係留接触力をさらに分配するように、一側面上で平面的であるか、または平坦にされるように成形される。平面的部分は、血管の形状に適応するように平坦または曲線状であり得る。本実施形態では、平面的部分は、いずれの端部分よりも増大した幅を有する中心部分上に含まれ、平面的部分は、平面的な中心部分の中心の近傍の開口部を含み、開口部は、血管の壁との平面的な中心部分の係合を促進する。この増大した幅寸法および平面的部分は、反転に対する改良された抵抗を提供する。成形ジャケット162は、それがGCV壁に対して比較的平坦に横たわり、したがって、GCV内の血流を最大化するように、その後/前寸法に沿って薄く形成されることができる。この構成は、後部アンカを安定させ、反転に抵抗する役割も果たしている。他の実施形態と同様に、表面は、組織内方成長を誘発する材料でコーティングまたは構築され得る。成形ジャケットは、PTFE、高シリコーンソフトブロックウレタン、シリコーン、他のインプラントグレードエラストマを含む種々のポリマー材料で形成されることができる。組織成長を促進するために、またはスライドを阻止するために、ポリマージャケットを被覆するポリエステル等の随意の薄い織物が、採用され得る。デバイスのサイズは、当然ながら、外科医の所望および患者の特定の要件、例えば、大柄な男性患者対小児患者に応じて、変動し得るが、典型的成人患者のための有利なサイズは、例えば、12Fの円形または卵形T字バーあろう。そのような連結部は、上で議論される他のジャケット付きまたはワイヤ形態T字バーを安定させ、強化するように、「バックボーン」として組み合わせられ得る。ワイヤ形態は、上で説明されるように剛体バックボーンが形態を折り畳むことを可能にするであろう金属、プラスチック、または任意の他の材料であり得る。
【0043】
成形ジャケット162の直線状バージョンが
図6に示されているが、成形ジャケット162は、僧帽輪またはGCVもしくは両方の湾曲に合致するように、その長さに沿って所定の曲線形状で形成され得ることが理解される。GCVの幅に近い幅を有すること、側壁のより多いひっかかり獲得することは、曲線が反転またはまっすぐになる傾向が阻止されるであろう。いくつかの実施形態では、アンカを送達するために使用される送達カテーテルは、湾曲をGCVと整列させるアンカの適切な設置を可能にするように軸回転を可能にする搭載特徴を含むことができる。そのような特徴は、展開中のアンカの向きの操作を可能にする管腔、ガイドもしくは任意の相互作用特徴を含むことができる。成形ジャケットは、その形状の準直線化を伴うガイドワイヤ上の移動、およびガイドワイヤの除去ならびにデバイスの解放時により有意な曲がりを可能にするように、半剛体材料から構築されることができる。1つ以上の放射線不透過性特徴が、臨床医が送達および展開中にその位置ならびに向きを可視化することを可能にするように、アンカに追加されることができる。これらの実施形態では、ブリッジ要素105は、T字バー110の中間部分の周囲に巻かれた縫合糸として描写されているが、種々の他の架橋要素および好適な取り付けの手段(例えば、接着剤、溶接、結合)が使用され得ることが理解される。
【0044】
いくつかの従来のシステムは、曲線状後部アンカを利用しているが、そのようなアンカは、(剛体構造であるとき)反転する傾向、または(より可撓性の構造であるとき)逆転する傾向がある。この動作は、前部アンカ3から剛体曲線管状部材として画定される従来の後部アンカ4の中間点まで延びている架橋要素2を含む、
図3に示される従来の心臓弁治療システム1を参照することによって、さらに理解されることができる。薄い曲線状後部アンカ(特に、剛体曲線状アンカ)がGVCの中に設置され、張力が弧の内部湾曲に(特に頂点の近傍で)加えられるとき、力は、GVC内の曲線状アンカを反転させ、GVCと心房との間の通路に湾曲の外縁を提示する傾向があろう。
【0045】
図4A-4Bは、この反転傾向を図示する。アンカを反転させることは、より安定したエネルギー条件に達し、したがって、これは、アンカが求める傾向があろう構成である。構成においてこの反転を考慮するにあたって、GVC内の定位置にある遠位アンカが静的曲線状静脈に対して横たわる動かない曲線状の構造から程遠いことを忘れないことが重要である。それは、概して、1分に75回も多く鼓動する心臓の壁に埋め込まれた、流動する血液に満ちた血管内の定位置にある。後部アンカが流動する血液にもまれ、強く打たれると、アンカは、架橋要素からの張力に関連して、より安定した向きを迅速に求め、曲線の頂点が張力要素に向けられ、いくつかの機構(例えば、本明細書に説明されるもののうちのいずれか)が反転が生じることを防止するために位置付けられるまで、架橋要素がそれを引っ張っている、GVC/LA壁の孔に頂点が引き込まれる向きに反転するであろう。反転または逆転されたとき、アンカ構造は、LA/GVC壁の間の穿刺点である、単一の点において、架橋要素によって加えられる張力をGVC/LA壁上で集束する傾向がある。これは、壁を引き裂き、おそらく、後部アンカを心房に引き込み、張力を完全に解放するか、または途中まで心房に引き込み、治療が大幅に侵害される点まで張力を解放する可能性を増加させる。
【0046】
上で説明されるこの反転運動は、輪の再形成に影響を及ぼすように隔壁に向かってLAの壁を引っ張ることにおいて著しく効果が低く、したがって、治療を提供することにおいて効果が低いであろう。曲線状後部アンカとGVC内壁との間に単一の接触点しかないと、後部アンカは、GVC内で縦方向にスライドする可能性がより高くなり、そうするとすぐに、架橋要素を形成する縫合糸は、GVC/LA壁を形成する組織を薄切りにし、穿刺孔を拡張する可能性がより高くなり、後部アンカがLAに引き込まれ得る可能性をさらに高くする。したがって、反転防止構成および特徴は、スライド防止機構を同時に提供することができ。それは、二重に有利であろう。
【0047】
1つのそのような反転防止アンカ構成が、
図7A-7Bに示されている。このアンカは、アンカ本体152の内側曲線から延びているヒンジ150または類似可撓性取り付け機構によって取り付けられる剛体の短い連結部151を採用する。連結部151は、
図7Aに示されるように、ガイドワイヤGWによる送達中、曲線状アンカ本体152の内側曲線に対してほぼ平坦に横たわるように回転することができ、LAの壁の貫通を通して架橋要素を引っ張ることによって展開されたとき、
図7Bに示されるように、アンカと略垂直であるように開放する比較的剛体の長さである。典型的には、展開構成では、連結部151の遠位端は、その静置位置でわずかにLAの中へ突出する。いくつかの実施形態では、連結部151は、中空であり、可撓性架橋要素105は、中空連結部151を通して曲線状後部アンカ本体152に取り付けられる。他の実施形態では、架橋要素105は、アンカ本体152から離れて延長される端部に取り付けられる。連結部151は、張力を加えられた架橋要素105との同軸整列を引き起こし、アンカが反転することを防止するために十分な長さである。連結部151は、プラスチックまたは平滑金属等の材料で形成され、心房とGVとの間で貫通が作られるGVCの壁の組織を切断する可能性が、裸の架橋要素(例えば、縫合糸)ほど高くない十分な直径を有することができる。連結部は、したがって、反転を防止し、GVCの壁を保護する二重の目的を果たす。連結部は、送達中、平坦に折り重なるように設定され、穿刺部位に向き、縫合糸がその部位で引っ張られると垂直に開放する。
【0048】
図8は、架橋要素105がアンカ本体152に取り付けられる場所に沿う内向きに曲線状の部分153として画定される反転防止または反転防止特徴を含む別のアンカ実施形態を図示する。MVRの治療のために左心房インプラント内で使用されるとき、内向きに曲線状の中間区分は、略GCV形状の曲線状アンカの平面の中へ突出し、ブリッジ105は、反転防止曲線状部分153の中間区分において取り付けられる。これは、その構築および送達の両方での連結機構の複雑要因を回避し、アンカへのより単純な取り付けを可能にする。
【0049】
別の側面では、後部アンカは、送達構成と、アンカが血管壁の一側面に沿って偏心して配置される展開構成とで構成されることができる。そのような構成は、非円形であり、身体管腔または血管の壁に対して係合されるべき一側面上により広い表面積を有する偏心形状を形成するように、拡張可能ならびに圧縮性である構造および材料を含むことができる。そのような構成の例は、以下の実施形態に図示される。
【0050】
図9A-9Cは、押しつぶし可能円筒103として画定される後部アンカを図示し、T字バー支持体等のより剛体の支持部材101が、円筒内に取り付けられ、または埋め込まれる。円筒が本実施形態で説明されるが、そのようなアンカは、部分的円筒、三日月形、卵形、または種々の不規則な形状を含むが、それらに限定されない種々の細長い形状で構成され得ることが理解される。押しつぶし可能円筒は、発泡材料または構造等の任意の好適な押しつぶし可能材料で形成されることができる。典型的には、剛体支持部材101は、架橋要素が張力を加えられると、円筒のさらなる押しつぶしを促進するように、
図9Aに示されるように、架橋要素105が延びている場所から最も遠い外側後ろの直径に取り付けられるか、または埋め込まれる。剛体支持部材101は、示されるように実質的に直線状であり得るか、または概して、GVCの内壁の曲線を辿り、したがって、組織壁に対して引っ張り力を一様に分散するように曲線状であり得る。
【0051】
図9B-9Cは、それぞれ、展開前および展開後のGVCの中に配置された
図9Aの後部アンカの断面を図示する。GVCの中へ送達され、架橋要素105に接続されると、押しつぶし可能円筒103は、それを通って架橋要素105が延びているGVCおよびLAの壁に隣接し、剛体支持要素101は、
図9Bに示されるように、LAから最も遠い側面上に配置される。T字バー101に対して架橋要素に張力を加えると、押しつぶし可能材料は、GVC内の血流をあまり閉塞しない縮小断面を有する偏心形状103aに折り畳まれる。押しつぶされた円筒はまた、GVCの内側形状により密接に付着し、それによって、押しつぶされていない円筒と比較して接触表面積を増大させる形状をとる。押しつぶされると、材料も、若干圧縮され、概して、押しつぶされていない材料よりも剛であり、GVC壁の表面積を覆って架橋要素によって加えられる力を分散することにも役立つ。
【0052】
図9A-9Cに示される実施形態は、比較的短い細長い押しつぶし可能部材およびT字バーとして示されているが、T字バーもしくはスパインは、引っ張り力を分散するように有意により長くあり得、より一般的には、曲線形状のGVCの中で力を分散するように曲線を伴って成形され得ることが理解される。
【0053】
いくつかの実施形態では、押しつぶし可能材料は、組織・アンカ基質を作成する組織内方成長および/または瘢痕化を促進する材料である。この内方成長は、後部アンカがGVC壁を通して引っ張られない、またはGVC内で反転されないことを確実にすることをさらに補助する。この押しつぶし可能材料は、その送達外形を低くするように押しつぶし形態で送達カテーテルによって拘束され得、したがって、送達を補助し、解放されたとき、架橋要素によってその最終寸法にさらに再形成される。
【0054】
図10A-10Bは、本明細書に説明されるものによる、後部アンカを利用することができる、代替的インプラントシステムを図示する。
図10Aは、前部アンカと、GCV内の複数の後部アンカ10まで延びている複数のブリッジ要素とを有する心臓インプラントシステム200を図示する。本実施形態では、後部アンカ10は、
図13Aに説明されるもの等の折り畳み可能円筒形構造である。
図10Bは、前部アンカと、GCV内に展開された単一の後部アンカ10まで延びている複数のブリッジ要素105とを有する心臓インプラントシステム300を図示する。本実施形態では、後部アンカ10は、
図11Gに説明されるもの等の分割された管である。描写される後部アンカの各々は、本明細書に説明される実施形態のうちのいずれかで、アンカ特徴のうちのいずれか1つまたは組み合わせを利用し得ることが理解される。
図10Cは、いくつかの実施形態による、三尖弁を再形成するための心臓インプラントシステム400であり、上大静脈内および下大静脈内のアンカ40から右心室の中に配置された後部アンカ10まで延びている2つのブリッジ要素を有するシステムを図示する。本実施形態では、後部アンカ10は、
図13Aに説明されるもの等の折り畳み可能円筒形構造である。
【0055】
別の側面では、実質的に線形の構成から曲線構成に変換されることができる曲線状後部アンカが提供される。いくつかの実施形態では、アンカの曲線は、展開中に調節されることができる。いくつかのそのような後部アンカは、架橋要素によって、もしくはそれを通って延びている1つ以上の繋留鎖によってのいずれかで、張力を加えられたとき、曲線形状に関節運動する一連の相互作用または相互接続構成要素を含む。これらのアンカは、
図10Aに示されるもの等のアンカごとに単一の架橋要素を有するシステムとの使用、または
図10Bに示されるもの等の複数の架橋要素を有するシステムでの使用のために構成されることができる。いくつかの実施形態では、湾曲可能後部アンカは、引っ張られたブリッジによるアンカ本体の制御された関節運動または湾曲を可能にする一連の切り込みもしくはカーフを有する単一の管内で画定される。そのようなアンカの調節は、複数の方式およびアンカ構成を含むことができる。そのような構成の例が、以下でさらに詳述される。
【0056】
図11A-11Dは、展開されたときに架橋要素に向かって内向きに湾曲するように構成される後部アンカを図示する。そのような構成は、血管または隣接組織もしくは器官壁の湾曲に合致するように設計されることができ、湾曲が引っ張られたブリッジ要素によって維持されることができるので、反転にさらに抵抗する。典型的には、後部アンカは、GVCの湾曲に合致し、前部アンカに対して引っ張られる架橋要素を通した取り付けによって提供される係留力をより均等にしっかりと分散するように、画定される。
【0057】
図11A-11Dの実施形態は、単一の管から形成される区画管であることができる。これが達成され得る1つの方法は、
図11Aに示されるように、カーフ140、141、142と呼ばれる一連の切り込みによって、好適な長さ(例えば、GVCに沿った僧帽輪に合致する長さ)の中空金属またはポリマー管130を一連の区画131、132、133に切り込むことである。カーフは、例えば、管の直径の1/2~3/4の深度であることができ、より緊密な曲率半径を促進するように角度を付けられることもできる。これらのエリアは、開放しており、それは、ある材料が一連の区画を画定するように管から切り取られ、力が両方の端部130a、130bに加えられると、管がカーフの方向へ優先的に屈曲することを可能にすることを意味する。
【0058】
1つ以上の繋留鎖が、区画を内向きに引き寄せてアンカを湾曲させるために使用されることができる。いくつかの実施形態では、内部繋留鎖105a、105bの各々は、管のそれぞれの端部130a、130bにおいて内部で固定され、(例えば、
図11A-11Bのように)カーフのうちの1つ、またはおそらくカーフ138、139のうちの2つを通して、アンカの中心部分に沿って退出することを可能にされ、架橋要素が、露出した繋留鎖に取り付けられる。GCV壁に対して架橋要素に張力を加えることは、同時、僧帽弁の短軸を短くし、アンカを所望の形状に屈曲する。そのような構成は、架橋要素105が引っ張られると、管130を湾曲させる。より多くの張力が加えられるほど、カーフ開口部が閉鎖されるか、または係合された組織が管状本体130に等しい対抗力を及ぼすまで、架橋要素に向かって湾曲が大きくなる。これは、架橋要素が高められた張力を受けるとき、典型的には、前述の反転が生じるので、心臓等、動的環境での使用のために特に有利である。
【0059】
図11Cは、端部130a、130bと結合され、中心開口部144を通って退出し、架橋要素105と結合する、内部繋留鎖105a、105bを有する類似実施形態を図示する。代替として、繋留鎖105a、105bの各々は、端部130a、130bに独立して固定され、各端部の独立した屈曲を可能にするように、アンカの中心から退出することができる。このアプローチは、複数の区画およびカスタム形状のアンカを提供する構成を提供することができる。
【0060】
図11Dは、架橋要素105がループである代替実施形態を図示し、ループは、アンカの管状本体130を通って延びており、ループを短くすることによって張力を加えられたとき、内部繋留鎖部分105cが短くし、引っ張られた繋留鎖部分105a、105bが端部130a、130bを内向きに押し進め、それによって、アンカ本体を湾曲させる。ループの長さは、前部アンカを通してループの1つ以上の自由端を引っ張り、前部アンカに取り付け、それによって、ユーザが架橋要素の張力を調節することを可能にすることによって、短くされることができる。
【0061】
代替として、屈曲は、架橋要素から独立し得る。
図11Eは、カテーテルの管腔を通してアンカの遠位端に内部で固定された内部繋留鎖106を引っ張るためにGCV内でカテーテルを使用するそのような屈曲方式の例を図示する。これは、アンカの近位端をカテーテル先端に係合させて屈曲させる。クリップ、結び目、または任意の好適な機構等の留め具107が、所望の曲線状位置で屈曲したアンカを固定するために使用されることができ、過剰な繋留鎖は、断ち切られる。
【0062】
屈曲構成および管を屈曲させるために要求される力、ならびに屈曲した管の剛性は、カーフの数、幅、間隔、および深度を調節することによって、所望に応じて変動させられ得ることが理解される。カーフは、より広いおよびより狭い区分を組み合わせて、それぞれ、区分を比較的剛にまたは柔らかくする、アンカの長さに沿った様々な長さであり得る。アンカの湾曲は、単一の共有接続ブリッジまたは二重独立ブリッジ要素で達成され得、後者は、一方の端部でより弛緩した湾曲を可能にする。
【0063】
別の類似アプローチでは、アンカは、長さが類似するかまたは調整される個々の接続されていない中空連結部によって画定される。連結部は、展開されたときにそれらの静置場所のための所望の剛性および形状を有するように形成される。連結部は、本明細書に詳述される構造のうちのいずれかを使用して形成されることができる。そのような実施形態は、単一のブリッジを有する送達方式を利用することができ、第1のブリッジ端部展開の後、それらの静置場所へのアンカまたはアンカ連結部の装填が続き、その後、第2のブリッジの展開が続く。アンカまたは外側連結部の先端は、グロメット、または架橋要素からの任意の摩耗から組織を保護する他の手段を有し得る。
【0064】
別の側面では、2つの端部ブリッジを伴う屈曲可能GVCアンカのハイブリッド概念が提供される。そのような実施形態の例は、ブリッジ要素間に延び、各端部において取り付けられる、一連の区画または相互作用要素に類似する、屈曲可能アンカを含むことができる。いくつかの実施形態では、架橋要素は、アンカの各端部に恒久的に固定される。第1のブリッジは、好ましくは、冠状静脈洞から最も遠くに展開され、その後、好ましくは、僧帽弁のより大きい中心扇形弁尖を覆って中心に置かれるであろう、アンカの長さに等しい穿刺間の間隔を伴う第2のブリッジが続く。アンカは、次いで、保護シースを通してブリッジおよびアンカの両方を引っ張ることによって展開される。いくつかの実施形態では、個々の区画の端部は、区画全体が緊密に引っ張られ、端部が当接するとき、一連の区画の長さが曲線状構造を形成するように、角度を付けられる。曲線状構造は、区画の角度に応じて事前選択されることができ、一定の曲線である必要はない。例えば、そのようなアンカは、アンカの中心における比較的直線状の区分と、各端部におけるより鋭く曲線状の区分とを含み得る。代替として、アンカは、直線状区画と、アンカの他方の端部上のさらに鋭く曲線状の区画とを含み得、それは、いくつかの用途では有用な構成であり得る。
【0065】
図11Fおよび11Gは、個々の連結部の使用によって曲線状後部アンカを達成するための上記の代替的アプローチの例を図示する。連結部は、各々の間に相互作用表面を伴って接続されないことができるか、またはアンカの湾曲を可能にするように隣接連結部の間の相対運動を可能にする様式で相互接続されることができる。これらの描写される実施形態では、管131は、所望に応じて直線状であるか、または角度を付けられるかのいずれかである篏合表面183を伴って成形されることができるいくつかの個々の区画181、182によって形成される。
図11Fの実施形態では、アンカ管の端部は、架橋要素105a、105bに接続されるグロメット145によって保護され得る。いくつかの実施形態では、グロメット145は、所定の湾曲をアンカに提供するように、事前設定された長さまでそれを通って延びている架橋要素または繋留鎖を固定する固定停止部として構成される。
図11Gの実施形態では、アンカの連結部は、単一の架橋要素または繋留鎖を通され、ブリッジに沿って自由に移動し、それによって、架橋要素または繋留鎖の短縮は、アンカの反対端に係合し、アンカを湾曲させる。そのような構成は、連結部が、アンカに沿った長さまたは剛性を変動させるように追加もしくは構成されることを可能にする。いずれの実施形態でも、2つの架橋要素105a、105bは、前部アンカ上の同一の場所に取り付けられ得る。張力をこれらの架橋要素に加えることは、管131を内向きに湾曲させる。そのようなアンカが心臓インプラントシステムに組み込まれると、曲線状管131は、隔壁に向かってLAの壁全体を引っ張り、有利なこととして、僧帽弁輪を成形し、オペレータは、リアルタイムで逆流を超音波上で視認しながら、一方または他方の側面に向かって長さを偏らせることができる。連結部または区画は、ここでは中空管状区画として示されているが、連結部は、血管または患者の生体構造の湾曲に合致するように輪郭形成される形状を含む種々のサイズおよび形状で形成され得ることが理解される。いくつかの実施形態では、連結部は、架橋要素または繋留鎖の短縮が、アンカに沿った曲線状配列の中へ連結部を関節運動させるように、一連の相互作用要素として画定される。相互作用要素は、任意の好適な構造(例えば、中実、中空)であることができ、所望される任意の形状で形成されることができる。
【0066】
これらの例と同様に、構成が前部アンカへの多重架橋要素取り付けを要求するという点で、
図10Aに示されるように、一連の後部アンカの各々が、別個に取り付けられるであろう。そのような構成は、LA壁および僧帽弁輪を最適に変形させて僧帽弁逆流を低減させるように、種々の角度で張力を加え得る、別個の個々の取り付けを可能にするであろう。各後部アンカは、上で説明される後部アンカのうちのいずれかの形状および特徴を採用し得る。各々は、前部アンカ上の同一場所に取り付き得るか、または最大効果のために張力の角度を最適化するように、前部アンカもしくはさらに別個の前部アンカ内のわずかに異なる場所で取り付き得る。
【0067】
別の側面では、後部アンカは、それが展開される血管の一側面の少なくとも一部に係合するように、ならびにそれを通る血流を改善することを可能にする縮小外形を成すように、折り畳まれ得る拡張可能構造を含むことができる。そのような実施形態の例は、送達後に血管内で拡張され、次いで、架橋要素の張力によって側方に折り畳まれるように構成される、足場またはワイヤ形態構造を含む。そのような実施形態は、側方折り畳みを促進するように、ワイヤ形態構造の反対側で縦方向に延びている弱化部分を有する、ワイヤ形態構造を含むことができる。構造は、自己拡張式またはバルーン展開可能であり得る。いくつかの実施形態では、折り畳み可能ワイヤ形態構造は、折り畳み構造を補強し、身体血管の長さに沿った構造の係留および付着を改良するように縦方向に延びている1つ以上の支持リブを含む。そのような補強リブは、直線状であり得るか、または特定の生体構造のために必要に応じて曲線状であり得る。
【0068】
図12A-12Cおよび13A-Bは、上記の折り畳み可能ワイヤ形態円筒構造120の例を図示する。典型的には、ワイヤ形態構造は、薄型外形で送達され、自己拡張またはバルーン拡張のいずれかによって、所望の直径に拡張し得る円筒メッシュ構造である。円筒メッシュ構造は、T字バーを形成し、架橋要素105に取り付けられる後部バックボーン122を含むことができる。
【0069】
図12Aに示されるように、GCV等の血管内の円筒メッシュ構造120の展開後、ブリッジ要素105は、ブリッジ要素105がGCV/LAの壁を通って延びている場所から、円筒メッシュ構造120の反対側に配置される支持バックボーン122まで延びている。張力が架橋要素105によってバックボーンに加えられると、支持体は、円筒メッシュ構造壁を押しつぶし、LA/GCV壁に対して平坦化したリボンを作成する。そのような構成は、後部アンカがGVC壁を通して引っ張られることを防止するために、壁に対して張力を効果的に分散する剛な比較的平坦な表面を形成するので、有利である。さらに、折り畳まれた設計は、壁厚さ、したがって、その強度を倍にし、GCV壁へのその引っ掛かりを押しつぶされていない直径の最大1.5倍増加させる。そのような構成は、改良された展開しやすさを可能にし、展開に応じて、アンカがGVCの壁に埋め込まれることを可能にする。さらに、足場のメッシュ構造は、組織内方成長をさらに促進する。
【0070】
図13A-13Bは、所定の線に沿った優先的折り畳みを保証するように、折り畳みゾーンまたはより柔らかな区分123を含む折り畳み可能足場構造120の別の実施形態を図示する。これらの折り畳みゾーンは、円筒形構造の長さの大部分または全体に沿って縦方向に延び、展開されたとき、これらのエリアに沿った円筒メッシュ構造の折り畳みを促進するように、切れ目、弱化部分、または前の変形によって画定されることができる。さらに、押しつぶし可能発泡体実施形態と同様に、ワイヤ形態構造の材料またはコーティング、および押しつぶし可能ワイヤ形態構造の表面構造は、組織の内方成長を促進させ、経時的に組織・アンカ基質を形成するようなものであり得る。いずれかの実施形態では、支持バックボーンは、実質的に直線状であり得るか、または好ましくは、概して、GVCの内壁の湾曲に模倣するように曲線状であり得る。足場は、組織内方成長を促進するように画定され得るメッシュ構造であることができる。
【0071】
前述は、本発明の原理の例証のみと見なされる。本明細書に開示される実施形態は、他の具体的構造で具現化され得る、本発明を例示するにすぎない。好ましい実施形態が説明されているが、詳細は、本発明から逸脱することなく変更され得る。さらに、本発明の殆どは、要素の機能および特徴を例証するように単純な形態で示され、単一のデバイスに合体された1つ以上の要素を使用する、最終的実施形態に組み合わせられ得る。また、説明される実施形態は、限定としてではなく、一例として、押しつぶし可能発泡体内の曲線状バックボーン、または前部アンカへの複数の取り付け部を伴う反転防止特徴もしくは構成を伴う複数の曲線状アンカを有して、組み合わせられ得ることも予想される。さらに、多数の修正および変更が当業者に容易に想起されるので、本発明は、請求項によって限定される場合を除いて、好ましい実施形態に示されて説明される構造および動作に限定されない。