(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144129
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】センサシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20230928BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20230928BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
G01S17/931
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133946
(22)【出願日】2023-08-21
(62)【分割の表示】P 2019052837の分割
【原出願日】2019-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 宙
(57)【要約】
【課題】車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下を抑制する。
【解決手段】LiDARセンサユニット14は、検出光14aを用いて車両の外部の情報を検出する。ランプユニット20は、前記車両の外部へ照明光20aを出射する。共通のカバー12は、LiDARセンサユニット14とランプユニット20を覆うように前記車両の外面の一部を形成しており、検出光14aと照明光20aの通過を許容する。保護部材15は、検出光14aの進行方向から見てカバー12における少なくとも検出光14aが通過する光通過領域12aを常に覆い、かつ検出光14aの波長に対して透明な材料により形成されている部分と、照明光20aの進行方向から見てカバー12における少なくとも照明光20aが通過する光通過領域12bを常に覆い、かつ照明光20aの波長に対して透明な材料により形成されている部分とを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるセンサシステムであって、
検出光を用いて前記車両の外部の情報を検出するセンサユニットと、
前記車両の外部へ照明光を出射するランプユニットと、
前記センサユニットおよび前記ランプユニットを覆うように前記車両の外面の一部を形成しており、前記検出光および前記照明光の通過を許容する共通のカバーと、
保護部材は、前記検出光の進行方向から見て前記カバーにおける少なくとも前記検出光が通過する領域を常に覆い、かつ前記検出光の波長に対して透明な材料により形成されている部分と、前記照明光の進行方向から見て前記カバーにおける少なくとも前記照明光が通過する領域を常に覆い、かつ前記照明光の波長に対して透明な材料により形成されている部分とを有している保護部材と、
を備えている、
センサシステム。
【請求項2】
前記保護部材上に配置されており、前記保護部材に生じた変位に対応する信号を出力する変位センサを備えている、
請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項3】
液体を噴射可能なノズルと、
前記信号に応じて、前記ノズルに前記保護部材へ向けて前記液体を噴射させるプロセッサと、
を備えている、
請求項2に記載のセンサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転支援を行なうために、当該車両の外部の情報を検出するためのセンサユニットが車体に搭載される。特許文献1は、そのようなセンサユニットとしてのレーダを開示している。レーダは、車両の外部を照明するランプ装置の灯室内に配置されている。すなわち、レーダは、灯室を区画するとともに照明光の通過を許容するカバーによって覆われている。カバーは、車両の外面の一部を形成するとともに、レーダが外部の情報を検出するための検出光の通過も許容する。
【0003】
本明細書において用いられる「運転支援」という語は、運転操作(ハンドル操作、加速、減速など)、走行環境の監視、および運転操作のバックアップの少なくとも一つを少なくとも部分的に行なう制御処理を意味する。すなわち、衝突被害軽減ブレーキ機能やレーンキープアシスト機能のような部分的な運転支援から完全自動運転動作までを含む意味である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、車両に搭載されるセンサシステムであって、
光を用いて前記車両の外部の情報を検出するセンサユニットと、
前記センサユニットを覆うように前記車両の外面の一部を形成しており、前記光の通過を許容するカバーと、
前記光の進行方向から見て前記カバーにおける少なくとも前記光が通過する領域を少なくとも一時的に覆う保護部材と、
を備えている。
【0007】
カバーには様々な異物が接触しうる。異物の例としては、自車両や他車両が跳ね上げた小石、ガードレールなどの建造物、動物、人体、荷物などが挙げられる。センサユニットが検出に用いる光が通過する領域(光通過領域)にそのような異物の接触によって傷が残ると、センサユニットによる車両の外部の情報の検出の妨げになりうる。上記のような構成によれば、そのような異物の光通過領域への接触が、保護部材によって防止される。したがって、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下を抑制できる。
【0008】
上記のセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記保護部材の硬度は、前記カバーの硬度よりも低い。
【0009】
このような構成によれば、保護部材自体の接触により光通過領域が損傷する事態を回避できる。
【0010】
上記のセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記保護部材は、前記光の波長に対して透明である。
【0011】
このような構成によれば、光通過領域を保護部材で常時覆うことができる。保護部材を変位させる機構が不要であるので、センサシステムの構成を簡略化できる。
【0012】
上記のセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記保護部材は、各々が可撓性を有する複数のストリップ部材を含んでいる。
【0013】
このような構成によれば、異物が接触した際に少なくとも一つのストリップ部材が柔軟に変形することによって接触の衝撃を緩和し、光通過領域の保護効果を高めることができる。
【0014】
上記のセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記保護部材を格納可能である格納部と、
前記光が通過する領域を覆う位置と当該領域を覆うことなく前記格納部に格納された位置との間で前記保護部材を変位させる駆動機構と、
を備えている。
【0015】
このような構成によれば、必要な場合にのみ光通過領域を保護部材に保護させるような制御が可能とされる。そのような場合の例としては、車両の駐車時、荒天下における走行時などが挙げられる。不要時には保護部材が格納部に格納されるので、保護部材が車両の外観に与える影響を最小限にできる。また、保護部材が光通過領域を常時覆うのでなければ、保護部材は、必ずしもセンサユニットが情報検出に用いる光の波長に対して透明であることを要しない。したがって、保護部材の材料や意匠の選択自由度を高めることもできる。
【0016】
上記のセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記保護部材上に配置されており、前記保護部材に生じた変位に対応する信号を出力する変位センサを備えている。
【0017】
センサユニットが情報検出に用いる光の進行経路上に位置する保護部材に異物が付着すると、センサユニットによる車両の外部の情報の検出の妨げになりうる。しかしながら、上記のように構成された変位センサによってそのような異物の付着が検出されるので、検出結果に応じた適切な処理をとることができる。よって、車両の外面の一部を形成するカバーによって覆われたセンサユニットによる情報検出能力の低下を抑制できる。
【0018】
この場合、上記のセンサシステムは、以下のように構成されうる。
液体を噴射可能なノズルと、
前記信号に応じて、前記ノズルに前記保護部材へ向けて前記液体を噴射させるプロセッサと、
を備えている。
【0019】
このような構成によれば、保護部材に付着した異物を除去するための処理を自動化できる。したがって、情報検出能力の低下の抑制効果を高めることができる。
【0020】
上記のセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記車両の外部へ照明光を出射するランプユニットを備えており、
前記カバーは、前記照明光の通過を許容する。
【0021】
ランプユニットは、車両の外部に照明光を供給するという機能ゆえに、車両における遮蔽物の少ない場所に配置されることが一般的である。このような場所にセンサユニットも配置されることにより、車両の外部の情報を効率的に取得できる。
【0022】
この場合、上記のセンサシステムは、以下のように構成されうる。
前記保護部材は、前記照明光の進行方向から見て前記カバーにおける少なくとも前記照明光が通過する領域を少なくとも一時的に覆う。
【0023】
このような構成によれば、異物の光通過領域への接触が、保護部材によって防止される。したがって、異物の接触によるランプユニットの照明機能の低下を抑制できる。
【0024】
本明細書で用いられる「光」という語は、可視光のみならず、紫外光や赤外光、マイクロ波やミリ波など任意の波長を有する電磁波を意味する。
【0025】
本明細書において用いられる「センサユニット」という語は、所望の情報検出機能を備えつつ、それ自身が単体で流通可能な部品の構成単位を意味する。
【0026】
本明細書において用いられる「ランプユニット」という語は、所望の照明機能を備えつつ、それ自身が単体で流通可能な部品の構成単位を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】一実施形態に係るセンサシステムの一例の構成を示している。
【
図2】
図1のセンサシステムが搭載される車両の外観を示している。
【
図3】
図1のセンサシステムにおけるプロセッサの動作を説明する図である。
【
図4】
図1のセンサシステムにおけるプロセッサの動作を説明する図である。
【
図5】別例に係るセンサシステムの構成を示している。
【
図6】別例に係るセンサシステムの構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。以下の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0029】
添付の図面において、矢印Fは、図示された構造の前方向を示している。矢印Bは、図示された構造の後方向を示している。矢印Uは、図示された構造の上方向を示している。矢印Dは、図示された構造の下方向を示している。矢印Lは、図示された構造の左方向を示している。矢印Rは、図示された構造の右方向を示している。以降の説明に用いる「左」および「右」は、運転席から見た左右の方向を示している。
【0030】
図1は、一実施形態に係るセンサシステム1の構成を例示している。センサシステム1は、
図2に示される車両100に搭載される。車両100の車体の形状は、例示に過ぎない。
【0031】
センサシステム1は、ハウジング11とカバー12を備えている。ハウジング11は、カバー12とともに収容室13を区画している。
【0032】
センサシステム1は、LiDARセンサユニット14を備えている。LiDARセンサユニット14は、収容室13内に配置されている。カバー12は、LiDARセンサユニット14を覆うように車両100の外面の一部を形成している。
【0033】
LiDARセンサユニット14は、車両100の外部における検出領域に向けて検出光14aを出射する構成、および検出光14aが検出領域内に存在する物体に反射した結果の戻り光(不図示)を検出する構成を備えている。検出光14aとしては、例えば波長905nmの赤外光が使用されうる。検出光14aの出射方向は、検出基準方向14bに基づいて定められる。
【0034】
LiDARセンサユニット14は、例えば、ある方向へ検出光14aを出射したタイミングから戻り光を検出するまでの時間に基づいて、当該戻り光に関連付けられた物体までの距離を取得できる。また、そのような距離データを検出位置と関連付けて集積することにより、戻り光に関連付けられた物体の形状に係る情報を取得できる。これに加えてあるいは代えて、出射光と戻り光の波形の相違に基づいて、戻り光に関連付けられた物体の材質などの属性に係る情報を取得できる。すなわち、LiDARセンサユニット14は、光を用いて車両100の外部の情報を検出する装置である。
【0035】
検出光14aと戻り光は、カバー12における光通過領域12aを通過する。換言すると、カバー12の少なくとも光通過領域12aは、少なくとも検出光14aと戻り光の通過を許容する材料により形成されている。
【0036】
センサシステム1は、保護部材15を備えている。保護部材15は、検出光14aの進行方向から見て少なくともカバー12における光通過領域12aを覆っている。
図3は、センサシステム1を、検出光14aの進行方向から見た外観を例示している。LiDARセンサユニット14による車両100の外部の情報の検出を許容するために、保護部材15は、検出光14aの波長に対して透明である。
【0037】
カバー12には様々な異物が接触しうる。異物の例としては、自車両や他車両が跳ね上げた小石、ガードレールなどの建造物、動物、人体、荷物などが挙げられる。そのような異物の接触により光通過領域12aに傷が残ると、LiDARセンサユニット14による車両100の外部の情報の検出の妨げになりうる。上記のような構成によれば、そのような異物の光通過領域12aへの接触が、保護部材15によって防止される。したがって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下を抑制できる。
【0038】
保護部材15の硬度は、カバー12の硬度よりも低いことが好ましい。より厳密には、保護部材15の硬度は、カバー12における光通過領域12aの硬度よりも低いことが好ましい。
【0039】
この場合、保護部材15自体の接触により光通過領域12aが損傷する事態を回避できる。
【0040】
保護部材15の形状は、カバー12の形状や車両100の車体形状に応じて適宜に定められうる。
図4は、保護部材15の形状の別例を示している。
【0041】
本例に係る保護部材15は、複数のストリップ部材151を含んでいる。各ストリップ部材151は、可撓性を有している。
【0042】
このような構成によれば、異物が接触した際に少なくとも一つのストリップ部材151が柔軟に変形することによって接触の衝撃を緩和し、光通過領域12aの保護効果を高めることができる。
【0043】
保護部材15は、必ずしもカバー12の光通過領域12aを常時覆っていることを要しない。
図5の(A)に示されるように、センサシステム1は、格納部16と駆動機構17を備えうる。格納部16は、保護部材15を格納可能な空間を区画している。格納部16は、車両100における適宜の位置に配置される。駆動機構17は、少なくともカバー12の光通過領域12aを覆う位置と、光通過領域12aを覆うことなく格納部16に格納された位置との間で、保護部材15を変位させる機構である。
【0044】
駆動機構17による保護部材15の変位態様は、保護部材15の形状や格納部16との位置関係に応じて適宜に定められうる。
図5の(A)に示される例においては、格納部16が光通過領域12aの左方または下方に配置されている。駆動機構17は、格納部16に格納されている保護部材15を、光通過領域12aを覆うことができる位置まで摺動させる適宜の機構を備える。そのような機構の例としては、モータとラックピニオン機構の組合せやアクチュエータなどが挙げられる。
【0045】
あるいは、
図5の(B)に示される例のように、保護部材15は、回動軸Aを中心として回動可能とされうる。本例においては、回動軸Aは、車両100の前後方向に沿って延びている。格納部16は、光通過領域12aの下方に配置されている。駆動機構17は、格納部16に格納されている保護部材15を、光通過領域12aを覆うことができる位置まで回動軸Aを中心として回動させる適宜の機構を備える。そのような機構の例としては、モータと伝達機構の組合せなどが挙げられる。
【0046】
保護部材15の形状や格納部16との位置関係に応じて、回動軸Aの位置は適宜に定められうる。また、回動軸Aは、車両100の左右方向または上下方向に沿って延びていてもよい。
【0047】
このような構成によれば、必要な場合にのみ光通過領域12aを保護部材15に保護させるような制御が可能とされる。そのような場合の例としては、車両100の駐車時、荒天下における走行時などが挙げられる。保護部材15が格納部16から光通過領域12aの保護位置へ移動されるタイミングは、車両100に搭載された制御装置によって自動的に判断されてもよいし、車両100の乗員によって定められてもよい。不要時には保護部材15が格納部16に格納されるので、保護部材15が車両100の外観に与える影響を最小限にできる。
【0048】
保護部材15が光通過領域12aを常時覆うのでなければ、保護部材15は、必ずしもLiDARセンサユニット14の検出光14aの波長に対して透明であることを要しない。したがって、保護部材15の材料や意匠の選択自由度を高めることもできる。
【0049】
図6は、
図4に示される保護部材15を格納部16へ格納可能にした例を示している。保護部材15に含まれる複数のストリップ部材151の各々は可撓性を有しているので、容積が比較的小さい格納部16へ収納できる。この場合、保護部材15と格納部16のレイアウト自由度を高めることができる。
【0050】
図1に示されるように、センサシステム1は、制御装置18を備えうる。制御装置18は、入力インターフェース181とプロセッサ182を備えている。制御装置18は、収容室13内に配置されてもよいし、収容室13外においてハウジング11に支持されてもよい。あるいは、制御装置18は、ハウジング11とは離れた車両100における適宜の位置に配置されうる。
【0051】
センサシステム1は、変位センサ191を備えうる。変位センサ191は、異物の付着により保護部材15に生じる微小なひずみを検出するためのセンサである。異物としては、雨滴、雪片、汚泥、虫の死骸などが例示されうる。変位センサ191の例としては、ひずみゲージ、加速度センサ、光ファイバセンサなどが挙げられる。変位センサ191は、検出された変位に対応する変位信号S1を出力するように構成されている。変位センサ191の数と保護部材15における配置は、適宜に定められうる。変位の検出は、例えば1秒ごとに100ミリ秒の期間行なわれる。
【0052】
入力インターフェース181は、変位センサ191から出力された変位信号S1を受け付ける。入力インターフェース181は、必要に応じて変位信号S1をプロセッサ182により行なわれる処理に適した形態に変換する信号処理回路を含みうる。
【0053】
プロセッサ182は、変位信号S1に有意な変化が認められた場合に、保護部材15に異物が付着したと判断するように構成されている。保護部材15に異物が付着したと判断されると、プロセッサ182は、検出信号S2を生成する。
【0054】
図4に示される保護部材15の例においては、各ストリップ部材151に変位センサ191が装着されうる。ストリップ部材151は可撓性を有しているので、変位が生じやすい。したがって、プロセッサ182は、有意な変位が検出されたストリップ部材151の数が所定値を超えた場合に異物の付着を判断するように構成されうる。
【0055】
制御装置18は、出力インターフェース183を備えている。プロセッサ182は、出力インターフェース183に検出信号S2を出力させる。検出信号S2は、車両100における他の制御装置へ送信されうる。例えば、当該他の制御装置は、検出信号S2に基づいて、保護部材15に異物が付着している旨の報知を車両100の乗員に対して行ないうる。報知は、視覚的報知、聴覚的報知、触覚的報知の少なくとも一つを通じて行なわれうる。
【0056】
報知を受けた乗員は、適宜の対応をとりうる。例えば、センサシステム1は、保護部材15へ向けて液体を噴射するノズル192を備えうる。液体としては、水、湯、洗浄液などが例示されうる。乗員は、ノズル192に液体を噴射させる操作を行ないうる。これにより、保護部材15に付着した異物の除去を図ることができる。
【0057】
LiDARセンサユニット14の検出光14aおよび戻り光の進行経路上に位置する保護部材15に異物が付着すると、LiDARセンサユニット14による車両100の外部の情報の検出の妨げになりうる。しかしながら、上記のように構成された変位センサ191によってそのような異物の付着が検出されるので、検出結果に応じた適切な処理をとることができる。よって、車両100の外面の一部を形成するカバー12によって覆われたLiDARセンサユニット14による情報検出能力の低下を抑制できる。
【0058】
プロセッサ182により生成された検出信号S2は、上記したノズル192を動作させるために使用されうる。すなわち、プロセッサ182は、保護部材15に付着した異物が検出されると、ノズル192に保護部材15へ向けて液体を噴射させうる。
【0059】
このような構成によれば、保護部材15に付着した異物を除去するための処理を自動化できる。したがって、情報検出能力の低下の抑制効果を高めることができる。
【0060】
上記の処理を実行可能なプロセッサ182は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサとして提供されてもよいし、専用集積回路素子の一部として提供されてもよい。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUなどが例示されうる。汎用メモリとしては、RAMやROMが例示されうる。専用集積回路素子としては、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどが例示されうる。
【0061】
図1に示されるように、センサシステム1は、ランプユニット20を備えうる。ランプユニット20は、車両100の外部へ照明光を出射する装置である。ランプユニット20としては、前照灯ユニット、車幅灯ユニット、方向指示灯ユニット、霧灯ユニット、リアコンビネーションランプユニットなどが例示されうる。
【0062】
ランプユニット20は、収容室13内に配置される。したがって、ランプユニット20は、カバー12によって覆われる。カバー12は、ランプユニット20から出射された照明光20aの通過も許容する。すなわち、カバー12は、照明光20aが通過する光通過領域12bを有する。この場合、カバー12における少なくとも光通過領域12bは、照明光20aに対して透明な材料によって形成される。
【0063】
ランプユニット20は、車両100の外部に照明光を供給するという機能ゆえに、車両100における遮蔽物の少ない場所に配置されることが一般的である。このような場所にLiDARセンサユニット14も配置されることにより、車両100の外部の情報を効率的に取得できる。
【0064】
この場合、保護部材15は、照明光20aの進行方向から見てカバー12における少なくとも光通過領域12bを少なくとも一時的に覆うように構成されうる。
【0065】
このような構成によれば、異物の光通過領域12bへの接触が、保護部材15によって防止される。したがって、異物の接触によるランプユニット20の照明機能の低下を抑制できる。
【0066】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更や改良がなされうる。
【符号の説明】
【0067】
1:センサシステム、12:カバー、12a、12b:光通過領域、14:LiDARセンサユニット、14a:検出光、15:保護部材、151:ストリップ部材、16:格納部、17:駆動機構、18:制御装置、182:プロセッサ、191:変位センサ、192:ノズル、20:ランプユニット、20a:照明光、100:車両、S1:変位信号