(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144156
(43)【公開日】2023-10-10
(54)【発明の名称】昇降装置の自動応答システム
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20231002BHJP
B66B 3/00 20060101ALN20231002BHJP
【FI】
B66B5/00 G
B66B3/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022040221
(22)【出願日】2022-03-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
【Fターム(参考)】
3F303DB27
3F303EA01
3F304ED17
(57)【要約】
【課題】通話装置での通話に対する自動応答において、対応者の手配の要否を判断可能な昇降装置の自動応答システムを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、通話装置を通じた通話から所定のキーワードを抽出するワード抽出部と、昇降装置の現場情報を取得する情報取得部と、ワード抽出部によって抽出されたキーワードと情報取得部によって取得された現場情報とに基づいて対応者の手配の要否を判断する判断部と、を備える、ことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話装置を通じた通話から所定のキーワードを抽出するワード抽出部と、
昇降装置の現場情報を取得する情報取得部と、
前記ワード抽出部によって抽出されたキーワードと前記情報取得部によって取得された現場情報とに基づいて対応者の手配の要否を判断する判断部と、を備える、昇降装置の自動応答システム。
【請求項2】
前記判断部は、前記対応者の手配が必要と判断したときに、前記抽出されたキーワードと前記取得された現場情報とに基づいて複数の手配先から前記通話の通話者への対応に適した手配先を選択する、請求項1に記載の昇降装置の自動応答システム。
【請求項3】
複数の回答メッセージを格納する第一記憶部を備え、
前記判断部は、前記抽出されたキーワードと前記取得された現場情報とに基づき、前記複数の回答メッセージから前記通話の通話者に対して出力する回答メッセージを選択する、請求項1又は2に記載の昇降装置の自動応答システム。
【請求項4】
複数の絞込みメッセージを格納する第二記憶部を備え、
前記判断部は、前記抽出されたキーワードと前記取得された現場情報とに基づいて前記対応者の手配の要否を判断できないときに、前記複数の絞込みメッセージから前記通話の通話者に対して出力する絞込みメッセージを選択し、この選択された絞込みメッセージに対する前記通話者の回答から前記ワード抽出部によって抽出された前記所定のキーワードと、前記通話から抽出されたキーワード及び前記取得された現場情報と、に基づいて、前記対応者の手配の要否を判断する、請求項1~3のいずれか1項に記載の昇降装置の自動応答システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーターやエスカレーター等の昇降装置の自動応答システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エレベーターの遠隔監視システムが知られている(特許文献1参照)。この遠隔監視システムは、閉じ込め等が発生した顧客からの通話受電時に音声案内での対応を行うと共に、その音声案内の問いかけに対する顧客の応答に対して音声自動認識手段によって緊急度を判断し、緊急度が高いと判断したときに、顧客電話からの通話(電話)を監視センターのオペレーター受信装置に接続すると共に、オペレーター受信装置の表示画面に顧客情報を表示する。そして、監視センターのオペレーターは、その表示画面に表示された顧客情報を参照しながら、閉じ込め等を救出するための作業者の出動手配等の対応を行う。
【0003】
この遠隔監視システムでは、顧客からの電話の内容の緊急度が音声認識手段によって判断され、緊急度の高い電話が優先的にオペレーター受信装置に着信するため、緊急度の高い顧客からの電話対応が効率よく行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
顧客からの通話内容に基づいて緊急度が高いと判断されても、現場の状況(顧客の間違いや、顧客自身で解決できる場合等)によっては、対応者(作業者)の手配が不要な場合もあるため、上記の遠隔監視システムでは、対応者の出動手配を行うか否かの判断を監視センターのオペレーター(人)が行っている。
【0006】
しかし、近年、この対応者の手配を行うか否かの判断も含めてシステムの自動化が求められている。
【0007】
そこで、本発明は、通話装置での通話に対する自動応答において、対応者の手配の要否を判断可能な昇降装置の自動応答システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の自動応答システムは、
通話装置を通じた通話から所定のキーワードを抽出するワード抽出部と、
昇降装置の現場情報を取得する情報取得部と、
前記ワード抽出部によって抽出されたキーワードと前記情報取得部によって取得された現場情報とに基づいて対応者の手配の要否を判断する判断部と、を備える。
【0009】
このように、通話装置を通じた通話から所定のキーワードを抽出することに加え、情報取得部によって昇降装置の現場情報を取得し、これら抽出したキーワードと取得された現場情報との両方に基づくことで、判断部が対応者の手配の要否を適切に判断できる。
【0010】
前記昇降装置の自動応答システムでは、
前記判断部は、前記対応者の手配が必要と判断したときに、前記抽出されたキーワードと前記取得された現場情報とに基づいて複数の手配先から前記通話の通話者への対応に適した手配先を選択してもよい。
【0011】
通話内容は多岐にわたるため、種々の通話内容に対して対応できるように手配先を複数準備しておき、判断部がこれら複数の手配先からキーワードと現場情報とに基づいて手配先を選択する構成とすることで、通話内容に対する適切な対応者を選択することができる。
【0012】
また、前記昇降装置の自動応答システムは、複数の回答メッセージを格納する第一記憶部を備え、
前記判断部は、前記抽出されたキーワードと前記取得された現場情報とに基づき、前記複数の回答メッセージから前記通話の通話者に対して出力する回答メッセージを選択してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、手配の要否に関わらず、通話内容に応じた回答メッセージが通話者に対して出力されるため、通話者は現状把握や自己のすべきこと等の認識を適切に行える。
【0014】
また、前記昇降装置の自動応答システムは、複数の絞込みメッセージを格納する第二記憶部を備え、
前記判断部は、前記抽出されたキーワードと前記取得された現場情報とに基づいて前記対応者の手配の要否を判断できないときに、前記複数の絞込みメッセージから前記通話の通話者に対して出力する絞込みメッセージを選択し、この選択された絞込みメッセージに対する前記通話者の回答から前記ワード抽出部によって抽出された前記所定のキーワードと、前記通話から抽出されたキーワード及び前記取得された現場情報と、に基づいて、前記対応者の手配の要否を判断してもよい。
【0015】
通話内容が適切な内容でなく、即ち、通話内容からは対応者の手配の要否を判断できない場合であっても、上記構成のように、適切なキーワードを含む回答を通話者(回答者)から引き出す目的で設定されたメッセージ(絞込みメッセージ)を出力して通話者に回答してもらうことで、対応者の手配の要否を判断できる。
【発明の効果】
【0016】
以上より、本発明によれば、通話装置での通話に対する自動応答において、対応者の手配の要否を判断可能な昇降装置の自動応答システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る昇降装置の自動応答システムの機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、前記自動応答システムが備える自動応答サーバーの機能ブロック図である。
【
図3A】
図3Aは、前記自動応答システムが備える照合用データベースに登録された内容を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、前記自動応答システムが備える回答メッセージデータベースに登録された内容を示す図である。
【
図3C】
図3Cは、前記自動応答システムが備える絞込みメッセージデータベースに登録された内容を示す図である。
【
図4】
図4は、前記自動応答システムにおける自動応答のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図4を参照しつつ説明する。
【0019】
本実施形態に係る昇降装置の自動応答システムは、エレベーターのコールセンターにおける問合せ対応を自動化するためのシステムである。
【0020】
具体的に、自動応答システムSは、
図1及び
図2に示すように、ユーザ等による問合せ等(通話)に対して自動応答する自動応答サーバー1と、自動応答サーバー1によって用いられる条件やメッセージ等のデータが登録されるデータベースDBを格納する記憶部2と、自動応答サーバー1にエレベーターに関する情報を供給可能な現場情報供給部3と、を備える。本実施形態の現場情報供給部3は、遠隔監視サーバー31と、情報システム32と、情報端末33と、を含む。
【0021】
遠隔監視サーバー31は、個々の現場(特にエレベーター)の稼働状況を遠隔で監視するサーバーであり、本実施形態の遠隔監視サーバー31は、現場情報の一つであるエレベーターの稼働状況(例えば、休止、稼働中等)を自動応答サーバー1へ送信する。
【0022】
情報システム32は、個々の現場仕様を管理するシステムであり、本実施形態の情報システム32は、現場情報の一つである現場仕様(例えば、製品番号、納入年月、設置場所、ベルのリセット釦の場所等)を自動応答サーバー1へ送信する。
【0023】
情報端末33は、現場情報に含まれる、現場の状況情報(例えば、停電等)、現場への手配先(例えば、保守、営業、検査等)、及び現場に対する手配状況(例えば、出向、待機等)を自動応答サーバー1へ通知する端末である。
【0024】
また、自動応答システムSは、自動応答サーバー1と直接又は間接に接続される通話装置4と、受電端末5と、を備える。本実施形態の通話装置4は、エレベーターのかご内に配置されたインターホンであり、現場情報供給部3の一部の構成(本実施形態の例では遠隔監視サーバー31)を介して自動応答サーバー1に接続されている。また、本実施形態の受電端末5は、インターホン4以外の電話、即ち、ユーザからの固定電話や携帯電話が繋がる端末である。
【0025】
記憶部2に格納されるデータベースDBは、複数のデータベースを含む。本実施形態のデータベースDBは、抽出ワードデータベースDB1と、照合用データベースDB2と、回答メッセージデータベースDB3と、絞込みメッセージデータベースDB4と、を少なくとも含む。
【0026】
抽出ワードデータベースDB1は、自動応答サーバー1において所定のワードを抽出するときに使用されるデータベースであり、問合せ内容(通話内容)のポイントとなる複数のワード(例えば、ベル、止まらない、動かない、音がする、点検日、変更等)が登録されている。
【0027】
照合用データベースDB2は、自動応答サーバー1が手配の要否を判断するときに用いられるデータベースであり、この照合用データベースDB2には、
図3Aに示すように、抽出ワードデータベースDB1に登録されているワードと、現場情報に関するワードとの組み合わせが複数登録されている。
【0028】
回答メッセージデータベースDB3は、自動応答サーバー1がユーザ等の問合せに対して回答するときに用いられるデータベースであり、この回答メッセージデータベースDB3には、
図3Bに示すように、問合せ等を行ったユーザ等に対して出力する複数のメッセージが登録されている。
【0029】
絞込みメッセージデータベースDB4は、ユーザ等からの問合せ内容だけでは自動応答サーバー1が手配の要否を判断できないときに用いられるデータベースであり、この絞込みメッセージデータベースDB4には、
図3Cに示すように、問合せ等を行ったユーザ等に対して出力する複数のメッセージが登録されている。
【0030】
図1及び
図2に戻り、自動応答サーバー1は、ユーザ等によるインターホン4を通じた通話(例えば、エレベーターに関する問合せ等)に対して自動応答する自動応答部である。具体的に、自動応答サーバー1は、通話装置4を通じた通話から所定のキーワードを抽出するワード抽出部11と、エレベーターの現場情報を取得する情報取得部12と、自動応答に関する所定の判断を行う判断部13と、を機能的に有する。また、自動応答サーバー1は、判断部13の判断に基づいてインターホン4での通話を行っているユーザ等(通話者)に対して所定の出力を行う出力部14も機能的に有する。
【0031】
ワード抽出部11は、インターホン4を通じた通話内容(ユーザの問合せ内容)を音声認識によってテキスト化し、このテキスト化した通話内容から抽出ワードデータベースDB1に登録されているワード(キーワード)を全て抽出する。
【0032】
情報取得部12は、ユーザ等からインターホン4を通じて問合せ等があったときに、現場情報供給部3から問合せ時点でのエレベーターの現場情報を取得し、判断部13に出力する。具体的に、情報取得部12は、前記問合せ等のあったときに、遠隔監視サーバー31、情報システム32、及び情報端末33からそれぞれ現場情報(例えば、エレベーターの稼働状況(休止、稼働中等)、エレベーターの現場の状況(停電等)、エレベーターや現場の仕様(製品番号、納入年月、設置場所、ベルのリセット釦の場所等)、対応者の状況(待機、出向等))を取得し、判断部13に出力する。
【0033】
判断部13は、問合せ等に対する対応者の手配の要否を判断する手配要否判断部131と、問合せ等に対する回答メッセージを選択する回答メッセージ選択部132と、手配の要否を判断できないときにユーザ等に対して出力する絞込みメッセージを選択する絞込みメッセージ選択部133と、を機能的に有する。
【0034】
手配要否判断部131は、照合用データベースDB2を用いてユーザ等からの問合せに対する対応者の手配の要否を判断する。具体的に、手配要否判断部131は、ワード抽出部11によって抽出された各キーワードと、情報取得部12が取得した現場情報との組み合わせを、照合用データベースDB2の各行の内容と突き合わせ、内容が前記組み合わせと一致する行があった場合には、その行の手配の欄を参照する。そして、この欄に「不要」と登録されていれば、手配要否判断部131は、対応者の手配が「不要」と判断する。一方、この欄に「要」と登録されていれば、手配要否判断部131は、対応者の手配が「必要」と判断する。
【0035】
また、手配要否判断部131は、対応者の手配が必要と判断したときに、ワード抽出部11によって抽出された各キーワードと、情報取得部12によって取得された現場情報と、に基づいて複数の手配先(本実施形態の例では、保守、営業、検査等)から通話内容への対応に適した手配先を選択する。
【0036】
本実施形態の手配要否判断部131は、対応者の手配を「必要」と判断したときに、前記抽出された各キーワードと前記取得した現場情報との組み合わせと一致した照合用データベースDB2の行における手配先の欄を参照する。そして、手配要否判断部131は、手配先の欄に登録されている手配先に対してユーザ等からの問合せ等に対する対応者の手配を行う。
【0037】
回答メッセージ選択部132は、ワード抽出部11によって抽出された各キーワードと、情報取得部12によって取得された現場情報とに基づき、回答メッセージデータベースDB3に登録されている複数の回答メッセージから、問合せ等を行っているユーザ等に対して出力する回答メッセージを選択する。具体的に、回答メッセージ選択部132は、前記抽出された各キーワードと前記取得した現場情報との組み合わせと一致した照合用データベースDB2の行におけるメッセージの欄を参照する。そして、回答メッセージ選択部132は、前記メッセージの欄に登録されている内容(本実施形態の例では、番号)に対応する回答メッセージを、回答メッセージデータベースDB3に登録されている複数の回答メッセージから選択する。
【0038】
絞込みメッセージ選択部133は、手配要否判断部131において対応者の手配の要否を判断できないときに、絞込みメッセージデータベースDB4に登録されている複数の絞込みメッセージから、問合せ等を行ったユーザ等に対して出力する絞込みメッセージを選択する。具体的に、絞込みメッセージ選択部133は、手配要否判断部131において対応者の手配の要否を判断できないとき(即ち、照合用データベースDB2においてワード抽出部11によって抽出された各キーワードと情報取得部12が取得した現場情報との組み合わせと内容が一致する行が無かった場合)に、対応者の手配の要否が判断されるまで、絞込みメッセージデータベースDB4に登録された複数の絞り込みメッセージを順に選択する。
【0039】
このとき、選択された絞込みメッセージに対するユーザ等の回答(通話)に基づいて、手配要否判断部131が手配の要否を判断し、要否が判断されると、絞込みメッセージ選択部133は、絞込みメッセージの選択を終了する。
【0040】
尚、絞込みメッセージが順に選択されて全ての絞込みメッセージが選択されても手配要否判断部131が手配の要否を判断できないときには、ユーザ等が問合せ等を行っているインターホン4がコールセンターのオペレーターに接続される。
【0041】
出力部14は、手配要否判断部131において手配が要と判断されたときに該手配要否判断部131によって選択された手配先に手配内容を出力する。また、出力部14は、回答メッセージ選択部132によって選択された回答メッセージを、遠隔監視サーバー31を通じてインターホン4から出力する。また、出力部14は、絞込みメッセージ選択部133において絞込みメッセージが選択されたときには、この選択された絞込みメッセージを、遠隔監視サーバー31を通じてインターホン4から出力する。
【0042】
次に、自動応答システムSによるユーザ等からの問合わせ等に対する対応の一例を説明する。
【0043】
ユーザ等によってインターホン4を通じたコールセンターへの問い合わせが行われることで(ステップS1)、自動応答サーバー1による自動応答が開始される(ステップS2)。例えば、自動応答では、現場の状況やユーザ等の状況についての説明を求める内容がアナウンスされる。
【0044】
この自動応答の開始と共に、ワード抽出部11が、ユーザ等の問合せ等の内容を音声認識によってテキスト化すると共に、テキスト化した問合せ等の内容から、抽出ワードデータベースDB1に登録されているワード(キーワード)を抽出する(ステップS3)。例えば、ユーザ等が乗っているかごが動かない場合、ユーザ等によるインターホン4を通じた問合せ等(通話)からワード抽出部11が「動かない」とのキーワードを抽出する。
【0045】
また、このキーワードの抽出と共に、情報取得部12が現場情報供給部3(詳しくは、遠隔監視サーバー31、情報システム32、情報端末33等)から、問合せ等を行っているユーザ等の居るエレベーターについての現場情報を取得する。本実施形態の場合、ユーザ等の乗っているかごが休止している場合には、情報取得部12は、遠隔監視サーバー31からエレベーターの稼働状況として「休止」しているとの情報を取得する。また、情報取得部12は、情報端末33から現場に対する手配状況として「待機」しているとの情報を取得する。尚、情報取得部12は、遠隔監視サーバー31や情報端末33だけから現場情報を取得するのでなく、現場情報供給部3に含まれる各構成(本実施形態の例では、遠隔監視サーバー31、情報システム32、及び情報端末33)のそれぞれから現場情報を取得する。
【0046】
続いて、判断部13は、抽出された各キーワードと取得した現場情報とを、照合用データベースDB2の各行の登録事項と突き合わせ、内容が一致する行を検索し、内容が一致する行があったときには(ステップS4:Yes)、照合用データベースDB2の手配の欄(
図3Aにおける左端の欄)を参照し、手配の要否を判断する。本実施形態の場合、判断部13は、抽出されたキーワード(動かない)と取得した現場情報(休止、待機)との組み合わせを照合用データベースDB2の各行の登録事項と突き合わせた結果、内容(登録事項)が一致する行(照合用データベースDB2の五行目)があるため、この行の手配の欄を参照し、手配が「必要」と判断する。
【0047】
この判断において、判断部13が、ユーザ等の問合せ等に対する対応者の手配が必要と判断したときは(ステップS5:Yes)、照合用データベースDB2の手配先の欄(
図3Aにおける右から二つ目の欄)を参照し、この欄に登録されている手配先に対して対応者(ユーザ等からの問合せ等に対する対応者)を手配する(ステップS6)。本実施形態の場合、判断部13は、照合用データベースDB2の五行目の手配先の欄を参照し、保守に対して保守作業員(対応者)を現場に出向させるように手配する。尚、本実施形態の自動応答サーバー1では、この手配の出力自体は、出力部14によって行われる。
【0048】
また、判断部13は、照合用データベースDB2のメッセージの欄(
図3Aにおける右端の欄)を参照し、この欄に登録されている内容と対応する回答メッセージを回答メッセージデータベースDB3から選択し、出力部14がこの選択された回答メッセージをインターホン4から出力し(ステップS7)、自動応答が終了する。本実施形態の場合、判断部13は、照合用データベースDB2の五行目のメッセージの欄を参照し、回答メッセージデータベースDB3のNo.4のメッセージを選択する。これにより、出力部14がこのNo.4のメッセージをインターホン4から出力する。
【0049】
一方、判断部13が、ユーザ等の問合せ等に対する対応者の手配が不要と判断したときも(ステップS5:No)、照合用データベースDB2のメッセージの欄を参照し、この欄に登録されている内容と対応する回答メッセージを回答メッセージデータベースDB3から選択し、出力部14がこの選択された回答メッセージをインターホン4から出力し(ステップS7)、自動応答が終了する。例えば、判断部13が、抽出された各キーワードと取得した現場情報とを照合用データベースDB2の各行の登録事項と突き合わせた結果、内容(登録事項)が一致する行が二行目であった場合、手配の欄を参照して手配が不要と判断する。また、判断部13は、当該行のメッセージの欄を参照し、回答メッセージデータベースDB3のNo.1のメッセージを選択する。これにより、出力部14がこのNo.1の回答メッセージをインターホン4から出力する。
【0050】
また、判断部13が、抽出されたキーワードと取得した現場情報とを、照合用データベースDB2の各行の登録事項と突き合わせ、内容が一致する行を検索し、内容が一致する行が無かったときには(ステップS4:No)、絞込みメッセージ選択部133が絞込みメッセージデータベースDB4を参照し、未出力の絞込みメッセージが有るときは(ステップS8:Yes)、所定の絞込みメッセージを出力(ステップS9)した後、ステップS3に戻る。本実施形態の自動応答サーバー1では、絞込みメッセージデータベースDB4に登録されている未出力の絞込みメッセージのうちの番号(No.)の最も小さな絞込みメッセージが出力される。
【0051】
一方、絞込みメッセージ選択部133が絞込みメッセージデータベースDB4を参照したときに未出力の絞込みメッセージが無いとき(ステップS8:No)、即ち、自動応答サーバー1が自動応答によって問合せ等に対する対応者の手配の要否を判断できなかったときは、ユーザ等が通話しているインターホン4がオペレーターに接続される(ステップS10)。これにより、オペレーターがユーザ等と通話して対応者の手配の要否、手配が必要な場合は手配先の選択、及び手配先への手配内容の通知を行う。
【0052】
以上のエレベーターの自動応答システムSは、インターホン(通話装置)4を通じた通話から所定のキーワードを抽出するワード抽出部11と、エレベータ(昇降装置)の現場情報を取得する情報取得部12と、ワード抽出部11によって抽出されたキーワードと情報取得部12によって取得された現場情報とに基づいて対応者の手配の要否を判断する判断部13と、を備えている。このように、インターホン4を通じた通話から所定のキーワードを抽出することに加え、情報取得部12によってエレベーターの現場情報を取得し、これら抽出したキーワードと取得された現場情報との両方に基づくことで、判断部13が対応者の手配の要否を適切に判断できる。
【0053】
また、本実施形態のエレベーターの自動応答システムSでは、判断部13は、対応者の手配が必要と判断したときに、ワード抽出部11によって抽出されたキーワードと情報取得部12によって取得された現場情報とに基づいて複数の手配先から、問合せ等を行っているユーザ等への対応に適した手配先を選択する。
【0054】
問合せ(通話)等の内容は多岐にわたるため、種々の問合せ等の内容に対して対応できるように手配先を複数準備しておき、判断部13がこれら複数の手配先からキーワードと現場情報とに基づいて手配先を選択する構成とすることで、問合せ等の内容に対する適切な対応者を選択することができる。
【0055】
また、本実施形態のエレベーターの自動応答システムSは、複数の回答メッセージを格納する記憶部2を備える。そして、判断部13は、ワード抽出部11によって抽出されたキーワードと情報取得部12によって取得された現場情報とに基づき、複数の回答メッセージから問合せ等を行っているユーザ等に対して出力する回答メッセージを選択する。このように、対応者の手配の要否に関わらず、問合せ等の内容に応じた回答メッセージがユーザ等に対して出力されるため、ユーザ等は現状把握や自己のすべきこと等(例えば、ベルを止める等)の認識を適切に行える。
【0056】
また、本実施形態のエレベーターの自動応答システムSは、複数の絞込みメッセージを格納する記憶部2を備える。そして、判断部13は、ワード抽出部11によって抽出されたキーワードと情報取得部12によって取得された現場情報とに基づいて対応者の手配の要否を判断できないときに、複数の絞込みメッセージから問合せ等を行っているユーザ等に対して出力する絞込みメッセージを選択し、この選択された絞込みメッセージに対するユーザ等の回答からワード抽出部11によって抽出された所定のキーワードと、絞込みメッセージの出力前に抽出されたキーワード、及び現場情報と、に基づいて、対応者の手配の要否を判断する。
【0057】
通話内容が適切な内容でなく、即ち、通話内容からは対応者の手配の要否を判断できない場合であっても、上記構成のように、適切なキーワードを含む回答を通話者(回答者)から引き出す目的で設定されたメッセージ(絞込みメッセージ)を出力して通話者に回答してもらうことで、対応者の手配の要否を判断できる。
【0058】
尚、本発明の昇降装置の自動応答システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0059】
上記実施形態の自動応答システムSは、エレベーターのコールセンターに配備されているが、遠隔監視センター等に配置されてもよい。また、自動応答システムSは、エスカレーターのコールセンター等に配備されていてもよい。
【0060】
また、上記実施形態の昇降装置の自動応答システムSでは、通話装置4は、インターホンであるが、電話等でもよい。
【0061】
また、上記実施形態の昇降装置の自動応答システムSでは、抽出ワードデータベースDB1と、照合用データベースDB2と、回答メッセージデータベースDB3と、絞込みメッセージデータベースDB4とが、共通の記憶部2に格納されているが、この構成に限定されない。抽出ワードデータベースDB1と、照合用データベースDB2と、回答メッセージデータベースDB3と、絞込みメッセージデータベースDB4とが、それぞれ異なる記憶部に格納されてもよく、一部のデータベースが異なる記憶部に格納されてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…自動応答サーバー、11…ワード抽出部、12…情報取得部、13…判断部、131…手配要否判断部、132…回答メッセージ選択部、133…メッセージ選択部、14…出力部、2…記憶部、3…現場情報供給部、31…遠隔監視サーバー、32…情報システム、33…情報端末、4…インターホン(通話装置)、5…受電端末、DB…データベース、DB1…抽出ワードデータベース、DB2…照合用データベース、DB3…回答メッセージデータベース、DB4…メッセージデータベース