(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144175
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】荷取判定装置、荷役車両及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
B66F9/24 L
B66F9/24 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051002
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183222
【氏名又は名称】住友ナコ フォ-クリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏志
(72)【発明者】
【氏名】竹内 郷志
(72)【発明者】
【氏名】日南 敦史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄士
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333FD13
3F333FD14
3F333FD15
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】荷役作業の作業効率を向上させる。
【解決手段】フォークリフト1は、前面32にポケット32を有するパレット30までの距離情報を取得可能なレーザースキャナ24と、制御部27とを備えている。制御部27は、レーザースキャナ24が取得した距離情報に基づいて、前面31を検出した前面検出線L1を求め、前面31とポケット32との位置関係に基づいて、前面検出線L1に対するポケット32の位置を推定した孔部推定線L2を求め、孔部推定線L2に基づいて、フォーク12とポケット32との干渉を判定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に孔部を有する荷役台までの距離情報を取得可能な計測手段と、
前記計測手段が取得した距離情報に基づいて、前記前面を検出した前面検出線を求める検出手段と、
前記前面と前記孔部との位置関係に基づいて、前記前面検出線に対する前記孔部の位置を推定した孔部推定線を求める推定手段と、
前記孔部推定線に基づいて、前記孔部に挿入される爪部と前記孔部との干渉を判定する判定手段と、
を備える荷取判定装置。
【請求項2】
前記推定手段は、前記孔部推定線を前記前面検出線に直交する線として求める、
請求項1に記載の荷取判定装置。
【請求項3】
前記孔部の幅の数値情報を予め記憶する記憶手段を備え、
前記推定手段は、前記幅の数値情報に基づいて、前記前面検出線における前記孔部推定線の位置を求める、
請求項1又は請求項2に記載の荷取判定装置。
【請求項4】
前記計測手段は、前記荷役台の幅方向に沿った平面状の計測領域を有する二次元の距離センサである、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の荷取判定装置。
【請求項5】
前記爪部と前記孔部とが干渉すると前記判定手段が判定した場合に当該判定結果を報知する報知手段を備える、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の荷取判定装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の荷取判定装置と、
走行可能な車両本体と、
前記車両本体に昇降可能に設けられ、前記孔部に挿入されて前記荷役台を保持可能な前記爪部としてのフォークと、
を備える荷役車両。
【請求項7】
前面に孔部を有する荷役台までの距離情報を取得可能な計測手段を備える荷取判定装置のコンピュータを、
前記計測手段が取得した距離情報に基づいて、前記前面を検出した前面検出線を求める検出手段、
前記前面と前記孔部との位置関係に基づいて、前記前面検出線に対する前記孔部の位置を推定した孔部推定線を求める推定手段、
前記孔部推定線に基づいて、前記孔部に挿入される爪部と前記孔部との干渉を判定する判定手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷取判定装置、荷役車両及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフト等の荷役車両でパレット(荷役台)を搬送する場合、パレットのポケットにフォーク(爪部)を挿してリフトアップする。
このパレットのピックアップ時に、例えば車体がパレットと正対していない等すると、フォークをポケットの入口や内壁に干渉させてしまう。このようなフォークとパレットとの干渉が起きると、パレットを保持できなかったり損傷させたりして作業効率を低下させるおそれがある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に記載の技術では、レーザーセンサによりパレット前面までの距離データを取得し、取得した距離データに基づいてポケットの内壁(側壁)の位置を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前面だけでなく側面にもポケットが開いた四方刺しのパレット等では、ポケット内壁が一様な平面でない場合がある。このようなパレットではポケット内壁の位置を好適に特定できず、ひいてはフォークとパレットとの干渉が発生して作業効率を低下させるおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、荷役作業の作業効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る荷取判定装置は、
前面に孔部を有する荷役台までの距離情報を取得可能な計測手段と、
前記計測手段が取得した距離情報に基づいて、前記前面を検出した前面検出線を求める検出手段と、
前記前面と前記孔部との位置関係に基づいて、前記前面検出線に対する前記孔部の位置を推定した孔部推定線を求める推定手段と、
前記孔部推定線に基づいて、前記孔部に挿入される爪部と前記孔部との干渉を判定する判定手段と、
を備える。
【0007】
本発明に係るプログラムは、
前面に孔部を有する荷役台までの距離情報を取得可能な計測手段を備える荷取判定装置のコンピュータを、
前記計測手段が取得した距離情報に基づいて、前記前面を検出した前面検出線を求める検出手段、
前記前面と前記孔部との位置関係に基づいて、前記前面検出線に対する前記孔部の位置を推定した孔部推定線を求める推定手段、
前記孔部推定線に基づいて、前記孔部に挿入される爪部と前記孔部との干渉を判定する判定手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、荷役作業の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るフォークリフトの側面図である。
【
図2】実施形態に係るフォークリフトの概略の制御構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る荷取判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る荷取判定処理を説明するための図である。
【
図5】実施形態に係る荷取判定処理を説明するための図である。
【
図6】実施形態に係る荷取判定処理を説明するための図である。
【
図8】パレットの前後に障害物がある場合の処理を説明するための図である。
【
図9】パレットの前後に障害物がある場合の処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[フォークリフトの構成]
図1は、本実施形態に係るフォークリフト1の側面図である。
本実施形態に係るフォークリフト1は、本発明に係る荷役車両の一例であり、パレット30(又はそれに載置される荷L)の荷取り及びその搬送を含む荷役作業を行う。また、フォークリフト1は、特に限定はされないが、無人(自動)で動作可能な無人搬送フォークリフト(AGF:Automated Guided Forklift)であり、図示しない管理サーバからの動作指令等に基づいて所定の荷役作業を行う。
【0012】
具体的に、フォークリフト1の車体10は、車両本体11、フォーク(爪部)12、昇降体(リフト)13、マスト14、車輪15を備える。マスト14は車両本体11の前方に設けられ、図示しない駆動源によって駆動されて車両本体11の前後に傾斜する。昇降体13は、図示しない駆動源によって駆動され、マスト14に沿って昇降する。昇降体13には、荷Lやパレット30などを保持する左右一対のフォーク12が取り付けられている。一対のフォーク12は、マスト14及び昇降体13等の駆動により、車両本体11に対する傾斜及び昇降と前進及び後退とが可能となっている。
パレット30は、荷Lが載置される荷受台である。このパレット30は、短矩形板状に形成され、一対のフォーク12が挿入される2つのポケット(孔部)32を有する。
【0013】
図2は、フォークリフト1の概略の制御構成を示すブロック図である。
この図に示すように、フォークリフト1は、上記構成に加え、駆動部21、操作部22、表示部23、通信部28、レーザースキャナ24、位置計測装置25、記憶部26、制御部27を備える。本発明に係る荷取判定装置は、レーザースキャナ24と制御部27を含む。
【0014】
駆動部21は、フォークリフト1の各種駆動源である走行モータ、操舵モータ及び荷役モータ(いずれも図示省略)を含む。走行モータは、車輪15のうちの駆動輪を駆動する。操舵モータは、車輪15のうちの操舵輪を回転(操舵動作)させる。荷役モータは、昇降体13の昇降とマスト14の傾倒との各動作を行わせる駆動源である。
【0015】
操作部22は、例えば有人(手動)運転時に運転者が各種操作を行う操作手段である。操作部22は、例えばハンドルやペダル、レバー、各種ボタン等を含み、これらの操作内容に応じた操作信号を制御部27に出力する。
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のディスプレイであり、制御部27から入力される表示信号に基づいて各種情報を表示する。なお、表示部23は、操作部22の一部を兼ねるタッチパネルであってもよい。また、表示部23は、音声出力可能な音声出力部を含んでもよい。
通信部28は、管理サーバ等との間で各種情報を送受信可能な通信デバイスである。
【0016】
レーザースキャナ24は、本発明に係る計測手段の一例であり、車体前方の所定のスキャン領域(計測領域)N内の距離情報を取得して、その結果を制御部27に出力する。本実施形態のレーザースキャナ24は、車体10の上下方向に略直交する平面状のスキャン領域Nを有する二次元の距離センサ(例えば二次元LiDAR(LASER Imaging Detection and Ranging))である。
レーザースキャナ24は、フォーク12と略同じ高さ(正確には、スキャン領域Nがフォーク12の上面のやや上側(例えば10mm)となる高さ)に配置されるとともに、2つのフォーク12の左右略中央に配置されている(
図4参照)。
【0017】
位置計測装置25は、フォークリフト1自身の位置を計測するものである。位置計測装置25が取得した自己位置の情報は、例えば管理サーバに送信されてフォークリフト1自身の位置制御に利用される。位置計測装置25の具体構成は特に限定されず、例えば、GNSS(衛星測位システム)を利用するものでもよい。あるいは、走行方向を計測するセンサ(慣性計測装置等)と走行距離センサとを用い、微少時間に走行した方向と距離とを逐次積算して位置を計測するものでもよいし、作業エリアの各所に配置されたリフレクタ(マーカ)を光学センサで検出して、予め設定されているリフレクタの配置情報と照合することでフォークリフト1の位置を計測するもの等でもよい。
【0018】
記憶部26は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部27の作業領域としても機能する。本実施形態の記憶部26は、後述の荷取判定処理(
図3参照)を実行するための荷取判定プログラム260を予め記憶している。
制御部27は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成され、フォークリフト1各部の動作を制御する。具体的に、制御部27は、管理サーバからの動作指令等に基づいて駆動部21を動作させたり、記憶部26に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。
【0019】
[荷取判定処理]
続いて、荷役作業中のフォークリフト1が荷取判定処理を実行するときの動作について説明する。
図3は、荷取判定処理の流れを示すフローチャートである。
図4~
図6は、荷取判定処理を説明するための図であって、このうち
図4及び
図5はパレット荷取り時のフォークリフト1の平面図及び側面図であり、
図6はレーザースキャナ24が取得した点群データの処理内容例を説明するための図である。なお、
図6の点群データ例は、四方刺しパレットのものである。
【0020】
荷取判定処理は、フォークリフト1がパレット30を荷取りする(フォーク12をポケット32に挿してピックアップする)ときに実行される処理である。この荷取判定処理は、フォークリフト1の制御部27が記憶部26から荷取判定プログラム260を読み出して展開することで実行される。
なお、以下では、フォークリフト1から見た前後方向(奥行き方向)のうち、フォークリフト1に近い側を「手前(側)」、遠い側を「奥(側)」と記載する場合がある。
【0021】
図3に示すように、荷取判定処理が実行されると、まず制御部27は、例えば倉庫内のパレット置台41からパレット30を荷取りして搬送する荷役作業を開始する(ステップS1)。フォークリフト1は、管理サーバからの動作指令に基づいて、所定の移動経路上を走行して荷役作業を行う。なお、荷取判定処理は、荷役作業のうちパレット30の荷取り時のみに実行されることとしてもよい。
【0022】
次に、制御部27は、パレット30を荷取りするためにパレット置台41の前に移動する(ステップS2;
図4)。
パレット置台41は、パレット30を搬送するローラーコンベア40の搬出口である。ローラーコンベア40は、搬出口であるパレット置台41に向けてパレット30を搬送し、パレット30がパレット置台41で所定の位置及び所定の向きとなるように誘い込みガイド42でガイドしてストッパ43で停止させる。これにより、パレット30は、前面31に2つのポケット32が露出した向きでパレット置台41に係止される。
ここでは、制御部27は、車体10がパレット置台41に正対するように、フォークリフト1を移動させる。より詳しくは、フォークリフト1は、XY座標(水平面内での座標)と、XY平面内での角度(車体10の向き)とが指定されることにより、パレット置台41(つまりパレット30の前面31)に正対するようにその前まで移動する。パレット置台41の前で停止したフォークリフト1から見て、X方向が左右方向、Y方向が前後方向(奥行き方向)である。なお、フォークリフト1とパレット置台41(パレット30)は、いずれも略水平にあるものとする。
【0023】
次に、制御部27は、パレット置台41上のパレット30(ポケット32)の高さまでフォーク12を上昇させる(ステップS3;
図5)。
パレット置台41上のパレット30の高さは、予め設定(入力)されている。ただし、例えば、フォーク12の先端にパレット検出用のセンサを設け、当該センサによってパレット30(ポケット32)を検出した高さまでフォーク12を上昇させることとしてもよい。
なお、ここでは、フォーク12と略同じ高さにあるレーザースキャナ24が、ポケット32を検出できるように当該ポケット32と同じ高さに位置すればよい。つまり、レーザースキャナ24のスキャン領域Nにパレット30のポケット32が含まれればよい。
【0024】
次に、制御部27は、レーザースキャナ24によりパレット30をスキャンする(ステップS4)。
具体的に、制御部27は、レーザースキャナ24を動作させることにより、スキャン領域Nに含まれる、ポケット32を含むパレット30の水平面内での距離情報(点群データ)を取得する。
【0025】
次に、制御部27は、ステップS4のスキャン結果に基づいて、パレット30のポケット32を検出する(ステップS5)。
具体的に、このステップでは、
図6に示すように、まず制御部27は、スキャンにより得られた点群データに基づいて、パレット30の前面31を検出(フィッティング)した前面検出線L1を求める。前面検出線L1は、例えば、点群データのうち一番手前側(
図6の下側)に分布するものを、当該前面31から得られた点群データとし、この点群データに直線検出アルゴリズムを適用することで得られる。直線検出アルゴリズムは、点群データに最もよく当てはまる直線を取得するものであれば特に限定されず、例えば最小二乗法を用いてフィッティングする手法などでもよい。
次に、制御部27は、前面31とポケット32(内壁)との位置関係に基づいて、前面検出線L1に対するポケット32の位置を推定した孔部推定線L2を求める。具体的に、制御部27は、ポケット32の幅w1の数値情報と点群データとを照合して、前面検出線L1上におけるポケット32の開口端を求める。幅w1の数値情報は予め記憶部26に記憶されている。そして、制御部27は、当該開口端を通って前面検出線L1に直交する線として、孔部推定線L2を求める。
なお、本実施形態では、パレット30の形状データ(例えば、左右の全幅、前後の奥行き、前面31におけるポケット32の位置等の数値データ)に基づいて、左右両側面を検出した側面検出線L3と、奥側の後面を検出した後面検出線L4も求める。ポケット32の幅w1を含むパレット30の形状データは、記憶部26に予め記憶されている。
また、前面検出線L1上におけるポケット32の開口端を求める際には、ポケット32の幅w1の数値情報を用いずに、例えば前面検出線L1の近傍に位置する点(距離が所定範囲内の点)のうち、ポケット32に相当する間隙に隣接する端部の点として求めてもよい。ただし、実際のポケット32の開口端は角が傷んで丸まっている場合等があるため、本実施形態のように幅w1の数値情報を用いるのがよい。
【0026】
次に、制御部27は、ステップS5の検出結果に基づいて、パレット30のポケット32とフォーク12とが干渉するか否かを判定する(ステップS6)。
ここでは、制御部27は、車体10を前進又はフォーク12をリーチさせたときのフォーク12の予測位置(左右方向位置)を表すフォーク予測線L5を求める。フォーク予測線L5は、フォーク12の幅を奥行き方向に延長した線であり、既知であるフォーク12とレーザースキャナ24との相対位置の情報から求められる。そして、制御部27は、フォーク予測線L5と孔部推定線L2とが交差する場合に、フォーク12がポケット32に干渉すると判定する。
そして、フォーク12とポケット32とが干渉すると判定した場合(ステップS6;Yes)、制御部27は、車体10を停止させ、フォーク12とポケット32が干渉する(そのままの車体10の状態ではフォーク12をポケット32に挿入すべきでない)ことを管理サーバ(又は運転者)に報知した後(ステップS7)、後述のステップS10へ処理を移行する。
この場合の報知態様は特に限定されず、管理サーバに報知信号を送信してもよいし、表示部23に警告表示を表示させたり警告音声を出力させたりしてもよい。また、報知の後、自律的に車体10の向きを修正し、干渉を回避しても良い。
【0027】
一方、ステップS6において、フォーク12とポケット32とが干渉しないと判定した場合(ステップS6;No)、制御部27は、車体10を前進させたりフォーク12をリーチさせたりして、ポケット32にフォーク12を挿入させてパレット30をパレット置台41からピックアップする(ステップS8)。
【0028】
次に、制御部27は、パレット30を搬送して所定の荷役作業を行う(ステップS9)。
次に、制御部27は、荷取判定処理を終了させるか否かを判定し(ステップS10)、終了させないと判定した場合には(ステップS10;No)、上述のステップS2へ処理を移行し、荷役作業を続ける。
そして、例えば荷役作業の終了等により、荷取判定処理を終了させると判定した場合には(ステップS10;Yes)、制御部27は、荷取判定処理を終了させる。
【0029】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、前面31にポケット32を有するパレット30までの距離情報がレーザースキャナ24により取得され、この距離情報に基づいて前面31を検出した前面検出線L1が求められ、前面31とポケット32(内壁)との位置関係に基づいて前面検出線L1に対するポケット32の位置を推定した孔部推定線L2が求められ、この孔部推定線L2に基づいてフォーク12とポケット32との干渉が判定される。
これにより、好適にポケット32の位置を検出してフォーク12との干渉判定を行うことができる。すなわち、センサで取得した距離データによりポケット内壁を直接検出する従来の手法においては、例えば
図7に示すような左右の側面にもポケット32が開いた四方刺しのパレット30等の場合に、ポケット内壁が一様な平面でないために好適にポケット32の位置を検出できないおそれがある。この点、本実施形態によれば、取得した距離情報に基づいてパレット30の前面31を検出し、この前面検出線L1に対してポケット32の位置を設定(推定)しているので、ポケット32内壁が一様な平面状でない場合等であっても、好適にポケット32の位置を検出してフォーク12との干渉判定を行うことができる。ひいては、フォーク12とパレット30との干渉を好適に回避し、荷役作業の作業効率を向上させることができる。
【0030】
また、本実施形態によれば、孔部推定線L2が前面検出線L1に直交する線として求められるので、孔部推定線L2として好適にポケット32の内壁を検出することができる。
また、本実施形態によれば、予め記憶されたポケット32の幅w1の数値情報に基づいて、前面検出線L1における孔部推定線L2の位置が求められるので、孔部推定線L2としてさらに好適にポケット32の内壁を検出することができる。
【0031】
また、本実施形態によれば、レーザースキャナ24として、左右方向(つまりパレット30の幅方向)に沿った平面状のスキャン領域Nを有する二次元の距離センサが用いられる。
そのため、例えば三次元計測が可能な3D-LiDAR等を用いる場合に比べて、計測器コストを抑えつつ、パレット30の前面31の距離情報を好適に取得することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、フォーク12とポケット32とが干渉すると判定された場合、表示部23等により当該判定結果が報知される。
これにより、管理サーバの操作者、フォークリフト1の運転者又はその周囲の作業者等に作業状況の不具合を速やかに報知できる。
【0033】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態(変形例含む)に限られない。
例えば、パレット30形状の検出結果に基づいて、パレット30の前後に存在する障害物を検出してもよい。具体的には、例えば
図8及び
図9に示すように、前面検出線L1よりも手前側に点群データP1が検出された場合、パレット30よりも手前側に障害物B1が存在すると判定してもよい。あるいは、パレット30の後面(と推定される位置)よりも後側に点群データP2が検出された場合、パレット30よりも奥側に障害物B2が存在すると判定してもよい。また、パレット30の後面(と推定される位置)よりも前側に点群データP2が検出された場合、フォーク12(スキャン領域N)とパレット30とが相対的に前後に傾斜しており、フォーク12がパレット30(ポケット32)の底面又は天面と干渉すると判定してもよい。なお、パレット30の後面の位置は検出が困難なため、位置(座標)情報またはパレット30の奥行き寸法の情報等として、予め記憶部26に記憶されているのが好ましい。
【0034】
また、上記実施形態では、前面31とポケット32(内壁)とが直交するという位置関係に基づいて、前面検出線L1に直交する線として孔部推定線L2を求めた。しかし、前面31とポケット32(内壁)とは直交していなくともよく、例えば前面検出線L1に対して所定の角度をなす線等として孔部推定線L2を求めてもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、孔部推定線L2とフォーク予測線L5とが交差した場合に、フォーク12とポケット32が干渉するとしてこれを報知することとした。しかし、孔部推定線L2とフォーク予測線L5とが交差しない場合であっても、ポケット32があるはずの2つの孔部推定線L2の間にフォーク予測線L5が存在しない場合、フォーク12がパレット30の前面31に干渉する(ポケット32開口に対応していない)として、これを報知してもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、車体10の左右中央にレーザースキャナ24が設けられることとしたが、レーザースキャナ24の位置は特に限定されない。ただし、フォーク12と同じ高さに設置されるのが好ましい。また、本発明に係る計測手段は、荷役台(の前面)までの距離情報を取得可能なものであればよく、レーザースキャナに限定されない。
【0037】
また、上記実施形態では、パレット置台41からパレット30をピックアップする場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明に係る荷役台は、爪部が挿入される孔部を有するものであれば、パレットに限定されない。
また、本発明は、パレットをパレット置台から荷取りするときに限定されず、パレット(荷役台)を荷取りする場合(例えば平置き(床置き)や棚置き等を含む)に広く適用可能である。
【0038】
また、上記実施形態では、フォークリフト1に搭載された制御部27が各種演算等を行うこととした。しかし、フォークリフト1外に設けられた制御手段が、フォークリフト1から送信された情報に基づいて演算を行い、その結果をフォークリフト1に送信することとしてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、フォークリフト1が無人搬送フォークリフトであることとした。しかし、本発明に係る荷役車両は、有人運転(遠隔操作含む)が可能なものや、有人運転と無人運転を切り替え可能なものを含む。また、本発明は有人運転のアシスト機能としても利用可能である。
また、本発明に係る荷役車両は、フォーク(又はそれに類するもの)で荷を保持して走行できるものであればフォークリフトに限定されず、例えば無人で走行する無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)等を含む。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 フォークリフト(荷役車両)
10 車体
12 フォーク(爪部)
23 表示部(報知手段)
24 レーザースキャナ(計測手段)
27 記憶部(記憶手段)
27 制御部(検出手段、推定手段、判定手段)
30 パレット(荷役台)
31 前面
32 ポケット(孔部)
260 荷取判定プログラム
L1 前面検出線
L2 孔部推定線
L5 フォーク予測線
N スキャン領域(計測領域)
w1 幅(ポケットの幅)