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特開2023-144180部品収容体の配置決定方法、部品収容体の配置決定装置、部品実装方法ならびに部品実装装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144180
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】部品収容体の配置決定方法、部品収容体の配置決定装置、部品実装方法ならびに部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051011
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】生田 直史
(72)【発明者】
【氏名】横井 敬明
(72)【発明者】
【氏名】譚 隕林
(72)【発明者】
【氏名】岩田 維里
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 達也
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC04
5E353CC05
5E353CC21
5E353CC23
5E353DD05
5E353EE36
5E353EE37
5E353EE89
5E353HH71
5E353LL03
5E353QQ03
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】部品切れによる生産停止を防止しつつ、供給可能な部品の種別数の減少を抑制することができる部品収容体の配置決定方法、部品収容体の配置決定装置、部品実装方法ならびに部品実装装置を提供する。
【解決手段】部品実装装置に供給する部品を収容する部品収容体を保持部に配置する位置を決定する部品収容体の配置決定方法は、保持部の通常領域に配置される部品収容体が収容する部品の種別および収容数と、生産データに含まれる生産に使用される部品の種別および使用総数とから、部品収容体から部品が無くなる部品切れタイミングを通常領域の各々の部品収容体で予測し(ST2)、部品切れタイミングの重複に基づいて(ST3)、予備の部品収容体を配置する保持部の通常領域とは異なる予備領域の最大数を決定する(ST4)。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装装置に供給する部品を収容する部品収容体を保持部に配置する位置を決定する部品収容体の配置決定方法であって、
保持部の通常領域に配置される部品収容体が収容する部品の種別および収容数と、生産データに含まれる生産に使用される部品の種別および使用総数とから、前記部品収容体から部品が無くなる部品切れタイミングを前記通常領域の各々の前記部品収容体で予測し、
前記部品切れタイミングの重複に基づいて、予備の部品収容体を配置する前記保持部の前記通常領域とは異なる予備領域の最大数を決定する、部品収容体の配置決定方法。
【請求項2】
前記部品切れタイミングの重複に基づいて、前記予備領域に配置する部品の種別を決定する、請求項1に記載の部品収容体の配置決定方法。
【請求項3】
前記生産データに含まれる部品の実装位置に基づいて、前記通常領域に配置する部品の種別の第1配置を決定し、
決定した前記第1配置に基づいて、前記予備領域に配置する部品の種別の第2配置を決定する、請求項1または2に記載の部品収容体の配置決定方法。
【請求項4】
前記第2配置は、前記部品切れタイミングの重複の各々について決定される、請求項3に記載の部品収容体の配置決定方法。
【請求項5】
前記保持部に配置することができる前記部品収容体の最大数よりも、前記通常領域の数と決定された前記予備領域の最大数の合計数の方が大きい場合、代替処理を決定する、請求項1に記載の部品収容体の配置決定方法。
【請求項6】
前記代替処理のひとつは、前記部品切れタイミングが重複する前記部品収容体の少なくともひとつが供給する部品の種別を供給する別の部品収容体を前記通常領域に配置することである、請求項5に記載の部品収容体の配置決定方法。
【請求項7】
前記代替処理のひとつは、前記部品切れタイミングが重複する前記部品収容体の少なくともひとつが供給する部品の種別を前記予備領域に配置せず、前記部品切れタイミングに前記通常領域に配置されているその部品の種別を供給する前記部品収容体の部品補給作業を行うことである、請求項5に記載の部品収容体の配置決定方法。
【請求項8】
前記代替処理のひとつは、前記部品切れタイミングが重複する前記部品収容体の少なくともひとつに部品補給作業の所要時間が短い部品収容体を割り当てる処理である、請求項5に記載の部品収容体の配置決定方法。
【請求項9】
部品実装装置に供給する部品を収容する部品収容体を保持部に配置する位置を決定する部品収容体の配置決定装置であって、
保持部の通常領域に配置される部品収容体が収容する部品の種別および収容数と、生産データに含まれる生産に使用される部品の種別および使用総数から、前記部品収容体から部品が無くなる部品切れタイミングを前記通常領域の各々の前記部品収容体で予測するタイミング予測部と、
前記部品切れタイミングの重複に基づいて、予備の部品収容体を配置する前記保持部の前記通常領域とは異なる予備領域の最大数を決定する決定部と、を備える、部品収容体の配置決定装置。
【請求項10】
前記部品切れタイミングの重複に基づいて、前記予備領域に配置する部品の種別を決定する配置決定部を、さらに備える、請求項9に記載の部品収容体の配置決定装置。
【請求項11】
前記生産データに含まれる部品の実装位置に基づいて、前記通常領域に配置する部品の種別の第1配置を決定し、
決定した前記第1配置に基づいて、前記予備領域に配置する部品の種別の第2配置を決定する、配置決定部をさらに備える、請求項9または10に記載の部品収容体の配置決定装置。
【請求項12】
前記配置決定部は、前記第2配置を、前記部品切れタイミングの重複の各々について決定する、請求項11に記載の部品収容体の配置決定装置。
【請求項13】
前記配置決定部は、前記保持部に配置することができる前記部品収容体の最大数よりも、前記通常領域の数と決定された前記予備領域の最大数の合計数の方が大きい場合、前記部品切れタイミングが重複する前記部品収容体の少なくともひとつが供給する部品の種別する別の部品収容体を前記通常領域に配置するように決定する、請求項11または12に記載の部品収容体の配置決定装置。
【請求項14】
前記配置決定部は、前記保持部に配置することができる前記部品収容体の最大数よりも、前記通常領域の数と決定された前記予備領域の最大数の合計数の方が大きい場合、前記部品切れタイミングが重複する前記部品収容体の少なくともひとつに部品補給作業の所要時間が短い部品収容体を割り当てる、請求項11または12に記載の部品収容体の配置決定装置。
【請求項15】
保持部に配置された部品収容体に収容された部品を基板に実装する部品実装方法であって、
保持部の通常領域に配置された部品収容体から供給される部品が無くなる部品切れタイミングが重複すると予測される部品収容体が収容する部品と同じ種別の部品を収容する予備の部品収容体を、前記保持部の前記通常領域とは異なる予備領域に予め配置し、
前記通常領域に配置されている前記部品収容体から供給される部品を基板に実装し、
前記部品切れタイミングが重複すると予測されていた部品収容体が収容していた部品が無くなると、基板に実装する部品を前記予備領域に予め配置しておいた部品収容体から供給される部品に切り替える、部品実装方法。
【請求項16】
前記予備領域に予め配置しておいた部品収容体から供給される部品を基板に実装している間に、前記部品切れタイミングが重複すると予測されていた部品収容体に部品を補給し、
補給が完了すると、基板に実装する部品を前記補給が完了した部品収容体から供給される部品に切り替える、請求項15に記載の部品実装方法。
【請求項17】
前記補給が完了した部品収容体から供給される部品を基板に実装するようにした後、次に部品切れタイミングが重複すると予測される部品収容体が収容する部品と同じ種別の部品を収容する部品収容体を前記予備領域に配置する、請求項16に記載の部品実装方法。
【請求項18】
保持部に配置された部品収容体に収容された部品を基板に実装する部品実装装置であって、
保持部に配置された部品収容体が供給する部品を取り出して、基板に実装する部品実装部と、
前記部品実装部を制御する制御部と、を備え、
前記保持部の通常領域に配置された前記部品収容体から供給される部品が無くなる部品切れタイミングが重複すると予測される部品収容体が収容する部品と同じ種別の部品を収容する部品収容体が、前記保持部の前記通常領域とは異なる予備領域に予め配置されており、
前記制御部は、
前記通常領域に配置されている前記部品収容体から部品を取り出して基板に実装するように前記部品実装部を制御し、
前記部品切れタイミングが重複すると予測されていた部品収容体が収容していた部品が無くなると、基板に実装する部品を前記予備領域に予め配置しておいた部品収容体から供給される部品に切り替えるように前記部品実装部を制御する、部品実装装置。
【請求項19】
前記制御部は、
前記部品切れタイミングが重複すると予測されていた部品収容体に対する部品の補給が完了すると、基板に実装する部品を前記補給が完了した部品収容体から供給される部品に切り替えるように前記部品実装部を制御する、請求項18に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置に供給する部品を収容する部品収容体を配置する位置を決定する部品収容体の配置決定方法、部品収容体の配置決定装置、保持部に配置された部品収容体に収容された部品を基板に実装する部品実装方法ならびに部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
部品を基板に実装する部品実装装置にキャリアテープなどの部品収容体に収容された部品を供給するテープフィーダでは、実装基板の生産中に部品収容体に収容された部品の残数が少なくなると、作業者により、キャリアテープを継合等して部品を補給する部品補給作業が実行される(例えば、特許文献1参照)。しかし、部品補給作業には時間とスキルが必要であるため、部品補給作業が間に合わずに生産が停止してしまう場合がある。特許文献1には、生産中に部品切れとなる部品を供給する予備のフィーダを生産開始前にサブ領域に配置し、メイン領域のフィーダが部品切れとなるとサブ領域の予備のフィーダからの部品供給に切り替えて生産を継続させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/176033号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、部品切れとなるフィーダの数だけサブ領域を確保する必要があった。そのため、同一の実装基板を大量に長期間生産するような場合では多数の予備フィーダが必要となり、メイン領域が侵食されて1台の部品実装装置が実装することができる部品の種別数が減少するという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、部品切れによる生産停止を防止しつつ、供給可能な部品の種別数の減少を抑制することができる部品収容体の配置決定方法、部品収容体の配置決定装置、部品実装方法ならびに部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品収容体の配置決定方法は、部品実装装置に供給する部品を収容する部品収容体を保持部に配置する位置を決定する部品収容体の配置決定方法であって、保持部の通常領域に配置される部品収容体が収容する部品の種別および収容数と、生産データに含まれる生産に使用される部品の種別および使用総数とから、前記部品収容体から部品が無くなる部品切れタイミングを前記通常領域の各々の前記部品収容体で予測し、前記部品切れタイミングの重複に基づいて、予備の部品収容体を配置する前記保持部の前記通常領域とは異なる予備領域の最大数を決定する。
【0007】
本発明の部品収容体の配置決定装置は、部品実装装置に供給する部品を収容する部品収容体を保持部に配置する位置を決定する部品収容体の配置決定装置であって、保持部の通常領域に配置される部品収容体が収容する部品の種別および収容数と、生産データに含まれる生産に使用される部品の種別および使用総数から、前記部品収容体から部品が無くなる部品切れタイミングを前記通常領域の各々の前記部品収容体で予測するタイミング予測部と、前記部品切れタイミングの重複に基づいて、予備の部品収容体を配置する前記保持部の前記通常領域とは異なる予備領域の最大数を決定する決定部と、を備える。
【0008】
本発明の部品実装方法は、保持部に配置された部品収容体に収容された部品を基板に実装する部品実装方法であって、保持部の通常領域に配置された部品収容体から供給される部品が無くなる部品切れタイミングが重複すると予測される部品収容体が収容する部品と同じ種別の部品を収容する予備の部品収容体を、前記保持部の前記通常領域とは異なる予備領域に予め配置し、前記通常領域に配置されている前記部品収容体から供給される部品を基板に実装し、前記部品切れタイミングが重複すると予測されていた部品収容体が収容していた部品が無くなると、基板に実装する部品を前記予備領域に予め配置しておいた部品収容体から供給される部品に切り替える。
【0009】
本発明の部品実装装置は、保持部に配置された部品収容体に収容された部品を基板に実装する部品実装装置であって、保持部に配置された部品収容体が供給する部品を取り出して、基板に実装する部品実装部と、前記部品実装部を制御する制御部と、を備え、前記保持部の通常領域に配置された前記部品収容体から供給される部品が無くなる部品切れタイミングが重複すると予測される部品収容体が収容する部品と同じ種別の部品を収容する部品収容体が、前記保持部の前記通常領域とは異なる予備領域に予め配置されており、前記制御部は、前記通常領域に配置されている前記部品収容体から部品を取り出して基板に実装するように前記部品実装部を制御し、前記部品切れタイミングが重複すると予測されていた部品収容体が収容していた部品が無くなると、基板に実装する部品を前記予備領域に予め配置しておいた部品収容体から供給される部品に切り替えるように前記部品実装部を制御する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品切れによる生産停止を防止しつつ、供給可能な部品の種別数の減少を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の要部の構成を示す正面図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装システムの制御系の構成を示すブロック図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置における(a)部品切れタイミングの重複の説明図(b)部品配置データの説明図(c)予備領域配置テーブルの説明図
図5】(a)(b)本発明の一実施の形態の部品実装装置における部品収容体の配置の代替処理の例の説明図
図6】本発明の一実施の形態の部品収容体の配置決定方法のフロー図
図7】本発明の一実施の形態の部品実装方法のフロー図
図8】(a)(b)(c)(d)(e)本発明の一実施の形態の部品実装装置による部品実装の工程説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、管理コンピュータ(部品収容体の配置決定装置)、部品実装装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(図2における上下方向)が示される。
【0013】
まず図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、基板に部品を実装して実装基板を生産する機能を有する。部品実装システム1は、基板搬送方向の上流(紙面左側)から下流(紙面右側)に向けて、3台の部品実装装置M1~M3が直列に連結されている。なお、部品実装システム1が備える部品実装装置M1~M3は3台に限定されることはなく、1台、2台または4台以上でも良い。部品実装装置M1~M3は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3と接続されている。
【0014】
管理コンピュータ3は、部品実装装置M1~M3を統括して制御する機能を有している。部品実装装置M1~M3の稼働状況、部品の残数、部品補給作業の状況などの各種情報は、逐次、管理コンピュータ3に送信される。部品実装システム1において部品補給作業などを実行する作業者Wは、情報端末Tを所持している。情報端末Tには、無線通信により管理コンピュータ3から部品実装装置M1~M3に対する作業に関する各種指示や情報が通知される。管理コンピュータ3は、後述するように、部品実装装置M1~M3における部品収容体の配置を決定し、情報端末Tに部品補給作業の指示を送信する。
【0015】
次に、図1図2を参照して、部品実装装置M1~M3の構成と機能について説明する。図1において、部品実装装置M1~M3の基台4の中央には、上流から下流に向けて基板6を搬送する基板搬送部5が配置されている。基板搬送部5は、基板6を後述する実装ヘッドにより部品が実装される実装作業位置に位置決めして保持する。基板搬送部5の両側方には、部品供給部7が設けられている。
【0016】
図2において、部品供給部7には、部品供給装置である複数のテープフィーダ8を並列に保持するフィーダベース9を上部に有する台車10が装着されている。台車10において、テープフィーダ8の下方には、部品を格納するキャリアテープを巻回収納する複数のリール11が並列に保持されている。テープフィーダ8は、リール11から引き出されたキャリアテープを内部で搬送しながらキャリアテープに格納された部品を順に部品実装装置M1~M3に供給する。
【0017】
キャリアテープが収納する部品の残数が少なくなると、部品を供給しているキャリアテープの後端に新しいキャリアテープを継合したり、テープフィーダ8に新しいキャリアテープを挿入したりして、テープフィーダ8に部品を補給する部品補給作業が作業者Wによって行われる。なお、部品の供給はキャリアテープに限らず、部品を収納したスティック状のケース、部品を載置したトレイケース、部品を収納したバルクケース等でもよく、それらに対応する部品供給装置で供給される。なお、作業者Wは人である必要はなく、テープフィーダを自動で供給する自動供給装置であってもよい。
【0018】
以下、テープフィーダ8に供給するキャリアテープを格納するリール11とテープフィーダ8の組み合わせを「部品収容体Q」と称する。台車10は、部品実装装置M1~M3に供給する部品を収容する部品収容体Qが配置される保持部である。また、部品収容体Qには、キャリアテープを内蔵するテープフィーダや、部品を収容するケースとフィーダの組み合わせなども含まれるとする。また、「保持部における部品収容体Qの配置」には、「台車10に保持されたテープフィーダ8が供給する部品の種別の配置」と同義の場合があるとする。また、「部品収容体Qの部品補給作業」には、「テープフィーダ8へのキャリアテープの補給作業」の他、「部品切れのテープフィーダ8をキャリアテープがセット済みの別のテープフィーダ8と交換する作業」なども含まれるとする。
【0019】
図1図2において、基台4の上方には、部品を保持するノズル12aを有する実装ヘッド12が配置されている。実装ヘッド12は、ヘッド移動機構(図示省略)によって部品供給部7と基板搬送部5の実装作業位置に保持された基板6との間を移動する。これにより部品供給部7のテープフィーダ8からノズル12aが取り出した部品を基板6に実装する部品実装作業が実行される。すなわち、実装ヘッド12とヘッド移動機構は、台車10(保持部)に配置された部品収容体Qが供給する部品を取り出して、基板6に実装する部品実装部15(図3)を構成する。
【0020】
図2において、部品実装装置M1~M3の前面の右上部には、タッチパネル13が配置されている。タッチパネル13は、その表示部に各種情報、操作ボタンなどを表示する。作業者Wは、タッチパネル13に表示される操作ボタンなどを操作して、部品実装装置M1~M3の操作を行う。基板搬送部5、部品実装部15、テープフィーダ8、タッチパネル13は、部品実装装置M1~M3が備える制御部14によって制御されている。
【0021】
次に図3を参照して、部品実装システム1の制御系の構成について説明する。ここでは、管理コンピュータ3(部品収容体の配置決定装置)において部品実装装置M1~M3の台車10(保持部)に配置する部品収容体Q(部品の種別)の配置を決定し、部品実装装置M1~M3において実装基板を生産する処理に関する構成を中心に説明する。管理コンピュータ3は、情報処理装置20、管理記憶装置21、無線通信部22を備えている。管理記憶装置21には、生産計画データ23、生産データ24、部品データ25、残数データ26、タイミングデータ27、部品配置データ28、予備領域配置テーブル29などが記憶されている。
【0022】
情報処理装置20は、内部処理部として、状況取得部30、タイミング予測部31、予備領域決定部32、配置決定部33、部品補給指示部34を備えている。無線通信部22は無線通信インターフェースであり、情報端末Tと無線通信によってデータの送受信を行う。なお、管理コンピュータ3は、ひとつのコンピュータで構成する必要はなく、複数のデバイスで構成してもよい。例えば、記憶装置、内部処理部の全てもしくは一部をサーバを介してクラウドに備えてもよい。
【0023】
図3において、状況取得部30は、部品実装装置M1~M3から部品実装作業の状況、台車10(保持部)に配置された部品収容体Qが収容する部品の残数、部品収容体Qへの部品補給作業の状況などの情報を取得する。状況取得部30は、取得した部品収容体Qが収容している部品の残数を残数データ26として管理記憶装置21に記憶させる。残数データ26には、部品実装装置M1~M3に装着されている部品収容体Qの他、部品保管庫にある予備の部品収容体Qやリール11が収容している部品の残数も記憶されている。
【0024】
生産計画データ23には、部品実装システム1において生産する実装基板の基板種、生産枚数、生産開始日時などの情報が含まれている。生産データ24には、実装基板の基板種毎に、基板6に実装される部品の種別を特定する部品名、部品の実装位置、実装角度、部品実装装置M1~M3に装着されている実装ヘッド12を特定する情報、実装ヘッド12に装着されているノズル12aの種類と位置を示すノズル配置などが含まれている。部品データ25には、部品名毎に、部品のサイズ、対応するノズル12aの種類、キャリアテープやケースなどの部品を格納する手段の種類、対応するテープフィーダ8などの機種名などの情報が含まれている。
【0025】
図3において、部品補給指示部34は、部品実装システム1において生産している実装基板の生産データ24、部品データ25、残数データ26、部品配置データ28、予備領域配置テーブル29、作業者Wの人数などに基づいて、部品実装装置M1~M3に装着されている部品収容体Qへの部品補給作業の指示を、無線通信部22を介して情報端末Tに送信する。部品補給指示部34は、部品収容体Qに収容されている部品の残数が所定数より少なくなると、情報端末Tに部品補給作業の指示を送信する。
【0026】
ところで、複数の部品収容体Qに対する部品補給作業が集中して発生すると、作業者Wの人数によっては部品補給作業が完了する前に部品が無くなる部品収容体Qが発生することがある。以下、部品補給作業が間に合わずに部品収容体Qから部品が無くなることを「部品切れ」と称する。また、部品切れが発生するタイミングを「部品切れタイミング」と称する。
【0027】
図3において、タイミング予測部31は、生産計画データ23、生産データ24、残数データ26に基づいて、次の実装基板の生産において部品実装装置M1~M3に配置される部品収容体Qから部品が無くなる部品切れタイミングを予測する(図4(a)参照)。具体的には、タイミング予測部31は、部品収容体Qが収容する部品の種別(部品名)および収容数(残数データ26)と、生産データ24に含まれる生産に使用される部品の種別および使用総数(1枚の実装基板に実装される部品の数と生産される実装基板の枚数の積)から、部品切れタイミングを各々の部品収容体Qで予測する。タイミング予測部31は、部品切れタイミングの発生が予測される時刻、部品の種別(部品名)、部品収容体Qを特定する情報を紐付けて、タイミングデータ27として管理記憶装置21に記憶させる。
【0028】
予備領域決定部32(決定部)は、台車10(保持部)の配置領域を通常使用する部品収容体Qを配置する通常領域と予備の部品収容体Qを配置する予備領域に分ける際、タイミングデータ27に含まれる部品切れタイミングの重複に基づいて、予備領域の最大数を決定する。例えば、予備領域決定部32は、同一の台車10で発生する複数の部品切れタイミングの間隔が5分以内の場合、部品切れタイミングが重複すると判断する。予備領域決定部32は、部品切れタイミングが重複して発生する複数の部品切れイベントにおける部品切れタイミングの重複数の最大値を予備領域の最大数として決定する。
【0029】
ここで図4(a)を参照して、タイミング予測部31が予測する部品切れタイミングと、予備領域決定部32が判断する部品切れタイミングの重複の例について説明する。図4(a)には、部品実装装置M1の前側の台車10(保持部)で発生すると予測された部品切れを時系列で表示している。
【0030】
タイミング予測部31は、10時3分から10時12分の間に、部品Aの部品切れ、部品Dの部品切れ、部品Fの部品切れが順番に発生すると予測している。また、部品Aの部品切れタイミングと部品Dの部品切れタイミングの間隔は5分以内、部品Dの部品切れタイミングと部品Fの部品切れタイミングの間隔は5分以内である。そこで、予備領域決定部32は、部品Aの部品切れと部品Dの部品切れと部品Fの部品切れをグループ化し、重複する部品切れイベントI1とする。部品切れイベントI1の重複数は「3」である。
【0031】
図4(a)において、10時24分には、部品Bの部品切れが発生すると予測されている。部品Bの部品切れタイミングの前後5分以内には、他の部品の部品切れは予測されていない。この場合、予備領域決定部32は、部品Bの部品切れを部品切れイベントI2とする。部品切れイベントI2の重複数は「1」である。同様に、10時43分から10時48分の間に、部品Eと部品Cの部品切れが重複する部品切れイベントI3が予測されている。また、11時7分から11時9分の間に、部品Aと部品Gの部品切れが重複する部品切れイベントI4が予測されている。部品切れイベントI3と部品切れイベントI4の重複数は、それぞれ「2」である。この例では、予備領域決定部32は、予備領域の最大数を「3」と決定する。
【0032】
図3において、配置決定部33は、部品実装装置M1~M3に装着される複数(図1では6台)の台車10(保持部)への部品収容体Qの配置(部品配置)を決定する。配置決定部33は、まず、次に生産する実装基板の生産データ24に基づいて、基板6に実装される部品を各台車10に振り分ける。その際、配置決定部33は、各台車10に配置することができる部品収容体Qの最大数(最大配置数)よりも少ない数の部品の種別を振り分ける。次いで配置決定部33は、予備領域決定部32が決定した予備領域の最大数と、割り振った部品の種別の数の合計が、台車10の部品収容体Qの最大配置数以下の場合、予備領域決定部32が決定した予備領域の最大数だけ、台車10に予備領域を確保する。
【0033】
次いで配置決定部33は、生産データ24に含まれる部品の実装位置、実装ヘッド12のノズル配置などに基づいて、効率的に部品を基板6に実装することができるように、通常領域に配置する部品の種別の第1配置を決定する。配置決定部33は、決定した第1配置を部品配置データ28として管理記憶装置21に記憶させる。次いで配置決定部33は、決定した第1配置と予測される部品切れタイミングに基づいて、予備領域に配置する部品の種別の第2配置を決定する。配置決定部33は、第2配置を部品切れタイミングの重複(部品切れイベントI1~I4)の各々について決定する。配置決定部33は、決定した第2配置を予備領域配置テーブル29として管理記憶装置21に記憶させる。
【0034】
次に図4(b)、図4(c)を参照して、配置決定部33による通常領域の第1配置(部品配置データ28)と予備領域の第2配置(予備領域配置テーブル29)の決定の例について説明する。
【0035】
まず、図4(b)を参照して、部品配置データ28について説明する。図4(b)は、図4(a)に示す部品切れタイミングに基づいて決定された部品実装装置M1の前側の台車10(保持部)の部品配置データ28の例である。台車10に部品収容体Qを配置する位置(以下、「部品供給位置P1~P10」などと称する。)の数(最大配置数)は「10」である。また、予備領域決定部32が決定した予備領域の最大数は「3」である。そこで、配置決定部33は、10個所ある部品供給位置P1~P10のうち、7箇所の部品供給位置P1~P7を通常領域に決定し、3箇所の部品供給位置P8~P10を予備領域に決定する。
【0036】
次いで配置決定部33は、生産データ24に基づいて、効率的に基板6に実装できるように部品A~Gを通常領域の部品供給位置P1~P7に割り振った第1配置を決定する。この例では、部品A~Eを供給する部品収容体Q(テープフィーダ8)は同じ機種であり、部品F~Gを供給する部品収容体Qは同じ機種だが部品A~Eを供給する部品収容体Qとは機種が異なっているとする。この例では、配置決定部33は、機種が同じ部品収容体Qを隣接するように配置する。すなわち、部品供給位置P1~P5に部品A~Eをこの順番に配置し、部品供給位置P6~P7に部品F~Gをこの順番に配置するように決定する。
【0037】
次に図4(c)を参照して、予備領域配置テーブル29について説明する。図4(c)は、図4(a)に示す部品切れタイミングと図4(b)に示す部品配置データ28に基づいて決定された、部品実装装置M1の前側の台車10(保持部)の予備領域配置テーブル29(第2配置)の例である。配置決定部33は、部品切れイベントI1~I4(部品切れタイミングの重複)の各々について、予備領域の部品供給位置P8~P10に配置する部品の種別を決定する。
【0038】
配置決定部33は、部品切れイベントI1では、部品切れが予測される部品Aを部品供給位置P8に配置し、部品Dを部品供給位置P9に配置し、部品Fを部品供給位置P10に配置するように決定する。すなわち、部品供給位置P8~P9には部品A~Eを供給可能なテープフィーダ8が装着され、部品供給位置P10には部品F~Gを供給可能なテープフィーダ8が装着される。さらに、配置決定部33は、部品配置データ28(第1配置)の通常領域における部品A~Eの位置関係に合わせて、部品Aを上流の部品供給位置P8に配置し、部品Dを下流の部品供給位置P9に配置するように決定する。
【0039】
図4(c)において、配置決定部33は、部品切れイベントI2では、部品切れが予測される部品Bを部品供給位置P8に配置するように決定する。また配置決定部33は、部品切れイベントI3では、部品切れが予測される部品Cを部品供給位置P8に配置し、部品Eを部品供給位置P9に配置するように決定する。また配置決定部33は、部品切れイベントI4では、部品切れが予測される部品Aを部品供給位置P8に配置し、部品Gを部品F~Gが供給可能なテープフィーダ8が装着されている部品供給位置P10に配置するように決定する。
【0040】
図3において、配置決定部33は、台車10(保持部)に配置することができる部品収容体Qの最大数(最大配置数)よりも、通常領域と予備領域に配置することを検討している部品収容体Qの合計数の方が大きい場合、通常領域と予備領域に配置する部品収容体Qの合計数が最大数に収まるように、所定の代替処理を実行するように決定する。すなわち、最大配置数よりも、通常領域の数と予備領域の最大数の合計数の方が大きい場合、代替処理が検討される。
【0041】
ここで、図5を参照して、配置決定部33が決定する代替処理の例について説明する。図5(a)は、配置決定部33が、部品切れタイミングが重複する部品収容体Qの少なくともひとつが供給する部品の種別を供給する別の部品収容体Qを通常領域に配置するように決定した代替処理に対応する部品配置データ28の例である。この例では、部品Aの使用総数が他の部品よりも多く、他の部品と部品切れタイミングが重複することが多いため、部品Aを通常領域の部品供給位置P1と部品供給位置P2の2箇所に配置している。これによって、部品Aと他の部品の部品切れタイミングが重複することを回避している。
【0042】
図5(b)は、配置決定部33が、部品切れタイミングが重複する部品収容体Qの少なくともひとつに部品補給作業の所要時間が短い部品収容体Qを割り当てるように決定した代替処理に対応する部品配置データ28の例である。この例では、部品A~Cが他の部品と部品切れタイミングが重複することが多いため、部品供給位置P1~P3に部品補給作業の所要時間が短いテープフィーダ8を割り当てている。例えば、部品供給位置P1~P3には、キャリアテープを継合せず、新しいキャリアテープを挿入することで部品補給作業が完了するテープフィーダ8が装着される。これによって、部品A~Cの部品補給作業を短縮することができ、部品切れを回避したり、部品切れが発生した場合の装置の停止時間を短縮したりすることができる。
【0043】
その他、配置決定部33は、代替処理として、部品切れタイミングが重複する部品収容体Qの少なくともひとつが供給する部品の種別を予備領域に配置せず、部品切れタイミングに通常領域に配置されているその部品の種別を供給する部品収容体Qの部品補給作業を行うように決定する。この場合、部品切れの発生により装置の停止が発生するが、基板6に実装する部品の種別が多くて、多くの予備領域が確保できない場合に有効な代替処理である。また、予め部品切れによる装置の停止の影響が少ない部品を代替処理の部品の種別に設定することで、停止の影響を軽減することもできる。
【0044】
このように、管理コンピュータ3は、保持部(台車10)の通常領域に配置される部品収容体Q(テープフィーダ8、リール11)が収容する部品の種別および収容数と、生産データ24に含まれる生産に使用される部品の種別および使用総数から、部品収容体Qから部品が無くなる部品切れタイミングを通常領域の各々の部品収容体Qで予測するタイミング予測部31と、部品切れタイミングの重複に基づいて、予備の部品収容体Qを配置する保持部の通常領域とは異なる予備領域の最大数を決定する決定部(予備領域決定部32)と、を備え、部品実装装置M1~M3に供給する部品を収容する部品収容体Qを保持部に配置する位置を決定する部品収容体の配置決定装置である。これによって、部品切れによる生産停止を防止しつつ、供給可能な部品の種別数の減少を抑制することができる。
【0045】
次に図6のフローに沿って、部品実装装置M1~M3に供給する部品を収容する部品収容体Qを保持部(台車10)に配置する位置を決定する部品収容体の配置決定方法について説明する。まず、配置決定部33は、生産する実装基板の生産データ24に基づいて、基板6に実装される部品を部品実装装置M1~M3に装着される各台車10(保持部)に振り分ける(ST1)。次いでタイミング予測部31は、通常領域に配置される部品収容体Qが収容する部品の種別および収容数と、生産データ24に含まれる生産に使用される部品の種別および使用総数とから、部品収容体Qから部品が無くなる部品切れタイミング(タイミングデータ27)を通常領域の各々の部品収容体Qで予測する(ST2)。
【0046】
次いで予備領域決定部32(決定部)は、部品切れタイミングの重複を各台車10について抽出する(ST3)。次いで予備領域決定部32は、部品切れタイミングの重複に基づいて、予備の部品収容体Qを配置する予備領域の最大数を決定する(ST4)。次いで配置決定部33は、台車10に配置することができる部品収容体Qの最大数(最大配置数)と、通常領域の数(振り分け部品数)と決定された予備領域の最大数の合計数を比較する(ST5)。
【0047】
図6において、部品収容体Qの最大配置数が合計数以上の場合(ST5においてYes)、配置決定部33は、最大数の予備領域を台車10に確保し、生産データ24に含まれる部品の実装位置等に基づいて、通常領域に配置する部品の種別の第1配置(部品配置データ28)を各台車10について決定する(ST6:第1配置決定工程)。次いで配置決定部33は、決定した第1配置に基づいて、予備領域に配置する部品の種別の第2配置(予備領域配置テーブル29)を、部品切れタイミングの重複の各々に基づき各台車10について決定する(ST7:第2配置決定工程)。
【0048】
部品収容体Qの最大配置数が合計数より小さい場合(ST5においてNo)、配置決定部33は、合計数が最大配置数に収まるように代替処理を決定する(ST8)。代替処理により、合計数が部品収容体Qの最大配置数以下になる場合(ST9においてYes)、第1配置決定工程(ST6)と第2配置決定工程(ST7)が実行される。代替処理を行っても、合計数が部品収容体Qの最大配置数よりも大きくなる場合(ST9においてNo)、管理コンピュータ3の表示装置などにエラーが通知される(ST10)。これによって、部品切れによる生産停止を防止しつつ、供給可能な部品の種別数の減少を抑制する部品収容体の配置(部品配置データ28、予備領域配置テーブル29)を決定することができる。
【0049】
次に図3を参照して、管理コンピュータ3(部品収容体の配置決定装置)によって決定された部品配置データ28と予備領域配置テーブル29に基づいて台車10(保持部)に配置された部品を、基板6に実装する部品実装装置M1~M3の制御系の構成について説明する。すなわち、部品実装装置M1~M3には、保持部(台車10)の通常領域に配置された部品収容体Qから供給される部品が無くなる部品切れタイミングが重複すると予測される部品収容体Qが収容する部品と同じ種別の部品を収容する部品収容体Qが、保持部の通常領域とは異なる予備領域に予め配置されている。
【0050】
部品実装装置M1~M3は、実装記憶装置40、制御部14、基板搬送部5、テープフィーダ8、部品実装部15、タッチパネル13を備えている。実装記憶装置40には、実装データ41、部品残数42、予備領域配置テーブル43などが記憶されている。実装データ41には、部品実装装置M1~M3において基板6に実装される部品の部品名、実装位置、実装角度、台車10(保持部)の通常領域の部品配置(部品配置データ28)などが含まれている。部品残数42には、台車10の装着されている部品収容体Qが収容する部品の残数が記録されている。部品残数42は、部品収容体Qから部品が取り出されると減算される。予備領域配置テーブル43は、管理コンピュータ3において決定された予備領域配置テーブル29が送信されて記憶されたものである。
【0051】
図3において、制御部14は、通常領域に配置されている部品収容体Qから部品を取り出して基板6に実装するように部品実装部15を制御する。そして、制御部14は、部品切れタイミングが重複すると予測されていた複数の部品収容体Qのいずれかが収容していた部品が無くなると、予備領域配置テーブル43に基づいて、基板6に実装する部品を予備領域に予め配置しておいた複数の部品収容体Qから供給される部品に切り替えるように部品実装部15を制御する。
【0052】
その後、作業者Wは、情報端末Tに表示される部品補給指示部34からの指示に基づいて、部品切れタイミングが重複すると予測されていた複数の部品収容体Qの全てに部品を補給する。制御部14は、通常領域の部品収容体Qの部品補給作業が全て完了すると、基板6に実装する部品を補給が完了した部品収容体Qから供給される部品に切り替える(元の状態に戻す)ように部品実装部15を制御する。その後、作業者Wは、情報端末Tに表示される部品補給指示部34からの指示に基づいて、次に部品切れタイミングが重複すると予測される部品収容体Qが収容する部品と同じ種別の部品を収容する部品収容体Qを予備領域に配置する。これによって、部品切れによる生産停止を防止しつつ、供給可能な部品の種別数の減少を抑制することができる。
【0053】
次に、図7のフローに沿って、図8を参照しながら、保持部(台車10)に配置された部品収容体Qに収容された部品を基板6に実装する部品実装方法について説明する。ここでは、図4(b)に示す部品配置データ28と図4(c)に示す予備領域配置テーブル29(予備領域配置テーブル43)に基づき、部品実装装置M1の前側の台車10(保持部)から部品を取り出して基板6に実装する方法を例に説明する。
【0054】
図7において、まず作業者Wは、情報端末Tに表示される指令に従って、台車10の通常領域(部品供給位置P1~P7)に部品A~Gを配置する(ST11)(図8(a))。次いで作業者Wは、情報端末Tに表示される指令に従って、台車10の予備領域(部品供給位置P8~P10)に最初の部品切れイベントI1に対応する部品A,D,Fを配置する(ST12)(図8(a))。すなわち、台車10の通常領域に配置された部品収容体Qから供給される部品が無くなる部品切れタイミングが重複する(部品切れイベントI1)と予測される複数の部品収容体Qが収容する部品と同じ種別の部品を収容する複数の予備の部品収容体Qを、台車10の通常領域とは異なる予備領域に予め配置する。
【0055】
次いで制御部14は、通常領域に配置されている部品収容体Qから供給される部品を基板6に実装するように部品実装部15を制御する(ST13:通常部品実装工程)。通常領域に配置されている部品収容体Qで部品切れが発生するまで(ST14においてNo)、通常部品実装工程(ST13)が繰り返し実行される。部品切れタイミングが重複すると予測されていた複数の部品収容体Qのいずれかが収容していた部品が無くなる(部品切れが発生する)と(ST14においてYes)、制御部14は、基板6に実装する部品を予備領域に予め配置しておいた部品収容体Qから供給される部品に切り替えるように部品実装部15を制御する(ST15:予備部品実装工程)。
【0056】
すなわち、通常領域において部品切れが発生すると(ST14においてYes)、予備領域の部品と通常領域の部品が基板6に実装される(ST15)。図8(b)では、通常領域の部品供給位置P1から供給されていた部品Aが部品切れとなり(ST14においてYes)、予備領域の部品供給位置P8から部品Aが供給されている(ST15)。
【0057】
図7において、作業者Wによる通常領域の部品収容体Qへの部品補給が完了するまで(ST16においてNo)、予備部品実装工程(ST15)が繰り返し実行される。図8(c)では、予備部品実装工程(ST15)が繰り返し実行される間に、通常領域の部品供給位置P4から供給されていた部品Dと、部品供給位置P6から供給されていた部品Fも部品切れとなり(ST14においてYes)、予備領域の部品供給位置P9から部品Dが、部品供給位置P10から部品Fが供給されている(ST15)。
【0058】
図7において、作業者Wによる通常領域の部品収容体Qへの全ての部品補給が完了すると(ST16においてYes)、予備部品実装工程(ST15)から通常部品実装工程(ST13)に部品実装が変更される。すなわち、予備領域に予め配置しておいた部品収容体Qから供給される部品を基板に実装している間に(ST15)、作業者Wは、部品切れタイミングが重複すると予測されていた複数の部品収容体Qの全てに部品を補給する。補給が完了すると(ST16においてYes)、制御部14は、基板6に実装する部品を補給が完了した部品収容体Qから供給される部品に切り替えるように部品実装部15を制御する(ST13)(図8(d))。
【0059】
図7において、補給が完了した部品収容体Qから供給される部品を基板6に実装するようにした後(ST16においてYes)、作業者Wは、次に部品切れタイミングが重複すると予測される複数の部品収容体Qが収容する部品と同じ種別の部品を収容する複数の部品収容体Qを予備領域に配置する(ST17)。
【0060】
図8(e)において、作業者Wは、次の部品切れイベントI2で部品切れが予測されている部品Bを部品供給位置P8に配置する。すなわち、作業者Wは、部品供給位置P8に装着されているテープフィーダ8から部品Aのキャリアテープを除去し、部品Bのキャリアテープと交換する。さらに、作業者Wは、部品切れイベントI3で部品切れが予測されている部品Eを部品供給位置P9に配置し、部品切れイベントI4で部品切れが予測されている部品Gを部品供給位置P10に配置する。これによって、部品切れによる生産停止を防止しつつ、供給可能な部品の種別数の減少を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の部品収容体の配置決定方法、部品収容体の配置決定装置、部品実装方法ならびに部品実装装置は、部品切れによる生産停止を防止しつつ、供給可能な部品の種別数の減少を抑制することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0062】
3 管理コンピュータ(部品収容体の配置決定装置)
6 基板
10 台車(保持部)
M1~M3 部品実装装置
Q 部品収容体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8