(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144201
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20231003BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 401
B41J2/165 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051059
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 直人
(72)【発明者】
【氏名】樋口 武士
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EA16
2C056EC23
2C056EC53
2C056EE18
2C056FA10
2C056HA03
2C056HA42
2C056JA01
(57)【要約】
【課題】吐出ヘッドを汚染することなく、キャップ部の気泡を消滅させることができる液体吐出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】インクを吐出する第1~第5のヘッド部11~15(吐出ヘッド)を有するヘッドユニット10を備え、第1~第5のヘッド部11~15の吐出口を密閉する第1~第5のキャップ部21~25に形成された気泡を破壊する第1~第5の気泡破壊部材17a~17eが、第1~第5のキャップ部21~25に対向するヘッドユニット10の面に設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出ヘッドを有する吐出部を備え、
前記吐出ヘッドの吐出口を密閉するキャップ部に形成された気泡を破壊する気泡破壊部材が、前記キャップ部に対向する前記吐出部の面に設けられている液体吐出装置。
【請求項2】
前記気泡破壊部材が、前記キャップ部に対向する吐出部の面において、前記吐出ヘッドに隣接して設けられ、
前記吐出部が、前記気泡破壊部材と前記吐出ヘッドの隣接方向について、前記気泡破壊部材と前記キャップ部が対向する位置まで相対的に移動した後、前記気泡破壊部材が前記キャップ部に当接することによって前記キャップ部に形成された気泡を破壊する請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記気泡破壊部材が前記キャップ部に当接することによって前記キャップ部に形成された気泡を破壊した後、前記キャップ部において吸引動作を行う請求項2記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記吐出部が、複数の吐出ヘッドを有し、前記吐出ヘッド間に前記気泡破壊部材が設けられている請求項1から3いずれか1項記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記気泡破壊部材が、複数の突起を有する請求項1から3いずれか1項記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する吐出ヘッドを備えた液体吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙およびフィルムなどの印刷媒体に対して、インクジェットヘッドからインクを吐出して印刷を施すインクジェット印刷装置が提案されている。
【0003】
インクジェット印刷装置では、ヘッドクリーニングやインクの初期導入処理などを行う際、インクジェットヘッドのインク吐出口をキャップ部によってキャップした状態でインク排出を伴うパージが行われる。
【0004】
このパージの際、インクが早い流速でかつ微小なノズル孔を通過して排出されるため、使用するインクの種類および組成によっては微小なノズル孔を通過する影響で、気泡が発生し、その気泡がキャップ部に残留する場合がある。
【0005】
パージの後には、インクジェットヘッドがワイピングユニットまで移動してワイピング処理が行われ、その後、再びキャップ部によってキャップされるが、上述したようにキャップ部に気泡が残留したままでキャップすると、その気泡がインクジェットヘッドのインク吐出面に付着し、再びインクで汚染され、インク吐出不良の原因となる。
【0006】
特許文献1においては、上述したようにキャップ部に残留した気泡を消滅させるため、ワイピング処理が行われた後、インクジェットヘッドのインク吐出面にキャップ部を当接させることによって、すなわちキャップ部における気泡をインク吐出面に接触させることによって気泡を消滅させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のように、キャップ部における気泡をインク吐出面に接触させることによって気泡を消滅させたのでは、インク吐出面が再びインクで汚染され、インク吐出不良の原因となり、上述した問題を解決することができない。
【0009】
本発明は、吐出ヘッドを汚染することなく、キャップ部の気泡を消滅させることができる液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の液体吐出装置は、液体を吐出する吐出ヘッドを有する吐出部を備え、吐出ヘッドの吐出口を密閉するキャップ部に形成された気泡を破壊する気泡破壊部材が、キャップ部に対向する吐出部の面に設けられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液体吐出装置によれば、キャップ部に対向する吐出部の面に気泡破壊部材を設けるようにしたので、吐出ヘッドを汚染することなく、キャップ部の気泡を消滅させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の液体吐出装置の一実施形態を用いたインクジェット印刷装置の概略構成を示す図
【
図2】
図1に示すインクジェット印刷装置を矢印A方向から見た図
【
図5】キャッピングユニットの概略構成を示す斜視図
【
図7】インクジェット印刷装置の制御系の構成を示すブロック図
【
図8】第1~第5のキャップ部に形成された気泡を消滅させる動作を説明するための説明図
【
図9】第1~第5のキャップ部に形成された気泡を消滅させる動作を説明するための説明図
【
図10】第1~第5のキャップ部に形成された気泡を消滅させる動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の液体吐出装置の一実施形態を用いたインクジェット印刷装置について詳細に説明する。本実施形態のインクジェット印刷装置は、本発明の液体吐出装置に相当するヘッドユニットの構成に特徴を有するものであるが、まずは、インクジェット印刷装置全体の構成について説明する。
図1は、本実施形態のインクジェット印刷装置1の概略構成図である。また、
図2は、
図1に示すインクジェット印刷装置1を矢印A方向から見た図である。なお、以下に示す実施形態の説明では、
図1に矢印で示す上下左右前後を、インクジェット印刷装置1における上下左右前後方向とする。
【0014】
本実施形態のインクジェット印刷装置1は、
図1に示すように、基台2と、脚台3と、プラテン4と、レール部5と、ヘッドユニット10と、キャッピングユニット20とを備えている。
【0015】
基台2は、前後方向に延設された柱状部材であって、左右方向に間隔を空けて平行に配置されている。2本の基台2の底面には、それぞれ2つの車輪2aが設けられている。
【0016】
各基台2上には、それぞれ脚台3が立設されている。そして、互いに向かい合う2つの脚台3の上面に、プラテン4が支承されている。
【0017】
プラテン4の前後には、弧状に形成された前方用紙ガイド4aおよび後方用紙ガイド4bが延設されている。また、プラテン4の下部には、
図2に示すように、ファン4dが設置されたバキューム室4cが設けられている。なお、
図1においては、バキューム室4cは図示省略している。
【0018】
バキューム室4cのファン4dが回転することによってバキューム室4c内が負圧となり、プラテン4に形成された吸引孔(図示省略)に吸引力が発生する。プラテン4の吸引孔に発生した吸引力によって、プラテン4上に印刷媒体Pが吸着する。
【0019】
また、プラテン4の後方には、
図2に示すように、駆動ローラ6および加圧ローラ7が対向して設けられている。なお、
図1においては、駆動ローラ6および加圧ローラ7は図示省略している。
【0020】
駆動ローラ6は、プラテン4の延伸方向に延設された長尺状のローラであって、後述する搬送駆動モータ61(
図7参照)によって回転する。
【0021】
加圧ローラ7は、駆動ローラ6と同様に、プラテン4の延伸方向に延設された長尺状のローラであって、図示省略した昇降機構によって昇降可能に支持されている。
【0022】
そして、後方用紙ガイド4b上の印刷媒体Pが、駆動ローラ6と加圧ローラ7によって挟持され、加圧ローラ7によって印刷媒体Pが押圧された状態で駆動ローラ6が回転することによって、印刷媒体Pが前方に送り出される。
【0023】
インクジェット印刷装置1の基台2の前側には、印刷媒体Pを巻き取る芯体8aを着脱可能に保持する巻き取り側芯体保持部8が設けられている。巻き取り側芯体保持部8は、トルクリミッタ(図示省略)を介して巻き取り駆動モータ81(
図7参照)に連係しており、巻き取り駆動モータ81によって巻き取り側芯体保持部8が回転するよう構成されている。
【0024】
また、インクジェット印刷装置1の基台2の後ろ側には、印刷媒体Pがロール状に巻かれたロール紙の芯体9aを着脱可能に保持する供給側芯体保持部9が設けられている。供給側芯体保持部9は、トルクリミッタ(図示省略)を介して供給駆動モータ91(
図7参照)に連係しており、供給駆動モータ91によって供給側芯体保持部9が回転するよう構成されている。
【0025】
そして、
図2に示すように、供給側芯体保持部9に保持されたロール紙(印刷媒体P)が引き出され、後方用紙ガイド4b、駆動ローラ6と加圧ローラ7との間、プラテン4上、前方用紙ガイド4aを経由して、巻き取り側芯体保持部8に保持された芯体8aに巻き取られるように構成されている。
【0026】
2つの脚台3の上部には、図示省略した支持部材を介してレール部5が架設されている。レール部5は、左右方向に延設されたレール(図示省略)とレール上においてヘッドユニット10を左右方向に往復移動させる主走査駆動モータ54(
図7参照)を備えている。
【0027】
また、レール部5の一方の端部の前側下方には、キャッピングユニット20が、図示省略した支持手段により脚台3に対して固定配置されている。ヘッドユニット10が、キャッピングユニット20上に移動することによって、キャッピングユニット20によるキャッピングが行われる。
【0028】
図3Aおよび
図3Bは、ヘッドユニット10の概略構成を示す図であり、
図3Aは、ヘッドユニット10を前側から見た図であり、
図3Bは、ヘッドユニット10を下側から見た図である。
【0029】
図3Aおよび
図3Bに示すように、本実施形態のヘッドユニット10は、第1のヘッド11~第5のヘッド15までの5つのヘッドが設けられている。第2のヘッド12、第3のヘッド13および第4のヘッド14は、それぞれ異なる色のインクを吐出する複数のノズルを有するインクジェットヘッドであり、たとえばC(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)のインクを吐出する。
【0030】
第5のヘッド15は、第2のヘッド12~第4のヘッド14と同様の構成であるが、吐出する液体がインクではなく、前処理液を吐出する。前処理液とは、印刷媒体Pに対してインクを吐出して印刷処理を行う前に、前処理のための塗布される液体である。前処理液としては、たとえばインクの発色性や均一塗布性を向上させるための液体が用いられるが、既に公知な前処理液を用いることができる。
【0031】
第1のヘッド11は、第2~第4のヘッド12~14と同様にインクを吐出するインクジェットヘッドである。たとえば黒の下地の上に模様を印刷する場合に、下地の黒色が透けないように第1のヘッド11は、黒の下地の上に白のインクを吐出する。
【0032】
第1~第5のヘッド11~15は、ヘッドユニット10の移動方向(左右方向)に並べて配列されるものであるが、
図3Bに示すように、第1のヘッド11と第2~第4のヘッド12~14はスタガ配列され、また、第5のヘッド15と第2~第4のヘッド12~14もスタガ配列される。
【0033】
すなわち、第2~第4のヘッド12~14と、第1および第5のヘッド11,15は、ヘッドユニット10の移動方向に直交する方向(前後方向)について異なる位置に配置されている。そして、第1のヘッド11と第5のヘッド15が、ヘッドユニット10の移動方向に直交する方向(前後方向)について同じ位置に配置されている。また、第2~第4のヘッド12~14が、ヘッドユニット10の移動方向に直交する方向(前後方向)について同じ位置に配置されている。
【0034】
第1~第5のヘッド11~15は、ヘッドホルダ10aに設置される。ヘッドホルダ10aの下側の面10bには、第1~第5のヘッド11~15が設置される貫通孔が形成されている。そして、
図3Aに示すように、第1~第5のヘッド11~15は、ヘッドホルダ10aの下側の面10bに形成された貫通孔内を通して設置され、第1~第5のヘッド11~15の吐出面が、ヘッドホルダ10aから露出するように設置される。第1~第5のヘッド11~15の吐出面とは、インクまたは前処理液を吐出するノズルの吐出口が配列された面である。
【0035】
また、ヘッドホルダ10aのキャッピングユニット20に対向する下側の面10bには、第1~第5の気泡破壊部材17a~17eが設けられている。第1~第5の気泡破壊部材17a~17eは、キャッピングユニット20の第1~第5のキャップ部21~25に形成された気泡を物理的に破壊する部材である。
【0036】
第1~第5の気泡破壊部材17a~17eは、
図3Bに示すように、第1~第5のヘッド11~15に対してそれぞれ設けられるものであり、第1~第5のヘッド11~15に隣接して設けられる。
【0037】
また、第1の気泡破壊部材17aは、第1のヘッド11の右側に隣接して設けられ、第2の気泡破壊部材17bは、左右方向について、第1のヘッド11と第2のヘッド12との間に設けられ、第3の気泡破壊部材17cは、左右方向について、第2のヘッド12と第3のヘッド13との間に設けられ、第4の気泡破壊部材15dは、左右方向について、第3のヘッド13と第4のヘッド14との間に設けられ、第5の気泡破壊部材17eは、左右方向について、第4のヘッド14と第5のヘッド15との間に設けられる。
【0038】
第1~第5の気泡破壊部材17a~17eは、前後方向に延設されるものであり、第1~第5のキャップ部21~25と同じ長さを有する。
図4Aは、第1の気泡破壊部材17aを前側から見た図であり、
図4Bは、
図4Aに示す第1の気泡破壊部材17aを右側から見た図である。
図4Aおよび
図4Bに示すように、第1の気泡破壊部材17aは多数の針状の突起18を有し、この突起18を第1のキャップ部21に形成された気泡に突き刺すことによって、気泡を破壊して消滅させる。このように、第1の気泡破壊部材17aの針状の突起18によって気泡を破壊することによって、気泡の破壊による汚れが第1の気泡破壊部材17aに残留し難くすることができる。
【0039】
なお、本実施形態では、上述したように第1の気泡破壊部材17aが針状の突起18を有するものとしたが、これに限らず、気泡を破壊できる構造であれば如何なる構造でもよい。また、第2の気泡破壊部材17b~第5の気泡破壊部材17eについても、
図4Aおよび
図4Bに示す第1の気泡破壊部材17aと同様の構造である。
【0040】
第1~第5の気泡破壊部材17a~17eによって第1~第5のキャップ部21~25に形成された気泡を破壊する動作については、後で詳述する。
【0041】
次に、本実施形態のキャッピングユニット20について説明する。
図5Aは、キャッピングユニット20を上方から見た図であり、
図5Bは、
図5Aに示すキャッピングユニット20を右側から見た図である。
【0042】
キャッピングユニット20は、インクジェット印刷装置1が印刷処理を行わない待機中において、第1~第5のヘッド11~15の吐出面(吐出口)の乾燥を防ぐため、第1~第5のヘッド11~15の吐出面(吐出口)を密閉する。また、キャッピングユニット20は、ヘッドユニット10においてパージを行う際に、第1~第5のヘッド11~15の吐出面(吐出口)を密閉する。
【0043】
キャッピングユニット20は、具体的には、第1~第5のキャップ部21~25を備えている。第1~第5のキャップ部21~25は、それぞれ第1~第5のヘッド11~15に対応するキャップ部である。
【0044】
図6は、第1のキャップ部21の構成を示す上面図であるが、第2~第5のキャップ部22~25についても、その構成および機能は第1のキャップ部21と同様である。
【0045】
第1のキャップ部21は、
図6に示すように、キャッピング部材21aを備えている。キャッピング部材21aは、底部21bと、底部21bの周縁に立設された周壁21cとを備えている。底部21bには、2つの排出孔21dが形成されている。
【0046】
キャッピング部材21aの前後方向の長さは、第1のヘッド11の前後方向の長さと同等の長さである。そして、キャッピング部材21aの周壁21cは、たとえばゴムなどの樹脂から形成されており、第1のヘッド11に当接して密着することによって、第1のヘッド11の吐出面を密閉する。
【0047】
また、第1のヘッド11のパージが行われた場合には、第1のヘッド11から吐出された液体が、キャッピング部材21aによって受け付けられ、底部21bに形成された排出孔21dから排出される。
【0048】
そして、キャッピングユニット20の筐体20a内には排出経路(図示省略)および吸引ポンプ(図示省略)などが設けられており、第1~第5のキャップ部21~25に排出されたインクまたは前処理液が、吸引ポンプによって吸引され、排出経路を経由して図示省略した廃液タンクに排出される。
【0049】
次に、
図7は、本実施形態のインクジェット印刷装置1の制御系の構成を示すブロック図である。インクジェット印刷装置1は、印刷制御装置16からの制御信号に応じて、
図7に示す制御対象の各部を動作させる。
【0050】
印刷制御装置16とインクジェット印刷装置1とは、USB(Universal Serial Bus)で接続されている。ただし、LAN(Local Area Network)またはインターネット回線などの通信回線によって接続されていてもよい。
【0051】
印刷制御装置16は、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリおよびハードディスクなどを備えたコンピュータから構成される。印刷制御装置16は、入力された印刷ジョブなどに基づいて、半導体メモリまたはハードディスクなどの記憶媒体に予め記憶された印刷制御プログラムを実行し、かつ電気回路を動作させることによって
図7に示す各部を制御する。
【0052】
次に、本実施形態のインクジェット印刷装置1において、パージを行った後に、第1~第5のキャップ部21~25に形成された気泡を消滅させる動作について、
図8および
図9の説明図並びに
図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0053】
まず、ヘッドユニット10に向けてキャッピングユニット20が上昇し、
図8Aに示すように、第1~第5のキャップ部21~25が第1~第5のヘッド11~15に当接してキャッピングされる(S10)。
【0054】
次いで、第1~第5のヘッド11~15においてパージが行われるとともに、吸引ポンプ(図示省略)が動作し、第1~第5のキャップ部21~25の排出孔21dを介してインク吸引処理が行われる(S12)。
【0055】
そして、インク吸引処理の後、キャッピングユニット20が下降し、
図8Bに示すように、第1~第5のキャップ部21~25が、第1~第5のヘッド部11~15から離間した状態(キャップオープン)となる(S14)。
【0056】
そして、再度、吸引ポンプ(図示省略)が動作し、第1~第5のキャップ部21~25の排出孔21dを介してインク排出処理が行われる(S16)。
【0057】
次に、キャップオープンの状態でヘッドユニット10が左方向に所定の距離だけ移動し(S18)、
図9Aに示すように、第1~第5のキャップ部21~25に対向する位置に第1~第5の気泡破壊部材17a~17eが配置される。
【0058】
そして、キャッピングユニット20がヘッドユニット10に向けて再び上昇し、
図9Bに示すように第1~第5のキャップ部21~25と第1~第5の気泡破壊部材17a~17eが当接し、これにより第1~第5のキャップ部21~25に形成された気泡が破壊されて消滅する(S20)。なお、このとき第1~第5の気泡破壊部材17a~17eの針状の突起18が、第1~第5のキャップ部21~25のキャッピング部材21a内に侵入することにより、気泡が破壊される。
【0059】
上述したようにヘッドユニット10の下側の面10bに設けられた第1~第5の気泡破壊部材17a~17eによって第1~第5のキャップ部21~25に形成された気泡を破壊するようにしたので、第1~第5のヘッド部11~15を汚染することなく、第1~第5のキャップ部21~25の気泡を消滅させることができる。
【0060】
また、第1~第5の気泡破壊部材17a~17eを第1~第5のヘッド部11~15に隣接して設け、ヘッドユニット10を移動させた後、第1~第5の気泡破壊部材17a~17eを第1~第5のキャップ部21~25に当接させることによって気泡を破壊するようにしたので、効率良く気泡を消滅させることができる。
【0061】
また、第1~第5のヘッド部11~15の間に第1~第5の気泡破壊部材17b~17eをそれぞれ設けるようにしたので、気泡を消滅させる際のヘッドユニット10の移動距離を短くすることができるので、ヘッドユニット10の移動時間を短くすることができる。
【0062】
そして、
図9Bに示す状態で、再度、吸引ポンプ(図示省略)が動作し、第1~第5のキャップ部21~25の排出孔21dを介してインク排出処理が行われる(S22)。このインク排出処理によって、第1~第5の気泡破壊部材17a~17eに付着したインクを除去することができる。
【0063】
続いて、キャッピングユニット20が下降し、第1~第5のキャップ部21~25が第1~第5のヘッド部11~15から離間した状態(キャップオープン)となる(S24)。
【0064】
そして、ヘッドユニット10が、図示省略したワイピングユニットの位置まで移動し、ワイピングユニットによって第1~第5のヘッド部11~15がワイピングされる(S26)。
【0065】
続いて、ヘッドユニット10が、再びキャッピングユニット20の上方の位置まで移動し(S28)、第1~第5のキャップ部21~25に対向する位置に第1~第5のヘッド11~15が配置される。
【0066】
そして、キャッピングユニット20がヘッドユニット10に向けて再び上昇し、
図8Aに示すように、第1~第5のキャップ部21~25が第1~第5のヘッド11~15に当接してキャッピングされる(キャップクローズ)(S30)。
【0067】
そして、印刷制御装置16において、ユーザによって印刷開始指示が入力された場合には、インクジェット印刷装置1は、キャッピングユニット20によるヘッドユニット10のキャッピングを解放し、印刷処理を開始する。印刷処理時のインクジェット印刷装置1の動作については、後で詳述する。
【0068】
そして、印刷処理が終了した後、インクジェット印刷装置1は、ヘッドユニット10をキャッピングユニット20の真上まで移動させ、キャッピングを行う。
【0069】
次に、本実施形態のインクジェット印刷装置1における印刷処理時の動作について説明する。なお、ここでは、第1のヘッド11は使用せず、第5のヘッド15から前処理液を吐出させて印刷媒体Pに塗布し、その後、第2~第4のヘッド12~14からインクを吐出させて前処理液が塗布された印刷媒体Pに印刷処理を施す場合について説明する。
【0070】
まず、
図2に示すように、供給側芯体保持部9にロール紙が設置され、そのロール紙(印刷用紙P)が引き出され、後方用紙ガイド4b、駆動ローラ6と加圧ローラ7との間、プラテン4上、前方用紙ガイド4aを経由して、巻き取り側芯体保持部8に保持された芯体8aに巻き付けられる。
【0071】
そして、印刷制御装置16は、供給側芯体保持部9、巻き取り側芯体保持部8および駆動ローラ6を回転させることによって、印刷用紙Pを送り出し、印刷初期位置まで到達した時点で印刷用紙Pの送り出しを一旦停止する。
【0072】
次に、印刷制御装置16は、主走査駆動モータ54を動作させ、レール部5上においてヘッドユニット10を第1の方向(左右方向のいずれかの方向)に移動させる。そして、印刷制御装置16は、ヘッドユニット10の移動とともに、ヘッドユニット10の第5のヘッド15を動作させ、第1の走査ラインに前処理液を塗布する。なお、最初の第1の走査ラインの走査の際には、第2~第4のヘッド12~14からのインク吐出は行わない。
【0073】
次いで、印刷制御装置16は、第2~第4のヘッド12~14の直下に、前処理液を塗布した第1の走査ラインが配置されるように、印刷媒体Pを1走査ライン分だけ送り出す。
【0074】
そして、印刷制御装置16は、レール部5上においてヘッドユニット10を第1の方向とは逆の第2の方向に移動させ、その移動とともに、第2~第4のヘッド12~14からインクを吐出させ、第1の走査ラインに印刷を施す。また、印刷制御装置16は、第1の走査ラインに印刷を施すとともに、第5のヘッド15を動作させ、第1の走査ラインの次の第2の走査ラインに前処理液を塗布する。
【0075】
続いて、印刷制御装置16は、印刷媒体Pを1走査ライン分だけ送り出し、第2~第4のヘッド12~14の直下に第2の走査ラインを配置し、第5のヘッド15の直下に、第2の走査ラインの次の第3の走査ラインを配置させる。
【0076】
そして、印刷制御装置16は、レール部5上においてヘッドユニット10を第1の方向に移動させ、その移動とともに、第2~第4のヘッド12~14および第5のヘッド15を動作させることによって、第3の走査ラインに前処理液を塗布するとともに、第2の走査ラインに印刷を施す。
【0077】
以後、印刷制御装置16は、上記と同様に、1走査ライン分の印刷媒体Pの送り出しと、レール部5上におけるヘッドユニット10の第1の方向または第2の方向への移動とを交互に繰り返しながら、第n+1の走査ラインへの前処理液の塗布と第nの走査ラインへの印刷を順次行う。
【0078】
なお、上記説明では、第1のヘッド11を使用せず、第5のヘッド15によって前処理液を塗布する場合の動作について説明したが、第5のヘッド15を使用せず、第1のヘッド11を使用して下地を印刷するようにしてもよい。この場合の第1のヘッド11からのインク吐出タイミングについては、上述した説明における第5のヘッド15の吐出タイミングと同様である。
【0079】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。たとえば実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【0080】
本発明に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記)
【0081】
本発明の液体吐出装置において、気泡破壊部材は、キャップ部に対向する吐出部の面において、吐出ヘッドに隣接して設けられ、吐出部は、気泡破壊部材と吐出ヘッドの隣接方向について、気泡破壊部材とキャップ部が対向する位置まで相対的に移動した後、気泡破壊部材がキャップ部に当接することによってキャップ部に形成された気泡を破壊することができる。
【0082】
本発明の液体吐出装置において、気泡破壊部材がキャップ部に当接することによってキャップ部に形成された気泡を破壊した後、キャップ部において吸引動作を行うことができる。
【0083】
また、本発明の液体吐出装置において、吐出部は、複数の吐出ヘッドを有し、吐出ヘッド間に気泡破壊部材を設けることができる。
【0084】
また、本発明の液体吐出装置において、気泡破壊部材は、複数の突起を有することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 インクジェット印刷装置
2 基台
2a 車輪
3 脚台
4 プラテン
4a 前方用紙ガイド
4b 後方用紙ガイド
4c バキューム室
4d ファン
5 レール部
6 駆動ローラ
7 加圧ローラ
8 巻き取り側芯体保持部
8a 芯体
9 供給側芯体保持部
9a 芯体
10 ヘッドユニット
10a ヘッドホルダ
10b 下側の面
11~15 第1~第5のヘッド
16 印刷制御装置
17a 第1の気泡破壊部材
17b 第2の気泡破壊部材
17c 第3の気泡破壊部材
17d 第4の気泡破壊部材
17e 第5の気泡破壊部材
18 突起
20 キャッピングユニット
20a 筐体
21~25 第1~第5のキャップ部
21a キャッピング部材
21b 底部
21c 周壁
21d 排出孔
54 主走査駆動モータ
61 搬送駆動モータ
81 巻き取り駆動モータ
91 供給駆動モータ
P 印刷媒体