(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144249
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ドラム
(51)【国際特許分類】
B65H 75/18 20060101AFI20231003BHJP
B65H 75/14 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B65H75/18 Z
B65H75/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051146
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 由祐
【テーマコード(参考)】
3F058
【Fターム(参考)】
3F058AA06
3F058AB03
3F058AC07
3F058BB13
3F058CA06
3F058DA05
3F058DB03
3F058DB05
3F058DC01
3F058DC09
3F058LA00
3F058MA02
(57)【要約】
【課題】線状部材を安定して保持することができるドラムを提供する。
【解決手段】ドラム1が、外周に線状部材が巻回される軸状に形成された胴体3と、胴体3の軸方向両側に胴体3と一体に設けられ、円盤状に形成された一対の鍔部5,5と、鍔部5が一方の方向へ向けて回転したときに、警告を発する警告部9とを備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に線状部材が巻回される軸状に形成された胴体と、
前記胴体の軸方向両側に前記胴体と一体に設けられ、円盤状に形成された一対の鍔部と、
前記鍔部が一方の方向へ向けて回転したときに、警告を発する警告部と、
を備えるドラム。
【請求項2】
前記警告部は、前記鍔部が一方の方向へ向けて回転したときに、警告音を発する請求項1に記載のドラム。
【請求項3】
前記一対の鍔部の間には、補強部材が配置され、
前記警告部は、前記補強部材に設けられている請求項1又は2に記載のドラム。
【請求項4】
前記補強部材は、前記一対の鍔部に対して着脱可能に設けられ、前記一対の鍔部から離脱した状態で、前記鍔部の外周面と係合して前記鍔部の回転を防止するストッパである請求項3に記載のドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドラムとしては、外周に線状部材が巻回される軸状に形成された胴体としての巻胴部と、巻胴部の軸方向両側に巻胴部と一体に設けられ、円盤状に形成された一対の鍔部とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。このようなドラムは、例えば、巻胴部に線状部材が巻き付けられた状態で、ドラムを搬送するときに、一対の鍔部を回転することによって搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のようなドラムは、胴体に対する線状部材の巻き付け方向に回転すれば、胴体に対する線状部材の巻き付けが弛むことがない。しかしながら、ドラムは、胴体からの線状部材の引き出し方向に回転すると、胴体に対する線状部材の巻き付けが弛んでしまう。
【0005】
このため、ドラムには、一方の方向への回転を防止するために、例えば、他方の方向への回転を示す矢印などが表示されている。しかしながら、複数のドラムが配置されて表示が確認できない場合や作業者が回転方向を気にしない場合などでは、ドラムが一方の方向へ回転してしまう可能性があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、線状部材を安定して保持することができるドラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係るドラムは、外周に線状部材が巻回される軸状に形成された胴体と、前記胴体の軸方向両側に前記胴体と一体に設けられ、円盤状に形成された一対の鍔部と、前記鍔部が一方の方向へ向けて回転したときに、警告を発する警告部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、線状部材を安定して保持することができるドラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】本実施形態に係るドラムの補強部材を取り外したときの正面図である。
【
図3】本実施形態に係るドラムの鍔部の正面図である。
【
図4】本実施形態に係るドラムの補強部材の本体部から伸縮部を伸ばしたときの側面図である。
【
図5】本実施形態に係るドラムの補強部材の本体部に伸縮部を収容したときの側面図である。
【
図6】本実施形態に係るドラムの補強部材と警告部の側面図である。
【
図7】本実施形態に係るドラムの締結部材を締結するときの補強部材と警告部の正面図である。
【
図8】本実施形態に係るドラムの締結部材を締結したときの補強部材と警告部の正面図である。
【
図9】本実施形態に係るドラムの補強部材を取り付けるときの正面図である。
【
図10】本実施形態に係るドラムの補強部材を取り付けたときの正面図である。
【
図11】本実施形態に係るドラムの補強部材をストッパとして機能させたときの正面図である。
【
図12】本実施形態に係るドラムの補強部材を鍔部に保持したときの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係るドラムについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
図1~
図12に示すように、本実施形態に係るドラム1は、例えば、ケーブルなどの長尺で重量のある線状部材(不図示)を搬送するために用いられる。ドラム1は、線状部材が巻き付けられた状態で搬送される。ドラム1は、胴体3と、一対の鍔部5,5と、補強部材7と、警告部9とを備えている。
【0012】
胴体3は、例えば、木材からなる。胴体3は、長さが等しい複数枚の板材を周方向に重ね合わせて、中空の円柱状に形成されている。なお、胴体3は、木材に限らず、金属材料などで形成してもよい。また、胴体3は、複数枚の板材を重ねて形成せずに、1本の木材を中実の円柱状に形成してもよく、軸状であれば、形状も円柱状に限るものではない。このような胴体3の外周面には、線状部材が複数巻回されて巻き付けられる。
【0013】
一対の鍔部5,5は、胴体3の軸方向両側に配置され、それぞれ胴体3と一体に設けられている。一対の鍔部5,5は、それぞれ本体13と、補強部15とを備えている。なお、一対の鍔部5,5は、対称形状に形成されており、以下では、一方の鍔部5について説明し、他方の鍔部5については説明を省略する。
【0014】
本体13は、例えば、木材からなる。本体13は、長さが異なる複数枚の板材を平面方向に重ね合わせて、外形が円形となるように円盤状に形成されている。本体13の外径は、胴体3の外径より大きく設定されている。なお、本体13は、木材に限らず、金属材料などで形成してもよい。また、本体13は、複数枚の板材を重ねて形成せずに、一枚の木材を円盤状に形成してもよい。
【0015】
本体13の中心には、本体13の内面17と外面19とにわたって貫通する円形の固定孔21が形成されている。なお、固定孔21は、本体13を貫通せずに形成してもよい。固定孔21の内径は、胴体3の外径と同等、或いは僅かに小さく設定されている。固定孔21には、胴体3の軸方向の端部が挿入され、例えば、ボルト、釘、接着剤、圧入などの固定手段(不図示)によって胴体3が固定される。固定孔21に胴体3を固定することにより、胴体3が一対の鍔部5,5と一体的に回転する。
【0016】
本体13の固定孔21の周方向の一部には、固定孔21に連通され、本体13の内面17と外面19とにわたって貫通する巻き始め口23が形成されている。なお、巻き始め口23は、胴体3と近い位置に配置されていればよく、固定孔21と連通させなくてもよい。巻き始め口23には、線状部材の一端が挿通されて固定される。巻き始め口23に固定された線状部材は、巻き取り装置(不図示)などによってドラム1が回転することにより、胴体3の外周に巻き付けられる。
【0017】
本体13の外周面25側には、本体13の内面17と外面19とにわたって貫通する円形の取付孔27が複数(ここでは4つ)形成されている。なお、取付孔27は、本体13を貫通せずに形成してもよい。また、取付孔27は、円形状に限らず、多角形状に形成してもよい。複数の取付孔27は、本体13の周方向に等間隔に配置されている。
【0018】
補強部15は、例えば、金属材料などの高い剛性を有する材料からなる。補強部15は、本体13の外径と同等の外径を有する円形の環状に形成されている。補強部15は、少なくとも本体13の複数の取付孔27が位置する部分に配置され、取付孔27の外面19側の開口を閉塞する。なお、補強部15は、本体13の外面19の全体を覆う円盤状、或いは本体13の外面19の全体と本体13の外周面25を覆うフランジ付きの円盤状に形成してもよい。
【0019】
補強部15は、例えば、ボルト、釘、接着剤などの固定手段(不図示)によって本体13の外面19に固定される。補強部15を本体13と一体に設けることにより、例えば、ドラム1を搬送するときに、本体13に生じる歪みを抑制することができる。また、補強部15は、本体13の取付孔27が位置する部分に配置されている。補強部15を取付孔27に配置することにより、取付孔27に取り付けられる補強部材7からの圧力を安定して受けることができ、取付孔27に補強部材7を安定して固定することができる。
【0020】
このような一対の鍔部5,5は、胴体3に線状部材を巻き付けるときに、胴体3からの線状部材の脱落を防止し、胴体3に対する線状部材の巻き付けをガイドする。また、一対の鍔部5,5は、例えば、ドラム1を搬送するときに、外周面25が載置面29上を転がることにより回転される。
【0021】
補強部材7は、一対の鍔部5,5の間において、鍔部5の外周面25側に複数(ここでは4つ)配置されている。補強部材7は、本体部31と、伸縮部33と、保持部35と、締結部材37とを備えている。
【0022】
本体部31は、例えば、金属材料などの高い剛性を有する材料からなる。本体部31は、長さ方向の一側が閉塞され、長さ方向の他側が開口された有底の筒状に形成されている。本体部31の断面形状は、鍔部5の取付孔27に挿入可能な多角形状(ここでは三角形状)に形成されている。本体部31の開口側には、本体部31の内面と外面とにわたって貫通する本体締結穴39が形成されている。本体締結穴39の内周面は、ねじ形状となっている。
【0023】
伸縮部33は、例えば、本体部31と同様に、金属材料などの高い剛性を有する材料からなる。伸縮部33は、長さ方向の一側が閉塞され、長さ方向の他側が開口された有底の筒状に形成されている。伸縮部33の断面形状は、本体部31の内部に挿入可能な多角形状(ここでは三角形状)に形成されている。伸縮部33の長さは、伸縮部33が本体部31の内部に収容された状態で、閉塞側が本体部31の開口から所定の長さ露出する長さに設定されている。伸縮部33は、開口側が本体部31の開口から本体部31の内部に挿入され、本体部31に対して伸縮可能に配置される。伸縮部33の閉塞側には、伸縮部33が本体部31に収容された状態で、本体締結穴39と一致する位置に、伸縮部33の内面と外面とわたって貫通する伸縮締結穴41が形成されている。伸縮締結穴41の内周面は、ねじ形状となっている。なお、伸縮締結穴41の内周面は、ねじ形状としなくてもよい。
【0024】
保持部35は、例えば、マグネットシートなどの磁力を有する材料からなる。保持部35は、本体部31の長さより短い長方形状に形成されている。保持部35は、本体部31が有する複数の外面(ここでは3面)のうち少なくとも1面に貼り付けられて配置されている。保持部35は、補強部材7が一対の鍔部5,5の間から取り外された状態で、鍔部5の補強部15に対して磁力によって張り付き、鍔部5に対して補強部材7を保持する。
【0025】
締結部材37は、例えば、蝶ボルトのように、作業者が手で締結可能なボルトからなる。締結部材37は、本体部31から伸縮部33が伸ばされた状態で、本体部31の本体締結穴39に締結されることにより、伸縮部33の外面を押圧し、本体部31に対して伸縮部33が伸ばされた状態を保持する。締結部材37は、本体部31に伸縮部33が収容された状態で、本体部31の本体締結穴39に締結されることにより、伸縮部33の伸縮締結穴41に挿入され、本体部31に対して伸縮部33が収容された状態を保持する。なお、締結部材37は、本体部31の本体締結穴39に常に締結した状態で保持していてもよく、必要時以外は、本体部31の本体締結穴39から取り外していてもよい。
【0026】
このような補強部材7は、一対の鍔部5,5の間に配置された状態で、一対の鍔部5,5を補強する補強部材としての機能を有する。また、補強部材7は、一対の鍔部5,5の間から取り外された状態で、ドラム1の転がりを防止するストッパとしての機能を有する。
【0027】
図9,
図10に示すように、補強部材7を補強部材として機能させる場合には、まず、伸縮部33が本体部31に収容された状態で、本体部31の閉塞側を、一方の鍔部5の取付孔27に挿入する。次に、本体部31から伸縮部33を伸ばし、伸縮部33の閉塞側を、他方の鍔部5の取付孔27に挿入する。そして、本体部31と伸縮部33とを一対の鍔部5,5の取付孔27,27内の補強部15,15に押し当てながら、締結部材37を締結して伸縮部33が伸ばされた状態を保持し、一対の鍔部5,5の間に補強部材7を取り付ける。なお、他の補強部材7も、同様に、一対の鍔部5,5の間に取り付けられる。また、複数の補強部材7を、鍔部5の周方向において、本体部31と伸縮部33の向きが交互に異なるように配置してもよい。
【0028】
ここで、補強部材7は、本体部31と伸縮部33とが同じ外形形状となっているが、その大きさが異なる。取付孔27の内径を、本体部31の頂点と取付孔27の内面とが当接するように設定していれば、本体部31が取付孔27内でガタつくことがない。しかしながら、伸縮部33は、補強部15に対する押し付け力が不十分であると、取付孔27内でガタつくことがある。伸縮部33のガタつきを防止するために、補強部15に対する押し付け力を強くし過ぎると、補強部材7が変形してしまう可能性がある。
【0029】
複数の補強部材7が3つ以下であると、一対の鍔部5,5の周方向において、補強する箇所の範囲が広く、十分な補強強度を得ることができない。このため、3つ以下の補強部材7を、一対の鍔部5,5に強固に固定しようとして、補強部材7が変形する可能性がある。補強部材7が5つ以上であると、一対の鍔部5,5に対する補強部材7の取付作業工数が増加してしまう。このため、複数の補強部材7は、4つとすることが好ましい。
【0030】
図11に示すように、補強部材7をストッパとして機能させる場合には、まず、伸縮部33を本体部31に収容し、締結部材37を締結して伸縮部33が収容された状態を保持する。そして、本体部31の外面が鍔部5の外周面25と載置面29とに当接するように、補強部材7を配置する。
【0031】
なお、複数の補強部材7が4つ以上ある場合には、4つの補強部材7を、一対の鍔部5,5の回転方向の各箇所に配置すればよい。このため、複数の補強部材7は、ストッパとして機能させることを考慮すると、4つとすることが好ましい。なお、複数の補強部材7が3つ以下である場合には、少なくとも2つの補強部材7を、一方の鍔部5の一方の回転方向に配置し、他方の鍔部5の他方の回転方向に配置すればよい。
【0032】
図12に示すように、補強部材7は、一対の鍔部5,5の間から取り外し、ストッパとして機能させない場合、保持部35を介して鍔部5の外面に位置する補強部15に保持される。補強部材7を鍔部5に保持することにより、鍔部5と補強部材7とを1つの部材として取り扱うことができる。このため、ストッパとして機能する補強部材7を、保管場所まで取りに行く必要がなく、補強部材7の管理性を向上することができる。なお、鍔部5に対する補強部材7の保持は、複数の補強部材7を、一対の鍔部5,5にそれぞれ保持させてもよい。また、鍔部5における複数の補強部材7の配置位置も、
図12に示すものに限らず、複数の補強部材7を鍔部5にどのように配置してもよい。
【0033】
なお、補強部材7の保持部35は、磁力を有する部材となっているが、これに限るものではない。例えば、鍔部5の外面に、補強部材7と係合する係合部を設ける。係合部に対して、一対の鍔部5,5の間から取り外した補強部材7を係合させれば、鍔部5に補強部材7を保持することができる。この場合には、鍔部5に補強部15のような金属製の部分を設ける必要はない。
【0034】
このようなドラム1は、胴体3の外周に線状部材が巻き付けられた状態で、例えば、ドラム1を搬送するときに、一対の鍔部5,5の外周面25が載置面29を転がり回転される。このとき、ドラム1が胴体3に対する線状部材の巻き付け方向に回転すれば、胴体3に対する線状部材の巻き付けが弛むことがない。一方、ドラム1が胴体3からの線状部材の引き出し方向に回転すると、胴体3に対する線状部材の巻き付けが弛んでしまう。加えて、巻き始め口23から線状部材が突き出してしまい、ドラム1からの線状部材の引き出しが困難となり、不要な箇所で線状部材を切断しなければならない可能性があった。
【0035】
従来のドラムでは、線状部材の巻き付けが弛む方向である一方の方向への回転を防止するために、例えば、鍔部5の外面に、線状部材の巻き付けが弛まない方向である他方の方向への回転を示す矢印などが表示されている。しかしながら、複数のドラムが並列に配置されている場合には、隣り合うドラムに表示が隠されてしまい、回転方向を確認することができない。このため、作業者がドラムの回転方向に気付かず、ドラムを一方の方向へ向けて回転させてしまう可能性があった。加えて、作業者がドラムの回転方向を気にしない場合では、ドラムが一方の方向へ回転してしまう可能性があった。そこで、ドラム1には、ドラム1(鍔部5)が一方の方向へ向けて回転したときに、警告を発する警告部9が設けられている。
【0036】
警告部9は、複数の補強部材7のうち少なくとも1つの補強部材7の伸縮部33に設けられている。警告部9は、電源43と、スイッチ45と、ロータリエンコーダ47と、スピーカ49と、制御部51とを備えている。
【0037】
電源43は、例えば、太陽電池からなる。電源43は、制御部51と電気的に接続されている。電源43を太陽電池とすることにより、充電などを必要とすることがなく、長期的に使用することができる。電源43は、伸縮部33の複数の外面(ここでは3面)のうち伸縮締結穴41が設けられた外面に配置されている。なお、電源43は、伸縮部33の他の外面に配置してもよい。
【0038】
電源43は、伸縮部33の長さ方向において、伸縮締結穴41より本体部31側に配置されている。このため、補強部材7がストッパとして機能するために、伸縮部33が本体部31に収容された状態では、電源43が本体部31から露出することがない。一方、補強部材7が補強部材として機能するために、伸縮部33が本体部31から伸ばされた状態では、電源43が本体部31から露出された状態となる。なお、電源43は、補強部材7が一対の鍔部5,5の間に取り付けられた状態で、取付孔27から露出する位置に配置されている。
【0039】
スイッチ45は、例えば、押し込むことで電流が流れ、離すと電流を遮断する構造を有するタクタイルスイッチからなる。スイッチ45は、制御部51と電気的に接続されている。スイッチ45は、伸縮部33の複数の外面(ここでは3面)のうち伸縮締結穴41が設けられた外面に配置されている。スイッチ45は、伸縮部33の長さ方向において、伸縮部33の開口側に配置され、所定の長さ延出されている。
【0040】
スイッチ45は、伸縮部33の外面の幅方向において、本体部31の本体締結穴39と一致する位置に配置されている。このため、補強部材7が補強部材として機能するために、伸縮部33が本体部31から伸ばされた状態では、スイッチ45と本体締結穴39とが重なり合って配置される。なお、スイッチ45の長さは、複数のドラム1において、一対の鍔部5,5の間の距離に差がある場合でも、スイッチ45と本体締結穴39とが重なり合うように、ある程度長くすることが好ましい。スイッチ45は、本体締結穴39に締結部材37が締結されることにより、電源43からの電力の供給を許可する。
【0041】
ロータリエンコーダ47は、入力軸53の回転角度を計測するセンサからなる。ロータリエンコーダ47は、制御部51と電気的に接続されている。ロータリエンコーダ47は、伸縮部の内部にボルトなどの固定手段(不図示)を介して取り付けられる取付部材55に搭載されている。取付部材55に搭載されたロータリエンコーダ47は、伸縮部33の開口から内部に挿入され、取付部材55を伸縮部33に固定することにより、伸縮部33の内部に配置される。なお、伸縮部33を、例えば、3枚の金属板を溶接などによって接合して形成する構造とし、1枚の金属板にロータリエンコーダ47を搭載してもよい。しかしながら、補強部材7は、ストッパとして機能するので、ある程度の剛性が必要であるため、伸縮部33を1枚の金属板で形成し、取付部材55にロータリエンコーダ47を搭載することが好ましい。
【0042】
ロータリエンコーダ47の入力軸53の先端には、重り57が設けられている。重り57は、補強部材7が一対の鍔部5,5の間に配置された状態で、ドラム1が回転すると、自重により入力軸53をドラム1と反対方向に回転させる。ロータリエンコーダ47は、入力軸53の回転角度を計測し、制御部51に入力軸53の回転角度情報を出力する。
【0043】
スピーカ49は、制御部51と電気的に接続されている。スピーカ49は、伸縮部33の複数の外面(ここでは3面)のうち伸縮締結穴41が設けられた外面に配置されている。なお、スピーカ49は、伸縮部33の他の外面に配置してもよい。
【0044】
スピーカ49は、伸縮部33の長さ方向において、伸縮締結穴41より本体部31側に配置されている。このため、補強部材7がストッパとして機能するために、伸縮部33が本体部31に収容された状態では、スピーカ49が本体部31から露出することがない。一方、補強部材7が補強部材として機能するために、伸縮部33が本体部31から伸ばされた状態では、スピーカ49が本体部31から露出された状態となる。なお、スピーカ49は、補強部材7が一対の鍔部5,5の間に取り付けられた状態で、取付孔27から露出する位置に配置されている。スピーカ49は、制御部51からの制御信号により警告音を発する。
【0045】
制御部51は、例えば、電源43の電力供給を制御する電源回路、ロータリエンコーダ47からの情報に基づきスピーカ49に制御信号を出力する制御回路などが搭載された回路基板からなる。制御部51は、伸縮部33の内部に配置されている。なお、制御部51を、取付部材55に搭載してもよい。
【0046】
制御部51は、ロータリエンコーダ47からの回転角度情報において、ドラム1の一方の方向に向けた回転のみをカウントする。このため、制御部51は、ドラム1の他方の方向に向けた回転はカウントしない。制御部51は、入力軸53の回転角度のカウントにおいて、スイッチ45がONとなったとき、すなわち締結部材37が締結され、一対の鍔部5,5の間に補強部材7が取り付けられたときを、初期値(0度)とする。制御部51は、ドラム1が他方の方向に向けて回転されたとき、初期値を保持する。このため、制御部51は、ドラム1が一方の方向に向けて回転されたときにのみ入力軸53の回転角度をカウントする。制御部51は、例えば、入力軸53の回転角度が180度となったときに、スピーカ49に制御信号を出力し、スピーカ49から警告音を発する。
【0047】
このような警告部9は、補強部材7が一対の鍔部5,5の間に配置された状態で、作動する。警告部9は、ドラム1が一方の方向(線状部材が弛む方向)に回転されたとき、スピーカ49から警告音を発する。一方、警告部9は、ドラム1が他方の方向(線状部材が弛まない方向)に回転されたとき、スピーカ49から警告音を発さない。このため、作業者は、例えば、ドラム1の搬送時において、スピーカ49からの警告音によって、ドラム1が逆回転であることに気付くことができる。
【0048】
このようなドラム1では、外周に線状部材が巻回される軸状に形成された胴体3と、胴体3の軸方向両側に胴体3と一体に設けられ、円盤状に形成された一対の鍔部5,5とを備えている。そして、ドラム1は、鍔部5が一方の方向へ向けて回転したときに、警告を発する警告部9を備えている。
【0049】
作業者は、警告部9が発する警告によって、ドラム1が逆回転していることに気付くことができる。このため、作業者がドラム1を逆回転させることがなく、胴体3に巻回された線状部材が弛むことがない。従って、このようなドラム1では、線状部材を安定して保持することができる。
【0050】
また、警告部9は、鍔部5が一方の方向へ向けて回転したときに、警告音を発する。このため、作業者がドラム1を目視していない場合であっても、作業者にドラム1が逆回転していることを気付かせることができる。
【0051】
さらに、一対の鍔部5,5の間には、補強部材7が配置されている。そして、警告部9は、補強部材7に設けられている。このため、補強部材7に、一対の鍔部5,5の補強とドラム1の逆回転防止の機能を持たせることができ、部品点数の増加を抑制することができる。
【0052】
また、補強部材7は、一対の鍔部5,5に対して着脱可能に設けられ、一対の鍔部5,5から離脱した状態で、鍔部5の外周面25と係合して鍔部5の回転を防止するストッパである。このため、補強部材7に、複数の機能を持たせることができ、部品点数の増加をさらに抑制することができる。
【0053】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0054】
例えば、警告部が発する警告は、スピーカからの警告音に限るものではない。警告部は、例えば、ランプなどの光によって警告を発してもよく、警告部が発する警告は、作業者が気付くものであれば、どのようなものであってもよい。
【0055】
また、警告部は、ロータリエンコーダなどのセンサを有する構造となっているが、これに限らず、ドラムの回転方向を検出し、警告を発するものであれば、警告部の構造はどのようなものであってもよい。
【0056】
さらに、警告部は、補強部材に設けられているが、これに限らず、胴体、鍔部などに設けてもよく、警告部を、ドラムのどの位置に設けてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 ドラム
3 胴体
5 鍔部
7 補強部材
9 警告部
25 外周面