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特開2023-144267勾配磁界センサ、磁性物検出装置、及び磁性物検出方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144267
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】勾配磁界センサ、磁性物検出装置、及び磁性物検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20231003BHJP
   G01R 33/022 20060101ALI20231003BHJP
   G01V 3/10 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G01R33/02 W
G01R33/022
G01R33/02 Q
G01V3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051173
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】長久保 洋介
(72)【発明者】
【氏名】松田 篤史
【テーマコード(参考)】
2G017
2G105
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AA08
2G017AB03
2G017AC01
2G017AC09
2G017AD42
2G017BA03
2G017BA05
2G105AA01
2G105BB05
2G105DD01
2G105EE02
2G105FF11
2G105GG01
2G105HH04
2G105KK06
(57)【要約】
【課題】ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる勾配磁界センサを提供する。
【解決手段】磁性体製の第1磁気シールド部と、磁性体製であり、前記第1磁気シールド部と対向する第2磁気シールド部と、前記第1磁気シールド部と前記第2磁気シールド部との間の空間に配置される第1磁気コアと、前記第1磁気コアに配置される第1コイルとを含む第1センサヘッドと、前記空間に配置される第2磁気コアと、前記第2磁気コアに配置される第2コイルとを含む第2センサヘッドと、を備える勾配磁界センサ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体製の第1磁気シールド部と、
磁性体製であり、前記第1磁気シールド部と対向する第2磁気シールド部と、
前記第1磁気シールド部と前記第2磁気シールド部との間の空間に配置され、予め決められた第1位置の磁界の強度を検出する第1センサヘッドと、
前記空間に配置され、前記第1位置と異なる第2位置の磁界の強度を検出する第2センサヘッドと、
を備える勾配磁界センサ。
【請求項2】
前記第1センサヘッドと前記第2センサヘッドとのそれぞれは、直線形状の部分を有し、
前記第2センサヘッドの直線形状の部分は、前記第1センサヘッドの直線形状の部分と略平行又は略同軸上に配置される、
請求項1に記載の勾配磁界センサ。
【請求項3】
前記第1磁気シールド部は、前記第1センサヘッド及び前記第2センサヘッド側の第1面を有し、
前記第2磁気シールド部は、前記第1センサヘッド及び前記第2センサヘッド側の第2面を有し、
前記第1面及び前記第2面は、前記第1センサヘッドの直線形状の部分と前記第2センサヘッドの直線形状の部分とを含む平面状の仮想的な領域と略平行である、
請求項2に記載の勾配磁界センサ。
【請求項4】
前記第1面と直交する方向における前記第1面と前記第2面との間の距離は、前記第1面と直交する方向において前記第1磁気シールド部と前記第2磁気シールド部とが重なった領域の輪郭に内接する円のうち、前記第1センサヘッドの直線形状の部分と前記第2センサヘッドの直線形状の部分とに応じて決まる位置を中心とする円の直径に応じた距離である、
請求項3に記載の勾配磁界センサ。
【請求項5】
前記距離は、前記直径の5分の1以下である、
請求項4に記載の勾配磁界センサ。
【請求項6】
前記第1面と直交する方向における前記第1面と前記第2面とのそれぞれの厚さは、前記第1面と直交する方向における前記第1面と前記第2面との間の距離と、前記第1磁気シールド部及び前記第2磁気シールド部の比透磁率とに応じた厚さである、
請求項3から5のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサ。
【請求項7】
前記厚さは、前記第1面と直交する方向における前記第1面と前記第2面との間の距離の500倍の値を、前記第1磁気シールド部及び前記第2磁気シールド部の比透磁率で除した値以上である、
請求項6に記載の勾配磁界センサ。
【請求項8】
前記第1センサヘッドの直線形状の部分と前記第2センサヘッドの直線形状の部分とを含む平面状の仮想的な領域に直交する方向において、前記第1磁気シールド部と前記第2磁気シールド部とが重なった領域の輪郭に内接する円のうち、前記第1センサヘッドの直線形状の部分と前記第2センサヘッドの直線形状の部分とに応じて決まる位置を中心とする円の直径は、前記第1センサヘッドの直線形状の部分の長さと前記第2センサヘッドの直線形状の部分の長さとのそれぞれの2倍以上の長さである、
請求項3から7のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサ。
【請求項9】
前記第1磁気シールド部の形状と前記第2磁気シールド部の形状とは、互いに同じ形状であり、円形平板形状、楕円形平板形状、矩形平板形状のいずれかである、
請求項1から8のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサ。
【請求項10】
前記第1磁気シールド部と前記第2磁気シールド部との少なくとも一方は、積層された複数の磁性体を含む、
請求項1から9のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサ。
【請求項11】
前記空間に配置され、前記第1位置、前記第2位置のそれぞれと異なる第3位置の磁界の強度を検出する第3センサヘッドと、
前記空間に配置され、前記第1位置、前記第2位置、前記第3位置のそれぞれと異なる第4位置の磁界の強度を検出する第4センサヘッドと、
を備える請求項1から10のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサ。
【請求項12】
請求項1から11のうちいずれか一項に記載の勾配磁界センサを備える、
磁性物検出装置。
【請求項13】
磁性体製の第1磁気シールド部と、予め決められた第1位置の磁界の強度を検出する第1センサヘッドと、前記第1位置と異なる第2位置の磁界の強度を検出する第2センサヘッドとを備える勾配磁界センサによる磁性物検出方法であって、
予め決められた方向において、前記第1磁気シールド部は、前記第1センサヘッド及び前記第2センサヘッドと重なっており、
前記磁性物検出方法は、
前記第1磁気シールド部と、磁性体製の第2磁気シールド部との間の空間に前記第1センサヘッドと前記第2センサヘッドとが位置するように前記勾配磁界センサを配置する第1ステップと、
検出対象物を移動させ、前記空間を通過させる第2ステップと、
を有する磁性物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、勾配磁界センサ、磁性物検出装置、及び磁性物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの異なる地点それぞれにおける磁界の強さの勾配を検出する勾配磁界センサについての研究、開発が行われている。ここで、当該勾配は、当該2つの異なる地点それぞれにおける磁界の強さの差分のことである。
【0003】
勾配磁界センサは、2つの異なる地点それぞれにおける磁界の強さを検出するため、2つのセンサヘッドを備える。勾配磁界センサでは、これら2つのセンサヘッドのうちの一方が、これら2つの異なる地点のうちの一方における磁界の強さを検出する。また、勾配磁界センサでは、これら2つのセンサヘッドのうちの他方が、これら2つの異なる地点のうちの他方における磁界の強さを検出する。そして、勾配磁界センサは、これら2つのセンサヘッドから出力される信号に応じて、これら2つの異なる地点における磁界の強さの勾配を検出する。これら2つの異なる地点における磁界の強さの勾配は、磁界を変化させることが可能な物体の有無によって変化する。これを利用し、勾配磁界センサは、このような物体を検出対象物とし、検出対象物を検出することができる。
【0004】
これに関し、2つの異なる地点それぞれにおける磁界の強さを検出する2つのセンサヘッドと、当該2つのセンサヘッドの直上又は直下に設けられ、ノイズとなる磁界を遮蔽する磁気シールド板とを備える勾配磁界センサが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-200524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたような勾配磁界センサでは、磁気シールド板による磁界の遮蔽が十分ではなく、ノイズとなる磁界が2つのセンサヘッドのそれぞれに対して外部から印加されてしまうことがあった。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる勾配磁界センサ、磁性物検出装置、及び磁性物検出方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、磁性体製の第1磁気シールド部と、磁性体製であり、前記第1磁気シールド部と対向する第2磁気シールド部と、前記第1磁気シールド部と前記第2磁気シールド部との間の空間に配置され、予め決められた第1位置の磁界の強度を検出する第1センサヘッドと、前記空間に配置され、前記第1位置と異なる第2位置の磁界の強度を検出する第2センサヘッドと、を備える勾配磁界センサである。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記に記載の勾配磁界センサを備える、磁性物検出装置である。
【0010】
また、本発明の一態様は、磁性体製の第1磁気シールド部と、予め決められた第1位置の磁界の強度を検出する第1センサヘッドと、前記第1位置と異なる第2位置の磁界の強度を検出する第2センサヘッドとを備える勾配磁界センサによる磁性物検出方法であって、予め決められた方向において、前記第1磁気シールド部は、前記第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2と重なっており、前記磁性物検出方法は、前記第1磁気シールド部と、磁性体製の第2磁気シールド部との間の空間に前記第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とが位置するように前記勾配磁界センサを配置する第1ステップと、検出対象物を移動させ、前記空間を通過させる第2ステップと、を有する磁性物検出方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】磁性物検出装置1の構成の一例を示す図である。
図2図1に示した勾配磁界センサ12の斜視図である。
図3図1に示した勾配磁界センサ12をX軸の負方向に向かって見た場合における勾配磁界センサ12の正面図である。
図4】第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2のそれぞれにより遮蔽される磁界の一例を示す図である。
図5】勾配磁界センサ12において、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とが、勾配磁界センサ12の検出感度を向上させる理由を説明するための図である。
図6】第2磁気シールド部SD2を取り外した場合の勾配磁界センサ12による検出対象物Oの検出波形の一例を示す図である。
図7】第2磁気シールド部SD2が取り付けられている場合の勾配磁界センサ12による検出対象物Oの検出波形の一例を示す図である。
図8】第1方向に向かって第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を見た場合における有効シールド領域の一例を示す図である。
図9】シールド比を説明するための図である。
図10】有効シールド領域円の直径の変化に応じたシールド比の変化の一例を示す図である。
図11】第1方向における第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の距離gの一例を示す図である。
図12】第1方向における第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の距離gの変化に応じたシールド比の変化の一例を示す図である。
図13】有効厚さの変化に応じたシールド比の変化の一例を示す図である。
図14】円形平板形状の第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を例示した図である。
図15】矩形平板形状の第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を例示した図である。
図16】楕円形平板形状の第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を例示した図である。
図17】互いに異なる形状を有する第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれの一例を示す上面図である。
図18図17に示した第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれを示す斜視図である。
図19】3層に多層化された第1磁気シールド部SD1と、3層に多層化された第2磁気シールド部SD2との一例を示す図である。
図20】3層に多層化された第1磁気シールド部SD1と、3層に多層化された第2磁気シールド部SD2との他の例を示す図である。
図21】互いに異なる形状の磁気シールド部が積層された第1磁気シールド部SD1と、互いに異なる形状の磁気シールド部が積層された第2磁気シールド部SD2とのそれぞれを例示する図である。
図22】勾配磁界センサ12が検出するノイズの周波数特性と、従来の勾配磁界センサとして見做すことができる勾配磁界センサ12Xが検出するノイズの周波数特性とを比較する図である。
図23】勾配磁界センサ12の回路構成の一例を示す図である。
図24】勾配磁界センサ12の回路構成の他の例を示す図である。
図25】交流電流制御部CC3の回路構成の一例を示す図である。
図26】複数の磁性体を含む第1磁気コアCR1の構成の一例を示す図である。
図27】第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との組と、第3センサヘッドS3と第4センサヘッドS4との組との2組のセンサヘッドを備える勾配磁界センサ12の一例を示す図である。
図28】第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との1組のセンサヘッドと、第3センサヘッドS3と第4センサヘッドS4との1組のセンサヘッドとを備える勾配磁界センサ12の他の例を示す図である。
図29】4組のセンサヘッドを備える勾配磁界センサ12の一例を示す図である。
図30】検出対象物の検出を勾配磁界センサ12Xに行わせる手順の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
<磁性物検出装置の概要>
まず、本実施形態に係る磁性物検出装置の概要について説明する。
【0015】
実施形態に係る磁性物検出装置は、実施形態に係る勾配磁界センサを備える。実施形態に係る勾配磁界センサは、磁性体製の第1磁気シールド部と、磁性体製であり、前記第1磁気シールド部と対向する第2磁気シールド部と、第1センサヘッドと、第2センサヘッドを備える。そして、第1センサヘッドは、第1磁気シールド部と第2磁気シールド部との間の空間に配置され、予め決められた第1位置の磁界の強度を検出する。第2センサヘッドは、当該空間に配置され、第1位置と異なる第2位置の磁界の強度を検出する。
【0016】
これにより、実施形態に係る勾配磁界センサ、及び実施形態に係る磁性物検出装置は、第1磁気シールド部と第2磁気シールド部とのいずれか一方を備える場合と比較して、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。
【0017】
以下では、実施形態に係る磁性物検出装置と、実施形態に係る勾配磁界センサとのそれぞれの構成について、詳しく説明する。
【0018】
<磁性物検出装置の構成>
以下、実施形態に係る磁性物検出装置の一例として磁性物検出装置1を例に挙げて、実施形態に係る磁性物検出装置の構成について説明する。ここで、実施形態では、直流電力に応じた電気信号、又は交流電力に応じた電気信号を伝送する導体のことを、伝送路と称して説明する。伝送路は、例えば、基板上にプリントされた導体であってもよく、導体が線状に形成された導線であってもよく、他の導体であってもよい。また、実施形態では、電圧と称した場合、所定の基準となる電位からの電位差を意味し、基準となる電位についての図示及び説明を省略する。ここで、基準となる電位は、如何なる電位であってもよい。実施形態では、一例として、基準となる電位がグラウンド電位である場合について説明する。また、実施形態では、グラウンドと称した場合、同一のグラウンドを示す。
【0019】
図1は、磁性物検出装置1の構成の一例を示す図である。ここで、三次元座標系TCは、三次元座標系TCが描かれた図における方向を示す三次元直交座標系である。以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるX軸を、単にX軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるY軸を、単にY軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるZ軸を、単にZ軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、Z軸の正方向を上又は上方向と称し、Z軸の負方向を下又は下方向と称して説明する。
【0020】
磁性物検出装置1は、検出対象物を磁界により検出する装置である。検出対象物は、磁界を変化させることが可能な物体のことであり、例えば、磁性体のことである。
【0021】
磁性物検出装置1は、例えば、枠体CSと、第1ローラRL1と、第2ローラRL2と、着磁装置11と、勾配磁界センサ12と、情報処理装置20を備える。そして、勾配磁界センサ12は、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との2つのセンサヘッドを備える。なお、図1では、図が煩雑になるのを防ぐため、磁性物検出装置1における情報処理装置20と他の部材とを接続するケーブルについては、省略している。また、磁性物検出装置1は、枠体CSと、第1ローラRL1と、第2ローラRL2と、着磁装置11と、情報処理装置20とのうちの一部又は全部を備えない構成であってもよい。また、磁性物検出装置1は、枠体CSと、第1ローラRL1と、第2ローラRL2と、着磁装置11と、情報処理装置20とのうちの一部又は全部に代えて、他の部材、他の装置等を、勾配磁界センサ12とともに備える構成であってもよい。また、磁性物検出装置1は、枠体CSと、第1ローラRL1と、第2ローラRL2と、着磁装置11と、情報処理装置20との全部に加えて、他の部材、他の装置等を、勾配磁界センサ12とともに備える構成であってもよい。
【0022】
枠体CSには、磁性物検出装置1の各部材が取り付けられる。枠体CSは、主として、図示しない天板と、図示しない底板と、天板と底板とを接続する複数の支柱とから構成される。図1に示した例では、枠体CSの外形状は、ほぼ直方体形状である。なお、枠体CSの外形状は、如何なる形状であってもよい。
【0023】
枠体CSの内部には、第1ローラRL1と、第2ローラRL2とが設けられている。
【0024】
第1ローラRL1は、検出対象物の付着の有無を検査される対象となるシート部材STがロール状に巻かれたローラのことである。第2ローラRL2は、第1ローラRL1から引き出されたシート部材STを所定の経路に沿って搬送させながら巻き取るローラのことである。第2ローラRL2は、図示しないサーボモータ等により回転させられる。これにより、第2ローラRL2は、第1ローラRL1から引き出されたシート部材STを巻き取ることができる。すなわち、第2ローラRL2は、駆動ローラである。そして、第1ローラRL1は、第2ローラRL2の回転に応じてシート部材STが巻き取られながら回転する受動ローラである。なお、当該サーボモータは、例えば、情報処理装置20により制御される。
【0025】
シート部材STは、第1ローラRL1から引き出されて第2ローラRL2により巻き取られるまでの間に、着磁装置11により発生させられた磁界の中を搬送させられる。これにより、シート部材STに付着した磁性体は、磁化する。すなわち、図1に示した例では、磁性物検出装置1は、着磁装置11により磁化された磁性体を、検出対象物として検出する。シート部材STは、当該磁界の中を搬送させられた後、勾配磁界センサ12が検出対象物の有無を検出可能な所定の検出領域を搬送させられる。そして、シート部材STは、第2ローラRL2に巻き付けられる。
【0026】
ここで、着磁装置11は、所定の磁化領域に所定の強さの磁界を発生させ、磁化領域内に入った磁性体を磁化する装置である。着磁装置11については、既知の装置であるため、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0027】
勾配磁界センサ12は、前述の検出領域における2つの異なる地点のそれぞれに配置されたセンサヘッド、すなわち、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とにより、当該2つの異なる地点における磁界の強さの勾配を検出する。これにより、勾配磁界センサ12から出力される検出信号を取得する情報処理装置20は、検出信号に基づいて、検出領域を搬送されたシート部材STに検出対象物が付着していたか否かを判定することができる。なお、以下では、説明の便宜上、第1センサヘッドS1が配置された地点と第2センサヘッドS2が配置された地点との2つの地点における磁界の強さの勾配を、単に勾配と称して説明する。
【0028】
ここで、図2は、図1に示した勾配磁界センサ12の斜視図である。また、図3は、図1に示した勾配磁界センサ12をX軸の負方向に向かって見た場合における勾配磁界センサ12の正面図である。なお、図2及び図3に示した矢印A1は、勾配磁界センサ12に対してシート部材STが動く方向を示す。
【0029】
勾配磁界センサ12は、第1センサヘッドS1、第2センサヘッドS2とともに、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とが接続される本体部と、第1磁気シールド部SD1と、第1磁気シールド部SD1と対向する第2磁気シールド部SD2を備える。ここで、勾配磁界センサ12の本体部には、勾配磁界センサ12を制御する各種の回路を含む基板が搭載されている。第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とのそれぞれは、これらの各種の回路のうちの少なくとも一部に、電気的に接続される。そして、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とのそれぞれは、勾配磁界センサ12の本体部により支持される。なお、図2及び図3では、図を簡略化するため、勾配磁界センサ12の本体部が省略されている。
【0030】
第1センサヘッドS1は、予め決められた第1位置の磁界の強度を検出する。第2センサヘッドS2は、第1位置と異なる第2位置の磁界の強度を検出する。ここで、第1位置及び第2位置は、後述する第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との少なくとも一方に対する相対的な位置として決められる。第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とのそれぞれは、直線形状の部分を有する。以下では、一例として、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とのそれぞれが、全体として略直線形状のセンサヘッドである場合について説明する。このため、図2及び図3に示した例では、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とは、X軸の正方向に向かって延伸する直線形状の物体として描かれている。そして、当該例では、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2は、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2を含む平面が、XY平面と平行になるように配置されている。XY平面は、X軸とY軸とによって張られる仮想的な平面のことである。また、当該例では、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とは、互いに平行に並んで配置されている。なお、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とは、当該平面がXY平面と非平行になるように配置されてもよい。また、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とは、互いに非平行に並んで配置されてもよい。また、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とは、同軸上に配置されてもよい。なお、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とのうちのいずれか一方又は両方は、略直線形状のセンサヘッドに代えて、他の形状のセンサヘッドであってもよい。第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との詳細な構成については、後述する。
【0031】
勾配磁界センサ12は、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とのそれぞれを対向する辺として有する仮想的な四角形の領域の直下を通過する検出対象物を検出する。そこで、以下では、説明の便宜上、当該領域を、センサヘッド領域と称して説明する。センサヘッド領域は、第1センサヘッドの直線形状の部分と第2センサヘッドの直線形状の部分とを含む平面状の仮想的な領域の一例である。
【0032】
第1磁気シールド部SD1は、磁性体製の部材である。そして、第1磁気シールド部SD1は、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加される磁界のうち、検出対象物以外の部材から発生した磁界の少なくとも一部を遮蔽する部材である。図2及び図3に示した例では、第1磁気シールド部SD1は、円形平板形状の部材である。なお、第1磁気シールド部SD1の形状は、円形状に代えて、楕円形状、矩形状等の他の形状であってもよい。また、第1磁気シールド部SD1の形状は、平板形状に代えて、円柱形状、半球体形状等の他の立体的な形状であってもよい。また、第1磁気シールド部SD1の形状は、凹凸を有する形状であってもよく、他の形状であってもよい。
【0033】
第1磁気シールド部SD1は、センサヘッド領域の直上に配置される。このため、下方向に向かって第1磁気シールド部SD1を見た場合における第1磁気シールド部SD1の輪郭内には、センサヘッド領域が含まれている。
【0034】
第1磁気シールド部SD1が有する面のうちのセンサヘッド領域側の面は、センサヘッド領域と平行又は略平行な面である。これにより、第1磁気シールド部SD1は、磁化された検出対象物から発生する磁界が、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2を避けて、第1磁気シールド部SD1へ直接侵入してしまうことを抑制することができる。その結果、第1磁気シールド部SD1は、センサヘッド領域の直下を通過する検出対象物の、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2による検出感度を低下させてしまうことを抑制することができる。図2及び図3に示した例では、第1磁気シールド部SD1は、第1磁気シールド部SD1の形状が円形平板形状である。このため、当該例では、第1磁気シールド部SD1が有する面のうちのセンサヘッド領域側の面、すなわち、第1磁気シールド部SD1の下面は、センサヘッド領域と平行又は略平行な面である。以下では、説明の便宜上、第1磁気シールド部SD1の下面を、第1面M1と称して説明する。ここで、当該例では、第1面M1は、センサヘッド領域と平行又は略平行であるため、XY平面とも平行又は略平行である。勾配磁界センサ12は、センサヘッド領域の直上に配置される第1磁気シールド部SD1を備えることにより、図4に示すように、センサヘッド領域よりも上の領域から第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加される磁界を遮蔽することができる。その結果、勾配磁界センサ12は、当該磁界をノイズとして検出してしまうことを抑制することができる。図4は、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2のそれぞれにより遮蔽される磁界の一例を示す図である。図4でも、図が煩雑になるのを防ぐため、勾配磁界センサ12の本体部を省略している。また、図4に示した矢印A1も、勾配磁界センサ12に対してシート部材STが動く方向を示す。また、図4に示した矢印のうち、上方から第1磁気シールド部SD1へ向かう矢印と、第1磁気シールド部SD1から上方へ向かう矢印とのそれぞれは、第1磁気シールド部SD1を勾配磁界センサ12が備えていない場合において、センサヘッド領域よりも上の領域から第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加されるはずの磁界の磁束を示す。第1磁気シールド部SD1は、磁性体製であるため、空気よりも磁気抵抗が小さい。このため、当該磁界の磁束は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間に進入し辛い。その結果、第1磁気シールド部SD1は、センサヘッド領域よりも上の領域から当該磁界が第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加されてしまうことを抑制することができる。
【0035】
第2磁気シールド部SD2は、磁性体製の部材である。そして、第2磁気シールド部SD2は、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加される磁界のうち、検出対象物以外の部材から発生した磁界の少なくとも一部を遮蔽する部材である。図2及び図3に示した例では、第2磁気シールド部SD2は、円形平板形状の部材である。なお、第2磁気シールド部SD2の形状は、円形状に代えて、楕円形状、矩形状等の他の形状であってもよい。また、第2磁気シールド部SD2の形状は、平板形状に代えて、円柱形状、半球体形状等の他の立体的な形状であってもよい。また、第2磁気シールド部SD2の形状は、凹凸を有する形状であってもよく、他の形状であってもよい。また、当該例では、第2磁気シールド部SD2の形状は、第1磁気シールド部SD1の形状と同じ形状である。しかしながら、第2磁気シールド部SD2の形状は、第1磁気シールド部SD1の形状と異なる形状であってもよい。
【0036】
第2磁気シールド部SD2は、センサヘッド領域の直下に配置される。このため、上方向に向かって第2磁気シールド部SD2を見た場合における第2磁気シールド部SD2の輪郭内には、センサヘッド領域が含まれている。
【0037】
第2磁気シールド部SD2が有する面のうちのセンサヘッド領域側の面は、センサヘッド領域と平行又は略平行な面である。これにより、第2磁気シールド部SD2は、磁化された検出対象物から発生する磁界が、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2を避けて、第2磁気シールド部SD2へ直接侵入してしまうことを抑制することができる。その結果、第2磁気シールド部SD2は、センサヘッド領域の直下を通過する検出対象物の、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2による検出感度を低下させてしまうことを抑制することができる。図2及び図3に示した例では、第2磁気シールド部SD2は、第2磁気シールド部SD2の形状が円形平板形状である。このため、当該例では、第2磁気シールド部SD2が有する面のうちのセンサヘッド領域側の面、すなわち、第2磁気シールド部SD2の上面は、センサヘッド領域と平行又は略平行な面である。以下では、説明の便宜上、第2磁気シールド部SD2の上面を、第2面M2と称して説明する。ここで、当該例では、第2面M2は、センサヘッド領域と平行又は略平行であるため、XY平面とも平行又は略平行である。勾配磁界センサ12は、センサヘッド領域の直下に配置される第2磁気シールド部SD2を備えることにより、図4に示すように、センサヘッド領域よりも下の領域から第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加される磁界を遮蔽することができる。その結果、勾配磁界センサ12は、当該磁界をノイズとして検出してしまうことを抑制することができる。図4に示した矢印のうち、下方から第2磁気シールド部SD2へ向かう矢印と、第2磁気シールド部SD2から下方へ向かう矢印とのそれぞれは、第2磁気シールド部SD2を勾配磁界センサ12が備えていない場合において、センサヘッド領域よりも下の領域から第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加されるはずの磁界の磁束を示す。第2磁気シールド部SD2は、磁性体製であるため、空気よりも磁気抵抗が小さい。このため、当該磁界の磁束は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間に侵入し辛い。その結果、第2磁気シールド部SD2は、センサヘッド領域よりも下の領域から当該磁界が第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に印加されてしまうことを抑制することができる。
【0038】
以上のように、勾配磁界センサ12では、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とは、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2が、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間に位置するように配置される。その結果、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのうちの一方を備えない場合と比較して、すなわち、磁気シールド部を1つしか備えない場合と比較して、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。なお、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれは、例えば、勾配磁界センサ12の本体部により支持されてもよく、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との少なくとも一方により支持されてもよい。
【0039】
なお、図1図4に示した例では、前述のシート部材STは、センサヘッド領域と、第2磁気シールド部SD2との間の空間を動くが、これに代えて、センサヘッド領域と、第1磁気シールド部SD1との間の空間を動く構成であってもよい。この場合、勾配磁界センサ12は、センサヘッド領域の直上を通過する検出対象物を検出する。
【0040】
ここで、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とは、勾配磁界センサ12による検出対象物の検出感度を向上させることができる。図5は、勾配磁界センサ12において、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とが、勾配磁界センサ12の検出感度を向上させる理由を説明するための図である。また、図5は、図1に示した勾配磁界センサ12をY軸の負方向に向かって見た場合における勾配磁界センサ12の側面図である。なお、図5でも、図が煩雑になるのを防ぐため、勾配磁界センサ12の本体部を省略している。また、図5に示した矢印A1も、勾配磁界センサ12に対してシート部材STが動く方向を示す。また、図5に示した検出対象物Oは、着磁装置11により磁化された検出対象物の一例を示す。また、図5では、第2センサヘッドS2は、第1センサヘッドS1の後ろ側に隠れており、見えていない。
【0041】
図5において点線の矢印によって示される磁気回路MCC1及び磁気回路MCC2のそれぞれは、センサヘッド領域の直下を通過する検出対象物Oから発生する磁束によって形成される磁気回路である。より具体的には、検出対象物Oから出た磁束は、第1センサヘッドS1の内部へ侵入した後、第1磁気シールド部SD1を通って第1センサヘッドS1へ戻る磁気回路MCC1と、第1センサヘッドS1の内部へ侵入した後、第2磁気シールド部SD2、検出対象物Oのそれぞれを順に通って第1センサヘッドS1へ戻る磁気回路MCC2との2つの磁気回路を形成する。その結果、勾配磁界センサ12は、検出対象物Oが発生させる磁界による影響を、より強く受けることになる。その結果、勾配磁界センサ12は、検出対象物の検出感度を向上させることができる。これは、勾配磁界センサ12が、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間において、検出対象物Oの検出を行う結果として得られる効果である。
【0042】
ここで、図6は、第2磁気シールド部SD2を取り外した場合の勾配磁界センサ12による検出対象物Oの検出波形の一例を示す図である。当該場合の勾配磁界センサ12は、従来の勾配磁界センサと見做すことができる。このため、図6は、従来の勾配磁界センサによる検出対象物Oの検出波形の一例を示す図である。以下では、説明の便宜上、当該場合の勾配磁界センサ12を、勾配磁界センサ12Xと称して説明する。図6に示したグラフの縦軸は、勾配磁界センサ12Xから出力された検出信号の大きさを示す。当該検出信号は、第1センサヘッドS1から出力された信号と、第2センサヘッドS2から出力された信号との差動信号である。このため、当該グラフでは、当該検出信号の大きさは、電圧値によって示されている。そして、当該検出信号の大きさの単位は、mVppである。一方、当該グラフの横軸は、経過時間を示す。
【0043】
勾配磁界センサ12Xによる検出対象物Oの検出感度は、勾配磁界センサ12Xが検出対象物Oを検出した場合において勾配磁界センサ12Xから出力される検出信号の振幅の最大値と最小値との差によって表される。図6では、当該検出信号の波形を、点線で示した枠W1によって囲んでいる。すなわち、図6に示した例では、勾配磁界センサ12Xによる検出対象物Oの検出感度は、枠W1によって囲まれた波形の振幅の最大値V1と、当該波形の振幅の最小値V2との差によって表される。一方、図6に示した波形のうち、枠W1によって囲まれていない波形は、ノイズとなる磁界が勾配磁界センサ12Xにより検出された結果として勾配磁界センサ12Xが出力した検出信号の波形である。このため、当該例では、ノイズの大きさは、枠W1によって囲まれていない波形の振幅の最大値V3と、当該波形の振幅の最小値V4との差によって表される。
【0044】
一方、図7は、第2磁気シールド部SD2が取り付けられている場合の勾配磁界センサ12による検出対象物Oの検出波形の一例を示す図である。図7に示したグラフの縦軸は、当該勾配磁界センサ12から出力された検出信号の大きさを示す。当該検出信号も、第1センサヘッドS1から出力された信号と、第2センサヘッドS2から出力された信号との差動信号である。このため、当該グラフでは、当該検出信号の大きさは、電圧値によって示されている。そして、当該検出信号の大きさの単位は、mVppである。一方、当該グラフの横軸は、経過時間を示す。
【0045】
勾配磁界センサ12による検出対象物Oの検出感度は、勾配磁界センサ12が検出対象物Oを検出した場合において勾配磁界センサ12から出力される検出信号の振幅の最大値と最小値との差によって表される。図7では、当該検出信号の波形を、点線で示した枠W2によって囲んでいる。すなわち、図7に示した例では、勾配磁界センサ12による検出対象物Oの検出感度は、枠W2によって囲まれた波形の振幅の最大値V5と、当該波形の振幅の最小値V6との差によって表される。そして、最大値V5と最小値V6との差は、図6に示した最大値V1と最小値V2との差よりも2倍以上大きい。これは、勾配磁界センサ12による検出対象物Oの検出感度が、従来の勾配磁界センサよりも高くなっていることを示している。
【0046】
一方、図7に示した波形のうち、枠W2によって囲まれていない波形は、ノイズとして勾配磁界センサ12により検出された磁界が検出された結果として勾配磁界センサ12が出力した検出信号の波形である。このため、当該例では、ノイズの大きさは、枠W2によって囲まれていない波形の振幅の最大値V7と、当該波形の振幅の最小値V8との差によって表される。そして、最大値V7と最小値V8との差は、図6に示した最大値V3と最小値V4との差よりも2倍以上小さい。これは、勾配磁界センサ12が、従来の勾配磁界センサよりもノイズを検出していないことを示している。すなわち、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との2つの磁気シールド部を備えることにより、従来の勾配磁界センサと比較して、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。その結果、勾配磁界センサ12は、従来の勾配磁界センサと比較して、検出対象物の検出についてのSN比(Signal to Noise ratio)も低減することができる。
【0047】
ここで、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれが、以下において説明する第1条件~第3条件のうちの少なくとも1つを満たす場合、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0048】
第1条件は、センサヘッド領域と直交する第1方向において、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とが重なる領域の輪郭に内接する仮想的な円のうち、第1方向におけるセンサヘッド領域の位置を中心とする円の直径Dが、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2それぞれの長手方向の長さLの2倍以上であること、である。以下では、一例として、センサヘッド領域の位置が、第1方向に向かってセンサヘッド領域を見た場合のセンサヘッド領域の図心の位置である場合について説明する。なお、センサヘッド領域の位置は、これに代えて、当該場合のセンサヘッド領域の重心の位置であってもよく、当該場合のセンサヘッド領域の中心の位置であってもよく、当該場合のセンサヘッド領域内に含まれる他の位置であってもよい。第1方向は、センサヘッド領域と直交する2つの方向のうちのいずれであってもよい。以下では、説明の便宜上、第1方向が、センサヘッド領域と直交する2つの方向のうち、第1磁気シールド部SD1から第2磁気シールド部SD2に向かう方向である場合について説明する。また、以下では、説明の便宜上、当該円を、有効シールド領域円と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第1方向において有効シールド領域円の内側に含まれる領域を、有効シールド領域と称して説明する。
【0049】
図8は、第1方向に向かって第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を見た場合における有効シールド領域の一例を示す図である。図8には、第1磁気シールド部SD1、第2磁気シールド部SD2、有効シールド領域それぞれの位置関係を明確に示すため、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2とともに、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2が描かれている。また、図8に示した例では、第1磁気シールド部SD1の形状と、第2磁気シールド部SD2の形状とは、同じ形状であり、略五角形状である。このため、第1方向において、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とは、互いに全体が重なっている。図8に示した点PT1は、センサヘッド領域の位置を示す。そして、図8において点線で示した円は、点PT1を中心とし、第1方向において第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とが重なった領域の輪郭に内接する有効シールド領域円の一例を示す。すなわち、図8に示した領域RA1は、有効シールド領域円の内側の領域、すなわち、有効シールド領域の一例を示す。また、図8には、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2それぞれの長手方向の長さLも示されている。前述の第1条件は、図8において点線で示した有効シールド領域円の直径Dが、この長さLの2倍以上であることを要求する。図8に示した第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2は、第1条件を満たしている。
【0050】
第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれが、第1条件を満たす場合において、勾配磁界センサ12がノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができることは、有効シールド領域円の直径Dの変化に応じたシールド比の変化を見ることによって理解することができる。ここで、シールド比は、センサヘッド領域と平行な方向に向かって強さHexの磁界を第1磁界として勾配磁界センサ12に印加した場合の、センサヘッド領域の直下における第2磁界の強さHに対するHexの比によって表される。より具体的には、シールド比は、図8に示したように、以下の式(1)によって表される。
【0051】
(シールド比)=Hex/H ・・・(1)
【0052】
図9は、シールド比を説明するための図である。図9に示したように、第1磁界の強さHexは、センサヘッド領域と平行な方向に印加される磁界、すなわち、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間内に最も侵入し易い磁束を有する磁界の強さのことである。そして、第2磁界の強さHは、第1磁界が勾配磁界センサ12に印加された場合におけるセンサヘッド領域の直下の磁界の強さのことである。このため、シールド比は、値が大きいほど、当該空間内に最も侵入し易い磁束の当該空間内への侵入を、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とが抑制していることを表す。
【0053】
図10は、有効シールド領域円の直径の変化に応じたシールド比の変化の一例を示す図である。図10に示したグラフの縦軸は、シールド比を示す。また、当該グラフの横軸は、有効シールド領域円の直径Dを示す。当該グラフを見ると、シールド比が100を超えるためには、直径Dが長さLの2倍以上である必要があることが分かる。なお、勾配磁界センサ12から第2磁気シールド部SD2を取り外した場合のシールド比は、事前の実験から、100以下であることが分かっている。このため、第2磁気シールド部SD2が取り付けられている勾配磁界センサ12は、第1磁界が勾配磁界センサ12に印加された場合、直径Dが長さLの2倍以上であることにより、従来の勾配磁界センサ12よりもシールド比を高くすることができる。すなわち、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれが第1条件を満たす場合、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0054】
一方、第2条件は、第1方向における第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の距離gが、直径Dの5分の1以下であること、である。
【0055】
図11は、第1方向における第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の距離gの一例を示す図である。なお、図11でも、図が煩雑になるのを防ぐため、勾配磁界センサ12の本体部を省略している。また、図11に示した矢印A1も、勾配磁界センサ12に対してシート部材STが動く方向を示す。前述の第2条件は、第1方向における第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の距離gが、直径Dの5分の1以下であることを要求する。図11に示した第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2は、第2条件を満たしている。
【0056】
第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれが、第2条件を満たす場合において、勾配磁界センサ12がノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができることは、第1方向における第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の距離gの変化に応じたシールド比の変化を見ることによって理解することができる。
【0057】
図12は、第1方向における第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の距離gの変化に応じたシールド比の変化の一例を示す図である。図12に示したグラフの縦軸は、シールド比を示す。また、当該グラフの横軸は、第1方向における第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の距離gを示す。当該グラフを見ると、シールド比が100を超えるためには、距離gが、有効シールド領域円の直径Dの5分の1以下である必要があることが分かる。なお、勾配磁界センサ12から第2磁気シールド部SD2を取り外した場合のシールド比は、前述した通り、100以下であることが分かっている。このため、第2磁気シールド部SD2が取り付けられている勾配磁界センサ12は、第1磁界が勾配磁界センサ12に印加された場合、第1方向における第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の距離gが、有効シールド領域円の直径Dの5分の1以下であることにより、従来の勾配磁界センサ12よりもシールド比を高くすることができる。すなわち、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれが第2条件を満たす場合、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0058】
そして、第3条件は、第1方向における第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2それぞれの厚さtと、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2それぞれの比透磁率との積が、第1方向における第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の距離gの500倍以上であること、である。なお、以下では、説明の便宜上、当該積を、有効厚さと称して説明する。
【0059】
図11には、第1方向における第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2それぞれの厚さtの一例も示されている。前述の第3条件は、有効厚さが、第1方向における第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の距離gの500倍以上であることを要求する。なお、図11に示した第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2は、第3条件を満たしている。
【0060】
第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれが、第3条件を満たす場合において、勾配磁界センサ12がノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができることは、有効厚さの変化に応じたシールド比の変化を見ることによって理解することができる。
【0061】
図13は、有効厚さの変化に応じたシールド比の変化の一例を示す図である。図13に示したグラフの縦軸は、シールド比を示す。また、当該グラフの横軸は、有効厚さを示す。当該グラフを見ると、シールド比が100を超えるためには、有効厚さが距離gの500倍以上である必要があることが分かる。なお、勾配磁界センサ12から第2磁気シールド部SD2を取り外した場合のシールド比は、前述した通り、100以下であることが分かっている。このため、第2磁気シールド部SD2が取り付けられた勾配磁界センサ12は、第1磁界が勾配磁界センサ12に印加された場合、有効厚さが距離gの500倍以上であることにより、従来の勾配磁界センサ12よりもシールド比を高くすることができる。すなわち、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれが第3条件を満たす場合、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0062】
なお、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2が前述の第1条件~第3条件のすべてを満たしていなかったとしても、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を備えることにより、従来の勾配磁界センサと比べて、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。何故なら、勾配磁界センサ12が実際に使用される環境下では、勾配磁界センサ12には、ノイズとなる磁界が、センサヘッド領域と平行ではない方向から印加されることが多いためである。従って、勾配磁界センサ12は、第1条件~第3条件のすべてを満たしていなかったとしても、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。そして、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2が第1条件~第3条件の少なくとも1つを満たしている場合、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0063】
ここで、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とは、前述した通り、互いに同じ形状を有する構成であってもよい。この場合、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との製造に要する金銭的なコストと手間を、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とが互いに異なる形状を有する場合と比較して、軽減することができる。そして、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とが互いに同じ形状を有する場合、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれの形状として多用される形状は、図14に示した円形平板形状、矩形平板形状、楕円形平板形状の3つの形状である。
【0064】
図14は、円形平板形状の第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を例示した図である。なお、図14でも、図が煩雑になるのを防ぐため、勾配磁界センサ12の本体部を省略している。図14に示した点PT2は、図14におけるセンサヘッド領域の位置を示す。そして、図14に示した例では、円形平板形状の第1磁気シールド部SD1の中心と、円形平板形状の第2磁気シールド部SD2の中心とが、点PT2と重なっている。このため、当該例では、第1方向に向かって第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を見た場合、第2磁気シールド部SD2が第1磁気シールド部SD1の後ろ側に隠れているため、見えていない。この場合、有効シールド領域円の輪郭は、第1磁気シールド部SD1の輪郭と重なっている。ここで、第1磁気シールド部SD1の反磁界係数は、第1磁気シールド部SD1の形状が円形平板形状である場合、第1磁気シールド部SD1の中心を上下方向に貫く仮想的な中心軸周りにおいて等方的である。同様に、第2磁気シールド部SD2の反磁界係数は、第2磁気シールド部SD2の形状が円形平板形状である場合、第2磁気シールド部SD2の中心を上下方向に貫く仮想的な中心軸周りにおいて等方的である。このため、勾配磁界センサ12は、図14に示したような円形平板形状の第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を備える場合、前述のシールド比を、これら2つの中心軸周りにおいて等方的にすることができる。なお、ある物体の反磁界係数は、当該物体の内部を流れる磁束の方向と逆の方向に作用する磁界の係数である、磁束の流れ難さを示す係数である。このため、ある物体のある位置X1における反磁界係数が、当該物体の他の位置X2における反磁界係数より大きいことは、位置X2より位置X1の方が、磁束が流れ難いことを意味する。一方、位置X1における反磁界係数が、位置X2における反磁界係数より小さいことは、位置X2より位置X1の方が、磁束が流れ易いことを意味する。これは、例えば、ノイズとなる磁界の発生源が特定できていない場合に有用である。
【0065】
一方、図15は、矩形平板形状の第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を例示した図である。より具体的には、図15は、正方形平板形状の第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を例示した図である。なお、図15でも、図が煩雑になるのを防ぐため、勾配磁界センサ12の本体部を省略している。図15に示した点PT3は、図15におけるセンサヘッド領域の位置を示す。そして、図15に示した例では、正方形平板形状の第1磁気シールド部SD1の中心と、正方形平板形状の第2磁気シールド部SD2の中心とが、点PT3と重なっている。また、当該例では、正方形平板形状の第1磁気シールド部SD1の4つの角と、正方形平板形状の第2磁気シールド部SD2の4つの角とが一致している。このため、当該例では、第1方向に向かって第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を見た場合、第2磁気シールド部SD2が第1磁気シールド部SD1の後ろ側に隠れているため、見えていない。この場合、有効シールド領域は、図15の点線によって示された有効シールド領域円の内側の領域である。ここで、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2は、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2の形状が矩形平板形状である場合、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2の形状が円形平板形状である場合と比べて、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間を広くすることができる。これはすなわち、ノイズとなる磁界が侵入し難い空間を広くすることができることを意味する。その結果、勾配磁界センサ12は、図15に示したような矩形平板形状の第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を備える場合、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを、より確実に抑制することができる。これも、例えば、ノイズとなる磁界の発生源が特定できていない場合に有用である。
【0066】
また、図16は、楕円形平板形状の第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を例示した図である。なお、図16でも、図が煩雑になるのを防ぐため、勾配磁界センサ12の本体部を省略している。図16に示した点PT4は、図16におけるセンサヘッド領域の位置を示す。そして、図16に示した例では、楕円形平板形状の第1磁気シールド部SD1の中心と、楕円形平板形状の第2磁気シールド部SD2の中心とが、点PT4と重なっている。また、当該例では、楕円形平板形状の第1磁気シールド部SD1の長軸と、楕円形平板形状の第2磁気シールド部SD2の長軸とが一致している。このため、当該例では、第1方向に向かって第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を見た場合、第2磁気シールド部SD2が第1磁気シールド部SD1の後ろ側に隠れているため、見えていない。この場合、有効シールド領域は、図16の点線によって示された有効シールド領域円の内側の領域である。ここで、第1磁気シールド部SD1の反磁界係数は、第1磁気シールド部SD1の形状が楕円平板形状である場合、第1磁気シールド部SD1における長軸と短軸との交点を上下方向に貫く仮想的な中心軸周りにおいて非等方的である。具体的には、第1磁気シールド部SD1の長軸に沿った方向における第1磁気シールド部SD1の反磁界係数は、第1磁気シールド部SD1の短軸に沿った方向における第1磁気シールド部SD1の反磁界係数よりも小さい。このため、勾配磁界センサ12は、図16に示したような楕円形平板形状の第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を備える場合、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2の長軸に沿った方向におけるシールド比を、高くすることができる。これは、例えば、ノイズとなる磁界の発生源が特定できている場合に有用である。
【0067】
なお、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とは、互いに異なる形状であってもよい。ただし、勾配磁界センサ12は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれの形状が、有効シールド領域円の直径が大きくなる形状であるほど、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを、より確実に抑制することができる。例えば、勾配磁界センサ12は、図17及び図18に示したような、円形平板形状の第1磁気シールド部SD1と、第1磁気シールド部SD1の直径よりも大きな直径を有する円形平板形状の第2磁気シールド部SD2とを備える構成であってもよい。図17は、互いに異なる形状を有する第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれの一例を示す上面図である。また、図18は、図17に示した第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれを示す斜視図である。なお、図17及び図18でも、図が煩雑になるのを防ぐため、勾配磁界センサ12の本体部を省略している。勾配磁界センサ12は、図17及び図18に示した第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2とのそれぞれを勾配磁界センサ12が備えることにより、有効シールド領域を小さくすることなく、第1磁気シールド部SD1の形状と第2磁気シールド部SD2の形状とを異ならせることができる。その結果、勾配磁界センサ12は、例えば、設置の自由度を向上させることができる。すなわち、勾配磁界センサ12は、狭い空間等へ設置し易くすることができる。
【0068】
また、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との少なくとも一方は、多層化されていてもよい。
【0069】
図19は、3層に多層化された第1磁気シールド部SD1と、3層に多層化された第2磁気シールド部SD2との一例を示す図である。なお、図19でも、図が煩雑になるのを防ぐため、勾配磁界センサ12の本体部を省略している。また、第1磁気シールド部SD1は、4層以上の多層化されていてもよく、2層に多層化されていてもよい。また、第2磁気シールド部SD2は、4層以上に多層化されていてもよく、2層に多層化されていてもよい。図19に示した例では、第1磁気シールド部SD1は、平板形状の磁気シールド部SD11と、平板形状の磁気シールド部SD12と、平板形状の磁気シールド部SD13との3つの磁気シールド部が積層された部材である。換言すると、当該例では、第1磁気シールド部SD1は、これら3つの磁気シールド部を含む。そして、これら3つの磁気シールド部のそれぞれは、磁性体製である。また、当該例では、第2磁気シールド部SD2は、平板形状の磁気シールド部SD21と、平板形状の磁気シールド部SD22と、平板形状の磁気シールド部SD23との3つの磁気シールド部が積層された部材である。換言すると、当該例では、第2磁気シールド部SD2は、これら3つの磁気シールド部を含む。そして、これら3つの磁気シールド部のそれぞれは、磁性体製である。
【0070】
ここで、図19に示した例では、第1磁気シールド部SD1として積層された3つの磁気シールド部は、互いに離間している。換言すると、当該3つの磁気シールド部同士の間には、空隙が存在する。この場合、第1磁気シールド部SD1の表面積は、このような空隙が存在しない場合と比較して、大きくなる。一方、ノイズとなる磁界のAC(Alternating Current)成分は、表皮効果により、主として磁性体の表面を流れる。このため、多層化された第1磁気シールド部SD1は、ノイズとなる磁界にAC成分が含まれる場合、第1磁気シールド部SD1として積層される複数の磁気シールド部のそれぞれを互いに離間させることにより、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間に、ノイズとなる磁界のAC成分が侵入してしまうことを抑制することができる。なお、当該例では、第2磁気シールド部SD2として積層された3つの磁気シールド部も、互いに離間している。そして、多層化された第2磁気シールド部SD2も、ノイズとなる磁界にAC成分が含まれる場合、第2磁気シールド部SD2として積層される複数の磁気シールド部のそれぞれを互いに離間させることにより、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間に、ノイズとなる磁界のAC成分が侵入してしまうことを抑制することができる。そして、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2の両方が多層化されている場合、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間に、ノイズとなる磁界のAC成分が侵入してしまうことを、より確実に抑制することができる。また、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2は、図19に示した当該3つの磁気シールドのそれぞれの、当該3つの磁気シールドが積層された方向における厚みを、抑制したノイズの周波数成分に対しての表皮深さの2倍以上の厚みとすることにより、ノイズとなる磁界のAC成分が侵入してしまうことを抑制することができるという効果を、更に向上させることができる。
【0071】
一方、図20は、3層に多層化された第1磁気シールド部SD1と、3層に多層化された第2磁気シールド部SD2との他の例を示す図である。なお、図20でも、図が煩雑になるのを防ぐため、勾配磁界センサ12の本体部を省略している。また、図20に示した例でも、第1磁気シールド部SD1は、平板形状の磁気シールド部SD11と、平板形状の磁気シールド部SD12と、平板形状の磁気シールド部SD13との3つの磁気シールド部が積層された部材である。また、当該例でも、第2磁気シールド部SD2は、平板形状の磁気シールド部SD21と、平板形状の磁気シールド部SD22と、平板形状の磁気シールド部SD23との3つの磁気シールド部が積層された部材である。
【0072】
ここで、図20に示した例では、第1磁気シールド部SD1として積層された3つの磁気シールド部は、互いに離間しておらず、互いに接触している。換言すると、当該3つの磁気シールド部同士の間には、空隙が存在しない。この場合、当該3つの磁気シールド部は、1つの塊として第1磁気シールド部SD1を構成する。この1つの塊としての第1磁気シールド部SD1の体積は、3つの磁気シールド部それぞれの体積よりも大きい。また、この1つの塊としての第1磁気シールド部SD1の表面積は、3つの磁気シールド部に含まれる個々の磁気シールド部の表面積よりも大きい。一方、ノイズとなる磁界のDC(Direct Current)成分は、ノイズとなる磁界のAC成分のように磁性体の表面を流れるだけではなく、磁性体の内部も流れる。このため、多層化された第1磁気シールド部SD1は、ノイズとなる磁界にDC成分が含まれる場合、第1磁気シールド部SD1として積層される複数の磁気シールド部のそれぞれを互いに接触させることにより、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間に、ノイズとなる磁界のDC成分が侵入してしまうことを抑制することができる。なお、当該例では、第2磁気シールド部SD2として積層された3つの磁気シールド部も、互いに接触している。そして、多層化された第2磁気シールド部SD2も、ノイズとなる磁界にDC成分が含まれる場合、第2磁気シールド部SD2として積層される複数の磁気シールド部のそれぞれを互いに接触させることにより、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間に、ノイズとなる磁界のDC成分が侵入してしまうことを抑制することができる。そして、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2の両方が多層化されている場合、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2は、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間に、ノイズとなる磁界のDC成分が侵入してしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0073】
なお、多層化された第1磁気シールド部SD1として積層された複数の磁気シールド部のそれぞれは、互いに異なる形状であってもよい。また、多層化された第2磁気シールド部SD2として積層された複数の磁気シールド部のそれぞれも、互いに異なる形状であってもよい。図21は、互いに異なる形状の磁気シールド部が積層された第1磁気シールド部SD1と、互いに異なる形状の磁気シールド部が積層された第2磁気シールド部SD2とのそれぞれを例示する図である。図21に示した例では、磁気シールド部SD11~磁気シールド部SD13のそれぞれの形状は、互いに直径が異なる円形平板形状である。また、当該例では、磁気シールド部SD21~磁気シールド部SD23のそれぞれの形状は、互いに直径が異なる円形平板形状である。
【0074】
以上のような構成の第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を備えることにより、勾配磁界センサ12は、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。図22は、勾配磁界センサ12が検出するノイズの周波数特性と、従来の勾配磁界センサとして見做すことができる勾配磁界センサ12Xが検出するノイズの周波数特性とを比較する図である。図22に示したグラフの縦軸は、ノイズとなる磁界を検出した場合において勾配磁界センサ12、勾配磁界センサ12Xのそれぞれから出力される検出信号の大きさを示す。また、当該グラフの横軸は、当該検出信号の周波数を示す。そして、当該グラフにプロットされた曲線F1は、勾配磁界センサ12が検出するノイズの周波数特性を示す。また、当該グラフにプロットされた曲線F2は、勾配磁界センサ12Xが検出するノイズの周波数特性を示す。図22を見れば分かる通り、勾配磁界センサ12によりノイズとして検出される磁界の強さは、勾配磁界センサ12Xによりノイズとして検出される磁界の強さと比較して小さくなっている。すなわち、勾配磁界センサ12は、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。
【0075】
図1に戻る。情報処理装置20は、勾配磁界センサ12と通信可能に接続される。そして、前述した通り、情報処理装置20は、勾配磁界センサ12から出力された検出信号に基づいて、検出領域を搬送されたシート部材STに検出対象物が付着していたか否かを判定する。
【0076】
情報処理装置20は、例えば、検出領域を搬送されたシート部材STに検出対象物が付着していたと判定した場合、前述のサーボモータを制御して第2ローラRL2によるシート部材STの巻き取りを停止させるとともに、シート部材STに検出対象物が付着していたことを報知する報知処理を行う。報知処理は、例えば、情報処理装置20のディスプレイに、シート部材STに検出対象物が付着していたことを示す情報を表示させる処理である。これにより、磁性物検出装置1のユーザは、シート部材STから検出対象物を除去すること、シート部材STを不良品として特定すること等を行うことができる。なお、報知処理は、このような表示処理に代えて、当該情報を示す音声、振動、光等を出力する処理であってもよい。
【0077】
情報処理装置20は、例えば、ノートPC(Personal Computer)、タブレットPC、デスクトップPC、ワークステーション、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)等である。なお、情報処理装置20は、マイコン等の他の情報処理装置であってもよい。
【0078】
なお、磁性物検出装置1において、着磁装置11と、勾配磁界センサ12と、情報処理装置20とのうちの一部又は全部は、一体に構成されてもよい。
【0079】
また、検出対象物の付着の検査を磁性物検出装置1が行う対象は、シート部材STに代えて、検出対象物の有無の検査を行うことが可能な他の物体であってもよい。例えば、勾配磁界センサ12を備えた磁性物探知機は、地中における磁性物の有無を検出する。この場合、当該磁性物探知機は、磁性物検出装置1の一例である。また、地中における磁性物は、当該場合における検出対象物の一例である。
【0080】
<勾配磁界センサの回路構成>
以下、図23を参照し、勾配磁界センサ12の回路構成について説明する。図23は、勾配磁界センサ12の回路構成の一例を示す図である。
【0081】
勾配磁界センサ12は、交流電源接続端子CT1と、第1センサヘッドS1と、第2センサヘッドS2と、第0移相回路PS0と、交流電流制御部CC1と、検出回路DTと、検出信号出力端子CT2を備える。また、第1センサヘッドS1は、第1磁気コアCR1と、第1検出コイルCL1を備える。また、第2センサヘッドS2は、第2磁気コアCR2と、第2検出コイルCL2を備える。また、第0移相回路PS0は、入力端子PS01と、出力端子PS02との2つの端子を有する。また、交流電流制御部CC1は、第1入力端子CC11と、第2入力端子CC12と、第1出力端子CC13と、第2出力端子CC14を有する。また、交流電流制御部CC1は、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2を備える。また、検出回路DTは、第1入力端子DT1と、第2入力端子DT2と、出力端子DT3を有する。また、検出回路DTは、位相検波回路PDと、ローパスフィルタLFと、誤差アンプEAと、抵抗R1と、第3コンデンサC3を備える。また、位相検波回路PDは、第1入力端子PD1と、第2入力端子PD2と、出力端子PD3を有する。
【0082】
また、勾配磁界センサ12は、伝送路を介して、交流電源P1と接続される。より具体的には、勾配磁界センサ12の交流電源接続端子CT1は、伝送路を介して、交流電源P1が有する2つの電源端子のうちの一方である第1電源端子P11と接続される。そして、交流電源P1が有する2つの電源端子のうちの他方である第2電源端子P12は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。ここで、交流電源P1は、如何なる交流電源であってもよい。なお、交流電源接続端子CT1と第1電源端子P11との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第2電源端子P12とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0083】
また、勾配磁界センサ12は、伝送路を介して、情報処理装置20と接続される。より具体的には、勾配磁界センサ12の検出信号出力端子CT2は、伝送路を介して、情報処理装置20と接続される。なお、検出信号出力端子CT2と情報処理装置20との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0084】
また、交流電源接続端子CT1は、伝送路を介して、第0移相回路PS0が有する入力端子PS01と、検出回路DTが有する第1入力端子DT1とのそれぞれと接続される。そして、第0移相回路PS0が有する出力端子PS02は、伝送路を介して、交流電流制御部CC1が有する第1入力端子CC11と、交流電流制御部CC1が有する第2入力端子CC12とのそれぞれと接続される。なお、交流電源接続端子CT1と入力端子PS01との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、交流電源接続端子CT1と第1入力端子DT1との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子PS02と第1入力端子CC11との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子PS02と第2入力端子CC12との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0085】
また、交流電流制御部CC1において、第1入力端子CC11と第1出力端子CC13との間には、伝送路を介して、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1とが直列に接続される。また、交流電流制御部CC1において、第2入力端子CC12と第2出力端子CC14との間には、伝送路を介して、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2とが直列に接続される。なお、第1入力端子CC11と第1出力端子CC13との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第1入力端子CC11と第1出力端子CC13との間において、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。また、第2入力端子CC12と第2出力端子CC14との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第2入力端子CC12と第2出力端子CC14との間において、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。
【0086】
また、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13とグラウンドとの間には、伝送路を介して、第1センサヘッドS1の第1磁気コアCR1が接続される。また、交流電流制御部CC1の第2出力端子CC14とグラウンドとの間には、伝送路を介して、第2センサヘッドS2の第2磁気コアCR2が接続される。以下では、説明の便宜上、第1出力端子CC13から第1磁気コアCR1に流れる交流電流を、図23の矢印によって示されるように、第1交流励磁電流AC1と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、第2出力端子CC14から第2磁気コアCR2に流れる交流電流を、図23の矢印によって示されるように、第2交流励磁電流AC2と称して説明する。なお、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第1磁気コアCR1とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、交流電流制御部CC1が有する第2出力端子CC14とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第2磁気コアCR2とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0087】
また、検出回路DTにおいて、第1入力端子DT1は、伝送路を介して、位相検波回路PDが有する第1入力端子PD1と接続される。また、位相検波回路PDが有する出力端子PD3は、伝送路を介して、ローパスフィルタLFが有する図示しない入力端子と接続される。また、ローパスフィルタLFが有する図示しない出力端子は、伝送路を介して、誤差アンプEAが有する反転入力端子と接続される。また、誤差アンプEAが有する非反転入力端子は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。また、誤差アンプEAが有する出力端子は、伝送路を介して、検出回路DTが有する出力端子DT3と、抵抗R1が有する2つの端子のうちの一方とのそれぞれと接続される。また、抵抗R1が有する2つの端子のうちの他方は、伝送路を介して、位相検波回路PDが有する第2入力端子DT2と、第3コンデンサC3が有する2つの端子のうちの一方と接続される。また、第3コンデンサC3が有する2つの端子のうちの他方は、伝送路を介して、位相検波回路PDが有する第2入力端子PD2と接続される。このように、検出回路DTは、PSD(Phase Sensitive Detector)回路である。なお、第1入力端子DT1と第1入力端子PD1との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子PD3とローパスフィルタLFが有する入力端子との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、ローパスフィルタLFが有する出力端子と誤差アンプEAが有する反転入力端子との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、誤差アンプEAが有する非反転入力端子とグラウンドの間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、誤差アンプEAが有する出力端子と出力端子DT3との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、誤差アンプEAが有する出力端子と抵抗R1との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、抵抗R1と第3コンデンサC3との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第3コンデンサC3と第2入力端子PD2との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、抵抗R1と第3コンデンサC3とを接続する伝送路と第2入力端子DT2との間には、検出回路DTが有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0088】
また、検出回路DTが有する第2入力端子DT2は、伝送路を介して、第1検出コイルCL1が有する2つの端子のうちの一方と接続される。また、第1検出コイルCL1が有する2つの端子のうちの他方は、伝送路を介して、第2検出コイルCL2が有する2つの端子のうちの一方と接続される。そして、第2検出コイルCL2が有する2つの端子のうちの他方は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。ただし、第2検出コイルCL2は、第1検出コイルCL1と差動接続される。なお、第2入力端子DT2と第1検出コイルCL1との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第1検出コイルCL1と第2検出コイルCL2との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、第2検出コイルCL2とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0089】
<実施形態に係る勾配磁界センサの動作>
次に、勾配磁界センサ12の動作について説明する。
【0090】
上記のような回路構成の勾配磁界センサ12において、交流電源P1は、交流電源接続端子CT1に交流電流を入力する。交流電源接続端子CT1に入力された交流電流は、2つに分岐される。2つに分岐された交流電流の一方は、交流励磁電流として第0移相回路PS0に入力される。また、2つの分岐された交流電流の他方は、参照信号として検出回路DTが有する第1入力端子DT1に入力される。
【0091】
第0移相回路PS0に入力された交流励磁電流は、第0移相回路PS0により移相された後、第1交流励磁電流AC1と第2交流励磁電流AC2との2つの交流励磁電流に分岐される。
【0092】
第1交流励磁電流AC1は、第1移相回路PS1、第1可変抵抗VR11、第1コンデンサC1を介して第1磁気コアCR1に流れる。このため、第1交流励磁電流AC1は、第1移相回路PS1により移相され、第1可変抵抗VR11により振幅が調整される。これにより、第1検出コイルCL1には、第1磁気コアCR1に流れた第1交流励磁電流AC1と、第1検出コイルCL1に印加された磁界の強さとに応じた電圧が誘起される。すなわち、当該電圧は、外部から第1検出コイルCL1に印加された磁界の強さに応じて変化する。以下では、説明の便宜上、第1検出コイルCL1に誘起される電圧を、第1誘起電圧と称して説明する。なお、第1コンデンサC1は、ACカップリングのためのコンデンサである。第1コンデンサC1の存在により、勾配磁界センサ12では、直流電流が第1出力端子CC13から第1入力端子CC11へ流れてしまうことを抑制することができる。
【0093】
一方、第2交流励磁電流AC2は、第2移相回路PS2、第2可変抵抗VR12、第2コンデンサC2を介して第2磁気コアCR2に流れる。このため、第2交流励磁電流AC2は、第2移相回路PS2により移相され、第2可変抵抗VR12により振幅が調整される。これにより、第2検出コイルCL2には、第2磁気コアCR2に流れた第2交流励磁電流AC2と、第2検出コイルCL2に印加された磁界の強さとに応じた電圧が誘起される。すなわち、当該電圧は、外部から第2検出コイルCL2に印加された磁界の強さに応じて変化する。以下では、説明の便宜上、第2検出コイルCL2に誘起される電圧を、第2誘起電圧と称して説明する。なお、第2コンデンサC2は、ACカップリングのためのコンデンサである。第2コンデンサC2の存在により、勾配磁界センサ12では、直流電流が第2出力端子CC14から第2入力端子CC12へ流れてしまうことを抑制することができる。
【0094】
勾配磁界センサ12では、このようにして誘起された第1誘起電圧及び第2誘起電圧に応じた信号が、差動信号Voutとして検出回路DTが有する第2入力端子DT2に入力する。検出回路DTの位相検波回路PDは、このようにして入力された差動信号Voutと、交流電源P1から入力された参照信号とのずれに応じた信号を、検波信号としてローパスフィルタLFに入力する。ローパスフィルタLFは、位相検波回路PDから入力された検波信号から所定の周波数以上の成分を除去した出力信号を誤差アンプEAの反転入力端子に出力する。誤差アンプEAは、誤差アンプEAの反転入力端子に入力された出力信号の電位とグラウンド電位との電位差に応じた信号を検出信号として、検出信号出力端子CT2と抵抗R1とのそれぞれに出力する。なお、第3コンデンサC3は、ACカップリングのためのコンデンサである。また、第3コンデンサC3が有する端子のうち位相検波回路PDと接続された端子と反対側の端子には、バッファ回路(例えば、ボルテージフォロワ等)が接続される。このバッファ回路については、図を簡略化するため、図示を省略している。
【0095】
抵抗R1に入力された検出信号は、図示しないバッファ回路の存在により、第3コンデンサC3へ入力されることなく、帰還電流として第2入力端子DT2から第1検出コイルCL1に向かって流れていく。
【0096】
このような動作を行う検出回路DTには、調整を行うことにより、差動信号Voutの信号レベルが0[V]である場合、信号レベルが0[V]の検出信号を検出信号出力端子CT2から出力させ、差動信号Voutの信号レベルが0[V]ではない場合、信号レベルが0[V]ではない検出信号を検出信号出力端子CT2から出力させることができる。なお、検出回路DTの調整については、既知であるため、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0097】
以上のような動作により、勾配磁界センサ12は、勾配を検出する。
【0098】
なお、実施形態に係る勾配磁界センサ12は、第0移相回路PS0を備えない構成であってもよい。
【0099】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12は、第1移相回路PS1と第2移相回路PS2とのいずれか一方を備えない構成であってもよい。
【0100】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12は、第1可変抵抗VR11と第2可変抵抗VR12とのいずれか一方を備えない構成であってもよい。
【0101】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12は、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との少なくとも一方を備えない構成であってもよい。ただし、これらはACカップリングのためのコンデンサである。このため、当該勾配磁界センサ12は、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との両方を備えている方が望ましい。
【0102】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12では、交流電流制御部CC1は、第1可変抵抗VR11に代えて、又は、第1可変抵抗VR11に加えて、第1交流励磁電流AC1の振幅を増幅する第1増幅回路を備える構成であってもよい。
【0103】
また、実施形態に係る勾配磁界センサ12では、交流電流制御部CC1は、第2可変抵抗VR12に代えて、又は、第2可変抵抗VR12に加えて、第2交流励磁電流AC2の振幅を増幅する第2増幅回路を備える構成であってもよい。
【0104】
勾配磁界センサ12は、以上のような動作を行う回路構成を有する。これにより、勾配磁界センサ12は、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との2つのセンサヘッドにより、2つの異なる地点それぞれにおける磁界の強さの勾配を検出することができる。そして、勾配磁界センサ12は、前述した通り、第1磁気シールド部SD1及び第2磁気シールド部SD2を備えることにより、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。
【0105】
なお、勾配磁界センサ12は、図24に示したような回路構成を有していてもよい。図24は、勾配磁界センサ12の回路構成の他の例を示す図である。
【0106】
勾配磁界センサ12は、交流電源接続端子CT1と、第1センサヘッドS1と、第2センサヘッドS2と、第0移相回路PS0と、交流電流制御部CC1と、検出回路DTと、検出信号出力端子CT2とに加えて、直流電源接続端子CT3と、直流電流制御部CC2を備える。また、直流電流制御部CC2は、入力端子CC21と、第1出力端子CC22と、第2出力端子CC23を有する。また、直流電流制御部CC2は、第1可変抵抗VR21と、第1インダクタL1と、第2可変抵抗VR22と、第2インダクタL2を備える。
【0107】
また、勾配磁界センサ12は、伝送路を介して、交流電源P1に加えて、直流電源P2とも接続される。より具体的には、勾配磁界センサ12が有する直流電源接続端子CT3は、伝送路を介して、直流電源P2が有する正極電源端子と接続される。そして、直流電源P2が有する負極電源端子は、伝送路を介して、グラウンドに接地される。ここで、直流電源P2は、如何なる直流電源であってもよい。なお、直流電源接続端子CT3と当該正極電源端子との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、当該負極電源端子とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0108】
また、直流電源接続端子CT3は、伝送路を介して、直流電流制御部CC2が有する入力端子CC21と接続される。なお、直流電源接続端子CT3と入力端子CC21との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0109】
また、直流電流制御部CC2において、入力端子CC21と第1出力端子CC22との間には、伝送路を介して、第1可変抵抗VR21と、第1インダクタL1とが直列に接続される。また、直流電流制御部CC2において、入力端子CC21と第2出力端子CC23との間には、伝送路を介して、第2可変抵抗VR22と、第2インダクタL2とが直列に接続される。なお、入力端子CC21と第1出力端子CC22との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第1可変抵抗VR21と、第1インダクタL1とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、入力端子CC21と第2出力端子CC23との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第2可変抵抗VR22と、第2インダクタL2とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、入力端子CC21と第1出力端子CC22との間において、第1可変抵抗VR21と、第1インダクタL1とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。また、入力端子CC21と第2出力端子CC23との間において、第2可変抵抗VR22と、第2インダクタL2とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。
【0110】
また、直流電流制御部CC2の第1出力端子CC22は、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13と第1磁気コアCR1とを接続する伝送路と、他の伝送路を介して接続されている。なお、第1出力端子CC22と、交流電流制御部CC1が有する第1出力端子CC13と第1磁気コアCR1とを接続する伝送路との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0111】
また、直流電流制御部CC2の第2出力端子CC23は、交流電流制御部CC1が有する第2出力端子CC14と第2磁気コアCR2とを接続する伝送路と、他の伝送路を介して接続されている。なお、第2出力端子CC23と、交流電流制御部CC1が有する第2出力端子CC14と第2磁気コアCR2とを接続する伝送路との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0112】
次に、図24に示した回路構成を有する勾配磁界センサ12の動作について説明する。
【0113】
図24に示した回路構成を有する勾配磁界センサ12において、直流電源P2は、直流電源接続端子CT3に直流電流を入力する。直流電源接続端子CT3に入力された直流電流は、直流励磁電流として直流電流制御部CC2に入力される。
【0114】
直流電流制御部CC2に入力された直流励磁電流は、第1直流励磁電流DC1と第2直流励磁電流DC2との2つの直流励磁電流に分岐される。
【0115】
直流電流制御部CC2において、第1直流励磁電流DC1は、第1可変抵抗VR21により大きさが調整される。そして、第1直流励磁電流DC1は、第1出力端子CC22から第1磁気コアCR1に入力する。これにより、第1検出コイルCL1には、第1磁気コアCR1に流れた第1交流励磁電流AC1と、第1磁気コアCR1に流れた第1直流励磁電流DC1と、第1検出コイルCL1に印加された磁界の強さとに応じた電圧が誘起される。すなわち、勾配磁界センサ12においても、当該電圧は、外部から第1検出コイルCL1に印加された磁界の強さに応じて変化する。以下では、説明の便宜上、当該電圧を、第3誘起電圧と称して説明する。なお、第1インダクタL1は、DCカップリングのためのインダクタである。第1インダクタL1の存在により、勾配磁界センサ12では、交流電流が第1出力端子CC22から入力端子CC21へ流れてしまうことを抑制することができる。
【0116】
一方、直流電流制御部CC2において、第2直流励磁電流DC2は、第2可変抵抗VR22により大きさが調整される。そして、第2直流励磁電流DC2は、第2出力端子CC23から第2磁気コアCR2に入力する。これにより、第2検出コイルCL2には、第2磁気コアCR2に流れた第2交流励磁電流AC2と、第2磁気コアCR2に流れた第2直流励磁電流DC2と、第2検出コイルCL2に印加された磁界の強さとに応じた電圧が誘起される。すなわち、勾配磁界センサ12においても、当該電圧は、外部から第2検出コイルCL2に印加された磁界の強さに応じて変化する。以下では、説明の便宜上、当該電圧を、第4誘起電圧と称して説明する。なお、第2インダクタL2は、DCカップリングのためのインダクタである。第2インダクタL2の存在により、勾配磁界センサ12では、交流電流が第2出力端子CC23から入力端子CC21へ流れてしまうことを抑制することができる。
【0117】
勾配磁界センサ12では、このようにして誘起された第3誘起電圧及び第4誘起電圧に応じた信号が、検出回路DTが有する第2入力端子DT2に差動信号Vout2として入力する。検出回路DTの位相検波回路PDは、このようにして入力された差動信号Vout2と、交流電源P1から入力された参照信号とのずれに応じた信号を、検波信号としてローパスフィルタLFに入力する。ローパスフィルタLFは、位相検波回路PDから入力された検波信号から所定の周波数以上の成分を除去した出力信号を誤差アンプEAの反転入力端子に出力する。誤差アンプEAは、誤差アンプEAの反転入力端子に入力された出力信号の電位とグラウンド電位との電位差に応じた信号を検出信号として、検出信号出力端子CT2と抵抗R1とのそれぞれに出力する。
【0118】
抵抗R1に入力された検出信号は、図示しないバッファ回路の存在により、第3コンデンサC3へ入力されることなく、帰還電流として第2入力端子DT2から第1検出コイルCL1に向かって流れていく。
【0119】
このような動作を行う検出回路DTには、調整を行うことにより、差動信号Vout2の信号レベルが0[V]である場合、信号レベルが0[V]の検出信号を検出信号出力端子CT2から出力させ、差動信号Vout2の信号レベルが0[V]ではない場合、信号レベルが0[V]ではない検出信号を検出信号出力端子CT2から出力させることができる。
【0120】
以上のように、図24に示した回路構成を有している場合であっても、勾配磁界センサ12は、勾配を検出することができる。
【0121】
なお、図24に示した回路構成を有する勾配磁界センサ12は、第1可変抵抗VR21と第2可変抵抗VR22とのいずれか一方を備えない構成であってもよい。また、当該勾配磁界センサ12は、第1可変抵抗VR21と第2可変抵抗VR22とのいずれか一方に代えて、抵抗値を変化させることができない抵抗素子を備える構成であってもよい。
【0122】
また、図24に示した回路構成を有する勾配磁界センサ12は、事前の試験等の結果を踏まえた上で、上記において説明した第1可変抵抗VR21及び第2可変抵抗VR22それぞれの抵抗値と同じ抵抗値の抵抗素子を用意できる場合、第1可変抵抗VR21と第2可変抵抗VR22とのいずれか一方又は両方に代えて、抵抗値を変化させることができない抵抗素子を備える構成であってもよい。
【0123】
また、図24に示した回路構成を有する勾配磁界センサ12は、第1インダクタL1と第2インダクタL2との少なくとも一方を備えない構成であってもよい。ただし、前述した通り、これらはDCカップリングのためのコンデンサである。このため、当該勾配磁界センサ12は、第1インダクタL1と第2インダクタL2との両方を備えている方が望ましい。
【0124】
また、図23に示した回路構成を有する勾配磁界センサ12は、交流電流制御部CC1に代えて、図25に示したように、交流電流制御部CC3を備える構成であってもよい。図25は、交流電流制御部CC3の回路構成の一例を示す図である。なお、図25では、交流電流制御部CC3と他の部材との接続態様を明確に示すため、交流電流制御部CC3とともに、交流電源P1と、交流電源接続端子CT1と、第0移相回路PS0と、第1磁気コアCR1と、第2磁気コアCR2とのそれぞれを示している。
【0125】
交流電流制御部CC3は、入力端子CC31と、第1出力端子CC32と、第2出力端子CC33を有する。また、交流電流制御部CC3は、反転回路RVCと、第1切替回路SWC1と、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1と、第2切替回路SWC2と、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2を備える。また、反転回路RVCは、入力端子RVC1と、出力端子RVC2を有する。また、第1切替回路SWC1は、第1入力端子SWC11と、第2入力端子SWC12と、出力端子SWC13を有する。また、第2切替回路SWC2は、第1入力端子SWC21と、第2入力端子SWC22と、出力端子SWC23を有する。
【0126】
交流電流制御部CC3が有する入力端子CC31は、伝送路を介して、第0移相回路PS0が有する出力端子PS02と接続される。なお、入力端子CC31と出力端子PS02との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0127】
また、交流電流制御部CC3において、入力端子CC31は、伝送路を介して、反転回路RVCが有する入力端子RVC1と、第1切替回路SWC1が有する第2入力端子SWC12と、第2切替回路SWC2が有する第2入力端子SWC22とのそれぞれと接続される。なお、入力端子CC31と入力端子RVC1との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、入力端子CC31と第2入力端子SWC12との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、入力端子CC31と第2入力端子SWC22との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0128】
また、反転回路RVCが有する出力端子RVC2は、伝送路を介して、第1切替回路SWC1が有する第1入力端子SWC11と、第2切替回路SWC2が有する第1入力端子SWC21とのそれぞれと接続される。なお、出力端子RVC2と第1入力端子SWC11との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子RVC2と第1入力端子SWC21との間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。
【0129】
また、第1切替回路SWC1が有する出力端子SWC13と交流電流制御部CC3が有する第1出力端子CC32との間には、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1とが直列に接続される。そして、第1出力端子CC32とグラウンドとの間には、伝送路を介して、第1センサヘッドS1の第1磁気コアCR1が接続される。この場合、第1交流励磁電流AC1は、第1出力端子CC32から第1磁気コアCR1に流れる交流電流のことである。なお、交流電流制御部CC3が有する第1出力端子CC32とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第1磁気コアCR1とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子SWC13と第1出力端子CC32との間において、第1移相回路PS1と、第1可変抵抗VR11と、第1コンデンサC1とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。
【0130】
また、第2切替回路SWC2が有する出力端子SWC23と交流電流制御部CC3が有する第2出力端子CC33との間には、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2とが直列に接続される。そして、第2出力端子CC33とグラウンドとの間には、伝送路を介して、第2センサヘッドS2の第2磁気コアCR2が接続される。この場合、第2交流励磁電流AC2は、第2出力端子CC33から第2磁気コアCR2に流れる交流電流のことである。なお、交流電流制御部CC3が有する第2出力端子CC33とグラウンドとの間には、勾配磁界センサ12が有する機能を損なわない範囲内において、第2磁気コアCR2とともに、他の回路素子、他の装置等が接続される構成であってもよい。また、出力端子SWC23と第2出力端子CC33との間において、第2移相回路PS2と、第2可変抵抗VR12と、第2コンデンサC2とは、如何なる順で直列に接続される構成であってもよい。
【0131】
次に、交流電流制御部CC3の動作について説明する。
【0132】
上記のような回路構成の交流電流制御部CC3において、入力端子CC31から入力された交流電流は、2つに分岐される。
【0133】
2つに分岐された交流電流の一方は、第11交流励磁電流AC11として反転回路RVCに入力される。これにより、第11交流励磁電流AC11の位相は、反転回路RVCにより反転される。そして、反転回路RVCから出力された第11交流励磁電流AC11は、第1切替回路SWC1が有する第1入力端子SWC11と第2切替回路SWC2が有する第1入力端子SWC21とのそれぞれに入力される。
【0134】
一方、2つに分岐された交流電流の他方は、第12交流励磁電流AC12として、第1切替回路SWC1が有する第2入力端子SWC12と第2切替回路SWC2が有する第2入力端子SWC22とのそれぞれに入力される。
【0135】
ここで、第1切替回路SWC1は、入力された第11交流励磁電流AC11と、入力された第12交流励磁電流AC12とのいずれか一方を、第1交流励磁電流AC1として第1移相回路PS1に出力する。また、第2切替回路SWC2は、入力された第11交流励磁電流AC11と、入力された第12交流励磁電流AC12とのいずれか一方を、第2交流励磁電流AC2として第2移相回路PS2に出力する。
【0136】
すなわち、勾配磁界センサ12では、反転回路RVCと、第1切替回路SWC1と、第2切替回路SWC2とのそれぞれによって、第1交流励磁電流AC1と第2交流励磁電流AC2とのそれぞれを、互いに位相が反転している電流とするか、互いに位相が同じ電流とするかを切り替えることができる。その結果、勾配磁界センサ12は、第1移相回路PS1と第2移相回路PS2とのそれぞれとして、互いに位相を進ませる移相回路を備える構成であってもよく、互いに位相を遅らせる移相回路を備える構成であってもよく、位相を遅らせる移相回路と位相を進ませる移相回路とを備える構成であってもよい。すなわち、勾配磁界センサ12が交流電流制御部CC3を備えることにより、勾配磁界センサ12は、回路設計の自由度を向上させることができる。
【0137】
なお、勾配磁界センサ12は、第1切替回路SWC1と第2切替回路SWC2との少なくとも一方を備えない構成であってもよい。
【0138】
以上のように、勾配磁界センサ12は、交流電流制御部CC1に代えて、図25に示した交流電流制御部CC3を備える場合であっても、勾配を検出することができる。
【0139】
なお、上記において説明した第1磁気コアCR1は、直列に接続された2以上の磁性体を含む構成であってもよい。この場合、第1磁気コアCR1は、これら2以上の磁性体のうちの一部又は全部は、非磁性の導体によって直列に接続される構成であってもよい。ここで、図26は、複数の磁性体を含む第1磁気コアCR1の構成の一例を示す図である。図26に示した例では、第1磁気コアCR1は、2つの磁性体を含んでいる。より具体的には、当該例では、第1磁気コアCR1は、磁性体CR1Aと、磁性体CR1Bと、非磁性の導体CR1Cと、端子CR1Dと、端子CR1Eを有する。そして、磁性体CR1Aと磁性体CR1Bとは、導体CR1Cによって接続されている。また、磁性体CR1Aが有する端部のうち導体CR1Cと接続されている端部と反対側の端部には、端子CR1Dが設けられている。端子CR1Dは、例えば、図23において、交流電流制御部CC1の第1出力端子CC13と接続されている端子である。また、磁性体CR1Bが有する端部のうち導体CR1Cと接続されている端部と反対側の端部には、端子CR1Eが設けられている。端子CR1Eは、例えば、図23において、グラウンドに接地されている端子である。
【0140】
また、上記において説明した第2磁気コアCR2は、直列に接続された2以上の磁性体を含む構成であってもよい。この場合、第2磁気コアCR2は、これら2以上の磁性体のうちの一部又は全部は、非磁性の導体によって直列に接続される構成であってもよい。なお、複数の磁性体を含む第2磁気コアCR2の構成については、複数の磁性体を含む第1磁気コアCR1の構成と同様の構成であるため、図示による説明を省略する。
【0141】
<実施形態の変形例1>
以下、実施形態の変形例1について説明する。実施形態の変形例1では、勾配磁界センサ12は、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との1組のセンサヘッドに加えて、他の1組以上のセンサヘッドを備える構成であってもよい。
【0142】
図27は、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との組と、第3センサヘッドS3と第4センサヘッドS4との組との2組のセンサヘッドを備える勾配磁界センサ12の一例を示す図である。また、図27は、X軸の負方向に向かって当該勾配磁界センサ12を見た場合の正面図である。なお、図27でも、図が煩雑になるのを防ぐため、勾配磁界センサ12の本体部を省略している。図27に示した例では、第1センサヘッドS1~第4センサヘッドS4のそれぞれは、X軸の正方向に向かって延伸する直線形状の物体として描かれている。また、当該例では、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とは、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間内において、シート部材STの直上に配置されている。一方、当該例では、第3センサヘッドS3と第4センサヘッドS4とは、当該空間内において、シート部材STの直下に配置されている。そして、当該例では、Z軸の負方向に向かって第1センサヘッドS1~第4センサヘッドS4を見た場合、第1センサヘッドS1は、第3センサヘッドS3と重なっている。また、当該例では、当該場合、第2センサヘッドS2は、第4センサヘッドS4と重なっている。なお、第1センサヘッドS1は、当該場合、第3センサヘッドS3と重ならない構成であってもよい。また、第2センサヘッドS2は、当該場合、第4センサヘッドS4と重ならない構成であってもよい。
【0143】
ここで、第3センサヘッドS3と第4センサヘッドS4との1組のセンサヘッドは、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との1組のセンサヘッドと同じ構成を有する。このため、以下では、第3センサヘッドS3と第4センサヘッドS4との1組のセンサヘッドについての詳細な説明を省略する。なお、勾配磁界センサ12が第1センサヘッドS1~第4センサヘッドS4を備える場合、図23図25のそれぞれに示した回路構成には、第3センサヘッドS3と第4センサヘッドS4との1組のセンサヘッドに対する回路が追加される。第3センサヘッドS3と第4センサヘッドS4との1組のセンサヘッドに担わせる役割は、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との1組のセンサヘッドと同じ役割である。そして、当該場合において当該回路構成に追加される回路は、冗長な機能を持たせない限り、自明である。このため、当該場合において当該回路構成に追加される回路の詳細についても、省略する。なお、第3センサヘッドS3と第4センサヘッドS4とのそれぞれが磁界の強度を検出する位置は、互いに異なる位置であり、前述の第1位置及び第2位置とも異なる位置であり、第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との少なくとも一方に対する相対的な位置として決められる位置である。このような事情は、後述する他のセンサヘッドの組(例えば、第5センサヘッドS5と第6センサヘッドS6との組、第7センサヘッドS7と第8センサヘッドS8との組等)についても、同様である。
【0144】
勾配磁界センサ12では、図27に示したように第1センサヘッドS1~第4センサヘッドS4の4つのセンサヘッドを備える場合、センサヘッド領域は、これら4つのセンサヘッドのそれぞれを辺として有する直方体形状の領域である。そして、当該場合、センサヘッド領域に直交する方向は、当該直方体形状の領域の上面又は下面と直交する方向のことである。勾配磁界センサ12は、これら4つのセンサヘッドを備えることにより、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との組と、第3センサヘッドS3と第4センサヘッドS4との組との2組のセンサヘッドにより、検出対象物の検出を行う。これにより、勾配磁界センサ12は、検出対象物の検出についての誤検出の発生を抑制することができる。また、これにより、勾配磁界センサ12は、より広い範囲(図27に示した例では、シート部材STの上面と下面との両面)からの検出対象物を行うことができるとともに、検出対象物の検出をより高精度で行うことができる。
【0145】
なお、勾配磁界センサ12では、図28に示したように、第1センサヘッドS1~第4センサヘッドS4は、例えば、シート部材STの直上に位置するように配置されてもよい。図28は、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との1組のセンサヘッドと、第3センサヘッドS3と第4センサヘッドS4との1組のセンサヘッドとを備える勾配磁界センサ12の他の例を示す図である。図28に示した例でも、第1センサヘッドS1~第4センサヘッドS4のそれぞれは、X軸の正方向に向かって延伸する直線形状の物体として描かれている。また、当該例では、第1センサヘッドS1~第4センサヘッドS4のそれぞれは、第1センサヘッドS1、第2センサヘッドS2、第3センサヘッドS3、第4センサヘッドS4の順にY軸の正方向に向かって並んでいる。そして、当該例では、第1センサヘッドS1~第4センサヘッドS4のそれぞれは、XY平面とへ行こうな1つの仮想的な平面に含まれている。この場合、センサヘッド領域は、第1センサヘッドS1と第4センサヘッドS4とのそれぞれを対向する辺として有する仮想的な四角形の領域のことである。図28に示した例であっても、勾配磁界センサ12は、検出対象物の検出についての誤検出の発生を抑制することができる。また、これにより、勾配磁界センサ12は、より広い範囲(図28に示した例では、シート部材STの上面における広い範囲)からの検出対象物を行うことができるとともに、検出対象物の検出をより高精度で行うことができる。
【0146】
また、勾配磁界センサ12は、例えば、図29に示したように、第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2との組と、第3センサヘッドS3と第4センサヘッドS4との組と、第5センサヘッドS5と第6センサヘッドS6との組と、第7センサヘッドS7と第8センサヘッドS8との組との4組のセンサヘッドを備える構成であってもよい。図29は、4組のセンサヘッドを備える勾配磁界センサ12の一例を示す図である。図29に示した例では、第1センサヘッドS1~第8センサヘッドS8のそれぞれは、X軸の正方向に向かって延伸する直線形状の物体として描かれている。ただし、当該例では、第1センサヘッドS1と第5センサヘッドS5とが同軸上に位置するように配置される。また、当該例では、第2センサヘッドS2と第6センサヘッドS6とが同軸上に位置するように配置される。また、当該例では、第3センサヘッドS3と第7センサヘッドS7とが同軸上に位置するように配置される。また、当該例では、第4センサヘッドS4と第8センサヘッドS8とが同軸上に位置するように配置される。そして、当該例では、第1センサヘッドS1~第8センサヘッドS8のそれぞれは、XY平面とへ行こうな1つの仮想的な平面に含まれている。この場合、センサヘッド領域は、第1センサヘッドS1及び第5センサヘッドS5と、第4センサヘッドS4及び第8センサヘッドS8とのそれぞれを対向する辺として有する仮想的な四角形の領域のことである。図29に示した例であっても、勾配磁界センサ12は、検出対象物の検出についての誤検出の発生を抑制することができる。また、これにより、勾配磁界センサ12は、より広い範囲(図29に示した例では、シート部材STの上面における広い範囲)からの検出対象物を行うことができるとともに、検出対象物の検出をより高精度で行うことができる。
【0147】
<実施形態の変形例2>
勾配磁界センサ12により得られる効果は、第2磁気シールド部SD2を備えない勾配磁界センサ12Xでは得られない効果である。しかしながら、勾配磁界センサ12により得られる効果は、勾配磁界センサ12Xとともに、勾配磁界センサ12Xと別体の第2磁気シールド部SD2を用いることによっても、得ることができる。そこで、実施形態の変形例2では、勾配磁界センサ12Xとともに第2磁気シールド部SD2を用いて、勾配磁界センサ12により得られる効果と同じ効果を得る方法について説明する。
【0148】
この場合、勾配磁界センサ12Xを利用するユーザは、例えば、図30に示したフローチャートの手順に則って、検出対象物の検出を勾配磁界センサ12Xに行わせる。図30は、検出対象物の検出を勾配磁界センサ12Xに行わせる手順の流れの一例を示す図である。
【0149】
勾配磁界センサ12Xを利用するユーザは、勾配磁界センサ12Xを予め決められた位置へと配置する(ステップS110)。ここで、当該予め決められた位置は、例えば、勾配磁界センサ12Xを配置可能な位置のうち、第1磁気シールド部SD1と、勾配磁界センサ12Xと別体の第2磁気シールド部SD2との間の空間に第1センサヘッドS1と第2センサヘッドS2とが位置する位置であれば、如何なる位置であってもよい。ここで、第2磁気シールド部SD2は、例えば、シート部材STの直下に位置するように、図1に示した枠体CS等により支持されている。当該ユーザは、ステップS110において、勾配磁界センサ12Xを移動させて、当該予め決められた位置へと勾配磁界センサ12Xを配置させる。ここで、前述の有効シールド領域円が広くなるようにユーザがステップS110の手順を実行するほど、勾配磁界センサ12Xは、検出対象物の検出において、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。
【0150】
次に、勾配磁界センサ12Xを利用するユーザは、第2ローラRL2によるシート部材STの巻き取りを開始させることにより、ステップS110における勾配磁界センサ12Xの配置によって形成された第1磁気シールド部SD1と第2磁気シールド部SD2との間の空間内において、第1センサヘッドS1及び第2センサヘッドS2に対するシート部材STの移動を開始させる(ステップS120)。このようにして、勾配磁界センサ12Xは、シート部材STに付着した検出対象物を検出することができる。その後、当該ユーザは、図30に示したフローチャートの手順を終了させる。
【0151】
以上のような方法により、勾配磁界センサ12Xを利用するユーザは、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制しながら、勾配磁界センサ12Xを用いて検出対象物の検出を行うことができる。
【0152】
なお、上記において説明した事項は、如何様に組み合わされてもよい。
【0153】
以上のように、実施形態に係る勾配磁界センサ(上記において説明した例では、勾配磁界センサ12)は、磁性体製の第1磁気シールド部(上記において説明した例では、第1磁気シールド部SD1)と、磁性体製であり、第1磁気シールド部と対向する第2磁気シールド部(上記において説明した例では、第2磁気シールド部SD2)と、第1磁気シールド部と第2磁気シールド部との間の空間に配置され、予め決められた第1位置の磁界の強度を検出する第1センサヘッド(上記において説明した例では、第1センサヘッドS1)と、当該空間に配置され、第1位置と異なる第2位置の磁界の強度を検出する第2センサヘッド(上記において説明した例では、第2センサヘッドS2)と、を備える。これにより、勾配磁界センサは、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。
【0154】
また、勾配磁界センサでは、第1センサヘッドと第2センサヘッドとのそれぞれは、直線形状の部分を有し、第2センサヘッドの直線形状の部分は、第1センサヘッドの直線形状の部分と略平行又は略同軸上に配置される、構成が用いられてもよい。
【0155】
また、勾配磁界センサでは、第1磁気シールド部は、第1センサヘッド及び第2センサヘッド側の第1面(上記において説明した例では、第1面M1)を有し、第2磁気シールド部は、第1センサヘッド及び第2センサヘッド側の第2面(上記において説明した例では、第2面M2)を有し、第1面及び第2面は、第1センサヘッドの直線形状の部分と第2センサヘッドの直線形状の部分とを含む平面状の仮想的な領域と略平行である、構成が用いられてもよい。
【0156】
また、勾配磁界センサでは、第1面と直交する方向における第1面と第2面との間の距離(上記において説明した例では、距離g)は、第1面と直交する方向において第1磁気シールド部と第2磁気シールド部とが重なった領域(上記において説明した例では、有効シールド領域)の輪郭に内接する円(上記において説明した例では、有効シールド領域円)のうち、第1センサヘッドの直線形状の部分と第2センサヘッドの直線形状の部分とに応じて決まる位置(上記において説明した例では、センサヘッド領域の図心の位置)を中心とする円の直径(上記において説明した例では、直径D)に応じた距離である、構成が用いられてもよい。
【0157】
また、勾配磁界センサでは、第1面と直交する方向における第1面と第2面との間の距離は、直径の5分の1以下である、構成が用いられてもよい。
【0158】
また、勾配磁界センサでは、第1面と直交する方向における第1面と第2面とのそれぞれの厚さ(上記において説明した例では、厚さt)は、第1面と直交する方向における第1面と第2面との間の距離と、第1磁気シールド部及び第2磁気シールド部の比透磁率とに応じた厚さである、構成が用いられてもよい。
【0159】
また、勾配磁界センサでは、厚さは、第1面と直交する方向における第1面と第2面との間の距離の500倍の値を、第1磁気シールド部及び第2磁気シールド部の比透磁率で除した値以上である、構成が用いられてもよい。
【0160】
また、勾配磁界センサでは、第1センサヘッドの直線形状の部分と第2センサヘッドの直線形状の部分とを含む平面状の仮想的な領域に直交する方向において、第1磁気シールド部と第2磁気シールド部とが重なった領域の輪郭に内接する円のうち、第1センサヘッドの直線形状の部分と第2センサヘッドの直線形状の部分とに応じて決まる位置を中心とする円の直径は、第1センサヘッドの直線形状の部分の長さと第2センサヘッドの直線形状の部分の長さ(上記において説明した例では、長さL)とのそれぞれの2倍以上の長さである、構成が用いられてもよい。
【0161】
また、勾配磁界センサでは、第1磁気シールド部の形状と第2磁気シールド部の形状とは、互いに同じ形状であり、円形平板形状、楕円形平板形状、矩形平板形状のいずれかである、構成が用いられてもよい。
【0162】
また、勾配磁界センサでは、第1磁気シールド部と第2磁気シールド部との少なくとも一方は、積層された複数の磁性体(上記において説明した例では、磁気シールド部SD11~磁気シールド部SD13、磁気シールド部SD21~磁気シールド部SD23)を含む、構成が用いられてもよい。
【0163】
また、勾配磁界センサは、当該空間に配置され、第1位置、第2位置のそれぞれと異なる第3位置の磁界の強度を検出する第3センサヘッド(上記において説明した例では、第3センサヘッドS3等)と、空間に配置され、第1位置、第2位置、第3位置のそれぞれと異なる第4位置の磁界の強度を検出する第4センサヘッド(上記において説明した例では、第4センサヘッドS4等)と、を備える、構成が用いられてもよい。
【0164】
また、実施形態に係る磁性物検出装置は、上記に記載の勾配磁界センサを備える。これにより、磁性物検出装置は、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。
【0165】
また、実施形態に係る磁性物検出方法は、磁性体製の第1磁気シールド部と、予め決められた第1位置の磁界の強度を検出する第1センサヘッドと、第1位置と異なる第2位置の磁界の強度を検出する第2センサヘッドとを備える勾配磁界センサ(上記において説明した例では、勾配磁界センサ12X)による磁性物検出方法であって、予め決められた方向(上記において説明した例では、重力方向)において、第1磁気シールド部は、第1センサヘッド及び第2センサヘッドと重なっており、磁性物検出方法は、第1磁気シールド部と、磁性体製の第2磁気シールド部との間の空間に第1センサヘッドと第2センサヘッドとが位置するように勾配磁界センサを配置する第1ステップ(上記において説明した例では、ステップS110)と、検出対象物を移動させ、当該空間を通過させる第2ステップ(上記において説明した例では、ステップS120)と、を有する。これにより、磁性物検出方法は、ノイズとなる磁界を検出してしまうことを抑制することができる。
【0166】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【符号の説明】
【0167】
1…磁性物検出装置、11…着磁装置、12、12X…勾配磁界センサ、20…情報処理装置、AC1…第1交流励磁電流、AC2…第2交流励磁電流、AC11…第11交流励磁電流、AC12…第12交流励磁電流、C1…第1コンデンサ、C2…第2コンデンサ、C3…第3コンデンサ、CC1…交流電流制御部、CC2…直流電流制御部、CC3…交流電流制御部、CL1…第1検出コイル、CL2…第2検出コイル、CR1…第1磁気コア、CR2…第2磁気コア、CS…枠体、DC1…第1直流励磁電流、DC2…第2直流励磁電流、DT…検出回路、EA…誤差アンプ、L1…第1インダクタ、L2…第2インダクタ、LF…ローパスフィルタ、M1…第1面、M2…第2面、O…検出対象物、P1…交流電源、P2…直流電源、PD…位相検波回路、PS0…第0移相回路、PS1…第1移相回路、PS2…第2移相回路、R1…抵抗、RL1…第1ローラ、RL2…第2ローラ、RVC…反転回路、S1…第1センサヘッド、S2…第2センサヘッド、S3…第3センサヘッド、S4…第4センサヘッド、S5…第5センサヘッド、S6…第6センサヘッド、S7…第7センサヘッド、S8…第8センサヘッド、SD1…第1磁気シールド部、SD2…第2磁気シールド部、SD11、SD12、SD13、SD21、SD22、SD23…磁気シールド部、ST…シート部材、SWC1…第1切替回路、SWC2…第2切替回路、TC…三次元座標系、VR11、VR21…第1可変抵抗、VR12、VR22…第2可変抵抗
図1
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