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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144280
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】プリンタ及び製本用補助具
(51)【国際特許分類】
   B42C 5/00 20060101AFI20231003BHJP
   B42B 5/00 20060101ALI20231003BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231003BHJP
   B65H 31/22 20060101ALI20231003BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20231003BHJP
   B65H 31/34 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B42C5/00
B42B5/00
G03G15/00 432
G03G15/00 440
B65H31/22
B65H37/04 A
B65H31/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051189
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 彰
【テーマコード(参考)】
2H072
3F054
3F108
【Fターム(参考)】
2H072FB01
2H072GA09
2H072HB07
2H072JA04
3F054AA01
3F054AC05
3F054BA02
3F054BC14
3F054BD03
3F054BH00
3F054BH07
3F054DA01
3F108GA04
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA12
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、用紙束をきれいに揃えて製本することができるプリンタを提供する。
【解決手段】プリンタ100は、上排出口13b(排出部)から排紙された用紙201を溜める排紙トレイ12aと、用紙201の両側縁201b,201cをガイドする一対の側板112,113(側縁ガイド部)が設けられ、上排出口13bから排紙された用紙201が積み重ねられる位置に、排紙トレイ12aに一体に保持された保持部材110と、を有し、保持部材110は、排出された用紙201が一対の側板112,113に当たることにより作用する力に応じて、一対の側版112,113の間に用紙201が収まる用紙201の幅方向Wの位置に移動するように保持されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出部から排紙された用紙を溜める排紙トレイと、
前記用紙の両側縁をガイドする一対の側縁ガイド部が設けられ、前記排出部から排紙された前記用紙が積み重ねられる位置に、前記排紙トレイに一体に又は前記排紙トレイから取り出せる状態で保持された保持部材と、を有し、
前記保持部材は、前記排出された用紙が前記一対の側縁ガイド部に当たることにより作用する力に応じて、前記一対の側縁ガイド部の間に前記用紙が収まる前記用紙の幅方向の位置に移動するように保持されているプリンタ。
【請求項2】
前記保持部材は、おもて表紙、裏表紙及び背表紙が一体に形成された表紙部材を、前記背表紙に対向する部分を前記排出部に臨んだ状態で開口させて、略V字状に保持する、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記用紙の束を、前記表紙部材と一体に綴じる綴じ部を有する請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記背表紙を前記綴じ部に向けて変位させるように、前記保持部材を押圧する押圧部を備えた、請求項3に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記保持部材は、前記排出部から排出された用紙の縁を揃える用紙揃え部を有する請求項1から4のうちいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項6】
プリンタの排出部から排紙された用紙を溜める排紙トレイに排紙された前記用紙が積み重ねられる位置に配置可能で、
おもて表紙、裏表紙及び背表紙が一体に形成された表紙部材を、前記背表紙に対向する部分を前記排出部に臨んだ状態で開口させて、略V字状に保持する製本用補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ及び製本用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ等で撮影された画像を所定の用紙にプリントし、このプリントされた用紙を複数枚束ねて製本したフォトブックが知られている。このようなフォトブックを作成する場合、束ねられる用紙の縁をきれいに揃える必要がある。
【0003】
また、フォトブックとして、プリントされた用紙を製本する場合、用紙束に、おもて表紙、裏表紙、背表紙を設ける必要がある。
【0004】
ここで、背表紙を直角に折り曲げた状態で、おもて表紙上に、プリントした用紙を積み重ねて製本するプリンタがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-337478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されたプリンタは、おもて表紙と背表紙とが一体になったおもて表紙部材に、印刷された用紙の縁を揃えて重ね配置し、その後に裏表紙を貼り付けるため、装置として大掛かりで複雑な構成となっている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、簡易な構成で、用紙束をきれいに揃えて製本することができるプリンタ及び製本用補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1は、排出部から排紙された用紙を溜める排紙トレイと、前記用紙の両側縁をガイドする一対の側縁ガイド部が設けられ、前記排出部から排紙された前記用紙が積み重ねられる位置に、前記排紙トレイに一体に又は前記排紙トレイから取り出せる状態で保持された保持部材と、を有し、前記保持部材は、前記排出された用紙が前記一対の側縁ガイド部に当たることにより作用する力に応じて、前記一対の側縁ガイド部の間に前記用紙が収まる前記用紙の幅方向の位置に移動するように保持されているプリンタである。
【0009】
本発明の第2は、プリンタの排出部から排紙された用紙を溜める排紙トレイに排紙された前記用紙が積み重ねられる位置に配置可能で、おもて表紙、裏表紙及び背表紙が一体に形成された表紙部材を、前記背表紙に対向する部分を前記排出部に臨んだ状態で開口させて、略V字状に保持する製本用補助具である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るプリンタ及び製本用補助具によれば、簡易な構成で、用紙束をきれいに揃えて製本することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】昇華型サーマルプリンタ(以下、プリンタという。)の外観を示す斜視図である。
図2図1のプリンタを前方から見た正面図である。
図3図2のA-A線に沿った面(プリンタの幅方向Wの中心を通り、前後方向Lに沿った鉛直面)による断面図である。
図4】保持部材を示す斜視図である。
図5】保持部材が表紙部材を保持した状態で排紙トレイにセットされた状態を示す斜視図である。
図6図5の状態のプリンタを前方から見た正面図である。
図7図5の状態における保持部材及び表紙部材を含む要部斜視図である。
図8図7に示した状態の平面図である。
図9図7におけるB-B線に沿った面による断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るプリンタ及び製本用補助具の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0013】
<構成>
図1は昇華型サーマルプリンタ100(以下、プリンタ100という。)の外観を示す斜視図、図2図1のプリンタ100を前方から見た正面図、図3図2のA-A線に沿った面(プリンタ100の幅方向Wの中心を通り、前後方向Lに沿った鉛直面)による断面図、である。
【0014】
図示のプリンタ100は、本発明に係るプリンタの一実施形態である。プリンタ100は、ケース10と、枚葉紙収容部21と、ロール紙収容部22と、プリント部30と、カッター部40と、筋入れ部50と、搬送手段70と、搬送路80と、ヒータ部90(綴じ部の一例)と、押圧部98と、保持部材110と、を備えている。
【0015】
(ケース)
ケース10は、図1に示すように、ケース本体11と、上面カバー12と、前面上カバー13と、前面中カバー14と、前面下カバー15と、を備えている。ケース本体11は、主に、幅方向Wの両側面と前後方向Lの後面とを覆うように形成されている。
【0016】
上面カバー12は、ケース本体11の高さ方向Hの上面の開口を塞ぐように配置され、枚葉紙201(以下、単に用紙201ともいう。)や、ロール紙202から巻き解かれた用紙203(以下、単に用紙203ともいう。)が溜められる排紙トレイ12aとして機能するように、外周縁のうち両側縁と後端縁とを除いた前端側の部分と内側の部分が凹んで形成されている。
【0017】
なお、上面カバー12の、排紙トレイ12aの底面12bは、図3に示すように、略水平に形成されている。ただし、底面12bは、前後方向Lの後方から前方に向けて低くなるように傾斜して形成されていてもよいし、反対に、前方から後方に向けて低くなるように傾斜して形成されていてもよい。なお、前後方向Lの傾斜の有無に拘わらず、底面12bは、幅方向Wについては略水平で、左右のいずれかにも傾斜していない。
【0018】
そして、図3に示すように、後述する前面上カバー13の前側に形成され、後方に向けて開口した上排出口13b(排出部)から、図3の矢印に示すように後方に向けて排出された用紙201,203は、排紙トレイ12aの底面12bに積み重ねて溜められる。
【0019】
排紙トレイ12aの後端部には、開口12cが形成されている。開口12cには、後述する保持部材110に保持された表紙部材300の背表紙302(図9参照)が挿入される。開口12cの奥には、ヒータ部90(綴じ部の一例)が設けられている。
【0020】
前面上カバー13はプリンタ100の前面の上部に配置され、前面下カバー15はプリンタ100の前面の下部に配置され、前面中カバー14はプリンタ100の前面の、前面上カバー13と前面下カバー15との間に配置されている。
【0021】
(内部引き出しユニット)
前面上カバー13と前面中カバー14は、内部引き出しユニット60(引き出しユニットの一例)に設けられている。内部引き出しユニット60は、ケース本体11と上面カバー12とで囲まれた内部に配置されていて、前面中カバー14の下部に形成された指掛け部14aに指を掛けて前後方向Lの前方に引くことで、ケース本体11及び上面カバー12に対し前方に引き出し可能となっている。
【0022】
内部引き出しユニット60は、前面上カバー13及び前面中カバー14の他、ロール紙収容部22、プリント部30のインクリボン32及びプラテンローラ33、カッター部40、搬送手段70、並びに搬送路80が一体に備えられている。
【0023】
前面上カバー13は図1に示した閉じた状態から、内部引き出しユニット60が、ケース本体11及び上面カバー12で囲まれた内部から前方に引き出された状態で、上後方に向けて回動可能に支持されている。前面上カバー13が上後方に回動して開いた状態となることにより、ロール紙収容部22の前方の一部及び上方の一部を開放する。これにより、ケース10の内部に形成されたロール紙収容部22を露出させ、ロール紙収容部22にロール紙202を出し入れすることができる。
【0024】
前面上カバー13の後面には、プリント済みの用紙201,203を、後方の、上面カバー12に形成された排紙トレイ12aに排出する上排出口13bが形成されている。
【0025】
前面中カバー14には、ごみ箱16が設けられている。ごみ箱16は、後述するカッター部40の下方に配置されて、カッター部40により切断されて用紙201,203から切り離された紙片を収容する部分であり、前面中カバー14に対して着脱可能に取り付けられている。
【0026】
ごみ箱16に溜められた切り屑等は、ごみ箱16を前面中カバー14から取り外した状態で、除去することができる。
【0027】
前面下カバー15は、トレイ状の枚葉紙収容部21の前面に形成されている(前面下カバー15は、枚葉紙収容部21の一部である。)。
【0028】
(枚葉紙収容部)
枚葉紙収容部21は、図3に示すように、プリンタ100の最下部に設けられ、ロール紙収容部22の下方に配置されている。枚葉紙収容部21は、予め所定の大きさに切断された枚葉紙201を厚さ方向に重ねて収容している。
【0029】
枚葉紙収容部21は、前面下カバー15の上部に形成された指掛け部15aに指を掛けて前後方向Lの前方に引くことで、ケース本体11及び上面カバー12に対して前方に引き出し可能に設けられている。そして、枚葉紙収容部21は、ケース本体11及び上面カバー12に対して前方に引き出された状態で上方が開放され、この開放された上方から、内部に収容する枚葉紙201を出し入れすることができる。
【0030】
(ロール紙収容部)
ロール紙収容部22は、長尺の用紙がロール状に巻かれたロール紙202を収容する部分である。ロール紙収容部22は、ロール紙202の軸がプリンタ100の幅方向Wに平行となる姿勢で、ロール紙202を収容する。
【0031】
ロール紙202は、図3において、ロール紙202の下端から図示の右方向に用紙203が引き出さて巻き解かれることにより、図示の反時計回りに回転する向きに配置される。
【0032】
(プリント部)
プリント部30は、ロール紙収容部22の後方に配置されている。プリント部30は、プリンタ100の図示しない制御部の制御によって、搬送路80のうちロール紙収容部22の後方において略鉛直方向に立ち上がった部分(後述するプリント路82)を通過する用紙201,203にプリントを行う。
【0033】
プリント部30は、サーマルヘッド31と、インクリボン32と、プラテンローラ33と、を備えている。インクリボン32のリボンには、昇華染料が塗布されている。インクリボン32は、用紙201,203の搬送に同期して、繰り出し側ロール32aから巻き取り側ロール32bにリボンを送り、インクリボン32に接したサーマルヘッド31の発熱によって、インクリボン32の昇華染料を用紙201,203に拡散転写することで、プリントを行う。
【0034】
インクリボン32は内部引き出しユニット60に設けられていて、内部引き出しユニット60を、ケース本体11から前方に引き出して、前面上カバー13を上後方に回転させない状態で、インクリボン32を、ロール紙収容部22の上方を円弧状に通して、前方に引き出すことができる。
【0035】
これにより、内部引き出しユニット60の、上面カバー12と前面上カバー13との間で開放された上方に、インクリボン32を取り出すことができ、インクリボン32の交換を容易にしている。
【0036】
プラテンローラ33は、用紙201,203を挟んでインクリボン32及びサーマルヘッド31の反対側に配置されている。プラテンローラ33は、用紙201,203をインクリボン32に押し付ける。
【0037】
(カッター部)
カッター部40は、ロール紙収容部22の前方で、前面上カバー13の内部に配置されている。カッター部40は、プリンタ100の図示しない制御部の制御によって、搬送路80のうちロール紙収容部22の上方から前方に延びた部分(後述する排出路83)を通過する用紙201,203を、幅方向Wに沿って切断する。切断された用紙201の切断片は、カッター部40の下方に配置されたごみ箱16の内部に落下して溜められる。
【0038】
(筋入れ部)
筋入れ部50は、ロール紙収容部22の後方に配置されている。この筋入れ部50の配置位置は、枚葉紙収容部21の上方の位置で、プリント部30の下方の位置でもある。筋入れ部50は、プリンタ100の図示しない制御部の制御によって、搬送路80のうち、ロール紙収容部22の下方を、前後方向Lに沿って延びた部分(後述する筋入れ路88)を通過する枚葉紙201に、幅方向Wに沿って延びた凹みである筋を形成する。
【0039】
この筋入れ部50が用紙201に形成する筋は、用紙201の折り線を誘導するものであり、例えばプリント済みの枚葉紙201を複数枚束ねてフォトブック400を作成したときの、各枚葉紙201の見開き性を向上させたり、単一の枚葉紙201で作成されたグリーティングカードの中心の折り目を形成させたりする。
【0040】
(搬送路)
搬送路80は、用紙201,203が搬送される通路である。搬送路80のうち、まず、枚葉紙201が搬送される部分を説明する。
【0041】
搬送路80の、枚葉紙201が搬送される部分は、給紙路81と、プリント路82と、排出路83と、上排出路85と、プリント上流路86と、プリント下流路87と、筋入れ路88と、を備えている。
【0042】
給紙路81は、枚葉紙収容部21の前端から上方に向かって延び、ロール紙収容部22の前方で、かつ前面中カバー14の後方に形成された空間において、後方及び下方に向かうように折り返して延び、ロール紙収容部22の下方で、かつ枚葉紙収容部21の上方を、ロール紙収容部22の後方に向かって延び、さらに、ロール紙収容部22の後方において、上方に立ち上がった位置まで形成されている。
【0043】
プリント路82は、給紙路81に続いて、ロール紙収容部22の後方において、ロール紙収容部22の後方に沿うように上方に立ち上がるように延び、さらに、ロール紙収容部22の上方において、ロール紙収容部22の上方の前部まで、前方に向かって延びている。前述したプリント部30は、プリント路82に配置されている。
【0044】
排出路83は、プリント路82に続いて、ロール紙収容部22の上方の前部から前後方向Lに沿って前方に延びている。前述したカッター部40は、排出路83に配置されている。排出路83は、カッター部40よりも前方の位置まで延びている。
【0045】
上排出路85は、排出路83に続いて、上排出口13bまで上方及び後方に曲がって延びている。
【0046】
プリント上流路86は、プリント路82に続いて、ロール紙収容部22の上方の前部から、ロール紙収容部22の外周と同心円状に、ロール紙収容部22の下方に向かって、給紙路81に突き当たる手前の位置まで延びている。
【0047】
プリント上流路86と排出路83との分岐部には、回動可能のプリント排出切替フラップが設けられていて、プリンタ100の図示しない制御部の制御によって回動する。プリント排出切替フラップの回動により、プリント路82を前方に進んだ用紙201が、排出路83に進むか、プリント上流路86に進むか、が切り替えられる。
【0048】
プリント下流路87は、プリント路82の給紙路81側の端部に続いて、ロール紙収容部22の下方で、しかも給紙路81よりも下方で、かつ枚葉紙収容部21の上方において、ロール紙収容部22の後方から前方に向かって延び、プリント下流路87の前側の先端は上方に立ち上がって、同じく上方に立ち上がった給紙路81に滑らかに合流するように形成されている。
【0049】
用紙201は、プリント路82においてインクリボン32が接する面、すなわち、図3において、前後方向Lの後方を向いた面にプリントが行われる。プリント路82においてプリントされた面は、用紙201がプリント下流路87に搬送されたとき、高さ方向Hの下方を向いている。
【0050】
そして、この用紙201が、プリント下流路87を前方に搬送されて、上方に立ち上がる給紙路81に合流して給紙路81を搬送されるとき、プリントされた面は、ロール紙収容部22の下方においては、高さ方向Hの上方を向いている。
【0051】
さらに、この用紙201が、給紙路81を後方に搬送されて、上方に立ち上がるプリント路82を搬送されるとき、プリントされた面は、前後方向の前方を向いている。つまり、用紙201は、プリント下流路87から給紙路81を搬送されている間に裏返されて、表裏面が反転した状態となり、用紙201の裏面にもプリント部30によりプリントを行うことができる。プリント下流路87と給紙路81とは、用紙201の表裏面を反転させる反転部を構成している。
【0052】
筋入れ路88は、プリント下流路87の給紙路81側とは反対側の後方から、プリント路82に向かう上方ではなく、筋入れ部50に向かって少し下方に下がった状態で後方に延びている。前述した筋入れ部50は、筋入れ路88に配置されている。
【0053】
プリント下流路87のプリント路82に向かう部分と筋入れ路88との分岐部には、回動可能のプリント筋入れ切替フラップが設けられている。プリント筋入れ切替フラップは、先端が上側に付勢された状態では、プリント路82からプリント下流路87に用紙201が搬送されてくるときは、用紙201が、ばねの付勢力に抗してプリント筋入れ切替フラップを、先端が変位可能の範囲の下側に押圧して、プリント下流路87に進む。
【0054】
また、プリント路82からプリント下流路87に進んだ用紙201がプリント筋入れ切替フラップを完全に通過し切った状態では、プリント筋入れ切替フラップの先端が上側に付勢された状態で、プリント下流路87の用紙201は、プリント路82側には搬送されずに筋入れ路88に進むように切り替えられる。
【0055】
また、プリント路82からプリント下流路87に進んだ用紙201がプリント筋入れ切替フラップを通過し切っていない状態では、用紙201がプリント筋入れ切替フラップの先端を下側に下げた状態となるため、プリント下流路87の用紙201は、筋入れ路88側には搬送されずにプリント路82に進む。
【0056】
次に、搬送路80のうち、ロール紙202から巻き解かれた用紙203が搬送される部分を説明する。搬送路80の、ロール紙202から巻き解かれた用紙203が搬送される部分は、上述した枚葉紙201が搬送される部分に加えて、ロール紙給紙路89を備えている。
【0057】
ロール紙給紙路89は、ロール紙収容部22に収容されたロール紙202の略最下部から後方に向かって延び、ロール紙収容部22の後方において、上方に立ち上がった位置まで形成されている。
【0058】
給紙路81とロール紙給紙路89とが合流する部分には、回動可能の給紙切替フラップが設けられている。給紙切替フラップの先端が前側に付勢された状態では、給紙路81を搬送された用紙201がプリント路82に進むように切り替えられ、また、プリント路82から搬送された用紙201は、プリント下流路87に進むように切り替えられる。
【0059】
一方、給紙切替フラップの先端が前側に付勢された状態で、ロール紙202から巻き解かれてロール紙給紙路89を搬送された用紙203がプリント路82に向かって進むと、用紙203が、ばねの付勢力に抗して給紙切替フラップを、先端が変位可能の範囲の後側に押圧して、プリント路82に進む。
【0060】
ロール紙202から巻き解かれた用紙203がプリント路82のプリント部30でプリントされる際は、用紙203はロール紙202から切り離されないままであるため、給紙切替フラップは、ロール紙給紙路89を通過している用紙203の部分によって先端が変位可能の範囲の後側に押圧されたままとなる。
【0061】
(搬送手段)
搬送手段70は、枚葉紙繰り出しローラ77aと、給紙ローラ77bと、反転ローラ77cと、グリップローラ77dと、第1送りローラ77eと、第1排出ローラ77fと、第2排出ローラ77gと、第2送りローラ77hと、ロール紙繰り出しローラ77iと、を備えている。
【0062】
これら搬送用の各ローラ77a~77iは、枚葉紙201及び用紙203のうち少なくとも一方の用紙に対して、表裏のいずれかの面に接し、プリンタ100の図示しない制御部の制御によって回転することで、用紙201,203を搬送路80に沿って搬送する。
【0063】
(保持部材)
図4は保持部材110(製本用補助具110ともいう)を示す斜視図、図5は保持部材110が表紙部材300を保持した状態で排紙トレイ12aにセットされた状態を示す斜視図、図6図5の状態のプリンタ100を前方から見た正面図、図7図5の状態における保持部材110及び表紙部材300を含む要部斜視図、図8図7に示した状態の平面図、図9図7におけるB-B線に沿った面による断面図である。
【0064】
保持部材110は、上排出口13bから排紙された用紙201が積み重ねられる位置に、排紙トレイ12aに一体に又は排紙トレイ12aから取り出せる状態で保持されている。保持部材110は、図5に示すように、略矩形状の底板111と、底板111の幅方向Wの両側縁からそれぞれ、高さ方向Hの上方に立ち上がった側板112,113と、底板の前後方向の前端縁から高さ方向の上方に立ち上がった前板114と、を有している。
【0065】
両側板112,113の幅方向Wの内側を向いた面(内面)の間の、幅方向Wに沿った間隔は、用紙201の幅方向Wの寸法よりもわずかに広く形成されている。したがって、図5,9に示すように、保持部材110が表紙部材300を保持して排紙トレイ12aに配置された状態で、上排出口13bから排紙トレイ12aに向けて後方に排出された用紙201は、幅方向Wに多少ばらついて排出された場合にも、図7に示すように、用紙201の幅方向Wの各側縁201b,201cが、各側板112,113の内面に接することで、幅方向Wの位置が揃えられた状態に正され、側縁201b,201cが揃えられた状態で底板111上に積み重ねられる。
【0066】
よって、側板112,113は、排出された用紙201の側縁201b,201cをガイドする一対の側縁ガイド部に相当する。
【0067】
各側板112,113は、前後方向Lの前端が最も高く、後端が最も低く形成され、前端と後端との間の上端縁112c,113cは直線状に形成されている。これにより、各側板112,113は、前後方向に細長く伸びた略三角形状に形成されている。側板112,113の前端の高さは、排紙トレイ12aの底面12bから上排出口13bまでの高さよりも高く形成されている。
【0068】
各側板112,113の、幅方向Wの外側を向いた面(外面)には、図4,7,8に示すように、幅方向Wの外側に突出した凸部112a,113aが形成されている。凸部112aには後述する押圧部98の押圧リンク98aを前方側から引っ掛けることができ、凸部113aには押圧部98の押圧リンク98bを前方側から引っ掛けることができる。
【0069】
保持部材110は、例えばフォトブック用の表紙部材300を保持する。表紙部材300は、図7に示すように、おもて表紙301と背表紙302と裏表紙303とが、この順序で一定方向に並んで繋がった部材である。表紙部材300は、プリントされた用紙201を複数枚束ねて、その束の一方の面をおもて表紙301で覆い、束の他方の面を裏表紙303で覆い、用紙201を束ねたときの積層方向に沿った面(厚さの面)を背表紙302で覆うことで、製本されたフォトブックを作成する。
【0070】
背表紙302の内面には、熱によって溶けるホットメルトが予め設けられている。このホットメルトは、後述するヒータ部90により背表紙302が加熱されることにより溶けて、背表紙302に押し付けられた用紙201を背表紙302に接着し、これにより一体のフォトブックが作成することができる。
【0071】
保持部材110は、図7に示すように、底板111の下側に表紙部材300のおもて表紙301を重ね、両側板112,113の上端縁112c,113cの上に裏表紙303を載せ、両側板112,113の後端の後ろに背表紙302を配置して保持することで、表紙部材300の背表紙302に対向する部分(両側板112,113の前端縁の側)を開口した状態に保持する。このとき、表紙部材300は、前後方向Lに沿った鉛直面による断面が、略V字状となる。
【0072】
保持部材110は、表紙部材300を上述した断面略V字状に保持した状態で、背表紙302を、排紙トレイ12aの後端部に形成された開口12cに挿入して、排紙トレイ12aに配置することができる。これにより、図9に示すように、表紙部材300の背表紙302に対向する部分を上排出口13bに臨んだ状態で開口させて保持することができる。
【0073】
保持部材110が表紙部材300を保持した状態で、上排出口13bからプリント済みの用紙201を排出すると、排出されたプリント済みの用紙201は、図7,9に示すように保持部材110の底板111上に積み重ねられていく。
【0074】
なお、底板111上に積み重ねられた用紙201の後端縁201a(上排出口13bから排紙トレイ12aに排出されるときに、最後に排出される側の端縁)は、保持部材110の前板114よりも、前後方向Lの後方に配置された状態で積み重ねられる。
【0075】
保持部材110は、表紙部材300を断面略V字状に保持して排紙トレイ12aに配置された状態で、上排出口13bから排出された用紙201の幅方向Wのばらつきに倣って幅方向Wに変位可能となっている。つまり、用紙201が幅方向Wにばらついて排出されたとき、例えば、排出された用紙201の側縁201bが側板112の内面に当たることで、保持部材110が用紙201の側縁201bの側に変位し、また、例えば、排出された用紙201の側縁201cが側板113の内面に当たることで、保持部材110が用紙201の側縁201cの側に変位する。
【0076】
前述の通り、両側板112,113の幅方向Wの間隔は、用紙201の幅方向Wの寸法よりもわずかに広く形成されている。そして、上排出口13bから排出される用紙201が排出の際に幅方向Wの位置がばらついて、両側板112,113の内面に当たったり、用紙201が排出の際に両側板112,113の上部にわずかに乗り上げたりする位置から排出されたりする場合も起こりうる。
【0077】
ここで、仮に、保持部材110が幅方向Wに変位しない状態で配置されている場合は、排出された用紙201の側縁201bが側板112の内面に当たったり、側縁201cが側板113の内面に当たったりし、また、排出された用紙201が両側板112,113にわずかに乗り上げたりすることによって用紙201は厚さ方向に変形した状態で底板111上に積み重ねられることがある。
【0078】
この状態では、用紙201の平面どうしの大半が互いに隙間なく密着した状態となり、用紙201の排出時等において用紙201に発生した静電気によって、用紙201の各側縁201b,201cを押すなどして用紙201の各側縁201b,201cを揃えようとしても、静電気の作用によって用紙201の互いの面同士が強い力で引き合う状態から動かすことができず、適切に揃えることができない。
【0079】
これに対して、保持部材110が用紙201に倣って幅方向Wに変位可能であるため、排出された用紙201の側縁201bが側板112の内面に当たったり、側縁201cが側板113の内面に当たったりし、また、排出された用紙201が両側板112,113にわずかに乗り上げたりする際に、保持部材110は、それらの当たりによって作用する力、つまり、用紙201から幅方向Wに変位させるように作用する力を受ける。
【0080】
この力によって、排出された用紙201が、保持部材110の底板111上に排出済の用紙201の上に積み重なる前(排出された用紙201が静電気によって、排出済の用紙201に吸着される前)に、保持部材110の両側板112,113の間の用紙201が収まる位置に、保持部材110が幅方向Wに移動することにより、用紙201の側縁201b,201cが揃えられた状態で底板111上に積み重ねられる。
【0081】
なお、保持部材110は、製本以外に用いることも可能である。例えば、片面印刷で12枚の用紙201に12か月分を印刷するか、又は、両面印刷で6枚の用紙201に12か月分を印刷することによりカレンダーを印刷する場合にも適用可能であり、製本以外の場合は、表紙部材300を保持しないで、保持部材110だけを排紙トレイ12aに配置すればよい。
【0082】
(押圧部)
排紙トレイ12aの側部には、保持部材110を前後方向Lの後方に押圧する押圧部98が設けられている。押圧部98は、図7,8に示すように、押圧駆動部98cと、押圧リンク98a,98bとを備えている。押圧リンク98a,98bは、図3,8に示すように、排紙トレイ12aの各側方の前部に設けられている。
【0083】
押圧駆動部98cは、プリンタ100の図示しない制御部の制御によって駆動される。押圧リンク98a,98bは、押圧駆動部98cと連結されている。押圧駆動部98cが駆動されると、押圧リンク98a,98bが連動して前後方向Lの後方に変位する。このとき、排紙トレイ12aに、表紙部材300を保持した保持部材110が配置されていると、後方に変位した押圧リンク98a,98bが、保持部材110の各側板112,113の外面に設けられた凸部112a,113aを引っ掛けて、凸部112a,113aを同じ寸法だけ同時に後方に押す。
【0084】
これにより、保持部材110は後方に押されるが、保持部材110の底板111に積み重ねられた用紙201の束は慣性により停止している。このとき、保持部材110の前板114が、用紙201の後端縁201a(図7参照)に突き当たって、用紙201を後方に押す。これにより、用紙201の後端縁201aは、前後方向Lについて揃えられる。したがって、押圧部98と保持部材110の前板114は、排出された用紙201の後端縁201aを揃える用紙揃え部に相当する。
【0085】
保持部材110の底板111に積み重ねられた用紙201は、上排出口13bから排出される際に、用紙201の後端縁201a側の位置も、用紙201が静電気によって排出済の用紙201に吸着される前に、揃えられた状態で積み重ねられる。
【0086】
仮に、用紙201の後端縁201a側の位置がばらついて積み重ねられた場合、静電気の作用によって用紙201の互いの面同士が強い力で引き合う状態でなければ、押圧駆動部98cが駆動されることにより、用紙201の後端縁201a側のばらつきも揃えられる。
【0087】
また、用紙201が上排出口13bから排出される際に、用紙201に静電気が発生するのを防ぐため又は用紙201に発生した静電気を軽減するため、上排出口13b付近に、用紙201に接して、用紙201の静電気を除去する除電ブラシを設けてもよい。
【0088】
そして、後方に押された用紙201の先端縁201d(上排出口13bから排出されるときの先端であって、背表紙302に最も近い側の端;図9参照)は、背表紙302の、ホットメルトが配置された内面に突き当たる。
【0089】
表紙部材300は、この用紙201の先端縁201d及び両側板112,113の後端によって背表紙302が後方に押されることにより、後方に変位される。その結果、背表紙302の外側の面が、図7,8,9に示すように、後述するヒータ部90の伝熱部材92に突き当てられた状態となる。つまり、押圧部98は、背表紙302をヒータ部90に向けて変位させるように、保持部材110を押圧する。
【0090】
(ヒータ部)
ヒータ部90は、図3,9に示すように、ヒータ91と伝熱部材92とを備えている。ヒータ91は、プリンタ100の図示しない制御部の制御によって発熱される。伝熱部材92は、開口12cの奥において、幅方向Wに沿って延びて配置されている。伝熱部材92は、前後方向Lに沿った鉛直面による断面が、角張った略Y字状に形成されている。この角張った略Y字の先端間の幅は、背表紙302の幅よりも広く形成されている。伝熱部材92は、略Y字の脚がヒータ91に接続されていて、ヒータ91の熱が伝熱される。
【0091】
ヒータ部90は、ヒータ91で発熱した熱を伝熱部材92に伝えることで、伝熱部材92が過熱される。そして、ヒータ部90は、伝熱部材92に外面が接した背表紙302を熱し、これにより、背表紙302の内面に設けられたホットメルトを溶かし、背表紙302の内面に押し付けられた用紙201の先端側を接着する。したがって、ヒータ部90は、用紙201の束を、表紙部材300と一体に綴じる綴じ部に相当する。
【0092】
<作用>
以上のように構成されたプリンタ100の動作について説明する。まず、枚葉紙201にプリントして、製本する動作について説明する。
【0093】
(枚葉紙に対する動作)
まず、枚葉紙繰り出しローラ77aが回転することで、枚葉紙収容部21に収容された枚葉紙201のうち最も上層に積まれている1枚の枚葉紙201が給紙路81に繰り出され、さらに、給紙ローラ77bの回転及びその先の反転ローラ77cの回転により、枚葉紙201は給紙路81を搬送される。
【0094】
ここで、給紙切替フラップ73により、枚葉紙201はプリント路82に搬送され、グリップローラ77dの回転によりプリント路82を進んで、プリント排出切替フラップの切り替えによりプリント上流路86に導かれる。
【0095】
枚葉紙201が、プリント上流路86の突き当たりまで進むと、グリップローラ77dが反転し(回転の向きが反対になり)、枚葉紙201は、プリント部30を通って、枚葉紙201の表(おもて)面にプリントされつつ、プリント下流路87に進む。
【0096】
ここで、枚葉紙201の表面にカラープリントを行う場合、インクリボン32による色を代えて、さらにインクリボン32によりオーバーコートを行う場合は、グリップローラ77dの回転向きの切替えにより、搬送とプリントを繰り返し、表面のカラープリントとオーバーコートの処理が終了する。
【0097】
枚葉紙201の表面へのプリントが終了すると、反転ローラ77cの回転により、枚葉紙201は、給紙路81に搬送され、プリント下流路87及び給紙路81によって形成された反転部を通過することで、表裏面が反転する。つまり、枚葉紙201は、反転部を通過することで裏返しになり、プリント路82においてプリント部30によりプリントされる面が反転する。
【0098】
反転部により裏返しにされた枚葉紙201は、再び反転したグリップローラ77dの回転により、プリント上流路86の突き当たりまで搬送される。
【0099】
枚葉紙201が、プリント上流路86の突き当たりまで進むと、グリップローラ77dが再び反転して、枚葉紙201は、プリント部30を通過して、枚葉紙201の表(おもて)面にプリントされつつプリント下流路87に進む。
【0100】
ここで、枚葉紙201の裏面にカラープリントを行う場合、インクリボン32による色を代えて、さらにインクリボン32によりオーバーコートを行う場合は、搬送を繰り返し、裏面のカラープリントとオーバーコートの処理が終了する。
【0101】
枚葉紙201の裏面のプリントが終了すると、グリップローラ77dが再び反転し、枚葉紙201は、プリント路82を通り、プリント排出切替フラップが切り替えられて、排出路83に搬送される。
【0102】
排出路では第1送りローラ77eの回転により、枚葉紙201はカッター部40に進み、枚葉紙201の後端の不要部分がカッター部40により切断される。切断された不要部分は、カッター部40の下方に配置されたごみ箱16に落下し、ごみ箱16の内部に溜められる。
【0103】
後端の不要部分が切断された枚葉紙201は、第1送りローラ77eが反転することで排出路83をプリント路82に向かって搬送され、さらに、グリップローラ77dが再び反転することでプリント路82を通り、プリント下流路87に引き戻され、さらに反転ローラ77cの回転により、枚葉紙201の、搬送方向の前側の一部が給紙路81まで引き戻される。
【0104】
続いて、プリント筋入れ切替フラップが切り替えられた状態で、反転ローラ77cが反転し、枚葉紙201は筋入れ路88に搬送され、第2送りローラ77hの回転により、枚葉紙201の搬送方向の前端の近傍部が筋入れ部50に到達して、筋入れ部50により、枚葉紙201の搬送方向の前端の近傍部に筋が形成される。
【0105】
続いて、第2送りローラ77hの反転及び反転ローラ77cの反転により、筋入れ路88に搬送された枚葉紙201は、プリント下流路87及び給紙路81からなる反転部を通って、プリント路82に搬送される。プリント路82では、グリップローラ77dが再び反転して、枚葉紙201を排出路83に搬送し、枚葉紙201は、排出路83において第1送りローラ77eの回転により、カッター部40に搬送される。
【0106】
そして、枚葉紙201の前端の不要部分がカッター部40により切断される。切断された不要部分は、カッター部40の下方に配置されたごみ箱16に落下し、ごみ箱16の内部に溜められる。
【0107】
前端の不要部分が切断された枚葉紙201は、第1送りローラ77eの回転により、カッター部40を通過して前方に進む。カッター部40の前方に進んだ枚葉紙201は、第1排出ローラ77fの回転により搬送され、上排出路85に導かれ、上排出口13bの近くに配置された第2排出ローラ77gの回転により、枚葉紙201は上排出口13bから排出される。
【0108】
このとき、図9に示すように、排紙トレイ12a上に、保持部材110が表紙部材300を断面略V字状に保持した状態で、配置されていることで、枚葉紙201は上排出口13bから保持部材110の底板111上に積み重ねて溜められる。なお、溜められた用紙201は、背表紙302に近い先端縁201dの端部近くに、筋入れ部50で幅方向Wに延びた筋が形成されている。
【0109】
保持部材110の底板111上に規定枚数のプリントされた用紙201が溜められると、プリンタ100の制御部の制御により、押圧駆動部98cが駆動され、押圧リンク98a,98bが、保持部材110の凸部112a,113aを引っ掛けて、凸部112a,113aを同じ寸法だけ同時に後方に押す。
【0110】
これにより、保持部材110が後方に押され、用紙201の先端縁201dが背表紙302の内面に突き当てられるとともに、背表紙302の外面が伝熱部材92に押し付けられた状態となる。このとき、用紙201の後端縁201aは揃えられる。
【0111】
次いで、プリンタ100の制御部の制御により、ヒータ部90が発熱して押圧駆動部98cが駆動され、伝熱部材92に押し付けられた背表紙302は加熱される。これにより、背表紙の内側に設けられたホットメルトが溶け、流動性が高められたホットメルトが、突き当てられた用紙201の先端縁201d側の端部(筋入れ部50によって形成された筋よりも、先端側の部分)に流入する。
【0112】
ヒータ部90は、用紙201が上排出口13bから排出される以前から加熱されていてもよいし、排出後であって押圧部98の駆動前から加熱されていてもよい。そして、ヒータ部90は、規定時間加熱された後に加熱動作が終了する。これにより、用紙201間に流入したホットメルトは、その後、冷えて流動性が低下し、用紙201同士を接合するとともに、接合された用紙201を、背表紙302の内面に接合する。
【0113】
その後、押圧部98の駆動が解除されて、保持部材110は、後方への押圧から解放され、表紙部材300とともに、排紙トレイ12aから上方に取り出すことができる。
【0114】
そして、表紙部材300と用紙201とが接合されて作られたフォトブックは、保持部材110から後方に引き離すことにより、保持部材110から分離することができる。
【0115】
このように、本実施形態のプリンタ100によれば、簡易な構成で、用紙201の束をきれいに揃えて製本することができる。
【0116】
(ロール紙に対する動作)
なお、本実施形態のプリンタ100が、ロール紙202にプリントして排出する動作についても、図3を参照して簡単に説明する。
【0117】
まず、ロール紙繰り出しローラ77iが回転することで、ロール紙収容部22に収容されたロール紙202の最外周の部分から用紙203が巻き解かれる。
【0118】
ここで、給紙切替フラップの切替及びプリント排出切替フラップの切替、並びに、ロール紙繰り出しローラ77iの回転及びグリップローラ77dの回転によって、巻き解かれた用紙203は、プリント路82及びプリント上流路86を搬送されて、プリントに必要な長さ分だけ繰り出される。
【0119】
次に、繰り出された用紙203は、グリップローラ77d及びロール紙繰り出しローラ77iの反転により、プリント路82及びロール紙給紙路89を引き戻され、用紙203がプリント路82を通過している期間中に、プリント部30によって用紙203にプリントが行われる。
【0120】
ここで、用紙203にカラープリントを行う場合、インクリボン32による色を代えて、さらにインクリボン32によりオーバーコートを行う場合は、枚葉紙201の場合と同様に、排出口方向への搬送と反転した搬送でのプリントを繰り返し、カラープリントとオーバーコートの処理が終了する。
【0121】
用紙203へのプリントが終了すると、ロール紙繰り出しローラ77i及びグリップローラ77dの反転により、用紙203はロール紙給紙路89及びプリント路82を通り、プリント排出切替フラップの切替により排出路83に送られる。
【0122】
排出路83では、用紙203は第1送りローラ77eの回転によってカッター部40を通過し、カッター部40は、必要に応じて、用紙203の搬送方向の前端の不要部分を切断する。用紙203の、切断された不要部分は、ごみ箱16に溜められる。
【0123】
そして、不要部分が切断された後のプリント済みの用紙203は、第1排出ローラ77fの回転により、上排出路85を通って上排出口13bに搬送される。
【0124】
用紙203のプリントされた領域がカッター部40を通過したとき、カッター部40が用紙203を切断し、プリントされた領域を含む用紙203を、ロール紙202に繋がっている用紙203から切り離す。
【0125】
ロール紙202に繋がっている側の用紙203は、第1送りローラ77e、グリップローラ77d及びロール紙繰り出しローラ77iの反転により、ロール紙202に巻き戻され、プリントされた領域を含む、ロール紙202から切り離された用紙203は、上排出口13bから排出される。
【0126】
本実施形態のプリンタ100は、押圧部98が、プリンタ100の制御部の制御で駆動されるものであるが、押圧部98は、使用者の手動操作で駆動されるものであってもよい。したがって、駆動のタイミング等を使用者の意思に応じて任意に選択できるものとしてもよい。
【0127】
また、本実施形態のプリンタ100は、保持部材110が、排紙トレイ12aにおいて幅方向に変位可能であるが、変位可能でなくてもよく、また、側縁ガイド部に相当する側板112,113間の幅方向Wの寸法は、用紙201の幅の寸法と略同じではなく、用紙201の幅方向Wの寸法よりも相当程度大きくてもよい。
【0128】
この場合、仮に、静電気の作用によって用紙201の互いの面同士が強い力で引き合った状態でなければ、保持部材110の底板111上に溜められた用紙201を、押圧部98で押圧するのに先立って、使用者が、用紙201の溜められた保持部材110及び表紙部材300を排紙トレイ12aから一旦取り出して、用紙201を幅方向Wの側板112の側又は側板113の側に手動で寄せることで、用紙201の幅方向Wの位置を揃え、その後に、用紙201の溜められた保持部材110及び表紙部材300を排紙トレイ13a上に戻し、押圧部98による操作を行うものであってもよい。
【0129】
また、用紙201が上排出口13bから排出される際に、用紙201に静電気が発生するのを防ぐため又は用紙201に発生した静電気を軽減するため、上排出口13b付近に、用紙201に接して、用紙201の静電気を除去する除電ブラシを設けてもよい。
【0130】
また、本実施形態のプリンタ100は、保持部材110がプリンタ100の排紙トレイ12aから着脱可能に構成されたものであるが、保持部材110は、排紙トレイ12aから取り外せずに、プリンタ100と一体に構成されたものであってもよい。
【0131】
保持部材110を排紙トレイ12aに一体に構成する場合は、以下のように、保持部材110が排紙トレイ12a上で用紙201の幅方向Wに変位可能な構造を適用することができる。
【0132】
例えば、保持部材110の底板111に、長さ方向が両側板112,113の延びた方向に一致する長孔を形成する。そして、排紙トレイ12aの底面12bの底板から、長孔と略同じ幅で保持部材110の底板111の厚みよりもわずかに厚い高さのピンを複数設け、このピンで長孔を貫通させ、それぞれのピンの頭部を長孔の幅よりも広くなる大きさに形成して、ピンを長孔からの抜け止めとすることで、保持部材110を排紙トレイ12a上で幅方向Wに変位可能とすることができる。
【0133】
本実施形態のプリンタ100は、ヒータ部90を綴じ部として適用した例であるが、本発明に係るプリンタは、綴じ部として、保持部材110の底板111上に積み重ねられた複数枚の用紙201による束を、表紙部材300と一体に綴じるものであればよく、本実施形態のヒータ部90に限定されず、例えば、ステープラによって綴じるものを適用することもできる。
【0134】
本実施形態のプリンタ100は、昇華型のサーマルプリンタであるが、本発明に係るプリンタは昇華型のサーマルプリンタに限定されるものではなく、昇華型のサーマルプリンタ以外の他の印刷形式のプリンタであってもよい。
【0135】
つまり、本発明に係るプリンタは、昇華型以外のサーマルプリンタであってもよいし、サーマルプリンタ以外の、例えばインクジェット式のプリンタであってもよいし、その他の印刷形式のプリンタであってもよい。
【0136】
本実施形態のプリンタ100は、枚葉紙収容部21に加えてロール紙収容部22を備えたものであるが、本発明に係るプリンタ100は、少なくとも枚葉紙収容部21を備えたものであればよく、ロール紙収容部22を備えなくてもよい。
【0137】
上述した保持部材110は、本実施形態のプリンタ100と一体に又はプリンタ100の一部であるがプリンタ100に対して着脱可能に構成されたものであるが、本実施形態のプリンタ100以外の他のプリンタにも使用することができる製本用補助具として独立したものであってもよい。このような製本用補助具としての保持部材110は、本発明に係る製本用補助具の一実施形態である。
【0138】
本実施形態の保持部材110(製本用補助具)によれば、簡易な構成で、用紙201の束をきれいに揃えて製本することができる。
【符号の説明】
【0139】
12a 排紙トレイ
100 昇華型サーマルプリンタ
110 保持部材
201 枚葉紙(用紙)
300 表紙部材
H 高さ方向
L 前後方向
W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9