IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ホットアルバム炭酸泉タブレットの特許一覧

特開2023-144304炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法
<>
  • 特開-炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法 図1
  • 特開-炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144304
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20231003BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20231003BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20231003BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/36
A61Q15/00
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051215
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】512083883
【氏名又は名称】株式会社ホットアルバム炭酸泉タブレット
(74)【代理人】
【識別番号】100073210
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100173668
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 吉之助
(72)【発明者】
【氏名】小星 重治
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB311
4C083AB312
4C083AC291
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC792
4C083AD042
4C083AD642
4C083BB42
4C083CC17
4C083CC25
4C083DD15
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE18
4C083EE41
(57)【要約】      (修正有)
【課題】入浴者の体臭が気になる足及び/又は脇に向かってシャワー放出して洗うことにより体臭を軽減することができ、また全身に浴びることによって、入浴後の睡眠時の睡眠状態を改善することができる炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法を提供する。
【解決手段】特定構成の固形の炭酸入浴剤4を溶解して炭酸マイクロバブルを発生させると共に湯水と混合して炭酸マイクロバブル混合水を生成し、シャワーヘッド1からシャワー放出して炭酸マイクロバブル混合水を浴びる入浴方法であって、(1)入浴者の体臭が気になる足及び/又は脇に向かってシャワー放出して洗うことにより、体臭を軽減すること、(2)入浴者の全身に向かって持続してシャワー放出することにより、入浴後の睡眠時の睡眠状態の改善を図ること、を特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形の炭酸入浴剤を湯水の流路中に留置させる入浴剤収容部が設けられ、ホースからシャワーヘッドへ送水される湯水によって前記入浴剤収容部に収容した炭酸入浴剤を溶解して炭酸マイクロバブルを発生させると共に湯水と混合して炭酸マイクロバブル混合水を生成し、この炭酸マイクロバブル混合水をシャワーヘッドの湯水噴出孔からシャワー放出し、このシャワー放出した炭酸マイクロバブル混合水を浴びる入浴方法であって、
前記炭酸入浴剤が、重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)と有機酸を含有し、且つ重炭酸イオン封鎖物質を含有しない構成であり、 前記有機酸がクエン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸の少なくとも1つであり、かつ無水炭酸ナトリウム及び/又は無水炭酸カリウムを含有する構成であり、シャワーヘッドの湯水噴出口から放出する湯水のpHが6.8から8.5であり、
この炭酸マイクロバブル混合水を、入浴者の体臭が気になる足及び/又は脇に向かってシャワー放出して洗うことにより、体臭を軽減することを特徴とする炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【請求項2】
固形の炭酸入浴剤を湯水の流路中に留置させる入浴剤収容部が設けられ、ホースからシャワーヘッドへ送水される湯水によって前記入浴剤収容部に収容した炭酸入浴剤を溶解して炭酸マイクロバブルを発生させると共に湯水と混合して炭酸マイクロバブル混合水を生成し、この炭酸マイクロバブル混合水をシャワーヘッドの湯水噴出孔からシャワー放出し、このシャワー放出した炭酸マイクロバブル混合水を浴びる入浴方法であって、
前記炭酸入浴剤が、重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)と有機酸を含有し、且つ重炭酸イオン封鎖物質を含有しない構成であり、 前記有機酸がクエン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸の少なくとも1つであり、かつ無水炭酸ナトリウム及び/又は無水炭酸カリウムを含有する構成であり、シャワーヘッドの湯水噴出口から放出する湯水のpHが6.8から8.5であり、
この炭酸マイクロバブル混合水を、入浴者の全身に向かって持続してシャワー放出することにより、入浴後の睡眠時の睡眠状態の改善を図ることを特徴とする炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【請求項3】
入浴後の睡眠時の睡眠状態の改善の度合いについて、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)、エプワース眠気尺度(ESS)、サーモグラフィー(ヒストグラム温度解析)、又は、レーザー血流測定に基づいて評価されることを特徴とする請求項2に記載の炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【請求項4】
固形の炭酸入浴剤を湯水の流路中に留置させる入浴剤収容部が設けられ、ホースからシャワーヘッドへ送水される湯水によって前記入浴剤収容部に収容した炭酸入浴剤を溶解して炭酸マイクロバブルを発生させると共に湯水と混合して炭酸マイクロバブル混合水を生成し、この炭酸マイクロバブル混合水をシャワーヘッドの湯水噴出孔からシャワー放出し、このシャワー放出した炭酸マイクロバブル混合水を浴びる入浴方法であって、
前記炭酸入浴剤が、重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)と有機酸を含有し、且つ重炭酸イオン封鎖物質を含有しない構成であり、 前記有機酸がクエン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸の少なくとも1つであり、かつ無水炭酸ナトリウム及び/又は無水炭酸カリウムを含有する構成であり、シャワーヘッドの湯水噴出口から放出する湯水のpHが6.8から8.5であり、
ホースを介して供給される湯水に含有する塩素を除去することにより、シャワー放出する炭酸マイクロバブル混合水の塩素含有濃度を低下させることを特徴とする炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【請求項5】
前記シャワーヘッドが、該シャワーヘッド内部に入浴剤収容部が設けられた構成であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【請求項6】
前記シャワーヘッドとホースとの間に別体構成のジョイント部材が接続される構成であり、このジョイント部材の内部に入浴剤収容部が設けられた構成であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【請求項7】
入浴者に向かってシャワー放出する時間が少なくとも8分~10分であり、シャワー放出された炭酸マイクロバブル混合水の温度が36~41℃の範囲であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【請求項8】
シャワー放出された炭酸マイクロバブルの気泡の直径が1~100μmの範囲であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【請求項9】
シャワー放出された炭酸マイクロバブルの気泡の直径が1μm未満であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭酸マイクロバブル効果を有する炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)と、有機酸とを含む混合物を打錠等によって成型し、発泡性組成物(固形物)とすることは、洗浄剤、入浴剤、風呂水清浄剤、プール用殺菌剤等の製品に適用されている。これらの製品(固形物)は、水に投入すると、その成分が反応して炭酸ガスを発生しつつ速やかに溶解する利点を有すると同時に、消費者に快適な使用感を与えるので商品価値を高める効果があり、特に入浴剤(浴剤ということもある。)においては、発生する炭酸ガスの血行促進効果が積極的に利用されている。
【0003】
入浴剤を浴槽内の湯水に溶かすのではなく、シャワーヘッド内に入れ込むことによって炭酸マイクロバブルシャワー水を得る技術が知られている(特許文献1~3参照)。
【0004】
これら特許文献1~3に記載の技術は、浴槽内の湯水に浸かることなく炭酸マイクロバブルシャワーを浴びることによって、このシャワー放出される湯水に溶けた炭酸ガスが皮膚から吸収されて血管を広げ、血行が良くなって全身の新陳代謝が活発な状態になるという効果が謳われている。
【0005】
しかしこれら従来の炭酸ガスを利用したシャワー入浴に関する技術では、判然とした効果が目に見える形ではっきりと発揮されるのではなく、使用者が何となくそうであろうと感じる程度、即ち、効果が有りそうだという印象程度であることが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-241261号公報
【特許文献2】特開昭62-283915号公報
【特許文献3】特開2007-289289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、浴槽内の湯水に浸かるのではなく、炭酸マイクロバブルシャワーを浴びることで効果的に炭酸マイクロバブル効果が得られる技術について研究を続けたところ、特定の成分を含有する炭酸入入浴剤を用い、発生する炭酸ガス成分を湯水のpH値によって容易に重炭酸イオンに中和させ、経皮吸収される重炭酸イオンの濃度を限りなく高めることができることを見出した。
【0008】
そこで本発明は、発生する炭酸ガス成分を湯水のpH値によって容易に重炭酸イオンに中和させ、経皮吸収される重炭酸イオンの濃度を限りなく高め、血流を著しく早め体温を上昇させて、内面からの健康と美容などの入浴効果が高められるだけでなく、重炭酸イオン封鎖物質を含有しない入浴剤とすることによって、この入浴剤の溶解によって得られた炭酸マイクロバブル混合水を、入浴者の体臭が気になる足及び/又は脇に向かってシャワー放出して洗うことにより、体臭を軽減することができる炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法を提供することにある。
【0009】
また、同様に、前記の入浴剤の溶解によって得られた炭酸マイクロバブル混合水をシャワー放出して全身に浴びることによって、入浴後の睡眠時の睡眠状態を改善することができる炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1.固形の炭酸入浴剤を湯水の流路中に留置させる入浴剤収容部が設けられ、ホースからシャワーヘッドへ送水される湯水によって前記入浴剤収容部に収容した炭酸入浴剤を溶解して炭酸マイクロバブルを発生させると共に湯水と混合して炭酸マイクロバブル混合水を生成し、この炭酸マイクロバブル混合水をシャワーヘッドの湯水噴出孔からシャワー放出し、このシャワー放出した炭酸マイクロバブル混合水を浴びる入浴方法であって、
前記炭酸入浴剤が、重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)と有機酸を含有し、且つ重炭酸イオン封鎖物質を含有しない構成であり、 前記有機酸がクエン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸の少なくとも1つであり、かつ無水炭酸ナトリウム及び/又は無水炭酸カリウムを含有する構成であり、シャワーヘッドの湯水噴出口から放出する湯水のpHが6.8から8.5であり、
この炭酸マイクロバブル混合水を、入浴者の体臭が気になる足及び/又は脇に向かってシャワー放出して洗うことにより、体臭を軽減することを特徴とする炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【0011】
2.固形の炭酸入浴剤を湯水の流路中に留置させる入浴剤収容部が設けられ、ホースからシャワーヘッドへ送水される湯水によって前記入浴剤収容部に収容した炭酸入浴剤を溶解して炭酸マイクロバブルを発生させると共に湯水と混合して炭酸マイクロバブル混合水を生成し、この炭酸マイクロバブル混合水をシャワーヘッドの湯水噴出孔からシャワー放出し、このシャワー放出した炭酸マイクロバブル混合水を浴びる入浴方法であって、
前記炭酸入浴剤が、重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)と有機酸を含有し、且つ重炭酸イオン封鎖物質を含有しない構成であり、 前記有機酸がクエン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸の少なくとも1つであり、かつ無水炭酸ナトリウム及び/又は無水炭酸カリウムを含有する構成であり、シャワーヘッドの湯水噴出口から放出する湯水のpHが6.8から8.5であり、
この炭酸マイクロバブル混合水を、入浴者の全身に向かって持続してシャワー放出することにより、入浴後の睡眠時の睡眠状態の改善を図ることを特徴とする炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【0012】
3.入浴後の睡眠時の睡眠状態の改善の度合いについて、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)、エプワース眠気尺度(ESS)、サーモグラフィー(ヒストグラム温度解析)、又は、レーザー血流測定に基づいて評価されることを特徴とする上記2に記載の炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【0013】
4.固形の炭酸入浴剤を湯水の流路中に留置させる入浴剤収容部が設けられ、ホースからシャワーヘッドへ送水される湯水によって前記入浴剤収容部に収容した炭酸入浴剤を溶解して炭酸マイクロバブルを発生させると共に湯水と混合して炭酸マイクロバブル混合水を生成し、この炭酸マイクロバブル混合水をシャワーヘッドの湯水噴出孔からシャワー放出し、このシャワー放出した炭酸マイクロバブル混合水を浴びる入浴方法であって、
前記炭酸入浴剤が、重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)と有機酸を含有し、且つ重炭酸イオン封鎖物質を含有しない構成であり、 前記有機酸がクエン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸の少なくとも1つであり、かつ無水炭酸ナトリウム及び/又は無水炭酸カリウムを含有する構成であり、シャワーヘッドの湯水噴出口から放出する湯水のpHが6.8から8.5であり、
ホースを介して供給される湯水に含有する塩素を除去することにより、シャワー放出する炭酸マイクロバブル混合水の塩素含有濃度を低下させることを特徴とする炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【0014】
5.前記シャワーヘッドが、該シャワーヘッド内部に入浴剤収容部が設けられた構成であることを特徴とする上記1~4のいずれかに記載の炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【0015】
6.前記シャワーヘッドとホースとの間に別体構成のジョイント部材が接続される構成であり、このジョイント部材の内部に入浴剤収容部が設けられた構成であることを特徴とする上記1~4のいずれかに記載の炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【0016】
7.入浴者に向かってシャワー放出する時間が少なくとも8分~10分であり、シャワー放出された炭酸マイクロバブル混合水の温度が36~41℃の範囲であることを特徴とする上記1~6のいずれかに記載の炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【0017】
8.シャワー放出された炭酸マイクロバブルの気泡の直径が1~100μmの範囲であることを特徴とする上記1~7のいずれかに記載の炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【0018】
9.シャワー放出された炭酸マイクロバブルの気泡の直径が1μm未満であることを特徴とする上記1~7のいずれかに記載の炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に示す発明によれば、発生する炭酸ガス成分を湯水のpH値によって容易に重炭酸イオンに中和させ、経皮吸収される重炭酸イオンの濃度を限りなく高め、血流を著しく早め体温を上昇させて、内面からの健康と美容などの入浴効果が高められるだけでなく、重炭酸イオン封鎖物質を含有しない入浴剤とすることによって、この入浴剤の溶解によって得られた炭酸マイクロバブル混合水を、入浴者の体臭が気になる足及び/又は脇に向かってシャワー放出して洗うことにより、体臭を軽減することができる炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法を提供することができる。
【0020】
請求項2に示す発明によれば、前記の入浴剤の溶解によって得られた炭酸マイクロバブル混合水をシャワー放出して全身に浴びることによって、入浴後の睡眠時の睡眠状態を改善することができる炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法を提供することができる。
【0021】
請求項3に示す発明によれば、入浴後の睡眠時の睡眠状態の改善の度合いについて数値的、具体的に効果を把握することができる。
【0022】
請求項4に示す発明によれば、ホースを介して供給される湯水に含有する塩素を除去することにより、シャワー放出する炭酸マイクロバブル混合水の塩素含有濃度を低下させることができる炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法を提供することができる。
【0023】
請求項5に示す発明によれば、入浴剤収容部を備えたシャワーヘッドを用いることにより、固形の炭酸入浴剤を効率的且つ確実に溶解させることができる。従って、使用時には入浴剤収容部に炭酸入浴剤を収容するだけで炭酸マイクロバブル混合水による効果を手軽に得ることができる。
【0024】
請求項6に示す発明によれば、シャワーヘッドとホースとの接続部分に入浴剤収容部を備えたジョイント部材を介在させる構成により、日ごろ使用しているお気に入りのシャワーヘッドに限らず、旅先のホテルやスポーツジム等に廃部されている既設のシャワーヘッドに前記ジョイント部材を適用するだけで、炭酸マイクロバブル混合水による効果を手軽に得ることができる。
【0025】
請求項7に示す発明によれば、炭酸マイクロバブル混合水のシャワー放出による効果を極めて有効に発揮させることができる。
【0026】
請求項8に示す発明によれば、炭酸マイクロバブル混合水のシャワー放出による効果を極めて有効に発揮させることができる。
【0027】
請求項9に示す発明によれば、マイクロバブルがより細分化されるので炭酸マイクロバブル混合水のシャワー放出による効果を極めて有効により一段と発揮させることができる。
【0028】
尚、本発明において、「湯水」とは、いわゆる水、若しくは加温乃至は加熱してある湯又はこの両者の混合物をいう。また、「マイクロバブル」とは、いわゆる微細気泡と称されるものをいう。尚また、本発明において、「量」は特に断りのない限り「質量」を表し、「%」は特に断りのない限り「質量%」を表し、「部」は特に断りのない限り「質量部」を表す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法の一実施例を示す概略説明図
図2】本発明に係る炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法の他の実施例を示す概略説明図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法(以下、単に入浴方法ということもある。)について実施例に基づき説明する。
【0031】
先ず、本発明の第1発明の入浴方法について説明する。
本発明は炭酸泉入浴効果とマイクロバブル効果を併せ持つ炭酸マイクロバブル混合水をシャワー放出し、炭酸ガス成分とマイクロバブルとを混合した湯水を入浴者が全身や足・脇等の特定の部位に浴びることによって、洗浄効果と血行促進等の健康増進効果をも得られる技術である。
【0032】
特に、本発明の第1発明は、
固形の炭酸入浴剤を湯水の流路中に留置させる入浴剤収容部が設けられ、ホースからシャワーヘッドへ送水される湯水によって前記入浴剤収容部に収容した炭酸入浴剤を溶解して炭酸マイクロバブルを発生させると共に湯水と混合して炭酸マイクロバブル混合水を生成し、この炭酸マイクロバブル混合水をシャワーヘッドの湯水噴出孔からシャワー放出し、このシャワー放出した炭酸マイクロバブル混合水を浴びる入浴方法であって、
前記炭酸入浴剤が、重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)と有機酸を含有し、且つ重炭酸イオン封鎖物質を含有しない構成であり、 前記有機酸がクエン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸の少なくとも1つであり、かつ無水炭酸ナトリウム及び/又は無水炭酸カリウムを含有すると共に、ヒアルロン酸Na及び加水分解コラーゲンを含有する構成であり、シャワーヘッドの湯水噴出口から放出する湯水のpHが6.8から8.5であり、
この炭酸マイクロバブル混合水を、入浴者の体臭が気になる足及び/又は脇に向かってシャワー放出して洗うことにより、体臭を軽減することを特徴とする炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法であり、
かかる構成によって、発生する炭酸ガス成分を湯水のpH値によって容易に重炭酸イオンに中和させ、経皮吸収される重炭酸イオンの濃度を限りなく高め、血流を著しく早め体温を上昇させて、内面からの健康と美容などの入浴効果が高められるだけでなく、重炭酸イオン封鎖物質を含有しない入浴剤とすることによって、この入浴剤の溶解によって得られた炭酸マイクロバブル混合水を、入浴者の体臭が気になる足及び/又は脇に向かってシャワー放出して洗うことにより、体臭を軽減することができる。
【0033】
入浴者に向かってシャワー放出する時間は8分~10分が好ましく、シャワー放出された炭酸マイクロバブル混合水の温度は36~41℃の範囲であることが好ましい。かかる放出時間、温度であれば、炭酸マイクロバブル混合水のシャワー放出による効果を極めて有効に発揮させることができる。
【0034】
また、シャワー放出された炭酸マイクロバブルの気泡の直径は1~100μmの範囲であることが好ましい。かかる直径の範囲であれば、炭酸マイクロバブル混合水のシャワー放出による効果を極めて有効に発揮させることができる。
【0035】
更に、シャワー放出された炭酸マイクロバブルの気泡の直径を上記1~100μmの範囲よりも微細な1μm未満とした場合、得られるマイクロバブルがより細分化されるので炭酸マイクロバブル混合水のシャワー放出による効果を極めて有効により一段と発揮させることができる。
【0036】
本発明の入浴方法の第1発明は、図1に示すように、シャワー放出に用いられるシャワーヘッド1としては、ホース2に接続されるシャワーヘッド1内部に固形の炭酸入浴剤4を収納する入浴剤収容部3が設けられた構成のものを用いる。
【0037】
かかる構成によれば、入浴剤収容部3を備えたシャワーヘッド1を用いることにより、固形の炭酸入浴剤4を効率的且つ確実に溶解させることができる。従って、使用時には入浴剤収容部3に炭酸入浴剤4を収容するだけで炭酸マイクロバブル混合水による効果を手軽に得ることができる。
【0038】
入浴剤収容部を備えたシャワーヘッド1としては、シャワーヘッド1のヘッド部、持ち手部の少なくともいずれか一方に入浴剤収容部3を備えた構成のものであれば公知公用のいずれのものでよい。
【0039】
また、本発明の第1発明は、図2に示すように、シャワー放出に用いられるシャワーヘッド1とホース2との間に別体構成のジョイント部材5が接続される構成であり、このジョイント部材5の内部に固形の炭酸入浴剤4を収容する入浴剤収容部3が設けられた構成であってもよい。
【0040】
かかる構成によれば、日ごろ使用しているお気に入りのシャワーヘッド1に限らず、旅先のホテルやスポーツジム等に廃部されている既設のシャワーヘッド1に前記ジョイント部材5を適用するだけで、炭酸マイクロバブル混合水による効果を手軽に得ることができる。
【0041】
このジョイント部材5を介在させる態様では、シャワーヘッド1は公知のいずれのものを用いることができる。一般的なシャワーヘッド1としては、湯水が供給されるホース2と、該ホース2が接続される持ち手部と、該持ち手部と一体構成であると共に湯水噴出孔を有するヘッド部と、を有して成る構成を有するものであるが、持ち手部とヘッド部とは一体構成に限らず、別体で形成されたものを一体となるように接続又は結合したものであってもよいし、ヘッド部が持ち手部に対して向きや角度が変えられるように直接又は間接的に接続されたものであってもよいし、種々の放水モードを備えており気分や状況に応じて所望の放水モードを選択することができるものであってもよいし、少なくとも湯水噴出孔を有するヘッド部を備えた構成のもの、即ち、タイプ・形状・大きさ等が異なる様々な構成を有する既存の一般的なシャワーヘッド1を用いることができる。
【0042】
次に本発明の入浴方法に用いられる固形の炭酸入浴剤について説明する。
【0043】
次に本発明に用いることができる炭酸入浴剤は、その組成を問わず、固形のものであれば、いずれのものであってもよい。形状や大きさについても特に限定せず、錠剤状、球状、立方形状以外の顆粒状などであってもよい。例えば、最も好ましく用いられる炭酸入浴剤としては、本発明者が先に提案した特許第6268332号公報に記載のものを挙げることができ、以下に例示する。
【0044】
重炭酸塩をポリエチレングリコール(以下「PEG」ということもある。)等で造粒した後、有機酸(特にクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸)等をPEGと混合してもしくは造粒し、それぞれを一定比率内の条件で混合し、本発明の賦形剤を加えて錠剤を圧縮成形によって成形し、錠剤の溶解直後のpHが下記範囲となるよう設計することで、錠剤に水が浸透するとき激しく均一にかつ持続的に炭酸ガスを発泡するよう反応させ、かつ発生する炭酸ガス泡はミクロサイズの微細炭酸ガスとして長時間発生させることができ、錠剤は溶解し終わるまでミクロサイズの泡を発泡し続け、泡が空気中に揮散するまえに水中で中和され重炭酸イオンに解離して高濃度の重炭酸イオンが溶存するよう水のpHは5.5から9.0であるよう設計され、6.8から8.5である際、洗浄効果と血行促進等の健康増進効果という効果が最大限に発揮される。
【0045】
更に、重炭酸塩の混合物が流動層を用いて、PEGで、コーテイングして作成された造粒物であることにより、錠剤中での継続的で均一な反応など、前記効果の発現が大きく発揮される。
【0046】
また、錠剤硬度が15kg以上、好ましく25kg以上、特に好ましくは30kg以上に高硬度とされるほど、塩素中和化合物の継続的で安定な反応が得られ、錠剤内部での塩素中和反応を抑え錠剤が溶解した部分が湯中で塩素を迅速に除去するよう高硬度に成形されることが好ましい。
塩素除去効果が高いほど、シャワー入浴時の場合でも血行促進や体温上昇等の健康増進が大きい効果が発揮される
【0047】
更にまた、錠剤摩損度が10.0wt%以下、特に好ましくは5.0wt%以下、さらに好ましくは3.0wt%以下であるほど、塩素中和化合物の継続的安定な反応が得られ、錠剤内部での塩素中和反応効率を最大にできるだけでなく、シャワー入浴時の場合でさえも血行促進及び体温上昇等の健康増進効果を発揮できる。
【0048】
本発明に好ましく用いられる炭酸入浴剤の錠剤を作製する圧縮成形には、公知の圧縮成形機を特別の制限なく使用でき、例えば、油圧プレス機、単発式打錠機、ロータリー式打錠機、ブリケッティングマシンなどを用いることができる。この打錠機などに用いる杵の大きさは、杵が円形である場合は直径が7mm以上であることが好ましく、杵が三角形や四角形の場合、円形杵に換算して直径が7mm以上となるものが好ましい。そして杵の厚みについても同様である。円形の打錠品を得る場合、錠剤の直径は7mm以上が望ましく、より望ましくは10mm以上とし、厚みも7mm以上、好ましくは10mm以上とし、三角形や四角形等の錠剤とされる場合、円形錠剤に換算して、直径及び厚みの各々が7mm以上、特に10mm以上とすることが好ましい。
【0049】
炭酸入浴剤の錠剤は、必ずしも平面を持つ円形でなくてもよく、7mm以上の固形物であれば、楕円形でもいわゆるタブレット状でも球体でも、形は何ら制限されない。
【0050】
上記した硬度及び摩損度並びに一定サイズ以上の錠剤中でミクロサイズの発泡をゆっくり起こさせ、湯水中への炭酸ガスの溶解をより効率的に行うことが好ましく、そのため硬度は15kg以上、望ましくは25kg以上、特に好ましくは35kg以上であり、また摩損度は10.0wt%以下、好ましくは5wt%以下、特に好ましくは3wt%以下であり、直径や厚みは10mm以上が特に好ましく、錠剤中での炭酸ガスの発生がより効果的に起こり、水中への炭酸ガスの溶解が効率的に行われ、気泡の直径が細かくなり、本発明に用いる好ましい炭酸入浴剤となる。即ち、気泡の直径を1μm未満とすることによって、下記実験例より更に良い効果が得られる
【0051】
次に第1発明の入浴方法に基づく実験例1について説明する。
【0052】
[実験例1]
男性11名の被験者により体臭軽減について実験評価した。
【0053】
【表1】
【0054】
表1に示すように、被験者(男性)11名の平均年齢は43.6±8.9歳。実験同意時の年齢が30歳以上59歳以下であり、全て日本人男性である。
【0055】
被験者のエントリー基準(自己申告)は、足・脇等の体臭が気になる、或いは体臭を指摘されたことがある者、脇及び足の裏を露出して臭気を測定することに同意可能な者、である。
【0056】
被験者の除外基準(自己申告)は、皮膚疾患を有する者、他の臨床試験に参加している者、被験品素材によりアレルギー症状を示す恐れのある者、通院・投薬・治療を行っている者、基礎疾患(投薬治療中の糖尿病、または合併症を伴う糖尿病、慢性呼吸器疾患、慢性心臓病(高血圧を含む)、慢性腎臓病、慢性肝臓病(脂肪肝や慢性肝炎を除く)、慢性血液疾患(鉄欠乏症貧血を除く)、免疫異常に伴う神経疾患や神経筋疾患、染色体異常、重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複した状態))を有する者、である。
【0057】
被験者管理事項は、実験期間中は開始以前と同様の生活環境(睡眠、食事、生活全般)を維持した。
【0058】
実験に用いる固形の炭酸入浴剤は、前記した本発明者が先に提案した特許第6268332号公報に記載のものを用いた。具体的な構成としては、前記特許公報の段落番号[0107]~[0109]に記載の錠剤(1)を用いた。
この錠剤状の炭酸入浴剤を、シャワーヘッド(製品名:重炭酸クリスタルイオンシャワー、ホットアルバム炭酸泉タブレット社製)の入浴剤収容部に1錠を収容して使用する。
【0059】
実験条件は、対象部位:左足裏と左脇、湯水温度:40℃、シャワー放出される湯水を対象部位に浴びせる時間:8~10分間とした。
先ず、被験者各々のシャワー放出前の対象部位(左足裏、左脇)の臭気を測定した後、対象部位に8~10分間シャワー放出した後の該対象部位の臭気を測定し、比較を行った。結果を表2~表5に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
表2~表5に示すように、実験例1の結果から、本発明の第1発明の入浴方法のシャワーによって臭気改善がみられることがわかる。
【0065】
左足裏の臭気については、11人中の10人に1割程度以上の改善が見られ、特にその10人の中の3人(被験者番号1353971、同1491430、同1502319)については3分の2~半分程度まで臭気が軽減し、更に2人(被験者番号1325628、同1427882)については3分の1以下にまで臭気が著しく軽減した。
また、左脇の臭気については、11人中の9人に1割程度以上の改善が見られ、特にその9人中の3人(被験者番号848850、同1491430)については3分の2~半分程度にまで臭気が軽減し、更に1人(被験者番号1427882、)については10分の1程度まで臭気が著しく軽減した。
【0066】
シャワー放出前とシャワー放出後の左足裏の臭気測定結果を対応のあるt検定で統計解析を行ったところ、シャワー放出前において119.4±43.8、シャワー放出後において85.8±51.4であり、シャワー放出前と比較してシャワー放出後において-33.6であり、シャワー放出後(P<0.001)に有意差が認められた。
また、シャワー放出前とシャワー放出後の左脇の臭気測定結果を対応のあるt検定で統計解析を行ったところ、シャワー放出前において113.2±42.1、シャワー放出後において91.8±48.8であり、シャワー放出前と比較してシャワー放出後において-21.4であり、シャワー放出後(P=0.014)に有意差が認められた。
【0067】
上記実験例1において、同特許公報の錠剤(2)、(3)及び(4)を用いたことのみ異ならせた実験を行ったところ、上記本発明と同等の臭気改善効果が得られた。
また、上記実験例1において、ビタミンC・Na、ヒアルロン酸Na、加水分解コラーゲン、カプリリスルホン酸、オレフィン(C14-16)スルホン酸Naを除去して同様の実験を行ったところ、実質的に同等の効果がみられた。
更に、上記実験例1において、シャワー放出された炭酸マイクロバブルの気泡の直径が1μm以上の場合と1μm未満の場合について比較したところ、1μm未満の場合の方が本発明の効果について、より高い効果が得られる技術であることが確認された。
【0068】
次に、本発明の第2発明の入浴方法について説明する。
本発明は炭酸泉入浴効果とマイクロバブル効果を併せ持つ炭酸マイクロバブル混合水をシャワー放出し、炭酸ガス成分とマイクロバブルとを混合した湯水を入浴者が全身や足・脇等の特定の部位に浴びることによって、洗浄効果と血行促進等の健康増進効果をも得られる技術である。
【0069】
特に、本発明の第2発明は、
固形の炭酸入浴剤を湯水の流路中に留置させる入浴剤収容部が設けられ、ホースからシャワーヘッドへ送水される湯水によって前記入浴剤収容部に収容した炭酸入浴剤を溶解して炭酸マイクロバブルを発生させると共に湯水と混合して炭酸マイクロバブル混合水を生成し、この炭酸マイクロバブル混合水をシャワーヘッドの湯水噴出孔からシャワー放出し、このシャワー放出した炭酸マイクロバブル混合水を浴びる入浴方法であって、
前記炭酸入浴剤が、重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)と有機酸を含有し、且つ重炭酸イオン封鎖物質を含有しない構成であり、 前記有機酸がクエン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸の少なくとも1つであり、かつ無水炭酸ナトリウム及び/又は無水炭酸カリウムを含有すると共に、ヒアルロン酸Na及び加水分解コラーゲンを含有する構成であり、シャワーヘッドの湯水噴出口から放出する湯水のpHが6.8から8.5であり、
この炭酸マイクロバブル混合水を、入浴者の全身に向かって持続してシャワー放出することにより、入浴後の睡眠時の睡眠状態の改善を図ることを特徴とする炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法であり、
かかる構成によって、炭酸入浴剤の溶解によって得られた炭酸マイクロバブル混合水をシャワー放出して全身に浴びることによって、入浴後の睡眠時の睡眠状態を改善することができる。
【0070】
第2発明に用いられる、炭酸入浴剤収容部を備えたシャワーヘッド、既存のシャワーヘッドを用いることができる炭酸入浴剤収容部を備えたジョイント部材、固形の炭酸入浴剤については、上記した第1発明の構成と同様である。
【0071】
入浴者に向かってシャワー放出する時間は8分~10分が好ましく、シャワー放出された炭酸マイクロバブル混合水の温度は36~41℃の範囲であることが好ましい。かかる放出時間、温度であれば、炭酸マイクロバブル混合水のシャワー放出による効果を極めて有効に発揮させることができる。
【0072】
また、シャワー放出された炭酸マイクロバブルの気泡の直径は1~100μmの範囲であることが好ましい。かかる直径の範囲であれば、炭酸マイクロバブル混合水のシャワー放出による効果を極めて有効に発揮させることができる。
【0073】
更に、シャワー放出された炭酸マイクロバブルの気泡の直径を上記1~100μmの範囲よりも微細な1μm未満とした場合、得られるマイクロバブルがより細分化されるので炭酸マイクロバブル混合水のシャワー放出による効果を極めて有効に、より一段と発揮できる。
【0074】
次に第2発明の入浴方法に基づく実験例2について説明する。
【0075】
以下の実験例2においては、入浴後の睡眠時の睡眠状態の改善の度合いについて、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)、エプワース眠気尺度(ESS)、サーモグラフィー(ヒストグラム温度解析)、又は、レーザー血流測定に基づいて評価する。かかる評価方法を適用することにより、入浴後の睡眠時の睡眠状態の改善の度合いについて数値的、具体的に効果を把握することができる。
【0076】
[実験例2]
女性33名の被験者により睡眠状態の改善について実験評価した。
【0077】
【表6】
【0078】
表6に示すように、被験者(女性)33名の平均年齢は48.5±7.1歳。実験同意時の年齢が30歳以上59歳以下であり、全て日本人女性である。
【0079】
被験者の除外基準(自己申告)は、皮膚疾患を有する者、他の臨床試験に参加している者、被験品素材によりアレルギー症状を示す恐れのある者、通院・投薬・治療を行っている者、基礎疾患(投薬治療中の糖尿病、または合併症を伴う糖尿病、慢性呼吸器疾患、慢性心臓病(高血圧を含む)、慢性腎臓病、慢性肝臓病(脂肪肝や慢性肝炎を除く)、慢性血液疾患(鉄欠乏症貧血を除く)、免疫異常に伴う神経疾患や神経筋疾患、染色体異常、重症心身障害(重度の肢体不自由と重度の知的障害が重複した状態))を有する者、である。
【0080】
被験者管理事項は、実験期間中は開始以前と同様の生活環境(睡眠、食事、生活全般)を維持した。
【0081】
実験に用いる固形の炭酸入浴剤は、前記した本発明者が先に提案した特許第6268332号公報に記載のものを用いた。具体的には、前記実験例1に記載の錠剤を用いた。
この錠剤状の炭酸入浴剤を、シャワーヘッド(製品名:重炭酸クリスタルイオンシャワー、ホットアルバム炭酸泉タブレット社製)の入浴剤収容部に1錠を収容して使用する。
【0082】
実験条件は、シャワーを浴びる対象部位:全身、シャワーの湯水温度:40℃、1回の入浴時にシャワー放出される湯水を浴びる時間:8~10分間とした。
実験を開始する前と、本発明の第2発明の入浴方法によるシャワーを浴びる実験を4週間続けた後の睡眠状態について比較を行った。結果を表7~表25に示す。
【0083】
ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)に基づく評価を表7、表8、表9に示す。表7は推移値、表8はスコア判別基準、表9は回答の推移、を各々示す。
【0084】
【表7】
【0085】
【表8】
【0086】
【表9】
【0087】
エプワース眠気尺度(ESS)に基づく評価を表10、表11、表12に示す。表10は推移値、表11はスコア判別基準、表12は回答の推移、を各々示す。
【0088】
【表10】
【0089】
【表11】
【0090】
【表12】
【0091】
サーモグラフィー(ヒストグラム温度解析):画像・数値解析の推移を表13に、レーザー血流測定の推移を表14に示す。
【0092】
【表13】
【0093】
【表14】
【0094】
自覚症状アンケートについて表15、表16に示す。表15はスコア判別基準、表16は推移値、を各々示す。
【0095】
【表15】
【0096】
【表16】
【0097】
被験者(女性)33名の個人データ(使用率)を表17に示す。
【0098】
【表17】
【0099】
表18、表19、表20にピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)の個人データを示す。
【0100】
【表18】
【0101】
【表19】
【0102】
【表20】
【0103】
表21、表22にエプワース眠気尺度(ESS)の個人データ、を各々示す。
【0104】
【表21】
【0105】
【表22】
【0106】
表23にサーモグラフィー(ヒストグラム温度解析):画像・数値解析の個人データ、表24にレーザー血流測定の個人データ、を各々示す。
【0107】
【表23】
【0108】
【表24】
【0109】
表25及び表26に自覚症状アンケートの個人データを示す。
【0110】
【表25】
【0111】
【表26】
【0112】
表7~表25に示すように、実験例2の結果から、本発明の第2発明の入浴方法のシャワーによって睡眠状態の改善がみられたことがわかる。
【0113】
特に、睡眠の質、入眠時間、睡眠時間、睡眠効率、睡眠困難の改善、日中覚醒困難の改善、の点において改善がみられたことがわかる。
更に、食欲の無さについての改善、便通の悪さについての改善、活動意欲の無さについての改善、疲労感についての改善、集中力の無さについての改善、判断力の鈍さについての改善、気力・意欲の無さについての改善、手足の冷えについての改善、手足のむくみについての改善、体臭についての改善、口腔・目の乾きについての改善、胃痛・腹痛についての改善、頭痛につい手の改善、首の痛み・肩こりについての改善、胸痛・背中の痛みについての改善、腰痛についての改善、関節の痛みについての改善、頭皮の臭いについての改善、頭皮の汚れについての改善、髪のパサつき・質感の悪さについての改善、髪の櫛通り・指通りの悪さについての改善、枝毛・抜け毛についての改善、肌の乾燥についての改善、肌のテカリについての改善、肌のたるみについての改善、肌荒れについての改善、肌の質感の悪さについての改善、肌のくすみについての改善、化粧のノリの悪さについての改善、の各々について効果があったことがわかる。
【0114】
上記実験例2において、ビタミンC・Na、ヒアルロン酸Na、加水分解コラーゲン、カプリリスルホン酸、オレフィン(C14-16)スルホン酸Naを除去して同様の実験を行ったところ、実質的に同等の効果がみられた。
また、上記実験例1と同じく、炭酸マイクロバブルの気泡の直径が1μm以上の場合と1μm未満の場合について比較したところ、1μm未満の場合の方が本発明の効果について、より高い効果が得られる技術であることが確認された。
【0115】
次に、本発明の第3発明の入浴方法について説明する。
本発明は炭酸泉入浴効果とマイクロバブル効果を併せ持つ炭酸マイクロバブル混合水をシャワー放出し、炭酸ガス成分とマイクロバブルとを混合した湯水を入浴者が全身や足・脇等の特定の部位に浴びることによって、洗浄効果と血行促進等の健康増進効果をも得られる技術である。
【0116】
特に、本発明の第3発明は、
固形の炭酸入浴剤を湯水の流路中に留置させる入浴剤収容部が設けられ、ホースからシャワーヘッドへ送水される湯水によって前記入浴剤収容部に収容した炭酸入浴剤を溶解して炭酸マイクロバブルを発生させると共に湯水と混合して炭酸マイクロバブル混合水を生成し、この炭酸マイクロバブル混合水をシャワーヘッドの湯水噴出孔からシャワー放出し、このシャワー放出した炭酸マイクロバブル混合水を浴びる入浴方法であって、
前記炭酸入浴剤が、重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム)と有機酸を含有し、且つ重炭酸イオン封鎖物質を含有しない構成であり、 前記有機酸がクエン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸の少なくとも1つであり、かつ無水炭酸ナトリウム及び/又は無水炭酸カリウムを含有する構成であり、シャワーヘッドの湯水噴出口から放出する湯水のpHが6.8から8.5であり、
ホースを介して供給される湯水に含有する塩素を除去することにより、シャワー放出する炭酸マイクロバブル混合水の塩素含有濃度を低下させることを特徴とする炭酸マイクロバブル混合水を用いた入浴方法であり、
かかる構成によって、ホースを介して供給される湯水に含有する塩素を除去することにより、シャワー放出する炭酸マイクロバブル混合水の塩素含有濃度を低下させることができる。
【0117】
第3発明に用いられる、炭酸入浴剤収容部を備えたシャワーヘッド、既存のシャワーヘッドを用いることができる炭酸入浴剤収容部を備えたジョイント部材、固形の炭酸入浴剤については、上記した第1発明の構成と同様である。
【0118】
入浴者に向かってシャワー放出する時間は8分~10分が好ましく、シャワー放出された炭酸マイクロバブル混合水の温度は36~41℃の範囲であることが好ましい。かかる放出時間、温度であれば、炭酸マイクロバブル混合水のシャワー放出による効果を極めて有効に発揮させることができる。
【0119】
また、シャワー放出された炭酸マイクロバブルの気泡の直径は1~100μmの範囲であることが好ましい。かかる直径の範囲であれば、炭酸マイクロバブル混合水のシャワー放出による効果を極めて有効に発揮させることができる。
【0120】
更に、シャワー放出された炭酸マイクロバブルの気泡の直径を上記1~100μmの範囲よりも微細な1μm未満とした場合、得られるマイクロバブルがより細分化されるので炭酸マイクロバブル混合水のシャワー放出による効果を極めて有効に、より一段と発揮できる。
【0121】
次に第3発明の入浴方法に基づく実験例3について説明する。
【0122】
40℃に加温された公共水道水(東京都水道局:水圧3.5kgf/cm)は、DPD(N,N-ジエチルパラフェニルレンジアミン)を着色するまで添加したところ、溶液は淡赤紫色を呈した。これは、保温された溶液中に残留塩素があることを示している。残留塩素が無くなると、色は無くなり透明となるため、塩素中和状況が判定できる。
【0123】
上記の40℃の淡赤紫色の溶液を用いて、吸光度計(島津製)で554nmの波長における吸光度を測定し、炭酸入浴剤を用いることなく40℃の溶液をそのままシャワー放出した溶液の吸光度を100とする相対値により、本発明の第3発明の入浴方法によって得られるシャワー放出した炭酸マイクロバブル混合水の塩素含有濃度を評価した。
【0124】
シャワーヘッド内の入浴剤収容部に収容する固形の炭酸入浴剤は前記実験例1及び2で用いたものと同じものを用いた。シャワー放出された溶液について吸光度を測定したところ、10分の1以下となっていることがわかった。
即ち、本発明の第3発明の入浴方法の構成によれば、シャワー放出する炭酸マイクロバブル混合水の塩素含有濃度を著しく低下させることができる。
【0125】
また上記実験例3において、ビタミンC・Na、ヒアルロン酸Na、加水分解コラーゲン、カプリリスルホン酸、オレフィン(C14-16)スルホン酸Naを除去して同様の実験を行ったところ、実質的に同等の効果がみられた。
更に上記実験例1と同じく、炭酸マイクロバブルの気泡の直径が1μm以上の場合と1μm未満の場合について比較したところ、1μm未満の場合の方が本発明の効果について、より高い効果が得られる技術であることが確認された。
【符号の説明】
【0126】
1 シャワーヘッド
2 ホース
3 入浴剤収容部
4 炭酸入浴剤
5 ジョイント部材

図1
図2