(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144390
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】ハンド装置およびこのハンド装置を用いた食品盛り付け装置と食品群形成装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20231003BHJP
B65G 47/90 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
B25J15/08 C
B65G47/90 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051335
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000152815
【氏名又は名称】株式会社日本キャリア工業
(72)【発明者】
【氏名】三谷 卓
(72)【発明者】
【氏名】荻山 雅和
(72)【発明者】
【氏名】三輪 保生
(72)【発明者】
【氏名】向井 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】牧野 伸司
(72)【発明者】
【氏名】武智 賢治
(72)【発明者】
【氏名】山田 裕
【テーマコード(参考)】
3C707
3F072
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707CY13
3C707ES03
3C707ET08
3C707HS14
3C707HS27
3C707KS03
3C707KS09
3C707KT01
3C707KT06
3C707LS15
3C707NS02
3C707NS26
3F072AA06
3F072GA01
3F072GD01
3F072GD06
3F072GE06
3F072GG03
3F072KD01
3F072KE18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】採取した食品を適正な位置に安定した姿勢で置くことができるものとする。
【解決手段】左右の指状部の夫々に開閉作動する第1部材および第2部材を備え、各指状部において第1部材と第2部材とを接近配置し、第1部材の内側縁部が第2部材の内側縁部に対して出没するように構成したハンド装置とする。このハンド装置を用いて、左右の指状部によって採取位置にある食品の長さ方向での中間部を保持して両端部を垂れ下げる工程と、設定領域上にハンド装置を移動させる工程と、設定領域に対してハンド装置を下方向及び横方向へ移動させて、食品をその垂下端側から設定領域に接触させて折り畳んだ状態で寝かせて保持を解除する工程を実行する食品盛り付け装置とする。これらの工程を自動的に反復して実行し、設定領域内に食品群を形成する食品群形成装置とする。
【選択図】
図28
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉作動する左右の指状部によって食品を保持するハンド装置であって、前記左右の指状部のそれぞれに、独立して開閉作動する第1部材および第2部材を備え、前記各指状部において第1部材と第2部材とを接近して配置し、前記第1部材の内側縁部が第2部材の内側縁部に対して出没するように構成したことを特徴とするハンド装置。
【請求項2】
前記第2部材に空間部を形成し、この空間部から前記第1部材の内側縁部が出没するように構成した請求項1に記載のハンド装置。
【請求項3】
前記左右の第1部材および左右の第2部材の夫々の内側縁部を上下方向に形成し、前記左右の第1部材の下端部に、対向側へ延在する係合部を備えた請求項1または請求項2に記載のハンド装置。
【請求項4】
前記左右の指状部によって食品を保持するときに、左右の第1部材が左右の第2部材よりも先行して閉じる方向へ作動し、左右の第1部材の内側縁部が左右の第2部材の内側縁部よりも内側に突出する一方、保持していた食品を左右の指状部から離脱させるときには、前記左右の第1部材が第2部材よりも先行して開き、左右の第1部材の内側縁部が左右の第2部材の内側縁部よりも外側に退避するように構成した請求項1または請求項2または請求項3に記載のハンド装置。
【請求項5】
前記左右の第1部材の開閉と前記左右の第2部材の開閉とを行なわせる駆動装置を、ハンド装置の上部に配置した請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のハンド装置。
【請求項6】
前記左右の第1部材の開放作動と共に作動して、保持していた食品の離脱を促進させる離脱促進手段を備え、この離脱促進手段には、左右の指状部の間の中心位置またはその近傍の位置に向けて流体を噴出させる手段を含む請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のハンド装置。
【請求項7】
前記ハンド装置に備えた左右の指状部によって、採取位置に位置する食品の長さ方向での中間部を保持して両端部を垂れ下げる工程と、前記採取位置から離間した設定領域上に該ハンド装置を移動させる工程と、前記設定領域に対してハンド装置を下降及び横方向移動させることにより、前記食品をその垂下端側から設定領域に接触させて折り畳んだ状態で寝かせて前記左右の指状部による保持を解除する工程を実行する制御装置を設けた請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のハンド装置を用いた食品盛り付け装置。
【請求項8】
採取位置に位置する食品の長さ方向での中間部を、前記左右の第1部材と左右の第2部材を閉じる方向へ作動させて保持し、前記ハンド装置を上昇させることによってこの食品の両端部を垂れ下げた状態で採取する工程と、前記食品を採取したハンド装置を前記採取位置から離間した設定領域上へ移動させる工程と、前記設定領域上において、前記ハンド装置を横方向に移動させながら下降させ、前記左右の第1部材および左右の第2部材を開く方向へ作動させることにより、前記食品を二つ折りの状態で前記設定領域内に載置する工程を含み、これらの工程を自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する制御装置を設けた請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のハンド装置を用いた食品群形成装置。
【請求項9】
採取位置に位置する食品の長さ方向での中間部を、前記左右の第1部材と左右の第2部材を閉じる方向へ作動させて保持し、前記ハンド装置を上昇させることによってこの食品の両端部を垂れ下げた状態で採取する工程と、前記食品を採取したハンド装置を、平面視での向きを変更させ且つ前記採取位置から離間した設定領域上へ移動させる工程と、前記設定領域上において、前記ハンド装置を直前の工程における移動方向とは逆方向に移動させながら下降させ、前記左右の第1部材および左右の第2部材を開く方向へ作動させると共に前記離脱促進手段を作動させて保持していた食品を離脱させることにより、前記食品を二つ折りの状態で前記設定領域内に載置する工程を含み、これらの工程を自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する制御装置を設けた請求項6に記載のハンド装置を用いた食品群形成装置。
【請求項10】
前記左右の指状部の間の空間へ進退する掬い上げ部を備え、この掬い上げ部に、上下方向に所定の角度で傾斜した帯状の搬送部材を備えた請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のハンド装置。
【請求項11】
前記掬い上げ部が左右の指状部の間に進入したときに、前記左右の第1部材が前記左右の第2部材よりも先行して閉じる方向へ作動するように構成するとともに、前記掬い上げ部が左右の指部の間から退避する前に前記左右の第1部材が開き、前記掬い上げ部が左右の指部の間から退避する過程で、または、前記掬い上げ部が左右の指部の間から退避したときに、前記左右の第2部材が開くように構成した請求項10に記載のハンド装置。
【請求項12】
採取位置に位置する食品を、前記ハンド装置に備えた掬い上げ部によって斜め上方へ掬い上げ、前記左右の第1部材と前記左右の第2部材を閉じる方向へ作動させて、前記掬い上げられた食品をU字状に変形させた状態で採取する工程と、前記食品を採取したハンド装置を、前記採取位置から離間したトレーの底面上等に設定される設定領域上へ移動させる工程と、前記設定領域上において、前記左右の第1部材を開く方向へ作動させ、前記第2部材によって食品の端部の開きを規制しながら掬い上げ部によって斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視で略U字状のままで前記設定領域内に載置する工程を含み、これらの工程を自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する制御装置を設けた請求項10または請求項11に記載のハンド装置を用いた食品群形成装置。
【請求項13】
ロボットアームの先端に装着可能に設けられるハンド装置であって、このハンド装置には、斜め下方へ向かって延在する上部ベルトおよび下部ベルトを含む採取部と、これら上部ベルトおよび下部ベルトを正逆回転駆動するベルト駆動源と、前記上部ベルトで掬い上げられることによって垂れ下がった食品の端部を前記下部ベルト側に折り畳む折り畳み部と、この折り畳み部の折り畳み動作及び折り畳み解除動作を行わせる折り畳み部駆動源とを備えたことを特徴とするハンド装置。
【請求項14】
前記食品の両端部を前記折り畳み部によって折り畳む第1状態と、前記食品の一端部のみを前記折り畳み部によって折り畳む第2状態とを選択可能とし、前記第1状態が選択された場合には、前記食品の長さ方向での中心部を上部ベルトで掬い上げ、前記第2状態が選択された場合には、前記食品の長さ方向での中心部から設定距離偏倚した部位を上部ベルトで掬い上げる制御装置を設けた請求項13に記載のハンド装置を用いた食品盛り付け装置。
【請求項15】
前記上部ベルトの先端を、食品載置面に沿わせながら採取位置の食品に向けて移動させ、この食品を正転駆動する上部ベルトの上面側で掬い上げながら、または掬い上げた後に、ハンド装置を上昇させ、食品の垂下端部を折り畳み部によって前記下部ベルトの下面側に折り畳む工程と、前記ハンド装置を採取位置から離間した設定領域上に移動させる工程と、前記上部ベルトの先端を後退させながら上部ベルトおよび下部ベルトを逆転駆動し、掬い上げた食品を上部ベルトおよび下部ベルトから離脱させて、この食品を前記設定領域に載置する工程を含み、これらの工程を自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する制御装置を設けた請求項13に記載のハンド装置を用いた食品群形成装置。
【請求項16】
前記の食品群を形成する食品の数を各食品の大きさに応じて自動的に変更し、この食品群の重量を設定範囲内に調整する構成とした請求項8または請求項9または請求項12または請求項15に記載の食品群形成装置。
【請求項17】
前記設定領域内に、食品を並べて置くための複数の行と複数の列を設定し、前記各行における列の数を食品の大きさに応じて自動的に変更して、食品群の重量を設定範囲内に調整する構成とした請求項8または請求項9または請求項12または請求項15に記載の食品群形成装置。
【請求項18】
前記設定領域内に、食品を並べて置くための複数の行と複数の列を設定し、前記各行における列の数、または、前記各行における列の数と各列の間隔を、各行の先頭に置かれる食品の大きさに応じて自動的に変更する構成とした請求項8または請求項9または請求項12または請求項15に記載の食品群形成装置。
【請求項19】
前記採取位置にて採取される前の食品を撮像する撮像手段を備え、この撮像手段による撮像結果から前記食品の大きさを得る構成とした請求項16または請求項17または請求項18に記載の食品群形成装置。
【請求項20】
前記食品の大きさが設定された大きさよりも小さい場合に、この食品の採取を自動的に禁止する構成とした請求項16から請求項19のいずれか一項に記載の食品群形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えばロボットアーム等に備えるハンド装置、および、このハンド装置を用いて食品を盛り付ける食品盛り付け装置および食品群を形成する食品群形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば食品加工工場では、生肉等の塊状食品を切断装置によってその先端部から所定間隔で切断し、これによって所定の厚さに形成された複数の食品(薄肉片等)を、手作業によってコンベア上から掬い上げ、食品用のトレーに盛り付ける。
トレーに盛り付けられて群を形成した食品(食品群)は、このトレーごと包装され、食品の種類、計測された総重量、価格等のラベルが貼られて、商品として出荷される。
【0003】
近年、このような食品群の形成を自動化する試みがなされており、特許文献1には、コンベア上の食品をロボットアームに備えた吸着ヘッドによって採取して移動させ、これを繰り返して食品群を形成する技術が開示されている。
また、この食品群をハンド装置に備えた一対の把持部材で把持して採取し、トレーに盛り付ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような技術によって、例えば生肉のような油脂を含有する食品や粘着性を有する食品等を吸着ないし把持して採取した場合、この食品が吸着ヘッドや把持部材に付着する。
このため、吸着や把持を解除しても食品が離脱しにくく、この採取した食品を適正な位置に安定した姿勢で置くことができにくくなる問題がある。
【0006】
また、特許文献1のような技術は、単に食品を採取して移動させるだけのものであり、採取した食品自体を所定の形状に整えて置くことはできない。
また、例えば生肉等の塊状食品は、先端部から後端部まで均一な断面形状ではなく、この断面形状は不規則に変化するため、これを均一な厚さに切断しても、切断された食品の大きさ(表面積等)や重量は均一にならない。
このため、切断された同一数の食品から群を形成した場合、この食品群ごとの重量がばらつく。
このように食品群ごとの重量がばらついた場合、商品としての表示重量帯やこれに伴う表示価格帯等を揃えることが難しくなるため、手作業での重量調整(食品片の追加等)を要することとなり、生産能率が低下するような問題が生じうる。
【0007】
本開示は、上述のような課題を解決し、採取した食品を適正な位置に安定した姿勢で置くことができ、更に、採取した食品を所定の形状に整えて置くことができるハンド装置と、このハンド装置を用いて食品を適正な位置に安定した姿勢で盛り付ける食品盛付装置と、このハンド装置を用いて形成される食品群の重量を設定範囲内に自動的に調整して生産能率を高めることのできる食品群形成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、上述の課題を解決するために、以下の技術的手段を講じる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、開閉作動する左右の指状部によって食品を保持するハンド装置であって、前記左右の指状部のそれぞれに、独立して開閉作動する第1部材および第2部材を備え、前記各指状部において第1部材と第2部材とを接近して配置し、前記第1部材の内側縁部が第2部材の内側縁部に対して出没するように構成したことを特徴とするハンド装置とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記第2部材に空間部を形成し、この空間部から前記第1部材の内側縁部が出没するように構成した請求項1に記載のハンド装置とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記左右の第1部材および左右の第2部材の夫々の内側縁部を上下方向に形成し、前記左右の第1部材の下端部に、対向側へ延在する係合部を備えた請求項1または請求項2に記載のハンド装置とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記左右の指状部によって食品を保持するときに、左右の第1部材が左右の第2部材よりも先行して閉じる方向へ作動し、左右の第1部材の内側縁部が左右の第2部材の内側縁部よりも内側に突出する一方、保持していた食品を左右の指状部から離脱させるときには、前記左右の第1部材が第2部材よりも先行して開き、左右の第1部材の内側縁部が左右の第2部材の内側縁部よりも外側に退避するように構成した請求項1または請求項2または請求項3に記載のハンド装置とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記左右の第1部材の開閉と前記左右の第2部材の開閉とを行なわせる駆動装置を、ハンド装置の上部に配置した請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のハンド装置とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記左右の第1部材の開放作動と共に作動して、保持していた食品の離脱を促進させる離脱促進手段を備え、この離脱促進手段には、左右の指状部の間の中心位置またはその近傍の位置に向けて流体を噴出させる手段を含む請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のハンド装置とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、前記ハンド装置に備えた左右の指状部によって、採取位置に位置する食品の長さ方向での中間部を保持して両端部を垂れ下げる工程と、前記採取位置から離間した設定領域上に該ハンド装置を移動させる工程と、前記設定領域に対してハンド装置を下降及び横方向移動させることにより、前記食品をその垂下端側から設定領域に接触させて折り畳んだ状態で寝かせて前記左右の指状部による保持を解除する工程を実行する制御装置を設けた請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のハンド装置を用いた食品盛り付け装置とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、採取位置に位置する食品の長さ方向での中間部を、前記左右の第1部材と左右の第2部材を閉じる方向へ作動させて保持し、前記ハンド装置を上昇させることによってこの食品の両端部を垂れ下げた状態で採取する工程と、前記食品を採取したハンド装置を前記採取位置から離間した設定領域上へ移動させる工程と、前記設定領域上において、前記ハンド装置を横方向に移動させながら下降させ、前記左右の第1部材および左右の第2部材を開く方向へ作動させることにより、前記食品を二つ折りの状態で前記設定領域内に載置する工程を含み、これらの工程を自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する制御装置を設けた請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のハンド装置を用いた食品群形成装置とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、採取位置に位置する食品の長さ方向での中間部を、前記左右の第1部材と左右の第2部材を閉じる方向へ作動させて保持し、前記ハンド装置を上昇させることによってこの食品の両端部を垂れ下げた状態で採取する工程と、前記食品を採取したハンド装置を、平面視での向きを変更させ且つ前記採取位置から離間した設定領域上へ移動させる工程と、前記設定領域上において、前記ハンド装置を直前の工程における移動方向とは逆方向に移動させながら下降させ、前記左右の第1部材および左右の第2部材を開く方向へ作動させると共に前記離脱促進手段を作動させて保持していた食品を離脱させることにより、前記食品を二つ折りの状態で前記設定領域内に載置する工程を含み、これらの工程を自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する制御装置を設けた請求項6に記載のハンド装置を用いた食品群形成装置とする。
【0017】
請求項10に記載の発明は、前記左右の指状部の間の空間へ進退する掬い上げ部を備え、この掬い上げ部に、上下方向に所定の角度で傾斜した帯状の搬送部材を備えた請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のハンド装置とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、前記掬い上げ部が左右の指状部の間に進入したときに、前記左右の第1部材が前記左右の第2部材よりも先行して閉じる方向へ作動するように構成するとともに、前記掬い上げ部が左右の指部の間から退避する前に前記左右の第1部材が開き、前記掬い上げ部が左右の指部の間から退避する過程で、または、前記掬い上げ部が左右の指部の間から退避したときに、前記左右の第2部材が開くように構成した請求項10に記載のハンド装置とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、採取位置に位置する食品を、前記ハンド装置に備えた掬い上げ部によって斜め上方へ掬い上げ、前記左右の第1部材と前記左右の第2部材を閉じる方向へ作動させて、前記掬い上げられた食品をU字状に変形させた状態で採取する工程と、前記食品を採取したハンド装置を、前記採取位置から離間したトレーの底面上等に設定される設定領域上へ移動させる工程と、前記設定領域上において、前記左右の第1部材を開く方向へ作動させ、前記第2部材によって食品の端部の開きを規制しながら掬い上げ部によって斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視で略U字状のままで前記設定領域内に載置する工程を含み、これらの工程を自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する制御装置を設けた請求項10または請求項11に記載のハンド装置を用いた食品群形成装置とする。
【0020】
請求項13に記載の発明は、ロボットアームの先端に装着可能に設けられるハンド装置であって、このハンド装置には、斜め下方へ向かって延在する上部ベルトおよび下部ベルトを含む採取部と、これら上部ベルトおよび下部ベルトを正逆回転駆動するベルト駆動源と、前記上部ベルトで掬い上げられることによって垂れ下がった食品の端部を前記下部ベルト側に折り畳む折り畳み部と、この折り畳み部の折り畳み動作及び折り畳み解除動作を行わせる折り畳み部駆動源とを備えたことを特徴とするハンド装置とする。
【0021】
請求項14に記載の発明は、前記食品の両端部を前記折り畳み部によって折り畳む第1状態と、前記食品の一端部のみを前記折り畳み部によって折り畳む第2状態とを選択可能とし、前記第1状態が選択された場合には、前記食品の長さ方向での中心部を上部ベルトで掬い上げ、前記第2状態が選択された場合には、前記食品の長さ方向での中心部から設定距離偏倚した部位を上部ベルトで掬い上げる制御装置を設けた請求項13に記載のハンド装置を用いた食品盛り付け装置とする。
【0022】
請求項15に記載の発明は、前記上部ベルトの先端を、食品載置面に沿わせながら採取位置の食品に向けて移動させ、この食品を正転駆動する上部ベルトの上面側で掬い上げながら、または掬い上げた後に、ハンド装置を上昇させ、食品の垂下端部を折り畳み部によって前記下部ベルトの下面側に折り畳む工程と、前記ハンド装置を採取位置から離間した設定領域上に移動させる工程と、前記上部ベルトの先端を後退させながら上部ベルトおよび下部ベルトを逆転駆動し、掬い上げた食品を上部ベルトおよび下部ベルトから離脱させて、この食品を前記設定領域に載置する工程を含み、これらの工程を自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する制御装置を設けた請求項13に記載のハンド装置を用いた食品群形成装置とする。
【0023】
請求項16に記載の発明は、前記の食品群を形成する食品の数を各食品の大きさに応じて自動的に変更し、この食品群の重量を設定範囲内に調整する構成とした請求項8または請求項9または請求項12または請求項15に記載の食品群形成装置とする。
【0024】
請求項17に記載の発明は、前記設定領域内に、食品を並べて置くための複数の行と複数の列を設定し、前記各行における列の数を食品の大きさに応じて自動的に変更して、食品群の重量を設定範囲内に調整する構成とした請求項8または請求項9または請求項12または請求項15に記載の食品群形成装置とする。
【0025】
請求項18に記載の発明は、前記設定領域内に、食品を並べて置くための複数の行と複数の列を設定し、前記各行における列の数、または、前記各行における列の数と各列の間隔を、各行の先頭に置かれる食品の大きさに応じて自動的に変更する構成とした請求項8または請求項9または請求項12または請求項15に記載の食品群形成装置とする。
【0026】
請求項19に記載の発明は、前記採取位置にて採取される前の食品を撮像する撮像手段を備え、この撮像手段による撮像結果から前記食品の大きさを得る構成とした請求項16または請求項17または請求項18に記載の食品群形成装置とする。
【0027】
請求項20に記載の発明は、前記食品の大きさが設定された大きさよりも小さい場合に、この食品の採取を自動的に禁止する構成とした請求項16から請求項19のいずれか一項に記載の食品群形成装置とする。
【発明の効果】
【0028】
本開示のハンド装置によれば、採取した食品を適正な位置に安定した姿勢で置くことができる。
また、採取した食品を所定の形状に整えて適正な位置に安定した姿勢で置くことができる。
さらに、このハンド装置を用いた食品盛り付け装置によれば、採取した食品を適正な位置に安定した姿勢で盛り付けることができる。
そして、このハンド装置を用いた食品群形成方法によれば、形成する食品群の重量を設定範囲内に調整でき、手作業での重量調整を少なくして生産能率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態の食品盛り付け装置(食品群形成装置)の概略側面図。
【
図2】第1実施形態の食品盛り付け装置の概略平面図。
【
図5】指状部開閉駆動用のエアシリンダ部の斜視図。
【
図18】実施形態の食品盛り付け制御装置のブロック図。
【
図19】実施形態の食品盛り付け制御のメインフローチャート。
【
図20】実施形態の食品盛り付け制御のフローチャート。
【
図22】制御点の軌道を示す説明図であって、(a)は軌道を側面視した説明図、(b)は軌道を平面視した説明図。
【
図23】食品(薄肉)の採取開始前および採取開始初期の状態を模式的に示す平面図、正面図、側面図であって、(a)は待機状態の説明図、(b)は採取開始状態の説明図、(c)は第1部材が閉じた状態の説明図。
【
図24】
図23中の(c)に続き、食品(薄肉)を保持してハンド装置を上昇させ、食品の両端部を垂れ下げた状態で採取するまでの状態を示す平面図、正面図、側面図であって、(d)は食品を保持した状態の説明図、(e)はハンド装置を上昇させて食品の両端部を垂れ下げた状態の説明図、(f)はハンド装置の平面視での向きを変更した状態の説明図。
【
図25】
図24中の(f)に続き、ハンド装置を斜めに下降させて食品(薄肉)を二つ折りにしながら設定領域に降ろし、この食品を指状部から離脱させるまでの状態を示す平面図、正面図、側面図であって、(g)は第1部材を開き離脱促進手段を作動させた状態の説明図、(h)は離脱促進手段の作動を停止させ食品の離脱を完了した状態の説明図。
【
図26】
図25中の(h)に続き、二つ折りにした食品(薄肉)を設定領域に載置し、ハンド装置を待機状態に戻すまでの状態を示す平面図、正面図、側面図であって、(i)は第2部材を開いて食品の載置を完了した状態の説明図、(j)はハンド装置の向きを元に戻して待機状態に復帰させた状態の説明図。
【
図27】設定領域に配置された食品(薄肉)配置区画の説明図。
【
図28】(a)~(c)は、食品(薄肉)が設定領域に行列配置されていく状態を示す説明図。
【
図32】食品(薄肉)の大きさと盛り付け後の食品の総重量の関係を概念的に示す説明図。
【
図33】(a)及び(b)は、他の実施形態の移載装置の説明図。
【
図34】第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用左側面図。
【
図35】第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用右側面図。
【
図36】第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用平面図。
【
図37】第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用底面図。
【
図38】第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用背面図。
【
図41】第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置による盛り付けシステムのブロック図。
【
図42】(a)は第2実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置による盛り付け開始状態の説明図、(b)は盛り付け終了時の状態の説明図。
【
図43】第3実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用左側面図。
【
図44】第3実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用右側面図。
【
図45】第3実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用平面図。
【
図46】第3実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用底面図。
【
図47】第3実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用背面図。
【
図48】第3実施形態における一部の作用状態を示す図であって、(a)は薄肉群の両端部を折り畳む前の状態の説明用正面図、(b)は薄肉群の両端部を折り畳んだ状態の説明用正面図。
【
図49】第3実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置による盛り付けシステムのブロック図。
【
図50】第3実施形態の食品盛り付け制御装置が実行するフローチャート。
【
図51】第3実施形態のハンド装置の軌道を側面視した説明図。
【
図52】(a)は第3実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置による盛り付け開始状態の説明図、(b)は盛り付け途中の状態の説明図。
【
図53】第4実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用左側面図。
【
図54】第4実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用平面図。
【
図55】第4実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用概略正面図。
【
図56】第4実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置の説明用概略背面図。
【
図57】第4実施形態の物品移送装置を備えたハンド装置の一部の説明用正面図。
【
図58】(a)は第4実施形態の物品移送装置を備えたハンド装置の一部の説明用正面図、(b)はハンド装置の一部の拡大図。
【
図59】第4実施形態の物品移送装置を備えたハンド装置の一部の説明用側面図。
【
図60】第4実施形態の物品移載装置を備えたハンド装置による盛り付けシステムのブロック図。
【
図63】実施形態の制御点の軌道を側面視した説明図。
【
図64】実施形態の制御点の軌道を平面視した説明図。
【
図65】物品(薄肉)の採取開始初期の状態を模式的に示す平面図、側面図、正面図であって、(a)は待機状態の説明図、(b)は採取開始状態の説明図、(c)は掬い上げ途中状態の説明図。
【
図66】
図65中の(c)に続き、物品(薄肉)の採取完了までの状態を模式的に示す平面図、側面図、正面図であって、(d)は掬い上げ完了状態の説明図、(e)は物品を抱え込む状態の説明図、(f)は物品を採取し移動を開始する状態の説明図。
【
図67】
図66中の(f)に続き、採取した物品(薄肉)を移動させた後に所定位置へ置くまでの状態を模式的に示す平面図、側面図、正面図であって、(g)は物品の抱え込みを解除した状態の説明図、(h)は物品を所定位置へ置き始めた状態の説明図、(i)は物品を所定の位置へ置いた状態の説明図。
【
図68】
図67中の(i)に続き、物品(薄肉)を所定位置へ置いた後に、この物品から掬い上げ部を退避させた状態を模式的に示す平面図、側面図、正面図であって、(j)は物品を置き終えた状態の説明図、(k)は物品から掬い上げ部を退避させた状態の説明図。
【
図69】(a)は実施形態における設定領域の説明図、(b)は物品(薄肉)を捻って置いた状態の説明用平面図。
【
図70】(a)~(c)は、物品(薄肉)が設定領域に行列配置されていく状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に詳述する実施形態において、対象とする食品を、チルド状態の塊状肉をスライサー1によってスライスした生の薄肉Eとして説明する。
また、この薄肉Eは、スライサー1によって、切断後に二つ折りに折り畳まれたものであってもよい。
なお、この食品は、薄肉Eに限定されず、他の食品であってもよく、柔軟性や粘着性を有する食品生地等であってもよい。
【0031】
(第1搬送装置及び第2搬送装置)
図1、
図2に示すように、スライサー1から切り出された薄肉Eは、スライサー1に備えた第1搬送装置2によって搬送される。
【0032】
(方向の定義)
なお、上述の第1搬送装置2の搬送方向において、スライサー1側を上流側とし、その反対側を下流側とする。
以下の各図において、「-Y」は上流側の方向を示し、「+Y」は下流側の方向を示す。
「+X」はスライサー1側から下流側に向いた状態での右手側の方向を示し、「-X」はスライサー1側から下流側に向いた状態での左手側の方向を示す。
「+Z」は上方向、「-Z」は下方向を示す。
X、Y、Zで示す方向は相互に直交し、それぞれが三次元座標軸となる。
【0033】
しかして、スライサー1から切り出された薄肉Eは、そのX軸方向における長さ(幅)
が、そのY軸方向における長さよりも長い状態で、第1搬送装置2におけるベルト3の搬送面3a上に載置される。
食品盛り付け装置(ないし食品群形成装置)4は、第1搬送装置2に対して、その下流側の左側の位置に配置する。
【0034】
第1搬送装置2は、従動ローラ群と駆動ローラ(共に図示省略)にわたって無端状のベルト3を巻回したベルトコンベアとする。
この第1搬送装置2の終端側には、第1搬送装置2の搬送方向と平面視で直交し、左右方向に延在した第2搬送装置5を配置する。
この第2搬送装置5は、後述するように食品用のトレー6を第1搬送装置2の搬送終端に臨む待機位置へ搬送するものであり、従動スプロケットと駆動スプロケット(共に図示省略)にわたって無端状のチェーン7を巻回したチェーンコンベアとする。
なお、この第2搬送装置5を、トレー6を載置状態で搬送するベルト式のコンベアとしてもよい。
【0035】
また、第1搬送装置2のベルト3は、
図18に示すサーボモータ8によって駆動される。
このサーボモータ8の回転位相は、
図18に示すエンコーダ9により検出され、この検出値がスライサーコントローラ10に入力される。
このスライサーコントローラ10からの出力によってサーボモータ8を制御し、ベルト3を駆動することにより、このベルト3上の薄肉Eを
図2に示す採取位置Tまで搬送する。
【0036】
ベルト3の駆動によって薄肉Eが採取位置Tまで搬送されると、ベルト3が一時的に(微小時間)停止し、この停止状態において、採取位置Tにある薄肉Eが採取される。
また、第2搬送装置5は、食品盛り付け装置4によって、トレー6への設定数の薄肉Eの盛り付けが完了するまで(食品群の形成が完了するまで)は、このトレー6の搬送を停止している。
そして、トレー6への薄肉Eの盛り付けが完了した後に、第2搬送装置5を駆動してこのトレー6を搬出し、次の空のトレーを上述の待機位置まで送り出すように構成する。
【0037】
(カメラ)
また、
図1及び
図2に示すように、採取位置Tよりも上流側の上方の位置に、採取位置Tに搬送される前(採取される前)の搬送面3a上の薄肉Eを撮像するカメラ(請求項の「撮像手段」)11を配置する。
【0038】
(ロボットアーム)
図1、
図2に示すように、食品盛り付け装置4は、ロボットアーム12を備えたロボットである。
このロボットアーム12は、複数の能動関節の軸J1~J6を中心として、全体の旋回および各部の回動を自在に構成する。
図18に示すように、この能動関節の軸J1~J6の全てに、サーボモータ13~18を備え、これらのサーボモータ13~18のそれぞれに、回転位置検出器としてのエンコーダ19~23Sを備える。
【0039】
また、このロボットアーム12は、基台25、旋回ベース26、ロアアーム27、アッパアーム28、リスト29、及びハンド取付座30から構成する。
基台25は、加工工場のフロアまたはスライサー1側に連結された支持台24上に固定し、この基台25には、鉛直方向の軸J1周りに旋回ベース26を旋回自在に設ける。
この旋回ベース26には、水平方向の軸J2周りにロアアーム27を上下回動自在に軸支し、このロアアーム27の上端には、水平方向の軸J3周りにアッパアーム28の基部28aを上下方回動自在に軸支する。
【0040】
基部28aの先端に取り付ける回転体28bは、基部28aの軸線に沿う軸J4の周りに回転自在に支持する。なお、軸J4は、軸J3と直交する。
回転体28bの先端には、リスト29を横方向の軸J5周りに回動自在に支持する。この軸J5は、軸J4と直交する。
リスト29の先端には、ハンド取付座30を上下方向の軸J6周りに旋回自在に装着する。
【0041】
各軸J1~J6に備えたサーボモータ13~18は、後述する食品盛り付け制御装置31のロボットコントローラ34からの出力によって駆動するように構成する。
【0042】
(設定領域R)
図2に示すように、第2搬送装置5によって搬送され、第1搬送装置2の終端よりも下流側に離間する位置に待機させたトレー6の底面上に、設定領域(盛り付け領域)Rを設定する。
図27に示すように、この設定領域Rは、Y軸方向長さをr1とし、X軸方向長さをr2とする矩形の領域として設定する。
また、この設定領域Rを設定する位置は、トレー6の底面上以外に、スライサー1周辺の固定位置など、適宜の位置に設定可能とする。
この設定領域R内に複数の薄肉Eが置かれることで、薄肉Eの群(請求項の「食品群」)が形成される。
【0043】
(設定領域Rにおける行と列の定義)
上述の設定領域Rにおいて、薄肉Eを設定領域Rにおける左右方向の一端から他端まで連続的に盛り付けていく方向を「行」と定義し、この「行」と直交する方向を「列」と定義する。
これにより、薄肉Eが1つの行に全て置かれた後に、次の行頭への盛り付けが開始される。これを反復して、設定領域R内の全ての行および全ての列に、盛り付けを完了する。
なお、本実施形態においては、X軸方向に「行」を設定し、Y軸方向に「列」を設定する。これにより、複数の「行」がY軸方向に間隔をおいて平行に並ぶ。
図1に示すように、ハンド取付座30の下面に、採取部を有するハンド装置33を装着する。
図3、
図4に示すように、このハンド装置33は、枠体36を基体として構成し、この枠体36の上部をハンド取付座30の下面に着脱自在に装着する。
【0044】
(第1実施形態)
(指状部)
左右の指状部55L,55Rから採取部が形成される。
図3、
図4に示すように、上述の枠体36の下面部には、左右の指状部55L,55Rを開閉駆動する第1エアシリンダ(請求項の「駆動装置」の一つ)56および第2エアシリンダ(請求項の「駆動装置」の一つ)57を、間隔をおいて平行に固定する。
これにより、第1エアシリンダ56と第2エアシリンダ57は、ハンド装置33の上部に配置され、水(スライサー1洗浄時の洗浄水等)や肉屑の影響を受けにくくなる。
【0045】
図4、
図5に示すように、一側に配置した第1エアシリンダ56におけるシリンダブロック56Aの外側面に、左右方向のガイドレール56Bを形成する。
このガイドレール56Bに、左右一対のスライダ56L,56Rを摺動自在に嵌合する。
【0046】
シリンダブロック56Aの内部には、上下2つのシリンダ孔を横方向へ平行に穿設し、各シリンダ孔内に個別のピストン(図示省略)を往復摺動自在に内蔵し、各ピストンに左右のスライダ56L,56Rを連結する。
なお、エアーの供給によって各ピストンが互いに反対方向に摺動するように構成し、これによって、各ピストンに連結された左右のスライダ56L,56Rは互いに反対方向へ摺動する。
【0047】
一方、他側に配置した第2エアシリンダ57におけるシリンダブロック57Aの外側面に、左右方向のガイドレール57Bを形成する。
このガイドレール57Bに、左右一対のスライダ57L,57Rを摺動自在に嵌合する。
【0048】
シリンダブロック57Aの内部には、上下2つのシリンダ孔を横方向へ平行に穿設し、各シリンダ孔内に個別のピストン(図示省略)を往復摺動自在に内蔵し、各ピストンに左右のスライダ57L,57Rを夫々連結する。
そして、エアーの供給によって各ピストンが互いに反対方向に摺動するように構成し、これによって、各ピストンに連結された左右のスライダ57L,57Rは互いに反対方向へ摺動する。
【0049】
なお、左右の指状部55L,55Rには、左右の第1部材58L,58R、および、左右の第2部材59L,59Rを備える。
【0050】
(第1部材)
図3、
図4に示すように、左右の第1部材58L,58Rは、第1エアシリンダ56側の左右のスライダ56L,56Rに夫々支持する。
すなわち、左右方向に延在する板状の左右の第1支持部材60L,60Rの内側端部を、左右のスライダ56L,56Rの外側面に固定する。
【0051】
この左右の第1支持部材60L,60Rの端部は、左右方向へ延在させた後に下向きに屈折させて下方へ延在させ、更に、側面視で第1エアシリンダ56の下側に向かう方向へ屈折させて延在させる。
このようにして形成された左右の延在端部の下面に、左右方向に延在する第1副支持部材61L,61Rの外側端部を、角棒状の第1補強部材RI,RIを介して夫々固定する。
【0052】
この左右の第1副支持部材61L,61Rの内側端部を下向きに屈折させ、下方へ延在させて左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRを形成する。
更に、各インナーフィンガー58IFL,58IFRの下端部から所定の高さに亘る部位を左右幅広に形成する。この左右幅広の部位を第1部材58L,58Rと称する。
【0053】
この左右の第1部材58L,58Rの内側縁部は、その下端部付近まで略垂直な方向(請求項の「上下方向」)に延在させて形成する。
そして、この左右の第1部材58L,58Rの下端部内側縁は円弧状に内側(左右方向において対向する側)へ延在させ、左右の係合部58LS,58RSを形成する。
【0054】
(第2部材)
図3、
図4に示すように、左右の第2部材59L,59Rは、第2エアシリンダ57側の左右のスライダ57L,57Rに夫々支持する。
すなわち、左右方向に延在する板状の左右の第2支持部材62L,62Rの内側端部を、左右のスライダ57L,57Rの外側面に固定する。
【0055】
この左右の第2支持部材62L,62Rの端部は、下向きに屈折させて下方へ延在させ、更に、側面視で第2エアシリンダ57の下側に向かう方向へ屈折させて延在させる。
このようにして形成された左右の延在端部の下面に、左右方向に延在する第2副支持部材63L,63Rの外側端部を、第2補強部材RJ,RJを介して夫々固定する。
【0056】
この左右の第2副支持部材63L,63Rの内側端部を下向きに屈折し、下方へ延在させて左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRを形成する。
更に、各アウターフィンガー59IFL,59IFRの下端部から所定の高さに亘る部位を左右幅広に形成する。この左右幅広の部位を第2部材59L,59Rと称する。
この左右の第2部材59L,59Rの内側縁部は、その下端部まで略垂直な方向(請求項の「上下方向」)に延在させる。
【0057】
図3、
図4に示すように、左側の第2副支持部材63Lと左側のアウターフィンガー59IFLを一体的に形成したものを2つ設け、上述の左側の第2補強部材RJの一側面と他側面に夫々固定する。
これによって、前後の第2部材59L,59Lの間に隙間(請求項の「空間部」)SPが形成される。
【0058】
また、右側の第2副支持部材63Rと右側のアウターフィンガー59IFRを一体的に形成したものを2つ設け、上述の右側の第2補強部材RJの一側面と他側面に夫々固定する。
これによって、前後の第2部材59R,59Rの間に隙間(請求項の「空間部」)SPが形成される。
【0059】
これら左右の隙間SP,SPに対して、左右の第1部材58L、58Rの夫々を退避および突出(請求項の「出没」)自在に配置する。
これによって、各指状部55L,55Rにおいて第1部材58L,58Rと第2部材59L,59Rとが接近して配置される。
【0060】
(離脱促進手段)
(エアブロー式の第1実施例)
図6~
図8に示すハンド装置33の第1実施例では、一側に配置したシリンダブロック57Aの下面にステー57A1の上端部をボルト固定し、このステー57A1を指状部55L,55Rから離れる側へ斜め下方に延出させる。
この延出端部にエアブロー用のノズルN1(請求項の「離脱促進手段」)の基部を貫通状態で取り付け、このノズルN1の先端部側を指状部55L,55Rの下端部側へ斜め下方に延在させる。
【0061】
これにより、ノズルN1の下端部(先端部)は、
図6、
図7に示すように正面視で左右の指状部55L,55Rの間の中心位置で、かつ、
図8に示すように側面視で左右の指状部55L,55Rの下端部(先端部)に接近(近接)する位置に配置される。
なお、このノズルN1の基部には空圧源(図示省略)からの配管を接続する。
【0062】
(エアブロー式の第2実施例)
図9~
図11に示すハンド装置33の第2実施例では、2つのシリンダブロック56A,57Aの間に形成された間隔部を介して、エアブロー用のノズル(請求項の「離脱促進手段」)N1を下方へ延在させる。
これにより、このノズルN1は、
図9、
図10に示すように正面視で左右の指状部55L,55Rの間の中心位置で、かつ、
図11に示すように側面視で左の第2部材59L,59Lの間(右の第2部材59R,59Rの間)の位置に配置される。
【0063】
また、ノズルN1の下端部(先端部)は、側面視で左右の指状部55L,55Rの間の中心位置で、かつ、側面視で左右の指状部55L,55Rの下端部(先端部)に接近(近接)する位置に配置される。
なお、このノズルN1の基部には空圧源(図示省略)からの配管を接続する。
【0064】
(エアブロー式の第3実施例)
図12~
図14に示すハンド装置33の第3実施例は、上述の第2実施例におけるエアブロー用のノズルN1(請求項の「離脱促進手段」)の下端部(先端部)に、エアーを拡散して放出する拡散ノズルN2を装着したものである。
他の構成については第2実施例と同様である。
【0065】
(エアブロー式の第4実施例)
図15~
図17に示すハンド装置33の第4実施例では、左右の第2支持部材62L,62Rにおける一側の面に、左右のステー57A2,57A2の上端部を溶接固定し、この左右のステー57A2,57A2を指状部55L,55Rから離れる側へ斜め下方に延出させる。
この各延出端部に左右のエアブロー用のノズルN1,N1(請求項の「離脱促進手段」)の基部を貫通状態で取り付け、このノズルN1,N1の先端部側を指状部55L,55Rの下端部側へ傾斜させると共に、左右の指状部55L,55Rの間の中心位置へ向けて延在させる。
【0066】
これにより、左右のノズルN1,N1の下端部(先端部)は、左右の指状部55L,55Rの間の中心位置付近において対向する位置に配置される。
なお、この実施例においては、左右のノズルN1,N1が、左右の第2部材59L,59Rと共に移動するが、この左右の第2部材59L,59Rが最接近した状態で、左右のノズルN1,N1の先端部どうしの間に所定の隙間が残るように構成する。
また、この左右のノズルN1,N1の各基部に空圧源(図示省略)からの配管を接続する。
【0067】
なお、上記においては、ノズルN1から流体であるエアーを噴出するものとしたが、この流体はエアーに限定されるものではなく、エアー中に大きな体積比を占める窒素ガスとしてもよい。
【0068】
(その他の離脱促進手段)
第1実施例~第4実施例は、左右の指状部55L,55Rに保持されていた薄肉Eの離脱をエアブローによって促進するものであったが、これに替えて、保持されている薄肉Eを叩き落とすような機械式のものとしてもよい。
【0069】
(食品盛り付け制御装置)
図18に示すように、演算部、記憶部等を備えたロボットコントローラ34に対して、その入力側に、上述のエンコーダ19~23Sと、カメラ11を接続する。
一方、ロボットコントローラ34の出力側には、上述のサーボモータ13~18と、第1エアシリンダ用バルブソレノイド56SV、第2エアシリンダ用バルブソレノイド57SV、エアブロー用バルブソレノイドNSVを連繋する。
【0070】
また、図示を省略しているが、ロボットコントローラ34の出力側には、各サーボモータ13~18を作動させる個別のリレー回路が介在している。
なお、エアブロー用の空圧源は、工場内の圧縮空気供給設備、または、スライサー1に備えたエアポンプである。
【0071】
一方、スライサー1側のスライサーコントローラ10には、その入力側に上述のエンコーダ9を接続し、その出力側は上述のサーボモータ8を接続する。
なお、スライサー1の作動制御に関する他のセンサー類およびアクチュエータ類は図示を省略している。
そして、ロボットコントローラ34とスライサーコントローラ10を、通信線SLを介して接続する。
【0072】
以上により、食品盛り付け制御装置(食品群形成制御装置)31が構成される。
【0073】
(盛り付け制御)
本発明を実施する盛り付け制御(食品群形成制御)について説明する。
図2に示すように、スライサー1によって塊状肉が所定の厚さに切断され、切断された薄肉(または二つに折り畳まれた薄肉)Eが第1搬送装置2におけるベルト3の搬送面3a上に順次載置される。
この薄肉Eが採取位置Tに到達したことがエンコーダ9によって検出されたときに、スライサーコントローラ10からロボットコントローラ34へ採取開始信号を出力する。
【0074】
これにより、搬送面3a上に載置された薄肉Eの移動状態と、この搬送面3a上の薄肉Eを採取するタイミングとが同期する。
なお、設定数の薄肉Eを採取しその盛り付けが全て完了したときには、ロボットコントローラ34からスライサーコントローラ10へ盛付完了信号が出力される。
【0075】
以下に述べる「制御点」は、左の第1部材58Lの係合部58LSの先端(内側端)と、右の第1部材58Rの係合部58RSの先端(内側端)との間の間隔の中心位置である。
【0076】
図22(a)、
図22(b)に示すように、ロボットアーム12を制御し、上述の制御点をポイントP0~P1~P2、P2~P3、P3~P4、P4~P0の各円(または球)の中心位置に移動させる。
しかして、
図19~
図21に盛り付け制御のフローチャートを示し、
図23~
図26に、ハンド装置33によって薄肉Eを採取する状態から、薄肉Eを二つ折りにして載置する状態までの過程を示す。
【0077】
(S10A)
図19に示すように、盛り付け制御が開始されると、S10Aにおいて、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を駆動制御し、ハンド装置33を格納位置から移動させて、制御点を初期位置であるポイントP0に位置付ける。
このポイントP0は、薄肉Eの採取位置Tにおいて、搬送面3aから直上方へ所定距離離間した位置に設定される。
【0078】
また、このポイントP0において、ハンド装置33の左右の指状部55L,55Rは、互いに離間した開放状態となる。
すなわち、左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRと左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRは、夫々最大間隔まで離間した開放状態となる。
【0079】
この状態において、左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRに備えた第1部材58L,58Rは、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRに備えた第2部材59L,59Rの隙間SP,SP内に退避している。
また、これによって、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部は、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部に対して外側に(隙間SP内に)退避している。
【0080】
(S12)
S12では、スライサーコントローラ10によって、採取位置Tへ搬送中の薄肉Eの属性の取得を行う。
すなわち、スライサーコントローラ10には、スライサー1側に設けられ、スライス前の塊状肉の先端部の厚さ(高さ)を検出する厚さ(高さ)センサー(図示省略)から、その検出結果が入力される。
【0081】
スライサー1は、横向き姿勢で-Y側から+Y側へ向けて供給された塊状肉を、その先端部から上下方向に切断するものであるため、切断後に搬送面3a上に載置される薄肉EのY軸方向での長さは、この塊状肉の先端部の厚さ(高さ)に近似した寸法となる。
なお、薄肉EがY軸方向の中央部で折り畳まれたものである場合、この薄肉EのY軸方向での長さは、塊状肉の先端部の厚さ(高さ)の約1/2の長さとなる。
【0082】
このスライス前の塊状肉の先端部の厚さ(高さ)は、スライサーコントローラ10からロボットコントローラ34に送信される。
また、ロボットコントローラ34は、カメラ11で撮像した薄肉Eの画像を処理し、この結果に基づいて、薄肉Eの大きさ(薄肉EのX軸方向での長さ(幅)と面積)を取得する。
そして、取得された薄肉Eの大きさから、この薄肉Eを大・中(標準)・小・採取不適の4つのクラスに分類する。
【0083】
(採取に適した薄肉Eの採取および盛り付け)
以下では、カメラ11で撮像した薄肉Eが、上述の大・中・小のいずれかのクラスに分類された場合の基本的な処理について説明する。
【0084】
(S14)
S14では、ロボットコントローラ34により、固定値として記憶された複数の所定行数Mのうち、使用するトレー6の大きさに対応する所定行数Mが選択される。
また、塊状肉の先端部の厚さ(高さ)及び画像処理に基づく薄肉Eの大きさに基づいて、所定列数Nが自動的に算出される。
【0085】
これにより、
図27に示すように、トレー6の内底面の設定領域R内に、所定行数Mの行と、所定列数Nの列が設定される。
なお、各行、および、各行における各列は、それぞれが等間隔で設定される。
【0086】
以下、まず、最初に算出された所定列数Nを全ての行に適用する場合(全ての行にN列(N枚)の薄肉Eを置く場合)の処理について説明する。
なお、この所定列数Nを、行ごとに算出する処理については、後述する。
【0087】
(S16)
S16では、ロボットコントローラ34により、行カウンタのカウント値m及び列カウンタのカウント値nにそれぞれ1をセットし、S18Aの「薄肉盛り付け処理」に移行する。
【0088】
(S18A:薄肉盛り付け処理)
図20、
図21に示すS200~S222は、S18Aにおける薄肉盛り付け処理のフローチャートである。
図27に示すように、トレー6の内底面は、複数の薄肉配置区画に行列状に区分される。
本実施形態では、(m,n)=(1,1),(1,2),(1,3),(1,4),(2,1),(2,2),…,(M,N)のように最も-Y側の第1行から列順に薄肉盛り付け処理がなされ、1つの行が終了すると、この行に対して+Y側に隣接する次の行において同様の盛り付け処理がなされる。
【0089】
第1行を意味する「m=1」は、トレー6の内底面において、最も-Y側の位置に配置され、第1列を意味する「n=1」は、トレー6の内底面において、最も+X側の位置に配置される。
【0090】
(S200)
まず、S200において、ロボットコントローラ34は、「採取目標位置設定処理」、及び、「軌道生成処理」を行なう。
【0091】
(採取目標位置設定処理)
カメラ11による撮像結果から得られた薄肉Eの大きさに基づき、薄肉EにおけるX軸方向での中央部位または中央部位の近傍の位置(請求項の「食品の長さ方向での中間部」)を被保持部B(
図2参照)として設定し、この被保持部Bの採取目標位置を算出する。
【0092】
(軌道生成処理)
軌道生成処理は、
図22に示すポイントP0~P1~P2、P2~P3、P3~P4までの採取から盛り付け終了までの制御点の軌道、及びポイントP4からポイントP0へ戻る制御点の軌道の生成処理であり、時間毎の制御点の位置およびハンド装置33の姿勢をロボットコントローラ34に格納する。
【0093】
(制御点の移動)
図22に基づき、各ポイント間における制御点の移動について説明する。
(a)は-X側から+X側に向かって見た制御点の軌道、(b)は+Z側から-Z側に向かって見た制御点の軌道を示す。
【0094】
ポイントP0は、制御点の初期位置であり、第1搬送装置2の搬送面3aの中心線tの直上方の位置に固定設定する。
【0095】
ポイントP1は、ポイントP0とポイントP2の間の制御点の垂直下降経路に含まれる中間点である。
【0096】
ポイントP2のZ軸座標値は、左右の指状部55L,55Rの下端が搬送面3aと接触しない程度の僅かな隙間を有する高さに設定する。食品盛り付け制御装置(食品群形成制御装置)31が実行する食品盛り付け方法は、このポイントP2からポイントP3への移動初期に制御点を上昇させ、ハンド装置33に保持した薄肉Eの両端部を垂れ下げた状態で採取する工程を備える。
【0097】
ポイントP3のX軸座標値およびY軸座標値は、設定領域Rの上方の座標値に設定する。食品盛り付け制御装置31が実行する食品盛り付け方法は、上述のポイントP2からポイントP3まで制御点を移動させる工程を備える。
また、ポイントP3のZ軸座標値は、ハンド装置33に保持された薄肉Eがトレー6の周壁6a上を通過する際に、この薄肉Eの両端(垂下端)が周壁6aに干渉しない高さに設定する。
【0098】
ポイントP2からポイントP3に至る軌道は、ポイントP2からの移動初期において、+Z側へ略垂直に上昇した後に+Y側へ傾斜し、側面視で弧状に屈曲して最高点に到達した後、+Y方向へ離間したポイントP3へ緩やかに下降するラインとして設定する。
【0099】
ポイントP4のY軸座標値は、ポイントP3のY軸座標値に対して-Y側へ所定距離離間した位置の座標値に設定する。
また、このポイントP4のX軸座標値は、ポイントP3のX軸座標値に対して+X側に所定距離離間した位置の座標値に設定する。
また、このポイントP4のZ軸座標値は、ポイントP3のZ軸座標値に対して-Z側に離間した設定領域R上面の座標値に設定する。
【0100】
なお、
図27に示すように、肉降下点Rmnは、薄肉配置区画(m,n)の中心点である。
【0101】
これにより、ポイントP3からポイントP4に至る軌道は、ポイントP3から-Y方向および+X方向へ離間したポイントP4へ緩やかに下降するラインとして設定される。
制御点がポイントP3からポイントP4へ移動する間で、ハンド装置33に保持された薄肉Eの垂下端部が設定領域R上(トレー6の内底面上)に接触した後、この薄肉Eが徐々に寝かされるようにして二つ折りの状態となり、保持が解除されて肉降下点Rmnに降ろされる。
【0102】
図19に示すフローチャートにおいて、後述するS20A、S24A、S28Aによって列n及び/または行mが更新される毎に、ポイントP4のX軸座標値及びY軸座標値は、更新後の肉降下点RmnのX軸座標値およびY軸座標値となる。
【0103】
(ハンド装置の姿勢)
本実施形態では、制御点がポイントP0からポイントP2へ移動して薄肉Eを採取する間は、左右の指状部55L,55RがY軸方向に並ぶように、ハンド装置33の平面視での向き(旋回角度)を維持する。
【0104】
制御点をポイントP2からポイントP3へ移動させる間に、ハンド装置33の平面視での向きを略90度変更し(旋回させ)、左右の指状部55L,55RがX軸方向に略並ぶ姿勢となる。
【0105】
制御点をポイントP3からポイントP4へ移動させる間、このハンド装置33の平面視での向きを略維持する。
【0106】
制御点をポイントP4からポイントP0へ移動させる間に、ハンド装置33の平面視での向きを逆方向へ略90度変更し、左右の指状部55L,55RがY軸方向に並ぶ状態に復帰させる。
【0107】
なお、上述の、制御点をポイントP2からP3へ移動させる間に行われるハンド装置33の平面視での向き変更、および、制御点をポイントP4からポイントP0へ移動させる間に行われるハンド装置33の平面視での逆方向への向き変更を、いずれも除いた構成(いずれも行わない構成)としてもよい。
【0108】
(S202~S206)
ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP0からポイントP1に移動させる。
【0109】
(S202)
図23中の(a)における左上の平面視で示す図のように、初期状態におけるハンド装置33において、左右の指状部55L,55RはY軸方向に最大間隔を形成する位置まで開いている。
すなわち、左右の第1部材58L,58Rおよび左右の第2部材59L,59Rが、夫々最大位置まで開き、各第1部材58L,58Rの内側縁部が、各第2部材59L,59Rの内側縁部に対して外側方へ偏倚した位置へ退避している。
【0110】
このS202において、
図2に示すように、第1搬送装置2によって搬送される薄肉Eが採取位置Tに到達したときに、ロボットコントローラ34がスライサーコントローラ10から採取開始信号を受信(取得)する。
これによってS204に移行する。
【0111】
(S204)
S204では、ロボットコントローラ34において、ポイントP2の3次元座標のうちのX軸座標値を、S200で得られた採取目標位置(被保持部B)におけるX軸座標値に変更する。
なお、採取目標位置のY軸座標値及びZ軸座標値は変更しない。
続いてS206に移行する。
【0112】
(S206)
S206では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を開始位置(ポイントP0)からポイントP1へ高速で移動させ、S208へ移行する。
【0113】
(S208)
S208では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP1からポイントP2へ緩速で下降させる。
これにより、
図23中の(b)における左下の正面視で示す図のように、指状部55L,55Rの下端(第1部材58L,58Rの下端および第2部材59L,59Rの下端)が、搬送面3aに接触しない程度の僅かな隙間を残して可及的に近接する位置に至る。
続いてS210に移行する。
【0114】
(S210)
S210では、上述のようにして制御点がポイントP2に達した後、ロボットコントローラ34から第1エアシリンダ用バルブソレノイド56SVへの出力によって第1エアシリンダ56を作動させる。
これにより、
図23中の(c)における左上の平面視で示す図のように、左右の指状部55L,55Rにおける左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRが互いに接近する方向へ移動し、左右の第1部材58L,58Rが閉じる方向へ作動する。
【0115】
この状態で、薄肉EにおけるX軸方向での中央部(請求項の「長さ方向での中間部」)が、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部間に挟まれると共に、この中央部の下面側へ左右の係合部58LS,58RSが進入して、薄肉Eが保持される。
なお、左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRが最接近した状態でも、左右の第1部材58L,58Rの間には隙間が残り、左右の係合部58LS,58RSの対向端部間にも僅かな隙間が残る。
続いてS212へ移行する。
【0116】
(S212)
S212では、左右の第1部材58L,58Rが閉じる方向への作動を完了してから設定時間経過後に、ロボットコントローラ34から第2エアシリンダ用バルブソレノイド57SVへの出力によって第2エアシリンダ57を作動させる。
これにより、左右の指状部55L,55Rにおける左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRが互いに接近する方向へ移動し、
図24中の(d)における左上の平面視で示す図のように、左右の第2部材59L,59Rが閉じる方向へ作動する。
【0117】
この状態で、薄肉EにおけるX軸方向での中央部が、左右の第1部材58L,58Rと共に左右の第2部材59L,59Rに挟まれ、安定して保持される。
なお、このとき、左右の第1部材58L,58Rの間に間隔が残るため、薄肉Eを強く挟みすぎて損傷させることはない。
続いて、S214へ移行する。
【0118】
(S214)
S214では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、まず制御点のポイントP2からの上昇を開始させる。
このポイントP2からの上昇開始時において、制御点は、+Z側へ略垂直に上昇した後に+Y側へ傾斜する軌道に沿って上昇する。
これにより、
図24中の(e)における左下の正面視で示す図のように、薄肉EのX軸方向での中央部が、左右の第1部材58L,58Rと左右の第2部材59L,59Rに挟まれた状態で持ち上げられ、この薄肉Eの両端部が搬送面3aから浮上して自重で垂れ下がる。
【0119】
以上、食品盛り付け制御装置31が実行する食品盛り付け方法には、ポイントP2において採取位置Tに位置する薄肉EのX軸方向での中央部を保持し、ハンド装置33を上昇させることによってこの薄肉Eの両端部を垂れ下げた状態で採取する第1工程を備える。
【0120】
この後、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を側面視で弧状に屈曲する軌道に沿って上昇させながら+Y側へ移動させ、最高点に到達させた後、採取位置Tから+Y方向へ離間したポイントP3へ緩やかに下降させる。
また、このように制御点がポイントP2からポイントP3へ移動する途中で、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、ハンド装置33を能動関節の軸J6(上下方向の軸心)回りに略90度旋回させる。この旋回は、平面視において時計方向の回転である。
【0121】
これにより、
図24中の(f)における左上の平面視で示す図のように、Y軸方向に沿う方向に並んでいた左右の指状部55L,55RがX軸方向に並び、この左右の指状部55L,55Rに保持されている薄肉Eの姿勢が略90度(S214のθ3)変更される。
すなわち、この薄肉Eの幅方向(長さ方向と直交する方向)が、Y軸に沿う方向からX軸に沿う方向に変更される。
【0122】
以上、食品盛り付け制御装置31が実行する食品盛り付け方法には、薄肉Eを採取したハンド装置33を、平面視での向きを略90度変更させると共にポイントP3まで移動させる第2工程を備える。
続いてS216へ移行する。
【0123】
(S216)
S216では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP3からポイントP4へ移動させる。
すなわち、薄肉Eを保持したハンド装置33を、-Y側へ移動させながら下降させ、制御点を設定領域R上のポイントP4へ移動させる。
このポイントP3からポイントP4への移動中、ハンド装置33に保持された薄肉Eの垂下両端部がトレー6の内底面上を引きずられながら横倒しにされ、二つ折りとなってポイントP4上に至る。
【0124】
しかして、上述のようにポイントP4のX軸座標値をポイントP3のX軸座標値に対して+X側に偏倚した位置の座標値に設定している。
すなわち、平面視において、ポイントP2からポイントP3に至る軌道と、ポイントP3からポイントP4に至る軌道の間には、所定の転向角度αが設定されている。
【0125】
これにより、第3工程において、ハンド装置33は、第2工程における移動方向に対して、平面視で+X側へ角度αだけ転向した方向へ移動しながら下降する。
なお、このポイントP2からポイントP3に至る軌道に対して、ポイントP3からポイントP4に至る軌道を、逆方向を除いた横向き方向としてもよい。
続いてS218へ移行する。
【0126】
(S218)
S218では、制御点がポイントP4上に至ってから予め設定された時間が経過したときに、ロボットコントローラ34からの出力によって第1エアシリンダ56を逆方向へ作動させる。
これによって、
図25中の(g)における左上の平面視で示す図のように、まず、左右の指状部55L,55Rにおける左右の第1部材58L,58Rが外側方(互いに離間する方向)へ最大間隔を形成する位置まで移動し、左右の係合部58LS,58RSによる薄肉Eの保持(抱え込み)が解除される。
【0127】
ただし、この時点では、ロボットコントローラ34から第2エアシリンダ57へは出力がなされず、左右の第2部材59L,59Rは互いに接近した位置に維持される。
これにより、保持されている薄肉Eが、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部によって位置規制されながら(削がれるようにしながら)、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部が薄肉Eから離れる。
【0128】
また、左右の第1部材58L,58Rの外側方への移動開始と略同時に、ロボットコントローラ34からエアブロー用バルブソレノイドNSVへの出力によって、ノズルN1から高圧のエアーが設定時間だけ噴出した後に停止する。
これにより、
図25(h)における左下の側面視で示す図のように、薄肉Eが左右の第2部材59L,59Rからも離脱し、設定領域R上に移載される。
なお、ノズルN1からの流体(エアー)の噴出をしない構成(離脱促進手段を作動させない構成)としてもよい。
【0129】
以上のように、食品盛り付け制御装置31が実行する食品盛り付け方法には、設定領域R上において、ハンド装置33を上述の第2工程における移動方向とは略逆方向(-Y方向)に移動させながら下降させ、左右の第1部材58L,58Rを開く方向へ作動させると共にノズルN1から高圧エアーを噴出させて保持していた薄肉Eを離脱させることにより、この薄肉Eを二つ折りの状態で設定領域R内に載置する第3工程を備える。
続いてS220へ移行する。
【0130】
(S220)
S220では、ロボットコントローラ34から第2エアシリンダ用バルブソレノイド57SVへの出力によって第2エアシリンダ57を逆方向へ作動させる。
これにより、左右の指状部55L,55Rにおける左右の第2部材59L,59R(左右のアウターフィンガー59IFL,59IFR)が互いに離間する方向へ移動し、
図26中の(i)における左上の平面視で示す図のように、左右の第2部材59L,59RがX軸方向に最大間隔を形成する位置まで開く。
【0131】
これによって、左右の指状部55L,55Rは、薄肉Eを保持する前の初期状態に戻る。
続いてS222へ移行する。
【0132】
(S222)
S222では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP4からポイントP0へ移動させる。
このポイントP4からの移動開始時において、制御点は、-Y側へ緩傾斜した軌道に沿って上昇した後に-Y側へ直線的に移動して、ポイントP0に至る。
また、このように制御点がポイントP4からポイントP0へ移動する途中で、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、ハンド装置33を能動関節の軸J6(上下方向の軸心)回りに逆方向へ略90度(S222のθ3)旋回させる。この旋回は、平面視において反時計方向の回転である。
【0133】
これにより、
図26中の(j)における左上の平面視で示す図のように、X軸方向に沿う方向に並んでいた左右の指状部55L,55RがY軸方向に並ぶ状態に復帰し、採取位置Tにある薄肉Eの長さ方向に対して略直交する姿勢に復帰する。
以上で、肉降下点Rmnに対する1枚の薄肉Eの盛り付け処理が終了し、
図19のフローにおけるS20Aへ移行する。
【0134】
(S20A)
上述のようにして肉降下点Rmnに対する1枚の薄肉Eの盛り付け処理が終了した後、S20Aで列カウンタのカウント値nをインクリメントし、S22Aへ移行する。
【0135】
(S22A)
S22Aでは、ロボットコントローラ34によって、列カウンタのカウント値nが所定列数Nを超えているか否かを判定する。
カウント値nが所定列数Nを超えていない場合には、S18Aにリターンして、現在の行mにおいて、次の列順の肉降下点Rmnに対する薄肉Eの盛り付け処理を行なう。
従って、この薄肉Eの盛り付け処理は、1行当たりN回実行されることになる。
カウント値nが、所定列数Nを超えている場合には、S24Aに移行する。
【0136】
(S24A)
S24Aでは、行カウンタのカウント値mをインクリメントし、S26Aへ移行する。
【0137】
(S26A)
S26Aでは、行カウンタのカウント値mが、所定行数Mを超えていない場合には、S28Aに移行し、行カウンタのカウント値mが、所定行数Mを超えている場合には、このフローチャートの処理を一旦終了する。
【0138】
(S28A)
S28Aでは、列カウンタのカウント値nを1にセットし、S18Aにリターンする。
S18Aにリターンすると、次の行の最初の列の肉降下点Rmnに対する薄肉Eの盛り付け処理が開始される。
【0139】
以上の処理を反復し、所定行数M及び所定列数Nにおける全ての肉降下点Rmnへの薄肉Eの盛り付けを完了し、薄肉群(請求項の「食品群」)E1が形成される。
【0140】
(3行4列での盛り付け例)
ここで、所定行数Mを「3」とし、かつ、所定列数Nを「4」にして、上記フローチャートを実行した場合の例を、
図27および
図28の(a)~(c)に示す。
図28中の(a)は、第1行第1列の肉降下点Rmn(1,1)に、薄肉Eの盛り付けが完了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
図28中の(b)は、第1行の全肉降下点Rmnと、第2行第1列の肉降下点Rmn(2,1)に、薄肉Eの盛り付けが完了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
図28中の(c)は、第1行、第2行、第3行の全肉降下点Rmnに薄肉Eの盛り付けが完了し、盛り付けが終了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
【0141】
(所定列数Nを行ごとに算出する処理)
以上は、最初に算出された所定列数Nを全ての行に適用する場合(全ての行にN列(N枚)の薄肉Eを置く場合)の処理について説明した。
これに対し、
図29~
図31に示すように、上述のS14における所定列数Nを、各行の先頭に置かれる薄肉Eの大きさに応じ、行ごとに算出する処理としてもよい。
なお、
図29~
図31において、設定領域R内に置かれる薄肉Eの位置を円で示し、この円内に、移載される順番に番号を付している。
【0142】
(中(標準)クラスの薄肉Eが揃う場合)
S18Aの薄肉盛り付け処理において、
図29に示すように盛り付けがなされる。
すなわち、設定領域R内の最も-Y側に位置する第1行において、この第1行の先頭(最も+X側の位置)に置かれる1番目の薄肉Eが「中(標準)」のクラスに分類されたものである場合、この第1行には4列(4枚)の薄肉Eを置く(移載する)ことが決定される。
これに従い、第1行には、1番目の薄肉Eから4番目の薄肉Eの順に(+X側から-X側へ)、4列(4枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0143】
続いて、第1行の+Y側に隣接する第2行への盛り付け処理が開始される。
そして、この第2行の先頭に置かれる5番目の薄肉Eが同じく「中」のクラスに分類されたものである場合、この第2行にも4列(4枚)の薄肉Eを置くことが決定され、5番目の薄肉Eから8番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0144】
続いて、第2行の+Y側に隣接する第3行への盛り付け処理が開始される。
そして、この第3行の先頭に置かれる9番目の薄肉Eが同じく「中」のクラスに分類されたものである場合、この第3行にも4列(4枚)の薄肉Eを置くことが決定され、9番目の薄肉Eから12番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0145】
以上により、設定領域R内に合計12枚の薄肉Eが置かれ、1つのトレー6への盛り付け処理が終了し薄肉群が形成される。
なお、スライサー1から搬送面3a上へ切り出される薄肉Eの位置からして、X軸方向において、「中(標準)」のクラスに分類された薄肉Eの被保持部Bは、搬送面3aのX軸方向の幅の中心線t上の位置に略一致する。
このため、採取位置Tにおける制御点の基準位置を、X軸方向へ位置補正する必要はない。
【0146】
(中・小クラスの薄肉Eが混在する場合)
S18Aの薄肉盛り付け処理において、
図30に示すように盛り付けがなされる。
すなわち、上述の第1行において、この第1行の先頭に置かれる1番目の薄肉Eが「中」のクラスに分類されたものである場合、この第1行には、上述の場合と同様にして、1番目の薄肉Eから4番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが置かれる。
【0147】
続いて、第2行への盛り付け処理が開始され、この第2行の先頭に置かれる5番目の薄肉Eが「小」のクラスに分類されたものである場合、この第2行には5列(5枚)の薄肉Eを置くことが決定される。
これに従い、第2行には、5番目の薄肉Eから9番目の薄肉Eの順に、5列(5枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0148】
続いて、第3行への盛り付け処理が開始され、この第3行の先頭に置かれる10番目の薄肉Eも「小」のクラスに分類されたものである場合、この第3行にも5列(5枚)の薄肉Eを置くことが決定され、10番目の薄肉Eから14番目の薄肉Eの順に、5列(5枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0149】
以上により、設定領域R内に合計14枚の薄肉Eが置かれ、1つのトレー6への盛り付け処理が終了し薄肉群が形成される。
なお、X軸方向において、「小」のクラスに分類された薄肉Eの被保持部Bは、搬送面3aの中心線t上の位置に対して-X側へ距離Xaだけ偏倚するため、採取位置Tにおける制御点の基準位置を、-X側へ距離Xaだけ位置補正する。
【0150】
(中・大クラスの薄肉Eが混在する場合)
S18Aの薄肉盛り付け処理において、
図31に示すように盛り付けがなされる。
すなわち、上述の第1行において、この第1行の先頭に置かれる1番目の薄肉Eが「中」のクラスに分類されたものである場合、この第1行には、上述の場合と同様にして、1番目の薄肉Eから4番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが置かれる。
【0151】
続いて、第2行への盛り付け処理が開始され、この第2行の先頭に置かれる5番目の薄肉Eが「大」のクラスに分類されたものである場合、この第2行には3列(3枚)の薄肉Eを置くことが決定される。
これに従い、第2行には、5番目の薄肉Eから7番目の薄肉Eの順に、3列(3枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0152】
続いて、第3行への盛り付け処理が開始され、この第3行の先頭に置かれる8番目の薄肉Eも「大」のクラスに分類されたものである場合、この第3行にも3列(3枚)の薄肉Eを置くことが決定され、8番目の薄肉Eから10番目の薄肉Eの順に、3列(3枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0153】
以上により、設定領域R内に合計10枚の薄肉Eが置かれ、1つのトレー6への盛り付け処理が終了し薄肉群が形成される。
なお、各行の先頭に置かれる食品の大きさに応じて、各行における列数を自動的に変更することにより、各列の間隔も自動的に変更される。
ただし、各行の先頭に置かれる食品の大きさに応じて、各行における列数を自動的に変更するが、各列の間隔は自動的に変更されないようにすることもできる。
なお、X軸方向において、「大」のクラスに分類された薄肉Eの被保持部Bは、搬送面3aの中心線tの位置に対して+X側へ距離Xbだけ偏倚するため、採取位置Tにおける制御点の基準位置を、+X側へ距離Xbだけ位置補正する。
【0154】
(総重量の収束)
しかして、以上の盛り付け処理における盛り付け枚数の自動調整によって、
図32に示すように、トレー6内の設定領域Rに盛り付けられた薄肉Eの総重量(請求項の「食品群の重量」)が設定範囲β内に収まる。
なお、この
図32において、枚数制御した場合を示す実線における垂直落下部分(段差部分)は、トレー6に盛り付けられる薄肉Eの枚数が減ったときに現出する。
【0155】
すなわち、同じ枚数のまま、薄肉Eの大きさが大きくなるに従い、盛り付け後の薄肉Eの総重量は徐々に増加するが、枚数が1枚減少することで、総重量は一旦低下する。
例えば、上述の
図29~
図31に示す例では、薄肉Eの盛り付け枚数が、12枚、14枚、10枚と異なるが、このように薄肉Eの大きさに応じて盛り付け枚数を増加または減少させることで、その総重量は設定範囲内に収まる。
【0156】
また、この薄肉Eの枚数制御によって、隣接する薄肉Eの間隔も自動調整され、設定領域R内に整然と盛り付けられる。
なお、このように設定領域Rに盛り付けられる薄肉Eの総重量を設定範囲内に収める制御を行わないようにしてもよい。
【0157】
(設定領域の設定位置の別実施例)
なお、
図33の(a)および(b)に示すように、第2搬送装置5の上側に移載装置70を配置し、この移載装置70側に設定領域R1,R2を設定してもよい。
この移載装置70は、一対の移載ベルト71,71と、一対の受板72,72と、各受板72,72の直下に配置された一対の牽引板73,73とを有する。
【0158】
両受板72,72は、第2搬送装置5上方の仮想平面に含まれるとともに相互に対向するように配置され、駆動源(図示省略)により、X軸方向(左右方向)に開閉自在に往復駆動される。
これにより、各受板72,72の位置は、両対向縁部が最接近して第2搬送装置5の上方を閉鎖する閉鎖位置と、両対向縁部が離間して第2搬送装置5の上方を開放する開放位置とに切り替わる。
【0159】
図33(a)において、閉鎖位置と開放位置は、それぞれ対向縁部の位置を示す。
開放位置は、第2搬送装置5上に載置された一対のトレー6,6の上方が開口された位置である。
各受板72,72が開放位置に位置したときの位置よりも、X軸方向における外側の位置には、Y軸方向へ延出する一対のフレーム74,74を固定位置に配置する。
各移載ベルト71,71は、各フレーム74,74に一端を連結するとともに他端を各牽引板73,73に連結することにより、中間部を両受板72,72の対向縁部間の間隙を通過させて各受板72,72の対向縁部に巻き掛ける。
各牽引板73,73は、駆動源(図示省略)により、X軸方向(左右方向)に往復移動するように駆動される。
【0160】
設定領域R1,R2は、両受板72,72が閉鎖位置に位置し、かつ、両受板72,72のそれぞれの下方にトレー6,6が配置されている状態において、薄肉Eが盛り付けられる移載ベルト71,71の上面に設定する。
この設定領域R1,R2に対して、ロボットコントローラ34からの出力により、薄肉Eを、上述の盛り付け態様でそれぞれ盛り付ける。
移載装置70は、移載ベルト71,71の上部を介して設定領域R1,R2上に薄肉Eの群が盛り付けられると、受板72,72、及び牽引板73,73がX軸方向へ駆動される。
【0161】
これによって、
図33(b)に示すように、受板72,72の対向縁部での移載ベルト71,71の折り返し移動によって、移載ベルト71,71上に盛り付けられた薄肉Eの群が移載ベルト71,71の表面から剥離され、トレー6,6内に落下して収容される。
薄肉Eの群を収容したトレー6,6は、第2搬送装置5によって-X側へ搬出される。
【0162】
(第2実施形態)
図34~
図38に第2実施形態のハンド装置33を示す。
左右の側板80L,80Rにおける前後方向中間部の間を丸棒状の連結部材81で連結して枠組みする。
平面視で矩形に形成した支持板82の後端部から起立する左右の起立部83L,83Rの各外側面を、左右の側板80L,80Rの前端部における内側面間に当接させた状態で固定する。
これによって、支持板82の前端部は、左右の側板80L,80Rに対して大きく前方へ突出する。
【0163】
図37に示すように、この支持板82の下面には、撓みや振動を抑えるための3条の補強プレート82Sを固着する。
また、左右の側板80L,80Rの後端部間には、回転枠体84の回転軸84Aの両端部を、ベアリング85AB,85ABを介して回転自在に軸受する。
この回転枠体84は、回転軸84Aの両端部に円形の支持盤86Bを固定し、これら左右の支持盤86B,86Bの間に複数の棒状部材87Cを溶接固定して構成する。
この棒状部材87Cは、回転軸84Aを中心とする円弧上に、この回転軸84Aと平行な姿勢で、かつ、略等しいピッチで配置する。
【0164】
また、
図38に示すように、一部の棒状部材87Cを短尺に形成して係止用棒状部材88CL,88CRとし、左右の支持盤86B,86Bの夫々の内側面から内側方へ突出する姿勢で、その基部を支持盤86B,86Bの内側面に固定する。
そして、テンションアーム89Aの前端部に、テンションローラ90を支持軸91Sで回転自在に軸支し、このテンションアーム89Aの後端部を、上述の回転軸84Aと同軸心で上下揺動自在に支持する。
なお、テンションアーム89Aは、右側の側板80Rの内側面に沿わせて配置する。
【0165】
また、支持軸91Sの右側端部を、テンションアーム89Aを貫通させて外側へ突出させ、この突出端部を、上述の右側の側板80Rの前部に形成した上下方向の切り欠き溝92Cに侵入させる。
そして、支持軸91Sの突出端部に雌螺子部材92Dを螺合し、この雌螺子部材92Dの回転操作によってテンションアーム89Aと右側の側板80Rとを締結固定する。
この雌螺子部材92Dを逆方向に回転操作して締結状態を緩め、テンションアーム89Aを揺動操作して、テンションローラ90の上下位置を調節することができる。
【0166】
また、右側の側板80Rの外側面に伝動ケース93R1を取り付け、この伝動ケース93R1の右側面にサーボモータ94R2を取り付ける。
そして、
図35に示すように、伝動ケース93R1の内部において、サーボモータ94R2の出力軸に固定した出力ギヤ95R3と、上述の回転軸84Aの突出端部に固定した入力ギヤ96R4とを噛み合わせる。
【0167】
また、
図38に示すように、右側の側板80Rの後部を上方へ延在させた後に左側方へ屈折させて延在させ、取付部97R5を形成する。
この取付部97R5の上面に、側面視において直角三角形状のスペーサ98R6の底辺部を固定し、このスペーサ98R6の斜面部とロボットアーム12側のハンド取付座30との間に、後述する着脱装置180を設ける。
この着脱装置180によって、ハンド装置33がロボットアーム12のリスト29に装着される。
【0168】
(第1実施例のベルトとその巻回し構成)
図39に示すように、薄肉Eを移載可能な帆布等でベルト99を形成し、このベルト99の両端側に、切り欠き部100Sと幅狭部101Tをベルト99の幅方向に隣接させて形成する。
そして、このベルト99の一端側に形成した切り欠き部100Sの幅B1を、このベルト99の他端側に形成した幅狭部101Tの幅B2よりも大きく設定する。
同様に、ベルト99の他端側に形成した切り欠き部100Sの幅A2を、このベルト99の一端側に形成した幅狭部101Tの幅A1よりも大きく設定する。
【0169】
しかして、
図36、
図37に示すように、このベルト99の一端側の幅狭部101Tの端部に形成したループ状の係合部102Rを、上述の右側の係止用棒状部材88CRに貫通状態で装着する。
そして、このベルト99の他端側を、支持板82の上面側から、この支持板82の先端部で折り返して支持板82の下面側へ巻回す。
さらに、この他端側の幅狭部101Tの端部に形成したループ状の係合部102Lを、左側の係止用棒状部材88CLに貫通状態で装着する。
【0170】
これにより、ベルト99の一端側の幅狭部101Tと他端側の幅狭部101Tが、互いの間に左右方向の隙間103Qを形成した状態で、回転枠体84における回転軸心方向で隣接する部位に巻き掛かる。
すなわち、ベルト99の一端側の幅狭部101Tと他端側の幅狭部101Tの巻き取り・繰り出しにおいて、互いの干渉が防止される。
【0171】
なお、
図38に示すように、回転枠体84に対するベルト99の一端側の幅狭部101Tの巻き掛け方向と他端側の幅狭部101Tの巻き掛け方向を逆方向とし、回転枠体84の回転によるベルト99の一端側の繰り出し長さと他端側の巻き取り長さを略同じ長さに設定する。
すなわち、ベルト99の両端側のいずれか一方が所定長さだけ巻き取られ、いずれか他方がこの所定長さだけ繰り出される関係に設定する。
【0172】
なお、
図36に示すように、回転枠体84の直前の位置において、ベルト99の一端側の幅狭部101Tの上面にテンションローラ90を当接させ、ベルト99に張力を与える。
このテンションローラ90の上下位置を調節することにより、ベルト99の張力を調節することができ、また、作業によって生じるベルト99の伸びを吸収することができる。
【0173】
以上の支持板82、回転枠体84、ベルト99、サーボモータ94R2等により、ハンド装置33としての薄肉Eの移載装置104が構成される。
【0174】
(帯状部材の第2実施例)
図40にベルト99の第2実施例を示す。
すなわち、ベルト99の一端側の左右方向中央部を切り欠いて単一の切り欠き部100Sを形成し、この単一の切り欠き部100Sの左右両側に、左右の幅狭部101T,101Tを形成する。
また、ベルト99の他端側の左右両側部を切り欠いて左右の切り欠き部100S,100Sを形成し、この左右の切り欠き部100S,100Sの間に単一の幅狭部101Tを形成する。
【0175】
そして、このベルト99の一端側に形成した切り欠き部100Sの幅B1を、このベルト99の他端側に形成した幅狭部101Tの幅B2よりも大きく設定する。
同様に、ベルト99の他端側に形成した左右の切り欠き部100S,100Sの幅A2を、このベルト99の一端側に形成した左右の幅狭部101Tの幅A1よりも大きく設定する。
【0176】
これにより、ベルト99の一端側の左右の幅狭部101T,101Tと他端側の単一の幅狭部101Tが、互いの間に左右方向の隙間103Qを形成した状態で、回転枠体84における回転軸心方向で隣接する部位に巻き掛かる。(この状態は図示省略している。)
したがって、ベルト99の一端側の左右の幅狭部101T,101Tと他端側の幅狭部101Tの巻き取り・繰り出しにおいて、互いの干渉が防止される。
【0177】
(盛り付けシステムのブロック回路)
図41に示すように、演算部、記憶部等を備えたロボットコントローラ34に対して、その入力側に、上述のエンコーダ19~23S、および上述のサーボモータ94R2に備えたエンコーダ105R2Eと、カメラ11を接続する。
一方、ロボットコントローラ34の出力側には、上述のサーボモータ13~18と、サーボモータ94R2を連繋する。
なお、図示を省略しているが、ロボットコントローラ34の出力側には、各サーボモータ13~18およびサーボモータ94R2を作動させる個別のリレー回路が介在している。
【0178】
一方、スライサー1側のスライサーコントローラ10には、その入力側に上述のエンコーダ9を接続し、その出力側は上述のサーボモータ8を接続する。
なお、スライサー1の作動制御に関する他のセンサー類およびアクチュエータ類は図示を省略している。
そして、ロボットコントローラ34とスライサーコントローラ10を、通信線SLを介して接続する。
以上により、食品盛り付け制御装置(食品群形成制御装置)31が構成される。
【0179】
(盛り付け制御)
上述の
図2に示すように、スライサー1によって、塊状肉が所定の厚さに切断され、切断された複数の薄肉Eが、第1搬送装置2におけるベルト3の搬送面3a上に一部ずつ重なるようにして順次載置され、薄肉群(食品群)E1が形成される。この薄肉群E1は、ベルト3の駆動速度制御によって所定の間隔をおいて順次形成される。なお、この薄肉群E1を形成する各薄肉Eを、二つに折り畳まれたものとしてもよい。
ここで、カメラ11による撮像結果から得られた薄肉群E1の大きさに基づき、薄肉群E1の-Y側の端部におけるX軸方向での中心位置を、目標点BPとして設定する。または、薄肉群E1全体の面積重心位置を目標点BPとして設定してもよい。
【0180】
そして、ベルト3の駆動によって、この薄肉群E1が採取位置Tに到達したときに、ベルト3を一時的に停止させると共に、スライサーコントローラ10からロボットコントローラ34へ採取開始信号を出力する。
この採取信号がロボットコントローラ34へ入力されると、サーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12の各能動関節等を制御し、リスト29に装着されたハンド装置33を移動制御する。
【0181】
すなわち、ハンド装置33に備えた移載装置104の先端部におけるベルト99の幅方向での中心点が、上述の目標点BP(薄肉群E1における幅方向(X軸方向)での中心位置)に一致する状態で、ハンド装置33をY軸方向に沿って-Y側から+Y側へ移動させ、移載装置104を薄肉群E1側へ進出させる。
このとき、ロボットコントローラ34からサーボモータ94R2へ出力がなされ、ベルト99が正方向へ駆動されて薄肉群E1を掬い上げた後、このベルト99の駆動を停止する。
【0182】
そして、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12の各能動関節等を制御し、ハンド装置33を、一旦上昇させた後に、トレー6の底部上面に形成された設定領域R上の1列目の設定位置へ移動させる。
この設定位置において、ハンド装置33を+Y方向へ向けた姿勢のままで下降させ、移載装置104のベルト99を逆方向へ駆動しながら、ハンド装置33を-Y方向へ移動させる。
これによって、
図42中の(a)に示すように、1列目の薄肉群E1が移載される。
【0183】
このような移載動作を、設定領域R上で隣接する2列目の設定位置に対しても行なうことで、
図42中の(b)に示すように、2列目の薄肉群E1が1列目の薄肉群E1の一部に重なるようにして盛り付けが完了する。
なお、第2搬送装置5は、トレー6への薄肉群E1の盛り付けが完了するまでは、このトレー6の搬送を停止している。
そして、トレー6への薄肉群E1の盛り付けが完了した後に、第2搬送装置5を駆動してこのトレー6を搬出し、次の空のトレーを上述の待機位置まで送り出す。
【0184】
(第3実施形態)
図43~
図48に第3実施形態のハンド装置33を示す。
このハンド装置33には、上部ベルト99および下部ベルト99を含む採取部を備える。
図46に示すように、左右の側板110L,110Rにおける前後方向中間部の間を、上下の丸棒状の連結部材111U,111Dで連結して枠組みする。
【0185】
平面視で矩形に形成した上側の支持板112Uの後端部から起立する左右の起立部113UL,113URの各外側面を、左右の側板110L,110Rの前端部における内側面間に当接させた状態で固定する。
また、平面視で矩形に形成した下側の支持板112Dの後端部から垂下する左右の垂下部114DL,114DRの各外側面を、左右の側板110L,110Rの前端部における内側面間に当接させた状態で固定する。
【0186】
これによって、上側の支持板112Uと下側の支持板112Dは、所定の隙間をおいて平行な姿勢で配置される。
また、上側の支持板112Uと下側の支持板112Dの各前端部は、左右の側板110L,110Rに対して大きく前方へ突出する。
なお、
図43、
図44に示すように、上側の支持板112Uの前端部が、下側の支持板112Dの前端部よりも前方に延在する。
【0187】
また、左右の側板110L,110Rにおける前後方向中間部の間には、上側の回転枠体115Uの回転軸116Uと、下側の回転枠体117Dの回転軸118Dの各両端部を、ベアリング119,119を介して回転自在に軸受する。
これら上下の回転枠体115U,117Dは、各回転軸116U,118Dの両端部に円形の支持盤120UL,120UR,120DL,120DRを固定する。
【0188】
これら上側の左右の支持盤120UL,120URの間、および下側の左右の支持盤120DL,120DRの間に、上側の複数の棒状部材121Uと下側の複数の棒状部材121Dの夫々を溶接固定して構成する。
この棒状部材121U,121Dの夫々は、回転軸116U,118Dを中心とする円弧上に、この回転軸116U,118Dと平行な姿勢で、かつ、略等しいピッチで配置する。
【0189】
また、
図43、
図47に示すように、上下の回転枠体115U,117Dにおいて、左側の支持盤120UL,120DLの外周部の一部を切り欠き、切り欠き部122USP,122DSPを形成する。
そして、棒状部材121U,121Dのうちの一つの係止用棒状部材123UK,123DKを片持ち状態とし、この係止用棒状部材123UK,123DKの先端部を、上述の切り欠き部122USP,122DSPの夫々に臨ませる。
この切り欠き部122USP,122DSPと係止用棒状部材123UK,123DKの先端部との間の隙間を介して、上下のベルト99,99の着脱が行なえる構成とする。
【0190】
また、
図43、
図45、
図46に示すように、上下のテンションアーム124U,124Dの各前端部に、上下のテンションローラ125U,125Dを支持軸126US,126DSで回転自在に軸支する。
この上下のテンションアーム124U,124Dの後端部は、上述の上下の回転軸116U,118Dと同軸心で上下揺動自在に支持する。
なお、上下のテンションアーム124U,124Dは、右側の側板110Rの内側面に沿わせて配置する。
【0191】
また、支持軸126US,126DSの右側端部を、各テンションアーム124U,124Dを貫通させて外側へ突出させ、各突出端部を、上述の右側の側板110Rの前部に形成した上方向および下方向の上下の切り欠き溝127UC,127DCに夫々侵入させる。
そして、各支持軸126US,126DSの突出端部に雌螺子部材128UC,128DCを螺合し、各雌螺子部材128UC,128DCの回転操作によって各テンションアーム124U,124Dと右側の側板110Rとを締結固定する。
この各雌螺子部材128UC,128DCを逆方向に回転操作して締結状態を緩め、テンションアーム124U,124Dを揺動操作して、各テンションローラ125U,125Dの上下位置を調節することができる。
【0192】
また、右側の側板110Rの外側面に伝動ケース129R1を取り付け、この伝動ケース129R1の右側面にサーボモータ(請求項の「ベルト駆動源」)130R2を取り付ける。
そして、
図44に示すように、伝動ケース129R1の内部において、サーボモータ130R2の出力軸に固定した出力ギヤ131R3と、上述の上側の回転軸116Uの突出端部に固定した入力ギヤ132RUとを噛み合わせる。
【0193】
また、この入力ギヤ132RUと、下側の回転軸118Dの突出端部に固定した入力ギヤ133RDとを噛み合わせる。
これにより、サーボモータ130R2の出力によって、上側の回転軸116Uと下側の回転軸118Dとが逆方向に回転駆動される。
【0194】
また、
図47に示すように、右側の側板110Rの後部を上方へ延在させた後に左側方へ屈折させて延在させ、取付部134R5を形成する。
この取付部134R5の上面に、側面視において直角三角形状のスペーサ135R6の底辺部を固定し、このスペーサ135R6の斜面部とロボットアーム12側のハンド取付座30との間に、後述する着脱装置180を設ける。
この着脱装置180によって、ハンド装置33がロボットアーム12のリスト29に装着される。
【0195】
(ベルトの巻回し構成)
しかして、
図39に示したものよりも幅狭に形成した2つのベルト99,99を使用し、
図46、
図47に示すように、この上側のベルト(請求項の「上部ベルト」)99の一端側の幅狭部101Tの端部に形成したループ状の係合部102Rを、上述の上側の係止用棒状部材123UKの基部側の部位に貫通状態で装着する。
そして、この上側のベルト99の他端側を、上側の支持板112Uの上面側から、この支持板112Uの先端部で折り返して支持板112Uの下面側へ巻回す。
さらに、この他端側の幅狭部101Tの端部に形成したループ状の係合部102Lを、上側の係止用棒状部材123UKの先端側の部位に貫通状態で装着する。
【0196】
これにより、ベルト99の一端側の幅狭部101Tと他端側の幅狭部101Tが、互いの間に左右方向の隙間103Qを形成した状態で、上側の回転枠体115Uにおける回転軸心方向で隣接する部位に巻き掛かる。
すなわち、ベルト99の一端側の幅狭部101Tと他端側の幅狭部101Tの巻き取り・繰り出しにおいて、互いの干渉が防止される。
【0197】
なお、
図43、
図46に示すように、上側の回転枠体115Uに対するベルト99の一端側の巻き掛け方向と他端側の巻き掛け方向を逆方向とし、回転枠体115Uの回転によるベルト99の一端側の繰り出し長さと他端側の巻き取り長さを略同じ長さに設定する。
すなわち、上側のベルト99の両端側のいずれか一方が所定長さだけ巻き取られ、いずれか他方がこの所定長さだけ繰り出される関係に設定する。
【0198】
なお、
図43に示すように、上側の回転枠体115Uの直前の位置において、ベルト99の一端側の幅狭部101Tの上面に上側のテンションローラ125Uを当接させ、ベルト99に張力を与える。
このテンションローラ125Uの上下位置を調節することにより、ベルト99の張力を調節することができ、また、作業によって生じるベルト99の伸びを吸収することができる。
【0199】
なお、以上は上側のベルト99の巻回し構成について説明したが、下側のベルト(請求項の「下部ベルト」)99の巻回し構成については、この上側のベルト99の巻回し構成と上下対称であるため説明を省略する。
これにより、上側のベルト99と下側のベルト99とは、上下に近接配置されるとともに斜め下方へ向かって延在し、互いに逆方向に駆動するように構成される。
以上により、移載装置136が構成される。
【0200】
また、
図43、
図44、
図48に示すように、スペーサ135R6の前面に側面視でクランク形状に屈折した吊持部材137の基部を固定し、この吊持部材137の先端部(前端部)に、折り畳み装置(請求項の「折り畳み部」)138を取り付ける。
まず、側面視で下向きコ字状に形成した支持枠体139Aの内部に、左右のエアシリンダ(請求項の「折り畳み部駆動源」)140L,140Rを、前後方向の位置をずらせて固定する。
すなわち、右側のエアシリンダ140Rは、左側のエアシリンダ140Lよりも後側に偏倚した位置に配置されている。
【0201】
この左側のエアシリンダ140Lの上下のピストン141LP,141LPは、右側方へ延在し、その先端部に固定したプレート142LTに、スペーサ143LSを介して平面視L字形状の作動板144LAを固定する。
また、右側のエアシリンダ140Rの上下のピストン145RP,145RPは、左側方へ延在し、その先端部に固定したプレート146RTに、スペーサ147RSを介して平面視L字形状の作動板148RAを固定する。
【0202】
これら左右の作動板144LA,148RAの夫々には、上下方向の長孔149L1,149R1を形成する。
そして、支持枠体139Aに対して逆T字形状の支持板150X1の上部を固定し、この支持板150X1の下辺部の左右両端に、左右の支点軸151LJ,151RJを介して左右の回動アーム152LM,152RMの上部に形成した内側突出端部を回動自在に軸着する。
【0203】
さらに、左右の回動アーム151LM,151RMの各上端部に固定したピン153L1P,153R1Pを、左右の作動板144LA,148RAの夫々に形成した長孔149L1,149R1に挿通させる。
そして、左右の回動アーム152LM,152RMの各下端部内側面に、夫々内側方へ延在する左右の支持部材154LSP,154RSPの基部を固定し、この左右の支持部材154LSP,154RSPの上面に、前後方向に沿う左右各3本の細い棒状部材155LSB,155RSBを固定する。
【0204】
以上の構成により、左右のエアシリンダ140L,140Rのピストン141LP,145RPが短縮作動すると、左右の回動アーム152LM,152RMが互いの間隔を拡大するように回動して開き、左右の棒状部材155LSB,155RSBは移載装置136の下側から外側方へ退避する。(請求項の「折り畳み解除動作」に相当)
この状態では、移載装置136上に支持されている薄肉群E1の左右両端部が垂れ下がる。(
図48(a)参照)
【0205】
そして、左右のエアシリンダ140L,140Rのピストン141LP,145RPが伸長作動すると、左右の回動アーム152LM,152RMが互いの間隔を縮小するように回動して閉じ、左右の棒状部材155LSB,155RSBは移載装置136の下面へ接近する。(この動作が、請求項の「折り畳み動作」に相当する。)
これによって、移載装置136に支持されることで垂れ下がっていた薄肉群E1の左右両端部が、この移載装置136の下面側へ持ち上げられ、この薄肉群E1の左右両端部が折り畳まれる。(
図48(b)参照)
【0206】
なお、カメラ11で得られた薄肉群(食品)E1の大きさに基づいて、薄肉群E1の両端部を折り畳み装置138によって折り畳む第1状態と、薄肉群E1の一端部のみを折り畳み装置138によって折り畳む第2状態とを自動的に選択される構成とする。第1状態と第2状態を、ロボットコントローラ34に接続された手動スイッチ(図示省略)によって切り替え可能に構成してもよい。
そして、第1状態が選択された場合には、薄肉群E1の長さ方向での中心部を上側のベルト99で掬い上げ、第2状態が選択された場合には、薄肉群E1の長さ方向での中心部から設定距離偏倚した部位を上側のベルト99で掬い上げるように各部を制御するロボットコントローラ34(請求項の「制御装置」)を備える。
【0207】
以上の移載装置136と折り畳み装置138等により、ハンド装置33が構成される。
【0208】
(盛り付けシステムのブロック回路)
図49に示すように、
図41のブロック図におけるロボットコントローラ34の出力側に連携したサーボモータ94R2に替えて、左右のエアシリンダ140L,140Rとサーボモータ130R2を連携する。
また、ロボットコントローラ34の入力側に接続したエンコーダ105R2Eに加えて、左右のエアシリンダ140L,140Rの伸縮位置を検出する左右のポジションセンサ(ないしストロークセンサ)156L,156Rを接続する。
図50に示すフローチャートは、
図19に示すフローチャートにおけるS18Aの別処理例を示すものである。
【0209】
(盛り付け処理)
(S100)
ロボットコントローラ34によって「採取目標位置設定処理」および「軌道生成処理」を実行する。
採取目標位置設定処理では、カメラ11で得られた薄肉群(食品)E1の大きさに基づいて、この薄肉群E1の長さ方向の中心部または中心部の近傍の位置を、採取時の目標点BPとして設定する。
この実施形態における制御点は、上側のベルト99の先端部における幅方向の中心位置である。
【0210】
軌道生成処理では、
図51に示すポイントP0からP7への移動、およびポイントP7からP0へ戻る軌道を生成する。
ポイントP0はハンド装置33の初期位置であり、固定値として設定される。このポイントP0は、スライサー1の第1搬送装置2に備えたベルト3の幅の中心線tの直上方に設定される。
【0211】
ポイントP1は、ポイントP0の下方に位置し、採取位置Tにおいて目標点BPから-Y側へ偏倚した位置を保持するときのハンド装置33の位置として設定される。
このポイントP1は、上側のベルト99の先端が搬送面3aに対して摺動可能な高さに設定される。
【0212】
ポイントP2は、ポイントP1のX軸座標およびZ軸座標と同じ位置であって、ポイントP1のY軸座標よりも下流側(+Y側)の位置に設定される。
このポイントP1からポイントP2までハンド装置33が移動することによって、採取位置Tにある薄肉群E1を上側のベルト99の上面に掬い上げる。
【0213】
ポイントP3のX軸座標およびY軸座標は、ポイントP2と同一に設定し、ポイントP3のZ軸座標はポイントP2のZ軸座標よりも大きく(高く)設定される。このポイントP3の搬送面3aからの高さは、ハンド装置33が薄肉群E1を掬い上げた状態で、この薄肉群E1の両端が搬送面3aに接触しない高さとする。
【0214】
ポイントP5は、設定領域Rの上方に離間した位置に配置し、ハンド装置33に保持した薄肉群E1の載置開始位置として設定する。
ポイントP4はポイントP5の直上方の位置に設定される。
【0215】
ポイントP6は、ポイントP5のY軸座標よりも-Y側に位置し、薄肉群E1の載置終了位置として設定する。
ポイントP7はポイントP6の直上方の位置に設定される。
【0216】
(S102)
ロボットコントローラ34は、スライサーコントローラ10から薄肉群E1が採取位置Tに位置した際に出力される採取開始信号の受信を待つ。採取信号を受信すると、ロボットコントローラ34はS104に移行する。
【0217】
(S104)
ロボットコントローラ34によって、ポイントP1のX軸座標値をS100で得られた採取目標位置のX軸座標に変更する。
【0218】
(S106)
ロボットコントローラ34によってロボットアーム12を制御し、ハンド装置33に備えた上側のベルト99の幅方向での中心点である制御点をポイントP0からポイントP1へ下降させて、上側のベルト99の先端を搬送面3aに接触ないし近接させる。
【0219】
(S108)
ロボットコントローラ34によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP1からポイントP2まで移動させる。
すなわち、ハンド装置33に備えた移載装置136の先端部における上部側のベルト99の先端部の幅方向での中心点(制御点)が、目標点BP(薄肉群E1における幅方向(X軸方向)での中心位置)に一致する状態で、ハンド装置33をY軸方向に沿って-Y側から+Y側へ移動させ、移載装置136を薄肉群E1側へ進出させる。
【0220】
このとき、ロボットコントローラ34からサーボモータ130R2へ出力がなされ、上側のベルト99が正方向へ駆動されて(このとき下側のベルト99は上側のベルト99に対して逆方向へ駆動される)、薄肉群E1の掬い上げ作動を開始する。
【0221】
(S110)
薄肉群E1を掬い上げて上側のベルト99の駆動を停止した後、または、上側のベルト99の駆動継続によって薄肉群E1を掬い上げながら、ロボットコントローラ34によってロボットアーム12を制御して制御点をポイントP2から上昇させ、ポイントP3に移動させる。
このとき、ロボットコントローラ34からサーボモータ13~18への出力によってロボットアーム12の各能動関節等を制御し、ハンド装置33を、一旦上昇させた後に、トレー6の底部上面に形成された設定領域R上の1列目の設定位置へ移動させる。
【0222】
この間に、ロボットコントローラ34から左右のエアシリンダ140L,140Rへ出力がなされ、左右のエアシリンダ140L,140Rのピストン141LP,145RPが伸長作動する。
【0223】
これによって、左右の回動アーム152LM,152RMが互いの間隔を縮小するように回動して閉じ、左右の棒状部材155LSB,155RSBは移載装置136の下面へ接近する。
これにより、移載装置136に支持されて垂れ下がっていた薄肉群E1の左右両端部が、この移載装置136の下面側へ持ち上げられ、上述の第1状態が選択されている場合に、この薄肉群E1の左右両端部が折り畳まれる。
【0224】
(S112)
そして、ロボットコントローラ34によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP3からポイントP4へ移動させる。
【0225】
(S114)
そして、ロボットコントローラ34によってロボットアーム12を制御し、ハンド装置33を+Y方向へ向けた姿勢のまま、制御点をポイントP4からポイントP5へ移動させる。
【0226】
(S116)
そして、ロボットコントローラ34によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP5からポイントP6へ移動させる。
このとき、移載装置136のベルト99を逆方向へ駆動しながら(リリース作動させながら)、ハンド装置33を-Y方向へ移動(後退)させる。
これによって、
図52(a)に示すように、1列目の薄肉群E1が、その両端部を下側に折り畳まれた状態で設定領域R内に移載される。
【0227】
(S118)
そして、ロボットコントローラ34によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP6からポイントP7へ移動させる。
【0228】
(S120)
制御点がポイントP7へ移動した後に、ロボットコントローラ34から左右のエアシリンダ140L,140Rへ出力がなされ、折り畳み装置138の左右の回動アーム152LM,152RMを開き回動させる。
【0229】
(S122)
この後、ロボットコントローラ34によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP7から初期位置であるポイントP0へ移動させる。
このような移載動作を、設定領域R上で隣接する2列目の設定位置に対しても行なうことで、
図52(b)に示すように、2列目の薄肉群E1が、その両端部を下側に折り畳まれた状態で、1列目の薄肉群E1の一部に重なるようにして盛り付けられる。この2列目の設定位置に対する盛り付けが完了した時点で、設定領域Rへの薄肉群E1の盛り付けを終了し、この設定領域R上に薄肉群E1の群(この複数の薄肉群E1から成る群も請求項の「食品群」に相当する)が形成される。
【0230】
(総重量の収束)
第3実施形態において設定領域Rに盛り付けられた薄肉群E1の群の総重量の収束については、第1実施形態において設定領域Rに盛り付けられた薄肉Eの群の総重量の収束と同様に行なわれるため、説明を省略する。
【0231】
(第4実施形態)
図53~
図56に第4実施形態のハンド装置33を示す。
この第4実施形態のハンド装置33は、
図3、
図4に示す第1実施形態のハンド装置に対して、左右の指状部55L,55Rの間の空間へ進退する掬い上げ部175を設けて構成される。
【0232】
このハンド装置33は、枠体160を基体として構成する。
この枠体160の上部には、後述する着脱装置180を介してハンド取付座30の下面に装着するための取付板161を固定する。
【0233】
(掬い上げ部)
図53、
図54に示すように、枠体160の内側部には、Y軸方向に伸縮作動する電動シリンダ162のシリンダ部を固定し、この電動シリンダ162の作動ロッド162Aの先端部に、支持部材163を介して駆動ケース164を取り付ける。
これにより、電動シリンダ162は、ハンド装置33の上部に配置され、水(スライサー1洗浄時の洗浄水等)や肉屑の影響を受けにくくなる。
【0234】
また、この駆動ケース164は、支持部材163の前面から前方へ突出し、その左外側面に、内部のサーボモータ165Mによって回転駆動される出力軸166Sに取り付けた回転盤167Dを配置する。
この回転盤167Dの外周部における出力軸166Sを中心とした円弧軌跡上に、8本のピン168Pの基部を片持ち状態で固定し、このピン168Pの先端部を左側へ延在させる。
これらのピン168Pのうち、隣接する2本のピン168PS,168PSをベルト係止用の係止ピンとする。
【0235】
また、駆動ケース164の左側面における回転盤167Dの前側の部位に、上下の案内ローラ169R,169Rを回転軸170RS,170RSで回転自在に軸支する。
また、駆動ケース164の下部左側面に支持ステー171の基部を固定し、この支持ステー171の先端部を前方へ突出させる。
この支持ステー171の先端部(前端部)を斜め上方へ屈折させると共に、この屈折端部に前下がり傾斜した面を形成し、この面に、幅狭の矩形に形成した支持板172の基部を沿わせて固着する。
【0236】
これにより、支持板172は、所定の角度で下がり傾斜した姿勢で延在し、駆動ケース164側に支持される。
また、この支持板172の先端部(延在端部)は下面側へ折り返し、この折り返し端部(実質的に支持板172の先端となる)に曲面を形成する。
【0237】
そして、支持板172の左右幅と同等の幅に形成した樹脂製のベルト(請求項の「搬送部材」)173の両端部にループ状の係止部を形成し、一端側の係止部を一方の係止ピン168PSに係止する。
このベルト173を、上側の案内ローラ169Rの上側周面から支持板172の上面に沿わせて支持した後、この支持板172の先端で下面側へ折り返す。
折り返したベルト173の他端側の部位は、支持板172の下面に略沿わせ、下側の案内ローラ169Rの上側周面から複数のピン168Pの外周側の部位を経て、その他端側の係止部を他方の係止ピン168PSに係止する。
【0238】
以上により、移載装置174が構成され、電動シリンダ162が伸縮作動すると、作動ロッド162Aの先端部に支持された駆動ケース164が、Y軸方向に往復移動する。
また、サーボモータ165Mが駆動されると、ベルト173が正逆方向に往復移動する。
すなわち、
図53において、サーボモータ165Mの駆動によって回転盤167Dが反時計方向に回転すると、前側の係止ピン168PSに係止されたベルト173の一端側の係止部が後方へ引かれ、このベルト173の一端側の部位が巻き取られる。
【0239】
これによって、ベルト173における支持板172の上面に支持されている部位が、この支持板172の上面に沿って斜め上方へ移動する。
このとき、後側の係止ピン168PSが下降することによって、ベルト173の他端側が繰り出されるため、ベルト173の巻き掛け周長は略変化せず張力も所定範囲に維持される。
【0240】
一方、サーボモータ165Mの逆方向への駆動によって回転盤167Dが時計方向に回転すると、前側の係止ピン168PSに係止されたベルト173の一端側の係止部が前方へ押し出され、このベルト173の一端側の部位が繰り出される。
これによって、ベルト173における支持板172の上面に支持されている部位が、この支持板172の上面に沿って斜め下方へ移動する。
このとき、後側の係止ピン168PSが上昇することによって、ベルト173の他端側が巻き取られるため、ベルト173の巻き掛け周長は略変化せず張力も所定範囲に維持される。
【0241】
以上のようにして、ベルト173における支持板172の上面に支持された部位を主体として、掬い上げ部175が形成される。
【0242】
(指状部)
図55~
図59に示すように、上述の枠体160の下面部には、左右の指状部55L,55Rを開閉駆動する第1エアシリンダ56および第2エアシリンダ57をY軸方向に間隔をおいて固定する。これにより、第1エアシリンダ56と第2エアシリンダ57は、ハンド装置33の上部に配置され、水(スライサー1洗浄時の洗浄水等)や肉屑の影響を受けにくくなる。
なお、
図55、
図56では、左右の指状部55L,55Rの概略の設置範囲を一点鎖線で示している。
【0243】
しかして、
図59に示すように、+Y側に配置した第1エアシリンダ56は、シリンダブロック56Aの+Y側の側面に左右方向(X軸方向)のガイドレール56Bを形成する。
このガイドレール56Bに、左右一対のスライダ56L,56Rを摺動自在に嵌合する。
【0244】
シリンダブロック56Aの内部には、上下のシリンダ孔を平行に穿設し、各シリンダ孔内に個別のピストン(図示省略)を往復摺動自在に内蔵し、各ピストンに左右のスライダ56L,56Rを連結する。
なお、エアーの供給によって各ピストンが互いに反対方向に摺動するように構成し、これによって、各ピストンに連結された左右のスライダ56L,56Rは互いに反対方向へ摺動する。
【0245】
一方、-Y側に配置した第2エアシリンダ57は、シリンダブロック57Aの-Y側の側面に左右方向(X軸方向)のガイドレール57Bを形成する。
このガイドレール57Bに、左右一対のスライダ57L,57Rを摺動自在に嵌合する。
シリンダブロック57Aの内部には、上下のシリンダ孔を平行に穿設し、各シリンダ孔内に個別のピストン(図示省略)を往復摺動自在に内蔵し、各ピストンに左右のスライダ57L,57Rを夫々連結する。
そして、エアーの供給によって各ピストンが互いに反対方向に摺動するように構成し、これによって、各ピストンに連結された左右のスライダ57L,57Rは互いに反対方向へ摺動する。
【0246】
なお、左右の指状部55L,55Rには、左右の第1部材58L,58R、および、左右の第2部材59L,59Rを備える。
【0247】
(第1部材)
図57~
図59に示すように、左右の第1部材58L,58Rは、第1エアシリンダ56側の左右のスライダ56L,56Rに夫々支持する。
すなわち、左右方向に延在する板状の左右の第1支持部材60L,60Rの内側端部を、左右のスライダ56L,56Rの+Y側の面に固定する。
この左右の第1支持部材60L,60Rの外側端部は、下向きに屈折して下方(-Z方向)へ延在した後に、-Y方向へ屈折して延在させる。
【0248】
このようにして形成された左右の延在端部の下面に、左右方向に延在する第1副支持部材61L,61Rの外側端部を、角棒状の第1補強部材RI,RIを介して夫々固定する。
この左右の第1副支持部材61L,61Rの内側端部を下向きに屈折し、下方(-Z方向)へ延在させて左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRを形成する。
更に、各インナーフィンガー58IFL,58IFRの下端部から所定の高さに亘る部位を左右幅広に形成する。この左右幅広の部位を第1部材58L,58Rと称する。
【0249】
この左右の第1部材58L,58Rの内側縁部は、その下端部付近まで略垂直な方向に延在させる。
そして、この左右の第1部材58L,58Rの下端部内側縁は円弧状に内側(対向する側)へ延在させ、左右の係合部58LS,58RSを形成する。
【0250】
(第2部材)
図24~
図26に示すように、左右の第2部材59L,59Rは、第2エアシリンダ57側の左右のスライダ57L,57Rに夫々支持する。
すなわち、左右方向に延在する板状の左右の第2支持部材62L,62Rの内側端部を、左右のスライダ57L,57Rの-Y側の面に固定する。
この左右の第2支持部材62L,62Rの外側端部は、下向きに屈折して下方(-Z方向)へ延在した後に、+Y方向へ屈折して延在させる。
【0251】
このようにして形成された左右の延在端部の下面に、左右方向に延在する第2副支持部材63L,63Rの外側端部を、第2補強部材RJ,RJを介して夫々固定する。
この左右の第2副支持部材63L,63Rの内側端部を下向きに屈折し、下方(-Z方向)へ延在させて左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRを形成する。
【0252】
更に、各アウターフィンガー59IFL,59IFRの下端部から所定の高さに亘る部位を左右幅広に形成する。この左右幅広の部位を第2部材59L,59Rと称する。
この左右の第2部材59L,59Rの内側縁部は、その下端部まで略垂直な方向に延在させる。
【0253】
図57~
図59に示すように、左側の第2副支持部材63Lと左側のアウターフィンガー59IFLを一体的に形成したものを2つ設け、上述の左側の第2補強部材RJの前面と後面(-Y側の面と+Y側の面)に夫々固定する。
これによって、左側の前後の第2部材59L,59Lの間にY軸方向の隙間SPが形成される。
【0254】
また、右側の第2副支持部材63Rと右側のアウターフィンガー59IFRを一体的に形成したものを2つ設け、上述の右側の第2補強部材RJの前面と後面(-Y側の面と+Y側の面)に夫々固定する。
これによって、右側の前後の第2部材59R,59Rの間にもY軸方向の隙間SPが形成される。
【0255】
これら左右の隙間SP,SPに対して、左右の第1部材58L,58Rの夫々を退避および突出自在に配置する。
【0256】
(採取部)
図53に示すように、掬い上げ部175と左右の指状部55L,55Rから採取部176が形成される。
初期状態では、駆動ケース164が+Y方向へ離間し、掬い上げ部175の支持板172の上面に支持されたベルト173の先端部は、左右の指状部55L,55Rの間から+Y方向へ退避している。
【0257】
図53に示すように、電動シリンダ162が短縮作動して駆動ケース164が-Y方向へ設定距離だけ移動すると、掬い上げ部175が左右の指状部55L,55Rの間に進入する。
この状態で、掬い上げ部175の先端部(ベルト173における支持板172の上面に支持された部位の-Y側の端部)が、左右の指状部55L,55Rよりも-Y側へ突出する。
図57に、掬い上げ部175が、開いた状態の左右の第1部材58L,58Rおよび左右の第2部材59L,59Rの間へ進入した状態を示す。
【0258】
また、
図58中の(a)には、掬い上げ部175が左右の第1部材58L,58Rおよび左右の第2部材59L,59Rの間へ進入した状態で、この左右の第1部材58L,58Rおよび左右の第2部材59L,59Rが、夫々のストローク端まで閉じる方向へ移動した状態を示す。
図58中の(b)に一部拡大して示すように、この状態では、掬い上げ部175の左側端(ベルト173の側端)と、左側の第1部材58Lの内側縁部の間に形成される第1間隙T1が、掬い上げ部175の側端と第2部材59Lの内側縁部の間に形成される第2間隙T2よりも小さくなるように、夫々のストローク端の位置関係を設定する。
【0259】
図示を省略しているが、掬い上げ部175の右側端と、右側の第1部材58Rおよび右側の第2部材59Rとの各位置関係についても同様に設定する。
この第1間隙T1および第2間隙T2の設定は、上述の左右の指状部55L,55Rを構成する各部材の左右方向の延在長さ、および、第1エアシリンダ56および第2エアシリンダ57の摺動ストローク端の位置設定等によって行なう。
【0260】
なお、第1エアシリンダ56のシリンダブロック56Aと第2エアシリンダ57のシリンダブロック57Aを、枠体36に対して上下動可能に弾性的に支持する構成としてもよい。
また、左右の第1支持部材60L,60Rの外側端部における下方への屈折部位と、左右の第2支持部材62L,62Rの外側端部における下方への屈折部位と、左右の第1副支持部材61L,61Rの内側端部における下方への屈折部位と、左右の第2副支持部材63L,63Rの内側端部における下方への屈折部位とに関節部(上下回動部)を設け、この関節部に、初期姿勢(垂直姿勢)側に付勢する復帰バネを設けた構成としてもよい。
【0261】
これによって、左右の指状部55L,55Rの下端部がスライサー1側のベルト3の搬送面3aに干渉しても、この左右の指状部55L,55Rが上方へ退避するため、ベルト3や指状部55L,55Rの破損や変形を防止することができる。
【0262】
(盛り付けシステムのブロック回路)
図60に示すように、
図41のブロック図におけるロボットコントローラ34の出力側に連携したサーボモータ94R2に替えて、第1エアシリンダ56と、第2エアシリンダ57と、電動シリンダ162と、サーボモータ165Mを連携する。
【0263】
(盛り付け制御)
以下に述べる「制御点」は、左の第1部材58Lの係合部58LSの先端(内側端)と、右の第1部材58Rの係合部58RSの先端(内側端)との間の中心位置である。
しかして、
図65~
図68に、ハンド装置33によって薄肉Eを採取する状態から、略U字状に変形させた薄肉Eを載置する状態までの過程を示す。
【0264】
盛り付け制御が開始されると、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を駆動制御し、左右の指状部55L,55Rと掬い上げ部175を、それぞれの初期位置に位置付ける。
左右の指状部55L,55Rの初期ポイントは、薄肉Eの採取位置Tから-Y側にオフセット量f(
図65中の(a)参照)だけ偏倚した位置において、搬送面3aから直上方へ所定距離離間した位置に設定される。
【0265】
このとき、掬い上げ部175は、初期ポイントよりも所定距離+Y方向へ偏倚した位置に配置される。
なお、オフセット量fは、掬い上げ部175の先端が採取位置Tから初期ポイントの直下位置まで移動する間において、斜め上方へ移動する掬い上げ部175のベルト173によって、採取位置Tに位置する薄肉Eを掬い上げることのできる量に設定されている。
【0266】
また、この初期ポイントにおいて、ハンド装置33の左右の指状部55L,55Rは互いに離間した開放状態となる。
すなわち、左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRと左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRは、夫々最大間隔まで離間した開放状態となる。
【0267】
この状態において、左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRに備えた第1部材58L,58Rは、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRに備えた第2部材59L,59Rの隙間SP,SP内に退避する。
これによって、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部は、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部に対して外側方へ(隙間SP内へ)退避している。
【0268】
次に、スライサーコントローラ10によって、採取位置Tへ搬送中の薄肉Eの属性の取得を行なう。
すなわち、スライサーコントローラ10には、スライサー1側に設けられ、スライス前の塊状肉の先端部の厚さ(高さ)を検出する厚さ(高さ)センサー(図示省略)から、その検出結果が入力される。
【0269】
スライサー1は、横向き姿勢で供給された塊状肉を、その先端部から上下方向に切断するものであるため、この塊状肉の先端部の厚さ(高さ)は、搬送面3a上に載置される薄肉EのY軸方向での長さに近似した寸法となる。
なお、Y軸方向の中央部で折り畳まれた薄肉Eの場合、この薄肉EのY軸方向での長さは、この厚さ(高さ)の約1/2の長さとなる。
【0270】
スライサーコントローラ10は、このスライス前の塊状肉の先端部の厚さ(高さ)を、ロボットコントローラ34に送る。
また、ロボットコントローラ34では、カメラ11で撮像した薄肉Eの画像を処理し、この結果に基づいて、薄肉Eの大きさ(薄肉EのX軸方向での長さ(幅)と面積)を取得する。
そして、取得された薄肉Eの大きさから、この薄肉Eを大・中(標準)・小・採取不適の4つのクラスに分類する。
【0271】
(採取に適した薄肉Eの採取および盛り付け)
まず、ロボットコントローラ34により、固定値として記憶された複数の所定行数Mのうち、使用するトレー6の大きさに対応する所定行数Mが選択される。
また、塊状肉の厚さ(高さ)及び画像処理に基づく薄肉Eの大きさに基づいて、所定列数Nが自動的に算出される。
【0272】
これにより、
図70中の(a)に示すように、トレー6の内底面の設定領域R内に、所定行数Mの行と、所定列数Nの列が設定される。
なお、各行および各列は、それぞれが等間隔で設定される。
【0273】
以下、まず、最初に算出された所定列数Nを全ての行に適用する場合(全ての行にN列(N枚)の薄肉Eを置く場合)の処理について説明する。
なお、この所定列数Nを、行ごとに算出する処理については、後述する。
【0274】
まず、ロボットコントローラ34により、行カウンタのカウント値m及び列カウンタのカウント値nにそれぞれ1をセットし、薄肉盛り付け処理に移行する。
【0275】
(薄肉盛り付け処理)
図70中の(a)に示すように、トレー6の内底面は、複数の薄肉配置区画に行列状に区分される。本実施形態では、(m,n)=(1,1),(1,2),(1,3),(1,4),(2,1),(2,2),…,(M,N)のように第1行から列順に薄肉盛り付け処理され、1つの行が終了すると、隣接する次の行において同様の盛り付け処理がなされる。
【0276】
第1行を意味する「m=1」は、トレー6の内底面において、最も-Y側の位置に配置される。
第1列を意味する「n=1」は、トレー6の内底面において、最も+X側の位置に配置される。
【0277】
まず、ロボットコントローラ34は、「採取目標位置設定処理」、及び、「軌道生成処
理」を行なう。
【0278】
(採取目標位置設定処理)
カメラ11による撮像結果から得られた薄肉Eの大きさに基づき、薄肉EにおけるX軸方向の中央部位または中央部位の近傍の位置を被保持部B(
図2参照)として設定し、この被保持部Bの採取目標位置を算出する。
【0279】
(軌道生成処理)
軌道生成処理は、採取から盛り付け終了までの軌道、及び初期ポイントへ戻る軌道の生成処理であり、時間毎のハンド装置33の位置および姿勢をロボットコントローラ34によって制御する。
【0280】
(薄肉盛り付け制御)
図65中の(a)における左上の平面視で示す図のように、初期状態におけるハンド装置33において、左右の指状部55L,55RはX軸方向に最大間隔を形成する位置まで開いている。
すなわち、左右の第1部材58L,58Rおよび左右の第2部材59L,59Rが、夫々最大位置まで開き、各第1部材58L,58Rの内側縁部が、各第2部材59L,59Rの内側縁部に対して外側方へ偏倚した位置へ退避している。
【0281】
この状態において、第1搬送装置2によって搬送される薄肉Eが採取位置Tに到達したときに、ロボットコントローラ34がスライサーコントローラ10から採取開始信号を受信(取得)する。
そして、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を緩速で下降させる。
【0282】
これにより、
図65中の(a)における左下の側面視で示す図のように、指状部55L,55Rの下端(第1部材58L,58Rの下端および第2部材59L,59Rの下端)と掬い上げ部175のベルト173の下端(先端)が、それぞれ搬送面3aに接触しない程度の僅かな隙間を残して可及的に近接する。
なお、ベルト173の下端は搬送面3aに軽く接触させてもよい。
【0283】
この後、ロボットコントローラ34からの出力によって電動シリンダ162を短縮作動させ、掬い上げ部175を初期位置から掬い上げ位置へ(-Y方向へ)移動させる。
すなわち、掬い上げ部175を、第1搬送装置2の下流側(+Y側)から、薄肉EにおけるX軸方向の中間部(目標点BP)付近に向けて上流側(-Y側)へ移動させる。
【0284】
そして、掬い上げ部175の移動開始から設定時間経過後に、ロボットコントローラ34からの出力によってサーボモータ165Mを回転駆動し、支持板172上のベルト173を傾斜上がり方向へ移動(正方向移動)させる。
なお、上述の設定時間は、掬い上げ部175が初期位置から採取位置Tに位置する薄肉Eに到達するまでの時間に対して、同じ時間または僅かに短い時間に設定する。
【0285】
これによって、
図65中の(b)から
図65中の(c)に示すように、傾斜上がり方向へ移動するベルト173によって、採取位置Tに位置する薄肉Eの幅方向(X軸方向)の中央部が斜め上方へ掬い上げられていく。
このとき、ベルト173上に支持されていない薄肉Eの両端部が、自重によって垂れ下がり変形し始める。
【0286】
なお、掬い上げ部175におけるベルト173の斜め上方への移動速度は、掬い上げ部175の-Y方向への移動速度に対して、同速度または稍々高速に設定するのが好ましい。
このように設定することにより、搬送面3aからベルト173への薄肉Eの引き継ぎが良好に行なわれ、この薄肉Eに皺が形成されにくくなる。
【0287】
図66中の(d)に示すように、掬い上げ部175が-Y側へさらに移動すると、ベルト173によって中央部を掬い上げられた薄肉Eの両端部が、左右に配置された+Y側の第2部材59L,59Rの内側縁部に当接し、この当接抵抗によって薄肉Eの姿勢がベルト173の上面に沿う姿勢に修正される。また、左右の第2部材59L,59Rおよび左右の第1部材58L,58Rは、共に開放した状態を維持している。
【0288】
この状態で、掬い上げ部175が、薄肉Eを掬い上げたまま左右の指状部55L,55Rの間に進入する。
これによって、掬い上げ部175の先端部(ベルト173の先端部)は、左右の指状部55L,55Rの間から-Y側へ突出する。
【0289】
続いて、掬い上げ部175のベルト173の移動を停止させた後、ロボットコントローラ34からの出力によって、第1エアシリンダ56の作動を開始し、左右の指状部55L,55Rにおける左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRの内側方(互いに接近する方向)への移動を開始する。
【0290】
図66中の(e)に示すように、左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRが内側方へ移動開始すると、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部が薄肉Eの両端部に当接し、この当接部位を内側方へ押し始める。
このとき、左右の係合部58LS,58RSが薄肉Eの下側へ進入し、この薄肉Eを抱え込み始める。
【0291】
そして、左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRが内側方への移動を開始してから設定時間が経過した後に、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRを内側方(互いに接近する方向)へ移動させる。
図66中の(f)に示すように、薄肉Eの両端部は、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部によってベルト173の両側端側へ押圧され、平面視で略U字状(馬蹄形に近似した形状)に変形する。
【0292】
この状態で、薄肉Eは、接近した左右の係合部58LS,58RSによって掬い上げ部175の下側(ベルト173の下側)へ抱え込まれるようにして支持される。
なお、このとき、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部と掬い上げ部175(ベルト173)の左右側端との間に第1間隙T1,T1が残るため、薄肉Eを強く挟みすぎて損傷させることはない。
【0293】
また、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部も掬い上げ部175の左右側端に接近するが、この左右の第2部材59L,59Rの内側縁部と掬い上げ部175の左右側端との間に、第1間隙T1,T1よりも大きい第2間隙T2,T2が残る。
この第2間隙T2,T2の存在により、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部を薄肉Eに積極的に当接させないようにしている。
【0294】
このようにして薄肉Eを支持した後、次の工程へ移行する。
すなわち、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を上昇させる。
【0295】
この制御点の上昇時に、薄肉Eの両端が搬送面3aから浮上し、更にトレー6の周壁6aの高さよりも高い位置を維持する。
これによって、制御点が設定領域R上に移動する際に、薄肉Eと周壁6aとの干渉が防止される。
【0296】
続いて、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を、トレー6の周壁6a上方を通過させて、設定領域R上方のポイントに移動させる。
これにより、設定領域Rが設定されたトレー6の内底面に対して、左右の指状部55L,55Rの下端及び掬い上げ部175のベルト173の下端(先端)が接近する。
【0297】
このポイントは、薄肉Eが降ろされる肉降下点Rmnが属する第m番目の行よりも下流側(+Y側)に設定する。
このポイントへの移動中に、ロボットコントローラ34によってロボットアーム12を制御し、ハンド装置33がY軸方向に対して捻り角θを有する姿勢となる。
【0298】
続いて、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を次のポイントへ移動させる。
このポイントへの移動中、薄肉Eの両端部は、トレー6の内底面上を引きずられる。
【0299】
そして、制御点がこのポイントへの移動を開始してから予め設定された時間が経過した後、ロボットコントローラ34からの出力によって第1エアシリンダ56を逆方向へ作動させる。
これによって、
図67中の(g)に示すように、左右の指状部55L,55Rにおける左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRが外側方(互いに離間する方向)へ移動する。
【0300】
また、薄肉Eに対する左右の第1部材58L,58Rの内側縁部によるベルト173の両側端側への押圧と、左右の係合部58LS,58RSによる抱え込みが解除される。
ただし、この時点では、ロボットコントローラ34から第2エアシリンダ57へは出力がなされず、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRは互いに接近した位置に維持される。
【0301】
これにより、薄肉Eと当接する部材が、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部から、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部に切り替わる。
すなわち、第1部材58L,58Rの内側縁部に(押圧されることによって)付着していた薄肉Eが、第2部材59L,59Rの内側縁部に持ち替えられるようにして、この第1部材58L,58Rおよび第2部材59L,59Rから離脱される。
【0302】
続いて、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を次のポイントに移動させる。
この移動中に、ロボットコントローラ34からの出力によってサーボモータ165Mを逆方向へ回転駆動させる。
これによって、掬い上げ部175のベルト173が斜め下方(逆方向)へ移動し、
図67中の(h)に示すように、薄肉Eがトレー6の内底面に向けて斜め下方へ降ろされ始める。
【0303】
このとき、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRは互いに接近した位置に維持され、掬い上げ部175の側端と左右の第2部材59L,59Rの内側縁部の間には第2間隙T2,T2が形成されている。
また、第2部材59L,59Rの下端部には、第1部材58L,58Rにおけるような係合部が無い。
【0304】
このため、
図67中の(i)から
図68中の(j)への状態変化に示すように、斜め下方へ降ろされる薄肉Eの左右両辺部は、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部によって略U字状から元の形状への復元を規制されながら、この第2間隙T2,T2を通過して円滑に降ろされる。
【0305】
降ろされた薄肉Eは、略U字状の形状を保持した状態で、トレー6の内底面に載置される。
また、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、ハンド装置33の捻り角θを0にして、左右の指状部55L,55Rが並ぶ方向をX軸方向に戻す。
【0306】
この後、ロボットコントローラ34からの出力によって、ベルト173の移動を停止させた後、ロボットアーム12を制御し、制御点を次のポイントへ移動させる。
これにより、ハンド装置33は、上方へかつ+Y方向(下流側)へ移動し、降ろした薄肉Eから離間する。
【0307】
続いて、
図68中の(k)に示すように、制御点が移動を開始したときに、ロボットコントローラ34からの出力によって電動シリンダ162を伸長作動させ、掬い上げ部175を初期位置へ移動させる。
これと共に、ロボットコントローラ34からの出力によって第2エアシリンダ57を逆方向へ作動させ、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRが外側方(互いに離間する方向)へ移動し、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部の間隔が拡大する。
【0308】
なお、掬い上げ部175が左右の指状部55L,55Rの間から退避したときに(退避した後に)、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRが外側方(互いに離間する方向)へ移動し、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部の間隔が拡大するようにしてもよい。
【0309】
続いて、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を、さらに下流側(+Y側)の高い位置に移動させる。
この後、制御点を初期ポイントに移動させる。
以上で、肉降下点Rmnに対する1枚の薄肉Eの盛り付け処理が終了する。
【0310】
この後、ロボットコントローラ34によって、列カウンタのカウント値nが所定列数Nを超えているか否かを判定する。
カウント値nが所定列数Nを超えていない場合には、リターンして、現在の行mにおいて、次の列順の肉降下点Rmnに対する薄肉Eの盛り付け処理を行なう。
従って、この薄肉Eの盛り付け処理は、1行当たりN回実行されることになる。
【0311】
カウント値nが、所定列数Nを超えている場合には、次の行の最初の列の肉降下点Rmnに対する薄肉Eの盛り付け処理が開始される。
以上の処理を反復し、所定行数M及び所定列数Nにおける全ての肉降下点Rmnへの薄肉Eの盛り付けを完了する。
【0312】
(3行4列での盛り付け例)
ここで、所定行数Mを「3」とし、かつ、所定列数Nを「4」にした場合の例を、
図69中の(a)および
図70中の(a)~(c)に示す。
【0313】
図70中の(a)は、第1行第1列の肉降下点Rmn(=R11)に、薄肉Eの盛り付けが終了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
【0314】
図70中の(b)は、第1行の全肉降下点Rmnと、第2行第1列の肉降下点Rmn(=R21)に、薄肉Eの盛り付けが終了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
【0315】
図70中の(c)は、第1行及び第2行の全肉降下点Rmnに薄肉Eの盛り付けが完了し、第3行第1列の肉降下点Rmn(=R31)に、薄肉Eの盛り付けが完了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
【0316】
(所定列数Nを行ごとに算出する処理)
以上は、最初に算出された所定列数Nを全ての行に適用する場合(全ての行にN列(N枚)の薄肉Eを置く場合)の処理について説明した。
これに対し、上述の所定列数Nを、各行の先頭に置かれる薄肉Eの大きさに応じ、行ごとに算出する処理としてもよい。
【0317】
(中(標準)クラスの薄肉Eが揃う場合)
図29と同様に盛り付け処理が行なわれる。
すなわち、設定領域R内の最も-Y側に位置する第1行において、この第1行の先頭(最も+X側の位置)に置かれる1番目の薄肉Eが「中(標準)」のクラスに分類されたものである場合、この第1行には4列(4枚)の薄肉Eを置くことが決定される。
これに従い、第1行には、1番目の薄肉Eから4番目の薄肉Eの順に(+X側から-X側へ)、4列(4枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0318】
続いて、第1行の+Y側に隣接する第2行への盛り付け処理が開始される。
そして、この第2行の先頭に置かれる5番目の薄肉Eが同じく「中」のクラスに分類されたものである場合、この第2行にも4列(4枚)の薄肉Eを置くことが決定され、5番目の薄肉Eから8番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0319】
続いて、第2行の+Y側に隣接する第3行への盛り付け処理が開始される。
そして、この第3行の先頭に置かれる9番目の薄肉Eが同じく「中」のクラスに分類されたものである場合、この第3行にも4列(4枚)の薄肉Eを置くことが決定され、9番目の薄肉Eから12番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0320】
以上により、設定領域R内に合計12枚の薄肉Eが置かれ、1つのトレー6への盛り付け処理が終了する。
なお、スライサー1から搬送面3a上への薄肉Eの切り出し位置からして、X軸方向において、「中(標準)」のクラスに分類された薄肉Eの目標点BPは、搬送面3aのX軸方向の幅の中心位置(ベルト3の中心線tの位置)に略一致する。
このため、採取位置Tにおける制御点の基準位置を、X軸方向へ位置補正する必要はない。
【0321】
(中・小クラスの薄肉Eが混在する場合)
図30と同様に盛り付け処理が行なわれる。
すなわち、上述の第1行において、この第1行の先頭に置かれる1番目の薄肉Eが「中」のクラスに分類されたものである場合、この第1行には、上述の場合と同様にして、1番目の薄肉Eから4番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが置かれる。
【0322】
続いて、第2行への盛り付け処理が開始され、この第2行の先頭に置かれる5番目の薄肉Eが「小」のクラスに分類されたものである場合、この第2行には5列(5枚)の薄肉Eを置くことが決定される。
これに従い、第2行には、5番目の薄肉Eから9番目の薄肉Eの順に、5列(5枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0323】
続いて、第3行への盛り付け処理が開始され、この第3行の先頭に置かれる10番目の薄肉Eも「小」のクラスに分類されたものである場合、この第3行にも5列(5枚)の薄肉Eを置くことが決定され、10番目の薄肉Eから14番目の薄肉Eの順に、5列(5枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0324】
以上により、設定領域R内に合計14枚の薄肉Eが置かれ、1つのトレー6への盛り付け処理が終了する。
なお、X軸方向において、「小」のクラスに分類された薄肉Eの目標点BPは、搬送面3aの中心位置(ベルト3の中心線tの位置)に対して-X側へ距離Xaだけ偏倚するため、採取位置Tにおける制御点の基準位置を、-X側へ距離Xaだけ位置補正する。
【0325】
(中・大クラスの薄肉Eが混在する場合)
図31と同様に盛り付け処理が行なわれる。
すなわち、上述の第1行において、この第1行の先頭に置かれる1番目の薄肉Eが「中」のクラスに分類されたものである場合、この第1行には、上述の場合と同様にして、1番目の薄肉Eから4番目の薄肉Eの順に、4列(4枚)の薄肉Eが置かれる。
【0326】
続いて、第2行への盛り付け処理が開始され、この第2行の先頭に置かれる5番目の薄肉Eが「大」のクラスに分類されたものである場合、この第2行には3列(3枚)の薄肉Eを置くことが決定される。
これに従い、第2行には、5番目の薄肉Eから7番目の薄肉Eの順に、3列(3枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0327】
続いて、第3行への盛り付け処理が開始され、この第3行の先頭に置かれる8番目の薄肉Eも「大」のクラスに分類されたものである場合、この第3行にも3列(3枚)の薄肉Eを置くことが決定され、8番目の薄肉Eから10番目の薄肉Eの順に、3列(3枚)の薄肉Eが等間隔で置かれる。
【0328】
以上により、設定領域R内に合計10枚の薄肉Eが置かれ、1つのトレー6への盛り付け処理が終了する。
なお、各行における列数を自動的に変更することにより、各列の間隔も自動的に変更される。
ただし、各行における列数を自動的に変更しても、各列の間隔は自動的に変更されないようにしてもよい。
【0329】
なお、X軸方向において、「大」のクラスに分類された薄肉Eの目標点BPは、搬送面3aの中心位置(ベルト3の中心線tの位置)に対して+X側へ距離Xbだけ偏倚するため、採取位置Tにおける制御点の基準位置を、+X側へ距離Xbだけ位置補正する。
【0330】
(総重量の収束)
しかして、
図32に示したように、以上の盛り付け処理における盛り付け枚数の自動調整によって、トレー6内の設定領域Rに盛り付けられた薄肉Eの総重量が設定範囲α内に収まる。
なお、枚数制御した場合の総重量ラインの垂直落下部分(段差部分)は、トレー6に盛り付けられる薄肉Eの枚数が減ったときに現出する。
すなわち、同じ枚数のまま、薄肉Eの大きさが大きくなるに従い、盛り付け後の薄肉Eの総重量は徐々に増加するが、枚数が1枚減少することで、総重量は一旦低下する。
【0331】
薄肉Eの盛り付け枚数が、12枚、14枚、10枚と異なった場合、このように薄肉Eの大きさに応じて盛り付け枚数を増加または減少させることで、その総重量は設定範囲内に収まる。
また、この薄肉Eの枚数制御によって、隣接する薄肉Eの間隔も自動調整され、設定領域R内に整然と盛り付けられる。
【0332】
(制御内容の別説明)
以下に、上の制御について別説明を加える。
図61、
図62に示すフローチャートは、
図19に示すフローチャートにおけるS18Aの別処理例を示すものである。
【0333】
(S200)
まず、S200において、ロボットコントローラ34は、「採取目標位置設定処理」、及び、「軌道生成処理」を行う。
【0334】
(採取目標位置設定処理)
カメラ11による撮像結果から得られた薄肉Eの大きさに基づき、薄肉EにおけるX軸方向の中央部位または中央部位の近傍の位置を被保持部B(
図2参照)として設定し、この被保持部Bの採取目標位置を算出する。
【0335】
(軌道生成処理)
軌道生成処理は、
図63、
図64に示すポイントP0~P2~P9~P14までの採取から盛り付け終了までの軌道、及びポイントP14からポイントP0へ戻る軌道の生成処理であり、時間毎のハンド装置33の位置および姿勢をロボットコントローラ34によって制御する。
【0336】
(制御点の移動)
図63、
図64に基づいて各ポイント間における制御点の移動について説明する。
ポイントP0は、制御点の初期位置であり、第1搬送装置2のベルト3の中心線tの直上に固定配置する。
ポイントP1は、ポイントP0とポイントP2の間の経路に含まれる中間点である。
ポイントP2は、左右の指状部55L,55Rの下端および掬い上げ部175のベルト173の下端(先端)が、それぞれ搬送面3aと接触しない程度の僅かな隙間を有する高さに設定する。
【0337】
ポイントP9のY軸座標値は、ポイントP2から移動するハンド装置33が設定領域R上に達する前の値に設定し、ポイントP9のX軸座標値は、ポイントP2のX軸座標値と同じ値に設定する。
本実施形態では、ポイントP9のZ軸座標値は、ポイントP0のZ軸座標値よりも高い値に設定し、ハンド装置33に支持された薄肉Eがトレー6の周壁6a上を通過する際に、この薄肉Eの両端(垂下端)が周壁6aに干渉しないものとする。
【0338】
ポイントP10~ポイントP14について説明するにあたり、説明の便宜上、ポイントP12から先に説明する。
ポイントP12は、前述した薄肉配置区画(m,n)毎に、設定領域Rであるトレー6の内底面上に設定された肉降下点Rmnの直上方に配置する。
すなわち、ポイントP12のX軸座標値およびY軸座標値は、肉降下点RmnのX軸座標値およびY軸座標値と一致する。
なお、肉降下点Rmnは、薄肉配置区画(m,n)の中心点である。
【0339】
後述するS20A、S24A、S28Aによって列n及び/または行mが更新される毎に、ポイントP12のX及びY軸座標値は、更新後の肉降下点RmnのX軸座標値およびY軸座標値となる。
【0340】
ポイントP12のZ軸座標値は、ポイントP9のZ軸座標値よりも小さく設定し、掬い上げ部175のベルト173の下端(先端)と左右の指状部55L,55Rの下端が、設定領域Rにおけるトレー6の内底面から上方へ離間する高さに設定する。
この高さは、採取部176に支持された薄肉Eが、トレー6の内底面に接触しない高さに設定する。
【0341】
ポイントP12に制御点が到達すると、薄肉Eの支持が解除されて、この薄肉Eがトレー6の内底面に降ろされる。
【0342】
図64に示すように、ポイントP10のX軸座標値は、ポイントP12のX軸座標値に対して-X側に偏倚するように所定距離d2だけ離間した値に設定する。
【0343】
ポイントP10のY軸座標値は、ポイントP12のY軸座標値よりも+Y側に偏倚するように所定距離d3だけ偏倚した値に設定する。
ポイントP10のZ軸座標値は、ポイントP12と同じ値に設定する。
【0344】
なお、ポイントP11は、ポイントP10とポイントP12を結ぶ直線経路上の中間ポイントである。
このポイントP11の三次元座標値は、ポイントP10とポイントP12間を結ぶ直線経路上の座標値とする。
【0345】
制御点がポイントP9からポイントP10まで移動する際にロボットアーム12が姿勢制御され、ハンド装置33は、ポイントP10において、
図69中の(b)に示すようにY軸方向に対して捻り角θを有する姿勢となる。
【0346】
これにより、左右の指状部55L,55Rの並ぶ方向が、X軸に沿う方向から、Y軸方向に対して捻り角θで交差する交差線に対して直交する方向に変更される。
【0347】
この捻りにより、掬い上げ部175は、Y軸方向に対して捻り角θ分傾いた状態で、電動シリンダ162の短縮作動によって-Y側へ移動する。
【0348】
(ハンド装置の姿勢)
制御点がポイントP9~P10へ移動する時に捻り角θの姿勢制御を実行し、P12に移動した際に、捻り角θを解消する姿勢制御を実行する。
【0349】
このポイントP9~P10間を除く、残りのポイント間の軌道では、左右の指状部55L,55Rの並ぶ方向がX軸方向に沿うように姿勢制御が行われる。
図61に戻って説明する。
【0350】
(S202~S206)
ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP0からポイントP1に移動させる。
【0351】
(S202)
初期状態におけるハンド装置33において、左右の指状部55L,55RはX軸方向に最大間隔を形成する位置まで開いている。
すなわち、左右の第1部材58L,58Rおよび左右の第2部材59L,59Rが、夫々最大位置まで開き、各第1部材58L,58Rの内側縁部が、各第2部材59L,59Rの内側縁部に対して外側方へ偏倚した位置へ退避している。
【0352】
このS202において、第1搬送装置2によって搬送される薄肉Eが採取位置Tに到達したときに、ロボットコントローラ34がスライサーコントローラ10から採取開始信号を受信(取得)する。
これによってS204に移行する。
【0353】
(S204)
S204では、ロボットコントローラ34において、ポイントP2の3次元座標のうち、X軸座標値をS200で得られた採取目標位置におけるX軸座標値に変更する。
なお、採取目標位置のY軸座標値及びZ軸座標値は変更しない。
続いてS206に移行する。
【0354】
(S206)
S206では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を開始位置(ポイントP0)からポイントP1へ移動させ、S208へ移行する。
【0355】
(S208)
S208では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP1からポイントP2へ緩速で下降させる。
【0356】
これにより、
図65中の(a)に示すように、指状部55L,55Rの下端(第1部材58L,58Rの下端および第2部材59L,59Rの下端)と掬い上げ部175のベルト173の下端(先端)が、それぞれ搬送面3aに接触しない程度の僅かな隙間を残して可及的に近接する。
【0357】
なお、ベルト173の下端は搬送面3aに軽く接触させてもよい。
続いてS210に移行する。
【0358】
(S210)
S210では、上述のようにして制御点がポイントP2に達した後、ロボットコントローラ34からの出力によって電動シリンダ162を短縮作動させ、掬い上げ部175を初期位置から掬い上げ位置へ(-Y方向へ)移動させる。
【0359】
すなわち、掬い上げ部175を、第1搬送装置2の下流側(+Y側)から、薄肉EにおけるX軸方向の中間部(被保持部B)付近に向けて上流側(-Y側)へ移動させ、S212へ移行する。
【0360】
(S212)
S212では、掬い上げ部175の移動開始から設定時間経過後に、ロボットコントローラ34からの出力によって、ベルト173を傾斜上がり方向へ移動(正方向移動)させる。
なお、上述の設定時間は、掬い上げ部175が初期位置から採取位置Tに位置する薄肉Eに到達するまでの時間に対して、同じ時間または僅かに短い時間に設定する。
【0361】
これによって、
図65中の(b)から
図65中の(c)に示すように、傾斜上がり方向へ移動するベルト173によって、採取位置Tに位置する薄肉Eの幅方向(X軸方向)の中央部が斜め上方へ掬い上げられていく。
このとき、ベルト173上に支持されていない薄肉Eの両端部が、自重によって垂れ下がり変形し始める。
【0362】
なお、掬い上げ部173におけるベルト173の斜め上方への移動速度は、掬い上げ部173の-Y方向への移動速度に対して、同速度または稍々高速に設定するのが好ましい。
このように設定することにより、搬送面3aからベルト173への薄肉Eの引き継ぎが良好に行われ、この薄肉Eに皺が形成されにくくなる。
【0363】
図66中の(d)に示すように、掬い上げ部175が-Y側へさらに移動すると、ベルト173によって中央部を掬い上げられた薄肉Eの両端部が、左右に配置された+Y側の第2部材59L,59Rの内側縁部に当接し、この当接抵抗によって薄肉Eの姿勢がベルト173の上面に沿う姿勢に修正される。また、左右の第2部材59L,59Rおよび左右の第1部材58L,58Rは、共に開放した状態を維持している。
【0364】
この状態で、掬い上げ部175が、薄肉Eを掬い上げたまま左右の指状部55L,55Rの間に進入する。
これによって、掬い上げ部175の先端部(ベルト173の先端部)は、左右の指状部55L,55Rの間から-Y側へ突出する。
続いて、S214へ移行する。
【0365】
(S214)
S214では、掬い上げ部175のベルト173の移動を停止させた後、ロボットコントローラ34からの出力によって、第1エアシリンダ56の作動を開始し、左右の指状部55L,55Rにおける左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRの内側方(互いに接近する方向)への移動を開始する。
【0366】
図66中の(e)に示すように、左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRが内側方へ移動開始すると、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部が薄肉Eの両端部に当接し、この当接部位を内側方へ押し始める。
このとき、左右の係合部58LS,58RSが薄肉Eの下側へ進入し、この薄肉Eを抱え込み始める。
そしてS216へ移行する。
【0367】
(S216)
S216では、左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRが内側方への移動を開始してから設定時間が経過した後に、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRを内側方(互いに接近する方向)へ移動させる。
【0368】
図66中の(f)に示すように、薄肉Eの両端部は、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部によってベルト173の両側端側へ押圧され、平面視で略U字状(馬蹄形に近似した形状)に変形する。
この状態で、薄肉Eは、接近した左右の係合部58LS,58RSによって掬い上げ部175の下側(ベルト173の下側)へ抱え込まれるようにして支持される。
【0369】
食品盛り付け制御装置31が実行する食品盛り付け方法には、以上のポイントP2におけるハンド装置33によって薄肉Eを支持して採取する工程を備える。
なお、このとき、
図58中の(b)に示すように、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部と掬い上げ部175(ベルト173)の左右側端との間に第1間隙T1,T1が残るため、薄肉Eを強く挟みすぎて損傷させることはない。
【0370】
また、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部も掬い上げ部175の左右側端に接近するが、この左右の第2部材59L,59Rの内側縁部と掬い上げ部175の左右側端との間に、第1間隙T1,T1よりも大きい第2間隙T2,T2が残る。
この第2間隙T2,T2の存在により、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部を薄肉Eに積極的に当接させないようにしている。
【0371】
このようにして薄肉Eを支持した後、S218へ移行する。
【0372】
(S218)
ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP2からポイントP9に移動させる。
このポイントP9への制御点の移動時に、薄肉Eの両端が搬送面3aから浮上し、更にトレー6の周壁6aの高さよりも高い位置を維持する。
【0373】
これによって、制御点が設定領域R上に移動する際に、薄肉Eと周壁6aとの干渉が防止される。
続いて、
図62に示すS220に移行する。
【0374】
(S220)
S220では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点を、ポイントP9からトレー6の周壁6a上方を通過させて、設定領域R上方のポイントP10に移動させる。
これにより、設定領域Rが設定されたトレー6の内底面に対して、左右の指状部55L,55Rの下端及び掬い上げ部175のベルト173の下端(先端)が接近する。
【0375】
このポイントP10は、薄肉Eが降ろされる肉降下点Rmnが属する第m番目の行よりも下流側(+Y側)に設定する。
このポイントP9からポイントP10への移動中に、ロボットコントローラ34によってロボットアーム12を制御し、ポイントP10ではハンド装置33がY軸方向に対して捻り角θ3を有する姿勢となる。
【0376】
このように、食品盛り付け制御装置31が実行する食品盛り付け方法には、ポイントP2からポイントP10へのハンド装置33の移動工程を備える。
続いてS222へ移行する。
【0377】
(S222)
S222では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP10からポイントP11へ移動させる。
このポイントP10からポイントP11への移動中、薄肉Eの両端部は、トレー6の内底面上を引きずられる。
続いてS224へ移行する。
【0378】
(S224)
S224では、制御点がポイントP11への移動を開始してから予め設定された時間が経過した後、ロボットコントローラ34からの出力によって第1エアシリンダ56を逆方向へ作動させる。
【0379】
これによって、
図67中の(g)に示すように、左右の指状部55L,55Rにおける左右のインナーフィンガー58IFL,58IFRが外側方(互いに離間する方向)へ移動する。
また、薄肉Eに対する左右の第1部材58L,58Rの内側縁部によるベルト173の両側端側への押圧と、左右の係合部58LS,58RSによる抱え込みが解除される。
【0380】
ただし、この時点では、ロボットコントローラ34から第2エアシリンダ57へは出力がなされず、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRは互いに接近した位置に維持される。
これにより、薄肉Eと当接する部材が、左右の第1部材58L,58Rの内側縁部から、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部に切り替わる。
【0381】
すなわち、第1部材58L,58Rの内側縁部に(押圧されることによって)付着していた薄肉Eが、第2部材59L,59Rの内側縁部に持ち替えられるようにして、この第1部材58L,58Rおよび第2部材59L,59Rから離脱される。
続いてS226へ移行する。
【0382】
(S226)
S226では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP11からポイントP12に移動させる。
この移動中に、ロボットコントローラ34からの出力によって、掬い上げ部175のベルト173を斜め下方(逆方向)へ移動させ、
図67中の(h)に示すように、薄肉Eがトレー6の内底面に向けて斜め下方へ降ろされ始める。
【0383】
このとき、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRは互いに接近した位置に維持され、掬い上げ部175の側端と左右の第2部材59L,59Rの内側縁部の間には第2間隙T2,T2が形成されている。
【0384】
また、第2部材59L,59Rの下端部には、第1部材58L,58Rにおけるような係合部が無い。
このため、
図67中の(i)から
図68中の(j)への状態変化に示すように、斜め下方へ降ろされる薄肉Eの左右両辺部は、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部によって略U字状から元の形状への復元を規制されながら(請求項の「食品の端部の開きを規制しながら」)、この第2間隙T2,T2を通過して円滑に降ろされる。
【0385】
降ろされた薄肉Eは、略U字状の形状を保持した状態で、トレー6の内底面に載置される。
また、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、ハンド装置33の捻り角θ3を0にして、左右の指状部55L,55Rが並ぶ方向をX軸方向に戻す。
【0386】
以上、食品盛り付け制御装置31が実行する食品盛り付け方法には、制御点をポイントP10からポイントP12へ移動させる工程を備える。
この後、S228へ移行する。
【0387】
(S228)
S228では、ロボットコントローラ34からの出力によって、ベルト173の移動を停止させた後、ロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP12からポイントP13へ移動させる。
【0388】
これにより、ハンド装置33は、ポイントP12よりも上方へかつ、+Y方向(下流側)へ移動し、降ろした薄肉Eから離間する。
続いてS230へ移行する。
【0389】
(S230)
S230では、
図68中の(k)に示すように、制御点がポイントP12からの移動を開始したときに、ロボットコントローラ34からの出力によって電動シリンダ162を伸長作動させ、掬い上げ部175を初期位置へ移動させる。
【0390】
これと共に、ロボットコントローラ34からの出力によって第2エアシリンダ57を逆方向へ作動させ、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRが外側方(互いに離間する方向)へ移動し、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部の間隔が拡大する。
なお、掬い上げ部175が左右の指状部55L,55Rの間から退避したときに(退避した後に)、左右のアウターフィンガー59IFL,59IFRが外側方(互いに離間する方向)へ移動し、左右の第2部材59L,59Rの内側縁部の間隔が拡大するように各部を制御してもよい。
続いてS232へ移行する。
【0391】
(S232)
S232では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP13からさらに下流側(+Y側)であって、ポイントP13よりも高い位置にあるポイントP14に移動させる。
この後、S234へ移行する。
【0392】
(S234)
S234では、ロボットコントローラ34からの出力によってロボットアーム12を制御し、制御点をポイントP14から初期位置のポイントP0に移動させる。
【0393】
以上で、肉降下点Rmnに対する1枚の薄肉Eの盛り付け処理が終了し、
図19のフローにおけるS20Aへ移行する。
S20A以降の処理は上述の場合と同様である。
【0394】
以上の処理を反復し、所定行数M及び所定列数Nにおける全ての肉降下点Rmnへの薄肉Eの盛り付けを完了する。
【0395】
(3行4列での盛り付け例)
ここで、所定行数Mを「3」とし、かつ、所定列数Nを「4」にして、上記の盛り付け制御を実行した場合の例を、
図70中の(a)~(c)に示す。
【0396】
図70中の(a)は、第1行第1列の肉降下点Rmn(=R11)に、薄肉Eの盛り付けが終了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
【0397】
図70中の(b)は、第1行の全肉降下点Rmnと、第2行第1列の肉降下点Rmn(=R21)に、薄肉Eの盛り付けが終了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
【0398】
図70中の(c)は、第1行及び第2行の全肉降下点Rmnに薄肉Eの盛り付けが終了し、第3行第1列の肉降下点Rmn(=R31)に、薄肉Eの盛り付けが完了した状態のトレー6を平面視した説明図である。
【0399】
なお、本実施形態においても、上述のS14における所定列数Nを、各行の先頭に置かれる薄肉Eの大きさに応じ、行ごとに算出する処理としてもよい。
中(標準)クラスの薄肉Eが揃う場合、中・小クラスの薄肉Eが混在する場合、中・大クラスの薄肉Eが混在する場合のいずれであっても、上述の第1実施形態と同様に設定領域Rに載置する薄肉Eの枚数が制御され、薄肉群の総重量は設定範囲内に収まる。
【0400】
(着脱装置)
図71~
図75に着脱装置180の実施形態を示す。
この着脱装置180は、ロボットアーム12のリスト29の下端に固定される上側の保持部材181と、ハンド装置33の上部に固定される被保持部材182から構成される。
【0401】
保持部材181は、その上面部にリスト29との連結座181Aを形成し、その左右両側部に、内側方へ下がり傾斜した傾斜面181B,181Bを有する左右の摺動支持部181C,181Cを左右対称に形成する。
【0402】
この左右の摺動支持部181C,181Cのうちの一側の摺動支持部181Cにおいて、傾斜面181Bを前後方向の中間部で分割して隙間を形成し、この隙間に、傾斜面181Bと同じ傾斜角度の傾斜面181B1を形成した移動部材181Dを嵌合する。
【0403】
また、摺動支持部181C側の雌螺子部181Eに螺合する雄螺子部181Fを有した操作ハンドル181G を設け、雄螺子部181Fの先端部を移動部材181Dの外側面に当接させる。
操作ハンドル181Gを一方側に回転操作することによって、雄螺子部材181Fが締め込まれ、この雄螺子部材181Fの先端部で移動部材181Dが押されて内側方へ移動する。
【0404】
また、ロックハンドル181Hを、雄螺子部材181Fと一体の軸181F2の外周に螺合し、このロックハンドル181Hの一方側への回転操作によって、操作ハンドル181Gを回転操作不能な状態に固定できる構成とする。
【0405】
また、左右の摺動支持部181C,181Cのうちの他側の摺動支持部181Cにおいて、上述の移動部材181Dと対向する側の部位に貫通孔181Iを形成し、この貫通孔181Iにプランジャピン181Jを挿通する。
このプランジャピン181Jは、内側方へ突出する方向へ常時弾性付勢し、このプランジャピン181Jの外側端部には引き操作用の環状部材181Kを取り付ける。
【0406】
なお、保持部材181の上面の一部を開放する切り欠き部181Lを形成し、平面視において左右の摺動支持部181C,181Cの端部を露出させる。
【0407】
一方、上述の被保持部材182は、その下面にハンド装置33との連結座182Aを形成し、その左右両側部に、上述の保持部材181側の傾斜面181B,181Bと同等の傾斜角度で外側方へ上がり傾斜した傾斜面182B,182Bを形成する。
【0408】
また、被保持部材182の他側の部位における長さ方向の中心部に、嵌合穴182Cを形成する。
【0409】
以上の構成により、ハンド装置33をリスト29に装着する際には、まず、ハンド装置33を持ち上げ、被保持部材182側の左右の傾斜面182B,182Bを、切り欠き部181Lから下方向に侵入させて、保持部材181側の左右の傾斜面181B,181Bに載せて支持する。
【0410】
そして、この被保持部材182を保持部材181の奥側に摺動させると、保持部材181側のプランジャピン181Jの先端部が、被保持部材182側の嵌合穴182Cに係合して位置決めされる。
【0411】
この状態で、操作ハンドル181Gを回転操作し、移動部材181Dを内側方へ移動させて、移動部材181D側の傾斜面181B1を、被保持部材182側の傾斜面182Bに押し当てて固定する。
【0412】
さらに、ロックハンドル181Hを回転操作して、操作ハンドル181Gの回転を固定し、振動等によるゆるみを防止する。
【0413】
なお、ハンド装置33をリスト29から取り外す際には、上述の装着時と逆の手順で行なえばよい。
この着脱装置180により、ハンド装置33の洗浄や、形態の異なるハンド装置33の交換等の作業を容易に行なうことができる。
【0414】
(付記)
次に、上記各実施形態及び変形例から把握できる技術的思想について以下に付記する。
【0415】
(付記A-1)
ハンド装置に有する採取部にて、採取位置に位置する食品の中間部を支持して、両端部を垂れ下げる第1工程と、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させる第2工程と、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を、下方向及び下方向と直交する方向へ移動させることにより、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせて前記採取部による支持を解除する第3工程を含む食品盛り付け方法。
【0416】
(付記A-2)
前記下方向と直交する方向は、前記ハンド装置が、前記第1工程の前記採取位置から、前記第2工程の前記盛り付け領域上へ移動する方向に対して、所定角度を有して設定される付記A-1に記載の食品盛り付け方法。
【0417】
(付記A-3)
前記盛り付け領域には、前記食品を所定行数M及び所定列数Nのうち、少なくともいずれか一方で配置される目標載置ポイントが設定されて、列順または行順に並ぶ前記目標載置ポイント毎に、前記第1工程、前記第2工程、及び第3工程がそれぞれ実行されて、前記食品が設定範囲内の重量で盛り付けられる付記A-1または付記A-2に記載の食品盛り付け方法。
【0418】
(付記A-4)
前記採取部は、相互に開閉自在に設けられた複数の指部と、各指部から進退可能に作動し、前記食品を支持する爪部を有し、前記第1工程では、前記指部を閉状態へ移行させるとともに、前記爪部を進出させて、前記採取位置に位置する前記食品を該爪部にて支持した後に上方向に移動させてその両端部を垂れ下げし、前記第3工程では、前記指部を開状態へ移行させるとともに、前記爪部を退出させることにより、前記食品の支持を解除する付記A-1ないし付記A-3のうちいずれかに記載の食品盛り付け方法。
【0419】
(付記A-5)
前記採取位置が、前記食品を搬送するコンベアの搬送面上に設定され、前記盛り付け領域は、前記コンベアの搬送面を除く所定の位置に設定され、前記コンベアによって搬送される食品を採取位置にて採取し、前記盛り付け領域に盛り付ける付記A-1ないし付記A-4のいずれかに記載の食品盛り付け方法。
【0420】
(付記A-6)
前記食品を搬送する前記コンベアの間歇駆動または連続駆動による前記搬送面の移動状態と、前記搬送面上の前記食品を採取するタイミングとを同期させる付記A-5に記載の食品盛り付け方法。
【0421】
(付記A-7)
前記コンベアによって搬送される採取対象の前記食品を撮像手段によって撮像し、この撮像結果に基づいて、前記食品における支持目標ポイントを、前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の長さの中央位置またはこの近傍の位置に設定する付記A-5または付記A-6に記載の食品盛り付け方法。
【0422】
(付記A-8)
前記食品に対する前記支持目標ポイントを、前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の長さの中央位置から偏倚した位置に変更設定可能とする付記A-7に記載の食品盛り付け方法。
【0423】
(付記A-9)
ロボットアームの先端に装着可能に設けられるとともに採取部を有するハンド装置であって、前記採取部が、相互に接近する閉位置と、相互に離間する開位置との間を移動自在に設けられた複数の指部と、前記指部を開位置及び閉位置に往復駆動する指部駆動源と、各指部に設けられて、相互に接近する進出位置と、相互に離間した退出位置間を移動自在に設けられた爪部と、前記各指部が閉位置に位置する際に、各爪部を前記進出位置に移動させ、前記各指部が前記開位置に位置する際に、各爪部を前記退出位置へ作動させる爪部駆動源とを備えたハンド装置。
【0424】
(付記A-10)
複数の自由度を有するロボットアームの先端にハンド装置を備えるロボットを含む食品盛り付け装置であって、前記ハンド装置が、相互に開閉自在に設けられた複数の指部と、前記指部を開位置及び閉位置に往復駆動する指部駆動源とを備える採取部を有し、前記ロボットアームは、前記ハンド装置を、食品が位置する採取位置から離間した待機位置から、前記採取位置に移動させる構成とし、前記指部駆動源は、前記ハンド装置が前記採取位置に移動した際、前記指部を閉位置側へ移動させて、前記指部を介して前記食品を支持する構成とし、前記ロボットアームは、前記ハンド装置にて支持した前記食品の端部を垂れ下げた状態で、該ハンド装置を前記採取位置から離間した盛り付け領域上に移動させた後に、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせる構成とし、前記指部駆動源は、寝かせた状態の前記食品から指部を介した支持を解除させる構成とした食品盛り付け装置。
【0425】
(付記A-11)
付記A-9に記載のハンド装置を複数の自由度を有するロボットアームの先端に備えるロボットを含む食品盛り付け装置であって、前記ロボットアームは、前記ハンド装置を、食品が位置する採取位置から離間した待機位置から、前記採取位置に移動させる構成とし、前記ハンド装置が前記採取位置に移動した際、前記指部駆動源によって前記指部を閉位置に作動させるとともに、前記爪部駆動源によって前記爪部を前記退出位置から前記進出位置へ移動させて、前記指部の閉位置への作動と前記爪部の進出位置への移動との少なくともいずれか一方により、前記食品を支持する構成とし、前記ロボットアームは、前記ハンド装置にて前記食品を支持してその端部を垂れ下げた状態で、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させた後に、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせる構成とし、前記指部駆動源及び前記爪部駆動源は、前記指部及び前記爪部を開位置及び退出位置に移動させて寝かせた状態の前記食品の支持を解除させる構成とした食品盛り付け装置。
【0426】
(付記A-12)
付記A-10に記載の食品盛り付け装置の制御を行なう制御部を備えた食品盛り付け制御装置であって、前記制御部には、前記ロボットアームに有する能動関節を制御する第1制御機能と、前記ハンド装置を制御する第2制御機能とを備え、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置を、食品に対して遠位の待機位置から、前記食品が位置する近位の採取位置に移動させ、前記第2制御機能によって、前記ハンド装置が前記採取位置に移動した際、前記指部駆動源を駆動制御して、前記指部を開位置から閉位置へ移動させて、該指部を介して前記食品を支持させ、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置にて前記食品を支持して垂れ下げた状態で、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させた後に、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせ、前記第2制御機能によって、前記指部駆動源を駆動制御して、前記進出位置から前記退出位置へ移動させて寝かせた状態の前記食品から前記指部を介した支持を解除させる構成とした食品盛り付け制御装置。
【0427】
(付記A-13)
付記A-11に記載の食品盛り付け装置の制御を行なう制御部を備えた食品盛り付け制御装置であって、前記制御部は、前記ロボットアームに有する能動関節を制御する第1制御機能と、前記ハンド装置を制御する第2制御機能とを備え、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置を、食品に対して遠位の待機位置から、前記食品が位置する近位の採取位置に移動させ、前記第2制御機能によって、前記ハンド装置が前記採取位置に移動した際、前記指部駆動源及び前記爪部駆動源を駆動制御して、前記指部を閉位置に移動させるとともに、前記爪部を前記退出位置から進出位置へ移動させて前記食品を支持させ、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置にて前記食品を支持して垂れ下げた状態で、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させた後に、前記盛り付け領域に対して、前記ハンド装置を下方向及び下方向と直交する方向へ移動させて、前記食品をその垂下端側から接触させて折り畳んだ状態で寝かせ、前記第2制御機能によって、前記指部駆動源及び前記爪部駆動源を駆動制御して、寝かせた状態の前記食品の支持を解除させる構成とした食品盛り付け制御装置。
【0428】
(付記A-14)
開状態及び閉状態への移行を可能とした複数の指部と、前記複数の指部の間に進入および退避自在に配置された掬い上げ部とを含む採取部を備えたハンド装置による食品盛り付け方法であって、採取位置に位置する食品を、開状態の指部の間に進入する前記掬い上げ部により斜め上方へ掬い上げて、前記複数の指部を閉状態に移行させることにより前記掬い上げられた食品を平面視で略U字状に変形させて支持する第1工程と、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動する第2工程と、前記盛り付け領域において、前記食品を、その支持を解除して前記掬い上げ部にて斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視で略U字状のままで載置する第3工程を含む食品盛り付け方法。
【0429】
(付記A-15)
前記指部には、相互に近接する進出位置及び離間する退出位置へ移動自在に設けられた複数の爪部を有し、前記指部の開状態は、前記複数の爪部が前記進出位置に位置した状態と、前記複数の爪部が前記退出位置に位置した状態とを含み、前記指部の閉状態では、前記第1工程において、前記掬い上げ部により斜め上方へ掬い上げられた前記食品の下部を前記爪部に載せて支持する付記A-14に記載の食品盛り付け方法。
【0430】
(付記A-16)
前記盛り付け領域には、前記食品を所定行数M及び所定列数Nのうち、少なくともいずれか一方で配置される目標載置ポイントが設定され、列順または行順に並ぶ前記目標載置ポイント毎に、前記第1工程、前記第2工程、及び第3工程がそれぞれ実行されて、前記食品が設定範囲内の重量で盛り付けられる付記A-14または付記A-15に記載の食品盛り付け方法。
【0431】
(付記A-17)
前記第2工程では、前記ハンド装置を下方向と直交する方向へ捻り、その後の第3工程で、前記掬い上げ部にて前記食品を斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視で略U字状のままで載置する付記A-14ないし付記A-16のうちいずれかに記載の食品盛り付け方法。
【0432】
(付記A-18)
前記採取位置が、前記食品を搬送するコンベアの搬送面上に設定され、前記盛り付け領域は、前記コンベアの搬送面を除く所定の位置に設定され、前記コンベアによって搬送される食品を採取位置にて採取し、前記盛り付け領域に盛り付ける付記A-14ないし付記A-17のいずれかに記載の食品盛り付け方法。
【0433】
(付記A-19)
前記食品を搬送する前記コンベアの間歇駆動または連続駆動による搬送面の移動状態と、前記搬送面上の食品を採取するタイミングとを同期させる付記A-18に記載の食品盛り付け方法。
【0434】
(付記A-20)
前記コンベアによって搬送される採取対象の食品を撮像手段によって撮像し、この撮像結果に基づいて、前記食品に対する前記掬い上げ部の支持目標ポイントを、前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の長さの中央位置またはこの近傍の位置に設定する付記A-18または付記A-19に記載の食品盛り付け方法。
【0435】
(付記A-21)
前記食品に対する前記支持目標ポイントを、前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の長さの中央位置から偏倚した位置に変更設定可能とする付記A-20に記載の食品盛り付け方法。
【0436】
(付記A-22)
ロボットアームの先端に装着可能に設けられるとともに採取部を有するハンド装置であって、前記採取部が、開状態及び閉状態の移行が可能に設けられた複数の指部と、前記指部の前記開状態及び前記閉状態の移行を行なわせる指部駆動源と、前記複数の指部の間に進入および退避自在に配置されるとともに、食品を斜め上方に掬い上げ、該掬い上げた前記食品を前記斜め上方とは逆方向に降ろすように作動する掬い上げ部と、前記掬い上げ部を作動させる第1駆動源と、前記掬い上げ部を前記複数の指部の間への進入および退避の作動をさせる第2駆動源と、を備えたハンド装置。
【0437】
(付記A-23)
ロボットアームの先端に装着可能に設けられるとともに採取部を有するハンド装置であって、前記採取部が、開状態及び閉状態の移行が可能に設けられた複数の指部と、前記指部の前記開状態及び前記閉状態の移行を行わせる指部駆動源と、各指部に設けられ、相互に近接する進出位置及び離間する退出位置へ移動自在に設けられた爪部と、前記各爪部を前記進出位置及び前記退出位置の間で往復駆動する爪部駆動源と、前記指部の開状態において前記進出位置に位置した各爪部の間に形成される間隙に進入自在に配置されるとともに、食品を斜め上方に掬い上げ、掬い上げた食品を斜め下方に降ろす掬い上げ部と、前記掬い上げ部を前記斜め上方及び斜め下方へ作動させる第1駆動源と、前記掬い上げ部の前記間隙への進入および退避の作動を行なう第2駆動源と、を備え、前記指部が開状態で、かつ、前記各爪部が前記進出位置に位置している状態で、前記掬い上げ部が前記食品を斜め上方に掬い上げた後、前記指部を閉状態へ移行させることによって前記食品の下部を前記各爪部に載せて支持し、前記ハンド装置の移動によって前記食品を前記盛り付け領域上の位置まで移動させた後に、前記各爪部を退出位置へ移動させて該各爪部による前記食品の支持を解除する構成としたハンド装置。
【0438】
(付記A-24)
複数の自由度を有するロボットアームの先端に付記A-22に記載のハンド装置を備えるロボットを含む食品盛り付け装置であって、前記ロボットアームは、前記ハンド装置を、食品が位置する採取位置から離間した待機位置から、前記採取位置に移動させ、前記掬い上げ部は、前記ハンド装置が前記採取位置に移動する際に前記第2駆動源により開状態の指部の間に進入するとともに、前記第1駆動源により前記採取位置に位置する前記食品を斜め上方へ掬い上げる構成とし、前記指部は、前記開状態で、該指部の間への前記掬い上げ部の進入と、前記食品の掬い上げ作動を許容するとともに、前記指部駆動源による前記閉状態への移行によって、前記掬い上げられた前記食品を平面視で略U字状に変形させる構成とし、前記ロボットアームは、前記食品が変形された後に、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させる構成とし、前記指部は、前記ロボットアームによって前記ハンド装置が前記盛り付け領域上に移動した後、前記指部駆動源により、開状態に移行して前記指部による前記食品の支持を解除する構成とし、前記掬い上げ部は、前記第1駆動源により、支持が解除された前記食品を斜め下方に降ろして、前記盛り付け領域上に該平面視で略U字状のままで載置する構成とした食品盛り付け装置。
【0439】
(付記A-25)
複数の自由度を有するロボットアームの先端に付記A-23に記載のハンド装置を備えるロボットを含む食品盛り付け装置であって、前記ロボットアームは、前記ハンド装置を、食品が位置する採取位置から離間した待機位置から、前記採取位置に移動させ、前記掬い上げ部は、前記ハンド装置が前記採取位置に移動する際に前記第2駆動源により前記指部が開状態または閉状態で、かつ、前記爪部が進出位置に位置しているときの前記間隙に進入し、前記採取位置に位置する食品を前記第1駆動源により斜め上方へ掬い上げる構成とし、前記指部が、前記指部駆動源により前記閉状態に移動することで前記掬い上げられた食品を平面視で略U字状に変形させるとともに、前記進出位置に位置した爪部で前記掬い上げられた前記食品を支持し、前記ロボットアームは、前記食品が前記爪部にて支持された後に、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させ、前記爪部は、前記ハンド装置が前記盛り付け領域上に移動する際、前記爪部駆動源により、前記退出位置に移動することにより前記食品の支持を解除し、前記掬い上げ部は、前記爪部による支持が解除された前記食品を、前記第1駆動源により、斜め下方に降ろして、前記盛り付け領域上に該平面視で略U字状のままで載置する構成とした食品盛り付け装置。
【0440】
(付記A-26)
付記A-25に記載の食品盛り付け装置を制御する制御部を備える食品盛り付け制御装置であって、前記制御部は、前記ロボットアームに有する能動関節を制御する第1制御機能と、前記ハンド装置を制御する第2制御機能とを備え、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームの前記能動関節を駆動制御して、前記ハンド装置を前記待機位置から、前記採取位置に移動させ、前記第2制御機能によって、前記ハンド装置が前記採取位置に移動する際に、前記第2駆動源を制御して、前記指部が開状態または開状態で、かつ、前記爪部が進出位置に位置しているときの前記間隙に前記掬い上げ部を進入させるとともに、前記第1駆動源を制御して、前記採取位置に位置する前記食品を斜め上方へ掬い上げ、前記第2制御機能によって、前記指部駆動源を制御して前記指部を閉じ方向へ移動させることで前記掬い上げられた食品を平面視で略U字状に変形させるとともに、前記進出位置に位置した爪部で前記掬い上げられた前記食品を支持し、前記第1制御機能によって、前記食品が前記爪部にて支持された後に、前記能動関節を制御して、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に前記ハンド装置を移動させ、前記第2制御機能によって、前記ハンド装置が前記盛り付け領域上に移動した後、前記指部駆動源によって前記指部を開状態へ移行させる制御、及び前記爪部駆動源によって前記爪部を退出位置へ移動させる制御のうち、少なくとも前記爪部駆動源によって前記爪部を退出位置へ移動させる制御を行って、前記食品の支持を解除し、さらに、前記第1駆動源を制御して、前記掬い上げ部により、支持が解除された前記食品を斜め下方に降ろして、前記盛り付け領域上に該食品を平面視で略U字状のままで載置させる構成とした食品盛り付け制御装置。
【0441】
(付記A-27)
付記A-26に記載の食品盛り付け制御装置において、前記第1制御機能によって、前記能動関節を制御して、前記ロボットアームの先端を介して、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に該ハンド装置を移動させる際、前記盛り付け領域上、またはその近辺で、前記ハンド装置を下方向と直交する方向へ一旦捻り、その後、前記捻りを戻しながら、前記第2制御機能の前記第1駆動源の制御により、前記掬い上げ部にて前記食品を斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視で略U字状のままで載置する構成とした食品盛り付け制御装置。
【0442】
(付記B-1)
斜め下方へ向かって延在する上部ベルト部、及び下部ベルト部を備えるハンド装置を、食品の搬送方向下流側へ前進させながら、前記上部ベルト部を駆動して採取位置に位置する食品を掬い上げて支持し、これによって垂れ下がった食品の端部を、前記ハンド装置に備える折り畳み部によって前記下部ベルト部に向けて折り畳む第1工程と、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に前記ハンド装置を移動させる第2工程と、前記盛り付け領域上において、前記ハンド装置を後進させながら前記上部ベルト部及び前記下部ベルト部を逆方向に駆動し前記食品の前記上部ベルトによる被支持部及び前記下部ベルト部に向けて折り畳まれた端部を両ベルト部から離脱させて、前記食品を前記盛り付け領域に移載する第3工程を含む食品盛り付け方法。
【0443】
(付記B-2)
前記盛り付け領域には、前記食品を所定列数で配置するための複数のリリース開始点が設定され、この実行順に並ぶリリース開始点毎に、前記第1工程、前記第2工程、及び前記第3工程を順次実行して前記食品を盛り付ける付記B-1に記載の食品盛り付け方法。
【0444】
(付記B-3)
前記採取位置が、前記食品を搬送するコンベアの搬送面上に設定され、前記盛り付け領域は、前記コンベアの搬送面を除く所定の位置に設定され、前記コンベアによって搬送される食品を前記採取位置にて採取し、前記盛り付け領域に盛り付ける付記B-1または付記B-2に記載の食品盛り付け方法。
【0445】
(付記B-4)
前記食品を搬送する前記コンベアの間歇駆動または連続駆動による前記搬送面の移動状態と、前記搬送面上の前記食品を採取するタイミングとを同期させる付記B-3に記載の食品盛り付け方法。
【0446】
(付記B-5)
前記コンベアによって搬送される採取対象の前記食品を撮像手段によって撮像し、この撮像結果に基づいて、前記食品における被採取時の支持基準点を、前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の中間部位に設定する付記B-4に記載の食品盛り付け方法。
【0447】
(付記B-6)
前記食品の両端部を前記折り畳み部によって折り畳む第1状態と、前記食品の一方の端部のみを前記折り畳み部によって折り畳む第2状態とを選択可能とし、前記第1状態が選択された場合には、前記コンベアによる搬送方向と平面視で交差する方向における前記食品の中心部を、この食品における被採取時の支持基準点として設定し、前記第2状態が選択された場合には、前記食品の前記中心部から設定距離偏倚した部位を、この食品における被採取時の支持基準点として設定する付記B-5に記載の食品盛り付け方法。
【0448】
(付記B-7)
ロボットアームの先端に装着可能に設けられるハンド装置であって、前記ハンド装置は、斜め下方へ向かって延在する上部ベルト部、及び下部ベルト部を含む採取部と、両ベルト部を正逆回転駆動するベルト駆動源と、前記上部ベルト部にて掬い上げられることによって垂れ下がった食品の端部を前記下部ベルト部側へ折り畳む折り畳み部と、前記折り畳み部の折り畳み動作及び折り畳み解除動作を行なわせる折り畳み部駆動源を備えたことを特徴とするハンド装置。
【0449】
(付記B-8)
付記B-7に記載のハンド装置を複数の自由度を有するロボットアームの先端に備えるロボットを含む食品盛り付け装置であって、前記ロボットアームは、前記ハンド装置を、食品が位置する採取位置から離間した待機位置から、前記採取位置に移動させる構成とし、前記ロボットアームにて、前記上部ベルト部の下端を前記採取位置に位置する食品載置面と略同一平面上に沿わせながら前記ハンド装置を前記採取位置に前進させる際に、前記ベルト駆動源によって前記上部ベルト部と前記下部ベルト部を正回転駆動して前記食品を掬い上げながら、または掬い上げて支持した後に、前記ハンド装置を上昇させる構成とし、前記折り畳み部駆動源は、前記ハンド装置が上昇中または上昇後に、前記折り畳み部の折り畳み動作を行わせて垂れ下がった端部を前記下部ベルト部側へ折り畳む構成とし、前記ロボットアームにて、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に前記ハンド装置を移動させた後、前記ハンド装置を後進させながら、前記ベルト駆動源によって前記上部ベルト部及び前記下部ベルト部を逆回転駆動して、前記食品の前記上部ベルトによる被支持部及び前記下部ベルト部側へ折り畳まれた端部を両ベルト部から離脱させて、前記食品を盛り付け領域に盛り付ける構成とした食品盛り付け装置。
【0450】
(付記B-9)
付記B-8に記載の食品盛り付け装置の制御を行なう制御部を備えた食品盛り付け制御装置であって、前記制御部は、前記ロボットアームを制御する第1制御機能と、前記ハンド装置を制御する第2制御機能を備え、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームを駆動制御して、前記ハンド装置を、食品に対して遠位の待機位置から前記食品が位置する近位の採取位置へ、前記上部ベルト部の下端を前記採取位置に位置する食品載置面と略同一平面上に沿わせながら前進させ、前記ハンド装置が前記採取位置へ前進する際、前記第2制御機能によって、前記ベルト駆動源を駆動制御して、前記上部ベルト部及び下部ベルト部を正回転駆動して、前記食品を掬い上げて支持し、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームを駆動制御して、前記ハンド装置を上昇させて前記食品の端部を垂れ下げた状態とし、前記第2制御機能によって、前記折り畳み部駆動源を制御して、前記ハンド装置の上昇中または上昇後に前記折り畳み部の折り畳み動作を行なわせて、垂れ下がった端部を前記下部ベルト部側へ折り畳み、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームを駆動制御して、前記ハンド装置を、前記採取位置から離間した盛り付け領域上に予め設定されたリリース開始点へ移動させた後に、前記盛り付け領域上において後進させ、この後進中に、前記第2制御機能によって、前記ベルト駆動源を駆動制御し、前記上部ベルト部及び前記下部ベルト部を逆回転駆動して、前記食品の被支持部及び前記下部ベルト部側へ折り畳まれた端部を、両ベルト部から離脱させて、前記食品を前記盛り付け領域に盛り付ける構成とした食品盛り付け制御装置。
【0451】
(付記B-10)
付記B-8に記載の食品盛り付け装置の制御を行なう制御部を備えるとともに、食品載置面上の採取位置に所定ピッチの間隔で配置されたj(>1,jは整数)個の食品を順次採取し、これらの食品を盛り付け領域に盛り付けるように制御する食品盛り付け制御装置であって、前記制御部は、前記ロボットアームを制御する第1制御機能と、前記ハンド装置を制御する第2制御機能とを備え、第1制御機能は、前記ロボットアームを駆動制御して、前記ハンド装置を、待機位置から、前記食品載置面上における食品の配置方向に沿って、前記上部ベルト部の下端を前記食品載置面に摺接させながら前記採取位置まで前進させ、前記ハンド装置の前進中に、前記第2制御機能によって、前記ベルト駆動源を駆動制御して、前記上部ベルト部を駆動して、前記j個の食品を順に掬い上げ、前記第1制御機能によって、前記ロボットアームを駆動制御して、前記ハンド装置を上昇させて前記j個の食品の端部を垂れ下げた状態に支持し、前記第2制御機能によって、前記折り畳み部駆動源を制御して、前記ハンド装置が上昇中または上昇後、前記折り畳み部の折り畳み動作を行なわせて垂れ下がった端部を前記下部ベルト部に向けて折り畳み、予め設定されたリリース開始点への前記ハンド装置の前進、及び前記ハンド装置の前記リリース開始点からリリース終了点への後進を1サイクルとしたとき、前記第1制御機能によって前記ロボットアームを駆動制御してj回のサイクルを実行させ、各サイクルにおける前記ハンド装置の後進において、前記第2制御機能によって前記ベルト駆動源を駆動制御して前記上部ベルト部及び前記下部ベルト部を駆動し、各食品の被支持部及び前記下部ベルト部に向けて折り畳まれた端部を両ベルト部から順次離脱させ、離脱させた食品を前記盛り付け領域に前記配置方向に沿って盛り付ける構成とした食品盛り付け制御装置。
【0452】
(付記B-11)
前記リリース開始点は、前記盛り付け領域において、行列状に複数設定されていて、1つのリリース開始点から前記ハンド装置の前記リリース終了点への後進中における前記食品の盛り付けが終了する毎に、隣接する他のリリース開始点において、前記第1制御機能及び前記第2制御機能による処理を実行する構成とした付記B-9または付記B-10に記載の食品盛り付け制御装置。
【0453】
(付記C-1)
所定の厚さに形成された食品を採取位置にて採取する第1工程と、前記採取位置にて採取した食品を、この採取位置から離間した設定領域上へ移動させる第2工程と、前記設定領域上に移動した食品を、この設定領域内の個別の位置に置く第3工程とを有し、これら第1工程から第3工程までを自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する食品群形成方法であって、前記食品群を形成する食品の数を各食品の大きさに応じて自動的に変更し、この食品群の重量を設定範囲内に調整することを特徴とする食品群形成方法。
【0454】
(付記C-2)
所定の厚さに形成された食品を採取位置にて採取する第1工程と、前記採取位置にて採取した食品を、この採取位置から離間した設定領域上へ移動させる第2工程と、前記設定領域上に移動した食品を、この設定領域内の個別の位置に置く第3工程とを有し、これら第1工程から第3工程までを自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する食品群形成方法であって、前記設定領域内に、食品を並べて置くための複数の行と複数の列を設定し、前記各行における列の数を食品の大きさに応じて自動的に変更して、食品群の重量を設定範囲内に調整することを特徴とする食品群形成方法。
【0455】
(付記C-3)
前記各行における列の数、または、前記各行における列の数と各列の間隔を、各行の先頭に置かれる食品の大きさに応じて自動的に変更する付記C-2に記載の食品群形成方法。
【0456】
(付記C-4)
採取される前の食品を撮像する撮像手段を備え、この撮像手段による撮像結果から前記食品の大きさを得る付記C-1または付記C-2または付記C-3に記載の食品群形成方法。
【0457】
(付記C-5)
前記食品の大きさが設定された大きさよりも小さい場合に、この食品の採取を自動的に禁止する付記C-1から付記C-4のいずれかに記載の食品群形成方法。
【0458】
(付記C-6)
所定の厚さに形成された食品を採取位置にて採取する第1工程と、前記採取位置にて採取した食品を、この採取位置から離間した設定領域上へ移動させる第2工程と、前記設定領域上に移動した食品を、この設定領域内の個別の位置に置く第3工程とを有し、これら第1工程から第3工程までを自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する食品群形成方法であって、前記設定領域内に、食品を並べて置くための複数の行と複数の列を設定し、前記食品を、採取される前に撮像する撮像手段を備え、この撮像手段による撮像結果から食品の幅と面積を算出し、この幅と面積に基づいて食品の大きさを複数のクラスに分類し、前記各行における列の数を、各行の先頭に置かれる食品のクラスに応じて自動的に変更し、食品群の重量を設定範囲内に調整することを特徴とする食品群形成方法。
【0459】
(付記C-7)
前記食品が所定のクラスよりも小さいクラスに分類された場合に、この食品の採取を自動的に禁止する付記C-6に記載の食品群形成方法。
【0460】
(付記C-8)
採取される前の食品を撮像する撮像手段を備え、この撮像手段によって撮像された食品の色から食品群の形成における適否を判定し、不適と判定された場合に、この食品の採取を自動的に禁止する付記C-1から付記C-7のいずれかに記載の食品群形成方法。
【0461】
(付記C-9)
採取される前の食品を撮像する撮像手段を備え、この撮像手段によって撮像された食品の全面積に対し、特定の色の面積が占める割合が所定値よりも大きい場合に、この食品の採取を自動的に禁止する付記C-1から付記C-7のいずれかに記載の食品群形成方法。
【0462】
(付記C-10)
前記採取が禁止された食品を自動的に除去する除去手段を備えた付記C-5または付記C-7または付記C-8または付記C-9に記載の食品群形成方法。
【0463】
(付記C-11)
前記設定領域を食品用のトレーの底面上に設定する付記C-1から付記C-10のいずれかに記載の食品群形成方法。
【0464】
(付記C-12)
所定の厚さに形成された食品を、採取位置においてハンド装置に備えた支持部で支持して採取する第1工程と、前記食品を採取したハンド装置を、前記採取位置から離間した設定領域上へ移動させる第2工程と、前記設定領域上に移動したハンド装置の支持部を退却させて食品の支持を解除し、この食品を前記設定領域内の個別の位置に置く第3工程とを有し、これら第1工程から第3工程までを自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する食品群形成方法であって、前記設定領域内に、食品を並べて置くための複数の行と複数の列を設定し、前記各行における列の数を、各行の先頭に置かれる食品の大きさに応じて自動的に変更し、前記食品群の重量を設定範囲内に調整することを特徴とする食品群形成方法。
【0465】
(付記C-13)
前記ハンド装置によって採取される前の食品を撮像する撮像手段を備え、この撮像手段による撮像結果から食品の幅を算出し、前記支持部によって食品の幅の中心部またはその近傍の部位を支持するように、前記ハンド装置の位置を制御する付記C-12に記載の食品群形成方法。
【0466】
(付記C-14)
前記ハンド装置に、前記支持部に支持されていた食品をこの支持部から剥離するようにして脱落させる脱落促進手段を備え、この脱落促進手段を前記支持部が支持位置から退却するときに作動させ、この支持部に支持されていた食品を脱落させて前記設定領域内に置く付記C-12または付記C-13に記載の食品群形成方法。
【0467】
(付記C-15)
前記脱落促進手段によって前記支持部に支持されていた食品の上部を下方へ押圧する付記C-14に記載の食品群形成方法。
【0468】
(付記D-1)
開閉作動する左右の指状部と、この左右の指状部の間の空間へ進退する掬い上げ部とを備えたハンド装置であって、前記左右の指状部のそれぞれに、上下方向に所定の長さを有する第1部材および第2部材を備え、これら左右の第1部材と左右の第2部材とを独立して開閉作動するように構成したことを特徴とするハンド装置。
【0469】
(付記D-2)
前記掬い上げ部が左右の指状部の間へ進入し、前記左右の第1部材および左右の第2部材が閉じる方向へ作動した状態で、前記掬い上げ部の側端と第1部材の間に形成される第1間隙が、前記掬い上げ部の側端と第2部材の間に形成される第2間隙よりも小さくなるように設定した付記D-1に記載のハンド装置。
【0470】
(付記D-3)
前記各指状部において第1部材と第2部材を近接して配置し、前記第1部材の内側縁部が第2部材の内側縁部に対して出没するように構成した付記D-1または付記D-2に記載のハンド装置。
【0471】
(付記D-4)
前記第2部材に空間部を形成し、この空間部から前記第1部材の内側縁部が出没するように構成した付記D-3に記載のハンド装置。
【0472】
(付記D-5)
前記左右の第1部材および左右の第2部材の夫々の内側縁部を上下方向に形成し、前記左右の第1部材の下端部に、対向側へ延在する係合部を備えた付記D-1から付記D-4のいずれかに記載のハンド装置。
【0473】
(付記D-6)
前記左右の第1部材の開閉と、前記左右の第2部材の開閉と、前記掬い上げ部の進退とを個別に又は連動して行わせる駆動装置を、ハンド装置の上部に配置した付記D-1から付記D-5のいずれかに記載のハンド装置。
【0474】
(付記D-7)
前記掬い上げ部に、上下方向に所定の角度で傾斜した帯状の搬送部材を備えた付記D-1から付記D-6のいずれかに記載のハンド装置。
【0475】
(付記D-8)
前記掬い上げ部が左右の指部の間に進入したときに、前記左右の第1部材が前記左右の第2部材よりも先行して閉じる方向へ作動するように構成した付記D-1から付記D-7のいずれかに記載のハンド装置。
【0476】
(付記D-9)
前記掬い上げ部が左右の指部の間から退避する前に前記左右の第1部材が開き、前記掬い上げ部が左右の指部の間から退避する過程で、または、前記掬い上げ部が左右の指部の間から退避したときに、前記左右の第2部材が開くように構成した付記D-8に記載のハンド装置。
【0477】
(付記D-10)
採取位置に位置する食品を、前記ハンド装置に備えた掬い上げ部によって斜め上方へ掬い上げ、前記左右の第1部材と前記左右の第2部材を閉じる方向へ作動させて、前記掬い上げられた食品を平面視で略U字状に変形させた状態で採取する第1工程と、前記食品を採取したハンド装置を、前記採取位置から離間した設定領域上へ移動させる第2工程と、前記設定領域上において、前記左右の第1部材を開く方向へ作動させ、前記第2部材によって食品の端部の開きを規制しながら掬い上げ部によって斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視で略U字状のままで前記設定領域内に載置する第3工程を含み、これら第1工程から第3工程までを自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する付記D-1から付記D-9のいずれかに記載のハンド装置を用いた食品群形成方法。
【0478】
(付記D-11)
所定の厚さに形成された食品を、採取位置にて、前記ハンド装置に備えた掬い上げ部によって斜め上方へ掬い上げ、前記左右の第1部材と左右の第2部材を閉じる方向へ作動させて平面視で略U字状に変形させた状態で採取する第1工程と、前記食品を採取したハンド装置を、前記採取位置から離間した設定領域上へ移動させる第2工程と、前記設定領域上において、前記左右の第1部材を開く方向へ作動させ、前記第2部材によって食品の端部の開きを規制しながら掬い上げ部によって斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視で略U字状のままで前記設定領域内の個別の位置に載置する第3工程を含み、これら第1工程から第3工程までを自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成するにあたり、前記食品群を形成する食品の数を各食品の大きさに応じて自動的に変更し、この食品群の重量を設定範囲内に調整する付記D-1から付記D-10のいずれかに記載のハンド装置を用いた食品群形成方法。
【0479】
(付記D-12)
前記第1工程から第3工程までを自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成するにあたり、前記設定領域内に、食品を並べて置くための複数の行と複数の列を設定し、前記各行における列の数、または、前記各行における列の数と各列の間隔を、各行の先頭に置かれる食品の大きさに応じて自動的に変更する付記D-11に記載の食品群形成方法。
【0480】
(付記D-13)
採取される前の食品を撮像する撮像手段を備え、この撮像手段による撮像結果から前記食品の大きさを得る付記D-11または付記D-12に記載の食品群形成方法。
【0481】
(付記D-14)
前記設定領域を食品用のトレーの底面上に設定する付記D-11または付記D-12または付記D-13に記載の食品群形成方法。
【0482】
(付記E-1)
開閉作動する左右の指状部によって食品を保持するハンド装置であって、前記左右の指状部のそれぞれに、独立して開閉作動する第1指状部材および第2指状部材を備え、前記各指状部において第1指状部材と第2指状部材とを接近して配置し、前記第1指状部材の内側縁部が第2指状部材の内側縁部に対して出没するように構成したハンド装置。
【0483】
(付記E-2)
前記第2指状部材に空間部を形成し、この空間部から前記第1指状部材の内側縁部が出没するように構成した付記E-1に記載のハンド装置。
【0484】
(付記E-3)
前記左右の第1指状部材および左右の第2指状部材の夫々の内側縁部を上下方向に形成し、前記左右の第1指状部材の下端部に、対向側へ延在する係合部を備えた付記E-1または付記E-2に記載のハンド装置。
【0485】
(付記E-4)
前記左右の指状部によって食品を保持するときに、左右の第1指状部材が左右の第2指状部材よりも先行して閉じる方向へ作動し、左右の第1指状部材の内側縁部が左右の第2指状部材の内側縁部よりも内側に突出するように構成した付記E-1または付記E-2または付記E-3に記載のハンド装置。
【0486】
(付記E-5)
保持していた食品を左右の指状部から離脱させるときに、前記左右の第1指状部材が第2指状部材よりも先行して開き、左右の第1指状部材の内側縁部が左右の第2指状部材の内側縁部よりも外側に退避するように構成した付記E-1から付記E-4のいずれかに記載のハンド装置。
【0487】
(付記E-6)
前記左右の第1指状部材の開放作動と共に作動して、保持していた食品の離脱を促進させる離脱促進手段を備えたことを特徴とする付記E-1から付記E-5のいずれかに記載のハンド装置。
【0488】
(付記E-7)
前記離脱促進手段を、左右の指状部の間の中心位置またはその近傍の位置に向けてエアー等の流体を噴出させる構成とした付記E-6に記載のハンド装置。
【0489】
(付記E-8)
保持していた食品を左右の指状部から離脱させるときに、前記左右の第1指状部材が第2指状部材よりも先行して開き、この左右の第1指状部材が開き始めたときと略同時に前記離脱促進手段が作動するように構成した付記E-6または付記E-7に記載のハンド装置。
【0490】
(付記E-9)
前記左右の第1指状部材および左右の第2指状部材の開閉作動を行なわせる駆動装置を、ハンド装置の上部に配置した付記E-1から付記E-8のいずれかに記載のハンド装置。
【0491】
(付記E-10)
採取位置に位置する食品の長さ方向での中間部を、前記左右の第1指状部材と左右の第2指状部材を閉じる方向へ作動させて保持し、前記ハンド装置を上昇させることによってこの食品の両端部を垂れ下げた状態で採取する第1工程と、前記食品を採取したハンド装置を、平面視での向きを変更させ且つ前記採取位置から離間した設定領域上へ移動させる第2工程と、前記設定領域上において、前記ハンド装置を前記第2工程における移動方向とは略逆方向に移動させながら下降させ、前記左右の第1指状部材および左右の第2指状部材を開く方向へ作動させると共に前記離脱促進手段を作動させて保持していた食品を離脱させることにより、前記食品を二つ折りの状態で前記設定領域内に載置する第3工程を含み、これら第1工程から第3工程までを自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する付記E-6から付記E-9のいずれかに記載のハンド装置を用いた食品群形成方法。
【0492】
(付記E-11)
平面視において、前記第2工程におけるハンド装置の移動方向と、前記第3工程におけるハンド装置の移動方向との間に所定の転向角度を形成した付記E-10に記載のハンド装置を用いた食品群形成方法。
【0493】
(付記E-12)
採取位置に位置する食品の長さ方向での中間部を、前記左右の第1指状部材と左右の第2指状部材を閉じる方向へ作動させて保持し、前記ハンド装置を上昇させることによってこの食品の両端部を垂れ下げた状態で採取する第1工程と、前記食品を採取したハンド装置を、平面視での向きを変更させ且つ前記採取位置から離間した設定領域上へ移動させる第2工程と、前記設定領域上において、前記ハンド装置を前記第2工程における移動方向とは略逆方向に移動させながら下降させ、前記左右の第1指状部材および左右の第2指状部材を開く方向へ作動させると共に前記離脱促進手段を作動させて保持していた食品を離脱させることにより、前記食品を二つ折りの状態で前記設定領域内に載置する第3工程を含み、これら第1工程から第3工程までを自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成するにあたり、前記食品群を形成する食品の数を各食品の大きさに応じて自動的に変更し、この食品群の重量を設定範囲内に調整する付記E-6から付記E-11のいずれかに記載のハンド装置を用いた食品群形成方法。
【0494】
(付記E-13)
前記第1工程から第3工程までを自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成するにあたり、前記設定領域内に、食品を並べて置くための複数の行と複数の列を設定し、前記各行における列の数、または、前記各行における列の数と各列の間隔を、各行の先頭に置かれる食品の大きさに応じて自動的に変更する付記E-12に記載の食品群形成方法。
【0495】
(付記E-14)
採取される前の食品を撮像する撮像手段を備え、この撮像手段による撮像結果から前記食品の大きさを得る付記E-12または付記E-13に記載の食品群形成方法。
【0496】
(付記E-15)
前記設定領域を食品用のトレーの底面上に設定する付記E-12または付記E-13または付記E-14に記載の食品群形成方法。
【0497】
(付記F-1)
物品を移載可能な帯状部材を、支持部材の上面側から該支持部材の先端部で折り返して支持部材の下面側へ巻回し、物品に対する前記支持部材の進退移動と、この支持部材の上面に対する帯状部材の正逆方向への移動とによって物品を移載する構成とした物品移載装置であって、前記帯状部材の両端側を、前記支持部材の基部側に配置した単一の回転部材または同軸回転する複数の回転部材に取り付け、この回転部材を回転させて前記帯状部材の一端側を繰り出しながら他端側を巻き取ることによって、前記支持部材の上面に対して帯状部材を移動させる構成としたことを特徴とする物品移載装置。
【0498】
(付記F-2)
前記回転部材に対する帯状部材の一端側と他端側の巻き掛かり方向を逆方向に設定すると共に、前記回転部材の回転による帯状部材の一端側の繰り出し長さと他端側の巻き取り長さを略同じ長さに設定した付記F-1に記載の物品移載装置。
【0499】
(付記F-3)
前記帯状部材の両端側に幅狭部を形成し、これら幅狭部の夫々が、前記回転部材における回転軸心方向で異なる部位に巻き掛かる構成とした付記F-1または付記F-2に記載の物品移載装置。
【0500】
(付記F-4)
前記帯状部材の両端側に、切り欠き部と幅狭部を帯状部材の幅方向に隣接させて形成し、前記帯状部材の一端側に形成した切り欠き部の幅を、この帯状部材の他端側に形成した幅狭部の幅よりも大きく設定し、前記帯状部材の一端側の幅狭部と他端側の幅狭部の夫々が、前記回転部材における回転軸心方向で隣接する部位に巻き掛かる構成とした付記F-1または付記F-2に記載の物品移載装置。
【0501】
(付記F-5)
前記帯状部材の両端側のうちの一方または両方を、前記回転部材の外周部に対して着脱自在な構成とした付記F-1から付記F-4のいずれかに記載の物品移載装置。
【0502】
(付記F-6)
前記支持部材を物品の下面側に向けて進出させながら、前記帯状部材を支持部材の上面に対して正方向へ移動させてこの物品を掬い上げ、前記帯状部材を支持部材の上面に対して逆方向へ移動させながら、前記支持部材を物品の下面側から退避させて物品を降ろす構成とした付記F-1から付記F-5のいずれかに記載の物品移載装置。
【0503】
(付記F-7)
前記帯状部材と支持部材と回転部材を備えたハンド装置を設け、このハンド装置をロボットアームのリスト部に対して着脱自在とする着脱装置を設け、この着脱装置には、ロボットアームのリスト部側に固定される保持部材と、ハンド装置側に固定される被保持部材とを備え、前記保持部材には、前記被保持部材を載置状態で横方向へスライド自在に支持するスライド支持部と、このスライド方向における所定の位置で前記被保持部材に係合する係合部と、この係合部が係合した位置で被保持部材を押圧してスライド不能に固定する固定部とを備えた付記F-1から付記F-6のいずれかに記載の物品移載装置を備えたハンド装置の着脱装置。
【0504】
(付記F-8)
前記固定部に、回転操作によって前記被保持部材を押圧する第1操作具と、この第1操作具の回転をロックする第2操作具を備えた付記F-7に記載の物品移載装置を備えたハンド装置の着脱装置。
【符号の説明】
【0505】
4 食品盛り付け装置
6 トレー
11 カメラ(撮像手段)
33 ハンド装置
34 ロボットコントローラ(制御装置)
55L 左の指状部
55R 右の指状部
56 第1エアシリンダ(駆動装置)
57 第2エアシリンダ(駆動装置)
58L 左の第1部材
58R 右の第1部材
58LS 左の係合部
58RS 右の係合部
59L 左の第2部材
59R 右の第2部材
99 ベルト(上部ベルト/下部ベルト)
173 ベルト(搬送部材)
175 掬い上げ部
138 折り畳み装置(折り畳み部)
130R2 サーボモータ(ベルト駆動源)
140L 左のエアシリンダ(折り畳み部駆動源)
140R 右のエアシリンダ(折り畳み部駆動源)
E 薄肉(食品)
E1 薄肉群(食品)
R 設定領域
SP 隙間(空間部)
T 採取位置
N1 ノズル(離脱促進手段)
【手続補正書】
【提出日】2022-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
請求項11に記載の発明は、前記掬い上げ部が左右の指状部の間に進入したときに、前記左右の第1部材が前記左右の第2部材よりも先行して閉じる方向へ作動するように構成するとともに、前記掬い上げ部が左右の指状部の間から退避する前に前記左右の第1部材が開き、前記掬い上げ部が左右の指状部の間から退避する過程で、または、前記掬い上げ部が左右の指状部の間から退避したときに、前記左右の第2部材が開くように構成した請求項10に記載のハンド装置とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
請求項12に記載の発明は、採取位置に位置する食品を、前記ハンド装置に備えた掬い上げ部によって斜め上方へ掬い上げ、前記左右の第1部材と前記左右の第2部材を閉じる方向へ作動させて、前記掬い上げられた食品をU字状に変形させた状態で採取する工程と、前記食品を採取したハンド装置を、前記採取位置から離間したトレーの底面上等に設定される設定領域上へ移動させる工程と、前記設定領域上において、前記左右の第1部材を開く方向へ作動させ、前記第2部材によって食品の端部の開きを規制しながら掬い上げ部によって斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視でU字状のままで前記設定領域内に載置する工程を含み、これらの工程を自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する制御装置を設けた請求項10または請求項11に記載のハンド装置を用いた食品群形成装置とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0362
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0362】
なお、掬い上げ部175におけるベルト173の斜め上方への移動速度は、掬い上げ部175の-Y方向への移動速度に対して、同速度または稍々高速に設定するのが好ましい。
このように設定することにより、搬送面3aからベルト173への薄肉Eの引き継ぎが良好に行われ、この薄肉Eに皺が形成されにくくなる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0403
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0403】
また、摺動支持部181C側の雌螺子部181Eに螺合する雄螺子部181Fを有した操作ハンドル181G を設け、雄螺子部181Fの先端部を移動部材181Dの外側面に当接させる。
操作ハンドル181Gを一方側に回転操作することによって、雄螺子部181Fが締め込まれ、この雄螺子部181Fの先端部で移動部材181Dが押されて内側方へ移動する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0404
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0404】
また、ロックハンドル181Hを、雄螺子部181Fと一体の軸181F2の外周に螺合し、このロックハンドル181Hの一方側への回転操作によって、操作ハンドル181Gを回転操作不能な状態に固定できる構成とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項11】
前記掬い上げ部が左右の指状部の間に進入したときに、前記左右の第1部材が前記左右の第2部材よりも先行して閉じる方向へ作動するように構成するとともに、前記掬い上げ部が左右の指状部の間から退避する前に前記左右の第1部材が開き、前記掬い上げ部が左右の指状部の間から退避する過程で、または、前記掬い上げ部が左右の指状部の間から退避したときに、前記左右の第2部材が開くように構成した請求項10に記載のハンド装置。
【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項12
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項12】
採取位置に位置する食品を、前記ハンド装置に備えた掬い上げ部によって斜め上方へ掬い上げ、前記左右の第1部材と前記左右の第2部材を閉じる方向へ作動させて、前記掬い上げられた食品をU字状に変形させた状態で採取する工程と、前記食品を採取したハンド装置を、前記採取位置から離間したトレーの底面上等に設定される設定領域上へ移動させる工程と、前記設定領域上において、前記左右の第1部材を開く方向へ作動させ、前記第2部材によって食品の端部の開きを規制しながら掬い上げ部によって斜め下方へ降ろすことにより、前記食品を平面視でU字状のままで前記設定領域内に載置する工程を含み、これらの工程を自動的に反復して実行し、前記設定領域内に複数の食品からなる食品群を形成する制御装置を設けた請求項10または請求項11に記載のハンド装置を用いた食品群形成装置。