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特開2023-144394汚泥の脱水装置のスケール発生抑制方法及び汚泥の脱水処理装置
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  • 特開-汚泥の脱水装置のスケール発生抑制方法及び汚泥の脱水処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144394
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】汚泥の脱水装置のスケール発生抑制方法及び汚泥の脱水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/147 20190101AFI20231003BHJP
   C02F 11/143 20190101ALI20231003BHJP
【FI】
C02F11/147 ZAB
C02F11/143
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051341
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】ギッチャーヌギット サンティサック
(72)【発明者】
【氏名】萩野 隆生
(72)【発明者】
【氏名】高橋 惇太
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA03
4D059BE16
4D059BE46
4D059BE49
4D059BE55
4D059BE56
4D059BE61
4D059CA25
4D059DA16
4D059DA17
4D059DA23
4D059DB11
4D059EA05
4D059EA20
4D059EB05
4D059EB11
4D059EB20
(57)【要約】
【課題】特別な装置を用いることなく、既存の水処理施設において、脱水運転を中断することなく、MAP、炭酸カルシウム及び硫酸カルシウムの析出の抑制を簡易に実施できるスケールの発生を抑制する方法及び装置を提供する。
【解決手段】濃縮機と、脱水機とを有する汚泥の脱水処理装置におけるスケールの発生を抑制する方法であって、(1)高分子凝集剤単独運転と、(2)高分子凝集剤と無機凝集剤を併用する運転と、を切り替えて、脱水分離液を酸性とアルカリ性に交互にシフトさせるサイクルを1回以上繰り返す方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集剤が添加された汚泥を濃縮して濃縮汚泥と濃縮分離液とに分離する濃縮機と、濃縮汚泥を脱水処理して脱水ケーキと脱水分離液とに分離する脱水機とを有する汚泥の脱水処理装置におけるスケールの発生を抑制する方法であって、
(1)汚泥に高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する高分子凝集剤単独運転と、
(2)高分子凝集剤と無機凝集剤を併用する運転と、
を切り替えて、脱水分離液を酸性とアルカリ性に交互にシフトさせるサイクルを1回以上繰り返すことを特徴とするスケール発生抑制方法。
【請求項2】
前記(2)高分子凝集剤と無機凝集剤を併用する運転は、下記(A)~(C):
(A)汚泥に無機凝集剤を添加し、次いで高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する無機凝集剤前添加運転、
(B)汚泥に高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加した後に脱水する無機凝集剤後添加運転、及び
(C)汚泥に無機凝集剤を添加し、次いで高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加した後に脱水する無機凝集剤前後添加運転
から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(1)高分子凝集剤単独運転と、前記(2)高分子凝集剤と無機凝集剤を併用する運転との切り替えは、(I)濃縮分離液又は脱水分離液のpHが添加した凝集剤により想定されるよりも酸性側又はアルカリ性側にシフトしたとき、又は/及び(II)濃縮分離液又は脱水分離液の流量が、通常の流量値より20%以上減少したときに行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記無機凝集剤は、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムから選択される少なくとも1の無機凝集剤であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載の方法。
【請求項5】
汚泥の脱水処理装置であって、
所定のタイミングで所定量の無機凝集剤を汚泥に添加する無機凝集剤前添加手段と、
所定のタイミングで所定量の高分子凝集剤を汚泥に添加する高分子凝集剤添加手段と、
高分子凝集剤が添加された汚泥を濃縮して、濃縮汚泥と濃縮分離液とに分離する濃縮槽と、
所定のタイミングで所定量の無機凝集剤を濃縮汚泥に添加する無機凝集剤後添加手段と、
濃縮汚泥を脱水処理して、脱水ケーキと脱水分離液とに分離する脱水機と、
を具備し、
(1)汚泥に高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する高分子凝集剤単独運転と、
(2)高分子凝集剤と無機凝集剤を併用する運転と、を切り替えて、脱水分離液のpHを酸性側とアルカリ性側に交互にシフトさせるサイクルを1回以上繰り返すように、当該無機凝集剤前添加手段、当該高分子凝集剤添加手段及び当該無機凝集剤後添加手段を制御する制御部を有することを特徴とする装置。
【請求項6】
前記制御部は、濃縮分離液用検出手段、脱水分離液用検出手段、無機凝集剤の添加タイミングを切り換える電磁弁を具備し、
当該濃縮分離液用検出手段によって検出される濃縮分離液の流量又はpH、及び当該脱水分離液用検出手段によって検出される脱水分離液の流量又はpHに応じて、(I)濃縮分離液又は脱水分離液のpHが添加した凝集剤により想定されるよりも酸性側又はアルカリ性側にシフトしたとき、又は/及び(II)濃縮分離液又は脱水分離液の流量が、通常の流量値より20%以上減少したときに、当該電磁弁の開閉を制御することを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記(2)高分子凝集剤と無機凝集剤を併用する運転は、下記(A)~(C):
(A)汚泥に無機凝集剤を添加し、次いで高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する無機凝集剤前添加運転、
(B)汚泥に高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加した後に脱水する無機凝集剤後添加運転、及び
(C)汚泥に無機凝集剤を添加し、次いで高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加した後に脱水する無機凝集剤前後添加運転
から選択される少なくとも1の態様であることを特徴とする請求項5又は6に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理施設において使用される脱水装置のスケール発生を抑制する方法に関し、特に汚泥を凝集、濃縮及び脱水する脱水装置のスケール発生抑制方法及び当該スケール発生抑制法法を実施できる脱水処理装置に関する。
【技術背景】
【0002】
下水処理施設やし尿処理施設などにおいては、一般的に、凝集剤を添加して汚泥を凝集させて脱水する脱水処理、又は凝集剤を添加して汚泥を凝集させた後に汚泥を濃縮して脱水する濃縮脱水処理が行われている。汚泥を凝集させるために添加される凝集剤としては、一般的に高分子凝集剤が用いられるが、脱水効率を向上させるために、無機凝集剤を汚泥に添加した後に高分子凝集剤を添加する「無機凝集剤前添加」方法や、凝集と脱水との間に汚泥を濃縮する濃縮脱水処理において、高分子凝集剤を添加して凝集させた後に、汚泥を濃縮し、濃縮汚泥に無機凝集剤を添加する「無機凝集剤後添加」方法も行われている。無機凝集剤後添加方法は、Mアルカリ成分濃度が高い有機性汚泥の脱水処理に適している。
【0003】
高分子凝集剤を添加するが無機凝集剤を添加しない場合、汚泥の凝集処理時の撹拌、濃縮による汚泥の薄膜化、及び脱水時の内密と剪断力などによる物理的脱炭酸効果により汚泥のpHが上昇するため、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)や炭酸カルシウムが析出して、スケールが発生する。
【0004】
高分子凝集剤と無機凝集剤を添加する場合、無機凝集剤由来の硫酸イオンと汚泥中の金属イオンとの結合により難溶性の硫酸塩(たとえばCaSO)が形成され、スケールが発生する。
【0005】
脱水装置には、パンチングメタル等の金属製ろ材や脱水分離液の排出用配管などが設けられており、これらにスケールが付着すると、脱水能力の低下及び配管の閉塞などが生じる。脱水装置内に発生・付着したスケールを除去するためには、脱水運転を停止してスケールを溶解させる薬剤を大量に投入する必要があり、脱水処理効率の低下及び薬品コストの増大を招く。
【0006】
MAPスケールはpHが上昇する場合に発生しやすいため、酸及び/又はアルカリの薬剤を添加してpH調整をする方法もあるが、pH調整用の薬剤のストック及び添加装置、pH測定手段などが必要となる。
【0007】
MAPスケールが脱水機や配管内部に付着することを防止する方法として、下水処理場において発生した汚泥を消化する消化タンクを備え、上記消化タンクよりも下流側の消化汚泥、脱離液、および脱水濾液のうち少なくとも1つの流体が流れる配管に、この配管内を流れる上記流体中のリン酸マグネシウムアンモニウムにマイナス電荷を帯電させる電磁処理手段が備えられていることを特徴とする下水汚泥処理設備が提案されている(特開2019-13865号公報)。
【0008】
無機凝集剤後添加方法は、濃縮した凝集フロックに無機凝集剤を添加するが、無機凝集剤の浸透性、反応性が凝集フロックの大きさに大きく依存することから、無機凝集剤を添加した凝集フロックのpH又は脱水分離液のpHを3~6になるように無機凝集剤を添加する方法が提案されている(特開2012-45441号公報)。本公報には、凝集フロックのpHあるいは脱水分離液のpHを3~6に制御することにより、リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)の生成を抑制できるため、脱水機のろ過面や脱水分離液が通る配管などに付着するスケールを抑制できると記載されている。
【0009】
下水処理場において、消化汚泥の脱水のために高分子凝集剤でフロックを形成し、ポリ硫酸第二鉄を脱水機内で添加し、スクリュープレス脱水機で脱水したところ、未反応のポリ硫酸第二鉄から析出するスケールが、スクリュープレス脱水機内部のスクリーンに多く付着するという問題を、凝集フロックのpH管理又は脱水濾液のpH管理をせずに解決するために、有機性汚泥に高分子凝集剤を添加し、得られる凝集汚泥をベルト式濃縮機の透水性無端ベルトで搬送しながら無機凝集剤を添加して濃縮し、濃縮された凝集汚泥に高分子凝集剤をさらに添加し、得られる凝集汚泥を脱水機で脱水する方法が提案されている(特開2015-174000号公報)。本公報には、未反応のポリ硫酸第二鉄の量を低減することで、未反応のポリ硫酸第二鉄から析出するスケールの発生を制御することができると記載されている。
【0010】
しかし、スケール発生防止として提案されている従来の方法でも実際にはスケールの発生が十分に抑制できていない。従来の無機凝集剤と高分子凝集剤とを併用する方法は、高分子凝集剤と無機凝集剤とを常時添加するものであり、高分子凝集剤だけを添加する運転と、無機凝集剤を併用する運転との切り換えを繰り返すことは行っていない。排水処理施設では、凝集剤の種類及び添加場所を設計時に決定し、定常運転時に変更することはない。また、低含水率の脱水ケーキを得ることを目的として無機凝集剤を併用する場合に、無機凝集剤の添加を停止することはない。さらに、無機凝集剤の添加の有無又は添加場所、すなわち前添加か後添加かの違いによって、濃縮分離液及び脱水分離液のpHとスケールの種類が異なることは知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2019―13865号公報
【特許文献2】特開2012―45441号公報
【特許文献3】特開2015―174000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
高分子凝集剤を添加する処理方法においては、MAPや炭酸カルシウムが析出してスケールが発生する。高分子凝集剤と無機凝集剤を併用する無機凝集剤前添加方法及び無機凝集剤後添加方法では、硫酸カルシウムなどのスケールが発生する。従来のスケール防止技術は、電磁処理装置などの特別な装置を用いたり、凝集フロック又は脱水分離液のpHを管理したり、ベルト式濃縮機を用いるなど、装置構成や運転管理が複雑になるなどの問題がある。本発明は、特別な装置を用いることなく、既存の水処理施設において、脱水運転を中断することなく、MAP、炭酸カルシウム及び硫酸カルシウムの析出の抑制を簡易に実施できるスケールの発生を抑制する方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一般的な水処理施設における脱水は、汚泥に高分子凝集剤を添加する凝集工程と、凝集フロックを脱水する脱水工程を含む。凝集工程と脱水工程との間に、凝集フロックを濃縮フロックと濃縮分離液とに分離する濃縮工程を含み、濃縮フロックに無機凝集剤を添加し、脱水処理することもある。あるいは、凝集工程の前に、汚泥に無機凝集剤を添加する反応工程を含むこともある。高分子凝集剤単独、及び高分子凝集剤と無機凝集剤との併用のいずれの処理方法であっても、汚泥を凝集させるために最適なpH範囲となるように維持されている。したがって、脱水工程からの脱水分離液及び濃縮工程からの濃縮分離液のpHは酸性側又はアルカリ性側に固定され、アルカリ性側ではMAP又は炭酸カルシウムなどが析出し、酸性側では硫酸カルシウムなどが析出するため、MAP、炭酸カルシウム及び硫酸カルシウムの少なくとも1種以上のスケールが発生することになる。本発明者らは、高分子凝集剤及び無機凝集剤の添加タイミングを変えて、脱水工程からの脱水分離液のpHを酸性側とアルカリ性側とに交互にシフトさせることを繰り返すことにより、MAP、炭酸カルシウム及び硫酸カルシウムの析出を抑制できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
本発明によれば、下記態様の脱水処理装置のスケールの発生を抑制する方法及び脱水処理装置が提供される。
[1]凝集剤が添加された汚泥を濃縮して濃縮汚泥と濃縮分離液とに分離する濃縮機と、濃縮汚泥を脱水処理して脱水ケーキと脱水分離液とに分離する脱水機とを有する汚泥の脱水処理装置におけるスケールの発生を抑制する方法であって、
(1)汚泥に高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する高分子凝集剤単独運転と、
(2)高分子凝集剤と無機凝集剤を併用する運転と、を切り替えて、脱水分離液を酸性とアルカリ性に交互にシフトさせるサイクルを1回以上繰り返すことを特徴とするスケール発生抑制方法。
[2]前記(2)高分子凝集剤と無機凝集剤を併用する運転は、下記(A)~(C):
(A)汚泥に無機凝集剤を添加し、次いで高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する無機凝集剤前添加運転、
(B)汚泥に高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加した後に脱水する無機凝集剤後添加運転、及び
(C)汚泥に無機凝集剤を添加し、次いで高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加した後に脱水する無機凝集剤前後添加運転
から選択される少なくとも1の態様であることを特徴とする上記[1]に記載の方法。
[3]前記(1)高分子凝集剤単独運転と、前記(2)高分子凝集剤と無機凝集剤を併用する運転との切り替えは、(I)濃縮分離液又は脱水分離液のpHが添加した凝集剤により想定されるよりも酸性側又はアルカリ性側にシフトしたとき、又は/及び(II)濃縮分離液又は脱水分離液の流量が、通常の流量値より20%以上減少したときに行うことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記無機凝集剤は、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムから選択される少なくとも1の無機凝集剤であることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか1に記載の方法。
[5]汚泥の脱水処理装置であって、
所定のタイミングで所定量の無機凝集剤を汚泥に添加する無機凝集剤前添加手段と、
所定のタイミングで所定量の高分子凝集剤を汚泥に添加する高分子凝集剤添加手段と、
高分子凝集剤が添加された汚泥を濃縮して、濃縮汚泥と濃縮分離液とに分離する濃縮槽と、
所定のタイミングで所定量の無機凝集剤を濃縮汚泥に添加する無機凝集剤後添加手段と、
濃縮汚泥を脱水処理して、脱水ケーキと脱水分離液とに分離する脱水機と、
を具備し、
(1)汚泥に高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する高分子凝集剤単独運転と、
(2)高分子凝集剤と無機凝集剤を併用する運転と、を切り替えて、脱水分離液を酸性とアルカリ性に交互にシフトさせるサイクルを1回以上繰り返すように、当該無機凝集剤前添加手段、当該高分子凝集剤添加手段及び当該無機凝集剤後添加手段を制御する制御部を有することを特徴とする装置。
[6]前記制御部は、濃縮分離液用検出手段、脱水分離液用検出手段、無機凝集剤の添加タイミングを切り換える電磁弁を具備し、
当該濃縮分離液用検出手段によって検出される濃縮分離液の流量又はpH、及び当該脱水分離液用検出手段によって検出される脱水分離液の流量又はpHに応じて、(I)濃縮分離液又は脱水分離液のpHが添加した凝集剤により想定されるよりも酸性側又はアルカリ性側にシフトしたとき、又は/及び(II)濃縮分離液又は脱水分離液の流量が、通常の流量値より20%以上減少したときに、当該電磁弁の開閉を制御することを特徴とする上記[5]に記載の装置。
[7]前記(2)高分子凝集剤と無機凝集剤を併用する運転は、
(2)下記(A)~(C):
(A)汚泥に無機凝集剤を添加し、次いで高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する無機凝集剤前添加運転、
(B)汚泥に高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加した後に脱水する無機凝集剤後添加運転、及び
(C)汚泥に無機凝集剤を添加し、次いで高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加した後に脱水する無機凝集剤前後添加運転
から選択される少なくとも1の態様であることを特徴とする上記[5]又は[6]に記載の装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特別な装置を要せず、脱水運転を中断することなく、MAP、炭酸カルシウム及び硫酸カルシウムの析出を抑制することができ、脱水処理装置の延命化を図ることができる。また、本発明の脱水処理装置のスケール防止方法は、既存の水処理施設の脱水性能を低下させず、同等以上の脱水性能を維持することができる。さらに、従来の方法では大量に必要であったスケール防止剤や洗浄剤などの薬剤の使用量を低減できるため、維持管理コストの低減も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の脱水処理装置の概略説明図であり、「無機凝集剤前後添加運転」を行う場合の制御を示す。
図2】「高分子凝集剤単独運転」を行う場合の制御を示す概略説明図。
図3】「無機凝集剤前添加運転」を行う場合の制御を示す概略説明図。
図4】「無機凝集剤後添加運転」を行う場合の制御を示す概略説明図。
図5】対照例及び実施例における凝集剤添加サイクルの説明図。
【好ましい実施形態】
【0017】
本発明は、凝集剤が添加された汚泥を濃縮して濃縮汚泥と濃縮分離液とに分離する濃縮機と、濃縮汚泥を脱水処理して脱水ケーキと脱水分離液とに分離する脱水機とを有する汚泥の脱水処理装置におけるスケールの発生を抑制する方法であって、
汚泥に高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する高分子凝集剤単独運転と、
(A)汚泥に無機凝集剤を添加し、次いで高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する無機凝集剤前添加運転、
(B)汚泥に高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加した後に脱水する無機凝集剤後添加運転、及び
(C)汚泥に無機凝集剤を添加し、次いで高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加した後に脱水する無機凝集剤前後添加運転
から選択される少なくとも1の態様の無機凝集剤添加運転と、を切り替えて、脱水機からの脱水分離液を酸性とアルカリ性に交互にシフトさせることを1サイクルとして、当該サイクルを1回以上繰り返すことを特徴とする。
【0018】
本発明の方法を適用することができる汚泥脱水装置の代表例を図1に示す。図1に示す汚泥の脱水処理装置は、消化槽2からの汚泥を貯留する汚泥貯留槽4と、所定のタイミングで所定量の無機凝集剤を汚泥に添加する無機凝集剤前添加手段10と、無機凝集剤と汚泥とを十分に混合させる混和槽6と、混和槽6からの汚泥に所定のタイミングで所定量の高分子凝集剤を汚泥に添加する高分子凝集剤添加手段20と、高分子凝集剤が添加された汚泥を凝集させる凝集槽8と、凝集フロックを含む汚泥を濃縮して、濃縮汚泥と濃縮分離液とに分離する濃縮槽30と、所定のタイミングで所定量の無機凝集剤を濃縮汚泥に添加する無機凝集剤後添加手段40と、濃縮汚泥を脱水処理して、脱水ケーキと脱水分離液とに分離する脱水機50と、無機凝集剤前添加手段10、高分子凝集剤添加手段20及び無機凝集剤後添加手段40を制御する制御部60と、を具備する。
【0019】
高分子凝集剤添加手段20は、高分子凝集剤貯留槽22と、高分子凝集剤貯留槽22から高分子凝集剤を供給する高分子凝集剤添加ライン24と、高分子凝集剤添加ライン24に設けられているポンプ26と、を含む。
【0020】
無機凝集剤前添加手段10は、無機凝集剤貯留槽70に接続されている無機凝集剤配管72であって、ポンプ74が設けられている無機凝集剤配管72から分岐する無機凝集剤前添加ライン12と、無機凝集剤前添加ライン12に設けられている第1電磁弁14と、を含む。
【0021】
無機凝集剤後添加手段40は、無機凝集剤貯留槽70に接続されている無機凝集剤配管72であって、ポンプ74が設けられている無機凝集剤配管72から分岐する無機凝集剤後添加ライン42と、無機凝集剤後添加ライン42に設けられている第2電磁弁44と、を含む。
【0022】
制御部60は、濃縮槽30からの濃縮分離液のpH又は流量を測定する濃縮分離液用検出手段62からの電気信号、及び脱水機50からの脱水分離液のpH又は流量を測定する脱水分離液用検出手段64からの電気信号を受けて、無機凝集剤前添加ライン12に設けられている第1電磁弁14及び無機凝集剤後添加ライン42に設けられている第2電磁弁44を作動させる制御信号を送るように構成されている。
【0023】
無機凝集剤貯留槽70は、無機凝集剤前添加手段10及び無機凝集剤後添加手段40を介して同一の無機凝集剤を添加するために共通する1槽として示したが、異なる無機凝集剤を添加する場合には、無機凝集剤前添加手段10及び無機凝集剤後添加手段40はそれぞれ別個の無機凝集剤貯留槽を備えることができる。
【0024】
図2に示すように、汚泥に高分子凝集剤のみを添加し、無機凝集剤を添加しない「高分子凝集剤単独運転」は、無機凝集剤貯留槽70のポンプ74を停止し、高分子凝集剤貯留槽22のポンプ26のみを運転して、高分子凝集剤貯留槽22から高分子凝集剤添加ライン24を介して高分子凝集剤を汚泥に添加することにより行うことができる。
【0025】
図3に示すように、汚泥に無機凝集剤を先に添加し、次いで高分子凝集剤を添加する「無機凝集剤前添加運転」は、無機凝集剤貯留槽70のポンプ74を運転し、第1電磁弁14を開き、第2電磁弁44を閉めて、無機凝集剤前添加ライン12を介して無機凝集剤を汚泥に添加し、高分子凝集剤貯留槽22のポンプ26を運転して、高分子凝集剤貯留槽22から高分子凝集剤添加ライン24を介して高分子凝集剤を汚泥に添加することにより行うことができる。
【0026】
図4に示すように、汚泥に高分子凝集剤を添加した後に無機凝集剤を添加する「無機凝集剤後添加運転」は、高分子凝集剤貯留槽22のポンプ26を運転して、高分子凝集剤貯留槽22から高分子凝集剤添加ライン24を介して高分子凝集剤を汚泥に添加し、無機凝集剤貯留槽70のポンプ74を運転し、第1電磁弁14を閉め、第2電磁弁44を開いて、無機凝集剤後添加ライン42を介して無機凝集剤を汚泥に添加することにより行うことができる。
【0027】
図1に示すように、汚泥に無機凝集剤を添加し、次いで高分子凝集剤を添加し、さらに無機凝集剤を添加する「無機凝集剤前後添加運転」は、無機凝集剤貯留槽70のポンプ74を運転し、第1電磁弁14を開き、第2電磁弁44を閉めて、無機凝集剤前添加ライン12を介して無機凝集剤を汚泥に添加し、高分子凝集剤貯留槽22のポンプ26を運転して、高分子凝集剤貯留槽22から高分子凝集剤添加ライン24を介して高分子凝集剤を汚泥に添加し、次いで、第1電磁弁を閉め、第2電磁弁を開いて、無機凝集剤後添加ライン42を介して無機凝集剤を汚泥に添加することにより行うことができる。
【0028】
「高分子凝集剤単独運転」、「無機凝集剤前添加運転」、「無機凝集剤後添加運転」及び「無機凝集剤前後添加運転」の切り換えは、濃縮分離液用検出手段62及び脱水分離液用検出手段64により検出される濃縮分離液及び脱水分離液の流量又はpHに応じて制御部60にて制御する。濃縮分離液又は脱水分離液の流量が通常値よりも20%以上低くなった場合には、濃縮槽又は脱水機においてスケールが発生してろ過面が閉塞していると判断することができる。濃縮分離液又は脱水分離液のpHが、添加した凝集剤によって想定されるpH値よりも酸性側又はアルカリ性側にシフトしている場合には、スケールが溶解していると判断することができる。
【0029】
「高分子凝集剤単独運転」を行っている間に、濃縮分離液用検出手段62により、濃縮分離液の流量が通常値より20%以上低くなったこと又はpHがアルカリ性であることが検出されると、制御部60は、第1電磁弁14を開き、第2電磁弁44を閉じるよう指示を送り、「無機凝集剤前添加運転」に切り換える。濃縮分離液用検出手段62により、濃縮分離液の流量が通常値に戻ったこと又はpHが酸性であることが検出されると、制御部60は、第1電磁弁14を閉じ、ポンプ72を停止して「高分子凝集剤単独運転」に切り換える。
【0030】
「高分子凝集剤単独運転」を行っている間に、脱水分離液用検出手段64により、脱水分離液の流量が通常値より20%以上低くなったこと又はpHがアルカリ性であることが検出されると、制御部60は、第1電磁弁14を閉じ、第2電磁弁44を開くよう指示を送り、「無機凝集剤後添加運転」に切り替える。脱水分離液用検出手段64により、脱水分離液の流量が通常値に戻ったこと又はpHが酸性であることが検出されると、制御部60は、第2電磁弁44を閉じ、ポンプ72を停止して「高分子凝集剤単独運転」に切り換える。
【0031】
「高分子凝集剤単独運転」を行っている間に、濃縮分離液用検出手段62により、濃縮分離液の流量が通常値より20%以上低くなったこと又はpHがアルカリ性であることが検出され、脱水分離液用検出手段64により、脱水分離液の流量が通常値より20%以上低くなったこと又はpHがアルカリ性であることが検出されると、制御部60は、第1電磁弁14を開き、第2電磁弁44を開くよう指示を送り、「無機凝集剤前後添加運転」に切り替える。濃縮分離液用検出手段62により濃縮分離液の流量が通常値に戻ったこと又はpHが酸性であることが検出され、脱水分離液用検出手段64により脱水分離液の流量が通常値に戻ったこと又はpHが酸性であることが検出されると、制御部60は第1電磁弁14及び第2電磁弁44を閉じ、ポンプ72を停止して「高分子凝集剤単独運転」に切り換える。
【0032】
「無機凝集剤前添加運転」を行っている間に、濃縮分離液用検出手段62により、濃縮分離液の流量が通常値より20%以上低くなったこと又はpHが酸性であることが検出されるか、もしくは脱水分離液用検出手段64により脱水分離液の流量が通常値より20%以上低くなったこと又はpHが酸性であることが検出されると、制御部60は、第1電磁弁14を閉じ、ポンプ72を停止するよう指示を送り、「高分子凝集剤単独運転」に切り替える。濃縮分離液用検出手段62により、濃縮分離液の流量が通常値に戻ったこと又はpHがアルカリ性であることが検出されるか、若しくは脱水分離液用検出手段64により脱水分離液の流量が通常値に戻ったこと又はpHがアルカリ性であることが検出されると、制御部60はポンプ72を稼働させ、第1電磁弁14を開き、第2電磁弁44を閉じたまま「無機凝集剤前添加運転」に切り換えるか、第1電磁弁14を閉じたまま第2電磁弁44を開いて「無機凝集剤後添加運転」に切り換えるか、第1電磁弁14及び第2電磁弁44を開いて「無機凝集剤前後添加運転」に切り換える。
【0033】
「無機凝集剤後添加運転」を行っている間に、脱水分離液用検出手段64により、脱水分離液の流量が通常値より20%以上低くなったこと又はpHが酸性であることが検出されると、制御部60は、第2電磁弁44を閉じ、ポンプ72を停止するよう指示を送り、「高分子凝集剤単独運転」に切り替えるか、もしくは第2電磁弁44を閉じ、第1電磁弁14を開くように指示を送り「無機凝集剤前添加運転」に切り換える。脱水分離液用検出手段64により、脱水分離液の流量が通常値に戻ったこと又はpHがアルカリ性であることが検出されると、制御部60はポンプ72を稼働させ、第1電磁弁14を開き、第2電磁弁44を閉じたまま「無機凝集剤前添加運転」に切り換えるか、第1電磁弁14を閉じたまま第2電磁弁44を開いて「無機凝集剤後添加運転」に切り換えるか、第1電磁弁14及び第2電磁弁44を開いて「無機凝集剤前後添加運転」に切り換える。
【0034】
「無機凝集剤前後添加運転」を行っている間に、濃縮分離液用検出手段62により、濃縮分離液の流量が通常値より20%以上低くなったこと又はpHが酸性であることが検出され、脱水分離液用検出手段64により、脱水分離液の流量が通常値より20%以上低くなったこと又はpHが酸性であることが検出されると、制御部60は、第1電磁弁14を閉じ、第2電磁弁44を閉じ、ポンプ72を停止するよう指示を送り、「高分子凝集剤単独運転」に切り替える。濃縮分離液用検出手段62により、濃縮分離液の流量が通常値に戻ったこと又はpHがアルカリ性であることが検出され、脱水分離液用検出手段64により、脱水分離液の流量が通常値に戻ったこと又はpHがアルカリ性であることが検出されると、制御部60はポンプ72を稼働させ、第1電磁弁14を開き、第2電磁弁44を閉じたまま「無機凝集剤前添加運転」に切り換えるか、第1電磁弁14を閉じたまま第2電磁弁44を開いて「無機凝集剤後添加運転」に切り換えるか、第1電磁弁14及び第2電磁弁44を開いて「無機凝集剤前後添加運転」に切り換える。
【0035】
本発明において、脱水処理する汚泥は、リン酸、アンモニア態窒素、溶解性マグネシウムを含む有機性汚泥であれば特に制限されないが、たとえばし尿処理場や下水処理場、民間工場で発生する生物処理汚泥、凝集汚泥、下水消化汚泥などを好ましく挙げることができる。
【0036】
本発明は、高分子凝集剤及び無機凝集剤を添加する脱水処理において、汚泥に添加する凝集剤の種類及び添加のタイミングを異ならせた運転態様を組み合わせて、脱水分離液のpHを酸性側とアルカリ性側とに交互にシフトさせることを特徴とする。汚泥脱水処理装置において、高分子凝集剤のみを添加する運転、又は高分子凝集剤と無機凝集剤を添加する運転は従来から行われているが、高分子凝集剤のみを添加する運転と、高分子凝集剤と無機凝集剤を添加する運転とを切り替えることは行われていない。本発明では、高分子凝集剤のみを添加する脱水処理運転と、高分子凝集剤と無機凝集剤とを併用する脱水処理運転とを交互に行うことで、アルカリ側で析出したスケールを酸性側で溶解させ、酸性側で析出したスケールをアルカリ性側で溶解させ、脱水機のろ過面に析出物が蓄積されてろ過面を閉塞させることを抑制する。濃縮分離液又は脱水分離液の流量が通常値よりも20%以上低くなった場合には、濃縮槽又は脱水機においてスケールが発生してろ過面が閉塞していると判断することができる。濃縮分離液又は脱水分離液のpHは、添加した凝集剤によって想定されるpH値よりも酸性側又はアルカリ性側にシフトしている場合には、スケールが溶解していると判断することができる。
【0037】
本発明における凝集剤添加運転の態様は、(1)高分子凝集剤単独運転と、(2)無機凝集剤前添加運転、無機凝集剤後添加運転及び無機凝集剤前後添加運転の少なくとも1以上と、を切り替えて、脱水分離液を酸性とアルカリ性に交互にシフトさせることを1サイクルとする。
【0038】
「無機凝集剤前添加運転」とは、汚泥に無機凝集剤を添加し、次いで高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する運転態様である。
「無機凝集剤後添加運転」とは、汚泥に高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加した後に脱水する運転態様である。
「無機凝集剤前後添加運転」とは、汚泥に無機凝集剤を添加し、次いで高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加した後に脱水する運転態様である。
「高分子凝集剤単独運転」とは、無機凝集剤を添加せずに、汚泥に高分子凝集剤を添加し、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する運転態様である。
【0039】
1サイクルの例としては、(1)「高分子凝集剤単独運転」と、(2)「無機凝集剤前添加運転」、「無機凝集剤後添加運転」及び「無機凝集剤前後添加運転」から選択される1以上との任意の組み合わせとすることができる。例えば下記の組み合わせを好ましく挙げることができる。
「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤前添加運転」
「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤後添加運転」
「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤前後添加運転」
「無機凝集剤前添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」
「無機凝集剤後添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」
「無機凝集剤前後添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」
「無機凝集剤前添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤後添加運転」
「無機凝集剤前添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤前後添加運転」
「無機凝集剤後添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤前添加運転」
「無機凝集剤後添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤前後添加運転」
「無機凝集剤前後添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤前添加運転」
「無機凝集剤前後添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤後添加運転」
【0040】
上記の組み合わせを基本形として、たとえば、「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤前添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤後添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤前後添加運転」のように任意に組み合わせることができる。無機凝集剤添加の態様の組み合わせは、処理対象となる汚泥の性状にあわせて適切な処理となるように適宜変更することができる。
【0041】
脱水処理設備の運転維持管理の観点から、単純な切り替えで大きな効果を得ることが望ましい。たとえば、1サイクル内の切り替えが1回である「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤前添加運転」、「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤後添加運転」、「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤前後添加運転」、「無機凝集剤前添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」、「無機凝集剤後添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」又は「無機凝集剤前後添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」が好ましい。
【0042】
また、「無機凝集剤前添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」、「無機凝集剤後添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」又は「無機凝集剤前後添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」は、無機凝集剤を併用する運転を先に行うことにより、濃縮機におけるMAPの析出及び蓄積を抑制することができるため、より好ましい。さらに、「無機凝集剤前後添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」は、脱水効率を高めることができるため、特に好ましい。
【0043】
1サイクル内における「高分子凝集剤単独運転」、「無機凝集剤前添加運転」、「無機凝集剤後添加運転」及び「無機凝集剤前後添加運転」の各運転時間は、切り替えによって脱水分離液を酸性とアルカリ性に交互にシフトさせることができる時間であれば特に限定されない。たとえば、「高分子凝集剤単独運転」を1週間行った後に、「無機凝集剤後添加運転」を2週間行うサイクル、「無機凝集剤前添加運転」を1週間行った後に「高分子凝集剤単独運転」を1週間行い、次に「無機凝集剤後添加運転」を2週間行うサイクル、「無機凝集剤前後添加運転」を3週間行った後に「高分子凝集剤単独運転」を1週間行うサイクルなどを好ましく挙げることができる。
【0044】
「高分子凝集剤単独運転」、「無機凝集剤前添加運転」、「無機凝集剤後添加運転」及び「無機凝集剤前後添加運転」の切り替えのタイミングは、各運転を所定期間行ったときとしてもよいし、詳細を上記したように濃縮分離液又は脱水分離液の流量が通常値よりも20%以上低下したとき又は濃縮分離液又は脱水分離液のpHが酸性又はアルカリ性にシフトしたときとすることもできるし、これらの組みあわせで制御してもよい。通常は所定期間で切り換えるが、流量が通常値より20%以上低下したときには所定期間を経過していなくても運転の態様を切り換えることにより、スケール発生をより効果的に抑制できるため好ましい。
【0045】
無機凝集剤としては、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムから選択される1種を単独又は任意の2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
無機凝集剤の添加量は、TSあたり10~30%が良く、10~25%がより良く、10~20%が最も望ましい。無機凝集剤の添加量を10%以上とすることで良好なフロックを得られ、脱水ケーキ含水率を低下することができる。また、pHを下げてMAP由来のスケール発生を防止できる。一方、無機凝集剤の添加量を30%以下とすることで、無機凝集剤由来のスケール発生を防止することができ、無機凝集剤コストも抑えることができる。
【0047】
高分子凝集剤としては、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、カチオン性高分子凝集剤および両性高分子凝集剤のいずれも用いることができる。有機性汚泥を処理する場合には、カチオン性高分子凝集剤又は両性高分子凝集剤を用いるのが特に望ましい。カチオン性高分子凝集剤としては、アクリル酸系、ポリアクリル酸系、メタアクリル酸系、ポリメタクリル酸系を好ましく用いることができる。
【0048】
高分子凝集剤の添加量は、TSあたり1.5~2.0%が良く、1.5~2.5%がより良く、2.0~2.5%が最も望ましい。高分子凝集剤の添加量を 1.5~2.0%とすることで、強度の強い良好なフロックを得られる。一方、高分子凝集剤の添加量を2.0~2.5%とすることで、脱水機内にせん断力による凝集力低下を防止することができ、含水率悪化も抑えることができる。
【実施例0049】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0050】
1. 対象汚泥
対象汚泥として、表1に示す性状を有する下水処理場の消化汚泥を使用した。
【0051】
【表1】
【0052】
2.脱水処理試験
図1に示す構成の汚泥処理装置にて、消化汚泥を脱水処理した。汚泥脱水設備は、混和槽、凝集槽、濃縮機、及び脱水機を有し、脱水機としてスクリュープレス型脱水機を用いた。凝集槽に導入する消化汚泥に高分子凝集剤を添加する「高分子凝集剤添加」、脱水機に導入する濃縮汚泥に無機凝集剤を添加する「無機凝集剤後添加」、混和槽に導入する消化汚泥に無機凝集剤を添加する「無機凝集剤前添加」の組み合わせを図2に示すように変えて、濃縮分離液pH、脱水分離液pH、濃縮機ろ過面積閉塞度、脱水機パンチングろ過面積閉塞度、スケール主成分、ケーキ含水率を測定し、総合的に評価した。図2中「無機」は無機凝集剤、「高分子」とは高分子凝集剤の添加を示す。脱水運転条件と結果を表2に示す。無機凝集剤としてポリ硫酸第二鉄、高分子凝集剤としてカチオン性高分子凝集剤であるポリアクリル酸ナトリウムを使用した。各例の運転期間は3ヵ月とした。
【0053】
「高分子凝集剤添加」の場合、高分子凝集剤の添加率はTS全量に対して1.9%とした。「無機凝集剤後添加」又は「無機凝集剤前添加」の場合、無機凝集剤の添加率はTS全量に対して20%とした。「無機凝集剤後添加」及び「無機凝集剤前添加」の場合、無機凝集剤全体の添加率がTS全量に対して20%となるように、「無機凝集剤後添加」と「無機凝集剤前添加」に配分した。
【0054】
濃縮機ろ過面積閉塞度の測定は、スケールが付着したろ過面をカウントして、全体のろ過面に対する閉塞度を算出する。すなわち、ろ過面積閉塞度=(閉塞ろ過面/全体ろ過面)×100で算出する。濃縮機ろ過面積閉塞度について、10%以下を「◎」、10%超過20%以下を「○」、20%超過30%以下を「△」、30%超過を「×」とした。
【0055】
脱水機パンチングろ過面積閉塞度は、スケールが付着したパンチング穴をカウントし、全体のパンチング穴に対する閉塞度を算出する。すなわち、パンチングろ過面積閉塞度=(閉塞パンチング穴/全体パンチング穴)×100で算出する。脱水機パンチングろ過面積閉塞度について、20%以下を「○」、20%超過を「×」とした。
【0056】
脱水ケーキ含水率は、下水試験方法に準拠し、脱水ケーキを105~110℃で蒸発乾固したときに蒸発する水の質量から求めた。脱水ケーキ含水率は、80%未満を「○」、80%以上を「×」とした。
【0057】
総合評価は、濃縮機ろ過面積閉塞度、脱水機パンチング穴面積閉塞度及びケーキ含水率の評価において「×」がある場合には総合評価を「×」、「△」がある場合には総合評価を「△」、「◎」がある場合を「◎」、他を「○」とした。
【0058】
対照例1は、消化汚泥に高分子凝集剤を添加して、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する運転(「高分子凝集剤単独運転」という。)を連続して3か月間行った。濃縮分離液は中性乃至弱アルカリ性(pH=7.9)、脱水分離液はアルカリ性(pH=8.2)であった。3か月後に濃縮機及び脱水機にMAPのスケールが確認された。濃縮機ろ過面積閉塞度は30%、脱水機パンチングろ過面積閉塞度は35%、脱水ケーキの平均含水率は80.5%であった。
【0059】
対照例2は、消化汚泥に高分子凝集剤を添加して、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加して脱水する運転(「無機凝集剤後添加運転」という。)を連続して3か月間行った。濃縮分離液は中性乃至弱アルカリ性(pH=7.9)、脱水分離液は酸性(pH=5.5)であった。3か月後に濃縮分離機及び脱水機に硫酸カルシウムのスケールが確認された。濃縮機ろ過面積閉塞度は30%、脱水機パンチングろ過面積閉塞度は44%、脱水ケーキの平均含水率は78.5%であった。
【0060】
対照例3は、消化汚泥に無機凝集剤を添加した後、高分子凝集剤を添加して、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する運転(「無機凝集剤前添加運転」という)を連続して3か月間行った。濃縮分離液は酸性(pH=6.1)、脱水分離液は中性(pH=7.1)であった。3か月後に濃縮機にはスケールがほぼ確認されなかったが、脱水機に硫酸カルシウムのスケールが確認された。濃縮機ろ過面積閉塞度は6%、脱水機パンチングろ過面積閉塞度は28%、脱水ケーキの平均含水率は79.3%であった。
【0061】
実施例1は、「高分子凝集剤単独運転」を1週間行った後、「無機凝集剤後添加運転」を2週間行うことを1サイクルとして3か月間にわたり4サイクルを繰り返した。すなわち、消化汚泥に高分子凝集剤を添加して形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する運転を1週間行い、その後、高分子凝集剤の添加を継続して、さらに濃縮汚泥に無機凝集剤を添加した後に脱水する運転に切り替えて2週間行うことを繰り返した。
【0062】
「高分子凝集剤単独運転」時の濃縮分離液は中性乃至弱アルカリ性(pH=7.9)、脱水分離液はアルカリ性(pH=8.2)であり、その後「無機凝集剤後添加運転」に切り替えた濃縮分離液は中性乃至弱アルカリ性(pH=7.9)で変化せず、脱水分離液は酸性(pH=5.5)にシフトした。「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤後添加運転」に切り替えるサイクルを繰り返すことにより、脱水分離液はアルカリ性→酸性→アルカリ性→酸性と交互にシフトすることが確認された。3か月後に、濃縮機にスケールが確認されたが対照例1及び2よりは減少しており、脱水機に硫酸カルシウムのスケールがわずかに確認されたが対照例1~3よりは大幅に減少していた。濃縮機ろ過面積閉塞度は27%、脱水機パンチングろ過面積閉塞度は19%、脱水ケーキの平均含水率は78.8%であった。「高分子凝集剤単独運転」から「無機凝集剤後添加運転」に切り替えることで、濃縮分離液は中性乃至弱アルカリ性に維持され、脱水分離液はアルカリ性から酸性にシフトすることにより、「高分子凝集剤単独運転」時に析出したMAPや炭酸カルシウムが溶解してスケールの蓄積が抑制されるとともに、溶出したリン酸イオンが無機凝集剤由来のFeイオンと結合して固定化され、新たなMAPの生成が抑制される。次のサイクルの「高分子凝集剤単独運転」に切り替えることで、濃縮分離液は中性乃至弱アルカリ性に維持され、脱水分離液は酸性からアルカリ性にシフトすることにより、「無機凝集剤後添加運転」時に析出した硫酸カルシウムが溶解してスケールの蓄積が抑制されることにより、全運転期間後のスケールの発生が抑制されたと考えられる。
【0063】
実施例2は、「無機凝集剤前添加運転」を1週間行った後、「高分子凝集剤単独運転」を1週間行い、その後「無機凝集剤後添加運転」を2週間行うことを1サイクルとして3か月間にわたり3サイクルを繰り返した。すなわち、消化汚泥に無機凝集剤を添加した後に高分子凝集剤を添加して、形成される凝集フロックを濃縮して濃縮汚泥を脱水する運転を1週間行い、その後、無機凝集剤の添加を中止して消化汚泥に高分子凝集剤を添加して、形成される凝集フロックを濃縮して濃縮汚泥を脱水する運転に切り替えて1週間行い、その後、高分子凝集剤の添加を継続して濃縮汚泥に無機凝集剤を添加して脱水する運転に切り替えて2週間行うことを繰り返した。
【0064】
「無機凝集剤前添加運転」時の濃縮分離液は酸性(pH=6.2)、脱水分離液は中性(pH=7.2)であり、その後「高分子凝集剤単独運転」に切り替えた濃縮分離液は中性(pH=7.7)、脱水分離液はアルカリ性(pH=8.2)にシフトし、その後「無機凝集剤後添加運転」に切り替えた濃縮分離液は中性乃至弱アルカリ性(pH=7.9)、脱水分離液は酸性(pH=5.5)にシフトした。「無機凝集剤前添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤後添加運転」に切り替えるサイクルを繰り返すことにより、濃縮分離液は酸性→中性→中性乃至弱アルカリ性とシフトし、脱水分離液は中性→アルカリ性→酸性とシフトすることが確認された。3か月後に、濃縮機にスケールが確認されたが対照例1及び2より減少しており、脱水機に硫酸カルシウムのスケールがわずかに確認されたが対照例1~3より大幅に減少していた。濃縮機ろ過面積閉塞度は20%、脱水機パンチングろ過面積閉塞度は14%、脱水ケーキの平均含水率は79%であった。「無機凝集剤前添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」→「無機凝集剤後添加運転」に切り替えることで、濃縮分離液は酸性→中性乃至弱アルカリ性に維持され、脱水分離液は中性→アルカリ性→酸性にシフトすることにより、「高分子凝集剤単独運転」時に析出したMAPや炭酸カルシウムが「無機凝集剤後添加運転」時に溶解してスケールの蓄積が抑制されるとともに、溶出したリン酸イオンが無機凝集剤由来のFeイオンと結合して固定化され、新たなMAPの生成が抑制される。「無機凝集剤後添加運転」時に析出した硫酸カルシウムが次のサイクルの「高分子凝集剤単独運転」時に溶解してスケールの蓄積が抑制されることにより、全運転期間後のスケールの発生を抑制できたと考えられる。
【0065】
実施例3は、消化汚泥に無機凝集剤を添加した後に、高分子凝集剤を添加し、形成された凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥に無機凝集剤を添加する運転(「無機凝集剤前後添加運転」という。)を3週間行った後、「高分子凝集剤単独運転」を1週間行うことを1サイクルとして繰り返した。すなわち、消化汚泥に無機凝集剤の半量を添加した後、高分子凝集剤を添加し、濃縮汚泥に無機凝集剤の半量を添加して脱水する運転を3週間行い、その後、無機凝集剤の添加を中止して消化汚泥に高分子凝集剤を添加して、形成される凝集フロックを濃縮した濃縮汚泥を脱水する運転に切り替えて1週間行うことを繰り返した。
【0066】
「無機凝集剤前後添加運転」時の濃縮分離液は酸性(pH=6.5)、脱水分離液は酸性(pH=5.9)であり、その後無機凝集剤の添加を中止して「高分子凝集剤単独運転」に切り替えた濃縮分離液は中性乃至弱アルカリ性(pH=7.9)にシフトし、脱水分離液はアルカリ性(pH=8.0)にシフトした。「無機凝集剤前後添加運転」→「高分子凝集剤単独運転」に切り替えるサイクルを繰り返すことにより、濃縮分離液は酸性→中性乃至弱アルカリ性とシフトし、脱水分離液は酸性→アルカリ性とシフトすることが確認された。3か月後に、濃縮機にはスケールがほとんど確認されず、脱水機に硫酸カルシウムのスケールがわずかに確認されたが対照例1~3より大幅に減少していた。濃縮機ろ過面積閉塞度は8%、脱水機パンチングろ過面積閉塞度は12%、脱水ケーキの平均含水率は78.8%であった。「無機凝集剤前後添加運転」と「高分子凝集剤単独運転」とを交互に行うことにより、濃縮分離液は酸性→中性乃至弱アルカリ性に維持され、脱水分離液は酸性→アルカリ性にシフトし、「無機凝集剤前後添加運転」時に析出する硫酸カルシウムが「高分子凝集剤単独運転」時に溶解し、次いで「高分子凝集剤単独運転」時に析出するMAPや炭酸カルシウムが次のサイクルの「無機凝集剤前後添加運転」時に溶解してスケールの蓄積が抑制されるとともに、溶出したリン酸イオンが無機凝集剤由来のFeイオンと結合して固定化され、新たなMAPの生成が抑制されることにより、全運転期間後のスケールの発生を抑制できたと考えられる。
【0067】
実施例3の「無機凝集剤前後添加運転」と「高分子凝集剤単独運転」とを交互に切り替える運転は、濃縮機及び脱水機のろ過面積閉塞度がともに低い上に、切替頻度が少なく運転管理が容易である。消化汚泥と濃縮汚泥に添加する無機凝集剤の比率及び/又は「無機凝集剤前後添加運転」の期間と「高分子凝集剤単独運転」の期間の比率を調整することで、さらにスケール発生抑制効果を高めることができると考えられる。
【0068】
【表2】
図1
図2
図3
図4
図5