(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144409
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】商品提供用具
(51)【国際特許分類】
A47G 19/02 20060101AFI20231003BHJP
A47G 23/08 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
A47G19/02 F
A47G19/02 D
A47G23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051366
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】396011174
【氏名又は名称】くら寿司株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000106715
【氏名又は名称】ザ・パック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 紫帆
【テーマコード(参考)】
3B001
3B115
【Fターム(参考)】
3B001AA40
3B001CC21
3B001CC32
3B001CC35
3B115AA16
3B115AA22
3B115CB07
3B115DA09
3B115DA17
(57)【要約】
【課題】従来の商品提供用具においては、シート部材の上に食品が配置される形態の商品を、取り上げやすい状態で皿に載置できるようにすることが望まれていたという課題があった。
【解決手段】食品710及びその下に配置されるシート部材720を備える商品700を皿上に配置して提供するために用いられる商品提供用具10であって、複数の谷部20と、複数の谷部同士の間に配置されている山部30とを有し、谷部20が山部30よりも皿2の上面に近くなるようにして皿上に配置可能な状態で、谷部20に商品700を配置可能に構成されている、商品提供用具10により、シート部材の上に食品が配置される形態の商品を、取り上げやすい状態で皿に載置することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品及びその下に配置されるシート部材を備える商品を皿上に配置して提供するために用いられる商品提供用具であって、
複数の谷部と、
前記複数の谷部同士の間に配置されている山部とを有し、
前記谷部が前記山部よりも皿の上面に近くなるようにして当該皿上に配置可能な状態で、前記谷部に前記商品を配置可能に構成されている、商品提供用具。
【請求項2】
前記複数の谷部が並ぶ第一方向に直交する第二方向における端部の近傍であって、前記第一方向において一方の端部に近い前記谷部よりも当該端部に近い位置に形成されており、前記谷部が前記山部よりも皿の上面に近くなるようにして前記商品提供用具が当該皿上に配置されている状態で前記皿の上面に形成されている凹部に係合する第一係合部を有する、請求項1に記載の商品提供用具。
【請求項3】
前記複数の谷部が並ぶ第一方向における少なくとも一方の端部の近傍に形成されており、前記山部が前記谷部よりも皿の上面に近くなるようにして前記商品提供用具が当該皿上に配置されている状態で前記皿の上面に形成されている凹部に係合する第二係合部を有する、請求項1又は2に記載の商品提供用具。
【請求項4】
前記山部及び前記複数の谷部のそれぞれに対応する折曲線を有する紙製部材により構成されており、略平らな展開状態から、それぞれの前記折曲線にて折れ曲がっていることにより前記山部及び前記複数の谷部を有する折曲状態に変形可能である、請求項1から3のいずれかに記載の商品提供用具。
【請求項5】
少なくとも一方の表面に耐水性又は耐油性を有する層が配置されている、請求項1から4のいずれかに記載の商品提供用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皿の上に商品を配置する際に用いることができる商品提供用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば寿司などの商品を提供する飲食店などにおいて、客が待つテーブルを巡るように敷かれた搬送路を有する飲食物搬送装置が用いられている。このような飲食物搬送装置では、商品が乗せられた皿を搬送路に配置することによって当該商品を客の前まで搬送することで、商品を客に提供することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、客に提供される商品には、シート部材の上に食品が配置される形態の商品がある。このような形態の商品を皿に乗せて提供する場合、シート部材が皿の上に広がった状態となる。そうすると、皿から商品を取り上げにくくなる場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、シート部材の上に食品が配置される形態の商品を、取り上げやすい状態で皿に載置することができる商品提供用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第一の発明の商品提供用具は、食品及びその下に配置されるシート部材を備える商品を皿上に配置して提供するために用いられる商品提供用具であって、複数の谷部と、複数の谷部同士の間に配置されている山部とを有し、谷部が山部よりも皿の上面に近くなるようにして皿上に配置可能な状態で、谷部に商品を配置可能に構成されている、商品提供用具である。
【0007】
かかる構成により、シート部材の上に食品が配置される形態の商品を、取り上げやすい状態で皿に載置することができる。
【0008】
また、本第二の発明の商品提供用具は、第一の発明に対して、複数の谷部が並ぶ第一方向に直交する第二方向における端部の近傍であって、第一方向において一方の端部に近い谷部よりも端部に近い位置に形成されており、谷部が山部よりも皿の上面に近くなるようにして商品提供用具が皿上に配置されている状態で皿の上面に形成されている凹部に係合する第一係合部を有する、商品提供用具である。
【0009】
かかる構成により、商品提供用具が当該皿上に配置されている状態で商品を皿上に安定的に載置することができる。
【0010】
また、本第三の発明の商品提供用具は、第一又は二の発明に対して、複数の谷部が並ぶ第一方向における少なくとも一方の端部の近傍に形成されており、山部が谷部よりも皿の上面に近くなるようにして商品提供用具が皿上に配置されている状態で皿の上面に形成されている凹部に係合する第二係合部を有する、商品提供用具である。
【0011】
かかる構成により、商品提供用具が当該皿上に配置されている状態で商品を皿上に安定的に載置することができる。
【0012】
また、本第四の発明の商品提供用具は、第一から三のいずれかの発明に対して、山部及び複数の谷部のそれぞれに対応する折曲線を有する紙製部材により構成されており、略平らな展開状態から、それぞれの折曲線にて折れ曲がっていることにより山部及び複数の谷部を有する折曲状態に変形可能である、商品提供用具である。
【0013】
かかる構成により、略平らな展開状態から、容易に折曲状態をなすように変形させることができる。
【0014】
また、本第五の発明の商品提供用具は、第一から四のいずれかの発明に対して、少なくとも一方の表面に耐水性又は耐油性を有する層が配置されている、商品提供用具である。
【0015】
かかる構成により、水等のしみこみによる商品提供用具の強度の変化が発生することを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明による商品提供用具によれば、シート部材の上に食品が配置される形態の商品を、取り上げやすい状態で皿に載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施の形態に係る商品提供用具を用いて構成された、第一組立状態の組立体を示す斜視図
【
図3】同商品提供用具の第一組立状態における利用例を示す平面図
【
図5】同商品提供用具の第二組立状態における利用例を示す平面図
【
図8】本発明の実施の形態の1つに係る商品提供方法について説明するフローチャート
【
図9】同商品提供方法が使用されうる店舗システムの一例について説明する図
【
図10】本発明の実施の形態の第一の変形例に係る商品提供用具を用いた組立体の構成例を示す斜視図
【
図11】本発明の実施の形態の第二の変形例に係る商品提供用具の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、商品提供用具等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0019】
なお、以下の説明において、図面において示される座標は、各図同士で共通している。座標のZ方向は、水平面に対して垂直な方向である。X方向(第一方向)は、Z方向に対して垂直な方向であり、Y方向(第二方向)は、Z方向に垂直な方向であって、X方向に垂直な方向である。なお、Z方向を上下方向(原点から見てZ軸で正となる方向が上)ということがある。以下において、このように各方向を示して各部の形状や位置関係を説明することがあるが、これらはあくまで説明の便宜のために定義したものであって、本発明に係る商品提供用具等の使用時における向きや姿勢などを限定するものではない。
【0020】
(実施の形態)
【0021】
本実施の形態において、商品提供用具は、商品を提供するために用いられる。商品は、皿の上に商品提供用具を配置して構成されている組立体により提供されうる。商品提供用具は、特に、食品の下にシート状の部材が配置されている商品を提供する用途に好適に用いられる。以下、このように構成された商品提供用具及びそれを用いて構成される組立体等について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る商品提供用具を用いて構成された、第一組立状態の組立体を示す斜視図である。
【0023】
図1に示されるように、組立体1は、皿2と、皿2の上面に配置された商品提供用具10とを有している。組立体1は、商品700を提供するために用いることができるように構成されている。
【0024】
本実施の形態において、商品700は、例えば、食品710と、食品710の下に配置されるシート部材720とを備えるものである。
図1においては、シート部材720は、ハッチングを付し、かつ、透過した状態で、模式的に示されている。食品710には、例えば、寿司のシャリ玉や、シャリ玉と共に食される具材(一例として、イクラ、貝の肉等)が該当しうる。また、シート部材720は、例えば、板海苔や薄焼き卵等のシート状の食品である。すなわち、商品700は、例えば、手巻き寿司等の料理である。なお、商品700はこれに限られず、その他の食品であってもよいし、食品でないものを含むものであってもよい。商品700は、例えば、にぎり寿司であってもよい。なお、以下の説明において、商品700とは、組立体1に配置可能な物を区別せず総称するものとして解釈してもよい。例えば、食品710は、菓子等であってもよい。また、シート部材720は、ライスペーパーやクレープやパンなど、シート状の穀物製生地等であってもよいし、オブラート等のシートであったり、植物の葉や樹皮等であったり、動物の皮組織等であったりしてもよい。また、シート部材720は、紙や、樹脂のフィルム等や、金属箔等であったりしてもよい。
【0025】
本実施の形態において、商品提供用具10は、薄い板状に形成されている。商品提供用具10は、その第一面11が上を向くような姿勢で皿2の上面に配置されうる。このように第一面11が上を向く姿勢で配置された商品提供用具10と皿2とで構成される組立体1の状態を、第一組立状態ということがある。
【0026】
第一組立状態において、商品提供用具10上には、2つの商品700を同時に配置することができるようになっている。すなわち、2つの商品700を1つの組立体1により提供することができるようになっている。
【0027】
図2は、同第一組立状態の組立体1の分解斜視図である。
【0028】
図2に示されるように、本実施の形態において、組立体1に用いられる皿2は、それ単体でも寿司等の飲食物を収容可能な収容皿である。皿2は、例えば、合成樹脂で形成されたものである。
【0029】
皿2は、具体的には、例えば以下のような構成を有する。すなわち、皿2は、平面視円形の皿板3と、この皿板3の底面から下方に突出する円筒状の高台部8とを備えている。ただし、皿2の形状は、この形状に限定されるものではない。
【0030】
皿板3は、凹部4と、周縁部5とを有している。凹部4は、皿板3の中央部に形成された、若干下方に凹んでいる部位である。周縁部5は、凹部4の周囲に配置されている。周縁部5は、略水平な上面を有する。
【0031】
高台部8は、皿板3の中央部に、上下方向が高さ方向となるように形成されている。皿の底面は、高台部8の内側の部位(高台部8により囲まれている部位)と高台部8の外側の部位とに分かれているということができる。
【0032】
本実施の形態において、凹部4の一部には、段部6が形成されている。段部6は、凹部4の外周縁に、すなわち周縁部5の内周縁の近傍部位に設けられている。段部6は、凹部4と周縁部5とを接続するように環状に配されている。段部6は、周縁部5の上面よりも下方に位置している略水平面を有している。2以上の皿2が上下に重ねられた場合に、下側の皿2の段部6の上面に、上側の皿2の高台部8の底面が接触し、上側の皿2が下側の皿2に支えられるようになっている。上側の皿2の高台部8の底面近傍部位は、下側の皿2の周縁部5の上面よりも下にある。従って、下側の皿2に対する上側の皿2の水平方向の位置がずれにくくなっている。換言すると、上側の皿2の下側の皿2に対する水平方向の位置は、下側の皿2によって位置決めされているということができる。
【0033】
商品提供用具10は、本実施の形態において、例えば、厚紙製である。商品提供用具10は、後述のように、折曲げ可能に構成されている。なお、商品提供用具10は、所定の位置において折曲げ可能に構成された樹脂板等で構成されていてもよいし、金属板等で構成されていてもよい。また、商品提供用具10は、折曲げ可能に構成されていなくてもよい。
【0034】
本実施の形態において、商品提供用具10は、複数の谷部20と、複数の谷部20同士の間に配置されている山部30とを有している。第一組立状態において、複数の谷部20のそれぞれに商品700を配置可能である。また、皿2と商品提供用具10を用いて、第一組立状態とは商品提供用具10の上下が逆である第二組立状態の組立体1を構成することも可能である。第二組立状態においては、山部30に商品700を配置可能である。以下、商品提供用具10のより具体的な構成について説明する。
【0035】
図3は、同商品提供用具10の第一組立状態における利用例を示す平面図である。
図4は、
図3のA-A線断面図である。
図5は、同商品提供用具10の第二組立状態における利用例を示す平面図である。
図6は、
図5のB-B線断面図である。
図7は、同商品提供用具10の展開図である。
【0036】
図3及び
図5において、説明の便宜上、皿2は二点鎖線で示されている。図に示されるように、本実施の形態において、商品提供用具10は、2つの谷部20(第一谷部21及び第二谷部22)と、1つの山部30とを有している。第一谷部21と、山部30と、第二谷部22とは、X方向すなわち第一方向において、この順に並んでいる。
図4に示されるように、商品提供用具10は、第一谷部21と、山部30と、第二谷部22とが形成されていることにより、第一方向において、上下に起伏する形状を有しているということができる。
【0037】
また、商品提供用具10は、第一組立状態において上面となる第一面11と、第一面11の反対側の面であって第二組立状態において上面となる第二面12とを有している。
【0038】
図4に示されるように、使用状態において、商品提供用具10の第一面11が上となり第二面12が皿2の上面に対向する姿勢で皿2に配置されることにより、第一組立状態の組立体1が構成される。第一組立状態は、谷部20が山部30よりも皿2の上面に近くなるようにして商品提供用具10が皿2の上に配置されている状態であると言ってもよい。第一組立状態は、第一面11が上となる状態であると言ってもよい。
【0039】
他方、
図6に示されるように、使用状態において、商品提供用具10の第二面12が上となり第一面11が皿2の上面に対向する姿勢で皿2に配置されることにより、第二組立状態の組立体1が構成される。第二組立状態は、山部30が谷部20よりも皿2の上面に近くなるようにして商品提供用具10が皿2の上に配置されている状態であると言ってもよい。第二組立状態は、第二面12が上となる状態であると言ってもよい。
【0040】
本実施の形態において、商品提供用具10には、第一谷部21、山部30、及び第二谷部22のそれぞれに対応する折曲線が形成されている。
図7において、説明のため、谷部20に対応する折曲線については一点鎖線で、山部30に対応する折曲線については破線で、それぞれ示されている。すなわち、本実施の形態において、商品提供用具10は、折曲線を有する紙製部材により構成されており、
図7に示されるような略平らな展開状態から、それぞれの折曲線にて折れ曲がっていることにより、第一谷部21と、山部30と、第二谷部22とを有する使用状態になる。使用状態において、商品提供用具10は、複数の谷部20と山部30とが第一方向において交互に並ぶ、上下に起伏する形状を有するといえる。商品提供用具10は、第一方向において伸縮可能な蛇腹形状を有すると言ってもよい。
【0041】
なお、各折曲線は商品提供用具10において交わっておらず、特に本実施の形態においては互いに平行である。すなわち、第一谷部21、山部30、及び第二谷部22のそれぞれの折曲部の稜線は、略直線状であり、Y方向すなわち第二方向(第一方向に略垂直な方向)に伸びている。なお、一の折曲線が他の折曲線に対して角度を有するように配置されていてもよい。また、各折曲線が第二方向に対して所定の角度を有するように構成されていてもよい。
【0042】
なお、折曲線は、いわゆるスジ入れ加工が施されるように所定の位置に形成されていればよいが、これに限られない。折曲線として、ミシン目加工などが用いられてもよい。また、折曲線が形成されていなくてもよい。この場合であっても、所定の位置やその近傍において商品提供用具10を折り曲げて谷部20や山部30とすることにより、商品提供用具10を用いた組立体1を構成することができる。なお、折曲線と共に、又は折曲線に代えて、谷部20や山部30となる位置を示す模様が配されるようにしてもよい。
【0043】
このような谷部20と山部30との構成について、以下のように表現してもよい。すなわち、第一方向において並んでいる第一谷部21及び第二谷部22は、それぞれ、第一面11から見て(第一組立状態において上方から見て)、第一方向とは異なる方向に筋状に延びる凹状をなすように形成されている。また、山部30は、第一方向において第一谷部21と第二谷部22との間に配置されている。山部30は、第一面11から見て、第一方向とは異なる方向に筋状に延びる凸状をなすように構成されている。
【0044】
なお、本実施の形態においては、2つの谷部20と山部30との間隔は、互いに略等しくなっている。すなわち、第一谷部21の折曲線と山部30の折曲線との距離は、第二谷部22の折曲線と山部30の折曲線との距離と略等しくなっている。また、2つの谷部20と山部30との間隔と、各谷部20から第一方向における端部(第一方向端部)13までの距離とは、略等しくなっている。本実施の形態において、商品提供用具10は、平面視で、山部30の折曲線に対して線対称となる形状を有している。使用状態において、商品提供用具10は、山部30を通り水平面に垂直な平面に対して対称となる形状を有するように構成することができる。したがって、商品提供用具10を容易に用いることができる。
【0045】
ここで、商品提供用具10は、第一組立状態において皿2の上面に係合する第一係合部50を有している。また、商品提供用具10は、第二組立状態において皿2の上面に係合する第二係合部60を有している。
【0046】
第一係合部50や第二係合部60は、第一方向端部13の近傍部位であって第二方向端部14の近傍部位に、第二方向において突出するように形成されている舌片部16の近傍部位に形成されている。舌片部16は、第一組立状態や第二組立状態において、平面視で皿2の周縁部5の上方に位置するように形成されている。舌片部16は、四箇所設けられている。商品提供用具10は、皿2の上に配置された状態で、周縁部5に当接する舌片部16によって支持されうる。
【0047】
第一係合部50は、
図3に示されるように、第二方向端部14の近傍であって、第一方向において一方の第一方向端部13に近い谷部20よりも、当該第一方向端部13に近い位置に形成されている。本実施の形態においては、第一係合部50は、各舌片部16のうち、第一方向において中央側(山部30に近い側)の部位に配置されている。
図7に示されるように、第一係合部50は、平面視で、第二方向において中央部側に括れている括れ部51と、舌片部16よりも第一方向中央側に張り出す張出部52とを有している。括れ部51は、平面視で谷部20に対応する折曲線に重なる位置に形成されている。張出部52は、第一組立状態において段部6の上面に接触するように構成されている。
【0048】
第一係合部50は、第一面11が上となるような第一組立状態で、皿2の上面に形成されている凹部4に係合可能に構成されている。第一係合部50は、周縁部5の上面よりも下方に位置するように構成されており、これにより、商品提供用具10が下側の皿2に対して水平方向において変位しにくくなるようになっている。すなわち、本実施の形態においては、括れ部51が設けられていることにより、第一組立状態において、皿2の凹部4内に谷部20が嵌まり、商品提供用具10が下側の皿2に対して水平方向において変位しにくいように構成されている。また、第一組立状態において、張出部52が周縁部5の上面よりも下方に位置しうるので、商品提供用具10の下側の皿2に対する水平方向の位置は、下側の皿2によって位置決めされているということができる。したがって、商品提供用具10が下側の皿2に対して水平方向において変位しにくいように構成されている。
【0049】
第一係合部50は、第二方向端部14の近傍であって、各第一方向端部13に近い谷部20よりもその第一方向端部13に近い、4箇所に設けられている。なお、第一係合部50の数はこれよりも少なくてもよい。また、張出部52が設けられていなくてもよい。
【0050】
他方、第二係合部60は、
図5に示されるように、第一方向において一方の第一方向端部13の近傍に形成されている。
図7に示されるように、本実施の形態において、第二係合部60は、係合片61と、舌片部16よりも第一方向において谷部20から離れる方向に張り出す張出部62とを有している。係合片61は、第二方向において中央部近傍部位に形成されている。張出部62は、第二組立状態において段部6の上面に接触するように構成されている。
【0051】
第二係合部60は、第二面12が上となるような第二組立状態で、皿2の上面に形成されている凹部4に係合可能に構成されている。第二係合部60は、第二組立状態において周縁部5の上面よりも下方に位置するように構成されており、これにより、商品提供用具10が下側の皿2に対して水平方向において変位しにくくなるようになっている。すなわち、本実施の形態においては、係合片61が設けられていることにより、第二組立状態において、皿2の凹部4内に係合片61が嵌まり、商品提供用具10が下側の皿2に対して水平方向において変位しにくいように構成されている。また、第二組立状態において、張出部62が周縁部5の上面よりも下方に位置しうるので、商品提供用具10の下側の皿2に対する水平方向の位置は、下側の皿2によって位置決めされているということができる。したがって、商品提供用具10が下側の皿2に対して水平方向において変位しにくいように構成されている。
【0052】
なお、商品提供用具10は、第一面11と第二面12との少なくとも一方の表面に、耐水性又は耐油性を有する層が配置されているものとすることができる。本実施の形態においては、商品提供用具10は、第二面12側の表面となる基層10bと、第一面11側の表面となる、耐水性を有するコーティング層10cとを含む、二層構造を備えている。このようなコーティング層10cが配置されていることにより、水気のある商品が商品提供用具10に配置された場合にも、比較的長時間にわたり、商品提供用具10への水のしみこみや、それによる強度等の変化が発生することを防止することができる。なお、第二面12側や、第一面11と第二面12との両方に、コーティング層10cが配置されていてもよい。また、商品提供用具10は、耐水性又は耐油性を有する層として樹脂フィルム等が積層された構成を有していてもよい。
【0053】
本実施の形態においては、皿2上に配置した商品提供用具10の谷部20(第一組立状態の場合)に、シート部材720を有する商品700を配置することができる。したがって、シート部材720が皿2の皿板3上に敷かれて取り上げにくい状態になることを防止することができる。商品700をシート部材720ごと容易に組立体1上から取り上げられるような態様で、商品700を提供することができる。
【0054】
第一組立状態においては、2つの谷部21,22のそれぞれに商品700を配置可能である。商品提供用具10を用いない場合には、皿板3上にシート部材720が広がって2つの商品700を同時に配置することが困難となる場合であっても、商品提供用具10を用いることにより、1つの皿2の上に2つの商品700を配置することができる。したがって、より効率的に多くの商品700を提供することができる。
【0055】
第一係合部50や第二係合部60が形成されているため、商品提供用具10が皿2に配置された状態からの商品提供用具10の位置ずれが発生しにくいように構成されている。したがって、商品700を乗せた組立体1を運んでユーザ等に商品700を提供する場合において、商品700及び組立体1を、安定的に運ぶことができる。また、商品700は、谷部20や山部30による凹部によって食品710がシート部材720により挟み込まれるような状態で、提供される。商品700を乗せた組立体1を運んでユーザ等に商品700を提供する場合において、盛り付けられた商品700の崩れが発生しにくくなり、見栄えの良い状態で商品700を容易に提供することができる。
【0056】
商品提供用具10の第一面11と第二面12とのどちらを上側にするかを、配置する商品700により切り替えることができる。したがって、様々な商品700について、適切な状態で提供することができる。
【0057】
本実施の形態において、商品提供用具10は紙製部材である。したがって、商品提供用具10を低コストで構成することができ、リサイクルを行ったり廃棄したりすることも比較的容易に行うことができる。また、展開状態から折曲線で折り曲げて第一組立状態や第二組立状態とすることができるので、複数の商品提供用具10をコンパクトに収納したり運搬したりしつつ、利用時に容易に組み立てることができる。
【0058】
なお、上述の実施の形態に係る商品提供用具10は、例えば以下のようにして、商品700の提供に用いることができる。以下、商品提供用具10を用いた商品提供方法について説明する。なお、以下の説明においては、商品提供用具10を第一組立状態として用いた組立体1を構成する場合を例に挙げるが、第二組立状態として用いた組立体1を構成する場合についても同様にすることができる。
【0059】
図8は、本発明の実施の形態の1つに係る商品提供方法について説明するフローチャートである。
【0060】
(ステップS1)まず、皿2の上に、第一面11が上側となり第二面12が当該皿2に対向するようにして商品提供用具10を配置する。
【0061】
(ステップS2)次に、第一谷部21及び第二谷部22の少なくとも一方に商品700を配置する。これにより、第一組立状態の組立体1が構成される。
【0062】
(ステップS3)そして、皿2の上に配置された商品提供用具10の第一面11上に商品700が配置されている状態で、皿2及び商品提供用具10とともに、当該商品700をユーザに対して提供する。
【0063】
このようにして商品700を提供することにより、通常の収容皿を用いる場合と同様に、商品提供用具10を用いた商品700の提供を行うことができる。
【0064】
なお、ステップS1とステップS2とは、逆の順番で行われてもよい。すなわち、先に商品提供用具10に商品700を配置し、その後、商品提供用具10を皿2に配置して組立体1を構成するようにしてもよい。
【0065】
なお、このような商品提供方法は、例えば飲食店などの店舗内において用いられる商品搬送装置807を用いた店舗システム1000などにおいて用いることが可能である。この場合、例えば、上述のステップS3を、ユーザ(飲食をする者)が使用するテーブル805の近傍を巡るように配置されており商品搬送装置807により駆動される搬送路807b上に、商品提供用具10を用いて商品700が乗せられた組立体1を配置するステップとしてもよい。
【0066】
図9は、同商品提供方法が使用されうる店舗システム1000の一例について説明する図である。
【0067】
図に示されるように、店舗システム1000は、例えば飲食店などの店舗内において用いられるものである。図には、その一部が示されている。飲食店は、例えばいわゆる回転寿司店である。
【0068】
本実施の形態において、店舗システム1000は、座席803、テーブル805、及び飲食物搬送装置807を備える。テーブル805及び座席803は、客であるユーザが飲食を行う店内において設けられている。飲食物搬送装置807は、店内と、図示しない厨房とにわたって設けられている。
【0069】
店舗システム1000において、一のテーブル805を利用するユーザが着席することができるように、座席803が配置されている。
【0070】
飲食物搬送装置807は、搬送路807b及び第二搬送路807cを有している。搬送路807bには、飲食物である寿司等が載った収容皿のほか、商品提供用具10を用いて手巻き寿司等の商品700が乗せられた組立体1が乗せられる。搬送路807bは、ユーザが使用する各テーブル805の近傍を巡るように配置されている。搬送路807bは、各テーブル805の近傍において収容皿や組立体1が搬送されるように敷設されている。なお、搬送路807bは、例えば、上面がフラットに構成されたクレセントチェーンなどを用いて構成されているが、これに限られない。
【0071】
第二搬送路807cは、例えば、搬送路807bの上方に配置されている。第二搬送路807cは、厨房等から各テーブル805に、テーブル805の列に沿って配されたベルトコンベアを有している。ベルトコンベア上に、特定のテーブル805から要求された商品700を乗せた組立体1や収容皿を配置して、当該テーブル805まで移動させることにより、要求された商品等を提供することができるようになっている。第二搬送路807cを用いた商品700等の提供は、速やかに行うことが望ましく、ベルトコンベアによる搬送速度は、搬送路807bの搬送速度よりも高くなっている。
【0072】
このように構成されている店舗システム1000において、商品提供用具10を用いた組立体1により商品700を提供することにより、客であるユーザは、提供された商品700を組立体1から容易に取り上げることができる。飲食物搬送装置807の搬送に伴う衝撃や加速度等の影響を受けにくい状態で、容易に商品700を提供することができる。また、組立体1を利用して商品700の提供を受けた後には、商品提供用具10がテーブル805上などにおいて嵩張ることがない。したがって、ユーザは、快適に飲食を楽しむことができる。
【0073】
(その他)
【0074】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0075】
上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。
【0076】
上述の実施の形態における商品提供用具10は、上記の皿2と共に用いられるものに限られない。大きさや形状が異なる皿と共に利用して商品700を提供するようにしてもよい。例えば、凹部4や段部6が形成されていないような皿の上に商品提供用具10を配置して、組立体を構成するようにしてもよい。このような場合であっても、商品700を取り上げやすい状態で提供することができる。また、2以上の商品提供用具10を組み合わせて商品700を提供するようにしてもよい。
【0077】
図10は、本発明の実施の形態の第一の変形例に係る商品提供用具10を用いた組立体1Bの構成例を示す斜視図である。
【0078】
図に示されるように、本変形例においては、2つの商品提供用具10と、1つの皿1002とを用いて構成される組立体1Bによって、3つの商品700を提供することができることが示されている。皿1002は、上述の実施の形態に係る皿2よりも大型であって、平面視で長円形状を有するように構成されている。2つの商品提供用具10は、第一方向に沿って並び、一方の商品提供用具10の第二谷部22と他方の商品提供用具10の第一谷部21とが上下に重なるようにして配置されている。このように2つの商品提供用具10が一部重ねて配置されていることにより、組立体1Bでは、全体として3つの谷部20が第一方向に沿って並んでいる。各谷部20に商品700を配置することにより、3つの商品700を提供することが可能となる。
【0079】
また、谷部20や山部30の数は、上述に限られない。
【0080】
図11は、本発明の実施の形態の第二の変形例に係る商品提供用具1010の一例を示す図である。
【0081】
図においては、商品提供用具1010の展開状態が示されている。商品提供用具1010は、例えば、3つの谷部20と、3つの谷部20同士の間に配置されている2つの山部30とを有している点で、上述の実施の形態に係る商品提供用具10と相違するものである。商品提供用具1010のその他の構成は、商品提供用具10と同様である。本変形例においては、商品提供用具1010を用いて第一組立状態の組立体を構成することにより、3つの谷部20に商品700を配置可能にすることができる。また、商品提供用具1010を用いて第二組立状態の組立体を構成することにより、2つの山部30に商品700を配置可能にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように、本発明にかかる商品提供用具は、シート部材の上に食品が配置される形態の商品を、取り上げやすい状態で皿に載置することができるという効果を有し、商品提供用具等として有用である。
【符号の説明】
【0083】
1,1B 組立体
2,1002 皿
3 皿板
4 凹部
5 周縁部
6 段部
8 高台部
10,1010 商品提供用具
10b 基層
10c コーティング層
11 第一面
12 第二面
13 第一方向端部
14 第二方向端部
20 谷部
21 第一谷部
22 第二谷部
30 山部
50 第一係合部
60 第二係合部
700 商品
710 食品
720 シート部材
803 座席
805 テーブル
807 飲食物搬送装置
807b 搬送路
807c 第二搬送路
1000 店舗システム